説明

計量包装装置及び計量包装システム

【課題】計量包装装置の稼働率を向上させる。
【解決手段】計量包装装置10の組合せ計量部11は、複数の計量対象91の各々の重量に基づいて当該複数の計量対象91を組み合わせて包装対象92として排出する。製袋包装部12は、組合せ計量部11から排出された包装対象92を包装袋93へ袋詰する袋詰処理を繰り返し実行する。計量包装装置10は、過重量の包装対象が発生した場合に、排出処理及び袋詰処理を繰り返し実行することを継続しつつ、製袋包装部12は、過重量の包装対象の袋詰先の包装袋のサイズを、通常の包装対象の袋詰先の包装袋のサイズより大きくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計量対象を組み合わせて包装する計量包装装置及び当該計量包装装置を含む計量包装システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、菓子や生鮮食品等の個々の重量が一定しない商品の重量を計量し、総重量が所定の目標重量となるように商品を組み合わせてから包装する計量包装装置が用いられている。このような計量包装装置では、計量ホッパで計量した商品の重量が所定の上限重量を超過するオーバースケール状態となることがあるが、従来の計量包装装置は、オーバースケール状態となった場合、動作をいったん停止していた。
【0003】
なお、特許文献1は、計量ホッパで計量した商品の重量が所定の上限重量を超過する状態となった場合でも、計量包装装置の動作を継続する技術に関するものである。
【0004】
【特許文献1】特公平6−63813号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の計量包装装置は、オーバースケール状態となった場合、動作をいったん停止していたので、稼働率が低下してしまうという問題があった。
【0006】
ここで、組み合わせ計量部が落下させた商品を製袋包装部で包装する計量包装装置における稼働率の低下について、図6のタイムチャートを参照しながら説明する。図6のタイムチャートでは、横軸が時間tの経過を示す時間軸となっており、計量包装装置の組合せ計量部から商品が落下排出されるタイミングが排出タイミングDT1〜DT6として示され、計量包装装置の製袋包装部で商品が包装されるタイミングが包装タイミングPT1〜PT8として示されている。
【0007】
図6に示すように、計量包装装置が時刻txにオーバースケール状態となった場合、組合せ計量部からの商品の排出は時刻txで停止するが、組合せ計量部から排出された商品が製袋包装部で包装されるまでには所定の時間ΔT1を要するので、製袋包装部での商品の包装は、時刻txから時間ΔT1が経過するまでは(落下中の商品がなくなるまでは)停止しない。このため、停止した計量包装装置の動作を再開させることができるのは、時刻txから時間ΔT1が経過した後の時刻tyとなる。すなわち、従来の計量包装装置は、オーバースケール状態となると、少なくとも時間ΔT1だけ稼働を停止することになる。
【0008】
また、オーバースケール状態となったときに、動作を手作業で再開させる必要がある計量包装装置の場合は、操作者が動作を手作業で再開させるまで、さらに稼働を停止することになる。
【0009】
そして、これらの稼働の停止の影響は、組合せ計量部からの商品の排出周期ΔT2が短くなるほど大きくなる。
【0010】
本発明は、これらの問題を解決するためになされたもので、計量包装装置の稼働率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、継続的に供給される物品群を小分けして得た計量対象の各々の重量を測定するとともに、測定結果に応じて複数の計量対象を組み合わせて包装対象として排出する排出処理を行う計量部と、連続した包装材の端部に前記包装対象を供給し、前記端部を前記包装材の後続部分から区切ることによって前記包装対象を袋詰する袋詰処理を行う包装部とを備え、前記排出処理と前記袋詰処理とを連携させて繰り返し実行する計量包装装置において、前記計量部と前記包装部とのそれぞれの制御を行う制御手段が、a)所定基準を満足する包装対象である基準内包装対象の袋詰先の包装袋のサイズが第1サイズに設定されているときに、b)前記所定基準を満足しない包装対象である基準外包装対象が発生した場合には、b-1)前記排出処理と前記袋詰処理との繰り返しは継続させつつ、b-2)基準外包装対象の袋詰先の包装袋のサイズを、前記第1サイズとは異なる第2サイズに変更する。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1に記載の計量包装装置において、前記所定基準は、組み合わせの対象となりうる計量対象のうち、所定重量を超過したものが所定個数以上とならないという基準であり、前記包装部は、前記第2サイズを前記第1サイズよりも大きくする。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の計量包装装置において、前記包装部は、長さ方向に一定速度で搬送される前記包装材としての筒状のフィルムを所定周期で幅方向にシールする周期的シール処理により形成された包装袋を、基準内包装対象の袋詰先とするとともに、基準外包装対象の袋詰先の包装袋を形成するためのシールの時間間隔を、前記所定周期よりも長くすることによって前記第2サイズを前記第1サイズより大きくする。
