説明

調理機器

【課題】吸気量を確保するとともに、オネバや液体が蓋本体内に浸入することを防止して、排出蒸気の温度低下性能と安全性とを両立させる調理機器を提供することを目的とする。
【解決手段】外気取り入れる吸気経路16内の空間を蓋本体3内の空間と遮蔽するとともに吸気口12の少なくとも一部は機器本体1に軸支されたハンドル20の内側に位置して設けたものである。これによって、機器本体1の置き方によらず吸気口12はハンドル20により壁面からの距離が確保され、また、吸気経路16内と蓋本体3とは遮蔽されていて、オネバや液体が蓋本体3内に浸入することを阻止するため、排出蒸気の低温化性能と安全性とを両立させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理中に排出される蒸気に送風して蒸気濃度を下げ空気混合蒸気を排出するようにした炊飯器などの調理機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の調理機器は、蒸気へ送風する外気取り入れのための吸気口を蓋本体の側面に設けているもの(例えば、特許文献1参照)、あるいは、吸気口を蓋本体の内側空間と連通させ、蓋本体後方のヒンジ部から蓋本体内に外気を取り入れるようにしたもの(例えば、特許文献2参照)が知られている。
【特許文献1】特許第1823119号公報
【特許文献2】特許第3320384号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記吸気口を蓋本体の側面に設けた従来の構成では、機器本体を吸気口のある側面を壁に密着して置いた場合、吸気口が壁で塞がれて外気取り入れが極端に低下し、蒸気への送風がされなくなる恐れがある。蒸気への送風がされないと、排出蒸気の濃度が高まり、100℃に近い非常に高い温度の蒸気が排出されることになり、蒸気の低温化性能は著しく損なわれるという課題があった。また、調理中に放出される蒸気量が最も多い工程においては、送風手段側に蒸気が浸入して送風手段の軸や基板に結露が生じ、それが原因でサビなどが生じて故障してしまう課題があった。
【0004】
また、前記吸気口を蓋本体の内側空間と連通させ従来の構成では、蓋本体後方のヒンジ部から蓋本体内に外気がゆるやかに流れてくるので、機器本体を壁に密着して置いたとしても、吸気口およびヒンジ部が閉塞すること恐れはほとんどない。しかし、お粥をつくったり、使用者が水量を誤って多く入れて調理したりした場合に、調理途中に吹きこぼれることはよく起こることであり、このような場合に蓋本体の内側空間と連通させた吸気口を介してオネバや液体が浸入してしまう恐れがある。炊飯器の場合、蓋本体内には内蓋加熱手段や内蓋温度検知手段などの部品があり、このような部品の端子部に液体が付着すると、短絡が生じるなど安全性を確保できなくなってしまうという課題があった。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、機器本体の置き方によらず吸気量を確保するとともに、オネバや液体が機器本体または蓋本体内に浸入することを防止して、排出蒸気の温度低下性能と安全性とを両立させる調理機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明の調理機器は、外気取り入れる吸気経路内の空間を機器本体または蓋本体内の空間と遮蔽するとともに吸気口の少なくとも一部は機器本体に軸支されたハンドルの内側に位置して設けたものである。
【0007】
これによって、機器本体の置き方によらず吸気口はハンドルにより壁面からの距離が確保され、また、吸気経路内と機器本体または蓋本体とは遮蔽されていて、オネバや液体が蓋本体内に浸入することを阻止するため、排出蒸気の低温化性能と安全性とを両立させることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の調理機器は、機器本体の置き方によらず吸気量を確保するとともに、オネバや液体が機器本体または蓋本体内に浸入することを防止して、排出蒸気の温度低下性能と安全性とを両立させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
第1の発明は、内部に鍋収納部を有する機器本体と、前記鍋収納部に収納される鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱手段と、前記機器本体の開口部を開閉可能な蓋本体と、前記機器本体または蓋本体に配置された送風手段と、一端を前記送風手段に他端を外気と連通する吸気口にそれぞれ連結した吸気経路と、一端を前記送風手段に他端を外気と連通する排気口にそれぞれ連結した送風経路と、一端を前記送風経路の中間部に他端を前記鍋内にそれぞれ連通させた蒸気経路と、前記機器本体に軸支された回動自在なハンドルとを備え、前記吸気経路内の空間は前記機器本体または蓋本体内の空間と遮蔽するとともに前記吸気口の少なくとも一部は回動する前記ハンドルの内側に位置して設けた調理機器とするものである。これによって、機器本体の置き方によらず吸気口はハンドルにより壁面からの距離が確保され、また、吸気経路内と機器本体または蓋本体とは遮蔽されていて、オネバや液体が機器本体または蓋本体内に浸入することを阻止するため、排出蒸気の低温化性能と安全性とを両立させることができる。
【0010】
