説明

誘導加熱炊飯器

【課題】本発明は、誘導加熱炊飯器における入力電源の状態を高精度に検出できる回路構成を提供するとともに、小型、軽量、低コスト化を実現することを目的とする。
【解決手段】誘導加熱炊飯器は、電流検知部(26)が全波整流平滑回路(2)における整流後の低電位側ラインに接続された抵抗体(22)を有し、低電位側ラインに流れる電流を検出し、制御部(13)が電流検知部の出力信号に基づいて駆動部(11)を駆動制御するよう構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱コイルを用いて被加熱物を誘導加熱する誘導加熱炊飯器に関し、特に、加熱コイルの出力を高精度に制御して被加熱物を所望の状態で加熱調理する誘導加熱炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の誘導加熱炊飯器においては、複数の加熱コイルを鍋の周りに設けて、各加熱コイルの加熱温度および加熱時間、並びに加熱スケジュールなどを制御する構成が提供されている。このような制御を行うためには、商用電源からの入力電力を検知して、その検知された入力電力に基づき、使用者が設定した条件に対応すべく適切な加熱調理を行うよう構成する必要がある。
従来の誘導加熱炊飯器においては、商用電源から整流回路に入力される交流電流を検知する入力電流検出手段としてCTが用いられており、このCTにより検出された交流信号が整流回路、電解コンデンサ、抵抗などで構成された整流平滑回路で直流信号に変換されている。このように変換された直流信号は、商用電源からの入力電流を示す信号として加熱コイルを駆動するインバータ回路の駆動制御に用いられている(例えば、特許文献1,2および3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4023438号公報
【特許文献2】特許第4023439号公報
【特許文献3】特許第4613736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、従来の誘導加熱炊飯器においては、商用電源からの入力電流を示す検知信号に基づいて加熱制御を行っているため、入力電流を高精度に検出することは重要な課題である。
また、従来の誘導加熱炊飯器においては、商用電源からの交流電流が整流回路に入力される前段階においてCTを用いて検出され、CTからの交流信号が整流回路、電解コンデンサ、抵抗などで構成された整流平滑回路で直流信号に変換される構成であった。このように検出されて変換された直流信号の出力電圧は、商用電源からの入力電流との間で直線的な比例関係を有しておらず、入力電流が大きくなるにしたがい、出力電圧の上昇率が徐々に小さくなる曲線的な関係を有している。この原因は電流が流れるほどカレントトランスの出力が飽和していくためである。このため、検出された出力電圧に基づいて加熱コイルの加熱制御を行うためには、検出された出力電圧を較正して用いる必要があった。
【0005】
さらに、従来の誘導加熱炊飯器においては、CTを入力電流検出手段の検出器として用いているため、回路構成が大きくなり、且つ重量物を有する構成となっていた。したがって、入力電流検出手段としてCTを用いることは、近年の小型、軽量、且つ低コスト化においては好ましい構成物とは言えるものではなかった。
また、電流検知手段の出力値の精度を良くするために、可変抵抗器などを用いて検知後において調整する必要があった。
【0006】
そこで、本発明は、誘導加熱炊飯器における入力電源の状態を高精度に検出できる回路構成を提供するとともに、小型、軽量、低コスト化を実現することが可能な構成を持つ誘導加熱炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る第1の態様の誘導加熱炊飯器は、
交流電力を出力する交流電源、
前記交流電源の交流電力を整流する整流回路と、コイルとコンデンサを有するローパスフィルタ回路とを有し、低電位側ラインと高電位側ラインとを持つ駆動電源、
前記交流電源の交流電力を整流し、平滑化して制御電源を形成する整流平滑回路、
前記駆動電源から電力供給されて、被加熱物を誘導加熱する加熱コイル、