【0014】
請求項4の発明は、請求項3に記載の計量包装装置において、前記フィルムを前記所定周期のn倍(nは、2以上の整数)の時間間隔で幅方向にシールすることにより形成された包装袋を、基準外包装対象の袋詰先とする。
【0015】
請求項5の発明は、請求項3に記載の計量包装装置において、前記計量部は、1-1)前記包装部から入力される排出要求信号に同期して前記排出処理を実行し、1-2)前記排出処理の完了と同期して排出完了信号を前記包装部へ出力し、1-3)基準外包装対象が発生した場合には前記排出完了信号とともにエラー排出信号を前記包装部へ出力し、前記包装部は、2-1)所定周期で前記計量部へ前記排出要求信号を出力し、2-2)前記エラー排出信号が前記計量部から入力された場合は前記周期的シール処理を所定回数だけ休止する。
【0016】
請求項6の発明は、請求項5に記載の計量包装装置において、前記計量部は、前記エラー排出信号を出力した直後においては、前記排出要求信号に応答して前記排出処理を実行することを、前記所定回数だけ休止する。
【0017】
請求項7の発明は、請求項5に記載の計量包装装置において、前記包装部は、前記エラー排出信号が入力された直後においては、前記排出要求信号を出力することを、前記所定回数だけ休止する。
【0018】
請求項8の発明は、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の計量包装装置において、前記包装部は、前記計量部が落下させた包装対象を包装袋へ袋詰する。
【0019】
請求項9の発明は、計量処理を通じて一連の包装対象のそれぞれの重量を特定し、連続した包装材から順次に生成する包装袋に各包装対象を収容して袋詰めを行う計量包装装置において、計量結果が所定基準を満足しない包装対象である基準外包装対象が発生したときには、前記一連の包装対象についての連続包装動作中において、基準サイズとは異なるサイズの基準外包装袋を生成し、前記基準外包装対象を前記基準外包装袋に収容させる制御手段を備える。
【0020】
請求項10の発明は、計量包装システムであって、請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の計量包装装置と、前記計量包装装置と連動し、包装対象が袋詰された包装袋の各々に対して所定の検査を行う検査装置とを備える。
【発明の効果】
【0021】
請求項1ないし請求項10の発明によれば、基準外包装対象が発生しても計量包装装置が停止しないので、計量包装装置の稼働率を向上可能である。また、基準外包装対象の袋詰先の包装袋の特定が容易であるので、当該包装袋を容易に排除可能である。
【0022】
請求項2の発明によれば、組み合わせの対象となりうる計量対象のうち、所定重量を超過したものが所定個数以上とならないという基準を満足しない基準外包装対象の袋詰先の包装袋のサイズが、そうでない基準内包装対象の袋詰先の包装袋のサイズより大きくなるので、包装対象が包装袋に収まりきらない事態の発生を防止可能である。
【0023】
請求項3の発明によれば、サイズの異なる包装袋をあらかじめ準備しておく必要がない。
【0024】
請求項4の発明によれば、フィルムに絵柄が周期的に描かれている場合に、基準内包装対象の袋詰先の包装袋に描かれている絵柄が常に適切なものとなる。
【0025】
請求項6又は請求項7の発明によれば、基準外包装対象の袋詰先の包装袋に基準内包装対象が袋詰されてしまうことを防止可能であるので、基準内包装対象の無駄を削減可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
<1 第1実施形態>
<1.1 計量包装システムの全体構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係る計量包装システム1Aの全体構成を示す斜視図である。計量包装システム1Aは、菓子や生鮮食品等の個々の重量が一定しない商品の重量を測定し(以下では、重量の測定を「計量」とも称する)、総重量が所定の目標重量Mとなるように商品を組み合わせてから包装するとともに、包装された商品に対して所定の検査を行う。