第2の発明は、特に、第1の発明において、吸気口は、蓋本体のハンドルの回転軸よりも後方側に配置されたことにより、吸気口全体が少なくともハンドルの厚み分の距離を壁との間に確保することができるので、機器本体を壁面に密着して置いた場合でもより確実に吸気量を確保することができる。したがって、排出蒸気の低温化性能を向上させることができ、排出蒸気の低温化性能と安全性とを両立させることが可能となる。
【0011】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明において、吸気口は、複数の穴で構成されたことにより、吸気口の一つの穴が異物で詰まったり、機器本体を吸気口と壁が近接した場所に置いたりしても、他の吸気口の穴により確実に吸気量を確保することができるので、排出蒸気の低温化性能を向上させることができ、排出蒸気の低温化性能と安全性とを両立させることが可能となる。
【0012】
第4の発明は、特に、第1〜第3のいずれか1つの発明において、吸気口は、蓋本体の蓋傾斜面に設けたことにより、機器本体を吸気口と壁が近接した場所に置いたりしても、吸気口は壁との間により多くの距離を確保することができるので、排出蒸気の低温化性能を向上させることができ、排出蒸気の低温化性能と安全性とを両立させることが可能となる。
【0013】
第5の発明は、特に、第1〜第4のいずれか1つの発明において、吸気経路が負圧になると開放する予備吸気口を備え、予備吸気口は吸気経路と蓋本体内とを連通させることにより、吸気口全体が布やビニールなどで覆われてしまった場合でも吸気量を確保することができるので、排出蒸気の低温化性能を向上させることができ、排出蒸気の低温化性能と安全性とを両立させることが可能となる。
【0014】
第6の発明は、特に、第1〜第5のいずれか1つの発明において、送風経路に混合された気体の温度を検知する排気温度検知手段と、報知手段とを備え、気体の温度が高くなると報知することにより、排気温度検知手段により検知した温度が所定の温度よりも高い場合には吸気口や排気口などが閉塞していると判断し、閉塞物を取り除くよう報知することで、より確実に送風量を確保することができる。したがって、排出蒸気の低温化性能を向上させることができ、排出蒸気の低温化性能と安全性とを両立させることが可能となる。
【0015】
第7の発明は、特に、第1〜第6のいずれか1つの発明において、送風手段は、ファンからなり、前記ファンの回転数を検知する回転数検知手段と、報知手段とを備え、ファンの回転数が正常の範囲から外れると報知することにより、回転数検知手段により検知したファンの回転数で吸気口や排気口などの閉塞を検知し、閉塞物を取り除くよう報知することで、より確実に送風量を確保することができる。したがって、排出蒸気の低温化性能を向上させることができ、排出蒸気の低温化性能と安全性とを両立させることが可能となる。
【0016】
第8の発明は、特に、第1〜第7のいずれか1つの発明において、吸気口閉塞検知手段と、送風手段の送風口を開閉する送風口開閉手段とを備え、吸気口の閉塞を検知すると、送風口を閉じて送風手段を停止することにより、吸気口全体が布やビニールなどで覆われてしまった場合でも蒸気が送風手段側に流入して送風手段に結露が生じて故障してしまうことを防ぐことができ、信頼性を向上させた蒸気処理機能を有するものとなる。
【0017】
第9の発明は、特に、第1〜第8のいずれか1つの発明において、送風手段は、蓋本体のヒンジ軸を外した上方位置に設けたことにより、送風手段を収納する送風経路と他部品とのシール不良が生じた場合、送風経路内から漏れ出したオネバが送風経路外壁を伝わってヒンジ軸に落下し、ヒンジ軸に錆が生じて蓋本体の開閉がしにくくなることを低減することができ、信頼性の高いものとすることができる。
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0019】
(実施の形態1)
図1〜図4は、本発明の実施の形態1における調理機器として電磁誘導加熱式炊飯器を例示している。
【0020】
図1に示すように、本実施の形態における調理機器は、内部に鍋収納部1aを有する略有底筒状の機器本体1と、鍋収納部1aに収納される鍋2と、機器本体1の開口部を開閉可能に機器本体1に取り付けられる蓋本体3と、蓋本体3の内側(鍋2の開口部を覆う側)に着脱自在に取り付けられて、鍋2の開口部を密閉可能な略円盤状の内蓋4と、鍋2を誘導加熱する鍋加熱手段5とを有している。
【0021】
機器本体1の鍋収納部1aは、機器本体1の上部開口の内周部に嵌合された略環状の上枠1bと、鍋2の形状に対応して有底円筒形状に形成され、上部開口側端部で上枠1bに一体的に接続されたコイルベース1cとで構成されている。
【0022】
コイルベース1cの外周面には、鍋加熱手段5を構成する底内コイル5aと底外コイル5bとが取り付けられている。底内コイル5aは、コイルベース1cを介して鍋2の底部の中央部周囲に対向するように配置されており、底外コイル5bは、コイルベース1cを介して鍋2の底部のコーナー部に対向するように配置されている。
【0023】
コイルベース1cの底部の中央部分には開口が設けられており、当該開口部分には、鍋2の温度を測定するための鍋温度検知装置の一例である鍋温度センサ6が鍋2の底部に当接可能に配置されている。
【0024】
機器本体1内には、各部および各手段を駆動制御して調理動作を行う制御手段7が設置されている。制御手段7は、例えば蓋本体3に設けられた操作パネル(図示せず)を使用して行った使用者の指示に応じて、各部および各手段の駆動制御を行う。
