説明

記録装置

【課題】記録シートのソートを行う機構を有する記録装置の小型化および低コスト化を図る。
【解決手段】記録装置は、記録シート(906)を搬送し、該記録シート(906)に記録を行って、該記録シート(906)を排出し、排出する該記録シート(906)を仕分けする。記録装置は、記録シート(906)に記録を行う記録ヘッドを保持し、移動可能に構成されたキャリッジ(206)と、排出した記録シート(906)が仕分けられるように、記録シート(906)の位置を制御する仕分け機構(214、215)と、を備え、仕分け機構(214、215)は、キャリッジ(206)によって作動され、キャリッジ(206)の位置に応じて記録シート(906)を仕分けるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録シートを搬送し、記録シートを仕分けして排出する記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
記録シートを搬送し、当該記録シートに記録を行う記録装置としては、印刷装置やプリンタなどがある。近年、記録装置としての印刷装置では、印刷後に排出される印刷物(記録シート)を取り出しやすくするために、印刷物を仕分け(ソート)する機能を備えたものがある。
【0003】
大型の印刷装置としては、複数の排出トレイを備えたものがあり、この場合、記録シートを排出するべきトレイを切り替えることで、記録シートの仕分けが行われる。一方で、小型の印刷装置では、1つのトレイに記録シートを排出し、排出された記録シートの位置をずらすことで、ソートを行うものがある。
【0004】
記録シートを排出する位置をずらしてソートを行う機構を備えた画像形成装置が、特許文献1で開示されている。この画像形成装置では、記録シートを排出する排出部分にあるローラが記録シートを搬送方向に搬送すると共に、当該搬送方向と直交する方向にローラが移動する。このローラの移動により、排送される記録シートの位置がずらされる。搬送方向と直交する方向へのローラ移動には、専用の動力源が用いられる。
【0005】
また、特許文献2には、別の仕分け機構を備えた、記録紙(記録シート)の排出装置が開示されている。この排出装置は、排出した記録紙を順次集積する排紙トレイを所定位置へ移動させることで、排紙された記録紙を仕分ける。排紙トレイの移動には、専用の動力源が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−132611号公報
【特許文献2】特開2004−269091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1および特許文献2に記載の装置では、排出するシートを仕分けるために専用の動力源が用いられる。そのため、装置が大型化したりコストが増大したりするという課題がある。
【0008】
本発明の目的は上記背景技術の課題に鑑み、排出する記録シートの仕分けを行う機能を備え、小型化および低コスト化を図ることができる記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の記録装置は、記録シートを搬送し、該記録シートに記録を行って、該記録シートを排出し、排出する該記録シートを仕分けする。記録装置は、記録シートに記録を行う記録ヘッドを保持し、移動可能に構成されたキャリッジと、排出した記録シートが仕分けられるように、記録シートの位置を制御する仕分け機構と、を備え、仕分け機構は、キャリッジによって作動され、キャリッジの位置に応じて記録シートを仕分けるように構成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、記録シートを仕分けするための専用の動力源が不要であり、記録装置の小型化および低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態における印刷装置の模式的斜視図である。
【図2】図1の印刷装置の内部構成を示す模式的斜視図である。
【図3】図2の印刷装置の、キャリッジが設けられた部分およびその周辺を拡大した拡大図である。
【図4】図3の4A−4A線に沿った、印刷装置の模式的断面図である。
【図5】図3の領域5Aを拡大した模式的平面図である。
【図6】一動作状態にある印刷装置の内部構成を示す模式的平面図である。
【図7】図6と同じ動作状態にある印刷装置の、ロック機構周辺を拡大した模式的平面図である。
【図8】別の一動作状態にある印刷装置を示す模式的平面図である。
【図9】図8と同じ動作状態にある印刷装置の、ロック機構周辺を拡大した模式的平面図である。
