説明

調節性T細胞の特異的活性化ならびに喘息、アレルギー疾患、自己免疫疾患、移植片拒絶の治療および免疫寛容の誘導のためのその使用

【課題】免疫系をさらに刺激することなく、費用のかかるex vivo処理を伴わずに調節性T細胞を特異的に活性化し、それらをin vivoにおいて使用することを目的とする。
【解決手段】本発明は、特定のCD4エピトープによる調節性T細胞の特異的活性化およびその使用、例えば自己免疫疾患またはアレルギーまたは喘息または移植片拒絶または免疫寛容の誘導の治療のためのその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
喘息、アレルギー疾患、移植片拒絶および自己免疫疾患には、1つの共通の基本原理がある。特定の外因性および/または内因性チャレンジに過剰に反応し、それにより疾患状態が大きく影響を受ける免疫系の不均衡により、これらはすべて引き起こされる。
【0002】
このような免疫系の異常には、免疫反応に中心的役割を果たしているエフェクターT細胞の過剰反応性により引き起こされる共通の病態生理学機構があることが一般に認められている。従って、エフェクターT細胞特異的免疫調節は、喘息、自己免疫疾患の治療、移植片対宿主疾患(GVHD)の予防および移植片拒絶の予防の成功への鍵である。
【0003】
調節性T細胞(“Treg細胞”)と呼ばれるTリンパ球は、CD4+T細胞およびCD8+T細胞のエフェクター機能を抑制することにより免疫反応を調節する(Shevach 2002)。Treg細胞の種々のサブセットが記載されている。限定するものではないが、これらは、(i)CD4+CD25+Treg細胞(“天然に存在するTreg細胞”とも呼ばれる(Sakaguchi 2005))、(ii)Tr1(Roncarolo et al. 2001)および(iii)Th3(Weiner 2001)を含む。Tr1およびTh3は末梢で誘導されるが、CD4+CD25+Treg細胞は胸腺で発生し、健常者における末梢CD4+T細胞の5〜10%を構成する。少なくともin vitroでは、これらの細胞はアネルギー状態であり、最小量のサイトカインを産生し、刺激を受けた場合にのみ、厳密に細胞接触依存的にそれらの抑制効果を発揮する。Tr1とTh3は、それぞれIL-10とTGF-βを産生することによりそれらの抑制活性を発揮する(Shevach 2002)。
【0004】
主としてTreg細胞の発生または機能に影響を与える遺伝的欠損は、自己免疫性炎症性異常を引き起こすはずである。ヒトにおいてはまれな劣性遺伝疾患であるIPEX症候群(X連鎖免疫調節異常・多発性内分泌症・腸症)は、転写因子FOXP3遺伝子における変異およびその結果生じるTreg細胞の非存在により引き起こされる。IPEXは、強度の自己免疫、重篤な湿疹、IgEレベルの上昇、好酸球増加症および食物アレルギーならびに早期死亡(Fontenot and Rudensky 2005)を引き起こす。
【0005】
Treg細胞が喘息および自己免疫疾患において重要な役割を果たし、GVHDの治療およびそれによる移植免疫寛容の潜在能力を有していることを文献データは示している(Robinson 2004, Sakaguchi 2005)。
【0006】
従って、既存自己免疫疾患患者の治療剤としてTreg細胞を使用する試みが開始された(Horwitz et al. 2003)。前記患者は、十分なTreg細胞を欠くかまたはエフェクターT細胞活性の誤った指図および非制御をもたらすTreg細胞機能低下を有すると考えられている。この問題を解決するためのこれまでの考えは、Treg細胞を前記患者に投与することである。末梢血においては、Treg細胞は希少であるため、ヒトTreg細胞の臨床応用は、非常に費用のかかるTreg細胞のex vivo増殖に依存している(Hoffmann et al. 2004, Horwitz et al. 2003, Tang et al. 2003, Zheng et al. 2004)。BluestoneおよびTangはさらに一歩進めた。彼等は、治療のためのTreg細胞の量を増加させるだけではなく、抗CD3抗体をT細胞受容体(TCR)のトリガーとして用いてTreg細胞を活性化させ、Treg細胞の抑制活性を促進することによりこの問題を解決しようと試みている(Bluestone and Tang 2004)。抗CD3抗体はすべてのT細胞受容体発現細胞を活性化するが、このことは、抗CD3抗体処理がエフェクターT細胞機能を誘導し、おそらくはそれにより無制限な増殖および非特異的炎症性サイトカイン産生がもたらされ、病状が悪化するという障害を抱えているので、このアプローチはTreg細胞の特異的活性化とはかなり異なっている。この好ましくないエフェクターT細胞のトリガリングを回避するためには、Treg細胞を高度に精製し、ex vivoで抗CD3抗体を用いて活性化する必要があり、これもまた非常に費用がかかり、困難な方法である。さらに、Treg細胞特異的マーカーが存在しないことが、高純度のTreg細胞を得ることを困難にしている。
【0007】
従って、免疫系をさらに刺激することなくTreg細胞を特異的に活性化でき、それによって費用のかかるex vivo処理を伴わない直接in vivo応用に対する根拠を提供する物質を同定することが主要目的である。
【0008】
先行技術において、Treg細胞を活性化できる方法には、例えば非特異的にCD3による方法(Thornton and Shevach 1998)またはCD28/B7経路による方法(Shevach 2002、Bluestone and Tang 2004、Hunig and Dennehy 2005)またはCD4による方法(WO04083247)など、いくつかの情報がある。今までのところ、このような解決法は特異的なTreg細胞の活性化をもたらしていない。
【発明の概要】
【0009】
発明の詳細な説明
本発明は、CD4の特定のエピトープがTreg細胞の活性化を引き起こすという新しい発見に基づく。前記エピトープは、既知のHIV-1 gp120結合部位と部分的に一致するが、驚くべきことに、この部位への結合はTreg細胞の活性化を引き起こす。この発見は、以下の理由で全く予期せぬことであった。今まで、CD4によるTreg細胞の活性化は、モノクローナル抗体BF5(WO04083247)が結合する異なるエピトープによるものとされていた。
-Carriere et al.,1995 は、CD4上のBF5の結合部位が、HIV-1 gp120の結合部位とはまったく無関係であることを研究した。-意外にも、T細胞上のCD4の直接活性化および遮断は、HIV-1 gp120により機能するという文献の報告(Diamond et al. 1988)にもかかわらず、我々はTreg細胞のCD4に対するHIV-1 gp120の活性化特性を見出した。
【0010】
本発明は、Treg細胞の抑制活性を引き起こす、Treg細胞上の生理活性CD4エピトープを開示する。本発明のエピトープは、ヒトCD4タンパク質(配列番号2)における、配列番号2のアミノ酸位置番号54〜84を含む領域として同定された。これらの31アミノ酸を、配列番号1に明確に示す。
【0011】
本発明記載のCD4フラグメントである好ましいペプチドは、配列番号1のアミノ酸番号1〜31、配列番号2のアミノ酸番号26〜458、配列番号2のアミノ酸番号26〜419、配列番号2のアミノ酸番号26〜207、配列番号2のアミノ酸番号26〜131および配列番号2のアミノ酸番号46〜89を含む単離されたペプチドからなる群から選択される。前記ペプチドのすべては、さらに、配列番号2の残基68に重要なアミノ酸であるフェニルアラニンを含むことを特徴とする。
【0012】
配列番号1に示されるエピトープが、Treg細胞を活性化するための鍵であるという発見は、例えば以下の使用の基礎を与える。
【0013】
調節性T細胞(Treg細胞)を活性化できる物質の同定方法。このような物質を、活性化調節性T細胞(Treg細胞)の増加により臨床像を改善できる疾患である本発明の疾患の治療に有用な本発明の“Treg細胞アクチベーター”と呼ぶが、このような疾患は、(i)非自己免疫性炎症性疾患:喘息、アレルギー性喘息、呼吸器アレルギー、アレルギー性鼻結膜炎、アレルギー性胞隔炎、接触アレルギー、アトピー性皮膚炎、神経皮膚炎、食物アレルギー、移植片対宿主疾患、非自己免疫性炎症性腸疾患、急性呼吸窮迫症候群、急性炎症性膵炎、熱傷、創傷治癒、皮膚瘢痕化障害、サルコイドーシス、ベーチェット病もしくはスイート症候群;(ii)自己免疫性炎症性疾患:関節リウマチ、リウマチ熱、全身性エリテマトーデス、潰瘍性大腸炎、クローン病、自己免疫性炎症性腸疾患、I型糖尿病、胃炎、自己免疫性萎縮性胃炎、自己免疫性肝炎、橋本甲状腺炎、甲状腺炎、多発性硬化症、重症筋無力症、自己免疫性溶血性貧血、アジソン病、強皮症、グッドパスチャー症候群、ギラン・バレー症候群、グレーヴズ病、糸球体腎炎、乾癬、尋常性天疱瘡、類天疱瘡、尋常性白斑、特発性白血球減少症、シェーグレン症候群もしくはウェゲナー肉芽腫症;(iii)臓器移植による炎症性疾患;(iv)骨髄移植;または(v)外因的に投与された自己もしくは非自己組換えポリペプチドによる疾患である。
【0014】
本発明の“物質”は、本発明記載の方法に使用できる。本発明記載の物質という用語の意味は、限定するものではないが、ペプチド、足場ペプチド、抗体、抗体のフラグメント、核酸分子、リボザイム、有機化合物または無機化合物を含む。
【0015】
第2の側面において、この新規エピトープは、例えば、配列番号1に記載のエピトープとの相互作用により物質が調節性T細胞(Treg細胞)を活性化できるかどうかを測定するための本発明記載の競合アッセイまたはスクリーニングアッセイに使用できる新規ツールの合成の基礎として役立つ。このようなツールは、配列番号1のアミノ酸番号1〜31または配列番号2のアミノ酸番号26〜458または配列番号2のアミノ酸番号26〜419または配列番号2のアミノ酸番号26〜207または配列番号2のアミノ酸番号26〜131または配列番号2のアミノ酸番号46〜89を含む単離されたペプチド、あるいは配列番号1のアミノ酸番号1〜31に加えて、さらなる上流のおよび/または下流のアミノ酸を有し、ここで配列番号1記載のアミノ酸ストレッチに対する物質の結合をさらなるアミノ酸が妨げないことを必要条件とする単離されたペプチドである本発明のペプチドである。
【0016】
本発明記載の好ましいペプチドは、配列番号1に記載のペプチドに加えて、さらに、配列番号2の位置53、位置52〜53、位置51〜53、位置50〜53、位置49〜53、位置48〜53、位置47〜53、位置46〜53、位置45〜53、位置44〜53、位置43〜53、位置42〜53、位置41〜53、位置40〜53、位置39〜53、位置38〜53、位置37〜53、位置36〜53、位置35〜53、位置34〜53、位置33〜53、位置32〜53、位置31〜53、位置30〜53、位置29〜53、位置28〜53、位置27〜53、位置26〜53、位置25〜53、位置24〜53、位置23〜53、位置22〜53、位置21〜53、位置20〜53、位置19〜53、位置18〜53、位置17〜53、位置16〜53、位置15〜53、位置14〜53、位置13〜53、位置12〜53、位置11〜53、位置10〜53、位置9〜53、位置8〜53、位置7〜53、位置6〜53、位置5〜53、位置4〜53、位置3〜53、位置2〜53および位置1〜53に記載のアミノ酸またはアミノ酸ストレッチからなる群から選択されるさらなる上流のアミノ酸またはアミノ酸ストレッチからなる。
【0017】
本発明記載のさらなる好ましいペプチドは、上記パラグラフ中“好ましいペプチド”と述べたペプチドに加えて、さらに、配列番号2の位置85または配列番号2の位置85〜n(ここでnは86〜458の整数である)、すなわち位置85〜86、85〜87、85〜88、85〜89、85〜90、85〜91、85〜92、85〜93、85〜94、85〜95、85〜96、85〜97、85〜98、85〜99、85〜100、85〜101、85〜102、85〜103、85〜104、85〜105、85〜106、85〜107、85〜108、85〜109、85〜110、85〜111、85〜112、85〜113、85〜114、85〜115、85〜116、85〜117、85〜118、85〜119、85〜120、85〜121、85〜122、85〜123、85〜124、85〜125、85〜126、85〜127、85〜128、85〜129、85〜130、85〜131、85〜132、85〜133、85〜134、85〜135、85〜136、85〜137、85〜138、85〜139、85〜140、85〜141、85〜142、85〜143、85〜144、85〜145、85〜146、85〜147、85〜148、85〜149、85〜150、85〜151、85〜152、85〜153、85〜154、85〜155、85〜156、85〜157、85〜158、85〜159、85〜160、85〜161、85〜162、85〜163、85〜164、85〜165、85〜166、85〜167、85〜168、85〜169、85〜170、85〜171、85〜172、85〜173、85〜174、85〜175、85〜176、85〜177、85〜178、85〜179、85〜180、85〜181、85〜182、85〜183、85〜184、85〜185、85〜186、85〜187、85〜188、85〜189、85〜190、85〜191、85〜192、85〜193、85〜194、85〜195、85〜196、85〜197、85〜198、85〜199、85〜200、85〜201、85〜202、85〜203、85〜204、85〜205、85〜206、85〜207、85〜208、85〜209、85〜210、85〜211、85〜212、85〜213、85〜214、85〜215、85〜216、85〜217、85〜218、85〜219、85〜220、85〜221、85〜222、85〜223、85〜224、85〜225、85〜226、85〜227、85〜228、85〜229、85〜230、85〜231、85〜232、85〜233、85〜234、85〜235、85〜236、85〜237、85〜238、85〜239、85〜240、85〜241、85〜242、85〜243、85〜244、85〜245、85〜246、85〜247、85〜248、85〜249、85〜250、85〜251、85〜252、85〜253、85〜254、85〜255、85〜256、85〜257、85〜258、85〜259、85〜260、85〜261、85〜262、85〜263、85〜264、85〜265、85〜266、