説明

記憶素子、メモリ回路、半導体集積回路

【解決手段】第1の可変抵抗(5)は、第1の端子(7)と第3の端子(9)との間に接続され、第1の端子(7)と第3の端子(9)との間に印加されるパルス電圧の極性に応じてその抵抗値を増加/減少させる。第2の可変抵抗(6)は、第3の端子(9)と第2の端子(8)との間に接続され、第3の端子(9)と第2の端子(8)との間に印加されるパルス電圧の極性に応じてその抵抗値を増加/減少させる。第1の端子(7)と第3の端子(9)との間および第3の端子(9)と第2の端子(8)との間に所定のパルス電圧を印加して第1および第2の可変抵抗(5,6)の抵抗値を可逆的に変化させることにより1ビットあるいは多ビットの情報を記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、与えられる電気的パルスに応じてその抵抗値が変化する材料を用いた記憶素子、メモリ回路、半導体集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器におけるデジタル技術の進展に伴い、画像などのデータを保存するために、不揮発性メモリ素子の要望が大きくなってきており、さらに記憶素子の大容量化、書き込み電力の低減、書き込み/読み出し時間の高速化、長寿命化の要求がますます高まりつつある。現在、不揮発性メモリ素子としては半導体トランジスタのゲート部分に浮遊ゲートを設け、その浮遊ゲート内に電子を注入するメカニズムを用いて不揮発性を実現したフラッシュメモリが実用化され、デジタルカメラやパーソナルコンピュータの外部記憶素子として多く用いられている。
【0003】
しかしながらフラッシュメモリは、書き込み電力が大きい、書き込み時間が長い、書き換え寿命が短い、大容量化(素子の微細化)が困難等の多くの課題を有している。そのため、現在これらフラッシュメモリの課題を解決すべく、強誘電体を用いた半導体メモリ(FeRAM)、TMR(トンネルMR)材料を用いた半導体メモリ(MRAM)、相変化材料を用いた半導体メモリ(OUM)等の新規な不揮発性記憶素子の開発が盛んに行われている。ところがこれらの記憶素子も、FeRAMに関しては素子の微細化が困難、MRAMに関しては書き込み電力が高い、OUMに関しては書き換え寿命が短い等の課題を有しており、不揮発性の個体記憶素子に対する要望をすべて満たす記憶素子がないのが現状である。さらに、それらを克服するための新しい記録方法としてパルス電圧によりペロブスカイト構造酸化物の抵抗値を変化させる手法がヒューストン大学により開発された(米国特許第6,204,139号公報)が、メモリ素子としての安定な動作および製造歩留まりに大きな課題を有するのが現状である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明の1つの局面に従うと、記憶素子は第1の可変抵抗と第2の可変抵抗とを備える。第1および第2の可変抵抗は、第1の端子と第2の端子との間に直列に接続される。第1の可変抵抗は、第1の端子と第3の端子との間に接続され、第1の端子と第3の端子との間に印加されるパルス電圧の極性に応じてその抵抗値を増加/減少させる。第2の可変抵抗は、第3の端子と第2の端子との間に接続され、第3の端子と第2の端子との間に印加されるパルス電圧の極性に応じてその抵抗値を増加/減少させる。
【0005】
上記記憶素子では、第1の端子と第3の端子との間および第3の端子と第2の端子との間に所定のパルス電圧を印加して第1および第2の可変抵抗の抵抗値を可逆的に変化させることにより1ビットあるいは多ビットの情報を記録する。
【0006】
一方、第1の端子に第1の電位を与えかつ第2の端子に第2の電位を与えた状態において第3の端子の電圧を出力することで1ビットあるいは多ビットの情報を再生する。
【0007】
この発明のもう1つの局面に従うと、記憶素子は、与えられる電気的パルスに応じてその抵抗値が変化する材料(可変抵抗材料)を用いて次のように構成されている。
【0008】
ソース,ドレイン,およびゲートを有するトランジスタが半導体基板上に形成されている。トランジスタの上部に保護絶縁膜が形成されている。保護絶縁膜の上部に導電膜が形成されている。可変抵抗材料によって構成された可変抵抗膜が導電膜の上部に形成されている。可変抵抗膜の上部に2つの電極が形成されている。トランジスタのドレインおよびソースのうちいずれか一方と導電膜とを電気的に接続するコンタクトプラグが設けられている。
【0009】
上記記憶素子では、電極と導電膜との間に電気的パルスが印加されると、可変抵抗膜のうち電極の直下に存在する領域(可変抵抗部)の抵抗値が変化する。これにより、可変抵抗部は複数の抵抗状態を有する。この複数の抵抗状態の各々に数値を対応づければ、1ビットあるいは多ビットの情報を記憶することができる。また、トランジスタがスイッチの役割を果たすので、メモリセルとして用いることができる。
【0010】
上記記憶素子によれば、従来の不揮発性固体記憶素子で課題となっていた、書き込み電力が高い,書き込み時間が長い,書き換え寿命が短い,大容量化(素子の微細化)が困難等の多くの課題を解決することができる不揮発性固体記憶素子を実現することができる。
【0011】
この発明のさらにもう1つの局面に従うと、メモリ回路は、第1のメモリブロックと、第2のメモリブロックと、第1のブロック選択トランジスタとを備える。第1のメモリブロックは、第1のノードと第2のノードとの間に接続される。第1のブロック選択トランジスタは、第1のノードと第2のノードとの間に第1のメモリブロックと直列に接続される。第2のメモリブロックは、第1のメモリブロックと第1のブロック選択トランジスタとの相互接続ノードと第3のノードとの間に接続される。第1および第2のメモリブロックの各々は、直列に接続された複数のメモリセルを含む。複数のメモリセルの各々は可変抵抗とトランジスタとを含む。可変抵抗は、第1の端子と第2の端子との間に接続されかつ当該第1の端子と当該第2の端子との間に与えられる電気的パルスに応答して抵抗値が変化する。トランジスタは、第1の端子と第2の端子との間に可変抵抗と並列に接続される。
【0012】
この発明のさらにもう1つの局面に従うと、メモリ回路は、第1のメモリブロックと、第1のブロック選択トランジスタと、第2のメモリブロックと、第2のブロック選択トランジスタとを備える。第1のメモリブロックは、第1のノードと第2のノードとの間に接続される。第1のブロック選択トランジスタは、第1のノードと第2のノードとの間に第1のメモリブロックと直列に接続される。第2のメモリブロックは、第2のノードと第3のノードとの間に接続される。第2のブロック選択トランジスタは、第2のノードと第3のノードとの間に第2のメモリブロックと直列に接続される。第1および第2のメモリブロックの各々は、直列に接続された複数のメモリセルを含む。複数のメモリセルの各々は可変抵抗とトランジスタとを含む。可変抵抗は、第1の端子と第2の端子との間に接続されかつ当該第1の端子と当該第2の端子との間に与えられる電気的パルスに応答して抵抗値が変化する。トランジスタは、第1の端子と第2の端子との間に可変抵抗と並列に接続される。
【0013】
上記メモリ回路によれば、半導体の微細化が進んでもクロスポイント型の記憶素子に比べて記録再生のエラーが少ないメモリ回路の実現が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、この発明の実施形態を図面を参照して詳しく説明する。なお、図面において同一または相当する部分には同じ参照符号を付してその説明は繰り返さない。
【0015】
<可変抵抗体の基本構成および基本特性>
まず、本発明の実施形態において用いられる可変抵抗体の基本構成および基本特性について説明する。
【0016】
本実施形態において用いられる可変抵抗体は、与えられる電気的パルスの極性の応じてその抵抗値を増加/減少させる特性を有するものである。その基本構成を図1に示す。この可変抵抗体では、基板4上に電極3が設けられ、電極3上に抵抗変化材料2が製膜され、抵抗変化材料2の上に電極1が設られている。ここでは基板4としてSiを用い、電極3としてPtを用い、抵抗変化材料2としてPr0.7Ca0.3MnO3(PCMO)からなるCMR材料を用い、電極1としてAgを用いた。PCMO材料は、印加されるパルス電圧(ここでは電極1,3間に与えられるパルス電圧)のパルス数に依存して抵抗値が変化(増加/減少)し、その変化の方向が印加電圧の極性(ここでは電極1,3間に与えられるパルス電圧の極性)により異なるという特性を有することが米国特許第6,204,139号公報に報告されているが、その初期状態に関しては明記されていない。そこで我々は、基板温度700℃でスパッタ形成したPCMO材料2に異なる極性のパルス電圧を印加した時の抵抗変化のパルス数依存性を調べた。図2にその結果を示す。
【0017】
図2(a)は、成膜後のPCMO材料2の表面にまず−極性のパルス電圧(電圧:−4V、パルス幅:10ns)を印加(電極1が−極性、電極3が+極性となるようにパルス電圧を印加)したときの抵抗の変化を示す。PCMO材料2のうち電極1の直下に存在する領域(可変抵抗部)2aは、成膜後(与えられたパルス電圧の数が0の状態)には約30kΩの高い抵抗値Rを示していたがパルス数の増加にしたがい抵抗値Rは減少していき、約29パルス後に約100Ωまで低下した。その後、極性を反転させ+極性のパルス電圧(電圧:+4V、パルス幅:10ns)を印加(電極1が+極性、電極3が−極性となるようにパルス電圧を印加)すると抵抗値Rは増加していき、39パルス目に9kΩまで増加した。その後、再び極性を反転させ、−極性のパルス電圧(電圧:−4V、パルス幅:10ns)を印加(電極1が−極性、電極3が+極性となるようにパルス電圧を印加)すると抵抗値Rは再び減少していく傾向を示した。したがって、図2(a)に示したようなプロセスによって抵抗値Rの初期値が100Ωまたは9kΩに設定された可変抵抗体αは、図3(a)に示すように、膜表面(電極1)に+極性のパルス電圧を印加することにより抵抗値Rが増加し、−極性のパルス電圧を印加することにより抵抗値Rが減少する特性を有する。なお、抵抗値Rが9kΩの状態において+極性のパルス電圧が膜表面(電極1)に印加されたときには抵抗値Rはそれ以上は増加せず、抵抗値Rが100Ωの状態において−極性のパルス電圧が膜表面(電極1)に印加されたときには抵抗値Rはそれ以上は減少しない。
【0018】
また、図2(b)は、成膜後のPCMO材料2の表面にまず+極性のパルス電圧(電圧:+4V、パルス幅:10ns)を印加(電極1が+極性、電極3が−極性となるようにパルス電圧を印加)した時の抵抗の変化を示す。PCMO材料2のうち電極1の直下に存在する領域(可変抵抗部)2aは、成膜後(与えられたパルス電圧の数が0の状態)には約30kΩの高い抵抗値Rを示していたがパルス数の増加にしたがい抵抗値Rは減少していき、約29パルス後に約100Ωまで低下した。その後、極性を反転させ−極性のパルス電圧(電圧:−4V、パルス幅:10ns)を印加(電極1が−極性、電極3が+極性となるようにパルス電圧を印加)すると抵抗値Rは増加していき、39パルス目に9kΩまで増加した。その後、再び極性を反転させ、+極性のパルス電圧(電圧:+4V、パルス幅:10ns)を印加(電極1が+極性、電極3が−極性となるようにパルス電圧を印加)すると抵抗値Rは再び減少していく傾向を示した。したがって、図2(b)に示したようなプロセスによって抵抗値の初期値が100Ωまたは9kΩに設定された可変抵抗体βは、図3(b)に示すように、膜表面(電極1)に−極性のパルス電圧を印加することにより抵抗値Rが増加し、+極性のパルス電圧を印加することにより抵抗値Rが減少する特性を有する。なお、抵抗値Rが9kΩの状態において−極性のパルス電圧が膜表面(電極1)に印加されたときには抵抗値Rはそれ以上は増加せず、抵抗値Rが100Ωの状態において+極性のパルス電圧が膜表面(電極1)に印加されたときには抵抗値Rはそれ以上は減少しない。
【0019】
本実施例ではパルス電圧の極性を、便宜上、PCMO材料2の膜表面(電極1)に与えられる電圧の極性と定義して説明した。しかしながら回路図で説明する場合は材料の表裏の定義は意味を持たない。それゆえ、ここで使用した可変抵抗体を図3に示すような回路記号で表記すると、可変抵抗体αの特性も可変抵抗体βの特性も同時に説明できることになる。すなわち、可変抵抗体を表す回路記号を、矢印の先端に+極性のパルス電圧が印加されると抵抗値が増加し、矢印の先端に−極性のパルス電圧が印加されると抵抗値が減少する特性を有すると定義する。このように定義すると可変抵抗体αも可変抵抗体βも全く同じ記号で説明することができる。したがって、本明細書では図3に示した記号で可変抵抗体を表すことにする。
【0020】
(第1の実施形態)
<記憶素子の構成>
本発明の第1の実施形態による記憶素子の構成を図4(a)に示す。この記憶素子では、与えられる電気的パルスの極性に応じて抵抗値が変化する可変抵抗5および6が電源端子7と電源端子8との間に直列に接続されている。可変抵抗5と可変抵抗6との相互接続ノードに入出力端子9が接続されている。可変抵抗5は、図2および図3を参照して説明した初期化プロセスによって初期の抵抗値が100Ωに設定されており、入出力端子9と電源端子7との間に入出力端子9が+極性となるパルス電圧が与えられると抵抗値が増加し入出力端子9が−極性となるパルス電圧が与えられると抵抗値が減少する。可変抵抗6は、図2および図3を参照して説明した初期化プロセスによって初期の抵抗値が9kΩに設定されており、電源足し8と入出力端子9との間に電源端子8が+極性となるパルス電圧が与えられると抵抗値が増加し電源端子8が−極性となるパルス電圧が与えられると抵抗値が減少する。
【0021】
