説明

認証装置

【課題】 認証結果の正確性を向上させた認証装置を提供する。
【解決手段】 指静脈情報と指紋情報を組み合わせた組合せ生体情報を認証用DB210に登録しておき、指静脈読取装置30と指紋読取装置40を用いて、利用者の指静脈情報と指紋情報を読み取る。読み取った指静脈情報と指紋情報の組み合わせが認証用DB210に登録されていれば認証し、登録されていなければ認証しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報に基づいて認証の正否を決定する認証装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、金融機関のATMでは、暗証番号の入力によりキャッシュカードの正当な利用者であることを確認している。近年では、更にセキュリティを高める目的で、指紋などの生体情報を利用して本人確認を行なう認証装置をATMに備えることが検討されている。認証装置の中には、特許文献1記載の認証装置のように、複数の指の生体情報に基づいて認証を行なうものも存在する。
【0003】
【特許文献1】特開2004−078791号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の複数の指の生体情報は、いずれも同じ種類の生体情報である。つまり、複数の生体情報を使用するといっても、いずれも指の血管パターンに関する生体情報であるか、あるいはいずれも指紋に関する生体情報である。したがって、その種類の生体情報に対する信頼性が低い場合、認証結果に誤りを生じる可能性が高いという問題がある。生体情報に対する信頼性が低い場合とは、例えば、指紋情報を捏造する者が存在する場合などで、この場合は指紋の生体情報に対する信頼性が低いことになる。
【0005】
このような問題は、ATMに備えられる認証装置に限らず、生体情報に基づいて認証を行なう認証装置に共通する問題であった。
【0006】
本発明は、上記した問題点を解決するためになされたものであり、認証結果の正確性を向上させた認証装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題の少なくとも一部を解決するため、本発明による認証装置は、認証装置であって、血管パターンを読み取る血管パターン読取装置と、指紋を読み取る指紋読取装置と、前記血管パターンと前記指紋の適正な組み合わせを記憶する記憶部と、読み取られた前記血管パターンと前記指紋の組み合わせが、前記記憶部に記憶されている適正な組み合わせと一致するか否かにより、認証の正否を決定する認証部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、血管パターンと指紋の組み合わせにより認証の正否を決定するので、複数の種類の生体情報に基づいて認証の正否を決定することになり、認証結果の正確性を向上させることができる。
【0009】
更に、個人情報を入力するための個人情報入力装置を備え、前記記憶部は、前記血管パターンと前記指紋の適正な組み合わせと、前記個人情報とを関連付けて記憶しており、前記認証部は、入力された前記個人情報と、読み取られた前記血管パターンと前記指紋の組み合わせが、前記記憶部において関連付けられているか否かにより、認証の正否を決定する、ものとしても良い。
【0010】
これによれば、個人情報も組み合わせることにより、更に、認証結果の正確性を向上させることができる。
【0011】
前記認証装置は、更に、自動取引を可能とする装置であって、前記記憶部は、前記血管パターンと前記指紋の適正な組み合わせと、取引内容の少なくとも一部を示す取引情報とを関連付けて記憶しており、前記認証装置は、更に、読み取られた前記血管パターンと前記指紋の組み合わせに関連付けられた前記取引情報に基づいて取引内容を決定する取引内容決定部を備えた、ものとしても良い。
【0012】
これによれば、血管パターンと指紋を読み取ることで、取引内容を決定することができ、取引内容を別個に取得する手間を省くことができる。
【0013】
更に、取引内容の少なくとも一部を示す補足情報を入力するための補足情報入力装置を備え、前記取引内容決定部は、前記取引情報と前記補足情報に基づいて取引内容を決定する、ものとしても良い。
【0014】
これによれば、取引情報のみでは取引内容を決定できない場合に、補足情報を取得することで取引内容を決定することができる。
【0015】
