許容誤差補正取付装置、車両コンポーネント取付構造、車両コンポーネント取付方法
【課題】組み付け対象である2つのコンポーネント間の設計上の制約を低減すること。
【解決手段】本発明の許容誤差補正取付装置は、ねじ固定具110と、取付穴を含む外側部材120と、筒状部材130とを備える。筒状部材130は、ねじ固定具110と回転可能に連結される内部表面と、外側部材の取付穴内に回転可能に連結される外部表面とを有する。これにより、ねじ固定具110の回転に同期して筒状部材130の中心軸回りに回転することで、筒状部材130は外部部材120に対し、外側部材120から突出する方向に移動し、次いで、ねじ固定具110は自己のさらなる回転に応じて筒状部材130に対して回転する。また、筒状部材130は、軸上の第1端部にて筒状部材130の軸端の表面上に形成された工具係合構造138を含み、その工具係合構造138は内部表面と外部表面との間に放射状に離間して配置される。
【解決手段】本発明の許容誤差補正取付装置は、ねじ固定具110と、取付穴を含む外側部材120と、筒状部材130とを備える。筒状部材130は、ねじ固定具110と回転可能に連結される内部表面と、外側部材の取付穴内に回転可能に連結される外部表面とを有する。これにより、ねじ固定具110の回転に同期して筒状部材130の中心軸回りに回転することで、筒状部材130は外部部材120に対し、外側部材120から突出する方向に移動し、次いで、ねじ固定具110は自己のさらなる回転に応じて筒状部材130に対して回転する。また、筒状部材130は、軸上の第1端部にて筒状部材130の軸端の表面上に形成された工具係合構造138を含み、その工具係合構造138は内部表面と外部表面との間に放射状に離間して配置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的には、車両コンポーネントと車体との間に形成される、許容誤差による隙間を補正しながら、車両コンポーネントを車体に取付するための許容誤差補正取付装置、車両コンポーネント取付構造、車両コンポーネント取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動車の多くの内部の車両コンポーネントは、ねじ固定具によって車体とともに、または、車体に対して連結されている。美的観点からは、内部の車両コンポーネントが隙間なく適合することが望ましい。しかしながら、製造上の観点からは、内部の車両コンポーネントが隙間なく合うことが非常に高価なことになり得る。そのため、内部の車両コンポーネント間、および/または、車両コンポーネントと車体との間の隙間を調整するための許容誤差補正取付装置が開発されてきた。従来の許容誤差補正取付装置の一例は、下記特許文献1に開示されている。この特許文献1には、第1および第2車両コンポーネントを接続すると同時に、その第1および第2車両コンポーネントの間に形成される、許容誤差による隙間を補正するために使用される許容誤差補正取付装置が開示されている。この特許文献1に開示された従来の許容誤差補正取付装置は、内部および外部のねじ部を有するねじ軸受筒(ブッシュ)を含んでいる。このねじ軸受筒は、第1および第2車両コンポーネント間に形成される、許容誤差による隙間を完全に補正するために構成・配置される一方、第1および第2車両コンポーネントはボルトによって確実に固定される。
【0003】
より具体的には、ねじ軸受筒は、ねじ軸受筒の軸上の一端に形成される六角フランジ部と係合し、工具または手によって回転されられるため、従来の許容誤差補正取付装置内のねじ軸受筒の外部のねじ部は、第1コンポーネントに形成されるねじ穴(ボア)にはめ込まれる。そして、ボルトは、ねじ軸受筒の内部のねじ部にはめ込まれる。ボルトの回転運動が、第1コンポーネントのねじ穴に対してねじ軸受筒を回転させ、これによって、第1コンポーネントから第2コンポーネントに向けて当該軸受筒のねじが緩まることになる。ねじ軸受筒は回転し続けて、ねじ軸受筒のねじフランジ部が第2コンポーネントの取付面に接する。ここで、ねじ軸受筒は、第1および第2コンポーネント間の、許容誤差による隙間を完全に補正する。ボルトは、ねじ軸受筒に対してさらに回転され、これにより、第1および第2コンポーネントは、ボルトを締めることによって確実に固定される。
【0004】
このような従来の許容誤差補正取付装置は、車両組立(アセンブリ)の際に頻繁に使用される。たとえば、車両のコックピットモジュールでは、インストルメンタルパネルは、複数の取付位置で複数の許容誤差補正取付装置を使用することによって車体に取付される。ボルトは、車体の外側から挿入されて、車体とインストルメンタルパネルとの間に延びているねじ軸受筒と嵌合する。
【特許文献1】米国特許6,884,014
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車体およびインストルメンタルパネルがともにアセンブリされた後に、車体またはインストルメンタルパネルが除去または再配置されるときには、先ず、ボルトは従来の許容誤差補正取付装置から緩められて取り除かれる。ところが、ボルトがねじ軸受筒の内部のねじ部から緩められるときに、ねじ軸受筒と車体との間にかかる大トルクに起因して、ボルトの回転運動によるねじ軸受筒の回転が生じない。そのため、ボルトが取り除かれた後、ねじ軸受筒は、インストルメンタルパネルと車体との間に延びたままの状態にある。したがって、ねじ軸受筒を回転させてねじ軸受筒をインストルメンタルパネルの方向に収縮させるために、ねじ軸受筒は、工具をねじ軸受筒のフランジ部に係合させることによって回転させられる必要がある。しかしながら、ねじ軸受筒のフランジ部は、車体の取付面に接しながら車体とインストルメンタルパネルとの間に配置しているため、工具は、フランジ部と係合するために車体とインストルメンタルパネルとの間に挿入される必要がある。そのため、車体とインストルメンタルパネルが従来の許容誤差補正取付装置によって連結されるときには、車体およびインストルメンタルパネルを除去または再配置するためのねじ軸受筒を収縮させる目的で、車体とインストルメンタルパネル間のねじ軸受筒のフランジ部に対するアクセスが必要とされる。
【0006】
ところが、車体とインストルメンタルパネルとの間における、この所要のアクセスのための幾何学的な配置(ジオメトリ)は、コックピットモジュールの複雑な形状のため、ほとんど満足するものにならない。それゆえ、この所要のアクセスのための幾何学的な配置は、従来の許容誤差補正取付装置のねじ軸受筒のフランジ部にアクセスするために工具が車体とインストルメンタルパネルとの間に挿入され得るように、初期の設計段階において考慮されなければならない。残念なことに、この構造上の要求は、より小さなグローブボックス、見苦しい分割ラインの可能性等、コックピットモジュールの設計に対して追加の制約をもたらすものである。
【0007】
上記に鑑み、改善された許容誤差補正取付装置に対する必要性が存在することは、当業者に明らかであろう。本発明は、他の必要性とともに、当該技術分野における上記必要性に言及するものであって、そのことが本開示から当業者に明らかとなるであろう。
【0008】
本発明の目的は、2つのコンポーネント間の空間から許容誤差補正取付装置にアクセスすることなく、コンポーネント間に配置された許容誤差補正取付装置を収縮させることを可能にし、それによって、コンポーネント間の設計上の制約を低減するようにした許容誤差補正取付装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的および本発明の他の目的を達成するため、ねじ固定具と、外側部材と、筒状部材とを備えた許容誤差補正取付装置が提供される。外側部材は、取付穴を含む。筒状部材は、ねじ固定具に回転可能に連結される内部表面と、外側部材の取付穴内に回転可能に連結される外部表面とを含み、それによって、筒状部材は、ねじ固定具の回転に同期して筒状部材の中心軸回りを回転することで、筒状部材は外側部材に対し、外側部材から突出する方向に移動し、次いで、ねじ固定具は自己のさらなる回転に応じて筒状部材に対して回転する。筒状部材は、軸上の第1端部において、筒状部材の軸上の端部の面上に形成された工具係合構造を有しており、その工具係合部材は、筒状部材の外部表面と内部表面との間に放射状に離間して配置される。
【0010】
本発明の上記目的およびそれ以外の目的、特徴、観点および利点は、添付された図面に関連して本発明の好ましい実施形態を開示する以下の詳細な記述に基づいて、当業者に明らかとなるであろう。
【発明の効果】
【0011】
2つのコンポーネント間の空間から許容誤差補正取付装置にアクセスすることなく、コンポーネント間に配置された許容誤差補正取付装置を収縮させることを可能にし、それによって、コンポーネント間の設計上の制約を低減する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の選択された実施形態について図面を参照して説明する。本発明の実施形態の以下の記述が例示目的のためのみに提供され、添付の特許請求の範囲とその均等物によって定義される本発明を限定する目的でないことは、本開示内容から当業者に明らかとなるであろう。
【0013】
図1は、車体10を有する車両Vの側面図である。図2は、車両Vの助手席側の乗員コンパートメントの前部の後方斜視図であって、インストルメンタルパネル20に連結される車体10を示す。図3は、インストルメンタルパネル20の後方斜視図であって、車体10が取付される前の取付状態を示す図である。図2に見られるように、車両Vのコックピットモジュールにおいて、インストルメンタルパネル20は、本発明の実施形態に係る複数の許容誤差補正取付装置100(図2には2個のみの許容誤差補正取付装置100を示す)によって、車体10に確実に固定される。許容誤差補正取付装置100の各々は、車体10に対してインストルメンタルパネル20を確実に固定すると同時に、車体10およびインストルメンタルパネル20との間に形成される、許容誤差による隙間を補正するために、構成・配置される。
【0014】
図3に見られるように、インストルメンタルパネル20は、許容誤差補正取付装置100によって車体10が取付される先の取付部21を有する。例示される実施形態においては、インストルメンタルパネルの取付部21は、車両Vの前後方向(front to oft direction)に延設されて配置される。しかしながら、車体10の取付部分、および、インストルメンタルパネル20の取付部21の方向または向きが本発明の本質的な特徴でないことは、本開示内容から当業者に明らかであろう。換言すると、本発明の許容誤差補正取付装置100は、車体10およびインストルメンタルパネル20の構造および設計次第で、いかなる方向によっても、車体10およびインストルメンタルパネル20を確実に連結するために利用され得るのである。さらに、本発明の例示された実施形態においては、車体10およびインストルメンタルパネル20は、本発明の許容誤差補正取付装置100によって確実に連結される車両コンポーネントの例として使用される。しかしながら、許容誤差補正取付装置100は、結合すべき車両コンポーネント間の、許容誤差による隙間を補正することが必要である場合には、車体10以外のいかなる車両コンポーネントも確実に連結するために使用され得ることは、本開示内容から当業者に明らかであろう。
【0015】
図4〜8を参照して、本発明の好ましい実施形態に係る許容誤差補正取付装置100を詳細に説明する。
【0016】
図4は、許容誤差補正取付装置100、車体10、および、インストルメンタルパネル20の取付部21の分解された斜視図である。図5は、車体10、インストルメンタルパネル20、および許容誤差補正取付装置100の分解された断面図である。図6は、車体10、インストルメンタルパネル20、および、許容誤差補正取付装置100の断面図であって、許容誤差補正取付装置100、インストルメンタルパネル20、および、車体10が組み付けられた後の取付状態の図である。図4〜6に見られるように、許容誤差補正取付装置100は、ねじ固定具110、外側部材120、および、筒状部材130を備える。
【0017】
ねじ固定具110は、好ましくは従来のボルトであって、頭部111とシャフト部112を含む。ねじ固定具110のシャフト部112は、雄ねじが設けられるねじ部112aを含む外部表面を有する。ねじ固定具110の頭部111およびシャフト部112は、図4に見られる固定具挿入中心軸Aに沿って車体10内に形成される取付孔10aを通してシャフト部112が挿入され、かつ、図6に見られる取付孔10aの周囲の外側周辺領域の外側面10bに頭部111が据付けられるように、構成・配置される。
【0018】
外側部材120は、好ましくは外側環部121と、外側環部121の内側に配置されて外側環部121に確実に固定される内側円筒部122とを含む。外側環部121は、弾力性のある材料で製作され、スナップ結合(snap-fitting)等でインストルメンタルパネル20の取付部21上に形成される取付穴21aに確実に取付されるように構成・配置される。内側円筒部122の内側面は、雌ねじが設けられるねじ部122aを含み、それによってねじ取付穴を形成する。例示された実施形態には、外側部材120は、取付穴21aに確実に連結されるインストルメンタルパネル20から離間した部材として形成されているが、ねじ部122aを含む外側部材120をインストルメンタルパネル20と一体形成してもよい。
