説明

計数箱詰め装置

【課題】本発明は、ねじ、ナット、ボルト等の部品を連続的に箱詰め可能な計数箱詰め装置を提供する。
【解決手段】本発の計数箱詰め装置1は、被搬送物Sを搬送する搬送手段と、複数個の収容箱へ供給された被搬送物Sの重量を計測する計測手段と、複数の搬送経路を有し、これと同数の前記収容箱に被搬送物Sを分散供給する分散シュートと、この分散シュート7の上方に設けられ、前記搬送手段から落下した被搬送物Sを移動または停止した状態で受取り、その移動開始は前記前記計測手段の計測値に応じて決定されるように構成された可動シュート4とから構成される計数箱詰め装置1において、前記分散シュート7は、その搬送経路から排出される被搬送物Sの数量が前記可動シュート4の位置に応じて決定され、また前記可動シュート4は、前記分散シュート4における任意の数の搬送経路に対して同時に被搬送物Sを排出可能な位置で停止することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ねじ、ナット、ボルト等の部品を連続的に箱詰め可能な計数箱詰め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、所定数の部品を計数して箱詰めする装置では、部品の計数手段として、検出器あるいは秤を有するものが一般的である。この種の計数箱詰め装置は、部品を順次搬送するコンベアを有しており、このコンベアにて搬送される部品の数量が前記検出器にて検出される。この検出器にて検出された部品は、コンベアの搬送終端部から落下し、その落下地点に置かれた箱等に供給される。その後、前記検出器が所定数の部品を検出計数したとき、前記コンベアの駆動が停止し、所定数の箱詰めが完了する。また、検出手段として秤を用いた計数箱詰め装置では、常時、箱の総重量を計測し、この計測値が所定の値に達した時、コンベアの駆動が停止し、所定数量の箱詰めが完了する。これらの構成から成る計数箱詰め装置によって続けて箱詰めするには、詰込みの完了した箱を空箱に交換し、コンベアの駆動を再開する。しかし、このような構成で成る部品箱詰め装置では、コンベアの駆動が直ちに停止されると、搬送終端部にある部品が慣性によって落下してしまい、既定の値を超える部品が箱に供給される問題があった。この問題を解決することを目的として、特許文献1に示す計数箱詰め装置がある。この計数箱詰め装置では、前記検出器にて検出される値が所定数に近づいたとき、前記コンベアが高速駆動から低速駆動に切換えられる。この低速駆動状態において、所定数量の部品を検出計数したとき、前記コンベアの駆動が停止するように構成されている。そのため、搬送終端部にある部品にかかる慣性が小さくなり、搬送終端部にある部品が意図せず落下しないように構成されている。つまり、従来の計数箱詰め装置では、コンベアの駆動速度を段階的に落とすことで、供給量の微調整が行われている。この作用によって、部品の過供給が防止されている。
【0003】
【特許文献1】特開昭51−44972
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の計数箱詰め装置においては、コンベアが高速駆動から低速駆動に切換えられる構成であるため、部品の搬送に多大な時間を要し、その結果、部品の箱詰めを完了するのに多くの時間がかかる問題を有していた。また、箱詰めの完了した箱を空の箱に交換するには、コンベアの駆動を停止する必要があるため、作業効率が悪い問題も有していた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
被搬送物を搬送し、その搬送最終地点から被搬送物を落下させる搬送手段と、その落下最終地点にある複数個の収容箱へ供給された被搬送物の重量を計測する計測手段と、複数の搬送経路を有し、これと同数の前記収容箱に被搬送物を分散供給する分散シュートと、この分散シュートの上方に設けられ、前記搬送手段から落下した被搬送物を移動または停止した状態で受取り、その移動開始は前記前記計測手段の計測値に応じて決定されるように構成された可動シュートとから構成される計数箱詰め装置において、前記分散シュートは、その搬送経路から排出される被搬送物の数量が前記可動シュートの位置に応じて決定され、また前記可動シュートは、前記分散シュートにおける任意の数の搬送経路に対して同時に被搬送物を排出可能な位置で停止するように構成されている。
【発明の効果】
【0006】
本発明の計数箱詰め装置は、可動シュートの移動位置によって、収容箱へ供給される被搬送物の供給量が決定される構成である。そのため、搬送手段の駆動速度を高速駆動に保った状態でも、規定量の被搬送物を収容箱に供給することができる。また、コンベアを駆動させた状態で、収容箱の交換も可能であるため、収容箱の交換作業による時間ロスがなくなり、連続的に箱詰めを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の計数箱詰め装置を図1ないし図4に基づいて説明する。1は計数箱詰め装置であり、基台2の上面にはコンベア3が取り付けられている。このコンベア3は、被搬送物S(例えば、ねじ、ビス、ボルトなどの小物部品)を上流側から下流側に搬送し、搬送終端部に到達した被搬送物Sを漏斗状に形成された可動シュート4の内部に落下させるように構成されている。この可動シュート4は、前記コンベア3の搬送経路に直行する方向に延びるリニアレール5に案内されており、図上、左右方向に所定距離を往復移動可能に構成されている。このリニアレール5は、前記基台2の側面に取り付けられ、かつリニアレール5の各々の終端は4本の支持棒6によって固定されている。また、前記基台2の側面には、前記可動シュート4の下方に位置するように分散シュート7が取り付けられており、この分散シュート7は前記可動シュート4から供給される被搬送物Sを、複数個の箱に分散供給するように構成されている。これら箱H1、H2においてはそれぞれが秤10a,10bに載置されており、この秤の測定値に応じて前記可動シュート4は、後記の図3に示す所定の位置から移動を開始し、所定の位置で停止する。
