説明

記録再生装置

【課題】エンコード処理、デコード処理で使用するメモリにて消費する電力を低減し、記録再生装置としての低消費電力化を実現する。
【解決手段】エンコーダ113、デコーダ111,112は動作する際に中間データを保持するためのメモリ14,15を有する。クロック制御部115は、使用するメモリにのみクロックを供給するように制御し、又はメモリに供給するクロックの周波数を制御する。メモリ電源制御部18は、使用するメモリにのみ電源を供給するように制御する。さらに装置に供給される電源が電池である場合であってトランスコード処理するときには、クロック制御部115は、メモリへのクロックの供給を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像音声信号を符号化して記録再生する記録再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、映像音声信号をMPEG圧縮技術などを用いてデジタル符号化(エンコード)し、ハードディスク(HDD)や光ディスク(DVD)などの記録メディアに記録するデジタルレコーダやビデオカメラが製品化されている。これらの記録機器では、たとえばHDDやDVDなどの複数の記録メディアを装着し、これらのメディアへの記録機能(エンコード処理)とこれらのメディアからの再生機能(デコード処理)を有する。さらに、一度記録したデータをバックアップあるいは長期保管するために、記録したデータを2つのメディア間でダビングする機能を有する。このダビングの際には、圧縮レートを変更することを目的とするため、又はメディア間で圧縮符号化規格が異なるために、元の圧縮映像音声信号の符号化方式を変換して再符号化するトランスコード処理を行うことが多い。
【0003】
例えば特許文献1には、このトランスコード処理を高速に行うために、複数のトランスコード装置を使用して並列に処理する方式において、複数のトランスコード装置へ供給するファイル(符号ストリーム)をいかに分割して読み出すかについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−86460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特にモバイル用途の記録再生装置では、録画時間の増大に伴い、消費電力の更なる低減が要請されている。記録、再生時のエンコード、デコード処理と、ダビング時のトランスコード処理においては、それぞれ中間データをメモリに保存しながら処理を行うが、メモリデバイスを駆動するために多くの電力を消費する。また、動作モードによって必要とするメモリの容量は異なり、消費電力を考慮したより効率的なメモリの使用法が必要になる。上記特許文献1を含め、従来、メモリデバイスにおける消費電力を低減することについては十分な配慮がなされていなかった。
【0006】
本発明の目的は、記録、再生時のエンコード処理、デコード処理で使用するメモリにて消費する電力を低減することで、記録再生装置の低消費電力化を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1及び第2の記録メディアを装着しこれに映像音声信号を記録及び再生する記録再生装置において、入力する映像音声信号を圧縮符号化して上記第1又は第2の記録メディアに記録するエンコード部と、第1又は第2の記録メディアから映像音声信号を再生し伸長復号化して出力するデコード部と、第1の記録メディアから再生された映像音声信号を伸長復号化した後、再度圧縮符号化して第2の記録メディアに記録するトランスコード部と、エンコード部、デコード部及びトランスコード部が動作する際に中間データを保持するための複数のメモリと、メモリに供給するクロックを制御するクロック制御部を備え、クロック制御部は、エンコード部、デコード部及びトランスコード部のうち動作中のものが使用するメモリにのみクロックを供給するように制御する。
【0008】
さらにメモリに供給する電源を制御するメモリ電源制御部を備え、メモリ電源制御部は、エンコード部、デコード部及びトランスコード部のうち動作中のものが使用するメモリにのみ電源を供給するように制御する。
【0009】
さらに、当該装置に供給される電源が電池であるか外部電源であるかを判別する電源判別部を備え、供給される電源が電池であってトランスコード部が動作する場合には、前記クロック制御部は、メモリへのクロックの供給を停止する。
【0010】