前記加熱コイルに対する前記駆動電源からの電力を制御するインバータ回路、
前記インバータ回路を駆動制御する駆動部、
前記駆動電源における低電位側ラインに接続された抵抗体を有して、前記低電位側ラインに流れる電流を検出する電流検知部、および
前記電流検知部の出力信号に基づいて前記駆動部を駆動制御する制御部、を備える誘導加熱炊飯器であって、
前記整流平滑回路を前記低電位側ラインに接続して、前記電流検知部により検出される電流値が、前記駆動電源から前記加熱コイルと前記インバータ回路に供給される電流値を示すよう構成されている。このように構成された第1の態様の誘導加熱炊飯器は、入力電源の状態を高精度に検出できる回路構成を提供することができ、小型、軽量、低コスト化を実現することが可能となる。
【0008】
本発明に係る第2の態様の誘導加熱炊飯器は、前記の第1の態様における前記電流検知部および前記整流平滑回路において、制御電源を形成する少なくとも一部の回路が第1の基板上に実装されて調整され、前記第1の基板はモジュール化されてインバータ回路部品を有する第2の基板上に実装されている。このように構成された第2の態様の誘導加熱炊飯器は、小型、軽量、低コスト化を実現することが可能となる。
【0009】
本発明に係る第3の態様の誘導加熱炊飯器は、前記の第1の態様における前記電流検知部が、前記低電位側ラインに接続された前記抵抗体と、当該抵抗体の両端電圧に基づく検出電流を増幅する増幅器と、を有して構成されている。このように構成された第3の態様の誘導加熱炊飯器は、入力電源の状態を高精度に検出できる回路構成を提供することができる。
【0010】
本発明に係る第4の態様の誘導加熱炊飯器は、前記の第1の態様における前記制御部は、前記電流検知部からの電流検知信号に基づいて、前記インバータ回路におけるオフ状態時の電流検知信号を基準信号として、当該誘導加熱炊飯器の入力電流を相対値として検知するよう構成されている。このように構成された第4の態様の誘導加熱炊飯器は、オフセット調整が不要な構成において、入力電源の状態を高精度に検出できる回路構成を提供することができる。
【0011】
本発明に係る第5の態様の誘導加熱炊飯器は、前記の第2の態様における前記整流平滑回路からの出力が入力されて、第1の制御電源を形成する第1の直流電源回路と、前記第1の直流電源回路からの出力が入力されて第2の制御電源を形成する第2の直流電源回路と、を備え
前記第2の制御電源は前記第1の制御電源より低い電圧を有し、前記第2の直流電源回路が前記電流検知部と一体化されて調整され、モジュール化されて構成されている。このように構成された第5の態様の誘導加熱炊飯器は、入力電源の状態を高精度に検出できる回路構成を提供することができ、小型、軽量、低コスト化を実現することが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、誘導加熱炊飯器における入力電源の状態を高精度に検出して、加熱コイルに対する駆動制御を適切に行うことができるとともに、小型、軽量、低コスト化を実現した誘導加熱炊飯器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る実施の形態1の誘導加熱炊飯器の回路構成を一部ブロック化して示す回路図
【図2】本発明に係る実施の形態2の誘導加熱炊飯器の回路構成を一部ブロック化して示す回路図
【図3】本発明に係る実施の形態3の誘導加熱炊飯器の回路構成を一部ブロック化して示す回路図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る好適な実施の形態として、誘導加熱炊飯器を用いて説明するが、本発明は以下の実施の形態に具体的に記載した誘導加熱炊飯器の構成に限定されるものではなく、実施の形態において説明する技術的思想と同様の技術的思想及び当技術分野における技術常識に基づいて構成される誘導加熱調理器または誘導加熱装置に適用されるものである。
【0015】
《実施の形態1》
図1は、本発明に係る実施の形態1の誘導加熱炊飯器の回路構成を示す回路図であり、一部ブロック化して示している。