なお本発明は種々の形態で実現可能であり、例えば、認証方法や、自動取引装置等の形態で実現可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、本発明の認証装置の一形態であるATM100及びATM管理サーバ200を示す説明図である。ATM100とATM管理サーバ200は、ネットワークを介して接続されている。ATM100は、利用者からの入力を受け付け、金銭に関する自動取引を行なう装置である。ATM管理サーバ200は、ATM100を管理するコンピュータであり、認証用データベース(以下、DBと呼ぶ)210を記憶している。
【0017】
図2は、認証用DB210を示す説明図である。1つの認証データは、識別番号と、カード番号と、組合せ生体情報と、取引内容とで構成されている。識別番号とは、認証データに個別に付される番号である。カード番号とは、キャッシュカードの番号であり、一般には口座番号と同じである。組合せ生体情報とは、人体の指静脈の血管パターンを示す情報(以下、指静脈情報と呼ぶ)と、指紋を示す情報(以下、指紋情報と呼ぶ)との組み合わせのことを言う。指静脈情報と指紋情報は、画像情報であっても良いし、ベクトル情報であっても良い。図中の指静脈情報の欄において「右手中指」という記載は、右手中指の指静脈情報であることを示している。同様に、図中の指紋情報の欄において「左手親指」という記載は、左手親指の指紋情報であることを示している。認証用DB210には、キャッシュカードの正当な利用者の組合せ生体情報が、カード番号と関連付けて保存されており、組合せ生体情報は、キャッシュカードの正当な利用者の認証に使用される。図2では、1つのカード番号「○○○」に対して、5つの組合せ生体情報が登録されている。このように、1つのカード番号に対して、複数の組合せ生体情報を登録しても良い。カード番号は、本発明の個人情報に相当し、カード取扱装置90は、本発明の個人情報入力装置に相当する。
【0018】
認証用DB210には、更に、取引内容も保存されている。取引内容は、取引に必要となる情報であって、取引種類と、振込先銀行と、振込先口座番号と、振込方法と、金額の少なくとも一部を含む。取引内容にいずれの情報を含むのかは、取引種類に応じて決まる。例えば、取引種類が引出しである場合は、取引に必要な情報は、取引種類と金額のみである。よって、取引種類が引出しである場合の取引内容は、取引種類と金額である。図2では、取引種類が引出しの場合は、それ以外の振込先銀行と、振込先口座番号と、振込方法の欄は、データが無いことを示す「−」が設定されている。
【0019】
取引内容のうち、利用者により予め設定されている情報を既設定取引情報と呼ぶ。そして、取引内容のうち、利用者から手動で入力してもらう情報を補足情報と呼ぶ。図2において、(手動入力)と示されている箇所の情報が補足情報に相当する。既設定取引情報は、利用者が、予め組合せ生体情報と関連付けて保存する。これにより、利用者は、取引の際にATM100に所定の組合せ生体情報を入力すれば、その組合せ生体情報と関連した取引を、既設定取引情報を手動で入力することなく実行することができる。例えば、カード番号「○○○」のカードの正当な利用者は、自らの右手中指の指静脈情報と左手親指の指紋情報を入力すれば、X銀行U支店のXXXXXXという口座番号に口座から8万円振り込むという入力をしたことになり、取引を実行することができる。認証用DB210は本発明の記憶部に相当し、既設定取引情報は本発明の取引情報に相当する。
【0020】
再度、図1に戻り説明する。ATM100は、制御部50と、液晶ディスプレイ10と、タッチパネル20と、指静脈読取装置30と、指紋読取装置40と、紙幣取扱装置60と、硬貨取扱装置70と、通帳取扱装置80と、カード取扱装置90と、現金保管庫95とを備えている。液晶ディスプレイ10は、操作ガイダンスを表示し、タッチパネル20は、利用者からの入力を受け付ける。タッチパネル20は、本発明の補足情報入力装置に相当する。紙幣取扱装置60と、硬貨取扱装置70とは、利用者から紙幣や硬貨を受け取ったり、利用者へ紙幣や硬貨を渡したりする装置である。通帳取扱装置80と、カード取扱装置90は、利用者から通帳やカードを受け取って、通帳やカードの情報を読み取ったり、利用者へ通帳やカードを返却したりする装置である。現金保管庫95は、利用者から受け取った現金または利用者へ渡すための現金を保管する保管庫である。カード取扱装置90は、本発明の個人情報読取装置に相当する。
【0021】
指静脈読取装置30は、利用者の指の静脈の血管パターンを読み取る装置であり、内部にCPU31を備えている。指静脈読取装置30は、読み取った血管パターンを指静脈情報としてATM100のメモリ(図示せず)に一旦保存する。指紋読取装置40は、利用者の指紋を読み取る装置であり、内部にCPU41を備えている。指紋読取装置40は、読み取った指紋を指紋情報としてATM100のメモリ(図示せず)に一旦保存する。保存された指静脈情報と指紋情報は、認証及び取引に利用される。指静脈読取装置30は、本発明の血管パターン読取装置に相当する。