<記憶素子への情報の記録>
この記憶素子に情報を記録する際には、図4(a)に示すように、電源端子7および8に設置電圧GNDを与えた状態で入出力端子9に記録パルス電圧(電圧:+4V、パルス幅:10ns)を印加する。この場合、可変抵抗5の矢印の先端(入出力端子9)には+極性のパルス電圧が印加され、可変抵抗6の矢印の先端(電源端子8)には−極性のパルス電圧が印加される。その結果、図4(b)に示すように、印可されるパルス数の増加にしたがい可変抵抗5の抵抗値Rは増加し可変抵抗6の抵抗値Rは減少していく。このようにパルス電圧を印加することにより2つの可変抵抗体5,6の抵抗値Rを初期値と逆方向に変化させることで情報の記録を行うことができる。この場合、印加されるパルス数が0のときを(0,0)、パルス数が1のときを(0,1)、パルス数が2のときを(1,0)、パルス数が3のときを(1,1)の状態とすると、パルス数に応じて抵抗値Rが4つの状態に変化するため、2ビットの多値情報を記録できたことになる。
【0022】
<記憶素子からの情報の再生>
抵抗変化材料2(図1)は、印加される電圧の絶対値(振幅)が所定のレベル以下のときには可変抵抗部2aの抵抗値が変化しないという特性も有する。よって、所定のレベル以下の電圧を可変抵抗部2aに印加することによって可変抵抗部2aの抵抗値を測定することが可能である。これを利用して、図4に示した記憶素子から情報を再生する。
【0023】
図5(a)は、図4に示した記憶素子に記録された情報を再生する時の様子を示す。再生時には、電源端子7に接地電圧GNDを与え、記録パルス電圧よりも低い再生電圧(たとえば、+1V)を電源端子8に印加する。そして入出力端子9から出力電圧を取り出す。その出力電圧の様子を図5(b)に示す。出力電圧は記録時のパルス数に応じて異なる値になるため、2ビットの多値情報を再生できたことになる。
【0024】
<記録状態のリセット>
この記憶素子の記録状態をリセットする時の様子を図6(a)に示す。リセット時には、電源端子7および8に接地電圧GNDを与え、記録する時とは逆の−極性のリセットパルス電圧(電圧:−4V、パルス幅:10ns)を入出力端子9に印加する。この場合、可変抵抗5の矢印の先端(入出力端子9)には−極性のパルス電圧が印加され、可変抵抗6の矢印の先端(電源端子8)には+極性のパルス電圧が印加される。その結果、図6(b)に示すように、パルス数の増加にしたがい可変抵抗5の抵抗値Rは減少し可変抵抗6の抵抗値Rは増加する。記録時と同じ数のパルスを印加することにより、可変抵抗5および6の抵抗値Rを初期状態にリセットすることができる。
【0025】
<変形例>
図4(a)に示した記憶素子において、記録時およびリセット時に印加するパルス電圧を次のようにしてもよい。
【0026】
記憶素子に情報を記録する際には、入出力端子9に記録パルス電圧(電圧:+2V、パルス幅:10ns)を印加するとともに、この記録パルスとは逆極性のパルス電圧(電圧:−2V、パルス幅:10ns)を記録パルスに同期させて電源端子7および8に与える。この場合、可変抵抗5の矢印の先端(入出力端子9)には+極性のパルス電圧(+4V)が印加され、可変抵抗6の矢印の先端(電源端子8)には−極性のパルス電圧(−4V)が印加される。その結果、図4(b)に示したのと同様の抵抗変化が生じる。
【0027】
リセット時には、記録する時とは逆の−極性のリセットパルス電圧(電圧:−2V、パルス幅:10ns)を入出力端子9に印加するとともに、このリセットパルスとは逆極性のパルス電圧(電圧:+2V、パルス幅:10ns)をリセットパルスに同期させて電源端子7および8に与える。この場合、可変抵抗5の矢印の先端(入出力端子9)には−極性のパルス電圧(−4V)が印加され、可変抵抗6の矢印の先端(電源端子8)には+極性のパルス電圧(+4V)が印加される。その結果、図6(b)に示したのと同様の抵抗変化が生じる。
【0028】
(第2の実施形態)
<記憶素子の構成>
本発明の第2の実施形態による記憶素子の構成を図7(a)に示す。この記憶素子における可変抵抗6は、図2および図3を参照して説明した初期化プロセスによって初期の抵抗値が9kΩに設定されており、電源端子8と入出力端子9との間に電源端子8が+極性となるパルス電圧が与えられると抵抗値が減少し電源端子8が−極性となるパルス電圧が与えられると抵抗値が増加する。その他の構成は図4(a)に示したものと同様である。
【0029】
<記憶素子への情報の記録>
この記憶素子に情報を記録する際には、図7(a)に示すように、+極性の1つのパルス(電圧:+2V、パルス幅:10ns)と−極性の1つのパルス(電圧:−2V、パルス幅:10ns)とからなる記録パルス電圧を入出力端子9に印加するとともに、−極性の2つのパルス(各パルスの電圧:−2V、各パルスの幅:10ns)からなるパルス電圧を記録パルスに同期させて電源端子7に印加し、+極性の2つのパルス(各パルスの電圧:+2V、各パルスの幅:10ns)からなるパルス電圧を記録パルスに同期させて電源端子8に与える。これにより、可変抵抗5の矢印の先端(入出力端子9)には+極性のパルス電圧(+4V)が印加され、可変抵抗6の矢印の先端(電源端子8)には−極性のパルス電圧(−4V)が印加される。その結果、図7(b)に示すように、印可されるパルス数の増加にしたがい可変抵抗5の抵抗値Rは増加し可変抵抗6の抵抗値Rは減少していく。このようにパルス電圧を印加することにより2つの可変抵抗5,6の抵抗値Rを初期値と逆方向に変化させることで情報の記録を行うことができる。
【0030】
<記憶素子からの情報の再生>
第1の実施形態と同様、再生時には、電源端子7に接地電圧GNDを与え、記録パルス電圧よりも低い再生電圧(たとえば、+1V)を電源端子8に与える。そして入出力端子9から出力電圧を取り出す。この出力電圧の様子は図5(b)に示したものと同様になる。
【0031】
<記録状態のリセット>
記憶素子の記録状態をリセットする時には、+極性の1つのパルス(電圧:+2V、パルス幅:10ns)と−極性の1つのパルス(電圧:−2V、パルス幅:10ns)とからなるリセットパルス電圧を入出力端子9に印加するとともに、+極性の2つのパルス(各パルスの電圧:+2V、各パルスの幅:10ns)からなるパルス電圧をリセットパルスに同期させて電源端子7に印加し、−極性の2つのパルス(各パルスの電圧:−2V、各パルスの幅:10ns)からなるパルス電圧を記録パルスに同期させて電源端子8に与える。これにより、可変抵抗5の矢印の先端(入出力端子9)には−極性のパルス電圧(−4V)が印加され、可変抵抗6の矢印の先端(電源端子8)には+極性のパルス電圧(+4V)が印加される。その結果、図6(b)に示したのと同様に、パルス数の増加にしたがい可変抵抗5の抵抗値Rは減少し可変抵抗6の抵抗値Rは増加する。記録時と同じ数のパルスを印加することにより、可変抵抗5および6の抵抗値Rを初期状態にリセットすることができる。
【0032】
(第3の実施形態)
<メモリアレイ回路の回路構成>
第3の実施形態によるメモリアレイ回路の回路構成を図8に示す。このメモリアレイ回路は、第2の実施形態(図7)において説明した記憶素子をトランジスタ回路に組み込んで作成した例である。このメモリアレイ回路では、複数のメモリセルMC100が行方向および列方向にマトリクス状に配置されている。複数のワード線W1,W2,…が行方向に配置されている。複数のビット線B1,…が列方向に配置されている。複数のプレート線P1a,P1b,…が列方向に配置されている。なお、図8では、メモリアレイ回路に含まれている複数のメモリセルMC100のうちワード線W1,W2、ビット線B1、プレート線P1a,P1bに対応する2つのメモリセルMC100に関する部分を示している。
【0033】
メモリセルMC100は、可変抵抗5および6と、トランジスタT100とを含む。トランジスタT100および可変抵抗5は、対応するビット線B1と対応するプレート線P1aとの間に直列に接続されている。トランジスタT100のゲートは、対応するワード線W1またはW2に接続されている。可変抵抗6は、トランジスタT100と可変抵抗5との相互接続ノードと対応するプレート線P1bとの間に接続されている。なお、図7(a)に示した記憶素子と対応させて説明すると、入出力端子9はトランジスタT100のドレイン(あるいはソース)側に接続され、電源端子7はプレート線P1aに接続され、電源端子8はプレート線P1bに接続されている。また、可変抵抗5は、図2および図3を参照して説明した初期化プロセスによって初期の抵抗値が100Ωに設定されており、入出力端子9と電源端子7との間に入出力端子9が+極性となるパルス電圧が与えられると抵抗値が増加し入出力端子9が−極性となるパルス電圧が与えられると抵抗値が減少する。可変抵抗6は、図2および図3を参照して説明した初期化プロセスによって初期の抵抗値が9kΩに設定されており、入出力端子9と電源端子8との間に入出力端子9が+極性となるパルス電圧が与えられると抵抗値が増加し入出力端子9が−極性となるパルス電圧が与えられると抵抗値が減少する。
【0034】
<メモリアレイ回路の断面構造>
図8に示したメモリアレイ回路の断面構造を図9に示す。このメモリアレイ回路では次のようにして1つのメモリセルMC100が構成されている。まず。半導体基板1001上にドレイン1002aおよびソース1002bが形成され、ゲート酸化膜1003を介してゲート1004が形成されている。これによりトランジスタT100が形成されている。このトランジスタT100は保護絶縁膜1005で覆われている。保護絶縁膜1005の上に導電膜1007が形成されている。導電膜1007の上にスパッタリング法によって可変抵抗膜1008が形成されている。導電膜1007とソース1002bとがコンタクトプラグ1006によって接続されている。可変抵抗膜1008の上に2つの電極1009aおよび1009bが形成されている。このようにして1つのメモリセルMC100が構成されている。
【0035】
電極1009aと導電膜1007との間に所定のパルス電圧が印加されると、可変抵抗膜1008のうち電極1009aの直下に存在する領域(可変抵抗部1008a)の抵抗値が増加/減少する。また、電極1009bと導電膜1007との間に所定のパルス電圧が印加されると、可変抵抗膜1008のうち電極1009bの直下に存在する領域(可変抵抗部1008b)の抵抗値が増加/減少する。このメモリセルMC100では、可変抵抗部1008aおよび1008bを1つの記憶素子として利用し、可変抵抗部1008aおよび1008bの抵抗変化を用いて1ビットあるいは多ビットの情報(ビットデータ)を記憶する。
【0036】
なお、図8との対応関係を説明すると、ドレイン1002aはビット線B1に接続されている。ゲート1004はワード線W1またはW2に接続されている。コンタクトプラグ1006は入出力端子9に相当する。可変抵抗膜1008のうち電極1009aの直下に存在する領域(可変抵抗部1008a)は可変抵抗5に相当する。可変抵抗膜1008のうち電極1009bの直下に存在する領域(可変抵抗部1008b)は可変抵抗6に相当する。
【0037】
<大きさ>
保護絶縁膜1005の膜厚は、ゲート1004と導電膜1007とが電気的に接続されない程度の厚さであればよい。導電膜1007の幅は、少なくともコンタクトプラグ1006と可変抵抗部1008a,1008bとを電気的に接続することができる程度の幅であればよい。電極1009a,1009bは、導電膜1007の幅に収まる区域に形成すればよい。このようにすれば、導電膜1007と電極1009a,1009bとの間に電界を生じさせることができる。また、電極1009aと電極1009bとの距離は、電極1009aと導電膜1007との間で発生する電界が電極1009bに影響を及ぼさない程度の距離であればよい。このようにすれば、可変抵抗部1008a,1008bの各々に個別のパルス電圧を印加することができる。
【0038】
なお、本実施形態では、図9に示したメモリセルMC100の1つあたりの幅を0.28μmとし、可変抵抗膜1008の膜厚を0.05μmとし、保護絶縁膜1005の膜厚を0.4μmとし、電極1009a,1009bの幅を0.09μmとしている。また、導電膜1007の幅をメモリセルMC100の幅と同様の0.28μmとし、電極1009aと電極1009bとの距離を0.1μmとした。
【0039】
<用いた材料>
本実施形態では、可変抵抗膜1008としてPr0.7Ca0.3MnO3(PCMO)からなるCMR材料を用い、導電膜1007にはPt、電極1009a,1009bにはAgを用いた。また、基板1001にはSiを用い、ゲート酸化膜1003にはSiO2、ゲート1004にはポリSi、コンタクトプラグ1006にはW(タングステン)を用いた。
【0040】
<メモリアレイ回路の動作>
このメモリアレイ回路は、記録モード、リセットモード、再生モードを有しており、メモリセルMC100に2値もしくは多値の情報(ビットデータ)を記録する。以下、具体的に説明する。
【0041】
<記憶モード>
図8および図9に示したメモリセルMC100に情報(ビットデータ)を記憶する記憶モードについて図10(a),(b)を参照しつつ説明する。なお、可変抵抗部1008a(可変抵抗5)は、図2および図3を参照して説明した初期化プロセスによって初期の抵抗値が100Ωに設定されており、導電膜1007と電極1009aとの間に導電膜1007が+極性となるパルス電圧が与えられると抵抗値が増加し導電膜1007が−極性となるパルス電圧が与えられると抵抗値が減少する。可変抵抗部1008b(可変抵抗6)は、図2および図3を参照して説明した初期化プロセスによって初期の抵抗値が9kΩに設定されており、導電膜1007と電極1009bとの間に導電膜1007が+極性となるパルス電圧が与えられると抵抗値が増加し導電膜1007が−極性となるパルス電圧が与えられると抵抗値が減少する。
