説明

計量販売システムおよび計量装置

【課題】計量販売における作業負担を軽減するとともに、商品の衛生状態も向上させることができる計量販売システムを提供する。
【解決手段】この計量販売システム1では、本体部10において商品を計量し、その計量値に基づいて販売金額を算出する。そして、算出された販売金額を精算部20へ転送し、精算部20において電子マネーによる精算を行う。このため、現金の授受、現金の計数、釣り銭の返却等の作業が不要となり、計量販売における作業負担が軽減する。また、現金を扱うことなく計量販売作業が完了するため、商品の衛生状態も向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品の計量販売に使用される計量販売システムおよび計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、生鮮食品店などの販売店においては、商品の計量販売(いわゆる、量り売り)が行われている。そして、計量販売においては、計量販売用の計量装置が広く使用されている。計量販売用の計量装置は、商品の計量を行う計量部と、計量部の計量値に基づいて販売金額を算出する演算部と、計量値や販売金額を表示する表示部と、所定の入力操作を受け付ける操作部と、を備えている。
【0003】
従来の計量装置を使用して計量販売を行うときには、まず、購入者(客)が販売者(店員)に購入希望商品と重量とを伝える。販売者は、計量装置の操作部を操作して当該商品の情報を呼び出し、計量部により商品の計量を行う。計量装置の内部では、商品の計量値に基づいて販売金額が算出され、算出された販売金額が表示部に表示される。販売者は、表示部に表示された販売金額を購入者から受け取り、それと引き替えに商品を購入者に渡して、計量販売作業が終了する。
【0004】
このような従来の計量装置は、例えば特許文献1に開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開平2−132330号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、従来の計量装置を使用して計量販売を行うときには、購入者から販売者へ現金の授受が行われる。しかしながら、この場合には、商品の計量、現金の受け取り、現金の計数、釣り銭の返却等の作業を、販売者が一度に行わなければならず、販売者の作業負担が大きかった。また、販売する商品が生鮮食品である場合には、商品の計量を行う販売者が現金の受け取りや現金の計数も行うことは、商品の衛生上好ましいことではなかった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、計量販売における作業負担を軽減するとともに、商品の衛生状態も向上させることができる計量販売システムおよび計量装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、商品の計量販売を行う計量販売システムであって、商品を計量する計量手段と、前記計量手段の計量値に基づいて商品の販売金額を算出する算出手段と、を有する本体部と、前記販売金額の電子マネーによる精算を行う精算部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の計量販売システムであって、前記本体部は、前記精算部の精算動作を能動化させるための指示を入力する入力手段を更に有することを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の計量販売システムであって、前記本体部は、前記本体部の動作状態に応じて前記精算部の精算動作を制御する制御手段を更に有することを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の計量販売システムであって、前記制御手段は、前記計量手段および前記算出手段の動作が完了し、前記販売金額が確定すると、前記精算部の精算動作を能動化させることを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る発明は、請求項3または請求項4に記載の計量販売システムであって、前記制御手段は、前記計量手段から商品が取り除かれると、前記精算部の精算動作を無効化することを特徴とする。
【0013】
請求項6に係る発明は、請求項1から請求項5までのいずれかに記載の計量販売システムであって、前記本体部は、前記精算部による精算結果を印字出力する出力手段を更に有することを特徴とする。
【0014】
請求項7に係る発明は、請求項6に記載の計量販売システムであって、前記出力手段は、電子マネーによる精算結果を印字出力する第1の出力ユニットと、現金の授受による精算結果を印字出力する第2の出力ユニットとに切り替え可能であり、前記出力手段が前記第1の出力ユニットに切り替えられたときに、前記本体部と前記精算部との間の通信が能動化されることを特徴とする。