【0027】
図1を参照して説明すると、計量包装システム1Aは、商品の重量を計量し、総重量が目標重量Mとなるように商品を組み合わせてから包装する計量包装装置10と、計量包装装置10により包装された商品に対して所定の検査を行う検査装置20とを備える。
【0028】
○計量包装装置;
計量包装装置10は、商品の重量を計量し、総重量が目標重量Mとなるように商品を組み合わせる組合せ計量部11と、商品を包装する包装袋を形成し、組合せ計量部11が組み合わせた商品を当該包装袋へ袋詰包装する製袋包装部12とを備える。
【0029】
組合せ計量部11は、複数の計量対象の各々(単数又は複数の商品)の重量に基づいて当該複数の計量対象を総重量が目標重量Mとなるように組み合わせて包装対象として排出する。
【0030】
製袋包装部12は、長尺のフィルムから包装袋を形成し、組合せ計量部11が排出した包装対象を当該包装袋へ袋詰する。
【0031】
計量包装装置10には、さらに、液晶操作パネルを備えた操作部13が設けられる。操作部13は、計量包装装置10の運転操作に用いられる他、計量包装装置10の運転状態等に関する情報の閲覧に用いられる。
【0032】
計量包装装置10の定常状態においては、組合せ計量部11は、包装対象を排出する排出処理を所定の周期T1で繰り返し実行し、製袋包装部は、包装袋を形成し、組合せ計量部11が排出した包装対象を当該包装袋へ袋詰する袋詰処理を周期T1で繰り返し実行する。
【0033】
○検査装置;
検査装置20は、計量包装装置10と連動し、包装対象が袋詰された包装袋の各々に対してシール検査及び重量検査を行う。検査装置20は、包装袋を、コンベアによる搬送の途上でシールチェッカ21及び重量チェッカ22を通過させる。
【0034】
シールチェッカ21は、押さえ具211で包装袋をコンベアへ押さえつけたときの包装袋からの空気の漏れの有無を検出することにより、包装袋におけるシール不良の有無を判定する。
【0035】
重量チェッカ22は、コンベアの上の包装袋の重量をロードセル等で計量することにより、包装袋の重量の過量又は軽量の有無を判定する。
【0036】
検査装置20には、さらに、液晶操作パネルを有する操作部23が設けられる。操作部23は、検査装置20の運転操作に用いられる他、検査装置20の運転状態等に関する情報の閲覧に用いられる。
【0037】
なお、検査装置20において、金属検出機を設けて金属の異物の有無を検査するようにしてもよいし、X線異物検出装置を設けて金属及び非金属の異物の有無を検査するようにしてもよい。
【0038】
<1.2 計量包装装置の構成>
図2は、計量包装装置10の概略構成を示す図である。以下では、図2を参照しながら、計量包装装置10の組合せ計量部11及び製袋包装部12について説明する。
【0039】
○組合せ計量部;
図2を参照して説明すると、組合せ計量部11は、継続的に供給される商品群(物品群)を分散させる分散フィーダ111と、分散フィーダ111により分散された商品を小分けして導く放射フィーダ112と、放射フィーダ112により導かれてきた商品を一時的に蓄積するプールホッパ113と、プールホッパ113から供給された商品を計量して排出する計量ホッパ114と、計量ホッパ114が排出した商品を集めて排出する排出シュート115とを備える。
【0040】
分散フィーダ111は、円錐形状を有するテーブルを振動させることにより、当該テーブルの頂点の近傍に投入された商品を放射状に分散させつつ放射フィーダ112まで落下させる。
【0041】
放射フィーダ112は、溝形状を有するトラフを振動させることにより、分散フィーダ111により分散された商品をプールホッパ113へ導く。
【0042】
プールホッパ113は、上部が投入口、下部が開閉可能な排出口となっている。プールホッパ113は、排出口を閉じた状態において、放射フィーダ112により導かれてきた商品を投入口で受け取って一時的に蓄積するとともに、適時に排出口を開いて蓄積した商品を落下させることにより、蓄積した商品を計量対象91として計量ホッパ114へ供給する。
【0043】
計量ホッパ114は、プールホッパ113と同様に、上部が投入口、下部が開閉可能な排出口となっている。計量ホッパ114は、排出口を閉じた状態において、プールホッパ113から供給された計量対象91を受け取って保持し、ロードセル等により重量の計量を行う。計量ホッパ114は、さらに、排出口を開いて保持している計量対象91を落下させることにより、保持している計量対象91を排出シュート115へ排出する。
【0044】
排出シュート115は、漏斗形状を有しており、複数の計量ホッパ114が排出した計量対象91を集めて包装対象92として組合せ計量部11から排出する。
【0045】