【図10】さらに別の動作状態にある印刷装置の内部構成を示す模式的平面図である。
【図11】排出した印刷シートが仕分けされた様子を示す模式図である。
【図12】図1に示す印刷装置の制御ブロック図である。
【図13】本発明の第2の実施形態の印刷装置を示す模式的斜視図である。
【図14】本発明の第3の実施形態の印刷装置を示す模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下の実施形態では、本発明の記録装置として、記録シートとしての印刷シートに印刷する印刷装置について説明するが、本発明は、記録シートを仕分けして排出する記録装置全般に適用可能である。また、記録シートとしては、紙やプラスチックシートなどの様々なシートが用いられる。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態の印刷装置の概略斜視図である。印刷装置は、筐体カバー901、メンテナンス用カバー902、搬送前の印刷シート(記録シート)906を積載保持する給送ガイド(搬入用の積載機構)903および印刷(記録)された印刷シート906が排出される排出口904を備えている。印刷シート906は、図1中の矢印の方向(−Y方向)に排出され、排出された印刷シート906は排出トレイ(排出用の積載機構)907に積載される。また、印刷装置は、電源スイッチ905を有している。
【0014】
図2は印刷装置の内部構成を示す概略斜視図であり、図3は印刷装置の、キャリッジおよびその周辺の内部構成を拡大した概略斜視図である。また、図4は図3の4A−4A線に沿った、印刷装置の概略断面図であり、図5は図3の領域5Aを拡大した概略平面図である。
【0015】
印刷装置は、筐体内部の構成部品を支えるシャーシ201、印刷中の印刷シート906を支えるプラテン202、印刷シート906を送るローラ203およびピンチローラ204を有している。ピンチローラ204は、図示しないホルダおよびスプリングによりローラ203に押し付けられている。これにより、印刷シート906は、ローラ203とピンチローラ204との間で狭持される。ローラ203を駆動するシート送りモータ220は、アイドラギア221およびローラギア203aを介して、駆動力をローラ203に伝達し、ローラ203を回転させる。これにより、図2中の−Y方向に印刷シート906が送られる。
【0016】
キャリッジ206は、シャーシ201に形成されているガイド部205とガイドシャフト207とに沿って、X方向および−X方向に往復移動可能に支えられる。キャリッジ206を駆動するキャリッジモータ209は、ベルト208を介してキャリッジ206を駆動し、キャリッジ206をガイドシャフト207とガイド部205とに沿って往復移動させる。ベルト208は、キャリッジモータ209によって回動するプーリ213と、アイドルプーリ212との間に張られ、ベルト208の一部がキャリッジ206と繋がっている。
【0017】
印刷装置は、キャリッジ206に保持され、印刷シート906に記録を行う記録機構をメンテナンスするためのメンテナンス機構210を備えていることが好ましい。本実施形態では、記録機構は、インクジェット用の記録ヘッドが用いられる。記録ヘッドは、インクジェット用のものに限らず、公知の様々なものであって良い。
【0018】
キャリッジ206に保持された記録ヘッドへの電力や信号は、図示しないケーブルでキャリッジ206に伝えられ、キャリッジ206から記録ヘッドに伝達される。印刷動作は、概ね、プラテン202上に位置する印刷シート906に対して行われる。
【0019】
印刷装置は、印刷シート906を搬送する搬送機構を備えている。後述するように、第1の実施形態では、この搬送機構が、印刷シートを仕分けする仕分け機構になっている。搬送機構は、排送ローラ218および排送ローラに従動する拍車ローラ215を有している。印刷直後の印刷シート906は、排送ローラ218と拍車ローラ215との間に狭持された状態で搬送される。拍車ローラ215は、印刷シート906と接触する部分に、印刷シート906にダメージを与えない程度に鋭利な爪部215aを有する。拍車ローラ215を支える拍車ホルダ214は、X方向および−X方向に往復移動可能にシャーシ201に支えられる。
【0020】
印刷装置は、例えば記録動作中に、上記の拍車ホルダ214が移動しないように拍車ホルダ214を所定の基準位置で固定するロック機構を有している。このロック機構は、記録動作中に仕分け機構が動かないように、仕分け機構を所定の基準位置で作動不能に固定する。
【0021】
