説明

調湿空調用吸着材、調湿空調装置及びその運転方法

【課題】 低温の排熱で効率よく作動させることのできる吸脱着式調湿空調装置を提供する。
【解決手段】 骨格構造にAl、P及びFeを含むゼオライトからなり、そのフレームワーク密度が16.0T/1,000Å3〜20.0T/1,000Å3であって、25℃で測定した水蒸気吸着等温線において相対蒸気圧が0.1〜0.25の範囲に、相対蒸気圧が0.1変化したときに水の吸着量変化が0.12g/g以上の領域を有するものを吸着材として用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の吸着材、それを用いた調湿空調装置及びその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
吸着ヒートポンプは補助動力を用いることなく、低質熱エネルギーを熱源として作動させうる最も優れた排熱回収再生法のひとつであり、環境共生型熱エネルギー利用システムへの導入有力候補とされている。この作動過程においては、吸着質、例えば水を吸着した吸着材を再生するために、吸着材を加熱して吸着質を脱着させ、乾燥した吸着材を吸着質の吸着に使用する温度まで冷却して再度吸着質の吸着に使用する。
【0003】
これまで、比較的高温(120℃以上)の排熱・温熱を、吸着材の再生熱源として利用する吸収式ヒートポンプが、熱電併給プラント(コジェネレーションシステム)の一部として導入されるといった形で既に実用化されている。しかし一般にコジェネレーション機器、燃料電池では最終的に排熱・温熱の温度が100℃以下、現実的には80℃以下と比較的低温であるため、現在実用化されている吸収式ヒートポンプの駆動熱源としては利用できない。またこの低温熱エネルギーはエネルギー密度が小さく、そのため回収利用がコスト高となるなどの点で現状ではほとんどが未利用のまま環境へ廃棄されているが、この廃棄される低温熱エネルギーの総熱量は全排熱の90%以上を占め、このことが総合的なエネルギー利用率向上を妨げていることから、100℃以下、更には60℃〜80℃の低温排熱の有効利用が求められていた。
一方、除湿空調装置、加湿空調装置等の調湿空調装置も、吸着ヒートポンプと同様、排熱回収再生法のひとつとして有望であるが、その駆動熱源として低温熱エネルギーを利用した例は知られていない。
【0004】
吸着ヒートポンプや調湿空調装置においては、それぞれ動作原理が同じでも利用可能な熱源温度によって吸着材に求められる吸着特性が異なる。例えば、高温側の熱源として用いられるガスエンジンコージェネレーションや固体高分子型燃料電池の排熱温度は60℃〜80℃である。これらの高温熱源を用いる際に使用する冷却側の熱源温度は、装置の設置可能な場所温度の制約によって決まる。例えば、工場や住宅などでは建物の外気温度となる。つまり、吸着ヒートポンプや調湿装置の操作温度範囲は、ビルなどに設置する場合には低温側が30℃〜35℃、高温側が60℃〜80℃程度である。また冷熱需要が増大する夏季には、外気温度の上昇が予想され、低温側の温度は上記以上となる可能性が高い。従って排熱を有効利用するためには、適用場の低温側熱源と高温側熱源の温度差が小さく、かつ低温側熱源が30℃以上、高温側熱源が80℃以下でも駆動できる装置が望まれている。
【0005】
これを可能とするためには、以下の吸着特性を有する材料が求められる。すなわち、(1)吸着時の相対蒸気圧と脱着時の相対蒸気圧の差が小さい範囲で吸着量差を持ち、また装置の小型化のためには、(2)上記(1)の範囲での吸着量差が大きく、さらに(3)高い相対圧で容易に脱着する吸着材である。
【0006】
吸着ヒートポンプ又は調湿空調装置に用いる吸着材として、各種の吸着材の使用が検討されているが、諸種の問題点があり、その解決が望まれている。
吸着ヒートポンプや調湿空調用吸着材として従来より検討されているY型ゼオライトは相対蒸気圧がほぼ0に近い値であっても吸着物質を吸着するので、吸着物質を脱着させるには、相対蒸気圧をほぼ0にするために150℃〜200℃以上の高温が必要となる。したがって、Y型ゼオライトは、上述した低温廃熱を利用した吸着ヒートポンプや調湿装置に用いることが難しいという問題がある。
【0007】
同様に検討されているA型シリカゲルは低い相対蒸気圧での吸着特性が充分でなく、また、界面活性剤のミセル構造を鋳型として合成したメソポーラスシリカ(FSM−10など)(特許文献1参照)は低い相対蒸気圧で吸着しないので、上述したコジェネレーション機器、燃料電池等の冷却水や太陽熱等により得られる熱を利用した吸着ヒートポンプや調湿空調装置を構成できないという問題がある。
【0008】
さらに、従来の吸着材の中でもメソポーラスシリカは、その吸着特性の改善の要求のみならず、その構造が壊れやすく、しかも工業的に製造しにくくコストがかさむという問題も指摘されていた。Y型ゼオライトやA型シリカゲルは低コストで壊れにくいが性能が不十分である。