【0015】
請求項8に係る発明は、請求項1から請求項7までのいずれかに記載の計量販売システムであって、前記本体部は、前記計量販売システムを、販売者による計量作業を受け付ける第1のモードと、購入者による計量作業を受け付ける第2のモードとに切り替えるモード切替手段を更に有することを特徴とする。
【0016】
請求項9に係る発明は、請求項1から請求項8までのいずれかに記載の計量販売システムであって、前記本体部は、前記精算部による精算結果を集計する集計手段を更に有することを特徴とする。
【0017】
請求項10に係る発明は、商品の計量および販売金額の算出を行う計量装置であって、商品を計量する計量手段と、前記計量手段の計量値に基づいて前記販売金額を算出する算出手段と、電子マネーにより精算可能な精算装置と接続することにより、前記算出手段から前記精算装置へ前記販売金額の情報を転送可能にする通信手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1から請求項9までに記載の発明によれば、計量販売システムは、商品を計量する計量手段と、計量手段の計量値に基づいて商品の販売金額を算出する算出手段と、を有する本体部と、販売金額の電子マネーによる精算を行う精算部と、を備える。このため、計量値に基づいて算出された販売金額を、電子マネーにより精算することができる。したがって、現金の授受、現金の計数、釣り銭の返却等の作業が不要となり、計量販売における作業負担が軽減する。また、現金を扱うことなく計量販売作業が完了するため、商品の衛生状態も向上する。
【0019】
特に、請求項2に記載の発明によれば、本体部は、精算部の精算動作を能動化させるための指示を入力する入力手段を有する。このため、精算部の精算動作を能動化させるための指示を、本体部側において行うことができる。
【0020】
特に、請求項3に記載の発明によれば、本体部は、本体部の動作状態に応じて精算部の精算動作を制御する制御手段を有する。このため、計量手段や算出手段の動作状態に応じて、適時に精算部の精算動作を能動化させることができる。
【0021】
特に、請求項4に記載の発明によれば、制御手段は、計量手段および算出手段の動作が完了し、販売金額が確定すると、精算部の精算動作を能動化させる。このため、販売金額が確定した後、精算部を能動化させるための指示を外部から入力する必要はなく、計量販売作業が簡易化する。
【0022】
特に、請求項5に記載の発明によれば、制御手段は、計量手段から商品が取り除かれると、精算部の精算動作を無効化する。このため、計量手段から商品を取り除く作業と、精算部を無効化させるための指示とを別個に行う必要はなく、計量販売作業が簡易化する。
【0023】
特に、請求項6に記載の発明によれば、本体部は、精算部による精算結果を印字出力する出力手段を有する。このため、精算部の精算結果を本体部側において印字出力することができる。
【0024】
特に、請求項7に記載の発明によれば、出力手段は、電子マネーによる精算結果を印字出力する第1の出力ユニットと、現金の授受による精算結果を印字出力する第2の出力ユニットとに切り替え可能であり、出力手段が第1の出力ユニットに切り替えられたときに、本体部と精算部との間の通信を能動化させる。このため、出力手段を第1の出力ユニットに切り替える作業と、本体部と精算部との間の通信を能動化させる作業とを、別個に行う必要はなく、計量販売作業が簡易化する。
【0025】
特に、請求項8に記載の発明によれば、本体部は、計量販売システムを、販売者による計量作業を受け付ける第1のモードと、購入者による計量作業を受け付ける第2のモードとに切り替えるモード切替手段を更に有する。このため、計量販売システムを第1のモードに切り替えたときには、購入者の注文に応じて販売者が計量作業を行うことができる。また、計量販売システムを第2のモードに切り替えたときには、販売者を介することなく、購入者が自分自身で計量作業および購入作業を行うことができる。
【0026】
特に、請求項9に記載の発明によれば、本体部は、精算部による精算結果を集計する集計手段を有する。このため、精算部による精算結果を本体部において集計し、営業情報として利用することができる。
【0027】
また、請求項10に記載の発明によれば、計量装置は、商品を計量する計量手段と、計量手段の計量値に基づいて販売金額を算出する算出手段と、電子マネーにより精算可能な精算装置と接続することにより、算出手段から精算装置へ販売金額の情報を転送可能にする通信手段と、を備える。このため、精算装置と接続して使用することにより、販売金額を電子マネーにより精算することができる。したがって、現金の授受、現金の計数、釣り銭の返却等の作業が不要となり、計量販売における作業負担が軽減する。また、現金を扱うことなく計量販売作業が完了するため、商品の衛生状態も向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