【0025】
機器本体1の前壁上部(図1の左側上部)には、蓋本体3のフック8に係合可能なフック1dが設けられている。フック1dと上枠1bとの間にはバネ1eが設けられている。フック1dは、バネ1eにより前方(図1の左側)に付勢されている。
【0026】
蓋本体3には、蓋温度検知装置の一例である内蓋温度センサ9と、内蓋加熱手段10と、ヒンジ軸Aと、ファンなどよりなる送風手段11と、送風手段吸気側11aと外気を連通させる吸気口12と、送風手段11からの送風を蓋本体3外側へ導出する排気口13と、送風手段排気側11bと排気口13とを連通接続する送風経路14と、鍋2と送風経路14とを連通接続する蒸気経路15と、送風手段吸気側11aと吸気口12とを連通接続する吸気経路16とが設けられている。
【0027】
内蓋加熱手段10の一例である内蓋加熱コイルは、蓋本体3内に設置され、制御手段7の制御により内蓋4を誘導加熱するよう構成されている。ヒンジ軸Aは、蓋本体3の開閉軸であり、機器本体1の上枠1bに両端部を回動自在に固定されている。蓋本体3はヒンジ軸Aの近傍に設けた回動バネ(図示せず)により開蓋方向に回動付勢されている。
【0028】
送風手段11は、蓋本体3の後部、ヒンジ軸Aに近い場所で機器本体1の前方斜め上方に送風するような向きに配置されている。吸気口12は蓋本体3の背面に複数のスリット状の穴で構成されている。排気口13は蓋本体3の蓋傾斜天面に複数のスリット状の穴で構成されている。送風経路14はほぼ一直線に送風手段排気側11bと排気口13を連結しており、断面積も略均一である。
【0029】
蒸気経路15は、鍋2内の余分な蒸気を送風経路14へと排出できるように、一端を内蓋4の蒸気口4aと連通接続し、他端を送風経路14の排気口13と送風手段排気側11bとの間の下部の一部と連通接続している。蒸気経路15は送風経路14と垂直方向から10〜20度ずれた方向で接続されている。蒸気経路15から出る蒸気の流出方向は送風経路14内での送風手段11からの風の流れ方向に対して略垂直な方向となるように構成されている。蒸気経路15の蒸気穴4a直上部は断面積が大きく(例えば30cm)、蒸気穴4a直上部から送風経路14までは基本的により小さな断面積(例えば1cm)となっているが、一部断面積が大きい部分も有している。
【0030】
送風経路14および吸気経路16は、経路内側と蓋本体3内部とを完全に遮蔽され隔離した構成となっており、もし蒸気経路15を通過して鍋2からオネバが流入してきたとしても、それぞれの経路内を通過して蓋本体3外部へと流出し、蓋本体3内部には浸入しない構成となっている。また、送風経路14と吸気経路16とは内側に送風手段11を収容した形で連通接続されており、送風経路14あるいは吸気経路16内部に存在する液体などは送風経路14および吸気経路16の内側に移動することはでき、送風手段11にも接触することはできるが、蓋本体3の内側には移動できず、吸気経路16および送風経路14以外に流出するとすると、吸気口12あるいは排気口13から外側に液体が排出されるか、蒸気経路15に排出されることになる。
【0031】
内蓋4の一部は、誘導加熱が可能なステンレスなどの金属で構成されており、蒸気を鍋2外へと排出するために、複数の穴からなる蒸気口4a(例えば0.5cm)を設けている。内蓋4外周部の鍋2側の面には、蓋本体3が閉状態にあるとき、鍋2と密接する略環状の内蓋パッキン17が取り付けられている。内蓋パッキン17は、ゴムなどの弾性体で構成されている。
【0032】
蓋本体3の外表面には、調理のメニュー、時間などの各種情報を表示する表示手段18と、調理の開始、取り消し、予約などの実行を行うための操作ボタン19が搭載されている。操作ボタン19の操作により、機器本体1内の制御手段7に内蔵された調理プログラムが実行され、前記鍋加熱手段5、内蓋加熱手段10を調理プログラムの進行に合わせて動作、停止させて調理を実施するとともに、送風手段11に関しても、制御手段7により、調理工程に連動して、動作、停止が制御されることとなる。
【0033】
機器本体1には運搬用のハンドル20が設けられている。ハンドル20は、機器本体1の側面上部の略前後中央に軸支されており、ハンドル20の回転方向は蓋本体3の回転方向と略同一である。運搬時にはハンドル20を回転させて、ハンドル20の軸支点のほぼ直上にハンドル20が位置するようにハンドル20を持ち上げ、使用者はハンドル20のみを持って機器本体1を運搬することが可能となる。運搬しない場合には、蓋本体3の開閉の邪魔にならないよう、ヒンジカバー21によりハンドル20を機器本体1が置かれている床面と略水平方向で支持している。ヒンジカバー21は機器本体1の後部に取り付けられており、蓋本体3の回動支点となるヒンジ軸Aを機器本体1外から隠して、水滴や異物がヒンジ軸Aに付着しないようにするとともに、ハンドル20がそれ以上下方に回転しないように支持する役割も果たしている。
【0034】
