説明

記憶媒体およびこれを用いた不正媒体読み取り防止装置

【課題】記憶媒体およびこれを用いた不正媒体読み取り防止装置に関し、不正な記憶媒体の不正使用が行われないようにすることを目的とする。
【解決手段】記憶媒体7は、媒体本体7aの表面にRFIDタグ8を備え、RFIDタグ8は基材14上に形成された印刷面の破断部13に印刷で回路部が形成されている。このような構成により、記憶媒体7からRFIDタグ8を剥がすなど不正な改ざん行為により別の記憶媒体7に不正使用しようとすると回路部15が破断し、破断した後、RFIDタグ8は再使用できなくなる。これにより、不正な記憶媒体7の不正使用を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記憶媒体およびこれを用いた不正媒体読み取り防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、記憶媒体の大容量化に伴い、記憶媒体にゲームなどのソフトウェアのデータを記憶し、電子機器は記憶媒体を装着して各種のソフトウェアを取り込み、プログラムを実行していた。
【0003】
この場合、ソフトウェアが不正に記憶媒体に複製される場合もあった。このような中で、不正な記憶媒体の読み取りを防止する不正媒体読み取り防止装置を電子機器に装着する提案がなされている。
【0004】
従来の不正媒体読み取り防止装置では、記憶媒体に装着されているRFID(Radio Frequency IDentification)タグを読み取り、認証情報と照合して記憶媒体が不正なものであるか否かを判断していた。照合結果から記憶媒体が不正なものと判断された場合、電子機器による記憶媒体からのソフトウェアの読み取りを停止させていた(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】実用新案登録第3094825号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の不正媒体読み取り防止装置では、記憶媒体に貼付されているRFIDタグのタグ情報に基づいて不正なものか否かを判断していたので、正規な記憶媒体に貼付されているRFIDタグを切り取って別の不正な記憶媒体に貼付けされた場合、RFIDタグは正規のものであるので不正な記憶媒体も正規なものと判断されていた。このように、正規な記憶媒体に貼付されているRFIDタグを切り取るなど不正な改ざんが行われた場合、不正な記憶媒体の不正使用が行われてしまうといった課題があった。
【0006】
そこで本発明は、不正な記憶媒体の不正使用が行われないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために本発明の記憶媒体は、媒体本体の表面にRFIDタグを備え、RFIDタグは基材上に形成された印刷面の破断部に印刷で回路部が形成されていることを特徴とする。このような構成により、初期の目的を達成するものである。
【0008】
また、本発明の不正媒体読み取り防止装置は、記憶媒体のデータを記憶媒体読み取り部を介して入力する電子機器に備えられるものであって、上記した記憶媒体に設けられたRFIDタグを読み取るRFIDリーダ部と、RFIDリーダ部により読み取られたRFIDタグのタグ情報と認証情報とを照合し、照合が不一致の場合は記憶媒体が不正な媒体であると判断する不正判断部と、不正判断部の判断結果に基づいて媒体読み取り部を制御する制御部とを備え、制御部は、不正判断部により記憶媒体が不正な媒体であると判断された場合、記憶媒体読み取り部による記憶媒体の読み取りを停止させる構成としたことを特徴とする。このような構成により、初期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0009】
以上のように本発明の記憶媒体は、媒体本体の表面にRFIDタグを備え、RFIDタグは基材上に形成された印刷面の破断部に印刷で回路部が形成されているので、媒体本体からRFIDタグを取り外すなどの不正な改ざん行為によりRFIDタグの回路部が破断し、再使用できなくなる。これにより、不正な記憶媒体の不正使用を防止することができる。