【0009】
【特許文献1】特開平9−178292号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、吸着質を低温側熱源が30℃以上、高温側熱源が80℃以下でも駆動できる比較的低相対蒸気圧域で吸脱着しうる調湿空調装置用に適した吸着材、それを用いた効率の良い調湿空調装置およびその運転方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、調湿空調に適した吸着材を見いだした。
すなわち本発明の要旨は、吸着材を備えた吸脱着部を有しており、かつこの吸脱着部に高湿気体を流入させ、該気体中の水分を吸着させて除き、低湿気体を生成させる吸着工程と、該吸脱着部を装置外から導入した100℃以下の熱媒を用いて加熱して、吸着している水分を脱着させる脱着工程とを、定常的に反復させることのできる調湿空調装置用の吸着材であって、骨格構造にアルミニウムとリンと鉄とを含むゼオライトからなり、そのフレームワーク密度が16.0T/1,000Å3より大きく、20.0T/1,000Å3以下の範囲であり、25℃で測定した水蒸気吸着等温線において相対蒸気圧が0.1以上0.25以下の範囲で相対蒸気圧が0.1変化したときに水の吸着量変化が0.12g/g以上の領域を有しており、かつ骨格構造に含まれるアルミニウム、リンおよび鉄が下記式(7)、(8)および(9)を満足するものであることを特徴とする吸着材に存する。
【0012】
0.005≦x≦0.1 ・・・(7)
0.3≦y≦0.6 ・・・(8)
0.3≦z≦0.6 ・・・(9)
(式中、x,yおよびzは、それぞれ骨格構造に含まれるアルミニウム、リンおよび鉄の原子の合計に対するアルミニウム、リンおよび鉄の原子の割合を示す)
また、本発明の他の要旨は、この吸着材を用いた調湿空調装置に存する。本発明の更に他の要旨は、下記の特性を有する吸着材を備えた吸脱着部を有しており、かつこの吸脱着部に高湿気体を流入させ、該気体中の水分を吸着させて除き、低湿気体を生成させる吸着工程と、該吸着部から吸着している水分を脱着させて除去する脱着工程とを反復する調湿空調装置の運転方法であって、脱着工程における水分の脱着を、装置外から導入した100℃以下の高温側熱媒を用いて行うことを特徴とする方法に存する。
吸着材:骨格構造にアルミニウムとリンと鉄とを含むゼオライトからなり、そのフレー
ムワーク密度が16.0T/1,000Å3より大きく、20.0T/1,
000Å3以下の範囲であり、25℃で測定した水蒸気吸着等温線において相
対蒸気圧が0.1以上0.25以下の範囲に相対蒸気圧が0.1変化したとき に水の吸着量変化が0.12g/g以上の領域を有するゼオライト
【発明の効果】
【0013】
本発明の、相対蒸気圧0.10以上、0.25以下の範囲で大きな吸脱着量変化を示す吸着材を利用した調湿空調装置は、吸着材の吸脱着による水分吸着量の差が大きく、低温度で吸着材の再生(脱着)が可能になるため、従来に比べて低温の熱源を利用して、効率よく調湿空調装置を駆動することができる。すなわち、本発明の吸着材によれば、80℃以下の比較的低温の熱源で駆動する調湿空調装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
<調湿装置と吸着特性>
本発明において、調湿とは、空調空間の湿度を制御する技術であるので、除湿でも加湿でも良い。例えば、室内空調の場合には、高湿となる夏は除湿を目的とし、低湿となる冬は加湿を目的として用いることも可能である。また調湿空調装置は、除湿もしくは加湿機能を持つ装置であれば固定される物でも移動できる物でも良く、例えば建物に固定したデシカント空調装置や、室内に設置する小型の除湿器、加湿器等が含まれる。
調湿空調においては、その操作蒸気圧範囲は下記の脱着側相対蒸気圧φ1と吸着側相対
蒸気圧φ2によって決定される。
【0015】
φ1=処理後気体の絶対湿度/処理温度における飽和蒸気圧
φ2=処理前気体の絶対湿度/処理前温度における飽和蒸気圧
但し調湿空調の場合には一般に大気圧下の空気を用いた操作となるため、
φ1=処理後空気の絶対湿度/処理温度における飽和蒸気圧
φ2=処理前空気の絶対湿度/処理前温度における飽和蒸気圧
となる。すなわち処理前空気の相対湿度と処理後空気の相対湿度がそのまま相対蒸気圧となる。
調湿空調の一例として、夏期の除湿空調を考えた場合、JIS−C9612等に規定されている夏期の室内条件によれば、乾球温度27℃、湿球温度19℃が一般的であるが、このときの相対湿度は約50%である。一方夏期の外部絶対湿度は、21g/kgであることが同じく記載されている。この空気を80℃まで加熱するとその相対湿度は約7%となる。この操作では相対湿度7%から50%の間の空気が交互に接触することになる。この場合、操作相対水蒸気圧範囲はφ1〜φ2=0.07〜0.5となり、この範囲で吸着量の変化が大きい吸着材料が好ましい。