【0019】
筒状部材130は、内部表面132と外部表面134を含む。筒状部材130の内部表面132は、筒状部材130の中心軸Cに沿って筒状部材130の全長に延びる固定具挿入孔を規定する。筒状部材130は、筒状部材130の軸上の第1端部において放射状に外側に延びている環状フランジ部136と、筒状部材130の軸上の第1端部において筒状部材の軸端面130a上に形成された工具係合構造138とを有する。この実施形態では、筒状部材130は、車体10とインストルメンタルパネル20に向けられており、これにより、ねじ固定具110は、図5に示すように、軸上の第1端部において筒状部材130に挿入可能に配される。
【0020】
図5および図6に見られるように、筒状部材130の内部表面132は、内部ねじ部132aを含む。内部ねじ部132aには雌ねじが設けられ、ねじ固定具110のねじ部112aの雄ねじと嵌合するように配置されている。筒状部材130の外部表面134は、雄ねじが設けられた外部ねじ部134aを含む。外部ねじ部134aは、外側部材120のねじ部122aの雌ねじと嵌合するように構成・配置される。内部ねじ部132aと外部ねじ部134aの正確な配置は、許容誤差補正取付装置100に必要とされる結合トルクの量を含む様々な考慮事項に応じて変更されることは、本開示内容から当業者に明らかであろう。
【0021】
図4〜6に例示された好ましい実施形態に係る許容誤差補正取付装置100において、内部ねじ部132aは、外部ねじ部134aに対して逆巻きのねじ山を有している。たとえば、内部ねじ部132aの雌ねじとねじ固定具110のねじ部112aとが右巻きに構成されている場合には、外部ねじ部134aの雄ねじと外側部材120のねじ部122aの雌ねじとが左巻きに構成される。
【0022】
さらに、外部ねじ部134aと筒状部材130の内部ねじ部132aとは、ねじ固定具110のねじ部112aを内部ねじ部132aにねじ込むのに必要とするトルクが、外側部材120のねじ部122aから外部ねじ部134aを緩めるのに必要とするトルクよりも大きくなるように、構成・配置される。換言すると、外部ねじ部134aと内部ねじ部132aとは、ねじ固定具110のさらなる回転に応じて筒状部材130に対してねじ固定具110が回転する前に、筒状部材130を外側部材120から緩める方向に、ねじ固定具110と同期して一時的に筒状部材130が回転するように、構成・配置される。
【0023】
筒状部材130の環状フランジ部136は、筒状部材130の軸端面130aと実質的に同一平面上に延びている当接面136aを含む。さらに、筒状部材130の環状フランジ部136は、好ましくは、回転可能な工具(以下、「回転可能工具」と表記する)と係合するように構成・配置される外側周辺のトルク係合面136bを有する。トルク係合面136bは、図4に示すように、六角形状を形成する6個の平坦面を含む。そのため、レンチ等がトルク係合面136bと係合し、筒状部材130の外部ねじ部134aが外側部材120のねじ部122aにねじ込まれるとき、中心軸Cの回りに筒状部材130を回転させる。無論であるが、トルク係合面136bの形状は六角形状に限定されないことは、本開示内容から当業者に明らかである。また、トルク係合面136bは、筒状部材130を筒状部材130の中心軸Cの回りに回転させるように工具(人間の手を含む)をトルク係合面136bに係合させることが可能である限り、いかなる形状を有するようにも変形可能である。
【0024】
筒状部材130の工具係合構造138は、筒状部材130の外部表面134と内部表面132の間に放射状に離間した位置において、筒状部材130の軸端面130a上に形成される。本発明のこの実施形態において、筒状部材130の工具係合構造138は、筒状部材130の中心軸Cの回りに実質的には対称に延びている工具当接側面138aを備えた凹部を含む。より具体的には、図4に示すように、工具係合構造138の凹部は、筒状部材130の内部表面132によって規定される固定具挿入孔と同心の端ぐり(カウンタボア;counterbore)を形成する。筒状部材130の工具係合構造138は、車体10の取付孔10aを通して挿入される回転可能工具T(図9)が工具係合構造138の工具当接側面138aと係合するように構成・配置されている。この好ましい実施形態においては、工具当接側面138aは、筒状部材130の中心軸Cに垂直な面に六角形の輪郭を有している。そのため、回転可能工具Tは、六角形の工具当接側面138aの6個の平坦部分と係合するように構成・配置されている(たとえば、アレンレンチ)。
【0025】
図7と図8を参照して、筒状部材130の工具係合構造138と、車体10の取付孔10aと、ねじ固定具110の頭部111との間の、本発明の好ましい実施形態における寸法上の関係を説明する。図7は、車体10の部分的な側面図であって、許容誤差補正取付装置100が連結される部分の図である。図8は、車体10の部分的な側面図であって、許容誤差補正取付装置100が連結される部分の、許容誤差補正取付装置100のねじ固定具110が取り除かれた場合の図である。
【0026】
図7に見られるように、ねじ固定具110が取付されるとき、ねじ固定具110の頭部111は、車体10の取付孔10a付近の周辺領域において、外側側面10bに据え付けられる。図8に見られるように、筒状部材130の工具係合構造138は、車体10の取付孔10aに対して寸法が合わせられており、それによって、筒状部材130の中心軸Cに垂直な面における筒状部材130の中心軸Cと工具当接側面138aの最大距離dが、固定具挿入中心軸Aと車体10の取付孔10aの最小距離r(たとえば、例示した実施形態における取付孔10aの半径)よりも小さくなっている。換言すると、工具係合構造138は、車体10の外側側面10bから取付孔10aを通して回転可能工具(図9)によってアクセス可能となるように構成・配置されている。工具係合構造138の正確な寸法が、筒状部材130の大きさ、車体10の取付孔10a、および、他の構造上の考慮事項次第で変更されることは、本開示内容から当業者に明らかであろう。さらに、例示された実施形態において、車体10の取付孔10aは、図8に見られるように実質的に環形状に形成されているが、取付孔10aは非環形状に形成され得る。そのような場合においても、筒状部材130の工具係合構造138は、筒状部材130の中心軸Cに垂直な面における筒状部材130の中心軸Cと工具当接側面138aの最大距離が、固定具挿入中心軸Aと車体10の取付孔10aの最小距離よりも小さくなるように、配置される。
【0027】
次に、許容誤差補正取付装置100を使用した、インストルメンタルパネル20と車体10間の組み付け(アセンブリ)プロセスを詳細に説明する。先ず、許容誤差補正取付装置100の外側部材120が、インストルメンタルパネル20の取付部21に形成された取付穴21aに確実に取り付けられる。次に、筒状部材130の外部ねじ部134aは、筒状部材130が環状フランジ部136のトルク係合面136bと係合した工具によって回転させられるにつれて、外側部材120のねじ部122aにねじ込まれる。図3は、許容誤差補正取付装置100の外側部材120と筒状部材130とがインストルメンタルパネル20の取付部21に連結される取付状態を例示している。
【0028】
そして、インストルメンタルパネル20は、車体10の取付孔10aが筒状部材130の内部表面132によって規定される固定具挿入孔と一直線に並ぶようにして、車体10に対して位置決めされる。次に、ねじ固定具110が、車体10の外側側面10bから車体10の取付孔10aを通して、筒状部材130の固定具挿入孔に挿入される。さらに、ねじ固定具110は、ねじ固定具110のねじ部112aが筒状部材130の内部ねじ部132aにねじ込む方向に回転させられる。ねじ固定具110が回転させられると、ねじ固定具110のねじ部112aは、筒状部材130の内部ねじ部132aと嵌合する。ところが、上述したように、ねじ固定具110のねじ部112aを筒状部材130の内部ねじ部132aにねじ込むのに必要とするトルクが、外側部材120のねじ部122aから筒状部材130の外部ねじ部134aを緩めるのに必要とするトルクよりも大きい。そのため、筒状部材130は、初期には、ねじ固定具110の回転によって、ねじ固定具110と同期して回転させられる。上述したように、ねじ固定具110のねじ部112aおよび筒状部材130の内部ねじ部132aは、筒状部材130の外部ねじ部134aおよび外側部材120のねじ部122aと逆巻きのねじ山を有している。したがって、ねじ固定具110を筒状部材130にねじ込ませる方向でのねじ固定具110の回転は、筒状部材130を外側部材120から緩めさせる方向に、外側部材120に対する筒状部材130の回転を生じさせる。その結果、ねじ固定具110が回転するにつれて、筒状部材130は、回転し始め、筒状部材130の外部ねじ部134aが外側部材120のねじ部122aから緩まるので、外側部材120から車体10に向けて延び始める。
【0029】
筒状部材130は、環状フランジ部136の当接面136aが車体10の内部側面10cに到達するまで、外側部材120から遠ざかる方向に延び続ける。筒状部材130は、ねじ固定具110のねじ部112aを筒状部材130の内部ねじ部132aにねじ込むのに必要とするトルク量と同等か、それ以上の力を環状フランジ部136が車体10に及ぼすまで、回転し続ける。この時点で、ねじ固定具110は、筒状部材130に対して回転し始め、それによって、ねじ固定具110のねじ部112aを筒状部材130の内部ねじ部132aと嵌合させる。結果として、車体10は、許容誤差補正取付装置100によってインストルメンタルパネル20に固定される一方、筒状部材130は、図6に示すように、車体10とインストルメンタルパネル20間の、許容誤差による間隙Gを補正する。図2は、許容誤差補正取付装置100のねじ固定具110によってインストルメンタルパネル20が車体10と確実に連結される取付状態を例示している。
【0030】
車体10がインストルメンタルパネル20に連結されるときに筒状部材130の環状フランジ部136によって車体10に及ぼされる力は、筒状部材130の内部ねじ部132aの構造を変更することで調整可能である。たとえば、筒状部材130の環状フランジ部136によって及ぼされる力は、内部ねじ部132aの径を低減することによって増加し得る(たとえば、ねじ固定具110のねじ部112aを筒状部材130の内部ねじ部132aにねじ込むために必要とするトルクを増加することにより行われる)。内部ねじ部132aの径を低下させるにつれて、ねじ固定具110のねじ部112aが筒状部材130の内部ねじ部132aにねじ込み始める前に、より大きなトルクが必要とされる。
【0031】
上述した実施形態において、筒状部材130の内部ねじ部132aと外部ねじ部134aは、ねじ固定具110を筒状部材130にねじ込むのに必要とするトルクを、外側部材120から筒状部材130を緩めるのに必要とするトルクよりも大きく設定することによって、ねじ固定具110が筒状部材130に対して回転し始める前に筒状部材130が初期にねじ固定具110と同期して回転するように、構成・配置される。ところが、本発明はかかる配置に限定されない。たとえば、ねじ固定具110が筒状部材130に対して回転し始める前に筒状部材130が初期にねじ固定具110と同期して回転することを可能とする接着剤を使用する等、他の方法が本発明の許容誤差補正取付装置100に使用され得る。
【0032】
車体10に対してインストルメンタルパネル20が除去または再配置される必要があるときには、ねじ固定具110は先ず、筒状部材130から緩められる。ところが、一旦車体10とインストルメンタルパネル20とが許容誤差補正取付装置100によって組み付けられると大トルクが筒状部材130によって車体10に掛かるので、筒状部材130は、ねじ固定具110が緩められるときに外側部材120の方向に収縮しない。換言すると、筒状部材130と車体10に掛かる力は、大きな摩擦力を生成し、それによって、ねじ固定具110の除去によって生成される力は、筒状部材130が外側部材120にねじ込まれる方向(すなわち、筒状部材130を外側部材120に向けて収縮する方向)に筒状部材130を回転し始めさせるのに十分な力を及ぼさない。したがって、ねじ固定具110が筒状部材130から緩められるとき、筒状部材130の環状フランジ部136の当接面136aは、車体10の外側側面10bに対して接触したままである。
【0033】
それゆえ、車体10に対してインストルメンタルパネル20を除去または再配置するために筒状部材130を外側部材120の方向に収縮させる必要があるときには、回転可能工具Tが車体10の外側側面10bから取付孔10aを通して挿入され、それによって、図9に示すように、回転可能工具Tが筒状部材130の工具係合構造138と係合する。そして、回転可能工具Tは、筒状部材130の外部ねじ部134aを外側部材120のねじ部122aにねじ込ませる方向に、筒状部材130を回転させるように操作される。したがって、図9に見られるように、筒状部材130が外側部材120の方向に収縮する。このように、インストルメンタルパネル20を車体10に対して除去または再配置することが可能である。
