説明

記録再生装置及び記録再生方法

【課題】多層構造の記録媒体から安定的に記録又は再生を行うことを可能にする記録再生装置を提供する。
【解決手段】膜厚方向において積層された複数の記録層とサーボ層とを含む3次元的記録媒体に対する記録再生装置であって、記録媒体の可動保持装置と、第1波長のサーボ用レーザ光の光源と、第1波長と異なる第2波長の記録用レーザ光の光源と、サーボ用レーザ光光学系及び記録用レーザ光光学系に共通する対物レンズを含む光学装置と、サーボ層及び記録層から対物レンズを介して戻る第1及び第2波長の光を検出する手段とを備え、サーボ層上でのサーボ用レーザ光のスポットサイズが所定の記録層上での記録用レーザ光のスポットサイズと略等しくなるようにサーボ用レーザ光光学系の開口数を設定するとともに、対物レンズによるサーボ用レーザ光及び記録用レーザ光のフォーカス位置を複数の記録層の膜厚方向において互いに離間して設定する焦点調整装置を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光ビームの照射により情報の記録又は再生可能な記録層を有する光ディスク、光カードなどの光学的に情報記録又は情報再生が行われる記録媒体のための記録再生装置及び記録再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、記録媒体の光ディスクは、映像データ、音声データ及びコンピュータデータなどのデータを記録再生する手段として広く用いられている。例えば、DVD(Digital Versatile Disc)、ブルーレイディスク(Blu-ray Disc)の規格には、ディスク片側から読み出すことができる、片面に2つの記録層を有する2層ディスクが、再生用、記録用ディスクとして実用化されている。
【0003】
2層ディスクでは、再生用光ビームの焦点を各層へ移動させるだけで浅い記録層、深い記録層のいずれの電気信号もディスク片側から読み出すことができる。光ビームが浅い記録層を透過して深い記録層の電気信号を読み取れるように浅い記録層を半透明膜とし、その膜厚や材料が選択される。深い記録層は反射膜が用いられる。浅い記録層と深い記録層の間にはこれらを一定の厚さで分離するため、光の波長での透過率が高い光透過性のスペーサ層が設けられる。
【0004】
一方、次世代光ディスクではブルーレイディスクよりさらに高密度化が要求され、そのために記録層を更に増やした多層化すると共に、多層光ディスクにおいて記録再生を行う際、サーボをかけるために多層光ディスクにサーボ層と記録層を別に設けて、サーボ用レーザ光でサーボ層から信号を得ながら記録用レーザ光で記録層の各々に記録するというシステムが提案されている(特許文献1〜5参照)。
【0005】
特許文献1の技術は、多層光ディスクのトラッキング制御と焦点制御とをピンホールを用いずに良好に実現するために、サーボ用レーザ光と記録用レーザ光をそれぞれサーボ層、記録層に異なった周波数で変調して照射、あるいは時分割的に点灯することによって、1つの光検出器でもトラッキング誤差信号と焦点ズレ信号とを検出でき、各層からの情報を分離できるようにしている。
【0006】
特許文献2の技術は、サーボ層にサーボ用レーザ光を照射してサーボを行い、記録層に記録用レーザ光を照射して記録媒体に記録する多層記録再生システムにおいて、あらかじめ指定した領域のみで記録層でのみ層間移動を実行するとともに、個々の記録マークに対して半径方向隣の記録トラックでは深さ方向に層間の半分だけずらして記録マークを形成することにより、半径方向の記録トラックのピッチを狭くして、高密度化を可能としている。
【0007】
特許文献3の技術は、3次元記録媒体を、予めトラッキング制御用信号を形成した制御層と、光学的性質を変化させることができる感光材料とを重ねた記録媒体として、感光材料の体積中に記録すべきデータに対応する離散的な光学的性質が変化した部分が分布する領域を層状(各層を「記録層」と呼ぶ。)に、制御層のトラッキング制御用信号によってガイドされた光ビームが通る経路(制御トラック)に重ねて形成するようにしている。
【0008】
特許文献4の技術は、サーボ層を予め形成したバルク状態(記録層)の3次元光ディスクにおいて、サーボ用レーザ光によりサーボ層から戻ってくる信号によりフォーカス、及びトラッキングサーボを行い、記録用レーザ光によりサーボ層の奥にある記録層にデータを記録し、記録用レーザ光を別の記録層に照射する場合は光学系のアクチュエータにより対物レンズを移動して、さらに深い層に焦点が結ぶように動作することにより、記録層厚さ方向にデータを記録するようにしている。
【0009】
特許文献5の技術は、記録層等のデータ層を複数積層した多層情報媒体において、記録層に対し記録または再生を行う記録用レーザ光と、サーボ層を読み出すサーボ用レーザ光とを用い、データ層より奥に配置されたサーボ層によりサーボ層が読み出される記録または再生方法に用いられ、データ層とサーボ層との間に、データ用レーザに対する吸収率がサーボ用レーザ光に対する吸収率よりも高いフィルタ層を設けている。
【特許文献1】特開2007-4897号公報
【特許文献2】特開2006-107668号公報
【特許文献3】特開2003-36537号公報
【特許文献4】特開2002-3129581号公報