【0016】
しかし一般に除湿空調では初期の吸着熱による発熱によって、一時的に相対湿度が下がる事が知られている。そのため、実際の操作に於いては相対湿度50%以下に於いても吸着性能を有することが求められている。さらに吸着材は、狭い相対蒸気圧範囲で吸着量の変化が大きい材料が好ましい。これらを考慮すると、好ましくは上記の操作湿度範囲のうち、相対湿度0.1〜0.25においてより多くの水蒸気を吸着する材料が良い。
【0017】
又、調湿装置においても吸着量は多く、しかも吸着材の重量及び容積は少ないほど良いことから、吸着量変化が0.12g/g以上であり、好ましくは0.15g/g以上の吸着材が良い。吸着量変化が小さい場合には、必要とする吸着材の容積が大となり、装置が大型となり好ましくない。吸着量の上限は特に制限はないが、材料の制約から通常、0.3g/g程度以下である。25℃で測定した水蒸気吸着等温線において相対蒸気圧が0.1
以上0.25以下の範囲で相対蒸気圧が0.1変化したときに水の吸着量変化が0.12g/g以上の相対蒸気圧域を有する必要がある。
【0018】
また、吸着性能の変化点で示すと、上記の操作湿度範囲において、相対蒸気圧0.25において吸着量が0.12g/g以上、好ましくは0.15g/g以上であり、上限は特
に限定されないが、通常0.3g/g以下であり、一方、脱着性能の点で示すと、相対蒸気圧0.1において吸着量が0.05g/g以下、好ましくは0.03g/g以下であり、下限は通常0.00001g/g以上の吸着材が好ましい。
【0019】
調湿装置において、吸着時の相対蒸気圧と脱着時の相対蒸気圧の差が小さい範囲で吸着量差を持つことにより、夏期の除湿のみならず、特定の湿度が要求される場合の調湿に使用が可能となる利点を有する。また狭い範囲内での吸着量の変化が大きい場合にはそれだけ吸脱着が速やかに行われるため、吸・脱着サイクルを短くすることが可能となり、装置のコンパクト化に繋がる利点がある。
本発明の特徴の1つは上記特性を有する吸着材を、調湿空調装置の吸脱着部の吸着材として用いることにある。
調湿空調装置は、吸着材が吸着質を吸脱着する能力を駆動源として利用している。調湿空調装置においては吸着質は蒸気として吸着材に吸着される。吸着質には、水、エタノールおよびアセトンなどが使用できるが、中でも安全性、価格、蒸発潜熱の大きさから、水が最も好ましい。
【0020】
<吸着材>
本発明の特徴である調湿空調装置用吸着材は、骨格構造に少なくともアルミニウムとリンと鉄とを含む結晶性鉄アルミノフォスフェートであるゼオライトで、そのフレームワーク密度が16.0T/1,000Å3より大きく、20.0T/1,000Å3以下であり、好ましくは16.2T/1,000Å3以上であり、一方、19.0/1,000Å3以下、さらには18.0/1,000Å3以下の範囲のゼオライトが好ましい。
【0021】
かかるゼオライトを選択することで、上記の吸着性能を達成することができる。フレームワーク密度が小さすぎると吸着量差は大きくなる傾向があるが、適当な相対湿度範囲で吸脱着を起こさなかったり、構造が不安定である傾向があり耐久性に問題が生じる事が考えられるため不適当であり、大きすぎると吸着量差が小さ過ぎるため不適当となる。ここでフレームワーク密度とは、ゼオライトの1,000Å3あたりの酸素以外の骨格を構成
する元素の数を意味し、この値はゼオライトの構造により決まるものである。なおフレームワーク密度とセ゛オライトの構造との関係は、ATLAS OF ZEOLITE FRAMEWARK TYPES Fifth Revised Edition 2001 ELSEVIERに示されている。
【0022】
このようなゼオライトの構造としては、International Zeolite Assiciation(IZA)
が定めるコードで示すと、ABW、AEL、AEN、AET、AFI、AFN、AFO、AHT、ANA、APC、APD、AST、ATN、ATO、ATS、ATT、BPH、BRE、CON、CZP、DFT、EDI、FER、LAU、LTL、MAZ、MEL、MFI、MOR、MWW,OSI,SAT、SOD、STT、TER、VNI、VSV、ZONが挙げられ、好ましくは、AEL、AET、AFI、AST、ATSであり、さらに好ましくはAFIである。
【0023】
フレームワーク密度は細孔容量と相関があり、一般的に、より小さいフレームワーク密度のゼオライトがより大きい細孔容量を有し、したがって吸着容量が大きくなる。フレームワーク密度の小さいものは、全体的な吸着量の観点からは好ましいが、より低湿度での吸着材として適しており、より高湿度での本発明における相対蒸気圧範囲における吸着性能の観点では、むしろ不適で、本発明ではむしろフレームワーク密度の大きいものの方が適している。これらの兼ね合いから、上記のフレームワーク密度が好ましい。
