説明

記録装置、記録装置におけるトナーカートリッジの適合性判別方法及びトナーカートリッジ

【課題】 本発明は、容易に模倣されない、セキュリティの高い海賊版トナーカートリッジの判別を可能にする。
【解決手段】 交換可能なトナーカートリッジ13から供給されるトナーを用いて印刷する記録装置において、トナーカートリッジ13に磁気テープ部21を設けるとともに磁気テープ部21に予めトナーカートリッジの適合性判別用の情報を記録しておき、トナーカートリッジ13が装着された際に磁気テープリーダ/ライタ12により磁気テープ部21に記録された情報を読み取り、磁気テープリーダ/ライタ12により読み取られた情報がトナーカートリッジ13に記録されているべき判別用情報であるか否かを判定部43により判定し、これに基づいてトナーカートリッジの適合性を判別する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、交換可能なトナーカートリッジから供給されるトナーを用いて印刷する記録装置、記録装置におけるトナーカートリッジの適合性判別方法及びトナーカートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、交換可能なトナーカートリッジから供給されるトナーを用いて印刷する方式のこの種の記録装置では、トラブルの発生しやすい海賊版のトナーカートリッジの使用を防止するため、カートリッジの所定の場所に、バーコード表示を行う(特開平05−224479)、または、目視可能な特定の表示を行い、これらの表示を読みとることにより海賊版か否かを判定していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した従来の技術には、以下のような問題点があった。第1の問題点は、バーコード表示を含め、目視可能な表示をトナーカートリッジの所定の場所に施すため、容易に模倣され、海賊版カートリッジを作られてしまうことである。第2の問題点は、トナーカートリッジの印字記録枚数をトナーカートリッジ自体に記録する手段を設けていないので、客先からトナーカートリッジの印字寿命に関する質問が到来した時に、個々のトナーカートリッジの印字記録枚数を客先に示すことができず、有効な説明手段を提供できないことである。
【0004】本発明は斯かる問題点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、容易に模倣されない、セキュリティの高い海賊版トナーカートリッジの判別が可能な記録装置、記録装置におけるトナーカートリッジの適合性判別方法及びトナーカートリッジを提供する点にある。本発明のさらに目的とするところは、客先からトナーカートリッジの印字寿命に関する質問が到来した時に有効な説明手段を提供することの可能な記録装置、記録装置におけるトナーカートリッジの適合性判別方法及びトナーカートリッジを提供する点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。請求項1記載の発明の要旨は、交換可能なトナーカートリッジから供給されるトナーを用いて印刷する記録装置において、トナーカートリッジには磁気記録媒体が設けられるとともに磁気記録媒体には予めトナーカートリッジの適合性判別用の情報が記録され、さらに、トナーカートリッジが装着された際に磁気記録媒体に記録された情報を読み取る読取手段と、読取手段により読み取られた情報がトナーカートリッジに記録されているべき判別用情報であるか否かに基づいてトナーカートリッジの適合性を判別する判別手段とを備えることを特徴とする記録装置に存する。請求項6記載の発明の要旨は、交換可能なトナーカートリッジから供給されるトナーを用いて印刷する記録装置におけるトナーカートリッジの適合性を判別する方法であって、トナーカートリッジに磁気記録媒体を設けるとともに、磁気記録媒体に予めトナーカートリッジの適合性判別用の情報を記録しておき、トナーカートリッジが装着された際に磁気記録媒体に記録された情報を読み取り、読み取られた情報がトナーカートリッジに記録されているべき判別用情報であるか否かに基づいてトナーカートリッジの適合性を判別することを特徴とする記録装置におけるトナーカートリッジの適合性判別方法に存する。請求項7記載の発明の要旨は、記録装置に交換可能に装着され、この記録装置に印刷用のトナーを供給するためのトナーカートリッジにおいて、外部から書込及び/又は読取可能な位置に磁気記録媒体が設けられ、この磁気記録媒体には、トナーカートリッジの適合性判別用の情報が記録されていることを特徴とするトナーカートリッジに存する。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態である記録装置の断面図であり、図2は一実施形態の記録装置に用いられる交換可能なトナーカートリッジの斜視図であり、図3は一実施形態で用いるトナーカートリッジの装着方法の説明図であり、図4は一実施形態の記録装置の機能ブロック図であり、図5は一実施形態の記録装置の動作フローチャートである。