85〜267、85〜268、85〜269、85〜270、85〜271、85〜272、85〜273、85〜274、85〜275、85〜276、85〜277、85〜278、85〜279、85〜280、85〜281、85〜282、85〜283、85〜284、85〜285、85〜286、85〜287、85〜288、85〜289、85〜290、85〜291、85〜292、85〜293、85〜294、85〜295、85〜296、85〜297、85〜298、85〜299、85〜300、85〜301、85〜302、85〜303、85〜304、85〜305、85〜306、85〜307、85〜308、85〜309、85〜310、85〜311、85〜312、85〜313、85〜314、85〜315、85〜316、85〜317、85〜318、85〜319、85〜320、85〜321、85〜322、85〜323、85〜324、85〜325、85〜326、85〜327、85〜328、85〜329、85〜330、85〜331、85〜332、85〜333、85〜334、85〜335、85〜336、85〜337、85〜338、85〜339、85〜340、85〜341、85〜342、85〜343、85〜344、85〜345、85〜346、85〜347、85〜348、85〜349、85〜350、85〜351、85〜352、85〜353、85〜354、85〜355、85〜356、85〜357、85〜358、85〜359、85〜360、85〜361、85〜362、85〜363、85〜364、85〜365、85〜366、85〜367、85〜368、85〜369、85〜370、85〜371、85〜372、85〜373、85〜374、85〜375、85〜376、85〜377、85〜378、85〜379、85〜380、85〜381、85〜382、85〜383、85〜384、85〜385、85〜386、85〜387、85〜388、85〜389、85〜390、85〜391、85〜392、85〜393、85〜394、85〜395、85〜396、85〜397、85〜398、85〜399、85〜400、85〜401、85〜402、85〜403、85〜404、85〜405、85〜406、85〜407、85〜408、85〜409、85〜410、85〜411、85〜412、85〜413、85〜414、85〜415、85〜416、85〜417、85〜418、85〜419、85〜420、85〜421、85〜422、85〜423、85〜424、85〜425、85〜426、85〜427、85〜428、85〜429、85〜430、85〜431、85〜432、85〜433、85〜434、85〜435、85〜436、85〜437、85〜438、85〜439、85〜440、85〜441、85〜442、85〜443、85〜444、85〜445、85〜446、85〜447、85〜448、85〜449、85〜450、85〜451、85〜452、85〜453、85〜454、85〜455、85〜456、85〜457または85〜458に記載の少なくとも1つのさらなる下流のアミノ酸からなる。
【0018】
さらに、配列番号1に示したエピトープがTreg細胞を活性化するための鍵であるという発見により、現在までに関連付けられていない2つの異なる技術分野、すなわち(a)HIV-1関連疾患の技術分野と(b)本発明記載の疾患、例えば自己免疫疾患、アレルギー、喘息、移植片拒絶および、臓器移植または非自己もしくは自己の生物学的実体のそれを必要とするヒトへの治療的投与により引き起こされる免疫寛容の欠如による疾患とが関連付けられ、それと共に、以下に説明するように、多くの新規使用が可能となる。
【0019】
配列番号1に示すエピトープは、Treg細胞を活性化するために使用できるさらなるエピトープばかりではない。HIV-1 gp120はT細胞のCD4と相互作用し、それと共にCD4+細胞へのウイルス侵入が可能となる(Klatzmann et al. 1984)。配列番号1で示されるエピトープが、ヒト免疫不全ウイルス1(HIV-1)の糖タンパク質gp120が結合するCD4上の高親和性結合部位を含むという発見(Jameson et al. 1988, Arthos et al. 1989)は、さらなる利点を提供する。このことは、関連付けられていない2つの異なる技術分野の発見、すなわちHIV-1関連疾患の技術分野と本発明記載の疾患の技術分野を結びつける基礎を提供する。
【0020】
世界的なHIV-1の問題を多少とも解決するために、CD4+細胞へのHIV-1の侵入を阻害することができる物質を同定するために多くの努力がはらわれてきた。その結果として、当該技術分野で、いわゆるHIV-1接着または侵入阻害剤が知られている。
【0021】
HIV-1が細胞に侵入するのを可能にする鍵穴は、Treg細胞を活性化する鍵穴として使用できる。従って、HIV-1接着および細胞侵入に干渉することが当該技術分野で知られている物質(Markovic and Clouse 2004, Castagna et al. 2005)、例えばHIV-1 gp120自身、その誘導体、ペプチドミメティック、抗体、アプタマーまたはCD4上のHIV-1 gp120結合部位に向けられる任意の低分子量(LMW)化合物などは、Treg細胞を活性化するのに有用な可能性があり、それと共に本発明記載の疾患の治療に有用な可能性がある。(HIV-1 gp120は当該分野で公知であり、そのアミノ酸配列および対応する遺伝子はすでに公表されている(Muesing et al. 1985, Starcich et al.1986, Jeffs et al. 1996)。さらに、HIV-1 gp120を製造する方法は公知である(Lasky et al. 1986, Leonard et al. 1990, Culp et al. 1991, Jeffs et al. 1996)。
【0022】
HIV-1接着および/または細胞侵入に干渉できる物質は、通常HIV-1接着阻害剤または侵入阻害剤と呼ばれる。このような物質は、(i)HIV-1または(ii)CD4または(iii)HIV-1およびCD4または(iv)コレセプター、例えばCCR5もしくはCXCR4のいずれかに結合する。このような阻害剤は、それが(ii)または(iii)の性質を発揮し、Treg細胞を活性化する場合、本発明記載の疾患、例えば自己免疫疾患、アレルギー、喘息またはGVHDなどの治療に有用な本発明記載の阻害剤であることができる。このような阻害剤が前記疾患に役立つことができるかどうかを測定するために、本発明は、HIV-1研究の技術分野でHIV-1接着および/または細胞侵入に干渉することが同定されている物質が自己免疫疾患またはアレルギーまたは喘息または臓器移植などの前記の技術分野以外の技術分野で有用であることができるかどうかを測定することを可能にするいくつかのアッセイを開示する。従って、本発明は、本発明記載の疾患の治療に有用である物質を同定することができる近道を教示している。
【0023】
特定の疾患に医薬として使用できる物質の同定は、通例資源を消費するハイスループットスクリーニング(HTS)に頼っている。物質がTreg細胞を活性化できるかどうかの測定は、現在Treg細胞を含む細胞アッセイに頼っている。Treg細胞は少量しか得られないため、大規模なスクリーニング作戦あるいはそれを用いるHTSでさえ、今日では可能ではない。本発明は、Treg細胞を活性化することが可能な物質を事前に選択することができるため、本発明の教示は、この障害を回避することを可能にしている。本発明によれば、適切な事前選択された物質は、(i)少なくともエピトープ(配列番号1)と相互作用することが証明され、および/または(ii)HIV-1研究から、CD4のHIV-1 gp120結合部位のHIV-1接着阻害剤または侵入阻害剤または合成類似薬として知られている。
【0024】
物質が、HTSフォーマットにおいてさえ、所定のペプチドに相互作用でき、それと共に所定のエピトープと相互作用できるかどうかを測定することは最新技術である。本発明に関しては、例えば、少なくとも配列番号1に記載のアミノ酸を含むペプチドを非標識被験物質と混合し、続いて前記ペプチドと結合することが知られている標識物質(例えばHIV-1 gp120)を、この標識物質と前記ペプチドの結合を可能にする条件下で混合することを含むin vitro競合型アッセイにおいて、このことを実施できる。前記ペプチドと相互作用する物質は前記標識物質と競合し、表示される読み取り情報により同定でき、このことは、例えば結合または非結合標識物質を測定することにより実施できる。
【0025】
物質に対するこのような情報を得るための細胞アッセイまたは他のin vitroフォーマットは当該分野で公知であり、広く用いられているため、特定のペプチド、すなわちエピトープと物質が相互作用できるかどうかを測定するこのような型のアッセイは、in vitroアッセイに限定されない。
【0026】
一実施形態において、本発明は、CD4とHIV-1 gp120との相互作用に干渉できる物質が疾患に好影響を与えるのに役立つことができるかどうかを測定する方法であって、活性化調節性T細胞(Treg細胞)の増加により臨床像を改善できる前記方法において、
(a)Treg細胞を含む溶液を用意し、ここでTreg細胞は、好ましくはCD4+CD25+Treg細胞またはTr1細胞またはTh3細胞であり、前記溶液は、より好ましくは、さらに不活化同系CD3枯渇PBMC(好ましくは照射またはマイトマイシンCにより不活化されている末梢血単核細胞)もしくは樹状細胞(DC)および同種CD8+T細胞もしくは同種CD4+T細胞を含み、
(b)Treg細胞と被験物質との相互作用を可能にする条件下で前記物質を添加し、
(c)Treg細胞が活性化されたかどうかを測定し、ここで活性化Treg細胞によりTreg細胞アクチベーターとして前記物質が同定されること
を含む前記方法に関する。
【0027】
前記測定は、以下のような適切な読み取りシステム:
(i)CD8+T細胞が抑制されたかどうかの測定(これは、好ましくはCD8+T細胞の増殖抑制またはCD8+T細胞のCD25発現低下またはCD8+T細胞のサイトカイン産生抑制を測定することにより測定でき、適切なサイトカインはIFNγまたはIL2またはTNFαであり、ここで抑制されたCD8+T細胞により活性化Treg細胞が同定され、それと共にTreg細胞アクチベーターとして前記物質が同定される)または
(ii)CD4+T細胞が抑制されたかどうかの測定(これは、好ましくはCD4+T細胞の増殖抑制またはCD4+T細胞のCD25発現低下またはCD4+T細胞のサイトカイン産生抑制を測定することにより測定でき、適切なサイトカインはIFNγまたはIL2またはTNFαであり、ここで抑制されたCD4+T細胞により活性化Treg細胞が同定され、それと共にTreg細胞アクチベーターとして前記物質が同定される)または
(iii)細胞内cAMP(すなわち細胞質ゾル内cAMP)量の測定(ここで細胞内cAMP量の増加は活性化Treg細胞の存在を示し、それと共にTreg細胞アクチベーターとして前記物質が同定される)
を用いて実施できる。
【0028】
活性化調節性T細胞(Treg細胞)の増加により臨床像を改善できる上記方法記載の疾患は、(i)非自己免疫性炎症性疾患:喘息、アレルギー性喘息、呼吸器アレルギー、アレルギー性鼻結膜炎、アレルギー性胞隔炎、接触アレルギー、アトピー性皮膚炎、神経皮膚炎、食物アレルギー、移植片対宿主疾患、非自己免疫性炎症性腸疾患、急性呼吸窮迫症候群、急性炎症性膵炎、熱傷、創傷治癒、皮膚瘢痕化障害、サルコイドーシス、ベーチェット病もしくはスイート症候群;(ii)自己免疫性炎症性疾患:関節リウマチ、リウマチ熱、全身性エリテマトーデス、潰瘍性大腸炎、クローン病、自己免疫性炎症性腸疾患、I型糖尿病、胃炎、自己免疫性萎縮性胃炎、自己免疫性肝炎、橋本甲状腺炎、甲状腺炎、多発性硬化症、重症筋無力症、自己免疫性溶血性貧血、アジソン病、強皮症、グッドパスチャー症候群、ギラン・バレー症候群、グレーヴズ病、糸球体腎炎、乾癬、尋常性天疱瘡、類天疱瘡、尋常性白斑、特発性白血球減少症、シェーグレン症候群もしくはウェゲナー肉芽腫症;(iii)臓器移植による炎症性疾患;(iv)骨髄移植;または(v)外因的に投与された自己もしくは非自己組換えポリペプチドによる疾患である。
【0029】
上記の(i)および(ii)で述べた読み取りシステムは、いくつかのステップを実施しなければならない方法であるため、1つのステップのみでTreg細胞が活性化されたかどうかを測定するために、上記(iii)で述べた、特定の新規試験系を発明した。Treg細胞の活性化状態は細胞内cAMP量と強い相関を持つという驚くべき発見に基づき、本発明は、Treg細胞が活性化されたかどうかを測定する特定の方法であって、
(a)Treg細胞を含む第1溶液を用意し、
(b)Treg細胞を含む第2溶液を用意し、
(c)少なくとも1つの試験物質を加えることにより第1溶液を処理し、
(d)第1および第2溶液の細胞内cAMP量を測定し、ここで第1溶液の細胞内cAMP量の増加により活性化Treg細胞の存在が示されること
を含む前記方法を提供する。
【0030】
より好ましい方法において、(a)の溶液はTreg細胞のみでなく、不活化同系CD3枯渇PBMC(末梢血単核細胞)または樹状細胞(DC)および同種CD8+T細胞または同種CD4+T細胞を含む。これらの細胞は、活性化Treg細胞を有する1つの溶液に混合されたとき、細胞内cAMP量をさらに増加させ、それと共により感度の高い読み取りシステムをもたらす。
【0031】
他の実施形態において、本発明は、CD4のHIV-1 gp120結合部位との相互作用により物質がTreg細胞を活性化できるかどうかを測定する方法であって、
(a)CD4のHIV-1 gp120結合部位と相互作用できる物質を事前選択し(事前選択の方法については下記参照のこと)、
(b)Treg細胞を含む溶液を用意し、ここでTreg細胞は、好ましくはCD4+CD25+Treg細胞またはTr1細胞またはTh3細胞であり、前記溶液は、より好ましくは、さらに、好ましくは照射またはマイトマイシンCにより不活化されている不活化同系CD3枯渇PBMC(末梢血単核細胞)または樹状細胞(DC)および同種CD8+T細胞または同種CD4+T細胞を含み、
(c)(a)記載の事前選択された物質とTreg細胞との相互作用を可能にする条件下で前記物質を加え、
(d)Treg細胞が活性化されたかどうかを測定し、ここで活性化Treg細胞によりTreg細胞アクチベーターとして前記物質が同定されること
を含む前記方法に関する。前記測定は、以下のような適切な読み取りシステム:
(i)CD8+T細胞が抑制されたかどうかの測定(これは、好ましくはCD8+T細胞の増殖抑制またはCD8+T細胞のCD25発現低下またはCD8+T細胞のサイトカイン産生抑制を測定することにより測定でき、適切なサイトカインはIFNγまたはIL2またはTNFαであり、ここで抑制されたCD8+T細胞により活性化Treg細胞が同定され、それと共にTreg細胞アクチベーターとして前記物質が同定される)または
(ii)CD4+T細胞が抑制されたかどうかの測定(これは、好ましくはCD4+T細胞の増殖抑制またはCD4+T細胞のCD25発現低下またはCD4+T細胞のサイトカイン産生抑制を測定することにより測定でき、適切なサイトカインはIFNγまたはIL2またはTNFαであり、ここで抑制されたCD4+T細胞により活性化Treg細胞が同定され、それと共にTreg細胞アクチベーターとして前記物質が同定される)または
(iii)細胞内cAMP量の測定(ここで細胞内cAMP量の増加は活性化Treg細胞の存在を示し、それと共にTreg細胞アクチベーターとして前記物質が同定される)
を用いて実施できる。
【0032】
本発明はまた、CD4のHIV-1 gp120結合部位と相互作用できる物質の同定を可能にし、それと共にCD4のHIV-1 gp120結合部位と相互作用できる物質の事前選択に使用できる方法を提供する。この方法は、
(a)CD4を含む第1溶液を用意し、
(b)CD4を含む第2溶液を用意し、
(c)HIV-1 gp120とCD4との結合を可能にする条件下で被験物質およびHIV-1 gp120を第1溶液に加え、
(d)HIV-1 gp120とCD4との結合を可能にする(c)と同様な条件下でHIV-1 gp120を第2溶液に加え、
(e)第1および第2溶液において、HIV-1 gp120がCD4に結合したかどうかを測定し、ここで第1溶液における結合HIV-1 gp120量の低下が、前記物質がCD4のHIV-1 gp120結合部位と相互作用できることを示すこと
を含む。
【0033】
CD4の代わりに、配列番号1記載のアミノ酸ストレッチを含むペプチドまたは配列番号1記載のペプチドが用いられる場合、本発明によりこの事前選択法をさらに実施することができる。より好ましい本発明記載の方法において、HIV-1 gp120の代わりに、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9および配列番号10に記載のアミノ酸配列を含むペプチドからなる群から選択されるペプチドが用いられるかまたは、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9および配列番号10に記載のアミノ酸配列からなるペプチドからなる群から選択されるペプチドが用いられる。
【0034】
他の実施形態において、本発明は、配列番号1記載のエピトープとの相互作用により物質が調節性T細胞(Treg)を活性化できるかどうかを測定する方法であって、
(a)Treg細胞を含む第1溶液を用意し、ここでTreg細胞は、好ましくはCD4+CD25+Treg細胞またはTr1細胞またはTh3細胞であり、前記溶液は、より好ましくは、さらに不活化同系CD3枯渇PBMC(好ましくは照射またはマイトマイシンCにより不活化されている末梢血単核細胞)もしくは樹状細胞(DC)および同種CD8+T細胞もしくは同種CD4+T細胞を含み、
(b)Treg細胞と被験物質との相互作用を可能にする条件下で前記物質を添加し、
(c)第1溶液のTreg細胞が活性化されたかどうかを測定し、
(d)Treg細胞を含む第2溶液を用意し、ここでTreg細胞は、好ましくはCD4+CD25+Treg細胞またはTr1細胞またはTh3細胞であり、前記溶液は、より好ましくは、さらに不活化同系CD3枯渇PBMC(好ましくは照射またはマイトマイシンCにより不活化されている末梢血単核細胞)もしくは樹状細胞(DC)および同種CD8+T細胞もしくは同種CD4+T細胞を含み、
(e)(b)と同様な条件下で、前記物質および配列番号1記載のアミノ酸配列を含むペプチドを加え、
(f)第2溶液のTreg細胞が活性化されたかどうかを測定し、前記測定は、以下のような適切な読み取りシステム:
(i)CD8+T細胞が抑制されたかどうかの測定(これは、好ましくはCD8+T細胞の増殖抑制またはCD8+T細胞のCD25発現低下またはCD8+T細胞のサイトカイン産生抑制を測定することにより測定でき、適切なサイトカインはIFNγまたはIL2またはTNFαであり、ここで抑制されたCD8+T細胞により活性化Treg細胞が同定され、それと共にTreg細胞アクチベーターとして前記物質が同定される)または
(ii)CD4+T細胞が抑制されたかどうかの測定(これは、好ましくはCD4+T細胞の増殖抑制またはCD4+T細胞のCD25発現低下またはCD4+T細胞のサイトカイン産生抑制を測定することにより測定でき、適切なサイトカインはIFNγまたはIL2またはTNFαであり、ここで抑制されたCD4+T細胞により活性化Treg細胞が同定され、それと共にTreg細胞アクチベーターとして前記物質が同定される)または
(iii)細胞内cAMP量の測定(ここで細胞内cAMP量の増加は活性化Treg細胞の存在を示し、それと共にTreg細胞アクチベーターとして前記物質が同定される)
を用いて実施でき;
(g)(c)から得られた結果と(f)から得られた結果とを比較し、ここで(f)の活性化低下により、配列番号1記載のエピトープとの相互作用によりTreg細胞を活性化するTreg細胞アクチベーターとして前記物質が同定されること
を含む前記方法に関する。
【0035】
より好ましい方法において、前記の方法のステップ(e)において、用いられるペプチドは、配列番号1のアミノ酸番号1〜31、配列番号2のアミノ酸番号26〜458、配列番号2のアミノ酸番号26〜419、配列番号2のアミノ酸番号26〜207、配列番号2のアミノ酸番号26〜131および配列番号2のアミノ酸番号46〜89を含む単離されたペプチドからなる群から選択されるか、あるいは用いられるペプチドは、配列番号1のアミノ酸番号1〜31に加えて、さらなる上流のおよび/または下流のアミノ酸を有し、ここで配列番号1記載のアミノ酸ストレッチに対する物質の結合をさらなるアミノ酸が妨げないことを必要条件とする単離されたペプチドである。前記のさらなる上流のアミノ酸またはアミノ酸ストレッチは、好ましくは、配列番号2位置53、位置52〜53、位置51〜53、位置50〜53、位置49〜53、位置48〜53、位置47〜53、位置46〜53、位置45〜53、位置44〜53、位置43〜53、位置42〜53、位置41〜53、位置40〜53、位置39〜53、位置38〜53、位置37〜53、位置36〜53、位置35〜53、位置34〜53、位置33〜53、位置32〜53、位置31〜53、位置30〜53、位置29〜53、位置28〜53、位置27〜53、位置26〜53、位置25〜53、位置24〜53、位置23〜53、位置22〜53、位置21〜53、位置20〜53、位置19〜53、位置18〜53、位置17〜53、位置16〜53、位置15〜53、位置14〜53、位置13〜53、位置12〜53、位置11〜53、位置10〜53、位置9〜53、位置8〜53、位置7〜53、位置6〜53、位置5〜53、位置4〜53、位置3〜53、位置2〜53、および位置1〜53に記載のアミノ酸またはアミノ酸ストレッチからなる群から選択される。より好ましいペプチドは、さらに、配列番号2の位置85または位置85〜n(ここでnは86〜458の整数である)、すなわち位置85〜86、85〜87、85〜88、85〜89、85〜90、85〜91、85〜92、85〜93、85〜94、85〜95、85〜96、85〜97、85〜98、85〜99、85〜100、85〜101、85〜102、85〜103、85〜104、85〜105、85〜106、85〜107、85〜108、85〜109、85〜110、85〜111、85〜112、85〜113、85〜114、85〜115、85〜116、85〜117、85〜118、85〜119、85〜120、85〜121、85〜122、85〜123、85〜124、85〜125、85〜126、85〜127、85〜128、85〜129、85〜130、85〜131、85〜132、85〜133、85〜134、85〜135、85〜136、85〜137、85〜138、85〜139、85〜140、85〜141、85〜142、85〜143、85〜144、85〜145、85〜146、85〜147、85〜148、85〜149、85〜150、85〜151、85〜152、85〜153、85〜154、85〜155、85〜156、85〜157、85〜158、85〜159、85〜160、85〜161、85〜162、85〜163、85〜164、85〜165、85〜166、85〜167、85〜168、85〜169、85〜170、85〜171、85〜172、85〜173、85〜174、85〜175、85〜176、85〜177、85〜178、85〜179、85〜180、85〜181、85〜182、85〜183、85〜184、85〜185、85〜186、85〜187、85〜188、85〜189、85〜190、85〜191、85〜192、85〜193、85〜194、85〜195、85〜196、85〜197、85〜198、85〜199、85〜200、85〜201、85〜202、85〜203、85〜204、85〜205、85〜206、85〜207、85〜208、85〜209、85〜210、85〜211、85〜212、85〜213、85〜214、85〜215、85〜216、85〜217、85〜218、85〜219、85〜220、85〜221、85〜222、85〜223、85〜224、85〜225、85〜226、85〜227、85〜228、85〜229、85〜230、85〜231、85〜232、85〜233、85〜234、85〜235、85〜236、85〜237、85〜238、85〜239、85〜240、85〜241、85〜242、85〜243、85〜244、85〜245、85〜246、85〜247、85〜248、85〜249、85〜250、85〜251、85〜252、85〜253、85〜254、85〜255、85〜256、85〜257、85〜258、85〜259、85〜260、85〜261、85〜262、85〜263、85〜264、85〜265、85〜266、85〜267、85〜268、85〜269、85〜270、85〜271、85〜272、85〜273、85〜274、85〜275、85〜276、85〜277、85〜278、85〜279、85〜280、85〜281、85〜282、85〜283、85〜284、85〜285、85〜286、85〜287、85〜288、85〜289、85〜290、85〜291、85〜292、85〜293、85〜294、85〜295、85〜296、85〜297、85〜298、85〜299、85〜300、85〜301、85〜302、85〜303、85〜304、85〜305、85〜306、85〜307、85〜308、85〜309、85〜310、85〜311、85〜312、85〜313、85〜314、85〜315、85〜316、85〜317、85〜318、85〜319、85〜320、85〜321、85〜322、85〜323、85〜324、85〜325、85〜326、85〜327、85〜328、85〜329、85〜330、85〜331、85〜332、85〜333、85〜334、85〜335、85〜336、85〜337、85〜338、85〜339、85〜340、85〜341、85〜342、85〜343、85〜344、85〜345、85〜346、85〜347、85〜348、85〜349、85〜350、85〜351、85〜352、85〜353、85〜354、85〜355、85〜356、85〜357、85〜358、85〜359、85〜360、85〜361、85〜362、85〜363、85〜364、85〜365、85〜366、85〜367、85〜368、85〜369、85〜370、85〜371、85〜372、85〜373、85〜374、85〜375、85〜376、85〜377、85〜378、85〜379、85〜380、85〜381、85〜382、85〜383、85〜384、85〜385、85〜386、85〜387、85〜388、85〜389、85〜390、85〜391、85〜392、85〜393、85〜394、85〜395、85〜396、85〜397、85〜398、85〜399、85〜400、85〜401、85〜402、85〜403、85〜404、85〜405、85〜406、85〜407、85〜408、85〜409、85〜410、85〜411、85〜412、85〜413、85〜414、85〜415、85〜416、85〜417、85〜418、85〜419、85〜420、85〜421、85〜422、85〜423、85〜424、85〜425、85〜426、85〜427、85〜428、85〜429、85〜430、85〜431、85〜432、85〜433、85〜434、85〜435、85〜436、85〜437、85〜438、85〜439、85〜440、85〜441、85〜442、85〜443、85〜444、85〜445、85〜446、85〜447、85〜448、85〜449、85〜450、85〜451、85〜452、85〜453、85〜454、85〜455、85〜456、85〜457または85〜458に記載の1以上のアミノ酸を下流に含む。
【0036】
本発明に関連して、本発明記載のアッセイにおいて、新規および既知の物質を試験した。その結果として、本発明のTreg細胞アクチベーターとして作用することができる物質を同定できた。すなわちこのような物質は、配列番号1に記載のTreg細胞エピトープとの相互作用によりTreg細胞を活性化でき、このことをin vivoで証明できた。
【0037】
従って、本発明はTreg細胞アクチベーターを提供する。
【0038】
構造的にはペプチドまたはポリペプチドであり、好ましくはその結合フラグメントの抗体または足場ペプチドである本発明記載のTreg細胞アクチベーターが開示される。
【0039】
本発明は、配列番号1に記載のペプチドに結合できる新規抗体またはその結合フラグメントに関するが、ただし抗体または抗体フラグメントはOKT4A、OKT4D4、OKTcdr4aまたはLeu3ではない。前記の権利を放棄した抗体は、全てまったく異なる技術分野、すなわちTreg細胞の活性化および本発明記載の疾患とは関連しないHIV-1研究に関連している。(a)HIV-1関連疾患の技術分野と(b)本発明記載の疾患、例えば自己免疫疾患、アレルギー、喘息、移植片拒絶および、臓器移植または非自己もしくは自己の生物学的実体のそれを必要とするヒトへの治療的投与により引き起こされる免疫寛容の欠如による疾患とが本発明により初めて結びつけられた。