【0024】
本発明の吸着材は、骨格構造に少なくともアルミニウムとリンと鉄とを含む結晶性鉄アルミノフォスフェートであるゼオライトで、結晶性鉄アルミノフォスフェートの鉄は骨格内のアルミニウム、及び/又はリンと置換されている。
本発明で吸着材として用いるゼオライトとしては、骨格構造にアルミニウムとリンと鉄を含むゼオライトであって、下記式(1)、(2)および(3)で表される原子の存在割合を有するものが好ましい。
【0025】
0.001≦x≦0.3 ・・・(1)
(式中、xは骨格構造のアルミニウムとリンと鉄の合計に対する鉄のモル比を示す)
【0026】
0.3≦y≦0.6 ・・・(2)
(式中、yは骨格構造のアルミニウムとリンと鉄の合計に対するアルミニウムのモル比を示す)
【0027】
0.3≦z≦0.6 ・・・(3)
(式中、zは骨格構造のアルミニウムとリンと鉄の合計に対するリンのモル比を示す)
そして、上記原子の存在割合のなかで、鉄の存在割合が、下記式(4)
【0028】
0.003≦x≦0.2 ・・・(4)
(式中、xは上記と同義である)
で表されるものが好ましく、下記式(5)
【0029】
0.005≦x≦0.1 ・・・(5)
(式中、xは上記と同義である)で表されるものが更に好ましい。
【0030】
本発明における結晶性鉄アルミノフォスフェートの骨格構造内には、Fe、AlおよびP以外の他の元素が含まれていても良い。他の元素としては、例えば、ケイ素、リチウム、マグネシウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、パラジウム、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、砒素、スズ、カルシウム、硼素などがあげられる。通常、他の元素(M)と鉄(Fe)のモル比(M/Fe)は3以下、好ましくは1.5以下、より好ましくは0.5以下である。M/Feがこの範囲にない場合は、本発明における吸着性能が十分あらわれない。
【0031】
上記の原子の各モル比は、元素分析により決定するが、通常、元素分析は試料を塩酸水溶液で加熱溶解させ、ICP分析により決定できる。
更に、本発明で用いる吸着材は、25℃で測定した水蒸気吸着等温線において相対蒸気圧0.1以上0.25以下の範囲で相対蒸気圧が0.1変化したときに水の吸着量変化が0.12g/g以上、好ましくは0.15g/g以上の相対蒸気圧領域を有する吸着材であり、好ましくは相対蒸気圧0.14以上0.22以下の範囲で相対蒸気圧が0.08変化したときに水の吸着量変化が0.12g/g以上、好ましくは0.15g/g以上の吸着材である。
上記の相対蒸気圧が0.1変化したときに水の吸着量変化上限は、高いほど好ましいが、材料の制限から通常、0.3g/g以下であり、相対蒸気圧が0.08変化したときの吸着量変化の上限は、通常0.29g/g以下である。
【0032】
また、本発明で用いる吸着材は、上記の条件に加え、水蒸気吸着等温線において本発明の下限の相対蒸気圧0.1での吸着量が0.05g/g以下、上限の相対蒸気圧0.25で0.15g/g以上であるものが更に好ましい。
本発明の調湿空調装置用吸着材は、基本的に上記ゼオライトからなるものであるが、その性能を損わない範囲で、他の吸着材と併用或は吸着材として使用するに当り必要に応じて他の成分を含んでもよい。
【0033】
<鉄アルミノフォスフェートの製造>
本発明における結晶性鉄アルミノフォスフェートの製造条件は特に限定さないが、通常、アルミニウム源、鉄源、リン源およびテンプレートを混合した後、水熱合成して製造される。以下、その一例を説明する。
【0034】
先ず、アルミニウム源、鉄源、リン源、および、テンプレートを混合する。
アルミニウム源:アルミニウム源は特に限定されず、通常、擬ベーマイト、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムトリエトキシド等のアルミニウムアルコキシド、水酸化アルミニウム、アルミナゾル、アルミン酸ナトリウムなどが挙げられるが、擬ベーマイトが取り扱い易い、反応性が高いの点で好ましい。
【0035】
鉄源:鉄源も特に限定されず、通常、硫酸鉄、硝酸鉄、リン酸鉄、塩化鉄、臭化鉄等の無機酸鉄、酢酸鉄、シュウ酸鉄、クエン酸鉄等の有機酸鉄、鉄ペンタカルボニル、フェロセン等の鉄有機金属化合物などが挙げられる。これらのうち、無機酸鉄、有機酸鉄が水に溶けやすい点で好ましく、なかでも硝酸第二鉄、硫酸第一鉄などの無機酸鉄化合物がより好ましい。場合によってはコロイド状の鉄水酸化物等を用いても良い。
【0036】
リン源:リン源としては通常リン酸が用いられるが、リン酸アルミニウムを用いてもよい。