【0029】
<1.計量販売システム1の構成>
まず、本発明に係る計量販売システム1の構成について説明する。図1は、本発明に係る計量販売システム1の斜視図である。また、図2は、計量販売システム1における各部の接続関係を示したブロック図である。この計量販売システム1は、商品の計量販売を行うときに、商品の計量、販売金額の算出、および販売金額の精算を行うためのシステムであり、主として、本体部10と精算部20とを備えている。
【0030】
本体部10は、商品を計量し、その計量値に基づいて販売金額を算出する機能を有する計量装置により構成されている。本体部10の上面には、計量を行う際に商品を載置するための計量台11aが設けられている。また、計量台11aの下方には、ロードセル等の重量センサ11bが接続されている。このため、計量台11a上に商品が載置されると、重量センサ11bにより商品の重量が計量される。すなわち、計量台11aと重量センサ11bとにより、計量部11が構成されている。
【0031】
本体部10の前面には、表示部12が設けられている。表示部12には、商品の名称、商品の単価、商品の重量、販売金額等の種々の情報12aが表示される。また、表示部12は、タッチパネル機能を有しており、表示部12上に表示される種々のキー12bにユーザが触れることにより、本体部10に対して種々の指示が入力される。表示部12上における各キー12bの配置、サイズ、および色は、例えば他のキーを操作することにより、任意に変更可能となっている。このため、ユーザは、計量販売システム1の使用態様に応じて、複数のキー12bの配置、サイズ、および色を任意に設定することができる。
【0032】
また、表示部12の近傍には、機械的に押下可能なキー操作部13も配置されている。この計量販売システム1では、数値の入力や印字出力などの基本的な指示を入力するためのキーはキー操作部13に配置されており、他の指示を入力するためのキーは、表示部12上に表示させる構成となっている。
【0033】
本体部10の表示部12およびキー操作部13の側方には、出力部14が設けられている。出力部14は、精算部20による精算結果をレシート用紙上またはラベル用紙上に印字する印字装置により構成されている。出力部14の内部においては、本体部10の前面側に設けられた発行口14aに向けてレシート用紙またはラベル用紙が搬送され、その紙面上に図示しない印字機構が精算結果を印字する。印字後のレシートやラベルは、発行口14aから外部へ排出される。なお、レシート用紙やラベル用紙は、所定のカセットに収納された状態で出力部14にセットされる。
【0034】
また、本体部10には、精算部20との間で通信を行うための通信部15が設けられている。通信部15は、通信線30により精算部20と接続されており、精算部20との間で情報の送受信を行う。例えば、通信部15は、精算部20に対して販売金額の情報を送信し、精算部20から精算結果の情報を受信する。
【0035】
更に、本体部10には、上記の計量部11、表示部12、キー操作部13、出力部14、および通信部15の動作を制御するための制御部16が設けられている。制御部16は、CPUや記憶部を有するコンピュータにより構成されており、上記の各部と電気的に接続されている。制御部16は、上記の各部との間で情報の送受信を行うとともに、所定のプログラムおよび外部から入力される指示に基づいてCPUが演算処理を実行することにより、上記の各部の動作を制御する。特に、計量台11a上に商品が載置されたときには、制御部16は、計量部11から転送される計量値のデータを取得し、その計量値と、記憶部に記憶された商品の単価とに基づいて、商品の販売金額を算出する算出手段として機能する。
【0036】
一方、精算部20は、電子マネーによる精算処理を行う精算装置により構成されている。精算部20は、ICカードとの間で電子マネー情報のやりとりを行うリーダライタ部21と、リーダライタ部21を制御する制御ボックス22とを、通信線23を介して接続した構成となっている。
【0037】
リーダライタ部21は、電磁波の送受信を行うアンテナ部21aを有している。電子マネー情報を保持したICチップが埋設されているICカードをアンテナ部21aに接近させると、アンテナ部21aは、ICカード内に保持されている電子マネー情報の読み取りおよび書き換えを行い、これにより、精算処理が行われる。制御ボックス22は、本体部10からの指示を受けて、アンテナ部21aの通信動作を能動化または無効化する。また、制御ボックス22は、本体部10から転送される販売金額の情報を受け、ICカード内の残額から販売金額を減額させるように、アンテナ部21aを動作させる。
【0038】
また、制御ボックス22は、電子マネーの流通を管理する管理サーバ40と外部回線41を介して接続されている。精算部20において精算処理を行うときには、その取引情報が、制御ボックス22から外部回線41を介して管理サーバ40へ送信される。また、精算処理が完了すると、精算結果が、制御ボックス22から通信線30を介して本体部10へ転送される。