【0042】
まず、情報を記録すべきメモリセルMC100に対応する2つのプレート線に互いに同期したパルス電圧を与える。2つのプレート線の一方(ここではP1a)には−極性の2つのパルス(各パルスの電圧:−2V、各パルスの幅:10ns)からなるパルス電圧を与え、他方(ここではP1b)には+極性の2つのパルス(各パルスの電圧:+2V、各パルスの幅:10ns)からなるパルス電圧を与える。
【0043】
次に、情報を記録すべきメモリセルMC100に対応するワード線(ここではW1)に所定の電圧を印加することによってトランジスタT100を導通させる。
【0044】
次に、情報を記録すべきメモリセルMC100に対応するビット線(ここではB1)に+極性の1つのパルス(電圧:+2V、パルス幅:10ns)と−極性の1つのパルス(電圧:−2V、パルス幅:10ns)とからなるパルス電圧を2つのプレート線(P1a,P1b)に与えられるパルス電圧に同期させて与える。
【0045】
ビット線B1に印加されたパルス電圧はトランジスタT100を介して可変抵抗部1008a,1008bに印加される。可変抵抗部1008aの抵抗値Rは、印加されたパルス電圧に応じて100Ωから9kΩに増加し、可変抵抗部1008bの抵抗値Rは、印加されたパルス電圧に応じて9kΩから100Ωに減少する(図10(b)の1〜10パルス目)。
【0046】
このように、ビット線B1に印加されるパルス電圧の回数(パルス数)に応じて可変抵抗部1008a,1008bの抵抗値Rが段階的に増加/減少することにより、メモリセルMC100に情報が書き込まれる。つまり、可変抵抗部1008a,1008bの抵抗値Rに応じて記憶状態を設定することができる。たとえば、可変抵抗部1008aの抵抗値Rが100Ωであるときを「0」とし可変抵抗部1008aの抵抗値Rが9kΩであるときを「1」とすると2値の情報を記憶することができる。
【0047】
<リセットモード>
図8および図9に示したメモリセルMC100に書き込まれた情報を消去するリセットモードについて図10(a),(b)を参照しつつ説明する。なお、上述の記録モードによって可変抵抗部1008aの抵抗値Rは9kΩになっているものとし、可変抵抗部1008bの抵抗値Rは100Ωになっているものとする(図10(b)の10パルス目)。
【0048】
まず、情報を消去すべきメモリセルMC100に対応する2つのプレート線に互いに同期したパルス電圧を与える。2つのプレート線の一方(ここではP1a)には+極性の2つのパルス(各パルスの電圧:+2V、各パルスの幅:10ns)からなるパルス電圧を与え、他方(ここではP1b)には−極性の2つのパルス(各パルスの電圧:−2V、各パルスの幅:10ns)からなるパルス電圧を与える。
【0049】
次に、情報を消去すべきメモリセルMC100に対応するワード線(ここではW1)に所定の電圧を印加することによってトランジスタT100を導通させる。
【0050】
次に、情報を消去すべきメモリセルMC100に対応するビット線(ここではB1)に+極性の1つのパルス(電圧:+2V、パルス幅:10ns)と−極性の1つのパルス(電圧:−2V、パルス幅:10ns)とからなるパルス電圧を2つのプレート線(P1a,P1b)に与えられるパルス電圧に同期させて与える。
【0051】
ビット線B1に印加されたパルス電圧はトランジスタT100を介して可変抵抗部1008a,1008bに印加される。可変抵抗部1008aの抵抗値Rは、印加されたパルス電圧に応じて9kΩから100Ωに減少し、可変抵抗部1008bの抵抗値Rは、印加されたパルス電圧に応じて100Ωから9kΩに増加する(図10(b)の11〜20パルス目)。
【0052】
このように、可変抵抗部1008a,1008bの各々に対して、記録モードのときに印加されたパルス電圧とは逆の極性を有するパルス電圧を、記録モードのときに印加した回数と同じ回数だけ印加すれば、メモリセルMC100に書き込まれた情報をリセットすることができる。つまり、可変抵抗部1008a,1008bの記憶状態を初期状態に戻すことができる。
【0053】
以上のような記録モードおよびリセットモードを交互に10パルスづつ行うと、可変抵抗部1008a,1008bの抵抗値Rは図10(b)のように規則正しく変化する。
【0054】
<再生モード>
図8および図9に示したメモリセルMC100に書き込まれた情報(ビットデータ)を読み出す再生モードについて説明する。
【0055】
まず、情報を読み出すべきメモリセルMC100に対応する2つのプレート線の一方(ここではP1a)に接地電圧GNDを与える。
【0056】
次に、情報を読み出すべきメモリセルMC100に対応するワード線(ここではW1)に所定の電圧を印加することによってトランジスタT100を導通させる。
【0057】
次に、上記2つのプレート線の他方(ここではP1b)に再生電圧V0を印加する。なお、可変抵抗部1008a,1008bの抵抗値の状態(記憶状態)を保持する必要があるため、印加する再生電圧V0の絶対値(振幅)は、記録モードおよびリセットモードのときにビット線B1に印加されるパルス電圧(+極性パルスおよび−極性パルス)の絶対値(振幅)よりも小さいものとする。
【0058】
次に、プレート線P1bに印加された再生電圧V0が可変抵抗部1008bに印加されるので、ビット線B1には可変抵抗部1008bの抵抗値Rと可変抵抗部1008aの抵抗値Rとの比に応じた出力電圧Voutが出力される。可変抵抗1008bの抵抗値Rを「Rb」とし可変抵抗部1008aの抵抗値Rを「Ra」とすると、ビット線B1に出力される出力電圧Voutは、Vout=Ra/(Ra+Rb)×V0 である。
【0059】
ここで、記録モードにおけるパルス印加を10回行いさらにリセットモードにおけるパルス印加を10回行うと、可変抵抗部1008a,1008bの抵抗値Rは、図11(a)のように変化した。また、パルス電圧が1回印加されるたびに再生モードを行いビット線B1に出力される出力電圧Voutを測定すると、図11(b)のようになった。図11(b)に示すように、可変抵抗部1008a,1008bの抵抗値Rに応じてビット線B1に出力される出力電圧Voutが異なる。
【0060】
このように本実施形態のメモリアレイ回路によれば、異なる記録状態を分解能良く再生でき、1ビット情報のみならず他ビット情報を記録・再生することができる。たとえば、可変抵抗部(1008a,1008b)の抵抗値Rが(100Ω,9kΩ)のときの出力電圧Voutを「0」とし可変抵抗部(1008a,1008b)の抵抗値Rが(9kΩ,100Ω)のときの出力電圧Voutを「1」とすることにより、1ビットの情報を読み出すことができる。また、可変抵抗部(1008a,1008b)の抵抗値が(100Ω,9kΩ)と(9kΩ,100Ω)との間でパルス数に応じてとりうる複数の状態を複数ビットに対応づけることにより多ビット情報を記録、再生することができる。
【0061】
<可変抵抗部の抵抗変化が小さいとき>
次に、可変抵抗部1008a,1008bにおける抵抗値の変化が少ない場合について図12(a),(b)を参照しつつ説明する。
【0062】
一般に、記憶素子の特性は、異なるメモリアレイの間および同一メモリアレイ内に存在する記憶素子間でばらつく。このばらつきにより、各々の記憶素子の抵抗値変化が一定にならず、ある記憶素子では抵抗値の上限が所望する抵抗値よりも高くなり、また、ある記憶素子では抵抗値の下限が所望する抵抗値よりも低くなることがある。このように、メモリセルMC100が生成される場所等の要因によって、そのメモリセルMC100を構成する可変抵抗部1008a,1008bの抵抗変化が小さくなる場合がある。この場合、1つの可変抵抗部による抵抗変化によって情報を記憶する構成であると、その抵抗変化が少ない場合には分解能が小さくなり、書き込んだ情報を読み出すことができない可能性がある。一方、本実施形態のメモリセルMC100は2つの可変抵抗部1008a,1008bの各々の抵抗値が相補的に変化しそれらの分圧比を出力電圧Voutとしている。よって、例えば、図12(a)のように可変抵抗部1008a,1008bの抵抗値Rが図11(a)の半分であっても、図12(b)のように出力電圧Voutは図11(b)に示したものとほぼ同一になる。このように、抵抗変化が場所によりばらついても、異なる記録状態を分解能良く再生することができる。この特徴を利用すれば、書き込み時に印加する電気的パルスの電圧をさらに小さくすることができる。
【0063】
<効果>
以上のように本実施形態によるメモリアレイ回路では、書き込みに要する時間が10nsecと極めて短く、書き込みに要する電圧も4Vと少ないため、従来の課題となっていた書き込み電圧,書き込み速度の低減,および長寿命化を実現することができる。
【0064】
また、2つの可変抵抗5(1008a),6(1008b)を直列に接続してそれらの抵抗値を相補的に変化させる構成にしたため、メモリ素子としての安定な動作および製造歩留まりを大幅に向上させることができる。
【0065】
また、記憶領域である可変抵抗膜1008そのものはベタ膜のまま利用することができ微細加工をする必要がない構成としているので、従来の記憶素子と比較すると、量産化にも適している。
【0066】
また、電極1009a,1009bは導電膜1007の幅に収まる区域に形成すればよいので、導電膜1007を大きく形成すれば電極1009a,1009bを形成することができる区域が広くなる。これにより、電極を容易に形成することができる。
【0067】
また、情報を書き込む方法として抵抗変化を利用しているので、高密度化のための微細化を行っても特に大きな問題がないという利点を有している。
【0068】
<変形例>
ここでは、記録時とは逆極性の同電圧をリセット時に印加する例を示したが、記録時よりも高い電圧をリセット時に印加してもよい。これにより、リセットパルス数を少なくすることができる。
【0069】
また、可変抵抗膜1008としては、Pr0.7Ca0.3MnO3(PCMO)ペロブスカイト構造の酸化物を用いたが、他の巨大磁気抵抗材料あるいは高温超伝導材料(たとえば、Pr1-xCaxMnO3(PCMO)、LaSrMnO3、GdBaCoxOy等)やイルメナイト構造を有する非線形光学材料(たとえば、LiNbO3等)を用いても同様の効果が実現できる。
【0070】
また、ペロブスカイト構造のPCMO材料を用いた可変抵抗膜1008をスパッタリング法により形成したが、他の薄膜形成方法(たとえば、CVD、MOCVD、スピンコート、レーザーアブレーション等)を用いてもよい。
【0071】
また、導電膜1007の材料としてPtを用いたがそれだけに限るものではなく、Ag, Au, Ir, Ru, Ti, Ta, Al, Cu, RuO3, RuO2, SrRuO3, LaCoO3, SrCoO3, LaSrCoO3, TiN, TiOx, YBa2Cu3Ox, IrO2, TaSiN, MoNのうちのいずれか1つ、あるいはそれらの混合物から構成されている材料を用いてもよい。
【0072】
また、電極1009a,1009bの材料としてAgを用いたがそれだけに限るものではなく、Cu, Al, Ag, Pt, Au, Ir, Ru, Os, Ti, Taのうちのいずれか1つ、あるいはそれらの混合物から構成されている材料を用いてもよい。
【0073】
(第4の実施形態)
第4の実施形態によるメモリアレイ回路の断面構造を図13に示す。このメモリあれ回路では、図9に示した可変抵抗膜1008のうち可変抵抗部1008aと可変抵抗部1008bとの間に存在する領域が削除されている。その他の構造は図9と同様である。
【0074】
図13に示したメモリアレイ回路では、メモリセルMC100の1つあたりの幅を0.25μmとし、可変抵抗膜1008の膜厚を0.1μmとし、保護絶縁膜1005の膜厚を0.4μmとし、電極1009a,1009bの幅を0.09μmとしている。また、導電膜1007の幅をメモリセルMC100の幅と同様の0.25μmとし、電極1009aと電極1009bとの距離を0.07μmとしている。
【0075】
このメモリアレイ回路では、可変抵抗部1008aと可変抵抗部1008bとの間に可変抵抗膜1008が存在していないので、電極1009aと導電膜1007との間で発生する電界が電極1009bに影響を及ぼさない。よって、第3の実施形態と比較すると、電極1009aと電極1009bとの距離を縮めることができ、メモリセルMC100のサイズを小さくすることができる。
【0076】
(第5の実施形態)
<メモリアレイ回路の回路構成>
第5の実施形態によるメモリアレイ回路は、図8に示したメモリセルMC100に代えて図14に示すメモリセルMC200を備える。その他の構成は、図8に示したメモリアレイ回路と同様である。
【0077】
メモリセルMC200は、可変抵抗5および6と、トランジスタT100とを含む。メモリセルMC200における可変抵抗6は、図2および図3を参照して説明した初期化プロセスによって初期の抵抗値が9kΩに設定されており、電源端子8と入出力端子9との間に電源端子8が+極性となるパルス電圧が与えられると抵抗値が増加し電源端子8が−極性となるパルス電圧が与えられると抵抗値が減少する。メモリセルMC200におけるその他の部分は図8に示したメモリセルMC100と同様である。
【0078】
<メモリアレイ回路の断面構造>
図14に示したメモリアレイ回路の断面構造は、図13に示した構造と同様である。なお、可変抵抗部1008a(可変抵抗5)は、図2および図3を参照して説明した初期化プロセスによって初期の抵抗値が100Ωに設定されており、導電膜1007と電極1009aとの間に導電膜1007が+極性となるパルス電圧が与えられると抵抗値が増加し導電膜1007が−極性となるパルス電圧が与えられると抵抗値が減少する。可変抵抗部1008b(可変抵抗6)は、図2および図3を参照して説明した初期化プロセスによって初期の抵抗値が9kΩに設定されており、導電膜1007と電極1009bとの間に導電膜1007が−極性となるパルス電圧が与えられると抵抗値が増加し導電膜1007が+極性となるパルス電圧が与えられると抵抗値が減少する。
