説明

記録再生装置及び記録再生方法

【課題】 本発明の目的は、つなぎ撮り開始可能な画像データを確認することができ、ユーザの所望の編集位置からつなぎ撮りを開始することを可能とする。
【解決手段】 記録媒体に記録される第1の画像データに含まれる所定のデータに基づいて、前記第1の画像データの編集位置を検出し(ステップS602)、検出される前記編集位置の画像データを表示手段上に再生させ(ステップS603)、所定の操作入力に対応する前記編集位置から第2の画像データを前記記録媒体に記録する(ステップS607)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に記録されるデータを記録再生可能な記録再生装置及び記録再生方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタル動画像信号を磁気テープに対して記録再生するデジタルVTRが知られている。また、近年では、デジタル動画像信号をMPEG方式で符号化して磁気テープに記録する装置も提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、テープ上の所定数のトラックを単位として記録するデータに対してエラー訂正符号化処理を施して記録するものが開示されている。従って、テープに記録されている動画像信号の終端部分に引き続いて動画像信号を記録する、いわゆるつなぎ撮りを行う場合にも、このエラー訂正符号化の単位である所定数のトラック単位でつなぎ撮りを行えば、再生時につなぎ部分において再生画像が乱れることなく良好な再生画像を得ることができる。
【0003】
そのため、特許文献1では、つなぎ撮り開始前に、つなぎ撮り開始部分におけるエラー訂正符号化単位分のデータを再生してメモリに記憶しておき、このメモリ上で新たに記録を開始する動画像信号を合成した後、改めて所定数のトラックを単位としてエラー訂正符号化し、記録している。
【0004】
【特許文献1】特開2000−134568号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、テープ上に記録されたMPEGデータに対してつなぎ撮りを行う場合、MPEGデータは、フレーム内符号化の画面であるIピクチャ、前方向予測符号化画面であるPピクチャ、双方向予測符号化画面であるBピクチャを組み合わせて符号化しているため、例えば、Bピクチャに引き続いてつなぎ撮りを開始してしまった場合、元の画像データの最後の部分を正しく復号することができず、再生画像が乱れてしまう。
【0006】
そのため、Iピクチャ、あるいは、Pピクチャのタイミングでつなぎ撮りを行うことで、このような再生時の画像の劣化を防ぐことができる。
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示される発明では、ユーザは、テープ上に記録されている画像データのうち、どのフレームからつなぎ撮りを開始することができるのかということを把握することができないので、自分の意図した位置からつなぎ撮りを行うことができない、という問題があった。
【0008】
本発明の目的は、つなぎ撮り開始可能な画像データを確認することができ、ユーザの所望の編集位置からつなぎ撮りを開始することを可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の記録再生装置は、記録媒体に記録される第1のデータに含まれる所定のデータに基づいて、前記第1のデータの編集位置を検出する検出手段と、前記検出手段により検出される前記編集位置のデータを前記記録媒体より再生し、表示装置に表示再生させる表示制御手段と、所定の操作入力に対応する前記編集位置から第2のデータを前記記録媒体に記録する記録手段とを有することを特徴とする。
本発明の記録再生方法は、記録媒体に記録される第1のデータに含まれる所定のデータに基づいて、前記第1のデータの編集位置を検出する検出ステップと、前記検出ステップにより検出される前記編集位置のデータを前記記録媒体より再生し、表示装置に表示させる表示制御ステップと、所定の操作入力に対応する前記編集位置から第2のデータを前記記録媒体に記録する記録ステップとを含むことを特徴とする。
本発明のプログラムは、前記記録再生方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
本発明のコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、前記プログラムを記録したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、記録媒体に記録される第1のデータの編集位置を検出し、その編集位置のデータを再生させ、所定の操作入力があった場合に対応する編集位置から第2のデータを上記記録媒体に記録するように構成したので、つなぎ撮り開始可能なデータを確認することができ、ユーザの所望の編集位置からつなぎ撮りを開始することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を適用した好適な実施形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1及び後述する第2の実施形態に係る記録再生装置の全体構成を示す図である。101は、映像の入出力するVIDEO I/F、102は、音声の入出力するAUDIO I/F、103は、画像を圧縮、伸張するMPEGコーデック、104は、画像圧縮データを蓄積するバッファを制御するバッファ管理部、105は、可変長の画像圧縮データを蓄積するバッファ、106は、エラー訂正処理を行うエラー訂正部、107は、エラー訂正を行うための作業用のメモリであるECC WORK メモリ、108は、編集ポイントを含むECCユニットを保存するECCユニットキャプチャメモリ、109は、アナログ信号を変調、復調するテープインタフェース、110は、各ブロックを制御するマイコン、111は、マイコンからの指示でテープを駆動するキャプスタンモータ、112は、記録媒体であるテープである。
【0013】
図1を使用し、磁気テープ上のデータを再生する動作について説明する。マイコン110の指示により、転送されているテープ112から、回転ドラム上に取り付けられた磁気ヘッドにて、再生されたアナログ信号を取り出す。取り出されたアナログ信号は、テープインタフェース109にて復調されデジタルデータに変換される。