【0010】
また、本発明の不正媒体読み取り防止装置は、記憶媒体のデータを記憶媒体読み取り部を介して入力する電子機器に備えられるものであって、上記した記憶媒体に設けられたRFIDタグを読み取るRFIDリーダ部と、RFIDリーダ部により読み取られたRFIDタグのタグ情報と認証情報とを照合し、照合が不一致の場合は記憶媒体が不正な媒体であると判断する不正判断部と、不正判断部の判断結果に基づいて媒体読み取り部を制御する制御部とを備え、制御部は、不正判断部により記憶媒体が不正な媒体であると判断された場合、記憶媒体読み取り部による記憶媒体の読み取りを停止させる構成としたので、媒体本体からRFIDタグを取り外すなどの不正な改ざん行為によりRFIDタグの回路部が破断し、RFIDタグからタグ情報を読み取れなくなる。これにより、不正判断部でタグ情報と認証情報とが不一致となるため、不正判断部は記憶媒体が不正な媒体であると判断することができる。不正判断部により記憶媒体が不正な媒体であると判断された場合、制御部は記憶媒体読み取り部によるソフトウェアなどのデータの読み取りを停止させる。これにより、電子機器による記憶媒体のデータの読み取りができなくなるので、不正な記憶媒体の不正使用を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0012】
(実施の形態)
まず、図1を参照しながら、本発明の実施の形態における電子機器について説明する。
【0013】
図1は本発明の実施の形態における電子機器1の外観斜視図である。ここでは、記録媒体からゲームなどのソフトウェアを読み取り、読み取られたソフトウェアを実行する電子機器の例について説明する。
【0014】
図1に示すように、ゲーム機、携帯端末などの電子機器1は、電子機器本体2にボタンなどの操作入力部3と、液晶表示装置から構成される表示部4と、スピーカから構成される音声出力部5と、記憶媒体を読み取る記憶媒体読み取り部6とを備えている。
【0015】
利用者は、電子機器1の記憶媒体読み取り部6に記憶媒体7を装着し、電子機器1に記憶媒体7から記憶媒体読み取り部6を介してソフトウェアを読み取らせる。これにより、利用者は電子機器1により記憶媒体7から読み取られたソフトウェアを実行することができる。
【0016】
利用者は、操作入力部3のボタンなどを操作し、表示部4の表示画面を見ながら、ゲームなどを楽しむことができる。また、音声出力部5から効果音やメッセージを聴くことができる。
【0017】
また利用者は、記憶媒体読み取り部6に装着している記憶媒体7を別の記憶媒体7に取り替えて、電子機器1で別のソフトウェアを実行することができる。
【0018】
ところで、記憶媒体7のソフトウェアが不正に複製され、この不正に複製された記憶媒体7のソフトウェアが利用される場合もあった。ソフトウェアを不正に複製した記憶媒体7が利用者に渡り使用されると、利用者は正規なソフトウェアを買わなくなり、ソフトウェアの開発元では大きな損害を被る。
【0019】
そこで、不正媒体読み取り防止装置9を電子機器1に設け、不正に複製された記憶媒体7のソフトウェアを電子機器1で利用できないようにし、これにより記憶媒体7に不正にソフトウェアを複製して使用されるのを防止する。
【0020】
すなわち、不正な改ざん行為が行われた場合に回路部が破断されるRFIDタグ8を記憶媒体7の媒体本体に貼付し、これによりRFIDタグ8の再使用ができないようにする。この再使用をできなくした記憶媒体7の詳細については後述する。
【0021】
そして、不正媒体読み取り防止装置9は、記憶媒体読み取り部6に装着されている記憶媒体7のRFIDタグ8のタグ情報を記憶媒体読み取り部6の側面に設けたアンテナ10aを介してRFIDリーダ部10で読み取り、正規な媒体であることを示す認証情報と照合することで記憶媒体7が不正な媒体であるか否かを判断する。そして、不正媒体読み取り防止装置9は記憶媒体7が不正な媒体であると判断した場合、記憶媒体読み取り部6による記憶媒体7の読み取りを停止させる。