図1に示す誘導加熱炊飯器において、鍋20を収納する収納部には、鍋20の底面などに対向する面に近接して加熱コイル7が設けられている。誘導加熱炊飯器内部に収納された鍋20は、高周波電力が供給されて励起された加熱コイル7と磁気的に結合して誘導加熱されるよう構成されている。
【0016】
加熱コイル7に高周波電力を供給するためのインバータ回路10は、共振用コンデンサ8およびスイッチング部9を有して構成されている。共振用コンデンサ8は、加熱コイル7に並列接続されており、加熱コイル7とともに共振回路を構成している。実施の形態1における共振用コンデンサ8は、高周波電流が流れても損失の少ないポリプロピレンコンデンサを用いている。スイッチング部9は、高周波のスイッチング動作を行うことができるMOSFETやIGBTなどの半導体素子と、この半導体素子に逆並列に接続した逆接続ダイオードとにより構成されている。半導体素子として用いるMOSFETやIGBTは、高耐圧を有しており、ゲート端子に所定電圧を印加することにより大電流を流すことができ、パワートランジスタに比べて省電力で大きな電流を流すことができるという特性を有する。
【0017】
商用電源である交流電源1は、ダイオードブリッジである整流回路2に接続されており、整流回路2に交流電力を供給している。駆動電源25は、交流電源1からの交流電流を全波整流して、インバータ回路10を介して加熱コイル7に電力を供給するものである。駆動電源25は、整流回路2とローパスフィルタ回路とにより構成されており、ローパスフィルタ回路は、チョークコイル3とコンデンサ4を備えて構成されている。
【0018】
交流電源1から駆動電源25に交流電力が供給されるラインには零電圧同期信号出力回路14が設けられている。零電圧同期信号出力回路14は、交流電源1から供給される交流電力の零電圧を検知して、検知した零電圧に応じたパルス信号を出力する。零電圧同期信号出力回路14は、ダイオードブリッジである整流回路2に入力される交流電圧を分圧して、トランジスタのベース端子に入力するよう構成されており、入力電圧が零電圧を通過するときトランジスタがオンオフするよう構成されている。
【0019】
また、交流電源1から駆動電源25に交流電力が供給されるラインには制御用整流平滑回路6が設けられている。制御用整流平滑回路6は、交流電源1の交流電力を、半波整流して、直流電力に変換し、第1の出力電圧を有する第1の信号を出力する第1の直流電源回路21に供給している。さらに、第1の直流電源回路21から出力された第1の出力電圧(例えば、20V)を有する第1の信号は、第2の直流電源回路24に入力され、第2の出力電圧(例えば、5V)を有する第2の信号が出力される。第1の直流電源回路21から出力された第1の信号は、マイクロコンピュータで構成された制御部(後述)13などに電力を供給する電源信号となる。第2の直流電源回路24から出力された第2の信号は、インバータ回路10を駆動制御するための駆動部(後述)11などに電力を供給する電源信号となる。
【0020】
インバータ回路10におけるスイッチング部9のスイッチング素子のゲート端子には駆動部11からの駆動信号が入力されて、スイッチング素子のオンオフ動作が駆動されている。駆動部11は、NPNトランジスタとPNPトランジスタを有しており、プッシュプル回路で構成されている。駆動部11は、制御部13からの制御信号により制御されている。
【0021】
また、加熱コイル7の両端に接続されたトリガー信号発生回路12は、コンパレータなどで構成されており、一方の端子を所定に比率で抵抗分圧して形成された第1の電圧と、他方の端子を所定の比率で抵抗分圧して形成された第2の電圧と、を比較し、その比較結果に応じたトリガー信号を制御部13に出力する。
【0022】
制御部13は、マイクロコンピュータにより構成されており、電流設定部15,オン時間設定部16およびパルス発生部17を有して構成されている。制御部13は操作部18からの指令に基づいて駆動制御されており、操作部18からの指令内容や制御部13からの制御内容などが表示部19において表示されるよう構成されている。
【0023】