さらに、組合せ計量部11は、包装対象92の重量(複数の計量ホッパ114が排出する計量対象91の総重量)が目標重量Mとなるように計量ホッパ114の排出口を開閉する組合せ計量制御部116を備える。組合せ計量制御部116は、少なくともCPU及びメモリを備えるコンピュータを含み、組み込まれた制御プログラムを当該コンピュータに実行させることにより所定の機能を実現している。
【0046】
ここで、組合せ計量制御部116についてさらに詳細に説明する。組合せ計量制御部116は、計量ホッパ114における計量結果を取得するとともに、計量ホッパ114の排出口の開閉を制御可能に構成されており、取得した計量結果に応じて、包装対象92の重量が目標重量Mとなるように(目標重量範囲内となるように)、計量対象91を排出する計量ホッパ114を選択する。そして、組合せ計量制御部116は、製袋包装部12から入力された排出要求信号に同期して、選択した計量ホッパ14の排出口を開けることにより、排出要求信号に同期して、組合せ計量部11から包装対象92が排出されるようにしている。
【0047】
また、組合せ計量制御部116は、組合せ計量部11からの包装対象92の排出処理の完了と同期して排出完了信号を製袋包装部12へ出力する。
【0048】
なお、計量対象91の組み合わせにおいては、例えば、計量対象の重量が上限重量を超過するオーバースケール状態(計量対象の重量が計量可能な重量を超過するフルスケール状態も含む)となる計量ホッパ114が所定個数以上となってしまう場合も存在する。このような場合、組合せ計量制御部116は、繰り返し実行されている排出処理が停止しないようにするために、オーバースケール状態となった計量ホッパ114の選択を許容し、包装対象92の排出と同期して、排出完了信号とともにエラー排出信号を製袋包装部12へ出力する。このエラー排出信号は、組合せ計量部11が包装対象92を排出する場合において、組み合わせの対象となりうる計量対象91のうち、重量が上限重量を超過したものが所定個数以上とならないという基準を満足しない基準外の包装対象であることを示す情報となっている。
【0049】
○製袋包装部;
さらに図2を参照して説明すると、いわゆる縦型ピロー包装機である製袋包装部12は、組合せ計量部11が落下させた包装対象92を受け止める集合シュート121と、包装材であるフィルムFLを筒状に曲成するセーラ123と、包装対象92及び筒状のフィルムFLを下方へ案内するチューブ122と、筒状のフィルムFLを下方に搬送するプルダウンベルト124と、筒状のフィルムFLの縦方向(長さ方向)に延びる重ね合わせ部分をシール(溶着)する縦シール機構125と、筒状のフィルムFLを横方向(幅方向)にさらにシールする横シール機構126とを備える。
【0050】
集合シュート121は、漏斗形状を有しており、組合せ計量部11が落下させた包装対象を開口部で受け止めてチューブ122の内部へ導く。
【0051】
セーラ123は、チューブ122が貫通する湾曲面を有しており、当該湾曲面とチューブ122との間には、供給されたフィルムFLを通過させることができる間隙が設けられている。セーラ123は、供給されたフィルムFLを当該湾曲面に密接させた後に間隙を通過させることにより、フィルムFLを筒状に曲成された状態でチューブ122の外面に巻きつける。
【0052】
チューブ122は、上下方向に延びる円筒形状の部材であり、内部の包装対象92及び外面に巻きつけられた筒状のフィルムFLを下方へ案内する。
【0053】
プルダウンベルト124は、上下方向に離間して設けられたプーリに架けられたベルトの平坦走行部分をチューブ122の外面に巻きつけられた筒状のフィルムFLに接触させることにより、フィルムFLを所定速度で下方へ搬送する。
【0054】
縦シール機構125は、筒状に曲成されたフィルムFLの縦方向に延びる重ね合わせ部分を押圧しながら加熱することにより、当該重ね合わせ部分をシールし、フィルムFLを筒状に形成する。
【0055】
横シール機構126は、縦シール機構125によって筒状に形成されたフィルムFLをさらに横方向にシールする。横シール機構126は、左右対称の機構126a及び126bを備えており、機構126a及び126bの協働により、筒状のフィルムFLをシールして切断する。
【0056】
より具体的には、左側の機構126aは、シールジョー201aと、時計回りに回転運動するとともに左右方向に往復直線運動する回転軸202aと、シールジョー201aと回転軸202aとを連結するアーム203aとを備えており、右側の機構126bは、シールジョー201bと、反時計回りに回転運動するとともに左右方向に往復直線運動する回転軸202bと、シールジョー201bと回転軸202bとを連結するアーム203aとを備えている。
【0057】