【0079】
<メモリアレイ回路の動作>
このメモリアレイ回路は、記録モード、リセットモード、再生モードを有しており、メモリセルMC200に2値もしくは多値の情報(ビットデータ)を記録する。以下、具体的に説明する。
【0080】
<記憶モード>
図14(および図13)に示したメモリセルMC200に情報(ビットデータ)を記憶する記憶モードについて図15(a),(b)を参照しつつ説明する。
【0081】
まず、情報を記録すべきメモリセルMC200に対応する2つのプレート線(ここではP1a,P1b)に接地電圧GNDを与える。
【0082】
次に、情報を記録すべきメモリセルMC200に対応するワード線(ここではW1)に所定の電圧を印加することによってトランジスタT100を導通させる。
【0083】
次に、情報を記録すべきメモリセルMC200に対応するビット線(ここではB1)に+極性のパルス電圧(電圧:+4V、パルス幅:10ns)を与える。
【0084】
ビット線B1に印加されたパルス電圧はトランジスタT100を介して可変抵抗部1008a,1008bに印加される。可変抵抗部1008aの抵抗値Rは、印加されたパルス電圧に応じて100Ωから9kΩに増加し、可変抵抗部1008bの抵抗値Rは、印加されたパルス電圧に応じて9kΩから100Ωに減少する(図15(b)の1〜10パルス目)。
【0085】
このように、ビット線B1に印加されるパルス電圧の回数(パルス数)に応じて可変抵抗部1008a,1008bの抵抗値Rが段階的に増加/減少することにより、メモリセルMC200に情報が書き込まれる。つまり、可変抵抗部1008a,1008bの抵抗値Rに応じて記憶状態を設定することができる。
【0086】
<リセットモード>
図14(および図13)に示したメモリセルMC200に書き込まれた情報を消去するリセットモードについて図15(a),(b)を参照しつつ説明する。なお、上述の記録モードによって可変抵抗部1008aの抵抗値Rは9kΩになっているものとし、可変抵抗部1008bの抵抗値Rは100Ωになっているものとする(図15(b)の10パルス目)。
【0087】
まず、情報を消去すべきメモリセルMC200に対応する2つのプレート線(ここではP1a,P1b)に接地電圧GNDを与える。
【0088】
次に、情報を消去すべきメモリセルMC200に対応するワード線(ここではW1)に所定の電圧を印加することによってトランジスタT100を導通させる。
【0089】
次に、情報を消去すべきメモリセルMC200に対応するビット線(ここではB1)に−極性のパルス電圧(電圧:−4V、パルス幅:10ns)を与える。
【0090】
ビット線B1に印加されたパルス電圧はトランジスタT100を介して可変抵抗部1008a,1008bに印加される。可変抵抗部1008aの抵抗値Rは、印加されたパルス電圧に応じて9kΩから100Ωに減少し、可変抵抗部1008bの抵抗値Rは、印加されたパルス電圧に応じて100Ωから9kΩに増加する(図15(b)の11〜20パルス目)。
【0091】
このように、可変抵抗部1008a,1008bの各々に対して、記録モードのときに印加されたパルス電圧とは逆の極性を有するパルス電圧を、記録モードのときに印加した回数と同じ回数だけ印加すれば、メモリセルMC200に書き込まれた情報をリセットすることができる。つまり、可変抵抗部1008a,1008bの記憶状態を初期状態に戻すことができる。
【0092】
以上のような記録モードおよびリセットモードを交互に10パルスづつ行うと、可変抵抗部1008a,1008bの抵抗値Rは図15(b)のように規則正しく変化する。
【0093】
<再生モード>
図14(および図13)に示したメモリセルMC200に書き込まれた情報(ビットデータ)を読み出す処理の流れは第3の実施形態と同様である。
【0094】
<変形例>
図14(および図13)に示したメモリアレイ回路において、記録時およびリセット時に印加するパルス電圧を次のようにしてもよい。
【0095】
メモリセルMC200に情報を記録する際には、ビット線B1に記録パルス電圧(電圧:+2V、パルス幅:10ns)を印加するとともに、この記録パルスとは逆極性のパルス電圧(電圧:−2V、パルス幅:10ns)を記録パルスに同期させてプレート線P1aおよびP1bに与える。これにより、導電膜1007と電極1009aとの間に導電膜1007が+極性となるパルス電圧(+4V)が与えられ可変抵抗部1008aの抵抗値が増加し、導電膜1007と電極1009bとの間に電極1009bが−極性となるパルス電圧(−4V)が与えられ可変抵抗部1008bの抵抗値が減少する。その結果、図15(b)に示したのと同様の抵抗変化が生じる。
【0096】
リセット時には、記録する時とは逆の−極性のリセットパルス電圧(電圧:−2V、パルス幅:10ns)をビット線B1に印加するとともに、このリセットパルスとは逆極性のパルス電圧(電圧:+2V、パルス幅:10ns)をリセットパルスに同期させてプレート線P1aおよびP1bに与える。これにより、導電膜1007と電極1009aとの間に導電膜1007が−極性となるパルス電圧(−4V)が与えられ可変抵抗部1008aの抵抗値が減少し、導電膜1007と電極1009bとの間に電極1009bが+極性となるパルス電圧(+4V)が与えられ可変抵抗部1008bの抵抗値が増加する。その結果、図15(b)に示したのと同様の抵抗変化が生じる。
【0097】
(第6の実施形態)
<背景>
図1から図3を参照して説明した可変抵抗を用いた大容量のメモリLSIとして、図16に示すようなクロスポイント構造のメモリLSIが提案されている。図16に示すメモリLSIでは、複数のビット線BLとそれに直交する複数のプレート線PLとが設けられている。各ビット線Blにはビット線選択用トランジスタ111,各プレート線PLにはプレート線選択用トランジスタ112が設けられている。各ビット線BLおよび各プレート線PLの交差部にメモリセルMCが設けられている。メモリセルMCでは、可変抵抗100に2つの電極101,102が接続されている。このメモリセルMCでは、可変抵抗100の抵抗値が低抵抗の状態において、電極101に対して電極102が+極性となる電気的パルスが電極101,102間に印加されると、可変抵抗100の抵抗値が増加する。一方、可変抵抗100の抵抗値が高抵抗の状態において、電極101に対して電極102が−極性となる電気的パルスが電極101,102間に印加されると、可変抵抗100の抵抗値が減少する。
【0098】
しかしながら、図16に示したクロスポイント構造のメモリLSIは、記録時に加えられる電気的パルスが、選択されたビット線BLと選択されたプレート線PLとがクロスする位置のメモリセル以外のメモリセルにも影響を及ぼすこと、および、再生時には選択されたメモリセル以外のメモリセル内の可変抵抗の抵抗値によって再生信号が影響を受けることにより、S/Nの劣化をもたらす。このことは半導体の微細化に伴って記録再生のエラーの増大につながる。
【0099】
<メモリLSIの全体構成>
本発明の第6の実施形態によるメモリLSIの全体構成を図17に示す。このメモリLSI600は、メモリブロックBK11,BK12,BK21,BK22と、行デコーダ10と、列デコーダ20と、トランジスタT11,T12,T21,T22と、ワード線WL11〜WL14,WL21〜WL24と、ビット線BL1,BL2と、ブロック選択信号線BS11,BS12,BS21,BS22と、プレート線PL1,PL2とを備える。
【0100】
メモリブロックBK11,BK12,BK21,BK22は行および列にマトリクス状に配置されている。
【0101】
ワード線WL11〜WL14,WL21〜WL24は行方向に配置されている。ワード線WL11〜WL14は、メモリブロックBK11,BK12に対応している。ワード線WL21〜WL24は、メモリブロックBK21,BK22に対応している。
【0102】
ビット線BL1,BL2は列方向に配置されている。ビット線BL1は、メモリブロックBK11,BK21に対応している。ビット線BL2は、メモリブロックBK12,BK22に対応している。
【0103】
プレート線PL1は、メモリブロックBK11,BK12に対応して配置されている。プレート線PL2は、メモリブロックBK21,BK22に対応して配置されている。
【0104】
トランジスタT11およびメモリブロックBK11は、ビット線BL1上のノードN1とプレート線PL1上のノードN5との間に直列に接続されている。トランジスタT11のゲートは、ブロック選択信号線BS11に接続されている。トランジスタT12およびメモリブロックBK12は、ビット線BL2上のノードN2とプレート線PL1上のノードN6との間に直列に接続されている。トランジスタT12のゲートは、ブロック選択信号線BS12に接続されている。トランジスタT21およびメモリブロックBK21は、ビット線BL1上のノードN3とプレート線PL2上のノードN7との間に直列に接続されている。トランジスタT21のゲートは、ブロック選択信号線BS21に接続されている。トランジスタT22およびメモリブロックBK22は、ビット線BL2上のノードN4とプレート線PL2上のノードN8との間に直列に接続されている。トランジスタT22のゲートは、ブロック選択信号線BS22に接続されている。
【0105】
行デコーダ10は、外部からのアドレス信号を受け、これに対応するブロック選択信号線およびワード線を活性化する。
【0106】
列デコーダ20は、書き込み時には、外部からのアドレス信号を受け、これに対応するビット線とプレート線との間に、書き込むべきデータに応じた電気的パルスを印加する。一方、読み出し時には、外部からのアドレス信号に対応するビット線とプレート線との間に所定の電圧を印加し、これにより流れる電流の値を検出し、検出した電流値に応じたデータを外部に出力する。
【0107】
<メモリブロックBK11の内部構成>
図17に示したメモリブロックBK11の内部構成を図18に示す。メモリブロックBK11は、メモリセルMC1〜MC4を含む。メモリセルMC1〜MC4は、トランジスタT11とプレート線PL1上のノードN5との間に直列に接続されている。メモリセルMC1〜MC4はワード線WL11〜WL14に対応している。メモリセルMC1〜MC4の各々は、可変抵抗100と、電極101,102と、トランジスタT1とを含む。可変抵抗100は、電極101と電極102との間に接続されている。可変抵抗100は、電極101と電極102との間に与えられる電気的パルスに応答してその抵抗値が変化(増加/減少)する材料により構成されている。トランジスタT1は、電極101と電極102との間に可変抵抗100と並列に接続されている。トランジスタT1のゲートは、対応するワード線に接続されている。
【0108】
なお、メモリブロックBK12,21,22の内部構成も、図18に示したメモリブロックBK11の内部構成と同様の構成である。
【0109】
<可変抵抗100の特性>
次に、各メモリセルMC1〜MC4に含まれている可変抵抗100の特性について説明する。
【0110】
図19(a)に示すように、可変抵抗100の抵抗値Rが低抵抗値r1の状態において、電極101に対して電極102が+極性となる電気的パルス(たとえばパルス幅100ns、振幅V0=4V)を電極101,102間に印加すると、可変抵抗100の抵抗値Rがr1からr2に増加する。なお、可変抵抗100の抵抗値Rが高抵抗値r2の状態において、電極101に対して電極102が+極性となる電気的パルスが電極101,102間に印加されたときには高抵抗値r2の状態が保持される。
【0111】
一方、図19(b)に示すように、可変抵抗100の抵抗値Rが高抵抗値r2の状態において、電極101に対して電極102が−極性となる電気的パルス(たとえばパルス幅100ns、振幅(−V0)=−4V)を電極101,102間に印加すると、可変抵抗100の抵抗値Rがr2からr1に減少する。なお、可変抵抗100の抵抗値Rが低抵抗値r1の状態において、電極101に対して電極102が−極性となる電気的パルスが電極101,102間に印加されたときには低抵抗値r1の状態が保持される。
【0112】
図19において可変抵抗100を表す回路記号は、矢印の先端のほうが+極性となる(すなわち電極101に対して電極102が+極性となる)電気的パルスを電極101,102間に印加すると可変抵抗100の抵抗値Rが増加し、矢印の先端のほうが−極性となる(すなわち電極101に対して電極102が−極性となる)電気的パルスを電極101,102間に印加すると可変抵抗100の抵抗値Rが減少することを示している。
【0113】
可変抵抗100の抵抗値Rは、電気的パルスが次に印加されるまで現在の値が保持されるので、低抵抗値r1および高抵抗値r2の一方を"0"、他方を"1"に対応させることにより、デジタル情報を記憶する不揮発性記憶素子として動作させることができる。
【0114】
<メモリセルへの情報の書き込み>
次に、図17に示したメモリLSI600の書き込み動作について説明する。ここではメモリブロックBK11内のメモリセルMC1にデータを書き込む場合を例にして説明する。
【0115】
メモリブロックBK11内のメモリセルMC1を示すアドレスと、当該メモリセルMC1に書き込むべきデータとが外部から与えられる。
【0116】