【0040】
さらなる好ましいTreg細胞アクチベーターペプチドは、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9および配列番号10に記載のアミノ酸配列を含むペプチドからなる群から選択されるペプチドであるか、または配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9および配列番号10に記載のアミノ酸配列からなるペプチドからなる群から選択されるペプチドである。
【0041】
より好ましいTreg細胞アクチベーターポリペプチドは、HIV-1 gp120、化学構造が、Yangら(2005)の6124ページ図1に開示されているNSC 13778、化学構造がFrankeら(2007)の4ページ右段下に開示されている、コンホメーションが柔軟な足場により結合する3つのHIV-1 gp120フラグメントを与えるpeptide2、Mizukamiら(1988)の9273ページ右段19行目に開示されている、CD4のHIV-1 gp120結合領域に結合するモノクローナル抗体OKT4A、Mizukamiら(1988)の9273ページ右段19行目に開示されている、CD4のHIV-1 gp120結合領域に結合するモノクローナル抗体OKT4D、Morelandら(1998)の222ページ右段1行目に開示されているマウスOKT4a由来のモノクローナル抗体OKTcdr4a、Lohmannら(1992)の3248ページ左段7行目に開示されている、CD4のHIV-1 gp120結合部位にオーバーラップするエピトープに結合するモノクローナル抗体Leu3およびRepkeら(1992)の1809ページ要約11行目および1812ページ左段37行目に開示されている、CD4のCDR2様領域に結合するモノクローナル抗体MAX.12H5からなる群から選択される。
【0042】
本発明記載の前記のTreg細胞アクチベーターのそれぞれは、(i)非自己免疫性炎症性疾患:喘息、アレルギー性喘息、呼吸器アレルギー、アレルギー性鼻結膜炎、アレルギー性胞隔炎、接触アレルギー、アトピー性皮膚炎、神経皮膚炎、食物アレルギー、移植片対宿主疾患、非自己免疫性炎症性腸疾患、急性呼吸窮迫症候群、急性炎症性膵炎、熱傷、創傷治癒、皮膚瘢痕化障害、サルコイドーシス、ベーチェット病、スイート症候群;(ii)自己免疫性炎症性疾患:関節リウマチ、リウマチ熱、全身性エリテマトーデス、潰瘍性大腸炎、クローン病、自己免疫性炎症性腸疾患、I型糖尿病、胃炎、自己免疫性萎縮性胃炎、自己免疫性肝炎、橋本甲状腺炎、甲状腺炎、多発性硬化症、重症筋無力症、自己免疫性溶血性貧血、アジソン病、強皮症、グッドパスチャー症候群、ギラン・バレー症候群、グレーヴズ病、糸球体腎炎、乾癬、尋常性天疱瘡、類天疱瘡、尋常性白斑、特発性白血球減少症、シェーグレン症候群、ウェゲナー肉芽腫症;(iii)臓器移植による炎症性疾患;(iv)骨髄移植;および(v)外因的に投与された自己もしくは非自己組換えポリペプチドによる疾患からなる群から選択される疾患の治療薬として使用でき、かつ治療薬の製造のために使用できる。
【0043】
本発明の他の実施形態は、本発明記載の少なくとも1つのTreg細胞アクチベーター、好ましくはHIV-1 gp120を活性成分として含み、従来の方法で製剤化できる医薬組成物に関する。このような製剤の製造方法は、マニュアル、例えば“Remington Pharmaceutical Science”において見出すことができる。本発明記載の少なくとも1つの物質の製剤化に役立つ成分の例は、WO99/18193においても見いだされ、これは参照により本願に組み込まれる。
【0044】
本組成物は公知の方法、例えば、通常の混合、溶解、顆粒化、糖衣加工、浮揚、粉末化、乳化、カプセル化、凍結乾燥品の封入などのプロセスにより製造できる。
【0045】
他の側面において、本発明は、活性化Treg細胞の増加によりその臨床像に好影響を与えることができることを特徴とする疾患の治療方法であって、このような治療を必要とする生き物、好ましくはヒトに少なくとも1つの本発明記載のTreg細胞アクチベーター、好ましくはHIV-1 gp120またはHIV-1 gp120由来フラグメントおよびそのペプチドを含む適切な量の医薬組成物を投与することを含む前記方法を教示している。従って、本発明は、(i)非自己免疫性炎症性疾患:喘息、アレルギー性喘息、呼吸器アレルギー、アレルギー性鼻結膜炎、アレルギー性胞隔炎、接触アレルギー、アトピー性皮膚炎、神経皮膚炎、食物アレルギー、移植片対宿主疾患、非自己免疫性炎症性腸疾患、急性呼吸窮迫症候群、急性炎症性膵炎、熱傷、創傷治癒、皮膚瘢痕化障害、サルコイドーシス、ベーチェット病もしくはスイート症候群;(ii)自己免疫性炎症性疾患:関節リウマチ、リウマチ熱、全身性エリテマトーデス、潰瘍性大腸炎、クローン病、自己免疫性炎症性腸疾患、I型糖尿病、胃炎、自己免疫性萎縮性胃炎、自己免疫性肝炎、橋本甲状腺炎、甲状腺炎、多発性硬化症、重症筋無力症、自己免疫性溶血性貧血、アジソン病、強皮症、グッドパスチャー症候群、ギラン・バレー症候群、グレーヴズ病、糸球体腎炎、乾癬、尋常性天疱瘡、類天疱瘡、尋常性白斑、特発性白血球減少症、シェーグレン症候群もしくはウェゲナー肉芽腫症;(iii)臓器移植による炎症性疾患;(iv)骨髄移植;または(v)外因的に投与された自己もしくは非自己組換えポリペプチドによる疾患の治療方法であって、このような治療を必要とする生き物に少なくとも1つのTreg細胞アクチベーターを含む適切な量の医薬組成物を投与することを含む前記方法を提供する。
【0046】
本発明は、さらに、外因的に投与された自己または非自己組換えポリペプチドによる好ましくない免疫反応を低下および/または予防する本発明記載のTregアクチベーターの使用を提供し、また好ましくない免疫反応を低下または予防する方法であって、(a)非ヒト動物、好ましくは非ヒト霊長類に、十分な量の本発明記載の少なくとも1つのTreg細胞アクチベーターを投与することを含む前記方法を提供する。
【0047】
他の実施形態において、本発明は、物質が本発明記載のTreg細胞アクチベーターかどうかを測定する試験系であって、少なくとも
a)Treg細胞および
b)少なくとも配列番号1に記載のエピトープを含むペプチド
を含む前記試験系を提供する。
【0048】
本発明の好ましい試験系において、b)のペプチドは、配列番号2のアミノ酸番号26〜458、配列番号2のアミノ酸番号26〜419、配列番号2のアミノ酸番号26〜207、配列番号2のアミノ酸番号26〜131および配列番号2のアミノ酸番号46〜89を含む単離されたペプチドからなる群から選択され、あるいは用いられるペプチドは、ペプチドが、配列番号1のアミノ酸番号1〜31に加えて、さらなる上流のおよび/または下流のアミノ酸を有する単離されたペプチドであり、ここで配列番号1記載のアミノ酸ストレッチに対する物質の結合をさらなるアミノ酸が妨げないことを必要条件とする単離されたペプチドである。前記のさらなる上流のアミノ酸またはアミノ酸ストレッチは、好ましくは、配列番号2の位置53、位置52〜53、位置51〜53、位置50〜53、位置49〜53、位置48〜53、位置47〜53、位置46〜53、位置45〜53、位置44〜53、位置43〜53、位置42〜53、位置41〜53、位置40〜53、位置39〜53、位置38〜53、位置37〜53、位置36〜53、位置35〜53、位置34〜53、位置33〜53、位置32〜53、位置31〜53、位置30〜53、位置29〜53、位置28〜53、位置27〜53、位置26〜53、位置25〜53、位置24〜53、位置23〜53、位置22〜53、位置21〜53、位置20〜53、位置19〜53、位置18〜53、位置17〜53、位置16〜53、位置15〜53、位置14〜53、位置13〜53、位置12〜53、位置11〜53、位置10〜53、位置9〜53、位置8〜53、位置7〜53、位置6〜53、位置5〜53、位置4〜53、位置3〜53、位置2〜53および位置1〜53に記載のアミノ酸またはアミノ酸ストレッチからなる群から選択される。より好ましいペプチドは、さらに、配列番号2の位置85または位置85〜n(ここでnは86〜458の整数である)、すなわち位置85〜86、85〜87、85〜88、85〜89、85〜90、85〜91、85〜92、85〜93、85〜94、85〜95、85〜96、85〜97、85〜98、85〜99、85〜100、85〜101、85〜102、85〜103、85〜104、85〜105、85〜106、85〜107、85〜108、85〜109、85〜110、85〜111、85〜112、85〜113、85〜114、85〜115、85〜116、85〜117、85〜118、85〜119、85〜120、85〜121、85〜122、85〜123、85〜124、85〜125、85〜126、85〜127、85〜128、85〜129、85〜130、85〜131、85〜132、85〜133、85〜134、85〜135、85〜136、85〜137、85〜138、85〜139、85〜140、85〜141、85〜142、85〜143、85〜144、85〜145、85〜146、85〜147、85〜148、85〜149、85〜150、85〜151、85〜152、85〜153、85〜154、85〜155、85〜156、85〜157、85〜158、85〜159、85〜160、85〜161、85〜162、85〜163、85〜164、85〜165、85〜166、85〜167、85〜168、85〜169、85〜170、85〜171、85〜172、85〜173、85〜174、85〜175、85〜176、85〜177、85〜178、85〜179、85〜180、85〜181、85〜182、85〜183、85〜184、85〜185、85〜186、85〜187、85〜188、85〜189、85〜190、85〜191、85〜192、85〜193、85〜194、85〜195、85〜196、85〜197、85〜198、85〜199、85〜200、85〜201、85〜202、85〜203、85〜204、85〜205、85〜206、85〜207、85〜208、85〜209、85〜210、85〜211、85〜212、85〜213、85〜214、85〜215、85〜216、85〜217、85〜218、85〜219、85〜220、85〜221、85〜222、85〜223、85〜224、85〜225、85〜226、85〜227、85〜228、85〜229、85〜230、85〜231、85〜232、85〜233、85〜234、85〜235、85〜236、85〜237、85〜238、85〜239、85〜240、85〜241、85〜242、85〜243、85〜244、85〜245、85〜246、85〜247、85〜248、85〜249、85〜250、85〜251、85〜252、85〜253、85〜254、85〜255、85〜256、85〜257、85〜258、85〜259、85〜260、85〜261、85〜262、85〜263、85〜264、85〜265、85〜266、85〜267、85〜268、85〜269、85〜270、85〜271、85〜272、85〜273、85〜274、85〜275、85〜276、85〜277、85〜278、85〜279、85〜280、85〜281、85〜282、85〜283、85〜284、85〜285、85〜286、85〜287、85〜288、85〜289、85〜290、85〜291、85〜292、85〜293、85〜294、85〜295、85〜296、85〜297、85〜298、85〜299、85〜300、85〜301、85〜302、85〜303、85〜304、85〜305、85〜306、85〜307、85〜308、85〜309、85〜310、85〜311、85〜312、85〜313、85〜314、85〜315、85〜316、85〜317、85〜318、85〜319、85〜320、85〜321、85〜322、85〜323、85〜324、85〜325、85〜326、85〜327、85〜328、85〜329、85〜330、85〜331、85〜332、85〜333、85〜334、85〜335、85〜336、85〜337、85〜338、85〜339、85〜340、85〜341、85〜342、85〜343、85〜344、85〜345、85〜346、85〜347、85〜348、85〜349、85〜350、85〜351、85〜352、85〜353、85〜354、85〜355、85〜356、85〜357、85〜358、85〜359、85〜360、85〜361、85〜362、85〜363、85〜364、85〜365、85〜366、85〜367、85〜368、85〜369、85〜370、85〜371、85〜372、85〜373、85〜374、85〜375、85〜376、85〜377、85〜378、85〜379、85〜380、85〜381、85〜382、85〜383、85〜384、85〜385、85〜386、85〜387、85〜388、85〜389、85〜390、85〜391、85〜392、85〜393、85〜394、85〜395、85〜396、85〜397、85〜398、85〜399、85〜400、85〜401、85〜402、85〜403、85〜404、85〜405、85〜406、85〜407、85〜408、85〜409、85〜410、85〜411、85〜412、85〜413、85〜414、85〜415、85〜416、85〜417、85〜418、85〜419、85〜420、85〜421、85〜422、85〜423、85〜424、85〜425、85〜426、85〜427、85〜428、85〜429、85〜430、85〜431、85〜432、85〜433、85〜434、85〜435、85〜436、85〜437、85〜438、85〜439、85〜440、85〜441、85〜442、85〜443、85〜444、85〜445、85〜446、85〜447、85〜448、85〜449、85〜450、85〜451、85〜452、85〜453、85〜454、85〜455、85〜456、85〜457または85〜458に記載の1以上のアミノ酸を下流に含む。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】HIV-1 gp120処理によるヒトCD4+CD25+Treg細胞の活性化を示す図である。CD4+CD25+Treg細胞の抑制機能のみへのHIV-1 gp120の影響を研究するために、我々は、エフェクターとしてCD8+T細胞を含む共培養アッセイを開発して、HIV-1 gp120の後者への影響を排除した。