図に示すように、吸気口12は蓋本体3の背面側に設けられていて、吸気口12の少なくとも一部は調理機器載置時のハンドル20よりも内側に位置して配置されているものである。このため、例え、機器本体1を壁に接して載置した場合でも壁にはハンドル20あるいはヒンジカバー21が接することになり、吸気口12は直接壁とは接することがないように構成されている。なお、排気口13も蓋本体3の蓋傾斜天面に設けられており、例え、機器本体1を壁に接して載置しても排気口13が壁と接することはないように構成されている。なお、機器本体1を載置している状態では、図に示すように、ハンドル20は機器本体1の上端よりも低い位置にあるので、吸気口12と同じ高さに存在するわけではないが、ハンドル20の可動軌跡よりも機器本体1側にあり、吸気口12がハンドル20の内側にあることになる。なお、吸気口12はハンドル20の回転軸20aよりも後方側に配置している(図2、図3参照)。
【0035】
以上のように構成された調理機器について、以下、調理として炊飯の場合の動作、作用について説明する。
【0036】
まず、鍋2内に所定の米と水をセットし、操作ボタン19で調理メニューを選択し、調理開始ボタンを押下することで、炊飯工程が開始される。炊飯工程は、水を一定温度に保って米に水を吸収させる浸せき工程、鍋2を鍋加熱手段5により一気に加熱し、鍋2内の水を沸騰状態にする炊き上げ工程、鍋2内の水がほとんどなくなった状態で加熱を抑える蒸らし工程からなり、これらの工程の間に米の糊化を進めて炊飯する。制御手段7は鍋温度センサ6により鍋2の温度に応じて最適に鍋加熱手段5を制御し、あらかじめ決められた炊飯プログラムに従って炊飯を行う。炊飯プログラムは米の種類などによって複数のコースが準備されている。この蒸らし工程が終了すると炊飯が終了し、自動的に保温工程へと移行し、炊き上がったご飯の温度が低下しないようにして、使用者がいつでも温かいご飯を得られる。
【0037】
炊飯プログラム実行による動作の詳細を以下に説明する。
【0038】
炊飯が開始されると、まず米に水を吸収させる浸せき工程が始まる。制御手段7は、鍋加熱手段5により鍋2を加熱し、鍋2内の水の温度を鍋温度センサ6によって検知し、米の糊化が始まらない温度(約60℃未満)に調整して米の吸水を促進する。
【0039】
炊き上げ工程では、米に水と熱を加えて糊化を進行させる。制御手段7は、鍋加熱手段5を動作させて鍋2を急速に加熱し、鍋2内の水を沸騰状態とする。このとき連続的に沸騰が生じて蒸気が大量に発生する。発生した蒸気が鍋2を充満すると、余分な蒸気は蒸気経路15を経て送風経路14内に入り込む。制御手段7は、鍋2内の水が沸騰したことを鍋温度センサ6により検知し、送風手段11を動作させる。送風手段11は吸気口12から外気を吸い込み、図中矢印Cの方向に送風し、室温の空気を送風経路14へと排出する。蒸気経路15から送風経路14へ導かれた蒸気は室温の空気と混合され、この空気と蒸気の混合気体が排気口13から蓋本体3外へと排出される。空気と混合することで、蒸気の濃度を低減することができるので、排出される混合気体の温度は低下する。なお、蒸気経路15は送風経路14の底面に接続されているので、蒸気経路15から排出された蒸気は空気よりも軽く自然と上方へと移動し、送風経路14内で均一に空気と混ざりやすくなっている。
【0040】
炊き上げ工程中に、制御手段7は水温の上昇速度をおいしいご飯を炊くための最適速度とするために、合数に応じて火力を調整する必要がある。また、沸騰してからも炊飯性能を確保するために一定期間米を高温状態に保つ必要があり、そのためにも火力を調整する必要がある。そのため、大部分の場合、鍋加熱手段5は断続的に鍋2を加熱することで、火力を調節している。そのため、鍋加熱手段5が動作している間は、連続して鍋2内で蒸気が発生するが、鍋加熱手段5が動作していないときは、鍋2内の蒸気発生は停止する。鍋2内で蒸気が発生しているときは、鍋2内の空気は蒸気経路15以外には移動する場所がないので、鍋2内に蒸気が充満すると蒸気の圧力が高まり、蒸気経路15を経て送風経路14まで蒸気が移動する。このときに送風手段11が動作していても、送風手段11が生み出した風は蒸気経路15から出てくる蒸気に阻まれて、蒸気経路15内に入り込むことが非常に難しい。
【0041】
また、炊き上げ工程では、米中のでんぷんなどの成分が水中に溶け出し、膜状となった粘度の高いオネバが蒸気とともに鍋2外に流出することがある。オネバは蒸気に押されるようにして鍋2外へと移動するのであるが、オネバは蒸気よりも十分低い温度の気体を当てると破裂する。送風手段11の風は鍋加熱手段5の動作に合わせて断続的に蒸気経路15に入り込み、蒸気経路15内の雰囲気温度および蒸気経路15の経路壁面を冷却している。そのため、多少のオネバが浸入しても送風経路14付近で送風手段11からの風によって冷却され破裂し、送風経路14内にオネバが流入しにくくなる効果がある。
【0042】
また、オネバをともなった蒸気は断面積の小さい(例えば0.5cm)蒸気穴4aで流速が早まって通過し、次に断面積の大きい(例えば30cm)蒸気経路15の蒸気穴4a直上部で急激に流速が低下し、さらに断面積の小さい(例えば1cm)蒸気経路15にて再び流速が増加することで、流速が変化することからオネバが破裂しやすくなる。
【0043】
また、鍋2内から蒸気経路15および送風経路14へと移動した蒸気は蒸気経路15および送風経路14の経路壁面の温度が蒸気の温度よりも低い場合には、壁面によって冷却され、結露が生じる。これによってもさらに蓋本体3外へと排出される蒸気の濃度が低下する。
【0044】