【0008】
前記可動シュート4の上部には第1開口4aが形成されている。この第1開口4aは、前記コンベア3の幅よりも広く開口しており、前記コンベア3の搬送終端部から落下する全ての被搬送物Sが当該可動シュート4の内部に落下するように構成されている。一方、当該可動シュート4の下部には第1排出口4bが形成されている。この第1排出口4bは、その口幅が前記第1開口4aよりも狭く開口しており、前述の可動シュート4の内部に落下した全ての被搬送物Sを排出するように構成されている。
【0009】
前記分散シュート7は、略二股形状を成しており、図上、その左下部には左排出口7bが形成され、一方その右下部には右排出口7cが形成されている。また、この分散シュート7の上部は、前記可動シュート4の第1排出口4bが最左点および最右点に移動した場合においても、これらの位置から排出される被搬送物Sを受取り可能な広さに開口している。さらに、この分散シュート7はその内部に仕切板7aを有している。この仕切板7aは前記分散シュート7の上部開口面に対して垂直に設けられており、この仕切板7aを境にして、分散シュート7の内部形状は左右対称に構成されている。つまり、この仕切板7aより左側に滑落した被搬送物Sは、左排出口7bから排出され、一方当該仕切板7aよりも右側に滑落した被搬送物Sは、右排出口7cから排出されるように構成されている。
【0010】
これより、図3に示すように、本発明の計数箱詰め装置1の動作を説明する。図3(a)においては計数箱詰め装置1の始動開始位置を示しており、この位置では可動シュート4の第1排出口4bから排出される被搬送物Sが分散シュート7の仕切板7aより左側に滑落し、その全量が箱H1に供給される位置である。この位置では可動シュート4は、秤10aによって計測される箱H1の総重量が例えば、目標重量の90%に達するまで停止し、この停止中に被搬送物Sを箱H1に供給する。その後、可動シュート4は、図上、右方向に移動を開始し、可動シュート4は図3(b)に示す位置に位置決めされる。
【0011】
この図3(b)に示す位置においては、可動シュート4の第1排出口4bから排出される被搬送物Sの大部分が分散シュート7の仕切板7aより左側に滑落し、箱H1に供給される。その一方で、可動シュート4の第1排出口4bから排出される一部の被搬送物Sは分散シュート7の仕切板7aより右側に滑落し、箱H2に供給される。続いて、可動シュート4は、図上、右方向に移動し続けると、図3(c)に示す位置に位置決めされる。
【0012】
この図3(c)に示す位置においては、可動シュート4の第1排出口4bから排出される被搬送物Sの大部分が分散シュート7の仕切板7aより右側に滑落し、箱H2に供給される。その一方で、可動シュート4の第1排出口4bから排出される一部の被搬送物Sは分散シュート7の仕切板7aより左側に滑落し、箱H1に供給される。つまり、箱H1においては、ほぼ既定量の被搬送物Sが箱詰めされた段階であって、少量ずつ被搬送物Sが箱H1に供給されることで、供給量の微調整が行われ、箱H1に被搬送物Sが過供給されないようになっている。箱Aの重量が目標値に達すると、可動シュート4は、図上、右方向に移動し、図3(d)に示す位置に到達し、ここで停止する。
【0013】
この図3(d)に示す位置においては、可動シュート4から排出される被搬送物Sが分散シュート7の仕切板7aより右側に滑落し、その全量が箱H2に供給される。このとき、詰込みの完了した箱H1は、空の箱に交換される。また、前記可動シュート4は、秤10bによって計測される箱H2の総重量が例えば、目標値の90%に達すると、図上、左方向に所定の速度で動き出し、図3(c)に示す位置に位置決めされる。このとき、可動シュート4の第1排出口4bから排出される被搬送物Sの大部分が分散シュート7の仕切板7aより右側に滑落し、箱H2に供給される。その一方で、可動シュート4の第1排出口4bから排出される被搬送物Sの一部は分散シュート7の仕切板7aより左側に滑落し、箱H1に供給される。続いて、可動シュート4は、所定の速度で移動し、図3(b)に示す位置を位置決めされる。この図(b)に示す位置においては、可動シュート4の第1排出口4bから排出される被搬送物Sの大部分が分散シュート7の仕切板7aより左側に滑落し、箱H2に供給される。その一方で、可動シュート4の第1排出口4bから排出される一部の被搬送物Sは分散シュート7の仕切板7aよりも右側に滑落し、箱H2に供給される。つまり、箱H2においては、ほぼ規定量の被搬送物Sが箱詰めされる段階であって、少量ずつ被搬送物Sが箱H2に供給されることで、供給量の微調整が行われ、箱H2に被搬送物Sが過供給されないようになっている。箱Bの重量が目標値に達すると、可動シュート4は、図3(a)に示す位置に到達し、ここで停止する。このとき、可動シュート4から排出される被搬送物Sは分散シュート7の仕切板7aより右側に滑落し、その全量が箱H1に供給される。その間に、詰込みの完了した箱H2は、空の箱に取り替えられる。
