説明

計算デバイスのロケーションに基づいてその計算デバイスを使用禁止状態にするための方法

【課題】計算デバイスのロケーションに基づいてその計算デバイスを使用禁止状態にする。
【解決手段】コンピュータなどの計算デバイスは、その計算デバイスにロケーション制限が存在しているかどうかを、パワー・アップ中にBIOSをチェックすることによって判断する(201)。ロケーション制限が存在している場合、計算デバイスは、全世界測位システム(GPS)を利用してそのロケーションを決定する(203)。計算デバイスにロケーション制限が存在している場合、計算デバイスは、その計算デバイスの現在位置に応じて使用が禁止された状態になる(207)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に計算デバイスに関し、より詳細には計算デバイスのロケーションに基づいてその計算デバイスを使用禁止状態にするための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
計算デバイスは、非常に多くのアプリケーションに使用されている。コンピュータの使用の拡張に伴って処理能力および記憶能力が向上し、一方ではコンピュータの価格が安価になり、サイズが小型化されている。計算デバイスの急増により、高度な研究のために計算デバイスを使用している企業、あるいは場合によっては日常の業務に計算デバイスを使用している企業のセキュリティに対する関心が高まっている。
【0003】
生じている問題の1つは、セキュリティに関する問題である。コンピュータには、業務もしくはパーソナル・ユーザのための貴重な情報が含まれていることがしばしばであり、コンピュータが盗難にあうと、その情報は、競合企業にとっては非常に価値のある情報になる。
【0004】
もう1つの問題は、盗難による計算デバイスの貴重な資産の損失である。家庭であれ、企業であれ、コンピュータが盗難にあうと、重大な財政投資が損失することになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、計算デバイスのセキュリティを改善するための方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、計算デバイスもしくはコンポーネントに対するアクセス制御方法が提供される。このアクセス制御は、好ましくはGPS(全世界測位システム)技術を使用した計算デバイスの現在位置に基づいている。
【0007】
本発明によれば、計算デバイスがあらかじめ定められたロケーション領域内に存在していない場合、その計算デバイスに対するアクセスが使用禁止状態すなわちロックアウトされる。本発明によれば、ラップトップ・コンピュータあるいは他のコンピュータもしくはコンポーネントがロケーション領域外に存在している場合、それらが動作不能になるため、盗難の可能性が減少する。また、計算デバイスは、あらかじめ定められたロケーション領域内のみで機能するため、コンピュータ・ラボラトリなどの所定の領域外に存在する計算デバイスを使用禁止状態にすることにより、潜在的な企業スパイ活動による影響が緩和される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、本発明の例示的実施形態によるロケーション領域111、第1の計算デバイス110および第2の計算デバイス120を示したものである。
【0009】
ロケーション領域111は、地理上の境界によって画定された地理領域である。ロケーション領域111は、任意の地理座標によって画定することができる。また、ロケーション領域111は、地理座標および高度によって画定することも可能である。ロケーション領域111は、家、建物、事務所、ラボラトリあるいは計算デバイスの所有者がその計算デバイスの動作の制限を希望する他の任意のロケーションに限定することができる。
【0010】
計算デバイス110は携帯型コンピュータである。計算デバイス110は、コンピュータ、ハード・ドライブもしくは他の記憶装置などのコンポーネント、移動電話あるいは他の任意の電子デバイスであっても良い。図1に示すように、計算デバイス110は、ロケーション領域111内に存在していない。
【0011】
図に示す計算デバイス120はデスクトップ・コンピュータであり、ロケーション領域111内に存在している。計算デバイス120は、計算デバイス120がロケーションの制限を受けることのインジケーションおよびロケーション領域の座標を備えている。
【0012】