【0007】本実施形態による記録装置は、レーザー記録方式による記録装置である。図1に示す記録装置本体10に、図1及び図2に示すトナーカートリッジ13を挿入して記録紙に印刷を行う。図1に示すように図略の記録紙は記録装置下部に設けられた給紙カセット16に納められており、記録される際は、給紙ローラ19により記録紙がピックアップされ、感光体11と転写ローラ15の間を通過する時に、記録紙上に静電潜像が形成され、トナーカートリッジ13から供給されるトナーが潜像に付着し顕像化した後、定着ユニット17で定着化され、排紙口18に溜められる。
【0008】また、トナーカートリッジ13の上方にはこのトナーカートリッジ13に設けられた磁気テープ部(図2において符号21)に記録された情報を読み取り、また、磁気テープ部に対して情報を書き込むための磁気テープリーダ/ライタ12が設けられている。なお、図1において14はトナーカートリッジ13の装着及び取り外し動作を検出するためのトナーカートリッジセットスイッチである。
【0009】図2に示すトナーカートリッジ13には、その上部の表面に磁気テープ部21が設けられている。この磁気テープ部21には、本記録装置に用いられる純正品のトナーカートリッジであることを示す識別コード情報があらかじめ書かれている。またこの磁気テープ部21には、印字記録枚数情報を書き込むエリアが設けられており、記録実績の無い新品のトナーカートリッジには、“0”と記録されている。なお、図2において22はイジェクトレバーである。
【0010】図3において、トナーカートリッジ13を交換する時は、記録装置電源をONにしたまま、開閉カバー33を図3の様に開き、イジェクトレバー22を押しながら手前に引くと使い切ったトナーカートリッジ13を取り出すことができる。新しいトナーカートリッジ13を装着する場合は、この逆の手順で行う。
【0011】次に図4を用いて、トナーカートリッジ13の装着時、取り外しの際における本実施形態の記録装置の動作を説明する。
【0012】新トナーカートリッジ装着時、トナーカートリッジ13の上部表面に設けられた磁気テープ部21に記録されている純正品であることを示す識別コード情報及び、印字記録枚数情報を磁気テープリーダ/ライタ12にて読みとる。読み取られた識別コード情報は読取部42に記録され、判定部43で指定された識別コード情報かどうかチェックされる。
【0013】その結果、識別コード情報が指定されたものであれば、判定OK信号がプリンタ制御部45に出力され、開閉カバ−が閉じられるのを待って、閉じられれば、正常待機モードで次の操作を待つ。識別コード情報が指定のものでない場合は、判定NG信号がプリンタ制御部45に出力され、プリンタ制御部45が表示ドライバ44を介してLCD32に、”このトナーカートリッジは使えません”のエラー表示を行うとともに、エラー状態で待機し、純正品のトナーカートリッジ13が装着されるまでは、記録動作ができなくなる。
【0014】また、読み取られた印字記録枚数情報は、読取部42からメモリ47に入力され記憶される。記録動作が行われた場合は、記録が1枚ずつ完了するする毎にプリンタ制御部45から、加算器46に記録完了信号が出力され、そのたびに加算器46がメモリ47の印字記録枚数情報を1ずつインクリメントする。
【0015】トナーカートリッジ13取り外し時は、書込部41が、その時の最終の印字記録枚数情報をメモリ47から読み出し、磁気テープリーダ/ライタ12を介し、トナーカートリッジ13の表面に設けられた磁気テープ部21に書き込む。
【0016】次に図5のフローチャートを用いて、本実施形態の動作についてさらに説明する。まず、開閉カバー33が開いているかを判断する(S501)。開閉カバー33が開いていると判断されるとトナーカートリッジ13が装着されているかを判断する(S502)。トナーカートリッジ13が装着されているかどうかは、図1R>1のトナーカートリッジセットスイッチ14のON/OFFにより判断できる。トナーカートリッジが装着されていれば、取り外されるまでチェックする(S503)。取り外されることを検出したら、その時の最終印字記録枚数をトナーカートリッジ13の表面に貼られた磁気テープ部21に書き込む(S504)。
【0017】トナーカートリッジ13が装着されていなければ、新カートリッジの装着が予想されるので、トナーカートリッジ13の表面を磁気テープリーダ/ライタ12で読みとる(S505)。
【0018】読みとった識別コ−ド情報が指定通りかどうか判断し(S506)、指定通りであれば、開閉カバーが閉じられるのを待って(S507)、閉じられれば正常状態で待機し(S508)、指定どおりでなければ、エラー表示を行い(S509)エラー状態で待機する(S510)。
【0019】実施の形態に係る記録装置は上記の如く構成されているので、以下に掲げる効果を奏する。第1の効果は、海賊版トナーカートリッジを確実に排除でき、正しい記録動作を保証できる。その理由は、トナーカートリッジ13に貼り付けられた目視にて判読できない磁気テープ部21に記録された識別コード情報を読み取り判断するためである。第2の効果は、客先からトナーカートリッジの印字寿命に関する質問が到来した時に、有効な説明手段を提供できる。その理由は、トナーカートリッジ13を取り外した時に、その時の印字記録枚数情報をトナーカートリッジ13の表面に貼り付けられた磁気テープ部21に書き込める構造を取っているためである。