【特許文献5】特開2002-63738号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来から検討されている多層構造の光ディスクのシステムでは、図1に示すように、サーボ用レーザ光SBと記録用レーザ光RBが同一の開口数の対物レンズで集光しているため、それぞれの目的層(サーボ層11、記録層5)上での有効スポットSB7、RB7のサイズが異なる。例えば、サーボ層11上の有効スポットサイズSB7と、記録層5上の有効スポットサイズRB7が異なる場合、記録容量はスポットサイズが大きい方に制限されてしまう。
【0011】
そこで、本発明の解決しようとする課題には、効率的に記録又は再生を行うことを可能にする記録再生装置及び方法を提供することが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の記録再生装置は、膜厚方向において積層された複数の記録層とフォーカスサーボ及びトラッキングサーボ情報を担持するサーボ層とを含む記録媒体に対して集光された光の照射をなすことにより前記記録媒体における3次元的記録位置においてデータの記録再生をなす記録再生装置であって、
前記記録媒体を着脱自在に保持する可動保持装置と、
第1波長のサーボ用レーザ光の光源と、
前記第1波長と異なる第2波長の記録用レーザ光の光源と、
前記サーボ用レーザ光及び記録用レーザ光を前記サーボ層及び前記記録層へそれぞれ集光するサーボ用レーザ光光学系及び記録用レーザ光光学系に共通する対物レンズを含む光学装置と、
前記サーボ層及び前記記録層から前記対物レンズを介して戻る前記第1及び第2波長の光を検出する手段と、を備え、
前記サーボ層上でのサーボ用レーザ光のスポットサイズが所定の記録層上での記録用レーザ光のスポットサイズと略等しくなるように前記サーボ用レーザ光光学系の開口数を設定するとともに、前記対物レンズによる前記サーボ用レーザ光及び記録用レーザ光のフォーカス位置を前記複数の記録層の膜厚方向において互いに離間して設定する焦点調整装置を含むことを特徴とする。この場合、前記サーボ用レーザと記録用レーザの光スポットサイズが略等しくなるとは、光学系で30mλ(ただしλは前記サーボ用レーザ又は記録用レーザの光の波長を示す)の波面収差があるときに拡がるスポットサイズの誤差範囲内で一致することをいう。30mλすなわち3λ/100の波面収差値を基準とするは、いわゆるマレシャル限界λ/14=0.071λ[rms]の半分未満に収められているからである。また、前記サーボ用レーザと記録用レーザの光スポットサイズが完全に一致することが最も望ましいことはいうまでもない。
【0013】
本発明の記録再生方法は、膜厚方向において積層された複数の記録層とフォーカスサーボ及びトラッキングサーボ情報を担持するサーボ層とを含む記録媒体に対して集光された光の照射をなすことにより前記記録媒体における3次元的記録位置においてデータの記録再生をなす記録再生方法であって、
前記記録媒体を着脱自在に保持する工程と、
サーボ用レーザ光光学系及び記録用レーザ光光学系に共通する対物レンズを介して、第1波長のサーボ用レーザ光及び前記第1波長と異なる第2波長の記録用レーザ光を前記サーボ層及び前記記録層へそれぞれ集光する工程と、
前記サーボ層及び前記記録層から前記対物レンズを介して戻る前記第1及び第2波長の光を検出する工程と、を含み、
前記サーボ層上でのサーボ用レーザ光のスポットサイズが所定の記録層上での記録用レーザ光のスポットサイズと略等しくなるように前記サーボ用レーザ光光学系の開口数を設定するとともに、前記対物レンズによる前記サーボ用レーザ光及び記録用レーザ光のフォーカス位置を前記複数の記録層の膜厚方向において互いに離間して設定する集光設定工程を含むことを特徴とする。
【0014】
上記の従来技術においてもサーボ層と記録層におけるサーボ用レーザ光と記録用レーザ光の相互のスポットサイズの制御はなされていないが、本発明の構成によれば、サーボ用レーザ光と記録用レーザ光の有効スポットサイズを略等しくなるように相互のスポットサイズの制御をなすとともに、サーボ用レーザ光と記録用レーザ光のそれぞれの波長とレンズ系の開口数を設定するので、効率的に記録又は再生を行うことができる。よって、サーボ用レーザ光の有効スポットサイズと記録用レーザ光のスポットサイズを揃えてサーボ層と記録層のトラックのピッチを同じにすることで、記録媒体から効率的に記録再生を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0016】
(記録再生装置)
図2は本実施形態の記録媒体及びその記録又は再生のための記録再生システムの概略構成を示す。
【0017】
図2に示すように、記録再生装置は、ディスク状の記録媒体2を回転自在に保持するターンテーブル(可動保持装置)を有するスピンドルモータ8、記録媒体2へ記録再生用の光ビームを照射する対物レンズを含むピックアップ23、及びこれらを制御する制御装置101などを備えている。制御装置101は、スピンドルモータ8及びピックアップ23に設けられている各種センサから各種出力される出力データに基づいてスピンドルモータ8及びピックアップ23を制御するとともに、それらデータを処理する。制御装置101からの信号によって、ピックアップ23は回転制御されている記録媒体2に対してサーボ制御用光ビームを用いて記録用の光ビームの位置を制御しつつ照射し記録マークを記録媒体2に記録する。制御装置101は再生用光ビームの戻り光から生成される信号をピックアップ23から得てこれを復号処理して出力する。