従って、分離されたCD4+CD25+Treg細胞を、T細胞枯渇同系PBMCおよび同種CD8+エフェクターT細胞と共培養する。この設定において、アロ反応性CD8+エフェクターT細胞の増殖は、例えば抗CD3mAbによるさらなる刺激または活性化HIV-1 gp120媒介シグナルを受けた活性化CD4+CD25+Treg細胞によってのみ抑制される(HIV-1 gp120タンパク質は、すべてProtein Sciences Corp.社(米国・メリデン)による)。分離されたCD25+Treg細胞1x105個を、種々のHIV-1 gp120標品の存在下/非存在下で、照射(50Gy)同系T細胞枯渇PBMC 3x105個および同種CD8+エフェクターT細胞1x105個と共にインキュベートした。0.5μg/ml抗CD3抗体(OKT-3)の添加を陽性対照とした。4日後に、3H-Tdr取り込みにより増殖を測定した。灰色棒はCD8+T細胞および不活化同系CD3枯渇PBMCの増殖を表し、白抜き棒はCD4+CD25+Tregの増殖を表し、黒い棒はCD4+CD25+Treg細胞および不活化同系CD3枯渇PBMCと共培養したCD8+T細胞の増殖を表す。不活化により、PBMCは試料の増殖に寄与しない。低い白抜き棒に見られるように、Tregは、すべての条件下(さらなる刺激なし、または抗CD3、またはHIV-1 gp120 MN、またはHIV-1 gp120 LAV、またはHIV-1 gp120 CM)で顕著な増殖を示さない。CD8+T細胞(灰色棒)と、Treg細胞と共培養したCD8+T細胞(黒い棒)は、対照であるさらなる刺激なしの条件下で、同程度に増殖することを示している。抗CD3抗体刺激により、CD8+T細胞(灰色棒)は増殖の顕著な増加を示すが、Treg細胞と共培養したCD8+T細胞(黒い棒)は増殖低下を表し、このことは、抗CD3抗体活性化、従って抑制性TregによるCD8+T細胞の増殖抑制を示す。効果は、抗CD3抗体用量依存的である。HIV-1 gp120 MNまたは HIV-1 gp120 LAVまたはHIV-1 gp120 CMでの刺激により、Treg細胞と共培養したCD8+T細胞(黒い棒)は、TregなしのCD8+T細胞(灰色棒)と対照的に増殖は低下し、このことはHIV-1 gp120によりTregが活性化されること示している。HIV-1 gp120はTregを活性化し、続いてCD8+T細胞の増殖を低下させることによりCD8+T細胞に対する抑制活性を発揮するすることを、このことは明らかに示している。Treg細胞の抑制活性、従って増殖低下は、HIV-1 gp120用量依存的である。
【図2】CD4+CD25+Treg細胞におけるサイクリックAMP測定の図である。HIV-1 gp120処理は、ヒトCD4+CD25+Treg細胞における細胞質ゾル内cAMPを増大させる。CD4+CD25+調節性T細胞(CD25)を、非処理で放置する(φ)か、あるいは抗CD3モノクローナル抗体(OKT-3;1μg/ml)またはHIV-1 gp120(1μg/ml)で刺激する。16時間の刺激後、CD4+CD25+調節性T細胞を溶解し(1x107個/ml)、T細胞1x106個の細胞質ゾル内cAMP濃度をcAMP特異的ELISAを用いて評価する。CD4+CD25+調節性T細胞(CD25)を、非処理で放置する(φ)か、あるいは抗CD3モノクローナル抗体(OKT-3;1μg/ml)またはHIV-1 gp120(1μg/ml)で刺激する。16時間の刺激後、CD4+CD25+調節性T細胞を溶解し(1x107個/ml)、T細胞1x106個の細胞質ゾル内cAMP濃度をcAMP特異的ELISAを用いて評価する。棒は、非処理Treg細胞または種々の刺激で処理したTreg細胞における細胞質ゾル内(細胞内)サイクリックAMP(cAMP)の量を示す。上部の棒は非処理で放置したTreg(φ)を表し、細胞内cAMPの基礎レベルを示す。抗CD3抗体刺激(OKT-3)後、Tregは活性化され、二番目の棒で示すように、非処理対照(上部の棒)と比較して細胞内cAMPが増加していることを示す。下部の棒で示すように、HIV-1 gp120でのTregの処理は、細胞内cAMPの増加も誘発する。このことは、種々の刺激でのTreg細胞の活性化により、活性化の読み取り情報として使用できる細胞質ゾル内cAMPの増加が誘発されることを明らかにしている。
【図3】NOD-ScidマウスへのPBMCの移植によるGVHDの誘発および調節性T細胞(Treg)のさらなる移植によるGVHDの予防を示す図である。3〜6日齢のNOD-Scidマウスの腹腔内に、ヒトPBMC 1x107個のみ(円)またはヒトPBMC 1x107個およびヒト調節性T細胞2,5x106個(三角形)を注入する。対照マウス(菱形)にはPBMCを投与しなかった。PBMCを投与したマウスは、致死性GVHDを発症し、成長せず死亡する。調節性T細胞をさらに投与した動物は、GVHDの発症が予防され、正常に発育する(1群あたりマウス3匹)。GVHDの重症度のスコアを付けるためのパラメータとして、体重増加/体重減少という不全を用いる。本図は、移植後の種々の時点での相対体重を示す。
【図4】NOD-ScidマウスへのPBMCの移植によるGVHDの誘発およびHIV gp120のさらなる注入によるGVHDの予防を示す図である。3〜6日齢のNOD-Scidマウスの腹腔内に、ヒトPBMC 1x107個のみ(円)またはヒトPBMC 1x107個およびHIV gp120 5μg(三角形)を注入する。対照マウス(菱形)にはPBMCを投与しなかった。PBMCを投与したマウスは、致死性GVHDを発症し、成長せず死亡する。HIV gp120をさらに投与した動物は、GVHDの発症が予防され、正常に発育する(1群あたりマウス3匹)。GVHDの重症度のスコアを付けるためのパラメータとして、体重増加/体重減少という不全を用いる。本図は、移植後の種々の時点での相対体重を示す。
【図5】PBMCを移植したNOD-ScidマウスにおけるHIV gp120のさらなる注入によるGVHDの予防は、調節性T細胞の存在に依存することを示す図である。3〜6日齢のNOD-Scidマウスの腹腔内に、ヒトCD25枯渇PBMC 1x107個のみ(円)またはヒトCD25枯渇PBMC 1x107個およびHIV gp1205μg(三角形)を注入する。対照マウス(菱形)にはPBMCを投与しなかった。CD25枯渇PBMCを投与したマウスは、致死性GVHDを発症し、成長せず死亡する。ヒトCD25枯渇PBMC 1x107個に加えてHIV gp120を投与した動物は、GVHDの発症が予防されず、やはり成長せず死亡する。GVHDの重症度のスコアを付けるためのパラメータとして、体重増加/体重減少という不全を用いる。本図は、移植後の種々の時点での相対体重を示す。 以下の実施例は本発明を説明することを意図したものであり、これらを限定と解釈してはならない。しかしながら、以下の実施例は、本発明の最も好ましい実施形態を説明している。
【発明を実施するための形態】
【0050】
(実施例)
(1)少なくとも配列番号1に記載のエピトープを含むペプチドに物質が結合できるかどうかを測定するためのCD4/HIV-1 gp120競合アッセイ
CD4(sCD4、Immunodiagnostics社、米国)100ng/ウェル(PBS溶液、pH7.4)を用い、終夜4℃で96ウェルアッセイプレート(Nunc社、ドイツ)をコーティングする。コーティングしたプレートをPBS/3%BSA緩衝液で飽和させ、3回洗浄する。試験物質の結合を測定するために、種々の濃度で試料を1時間添加する。対照ウェルには試験物質を添加しない。3回洗浄後、プレートにHIV-1 gp120-ペルオキシダーゼ結合体(Immunodiagnostics社、米国)を1時間添加する。3回洗浄して、非結合HIV-1 gp120-ペルオキシダーゼ結合体を取り除く。洗浄後、ペルオキシダーゼ用3,3,5,5-テトラメチルベンジジン発色基質(Pierce社、米国)を添加し、450nmでの吸光度を測定する。CD4HIV-1 gp120結合部位と相互作用する物質は、標識HIV-1 gp120の結合をブロックし、対照と比較してシグナルが低下するので同定することが可能である。
【0051】
(2)例えばHIV-1 gp120またはHIV-1 gp120とCD4+CD25+Tregとの結合に干渉できる物質が、CD4+CD25+Tregを活性化でき、それと共に自己免疫疾患(例えば炎症性腸疾患、多発性硬化症、関節リウマチ、乾癬、I型糖尿病、狼瘡エリテマトーデス、尋常性天疱瘡、甲状腺炎)、病因に自己免疫学的側面を有する他の疾患、例えば尋常性白斑、アトピー性皮膚炎、アレルギー(例えばアレルギー性鼻炎)、喘息(例えばアレルギー性喘息)、GVHD(移植片対宿主疾患)、移植片拒絶の治療に有用であることができるかどうかを測定するアッセイ
(2.1)細胞の分離法
(2.1.1)PBMCの分離
健常人の通常のバフィーコート調製物から標準的な密度勾配遠心分離により分離されるPBMC(末梢血単核細胞)から分離法を始める。また、末梢血全血または白血球アフェレーシス産物から分離したPBMCを使用することもできる。
【0052】
バフィーコートからの血液を、0.2%Liquemine(ヘパリンナトリウム)および2mM EDTAを含有するPBS(リン酸緩衝化生理食塩水)を用いて、室温で1:1に希釈する。準備されたFicoll層上に希釈血液を入念にピペッティングし(50ml管あたり、Ficoll層15mlについて希釈血液30ml)、室温で15min.(分間)200xgで(ブレーキをかけて)遠心分離する。上部の液体8〜10mlを注意深く除き、室温で15分間450xgで(ブレーキ無しで)管を遠心分離する。各勾配の中間相からPBMCを採取し、別々にPBS/1mM EDTA 50mlで3回洗浄し、次いでプールし、さらに2回洗浄する。最後に、細胞培養培地のX-VIVO-15(Cambrex社、ベルギー・ヴェルヴィエ)にPBMCを再希釈し、計数する。
【0053】
(2.1.2)CD4+ヘルパーT細胞の分離
Treg細胞の抑制活性を測定するために、高度に精製した細胞集団が必要である。従って、抗体被覆磁性ビーズを用いる(Miltenyi社(ドイツ)および/またはDynal社(ノルウェー))。磁性ビーズは、ここでは、特定のモノクローナル抗体に結合した常磁性粒子のことをいう。これは標的細胞集団を磁気標識するために用いられる。この抗体被覆磁性ビーズは標的細胞に結合する。この標識細胞画分は磁力により保持され、続いて高度に精製した状態で回収できる(正の選択(positive selection))。CD4+CD25-ヘルパーT細胞の正の分離(positive isolation)の前に、製造業者の使用説明書(Miltenyi社、ドイツ)に従って、洗浄緩衝液50mlでPBMCを2回洗浄する。CD4+T細胞の分離のために、製造業者の使用説明書に従ってCD4マイクロビーズ(Miltenyi社、ドイツ、マイクロビーズ2〜4μL/PBMC 107個)を用いる。製造業者の使用説明書に従って、MACS分離装置(Miltenyi社)を用いてCD4+画分を分離する。MACS分離装置は、磁力により磁性ビーズ標識細胞を保持する。第2ステップにおいて、製造業者の使用説明書(詳細については、2.1.4参照)に従って、CD25 Dynabeads(Dynal社、ノルウェー)を用い、0.5ビーズ/細胞の条件で、混在するCD4+CD25+Treg細胞を枯渇させる。この枯渇方法により、高度に精製したCD4+CD25-ヘルパーT細胞が得られる(負の選択(negative selection))。
【0054】
代替法として、CD4+T細胞の分離法において、CD4+細胞へのCD4抗体の結合を回避するために(CD4依存性前活性化をさけるために)、負の分離(negative isolation)キット(Miltenyi社、ドイツ)を用い、製造業者の使用説明書に従って、untouched CD4+ヘルパーT細胞を調製する。CD4+ヘルパーT細胞の負の分離の前に、製造業者の使用説明書(Miltenyi社、ドイツ)に従って、洗浄緩衝液50mlでPBMCを2回洗浄する。CD4+ヘルパーT細胞の分離のために、ビオチン化CD45RO、CD8、CD14、CD16、CD19、CD56、CD36、CD123、抗TCRγ/δおよびCD235a抗体のカクテルと共にPBMCをインキュベートする。続いて、これらの細胞を、枯渇のために抗ビオチンマイクロビーズで磁気標識する。
【0055】
MACS分離装置(Miltenyi社)を用い、製造業者の使用説明書に従ってCD4+画分を分離する。MACS分離装置は、磁力により磁性ビーズ標識細胞を保持する。第2ステップにおいて、製造業者の使用説明書(詳細については、2.1.4参照)に従って、CD25 Dynabeads(Dynal社、ノルウェー)を用い、0.5ビーズ/細胞の条件で、混在するCD4+CD25+Treg細胞を枯渇させる。
【0056】
(2.1.3)CD8+エフェクターT細胞の分離
CD8+エフェクターT細胞の正の分離の前に、製造業者の使用説明書(Miltenyi社、ドイツ)に従って、洗浄緩衝液50mlでPBMCを2回洗浄する。CD8+CD25-T細胞の分離のために、製造業者の使用説明書に従ってCD8マイクロビーズ(Miltenyi社、ドイツ、マイクロビーズ2〜4μL/PBMC 107個)を用いる。MACS分離装置(Miltenyi社)を用い、製造業者の使用説明書に従ってCD8+画分を分離する。第2ステップにおいて、製造業者の使用説明書(詳細については、2.1.4参照)に従って、CD25 Dynabeads(Dynal社、ノルウェー)を用い、0.5ビーズ/細胞の条件で、混在するCD4+CD25+Treg細胞を枯渇させる。この枯渇方法により、高度に精製したCD4+CD25-エフェクターT細胞が得られる(負の選択)。
【0057】
(2.1.4)CD4+CD25+Treg細胞の分離