【0039】
このような計量販売システム1において、計量台11a上に商品が載置されると、重量センサ11bにより商品の重量が計量される。重量センサ11bにおいて取得された計量値は、重量センサ11bから制御部16へ送信され、制御部16は、受信した計量値および商品の単価に基づいて、販売金額を算出する。算出された販売金額の情報は、表示部12に表示されるとともに、通信部15および通信線30を介して精算部20へ転送される。その後、リーダライタ部21に購入者のICカードが近づけられると、リーダライタ部21は、ICカード内の残額を読み取るとともに、販売金額分を減額した額にICカード内の残額情報を書き換える。その後、制御ボックス22から本体部10へ精算結果が転送されて、表示部12に精算結果が表示される。
【0040】
以上が、計量販売システム1の構成および計量販売システム1の基本的動作であるが、より具体的には、この計量販売システム1は、販売者が計量作業を行う第1のモードと、購入者が計量作業を行う第2のモードとに、切り替えて使用することができる。以下では、各モードにおける計量販売作業の流れについて、更に説明する。
【0041】
<2.第1のモード(販売者が計量作業を行う場合)>
第1のモードは、購入者の注文に応じて販売者が計量作業を行う場合に使用するモードである。計量販売システム1を第1のモードで使用する場合には、計量販売システム1は販売者と購入者との間に配置される。そして、本体部10の表示部12やキー操作部13を販売者側に向けるとともに、精算部20のリーダライタ部21を購入者側に向けた状態で使用される。
【0042】
図3は、計量販売システム1を第1のモードで使用する場合の計量販売作業の流れを示したフローチャートである。まず、販売者は、計量販売システム1を第1のモードに切り替える(ステップS11)。具体的には、図4に示したように、表示部12に表示されるモード切り替えキーK1に販売者が触れることにより、モードを切り替えるための指示が入力される。制御部16は、モード切り替えキーK1から入力された指示を受けると、表示部12に第1のモード用の作業画面を表示させる。第1のモード用の作業画面には、図5に示したように、商品の計量値、単価、販売金額等の情報12aが表示されるとともに、商品を選択するための選択キーK2や、精算部の精算動作を能動化させるための精算キーK3が表示される。
【0043】
図3に戻り、次に、購入者は、販売者に購入希望商品と重量とを伝える(ステップS12)。販売者は、表示部12上の選択キーK2を操作して、指定された商品の情報を呼び出し(ステップS13)、計量台11a上に当該商品を載置する。計量台11a上に商品が載置されると、重量センサ11bは、載置された商品の重量を計量して計量値を制御部16に転送する(ステップS14)。そして、制御部16は、その計量値に基づいて販売金額を算出するとともに、計量値および販売金額を表示部12に表示する(ステップS15)。なお、表示部12に表示された計量値および販売金額が購入者の希望と異なる場合には、販売者は、計量台11a上に載置されている商品の分量を調節する。
【0044】
商品の販売金額が確定すると、販売者は、表示部12上の精算キーK3に触れることにより、精算部20を能動化させるための指示を入力する。制御部16は、精算キーK3から入力された指示を、通信部15および通信線30を介して精算部20の制御ボックス22へ転送する。そして、制御ボックス22は、当該指示を受けてリーダライタ部21の通信動作を能動化させ、ICカードの接近を待ち受ける状態にする。また、これと同時に、制御部16は、通信部15および通信線30を介して精算部20へ、販売金額の情報を送信する。
【0045】
その後、購入者は、自己の電子マネー情報を保持したICカードをリーダライタ部21のアンテナ部21aに接近させる。リーダライタ部21は、ICカード内の残額を読み取るとともに、販売金額分を減額した額にICカード内の残額情報を書き換えることにより、精算処理を行う(ステップS17)。精算部20における精算処理が完了すると、制御ボックス22から本体部10へ精算結果が転送されて、表示部12に精算結果が表示される。
【0046】
表示部12に精算結果が表示されると、販売者は、キー操作部13に配置された印字キーを押下することにより、レシートを印字出力するための指示を入力する。制御部16は、印字キーからの指示を受けると、出力部14を制御して、レシート用紙上に精算結果を印字させる(ステップS18)。販売者は、発行口14aから出力されたレシートを、商品とともに購入者に渡して、計量販売作業を終了する(ステップS19)。
【0047】
<3.第2のモード(購入者が計量作業を行う場合)>