横シール機構126では、回転軸202aの回転運動及び往復直線運動によりシールジョー201aが略D字形の軌跡TAを描いて運動し、回転軸202bの回転運動及び往復直線運動によりシールジョー201bが略D字形の軌跡TBを描いて運動する。この軌跡TA及びTBは左右対称となっており、左右対称の位置にあるシールジョー201a及び201bは、軌跡TA及びTBの直線部分において、筒状のフィルムFLを挟み込んだ状態で押圧しながら加熱することにより、筒状のフィルムFLの挟み込んだ部分をシールして切断する。すなわち、シールジョー201a及び201bは、それぞれ、位置Aから位置A’へ至るまで及び位置Bから位置B’へ至るまでは、フィルムFLに追随してフィルムFLを挟み込んだ状態で下方へ向かって直線運動しつつ筒状のフィルムFLを横方向にシールする。しかる後に、シールジョー201a及び201bは、それぞれ、位置A’から位置Aへ至るまで及び位置B’から位置Bへ至るまで、円弧上を円運動することになる。もちろん、シールジョー201a及び201bは、円弧上を円運動をしているときは、フィルムFLを挟み込むことはできないので、フィルムFLをシールすることはできない。
【0058】
このような横シール機構126によれば、長さ方向となる下方に一定速度で搬送される筒状のフィルムFLを、時間をおいて繰り返しシールして切断することにより、包装対象92の袋詰先となる包装袋93を繰り返し形成することができる。なお、包装袋93への包装対象92の袋詰は、組合せ計量部11が排出した包装対象92を連続した筒状のフィルムFLの下端部に供給し、しかる後に、シールジョー126a及び126bにより筒状のフィルムFLを当該下端部から離れた位置でシールして切断することにより、筒状のフィルムFLの下端部を後続部分から区切ることによって実現される。そして、製袋包装部12では、このようにしてシールされた位置をあらたな下端部として同様の袋詰処理が繰り返される。
【0059】
さらに、製袋包装部12は、包装袋93への包装対象92の袋詰が適切になされるように横シール機構126を制御する製袋包装制御部127を備える。製袋包装制御部127は、少なくともCPU及びメモリを備えるコンピュータを含み、組み込まれた制御プログラムを当該コンピュータに実行させることにより、所定の機能を実現している。
【0060】
製袋包装制御部127は、横シール機構126の制御により、筒状のフィルムFLをシールする時間間隔を変化させ、サイズの異なる包装袋93をあらかじめ準備しておかなくても、包装袋93のサイズ(長さ)を変化させることができる。そして、製袋包装制御部127は、組合せ計量部11から入力された排出完了信号及びエラー排出信号に基づいて横シール機構126を制御することにより、組み合わせの対象となる計量対象91のうち、重量が上限重量を超過したものが所定個数以上とならないという基準を満足しない基準外の包装対象(以下では「過量品」とも称する)の袋詰先の包装袋のサイズを、当該基準を満足する基準内の包装対象(以下では「正量品」とも称する)の袋詰先の包装袋のサイズよりも大きくしている。
【0061】
また、製袋包装制御部127は、包装対象92の排出を要求する排出要求信号を組合せ計量部11へ出力する。
【0062】
<1.3 計量包装装置の動作>
図3は、第1実施形態における計量包装装置10の動作例を示すタイムチャートである。
【0063】
図3においては、横軸が時刻tの経過を示す時間軸となっており、上から順に排出要求信号、排出完了信号及びエラー排出信号が図示されている。さらに、図3のタイムチャートには、組合せ計量部11が排出した包装対象92の種類(「正量品」又は「過量品」)及び回転軸202a及び202bの回転の角速度ωが図示されている他、製袋包装部12が形成した包装袋93と包装袋93に袋詰される包装対象92とが模式的に図示されている。
【0064】
図3に示すように、製袋包装部12は、排出要求信号S11〜S14を組合せ計量部11へ周期T1で繰り返し出力する。そして、組合せ計量部11は、周期的な排出要求信号S11〜S14の入力に同期して、包装対象(「正量品」又は「過量品」)921〜924を周期T1で繰り返し排出するとともに、排出完了信号S21〜S24を製袋包装部12へ周期T1で繰り返し出力する。加えて、組合せ計量部11は、過量品922を排出した場合、排出完了信号S22とともにエラー排出信号S32を製袋包装部12へ出力する。
【0065】
横シール機構126は、シールジョー201a及び201bを周期Tで運動させ、周期Tで筒状のフィルムFLをシールすることができる。なお、横シール機構126が筒状のフィルムFLをシールをすることができるタイミング(シールジョー201a及び201bがフィルムFLに追随して直線運動をしているタイミング)は、シールタイミングST0〜ST4として図3の中に図示されている。このシールタイミングST0〜ST4は、組合せ計量部11が排出した包装対象92が横シール機構126に到達するまでの時間(ダンプディレイ)を考慮して決定されている。