【0034】
上述したように、工具係合構造138は、車体10に近接配置される筒状部材130の軸端面130a上に形成される。また、工具係合構造138は、車体10の外側側面10bから取付孔10aを通して回転可能工具Tによってアクセス可能に形成される。そのため、外側部材120の方向に収縮するように筒状部材130を回転させるために、車体10とインストルメンタルパネル20との間の間隙から環状フランジ部136のトルク係合面136bにアクセスする必要がない。換言すると、筒状部材130の工具係合構造138は、組付体(アセンブリ)の下側(すなわち、車体10の下側)にアクセスすることなく筒状部材130を車体10の外側から収縮させることを可能にする。本発明の許容誤差補正取付装置100では、ねじ固定具110を使用した、車体10のインストルメンタルパネル20への取付、および、筒状部材130を収縮することによるインストルメンタルパネル20に対する車体10の除去を含む操作は、組付体(アセンブリ)と同一の側(すなわち、車体10の外側)で実行される。したがって、許容誤差補正取付装置100では、車体10、インストルメンタルパネル20およびコックピットモジュールの他のコンポーネントは、車体10とインストルメンタルパネル20との間に筒状部材130の環状フランジ部136にアクセスする工具のための間隙を提供する必要がないため、従来の許容誤差補正取付装置と比較して改善することができる。
【0035】
上述した実施形態において、工具係合構造138の工具当接側面138aは、図6に見られるように、筒状部材130の中心軸Cに垂直な面に六角形の輪郭を有している。しかしながら、本発明の工具係合構造138は六角形状に限定されない。回転可能工具が、筒状部材130を外側部材120に向けて収縮させる方向に筒状部材130を回転させるトルクを働かせるために係合可能な構造であれば、本発明の工具係合構造138として使用され得る。
【0036】
たとえば、図10(a)〜(e)は、本発明の許容誤差補正取付装置100において使用され得る工具係合構造238〜638のいくつかの異なる形状の例を示すいくつかの管状部材230〜630の平面図である。管状部材230〜630の構造は、工具係合構造238〜638の配置に対するものであることを除いて、基本的に上述した筒状部材130の構造と同一である。
【0037】
図10(a)は、管状部材230の中心軸Cに垂直な面に四角形状の輪郭を有する工具当接側面238aを含む工具係合構造238を示している。工具当接側面238aは、管状部材230の内部表面232によって規定される固定具挿入孔に対する同心の端ぐりを規定する。本発明の工具係合構造としていかなる好適な多角形状も使用され得ることは、本開示内容から当業者に明らかであろう。
【0038】
図10(b)は、管状部材330の中心軸Cに垂直な面に略星型形状の輪郭を有する工具当接側面338a(たとえば、トルクスヘッド(torx head))を含む工具係合構造338を示している。この場合、図10(b)に見られるように、工具当接側面338aは、管状部材330の内部表面332から放射状に外方向に連続して延びている。
【0039】
図10(c)は、管状部材430の中心軸Cに垂直な面に十字形状の輪郭を有する工具当接側面438a(たとえば、フィリップスヘッド(phillips head))を含む工具係合構造438を示している。この場合、図10(c)に見られるように、工具当接側面438aは、管状部材430の内部表面432から放射状に外方向に連続して延びている。
【0040】
図10(d)は、管状部材530の中心軸Cに垂直な面に略スリット形状の輪郭を有する工具当接側面538aを含む工具係合構造538を示している。この場合、図10(d)に見られるように、工具当接側面538aは、管状部材530の内部表面532から放射状に外方向に連続して延びている。
【0041】
図10(e)は、管状部材630の中心軸Cに関して対称配置される一対の工具当接孔638a(たとえば、スパナヘッド)を含む工具係合構造638を示している。工具当接孔638aの数は図10(e)に示した2個に限定されず、2以上の工具当接孔638aが本発明を実施するために提供され得ることは、本開示内容から当業者に明らかであろう。
【0042】
図10(a)〜(e)に示される各ケースにおいて、適切な形状を有する回転可能工具が、各工具係合構造238〜638に応じて、工具係合構造238〜638の各々と係合させるために使用される。
【0043】
[許容誤差補正取付装置の改変例]
図11を参照して、第1コンポーネント10’と第2コンポーネント20’とを確実に連結するのに適した、改変された許容誤差補正取付装置100’を説明する。改変された許容誤差補正取付装置100’は、ねじ固定具110’が外側部材120’を通して第2コンポーネント20’に連結される筒状部材130’に最初にねじ込まれ、さらに、第1コンポーネント10’上に形成されるねじ孔10a’にねじ込まれるように構成・配置され、それによって、第1コンポーネント10’に対して第2コンポーネント20’を固定する点で、上述した許容誤差補正取付装置100と異なる。
【0044】
図11に見られるように、改変された許容誤差補正取付装置100’の外側部材120’は、上述した許容誤差補正取付装置100の外側部材120と基本的に同一である。より具体的には、外側部材120’は、外側環部121’と、内部周辺表面にねじ部122a’を有する内側円筒部122’とを含む。外側部材120’は、図11に示すように、スナップ結合(snap-fitting)等で、第2コンポーネント20’上に形成された取付穴20a’に確実に連結される。図11では、外側部材120’が第2コンポーネント20’
から分離した部材として例示されているが、外側部材120’は、ワンピースの一体化した部材として、第2コンポーネント20’と一体的に形成することもできる。
【0045】
改変された許容誤差補正取付装置100’の筒状部材130’は、内部表面132’と外部表面134’とを有する。内部表面132’には、雌ねじを有する内部ねじ部132a’を形成する環状ライナーが備わる。外部表面134’は、雄ねじを有する外部ねじ部134a’を含む。工具係合構造138’が、筒状部材130’の内部表面132’によって規定される固定具挿入孔にねじ固定具110’が挿入される筒状部材130’の軸上の第1端部における軸端面130a’上に設けられる。工具係合構造138’は、上述した筒状部材130の工具係合構造138と基本的に同一である。換言すると、工具係合構造138’は、筒状部材130’の中心軸に垂直な面に六角形の輪郭を形成する工具当接側面138a’を含む。筒状部材130’は、図11に示すように、工具係合構造138’が形成される軸上の第1端部と反対の軸上の第2端部において、放射状に外側へ向けて延びている環状フランジ部136’をさらに含む。環状フランジ部136’は、第1コンポーネント10’の取付面10b’に接触するように構成・配置される当接面136a’を含む。好ましくは、環状フランジ部136’は、外側の周辺面上に形成されるトルク係合面136b’を含む。
【0046】
改変された許容誤差補正取付装置100’において、内部ねじ部132a’の雌ねじと外部ねじ部134a’の雄ねじとは、同一巻き方向のねじで構成される。さらに、内部ねじ部132a’と外部ねじ部134a’は、筒状部材130’の内部ねじ部132a’においてねじ固定具110’をねじ込むのに必要とするトルクが、外側部材120’のねじ部122a’から筒状部材130’の外部ねじ部134a’を緩めるのに必要とするトルクよりも小さくなるように、構成・配置される。さらに、内部ねじ部132a’は、筒状部材130’がねじ固定具110’と同期して一時的に回転させられるように構成・配置される。たとえば、図11に例示される実施形態において、筒状部材130’の内部ねじ部132a’に対してねじ固定具110’のねじ部112a’が十分にねじ込まれるとき、内部ねじ部132a’と大径部112b’との締り嵌め(interference fit)が得られるように、筒状部材130’の内部ねじ部132a’は、ねじ固定具110’の大径部112b’の径よりも小さい径を有している。換言すると、筒状部材130’の内部ねじ部132a’は、ねじ固定具110’の大径部112b’と係合することによって部分的に変形または剥脱されるように構成・配置される犠牲ねじ部(sacrificial threads)として形成される。無論、筒状部材130’をねじ固定具110’と同期して一時的に回転させることを可能とするために、ねじ固定具110’における大径部112b’を設ける代わりに接着剤等を使用した他の構成が使用され得ることは、本開示内容から当業者に明らかであろう。
【0047】
次に、第1コンポーネント10’と第2コンポーネント20’とが互いに連結されるときの、改変された許容誤差補正取付装置100’の動作を詳細に説明する。図11に見られるように、第1コンポーネント10’に面する第2コンポーネント20’の一方の面上に環状フランジ部136’が配置されるようにして、筒状部材130’が先ず、第2コンポーネント20’に取付される外側部材120’にねじ込まれる。そして、大径部112b’が内部ねじ部132a’と係合するまで、ねじ固定具110’は、筒状部材130’の軸上の第1端部に挿入され、筒状部材130’の内部ねじ部132a’にねじ込まれる。一旦内部ねじ部132a’と大径部112b’との締り嵌めが得られると、筒状部材130’は、筒状部材130’の外部ねじ部134a’を外側部材120’のねじ部122a’から緩めさせる方向に、ねじ固定具110’と同期して回転し始める。筒状部材130’は、環状フランジ部136’の当接面136a’が第1コンポーネント10’の取付面10b’に接触するまで、第1コンポーネント10’の取付面10b’に向けて延び続ける。そして、ねじ固定具110’が筒状部材130’に対してさらに回転させられ、それによって、内部ねじ部132a’の犠牲ねじ部は、ねじ固定具110’が第1コンポーネント10’のねじ孔10a’と十分に嵌合するにつれて、ねじ固定具110’の大径部112b’によって剥脱または歪が生じるようになる。
【0048】
第1コンポーネント10’が第2コンポーネント20’に対して除去または再配置されるときには、ねじ固定具110’は先ず、第1コンポーネント10’のねじ孔10a’と筒状部材130’の内部ねじ部132a’とから緩められる。筒状部材130’の環状フランジ部136’が第1コンポーネント10’の取付面10b’上に大トルクを及ぼすため、ねじ固定具110’の回転は、筒状部材130’を外側部材120’の方向に収縮させない。したがって、筒状部材130’は、環状フランジ部136’が第1コンポーネント10’の取付面10b’と接触する位置に置かれたままである。改変された許容誤差補正取付装置100’においては、筒状部材130’の工具係合構造138’は、図11に見られるように、第2コンポーネント20’の外側からアクセス可能である。そのため、工具係合構造138’の工具当接側面138a’と係合させ、かつ、筒状部材130’を外側部材120’に向けて収縮させる方向(すなわち、外部ねじ部134a’を外側部材120’のねじ部122a’にねじ込ませる方向)に筒状部材130’を回転させるために、アレンレンチのような回転可能工具を第2コンポーネント20’の外側から挿入することが可能である。そして、第1コンポーネント10’は第2コンポーネント20’に対して除去または再配置することが可能である。
【0049】
したがって、改変された許容誤差補正取付装置100’によれば、第1コンポーネント10’と第2コンポーネント20’との間に配置された環状フランジ部136’にアクセスすることなく、筒状部材130’を収縮させることが可能である。そのため、第1コンポーネント10’と第2コンポーネント20’との間に、筒状部材130’の環状フランジ部136’にアクセスする工具のための間隙を設ける必要がないので、第1コンポーネント10’および第2コンポーネント20’の設計自由度を従来の許容誤差補正取付装置と比較して改善することが可能である。
【0050】
図10(a)〜(e)に例示された工具係合構造238〜638が改変された許容誤差補正取付装置100’の工具係合構造138’にも適用され得ることは、本開示内容から当業者に明らかであろう。
【0051】
本発明の上述した実施形態において、ねじ固定具110,110’と、外側部材120,120’の内側円筒部122,122’と、筒状部材130,130’とは、金属製であるように例示されている。しかしながら、本発明に係る許容誤差補正取付装置100,100’の各部が、トルク要求または他の考慮事項に応じて、混合樹脂または合成樹脂のような非金属材料によって製造してもよいことは、本開示内容から当業者に明らかであろう。
【0052】
さらに、上述した実施形態では、工具係合構造138,138’は、筒状部材130,130’が外側部材120,120’の方向に収縮するように、筒状部材130,130’を回転させるために使用される。しかしながら、筒状部材130,130’が外側部材120,120’にねじ込まれる際に、工具係合構造138,138’が筒状部材130,130’を回転させるためにも使用され得ることは、本開示内容から当業者に明らかであろう。かかる場合、環状フランジ部136,136’のトルク係合面136b,136b’を除去することも可能である。