CD4+CD25+Treg細胞の分離のために、正および負の選択を組み合わせる。製造業者の使用説明書に従って(Miltenyi社、ドイツ)PBMCを洗浄緩衝液で洗浄し、続いて、製造業者の使用説明書に従って、分離緩衝液(1×108個/ml)中、4℃で20分間CD25マイクロビーズ(マイクロビーズ2μL/PBMC 107個)と共にインキュベートする。その後、PBSで細胞を2回洗浄する。MACS分離装置(Miltenyi社)を用いて、製造業者の使用説明書に従って、CD25+画分を分離する。正の選択で得たCD25+画分は、65〜80%のCD4+T細胞ならびに混在する20〜35%のCD19+B細胞、CD8+T細胞および少しのCD14+単球を含む。混在する細胞をDynabeads(Dynal社、ノルウェー)で枯渇させる。以下の量のビーズを用いる:CD19 Dynabeads:2ビーズ/細胞、CD8 Dynabeads:3ビーズ/細胞、CD14 Dynabeads:1ビーズ/細胞。製造業者の使用説明書に従って、磁性粒子濃縮装置(Dynal社)を用い、回収したDynabeadsを15ml管中、枯渇緩衝液で2回洗浄する。CD25+PBMC画分(5×107個/ml)を枯渇緩衝液に添加し、シェーカー(サンプルミキサー、Dynal社)上、4℃で20分間インキュベートする。製造業者の使用説明書に従って、磁性粒子濃縮装置を用い、混在する細胞を枯渇させる。CD4+CD25+Treg細胞の純度をさらに高めるために、Dynabeadsによる枯渇を1回繰り返す(枯渇2ラウンド後に>98%)。
【0058】
(2.1.5)単球由来樹状細胞の調製
樹状細胞(DC)は健常人のバフィーコートから調製する。800U/ml GM-CSF(Leukomax;ノバルティス社、スイス・バーゼル)および1,000U/ml IL-4(Strathmann Biotec社、ドイツ・ハンブルク)を含む熱失活自己血漿を1.5%添加したX-VIVO-15(Cambrex社、ベルギー・ヴェルヴィエ)3ml中、15x106細胞/ウェルの密度のPBMC(2.1.6)を、6ウェル組織培養プレートにプレーティングする。1日おきに(2日、4日および6日目)、培地を1ml除き、サイトカインを含む新鮮培地1mlを添加することにより、培養物に栄養を補給する。7日目に、非付着細胞を採取し、新しい6ウェルプレートに移し、10ng/ml IL-1、10ng/ml TNF-α、1,000U/ml IL-6(いずれもStrathmann Biotech社製(ドイツ))および1μg/ml PGE2(Pharmacia-Upjohn、スウェーデン・ウプサラ)の存在下でさらに培養する。培養9日目に成熟CD83+DCを採取する。
【0059】
(2.1.6)CD3枯渇PBMCの分離
CD3 Dynabeads(Dynal社、ノルウェー)を用い、0.5ビーズ/細胞の条件で、PBMCから細胞を枯渇させる。製造業者の使用説明書に従って、磁性粒子濃縮装置(Dynal社)を用い、回収したDynabeadsを15ml管中、枯渇緩衝液で2回洗浄する。PBMC(5×107個/ml)を枯渇緩衝液に添加し、シェーカー(サンプルミキサー、Dynal社)上、4℃で20分間インキュベートする。磁性粒子濃縮装置を用い、製造業者の使用説明書に従って、CD3+細胞を枯渇させて、>98%の純度のCD3-PBMCを得る。
【0060】
(2.1.7)ヒトCD25枯渇PBMCの分離
PBMCは、(2.1.1)に従って分離する。CD25 Dynabeads(Dynal社、ノルウェー)を用い、製造業者の使用説明書に従って(詳細については2.1.4参照)、0.5ビーズ/細胞の条件で、PBMC調製物中のCD25発現調節性T細胞を枯渇させる。製造業者の使用説明書に従って、磁性粒子濃縮装置(Dynal社)を用い、回収したDynabeadsを15ml管中、枯渇緩衝液で2回洗浄する。PBMC(5×107個/ml)を枯渇緩衝液に添加し、シェーカー(サンプルミキサー、Dynal社)上、4℃で20分間インキュベートする。製造業者の使用説明書に従って、磁性粒子濃縮装置を用い、CD25+細胞を枯渇させて、>99%の純度のCD25陰性PBMCを得る。
【0061】
(2.2)CD4+CD25+Treg細胞の抑制活性の試験方法
(2.2.1)共培養抑制アッセイA:混合白血球反応(MLR)
CD4+ヘルパーT細胞またはCD8+エフェクターT細胞に対するCD4+CD25+Treg細胞の抑制活性を分析するためには、CD4+ヘルパーT細胞またはCD8+エフェクターT細胞とCD4+CD25+Treg細胞および同種DCとの共培養を行わなければならない。従って、96ウェル平底培養プレートにおいて、X-VIVO 15(Cambrex社、ベルギー・ヴェルヴィエ)中、CD4結合化合物、例えばHIV-1 gp120(0.1〜10μg/ml)の存在下または非存在下で、1x105個/ウェルのCD4+ヘルパーT細胞(2.1.2)またはCD8+エフェクターT細胞(2.1.3)と種々の数のCD4+CD25+Treg細胞(2.1.4;比率1:1〜1:4)および1x104個/ウェルのDCとを共培養する。(2.1.5)に記載されているように調製された成熟樹状細胞(DC)は、CD4+CD25+Treg細胞と同じドナーに由来するが(同系)、T細胞刺激には、CD4+ヘルパーT細胞またはCD8+エフェクターT細胞と同種を用いる。このアッセイにおいては、同種DC(MLR)によってのみCD4+ヘルパーT細胞またはCD8+エフェクターT細胞が活性化され、T細胞サブセットの顕著な増殖が引き起こされる。非活性化CD4+CD25+Treg細胞は、Treg細胞活性化化合物の非存在下でこの増殖を抑制しなかった。CD4結合化合物によるCD4+CD25+Treg細胞の機能的活性化は、CD4+ヘルパーT細胞またはCD8+エフェクターT細胞の増殖低下を引き起こした。
【0062】
4日間の培養後に、さらに16時間、37kBqの3H-チミジン(3H-Tdr)を添加して増殖を測定する。
【0063】
(2.2.2)共培養抑制アッセイB:同じ健常者からの同種PBMCおよびCD4+CD25+Treg細胞でのCD8+エフェクターT細胞の刺激
配列番号1に記載のエピトープに結合できるHIV-1 gp120などの物質の、CD4+CD25+Treg細胞の抑制機能のみへの影響を研究するために、我々は、エフェクターとしてCD8+T細胞を含む共培養アッセイを開発して、この物質の後者への影響を排除した(CD8+T細胞はCD4を発現しない)。この設定において、アロ反応性CD8+エフェクターT細胞の活性化は、例えば抗CD3mAbによるさらなる刺激を受けた活性化CD4+CD25+Treg細胞によってのみ抑制される(陽性対照)。例えばHIV-1 gp120の、CD4+CD25+Treg細胞の機能に対する影響を評価するために、さまざまな濃度(0.1〜10μg/ml)の種々のHIV-1 gp120標品の存在下で、分離されたCD4+CD25+Treg細胞(2.1.4)を、同系T細胞枯渇照射(50Gy)PBMC(2.1.6)および同種CD8+エフェクターT細胞(2.1.3)と共培養する。簡潔に言えば、さまざまな量のHIV-1 gp120の存在下または非存在下で、CD4+CD25+Tre細胞1x105個を同系T細胞枯渇PBMC 3x105個と共にインキュベートする。0.5μg/ml抗CD3モノクローナル抗体(OKT-3、ebioscience社、米国)での刺激を陽性対照とする。刺激を行わないものは陰性対照を表す。直ちに、あるいは24時間後に、培養物に同種CD8+エフェクターT細胞1x105個を添加し、さらに72時間後に3H-Tdr取り込み(37kBq/ウェル)により増殖を測定する。配列番号1に記載のエピトープとの相互作用によるCD4+CD25+Treg細胞の機能的活性化により、CD8+エフェクターT細胞の増殖抑制が引き起こされ、それと共に、Treg細胞アクチベーターとして物質が同定される(データについては、図1参照)。
【0064】
並行して、物質が、HIV-1 gp120とCD4+CD25+Treg細胞のCD4エピトープとの結合に干渉できるかどうかを示すために、さまざまな量の物質の存在下で、同系T細胞枯渇PBMC(2.1.6)および同種CD8+エフェクターT細胞(2.1.3)と共培養した分離されたCD4+CD25+Treg細胞(2.1.4)に種々の濃度(0.1〜10μg/ml)でCD4を添加する。CD8+エフェクター細胞の増殖促進は、CD4に対する競合結合および配列番号1に記載のエピトープとの相互作用によるTreg細胞の活性化抑制と類似している。すべての培養は、無血清X-VIVO-15(Cambrex社、ベルギー・ヴェルヴィエ)中で行う。
【0065】
照射誘起不活化および増殖抑制の代わりに、マイトマイシンC(Sigma社、ドイツ)でPBMCを処理することができる。簡潔に言えば、MEM/10%FCS/180μgマイトマイシンC(3ml)中、37℃で30分間、PBMC 3x107個をインキュベートする。その後、MEM/10%FCSを用いて細胞を5回洗浄する。続いて細胞をアッセイにかける。
【0066】
(2.2.3)共培養抑制アッセイC:前活性化CD4+CD25+Treg細胞および同種PBMCの存在下でのT細胞の刺激
PBMCなどの抗原提示細胞の非存在下で、化合物の直接Treg細胞活性化能を評価するために、陽性対照としての0.5μg/ml抗CD3モノクローナル抗体(OKT-3)または種々の濃度のHIV-1 gp120の存在下、分離されたCD4+CD25+Treg細胞(2.1.4に記載)を、単独でX-VIVO-15中、16〜48時間前培養する。その後、細胞を強く洗浄し、同系照射(50Gy)PBMCおよび同種CD4+ヘルパーT細胞mまたはCD8+エフェクターT細胞の共培養物に添加する。さらに72時間後、3H-Tdr取り込み(37kBq/ウェル)により増殖を測定する。配列番号1に記載のエピトープとの相互作用によるCD4+CD25+Treg細胞の機能的活性化により、CD4+ヘルパーT細胞またはCD8+エフェクターT細胞の増殖抑制が引き起こされ、それと共に、Treg細胞アクチベーターとして物質が同定される。
【0067】
放射能の取り込みの低下は、増殖抑制と類似し、それによりCD8+抑制が同定され、それと共に、配列番号1に記載のエピトープとの相互作用によりTreg細胞を活性化する物質が同定される。
【0068】
(2.3.)CD4+CD25+Treg細胞の抑制活性の読み取り方法
(2.3.1)増殖の分析
(2.2.1)、(2.2.2)および(2.2.3)に示したアッセイにおける、3〜4日の細胞のインキュベーション後に、T細胞増殖を測定する。さらに16時間、細胞に3H-Tdr(37kBq/ウェル、MB Biomedicals社)を適用し、液体シンチレーションカウンター(Betaplate、Wallac/PerkinElmer社)を用いて、取り込まれた放射能を測定する。Treg細胞活性化化合物の非存在下では、休止期Treg細胞は、CD4+ヘルパーT細胞またはCD8+エフェクターT細胞の増殖を抑制できない(陰性対照)。対照的に、活性化CD4結合化合物または抗CD3モノクローナル抗体(陽性対照)の存在下では、CD4+ヘルパーT細胞またはCD8+エフェクターT細胞の増殖は、CD4+CD25+Treg細胞により抑制される。放射能の取り込みの低下は、増殖抑制と類似し、それによりCD4+ヘルパーT細胞またはCD8+エフェクターT細胞抑制が同定され、それと共にCD4+CD25+Treg細胞が活性化されたことが同定される。
【0069】
実験によっては、製造業者のプロトコルに従って、Vibrant CFDA SE Cell Tracer Kit (Invitrogen Life Technologies社、米国・サンディエゴ)でこれらの集団を標識した後に、フローサイトメトリーにより、CD4+CD25+Treg細胞、CD4+ヘルパーT細胞またはCD8+エフェクターT細胞のいずれかの増殖を追跡する場合がある。CFDA標識のためには、37℃で30分間、T細胞(1x107細胞/ml)を、CFDA Vibrant CFDA SE Cell Tracer Kit(Invitrogen Life Technologies社、米国・サンディエゴ)を1μM含有するPBS中でインキュベートする。その後、細胞をX-VIVO-15で洗浄し、暗所、37℃で30分間インキュベートする。さらに洗浄した後、細胞を計数し、共培養物に添加する。さらに、4〜6日間培養した後、フローサイトメトリーにより細胞の増殖を測定する。
【0070】
(2.3.2)サイトカイン産生の分析
活性化Treg細胞は、共培養したCD4+ヘルパーT細胞またはCD8+エフェクターT細胞の増殖を抑制するばかりでなく、これらのT細胞のサイトカイン合成もまた抑制する。従って、共培養したT細胞により産生されるサイトカインの検出は、試薬のTreg細胞活性化能を分析するための代替法である。このアッセイにおいて、前記(2.2)のように、分離されたCD4+CD25+Treg細胞(2.1.4に記載)、同系CD3枯渇PBMC(2.1.6に記載)および同種CD8+エフェクターT細胞(2.1.3に記載)を共培養する。7日後、アロ反応性CD8+エフェクターT細胞はポリクローナルであり、モネンシン(BD GolgiStop(登録商標)、BD Biosciences Pharmingen社、1.3μM)の存在下、2.4μg/mlフィトヘムアグルチニン(PHA、Sigma社、ドイツ)および1ng/ml PMAで5時間再刺激する。その後、細胞を採取し、PBSで洗浄し、製造業者による使用説明書(perm/fix溶液、BD PharMingen社、ドイツ)に従って固定して透過処理し、サイトカイン特異的モノクローナル抗体(抗IFN-γ、抗IL-2、抗TNF-α、いずれもBD PharMingen社製)0.5μg/試験で染色する。続いて、CD4+ヘルパーT細胞またはCD8+エフェクターT細胞によるサイトカインの産生をフローサイトメトリーにより分析する。Treg細胞活性化化合物の非存在下で、Treg細胞はCD4+ヘルパーT細胞またはCD8+エフェクターT細胞のサイトカイン産生を抑制できない(陰性対照)。対照的に、活性化CD4結合化合物または抗CD3モノクローナル抗体(陽性対照)の存在下では、CD4+ヘルパーT細胞またはCD8+エフェクターT細胞のサイトカイン産生は、機能的活性化Treg細胞により抑制される。サイトカイン産生の低下により抑制が同定され、それと共にCD4+CD25+Treg細胞が活性化されたことが同定される。
【0071】
(2.3.3)CD25発現の分析
【0072】
活性化Treg細胞は、IL-2受容体α鎖であるCD25を発現するCD8+エフェクターT細胞およびCD4+ヘルパーT細胞の能力を抑制する。従って、フローサイトメトリーによるCD25発現の分析は、試薬のTreg細胞活性化能を評価するためのさらなる方法である。このアッセイにおいて、分離されたCD4+CD25+Treg細胞(記載の2.1.4に記載)および同系CD3枯渇PBMC(2.1.6に記載)を、同種CD8+エフェクターT細胞または同種CD4+ヘルパーT細胞(2.1.3、2.1.2および2.2.1、2.2.2および2.2.3に記載)と共培養する。7日後、アロ反応性CD8+エフェクターT細胞または同種CD4+ヘルパーT細胞を、同じドナー由来の同種PBMCまたは初代培養に用いられるDCで刺激し、24時間後に、アロ反応性CD8+エフェクターT細胞または同種CD4+ヘルパーT細胞上のCD25の発現をフローサイトメトリーで分析する。試験化合物によるTreg細胞の活性化により、再刺激したCD8+エフェクターT細胞またはCD4+ヘルパーT細胞上のCD25発現は直接に抑制される。Treg細胞活性化化合物の非存在下で、Treg細胞は再刺激したCD8+エフェクターT細胞またはCD4+ヘルパーT細胞上のCD25発現を抑制できない(陰性対照)。対照的に、活性化試薬または抗CD3モノクローナル抗体(陽性対照)の存在下では、CD8+エフェクターT細胞またはCD4+ヘルパーT細胞のCD25発現はTreg細胞により抑制される。CD25発現低下により抑制が同定され、それと共にCD4+CD25+Treg細胞が活性化されたことが同定される。