【0066】
製袋包装制御部127は、エラー排出信号S32をともなわない排出完了信号S21,S23及びS24が入力された場合は、シールジョー201a及び201bの周期Tの運動を継続させ、シールタイミングST1,ST2,ST4におけるシール処理を横シール機構126に実際に実行させる。これにより、長さ方向に一定速度で搬送される筒状のフィルムFLを、周期T1でシールすることにより形成された長さLの基準サイズの包装袋931が、正量品921及び924の袋詰先となる。
【0067】
一方、製袋包装制御部127は、エラー排出信号S32をともなう排出完了信号S22が入力された場合は、シールジョー201a及び201bの周期Tの運動を、それぞれ、位置A’から位置Aへ至る途上及び位置B’から位置Bへ至る途上で一時停止させ、シールタイミングST2における横シール機構126によるシール処理を休止させる。これにより、長さ方向に一定速度で搬送される筒状のフィルムFLを周期T1の2倍の時間間隔T2でシールすることにより形成された長さ2Lの基準外のサイズの包装袋932が、過量品922及び過量品922に続いて組合せ計量部11から排出された正量品923の袋詰先となる。
【0068】
なお、上述の説明では、エラー排出信号S32をともなう排出完了信号S22が入力された場合のシール処理の休止回数を1回としたが、シールジョー201a及び201bを高速で運動させているためにシールジョー201a及び201bの一時停止に時間がかかる等の事情により、シール処理の休止回数を2回以上とし、時間間隔T2を周期T1の3倍以上とすることも妨げられない。ここで、時間間隔T2が周期T1の整数倍となっていれば、フィルムFLに絵柄が周期的に描かれている場合に、正量品921及び924の袋詰先の包装袋931に描かれている絵柄が常に適切なものとなる。
【0069】
このような計量包装装置10は、定常状態においては、排出要求信号及び排出完了信号のやり取りにより、排出処理及び袋詰処理を連携して繰り返し実行するが、過量品922が発生しても停止せず、排出処理及び袋詰処理を繰り返し継続的に実行するので、稼働率を向上させることが可能である。また、過量品922が袋詰された包装袋932の特定が容易であるので、包装袋932を容易に排除可能である。なお、包装袋932の排除は、作業者の手作業により行ってもよいし、長さを検出して自動的に行うようにしてもよい。
【0070】
さらに、このような計量包装装置10では、過量品922の袋詰先の包装袋(基準外包装袋)932のサイズが、正量品921及び924の袋詰先の包装袋931のサイズ(基準サイズ)より大きくなるので、過量品922が包装袋93に収まりきらない事態の発生を防止可能である。
【0071】
<2 第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係る計量包装システム1Bは、第1実施形態に係る計量包装システム1Aと類似の構成を有しており、第1実施形態において図1及び図2を参照しつつ説明したことは、計量包装システム1Bにも当てはまる。しかし、計量包装装置10の動作は、第1実施形態と第2実施形態とでは異なっているので、この動作の相違点について以下で説明する。なお、以下の説明では、第1実施形態と同様の点についての重複説明は省略する。
【0072】
<2.1 計量包装装置の動作>
図4は、第2実施形態における計量包装装置10の動作例を示すタイムチャートである。
【0073】
図4においては、図3と同様に、横軸が時刻tの経過を示す時間軸となっており、上から順に排出要求信号、排出完了信号及びエラー排出信号が図示されている。さらに、図4のタイムチャートには、組合せ計量部11が排出した包装対象92の種類(「正量品」又は「過量品」)及び回転軸202a及び202bの回転の角速度ωが図示されている他、製袋包装部12が形成した包装袋93と包装袋93に袋詰される包装対象92とが模式的に図示されている。
【0074】
図4に示すように、第2実施形態においては、組合せ計量部11が、過量品922を排出してエラー排出信号S32をともなう排出完了信号S22を製袋包装部12へ出力した直後において、排出要求信号S13に応答して包装対象92を排出することを休止する点が第1実施形態と異なっている。これにより、第2実施形態では、過量品922の袋詰先の包装袋932に正量品があわせて袋詰されてしまい、正量品が無駄になってしまうことを防止している。
【0075】
なお、製袋包装部12において、エラー排出信号S32をともなう排出完了信号S22が入力された場合のシール処理の休止回数を2回以上とした場合、組合せ計量部11において包装対象92を排出することを休止する回数も合わせて増加させることが望ましい。