一方、第2のモードは、販売者を介することなく、購入者が自分自身で計量作業および購入作業を行う場合に使用するモードである。計量販売システム1を第2のモードで使用する場合には、計量販売システム1は、表示部12、キー操作部13、およびリーダライタ部21を、いずれも購入者側に向けた状態で配置されて使用される。なお、以下の例では、取り扱う商品は1種類であるものとし、商品の選択は不要であるものとして説明する。
【0048】
図6は、計量販売システム1を第2のモードで使用する場合の計量販売作業の流れを示したフローチャートである。まず、販売者は、計量販売システム1を第2のモードに切り替える(ステップS21)。具体的には、図4に示したように、表示部12に表示されるモード切り替えキーK1に販売者が触れることにより、モードを切り替えるための指示が入力される。制御部16は、モード切り替えキーK1から入力された指示を受けると、表示部12に第2のモード用の作業画面を表示させる。第2のモード用の作業画面には、図7に示したように、商品の計量値、単価、販売金額等の情報12aが表示されるとともに、購入者に対するガイダンスメッセージ12cが表示される。
【0049】
表示部12には、まず「商品を計量台の上に置いてください」とのガイダンスメッセージが表示されている。購入者は、このガイダンスメッセージに従い、計量台11a上に商品を載置する(ステップS22)。計量台11a上に商品が載置されると、重量センサ11bは、載置された商品の重量を計量して計量値を制御部16に転送する(ステップS23)。そして、制御部16は、その計量値に基づいて販売金額を算出するとともに、計量値および販売金額を表示部12に表示する(ステップS24)。
【0050】
第2のモードでは、商品の計量値が安定して販売金額が確定すると、制御部16は、通信部15および通信線30を介して精算部20へ、精算動作を能動化させるための指示を送信する(ステップS25)。精算部20の制御ボックス22は、当該指示を受けてリーダライタ部21の通信動作を能動化させ、ICカードの接近を待ち受ける状態にする。また、これと同時に、制御部16は、通信部15および通信線30を介して精算部20へ、販売金額の情報を送信する。
【0051】
表示部12には、商品の重量や販売金額が表示されるとともに、「ICカードを近づけて下さい」とのガイダンスメッセージが表示される。購入者は、このガイダンスメッセージに従い、自己の電子マネー情報が記録されたICカードをリーダライタ部21のアンテナ部21aに接近させる。リーダライタ部21は、ICカード内の残額を読み取るとともに、販売金額分を減額した額にICカード内の残額情報を書き換えることにより、精算処理を行う(ステップS26)。精算部20における精算処理が完了すると、制御ボックス22から本体部10へ精算結果が転送されて、表示部12に精算結果および「精算を完了しました」とのガイダンスメッセージが表示される。
【0052】
購入者は、表示部12に表示された精算結果を確認し、商品を計量台11aから取り上げて当該商品を店舗から持ち出す(ステップS27)。商品が計量台11aから取り除かれ、計量部11の計量値が零点に戻ると、表示部12のガイダンスメッセージは「商品を計量台の上に置いて下さい」に戻り、計量販売作業が完了する。
【0053】
なお、第2のモードでは、精算部20を能動化させた後精算処理を行う前(ステップS25とステップS26との間)に、購入者が計量台11aから商品を取り除くと、精算部20の精算動作は無効化される。これは、計量部11の計量値が零点に戻ったときに、制御部16から精算部20へ精算動作を無効化させるための指示を送信することにより、実現される。精算部20の制御ボックス22は、一旦受信した販売金額の情報を消去するとともに、リーダライタ部21の通信動作を停止させることにより、精算動作を無効化する。また、制御部16は、表示部のガイダンスメッセージを「ICカードを近づけて下さい」から「商品を計量台の上に置いて下さい」に戻す。これにより、購入者は、表示部12に表示された販売金額を確認した後に購入を中止することができる。また、購入を中止した後に、他の購入者が計量販売システム1を通常通り使用することができる。
【0054】
<4.その他>
上記のように、この計量販売システム1では、本体部10において商品を計量し、その計量値に基づいて販売金額を算出する。そして、算出された販売金額を精算部20へ転送し、精算部20において電子マネーによる精算を行う。このため、現金の授受、現金の計数、釣り銭の返却等の作業が不要となり、計量販売における作業負担が軽減する。また、現金を扱うことなく計量販売作業が完了するため、商品の衛生状態も向上する。また、第2のモードでは、本体部10の動作状態に応じて精算部20の精算動作が自動的に能動化および無効化される。このため、精算部20の精算動作が適時に能動化および無効化され、計量販売作業が簡易化するとともに誤精算を防止することができる。
【0055】