与えられたアドレスに応答して行デコーダ10は、ブロック選択信号線BS11を活性化し、ブロック選択信号線BS12,BS21,BS22を不活性化する。また行デコーダ10は、ワード線WL11を不活性化し、ワード線WL12〜WL14,WL21〜WL24を活性化する。これによりトランジスタT11がオンになり、トランジスタT12,T21,T22がオフになる。また、メモリブロックBK11のメモリセルMC1内のトランジスタT1がオフになり、メモリブロックBK11のメモリセルMC2〜MC4内のトランジスタT1がオンになる。トランジスタT1がオン状態であるメモリセルMC2〜MC4における電極101,102間の抵抗値は、並列接続されている可変抵抗100に比べて抵抗値の低いトランジスタT1の内部抵抗によって支配されているため抵抗値が低く、トランジスタT1がオフ状態であるメモリセルMC1における電極101,102間の抵抗値は、可変抵抗100の抵抗値に支配されて抵抗値が高くなる。
【0117】
この状態で列デコーダ20は、与えられたアドレスに応答してビット線BL1とプレート線PL1との間に電気的パルスを印加する。列デコーダ20は、書き込むべきデータに応じた極性の電気的パルスを印加する。たとえば、可変抵抗100の抵抗値Rについて、低抵抗値r1を"0"、高抵抗値r2を"1"に対応させている場合には次のような極性の電気的パルスが与えられる。
【0118】
メモリブロックBK11のメモリセルMC1にデータ“1”を書き込む場合には、プレート線PL1に対してビット線BL1が+極性となる電気的パルス(たとえばパルス幅100ns、振幅V0=4V)をビット線BL1とプレート線PL1との間に印加する。これによりメモリブロックBK11のメモリセルMC1内の可変抵抗100には、図19(a)に示したように、電極101に対して電極102が+極性となる電気的パルスが与えられる。この結果、可変抵抗100の抵抗値Rがr2となり、メモリブロックBK11内のメモリセルMC1にデータ“1”が書き込まれたことになる。なお、メモリブロックBK11のメモリセルMC2〜MC4についてはトランジスタT1がオンになっているため、可変抵抗100の抵抗値を変化させるだけの電気的パルスは可変抵抗100には印加されない。
【0119】
一方、メモリブロックBK11のメモリセルMC1にデータ“0”を書き込む場合には、プレート線PL1に対してビット線BL1が−極性となる電気的パルス(たとえばパルス幅100ns、振幅(−V0)=−4V)をビット線BL1とプレート線PL1との間に印加する。これによりメモリブロックBK11のメモリセルMC1内の可変抵抗100には、図19(b)に示したように、電極101に対して電極102が−極性となる電気的パルスが与えられる。この結果、可変抵抗100の抵抗値Rがr1となり、メモリブロックBK11内のメモリセルMC1にデータ“0”が書き込まれたことになる。なお、メモリブロックBK11のメモリセルMC2〜MC4についてはトランジスタT1がオンになっているため、可変抵抗100の抵抗値を変化させるだけの電気的パルスは可変抵抗100には印加されない。
【0120】
<メモリセルからの情報の読み出し>
次に、図17に示したメモリLSI600の読み出し動作について説明する。ここではメモリブロックBK11内のメモリセルMC1からデータを読み出す場合を例にして説明する。
【0121】
メモリブロックBK11内のメモリセルMC1を示すアドレスが外部から与えられる。
【0122】
与えられたアドレスに応答して行デコーダ10は、ブロック選択信号線BS11を活性化し、ブロック選択信号線BS12,BS21,BS22を不活性化する。また行デコーダ10は、ワード線WL11を不活性化し、ワード線WL12〜WL14,WL21〜WL24を活性化する。これによりトランジスタT11がオンになり、トランジスタT12,T21,T22がオフになる。また、メモリブロックBK11のメモリセルMC1内のトランジスタT1がオフになり、メモリブロックBK11内のメモリセルMC2〜MC4内のトランジスタT1がオンになる。
【0123】
この状態で列デコーダ20は、与えられたアドレスに応答してビット線BL1とプレート線PL1との間に所定の電圧V1(たとえばV1=1V)を印加する。これにより、(ビット線BL1)−(トランジスタT11)−(メモリブロックBK11のメモリセルMC1内の可変抵抗100)−(メモリブロックBK11のメモリセルMC2内のトランジスタT1)−(メモリブロックBK11のメモリセルMC3内のトランジスタT1)−(メモリブロックBK11のメモリセルMC4内のトランジスタT1)−(プレート線PL1)の経路に電流が流れる。トランジスタT11、メモリブロックBK11のメモリセルMC2〜MC4内のトランジスタT1のオン抵抗はほぼ一定であるため、上記経路を流れる電流の電流値は、メモリブロックBK11のメモリセルMC1内の可変抵抗100の抵抗値Rに応じて異なる値となる。たとえば、メモリブロックBK11のメモリセルMC1内の可変抵抗100の抵抗値Rが低抵抗r1のときに上記経路を流れる電流値I1は、可変抵抗100の抵抗値Rが高抵抗r2のときに上記経路を流れる電流値I2よりも大きい。
【0124】
列デコーダ20は、上記経路を流れる電流の値を検出し、これを所定のしきい値Th(たとえば、I2<Th<I1)と比較し、比較結果に応じてデータ“0”または“1”を読み出しデータとして外部に出力する。可変抵抗100の抵抗値Rについて低抵抗値r1を"0"、高抵抗値r2を"1"に対応させている場合には、検出された電流値がしきい値Thよりも大きいときにはデータ“0”が読み出しデータとして外部に出力され、しきい値Thよりも小さいときにはデータ“1”が読み出しデータとして外部に出力される。
【0125】
<効果>
以上のように第6の実施形態によるメモリLSI600では、メモリブロックBK11,BK12,BK21,BK22に対応させてトランジスタT11,T12,T21,T22を設け、トランジスタT11,T12,T21,T22のうち、アクセスすべきメモリセルを含むメモリブロックに対応するトランジスタをオンにし、それ以外をオフにしている。また、アクセスすべきメモリセル内のトランジスタT1をオフにし、アクセスすべきメモリセル以外のメモリセル内のトランジスタT1をオンにしている。これにより、書き込み時には、アクセスすべきメモリセルに対応するビット線とプレート線との間に印加される電圧がそれ以外のメモリセル(可変抵抗100)に及ぼす影響を低減することができ、再生時には、アクセスすべきメモリセル以外のメモリセル内の可変抵抗による再生信号への影響を低減することができる。この結果、半導体の微細化が進んでも従来のクロスポイント型の記憶素子に比べて記録・再生エラーを少なくすることができる。
【0126】
また、各メモリセルに対してセル選択用のトランジスタを1つ設けている従来の記憶素子と比較して、メモリセルサイズを低減することができ、高密度化による大容量化が実現される。
【0127】
<変形例>
なお、ここでは4つのメモリブロックBK11,BK12,BK21,BK22を行および列にマトリクス状に配置した例を示したが、メモリブロックの数は4つには限られない。さらに多くのメモリブロックをマトリックス状に配置してメモリアレイを構成して用いれば、例えばフラッシュメモリや強誘電体メモリなどの従来のメモリに比べて、高速かつ/あるいは大容量のメモリLSIを実現することができる。
【0128】
また、ここではメモリブロックBK11,BK12,BK21,BK22の各々に含まれるメモリセルの個数を4つ(MC1〜MC4)としたが、この個数は4個に限定されるものではないことは言うまでもない。
【0129】
また、ここでは図19に示した電気的パルスによりメモリセル内の可変抵抗100の抵抗値Rを低抵抗状態r1もしくは高抵抗状態r2に変化させ、一方の状態を“0”、他方の状態を“1”に対応させることにより、各メモリセルに1ビットのデジタル記録をさせる例を示したが、与える電気的パルスのパルス幅およびパルス振幅(パルス電圧)の条件を選ぶことによりメモリセル内の可変抵抗100の抵抗値Rを、高抵抗状態における最大の抵抗値と低抵抗状態における最小の抵抗値との中間の値に変化させることが可能である。例えば、2n個(n=2,3,4・・・)の異なる抵抗値を用いて1個のメモリセルにnビットの情報を記録・再生させることによりさらに大容量の記憶素子を実現することが可能である。
【0130】
(第7の実施形態)
<メモリLSIの全体構成>
本発明の第7の実施形態によるメモリLSIの全体構成を図20に示す。このメモリLSI700は、メモリブロックBK11,BK12,BK21,BK22と、行デコーダ10と、列デコーダ20と、トランジスタT11,T21と、ワード線WL11〜WL14,WL21〜WL24と、ビット線BL1と、ブロック選択信号線BS11,BS21と、プレート線PL11,PL12,PL21,PL22とを備える。
【0131】
ビット線BL1は、メモリブロックBK11,BK12,BK21,BK22に対応している。
【0132】
プレート線PL11は、メモリブロックBK11に対応して配置されている。プレート線PL12は、メモリブロックBK12に対応して配置されている。プレート線PL21は、メモリブロックBK21に対応して配置されている。プレート線PL22は、メモリブロックBK22に対応して配置されている。
【0133】
トランジスタT11およびメモリブロックBK11は、ビット線BL1上のノードN1とプレート線PL11上のノードN9との間に直列に接続されている。メモリブロックBK12は、トランジスタT11とメモリブロックBK11との相互接続ノードN11とプレート線PL12上のノードN10との間に接続されている。トランジスタT21およびメモリブロックBK21は、ビット線BL1上のノードN3とプレート線PL21上のノードN12との間に直列に接続されている。メモリブロックBK22は、トランジスタT21とメモリブロックBK21との相互接続ノードN21とプレート線PL22上のノードN13との間に接続されている。
【0134】
<メモリブロックBK11,BK12の内部構成>
図20に示したメモリブロックBK11,BK12の内部構成を図21に示す。メモリブロックBK11,BK12は、メモリセルMC1〜MC4を含む。メモリブロックBK11のメモリセルMC1〜MC4は、ノードN11とプレート線PL11上のノードN9との間に直列に接続されている。メモリブロックBK11のメモリセルMC1〜MC4は、電極101がプレート線PL11側に、電極102がノードN11側になるように接続されている。メモリブロックBK12のメモリセルMC1〜MC4は、ノードN11とプレート線PL12上のノードN10との間に直列に接続されている。メモリブロックBK12のメモリセルMC1〜MC4は、電極102がプレート線PL12側に、電極101がノードN11側になるように接続されている。
【0135】
なお、メモリブロックBK21の内部構成はメモリブロックBK11と同様であり、メモリブロックBK22の内部構成はメモリブロックBK12と同様である。
【0136】
<メモリセルへの情報の書き込み>
次に、図20に示したメモリLSI700の書き込み動作について説明する。このLSI700では、メモリブロックBK11,BK12内のメモリセルのうち同じワード線に対応する1対のメモリセル(たとえば、メモリブロックBK11内のメモリセルMC1とメモリブロックBK12内のメモリセルMC1との一対のメモリセル、これらはともにワード線WL11に対応している。)に対して1ビットの情報が記憶される。同様に、メモリブロックBK21,BK22内のメモリセルのうち同じワード線に対応する1対のメモリセル(たとえば、メモリブロックBK21内のメモリセルMC1とメモリブロックBK22内のメモリセルMC1との一対のメモリセル、これらはともにワード線WL21に対応している。)に対して1ビットの情報が記憶される。具体的には、1対のメモリセルのうち一方の可変抵抗100が低抵抗r1かつ他方の可変抵抗100が高抵抗r2の状態を”0”、一方の可変抵抗100が高抵抗r2かつ他方の可変抵抗が低抵抗r1の状態を”1”に対応させることにより、1対のメモリセルに対して1ビットの情報が記憶される。ここでは、メモリブロックBK11,BK21のメモリセル内の可変抵抗100が低抵抗r1かつメモリブロックBK12,BK22のメモリセル内の可変抵抗100が高抵抗r2の状態を”0”、メモリブロックBK11,BK21のメモリセル内の可変抵抗100が高抵抗r2かつメモリブロックBK12,BK22のメモリセル内の可変抵抗100が低抵抗r1の状態を”1”に対応させるものとし、メモリブロックBK11内のメモリセルMC1とメモリブロックBK12内のメモリセルMC1との1対のメモリセルに情報を書き込む場合を例にして説明する。
【0137】
メモリブロックBK11内のメモリセルMC1とメモリブロックBK12内のメモリセルMC1との1対のメモリセルを示すアドレスと、当該1対のメモリセルに書き込むべきデータとが外部から与えられる。
【0138】
与えられたアドレスに応答して行デコーダ10は、ブロック選択信号線BS11を活性化し、ブロック選択信号線BS21を不活性化する。また行デコーダ10は、ワード線WL11を不活性化し、ワード線WL12〜WL14,WL21〜WL24を活性化する。これによりトランジスタT11がオンになり、トランジスタT21がオフになる。また、メモリブロックBK11,BK12のメモリセルMC1内のトランジスタT1がオフになり、メモリブロックBK11,BK12のメモリセルMC2〜MC4内のトランジスタT1がオンになる。
【0139】
この状態で列デコーダ20は、与えられたアドレスに応答してビット線BL1とプレート線PL11,PL12との間に電気的パルスを印加する。列デコーダ20は、書き込むべきデータに応じた極性の電気的パルスを印加する。
【0140】