【0076】
このような第2実施形態においても、計量包装装置10は、定常状態においては、排出要求信号及び排出完了信号のやり取りにより、排出処理及び袋詰処理を連携して繰り返し実行するが、過量品922が発生しても停止せず排出処理及び袋詰処理を繰り返し継続的に実行するので、稼働率を向上させることが可能である。また、過量品922が袋詰された包装袋932の特定が容易であるので、包装袋932を容易に排除可能である。
【0077】
さらに、このような計量包装装置10では、過量品922の袋詰先の包装袋932のサイズが、正量品921及び924の袋詰先の包装袋931のサイズより大きくなるので、過量品922が包装袋93に収まりきらない事態の発生を防止可能である。
【0078】
<3 第3実施形態>
本発明の第3実施形態に係る計量包装システム1Cは、第1実施形態に係る計量包装システム1Aと類似の構成を有しており、第1実施形態において図1及び図2を参照しつつ説明したことは、計量包装システム1Cにも当てはまる。しかし、計量包装装置10の動作は、第1実施形態と第3実施形態とでは異なっているので、この動作の相違点について以下で説明する。なお、以下の説明では、第1実施形態と同様の点についての重複説明は省略する。
【0079】
<3.1 計量包装装置の動作>
図5は、第3実施形態における計量包装装置10の動作例を示すタイムチャートである。
【0080】
図5においては、図3と同様に、横軸が時刻tの経過を示す時間軸となっており、上から順に排出要求信号、排出完了信号及びエラー排出信号が図示されている。さらに、図5のタイムチャートには、組合せ計量部11が排出した包装対象92の種類(「正量品」又は「過量品」)及び回転軸202a及び202bの回転の角速度ωが図示されている他、製袋包装部12が形成した包装袋93と包装袋93に袋詰される包装対象92とが模式的に図示されている。
【0081】
図5に示すように、第3実施形態においては、製袋包装部12が、エラー排出信号S32をともなう排出完了信号S22が製袋包装部12から入力された直後において、排出要求信号を排出することを休止する点が第1実施形態と異なっている。これにより、第3実施形態では、過量品922の袋詰先の包装袋932に正量品があわせて袋詰されてしまい、正量品が無駄になってしまうことを防止している。
【0082】
なお、製袋包装部12において、エラー排出信号S32をともなう排出完了信号S22が入力された場合のシール処理の休止回数を2回以上とした場合、製袋包装部12において排出要求信号を出力することを休止する回数も合わせて増加させることが望ましい。
【0083】
このような第3実施形態においても、計量包装装置10は、定常状態においては、排出要求信号及び排出完了信号のやり取りにより、排出処理及び袋詰処理を連携して繰り返し実行するが、過量品922が発生しても停止せず排出処理及び袋詰処理を繰り返し継続的に実行するので、稼働率を向上させることが可能である。また、過量品922が袋詰された包装袋932の特定が容易であるので、包装袋932を容易に排除可能である。
【0084】
さらに、このような計量包装装置10では、過量品922の袋詰先の包装袋932のサイズが、正量品921及び924の袋詰先の包装袋931のサイズより大きくなるので、過量品922が包装袋93に収まりきらない事態の発生を防止可能である。
【0085】
<変形例>
上述の第1実施形態〜第3実施形態では、組み合わせの対象となる計量対象91のうち、重量が上限重量を超過したものが所定個数以上となるか否かによって袋詰先の包装袋のサイズを変化させたが、包装対象の重量が上限重量を超過するか否かによって袋詰先の包装袋のサイズを変化させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の第1実施形態〜第3実施形態に係る計量包装システム1A〜1Cの全体構成を示す斜視図である。
【図2】計量包装装置10の概略構成を示す図である。
【図3】第1実施形態における計量包装装置10の動作例を示すタイムチャートを示す図である。
【図4】第2実施形態における計量包装装置10の動作例を示すタイムチャートを示す図である。
【図5】第3実施形態における計量包装装置10の動作例を示すタイムチャートを示す図である。
【図6】従来の計量包装装置における稼働率の低下を説明するタイムチャートを示す図である。
【符号の説明】
【0087】
1A〜1C 計量包装システム
10 計量包装装置
11 組合せ計量部
12 製袋包装部
114 計量ホッパ
116 組合せ計量制御部
125 縦シール機構
126 横シール機構
127 製袋包装制御部
91 計量対象
92 包装対象
93 包装袋
FL フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