ロケーションの制限を受ける計算デバイスは、ロケーション設定値を備えている。例示的実施形態では、ロケーション設定値は、計算デバイスのBIOS中にプリバーンされている。計算デバイスがハード・ドライブなどのコンポーネントである他の例示的実施形態では、コンポーネント自体にロケーション設定値が埋め込まれており、コンポーネントを動作させるべきかどうかをコンポーネントBIOSが決定することができる。
【0013】
図1に示すように、計算デバイス110はロケーション領域111の外側に存在し、計算デバイス120はロケーション領域111内に存在している。これらの計算デバイスはいずれもロケーション制限を備えており、これらの計算デバイスが動作するのは、それらがロケーション領域111内に存在している間だけである。計算デバイス110は動作不能であり、一方、計算デバイス120は、ロケーション領域111内に存在しているため、動作可能である。
【0014】
図2は、本発明の例示的実施形態による計算デバイスのロケーションに基づいてその計算デバイスを使用禁止状態にするための方法を流れ図200で示したものである。
【0015】
計算デバイスは、その計算デバイスにロケーション制限が存在しているかどうかを決定する(201)。一例示的実施形態では、計算デバイスは、パワー・アップ時にその計算デバイスのロケーション設定値を調査している。ロケーション設定値は、その計算デバイスにロケーション制限が存在しているかどうかを示しており、ロケーション制限が存在している場合、ロケーション設定値は、ロケーション領域の地理上の境界を示している。
【0016】
一例示的実施形態では、計算デバイスは、その計算デバイスのBIOSをチェックすることによってロケーション制限が存在しているかどうかを決定している。計算デバイスは、パワー・アップ中にロケーション制限が存在しているかどうかを決定することが好ましい。他の例示的実施形態では、計算デバイスは、スケジュール・ベースで定期的に、あるいは移動を検出した時点でロケーション制限が存在しているかどうかを決定している。ロケーション制限が存在していない場合、計算デバイスはパワー・アップが許可され、動作可能になる(209)。
【0017】
一例示的実施形態では、ロケーション制限を使用禁止状態にすることができる。この実施形態では、ロケーション制限が計算デバイス中にハードコード化されている場合であっても、ロケーション制限を使用禁止状態にすることができる。たとえば、計算デバイスのユーザもしくはシステム管理者は、計算デバイスを動作させるべきか否かを決定するためのロケーションのチェックを使用禁止状態にするパスワードを入力することができる。
【0018】
ロケーション制限が存在している場合、計算デバイスは、その移動ユニットのロケーションを決定する(203)。一例示的実施形態では、計算デバイスは、全世界測位システム(GPS)を利用してそのロケーションを決定している。他の例示的実施形態では、計算デバイスは、セルラE911サービスに使用されている方法などの三角測量技法を利用してそのロケーションを決定している。
【0019】
次に、計算デバイスは、そのロケーションがロケーション領域内であるかどうかを決定する(205)。ステップ205で決定された計算デバイスのロケーションがロケーション領域内である場合、計算デバイスは、その計算デバイスの機能の実行が許可される(209)。本発明の一例示的実施形態では、計算デバイスがロケーション領域外に存在している場合、計算デバイスとネットワーク接続の間で送信される情報を暗号化し、かつ、解読することができ、それにより計算デバイスに改良型データ・セキュリティを提供している。
【0020】
ステップ205で決定された計算デバイスのロケーションがロケーション領域外である場合、計算デバイスは、その使用が禁止された状態になる(207)。一例示的実施形態では、計算デバイスは、計算デバイスがロケーション領域外に存在している間、パワー・アップ時にその使用が禁止された状態になる。他の例示的実施形態では、計算デバイスがロケーション領域外へ移動すると、その計算デバイスは使用が禁止された状態になる。この例示的実施形態では、計算デバイスはステップ201に戻り、周期的にそのロケーションをチェックし、そのロケーションをロケーション領域と比較して、計算デバイスがロケーション領域内に依然として存在しているかどうかを決定している。
【0021】
計算デバイスがロケーション領域内に存在していない場合、その計算デバイスは、パワー・ダウンされるか、あるいは休止状態になり、動作不能になることが好ましい。一例示的実施形態では、警告画面が計算デバイス上にポップ・アップして、所定の時間期間内にパスワードを入力するようユーザに命令し、所定の時間期間内にパスワードが入力されない場合、計算デバイスをシャット・ダウンしている。他の例示的実施形態では、計算デバイスは、パスワードを受け取ることにより、暗号化デバイスもしくは計算デバイスの使用禁止状態を無効にすることをユーザが許可したことを確認する他の任意の方法を利用して自動的にシャット・ダウンを無効にすることができる。