制御部13における電流設定部15は、交流電源1から供給される入力電流の目標値を設定するものであり、マイクロコンピュータにおけるROMなどにより構成されている。実施の形態1においては、複数の目標値が設定されており、例えば通常の米を炊飯する時の第1の電流設定値、無洗米を炊飯するときの第2の電流設定値、保温時の第3の電流設定値などがROMにおいて8ビットのデータとして記憶されている。
【0024】
制御部13におけるオン時間設定部16は、入力電流に応じてスイッチング部10のスイッチング素子のオン時間を設定するものである。オン時間設定部16は、コンパレータ、抵抗、コンデンサなどで構成されており、パルス発生部17にスイッチング素子のオン時間に対応する信号を出力する。
【0025】
制御部13におけるパルス発生部17は、鋸歯状波形発生回路および比較回路などを有して構成されている。鋸歯状波形発生回路はコンパレータとコンデンサを用いた充電回路で構成されており、トリガー信号発生回路12からのトリガー信号に基づいて、鋸歯状波形を形成している。比較回路は、コンパレータなどで構成されており、鋸歯状波形発生回路の出力電圧と、オン時間設定部16の出力電圧を比較して、駆動部11を駆動制御する制御信号を形成する。駆動部11は、パルス発生部17からの制御信号が入力され、制御信号がハイのとき、スイッチング部9を構成する、例えばIGBTをオン状態とする。
【0026】
実施の形態1の誘導加熱炊飯器において、入力電流は整流回路2の後段に接続された電流検知部26により検知されるよう構成されている。電流検知部26は抵抗体、いわゆるシャント抵抗である電流検知抵抗22と、増幅器23とにより構成されている。電流検知抵抗22は整流回路2からの出力における低電位側ラインに含まれるよう接続されており、電流検知抵抗22に流れる電流に比例した電圧が電流検知抵抗22の両端電圧として検出される。電流検知部26においては、電流検知抵抗22の両端電圧を増幅器23が所定の比率に増幅して、電流検知信号として制御部13のオン時間設定部16に入力される。オン時間設定部16においては、入力された電流検知信号が示す入力電流に応じてスイッチング部9のスイッチング素子のオン時間を設定する。
【0027】
実施の形態1の誘導加熱炊飯器において、第1の出力電圧と第2の出力電圧を形成するための制御用整流平滑回路6は、抵抗、整流回路、電解コンデンサにより構成された半波整流平滑回路である。この半波整流平滑回路により直流信号が形成されている。実施の形態1の構成においては、図1に示すように、制御用整流平滑回路6における電解コンデンサの接地側が駆動電源25の二次側(出力側)端子の低電位側ラインに接続されている。更に加えるならば、電流検知抵抗22の低電位側に接続されている。このように、駆動電源25の二次側(出力側)端子の低電位側ラインが接地されているため、低電位側ラインに接続された電流検知部26においては、加熱コイル7に流れる電流のみを検出することができ、制御用整流平滑回路6に流れる電流を除外できる構成となる。
【0028】
実施の形態1の誘導加熱炊飯器において、制御部13は、電流検知部から入力された電流検知信号に基づいて、インバータ回路10のオフ状態時における電流検知信号を基準信号(電圧信号)として、当該誘導加熱炊飯器の入力電流を相対値として検知するよう構成することができる。このように構成することにより、オフセット調整が不要な構成となる。
【0029】
また、実施の形態1の誘導加熱炊飯器においては、電流検知抵抗22と増幅器23で構成された電流検知部26、および第2の直流電源回路24がモジュール化されて一体化されており、1つのデバイス(図1において符号5にて示す)により構成されている。このように、実施の形態1の構成においては、電流検知部26および第2の直流電源回路24がモジュール化されて1つのデバイスに組み込まれている。このため、電流検知部26および第2の直流電源回路24の機能を有するデバイスにおいては、トリミング処理により仕様、特性が標準化されて一定化されている。すなわち、電流検知部26および第2の直流電源回路24がモジュール化されたデバイスは、高精度に統一化された同一特性を示すデバイスとなっている。したがって、実施の形態1の誘導加熱炊飯器においては、ばらつきのない高精度の入力電流検出が可能となるとともに、制御用整流平滑回路6において、第2の直流電源回路24から出力された安定した電源により駆動部11および制御部13などおいて精度の高い駆動信号を形成することができる。