継続的に供給される物品群を小分けして得た計量対象の各々の重量を測定するとともに、測定結果に応じて複数の計量対象を組み合わせて包装対象として排出する排出処理を行う計量部と、
連続した包装材の端部に前記包装対象を供給し、前記端部を前記包装材の後続部分から区切ることによって前記包装対象を袋詰する袋詰処理を行う包装部と、
を備え、前記排出処理と前記袋詰処理とを連携させて繰り返し実行する計量包装装置において、
前記計量部と前記包装部とのそれぞれの制御を行う制御手段が、
a) 所定基準を満足する包装対象である基準内包装対象の袋詰先の包装袋のサイズが第1サイズに設定されているときに、
b) 前記所定基準を満足しない包装対象である基準外包装対象が発生した場合には、
b-1) 前記排出処理と前記袋詰処理との繰り返しは継続させつつ、
b-2) 基準外包装対象の袋詰先の包装袋のサイズを、前記第1サイズとは異なる第2サイズに変更する、
ことを特徴とする計量包装装置。
【請求項2】
請求項1に記載の計量包装装置において、
前記所定基準は、組み合わせの対象となりうる計量対象のうち、所定重量を超過したものが所定個数以上とならないという基準であり、
前記包装部は、前記第2サイズを前記第1サイズよりも大きくすることを特徴とする計量包装装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の計量包装装置において、
前記包装部は、
長さ方向に一定速度で搬送される前記包装材としての筒状のフィルムを所定周期で幅方向にシールする周期的シール処理により形成された包装袋を、基準内包装対象の袋詰先とするとともに、
基準外包装対象の袋詰先の包装袋を形成するためのシールの時間間隔を、前記所定周期よりも長くすることによって前記第2サイズを前記第1サイズより大きくすることを特徴とする計量包装装置。
【請求項4】
請求項3に記載の計量包装装置において、
前記フィルムを前記所定周期のn倍(nは、2以上の整数)の時間間隔で幅方向にシールすることにより形成された包装袋を、基準外包装対象の袋詰先とすることを特徴とする計量包装装置。
【請求項5】
請求項3に記載の計量包装装置において、
前記計量部は、
1-1) 前記包装部から入力される排出要求信号に同期して前記排出処理を実行し、
1-2) 前記排出処理の完了と同期して排出完了信号を前記包装部へ出力し、
1-3) 基準外包装対象が発生した場合には前記排出完了信号とともにエラー排出信号を前記包装部へ出力し、
前記包装部は、
2-1) 所定周期で前記計量部へ前記排出要求信号を出力し、
2-2) 前記エラー排出信号が前記計量部から入力された場合は前記周期的シール処理を所定回数だけ休止する、
ことを特徴とする計量包装装置。
【請求項6】
請求項5に記載の計量包装装置において、
前記計量部は、
前記エラー排出信号を出力した直後においては、前記排出要求信号に応答して前記排出処理を実行することを、前記所定回数だけ休止することを特徴とする計量包装装置。
【請求項7】
請求項5に記載の計量包装装置において、
前記包装部は、前記エラー排出信号が入力された直後においては、前記排出要求信号を出力することを、前記所定回数だけ休止することを特徴とする計量包装装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の計量包装装置において、
前記包装部は、
前記計量部が落下させた包装対象を包装袋へ袋詰することを特徴とする計量包装装置。
【請求項9】
計量処理を通じて一連の包装対象のそれぞれの重量を特定し、連続した包装材から順次に生成する包装袋に各包装対象を収容して袋詰めを行う計量包装装置において、
計量結果が所定基準を満足しない包装対象である基準外包装対象が発生したときには、前記一連の包装対象についての連続包装動作中において、基準サイズとは異なるサイズの基準外包装袋を生成し、前記基準外包装対象を前記基準外包装袋に収容させる制御手段、
を備えることを特徴とする計量包装装置。
【請求項10】
計量包装システムであって、
請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の計量包装装置と、
前記計量包装装置と連動し、包装対象が袋詰された包装袋の各々に対して所定の検査を行う検査装置と、
を備えることを特徴とする計量包装システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−84100(P2007−84100A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−274073(P2005−274073)
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】