蒸らし工程では、鍋2内にはほとんど水は残留しておらず、米に付着した余分な水分を蒸散させながら、鍋2内を高温状態(約100℃の状態)に維持して糊化をさらに進展させる。この際、制御手段7は、内蓋温度センサ9で鍋2の上部空間の温度を検知しながら、内蓋加熱手段10を動作させて、米に対して熱を与え続け、糊化の進展を促進させる。蒸らし工程でも、蒸気は鍋2から排出されるが、炊き上げ工程に比べて量は少ない。そのため、送風手段11からの風がより蒸気経路15に入り込みやすくなる。しかし、蒸気経路15の鍋側端部15cと送風経路側端部15bとの間の距離が長いため、送風手段11による風が鍋2にまで到達しにくくなり、また蒸気経路15に屈曲部15dを設けることにより、蒸気の流れは屈曲部15dにおいて乱流となって送風手段11からの冷風が押し戻されやすくなるので、鍋2まで室温空気が到達することを低減することができる。
【0045】
場合によっては、機器本体1を壁に接した状態で使用することも考えられる。このような場合に吸気口12が壁に接するか非常に近距離に配置されてしまうと、送風手段11が吸引する空気量が減ってしまい、蒸気経路15を通って出てくる蒸気と混ぜるための空気量が減ってしまうので、排気口13から排出される混合気体の蒸気濃度は上昇し、混合気体の温度が上昇することになる。また、極端に送風手段11が吸引する空気量が減ると、蒸気経路15から送風経路14内に入り込んだ蒸気が逆流し、送風手段11に送風手段排気側11bより流入し、送風手段11の羽根部や送風手段11を駆動する駆動回路にまで蒸気が浸入し、結露が生じてしまう恐れがある。送風手段11の駆動回路に結露が生じると、送風手段11が故障してしまう恐れもある。
【0046】
しかし、本実施の形態のように、吸気口12をハンドル20の内側に配置していると、機器本体1を壁に接して載置してもハンドル20あるいはヒンジカバー21がまず壁と接触するので、それ以上、吸気口12が壁に近接することはないので、送風手段11の吸引する空気量を一定以上に保つことができる。また、排気口13についても同様で、排気口13が壁に接したり近接したりすると空気や蒸気が排気口13から排出されにくくなり、蒸気が送風手段11に逆流し、結露が送風手段11を故障させてしまう恐れがあるので、排気口13も壁からは離れた場所に配置する必要があるが、本実施の形態では排気口13は蓋本体3の蓋傾斜天面に設けられているため、排気口13も閉塞することはない。
【0047】
以上の構成により、本実施の形態の調理機器は、機器本体1の置き方によらず吸気口12はハンドル20により壁面からの距離が確保され、また、吸気経路16内と蓋本体3とは遮蔽されていて、オネバや液体が蓋本体1内に浸入することを阻止するため、排出蒸気の低温化性能と安全性とを両立させることができる。
【0048】
また、吸気口12は、蓋本体3のハンドル20の回転軸20aよりも後方側に配置することにより、吸気口12全体が少なくともハンドル20の厚み分の距離を壁との間に確保することができるので、機器本体1を壁面に密着して置いた場合でもより確実に吸気量を確保することができる。したがって、排出蒸気の低温化性能を向上させることができ、排出蒸気の低温化性能と安全性とを両立させることが可能となる。
【0049】
また、吸気口12を複数の穴で構成することにより、同じ吸気口面積でもより幅広い範囲で吸気口を設けることができ、吸気口12の一つの穴が異物で詰まったり、機器本体1を吸気口と壁が近接した場所に置いたりしても、他の吸気口12の穴により確実に吸気量を確保することができるので、排出蒸気の低温化性能を向上させることができ、排出蒸気の低温化性能と安全性とを両立させることが可能となる。
【0050】
また、送風手段排気側11bと排気口13とを対向させて構成することにより、風が抵抗なく流れ、屈曲した送風経路に比べて風量を増加させることができ、より安価で風量の小さい送風手段11を使用しても屈曲した送風経路の場合と同等以上の風量とすることが可能となる。また、風量の小さい送風手段11ほど基本的には小型となるので、蓋本体3をコンパクトに構成することができ、コンパクトで設置性の良い調理機器を提供することができる。なお、送風手段11はヒンジ軸Aから遠い蓋本体3前方に配置してもよい。
【0051】
また、送風手段11が蓋本体3の中でもヒンジ軸Aに近い場所に配置していることにより、蓋本体3を開く際に必要な力を小さくすることができるので、回動バネ(図示せず)の力を低減することができる。このことにより、回動バネの力が大きいと蓋本体3が機器本体1に対して略90度の角度まで開ききった場合に大きな力が働いて、鍋2が空の場合には機器本体1が浮き上がってしまいがちになるという不具合も低減することができ、使い勝手の良い調理機器を提供することができる。また、回動バネの力が大きいとバネ自体も大きくなるが、送風手段11をヒンジ軸A近傍に配置することで、調理機器全体をコンパクトにすることができてよい。
【0052】
なお、蒸気経路出口15bの断面積を変更することで、蒸気の送風経路14への排出の勢いを制御することができ、蒸気経路出口15bの断面積を小さくすると蒸気は勢いよく排出され、より送風経路14の蒸気経路出口15bと逆側まで届きやすくなり、一方、蒸気経路出口15bの断面積を大きくすると蒸気の勢いは低減され、より送風経路14の蒸気経路出口15bと逆側まで届きにくくなる。これにより、送風経路14の断面積に合わせて蒸気経路出口15bの断面積を変化させて蒸気と空気との混合度合を最適にコントロールすることが可能となる。
【0053】
なお、送風手段11を2段階の風量で運転できるようにし、炊き上げ工程に比べて蒸らし工程において送風手段11の風量を下げ、送風手段11からの風を蒸気経路15に入り込む速度を低減すると、冷風を鍋2内に浸入することを低減する効果が得られるのでよい。