本発明は、第1及び第2の記録メディアを装着しこれに映像音声信号を記録及び再生する記録再生装置において、入力する映像音声信号を圧縮符号化して第1又は第2の記録メディアに記録するエンコード部と、第1又は第2の記録メディアから映像音声信号を再生し伸長復号化して出力するデコード部と、第1の記録メディアから再生された映像音声信号を伸長復号化した後、再度圧縮符号化して上記第2の記録メディアに記録するトランスコード部と、エンコード部、デコード部及びトランスコード部が動作する際に中間データを保持するメモリと、メモリに供給するクロックの周波数を制御するクロック制御部を備え、クロック制御部は、エンコード部又はデコード部が動作するときは供給するクロックの周波数を低くし、トランスコード部が動作するときは供給するクロックの周波数を高くするように制御する。
【0011】
本発明は、第1及び第2の記録メディアを装着しこれに映像音声信号を記録及び再生する記録再生装置において、入力する映像音声信号を圧縮符号化して第1又は第2の記録メディアに記録するエンコード部と、第1又は第2の記録メディアから映像音声信号を再生し伸長復号化して出力するデコード部と、第1の記録メディアから再生された映像音声信号を伸長復号化した後、再度圧縮符号化して第2の記録メディアに記録するトランスコード部を備え、エンコード部及びトランスコード部は、映像音声信号を圧縮符号化するためのエンコーダを共通に所有し、デコード部及びトランスコード部は、映像音声信号を伸長復号化するためのデコーダを独立に所有する。
【0012】
ここに前記デコード部により、第1の記録メディアから映像音声信号を再生し伸長復号化して出力する再生処理と、前記トランスコード部により、第1の記録メディアから再生された映像音声信号を伸長復号化した後、再度圧縮符号化して第2の記録メディアに記録するダビング処理とを、時間的に並行して実行する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、記録再生装置の各動作モードにおける無駄な消費電力を低減し、特に電源が電池駆動の場合に電池の消耗を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明による記録再生装置の一実施例を示すブロック構成図(実施例1)。
【図2】本実施例の記録再生装置の備える動作モードを示す図。
【図3】動作モードとクロック供給の関係を示す図。
【図4】動作モードとクロック周波数の関係を示す図。
【図5】本発明による記録再生装置の他の実施例を示すブロック構成図(実施例2)。
【図6】本実施例における動作モードと使用可能な電源の関係を示す図。
【図7】本発明による記録再生装置のダビング処理の一実施例を示す図(実施例3)。
【図8】ユーザによるダビング設定画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明による記録再生装置の一実施例を示すブロック構成図である。記録再生装置1は、記録メディアとして、ハードディスクドライブ(HDD)12とBlu−ray Disc(BD)ドライブ13と備える。入力端子16から入力されたデジタルオーディオ信号及びデジタルビデオ信号(以下、AV信号)を、圧縮伸長部11にて圧縮符号化して、これらの記録メディアに記録する。また、記録メディアに記録されているデータを再生し、圧縮伸長部11にて伸長復号化して、出力端子17から出力し、外部のディスプレイ機器に出力する。更にダビング動作として、HDD12に記録されているデータを、そのビットレートや解像度を変換しつつBDドライブ13に再記録するトランスコード処理を行う。トランスコードの際は、圧縮伸長部11にて伸長復号化と圧縮符号化の双方の処理を行う。
【0017】
圧縮伸長部11はLSIとして構成され、その内部には、エンコード部とデコード部とトランスコード部を有する。エンコード部としてはAV信号を圧縮符号化するエンコーダ113、デコード部としてはAV信号を伸長復号化するデコーダ111、トランスコード部としては、デコーダ112とエンコーダ113を含む。さらに、各記録メディアとのインタフェースであるメディアインタフェース(メディアIF)110、信号源を選択するセレクタ114、及びクロック制御部115を有する。また、メモリ14,15はLSIの外部に設けた例えばSDRAMであり、デコーダ111,112とエンコーダ113の処理時にそれぞれの中間データを保持する。クロック制御部115とメモリ電源制御部18は、メモリ14,15へのクロック供給と電力供給とを制御する。
【0018】
図2は、本実施例の記録再生装置の備える動作モードを示す図である。スタンバイ状態(M200)を起点に、記録再生モードとして、HDD記録(M201)、HDD再生(M202)、BD記録(M203)、BD再生(M204)の各モードを有する。さらにダビングモードとして、HDDからBDへのトランスコード(M205)と、HDDからBDへのトランスコード及びHDDの再生(M206)が可能である。図中の矢印は、各モード間の遷移が可能であることを示す。
【0019】
以下各動作モードについて説明する。