【0018】
(記録媒体)
図3は実施形態1の記録媒体2である、屈折率変化タイプの多光子吸収材料を記録層に利用した多層記録媒体としての多層光ディスクの断面構造例を示す。記録媒体2は、記録用レーザ光RB及びサーボ用レーザ光SBの入射側から、カバー層13、サーボ層11、サーボ用レーザ光SBの反射用波長選択性反射膜9、記録層群50、保持基板3からなる。
【0019】
カバー層13は光透過性材料からなり、積層構造の平坦化や、記録層群50などの保護の機能を担う。
【0020】
サーボ層11はサーボ用のグルーブなどが記録されたフォーカス及びトラッキングサーボ信号を検出するための層である。
【0021】
記録層群50は各々が情報を記録する複数の記録層5の積層である。
【0022】
サーボ層11及び記録層群50間の波長選択性反射膜9は、記録用レーザ光RBとは異なる波長のサーボ用レーザ光SB(第1波長、例えば記録用レーザ光より長い波長)を反射しかつ記録用レーザ光RB(第2波長)を透過するように設定されている。すなわち、この例では、記録層群50の光入射側にサーボ層11が配置されている。
【0023】
対物レンズOBが集光するサーボ用レーザ光SBと特定位置関係にある記録用レーザ光RBによって、記録層群50の記録用レーザ光RBの各々の記録層5の集光点において、3次元的にデータ(記録マークRM)が記録される。所定の開口数を有する対物レンズOBは集光ビームを照射しかつ記録層群50からの反射光を集める。集光ビームは記録層群50のいずれかの記録層から信号を書き込み又は読み出すためにカバー層13側から照射されて、情報の記録再生が行われる。
【0024】
保持基板3は、例えば、ガラス、或いはポリカーボネート、アモルファスポリオレフィン、ポリイミド、PET、PEN、PESなどのプラスチック、紫外線硬化型アクリル樹脂などからなる。なお、記録媒体2の外形は上記のディスク形状以外に、カード形状などでもよい。
【0025】
図4は実施形態2の記録媒体2の概略構成を示す。
【0026】
図4に示す記録媒体2は、サーボ層11を、実施形態1の記録層群50の光入射側にではなく、光入射側から見て記録層群50を介して一番奥に第2カバー層131を介して配置した構造を有している以外、実施形態1のものとほぼ同様である。記録層群50の各層は、動作時の記録用レーザ光RBを少なくとも部分的に反射しかつサーボ用レーザ光SBの波長を常に透過するように設定されている。この構成によりサーボ用レーザ光SBは記録層群50の影響を受けることなく、光入射側から最も奥のサーボ層11に入射する。
【0027】
第2カバー層131は光透過性材料からなり、サーボ層11の平坦化や、記録層群50などの保護の機能を担う。
【0028】
両実施形態においても、記録媒体2は基本的に、互いに平行に積層された第1記録層5a、第1分離層7a、第2記録層5b、第2分離層7b、・・・・第n記録層5n、及び第n分離層7nの光透過性の多層部(記録層群50)と、これら多層部を担持する光透過性の保持基板3とからなる。各分離層(屈折率=ns)は隣接記録層(未記録部の屈折率=nb)の所定層間距離を保つために、一定膜厚を有し、記録層と分離層が交互に積層されている。記録層と分離層の屈折率差を大きくすると界面での反射が増えて奥の層まで光が届かなくなったりするので、出来るだけ記録層と分離層の屈折率差は小さい方が望ましい。
【0029】
各記録層には、屈折率が周囲と異なる複数の記録マークRMが形成されている。記録マーク(屈折率=na≠nb)は、例えば、短パルスレーザー光などを対物レンズで集光した時の焦点近傍の光子密度の高い領域のみで多光子吸収を起こすことで任意の記録層に形成できる。記録マークの形成方法には公知方法が適用される。記録層では屈折率の違いとして記録マークが従来の光ディスクのように分布している。記録情報の変調方式には公知方法が適用される。このように多層記録媒体は、基板上に形成された所定膜厚の分離層と記録層とが交互に積層され、記録層には屈折率が周囲と異なる複数の記録マークRMが形成され、これに記録すべき情報を担持させてある。
【0030】
ここで多光子吸収を利用した光子記録と呼ばれる記録メカニズムを説明する。
【0031】
従来の光ディスクは、光エネルギーを熱として利用するヒートモード記録である。ヒートモード記録方式では、材料の高密度化に限界がある。これに代わる光子(フォトン)による多光子吸収過程記録方式が提案される。多光子吸収過程とは、通常の1光子反応(線形光学過程)と異なり、一つの原子ないし分子が同時に複数の光子と相互作用する過程をいう。一般的に、通常のレーザ光照射のように光子密度が低い場合には、E=hC/λのエネルギー(ただし、λ=波長、h=プランク定数、C=光速度)を持っている光子の1つしか、物質(原子ないし分子)は吸収しない(1光子吸収)。しかし、例えば超短パルスレーザー光を高開口数対物レンズで絞って、照射すると、焦点近傍では光子密度が非常
に高くなり、物質は一度に2個、3個の光子を吸収する(n光子吸収の非線形光学過程)ことで、Eの2倍、3倍といった多くのエネルギーを一度に受け取ることができる。例えば、フェムト秒レーザでは、電界強度が非常に強いのでビームが集光された箇所の近傍だけが空間選択的に多光子吸収の非線形な反応を引き起こす。2光子吸収過程を利用してデータを記録すると3次元空間の多くの点にデータを多層記録することが可能となる。これを利用すれば、例えば10層以上の超多層光ディスクを実現できる。つまり、記録層の吸収波長域よりも長い波長の光を照射することで、充分に光が絞り込まれていない手前の記録層では吸収を起こさずに、充分集光されている再生すべき目的の記録層のみで吸収を起こすことができる。