その他の元素:鉄アルミノフォスフェートの骨格構造内には、上述の吸脱着特性を損なわない限りにおいて、他の元素が含まれていてもよい。他の元素としては、ケイ素、リチウム、マグネシウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、鉄、パラジウム、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、砒素、スズ、カルシウム、硼素などが挙げられる。
【0037】
テンプレート:テンプレートとしては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等の4級アンモニウム塩、モルホリン、ジ−n−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−イソプロピルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ピペリジン、ピペラジン、シクロヘキシルアミン、2−メチルピリジン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、コリン、N,N’−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)オクタン、N−メチルジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルピペリジン、3−メチルピペリジン、N−メチルシクロヘキシルアミン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、キヌクリジン、N,N’−ジメチル−1,4−ジア
ザビシクロ−(2,2,2)オクタンイオン、ジ−n−ブチルアミン、ネオペンチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、イソプロピルアミン、t−ブチルアミン、エチレンジアミン、ピロリジン、2−イミダゾリドン、ジ−イソプロピル−エチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、シクロペンチルアミン、N−メチル−n−ブチルアミン、ヘキサメチレンイミン、等の1級アミン、2級アミン、3級アミン、ポリアミンが挙げられる。これらは混合して用いてもよい。このなかでも、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、ジ−n−イソプロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドが反応性の点で好ましく、工業的にはより安価なトリエチルアミンがより好ましい。これらは単独で使用しても良いし、2種以上組み合わせて用いても良い。
【0038】
(水性ゲルの調製)
上述のアルミニウム源、鉄源、リン源およびテンプレートを混合して水性ゲルを調合する。混合順序は条件により異なるが、通常は、先ず、リン酸源、アルミニウム源を混合し、これに鉄源と、テンプレートとを混合する。
鉄アルミノフォスフェートに係る水性ゲルの組成は、酸化物のモル比で表して、0.01≦FeO/P25≦1.5であり、さらに合成のしやすさの観点からは0.02≦FeO/P25≦1.0が好ましく、0.05≦FeO/P25≦0.5がより好ましい。また、P25/Al23の比は、0.6以上1.7以下であり、さらに合成のしやすさの観点からは0.7以上1.6以下が好ましく、0.8以上1.5以下がより好ましい。また、水の割合の下限としては、Al23に対して、モル比で3以上であり、合成のしやすさの観点からは5以上が好ましく、10以上がより好ましい。水の割合の上限としては、200以下、合成のしやすさ、生産性の高さの観点からは150以下が好ましく、120以下がより好ましい。水性ゲルのpHは、4〜10であり、合成のしやすさの観点からは5〜9が好ましく、5.5〜8.5がより好ましい。
【0039】
なお、各水性ゲル中には、所望により、上記以外の成分を共存させても良い。このような成分としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物や塩、アルコール等の親水性有機溶媒が挙げられる。
(水熱合成)
水熱合成は、水性ゲルを耐圧容器に入れ、自己発生圧下、または結晶化を阻害しない気体の加圧下で、攪拌または静置状態で所定温度を保持することにより、行われる。水熱合成の条件は、100〜300℃であり、合成のしやすさの観点からは150〜250℃が好ましく、170〜220℃がより好ましい。
【0040】
反応時間は、3時間〜30日であり、合成のしやすさの観点からは5時間〜15日が好ましく、7時間〜7日がより好ましい。水熱合成後、生成物を分離し、水洗、乾燥し、焼成等の方法により、含有する有機物の一部、又は全部を空気などを用いる焼成により除去し、係る結晶性鉄アルミノフォスフェートを得る。