<記録モード>
入力端子16から入力されたAV信号をHDDあるいはBDに記録する場合(M201,M203)を説明する。入力端子16から入力されたAV信号は、信号のセレクタ114を介して、エンコーダ113に入力される。エンコーダ113では、例えば、MPEG規格やH.264規格などの圧縮符号化を行う。この際、外部に接続したメモリ15に途中の中間データを保持しつつ処理を行う。
【0020】
エンコーダ113では、メモリ15に中間データを書き込み及び読出ししながら、ビットストリーム化及びパケタイズしたAVデータをメディアIF110に転送する。メディアIF110では、転送されたデータをHDD12もしくはBDドライブ13への通信プロトコル(例えばATA/ATAPIなどの信号規格)に変換し、記録先として選択されたメディアに記録する。
【0021】
<再生モード>
HDDあるいはBDに記録されたデータを再生する場合(M202,M204)を説明する。HDD12もしくはBDドライブ13に記録されたデータは、メディアIF110を介して読み出され、デコーダ111に転送される。デコーダ111では、処理中の中間データを外部に接続したメモリ14に保持しつつ、符号化データの伸長復号化を行う。伸長後のAV信号は、REC656などのデジタルビデオ信号あるいはPCM音声信号として外部端子17に出力し、外部に接続されたディスプレイ機器及びスピーカ装置によって映像、音声信号が再生される。
【0022】
上記記録再生モードにおける圧縮符号化及び伸長復号化処理では、画像フレーム間の相関を用いて圧縮・伸長処理を行う。よって外部に接続する各メモリ15,14は、複数フレームの画像データを保持する必要があるため、数MByteから数10MByteの容量の大きいメモリデバイスを用いる。更に、各フレーム間で相関の高い箇所をマクロブロック(MB)と呼ばれる小画素領域ごとに比較するため、アクセススピードが高いメモリデバイスが必要とされる。入力画像を一度蓄積したり、作成したビットストリームを格納するためのメモリ領域なども必要とする。このため、メモリデバイスとしてはSDRAMが好適である。
【0023】
<トランスコードモード>
HDDに記録されたデータをトランスコードしてBDにダビングする場合(M205)について説明する。まず、HDD12に記録された符号化データをメディアIF110を介して読み出し、デコーダ112によって再生時と同様に伸長復号化する。この際、処理に必要な中間データは、外部メモリ14にて保持する。復号されたデータはセレクタ114を介してエンコーダ113に転送され、ビットレートや解像度を変換しつつ再度圧縮符号化する。符号化されたデータはメディアIF110を介してBDドライブ13に送り、BDに記録する。
【0024】
本実施例の構成では、入力端子16から入力したAV信号をメディアに記録する場合と、メディア間でトランスコード処理を行う場合において、エンコーダ113を共通に用いて処理している。また、外部メモリについて言えば、エンコーダ113が使用するメモリ15を独立化し、再生モード時のデコーダ111とトランスコード時のデコーダ112が使用するメモリを共通化(メモリ14)している。これは、圧縮符号化時には動き予測を行うために、復号化時よりも多くのメモリ容量を必要とするからである。
【0025】
上記したメモリ14,15として、例えば、HD規格(High Definition、解像度=水平画素1920×垂直画素数1080)の画像を取り扱う場合には、16bit幅で266MHz以上のDDR−SDRAM(Double Data Rate−SDRAM)などを2個用いるなどする。圧縮符号・復号化する画像サイズの拡大に伴い、メモリの容量及びデータレート(クロック周波数)は増大する傾向にある。このため、記録再生装置の消費電力を増加させる要因の中で、各メモリを駆動するための電力は大きな要因となる。また、圧縮伸長部11をLSI化した際、外部メモリとの接続端子において必要とされる消費電力はLSI消費電力の支配的要因のひとつとなる。この消費電力は、ビット幅および動作クロックに比例し、一般に上記のSDRAMへのアクセスの場合、数百mW程度の電力が消費される。
【0026】
また、外部のSDRAM−ICの消費電力も装置内で大きな比率を占める。例えば、上記DDR−SDRAMを80%の使用率で稼動した場合、1コマンドに必要とする電流が80〜125mA程度で内部電圧が1.8Vとすると、1個のメモリデバイス当たり約115〜180mA程度の電力を消費する。これらの消費電力は、SDRAMへのアクセス率とクロック周波数にほぼ比例する。また、アイドリング状態でも、クロックが停止するパワーダウンモード以外では、20mW程度の電力を必要とする。
【0027】