【0022】
図3は、タッチパネル20と、指静脈読取装置30と、指紋読取装置40の配置を示す説明図である。指静脈読取装置30と、指紋読取装置40は、タッチパネル20の両横に各々配置されている。指静脈読取装置30と、指紋読取装置40には孔が開いており、利用者は、その孔に指を1本ずつ挿入することにより、その指の指静脈の血管パターンと指紋を読み取らせる。指静脈読取装置30と、指紋読取装置40を、タッチパネル20の両横に配置すれば、利用者は、指静脈読取装置30と、指紋読取装置40へ挿入していた指をタッチパネル20へとスムーズに動かすことができる。ところで、図3のタッチパネル20は、取引種類を選択する画面となっている。利用者は、ボタンに触れることにより、取引種類を選択することができる。
【0023】
図1に戻り説明する。制御部50は、これらの装置を制御して、取引を実現させる。制御部50は、認証部51と、取引内容取得部52と、取引内容決定部53とを備えている。認証部51は、認証用DB210を参照して、利用者の指静脈情報と指紋情報に基づいて、利用者が、カード取扱装置90から挿入されたカードの正当な使用者であるか否かの認証を行なう。
【0024】
取引内容決定部53は、利用者から入力される組合せ生体情報に基づいて、取引内容を決定する。取引内容決定部53は、利用者から入力される生体情報と関連した既設定取引情報を認証用DB210から検索し、その既設定取引情報に基づいて取引内容を決定する。検索された既設定取引情報が、例えば、認証用DB210の1段目に保存されている既設定取引情報である場合は、既設定取引情報のみで取引可能であるから、取引内容決定部53は、既設定取引情報をそのまま取引内容とする。一方、検索された既設定取引情報が、認証用DB210の2段目に保存されている既設定取引情報である場合は、金額が手動入力となっており、既設定取引情報のみでは取引不可能であるから、取引内容決定部53は、更に補足情報を取得し(ここでは金額)、既設定取引情報と補足情報を併せて取引内容とする。
【0025】
取引内容取得部52は、利用者から生体情報の入力がなされず、取引内容決定部53が機能しないときに、液晶ディスプレイ10やタッチパネル20を制御して、利用者から取引内容を取得する。
【0026】
図4は、ATM100における認証及び取引の手順を示すフローチャートである。利用者は、認証用DB210に登録しておいた既設定取引情報を利用して、ATM100への入力を省略したいときは、その既設定取引情報に関連した組合せ生体情報を図3のように指静脈読取装置30と指紋読取装置40から入力する。取引内容を全て直接指定するときには、図3のタッチパネル20で、まず取引種類を選択する。
【0027】
制御部50は、指静脈情報と指紋情報が入力されたら、即ち、指静脈読取装置30と、指紋読取装置40により、指静脈情報と指紋情報がメモリに保存されたら(ステップS10:YES)、キャッシュカードの挿入を促す(ステップS20)。そこで、利用者は、キャッシュカードをカード取扱装置90に挿入する。カード取扱装置90は、挿入されたキャッシュカードのカード番号を読み取り、制御部50に送る。制御部50は、受け取ったカード番号をATM管理サーバ200に送信する。ATM管理サーバ200は、カード番号を受信すると、認証用DB210から、そのカード番号に該当するレコードを検索し、該当したレコードをカード番号一致レコードとしてATM100に送信する。例えば、挿入されたキャッシュカードのカード番号が「○○○」であった場合は、図2の認証用DB210において、カード番号一致レコードは、識別番号が0000111〜0000115のレコードである。
【0028】
ATM100の制御部50は、カード番号一致レコードを受信する(ステップS30)。カード番号一致レコードを受信すると、制御部50の認証部51は、認証処理を行なう(ステップS40)。
【0029】