【0073】
(2.3.4)サイクリックAMP産生の分析
Treg細胞の刺激により、細胞質ゾル内(すなわち細胞内)cAMPの顕著な増加が引き起こされる。従って、Treg細胞内のcAMPの分析は、HIV-1 gp120とCD4陽性細胞のCD4エピトープとの結合に干渉できる物質がTreg細胞を活性化できるかどうかを測定するためのさらなる方法である。このアッセイにおいて、新鮮分離CD4+CD25+Treg細胞(2.1.4に記載)(1×105個〜1x106個/ウェル)を、16時間、抗CD3モノクローナル抗体(OKT-3;0.5μg/ml)またはHIV-1 gp120(0.1〜10μg/ml; Protein Science Corp.社、米国コネチカット州メリデン)と共にインキュベートするか、あるいは非処理で放置する。細胞質ゾル内cAMP濃度を評価するために、cAMP特異的ELISA(Parameter(登録商標)Cyclic AMPAssay、カタログ番号KGE002;R&D Systems社、ドイツ・ヴィースバーデン)を行う。氷冷したPBSでTreg細胞を3回洗浄し、続いて、製造業者により提供される溶解緩衝液を用いて溶解し(1x107個/ml)、製造業者の推奨に従ってELISAを行う。
【0074】
試験化合物によるTreg細胞の活性化により、直接細胞質ゾル内cAMPの増加が引き起こされる。Treg細胞活性化化合物の非存在下ではCD4+CD25+Treg細胞内のcAMPの増加は検出されない(陰性対照)。対照的に、活性化CD4結合化合物または抗CD3モノクローナル抗体(陽性対照)の存在下では、CD4+CD25+Treg細胞は細胞質ゾル内cAMPの顕著な増加を示す。細胞質ゾル内cAMPの増加により、CD4+CD25+Treg細胞が活性化されたことが同定される。データについては図2を参照のこと。
【0075】
また、アッセイ上清のcAMP濃度のさらなる分析およびホスホジエステラーゼ阻害剤、例えばロフルミラスト(1〜50mM)の使用により、アッセイにおけるcAMPシグナルが高められる。
【0076】
(3)HIV-1 gp120またはHIV-1 gp120とCD4+CD25+Tregとの結合に干渉できる物質が、疾患関連モデルにおいてCD4+CD25+Tregを活性化でき、それと共に自己免疫疾患(例えば炎症性腸疾患、多発性硬化症、関節リウマチ、乾癬、I型糖尿病、狼瘡エリテマトーデス、尋常性天疱瘡、甲状腺炎)、病因に自己免疫学的側面を有する他の疾患、例えば尋常性白斑、アトピー性皮膚炎、アレルギー(例えばアレルギー性鼻炎)、喘息(例えばアレルギー性喘息)、GVHD(移植片対宿主疾患)、移植片拒絶の治療に有用であることができるかどうかを測定するin vivoアッセイ
(3.1)NOD-ScidマウスへのヒトPBMCの移植によるGVHDの誘発方法および疾患の重症度の測定方法
NOD-Scidマウス、すなわち非肥満性糖尿病/重症複合型免疫不全マウス(変異対立遺伝子:Prkdcscid、系統:NOD.CB17-Prkdcscid、(Shultz et al 1995))(Central Laboratory Animal Facility of the University of Mainzから入手、同様に、Charles River Laboratories社経由でThe Jackson Laboratory社からも入手可能(ドイツ))を、ヒト末梢血免疫細胞移植の動物モデルとして用い、ひいては免疫調節相互作用のin vivo分析に用いる(Hesselton et al. 1995)。NOD-Scidマウスに移植したヒト末梢血単核細胞(PBMC)は、進行性年齢依存性移植片対宿主疾患(GVHD)を誘発する。移植細胞数によりこの疾患の発症が決まるが、ヒトTregの同時移植により、この疾患を徐々に遅延または予防することができる。このモデル系により、さらにヒトTreg機能の研究が可能となる。GVHDを誘発するために、生後3〜6日齢のNOD-Scidマウスの腹腔内にヒトPBMC(ヒトPBMCの分離は2.1.1に従って行う)を1x107〜3x107個注入する。マウスに注入したPBMC画分中のヒトエフェクターT細胞の免疫学的(異種)活性化によりGVHDが誘発される。しかしながら、NOD-Scidマウスは、移植したヒトPBMCに対しては反応できない。ヒトPBMC誘発疾患は、処理動物における体重増加および体重減少、不活性、円背、立毛ならびに臓器炎症という不全を特徴とする(Kizilisik and Al-Sebayel 1997)。ヒトPBMCの移植は、非処理マウスと比較して、移植後30〜40日以内に(移植細胞数に応じて)成長停止または体重減少を引き起こす。GVHDの重症度のスコアを付けるためのパラメータとして、体重増加/体重減少という不全を用いる。対照マウスにはPBMCを投与しなかった。データについては図3を参照のこと。
【0077】
(3.2)NOD-ScidマウスへのヒトPBMCの移植によるGVHDの誘発方法およびヒト調節性T細胞のさらなる移植による疾患の予防方法および疾患の重症度の測定方法
ヒトPBMC(ヒトPBMCの分離は2.1.1に従って行う)1x107〜3x107個の腹腔内注入により誘発された、生後3〜6日齢のNOD-ScidマウスにおけるGVHD疾患を予防するために、ヒト調節性T細胞(ヒト調節性T細胞の分離は2.1.4に従って行う)をさらに2,5x106個腹腔内に注入する(Treg対PBMC比1:4)。ヒトPBMCとヒト調節性T細胞との同時移植(Treg比の増大)は、GVHD発症の予防および非処理マウスの体重減少に類似した発症の予防をもたらす。GVHDの重症度のスコアを付けるためのパラメータとして、体重増加/体重減少という不全を用いる。対照マウスにはPBMCを投与しなかった。データについては図3を参照のこと。
【0078】
(3.3)NOD-ScidマウスへのヒトPBMCの移植によるGVHDの誘発方法およびHIV-1 gp120またはHIV-1 gp120結合に干渉できる物質のさらなる投与による疾患の予防方法および疾患の重症度の測定方法
ヒトPBMC(ヒトPBMCの分離は2.1.1に従って行う)1x107〜3x107個の腹腔内注入により誘発された、生後3〜6日齢のNOD-Scidマウスにおいて誘発されたGVHD疾患を予防するために、ヒトPBMCの注入に加えて、HIV-1 gp120またはHIV-1 gp120結合に干渉できる物質を投与する。HIV-1 gp120またはHIV-1 gp120結合に干渉できる物質の投与は、PBMC画分におけるヒト調節性T細胞の活性化を誘発し、臓器の炎症の予防ならびにヒトPBMCおよびさらなるヒト調節性T細胞で処理したマウスまたは非処理マウスと類似した成長停止/体重減少の予防をもたらす。GVHDの重症度のスコアを付けるためのパラメータとして、体重増加/体重減少という不全を用いる。対照マウスにはPBMCを投与しなかった。データについては図4を参照のこと。
【0079】
(3.4)NOD-ScidマウスへのヒトPBMCの移植によるGVHDの誘発方法およびHIV-1 gp120またはHIV-1 gp120-結合に干渉できる物質の投与による疾患の予防がNOD-Scidマウスに注入したPBMC画分中のヒト調節性T細胞により媒介されることの証明方法および疾患の重症度の測定方法
生後3〜6日齢のNOD-Scidマウスの腹腔内に、ヒトCD25枯渇PBMC(ヒトCD25枯渇PBMCの分離は2.1.7に従って行う)を1x107個注入する。GVHDは、NOD-Scidマウスへヒト非CD25枯渇PBMCを1x107個移植した場合と同じ程度に、ヒトCD25枯渇PBMC 1x107個により誘発される(データについては、図5および図3および図4を参照のこと)。CD25枯渇PBMCを投与し、HIV gp120をさらに投与したマウスにおいては、GVHDおよび体重減少の発症を防げない。HIV gp120またはHIV-1 gp120結合に干渉できる物質によるGVHDの予防は調節性T細胞に依存する。GVHDの重症度のスコアを付けるためのパラメータとして、体重増加/体重減少という不全を用いる。データについては図5を参照のこと。
【0080】
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CD4+ and CD8+ regulatory T cells generated ex vivo with IL-2 and TGF-beta suppress a stimulatory graft-versus-host disease with a lupus-like syndrome.
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
CD4とHIV-1 gp120との相互作用に干渉できる物質が疾患に好影響を与えるのに役立つことができるかどうかを測定する方法であって、活性化調節性T細胞(Treg細胞)の増加により臨床像を改善できる前記方法において、
(a)Treg細胞を含む溶液を用意し、
(b)Treg細胞と被験物質との相互作用を可能にする条件下で前記物質を添加し、
(c)Treg細胞が活性化されたかどうかを測定し、ここで活性化Treg細胞によりTreg細胞アクチベーターとして前記物質が同定されること
を含む前記方法。
【請求項2】
Treg細胞がCD4+CD25+Treg細胞またはTr1細胞またはTh3細胞である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
請求項1の(a)において、(i)Treg細胞、(ii)不活化同系CD3枯渇PBMC(末梢血単核細胞)または樹状細胞(DC)および(iii)同種CD8+T細胞または同種CD4+T細胞を含む溶液が用意される、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
照射またはマイトマイシンCにより不活化同系CD3枯渇PBMCが不活化されている、請求項3記載の方法。
【請求項5】
請求項1の(c)において、Treg細胞が活性化されたかどうかの測定が、CD8+T細胞が抑制されたかどうかを測定することにより測定され、ここで抑制されたCD8+T細胞により活性化Treg細胞が同定され、それと共にTreg細胞アクチベーターとして前記物質が同定される、請求項3または4記載の方法。
【請求項6】
CD8+T細胞が抑制されたかどうかの測定が、CD8+T細胞の増殖抑制またはCD8+T細胞のCD25発現低下を測定することにより測定される、請求項5記載の方法。
【請求項7】
CD8+T細胞が抑制されたかどうかの測定が、CD8+T細胞のサイトカイン産生抑制を測定することにより測定される、請求項5記載の方法。
【請求項8】
サイトカインがIFNγまたはIL2またはTNFαである、請求項7記載の方法。
【請求項9】
請求項1の(c)において、Treg細胞が活性化されたかどうかの測定が、CD4+T細胞が抑制されたかどうかを測定することにより測定され、ここで抑制されたCD4+T細胞により活性化Treg細胞が同定され、それと共にTreg細胞アクチベーターとして前記物質が同定される、請求項3または4記載の方法。
【請求項10】
CD4+T細胞が抑制されたかどうかの測定が、CD4+T細胞の増殖抑制またはCD4+T細胞のCD25発現低下を測定することにより測定される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
CD4+T細胞が抑制されたかどうかの測定が、CD4+T細胞のサイトカイン産生抑制を測定することにより測定される、請求項9記載の方法。
【請求項12】
サイトカインがIFNγまたはIL2またはTNFαである、請求項11記載の方法。
【請求項13】
請求項1の(c)において、Treg細胞が活性化されたかどうかの測定が、細胞内cAMP量を測定することにより測定され、ここで細胞内cAMP量の増加が活性化Treg細胞の存在を示し、それと共にTreg細胞アクチベーターとして前記物質が同定される、請求項1〜4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
疾患が、(i)非自己免疫性炎症性疾患:喘息、アレルギー性喘息、呼吸器アレルギー、アレルギー性鼻結膜炎、アレルギー性胞隔炎、接触アレルギー、アトピー性皮膚炎、神経皮膚炎、食物アレルギー、移植片対宿主疾患、非自己免疫性炎症性腸疾患、急性呼吸窮迫症候群、急性炎症性膵炎、熱傷、創傷治癒、皮膚瘢痕化障害、サルコイドーシス、ベーチェット病もしくはスイート症候群;(ii)自己免疫性炎症性疾患:関節リウマチ、リウマチ熱、全身性エリテマトーデス、潰瘍性大腸炎、クローン病、自己免疫性炎症性腸疾患、I型糖尿病、胃炎、自己免疫性萎縮性胃炎、自己免疫性肝炎、橋本甲状腺炎、甲状腺炎、多発性硬化症、重症筋無力症、自己免疫性溶血性貧血、アジソン病、強皮症、グッドパスチャー症候群、ギラン・バレー症候群、グレーヴズ病、糸球体腎炎、乾癬、尋常性天疱瘡、類天疱瘡、尋常性白斑、特発性白血球減少症、シェーグレン症候群もしくはウェゲナー肉芽腫症;(iii)臓器移植による炎症性疾患;(iv)骨髄移植;または(v)外因的に投与された自己もしくは非自己組換えポリペプチドによる疾患である、請求項1〜13のいずれか1つに記載の方法。
【請求項15】
Treg細胞が活性化されたかどうかを測定する方法であって、
(a)Treg細胞を含む第1溶液を用意し、
(b)Treg細胞を含む第2溶液を用意し、
(c)少なくとも1つの試験物質を加えることにより第1溶液を処理し、
(d)第1および第2溶液の細胞内cAMP量を測定し、ここで第1溶液の細胞内cAMP量の増加により活性化Treg細胞の存在が示されること
を含む前記方法。
【請求項16】
CD4のHIV-1 gp120結合部位との相互作用により物質がTreg細胞を活性化できるかどうかを測定する方法であって、
(a)CD4のHIV-1 gp120結合部位と相互作用できる物質を事前選択し、
(b)Treg細胞を含む溶液を用意し,