具体的には、ロック機構は、ロックピン216と、ロックピン解除カム板222と、を備えている。ロックピン216は、シャーシ201に形成されたガイド溝201dおよびガイド穴201cによって案内される。ロックピンスプリング217は、ロックピン216を図中のY方向に付勢している。
【0022】
2つの斜面214c、214dによってV字形状に構成された接触部214eが、拍車ホルダ214に形成されている。このV字形状の接触部214eの頂点に、ロックピン216の頂部216aが押し込まれると、拍車ホルダ214は移動しないように固定される。
【0023】
シート送りモータ220の駆動力は、排送ローラギア218aがアイドラギア221とかみ合うことによって、排送ローラ218に伝えられる。
【0024】
拍車ローラ215は、スプリング軸219によって付勢され、印刷シート906を排送ローラ218に押し付ける。これにより、排送ローラ218を駆動するだけで、拍車ローラ215が従動し、印刷シート906を排出することができる。
【0025】
ロックピン解除カム板222は、X方向および−X方向に沿った開口を有しており、この開口に、シャーシ201に形成されたガイドピン201a、201bが挿入されている。このようにして、ロックピン解除カム板222は、X方向および−X方向に往復移動可能に構成されている。
【0026】
ロックピン解除カム板222には、2つの斜面222c、222dによってV字形状に構成された接触部が形成されている。この2つの斜面222c、222dの間の角度は、拍車ホルダ214に形成されているV字形状の接触部214eと同じ角度になっている。
【0027】
拍車ホルダの接触部214eと、ロックピン解除カム板222の上記接触部とは、所定の基準位置で位置合わせされ、両接触部の頂点にロックピン216の頂部216aが押し込まれると、拍車ホルダ214およびロックピン解除カム板222が固定される。
【0028】
ロックピン解除カム板222が往復移動する方向において、ロックピン解除カム板222の両端には当接部222a、222bが形成されている。キャリッジ206が、印刷シート上の印刷(記録)範囲より外側、あるいはメンテナンス機構210の位置より外側まで移動すると、キャリッジ206に設けられたキャリッジレバー206aがカム板ガイド222の当接部222aまたは222bに当接する。更にキャリッジ206が移動方向の外側に移動すると、キャリッジ206がカム板ガイド222の当接部222a、222bを押して、ロックピン解除カム板222をキャリッジ206と同じ方向(印刷シートの搬送方向と直交する方向)に移動させる。これにより、ロックピン解除カム板222の2つの斜面222c、222dと、ロックピン216との位置がずれ、当該2つの斜面222c、222dがロックピン216を−Y方向に押す。このようにして、拍車ホルダ214の接触部214eとロックピン216との間に隙間ができるため、拍車ホルダ214の固定が解除され、拍車ホルダ214が移動可能な状態になる(図7も参照。)。
【0029】
一方、拍車ホルダ214にもキャリッジ206と当接する当接部214a、214bがあり、キャリッジ206が当接部214a、214bを押すことで、拍車ホルダ214がキャリッジ206と同じ方向に移動する。
【0030】
キャリッジ206は、ロックピン解除カム板222を先に移動させ、その後、拍車ホルダ214を移動させるようになっている。つまり、ロック機構は、記録ヘッドが記録シート906に記録を行う記録領域の外側の第1の位置よりも外側にキャリッジ206が位置するときに、前記仕分け機構を作動可能にする。さらに、第1の位置の外側の第2の位置よりもさらに外側の領域にキャリッジ206が位置するときに、仕分け機構が作動する。これにより、拍車ホルダ214の固定が解除された後に、拍車ホルダ214を移動させることができる。
【0031】
また、上記のように、ロック機構は、キャリッジ206によって作動され、キャリッジ206の位置に応じて仕分け機構を作動可能している。そのため、ロック機構を駆動するための専用の駆動源は不要である。
【0032】
以下に、仕分け機構を作動させた場合の、印刷装置の動作についてより詳細に説明する。図6は印刷動作が終了して、印刷シート906の、シート搬送方向の上流側の端部が、排送ローラ218と拍車ローラ215とにより挟持された状態を示している。図7は、この状態における、ロック機構とその周辺の様子を示す概略拡大図である。キャリッジ206は、キャリッジ206に保持された記録ヘッドが記録を行う領域(記録領域)を超えて、−X方向に移動すると、キャリッジレバー206aがロックピン解除カム板222の当接部222bを押す。そして、図6および図7に示す状態では、キャリッジ206が更に移動して拍車ホルダ214の当接部214bに接触した状態にある。