【0014】
このように、本発明の計数箱詰め装置1においては、コンベア3を定速駆動させた状態で、連続して箱詰めを行う構成である。また、前述のように可動シュート7が仕切板7aの上方を往復移動することによって、左排出口7bおよび右排出口7cから排出される被搬送物Sの数量を調整する構成である。つまり、コンベア3を低速駆動にしなくても、被搬送物Sの供給量の微調整が行われ、箱への過供給が防止されている。これらの作用から本発明の計数箱詰め装置1では、箱交換作業による時間ロスおよび規定量箱詰めに必要な微調整による時間ロスを無くすことができるので、箱詰め作業の高速化を実現することができる。
【0015】
なお、前記可動シュート4にかえて、図5に示す可動シュート40を用いてもよい。この可動シュート40はその内面に沿って複数個の整列溝40aを有しており、この整列溝40aは前記第1開口4aから前記第1排出口4bにかけて延びるように形成されている。この可動シュート40を用いた場合、前記コンベア3から落下した被搬送物Sが整列した状態で順次第1排出口4bから排出されるため、分散シュート7に供給される被搬送物Sの供給量がより一定に保たれる。その結果として、箱詰め量の誤差を低減することができる。また、本発明の計数箱詰め装置1においては、前記分散シュート7の仕切板7aが前記可動シュート4と同様の移動また停止をする構成であってもよい。この場合、前記可動シュート4は必要ない。また、本発明の計数箱詰め装置1の他の実施例として、前記可動シュート4およびリニアレール5を取り外し、図6に示す分散シュート70を用いてもよい。この分散シュート70は、前記仕切板7aの上部に振り分け板70bを有しており、図6の破線Dで示す範囲を揺動するように構成されている。この振り分け板70bは、前記可動シュート4と同様に、コンベア3から落下する被搬送物Sを前記分散シュート70の内部に分散供給する構成である。具体的には、この振り分け板70bは、図6(a)ないし図6(d)で停止するように構成されており、これら停止位置によって、前記分散シュート70の仕切板7aを境にした左側および右側への被搬送物Sの供給量を調整するように構成されている。つまり、図6(a)に示す供給量の振り分けが図3(a)に対応し、同様に図6(b)が図3(b)に、図6(c)が図3(c)に、図6(d)が図3(d)に対応するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の計数箱詰め装置の正面図である。
【図2】本発明の部品供給装置の側面図である。
【図3】a,b,c,dは本発明の可動シュートの移動過程を示す動作説明図である。
【図4】本発明の計数箱詰め装置の一部断面図である。
【図5】本発明の他の実施例の要部拡大斜視図である。
【図6】本発明の他の実施例を示す図である。
【符号の説明】
【0017】
1 計数箱詰め装置
2 基台
3 コンベア
4 可動シュート
4a 第1開口口
4b 第1排出口
5 リニアレール
6 支持棒
7 分散シュート
7a 仕切板
7b 左排出口
7c 右排出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送物を搬送し、その搬送最終地点から被搬送物を落下させる搬送手段と、その落下最終地点にある複数個の収容箱へ供給された被搬送物の重量を計測する計測手段と、複数の搬送経路を有し、これと同数の前記収容箱に被搬送物を分散供給する分散シュートと、この分散シュートの上方に設けられ、前記搬送手段から落下した被搬送物を移動または停止した状態で受取り、その移動開始は前記前記計測手段の計測値に応じて決定されるように構成された可動シュートとから構成される計数箱詰め装置において、
前記分散シュートは、その搬送経路から排出される被搬送物の数量が前記可動シュートの位置に応じて決定され、また前記可動シュートは、前記分散シュートにおける任意の数の搬送経路に対して同時に被搬送物を排出可能な位置で停止することを特徴とする計数箱詰め装置。
【請求項2】
前記分散シュートは、その内部に仕切板を有することを特徴とする請求項1に記載の計数箱詰め装置
【請求項3】
前記分散シュートは、その内面に沿って整列溝を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の計数箱詰め装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−230631(P2008−230631A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−69473(P2007−69473)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【出願人】(000227467)日東精工株式会社 (263)
【Fターム(参考)】