本実施例ではこれらの消費電力を低減するため、上記したように、エンコーダ、デコーダ毎の中間データを格納するメモリを区別して割り当てる。さらに、クロック制御部115及びメモリ電源制御部18は、各メモリを動作させるために必要なクロック及び電源の供給を、装置の動作状態に応じて停止するように制御することで消費電力の低減を図る。
【0028】
図3は、動作モードとクロック供給の関係を示す図である。例えば、HDD又はBDのメディアに記録を行うモード(図2のM201,M203)では、クロックをエンコーダ用のメモリ15に供給するだけで、デコーダ用のメモリ14への供給を停止する。また、HDD又はBDのメディアから再生を行うモード(M202,M204)では、クロックをデコーダ用のメモリ14に供給するだけで、エンコーダ用のメモリ15への供給を停止する。HDDからBDへトランスコードするモード(M205,M206)では、両方のメモリ14,15へクロックを供給する。このように、動作モードに応じて動作するメモリの個数を増減させ、トランスコードモード時はメモリ個数を増加させるようにする。
【0029】
クロック制御部115により、エンコーダ又はデコーダにより使用されていないメモリへのクロック供給を停止することで、無駄な消費電力を低減することができる。さらには、クロック供給を停止するだけでなく、メモリ電源制御部18によりメモリへの電源供給を停止することで、さらに消費電力を低減することができる。
【0030】
一般にトランスコード動作は、HDDからBDへのバックアップを行う場合のみに必要になるもので、装置の動作の中でその稼動比率は非常に低い。これに対し記録又は再生モードは稼動比率が高く、そのモードで必要なメモリだけを動作させることは、消費電力の低減に大きく寄与する。
【0031】
本実施例では、装置の動作状態に応じてメモリへのクロック供給及び電力供給を制御(停止)するものであるが、他の方法として、メモリクロック制御部115によりメモリへ供給するクロック周波数を制御する方式としても良い。
【0032】
図4は、動作モードとクロック周波数の関係を示す図である。即ち、記録・再生モード(図2のM201〜M204)では、メモリ14,15へ供給するクロックの周波数を低くし、トランスコードモード(図2のM205,M206)では、メモリ14,15へ供給するクロックの周波数を高くする。これにより、通常のメディアへの記録・再生時には、消費電力を抑えることが可能となる。なおこの場合には、メモリ14とメモリ15を共通化しても良い。
【0033】
本実施例では、動作モードが記録、再生及びトランスコード処理の場合、メモリへのクロックと電源の供給をどのように制御するかについて説明したが、これに限らない。すなわち、動作モードは装置のアプリケーションによってこれ以外に様々な形態が可能であり、それに応じて必要とするメモリも変化する。よって、各動作モードで必要とされるメモリのみに対して、クロック及び電源を供給し、あるいは必要なクロック周波数を設定するように制御することで、装置の消費電力を低減することができる。
【0034】
本実施例では、動作しないメモリへのクロックと電源の供給を抑制するために制御回路を用いる構成としたが、動作しないメモリをパワーダウンモードにするためのコマンドを発行する構成としても良い。そして、動作が再開する際に再びパワーダウンモードを解除することで、本実施例と同様の効果を得ることができる。
【実施例2】
【0035】
図5は、本発明による記録再生装置の他の実施例を示すブロック構成図で、前記実施例1の装置をビデオカメラに適用した場合である。本実施例では、入力端子16の代わりに、カメラ入力部として、撮像部21及びカメラ信号処理部22を接続し、入力したAV信号を記録再生する。また、使用電源は電池駆動方式となるが、外部電源(AC電源など)を接続して使用することも可能である。電源判別部19は使用する電源を判別し、制御部20は判別結果に応じて装置の動作を制御する。他の構成要素は実施例1と同様である。
【0036】
ビデオカメラのようなモバイル用機器の電源は電池駆動方式となるので、特に電池の消耗を防ぐことが要求される。そこで本実施例では、動作モードに応じて使用可能な電源を制限する。
【0037】
図6は、本実施例における動作モードと使用可能な電源の関係を示す図である。記録・再生動作は外部電源、電池ともいずれの電源でも実行可能であるが、トランスコード動作は電池駆動の場合には禁止し、外部電源により駆動されている時に限って実行可能とする。前記したように、記録・再生動作時に比較し、トランスコード動作時には消費電力が大きくなる。よって、トランスコード処理は外部電源の場合のみ可能として、電池からの電力消費を低減するものである。記録・再生処理は室外等で行う場合が多いので電池駆動は必須であるが、トランスコード処理は、ほとんどの場合、撮影後に自宅やオフィスなどで行うので、外部電源(AC電源)に限定しても支障は少ない。これにより、ユーザがトランスコード動作を行う場合、不用意に電池を消耗させることを防ぐことができる。