【0030】
《実施の形態2》
以下、本発明に係る実施の形態2の誘導加熱炊飯器について添付の図2を用いて説明する。図2は、本発明に係る実施の形態2の誘導加熱炊飯器の回路構成を示す回路図であり、一部ブロック化して示している。
【0031】
実施の形態2の誘導加熱炊飯器において、前述の実施の形態1の構成との違いは、モジュール化されたデバイスに含まれる構成範囲である。実施の形態2の誘導加熱炊飯器におけるその他の構成は、実施の形態1と同じである。したがって、実施の形態2において、実施の形態1と同じ機能、動作を有するものには同じ符号を付して、それらの説明は実施の形態1における説明を援用する。
実施の形態2の誘導加熱炊飯器において、前述の実施の形態1の誘導加熱炊飯器と同様に、加熱コイル7に高周波電力を供給するためのインバータ回路10は、共振用コンデンサ8およびスイッチング部9を有して構成されている。共振用コンデンサ8は、加熱コイル7に並列接続されており、加熱コイル7とともに共振回路を構成している。スイッチング部9は、高周波のスイッチング動作を行うことができるMOSFETやIGBTなどの半導体素子と、この半導体素子に逆並列に接続した逆接続ダイオードとにより構成されている。インバータ回路10におけるスイッチング部9は、駆動部11からの駆動信号により駆動制御されている。
【0032】
また、実施の形態2の誘導加熱炊飯器において、当該誘導加熱炊飯器に交流電力を供給する交流電源1は、駆動電源25に接続されており、駆動電源25は、交流電源1からの交流電流を全波整流して、インバータ回路10を介して加熱コイル7に電力を供給している。交流電源1から駆動電源25に交流電力が供給されるラインには零電圧同期信号出力回路14が設けられている。また、交流電源1から駆動電源25に交流電力が供給されるラインには制御用整流平滑回路6が設けられている。制御用整流平滑回路6は、交流電源1の交流電力を、半波整流して、直流電力に変換し、第1の出力電圧を有する第1の信号を出力する第1の直流電源回路21に供給している。さらに、第1の直流電源回路21から出力された第1の出力電圧(例えば、20V)を有する第1の信号は、第2の直流電源回路24が入力され、第2の出力電圧(例えば、5V)を有する第2の信号が出力される。第1の直流電源回路21から出力された第1の信号は、例えば、マイクロコンピュータで構成された制御部13などに電力を供給する電源信号となる。第2の直流電源回路24から出力された第2の信号は、例えば、インバータ回路10を駆動制御するための駆動部11などに電力を供給する電源信号となる。
【0033】
また、実施の形態2の誘導加熱炊飯器においては、実施の形態1の誘導加熱炊飯器と同様に、トリガー信号発生回路12、制御部13、操作部18、および表示部19が設けられている。
【0034】
実施の形態2の誘導加熱炊飯器において、入力電流は整流回路2の後段に接続された電流検知部26により検知されており、電流検知部26は電流検知抵抗22および増幅器23により構成されている。電流検知抵抗22は整流回路2からの出力における低電位側ラインに含まれるよう接続されており、電流検知抵抗22の両端電圧が検出される。電流検知部26においては、電流検知抵抗22の両端電圧が増幅されて、電流検知信号として制御部13のオン時間設定部16に入力されている。
【0035】
実施の形態2の誘導加熱炊飯器において、第1の出力電圧と第2の出力電圧を形成するための制御用整流平滑回路6は、抵抗、整流回路、電解コンデンサにより構成された半波整流平滑回路であり、直流信号が形成される。実施の形態2の構成において、図2に示すように、制御用整流平滑回路6における電解コンデンサの接地側が駆動電源25の二次側(出力側)端子の低電位側ラインに接続されている。このように、駆動電源25の二次側(出力側)端子の低電位側ラインが接地されているため、低電位側ラインに接続された電流検知部26においては、加熱コイル7に流れる電流のみを検出することができ、制御用整流平滑回路6に流れる電流を除外する構成となる。
【0036】