メモリブロックBK11内のメモリセルMC1とメモリブロックBK12内のメモリセルMC1との1対のメモリセルにデータ“1”を書き込む場合には、図22に示すように、プレート線PL11,PL12に対してビット線BL1が+極性となる電気的パルス(たとえばパルス幅100ns、振幅V0=4V)をビット線BL1とプレート線PL11,PL12との間に印加する。これによりメモリブロックBK11のメモリセルMC1内の可変抵抗100には、図22(a)に示すように、電極101に対して電極102が+極性となる電気的パルスが与えられ、可変抵抗100の抵抗値Rがr2となる。一方、メモリブロックBK12のメモリセルMC1内の可変抵抗100には、図22(b)に示すように、電極101に対して電極102が−極性となる電気的パルスが与えられ、可変抵抗100の抵抗値Rがr1となる。この結果、メモリブロックBK11のメモリセルMC1内の可変抵抗100が高抵抗r2かつメモリブロックBK12のメモリセルMC1内の可変抵抗100が低抵抗r1の状態となり、メモリブロックBK11内のメモリセルMC1とメモリブロックBK12内のメモリセルMC1との1対のメモリセルにデータ“1”が書き込まれたことになる。
【0141】
一方、メモリブロックBK11内のメモリセルMC1とメモリブロックBK12内のメモリセルMC1との1対のメモリセルにデータ“0”を書き込む場合には、プレート線PL11,PL12に対してビット線BL1が−極性となる電気的パルス(たとえばパルス幅100ns、振幅(−V0)=−4V)をビット線BL1とプレート線PL11,PL12との間に印加する。これによりメモリブロックBK11のメモリセルMC1内の可変抵抗100には、電極101に対して電極102が−極性となる電気的パルスが与えられ、可変抵抗100の抵抗値Rがr1となる。一方、メモリブロックBK12のメモリセルMC1内の可変抵抗100には、電極101に対して電極102が+極性となる電気的パルスが与えられ、可変抵抗100の抵抗値Rがr2となる。この結果、メモリブロックBK11のメモリセルMC1内の可変抵抗100が低抵抗r1かつメモリブロックBK12のメモリセルMC1内の可変抵抗100が高抵抗r2の状態となり、メモリブロックBK11内のメモリセルMC1とメモリブロックBK12内のメモリセルMC1との1対のメモリセルにデータ“0”が書き込まれたことになる。
【0142】
<メモリセルからの情報の読み出し>
次に、図20に示したメモリLSI700の読み出し動作について説明する。ここでは、メモリブロックBK11,BK21のメモリセル内の可変抵抗100が低抵抗r1かつメモリブロックBK12,BK22のメモリセル内の可変抵抗100が高抵抗r2の状態を”0”、メモリブロックBK11,BK21のメモリセル内の可変抵抗100が高抵抗r2かつメモリブロックBK12,BK22のメモリセル内の可変抵抗100が低抵抗r1の状態を”1”に対応させるものとし、メモリブロックBK11内のメモリセルMC1とメモリブロックBK12内のメモリセルMC1との1対のメモリセルからデータを読み出す場合を例にして説明する。
【0143】
メモリブロックBK11内のメモリセルMC1とメモリブロックBK12内のメモリセルMC1との1対のメモリセルを示すアドレスが外部から与えられる。
【0144】
与えられたアドレスに応答して行デコーダ10は、ブロック選択信号線BS11を活性化し、ブロック選択信号線BS21を不活性化する。また行デコーダ11は、ワード線WL11を不活性化し、ワード線WL12〜WL14,WL21〜WL24を活性化する。これによりトランジスタT11がオンになり、トランジスタT21がオフになる。また、メモリブロックBK11,BK12のメモリセルMC1内のトランジスタT1がオフになり、メモリブロックBK11,BK12のメモリセルMC2〜MC4内のトランジスタT1がオンになる。
【0145】
この状態で列デコーダ20は、図23に示すように、与えられたアドレスに応答してプレート線PL11とプレート線PL12との間に所定の電圧V1を印加する。そして列デコーダ20は、ビット線BL1の電圧Voutを検出し、これを所定のしきい値Thと比較し、比較結果に応じてデータ“0”または“1”を読み出しデータとして外部に出力する。トランジスタT11、メモリブロックBK11,BK12のメモリセルMC2〜MC4内のトランジスタT1のオン抵抗はほぼ一定であるため、ビット線BL1の電圧Voutは、メモリブロックBK11,BK12のメモリセルMC1内の可変抵抗100の抵抗値Rに応じて異なる値となる。図24(a)に示すように、メモリブロックBK11のメモリセルMC1内の可変抵抗100が低抵抗r1かつメモリブロックBK12のメモリセルMC1内の可変抵抗100が高抵抗r2の状態の場合、ビット線BL1の電圧Vout1が検出される。この電圧Vout1はしきい値Thよりも大きいため、列デコーダ20は、データ“0”を読み出しデータとして外部に出力する。一方、図24(b)に示すように、メモリブロックBK11のメモリセルMC1内の可変抵抗100が高抵抗r2かつメモリブロックBK12のメモリセルMC1内の可変抵抗100が低抵抗r1の状態の場合、ビット線BL1の電圧Vout2が検出される。この電圧Vout2はしきい値Thよりも小さいため、列デコーダ20は、データ“1”を読み出しデータとして外部に出力する。
【0146】
<効果>
以上のように第7の実施形態によるメモリLSI700では、1対のメモリセルに対して1ビットの情報が記憶されるため、第6の実施形態に示したメモリLSI600と比較して記録・再生時のエラーをさらに低減することができる。
【0147】
<変形例>
なお、ここでは4つのメモリブロックBK11,BK12,BK21,BK22を行および列にマトリクス状に配置した例を示したが、メモリブロックの数は4つには限られない。
【0148】
また、ここではメモリブロックBK11,BK12,BK21,BK22の各々に含まれるメモリセルの個数を4つ(MC1〜MC4)としたが、この個数は4個に限定されるものではないことは言うまでもない。
【0149】
また、ここでは1対のメモリセルのうち一方の可変抵抗100が低抵抗r1かつ他方の可変抵抗100が高抵抗r2の状態を”0”、一方の可変抵抗100が高抵抗r2かつ他方の可変抵抗が低抵抗r1の状態を”1”に対応させることにより、1対のメモリセルに対して1ビットの情報を記憶させる例を示したが、与える電気的パルスのパルス幅およびパルス振幅(パルス電圧)の条件を選ぶことによりメモリセル内の可変抵抗100の抵抗値Rを、高抵抗状態における最大の抵抗値と低抵抗状態における最小の抵抗値との中間の値に変化させることが可能である。例えば、2n個(n=2,3,4・・・)の異なる抵抗値を用いて1対のメモリセルにnビットの情報を記録・再生させることによりさらに大容量の記憶素子を実現することが可能である。
【0150】
(第8の実施形態)
<メモリLSIの全体構成>
本発明の第8の実施形態によるメモリLSIの全体構成を図25に示す。このメモリLSI800は、メモリブロックBK11,BK12,BK21,BK22と、行デコーダ10と、列デコーダ20と、トランジスタT11,T12,T21,T22と、ワード線WL11〜WL14,WL21〜WL24と、ビット線BL1,BL2と、ブロック選択信号線BS11,BS21と、プレート線PL1,PL2とを備える。
【0151】
トランジスタT11およびメモリブロックBK11は、ビット線BL1上のノードN1とプレート線PL1上のノードN5との間に直列に接続されている。トランジスタT12およびメモリブロックBK12は、ビット線BL2上のノードN2とプレート線PL1上のノードN6との間に直列に接続されている。トランジスタT11,T12のゲートはともにブロック選択信号線BS11に接続されている。トランジスタT21およびメモリブロックBK21は、ビット線BL1上のノードN3とプレート線PL2上のノードN7との間に直列に接続されている。トランジスタT22およびメモリブロックBK22は、ビット線BL2上のノードN4とプレート線PL2上のノードN8との間に直列に接続されている。トランジスタT21,T22のゲートはともにブロック選択信号線BS21に接続されている。
【0152】
<メモリブロックBK11,BK12の内部構成>
図25に示したメモリブロックBK11,BK12の内部構成を図26に示す。メモリブロックBK11,BK12は、メモリセルMC1〜MC4を含む。メモリブロックBK11のメモリセルMC1〜MC4は、トランジスタT11とプレート線PL1上のノードN5との間に直列に接続されている。メモリブロックBK11のメモリセルMC1〜MC4は、電極101がプレート線PL1側に、電極102がトランジスタT11側になるように接続されている。メモリブロックBK12のメモリセルMC1〜MC4は、トランジスタT12とプレート線PL1上のノードN6との間に直列に接続されている。メモリブロックBK12のメモリセルMC1〜MC4は、電極101がプレート線PL1側に、電極102がトランジスタT12側になるように接続されている。
【0153】
なお、メモリブロックBK21の内部構成はメモリブロックBK11と同様であり、メモリブロックBK22の内部構成はメモリブロックBK12と同様である。
【0154】
<メモリセルへの情報の書き込み>
次に、図25に示したメモリLSI3の書き込み動作について説明する。このLSI800では、第7の実施形態と同様に、メモリブロックBK11,BK12内のメモリセルのうち同じワード線に対応する1対のメモリセル(たとえば、メモリブロックBK11内のメモリセルMC1とメモリブロックBK12内のメモリセルMC1との一対のメモリセル、これらはともにワード線WL11に対応している。)に対して1ビットの情報が記憶される。同様に、メモリブロックBK21,BK22内のメモリセルのうち同じワード線に対応する1対のメモリセル(たとえば、メモリブロックBK21内のメモリセルMC1とメモリブロックBK22内のメモリセルMC1との一対のメモリセル、これらはともにワード線WL21に対応している。)に対して1ビットの情報が記憶される。具体的には、1対のメモリセルのうち一方の可変抵抗100が低抵抗r1かつ他方の可変抵抗100が高抵抗r2の状態を”0”、一方の可変抵抗100が高抵抗r2かつ他方の可変抵抗が低抵抗r1の状態を”1”に対応させることにより、1対のメモリセルに対して1ビットの情報が記憶される。ここでは、メモリブロックBK11,BK21のメモリセル内の可変抵抗100が低抵抗r1かつメモリブロックBK12,BK22のメモリセル内の可変抵抗100が高抵抗r2の状態を”0”、メモリブロックBK11,BK21のメモリセル内の可変抵抗100が高抵抗r2かつメモリブロックBK12,BK22のメモリセル内の可変抵抗100が低抵抗r1の状態を”1”に対応させるものとし、メモリブロックBK11内のメモリセルMC1とメモリブロックBK12内のメモリセルMC1との1対のメモリセルに情報を書き込む場合を例にして説明する。
【0155】
メモリブロックBK11内のメモリセルMC1とメモリブロックBK12内のメモリセルMC1との1対のメモリセルを示すアドレスと、当該1対のメモリセルに書き込むべきデータとが外部から与えられる。
【0156】
与えられたアドレスに応答して行デコーダ10は、ブロック選択信号線BS11を活性化し、ブロック選択信号線BS21を不活性化する。また行デコーダ11は、ワード線WL11を不活性化し、ワード線WL12〜WL14,WL21〜WL24を活性化する。これによりトランジスタT11,T12がオンになり、トランジスタT21,T22がオフになる。また、メモリブロックBK11,BK12のメモリセルMC1内のトランジスタT1がオフになり、メモリブロックBK11,BK12のメモリセルMC2〜MC4内のトランジスタT1がオンになる。
【0157】
この状態で列デコーダ20は、与えられたアドレスに応答してビット線BL1,BL2およびプレート線PL1の各々に書き込みデータに応じた極性の電気的パルスを印加する。
【0158】
メモリブロックBK11内のメモリセルMC1とメモリブロックBK12内のメモリセルMC1との1対のメモリセルにデータ“1”を書き込む場合には、図27に示すような電気的パルスがビット線BL1,BL2およびプレート線PL1の各々に印加される。これによりメモリブロックBK11のメモリセルMC1内の可変抵抗100には、電極101に対して電極102が+極性となる電気的パルスが与えられ、図28(a)に示すように可変抵抗100の抵抗値Rがr2となる。一方、メモリブロックBK12のメモリセルMC1内の可変抵抗100には、電極101に対して電極102が−極性となる電気的パルスが与えられ、図28(b)に示すように可変抵抗100の抵抗値Rがr1となる。この結果、メモリブロックBK11のメモリセルMC1内の可変抵抗100が高抵抗r2かつメモリブロックBK12のメモリセルMC1内の可変抵抗100が低抵抗r1の状態となり、メモリブロックBK11内のメモリセルMC1とメモリブロックBK12内のメモリセルMC1との1対のメモリセルにデータ“1”が書き込まれたことになる。
【0159】
一方、メモリブロックBK11内のメモリセルMC1とメモリブロックBK12内のメモリセルMC1との1対のメモリセルにデータ“0”を書き込む場合には、図27に示した電気的パルスのうちビット線BL1に印加されるパルスとビット線BL2に印加されるパルスとを入れ替える。これによりメモリブロックBK11のメモリセルMC1内の可変抵抗100には、電極101に対して電極102が−極性となる電気的パルスが与えられ、可変抵抗100の抵抗値Rがr1となる。一方、メモリブロックBK12のメモリセルMC1内の可変抵抗100には、電極101に対して電極102が+極性となる電気的パルスが与えられ、可変抵抗100の抵抗値Rがr2となる。この結果、メモリブロックBK11のメモリセルMC1内の可変抵抗100が低抵抗r1かつメモリブロックBK12のメモリセルMC1内の可変抵抗100が高抵抗r2の状態となり、メモリブロックBK11内のメモリセルMC1とメモリブロックBK12内のメモリセルMC1との1対のメモリセルにデータ“0”が書き込まれたことになる。