図5は、認証処理を示すフローチャートである。認証部51は、まず、入力されてメモリに保存されている指静脈情報と一致する指静脈情報のレコードが、カード番号一致レコード内に存在するか否か照合し、一致するレコードが存在した場合は(ステップS41:YES)、そのレコードを指静脈一致レコードとして記憶する(ステップS42)。そして、次に、入力されてメモリに保存されている指紋情報と一致する指紋情報のレコードが、カード番号一致レコード内に存在するか否か照合し、一致するレコードが存在した場合は(ステップS43:YES)、そのレコードを指紋一致レコードとして記憶する(ステップS44)。そして、入力された指静脈情報と指紋情報が、共にキャッシュカードの正当な利用者のものとして予め登録されているので、指静脈情報と指紋情報を入力した利用者が、キャッシュカードの正当な利用者であるものと認証する(ステップS45)。それ以外の場合は(ステップS41:NO、ステップS43:NO)、生体情報を入力した利用者が、キャッシュカードの正当な利用者であるものと認めない(ステップS46)。ところで、指静脈情報が一致するとは、2つの指静脈情報が所定値以上の割合で一致する場合も含む。指紋情報についても同様である。
【0030】
なお、ここでは、入力された指静脈情報と指紋情報が、共にカード番号一致レコード内(図2の例では、識別番号が0000111〜0000115のレコード内)に登録されていれば、指静脈情報と指紋情報を入力した利用者が、キャッシュカード(図2の例では、カード番号が「○○○」)の正当な利用者であるものと認証した。しかし、入力された指静脈情報と指紋情報が、同一レコードに、組合せ生体情報として登録されている場合のみ、キャッシュカードの正当な利用者であるものと認証するものとしても良い。具体的には、ステップS43において、入力されてメモリに保存されている指紋情報と、指静脈一致レコードの指紋情報が一致すれば認証し、それ以外の場合は認証しないものとしても良い。
【0031】
図4に戻る。認証処理により、認証された時は(ステップS50:YES)、取引内容決定部53は、取引内容決定処理を実行する(ステップS60)。
【0032】
図6は、取引内容決定処理を示すフローチャートである。取引内容決定部53は、指静脈一致レコードと指紋一致レコードが同一レコードである場合は(ステップS61:YES)、そのレコードの取引内容を取得する(ステップS62)。そして、取引内容中で手動入力となっている箇所があれば(ステップS63:YES)、液晶ディスプレイ10やタッチパネル20を制御して、利用者から補足情報を取得する(ステップS64)。例えば、図2の識別番号0000112のレコードの補足情報は、金額であるから金額を取得する。また、識別番号0000115のレコードの補足情報は、取引種類であるから取引種類を取得する。なお、取得した取引種類が振込みや引出しの場合は、更に金額などの補足情報が必要であるから、更に補足情報を取得する。そして、取引内容決定部53は、既設定取引情報と補足情報を併せて取引内容とする(ステップS65)。また、取引内容決定部53は、レコードで手動入力となっている箇所がなければ(ステップS63:NO)、レコードの既設定取引情報をそのまま取引内容とする(ステップS66)。図2の識別番号0000111のレコードの場合に相当する。取引内容決定部53は、指静脈一致レコードと指紋一致レコードが同一レコードではない場合は(ステップS61:NO)、液晶ディスプレイ10やタッチパネル20を制御して、利用者から取引内容を取得する(ステップS67)。
【0033】
図4に戻る。一方、利用者が図3のタッチパネル20から、取引種類を入力した場合(ステップS10)、取引内容取得部52は、液晶ディスプレイ10やタッチパネル20を制御して、利用者から引き続き取引種類以外の取引内容を取得する(ステップS70)。この時、取引内容取得部52は、利用者へキャッシュカードの挿入も促す。カード取扱装置90は、挿入されたキャッシュカードのカード番号を読み取り、制御部50に送る。更に、取引内容取得部52は、利用者から暗証番号も取得する(ステップS80)。生体情報が入力されないので、暗証番号で利用者の認証を行なうためである。次に、取引内容取得部52は、利用者に、入力した取引内容の一部を既設定取引情報として認証用DB210に登録するか否か尋ねる。例えば、「次回からは、任意の指を指静脈読取装置と指紋読取装置に挿入すれば、この取引内容を自動的に実行する設定が可能です。設定しますか?」と尋ねる。利用者が、設定すると選択した場合は(ステップS90:YES)、取引内容取得部52は、取引内容のうち、どの箇所を既設定取引情報とするかの指定を利用者にさせる(ステップS100)。例えば、「取引内容のうち、任意の箇所を手動入力とすることができます。手動入力とする箇所を選択してください。」とメッセージを出し、選択画面を表示する。そして、既設定取引情報に関連させる生体情報の入力を促し、組合せ生体情報を取得する(ステップS110)。例えば、「挿入する指を2本選択して、指静脈読取装置と指紋読取装置の各々に挿入してください。」というメッセージを表示して、入力を促す。
【0034】