【0054】
なお、蒸気経路15の少なくとも一部は着脱自在に設けられていると、オネバの通りやすい通路である、蒸気経路15のお手入れが容易に可能となるのでよいし、蒸気経路15の着脱はできなくとも蓋を設けて、汚れやすい部分のお手入れを、蓋を開けることで可能となるような構成でもよい。
【0055】
なお、送風手段11は蒸気の排出時に動作して、蒸気の濃度を下げることができれば、鍋温度センサ6の検知温度に依存せず、炊き上げ工程に入って一定温度で動作を開始したり、内蓋温度センサ9など他のセンサの検知温度によって動作したりしてもよい。
【0056】
なお、送風経路14の少なくとも一部は着脱自在に設けられていると、通常よりも多い水量で炊飯された場合など異常使用時にオネバや水が送風経路に入り込んだ場合でも、お手入れが容易となるのでよいし、送風経路14の着脱はできなくとも蓋を設けて、汚れやすい部分のお手入れを、蓋を開けることで可能となるような構成でもよい。
【0057】
なお、蒸気経路15は送風経路14の底面と接続しているが、送風経路14の側面の底面近くでも同様の効果が見込めるし、送風経路14のその他の部分に接続してリブを付加するなどしても蒸気と空気が略均一に混合できればよい。
【0058】
なお、吸気口12は送風手段11の種類に合わせて送風手段11の性能が十分発揮できるように圧力損失が少なくなるように設ければよく、位置や形状は異なってもよい。
【0059】
また、図2に示すように、吸気口12を調理機器の左側面に、排気口13を右側面に配置し、送風手段11を蓋本体3の後部左側に偏在させ、送風方向を矢印Bのように横方向に取るなど、送風方向を他の方向にとった場合でも、吸気口12および排気口13がハンドル20の内側に配置されているので、調理機器を壁に接して載置した場合でも吸気口12および排気口13が壁と接したり近接し過ぎたりして送風手段11の吸引する空気量が減ることを防ぐことができ、同様の効果が得られる。
【0060】
なお、図2に示すように、送風経路14と吸気経路16とは同じ部品で構成されていてもよい。
【0061】
なお、送風手段11は蓋本体3の後部に配置しているが、蓋本体3前部に配置してもよいし、機器本体1内部に配置して送風経路14を機器本体1内および蓋本体3にわたって設けてもよい。その場合、吸気口12は機器本体1に設けることとなるが、ハンドル20あるいはヒンジカバー21があるために壁と接して吸引する空気量を減らさないように配置されていれば、同様の効果が得られる。
【0062】
なお、送風経路14は直線的な形状であるが、屈曲するなど他の形状であってもよい。
【0063】
なお、送風手段11を偏在させる場合には左右どちらでもよいが、より機器本体1の中心に近い方が蓋本体3の開閉がスムーズになってよい。
【0064】
なお、送風経路14の直下に蒸気経路入口15cを配置しなければ、蓋本体3の高さを抑制することができ、コンパクトな調理機器とすることが可能となるのでよい。
【0065】
また、図3、図4に示すように、吸気口12を傾斜した蓋本体3側面である蓋傾斜面22に設けると、機器本体1を壁に接して載置した場合にも上方の空気を吸引することができ、また壁からの距離もより確保できるようになるので、より空気をスムーズに吸引することが可能となるのでよい。
【0066】
また、図4に示すように、送風手段11はヒンジ軸Aよりも調理機器前側(図中左側)に配置している。実際の組立を考慮すると、送風手段11は送風経路14の中に配置してから、密閉できる弾性体を介してカバー14aで固定することになる。しかし組立不良などが生じ、カバー14aと送風経路14とのシールが不十分で、吸引する空気量が不足してオネバなどが送風手段11近傍へと逆流した場合、カバー14aと送風経路14とのシール不良部分からオネバなどが蓋本体3内に浸入してしまう。このとき、送風手段11がヒンジ軸Aの上方に位置していると、オネバなどはヒンジ軸Aに滴下し、金属製のヒンジ軸Aの錆原因となり、その結果、蓋本体3の回動の際に異音が発生したり、蓋本体3が回動しにくくなったりと不具合が生じる恐れがある。しかし、送風手段11を、ヒンジ軸Aを外した前部上方(あるいは後部上方)に配置することで、これを回避することができるので、蒸気温度低下機能を持った調理機器の信頼性を向上させることができる。
【0067】
本実施の形態では調理機器として炊飯器を例示したが、これに限られるものではなく、調理中に排出される蒸気に送風して蒸気濃度を下げて排出するような調理器であればいずれにも適用することができるものである。
【0068】
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2における調理機器として電磁誘導加熱式炊飯器を例示している。実施の形態1と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0069】
図において、吸気経路16は予備吸気口23を調理機器前面側(図中下側)に設けている。予備吸気口23は、蓋本体3内の空間と連通しており、蓋本体3の内部空間はヒンジ部近傍で外気と連通されている。予備吸気口23は吸気経路16の内側底面よりも高い位置(内側天面側)に設けられており、吸気経路16内に液体が浸入していたとしても、容易に蓋本体3内に溢れ出さないような構成となっている。この予備吸気口23はシリコンゴムなど弾性体でできた逆止弁24によって図に示すとおりに通常は密閉されている。