【0160】
<メモリセルからの情報の読み出し>
次に、図25に示したメモリLSI800の読み出し動作について説明する。ここでは、メモリブロックBK11,BK21のメモリセル内の可変抵抗100が低抵抗r1かつメモリブロックBK12,BK22のメモリセル内の可変抵抗100が高抵抗r2の状態を”0”、メモリブロックBK11,BK21のメモリセル内の可変抵抗100が高抵抗r2かつメモリブロックBK12,BK22のメモリセル内の可変抵抗100が低抵抗r1の状態を”1”に対応させるものとし、メモリブロックBK11内のメモリセルMC1とメモリブロックBK12内のメモリセルMC1との1対のメモリセルからデータを読み出す場合を例にして説明する。
【0161】
メモリブロックBK11内のメモリセルMC1とメモリブロックBK12内のメモリセルMC1との1対のメモリセルを示すアドレスが外部から与えられる。
【0162】
与えられたアドレスに応答して行デコーダ10は、ブロック選択信号線BS11を活性化し、ブロック選択信号線BS21を不活性化する。また行デコーダ11は、ワード線WL11を不活性化し、ワード線WL12〜WL14,WL21〜WL24を活性化する。これによりトランジスタT11,T12がオンになり、トランジスタT21,T22がオフになる。また、メモリブロックBK11,BK12のメモリセルMC1内のトランジスタT1がオフになり、メモリブロックBK11,BK12のメモリセルMC2〜MC4内のトランジスタT1がオンになる。
【0163】
この状態で列デコーダ20は、与えられたアドレスに応答してビット線BL1とビット線BL2との間に所定の電圧V1を印加する。そして列デコーダ20は、プレート線PL1の電圧Voutを検出し、これを所定のしきい値Thと比較し、比較結果に応じてデータ“0”または“1”を読み出しデータとして外部に出力する。トランジスタT11、メモリブロックBK11,BK12のメモリセルMC2〜MC4内のトランジスタT1のオン抵抗はほぼ一定であるため、プレート線PL1の電圧Voutは、メモリブロックBK11,BK12のメモリセルMC1内の可変抵抗100の抵抗値Rに応じて異なる値となる。図29(a)に示すように、メモリブロックBK11のメモリセルMC1内の可変抵抗100が低抵抗r1かつメモリブロックBK12のメモリセルMC1内の可変抵抗100が高抵抗r2の状態の場合、プレート線PL1の電圧Vout1が検出される。この電圧Vout1はしきい値Thよりも大きいため、列デコーダ20は、データ“0”を読み出しデータとして外部に出力する。一方、図29(b)に示すように、メモリブロックBK11のメモリセルMC1内の可変抵抗100が高抵抗r2かつメモリブロックBK12のメモリセルMC1内の可変抵抗100が低抵抗r1の状態の場合、プレート線PL1の電圧Vout2が検出される。この電圧Vout2はしきい値Thよりも小さいため、列デコーダ20は、データ“1”を読み出しデータとして外部に出力する。
【0164】
<効果>
以上のように第8の実施形態によるメモリLSI800では、1対のメモリセルに対して1ビットの情報が記憶されるため、第6の実施形態に示したメモリLSI600と比較して記録・再生時のエラーをさらに低減することができる。
【0165】
<変形例>
なお、ここでは4つのメモリブロックBK11,BK12,BK21,BK22を行および列にマトリクス状に配置した例を示したが、メモリブロックの数は4つには限られない。
【0166】
また、ここではメモリブロックBK11,BK12,BK21,BK22の各々に含まれるメモリセルの個数を4つ(MC1〜MC4)としたが、この個数は4個に限定されるものではないことは言うまでもない。
【0167】
また、ここでは1対のメモリセルのうち一方の可変抵抗100が低抵抗r1かつ他方の可変抵抗100が高抵抗r2の状態を”0”、一方の可変抵抗100が高抵抗r2かつ他方の可変抵抗が低抵抗r1の状態を”1”に対応させることにより、1対のメモリセルに対して1ビットの情報を記憶させる例を示したが、与える電気的パルスのパルス幅およびパルス振幅(パルス電圧)の条件を選ぶことによりメモリセル内の可変抵抗100の抵抗値Rを、高抵抗状態における最大の抵抗値と低抵抗状態における最小の抵抗値との中間の値に変化させることが可能である。例えば、2n個(n=2,3,4・・・)の異なる抵抗値を用いて1対のメモリセルにnビットの情報を記録・再生させることによりさらに大容量の記憶素子を実現することが可能である。
【0168】
(第9の実施形態)
本発明の第9の実施形態によるシステムLSI(Embedded-RAM)400の構成を図30に示す。このシステムLSI400では、メモリ回路30とロジック回路40とが1チップ上に構成されている。このシステムLSI400は、メモリ回路30をデータRAMとして使用するものである。メモリ回路30は、第6から第8の実施形態で説明したメモリLSI600,700,800のいずれか1つと同様の構成および動作を有する。
【0169】
メモリ回路30にデータを書き込む場合、ロジック回路40は、メモリ回路30の動作モードを記憶モードにする。次にロジック回路40は、データを記憶すべきメモリセルのアドレスを示す信号をメモリ回路30に出力する。次にロジック回路40は、書き込むべきデータをメモリ回路30に出力する。次にメモリ回路30において、第6〜第8の実施形態のいずれかにおいて説明したのと同様の動作が行われ、ロジック回路40が出力したデータがメモリ回路30のメモリセルに書き込まれる。
【0170】
一方、メモリ回路30のメモリセルに書き込まれたデータを読み出す場合、ロジック回路40は、メモリ回路30の動作モードを再生モードにする。次にロジック回路40は、データを読み出したいメモリセルのアドレスを示す信号をメモリ回路30に出力する。次にメモリ回路30において、第6〜第8の実施形態において説明したのと同様の動作が行われ、選択したメモリセルに記憶されているデータが読み出されてロジック回路40に出力される。
(第10の実施形態)
本発明の第10の実施形態によるシステムLSI(reconfigurable LSI)500の構成を図31に示す。このシステムLSI500は、メモリ回路50と、プロセッサ60と、インターフェイス70を備える。このシステムLSI500では、メモリ回路50をプログラムROMとして使用する。メモリ回路50は、第6から第8の実施形態で説明したメモリLSI600,700,800のいずれか1つと同様の構成および動作を有する。メモリ回路50には、プロセッサ60の動作に必要なプログラムが記憶される。プロセッサ60は、メモリ回路50およびインターフェイス70を制御するとともに、メモリ回路50に記憶されているプログラムPmを読み出しこれに応じた処理を行う。インターフェイス70は、外部から入力されたプログラムPinをメモリ回路50に出力する。
【0171】
メモリ回路50に外部からのプログラムPinを書き込む場合、プロセッサ60は、メモリ回路50の動作モードを記憶モードにするとともにプログラムPinを書き込むべきメモリセルのアドレスを示す信号をメモリ回路50に出力する。次にインターフェイス70は、外部から入力されたプログラムPinを入力し、入力したプログラムPinをメモリ回路50に出力する。次にメモリ回路50において、第6〜第8の実施形態のいずれか1つにおいて説明したのと同様の動作が行われ、インターフェイス70からのプログラムPinがメモリセルに書き込まれる。
【0172】
一方、メモリ回路50に書き込まれたプログラムPmを読み出す場合、プロセッサ60は、メモリ回路50の動作モードを再生モードにするとともにプログラムPmを読み出したいメモリセルのアドレスを示す信号をメモリ回路50にに出力する。次にメモリ回路50において、第6〜第8の実施形態のいずれか1つにおいて説明したのと同様の動作が行われ、選択したメモリセルが記憶しているプログラムPmがプロセッサ60に出力される。プロセッサ60は、入力したプログラムPmに基づいて動作を行う。
【0173】
メモリ回路50は書き換え可能な不揮発性メモリであるため、記憶するプログラムの内容を書き換えることが可能である。これにより、プロセッサ60において実現される機能を代えることができる。また、複数のプログラムをメモリ回路50に記憶しておき、読み出すプログラムに応じてプロセッサ60で実現される機能を代えることもできる。
【0174】
以上のように第10の実施形態によれば、1つのLSIで異なる機能を実現することが可能(いわゆるre-configurable)となる。
【産業上の利用可能性】
【0175】
本発明による記憶素子は、低電力、高速書き込み・消去、大容量化が要求される不揮発性メモリとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0176】
【図1】図1は、本発明の実施形態において用いられる可変抵抗体の基本構成を示す。
【図2】図2は、図1に示した可変抵抗体にパルス電圧を印加したときの抵抗値の変化を示す。
【図3】図3は、可変抵抗体の抵抗特性および回路記号を示す。
【図4】図4は、第1の実施形態による記憶素子の構成、記録時の電圧印加方法および可変抵抗の抵抗変化を示す。
【図5】図5は、第1の実施形態による記憶素子の再生時の電圧印加方法および再生出力の変化を示す。
【図6】図6は、第1の実施形態による記憶素子のリセット時の電圧印加方法および可変抵抗の抵抗変化を示す。
【図7】図7は、第2の実施形態による記憶素子の構成、記録時の電圧印加方法および可変抵抗の抵抗変化を示す。
【図8】図8は、第3の実施形態によるメモリアレイ回路の構成を示す回路図である。
【図9】図9は、図8に示したメモリアレイ回路の断面構造を示す。
【図10】図10は、記録時およびリセット時における可変抵抗の抵抗値の変化を示す。
【図11】図11は、再生モードにおける可変抵抗の抵抗値と出力電圧との関係を示す。
【図12】図12は、可変抵抗の抵抗値が1/2である場合における可変抵抗の抵抗値と出力電圧との関係を示す。
【図13】図13は、第4の実施形態によるメモリアレイ回路の断面構造を示す。
【図14】図14は、第5の実施形態によるメモリセルの構成を示す回路図である。
【図15】図15は、記録時およびリセット時における可変抵抗の抵抗値の変化を示す。
【図16】図16は、クロスポイント構造のメモリLSIの一例を示す。
【図17】図17は、第6の実施形態によるメモリLSIの全体構成を示すブロック図である。
【図18】図18は、図17に示したメモリブロックの内部構成を示す。
【図19】図19は、各メモリセルに含まれている可変抵抗の特性を示す。
【図20】図20は、第7の実施形態によるメモリLSIの全体構成を示すブロック図である。
【図21】図21は、図20に示したメモリブロックの内部構成を示す。
【図22】図22は、図20に示したメモリLSIの書き込み動作を説明するための図である。
【図23】図23は、図20に示したメモリLSIの読み出し動作を説明するための図である。
【図24】図24は、図20に示したメモリLSIの読み出し動作を説明するための図である。
【図25】図25は、第8の実施形態によるメモリLSIの全体構成を示すブロック図である。
【図26】図26は、図25に示したメモリブロックの内部構成を示す。
【図27】図27は、図25に示したメモリLSIの書き込み動作を説明するための図である。
【図28】図28は、図25に示したメモリLSIの書き込み動作を説明するための図である。
【図29】図29は、図25に示したメモリLSIの読み出し動作を説明するための図である。
【図30】図30は、第9の実施形態によるシステムLSIの構成を示すブロック図である。
【図31】図31は、第10の実施形態によるシステムLSIの構成を示すブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端子と第3の端子との間に接続され、前記第1の端子と前記第3の端子との間のパルス電圧の極性に応じて変化する抵抗を有する第1の可変抵抗と、
前記第3の端子と第2の端子との間に接続され、前記第3の端子と前記第2の端子との間のパルス電圧の極性に応じて、前記第1の可変抵抗の変化の方向と反対の方向へ変化する抵抗を有する第2の可変抵抗とを備える、
ことを特徴とする記憶素子。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1の可変抵抗の抵抗値および前記第2の可変抵抗の抵抗値は第1の電位および前記第1の電位とは異なる第2の電位に応じて変化し、
前記第1の電位は、
前記第1の端子、前記第2の端子、前記第3の端子のうちの2つに印加され、
前記第2の電位は、
前記第1の端子、前記第2の端子、前記第3の端子のうちの他の端子に印加される、
ことを特徴とする記憶素子。
【請求項3】
請求項2において、
前記第1の端子、前記第2の端子、前記第3の端子のうちの前記2つに第1のパルス電圧により前記第1の電位が第1の時間に印加され、
前記第1の端子、前記第2の端子、前記第3の端子のうちの前記他の端子に第2のパルス電圧により前記第2の電位が前記第1の時間に印加される、
ことを特徴とする記憶素子。
【請求項4】
請求項3において、
第2の時間に、前記第1の端子、前記第2の端子、前記第3の端子のうちの前記2つに前記第2の電位の第3のパルス電圧が印加されかつ前記第1の端子、前記第2の端子、前記第3の端子のうちの前記他の端子に前記第1の電位の第4のパルス電圧が印加される、