【0033】
なお、図6に示すように、キャリッジ206が仕分け機構を作動していない状態で、印刷シート906を搬送すると、印刷シート906は所定の基準位置に排出される。
【0034】
ロックピン解除カム板222は、キャリッジ206の移動にともなって、−X方向に移動し、ロックピン解除カム板222の斜面222cはロックピン216を−Y方向に押す。これにより、拍車ホルダ214のロックが解除され、拍車ホルダ214は移動可能な状態になる(図7参照。)。
【0035】
図8は、キャリッジ206が、図6および図7に示す状態よりも更に−X方向に移動したときの状態を示している。図9は、この状態における、ロック機構とその周辺の様子を示す概略拡大図である。キャリッジレバー206aは拍車ホルダ214の当接部214bを押し、キャリッジレバー206aが当接部214bに接触してからのキャリッジ206の移動分Aだけ、拍車ホルダ214が元の位置からずれる。このとき、拍車ホルダ214に構成される排送ローラ218、排送ローラギア218aおよび拍車ローラ215も一緒に移動する。この移動にともない、排送ローラ218aと拍車ローラ215とに挟まれている印刷シート906の排出位置もずれる。
【0036】
拍車ホルダ214の移動とともに、ロックピン解除カム板222も同様に移動し、ロックピン解除カム板222の斜面222cはロックピン216を−Y方向にさらに押す。この状態では、拍車ホルダ214のV字形状の接触部214eの斜面214cとロックピン216との間に隙間があるため、ロックピン216は拍車ホルダ214の移動を規制しない。
【0037】
排送ローラギア218aと噛み合っているアイドラギア221は、上記のずれ分を見込んで歯幅が広くなっている。したがって、排送ローラギア218aが拍車ホルダ214とともに移動したとしても、排送ローラギア218aはアイドラギア221と噛み合った状態を維持する。このようにして、動力の伝達が途切れることが防止されている。
【0038】
この状態でシート送りモータ220を駆動し、排送ローラ218を回転させて印刷シート906を排出し、排出トレイ907上に印刷シート906を積載する。
【0039】
上記のように、仕分け機構を作動して印刷シート906を排出した場合と、仕分け機構を作動しないで印刷シート906を排出した場合とでは、排出した印刷シート906の位置がずれている(図8参照。)。このようにして、印刷シート906の仕分けを行うことができる。
【0040】
図10はシートの排出後のロック機構の動作について示している。図10(a)は、印刷シート906の排出直後の様子を示している。シートの排出終了後、キャリッジ206が、−X方向の端部からX方向に向けて移動する。これにより、キャリッジレバー206aは、拍車ホルダ214の当接部214bとロックピン解除カム板222の当接部222bとから離れる。
【0041】
ロックピン216は、ロックピンスプリング217によってY方向に押されている。そのため、ロックピン216は、ロックピン解除カム板222に形成された斜面222cを押す。これにより、ロックピン解除カム板222がX方向に移動することになる。更に、ロックピン216は、拍車ホルダ214に形成された斜面214cを押すため、拍車ホルダ214もX方向に移動することになる。
【0042】
最終的に、ロックピン216は、拍車ホルダ214のV字形状の接触部214eの頂点と、ロックピン解除カム板222側のV字形状の接触部の頂点に押しこまれる。このようにして、拍車ホルダ214およびロックピン解除カム板222は、元の基準位置で固定される(図10(b)参照。)。
【0043】
図11は、上述した場合とは異なり、キャリッジ206がX方向に移動して、印刷シートを仕分けする様子を示している。印刷装置は、キャリッジが、一方向(−X方)に移動したときだけでなく、逆方向(X方向)に移動したときにも、シートを仕分けすることができるように構成されていることが好ましい。これにより、印刷シート906を、互いに反対方向にずらして排出することが可能になる。つまり、所定の基準位置からX方向に所定の距離L2だけ印刷シート906をずらし、別の印刷シートを所定の基準位置から−X方向に所定の距離L1だけずらすことができる。この場合、排出され、積載された印刷シート906は、最大で、距離L1と距離L2との合計(図中の距離Bに相当)だけずれる。このようにして、排出した印刷シートのずれの量の最大値が増大するため、印刷シートを明確に仕分したり、多数の区分に仕分けしたりすることができる。印刷シートは、拍車ホルダ214の移動距離と同じ範囲だけずらされる。
【0044】