【0070】
送風手段11が動作するときも吸気経路16は若干負圧になるが、その程度では逆止弁24が動くことはない。吸気口12がすべてかあるいはほとんど閉じられてしまった場合など吸引できる空気が極端に少なくなった場合に、吸気経路16は負圧となり、この程度の負圧によって初めて逆止弁24は図中矢印Dで示すような方向に弁部が回転移動し、予備吸気口23が開放されるよう構成されている。
【0071】
以上のように構成された調理機器について、以下その動作、作用について説明する。
【0072】
基本的な動作は実施の形態1と同様であるので省略する。ナイロンなどの自由に変形して穴を塞ぐ物体が吸気口12全体を塞いでしまった場合に、送風手段11が運転している場合は送風手段11が吸引する空気が減少して吸気経路16が負圧となり、そのままであると送風手段11に過負荷がかかって送風手段11が停止したり、炊き上げ工程中であるとオネバが送風手段11に付着したりすることで、送風手段11が故障する恐れがある。
【0073】
しかし、本実施の形態においては、吸気経路16が一定以上の負圧になると逆止弁24の一部が弾性的に屈曲して矢印D方向に回転移動し、予備吸気口23が開放される。
【0074】
一方、吸気口12が塞がれず、直接吸気口12から水を注がれるなどの原因から吸気経路16に液体が浸入し、なおかつ吸気経路16が負圧になっていない場合には、逆止弁24が予備吸気口23を密閉するので、液体が蓋本体3に入り込むことはない。吸気経路16に液体が浸入し、なおかつ吸気経路16が負圧になっている場合には、逆止弁24が動いて予備吸気口23が開放されるが、液体は送風手段11によって送風経路14側に移動させる力を受けるので、予備吸気口23から蓋本体3内に入り込むことはない。
【0075】
以上の構成により、本実施の形態の調理機器は、吸気口12が塞がれた場合でも予備吸気口23から吸気することができるので、排出する蒸気温度を低減することが可能となり、吸気口12を塞がれても蒸気温度低減機能を維持した調理機器を提供することが可能となる。
【0076】
なお、逆止弁24の代わりに空気は通すが液体は通さない膜など他の手段で予備吸気口23を閉じても、どのような場合でも液体が蓋本体3内に入り込まなければよい。
【0077】
また、図に示すように、送風経路14の壁面の一部に排気温度検知手段25を送風経路14の内側に露出するよう構成することで、送風経路14内を流れる気体の温度を検知することができる。送風手段11が駆動している場合に気体温度の情報を制御手段7に伝達し、所定温度を超えた場合には表示手段18などの報知手段により、使用者に排気温度が高温であることを報知する。これにより、使用者に排気温度が高温であることを認識させ、さらには吸気口12あるいは排気口13がビニールなどで塞がれていないか確認し、取り除くことを勧めることが可能となる。なお、報知手段は表示手段以外にブザー、音声、光の点滅あるいはそれらの組み合わせによる手段などでもよい。
【0078】
なお、送風手段11を動作させるために、排気温度検知手段25によって検知された温度が一定温度以上になった場合に送風手段11を動作させるようにしてもよい。
【0079】
なお、排気温度検知手段25は排気温度がわかればよいので、排気口13の外側など他の場所に配置してもよい。
【0080】
(実施の形態3)
図6は、本発明の実施の形態3における調理機器として電磁誘導加熱式炊飯器を例示している。実施の形態1と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0081】
図に示すように、送風手段11は、ファンからなり、前記ファンの回転数を検知する回転数検知手段26と、実施の形態2と同様な報知手段とを備え、ファンの回転数が正常の範囲から外れると報知するようにしている。なお、回転数検知手段26は、ファンの回転により発生する光の反射でファンの回転数を検知する構成となっており、検知した回転数を制御手段7へと伝達する。
【0082】
以上のように構成された調理機器について、以下その動作、作用について説明する。
【0083】
基本的な動作は実施の形態1と同様であるので省略する。送風手段11が動作中に一定間隔で回転数検知手段26は制御手段7に回転数情報を伝達する。制御手段7はこの回転数が正常範囲内かどうかを判定し、正常範囲内であれば特に何もしない。回転数が正常範囲外となると、表示手段18などの報知手段を用いて異常報知を行う。
【0084】
以上の構成により、本実施の形態の調理機器は、吸気口12あるいは排気口13の閉塞、あるいはそれ以外の原因によって蒸気と混合するための空気量が減ってしまうことを検知することで、使用者に蒸気が高温であることを報知して安全性を高め、さらには異常の原因を取り除くことを進めることができるので、安全性の高い排出気体低温化機能を有する調理機器を提供することを可能とする。
【0085】
なお、回転数検知手段26は送風手段11と一体化しているなど他の方法を用いても、回転数さえ検知できればよい。
【0086】