なお、本発明は、上記の例に限定されるものではない。例えば、上記の精算部20は、リーダライタ部21と制御ボックス22とに分離していたが、これらを一体的に構成してもよい。また、上記のアンテナ部21aは、ICカードとの間で通信を行うものであったが、電子マネー情報を保持しているICカード以外の媒体との間で通信を行うものであってもよい。例えば、アンテナ部21aは、電子マネー情報を保持した携帯電話機との間で通信を行うものであってもよい。
【0056】
また、計量販売システム1にICカード内の残高情報を照会する機能を付加してもよい。例えば、第2のモードの作業画面上に残高照会キーを設け、購入者が残高照会キーに触れることにより、残高照会処理を能動化させる構成とすればよい。残高照会処理が能動化されると、精算部20のリーダライタ部21は待機状態となり、購入者のICカードがリーダライタ部21に近づけられると、リーダライタ部21がICカードに保持されている残高情報を読み取る。精算部20は、読み取った残高情報を本体部10へ転送し、本体部10の表示部12に残高情報を表示する。このようにすれば、購入者は、精算前にICカード内の残高情報を確認することができる。また、このような残高照会キーを設けなくとも、図7のように「商品を計量台の上に置いて下さい」のガイダンスメッセージが表示されているときにリーダライタ部21を待機状態にしておき、ICカードをリーダライタ部21に近づけるとICカード内の残高情報が自動的に読み取られて表示部12に表示されるように構成してもよい。
【0057】
また、上記の計量販売システム1は、任意の量に計量される商品を販売するためのシステムであったが、このような商品だけでなく、定額商品も販売できるように構成されていてもよい。例えば、図8に示したように、第2のモードの作業画面に定額商品(例えば「ご飯大」、「ご飯小」、「みそ汁」等)を選択するためのキーK4を設け、購入者がキーK4に触れることにより、定額商品を選択できる構成とすればよい。また、本体部10にバーコードリーダを設け、ペットボトルや缶飲料等の定額商品に付されているバーコードをバーコードリーダにより読みとることにより、定額商品を指定できる構成としてもよい。上記のキーK4やバーコードリーダにより商品が指定されると、指定された商品の販売金額の情報が精算部20へ送信され、精算部20において電子マネーによる精算を行う。
【0058】
また、上記の計量販売システム1は、電子マネーによる精算処理のみを行うものであったが、電子マネーによる精算処理と、現金の授受による精算処理とを、選択的に実行できる構成であってもよい。例えば、図9に示したように、電子マネーによる精算結果を印字するためのレシートを格納した第1のカセットC1と、現金の授受による精算結果を印字するためのレシートを格納した第2のカセットC2とを用意し、これらを選択的に出力部14にセットして使用するようにしてもよい。また、第1のカセットC1を出力部14にセットしたときに、本体部10と精算部20との間の通信が能動化されるように通信部15を制御してもよい。
【0059】
また、計量販売システム1は、精算部20から本体部10に転送された精算結果を、制御部16において記憶・集計できるように構成されていてもよい。また、精算時刻、販売商品、販売金額等の精算結果の他に、購入者の性別や年齢等の付随情報を、制御部16において記憶・集計できるように構成されていてもよい。このようにすれば、これらの情報を営業情報として利用することができる。
【0060】
また、上記の第2のモードでは、取り扱う商品は1種類であるものとしたが、第2のモードにおいても、複数の商品を選択できるように構成してもよい。例えば、第2のモード用の作業画面において、表示部に商品を選択するための選択キーを表示し、購入者が選択キーを操作することによって商品の情報を呼び出す構成にしてもよい。また、計量台11a上に商品とともに載置される容器(風袋)に商品の単価等の情報を記憶させたRFIDタグを取り付け、本体部10側に設けられた所定のセンサによりRFIDタグの情報を読み取って商品の単価を自動的に認識できるように構成してもよい。
【0061】
また、上記の第2のモードでは、レシートは発行されなかったが、購入者の操作により、または、精算処理の終了後自動的に、出力部14からレシートが発行されるように構成してもよい。また、上記の構成では、印字キーはキー操作部13に配置されていたが、印字キーも表示部12上に表示させるように構成してもよい。また、表示部12上に表示されるモード切り替えキーK1や作業画面の表示態様は、図4、図5、図7の例に限定されるものではなく、他の表示態様であってもよい。
【0062】
また、上記の第2のモードにおいて、購入者が商品を計量台11aから取り上げた後、表示部12のガイダンスメッセージが「商品を計量台の上に置いてください」に切り替わるまでの時間を任意に設定できるようにしてもよい。このようにすれば、多数の購入者が来店しているときには切り替え時間を短縮することができ、複数の購入者への販売効率を向上させることができる。
【0063】