【0053】
[用語の一般的解釈]
本発明の範囲を理解する際に、ここで使用される「備える」という用語とその派生語は、記述された特徴、構成要素、コンポーネント、群、完全体(integers)、および/またはステップの存在を特定する、他を排除しない(open ended)用語とすることを意図しており、記述されていない他の特徴、構成要素、コンポーネント、群、完全体、および/またはステップの存在を排除しない。上記の点は、「含む」、「有する」および他の派生語のような類似の意味を有する用語にも適用される。また、「部分」、「部」、「部材」、「要素」という用語は、単数形で使用されるときには、単数形および複数形の両方の意味を持ち得る。本明細書において使用される次の方向用語「前方、後方、上方、下方、垂直、水平、下、横」およびその他の類似した方向用語は、本発明が適用された車両における方向をいう。したがって、本発明を説明するために用いられるこれらの用語は、本発明が適用された車両を基準として解釈される。本明細書において使用される「実質的に」、「およそ」および「概略」などの程度を表す用語は、最終的な結果が著しく変わらないように、修飾された用語の妥当な大きさの偏差を意味している。例えば、これらの用語は、修飾する語の意味を無効にしない偏差であるかぎり、修飾された用語の少なくとも±5%の偏差を含むものと解釈することができる。
【0054】
本発明を説明するために、選択された実施形態のみが記載されているが、添付の特許請求の範囲の各請求項において定義されるような本発明の範囲から逸脱することなく種々の変更および修正が可能であることは、本開示内容から当業者に明らかであろう。たとえば、様々なコンポーネントの大きさ、形状、位置または方向は、必要とされ、および/または、望まれるように変更され得る。直接接続され、または、互いに接触しているように示されるコンポーネントは、それらのコンポーネント間に配置される中間の構造物を有することもできる。1つの構成要素の機能は、2つの構成要素によって達成させることができ、その逆も成立する。1つの実施形態の構造および機能は、他の実施形態において採用され得る。特定の実施形態において挙げられるすべての利点が同時に必要となるものではない。従来技術と異なるすべての特徴は、それ単独で、または他の特徴との組み合わせにおいて、出願人による発明に対する個別の記載が考慮されるべきであって、かかる記載は、そのような特徴によって具現化される、構造上および/または機能上の着想を含む。さらに、本発明による実施形態の上記の説明は、例示のためにのみ提供されるものであり、添付の特許請求の範囲の各請求項およびその均等物により定義される本発明を限定するためのものではない。すなわち、本発明の範囲は、開示された実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】図1は、本発明の好ましい実施形態において、インストルメンタルパネルを車体に確実に連結するための複数の許容誤差補正取付装置を利用する車両の側面図である。
【図2】図2は、助手席側の車両の乗員コンパートメントの前部の部分的な後方斜視図であって、本発明の実施形態において、許容誤差補正取付装置を使用してインストルメンタルパネルに連結される車体を示す。
【図3】図3は、図2に示された乗員コンパートメントの前部の部分的な後方斜視図であって、本発明の好ましい実施形態において、車体が取り除かれ、かつ、許容誤差補正取付装置の筒状部材と外側部材がインストルメンタルパネルに取り付けられる状態の図である。
【図4】図4は、本発明の好ましい実施形態において、車体をインストルメンタルパネルに確実に固定するための許容誤差補正取付装置の外側部材、筒状部材、および、ねじ固定具の分解した状態の斜視図である。
【図5】図5は、本発明の好ましい実施形態において、車体、インストルメンタルパネル、および、外側部材と筒状部材とねじ固定具とを含む許容誤差補正取付装置の分解した状態の断面図である。
【図6】図6は、本発明の好ましい実施形態において、外側部材と筒状部材とねじ固定具とを含む許容誤差補正取付装置の断面図であって、許容誤差補正取付装置、インストルメンタルパネル、および、車体が組み付けられた後の取付状態の図である。
【図7】図7は、車体の部分的な側面図であって、本発明の好ましい実施形態において、許容誤差補正取付装置が連結される部分を示している。
【図8】図8は、車体の部分的な側面図であって、本発明の好ましい実施形態において、許容誤差補正取付装置が連結される部分を示しており、許容誤差補正取付装置のねじ固定具が取り除かれている状態の図である。
【図9】図9は、本発明の好ましい実施形態において、車体とインストルメンタルパネルとの間に連結された許容誤差補正取付装置の外側部材、筒状部材、および、ねじ固定具の断面図であって、回転可能工具が筒状部材の工具係合構造と係合している部分的非組付状態を示している。
【図10】図10は、筒状部材の一連の平面図であって、本発明の好ましい実施形態において、筒状部材の工具係合構造の代替的な複数の構成を示している。
【図11】図11は、本発明の好ましい実施形態において、第1および第2コンポーネントを確実に連結するための、変更した許容誤差補正取付装置の外側部材、筒状部材、および、ねじ固定具の断面図である。
【符号の説明】
【0056】
10…車体
20…インストルメンタルパネル
100…許容誤差補正取付装置
110…ねじ固定具
120…外側部材
130…筒状部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的には、車両コンポーネントと車体との間に形成される、許容誤差による隙間を補正しながら、車両コンポーネントを車体に取付するための許容誤差補正取付装置、車両コンポーネント取付構造、車両コンポーネント取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動車の多くの内部の車両コンポーネントは、ねじ固定具によって車体とともに、または、車体に対して連結されている。美的観点からは、内部の車両コンポーネントが隙間なく適合することが望ましい。しかしながら、製造上の観点からは、内部の車両コンポーネントが隙間なく合うことが非常に高価なことになり得る。そのため、内部の車両コンポーネント間、および/または、車両コンポーネントと車体との間の隙間を調整するための許容誤差補正取付装置が開発されてきた。従来の許容誤差補正取付装置の一例は、下記特許文献1に開示されている。この特許文献1には、第1および第2車両コンポーネントを接続すると同時に、その第1および第2車両コンポーネントの間に形成される、許容誤差による隙間を補正するために使用される許容誤差補正取付装置が開示されている。この特許文献1に開示された従来の許容誤差補正取付装置は、内部および外部のねじ部を有するねじ軸受筒(ブッシュ)を含んでいる。このねじ軸受筒は、第1および第2車両コンポーネント間に形成される、許容誤差による隙間を完全に補正するために構成・配置される一方、第1および第2車両コンポーネントはボルトによって確実に固定される。
【0003】
より具体的には、ねじ軸受筒は、ねじ軸受筒の軸上の一端に形成される六角フランジ部と係合し、工具または手によって回転されられるため、従来の許容誤差補正取付装置内のねじ軸受筒の外部のねじ部は、第1コンポーネントに形成されるねじ穴(ボア)にはめ込まれる。そして、ボルトは、ねじ軸受筒の内部のねじ部にはめ込まれる。ボルトの回転運動が、第1コンポーネントのねじ穴に対してねじ軸受筒を回転させ、これによって、第1コンポーネントから第2コンポーネントに向けて当該軸受筒のねじが緩まることになる。ねじ軸受筒は回転し続けて、ねじ軸受筒のねじフランジ部が第2コンポーネントの取付面に接する。ここで、ねじ軸受筒は、第1および第2コンポーネント間の、許容誤差による隙間を完全に補正する。ボルトは、ねじ軸受筒に対してさらに回転され、これにより、第1および第2コンポーネントは、ボルトを締めることによって確実に固定される。
【0004】
このような従来の許容誤差補正取付装置は、車両組立(アセンブリ)の際に頻繁に使用される。たとえば、車両のコックピットモジュールでは、インストルメンタルパネルは、複数の取付位置で複数の許容誤差補正取付装置を使用することによって車体に取付される。ボルトは、車体の外側から挿入されて、車体とインストルメンタルパネルとの間に延びているねじ軸受筒と嵌合する。
【特許文献1】米国特許6,884,014
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車体およびインストルメンタルパネルがともにアセンブリされた後に、車体またはインストルメンタルパネルが除去または再配置されるときには、先ず、ボルトは従来の許容誤差補正取付装置から緩められて取り除かれる。ところが、ボルトがねじ軸受筒の内部のねじ部から緩められるときに、ねじ軸受筒と車体との間にかかる大トルクに起因して、ボルトの回転運動によるねじ軸受筒の回転が生じない。そのため、ボルトが取り除かれた後、ねじ軸受筒は、インストルメンタルパネルと車体との間に延びたままの状態にある。したがって、ねじ軸受筒を回転させてねじ軸受筒をインストルメンタルパネルの方向に収縮させるために、ねじ軸受筒は、工具をねじ軸受筒のフランジ部に係合させることによって回転させられる必要がある。しかしながら、ねじ軸受筒のフランジ部は、車体の取付面に接しながら車体とインストルメンタルパネルとの間に配置しているため、工具は、フランジ部と係合するために車体とインストルメンタルパネルとの間に挿入される必要がある。そのため、車体とインストルメンタルパネルが従来の許容誤差補正取付装置によって連結されるときには、車体およびインストルメンタルパネルを除去または再配置するためのねじ軸受筒を収縮させる目的で、車体とインストルメンタルパネル間のねじ軸受筒のフランジ部に対するアクセスが必要とされる。
【0006】
ところが、車体とインストルメンタルパネルとの間における、この所要のアクセスのための幾何学的な配置(ジオメトリ)は、コックピットモジュールの複雑な形状のため、ほとんど満足するものにならない。それゆえ、この所要のアクセスのための幾何学的な配置は、従来の許容誤差補正取付装置のねじ軸受筒のフランジ部にアクセスするために工具が車体とインストルメンタルパネルとの間に挿入され得るように、初期の設計段階において考慮されなければならない。残念なことに、この構造上の要求は、より小さなグローブボックス、見苦しい分割ラインの可能性等、コックピットモジュールの設計に対して追加の制約をもたらすものである。
【0007】
上記に鑑み、改善された許容誤差補正取付装置に対する必要性が存在することは、当業者に明らかであろう。本発明は、他の必要性とともに、当該技術分野における上記必要性に言及するものであって、そのことが本開示から当業者に明らかとなるであろう。
【0008】
本発明の目的は、2つのコンポーネント間の空間から許容誤差補正取付装置にアクセスすることなく、コンポーネント間に配置された許容誤差補正取付装置を収縮させることを可能にし、それによって、コンポーネント間の設計上の制約を低減するようにした許容誤差補正取付装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的および本発明の他の目的を達成するため、ねじ固定具と、外側部材と、筒状部材とを備えた許容誤差補正取付装置が提供される。外側部材は、取付穴を含む。筒状部材は、ねじ固定具に回転可能に連結される内部表面と、外側部材の取付穴内に回転可能に連結される外部表面とを含み、それによって、筒状部材は、ねじ固定具の回転に同期して筒状部材の中心軸回りを回転することで、筒状部材は外側部材に対し、外側部材から突出する方向に移動し、次いで、ねじ固定具は自己のさらなる回転に応じて筒状部材に対して回転する。筒状部材は、軸上の第1端部において、筒状部材の軸上の端部の面上に形成された工具係合構造を有しており、その工具係合部材は、筒状部材の外部表面と内部表面との間に放射状に離間して配置される。
【0010】
本発明の上記目的およびそれ以外の目的、特徴、観点および利点は、添付された図面に関連して本発明の好ましい実施形態を開示する以下の詳細な記述に基づいて、当業者に明らかとなるであろう。
【発明の効果】
【0011】
2つのコンポーネント間の空間から許容誤差補正取付装置にアクセスすることなく、コンポーネント間に配置された許容誤差補正取付装置を収縮させることを可能にし、それによって、コンポーネント間の設計上の制約を低減する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の選択された実施形態について図面を参照して説明する。本発明の実施形態の以下の記述が例示目的のためのみに提供され、添付の特許請求の範囲とその均等物によって定義される本発明を限定する目的でないことは、本開示内容から当業者に明らかとなるであろう。
【0013】