【0022】
これにより、記憶媒体7からRFIDタグ8を取り外すなどの不正な改ざん行為が行われた場合、RFIDタグ8のタグ情報を読み取れなくなり認証情報と照合しても不一致となるので、記憶媒体7が不正な媒体であることを判断できる。不正媒体読み取り防止装置9は、記憶媒体7が不正な媒体であると判断した場合、記憶媒体読み取り部6によるソフトウェアの読み取りを停止させる。これにより、電子機器1は記憶媒体7のソフトウェアの読み取りができなくなるので、不正な記憶媒体7の不正使用を防止することができる。不正媒体読み取り防止装置9の動作の詳細については後述する。
【0023】
次に、図2〜図7を参照しながら、本発明の実施の形態におけるRFIDタグ8を含む記憶媒体7について説明する。
【0024】
図2は本発明の実施の形態における電子機器1に装着される記憶媒体7の外観斜視図、図3は同実施の形態におけるRFIDタグ8を含む記憶媒体7の上面図、図4は同実施の形態におけるRFIDタグ8の断面図、図5は同実施の形態におけるRFIDタグ8内の回路部15の構成を示す上面図、図6は図3のA−A線断面図、図7は本発明の実施の形態におけるRFIDタグ8の破断を説明する図であり、図7(a)はRFIDタグ8の回路部15の破断後の状態を示す上面図、図7(b)は破断後の回路部15を張り合わせした状態を示す上面図である。
【0025】
図2に示すように、記憶媒体7の媒体本体7aの表面にRFIDタグ8が貼付されている。このRFIDタグ8の表面には、例えばゲームの名称やキャラクタの図案などが印刷されている。
【0026】
図3に示すように、RFIDタグ8は内部にタグ情報を記憶保持した回路部15を備えている。そしてRFIDタグ8は、記憶媒体7の媒体本体7aから剥離されると、回路部15を後述する破断部13の箇所で破断するように形成されている。
【0027】
具体的には、図4に示すように、RFIDタグ8は記憶媒体7の媒体本体7aの表面に設けられている基材14上に形成される印刷面14aに回路部15を印刷により形成している。
【0028】
すなわち、基材14上に形成された印刷面14aの破断部13に印刷で回路部15が形成されている。
【0029】
基材14は、例えば薄いプラスチックシートで形成される。また、基材14は多数の破断部13を有する。また、基材14は印刷面14aと反対側に粘着剤が塗布されている接着面14bを有し、この接着面14bを、例えば記憶媒体7の媒体本体7aの表面に接着する。これにより、基材14は媒体本体7aに接着される。
【0030】
破断部13は、印刷面14aに設けられた多数の窪みに剥離層を形成した剥離部13bと、粘着剤を塗布した接着面13cで回路部15を接着する外装部13aとを備え、外装部13aは回路部15の全体を接着する。剥離部13bは、剥離層により上面に印刷した回路部15を剥離しやすくしている。
【0031】
これにより、破断部13は、外装部13aを基材14から剥離すると、剥離しやすい部分で、外装部13aは接着面13cに回路部15を接着したまま剥離する。すなわち、破断部13は、剥離部13bの上面に印刷した回路部15を基材14から剥離すると共に回路部15を破断する。これにより、RFIDタグ8のタグ回路部16およびタグアンテナ部17は破壊され、使用できなくなる。なお、修復が難しいタグ回路部16のみを破断部13で破断するようにしてもよい。
【0032】
外装部13aの印刷面13dには、例えばゲームの名称やキャラクタの図案などが印刷されている。また、外装部13aは少なくとも回路部15を覆う大きさとした。
【0033】
図5に示すように、回路部15は、タグ情報を記憶保持するタグ回路部16と、このタグ回路部16の端子a、bに電気的に接続されると共に無線信号を受信するタグアンテナ部17とを有している。回路部15は、例えば公知の有機高分子で形成されている。これにより、回路部15を塗布製膜技術により薄膜層を形成するなどして製造できることから、回路部15をインクジェットや輪転機などの印刷プロセスを利用して製造することができる。すなわち、印刷プロセスでタグ回路部16の有機薄膜トランジスタなどの回路を形成でき、基材14上の印刷面14aに回路部15を印刷により形成することができる。タグアンテナ部17は導電インクで形成される。