【0038】
トランスコード動作を禁止するには、前記実施例1に述べた方法を用いることができる。すなわち、制御部20はクロック制御部115やメモリ電源制御部18を制御して、トランスコードで使用するメモリへのクロック供給を停止する、さらには電源供給を停止する、あるいは供給するクロック周波数を低くするなどにより、トランスコード処理を実行できないようにする。
【0039】
また、ユーザが、スタンバイ状態(図2のM200)からトランスコード状態(M205)に遷移させようと操作指示した場合、上記電源判別部19は、いずれの電源に接続されているかを判別し、外部電源接続時にのみトランスコード状態(M205)に遷移させ、電池接続の時には、遷移を禁止する旨を表示してユーザに通知することもできる。
【実施例3】
【0040】
図7は、本発明による記録再生装置のダビング処理(トランスコード処理)の一実施例を示す図である。本実施例では、ユーザによるダビング設定操作と装置による実際のダビング処理を時間的にオーバーラップして実行するもので、図7はそれらの時間関係を示したものである。符号301,302,303は、ユーザによるダビング動作の設定期間で、3回の設定操作(設定1〜設定3)を受付けるとする。符号311,312,313は、それぞれの設定1〜3に従って実行するダビング処理1〜3の期間を示す。ダビング設定1(301)が完了すると引き続きそれで設定されたダビング処理1(311)を実行するが、ダビング処理1を実行している間に次の設定2(302)や設定3(303)を受付けることができる。従来は、ダビング設定操作と実際のダビング処理は交互に行っていたが、本実施例ではこれらを並行して行うことで、ダビング処理を複数回行う場合のトータルの所要時間を短縮することができる。
【0041】
図8は、ユーザによるダビング設定画面400の一例を示す図である。ここでは、例えば図1のHDD12からBD13へダビングすることを想定する。
【0042】
ダビング元(HDD12)に記録されているAVソース群は、シーケンス群401(seq1〜seq5)として表示される。ユーザはこの中から、外部リモコン等で、ダビングする候補402として例えばseq3を選択する。選択された候補402は、時間軸403にその再生時間が表示される。ユーザはその中でダビングしたい部分の開始点406と終了点207を決定する。また、ダビング内容の確認のため、プレビュー画面408には、時間軸上の位置405についてのダビング元のAVデータを再生(デコード)し映像を表示する。
【0043】
ダビング対象のソースと期間が決定されると、ダビングリスト409に対象リストとして逐次追加表示される。例えばlist1とlist2は、既にダビング対象として確定された部分であり、これに現在編集中の確定部分410としてlist3が追加されている。ダビングリスト409が完成すると、ユーザはダビング開始を指示する。
【0044】
記録再生装置は、ダビングリスト409に従い、HDD12からダビング対象部分を順次読み出し、トランスコード処理を行った後BD13にダビング記録する。このダビング処理中に新たなダビング処理の設定を行いたい場合、ユーザは、再度図8の設定画面を起動し、次のダビング設定を並行して行うことができる。
【0045】
このように本実施例では、図2の動作モード(M206)に示したように、ダビング処理中(トランスコード処理中)に同時にダビング元(HDD)からの再生処理(プレビュー)も可能である。このような並行動作をどのように行うかについて、図1の装置構成を用いて説明する。
【0046】
まずダビング処理の際は、HDD12から読み出したAVストリームは、メディアIF部110を経由してデコーダ112に送り、ここで復号化されたAVデジタル信号とする。このAV信号を、セレクタ114を経由してエンコーダ113に送り、再び圧縮符号化してAVストリームとする。このAVストリームを、メディアIF110を介してBD13にダビング記録する。
【0047】
次に再生処理(プレビュー画面出力)の際は、HDD12からプレビュー用のAVストリームをメディアIF110を介して読み出し、デコーダ111に送る。デコーダ111はAVストリームを復号化してAV信号とし、AV出力端子17を介して図示しない表示装置のプレビュー画面に映像を出力し、ユーザはこれを確認する。
【0048】
このように本実施例では、ダビング(トランスコード)用のデコーダ112とプレビュー再生用のデコーダ111とを独立に有しているため、ダビングとプレビュー再生との同時処理が可能となる。これにより、図7に示すように、ダビング処理にオーバーラップして新たなダビング設定処理を進めることができる。その結果、複数回に分けてダビング処理を行う場合、ダビングに要するトータルの所要時間を短縮することが可能である。