図1は、車体10を有する車両Vの側面図である。図2は、車両Vの助手席側の乗員コンパートメントの前部の後方斜視図であって、インストルメンタルパネル20に連結される車体10を示す。図3は、インストルメンタルパネル20の後方斜視図であって、車体10が取付される前の取付状態を示す図である。図2に見られるように、車両Vのコックピットモジュールにおいて、インストルメンタルパネル20は、本発明の実施形態に係る複数の許容誤差補正取付装置100(図2には2個のみの許容誤差補正取付装置100を示す)によって、車体10に確実に固定される。許容誤差補正取付装置100の各々は、車体10に対してインストルメンタルパネル20を確実に固定すると同時に、車体10およびインストルメンタルパネル20との間に形成される、許容誤差による隙間を補正するために、構成・配置される。
【0014】
図3に見られるように、インストルメンタルパネル20は、許容誤差補正取付装置100によって車体10が取付される先の取付部21を有する。例示される実施形態においては、インストルメンタルパネルの取付部21は、車両Vの前後方向(front to oft direction)に延設されて配置される。しかしながら、車体10の取付部分、および、インストルメンタルパネル20の取付部21の方向または向きが本発明の本質的な特徴でないことは、本開示内容から当業者に明らかであろう。換言すると、本発明の許容誤差補正取付装置100は、車体10およびインストルメンタルパネル20の構造および設計次第で、いかなる方向によっても、車体10およびインストルメンタルパネル20を確実に連結するために利用され得るのである。さらに、本発明の例示された実施形態においては、車体10およびインストルメンタルパネル20は、本発明の許容誤差補正取付装置100によって確実に連結される車両コンポーネントの例として使用される。しかしながら、許容誤差補正取付装置100は、結合すべき車両コンポーネント間の、許容誤差による隙間を補正することが必要である場合には、車体10以外のいかなる車両コンポーネントも確実に連結するために使用され得ることは、本開示内容から当業者に明らかであろう。
【0015】
図4〜8を参照して、本発明の好ましい実施形態に係る許容誤差補正取付装置100を詳細に説明する。
【0016】
図4は、許容誤差補正取付装置100、車体10、および、インストルメンタルパネル20の取付部21の分解された斜視図である。図5は、車体10、インストルメンタルパネル20、および許容誤差補正取付装置100の分解された断面図である。図6は、車体10、インストルメンタルパネル20、および、許容誤差補正取付装置100の断面図であって、許容誤差補正取付装置100、インストルメンタルパネル20、および、車体10が組み付けられた後の取付状態の図である。図4〜6に見られるように、許容誤差補正取付装置100は、ねじ固定具110、外側部材120、および、筒状部材130を備える。
【0017】
ねじ固定具110は、好ましくは従来のボルトであって、頭部111とシャフト部112を含む。ねじ固定具110のシャフト部112は、雄ねじが設けられるねじ部112aを含む外部表面を有する。ねじ固定具110の頭部111およびシャフト部112は、図4に見られる固定具挿入中心軸Aに沿って車体10内に形成される取付孔10aを通してシャフト部112が挿入され、かつ、図6に見られる取付孔10aの周囲の外側周辺領域の外側面10bに頭部111が据付けられるように、構成・配置される。
【0018】
外側部材120は、好ましくは外側環部121と、外側環部121の内側に配置されて外側環部121に確実に固定される内側円筒部122とを含む。外側環部121は、弾力性のある材料で製作され、スナップ結合(snap-fitting)等でインストルメンタルパネル20の取付部21上に形成される取付穴21aに確実に取付されるように構成・配置される。内側円筒部122の内側面は、雌ねじが設けられるねじ部122aを含み、それによってねじ取付穴を形成する。例示された実施形態には、外側部材120は、取付穴21aに確実に連結されるインストルメンタルパネル20から離間した部材として形成されているが、ねじ部122aを含む外側部材120をインストルメンタルパネル20と一体形成してもよい。
【0019】
筒状部材130は、内部表面132と外部表面134を含む。筒状部材130の内部表面132は、筒状部材130の中心軸Cに沿って筒状部材130の全長に延びる固定具挿入孔を規定する。筒状部材130は、筒状部材130の軸上の第1端部において放射状に外側に延びている環状フランジ部136と、筒状部材130の軸上の第1端部において筒状部材の軸端面130a上に形成された工具係合構造138とを有する。この実施形態では、筒状部材130は、車体10とインストルメンタルパネル20に向けられており、これにより、ねじ固定具110は、図5に示すように、軸上の第1端部において筒状部材130に挿入可能に配される。
【0020】
図5および図6に見られるように、筒状部材130の内部表面132は、内部ねじ部132aを含む。内部ねじ部132aには雌ねじが設けられ、ねじ固定具110のねじ部112aの雄ねじと嵌合するように配置されている。筒状部材130の外部表面134は、雄ねじが設けられた外部ねじ部134aを含む。外部ねじ部134aは、外側部材120のねじ部122aの雌ねじと嵌合するように構成・配置される。内部ねじ部132aと外部ねじ部134aの正確な配置は、許容誤差補正取付装置100に必要とされる結合トルクの量を含む様々な考慮事項に応じて変更されることは、本開示内容から当業者に明らかであろう。
【0021】
図4〜6に例示された好ましい実施形態に係る許容誤差補正取付装置100において、内部ねじ部132aは、外部ねじ部134aに対して逆巻きのねじ山を有している。たとえば、内部ねじ部132aの雌ねじとねじ固定具110のねじ部112aとが右巻きに構成されている場合には、外部ねじ部134aの雄ねじと外側部材120のねじ部122aの雌ねじとが左巻きに構成される。
【0022】
さらに、外部ねじ部134aと筒状部材130の内部ねじ部132aとは、ねじ固定具110のねじ部112aを内部ねじ部132aにねじ込むのに必要とするトルクが、外側部材120のねじ部122aから外部ねじ部134aを緩めるのに必要とするトルクよりも大きくなるように、構成・配置される。換言すると、外部ねじ部134aと内部ねじ部132aとは、ねじ固定具110のさらなる回転に応じて筒状部材130に対してねじ固定具110が回転する前に、筒状部材130を外側部材120から緩める方向に、ねじ固定具110と同期して一時的に筒状部材130が回転するように、構成・配置される。
【0023】
筒状部材130の環状フランジ部136は、筒状部材130の軸端面130aと実質的に同一平面上に延びている当接面136aを含む。さらに、筒状部材130の環状フランジ部136は、好ましくは、回転可能な工具(以下、「回転可能工具」と表記する)と係合するように構成・配置される外側周辺のトルク係合面136bを有する。トルク係合面136bは、図4に示すように、六角形状を形成する6個の平坦面を含む。そのため、レンチ等がトルク係合面136bと係合し、筒状部材130の外部ねじ部134aが外側部材120のねじ部122aにねじ込まれるとき、中心軸Cの回りに筒状部材130を回転させる。無論であるが、トルク係合面136bの形状は六角形状に限定されないことは、本開示内容から当業者に明らかである。また、トルク係合面136bは、筒状部材130を筒状部材130の中心軸Cの回りに回転させるように工具(人間の手を含む)をトルク係合面136bに係合させることが可能である限り、いかなる形状を有するようにも変形可能である。
【0024】
筒状部材130の工具係合構造138は、筒状部材130の外部表面134と内部表面132の間に放射状に離間した位置において、筒状部材130の軸端面130a上に形成される。本発明のこの実施形態において、筒状部材130の工具係合構造138は、筒状部材130の中心軸Cの回りに実質的には対称に延びている工具当接側面138aを備えた凹部を含む。より具体的には、図4に示すように、工具係合構造138の凹部は、筒状部材130の内部表面132によって規定される固定具挿入孔と同心の端ぐり(カウンタボア;counterbore)を形成する。筒状部材130の工具係合構造138は、車体10の取付孔10aを通して挿入される回転可能工具T(図9)が工具係合構造138の工具当接側面138aと係合するように構成・配置されている。この好ましい実施形態においては、工具当接側面138aは、筒状部材130の中心軸Cに垂直な面に六角形の輪郭を有している。そのため、回転可能工具Tは、六角形の工具当接側面138aの6個の平坦部分と係合するように構成・配置されている(たとえば、アレンレンチ)。
【0025】
図7と図8を参照して、筒状部材130の工具係合構造138と、車体10の取付孔10aと、ねじ固定具110の頭部111との間の、本発明の好ましい実施形態における寸法上の関係を説明する。図7は、車体10の部分的な側面図であって、許容誤差補正取付装置100が連結される部分の図である。図8は、車体10の部分的な側面図であって、許容誤差補正取付装置100が連結される部分の、許容誤差補正取付装置100のねじ固定具110が取り除かれた場合の図である。
【0026】
図7に見られるように、ねじ固定具110が取付されるとき、ねじ固定具110の頭部111は、車体10の取付孔10a付近の周辺領域において、外側側面10bに据え付けられる。図8に見られるように、筒状部材130の工具係合構造138は、車体10の取付孔10aに対して寸法が合わせられており、それによって、筒状部材130の中心軸Cに垂直な面における筒状部材130の中心軸Cと工具当接側面138aの最大距離dが、固定具挿入中心軸Aと車体10の取付孔10aの最小距離r(たとえば、例示した実施形態における取付孔10aの半径)よりも小さくなっている。換言すると、工具係合構造138は、車体10の外側側面10bから取付孔10aを通して回転可能工具(図9)によってアクセス可能となるように構成・配置されている。工具係合構造138の正確な寸法が、筒状部材130の大きさ、車体10の取付孔10a、および、他の構造上の考慮事項次第で変更されることは、本開示内容から当業者に明らかであろう。さらに、例示された実施形態において、車体10の取付孔10aは、図8に見られるように実質的に環形状に形成されているが、取付孔10aは非環形状に形成され得る。そのような場合においても、筒状部材130の工具係合構造138は、筒状部材130の中心軸Cに垂直な面における筒状部材130の中心軸Cと工具当接側面138aの最大距離が、固定具挿入中心軸Aと車体10の取付孔10aの最小距離よりも小さくなるように、配置される。
【0027】
次に、許容誤差補正取付装置100を使用した、インストルメンタルパネル20と車体10間の組み付け(アセンブリ)プロセスを詳細に説明する。先ず、許容誤差補正取付装置100の外側部材120が、インストルメンタルパネル20の取付部21に形成された取付穴21aに確実に取り付けられる。次に、筒状部材130の外部ねじ部134aは、筒状部材130が環状フランジ部136のトルク係合面136bと係合した工具によって回転させられるにつれて、外側部材120のねじ部122aにねじ込まれる。図3は、許容誤差補正取付装置100の外側部材120と筒状部材130とがインストルメンタルパネル20の取付部21に連結される取付状態を例示している。
【0028】
そして、インストルメンタルパネル20は、車体10の取付孔10aが筒状部材130の内部表面132によって規定される固定具挿入孔と一直線に並ぶようにして、車体10に対して位置決めされる。次に、ねじ固定具110が、車体10の外側側面10bから車体10の取付孔10aを通して、筒状部材130の固定具挿入孔に挿入される。さらに、ねじ固定具110は、ねじ固定具110のねじ部112aが筒状部材130の内部ねじ部132aにねじ込む方向に回転させられる。ねじ固定具110が回転させられると、ねじ固定具110のねじ部112aは、筒状部材130の内部ねじ部132aと嵌合する。ところが、上述したように、ねじ固定具110のねじ部112aを筒状部材130の内部ねじ部132aにねじ込むのに必要とするトルクが、外側部材120のねじ部122aから筒状部材130の外部ねじ部134aを緩めるのに必要とするトルクよりも大きい。そのため、筒状部材130は、初期には、ねじ固定具110の回転によって、ねじ固定具110と同期して回転させられる。上述したように、ねじ固定具110のねじ部112aおよび筒状部材130の内部ねじ部132aは、筒状部材130の外部ねじ部134aおよび外側部材120のねじ部122aと逆巻きのねじ山を有している。したがって、ねじ固定具110を筒状部材130にねじ込ませる方向でのねじ固定具110の回転は、筒状部材130を外側部材120から緩めさせる方向に、外側部材120に対する筒状部材130の回転を生じさせる。その結果、ねじ固定具110が回転するにつれて、筒状部材130は、回転し始め、筒状部材130の外部ねじ部134aが外側部材120のねじ部122aから緩まるので、外側部材120から車体10に向けて延び始める。
【0029】