【0032】
多光子吸収で物質が光を吸収する場合、その吸収強度は、n光子吸収とすると照射光の強度のn乗に比例する。この結果、物質内で鋭い分布で吸収され、局所的に強力な化学反応が起こり異質相の形成が可能となる。例えば、そのパルス幅が数フェムト秒から数百フェムト秒と非常に短いために、焦点位置では非常に大きなエネルギー密度となり多光子反応が起こり隣接層に吸収される。また、パルス幅が物質の格子振動の逆数に比べて非常に短いためにレーザ光の吸収過程において熱的な影響をほとんど受けない。
【0033】
よって、本発明の記録再生方法は、n光子吸収の非線形光学過程において複数の記録層の目的の層において光学特性を変化させ、その光学特性変化を検出することで再生することが可能となる。よってサーボ用レーザ光SB(第1波長)は記録用レーザ光RBの波長(第2波長)のn分1の波長周辺と重ならないように設定する。
【0034】
例えば、2光子吸収材料としては、2光子吸収が起こった領域の蛍光強度が変化する蛍光物質を用いる蛍光タイプと、電子の局在化によって屈折率が変化するフォトリフラクティブ物質を用いる屈折率変化タイプがある。屈折率変化タイプの2光子吸収材料としてはフォトクロミック化合物やビス(アラルキリデン)シクロアルカノン化合物などの利用が有望視されている。
【0035】
2光子吸収材料を利用した光ディスク構造としては、光ディスク全体が2光子吸収材料からなるバルク型と、2光子吸収材料の記録層と、別の透明材料の分離層を交互に積層した層構造型がある。層構造型は記録層と分離層の界面で反射される光を利用してフォーカスサーボ制御ができるという利点があるが、バルク型よりは多層成膜工程が多く製造コストが上がる可能性が高い。
【0036】
なお、記録層5の他の材料には、例えば、記録用レーザ光RBの波長及び強度の少なくとも一方に応じて感応し、屈折率、透過率、吸収率、反射率などが変化することで記録を行うことができ、安定な材料であればよい。例えば光重合反応を生じるフォトポリマーや、光異方性材料や、フォトリフラクティブ材料や、ホールバーニング材料、光を吸収して吸収スペクトルが変化するフォトクロミック材料など透光性の光感応材料などが用いられる。
【0037】
両実施形態の記録媒体に対して、サーボ層11と記録層5の記録層群50とを離間して作製している記録媒体2に対して記録再生を行うシステムにおいて、目的の記録層上でサーボ用レーザ光SBのスポットサイズが記録用レーザ光RBのスポットサイズと略等しくなるように、レーザ光の波長に合わせて、後述の焦点調整液晶パネルにより、対物レンズの開口数NAを設定する(図3、図4)。
【0038】
例えば2光子吸収を利用した多層記録システムにおいて、
Φservoをサーボ用レーザ光SBのスポットサイズ(直径)、
Φrecを2光子吸収のための記録用レーザ光RBのスポットサイズ(直径)、
λservoをサーボ用レーザ光SBの波長(第1波長)、
λrecを2光子吸収のための記録用レーザ光RBの波長(第2波長)、
NAservoをサーボ用光学系の開口数(第1波長)、
NArecを2光子吸収の記録用光学系の開口数(第2波長)、及び
kを係数(k=1.22)、とすると、
Φservo=k・λservo/NAservo、
Φrec=k・λrec/NArec、となる。
【0039】
ただし、2光子吸収を利用した光子記録なので、記録の閾値(吸収強度)は照射光強度の2乗に比例する。
【0040】
したがって有効スポットサイズΦrec’は、
Φrec’=0.71・k・λrec/NArec、となり、
サーボ用レーザ光SBと記録用レーザ光RBの有効スポットサイズが同じになる条件は、
Φservo=k・λservo/NAservo≒Φrec’=0.71k・λrec
/NArec、となる。
【0041】
また、サーボ用レーザ光SBの波長が記録材料の1光子吸収の波長と重なってはならないため、λservo≠λrec/2と設定する。
【実施例】
【0042】
(ピックアップ)
図5は記録再生装置における記録媒体2及びその記録又は再生のためのピックアップの概略構成を示す。
【0043】
実施例1として、2光子記録において、このシステムのピックアップでは、長い波長(第1波長)のサーボレーザ光源SBLD及び短い波長(第1波長)の記録レーザ光源RBLDを用いる。サーボレーザ光源の第2波長λrecを660nm、第2開口数NArecを0.55、記録用レーザ光源の第1波長λservoを780nmと設定した場合、上記の関係式から第1開口数NAservoは0.92程度になる。この場合、上記サーボ用レーザと上記記録用レーザのスポットサイズは、30mλの収差があるときに拡がるスポットサイズの誤差範囲で同じであれば望ましく、さらに望ましくは完全にスポットサイズが一致するのが好ましい。また、この場合、第2開口数NArec<第1開口数NAservoであり、上記記録用レーザ光RBの方が上記サーボ用レーザ光SBよりもワーキングディスタンスが長いので、図3、図5に示すように記録媒体2の記録層5をサーボ層11よりも奥に配置した方が望ましい。