本発明の特徴の1つは上記特性を有する吸着材を、調湿空調装置の吸脱着部の吸着材として使用することである。即ち、比較的低相耐圧側の、狭い範囲の相対蒸気圧変化で大きな吸着量変化を得られることから、低温熱源の温度下限に制限がある調湿空調装置、例えば工場の空調装置等に適している。
【0041】
<調湿空調装置の作用>
次に、上記した吸着材を用いる本発明の調湿空調装置の作用について説明する。
最初に調湿空調装置の概念について、図2を用いて説明する。図2に示す調湿空調装置は、吸着質を吸脱着可能な吸着材と、吸着材を備えた吸脱着部である吸着部61と、吸着材を再生させるための機構63を備え、必要により調湿されるための空気62を流通させるための空気経路、或いは、調湿された空気を強制排気させるための装置を備えている。吸着部は吸着材と調湿させるための空気とが充分に接触可能な形状となっていれば良く、ハニカム構造を持つロータ形状等が用いられる。吸着材を再生させるための機構63は、除湿用途の場合には吸着材の再生のために必要な80℃程度の熱を吸着部に供給できる熱供給機構であれば良く、装置の内部で電気加熱などによって熱を発生させる場合にはヒーター、加熱コイル等の熱源、熱を充分に吸着部に伝えるためのブロア等の機構、装置外部から熱源を得る場合には該高温ガスを供給する配管等の機構となる。外部熱源は特に限定されず、例えばガスエンジンやガスタービンなどのコジェネレーション機器および燃料電池などが挙げられる。加湿用途の場合には再吸湿させるための高湿度空気が流通する経路であれば良い。
【0042】
次に、除湿装置を用いて調湿の作用(動作方法)について具体的に説明するが、これに限定されるものではない。
図3に除湿装置の一例としてデシカント空調装置の概念図を示す。デシカント空調装置は処理空気経路71と、再生空気経路72と、吸着材を付着させたデシカントロータ73と、2つの顕熱交換器74、75と、加熱源からの熱供給機構76と、加湿器77を主な構成機器とする。処理空気はデシカントロータ73で除湿され、デシカントの水分吸着熱によって温度上昇される。その後第1の顕熱交換器74で再生空気と熱交換して冷却した後、加湿器77で加湿して空調空間78に供給する。この一方で、再生空気は外部空間から取り入れられ、前記第1の顕熱交換器74で処理空気と熱交換して温度上昇した後、熱供給機構76によって加熱して相対湿度を下げて、デシカントロータ73を通過させ、デシカントロータ73の水分を脱着再生する。再生後の再生空気の顕熱分は加熱前の再生空気と第2の顕熱交換器75で熱交換して回収した後、外部79に放出する。
【実施例】
【0043】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により何等限定されるものではない。
[実施例1]
水38.4gと85%リン酸17.6gの混合物に、擬ベーマイト(25%水含有、コンデア製)9.5gをゆっくりと加えて攪拌した。これを3時間攪拌し、これに硫酸第一鉄7水和物6.78gを水36.6gに溶かした水溶液を加え、さらにトリエチルアミン10.8gを混合して3時間攪拌し、以下の組成を有する出発反応物を得た。
【0044】
0.32FeSO4:0.92Al23:P25:1.4トリエチルアミン:60H2
上記の出発反応物をテフロン(登録商標)製内筒の入った200ccのステンレス製オートクレーブに仕込み、静置状態で200℃で12時間反応させた。反応後冷却して、デカンテーションにより上澄みを除いて、沈殿物を回収した。その沈殿物を水で3回洗浄した後濾別し、120℃で乾燥した。こうして得られたテンプレートが含まれたサンプル3gを採取し、縦型の石英焼成管に入れ、200ml/分の空気気流下、1℃/分で550℃まで昇温し、そのまま550℃で6時間焼成を行った。こうして得られた結晶性鉄アルミノフォスフェートのXRDを測定したところ、AFI型のいわゆるFAPO−5であった。(フレームワーク密度:17.3T/1,000Å3
また、塩酸水溶液で加熱溶解させ、ICP分析により元素分析を行ったところ、骨格構造のアルミニウムとリンと鉄の合計に対する各成分の構成割合(モル比)は、鉄が4.0%、アルミニウムが46.7%、リンが49.3%であった。
【0045】
図3は、このゼオライトを吸着等温線測定装置(ベルソーブ18:日本ベル(株))により測定して得られた25℃における水蒸気吸着等温線である。なお、吸着等温線の測定は、空気高温槽温度50℃、吸着温度25℃、初期導入圧力3.0torr、導入圧力設定点数0、飽和蒸気圧23.76mmHg、平衡時間500秒で行った。
【0046】
図3から相対蒸気圧0.15〜0.20において急激に水蒸気を吸着しており、相対蒸気圧範囲0.10〜0.25で相対蒸気圧が0.1変化した時の最大吸着量変化量は0.17g/gであり、相対蒸気圧範囲が0.14から0.22での吸着量変化は0.17g/gであることがわかる。この様な特性を有するFAPO−5は、本発明で用いる吸着材のうち、最も好ましいものの一つである。