筒状部材130は、環状フランジ部136の当接面136aが車体10の内部側面10cに到達するまで、外側部材120から遠ざかる方向に延び続ける。筒状部材130は、ねじ固定具110のねじ部112aを筒状部材130の内部ねじ部132aにねじ込むのに必要とするトルク量と同等か、それ以上の力を環状フランジ部136が車体10に及ぼすまで、回転し続ける。この時点で、ねじ固定具110は、筒状部材130に対して回転し始め、それによって、ねじ固定具110のねじ部112aを筒状部材130の内部ねじ部132aと嵌合させる。結果として、車体10は、許容誤差補正取付装置100によってインストルメンタルパネル20に固定される一方、筒状部材130は、図6に示すように、車体10とインストルメンタルパネル20間の、許容誤差による間隙Gを補正する。図2は、許容誤差補正取付装置100のねじ固定具110によってインストルメンタルパネル20が車体10と確実に連結される取付状態を例示している。
【0030】
車体10がインストルメンタルパネル20に連結されるときに筒状部材130の環状フランジ部136によって車体10に及ぼされる力は、筒状部材130の内部ねじ部132aの構造を変更することで調整可能である。たとえば、筒状部材130の環状フランジ部136によって及ぼされる力は、内部ねじ部132aの径を低減することによって増加し得る(たとえば、ねじ固定具110のねじ部112aを筒状部材130の内部ねじ部132aにねじ込むために必要とするトルクを増加することにより行われる)。内部ねじ部132aの径を低下させるにつれて、ねじ固定具110のねじ部112aが筒状部材130の内部ねじ部132aにねじ込み始める前に、より大きなトルクが必要とされる。
【0031】
上述した実施形態において、筒状部材130の内部ねじ部132aと外部ねじ部134aは、ねじ固定具110を筒状部材130にねじ込むのに必要とするトルクを、外側部材120から筒状部材130を緩めるのに必要とするトルクよりも大きく設定することによって、ねじ固定具110が筒状部材130に対して回転し始める前に筒状部材130が初期にねじ固定具110と同期して回転するように、構成・配置される。ところが、本発明はかかる配置に限定されない。たとえば、ねじ固定具110が筒状部材130に対して回転し始める前に筒状部材130が初期にねじ固定具110と同期して回転することを可能とする接着剤を使用する等、他の方法が本発明の許容誤差補正取付装置100に使用され得る。
【0032】
車体10に対してインストルメンタルパネル20が除去または再配置される必要があるときには、ねじ固定具110は先ず、筒状部材130から緩められる。ところが、一旦車体10とインストルメンタルパネル20とが許容誤差補正取付装置100によって組み付けられると大トルクが筒状部材130によって車体10に掛かるので、筒状部材130は、ねじ固定具110が緩められるときに外側部材120の方向に収縮しない。換言すると、筒状部材130と車体10に掛かる力は、大きな摩擦力を生成し、それによって、ねじ固定具110の除去によって生成される力は、筒状部材130が外側部材120にねじ込まれる方向(すなわち、筒状部材130を外側部材120に向けて収縮する方向)に筒状部材130を回転し始めさせるのに十分な力を及ぼさない。したがって、ねじ固定具110が筒状部材130から緩められるとき、筒状部材130の環状フランジ部136の当接面136aは、車体10の外側側面10bに対して接触したままである。
【0033】
それゆえ、車体10に対してインストルメンタルパネル20を除去または再配置するために筒状部材130を外側部材120の方向に収縮させる必要があるときには、回転可能工具Tが車体10の外側側面10bから取付孔10aを通して挿入され、それによって、図9に示すように、回転可能工具Tが筒状部材130の工具係合構造138と係合する。そして、回転可能工具Tは、筒状部材130の外部ねじ部134aを外側部材120のねじ部122aにねじ込ませる方向に、筒状部材130を回転させるように操作される。したがって、図9に見られるように、筒状部材130が外側部材120の方向に収縮する。このように、インストルメンタルパネル20を車体10に対して除去または再配置することが可能である。
【0034】
上述したように、工具係合構造138は、車体10に近接配置される筒状部材130の軸端面130a上に形成される。また、工具係合構造138は、車体10の外側側面10bから取付孔10aを通して回転可能工具Tによってアクセス可能に形成される。そのため、外側部材120の方向に収縮するように筒状部材130を回転させるために、車体10とインストルメンタルパネル20との間の間隙から環状フランジ部136のトルク係合面136bにアクセスする必要がない。換言すると、筒状部材130の工具係合構造138は、組付体(アセンブリ)の下側(すなわち、車体10の下側)にアクセスすることなく筒状部材130を車体10の外側から収縮させることを可能にする。本発明の許容誤差補正取付装置100では、ねじ固定具110を使用した、車体10のインストルメンタルパネル20への取付、および、筒状部材130を収縮することによるインストルメンタルパネル20に対する車体10の除去を含む操作は、組付体(アセンブリ)と同一の側(すなわち、車体10の外側)で実行される。したがって、許容誤差補正取付装置100では、車体10、インストルメンタルパネル20およびコックピットモジュールの他のコンポーネントは、車体10とインストルメンタルパネル20との間に筒状部材130の環状フランジ部136にアクセスする工具のための間隙を提供する必要がないため、従来の許容誤差補正取付装置と比較して改善することができる。
【0035】
上述した実施形態において、工具係合構造138の工具当接側面138aは、図6に見られるように、筒状部材130の中心軸Cに垂直な面に六角形の輪郭を有している。しかしながら、本発明の工具係合構造138は六角形状に限定されない。回転可能工具が、筒状部材130を外側部材120に向けて収縮させる方向に筒状部材130を回転させるトルクを働かせるために係合可能な構造であれば、本発明の工具係合構造138として使用され得る。
【0036】
たとえば、図10(a)〜(e)は、本発明の許容誤差補正取付装置100において使用され得る工具係合構造238〜638のいくつかの異なる形状の例を示すいくつかの管状部材230〜630の平面図である。管状部材230〜630の構造は、工具係合構造238〜638の配置に対するものであることを除いて、基本的に上述した筒状部材130の構造と同一である。
【0037】
図10(a)は、管状部材230の中心軸Cに垂直な面に四角形状の輪郭を有する工具当接側面238aを含む工具係合構造238を示している。工具当接側面238aは、管状部材230の内部表面232によって規定される固定具挿入孔に対する同心の端ぐりを規定する。本発明の工具係合構造としていかなる好適な多角形状も使用され得ることは、本開示内容から当業者に明らかであろう。
【0038】
図10(b)は、管状部材330の中心軸Cに垂直な面に略星型形状の輪郭を有する工具当接側面338a(たとえば、トルクスヘッド(torx head))を含む工具係合構造338を示している。この場合、図10(b)に見られるように、工具当接側面338aは、管状部材330の内部表面332から放射状に外方向に連続して延びている。
【0039】
図10(c)は、管状部材430の中心軸Cに垂直な面に十字形状の輪郭を有する工具当接側面438a(たとえば、フィリップスヘッド(phillips head))を含む工具係合構造438を示している。この場合、図10(c)に見られるように、工具当接側面438aは、管状部材430の内部表面432から放射状に外方向に連続して延びている。
【0040】
図10(d)は、管状部材530の中心軸Cに垂直な面に略スリット形状の輪郭を有する工具当接側面538aを含む工具係合構造538を示している。この場合、図10(d)に見られるように、工具当接側面538aは、管状部材530の内部表面532から放射状に外方向に連続して延びている。
【0041】
図10(e)は、管状部材630の中心軸Cに関して対称配置される一対の工具当接孔638a(たとえば、スパナヘッド)を含む工具係合構造638を示している。工具当接孔638aの数は図10(e)に示した2個に限定されず、2以上の工具当接孔638aが本発明を実施するために提供され得ることは、本開示内容から当業者に明らかであろう。
【0042】
図10(a)〜(e)に示される各ケースにおいて、適切な形状を有する回転可能工具が、各工具係合構造238〜638に応じて、工具係合構造238〜638の各々と係合させるために使用される。
【0043】
[許容誤差補正取付装置の改変例]
図11を参照して、第1コンポーネント10’と第2コンポーネント20’とを確実に連結するのに適した、改変された許容誤差補正取付装置100’を説明する。改変された許容誤差補正取付装置100’は、ねじ固定具110’が外側部材120’を通して第2コンポーネント20’に連結される筒状部材130’に最初にねじ込まれ、さらに、第1コンポーネント10’上に形成されるねじ孔10a’にねじ込まれるように構成・配置され、それによって、第1コンポーネント10’に対して第2コンポーネント20’を固定する点で、上述した許容誤差補正取付装置100と異なる。
【0044】
図11に見られるように、改変された許容誤差補正取付装置100’の外側部材120’は、上述した許容誤差補正取付装置100の外側部材120と基本的に同一である。より具体的には、外側部材120’は、外側環部121’と、内部周辺表面にねじ部122a’を有する内側円筒部122’とを含む。外側部材120’は、図11に示すように、スナップ結合(snap-fitting)等で、第2コンポーネント20’上に形成された取付穴20a’に確実に連結される。図11では、外側部材120’が第2コンポーネント20’
から分離した部材として例示されているが、外側部材120’は、ワンピースの一体化した部材として、第2コンポーネント20’と一体的に形成することもできる。
【0045】
改変された許容誤差補正取付装置100’の筒状部材130’は、内部表面132’と外部表面134’とを有する。内部表面132’には、雌ねじを有する内部ねじ部132a’を形成する環状ライナーが備わる。外部表面134’は、雄ねじを有する外部ねじ部134a’を含む。工具係合構造138’が、筒状部材130’の内部表面132’によって規定される固定具挿入孔にねじ固定具110’が挿入される筒状部材130’の軸上の第1端部における軸端面130a’上に設けられる。工具係合構造138’は、上述した筒状部材130の工具係合構造138と基本的に同一である。換言すると、工具係合構造138’は、筒状部材130’の中心軸に垂直な面に六角形の輪郭を形成する工具当接側面138a’を含む。筒状部材130’は、図11に示すように、工具係合構造138’が形成される軸上の第1端部と反対の軸上の第2端部において、放射状に外側へ向けて延びている環状フランジ部136’をさらに含む。環状フランジ部136’は、第1コンポーネント10’の取付面10b’に接触するように構成・配置される当接面136a’を含む。好ましくは、環状フランジ部136’は、外側の周辺面上に形成されるトルク係合面136b’を含む。
【0046】
改変された許容誤差補正取付装置100’において、内部ねじ部132a’の雌ねじと外部ねじ部134a’の雄ねじとは、同一巻き方向のねじで構成される。さらに、内部ねじ部132a’と外部ねじ部134a’は、筒状部材130’の内部ねじ部132a’においてねじ固定具110’をねじ込むのに必要とするトルクが、外側部材120’のねじ部122a’から筒状部材130’の外部ねじ部134a’を緩めるのに必要とするトルクよりも小さくなるように、構成・配置される。さらに、内部ねじ部132a’は、筒状部材130’がねじ固定具110’と同期して一時的に回転させられるように構成・配置される。たとえば、図11に例示される実施形態において、筒状部材130’の内部ねじ部132a’に対してねじ固定具110’のねじ部112a’が十分にねじ込まれるとき、内部ねじ部132a’と大径部112b’との締り嵌め(interference fit)が得られるように、筒状部材130’の内部ねじ部132a’は、ねじ固定具110’の大径部112b’の径よりも小さい径を有している。換言すると、筒状部材130’の内部ねじ部132a’は、ねじ固定具110’の大径部112b’と係合することによって部分的に変形または剥脱されるように構成・配置される犠牲ねじ部(sacrificial threads)として形成される。無論、筒状部材130’をねじ固定具110’と同期して一時的に回転させることを可能とするために、ねじ固定具110’における大径部112b’を設ける代わりに接着剤等を使用した他の構成が使用され得ることは、本開示内容から当業者に明らかであろう。
【0047】