【0034】
このように、回路部15を印刷プロセスを用いて形成できるので生産性が高い。さらに、タグ回路部16は薄膜を複雑に重ねて形成されているので、破断した後に修復しにくい。このため、RFIDタグ8は以後の使用ができなくなり、不正使用を防止することができる。
【0035】
また、従来のタグ回路部は硬い外装でモールドされていたため破断させることが困難であったが、本実施の形態のRFIDタグ8は、印刷で回路部15を形成しているため、容易に破断させることができる。
【0036】
次に、図6、図7を参照しながら、記憶媒体7に貼付したRFIDタグ8を剥離させた場合の回路部15の破断状態について詳細に説明する。
【0037】
図6に示すように、RFIDタグ8は基材14の接着面14bで記憶媒体7の媒体本体7aに接着されている。
【0038】
また、記憶媒体7は内部に収納したソフトウェアのデータを記憶する記憶素子7b、電子機器1と接続しデータを入出力する接続部7cを有し、RFIDタグ8および媒体本体7aにより密閉されている。これにより、RFIDタグ8を破断することなく記憶素子7bのデータを改ざんすることができない。
【0039】
記憶媒体7からRFIDタグ8を剥離しようとすると外装部13aの接着面13cに回路部15が接着するため、剥離部13b上に印刷した回路部15が一緒に剥離される。剥離した後は、図7(a)に示すように、基材14の剥離部13b上の回路部15のみが剥離された状態となる。このようにして、回路部15を破断することができる。
【0040】
また、図7(b)に示すように、破断した後、基材14上に残った回路部15の部分と、外装部13aに接着した回路部15の部分とを張り合わせて修復しようとしても、タグ回路部16とタグアンテナ部17は複雑に破断されるため、修復しにくい。特に、薄膜を複雑に重ねて形成されているタグ回路部16は修復しにくい。
【0041】
このように、記憶媒体7からRFIDタグ8を剥離するなど不正な改ざん行為により別の記憶媒体7に不正使用しようとすると回路部15が破断され、破断した後、RFIDタグ8は再使用できなくなる。
【0042】
次に、図8、図9を参照しながら、電子機器1の不正媒体読み取り防止装置9を含む全体構成ついて説明する。
【0043】
図8は本発明の実施の形態におけるRFIDタグ8を含む電子機器1の構成を示す回路ブロック図、図9は同実施の形態における不正媒体読み取り防止装置9の動作を示すフローチャートである。
【0044】
図8に示すように、電子機器1は操作入力部3、表示部4、音声出力部5、記憶媒体読み取り部6を備えている。そして電子機器1は、記憶媒体読み取り部6に装着された記憶媒体7のソフトウェアを読み取り、読み取られたソフトウェアを実行する。
【0045】
また、電子機器1は不正媒体読み取り防止装置9を備えている。不正媒体読み取り防止装置9は、記憶媒体7が記憶媒体読み取り部6に読み取るべき記憶媒体7が装着されていると、不正な媒体であるか否かを判断し、不正に複製されたソフトウェアの読み取りを防止する。
【0046】
すなわち、不正媒体読み取り防止装置9は、記憶媒体7に設けられたRFIDタグ8をアンテナ10aを介して読み取るRFIDリーダ部10と、RFIDリーダ部10により読み取られたRFIDタグ8のタグ情報と記憶部(図示せず)に記憶されている認証情報11aとを照合し、照合が不一致の場合は記憶媒体7が不正な媒体であると判断する不正判断部11と、不正判断部11の判断結果に基づいて記憶媒体読み取り部6を制御する制御部12とを備え、制御部12は、不正判断部11により記憶媒体7が不正な媒体であると判断された場合、記憶媒体読み取り部6による記憶媒体7のデータの読み取りを停止させる。タグ情報、認証情報11aとして、ソフトウェアの製造番号(シリアル番号)、正規な販売店に付与される店番号、パスワード、暗号化キー情報など、記憶媒体7が正規な媒体であることを特定するための認証情報11aを使用する。