【0047】
[比較例]
水38.4gと85%リン酸17.6gの混合物に、擬ベーマイト(25%水含有、コンデア製)10.3gをゆっくりと加えて攪拌した。これを3時間攪拌し、これに水36.6gを加え、さらにトリエチルアミン11.6gを混合して3時間攪拌し、以下の組成を有する出発反応物を得た。
【0048】
Al23:P25:1.5トリエチルアミン:60H2
上記の出発反応物をテフロン(登録商標)製内筒の入った200ccのステンレス製オートクレーブに仕込み、静置状態で200℃で12時間反応させた。反応後冷却して、デカンテーションにより上澄みを除いて、沈殿物を回収した。その沈殿物を水で3回洗浄した後濾別し、120℃で乾燥した。こうして得られたテンプレートが含まれたサンプル3gを採取し、縦型の石英焼成管に入れ、200ml/分の空気気流下、1℃/分で550℃まで昇温し、そのまま550℃で6時間焼成を行った。こうして得られた結晶性アルミノフォスフェートのXRDを測定したところ、AFI型のいわゆるAlPO−5(骨格構造にAl、Pを含有)であった。
【0049】
図4は、このゼオライトを吸着等温線測定装置(ベルソーブ18:日本ベル(株))により測定して得られた25℃における水蒸気吸着等温線である。なお、吸着等温線の測定は、空気高温槽温度50℃、吸着温度25℃、初期導入圧力3.0torr、導入圧力設定点数0、飽和蒸気圧23.76mmHg、平衡時間500秒で行った。
【0050】
図4から、相対蒸気圧範囲0.10〜0.25の吸着量変化量は0.03g/gしかないことがわかる。この様な特性を有するAlPO−5は、本発明の吸着材に適しない。
上述のように、本発明で用いる吸着材は、従来のシリカゲルやゼオライトと比較して同じ相対蒸気圧範囲において吸着量がより多く変化するため、ほぼ同じ重量の吸着材を用いてより多くの除湿効果を発生できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】調湿装置の原理図である。
【図2】デシカント空調装置の概念図である。
【図3】実施例の吸着材(FAPO−5)の水蒸気吸着等温線である。
【図4】比較例の吸着材(ALPO−5)の水蒸気吸着等温線である。
【符号の説明】
【0052】
61 吸着部
62 空気経路
63 熱供給機構
71 処理空気経路
72 再生空気経路
73 デシカントロータ
74、75 顕熱交換器
76 熱供給機構
77 加湿器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の特性を有する吸着材を備えた吸脱着部を有しており、かつこの吸脱着部に高湿気体を流入させ、該気体中の水分を吸着させて除き、低湿気体を生成させる吸着工程と、該吸脱着部から吸着している水分を脱着させて除去する脱着工程とを反復する調湿空調装置の運転方法であって、脱着工程における水分の脱着を、装置外から導入した100℃以下の高温側熱媒を用いて行うことを特徴とする方法。
吸着材:骨格構造にアルミニウムとリンと鉄とを含むゼオライトからなり、そのフレー
ムワーク密度が16.0T/1,000Å3より大きく、20.0T/1,
000Å3以下の範囲であり、25℃で測定した水蒸気吸着等温線において相
対蒸気圧が0.1以上0.25以下の範囲に相対蒸気圧が0.1変化したとき
に水の吸着量変化が0.12g/g以上の相対蒸気圧域を有するゼオライト
【請求項2】
下記の特性を有する吸着材を備えた吸脱着部を有しており、かつこの吸脱着部に高湿気体を流入させ、該気体中の水分を吸着させて除き、低湿気体を生成させる吸着工程と、該吸脱着部から吸着している水分を脱着させて除去する脱着工程とを反復する調湿空調装置の運転方法であって、脱着工程を装置外から導入した80℃以下の高温側熱媒を用いて吸着している水分を脱着させ、次いで該吸脱着部を30℃以上の低温側熱媒で冷却することにより行うことを特徴とする方法。
吸着材:骨格構造にアルミニウムとリンと鉄とを含むゼオライトからなり、そのフレー
ムワーク密度が16.0T/1,000Å3より大きく、20.0T/1,
000Å3以下の範囲であり、25℃で測定した水蒸気吸着等温線において相
対蒸気圧が0.1以上0.25以下の範囲に相対蒸気圧が0.1変化したとき
に水の吸着量変化が0.12g/g以上の相対蒸気圧域を有するゼオライト
【請求項3】
骨格構造にアルミニウムとリンと鉄とを含むゼオライトが、下記式(1)、(2)および(3)を満足するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
0.001≦x≦0.3 ・・・(1)
0.3≦y≦0.6 ・・・(2)
0.3≦z≦0.6 ・・・(3)
(式中、x,yおよびzは、それぞれ骨格構造に含まれるアルミニウム、リンおよび鉄の原子の合計に対するアルミニウム、リンおよび鉄の原子の割合を示す)