次に、第1コンポーネント10’と第2コンポーネント20’とが互いに連結されるときの、改変された許容誤差補正取付装置100’の動作を詳細に説明する。図11に見られるように、第1コンポーネント10’に面する第2コンポーネント20’の一方の面上に環状フランジ部136’が配置されるようにして、筒状部材130’が先ず、第2コンポーネント20’に取付される外側部材120’にねじ込まれる。そして、大径部112b’が内部ねじ部132a’と係合するまで、ねじ固定具110’は、筒状部材130’の軸上の第1端部に挿入され、筒状部材130’の内部ねじ部132a’にねじ込まれる。一旦内部ねじ部132a’と大径部112b’との締り嵌めが得られると、筒状部材130’は、筒状部材130’の外部ねじ部134a’を外側部材120’のねじ部122a’から緩めさせる方向に、ねじ固定具110’と同期して回転し始める。筒状部材130’は、環状フランジ部136’の当接面136a’が第1コンポーネント10’の取付面10b’に接触するまで、第1コンポーネント10’の取付面10b’に向けて延び続ける。そして、ねじ固定具110’が筒状部材130’に対してさらに回転させられ、それによって、内部ねじ部132a’の犠牲ねじ部は、ねじ固定具110’が第1コンポーネント10’のねじ孔10a’と十分に嵌合するにつれて、ねじ固定具110’の大径部112b’によって剥脱または歪が生じるようになる。
【0048】
第1コンポーネント10’が第2コンポーネント20’に対して除去または再配置されるときには、ねじ固定具110’は先ず、第1コンポーネント10’のねじ孔10a’と筒状部材130’の内部ねじ部132a’とから緩められる。筒状部材130’の環状フランジ部136’が第1コンポーネント10’の取付面10b’上に大トルクを及ぼすため、ねじ固定具110’の回転は、筒状部材130’を外側部材120’の方向に収縮させない。したがって、筒状部材130’は、環状フランジ部136’が第1コンポーネント10’の取付面10b’と接触する位置に置かれたままである。改変された許容誤差補正取付装置100’においては、筒状部材130’の工具係合構造138’は、図11に見られるように、第2コンポーネント20’の外側からアクセス可能である。そのため、工具係合構造138’の工具当接側面138a’と係合させ、かつ、筒状部材130’を外側部材120’に向けて収縮させる方向(すなわち、外部ねじ部134a’を外側部材120’のねじ部122a’にねじ込ませる方向)に筒状部材130’を回転させるために、アレンレンチのような回転可能工具を第2コンポーネント20’の外側から挿入することが可能である。そして、第1コンポーネント10’は第2コンポーネント20’に対して除去または再配置することが可能である。
【0049】
したがって、改変された許容誤差補正取付装置100’によれば、第1コンポーネント10’と第2コンポーネント20’との間に配置された環状フランジ部136’にアクセスすることなく、筒状部材130’を収縮させることが可能である。そのため、第1コンポーネント10’と第2コンポーネント20’との間に、筒状部材130’の環状フランジ部136’にアクセスする工具のための間隙を設ける必要がないので、第1コンポーネント10’および第2コンポーネント20’の設計自由度を従来の許容誤差補正取付装置と比較して改善することが可能である。
【0050】
図10(a)〜(e)に例示された工具係合構造238〜638が改変された許容誤差補正取付装置100’の工具係合構造138’にも適用され得ることは、本開示内容から当業者に明らかであろう。
【0051】
本発明の上述した実施形態において、ねじ固定具110,110’と、外側部材120,120’の内側円筒部122,122’と、筒状部材130,130’とは、金属製であるように例示されている。しかしながら、本発明に係る許容誤差補正取付装置100,100’の各部が、トルク要求または他の考慮事項に応じて、混合樹脂または合成樹脂のような非金属材料によって製造してもよいことは、本開示内容から当業者に明らかであろう。
【0052】
さらに、上述した実施形態では、工具係合構造138,138’は、筒状部材130,130’が外側部材120,120’の方向に収縮するように、筒状部材130,130’を回転させるために使用される。しかしながら、筒状部材130,130’が外側部材120,120’にねじ込まれる際に、工具係合構造138,138’が筒状部材130,130’を回転させるためにも使用され得ることは、本開示内容から当業者に明らかであろう。かかる場合、環状フランジ部136,136’のトルク係合面136b,136b’を除去することも可能である。
【0053】
[用語の一般的解釈]
本発明の範囲を理解する際に、ここで使用される「備える」という用語とその派生語は、記述された特徴、構成要素、コンポーネント、群、完全体(integers)、および/またはステップの存在を特定する、他を排除しない(open ended)用語とすることを意図しており、記述されていない他の特徴、構成要素、コンポーネント、群、完全体、および/またはステップの存在を排除しない。上記の点は、「含む」、「有する」および他の派生語のような類似の意味を有する用語にも適用される。また、「部分」、「部」、「部材」、「要素」という用語は、単数形で使用されるときには、単数形および複数形の両方の意味を持ち得る。本明細書において使用される次の方向用語「前方、後方、上方、下方、垂直、水平、下、横」およびその他の類似した方向用語は、本発明が適用された車両における方向をいう。したがって、本発明を説明するために用いられるこれらの用語は、本発明が適用された車両を基準として解釈される。本明細書において使用される「実質的に」、「およそ」および「概略」などの程度を表す用語は、最終的な結果が著しく変わらないように、修飾された用語の妥当な大きさの偏差を意味している。例えば、これらの用語は、修飾する語の意味を無効にしない偏差であるかぎり、修飾された用語の少なくとも±5%の偏差を含むものと解釈することができる。
【0054】
本発明を説明するために、選択された実施形態のみが記載されているが、添付の特許請求の範囲の各請求項において定義されるような本発明の範囲から逸脱することなく種々の変更および修正が可能であることは、本開示内容から当業者に明らかであろう。たとえば、様々なコンポーネントの大きさ、形状、位置または方向は、必要とされ、および/または、望まれるように変更され得る。直接接続され、または、互いに接触しているように示されるコンポーネントは、それらのコンポーネント間に配置される中間の構造物を有することもできる。1つの構成要素の機能は、2つの構成要素によって達成させることができ、その逆も成立する。1つの実施形態の構造および機能は、他の実施形態において採用され得る。特定の実施形態において挙げられるすべての利点が同時に必要となるものではない。従来技術と異なるすべての特徴は、それ単独で、または他の特徴との組み合わせにおいて、出願人による発明に対する個別の記載が考慮されるべきであって、かかる記載は、そのような特徴によって具現化される、構造上および/または機能上の着想を含む。さらに、本発明による実施形態の上記の説明は、例示のためにのみ提供されるものであり、添付の特許請求の範囲の各請求項およびその均等物により定義される本発明を限定するためのものではない。すなわち、本発明の範囲は、開示された実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】図1は、本発明の好ましい実施形態において、インストルメンタルパネルを車体に確実に連結するための複数の許容誤差補正取付装置を利用する車両の側面図である。
【図2】図2は、助手席側の車両の乗員コンパートメントの前部の部分的な後方斜視図であって、本発明の実施形態において、許容誤差補正取付装置を使用してインストルメンタルパネルに連結される車体を示す。
【図3】図3は、図2に示された乗員コンパートメントの前部の部分的な後方斜視図であって、本発明の好ましい実施形態において、車体が取り除かれ、かつ、許容誤差補正取付装置の筒状部材と外側部材がインストルメンタルパネルに取り付けられる状態の図である。
【図4】図4は、本発明の好ましい実施形態において、車体をインストルメンタルパネルに確実に固定するための許容誤差補正取付装置の外側部材、筒状部材、および、ねじ固定具の分解した状態の斜視図である。
【図5】図5は、本発明の好ましい実施形態において、車体、インストルメンタルパネル、および、外側部材と筒状部材とねじ固定具とを含む許容誤差補正取付装置の分解した状態の断面図である。
【図6】図6は、本発明の好ましい実施形態において、外側部材と筒状部材とねじ固定具とを含む許容誤差補正取付装置の断面図であって、許容誤差補正取付装置、インストルメンタルパネル、および、車体が組み付けられた後の取付状態の図である。
【図7】図7は、車体の部分的な側面図であって、本発明の好ましい実施形態において、許容誤差補正取付装置が連結される部分を示している。
【図8】図8は、車体の部分的な側面図であって、本発明の好ましい実施形態において、許容誤差補正取付装置が連結される部分を示しており、許容誤差補正取付装置のねじ固定具が取り除かれている状態の図である。
【図9】図9は、本発明の好ましい実施形態において、車体とインストルメンタルパネルとの間に連結された許容誤差補正取付装置の外側部材、筒状部材、および、ねじ固定具の断面図であって、回転可能工具が筒状部材の工具係合構造と係合している部分的非組付状態を示している。
【図10】図10は、筒状部材の一連の平面図であって、本発明の好ましい実施形態において、筒状部材の工具係合構造の代替的な複数の構成を示している。
【図11】図11は、本発明の好ましい実施形態において、第1および第2コンポーネントを確実に連結するための、変更した許容誤差補正取付装置の外側部材、筒状部材、および、ねじ固定具の断面図である。
【符号の説明】
【0056】
10…車体
20…インストルメンタルパネル
100…許容誤差補正取付装置
110…ねじ固定具
120…外側部材
130…筒状部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ねじ固定具と、
取付穴を含む外側部材と、
筒状部材と、
を備え、
前記筒状部材は、前記ねじ固定具と回転可能に連結される内部表面と、前記外側部材の前記取付穴内に回転可能に連結される外部表面とを有し、これにより、ねじ固定具の回転に同期して筒状部材が中心軸回りに回転することで、筒状部材は外側部材に対し、外側部材から突出する方向に移動し、次いで、ねじ固定具は自己のさらなる回転に応じて筒状部材に対して回転し、
前記筒状部材は、軸上の第1端部にて筒状部材の軸端の表面上に形成され、所定の工具と係合可能な工具係合構造を有する、
許容誤差補正取付装置。
【請求項2】
前記筒状部材の前記工具係合構造は、筒状部材の中心軸回りに実質的に対称に延びる工具当接側面を有する凹部を含む、
請求項1記載の許容誤差補正取付装置。
【請求項3】
前記工具係合構造の前記凹部は、前記筒状部材の前記内部表面によって規定される固定具挿入孔に対する同心の端ぐりを形成する、
請求項2記載の許容誤差補正取付装置。
【請求項4】
前記凹部の前記工具当接側面は、前記筒状部材の中心軸に対して垂直な面に多角形の輪郭を有する、
請求項2記載の許容誤差補正取付装置。
【請求項5】
前記凹部の前記工具当接側面は、前記筒状部材の中心軸に対して垂直な面に十字形状の輪郭を有する、
請求項2記載の許容誤差補正取付装置。
【請求項6】
前記凹部の前記工具当接側面は、前記筒状部材の中心軸に対して垂直な面に略星型形状の輪郭を有する、
請求項2記載の許容誤差補正取付装置。
【請求項7】
前記凹部の前記工具当接側面は、前記筒状部材の中心軸に対して垂直な面に略スリット形状の輪郭を有する、
請求項2記載の許容誤差補正取付装置。
【請求項8】
前記工具係合構造は、前記筒状部材の中心軸に関して対称配置された複数の工具当接孔を含む、
請求項1記載の許容誤差補正取付装置。
【請求項9】
前記筒状部材は、筒状部材の中心軸に関して軸上の第1端部において、放射状に外方向に延びる環状フランジ部を含む、
請求項1記載の許容誤差補正取付装置。
【請求項10】
前記筒状部材の前記環状フランジ部は、工具と係合するために構成・配置される非円形形状を有する、外側周辺にあるトルク係合面を備える、
請求項9記載の許容誤差補正取付装置。
【請求項11】
前記筒状部材は、前記外部表面上に形成された外部ねじ部と、前記内部表面上に形成された内部ねじ部とを含み、
前記外部ねじ部および前記内部ねじ部は、前記ねじ固定具に対して前記内部ねじ部を回転させるのに必要とするトルクが、前記外側部材の前記取付穴に対して前記外部ねじ部を回転させるのに必要とするトルクよりも大きくなるように、構成・配置される、
請求項1記載の許容誤差補正取付装置。
【請求項12】
前記筒状部材は、前記軸上の第1端部と反対にある軸上の第2端部において、筒状部材の中心軸に対して放射状に外方向に延びる環状フランジ部を含む、
請求項1記載の許容誤差補正取付装置。
【請求項13】
前記ねじ固定具は、ねじ部と大径部とを有するシャフト部を含み、前記大径部は、前記ねじ部の径よりも大きい径を有しており、
前記筒状部材の前記内部表面は、前記ねじ固定具の前記ねじ部と嵌合し、かつ、前記ねじ固定具の回転に同期して前記筒状部材が回転するように、前記ねじ固定具の前記大径部と締り嵌めが得られるように構成・配置される内部ねじ部を備える、
請求項1記載の許容誤差補正取付装置。
【請求項14】
車両コンポーネントと、
固定具挿入中心軸を有する取付孔を含む車体と、