【0044】
この記録システムでは、サーボ用レーザ光光学系及び記録用レーザ光光学系に共通する対物レンズOBを介してサーボ用レーザ光及び記録用レーザ光をそれぞれサーボ層及び記録層へ集光する。記録用レーザ光光学系は、コリメータレンズCL、偏光ビームスプリッタPBS、ダイクロイックプリズムDP、四分の一波長板1/4λ、読み出し用検出レンズCL3及び対物レンズOBを含む。サーボ用レーザ光光学系は、コリメータレンズCL2、偏光ビームスプリッタPBS2、ダイクロイックプリズムDP、焦点調整液晶パネルLCP、四分の一波長板1/4λ、サーボ用検出レンズSCL及び対物レンズOBを含む。記録システムは、サーボ層11から戻る光の光電変換した電気信号に基づいて記録媒体2及び対物レンズの相対位置を制御するサーボ装置を含む。
【0045】
かかる記録システムのピックアップ構成では、対物レンズOBを、記録媒体2に対してその光軸AX方向(フォーカス方向)及び光軸に直交する方向(例えばトラッキング方向)に可動する機構(レンズアクチュエータ36)を有する構成となっており、記録媒体2に対する記録用レーザ光RBの集光スポットの相対位置を調節することによって、記録媒体2の記録層5(光軸のいずれかの位置)に記録用レーザ光RBを集光照射し、情報の記録を行い、また、記録用レーザ光の強度を低下させ(読み出し光)て記録層5の記録部RMに照射し、その反射した戻り光を読み出し用光検出器PDで検知することで記録されたデータを読み出すことができる。
【0046】
すなわち、対物レンズOBにより集光された記録再生レーザ光RBが、記録媒体2の記録層群50内の所定層位置に光の焦点が合うように位置制御される。
【0047】
なお、図5では光ピックアップ光学系及び制御装置101を主に示しているが、図示しないけれども、ピックアップは集光スポットのフォーカス及びトラッキングのレンズアクチュエータ36以外の位置制御機構も含み、また、記録再生装置は光ピックアップ全体を記録媒体2の記録面に沿って移動するスライダ移動制御機構や、ディスク状記録媒体の回転制御のためのサーボ機構などを含む。また、制御装置101は記録レーザ光源RBLDおよびサーボレーザ光源SBLDの光源制御するコントロール回路、読み出し用光検出器PD(第2波長検出手段)で検出した信号を処理して情報、output信号を出力する回路、マイクロコンピュータ等からなるCPUなどの装置全体の制御をなす制御回路、ROM、RAM等の各データを記憶する記憶回路、外部機器とデータの入出力を行うための、インターフェースなどを備えている。
【0048】
記録ステップにおいて、図5に示すように、記録用レーザ光RBは、コリメータレンズCLで平行光に変換され偏光ビームスプリッタPBS、ダイクロイックプリズムDPを透過し四分の一波長板1/4λを経て対物レンズOBにて記録媒体2の記録層群50へ集光される。
【0049】
記録媒体2のレーザ光入射面側には波長選択性反射膜9があるため、記録用レーザ光RBは反射せずに透過する。記録用レーザ光RBは記録層群50に入射する。記録用レーザ光RBはこの記録層群50の何れの記録層5において、記録用レーザ光RBの焦点FPを形成できる。
【0050】
サーボレーザ光源SBLDからのサーボ用レーザ光SBは、コリメータレンズCL2で平行光に変換され偏光ビームスプリッタPBS2、ダイクロイックプリズムDPで反射され記録用レーザ光RBと合流される。焦点調整液晶パネルLCP及び四分の一波長板1/4λを透過し対物レンズOBを経たサーボ用レーザ光SBは記録媒体2のサーボ層11へ集光される。
【0051】
サーボ用レーザ光SBのみ回折作用する焦点調整液晶パネルLCPは、サーボ用レーザ光SBを記録媒体表面近傍のサーボ層11に焦点を結ぶように設定されている。この焦点調整液晶パネルLCPは、サーボ用レーザ光SBのスポットを、記録用レーザ光RBのスポットに対して光軸上で所定の異なる焦点距離(記録層の所定層間距離毎)を保つように機能する。サーボ層11はサーボ制御用のグルーブ、アドレスマークなどを有するので、サーボ層11で反射されたサーボ用レーザ光SBは通常の光ディスクと同様にサーボ用検出レンズSCLを透過しサーボ用光検出器SPD(第1波長検出手段)に入射する。このサーボ用光検出器SPDにて通常の非点収差法やプッシュプルトラッキングエラー検出によって対物レンズOBのフォーカス、トラッキングを制御することができる。
【0052】
すなわち、制御装置101の位置決めサーボ制御によって、サーボ用光検出器SPDの出力に基づいて演算されて得たエラー信号にて、フォーカス及びトラッキング方向に対物レンズOBを駆動するレンズアクチュエータ36を駆動する。
【0053】
制御装置101は、対物レンズOBと記録媒体2の距離を一定に保つように制御すると同時に、焦点調整液晶パネルLCPにより対物レンズを介したサーボ用レーザ光のフォーカス位置を設定して、記録用レーザ光RBのスポットを記録層群50において目的の記録層5を切り替えるように、その焦点FPを光軸方向(膜厚方向)に移動させることができる。この記録システムは、焦点調整液晶パネルLCP依存のサーボ用レーザ光により、集光する記録用レーザ光RBを記録層5を択一的に選択する。すなわち、焦点調整液晶パネルLCPは、対物レンズOBによるサーボ用レーザ光RB及び記録用レーザ光RBのフォーカス位置を膜厚方向において互いに異なる位置に集光せしめる。