そして、制御部50は、取引内容とカード番号をATM管理サーバ200へ送信する(ステップS130)。暗証番号を取得した場合は、暗証番号も送信する。既設定取引情報を認証用DB210に登録する場合は、既設定取引情報と組合せ生体情報も送信する。
【0035】
図7は、取引内容とカード番号を受信したATM管理サーバ200の処理を示すフローチャートである。ATM管理サーバ200は、カード番号に相当する口座情報(口座残高、暗証番号など)を管理しており、受信した取引内容を実行可能か否か判断する(ステップS300)。例えば、口座残高が2万円であるのに3万円引出しという取引内容を受信すれば、実行不可能と判断する。また、暗証番号を受信した場合、受信した暗証番号と、口座情報の暗証番号が不一致であれば、実行不可能と判断する。実行不可能であれば(ステップS310:NO)、ATM100に取引結果をエラーと応答する(ステップS320)。実行可能であれば(ステップS310:YES)、口座情報を書き換える(ステップS330)。例えば、3万円引出しという取引内容であれば、口座残高から3万を引いて口座残高とする。そして、ATM100へ取引結果をOKと応答する(ステップS340)。更に、ATM管理サーバ200は、ATM100から既設定取引情報と組合せ生体情報を受信している場合は(ステップS350:YES)、受信したカード番号と、組合せ生体情報と、既設定取引情報を関連付けて認証用DB210に保存する(ステップS360)。既設定取引情報のみでは取引内容として不足している場合は、不足している項目を(手動入力)として保存する。
【0036】
図4に戻る。ATM管理サーバ200から取引結果を受信した制御部50は、取引結果がOKの場合は(ステップS130:YES)、取引結果の印字やカードの排出などの処理を行なう(ステップS140)。取引種類が引出しの場合は、金銭の排出も行なう。認証されない場合(ステップS50:NO)、取引結果がエラーの場合は(ステップS130:NO)、エラーメッセージの表示などのエラー処理をする(ステップS150)。
【0037】
以上のように、本実施例のATM100とATM管理サーバ200によれば、指静脈情報と指紋情報の組み合わせにより認証の正否を決定するので、複数種類の生体情報により認証を行なうことになり、認証結果の正確性を向上させることができる。また、本実施例では、認証のために読み取った指静脈情報と指紋情報を利用して取引内容を決定することができ、既設定取引情報を別個に取得する手間を省くことができる。既設定取引情報の入力操作を省略可能であるので、入力中に背後から既設定取引情報を盗み見られる心配も無く、既設定取引情報などの個人情報が流出することを防ぐことができる。
【0038】
その他の実施例:
(1)上記実施例では、血管パターンは指の血管パターンであるものとしたが、指に限らず、手のひらやその他の部位の血管パターンであっても良い。
【0039】
(2)上記実施例では、ステップS70で取得した取引内容の少なくとも一部を既設定取引情報として認証用DB210に登録可能としているが、ステップS66で取得した取引内容の少なくとも一部も、既設定取引情報として認証用DB210に登録可能としても良い。
【0040】
(3)上記実施例では、ATM100において、組合せ生体情報や既設定取引情報を認証用DB210に登録するものとしたが、インターネットを利用して組合せ生体情報や既設定取引情報を認証用DB210に登録できるようにしても良い。あるいは、セキュリティを重視して、銀行などの窓口においてのみ組合せ生体情報や既設定取引情報の登録を可能とする構成としても良い。
【0041】
(4)上記実施例では、組合せ生体情報と取引内容を関連付けて認証用DB210に保存するものとしたが、取引内容が登録されている必要はない。例えば、図2の識別番号0000115のレコードは、実質的な取引内容は登録されていない。その場合、入力された指静脈情報や指紋情報は、認証にのみ利用され、全ての取引内容を利用者から取得する。
【0042】
(5)上記実施例の取引内容には、出金口座の口座番号や、入金口座の口座番号、カード番号、通帳番号などの情報を含めるものとしても良い。
【0043】
(6)上記実施例では、個人情報としてカード番号を使用しているが、カード番号に限らず、通帳の口座番号を用いるものとしても良いし、暗証番号を用いるものとしても良い。個人情報は生年月日などでも良い。しかし、個人情報は、他人に使用されないよう個人が管理する、生体情報以外の情報であることが望ましい。そのようにすれば、認証の正確性が更に向上する。また、このような個人情報の入力は省略しても良い。その場合、入力された指静脈情報と指紋情報で認証用DB210を検索し、入力された指静脈情報と指紋情報が、組合せ生体情報として同一レコードに登録されているか否かにより認証を行なうものとしても良い。