【0022】
したがって本発明は、計算デバイスが所定のロケーション領域内に存在していない場合に、その計算デバイスを使用禁止状態にするための方法を提供している。コンピュータ、ハード・ドライブ等を備えた計算デバイスを使用禁止状態にすることにより、ロケーション領域外に存在している場合における計算デバイスのセキュリティが改善される。
【0023】
以上、本発明について、本発明の特定の実施例によって説明したが、以上の説明は、本発明を以上の説明に限定することを意図したものではなく、本発明は、特許請求の範囲の各請求項によってのみ制限されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の例示的実施形態によるロケーション領域および複数の計算デバイスを示す図である。
【図2】本発明の例示的実施形態による計算デバイスのロケーションに基づいてその計算デバイスを使用禁止状態にするための方法を示す流れ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計算デバイスのロケーションに基づいて前記計算デバイスを使用禁止状態にするための方法であって、
計算デバイスにロケーション制限が存在しているかどうかを決定する工程と、
前記計算デバイスのロケーションを決定する工程と、
前記計算デバイスにロケーション制限が存在している場合、前記計算デバイスのロケーションに応じて前記計算デバイスを使用禁止状態にする工程とを含む方法。
【請求項2】
計算デバイスのロケーションを決定する前記工程が、全世界測位システム(GPS)を利用して計算デバイスのロケーションを決定する工程を含む、請求項1に記載の、計算デバイスのロケーションに基づいて前記計算デバイスを使用禁止状態にするための方法。
【請求項3】
前記計算デバイスにロケーション制限が存在しているかどうかを決定する前記工程が、前記計算デバイスのパワー・アップ時に前記計算デバイスにロケーション制限が存在しているかどうかを決定する工程を含む、請求項1に記載の、計算デバイスのロケーションに基づいて前記計算デバイスを使用禁止状態にするための方法。
【請求項4】
前記方法が、前記ロケーション制限を使用禁止状態にする工程をさらに含む、請求項1に記載の、計算デバイスのロケーションに基づいて前記計算デバイスを使用禁止状態にするための方法。
【請求項5】
前記方法が、前記計算デバイスがロケーション内に存在している間、前記計算デバイスによってネットワーク接続に送信される情報を暗号化する工程をさらに含む、請求項1に記載の、計算デバイスのロケーションに基づいて前記計算デバイスを使用禁止状態にするための方法。
【請求項6】
前記方法が、前記計算デバイスを動作させるか否かを決定するためのロケーションのチェックを使用禁止状態にする工程をさらに含む、請求項1に記載の、計算デバイスのロケーションに基づいて前記計算デバイスを使用禁止状態にするための方法。
【請求項7】
前記計算デバイスを使用禁止状態にする前記工程が、前記計算デバイスがロケーション領域外へ移動すると前記計算デバイスを使用禁止状態にする工程を含む、請求項1に記載の、計算デバイスのロケーションに基づいて前記計算デバイスを使用禁止状態にするための方法。
【請求項8】
前記計算デバイスを使用禁止状態にする前記工程が、前記計算デバイスをパワー・ダウンする工程を含む、請求項1に記載の、計算デバイスのロケーションに基づいて前記計算デバイスを使用禁止状態にするための方法。
【請求項9】
前記方法が、パスワードを受け取ることによって前記計算デバイスを使用禁止状態にする前記工程を無効にする工程をさらに含む、請求項1に記載の、計算デバイスのロケーションに基づいて前記計算デバイスを使用禁止状態にするための方法。
【請求項10】
前記方法が、暗号化デバイスの利用に基づいて前記計算デバイスを使用禁止状態にする前記工程を無効にする工程をさらに含む、請求項1に記載の、計算デバイスのロケーションに基づいて前記計算デバイスを使用禁止状態にするための方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−99769(P2006−99769A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−279530(P2005−279530)
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【出願人】(596092698)ルーセント テクノロジーズ インコーポレーテッド (965)
【Fターム(参考)】