前記車両コンポーネントを前記車体に確実に連結する許容誤差補正取付装置と、
を備え、
前記許容誤差補正取付装置は、
前記固定具挿入中心軸に沿って前記車体の前記取付孔を通して延びるねじ固定具と、
前記車両コンポーネントに確実に連結され、取付穴を含む外側部材と、
前記車体と前記車両コンポーネントとの間に延設され、前記ねじ固定具と回転可能に連結される内部表面と、前記外側部材の前記取付穴内に回転可能に連結される外部表面とを有し、前記車両コンポーネントと前記車体との間の、許容誤差による間隙を補正する筒状部材と、を有し、
前記筒状部材は、筒状部材の前記外部表面と前記内部表面とから放射状に離間した位置において、前記車体に近接配置される筒状部材の軸上の端面上に形成された工具係合構造を含み、それにより、筒状部材の中心軸に対して垂直な面において、筒状部材の中心軸と前記工具係合構造との間の最大距離が、前記固定具挿入中心軸と前記車体の前記取付孔との間の最小距離よりも小さくなる、
車両コンポーネント取付構造。
【請求項15】
前記筒状部材の前記工具係合構造は、筒状部材の中心軸回りに実質的に対称に延設している工具当接側面を有する凹部を含む、
請求項14記載の車両コンポーネント取付構造。
【請求項16】
前記工具係合構造の前記凹部は、前記筒状部材の前記内部表面によって規定される固定具挿入孔に対する同心の端ぐりを形成する、
請求項15記載の車両コンポーネント取付構造。
【請求項17】
前記工具係合構造は、前記筒状部材の中心軸に関して対称配置された複数の工具当接孔を含む、
請求項14記載の車両コンポーネント取付構造。
【請求項18】
前記筒状部材は、筒状部材の中心軸の軸上の第1端部において、放射状に外方向に延びる環状フランジ部を含む、
請求項14記載の車両コンポーネント取付構造。
【請求項19】
前記筒状部材の前記環状フランジ部は、工具と係合するために構成・配置される非円形形状を有する、外側周辺にあるトルク係合面を備える、
請求項18記載の車両コンポーネント取付構造。
【請求項20】
前記筒状部材は、前記外部表面上に形成された外部ねじ部と、前記内部表面上に形成された内部ねじ部とを含み、
前記外部ねじ部および前記内部ねじ部は、前記ねじ固定具に対して前記内部ねじ部を回転させるのに必要とするトルクが、前記外側部材の前記取付穴に対して前記外部ねじ部を回転させるのに必要とするトルクよりも大きくなるように、構成・配置される、
請求項14記載の車両コンポーネント取付構造。
【請求項21】
前記筒状部材は、前記外部表面上に形成された外部ねじ部と、前記内部表面上に形成された内部ねじ部とを含み、
前記外部ねじ部および前記内部ねじ部は、前記筒状部材が前記ねじ固定具の回転に同期して筒状部材の中心軸の回りを第1方向に回転することで、外側部材に対して前記車両コンポーネントから前記車体に向けて突出する方向に移動し、次いで、ねじ固定具が自己のさらなる回転に応じて筒状部材に対して回転するように、構成・配置される、
請求項14記載の車両コンポーネント取付構造。
【請求項22】
前記外側部材は、前記車両コンポーネントから分離した部材として形成され、前記車両コンポーネントと一体に連結される、
請求項14記載の車両コンポーネント取付構造。
【請求項23】
車体に対して選択的に行われる車両コンポーネント取付方法であって、
許容誤差補正取付装置の筒状部材の外部ねじ部を、前記車両コンポーネント内に形成されたねじ取付穴に嵌合させ、
車体内に形成された取付孔を通して、ねじ固定具を前記筒状部材の内部ねじ部に挿入し、
前記ねじ固定具の回転に同期して第1方向に前記筒状部材を選択的に回転させ、それによって、筒状部材が前記車両コンポーネントに対して前記車体方向に延びるようにすることで、前記車体と前記車両コンポーネントとの間の、許容誤差による間隙を補正し、
回転可能工具を前記車体の前記取付孔を通して挿入し、前記車体に近接配置された前記筒状部材の軸端面上の工具係合構造と係合させ、
前記回転可能な工具を前記筒状部材の前記工具係合構造に対して回転させることで、前記第1方向と反対の第2方向に前記筒状部材を選択的に回転させ、それによって、筒状部材を前記車両コンポーネントの方向に収縮させる、
車両コンポーネント取付方法。
【請求項1】
ねじ固定具と、
取付穴を含む外側部材と、
筒状部材と、
を備え、
前記筒状部材は、前記ねじ固定具と回転可能に連結される内部表面と、前記外側部材の前記取付穴内に回転可能に連結される外部表面とを有し、これにより、ねじ固定具の回転に同期して筒状部材が中心軸回りに回転することで、筒状部材は外側部材に対し、外側部材から突出する方向に移動し、次いで、ねじ固定具は自己のさらなる回転に応じて筒状部材に対して回転し、
前記筒状部材は、軸上の第1端部にて筒状部材の軸端の表面上に形成され、所定の工具と係合可能な工具係合構造を有する、
許容誤差補正取付装置。
【請求項2】
前記筒状部材の前記工具係合構造は、筒状部材の中心軸回りに実質的に対称に延びる工具当接側面を有する凹部を含む、
請求項1記載の許容誤差補正取付装置。
【請求項3】
前記工具係合構造の前記凹部は、前記筒状部材の前記内部表面によって規定される固定具挿入孔に対する同心の端ぐりを形成する、
請求項2記載の許容誤差補正取付装置。
【請求項4】
前記凹部の前記工具当接側面は、前記筒状部材の中心軸に対して垂直な面に多角形の輪郭を有する、
請求項2記載の許容誤差補正取付装置。
【請求項5】
前記凹部の前記工具当接側面は、前記筒状部材の中心軸に対して垂直な面に十字形状の輪郭を有する、
請求項2記載の許容誤差補正取付装置。
【請求項6】
前記凹部の前記工具当接側面は、前記筒状部材の中心軸に対して垂直な面に略星型形状の輪郭を有する、
請求項2記載の許容誤差補正取付装置。
【請求項7】
前記凹部の前記工具当接側面は、前記筒状部材の中心軸に対して垂直な面に略スリット形状の輪郭を有する、
請求項2記載の許容誤差補正取付装置。
【請求項8】
前記工具係合構造は、前記筒状部材の中心軸に関して対称配置された複数の工具当接孔を含む、
請求項1記載の許容誤差補正取付装置。
【請求項9】
前記筒状部材は、筒状部材の中心軸に関して軸上の第1端部において、放射状に外方向に延びる環状フランジ部を含む、
請求項1記載の許容誤差補正取付装置。
【請求項10】
前記筒状部材の前記環状フランジ部は、工具と係合するために構成・配置される非円形形状を有する、外側周辺にあるトルク係合面を備える、
請求項9記載の許容誤差補正取付装置。
【請求項11】
前記筒状部材は、前記外部表面上に形成された外部ねじ部と、前記内部表面上に形成された内部ねじ部とを含み、
前記外部ねじ部および前記内部ねじ部は、前記ねじ固定具に対して前記内部ねじ部を回転させるのに必要とするトルクが、前記外側部材の前記取付穴に対して前記外部ねじ部を回転させるのに必要とするトルクよりも大きくなるように、構成・配置される、
請求項1記載の許容誤差補正取付装置。
【請求項12】
前記筒状部材は、前記軸上の第1端部と反対にある軸上の第2端部において、筒状部材の中心軸に対して放射状に外方向に延びる環状フランジ部を含む、
請求項1記載の許容誤差補正取付装置。
【請求項13】
前記ねじ固定具は、ねじ部と大径部とを有するシャフト部を含み、前記大径部は、前記ねじ部の径よりも大きい径を有しており、
前記筒状部材の前記内部表面は、前記ねじ固定具の前記ねじ部と嵌合し、かつ、前記ねじ固定具の回転に同期して前記筒状部材が回転するように、前記ねじ固定具の前記大径部と締り嵌めが得られるように構成・配置される内部ねじ部を備える、
請求項1記載の許容誤差補正取付装置。
【請求項14】
車両コンポーネントと、
固定具挿入中心軸を有する取付孔を含む車体と、
前記車両コンポーネントを前記車体に確実に連結する許容誤差補正取付装置と、
を備え、
前記許容誤差補正取付装置は、
前記固定具挿入中心軸に沿って前記車体の前記取付孔を通して延びるねじ固定具と、
前記車両コンポーネントに確実に連結され、取付穴を含む外側部材と、
前記車体と前記車両コンポーネントとの間に延設され、前記ねじ固定具と回転可能に連結される内部表面と、前記外側部材の前記取付穴内に回転可能に連結される外部表面とを有し、前記車両コンポーネントと前記車体との間の、許容誤差による間隙を補正する筒状部材と、を有し、
前記筒状部材は、筒状部材の前記外部表面と前記内部表面とから放射状に離間した位置において、前記車体に近接配置される筒状部材の軸上の端面上に形成された工具係合構造を含み、それにより、筒状部材の中心軸に対して垂直な面において、筒状部材の中心軸と前記工具係合構造との間の最大距離が、前記固定具挿入中心軸と前記車体の前記取付孔との間の最小距離よりも小さくなる、
車両コンポーネント取付構造。
【請求項15】
前記筒状部材の前記工具係合構造は、筒状部材の中心軸回りに実質的に対称に延設している工具当接側面を有する凹部を含む、
請求項14記載の車両コンポーネント取付構造。
【請求項16】
前記工具係合構造の前記凹部は、前記筒状部材の前記内部表面によって規定される固定具挿入孔に対する同心の端ぐりを形成する、
請求項15記載の車両コンポーネント取付構造。
【請求項17】
前記工具係合構造は、前記筒状部材の中心軸に関して対称配置された複数の工具当接孔を含む、
請求項14記載の車両コンポーネント取付構造。
【請求項18】
前記筒状部材は、筒状部材の中心軸の軸上の第1端部において、放射状に外方向に延びる環状フランジ部を含む、
請求項14記載の車両コンポーネント取付構造。
【請求項19】
前記筒状部材の前記環状フランジ部は、工具と係合するために構成・配置される非円形形状を有する、外側周辺にあるトルク係合面を備える、
請求項18記載の車両コンポーネント取付構造。
【請求項20】
前記筒状部材は、前記外部表面上に形成された外部ねじ部と、前記内部表面上に形成された内部ねじ部とを含み、
前記外部ねじ部および前記内部ねじ部は、前記ねじ固定具に対して前記内部ねじ部を回転させるのに必要とするトルクが、前記外側部材の前記取付穴に対して前記外部ねじ部を回転させるのに必要とするトルクよりも大きくなるように、構成・配置される、
請求項14記載の車両コンポーネント取付構造。
【請求項21】
前記筒状部材は、前記外部表面上に形成された外部ねじ部と、前記内部表面上に形成された内部ねじ部とを含み、
前記外部ねじ部および前記内部ねじ部は、前記筒状部材が前記ねじ固定具の回転に同期して筒状部材の中心軸の回りを第1方向に回転することで、外側部材に対して前記車両コンポーネントから前記車体に向けて突出する方向に移動し、次いで、ねじ固定具が自己のさらなる回転に応じて筒状部材に対して回転するように、構成・配置される、
請求項14記載の車両コンポーネント取付構造。
【請求項22】
前記外側部材は、前記車両コンポーネントから分離した部材として形成され、前記車両コンポーネントと一体に連結される、
請求項14記載の車両コンポーネント取付構造。
【請求項23】
車体に対して選択的に行われる車両コンポーネント取付方法であって、
許容誤差補正取付装置の筒状部材の外部ねじ部を、前記車両コンポーネント内に形成されたねじ取付穴に嵌合させ、
車体内に形成された取付孔を通して、ねじ固定具を前記筒状部材の内部ねじ部に挿入し、
前記ねじ固定具の回転に同期して第1方向に前記筒状部材を選択的に回転させ、それによって、筒状部材が前記車両コンポーネントに対して前記車体方向に延びるようにすることで、前記車体と前記車両コンポーネントとの間の、許容誤差による間隙を補正し、
回転可能工具を前記車体の前記取付孔を通して挿入し、前記車体に近接配置された前記筒状部材の軸端面上の工具係合構造と係合させ、
前記回転可能な工具を前記筒状部材の前記工具係合構造に対して回転させることで、前記第1方向と反対の第2方向に前記筒状部材を選択的に回転させ、それによって、筒状部材を前記車両コンポーネントの方向に収縮させる、
車両コンポーネント取付方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−239988(P2007−239988A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−17419(P2007−17419)
【出願日】平成19年1月29日(2007.1.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.トルクス
【出願人】(503118837)ニッサン テクニカル センター ノース アメリカ、 インコーポレイテッド (12)
【氏名又は名称原語表記】NISSAN TECHNICAL CENTER NORTH AMERICA, INC.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月29日(2007.1.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.トルクス
【出願人】(503118837)ニッサン テクニカル センター ノース アメリカ、 インコーポレイテッド (12)
【氏名又は名称原語表記】NISSAN TECHNICAL CENTER NORTH AMERICA, INC.
【Fターム(参考)】
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