上記実施形態では、キャリッジ206の位置を調整すれば、拍車ホルダ214の位置を調節することができる。このようにして、印刷シート906を排出する位置を複数選択することができ、印刷シート906を複数の位置に仕分けることができる。
【0045】
また、本実施形態では、拍車ホルダ214を移動させるためにキャリッジ206を印刷範囲の外側まで移動させている。しかし、これに限らず、シートに記録を行う記録ヘッドとシートとの間の距離を調整する機構の一部に、拍車ホルダ214の移動に連動する部分を設けることで、キャリッジ206の移動範囲を記録領域の外部まで広げなくてもシートを仕分けすることができる。
【0046】
図12は本実施形態の印刷装置の制御ブロックの一例を示すブロック図である。印刷装置全体の制御を行う制御部801は、外部インターフェース805を介して出入力された印刷情報を、インクジェット駆動機構802を介してインクジェット用のノズル部804に伝える。この信号受けて、ノズル部804はインクを吐出する。また、制御部801は、モータ駆動機構803を介して、キャリッジモータ209およびシート送りモータ220を駆動する。電源スイッチ905からの信号は制御部801に送られる。本実施形態では、制御部801は、キャリッジ206に保持された記録ヘッドが印刷シート906に記録を行った後から印刷シート906が排出されるまでの間に、キャリッジ206が仕分け機構を作動させるように制御する。
【0047】
図13は、本発明の第2の実施形態における印刷装置を示している。第2の実施形態における印刷装置においても、仕分け機構は、印刷シート906を挟持した状態で印刷シート906を搬送する搬送ローラ対(排送ローラおよび拍車ローラ)を備えた搬送機構からなる。キャリッジ206が搬送機構を構成する拍車ホルダ214を作動させて、印刷シート906に直交する所定の回動軸を中心に、拍車ホルダ214を回動させる。この回動にともない、印刷シート906も回動する。これにより印刷シート906を排出する位置を制御して、印刷シート906を仕分けすることができる。図13では、拍車ホルダ214および印刷シート906が、基準となる向きから角度Cだけ回動した状態を示している。第2の実施形態においても、仕分け機構は、キャリッジ206が拍車ホルダ214に設けられた当接部を押すことで作動する。第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様なロック機構を有していることが好ましい。
【0048】
図14は、本発明の第3の実施形態における印刷装置を示している。第3の実施形態における印刷装置では、仕分け機構が、排出された印刷シート906を積載保持する排出トレイ(排出用の積載機構)907からなる。この印刷装置は、キャリッジ206が、排出トレイ907を移動させ、移動した排出トレイ907上に印刷シート906が排出される。排出前に排出トレイ907を所定の位置にずらしておくことで、印刷シート906を仕分けすることができる。一例として、排出用の積載機構は、上記実施形態と同様に、キャリッジ206が当接可能に構成された当接部を有し、キャリッジ206が当該当接部を押す。これにより、排出用の積載機構が、印刷シート906の搬送方向と直交する方向(図中の矢印に示す方向)に移動するように構成されている。なお、第3の実施形態においても、第1の実施形態と同様なロック機構を有していることが好ましい。
【0049】
また、第4の実施形態として、例えば自動給送装置やメディアカセット等のような、搬送前の印刷シートを積載保持する搬入用の積載機構を移動させても良い。つまり、仕分け機構は、上記の搬入用の積載機構からなる。この場合、第1の実施形態で説明した制御部801は、搬入用の積載機構から記録シートを搬送する際に、キャリッジが仕分け機構を作動させ、印刷シートの搬送位置を変化させるように制御する。また、制御部は、印刷シートの搬送位置を変化量に応じて、キャリッジに保持された記録ヘッドが記録を行う記録領域を変えるよう制御することが好ましい。これにより、記録前の印刷シートの位置が変わったとしても、シート上の所定の位置に印刷することができる。第4の実施形態においても、第1の実施形態と同様なロック機構を有していることが好ましい。
【0050】
以上の実施形態で説明したように、仕分け機構は、排出した印刷シートが仕分けられるように、印刷シートの位置を制御する。この仕分け機構はキャリッジによって作動され、キャリッジの位置に応じて記録シートを仕分けるように構成されている。この印刷装置によれば、仕分け機構を駆動するための専用の動力は不要であり、印刷装置の低コスト化および小型化を図ることができる。
【符号の説明】
【0051】
206 キャリッジ