本発明において計量販売の対象となる商品は、例えば精肉や鮮魚などの生鮮食品であるが、このような生鮮食品に限定されるものではなく、計量可能な商品一般が対象となる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】計量販売システムの斜視図である。
【図2】計量販売システムにおける各部の接続関係を示したブロック図である。
【図3】第1のモードにおける計量販売作業の流れを示したフローチャートである。
【図4】モード切り替えキーが表示された表示部を示した図である。
【図5】第1のモード用の作業画面が表示された表示部を示した図である。
【図6】第2のモードにおける計量販売作業の流れを示したフローチャートである。
【図7】第2のモード用の作業画面が表示された表示部を示した図である。
【図8】定額商品を選択するためのキーが表示された表示部を示した図である。
【図9】出力部におけるカセットの切り替えを概念的に示した図である。
【符号の説明】
【0065】
1 計量販売システム
10 本体部(計量装置)
20 精算部(精算装置)
11 計量部
12 表示部
13 キー操作部
14 出力部
15 通信部
16 制御部
21 リーダライタ部
21a アンテナ部
22 制御ボックス
23 通信線
30 通信線
40 管理サーバ
C1,C2 カセット
K1 モード切り替えキー
K2 選択キー
K3 精算キー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品の計量販売を行う計量販売システムであって、
商品を計量する計量手段と、前記計量手段の計量値に基づいて商品の販売金額を算出する算出手段と、を有する本体部と、
前記販売金額の電子マネーによる精算を行う精算部と、
を備えることを特徴とする計量販売システム。
【請求項2】
請求項1に記載の計量販売システムであって、
前記本体部は、前記精算部の精算動作を能動化させるための指示を入力する入力手段を更に有することを特徴とする計量販売システム。
【請求項3】
請求項1に記載の計量販売システムであって、
前記本体部は、前記本体部の動作状態に応じて前記精算部の精算動作を制御する制御手段を更に有することを特徴とする計量販売システム。
【請求項4】
請求項3に記載の計量販売システムであって、
前記制御手段は、前記計量手段および前記算出手段の動作が完了し、前記販売金額が確定すると、前記精算部の精算動作を能動化させることを特徴とする計量販売システム。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の計量販売システムであって、
前記制御手段は、前記計量手段から商品が取り除かれると、前記精算部の精算動作を無効化することを特徴とする計量販売システム。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれかに記載の計量販売システムであって、
前記本体部は、前記精算部による精算結果を印字出力する出力手段を更に有することを特徴とする計量販売システム。
【請求項7】
請求項6に記載の計量販売システムであって、
前記出力手段は、電子マネーによる精算結果を印字出力する第1の出力ユニットと、現金の授受による精算結果を印字出力する第2の出力ユニットとに切り替え可能であり、
前記出力手段が前記第1の出力ユニットに切り替えられたときに、前記本体部と前記精算部との間の通信が能動化されることを特徴とする計量販売システム。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれかに記載の計量販売システムであって、
前記本体部は、前記計量販売システムを、販売者による計量作業を受け付ける第1のモードと、購入者による計量作業を受け付ける第2のモードとに切り替えるモード切替手段を更に有することを特徴とする計量販売システム。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれかに記載の計量販売システムであって、
前記本体部は、前記精算部による精算結果を集計する集計手段を更に有することを特徴とする計量販売システム。
【請求項10】
商品の計量および販売金額の算出を行う計量装置であって、
商品を計量する計量手段と、
前記計量手段の計量値に基づいて前記販売金額を算出する算出手段と、
電子マネーにより精算可能な精算装置と接続することにより、前記算出手段から前記精算装置へ前記販売金額の情報を転送可能にする通信手段と、
を備えることを特徴とする計量装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−225551(P2007−225551A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−49833(P2006−49833)
【出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】