【0047】
これにより、記憶媒体7が電子機器1に装着されたとき、不正媒体読み取り防止装置9はRFIDタグ8のタグ情報を読み取り、タグ情報と認証情報11aとを照合し、照合が不一致の場合に記憶媒体7が不正な媒体であると判断する。
【0048】
第三者によりRFIDタグ8をある目的をもって記憶媒体7から剥がすなど不正な改ざん行為により別の不正な記憶媒体7に不正使用しようとすると回路部15(図6)が破断され、タグ情報を読み取ることができなくなる。これにより不正媒体読み取り防止装置9はRFIDタグ8からのタグ情報を取得できなくなり、認証情報11aとの照合が不一致となるため記憶媒体7を不正な媒体であると判断することができる。そして、不正媒体読み取り防止装置9は、制御部12により記憶媒体読み取り部6による記憶媒体7のソフトウェアの読み取りを停止させる。これにより電子機器1は記憶媒体7のソフトウェアを読み取れなくなる。
【0049】
なお、RFIDタグ8のタグ情報としてプログラムの起動情報を含み、電子機器1でプログラムを起動させるごとに不正判断部11によりRFIDタグ8の起動情報を判断するようにしてもよい。さらに、起動情報を複数に分割し、各認証情報11aと組み合わせてもよい。これにより、RFIDタグ8のタグ情報を解読しにくくすることができる。
【0050】
次に、図8、図9を参照しながら、不正媒体読み取り防止装置9の動作について説明する。
【0051】
図9に示すように、不正媒体読み取り防止装置9は、電子機器1の電源がONされると、記憶媒体読み取り部6に読み取るべき記憶媒体7が装着されているか否かを検出する(S100、S102)。
【0052】
不正媒体読み取り防止装置9は、記憶媒体読み取り部6に読み取るべき記憶媒体7がある場合、RFIDリーダ部10により、RFIDタグ8と交信を開始する。RFIDリーダ部10はアンテナ10aを介して質問信号をRFIDタグ8に送信し、RFIDタグ8からの応答信号をアンテナ10aで受信し、後述するように復調してRFIDタグ8のタグ情報を読み取る(S104)。RFIDリーダ部10は、読み取りして得たRFIDタグ8のタグ情報をメモリ37に記憶する。
【0053】
具体的には、図8に示すように、まずRFIDリーダ部10は、RFIDタグ8の回路部15に、例えば「認証コードは存在するか?」という問い合わせを行う。
【0054】
次にこの問い合わせは、変調回路32により、送信回路33、サーキュレータ34、アンテナ10aを介してRFIDタグ8に向けて出力される。RFIDタグ8は、タグアンテナ部17で質問信号(無線信号)を受信すると共に受信した無線信号から生成した電力をダイオード20で整流し、直流電圧(以下、「DC電圧」と記す)を生成する。このDC電圧をコンデンサ21に充電すると共にこのDC電圧をタグ回路部16に供給し、タグ回路部16を起動する。これによって、タグ回路部16の復調回路22、制御回路23、メモリ24、変調回路25が起動する。このように、RFIDタグ8は電池などの電源を搭載していなくてもタグ回路部16を動作させることができる。
【0055】
次に、制御回路23からの指示で復調回路22は、受信した無線信号から上記「認証コードは存在するか?」という問い合わせを復調する。
【0056】
また、制御回路23は、上記復調回路22への指示と同時にメモリ24に記憶保持しているタグ情報である認証情報を読み出している。
【0057】
メモリ24に記憶保持されているタグ情報が「認証コードABC」であった場合には、制御回路23は、その問い合わせに対して「認証コードABC」が存在することを、変調回路25を介してスイッチ26をON、OFFさせて応答する。
【0058】