207 ガイドシャフト
214 拍車ホルダ
215 拍車ローラ
906 印刷シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録シートを搬送し、該記録シートに記録を行って、該記録シートを排出し、排出する該記録シートを仕分けする記録装置であって、
前記記録シートに記録を行う記録ヘッドを保持し、移動可能に構成されたキャリッジと、
排出した前記記録シートが仕分けられるように、前記記録シートの位置を制御する仕分け機構と、を備え、
前記仕分け機構は、前記キャリッジによって作動され、前記キャリッジの位置に応じて前記記録シートを仕分けるように構成されている、記録装置。
【請求項2】
前記仕分け機構は、前記キャリッジが当接される当接部を有し、
前記仕分け機構は、前記キャリッジが前記当接部を押すことにより、前記記録シートの搬送方向と直交する方向に、前記記録シートとともに移動するように構成されている、請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記仕分け機構は、前記キャリッジが当接される当接部を有し、
前記仕分け機構は、前記キャリッジが前記当接部を押すことにより、前記記録シートに直交する回動軸を中心として、前記記録シートとともに回動するように構成されている、請求項1に記載の記録装置。
【請求項4】
前記仕分け機構は、前記記録シートを挟持した状態で前記記録シートを搬送する搬送ローラ対を備えた搬送機構からなる、請求項1から3のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項5】
前記キャリッジに保持された前記記録ヘッドが前記記録シートに記録を行った後から前記記録シートが排出されるまでの間に、前記キャリッジが前記仕分け機構を作動させるように制御する制御部をさらに有している、請求項4に記載の記録装置。
【請求項6】
前記仕分け機構は、搬送前の前記記録シートを積載保持する搬入用の積載機構からなる、請求項1から3のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項7】
前記搬入用の積載機構から前記記録シートを搬送する際に、前記キャリッジが前記仕分け機構を作動させ、前記記録シートの搬送位置を変化させるように制御する制御部をさらに有している、請求項6に記載の記録装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記記録シートの搬送位置の変化量に応じて、前記キャリッジに保持された前記記録ヘッドが記録を行う記録領域を変えるように制御する、請求項7に記載の記録装置。
【請求項9】
前記仕分け機構は、排出した前記記録シートを積載保持する排出用の積載機構からなり、
前記排出用の積載機構は、前記キャリッジが当接される当接部を有し、
前記排出用の積載機構は、前記キャリッジが前記当接部を押すことにより、前記記録シートの搬送方向と直交する方向に移動するように構成されている、請求項1に記載の記録装置。
【請求項10】
前記キャリッジに保持された前記記録ヘッドが前記記録シートに記録を行った後から前記記録シートが排出されるまでの間に、前記キャリッジが前記仕分け機構を作動させるように制御する制御部をさらに有している、請求項9に記載の記録装置。
【請求項11】
前記キャリッジが移動するとともに前記記録ヘッドは前記記録シートに記録を行い、
記録動作中に、前記仕分け機構を所定の基準位置で作動不能に固定するロック機構を有する、請求項1から10のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項12】
前記ロック機構は、前記キャリッジによって作動され、前記キャリッジの位置に応じて前記仕分け機構を作動可能にする、請求項11に記載の記録装置。
【請求項13】
前記記録ヘッドが前記記録シートに記録を行う記録領域の外側の第1の位置よりも外側に前記キャリッジが位置するときに、前記ロック機構は前記仕分け機構を作動可能にし、
前記第1の位置の外側の第2の位置よりもさらに外側の領域に前記キャリッジが位置するときに、前記仕分け機構が作動する、請求項12に記載の記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−121225(P2011−121225A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−279317(P2009−279317)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】