【0044】
(7)上記実施例では、ATM管理サーバ200に認証用DB210を保存し、ATM管理サーバ200とATM100で認証装置として機能しているが、認証用DB210をATM100に保存すれば、ATM100単体で認証装置として機能することができる。
【0045】
(8)上記実施例では、認証装置として自動取引も可能なATM100を挙げているが、認証装置はATM100に限らず、自動取引を可能とする装置である必要もない。例えば、認証装置は、セキュリティを重視する空間の入口に備えられる装置であって、空間への出入りを許可された者の指静脈情報と指紋情報の組み合わせを記憶しており、空間に入ろうとする者の認証を、読み取った指静脈情報と指紋情報に基づいて実行するものであっても良い。その場合、個人情報として、セキュリティカードや暗証番号の入力を促すことで、更に認証の正確性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の認証装置の一形態であるATM100及びATM管理サーバ200を示す説明図。
【図2】認証用DB210を示す説明図である。
【図3】タッチパネル20と指静脈読取装置30と指紋読取装置40の配置を示す説明図。
【図4】ATM100における認証及び取引の手順を示すフローチャート。
【図5】認証処理を示すフローチャート。
【図6】取引内容決定処理を示すフローチャート。
【図7】取引内容とカード番号を受信したATM管理サーバ200の処理を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0047】
10...液晶ディスプレイ
20...タッチパネル
30...指静脈読取装置
31...CPU
40...指紋読取装置
41...CPU
50...制御部
51...認証部
52...取引内容取得部
53...取引内容決定部
60...紙幣取扱装置
70...硬貨取扱装置
80...通帳取扱装置
90...カード取扱装置
95...現金保管庫
100...ATM
200...ATM管理サーバ
210...認証用DB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証装置であって、
血管パターンを読み取る血管パターン読取装置と、
指紋を読み取る指紋読取装置と、
前記血管パターンと前記指紋の適正な組み合わせを記憶する記憶部と、
読み取られた前記血管パターンと前記指紋の組み合わせが、前記記憶部に記憶されている適正な組み合わせと一致するか否かにより、認証の正否を決定する認証部と、
を備えた認証装置。
【請求項2】
請求項1記載の認証装置であって、更に、
個人情報を入力するための個人情報入力装置を備え、
前記記憶部は、前記血管パターンと前記指紋の適正な組み合わせと、前記個人情報とを関連付けて記憶しており、
前記認証部は、入力された前記個人情報と、読み取られた前記血管パターンと前記指紋の組み合わせが、前記記憶部において関連付けられているか否かにより、認証の正否を決定する、
認証装置。
【請求項3】
請求項1記載の認証装置であって、
前記認証装置は、更に、自動取引を可能とする装置であって、
前記記憶部は、前記血管パターンと前記指紋の適正な組み合わせと、取引内容の少なくとも一部を示す取引情報とを関連付けて記憶しており、
前記認証装置は、更に、読み取られた前記血管パターンと前記指紋の組み合わせに関連付けられた前記取引情報に基づいて取引内容を決定する取引内容決定部を備えた、
認証装置。
【請求項4】
請求項3記載の認証装置であって、更に、
取引内容の少なくとも一部を示す補足情報を入力するための補足情報入力装置を備え、
前記取引内容決定部は、前記取引情報と前記補足情報に基づいて取引内容を決定する、
認証装置。
【請求項5】
認証方法であって、
血管パターンと指紋の適正な組み合わせを予め設定する設定工程と、
血管パターンを読み取る血管パターン読取工程と、
指紋を読み取る指紋読取工程と、
読み取られた前記血管パターンと前記指紋の組み合わせが、適正な組み合わせと一致するか否かにより、認証の正否を決定する認証工程と、
を備えた認証方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−155252(P2006−155252A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−345191(P2004−345191)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】