すなわち、スイッチ26がONすれば、タグアンテナ部17の端子aと端子bとが短絡され、スイッチ26がOFFされれば、タグアンテナ部17の端子aと端子bとが開放される。これによって、RFIDリーダ部10から送信された電波を反射するか否かをタグ情報(認証情報)に応じて制御し、そのタグ情報の内容を伝達することができる。すなわち、タグ情報の「1」と「0」に対応させてスイッチ26をONまたはOFFさせ、このスイッチ26のON、OFFの繰り返しパターンにより、タグアンテナ部17からRFIDリーダ部10に応答出力し、「認証コードABC」が存在することが報告される。例えば、タグ情報が「1」のときはスイッチ26をONにし、タグ情報が「0」のときはスイッチ26をOFFにする。なお、回路部15はタグアンテナ部17の端子aと端子bを開放させたときに、反射が起きないようにインピーダンスをマッチングさせるコンデンサ27を有している。
【0059】
RFIDリーダ部10は、アンテナ10a、サーキュレータ34を介して受信回路35で応答信号を受信し、復調回路36に伝達する。そして、制御回路31は復調した信号により、「認証コードABC」の存在を確認し、メモリ37に一時記憶する。そして、不正媒体読み取り防止装置9の制御部12に認証コードを取得したことを通知する。
【0060】
不正媒体読み取り防止装置9の制御部12は、制御回路31からの通知を受信した後、メモリ37からRFIDタグ8のタグ情報(認証コードABC)を取得し、取得した後、メモリ37をクリアする。そして、制御部12は不正判断部11にタグ情報(認証コードABC)を出力する。
【0061】
図9に戻り、不正判断部11は、制御部12から取得したRFIDタグ8のタグ情報(認証コードABC)と予め記憶部(図示せず)に記憶してある認証情報11aとを比較、照合する(S106)。
【0062】
その結果、不正判断部11は照合が一致(YES)すれば、記憶媒体7が正規の媒体であると判断する(S108)。この場合、不正判断部11は制御部12に正規な媒体であることの判断結果を出力し、制御部12はこの判断結果により記憶媒体読み取り部6に読み取り許可の信号を送り、記憶媒体読み取り部6は記憶媒体7のソフトウェアを読み取る(S110)。これにより、電子機器1は記憶媒体7のソフトウェアを読み取ることができる。
【0063】
一方、不正判断部11で照合が一致しない(NO)場合、不正判断部11は記憶媒体7が不正な媒体であると判断する。この場合、不正判断部11は制御部12に不正な媒体であることの判断結果を出力し、制御部12はこの判断結果により記憶媒体読み取り部6に読み取り不許可の信号を送り、記憶媒体読み取り部6による記憶媒体7のソフトウェアの読み取りを停止させる(S112)。これにより、電子機器1は記憶媒体7のソフトウェアを読み取ることができない。
【0064】
また、RFIDリーダ部10は、所定の時間(例えば、10秒)を計測し、所定の時間が経過してもRFIDタグ8のタグ情報を読み取ることができない場合、メモリ37をクリア(例えば、認証コードが「0000」)状態にしたまま制御部12に通知する。これにより、不正判断部11でのタグ情報(認証コードABC)と認証情報11aとの照合が不一致(NO)となることから、不正判断部11は記憶媒体7が不正な媒体であると判断する。すなわち、記憶媒体7の媒体本体7aからRFIDタグ8を取り外す(剥がす)などの不正な改ざん行為が行われた場合、RFIDタグ8の回路部15が破断され、これによりタグ情報を読めなくし、タグ情報(認証コードABC)と認証情報11aとが不一致となるようにする。これにより、不正判断部11は制御部12に不正な媒体であることの判断結果を出力し、制御部12はこの判断結果により記憶媒体読み取り部6に読み取り不許可の信号を送り、記憶媒体読み取り部6による記憶媒体7のソフトウェアの読み取りを停止させる。
【0065】
なお図8において、RFIDリーダ部10は、変調、同期を行うためのクロック回路38と、各回路にDC電圧を供給するための電源回路39とを備えている。電源回路39は、例えば電池などから構成される。また、電源回路39に代えて、電子機器1の内部に備えている電源を用いてもよい。
【0066】