また、図に示すように、送風経路14に送風経路14の断面形状を覆いかつ稼動する扉27と、扉27の回転軸28と、回転軸28を中心として扉27を回転させるための回転モーター29を備えており、送風経路14の底面には扉27の端部を誘導する溝14bを設けている。扉27の少なくとも一部は弾性体からなる。送風口開閉手段30は扉27、回転軸28、回転モーター29からなる。回転モーター29は制御手段7によって制御され、異常な回転数が検知されると、図中矢印Eで示すように扉27を回転させて送風経路14を密閉し、蒸気経路15からオネバが流出した場合でも送風手段11側に流入しないようにすることができる。異常がない通常状態では、扉27は図中点線で示すように折りたたまれた状態で固定され、送風の妨げにはならない。これにより、吸気口12や排気口13の閉塞などの異常が生じてもオネバや液体が送風手段11に流入することを低減し、信頼性の高い蒸気低温化機能を有する調理機器を提供することが可能となる。
【0087】
なお、送風経路14は排気口13に向けて下がるように傾斜していると、扉27を閉じた際に扉27付近にオネバが溜まることを低減できるのでよい。
【0088】
なお、上記した各実施の形態1漢において、蒸気経路15内に残留したオネバを蒸気穴4aから鍋2内に戻すオネバ還流経路を設けると、オネバが鍋2内のご飯に再付着し、ご飯のつやがよくなるのでよい。また、排気方向は横方向や斜め上方や上方向などどの方向であってもよい。また、送風手段11は軸流ファンでもシロッコファンでもその他のファンでも送風できれば種類は問わない。送風手段11を駆動させる基板を含めて送風手段11全体を送風経路14中に配置する場合には、基板を送風経路14上部に配置するとオネバや液体が送風経路14などに浸入した場合に、オネバや液体が送風手段11の基板に接触しにくくなり、送風手段11の基板が故障しにくくなるのでよい。
【産業上の利用可能性】
【0089】
以上のように、本発明にかかる調理機器は、機器本体の置き方によらず吸気量を確保するとともに、オネバや液体が機器本体または蓋本体内に浸入することを防止して、排出蒸気の温度低下性能と安全性とを両立させることができるので、炊飯器に限らず蒸気を排出する他の機器にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の実施の形態1における調理機器の断面図
【図2】同調理機器の変形例を一部破断して示す上面図
【図3】同調理機器の他の変形例を示す上面図
【図4】同調理機器の蓋本体部を示す断面図
【図5】本発明の実施の形態2における調理機器を一部破断して示す上面図
【図6】本発明の実施の形態3における調理機器を一部破断して示す上面図
【符号の説明】
【0091】
1 機器本体
1a 鍋収納部
2 鍋
3 蓋本体
5 鍋加熱手段
6 鍋温度センサ
7 制御手段
11 送風手段
12 吸気口
13 排気口
14 送風経路
15 蒸気経路
16 吸気経路
20 ハンドル
23 予備吸気口
25 排気温度検知手段
26 回転数検知手段
30 送風口開閉手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に鍋収納部を有する機器本体と、前記鍋収納部に収納される鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱手段と、前記機器本体の開口部を開閉可能な蓋本体と、前記機器本体または蓋本体に配置された送風手段と、一端を前記送風手段に他端を外気と連通する吸気口にそれぞれ連結した吸気経路と、一端を前記送風手段に他端を外気と連通する排気口にそれぞれ連結した送風経路と、一端を前記送風経路の中間部に他端を前記鍋内にそれぞれ連通させた蒸気経路と、前記機器本体に軸支された回動自在なハンドルとを備え、前記吸気経路内の空間は前記機器本体または蓋本体内の空間と遮蔽するとともに前記吸気口の少なくとも一部は回動する前記ハンドルの内側に位置して設けた調理機器。
【請求項2】
吸気口は、蓋本体のハンドルの回転軸よりも後方側に配置された請求項1記載の調理機器。
【請求項3】
吸気口は、複数の穴で構成された請求項1または2に記載の調理機器。
【請求項4】
吸気口は、蓋本体の蓋傾斜面に設けた請求項1〜3のいずれか1項に記載の調理機器。
【請求項5】
吸気経路が負圧になると開放する予備吸気口を備え、予備吸気口は吸気経路と蓋本体内とを連通させる請求項1〜4のいずれか1項に記載の調理機器。
【請求項6】
送風経路に混合された気体の温度を検知する排気温度検知手段と、報知手段とを備え、気体の温度が高くなると報知する請求項1〜5のいずれか1項に記載の調理機器。
【請求項7】
送風手段は、ファンからなり、前記ファンの回転数を検知する回転数検知手段と、報知手段とを備え、ファンの回転数が正常の範囲から外れると報知する請求項1〜6のいずれか1項に記載の調理機器。
【請求項8】
吸気口閉塞検知手段と、送風手段の送風口を開閉する送風口開閉手段とを備え、吸気口の閉塞を検知すると、送風口を閉じて送風手段を停止する請求項1〜7のいずれか1項に記載の調理機器。
【請求項9】
送風手段は、蓋本体のヒンジ軸を外した上方位置に設けた請求項1〜8のいずれか1項に記載の調理機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−112556(P2009−112556A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−289482(P2007−289482)
【出願日】平成19年11月7日(2007.11.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】