【0049】
上記各実施例では、記録メディアとしてHDDとBDを例に述べたが、これらに限定されない。例えばリムーバブルHDD、その他の光ディスクメディア(DVD、CDなど)、リムーバブルメモリデバイスであっても、同様の効果が得られることは明らかである。
【符号の説明】
【0050】
1…記録再生装置
11…圧縮伸長部
12…ハードディスクドライブ
13…BDドライブ
14,15…メモリ
16…AV信号入力端子
17…AV信号出力端子
18…メモリ電源制御部
19…電源判別部
20…制御部
21…撮像部
22…カメラ信号処理部
110…メディアIF
111,112…デコーダ
113…エンコーダ
114…セレクタ
115…クロック制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の記録メディアを装着しこれに映像音声信号を記録及び再生する記録再生装置において、
入力する映像音声信号を圧縮符号化して上記第1又は第2の記録メディアに記録するエンコード部と、
上記第1又は第2の記録メディアから映像音声信号を再生し伸長復号化して出力するデコード部と、
上記第1の記録メディアから再生された映像音声信号を伸長復号化した後、再度圧縮符号化して上記第2の記録メディアに記録するトランスコード部と、
上記エンコード部、上記デコード部及び上記トランスコード部が動作する際に中間データを保持するメモリと、
上記メモリに供給するクロックの周波数を制御するクロック制御部を備え、
該クロック制御部は、上記エンコード部又は上記デコード部が動作するときは供給するクロックの周波数を低くし、上記トランスコード部が動作するときは供給するクロックの周波数を高くするように制御することを特徴とする記録再生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記録再生装置であって、
さらに、当該装置に供給される電源が電池であるか外部電源であるかを判別する電源判別部を備え、
供給される電源が電池である場合、前記クロック制御部は、前記トランスコード部が動作するときであっても供給するクロックの周波数を低くするように制御することを特徴とする記録再生装置。
【請求項3】
第1及び第2の記録メディアを装着しこれに映像音声信号を記録及び再生する記録再生装置において、
入力する映像音声信号を圧縮符号化して上記第1又は第2の記録メディアに記録するエンコード部と、
上記第1又は第2の記録メディアから映像音声信号を再生し伸長復号化して出力するデコード部と、
上記第1の記録メディアから再生された映像音声信号を伸長復号化した後、再度圧縮符号化して上記第2の記録メディアに記録するトランスコード部を備え、
上記エンコード部及び上記トランスコード部は、映像音声信号を圧縮符号化するためのエンコーダを共通に所有し、
上記デコード部及び上記トランスコード部は、映像音声信号を伸長復号化するためのデコーダを独立に所有することを特徴とする記録再生装置。
【請求項4】
請求項3に記載の記録再生装置であって、
前記デコード部により、前記第1の記録メディアから映像音声信号を再生し伸長復号化して出力する再生処理と、
前記トランスコード部により、前記第1の記録メディアから再生された映像音声信号を伸長復号化した後、再度圧縮符号化して前記第2の記録メディアに記録するダビング処理とを、時間的に並行して実行することを特徴とする記録再生装置。
【請求項5】
記録メディアを装着しこれに映像音声信号を記録及び再生する記録再生装置において、
入力する映像音声信号を上記記録メディアに記録するために圧縮符号化するエンコーダと、
上記記録メディアから再生した映像音声信号を伸長復号化するデコーダと、
上記エンコーダ及び上記デコーダが動作する際に中間データを保持するメモリと、
上記メモリを制御するメモリ制御部を備え、
該メモリ制御部は、上記エンコーダ又は上記デコーダの動作状態に応じて、上記メモリにクロック又は電源を供給し、あるいは供給するクロックの周波数を変更するように制御することを特徴とする記録再生装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−259466(P2011−259466A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158525(P2011−158525)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【分割の表示】特願2007−8275(P2007−8275)の分割
【原出願日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】