実施の形態2の誘導加熱炊飯器においては、電流検知抵抗22と増幅器23で構成された電流検知部26、第1の直流電源回路21および第2の直流電源回路24がモジュール化されて一体化され、1つのデバイス(図2において符号5Aにて示す)により構成されている。このように、実施の形態2の構成においては、電流検知部26、第1の直流電源回路21および第2の直流電源回路24がモジュール化されて1つのデバイスに組み込まれている。このため、電流検知部26、第1の直流電源回路21および第2の直流電源回路24の機能を有するデバイスにおいては、トリミング処理により仕様、特性が標準化されて一定化されている。すなわち、電流検知部26、第1の直流電源回路21および第2の直流電源回路24がモジュール化されたデバイスは、高精度に統一化された同一特性を示すデバイスとなっている。したがって、実施の形態2の誘導加熱炊飯器においては、ばらつきのない高精度の入力電流検出が可能となるとともに、制御用整流平滑回路6において形成された直流電源が第1の直流電源回路21に供給され、そして第2の直流電源回路24に供給されるため、安定した各電源により精度の高い制御信号および駆動信号を形成することができる。
【0037】
《実施の形態3》
以下、本発明に係る実施の形態3の誘導加熱炊飯器について添付の図3を用いて説明する。図3は、本発明に係る実施の形態3の誘導加熱炊飯器の回路構成を示す回路図であり、一部ブロック化して示している。
【0038】
実施の形態3の誘導加熱炊飯器において、前述の実施の形態1の構成との違いは、加熱コイルが複数設けられており、それぞれの加熱コイルを駆動制御するための駆動回路が個別に設けられており、それぞれの駆動回路が切り替えられるよう構成されている点である。実施の形態3の誘導加熱炊飯器におけるその他の構成は、実施の形態1と同じである。したがって、実施の形態3において、実施の形態1と同じ機能、動作を有するものには同じ符号を付して、それらの説明は実施の形態1における説明を援用する。
【0039】
実施の形態3の誘導加熱炊飯器においては、被加熱物である蓋28を誘導加熱するための第1の加熱コイル7Aと、同様に被加熱物である鍋20を誘導加熱するための第2の加熱コイル7Bとを有している。第1の加熱コイル7Aには第1のインバータ回路10Aにより高周波電力が供給されるよう構成されており、第2の加熱コイル7Bには第2のインバータ回路10Bにより高周波電力が供給されるよう構成されている。各インバータ回路10A,10Bは、共振用コンデンサ8A,8Bおよびスイッチング部9A,9Bをそれぞれ有して構成されている。第1の共振用コンデンサ8Aは、第1の加熱コイル7Aに並列接続されており、第1の加熱コイル7Aとともに共振回路を構成している。同様に、第2の共振用コンデンサ8Bは、第2の加熱コイル7Bに並列接続されており、第2の加熱コイル7Bとともに共振回路を構成している。各スイッチング部9A,9Bは、高周波のスイッチング動作を行うことができるMOSFETやIGBTなどの半導体素子と、この半導体素子に逆並列に接続した逆接続ダイオードとによりそれぞれ構成されている。
【0040】
実施の形態3の誘導加熱炊飯器において、第1のインバータ回路10Aにおけるスイッチング部9Aは、第1の駆動部11Aからの駆動信号により駆動されている。また、第2のインバータ回路10Bにおけるスイッチング部9Bは、第1の駆動部11Bからの駆動信号により駆動されている。第1の駆動部11Aおよび第2の駆動部11Bは制御部13からの切替信号が入力される切替回路27により駆動状態が切り替えられるよう構成されている。
【0041】
実施の形態3の誘導加熱炊飯器において、入力電流は整流回路2の後段に接続された電流検知部26により検知されており、電流検知部26は電流検知抵抗22および増幅器23により構成されている。電流検知抵抗22は整流回路2からの出力における低電位側ラインに含まれるよう接続されており、電流検知抵抗22の両端電圧が検出される。電流検知部26においては、電流検知抵抗22の両端電圧が増幅されて、電流検知信号として制御部13のオン時間設定部16に入力されている。
【0042】