【0054】
再生ステップにおいて、上記同様にサーボ用レーザ光にて位置制御されつつ、記録レーザ光源RBLDから記録用レーザ光の強度を低下させた読み出しレーザ光を記録部RMに照射して、その反射した戻り光を読み出し用光検出器PDで検知することで記録されたデータを読み出すことができる。このとき、図5に示すように、読み出し用検出レンズCL3により集束されてピンホールフィルタ15上に集光して、読み出し用光検出器PD上に照射される。ここでピンホールフィルタ15は記録層群50にて反射された不要な戻り光を遮断する。これにより、記録時と同一反射条件の戻り光が良好に、読み出し用光検出器PD上で得られる。同時に、ピンホールフィルタ15により、記録媒体2中の或る記録部RMの上下にある、他階層の記録部からの反射光をも抑制することができる。このため読み出し用光検出器PDに入射する光信号でクロストークとなる他の階層の記録部からの影響をも防ぐことができる。
【0055】
<焦点調整液晶パネル>
図6の透過型の焦点調整液晶パネルLCPは、光軸AX上に配置された中央領域CRとこれを囲むように配置された環状周囲領域PRとを含みかつ、中央領域CRがその通過光束の波面の位相を部分的に変化させる複数の透明電極を備える透過型の液晶装置である。焦点調整液晶パネルLCPでは、液晶に生じる電位差に応じて液晶の配向性が変化し、電圧に応じて屈折率が変化することを利用して、液晶を通過する波面の位相を変化させ、それによって焦点調整液晶パネルLCP自体、特に中央領域CRに凸レンズ又は凹レンズ作用すなわち焦点可変を機能させるものである。
【0056】
図6は透過型液晶装置からなる焦点調整液晶パネルLCPを示す。焦点調整液晶パネルLCPは、駆動回路LCPDに接続され、環状周囲領域PRとその内部に中央領域CRとで構成される。図7は図6における線XX部分を切り取った部分、記録再生装置における透過型の焦点調整液晶パネルの部分断面図である。
【0057】
図6及び図7に示すように、焦点調整液晶パネルLCPにおいては、流動性の透明液晶組成物211が2枚のガラス基板212a、212b間に挟持され、該基板周りが封止された構造を有している。両ガラス基板212a、212bの内面には、液晶に電圧を印加する透明電極層(213ai、213a)(213b)と、近接する液晶分子の軸の向き(配向)を規定する配向膜214a、214bと、が順に積層されている。透明電極層はITO(インジウムスズ酸化物)、IZO(インジウム亜鉛酸化物)などを使用することができる。
【0058】
サーボ用レーザ光のみが透過する中央領域CRは電極分割形状を有している。たとえば、中央領域CRの対向する電極層の少なくとも一方を、位相調整部として複数の透明電極に分割し、当該複数の透明電極の各々にサーボ用レーザ光が対物レンズを介してサーボ層に至るときの所定の開口数に応じた電圧を印加する構成とすることによって、焦点調整液晶パネルLCPを透過するサーボ用レーザ光の発散又は収束を調整でき、焦点調整液晶パネルLCPが凸レンズ又は凹レンズとして機能する。図7では透明電極213bは共通電極であるが、環状周囲領域PRの透明電極213aと、その内部に中央領域Cの複数の透明電極213ai(i=1、2、3、・・・・)と、は駆動回路LCPDにより独立して電圧が印加される。駆動回路LCPDを含む制御装置が、焦点調整液晶パネルLCPと対物レンズOBの合成焦点FPの位置を、媒体の記録層群50の膜厚方向において記録層5の隣接2層間の距離の整数倍毎に互いに離間して設定する。
【0059】
図8は、焦点調整液晶パネルLCPの中央領域CRの構造の一例を模式的に示した電極パターンの平面図である。中央領域CRは、入射されるサーボ用レーザ光光束の有効径内において、光軸周りに間隙によって区画され電気的に分離された同心円状(円環状)の複数の透明電極213a1、213a2、213a3、213a4、213a5、213a6、213a7を含む。透明電極213a1−213a7それぞれの幅は、図では中央から半径方向へ漸次幅の狭くなるように異ならせることができるが、均等に構成してもよい。なお、図8においては、中央領域CRが7つの透明電極を有する場合を示しているが、電極数は2以上あればよい。透明電極213a1−213a7に電圧がリードライン214を介して印加されると、その電圧によって生じる電界に応じて液晶層11内の各部の液晶分子の屈折率配向が変化する。その結果、液晶層11中を通る光の波面は、液晶層11の複屈折を受けて位相が変化する。すなわち、通過するサーボ用レーザ光の波面は、液晶層11に印加される電圧によって制御することができる。
【0060】
実施例1では、図5に示すように、サーボ用レーザ光SBと記録用レーザ光RBを、波長によって異なる開口数NAを持つように焦点調整液晶パネルLCPと対物レンズOBで記録媒体2にそれぞれフォーカスさせ、サーボ用レーザ光SBに記録媒体2のサーボ信号を検出しながら、その信号をもとに、記録媒体2の任意の記録層5にフォーカスさせた記録用レーザ光RBにて記録を行う。
【0061】
本実施例1では、サーボ用レーザ光SBと記録用レーザ光RBの波長と開口数NAを調整してそれぞれのスポットサイズが同じにすることで、サーボ層11のトラック6のピッチと記録層5のトラック6のピッチを一致させることができ、効率的に記録媒体2に記録を行うことができる(図9参照)。
【0062】