【0014】
また、テープ112上のデータは、テープインタフェース109で復調され、エラー訂正部106に入力される。エラー訂正部106は、入力したデータをECC WORKメモリ107に蓄積し、エラー訂正復号処理を行う。エラー訂正後のデータは、エラー訂正部106よりバッファ管理部104を通してストリームバッファ105に蓄積される。
【0015】
次に、ストリームバッファ105に蓄積されたデータを、MPEGコーデック103が読出し、デコードし、VIDEO I/F101、AUDIO I/F102に出力する。
【0016】
次に記録動作を説明する。マイコン110の指示により、VIDEO I/F101、AUDIO I/F102からの入力信号をMPEGコーデック103によりエンコードし、ストリームバッファ105へ蓄積される。蓄積されたエンコードデータは、バッファ管理部104を通してエラー訂正部106によりエラー訂正符号化処理され、ECC WORKメモリ107へ蓄積される。ECC WORKメモリ107に蓄積されたデータは、テープインタフェース109で変調され、磁気テープ112へ記録される。
【0017】
図2は、本実施形態における磁気テープ上の記録パターンの一例を示す図である。本実施形態では、磁気テープ112上に形成した16トラック分のデータを一つのエラー訂正符号化の単位(以下、ECCユニットと称す)としており、テープに対しては、この16トラックを最小の記録単位として動画像データを記録している。
【0018】
また、本実施形態では、動画像をMPEG方式で符号化して記録しているが、MPEG方式によれば、1フレームの画像データのデータ量がフレーム毎に異なるため、テープ上におけるフレームの境界位置が一定とならない。そのため、つなぎ撮りを行う場合には、つなぎ撮り部分を含むECCユニットのデータをメモリに記憶した後、メモリ上でつなぎ撮り開始部分のデータを合成して記録しなおしている。
【0019】
また、図2中の編集ポイントとは、このように新たな記録を開始できるポイントを示す情報であり、本実施形態では、Iピクチャ、あるいは、Pピクチャの先頭部分に記録されている。MPEG符号化ではフレーム毎のデータ量が変化するため、この編集ポイントを含むECCユニットと含まないECCユニットが存在することになる。
【0020】
図3は、本実施形態における磁気テープ上のECCユニット(16トラックのデータ)の一例を示す。テープ上には、記録の最小単位(ECCユニット)である16トラック単位で図3に示すようにOuter Parityがつけられており、ECCユニット単位でエラー訂正を行うことにより、ECCユニット単位でエラーの有無を判断する。よってこのECCユニットが記録の最小単位となる。
【0021】
また、ECCユニット内には、このECCユニット内の情報を示すシステムデータが用意されている。システムデータ内には、このECCユニット内の編集ポイントの有無及び、編集ポイントのECCユニット内の位置(トラックナンバ及び、後述のシンクブロックナンバ)、編集ポイントから記録されているピクチャのDTS(Decode Time Stamp)と1つのピクチャが復号のためにVBVバッファ内に留まる時間を示すVBV_Delay値及び、ピクチャの種類が書き込まれている。
【0022】
図4は、図3における各トラック内の構成を示している。トラック内は、0〜138のSync Blockで構成されている。各Sync BlockはSync、ID0、ID1、ID2、Outer Parity又はDATA、そして最後にInner Parityで構成されている。そして、ID0〜2の中には、ECCユニット内のトラック位置を示すトラックペアNO.およびトラック内のSync Block位置を示すSync Block NO.が含まれる。エラー訂正部106は、このトラック内にあるOuter Parity、Inner Parityを用いてECCユニット単位でエラー検出および訂正を行う。
【0023】
図5に、本実施形態における記録パターンについて、編集ポイントとピクチャの構成を示す。図5に示すように、本実施形態における記録パターンは、1GOPが15フレームからなっており、3フレーム毎に編集ポイントがある構成となっている。
【0024】
本実施形態では、上述した再生動作の際、ECCユニット単位のシステムデータにより編集ポイントの有無を判断し、編集ポイントとなる画像のみMPEGコーデックによりデコード処理し再生する。従って、編集ポイントとなる、Iピクチャ及びPピクチャを再生表示することとなり、3フレーム毎に表示画像が更新することとなる。
【0025】
図6は、本実施形態に係る記録再生装置の処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートでは、つなぎ撮り開始位置を探すため、ユーザから編集開始位置検索モードの指示があった場合について示している。即ち、上記図5の説明で示したように、編集点となるIピクチャ及びPピクチャの再生表示を行い、選ばれた画像より、新たな記録をスタートするシーケンスについて示している。
【0026】
先ず、記録済みの磁気テープを定常再生する(ステップS601)。次に、ECCユニット内のシステムデータを読み込み、編集ポイントの有無を読み込み、編集ポイントを検出する(ステップS602)。
【0027】
続いて、編集ポイントが検出された場合、編集ポイントの画像を再生表示すると共に、システムデータの値から、ピクチャの種類を再生画像に重ね合わせ表示する(ステップS603)。また、このシステムデータを保持する。ピクチャの種類を再生画像に重ね合わせた例を図7に示す。
【0028】
続いて、STILL再生(画像STOP)が指示されたかどうか判断し(ステップS604)、STILL再生が指示されれば、ステップS605へ、STILL再生がされなければ、ステップS602へ戻り、次の編集ポイントを検出しに行く。
【0029】
次に、記録開始指示がされたか否かを判断し(ステップS605)、記録開始指示がされれば、ステップS606へ、記録開始指示がされなければ、ステップS604へ戻り、指示待ち状態となる。
【0030】
記録開始指示がされると、現在STILL再生している画像が記録されている磁気テープの位置へ磁気テープを巻き戻す(ステップS606)。磁気テープを巻き戻す際には前記システムデータ内の編集ポイントの位置に基づいてテープ位置を判断する。そして、編集ポイントより新たな記録を開始する(ステップS607)。