以上述べたように本実施の形態によれば、記憶媒体7は、媒体本体7aの表面にRFIDタグ8を備え、RFIDタグ8は基材14上に印刷面14aを形成し、形成された印刷面14aの破断部13に印刷で回路部15が形成されている。このような構成により、記憶媒体7の媒体本体7aの表面からRFIDタグ8を剥がすなど不正な改ざん行為により別の記憶媒体7を不正使用しようとした場合、回路部15が破断し、破断した後、RFIDタグ8は再使用できなくなる。これにより、不正な記憶媒体7の不正使用を防止することができる。
【0067】
また、不正媒体読み取り防止装置9は、記憶媒体7のデータを記憶媒体読み取り部6を介して入力する電子機器1に備えられるものであって、上記した記憶媒体7に設けられたRFIDタグ8を読み取るRFIDリーダ部10と、RFIDリーダ部10により読み取られたRFIDタグ8のタグ情報と認証情報11aとを照合し、照合が不一致の場合は記憶媒体7が不正な媒体であると判断する不正判断部11と、不正判断部11の判断結果に基づいて記憶媒体読み取り部6を制御する制御部12とを備え、制御部12は、不正判断部11により記憶媒体7が不正な媒体であると判断された場合、記憶媒体読み取り部6による記憶媒体7の読み取りを停止させる構成とした。このような構成により、記憶媒体7からRFIDタグ8を剥がすなど不正な改ざん行為により回路部15が破断し、再使用できなくなる。このため、RFIDタグ8からタグ情報を読み取れなくすることができ、これにより不正判断部11でRFIDタグ8のタグ情報と認証情報11aとの照合が不一致となるため、不正判断部11は記憶媒体7が不正な媒体であると判断することができる。不正判断部11で記憶媒体7が不正な媒体であると判断された場合、制御部12は記憶媒体読み取り部6によるソフトウェア(データ)の読み取りを停止させ、これにより電子機器1は記憶媒体7のソフトウェアの読み取りができなくなる。これにより、第三者により不正に複製された記憶媒体7の不正使用を防止することができる。
【0068】
なお、図2において、RFIDタグ8で記憶媒体7の媒体本体7aの一つの面を覆うようにしたが、これに限定されない。例えば、RFIDタグ8で媒体本体7aの全体の面を覆うようにしてもよい。RFIDタグ8の回路部15は印刷で形成できるので、記憶媒体7における図案を含むデザインとして前面に印刷してもよい。これにより、媒体本体7aの表面の一部に第三者が孔を開けて記憶素子7bの改ざん行為を行う場合であってもRFIDタグ8が破断され、これにより不正な改ざんを防止することができる。
【0069】
また、本実施の形態では、記憶媒体7がカートリッジである例を説明したが、これに限定されない。例えば、ディスクでもよい。RFIDタグ8は印刷により形成できるので、各種のディスク、すなわちCD、DVD、ブルーレイディスクなどのラベル印刷面に適用することができる。CD、DVD、ブルーレイディスクにRFIDタグ8が印刷により形成された場合には、不正に複製したCD、DVD、ブルーレイディスクは電子機器1で読み取ることができなくなる。これにより、上記と同様の効果を奏し、第三者により不正に複製したCD、DVD、ブルーレイディスクの不正使用を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
以上のように本発明は、記憶媒体の本体の表面にRFIDタグを備え、RFIDタグは基材上に印刷面を形成し、形成された印刷面の破断部に印刷で回路部が形成されているので、記憶媒体からRFIDタグを剥がすなどの不正な改ざん行為によりRFIDタグの回路部が破断し、再使用できなくなる。このため、RFIDタグからタグ情報を読み取れなくなり、これによりRFIDタグのタグ情報と認証情報とを照合すれば照合不一致となるため、記憶媒体が不正な媒体であることを判断でき、電子機器による記憶媒体の読み取りを停止させることが可能となる。これにより、電子機器は記憶媒体からソフトウェアの読み取りができなくなるので、不正な記憶媒体の不正使用を防止することができる。
【0071】