ことを特徴とする記憶素子。
【請求項5】
請求項1において、
前記第1および第2の可変抵抗の抵抗値のうち一方は他方よりも高い値に初期化されている、
ことを特徴とする記憶素子。
【請求項6】
請求項1において、
前記第1の端子と前記第3の端子との間に印加されるパルス電圧の極性は、前記第1の端子が第1の極性を有するとき前記第1の可変抵抗の抵抗値を増加させ、前記第1の端子が前記第1の極性とは逆の第2の極性を有するとき前記第1の可変抵抗の抵抗値を減少させ、
前記第3の端子と前記第2の端子との間に印加されるパルス電圧の極性は、前記第3の端子が前記第1の極性を有するとき前記第2の可変抵抗の抵抗値を増加させ、前記第3の端子が前記第2の極性を有するとき前記第2の可変抵抗の抵抗値を減少させる、
ことを特徴とする記憶素子。
【請求項7】
請求項1において、
前記第1および第2の端子を第1の電位にした状態で前記第3の端子に第2の電位のパルス電圧を印加する、
ことを特徴とする記憶素子。
【請求項8】
請求項7において、
前記第1の電位はグランド電位であり、
前記第2の電位は前記グランド電位以外の電位である、
ことを特徴とする記憶素子。
【請求項9】
請求項7において、
前記第1の電位は正の電位でありかつ前記第2の電位は負の電位である、または、前記第1の電位は前記負の電位でありかつ前記第2の電位は前記正の電位である、
ことを特徴とする記憶素子。
【請求項10】
請求項1において、
第1の時間に前記第1の端子と前記第3の端子とに前記第1の極性の前記第1のパルス電圧を与えかつ前記第2の端子に前記第1の極性とは逆の極性の前記第2のパルス電圧を与え、第2の時間に前記第3の端子と前記第2の端子とに前記第2のパルス電圧を与えかつ前記第1の端子に前記第1のパルス電圧を与える、
ことを特徴とする記憶素子。
【請求項11】
請求項1において、
前記第1の端子に第1の電位を与えかつ前記第2の端子に第2の電位を与えた状態において前記第3の端子の電圧を出力する、
ことを特徴とする記憶素子。
【請求項12】
与えられるパルス電圧に応じてその抵抗値が変化する記憶素子であって、
複数のメモリセルを備え、
前記複数のメモリセルの各々は、
半導体基板上に形成されソース,ドレイン,およびゲートを有するトランジスタと、
前記トランジスタの上に形成される絶縁層と、
前記絶縁層の上に形成される可変抵抗層と、
前記可変抵抗層の上に形成される2つの電極とを含み、
前記トランジスタのドレインおよびソースの少なくとも一方は前記2つの電極に電気的に接続される、
ことを特徴とする記憶素子。
【請求項13】
請求項12において、
前記複数のメモリセルの各々は、
前記絶縁層の上に形成される導電層と、
前記トランジスタのドレインおよびソースの少なくとも一方と前記導電層とを電気的に接続するコンタクトプラグとをさらに含む、
ことを特徴とする記憶素子。
【請求項14】
請求項12において、
前記可変抵抗層は、ペロブスカイト構造の酸化物である、
ことを特徴とする記憶素子。
【請求項15】
請求項14において、
前記ペロブスカイト構造の酸化物は、巨大磁気抵抗材料である、
ことを特徴とする記憶素子。
【請求項16】
請求項14において、
前記ペロブスカイト構造の酸化物は、高温超伝導材料である、
ことを特徴とする記憶素子。
【請求項17】
請求項12において、
前記可変抵抗層は、イルメナイト構造の酸化物である、
ことを特徴とする記憶素子。
【請求項18】
請求項17において、
前記イルメナイト構造の酸化物は、非線形光学材料である、
ことを特徴とする記憶素子。
【請求項19】
請求項13において、
前記導電層は、
Pt,Ag,Au,Ir,Ru,Ti,Ta,Al,Cu,RuO,RuO,SrRuO,LaCoO,SrCoO,LaSrCoO,TiN,TiO,YBaCu,IrO,TaSiN,MoNのうちのいずれか1つ、あるいはそれらの混合物から構成されている、
ことを特徴とする記憶素子。
【請求項20】
請求項12において、
前記2つの電極の各々は、
Cu,Al,Ag,Pt,Au,Ir,Ru,Os,Ti,Taのうちのいずれか1つ、あるいはそれらの混合物から構成されている、
ことを特徴とする記憶素子。
【請求項21】
第1のノードと第2のノードとの間に接続された第1のメモリブロックと、
前記第1のノードと前記第2のノードとの間に前記第1のメモリブロックと直列に接続された第1のブロック選択トランジスタと、
前記第1のメモリブロックと前記第1のブロック選択トランジスタとの相互接続ノードと第3のノードとの間に接続された第2のメモリブロックとを備え、
前記第1および第2のメモリブロックの各々は、
直列に接続された複数のメモリセルを含み、
前記複数のメモリセルの各々は、
第1の端子と第2の端子との間に接続されかつ当該第1の端子と当該第2の端子との間に与えられるパルス電圧に応答して抵抗値が変化する可変抵抗と、
前記第1の端子と前記第2の端子との間に前記可変抵抗と並列に接続されたトランジスタとを含む、
ことを特徴とするメモリ回路。
【請求項22】
請求項21において、
データの書き込み時には、
前記第1のブロック選択トランジスタをオンにし、
前記第1のメモリブロックに含まれているメモリセルのうちの第1のメモリセルに含まれているトランジスタをオフにし、かつ、前記第1のメモリブロックに含まれているメモリセルのうちの前記第1のメモリセル以外のメモリセルに含まれているトランジスタをオンにし、
前記第2のメモリブロックに含まれているメモリセルのうちの第2のメモリセルに含まれているトランジスタをオフにし、かつ、前記第2のメモリブロックに含まれているメモリセルのうちの前記第2のメモリセル以外のメモリセルに含まれているトランジスタをオンにする、
ことを特徴とするメモリ回路。
【請求項23】
請求項22において、
データの書き込み時には、
前記第1のメモリセルに含まれている可変抵抗の抵抗値を増加させるパルス電圧を前記第1のノードと前記第2のノードとの間に印加し、かつ、前記第2のメモリセルに含まれている可変抵抗の抵抗値を減少させるパルス電圧を前記第1のノードと前記第3のノードとの間に印加する、
ことを特徴とするメモリ回路。
【請求項24】
請求項21において、
データの読み出し時には、
前記第1のブロック選択トランジスタをオンにし、
前記第1のメモリブロックに含まれているメモリセルのうちの第1のメモリセルに含まれているトランジスタをオフにし、かつ、前記第1のメモリブロックに含まれているメモリセルのうちの前記第1のメモリセル以外のメモリセルに含まれているトランジスタをオンにし、
前記第2のメモリブロックに含まれているメモリセルのうちの第2のメモリセルに含まれているトランジスタをオフにし、かつ、前記第2のメモリブロックに含まれているメモリセルのうちの前記第2のメモリセル以外のメモリセルに含まれているトランジスタをオンにする、
ことを特徴とするメモリ回路。
【請求項25】
請求項24において、
前記第2のノードと前記第3のノードとの間に所定の電圧を印加した状態で前記第1のノードの電圧を検出する、
ことを特徴とするメモリ回路。
【請求項26】
請求項21において、
前記複数のメモリセルの各々はマトリクス状に配置される、
ことを特徴とするメモリ回路。
【請求項27】
第1のノードと第2のノードとの間に接続された第1のメモリブロックと、
前記第1のノードと前記第2のノードとの間に前記第1のメモリブロックと直列に接続された第1のブロック選択トランジスタと、
前記第2のノードと第3のノードとの間に接続された第2のメモリブロックと、
前記第2のノードと前記第3のノードとの間に前記第2のメモリブロックと直列に接続された第2のブロック選択トランジスタとを備え、
前記第1および第2のメモリブロックの各々は、
直列に接続された複数のメモリセルを含み、
前記複数のメモリセルの各々は、
第1の端子と第2の端子との間に接続されかつ当該第1の端子と当該第2の端子との間に与えられるパルス電圧に応答して抵抗値が変化する可変抵抗と、
前記第1の端子と前記第2の端子との間に前記可変抵抗と並列に接続されたトランジスタとを含む、
ことを特徴とするメモリ回路。
【請求項28】
請求項27において、
データの書き込み時には、
前記第1のブロック選択トランジスタおよび前記第2のブロック選択トランジスタをオンにし、
前記第1のメモリブロックに含まれているメモリセルのうちの第1のメモリセルに含まれているトランジスタをオフにし、かつ、前記第1のメモリブロックに含まれているメモリセルのうちの前記第1のメモリセル以外のメモリセルに含まれているトランジスタをオンにし、
前記第2のメモリブロックに含まれているメモリセルのうちの第2のメモリセルに含まれているトランジスタをオフにし、かつ、前記第2のメモリブロックに含まれているメモリセルのうちの前記第2のメモリセル以外のメモリセルに含まれているトランジスタをオンにする、
ことを特徴とするメモリ回路。
【請求項29】
請求項28において、
データの書き込み時には、
前記第1のメモリセルに含まれている可変抵抗の抵抗値を増加させるパルス電圧を前記第1のノードと前記第2のノードとの間に印加し、かつ、前記第2のメモリセルに含まれている可変抵抗の抵抗値を減少させるパルス電圧を前記第2のノードと前記第3のノードとの間に印加する、
ことを特徴とするメモリ回路。
【請求項30】
請求項27において、
データの読み出し時には、
前記第1のブロック選択トランジスタおよび前記第2のブロック選択トランジスタをオンにし、
前記第1のメモリブロックに含まれているメモリセルのうちの第1のメモリセルに含まれているトランジスタをオフにし、かつ、前記第1のメモリブロックに含まれているメモリセルのうちの前記第1のメモリセル以外のメモリセルに含まれているトランジスタをオンにし、
前記第2のメモリブロックに含まれているメモリセルのうちの第2のメモリセルに含まれているトランジスタをオフにし、かつ、前記第2のメモリブロックに含まれているメモリセルのうちの前記第2のメモリセル以外のメモリセルに含まれているトランジスタをオンにする、
ことを特徴とするメモリ回路。
【請求項31】
請求項30において、
データの読み出し時には、
前記第1のノードと前記第3のノードとの間に所定の電圧を印加した状態で前記第2のノードの電圧を検出する、
ことを特徴とするメモリ回路。
【請求項32】
少なくとも3つの端子を有する可変抵抗メモリセルへのデータ書き込みおよび当該可変抵抗メモリセルのリセットを行う方法であって、
前記可変抵抗メモリセルの3つの端子のうちの2つに第1の電位を与えるステップと、
前記可変抵抗メモリセルの前記2つの端子以外の端子に第2の電位を与えるステップとを備える、
ことを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項32において、
データの書き込み時には、前記第2の電位は第1の極性を有し、
リセット動作時には、前記第2の電位は前記第1の極性とは逆の第2の極性を有する、
ことを特徴とする方法。
【請求項34】
請求項32において、
前記可変抵抗メモリセルの第1の可変抵抗素子の抵抗値を変化させるステップと、
前記可変抵抗メモリセルの第2の可変抵抗素子の抵抗値を、前記第1の可変抵抗素子の抵抗値の変化の方向とは反対の方向に変化させるステップとをさらに備える、
ことを特徴とする方法。
【請求項35】
請求項32において、
前記第1の電位を与えるステップは、
前記第1の電位の第1のパルスを第1の時間に与えるステップを含み、
前記第2の電位を与えるステップは、
前記第2の電位の第2のパルスを前記第1の時間に与えるステップを含み、
前記第2のパルスは、前記第1のパルスの第1の極性とは逆の第2の極性を有する、
ことを特徴とする方法。
【請求項36】
請求項35において、
前記可変抵抗メモリセルの前記3つの端子のうちの2つの端子に前記第2の極性の第3の電位を第2の時間に与えるステップと、
前記可変抵抗メモリセルの前記2つの端子以外の端子に前記第1の極性の第4の電位を前記第2の時間に与えるステップとをさらに備える、
ことを特徴とする方法。
【請求項37】
少なくとも3つの端子を有する可変抵抗メモリセルのデータの読み出し方法であって、
前記3つの端子のうちの第1の端子にグランド電圧を与えるステップと、
記録電圧よりも低い再生電圧を前記3つの端子のうちの第2の端子に与えるステップと、
前記3つの端子のうちの第3の端子から電圧を出力するステップとを備える、
ことを特徴とする方法。
【請求項38】
請求項37において、
前記出力される電圧は、記録動作時に与えられる電圧パルスの数に対応する複数の値を有する、
ことを特徴とする方法。
【請求項39】
少なくとも1ビットのデータを記憶するメモリセルであって、
第1の端子と第3の端子との間のパルス電圧の極性に応じて抵抗が変化する第1の可変抵抗手段と、
前記第3の端子と第2の端子との間のパルス電圧の極性に応じて、前記第1の可変抵抗手段の抵抗変化とは逆の方向に抵抗が変化する第2の可変抵抗手段とを備える、
ことを特徴とするメモリセル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate


【公表番号】特表2007−514265(P2007−514265A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−543724(P2006−543724)
【出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【国際出願番号】PCT/JP2004/016082
【国際公開番号】WO2005/066969
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】