【請求項4】
骨格構造にアルミニウムとリンと鉄とを含むゼオライトが、下記式(4)、(5)および(6)を満足するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
0.005≦x≦0.1 ・・・(4)
0.3≦y≦0.6 ・・・(5)
0.3≦z≦0.6 ・・・(6)
(式中、x,yおよびzは、それぞれ骨格構造に含まれるアルミニウム、リンおよび鉄の原子の合計に対するアルミニウム、リンおよび鉄の原子の割合を示す)
【請求項5】
骨格構造にアルミニウムとリンと鉄とを含むゼオライトが、骨格構造に更に酸素以外の他の元素を含んでおり、かつ骨格構造に含まれる鉄に対するこれらの元素の合計の原子比が1.5以下であることを特徴とする請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
骨格構造にアルミニウムとリンと鉄とを含むゼオライトが、25℃で測定した水蒸気吸着等温線において相対蒸気圧0.1での吸着量が0.05g/g以下であり、かつ相対蒸気圧0.25での吸着量が0.15g/g以上である請求項1ないし5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
吸着材を備えた吸脱着部を有しており、かつこの吸脱着部に高湿気体を流入させ、該気体中の水分を吸着させて除き、低湿気体を生成させる吸着工程と、該吸脱着部を装置外から導入した100℃以下の熱媒を用いて加熱して、吸着している水分を脱着させる脱着工程とを、定常的に反復させることのできる調湿空調装置の吸着材であって、骨格構造にアルミニウムとリンと鉄とを含むゼオライトからなり、そのフレームワーク密度が16.0T/1,000Å3より大きく、20.0T/1,000Å3以下の範囲であり、25℃で測定した水蒸気吸着等温線において相対蒸気圧が0.1以上0.25以下の範囲に相対蒸気圧が0.1変化したときに水の吸着量変化が0.12g/g以上の領域を有しており、かつ骨格構造に含まれるアルミニウム、リンおよび鉄が下記式(7)、(8)および(9)を満足するものであることを特徴とする吸着材。
0.005≦x≦0.1 ・・・(7)
0.3≦y≦0.6 ・・・(8)
0.3≦z≦0.6 ・・・(9)
(式中、x,yおよびzは、それぞれ骨格構造に含まれるアルミニウム、リンおよび鉄の原子の合計に対するアルミニウム、リンおよび鉄の原子の割合を示す)
【請求項8】
骨格構造にアルミニウムとリンと鉄とを含むゼオライトが、骨格構造に更に酸素以外の他の元素を含んでおり、かつ骨格構造に含まれる鉄に対するこれらの元素の合計の原子比が1.5以下であることを特徴とする請求項7に記載の吸着材。
【請求項9】
骨格構造にアルミニウムとリンと鉄とを含むゼオライトが、25℃で測定した水蒸気吸着等温線において相対蒸気圧0.1での吸着量が0.05g/g以下であり、かつ相対蒸気圧0.25での吸着量が0.15g/g以上であることを特徴とする請求項7または8に記載の吸着材。
【請求項10】
脱着工程を、装置外から導入した80℃以下の高温側熱媒を用いて吸着している水分を脱着させ、次いで該吸脱着部を30℃以上の低温側熱媒で冷却することにより行うことを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の吸着材。
【請求項11】
請求項7ないし9いずれかに記載の吸着材を備えた吸脱着部を有しており、かつこの吸脱着部に高湿気体を流入させ、該気体中の水分を吸着させて除き、低湿気体を生成させる吸着工程と、該吸脱着部を装置外から導入した100℃以下の熱媒を用いて加熱して吸着している水分を脱着させる脱着工程とを、定常的に反復させることのできる調湿空調装置。
【請求項12】
請求項10に記載の吸着材を備えた吸脱着部を有しており、かつこの吸脱着部に高湿気体を流入させ、該気体中の水分を吸着させて除き、低湿気体を生成させる吸着工程と、該吸脱着部を装置外から導入した80℃以下の高温側熱媒を用いて吸着している水分を脱着させ、次いで該吸脱着部を30℃以上の低温側熱媒で冷却する脱着工程とを、定常的に反復させることのできる調湿空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−83236(P2007−83236A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−324544(P2006−324544)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【分割の表示】特願2003−97629(P2003−97629)の分割
【原出願日】平成15年4月1日(2003.4.1)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】