したがって、不正な記憶媒体の不正使用が行われないようにすることを可能とする記憶媒体およびこれを用いた不正媒体読み取り防止装置、電子機器などに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施の形態における電子機器の外観斜視図
【図2】同実施の形態における電子機器に装着される記憶媒体の外観斜視図
【図3】同実施の形態におけるRFIDタグを含む記憶媒体の上面図
【図4】同実施の形態におけるRFIDタグの断面図
【図5】同実施の形態におけるRFIDタグ内の回路部の構成を示す上面図
【図6】図3のA−A線断面図
【図7】(a)は本発明の実施の形態におけるRFIDタグの回路部の破断後の状態を示す上面図、(b)は破断後の回路部を張り合わせした状態を示す上面図
【図8】同実施の形態におけるRFIDタグを含む電子機器の構成を示す回路ブロック図
【図9】同実施の形態における不正媒体読み取り防止装置の動作を示すフローチャート
【符号の説明】
【0073】
1 電子機器
2 電子機器本体
3 操作入力部
4 表示部
5 音声出力部
6 記憶媒体読み取り部
7 記憶媒体
7a 媒体本体
7b 記憶素子
7c 接続部
8 RFIDタグ
9 不正媒体読み取り防止装置
10 RFIDリーダ部
10a アンテナ
11 不正判断部
11a 認証情報
12 制御部
13 破断部
13a 外装部
13b 剥離部
13c,14b 接着面
13d,14a 印刷面
14 基材
15 回路部
16 タグ回路部
17 タグアンテナ部
20 ダイオード
21,27 コンデンサ
22,36 復調回路
23,31 制御回路
24,37 メモリ
25,32 変調回路
26 スイッチ
33 送信回路
34 サーキュレータ
35 受信回路
38 クロック回路
39 電源回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体本体の表面にRFIDタグを備え、前記RFIDタグは基材上に形成された印刷面の破断部に印刷で回路部が形成されていることを特徴とする記憶媒体。
【請求項2】
前記回路部は、タグ情報を記憶保持するタグ回路部と、このタグ回路部に電気的に接続されると共に無線信号を受信するタグアンテナ部とを有し、
前記破断部は、少なくとも前記タグ回路部を破断するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の記憶媒体。
【請求項3】
前記破断部は、前記印刷面に設けられた多数の窪みに剥離層を形成した剥離部と、粘着剤を塗布した接着面で前記回路部を接着する外装部とを備え、
前記外装部により前記剥離部の上面に印刷された前記回路部を剥離すると共に破断することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の記憶媒体。
【請求項4】
記憶媒体のデータを記憶媒体読み取り部を介して入力する電子機器に備えられる不正媒体読み取り防止装置であって、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の記憶媒体に設けられたRFIDタグを読み取るRFIDリーダ部と、
前記RFIDリーダ部により読み取られた前記RFIDタグのタグ情報と認証情報とを照合し、照合が不一致の場合は前記記憶媒体が不正な媒体であると判断する不正判断部と、
前記不正判断部の判断結果に基づいて前記記憶媒体読み取り部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記不正判断部により前記記憶媒体が不正な媒体であると判断された場合、前記記憶媒体読み取り部による前記記憶媒体の読み取りを停止させる構成としたことを特徴とする不正媒体読み取り防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−182217(P2010−182217A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−26907(P2009−26907)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】