【0031】
以上説明したように、磁気テープを定常再生し、編集ポイントが検出される毎に画像を表示し、ピクチャの種類を表示し、編集ポイントが磁気テープ上のどの画像で、その画像の種類を容易に知ることができ、また、編集したい画像でSTILL再生することにより、その画像より新たな記録を開始することができる。
【0032】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態は、第1の実施形態で再生表示された画像を複数毎に並べて表示するものである。
【0033】
図8に、本実施形態における画面表示の一例を示す。図8に示すように、第1の実施形態と同様、編集ポイントを検出し、編集ポイントが検出された画像を画面の左上より順次表示するとともに、ピクチャの種類を画像の上に表示し、システムデータを保持する。
【0034】
STILL表示の指示があるまで、上記動作を順次繰り返し、左上の画像より更新する。STILL表示の支持がされると、画像の更新を止める。
【0035】
次に、新たな記録を開始する編集ポイントとなる画像を選ぶ。図9に編集ポイントとなる画像を選ぶ場合の表示構成例を示す。図9に示すように、画像枠を表示し、新たな記録を開始する編集ポイントなる画像に移動する。後は、第1の実施形態と同様の処理を行う。
【0036】
また、ピクチャの種類の表示は、第1及び第2の実施形態に示したような文字よる表示の変わりに、目印となる記号等を用いても構わない。
【0037】
以上のように、上記実施形態によれば、つなぎ撮り開始位置の画面を容易に認識でき、所望の位置よりつなぎ撮りを開始することが可能となる。
【0038】
また、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
【0039】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、プログラムコード自体及びそのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0040】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
【0041】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(基本システム或いはオペレーティングシステム)などが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0042】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1及び第2の実施形態に係る記録再生装置の全体構成を示す図である。
【図2】磁気テープの一例を示す図である。
【図3】磁気テープ上のECCユニットの一例を示す図である。
【図4】図3における各トラック内の構成を示す図である。
【図5】記録パターンについて、編集ポイントとピクチャの構成を示す図である。
【図6】記録再生装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】ピクチャの種類を再生画像に重ね合わせた例を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態における画面表示の一例を示す図である。
【図9】編集ポイントとなる画像を選ぶ場合の表示構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0044】
101 VIDEO I/F
102 AUDIO I/F
103 MPEGコーデック
104 バッファ管理部
105 ストリームバッファ
106 エラー訂正部
107 ECCWORKメモリ
108 キャプチャメモリ
109 テープインタフェース
110 マイコン
111 キャプスタンモータ
112 テープインタフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に記録される第1のデータに含まれる所定のデータに基づいて、前記第1のデータの編集位置を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出される前記編集位置のデータを前記記録媒体より再生し、表示装置に表示再生させる表示制御手段と、
所定の操作入力に対応する前記編集位置から第2のデータを前記記録媒体に記録する記録手段とを有することを特徴とする記録再生装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記編集位置に対応する前記第1のデータの種類を前記表示装置に表示させることを特徴とする請求項1に記載の記録再生装置。
【請求項3】
前記検出手段は、MPEGデータである前記第1のデータ内のIピクチャ及びPピクチャを前記編集位置のデータとして検出することを特徴とする請求項1又は2に記載の記録再生装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記検出手段により検出される前記編集位置のデータの一覧を前記表示装置に表示させることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の記録再生装置。
【請求項5】
前記表示装置に表示された前記編集位置のデータの一覧から所望の編集位置を選択するための選択手段を更に有することを特徴とする請求項4に記載の記録再生装置。
【請求項6】
記録媒体に記録される第1のデータに含まれる所定のデータに基づいて、前記第1のデータの編集位置を検出する検出ステップと、
前記検出ステップにより検出される前記編集位置のデータを前記記録媒体より再生し、表示装置に表示させる表示制御ステップと、
所定の操作入力に対応する前記編集位置から第2のデータを前記記録媒体に記録する記録ステップとを含むことを特徴とする記録再生方法。
【請求項7】
請求項6に記載の記録再生方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−294115(P2006−294115A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−112458(P2005−112458)
【出願日】平成17年4月8日(2005.4.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】