【0020】なお、本実施の形態においては、本発明は上述の記録装置及びトナーカートリッジに限定されず、本発明を適用する上で好適な記録装置、トナーカートリッジに適用することができる。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付している。
【0021】
【発明の効果】本発明は以上のように構成されているので、以下に掲げる効果を奏する。すなわち、容易に模倣されない、セキュリティの高い海賊版トナーカートリッジの判別が可能な記録装置、記録装置におけるトナーカートリッジの適合性判別方法及びトナーカートリッジを実現することができる。また、客先からトナーカートリッジの印字寿命に関する質問が到来した時に有効な説明手段を提供することの可能な記録装置、記録装置におけるトナーカートリッジの適合性判別方法及びトナーカートリッジを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である記録装置の断面図である。
【図2】一実施形態の記録装置で用いるトナーカートリッジの斜視図である。
【図3】一実施形態の記録装置で用いるトナーカートリッジの装着方法の説明図である。
【図4】一実施形態の記録装置の機能ブロック図である。
【図5】一実施形態の記録装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
10 記録装置本体
11 感光体
12 磁気テープリーダ/ライタ
13 トナーカートリッジ
14 トナーカートリッジセットスイッチ
15 転写ローラ
16 給紙カセット
17 定着ユニット
18 排紙口
19 給紙ローラ
21 磁気テープ部
22 イジェクトレバー
31 操作パネル
32 LCD
33 開閉カバー
41 書込部
42 読取部
43 判定部
44 表示ドライバ
45 プリンタ制御部
46 加算器
47 メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 交換可能なトナーカートリッジから供給されるトナーを用いて印刷する記録装置において、前記トナーカートリッジには磁気記録媒体が設けられるとともに前記磁気記録媒体には予め前記トナーカートリッジの適合性判別用の情報が記録され、さらに、前記トナーカートリッジが装着された際に前記磁気記録媒体に記録された情報を読み取る読取手段と、前記読取手段により読み取られた情報が前記トナーカートリッジに記録されているべき前記判別用情報であるか否かに基づいて前記トナーカートリッジの適合性を判別する判別手段とを備えることを特徴とする記録装置。
【請求項2】 前記判別手段により装着されている前記トナーカートリッジが不適合と判別された場合に前記記録装置の記録動作を開始しないように制御する制御手段を備えることを特徴とする請求項1記載の記録装置。
【請求項3】 前記判別手段の判別結果を表示する表示手段を備えることを特徴とする請求項1または2記載の記録装置。
【請求項4】 前記記録装置による印字記録枚数の情報が格納されている記憶手段と、前記記録装置による印字記録が行われる毎に前記記憶手段に格納されている前記印字記録枚数情報を書き換える加算手段と、前記トナーカートリッジが取り外される際に、前記記憶手段に格納されている前記印字記録枚数情報を前記磁気記録媒体に記録する書込手段とを備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の記録装置。
【請求項5】 前記読取手段は前記磁気記録媒体に記録された前記印字記録枚数情報も読み取り、前記読取手段により読み取られた前記印字記録枚数情報を前記記憶手段に格納する格納手段を備えることを特徴とする請求項4記載の記録装置。
【請求項6】 交換可能なトナーカートリッジから供給されるトナーを用いて印刷する記録装置における前記トナーカートリッジの適合性を判別する方法であって、前記トナーカートリッジに磁気記録媒体を設けるとともに、前記磁気記録媒体に予め前記トナーカートリッジの適合性判別用の情報を記録しておき、前記トナーカートリッジが装着された際に前記磁気記録媒体に記録された情報を読み取り、前記読み取られた情報が前記トナーカートリッジに記録されているべき前記判別用情報であるか否かに基づいて前記トナーカートリッジの適合性を判別することを特徴とする記録装置におけるトナーカートリッジの適合性判別方法。
【請求項7】 記録装置に交換可能に装着され、この記録装置に印刷用のトナーを供給するためのトナーカートリッジにおいて、外部から書込及び/又は読取可能な位置に磁気記録媒体が設けられ、この磁気記録媒体には、前記トナーカートリッジの適合性判別用の情報が記録されていることを特徴とするトナーカートリッジ。
【請求項8】 前記磁気記録媒体には、前記トナーカートリッジが取り外された際の前記記録装置の印字記録枚数の情報が記録されていることを特徴とする請求項7記載のトナーカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2000−347503(P2000−347503A)
【公開日】平成12年12月15日(2000.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−157274
【出願日】平成11年6月4日(1999.6.4)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】