n光子吸収では、第2波長のn分の1の波長(λrec/n)で大きな1光子吸収を示すため、その波長に第1波長λservoを設定しない。これによりサーボ用レーザ光SBによる記録したデータの劣化を防ぐことができる。2光子吸収は光強度の二乗に比例して減衰するため、規格化された有効スポットサイズは通常の1光子吸収に対して0.71倍の大きさになる。そのことも考慮して両レーザ光のスポットサイズが同じになるように調整している。
【0063】
(実施例2)
図9は実施例2の記録媒体2及びその記録又は再生のためのピックアップの概略構成を示す。これは実施例1とは逆に、記録媒体2は光照射側から記録層5、サーボ層11と順に積層して構成される。
【0064】
2光子記録において、第2波長λrecを660nm、第2開口数NArecを0.8、第1波長λservoを405nmと設定した場合、上記の関係式から第1開口数NAservoは0.71程度になる。この場合、第2開口数NArec>第1開口数NAservoであるため上記記録用レーザ光RBの方が上記サーボ用レーザ光SBよりもワーキングディスタンスが短いので、記録媒体2の記録層5をサーボ層11の手前に配置した方が望ましい。焦点調整液晶パネルLCPの中央領域に無偏向光通過機能と、周りの環状周囲領域に透明電極を備えて凸レンズ又は凹レンズ作用すなわち焦点可変を機能させるものである以外、記録レーザ光源RBLDについての光路説明は実施形態1と同一なので省略する。
【0065】
図9に示すように、サーボレーザ光源SBLDからのサーボ用レーザ光SBはコリメータレンズCL2で平行光に変換され偏光ビームスプリッタPBS2、ダイクロイックプリズムDPで反射され記録用レーザ光RBと合流される。両光共に、ダイクロイックプリズムDPを透過し四分の一波長板1/4λを経て対物レンズOBにて記録層群50を通過してサーボ焦点SFPへ向けて、記録媒体2へ集光される。記録用レーザ光RBは記録層群50で反射されるが、サーボ用レーザ光SBはサーボ層11に焦点を結ぶように設定されている。サーボ層11は通常の光ディスクに用いられているようなサーボ制御用のグルーブ、アドレスマークなどを有する。サーボ層11で反射されたサーボ用レーザ光SBは通常の光ディスクと同様にサーボ用検出レンズSCLを透過しサーボ用光検出器SPDに入射する。このサーボ用光検出器SPDにて通常の非点収差法やプッシュプルトラッキングエラー検出によって対物レンズOBのフォーカス、トラッキングを制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】従来の多層構造の光ディスクの模式的斜視分解図である。
【図2】本発明による実施形態の記録媒体及びその記録又は再生のための記録再生システムの概略構成を説明する線図である。
【図3】本発明による実施形態の記録媒体の部分断面図である。
【図4】本発明による実施形態の記録再生装置における記録媒体及びその記録又は再生のためのピックアップの概略構成を説明する部分断面図である。
【図5】本発明による実施例の記録再生装置における記録媒体及びその記録又は再生のためのピックアップの概略構成を説明する部分断面図である。
【図6】本発明による実施例の記録再生装置における透過型の焦点調整液晶パネルの部分斜視図である。
【図7】本発明による実施例の記録再生装置における透過型の焦点調整液晶パネルの部分断面図である。
【図8】本発明による実施例の記録再生装置における透過型の焦点調整液晶パネルの中央領域の構造を模式的に示した電極パターンの平面図である。
【図9】本発明による実施例の多層構造の光ディスクの模式的斜視分解図である。
【図10】本発明による他の実施例の記録再生装置における記録媒体及びその記録又は再生のためのピックアップの概略構成を説明する部分断面図である。
【符号の説明】
【0067】
1/4λ 四分の一波長板
2 記録媒体
3 保持基板
5 記録層
5a 第1記録層
5b 第2記録層
5n 第n記録層
6 トラック
7a 第1分離層
7b 第2分離層
7n 第n分離層
9 波長選択性反射膜
11 サーボ層
13 カバー層
15 ピンホールフィルタ
23 ピックアップ
36 レンズアクチュエータ
50 記録層群
101 制御装置
131 第2カバー層
211 透明液晶組成物
212a、212b ガラス基板
213ai、213a、213b 透明電極層
214a、214b 配向膜
213a1−213a7 透明電極
214 リードライン
SB7、RB7 有効スポット
SBLD サーボレーザ光源
RBLD 記録レーザ光源
RB 記録用レーザ光
SB サーボ用レーザ光
OB 対物レンズ
CL コリメータレンズ
PBS 偏光ビームスプリッタ
DP ダイクロイックプリズム
CL3 読み出し用検出レンズ
CL2 コリメータレンズ
PBS2 偏光ビームスプリッタ
LCP 焦点調整液晶パネル
LCPD 駆動回路
SCL サーボ用検出レンズ
SPD サーボ用光検出器
PD 読み出し用光検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜厚方向において積層された複数の記録層とフォーカスサーボ及びトラッキングサーボ情報を担持するサーボ層とを含む記録媒体に対して集光された光の照射をなすことにより前記記録媒体における3次元的記録位置においてデータの記録再生をなす記録再生装置であって、
前記記録媒体を着脱自在に保持する可動保持装置と、