実施の形態3の誘導加熱炊飯器においては、電流検知抵抗22と増幅器23で構成された電流検知部26がモジュール化されて一体化され、1つのデバイスにより構成されている。このように、実施の形態3の構成においては、電流検知部26がモジュール化されて1つのデバイスに組み込まれている。このため、電流検知部26においては、トリミング処理により仕様、特性が標準化されて一定化されている。したがって、実施の形態3の誘導加熱炊飯器においては、ばらつきのない高精度の入力電流検出が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、加熱コイルを用いて被加熱物を誘導加熱する誘導加熱炊飯器において高精度に入力電流を検知することができる構成であるため、信頼性の高い誘導加熱炊飯器を提供することができ、汎用性の高いものである。
【符号の説明】
【0044】
1 交流電源
2 整流回路
3 チョークコイル
4 平滑用コンデンサ
5 モジュール化されたデバイス
6 制御用整流平滑回路
7,7A,7B 加熱コイル
8,8A,8B 共振用コンデンサ
9,9A,9B スイッチング部
10,10A,10B インバータ回路
11,11A,11B 駆動部
12 トリガー信号発生回路
13 制御部
14 零電圧同期信号出力回路
15 電流設定部
16 オン時間設定部
17 パルス発生部
18 操作部
19 表示部
20 鍋
21 第1の直流電源回路
22 電流検知抵抗
23 増幅器
24 第2の直流電源回路
25 駆動電源
26 電流検知部
27 切替回路
28 蓋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電力を出力する交流電源、
前記交流電源の交流電力を整流する整流回路と、コイルとコンデンサを有するローパスフィルタ回路とを有し、低電位側ラインと高電位側ラインとを持つ駆動電源、
前記交流電源の交流電力を整流し、平滑化して制御電源を形成する整流平滑回路、
前記駆動電源から電力供給されて、被加熱物を誘導加熱する加熱コイル、
前記加熱コイルに対する前記駆動電源からの電力を制御するインバータ回路、
前記インバータ回路を駆動制御する駆動部、
前記駆動電源における低電位側ラインに接続された抵抗体を有して、前記低電位側ラインに流れる電流を検出する電流検知部、および
前記電流検知部の出力信号に基づいて前記駆動部を駆動制御する制御部、を備える誘導加熱炊飯器であって、
前記整流平滑回路を前記低電位側ラインに接続して、前記電流検知部により検出される電流値が、前記駆動電源から前記加熱コイルと前記インバータ回路に供給される電流値を示すよう構成された誘導加熱炊飯器。
【請求項2】
前記電流検知部および前記整流平滑回路において、制御電源を形成する少なくとも一部の回路が第1の基板上に実装されて調整され、前記第1の基板はモジュール化されてインバータ回路部品を有する第2の基板上に実装されて構成されている請求項1に記載の誘導加熱炊飯器。
【請求項3】
前記電流検知部が、前記低電位側ラインに接続された前記抵抗体と、当該抵抗体の両端電圧に基づく検出電流を増幅する増幅器と、を有して構成された請求項1に記載の誘導加熱炊飯器。
【請求項4】
前記制御部は、前記電流検知部からの電流検知信号に基づいて、前記インバータ回路におけるオフ状態時の電流検知信号を基準信号として、当該誘導加熱炊飯器の入力電流を相対値として検知するよう構成された請求項1に記載の誘導加熱炊飯器。
【請求項5】
前記整流平滑回路からの出力が入力されて、第1の制御電源を形成する第1の直流電源回路と、前記第1の直流電源回路からの出力が入力されて第2の制御電源を形成する第2の直流電源回路と、を備え
前記第2の制御電源は前記第1の制御電源より低い電圧を有し、前記第2の直流電源回路が前記電流検知部と一体化されて調整され、モジュール化されて構成されている請求項2に記載の誘導加熱炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−41675(P2013−41675A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176055(P2011−176055)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】