第1波長のサーボ用レーザ光の光源と、
前記第1波長と異なる第2波長の記録用レーザ光の光源と、
前記サーボ用レーザ光及び記録用レーザ光を前記サーボ層及び前記記録層へそれぞれ集光するサーボ用レーザ光光学系及び記録用レーザ光光学系に共通する対物レンズを含む光学装置と、
前記サーボ層及び前記記録層から前記対物レンズを介して戻る前記第1及び第2波長の光を検出する手段と、を備え、
前記サーボ層上でのサーボ用レーザ光のスポットサイズが所定の記録層上での記録用レーザ光のスポットサイズと略等しくなるように前記サーボ用レーザ光光学系の開口数を設定するとともに、前記対物レンズによる前記サーボ用レーザ光及び記録用レーザ光のフォーカス位置を前記複数の記録層の膜厚方向において互いに離間して設定する焦点調整装置を含むことを特徴とする記録再生装置。
【請求項2】
前記焦点調整装置は、前記サーボ層上でのサーボ用レーザ光のスポットサイズが所定の記録層上での記録用レーザ光のスポットサイズと同一になるように、前記対物レンズによる前記サーボ用レーザ光及び記録用レーザ光のフォーカス位置を前記複数の記録層の膜厚方向において互いに離間して設定することを特徴とする請求項1に記載の記録再生装置。
【請求項3】
前記記録用レーザ光光学系の開口数が前記サーボ用レーザ光光学系の開口数よりも大きい場合は、光照射側から見て前記サーボ層の手前に前記複数の記録層が位置するように、前記記録媒体を配置させたことを特徴とする請求項1又は2記載の記録再生装置。
【請求項4】
前記記録用レーザ光光学系の開口数が前記サーボ用レーザ光光学系の開口数よりも小さい場合は、光照射側から見て前記サーボ層の奥に前記複数の記録層が位置するように、前記記録媒体を配置させたことを特徴とする請求項1又は2記載の記録再生装置。
【請求項5】
前記複数の記録層が多光子吸収材料からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の記録再生装置。
【請求項6】
前記複数の記録層の多光子吸収材料がn光子吸収の非線形光学過程によって前記複数の記録層の光学特性を変化させ、その光学特性変化を検出する場合、n光子吸収過程によって前記第1波長は前記第2波長のn分1の波長周辺と重ならないように設定したことを特徴とする請求項5に記載の記録再生装置。
【請求項7】
膜厚方向において積層された複数の記録層とフォーカスサーボ及びトラッキングサーボ情報を担持するサーボ層とを含む記録媒体に対して集光された光の照射をなすことにより前記記録媒体における3次元的記録位置においてデータの記録再生をなす記録再生方法であって、
前記記録媒体を着脱自在に保持する工程と、
サーボ用レーザ光光学系及び記録用レーザ光光学系に共通する対物レンズを介して、第1波長のサーボ用レーザ光及び前記第1波長と異なる第2波長の記録用レーザ光を前記サーボ層及び前記記録層へそれぞれ集光する工程と、
前記サーボ層及び前記記録層から前記対物レンズを介して戻る前記第1及び第2波長の光を検出する工程と、を含み、
前記サーボ層上でのサーボ用レーザ光のスポットサイズが所定の記録層上での記録用レーザ光のスポットサイズと略等しくなるように前記サーボ用レーザ光光学系の開口数を設定するとともに、前記対物レンズによる前記サーボ用レーザ光及び記録用レーザ光のフォーカス位置を前記複数の記録層の膜厚方向において互いに離間して設定する集光設定工程を含むことを特徴とする記録再生方法。
【請求項8】
前記集光設定工程は、前記サーボ層上でのサーボ用レーザ光のスポットサイズが所定の記録層上での記録用レーザ光のスポットサイズと同一になるように、前記対物レンズによる前記サーボ用レーザ光及び記録用レーザ光のフォーカス位置を前記複数の記録層の膜厚方向において互いに離間して設定することを特徴とする請求項7に記載の記録再生方法。
【請求項9】
前記記録用レーザ光光学系の開口数が前記サーボ用レーザ光光学系の開口数よりも大きい場合は、光照射側から見て前記サーボ層の手前に前記複数の記録層が位置するように、前記記録媒体を配置させたことを特徴とする請求項7又は8記載の記録再生方法。
【請求項10】
前記記録用レーザ光光学系の開口数が前記サーボ用レーザ光光学系の開口数よりも大きい場合は、光照射側から見て前記サーボ層の奥に前記複数の記録層が位置するように、前記記録媒体を配置させたことを特徴とする請求項7又は8記載の記録再生方法。
【請求項11】
前記複数の記録層が多光子吸収材料からなることを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の記録再生方法。
【請求項12】
前記複数の記録層の多光子吸収材料がn光子吸収の非線形光学過程によって前記複数の記録層の光学特性を変化させ、その光学特性変化を検出する場合、n光子吸収過程によって前記第1波長は前記第2波長のn分1の波長周辺と重ならないように設定したことを特徴とする請求項11に記載の記録再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−104717(P2009−104717A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−275938(P2007−275938)
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】