(c)(a)記載の事前選択された物質とTreg細胞との相互作用を可能にする条件下で前記物質を加え、
(d)Treg細胞が活性化されたかどうかを測定し、ここで活性化Treg細胞によりTreg細胞アクチベーターとして前記物質が同定されること
を含む前記方法。
【請求項17】
Treg細胞がCD4+CD25+Treg細胞またはTr1細胞またはTh3細胞である、請求項16記載の方法。
【請求項18】
請求項16の(b)において、(i)Treg細胞、(ii)不活化同系CD3枯渇PBMC(末梢血単核細胞)または樹状細胞(DC)および(iii)同種CD8+T細胞または同種CD4+T細胞を含む溶液が用意される、請求項16または17記載の方法。
【請求項19】
照射またはマイトマイシンCにより不活化同系CD3枯渇PBMCが不活化されている、請求項18記載の方法。
【請求項20】
請求項16の(d)において、Treg細胞が活性化されたかどうかの測定が、CD8+T細胞が抑制されたかどうかを測定することにより測定され、ここで抑制されたCD8+T細胞により活性化Treg細胞が同定され、それと共にTreg細胞アクチベーターとして前記物質が同定される、請求項18または19記載の方法。
【請求項21】
CD8+T細胞が抑制されたかどうかの測定が、CD8+T細胞の増殖抑制またはCD8+T細胞のCD25発現低下を測定することにより測定される、請求項20記載の方法。
【請求項22】
CD8+T細胞が抑制されたかどうかの測定が、CD8+T細胞のサイトカイン産生抑制を測定することにより測定される、請求項20記載の方法。
【請求項23】
サイトカインがIFNγまたはIL2またはTNFαである、請求項22記載の方法。
【請求項24】
請求項16の(d)において、Treg細胞が活性化されたかどうかの測定が、CD4+T細胞が抑制されたかどうかを測定することにより測定され、ここで抑制されたCD4+T細胞により活性化Treg細胞が同定され、それと共にTreg細胞アクチベーターとして前記物質が同定される、請求項18または19記載の方法。
【請求項25】
CD4+T細胞が抑制されたかどうかの測定が、CD4+T細胞の増殖抑制またはCD4+T細胞のCD25発現低下を測定することにより測定される、請求項24記載の方法。
【請求項26】
CD4+T細胞が抑制されたかどうかの測定が、CD4+T細胞のサイトカイン産生抑制を測定することにより測定される、請求項24記載の方法。
【請求項27】
サイトカインがIFNγまたはIL2またはTNFαである、請求項26記載の方法。
【請求項28】
請求項16の(d)において、Treg細胞が活性化されたかどうかの測定が、細胞内cAMP量を測定することにより測定され、ここで細胞内cAMP量の増加が活性化Treg細胞の存在を示し、それと共にTreg細胞アクチベーターとして前記物質が同定される、請求項16〜19のいずれか1つに記載の方法。
【請求項29】
請求項16のステップ(a)が、
(a)CD4を含む第1溶液を用意し、
(b)CD4を含む第2溶液を用意し、
(c)HIV-1 gp120とCD4との結合を可能にする条件下で被験物質およびHIV-1 gp120を第1溶液に加え、
(d)HIV-1 gp120とCD4との結合を可能にする(c)と同様な条件下でHIV-1 gp120を第2溶液に加え、
(e)第1および第2溶液において、HIV-1 gp120がCD4に結合したかどうかを測定し、ここで第1溶液における結合HIV-1 gp120量の低下が、前記物質がCD4のHIV-1 gp120結合部位と相互作用できることを示すこと
を含む、請求項16記載の方法。
【請求項30】
CD4の代わりに、配列番号1記載のアミノ酸ストレッチを含むペプチドが用いられる、請求項29記載の方法。
【請求項31】
CD4の代わりに、配列番号1記載のペプチドが用いられる、請求項30記載の方法。
【請求項32】
HIV-1 gp120の代わりに、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9および配列番号10に記載のアミノ酸配列を含むペプチドからなる群から選択されるペプチドが用いられる、請求項29〜31のいずれか1つに記載の方法。
【請求項33】
HIV-1 gp120の代わりに、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9および配列番号10に記載のアミノ酸配列からなるペプチドからなる群から選択されるペプチドが用いられる、請求項29〜31のいずれか1つに記載の方法。
【請求項34】
配列番号1記載のエピトープとの相互作用により物質が調節性T細胞(Treg)を活性化できるかどうかを測定する方法であって、
(a)Treg細胞を含む第1溶液を用意し、
(b)Treg細胞と被験物質との相互作用を可能にする条件下で前記物質を添加し、
(c)第1溶液のTreg細胞が活性化されたかどうかを測定し、
(d)Treg細胞を含む第2溶液を用意し、
(e)(b)と同様な条件下で、被験物質および配列番号1記載のアミノ酸配列を含むペプチドを加え、
(f)第2溶液のTreg細胞が活性化されたかどうかを測定し、
(g)(c)から得られた結果と(f)から得られた結果とを比較し、ここで(f)の活性化低下により、配列番号1記載のエピトープとの相互作用によりTreg細胞を活性化するTreg細胞アクチベーターとして前記物質が同定されること
を含む前記方法。
【請求項35】
請求項34のステップ(e)において、用いられるペプチドが、配列番号1のアミノ酸番号1〜31、配列番号2のアミノ酸番号26〜458、配列番号2のアミノ酸番号26〜419、配列番号2のアミノ酸番号26〜207、配列番号2のアミノ酸番号26〜131および配列番号2のアミノ酸番号46〜89を含む単離されたペプチドからなる群から選択される、請求項34記載の方法。
【請求項36】
請求項34のステップ(e)において、用いられるペプチドが、配列番号1のアミノ酸番号1〜31に加えて、さらなる上流のおよび/または下流のアミノ酸を有し、ここで配列番号1記載のアミノ酸ストレッチに対する物質の結合をさらなるアミノ酸が妨げないことを必要条件とする単離されたペプチドである、請求項34記載の方法。
【請求項37】
さらなる上流のアミノ酸またはアミノ酸ストレッチが、配列番号2の位置53、位置52〜53、位置51〜53、位置50〜53、位置49〜53、位置48〜53、位置47〜53、位置46〜53、位置45〜53、位置44〜53、位置43〜53、位置42〜53、位置41〜53、位置40〜53、位置39〜53、位置38〜53、位置37〜53、位置36〜53、位置35〜53、位置34〜53、位置33〜53、位置32〜53、位置31〜53、位置30〜53、位置29〜53、位置28〜53、位置27〜53、位置26〜53、位置25〜53、位置24〜53、位置23〜53、位置22〜53、位置21〜53、位置20〜53、位置19〜53、位置18〜53、位置17〜53、位置16〜53、位置15〜53、位置14〜53、位置13〜53、位置12〜53、位置11〜53、位置10〜53、位置9〜53、位置8〜53、位置7〜53、位置6〜53、位置5〜53、位置4〜53、位置3〜53、位置2〜53および位置1〜53に記載のアミノ酸またはアミノ酸ストレッチからなる群から選択される、請求項36記載の方法。
【請求項38】
さらなる下流のアミノ酸が配列番号2の位置85または位置85〜nで示され、ここでnが86〜458の整数である、請求項36または37記載の方法。
【請求項39】
Treg細胞がCD4+CD25+Treg細胞またはTr1細胞またはTh3細胞である、請求項34〜38のいずれか1つに記載の方法。
【請求項40】
請求項34の(a)および(d)において、(i)Treg細胞、(ii)不活化同系CD3枯渇PBMC(末梢血単核細胞)または樹状細胞(DC)および(iii)同種CD8+T細胞または同種CD4+T細胞を含む溶液が用意される、請求項34〜39のいずれか1つに記載の方法。
【請求項41】
照射またはマイトマイシンCにより不活化同系CD3枯渇PBMCが不活化されている、請求項40記載の方法。
【請求項42】
請求項34の(c)および(f)において、Treg細胞が活性化されたかどうかの測定が、CD8+T細胞が抑制されたかどうかを測定することにより測定され、ここで抑制されたCD8+T細胞により活性化Treg細胞が同定され、それと共にTreg細胞アクチベーターとして前記物質が同定される、請求項40または41記載の方法。
【請求項43】
CD8+T細胞が抑制されたかどうかの測定が、CD8+T細胞の増殖抑制またはCD8+T細胞のCD25発現低下を測定することにより測定される、請求項42記載の方法。
【請求項44】
CD8+T細胞が抑制されたかどうかの測定が、CD8+T細胞のサイトカイン産生抑制を測定することにより測定される、請求項42記載の方法。
【請求項45】
サイトカインがIFNγまたはIL2またはTNFαである、請求項44記載の方法。
【請求項46】
請求項34の(c)および(f)において、Treg細胞が活性化されたかどうかの測定が、CD4+T細胞が抑制されたかどうかを測定することにより測定され、ここで抑制されたCD4+T細胞により活性化Treg細胞が同定され、それと共にTreg細胞アクチベーターとして前記物質が同定される、請求項40または41記載の方法。
【請求項47】
CD4+T細胞が抑制されたかどうかの測定が、CD4+T細胞の増殖抑制またはCD4+T細胞のCD25発現低下を測定することにより測定される、請求項46記載の方法。
【請求項48】
CD4+T細胞が抑制されたかどうかの測定が、CD4+T細胞のサイトカイン産生抑制を測定することにより測定される、請求項46記載の方法。
【請求項49】
サイトカインがIFNγまたはIL2またはTNFαである、請求項48記載の方法。
【請求項50】
請求項34の(c)および(f)において、Treg細胞が活性化されたかどうかの測定が、細胞内cAMP量を測定することにより測定され、ここで細胞内cAMP量の増加が活性化Treg細胞の存在を示し、それと共にTreg細胞アクチベーターとして前記物質が同定される、請求項34〜41のいずれか1つに記載の方法。
【請求項51】
配列番号1のアミノ酸番号1〜31を含むペプチド。
【請求項52】
配列番号1に記載のTreg細胞エピトープとの相互作用によりTreg細胞を活性化するTreg細胞アクチベーター。
【請求項53】
ペプチドまたはポリペプチドである、請求項52記載のTreg細胞アクチベーター。
【請求項54】
抗体またはその結合フラグメントであり、ただし抗体フラグメントの抗体がOKT4A、OKT4D、OKTcdr4a、MAX.12H5またはLeu3ではない、請求項53記載のTreg細胞アクチベーター。
【請求項55】
配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9および配列番号10に記載のアミノ酸配列を含むペプチドからなる群から選択されるペプチドである、請求項53記載のTreg細胞アクチベーター。
【請求項56】
配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9および配列番号10に記載のアミノ酸配列からなるペプチドからなる群から選択されるペプチドである、請求項53記載のTreg細胞アクチベーター。
【請求項57】
請求項52〜56のいずれか1つに記載のTreg細胞アクチベーターの、医薬としての使用。
【請求項58】
(i)非自己免疫性炎症性疾患:喘息、アレルギー性喘息、呼吸器アレルギー、アレルギー性鼻結膜炎、アレルギー性胞隔炎、接触アレルギー、アトピー性皮膚炎、神経皮膚炎、食物アレルギー、移植片対宿主疾患、非自己免疫性炎症性腸疾患、急性呼吸窮迫症候群、急性炎症性膵炎、熱傷、創傷治癒、皮膚瘢痕化障害、サルコイドーシス、ベーチェット病、スイート症候群;(ii)自己免疫性炎症性疾患:関節リウマチ、リウマチ熱、全身性エリテマトーデス、潰瘍性大腸炎、クローン病、自己免疫性炎症性腸疾患、I型糖尿病、胃炎、自己免疫性萎縮性胃炎、自己免疫性肝炎、橋本甲状腺炎、甲状腺炎、多発性硬化症、重症筋無力症、自己免疫性溶血性貧血、アジソン病、強皮症、グッドパスチャー症候群、ギラン・バレー症候群、グレーヴズ病、糸球体腎炎、乾癬、尋常性天疱瘡、類天疱瘡、尋常性白斑、特発性白血球減少症、シェーグレン症候群、ウェゲナー肉芽腫症;(iii)臓器移植による炎症性疾患;(iv)骨髄移植;および(v)外因的に投与された自己もしくは非自己組換えポリペプチドによる疾患からなる群から選択される疾患の治療薬の製造のための、請求項57記載のTreg細胞アクチベーターの使用。
【請求項59】
前記Treg細胞アクチベーターがHIV-1 gp120である、請求項57または58記載の使用。
【請求項60】
前記Treg細胞アクチベーターが、配列番号1に記載のペプチドに結合できる抗体または抗体フラグメントである、請求項57または58記載の使用。
【請求項61】
前記Treg細胞アクチベーターが、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9および配列番号10に記載のアミノ酸配列を含むペプチドからなる群から選択されるペプチドである、請求項57または58記載の使用。
【請求項62】
前記Treg細胞アクチベーターが、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9および配列番号10に記載のアミノ酸配列からなるペプチドからなる群から選択されるペプチドである、請求項57または58記載の使用。
【請求項63】
前記Treg細胞アクチベーターが、NSC13778、コンホメーションが柔軟な足場により結合する3つのHIV-1 gp120フラグメントを与えるpeptide2、モノクローナル抗体OKT4A、モノクローナル抗体OKT4D、モノクローナル抗体OKTcdr4a、モノクローナル抗体MAX.12H5およびモノクローナル抗体Leu3からなる群から選択される、請求項57または58記載の使用。
【請求項64】
請求項54〜58のいずれか1つまたは請求項61〜63のいずれか1つに記載の、少なくとも1つのTreg細胞アクチベーターを含む医薬組成物。
【請求項65】
(i)非自己免疫性炎症性疾患:喘息、アレルギー性喘息、呼吸器アレルギー、アレルギー性鼻結膜炎、アレルギー性胞隔炎、接触アレルギー、アトピー性皮膚炎、神経皮膚炎、食物アレルギー、移植片対宿主疾患、非自己免疫性炎症性腸疾患、急性呼吸窮迫症候群、急性炎症性膵炎、熱傷、創傷治癒、皮膚瘢痕化障害、サルコイドーシス、ベーチェット病もしくはスイート症候群;(ii)自己免疫性炎症性疾患:関節リウマチ、リウマチ熱、全身性エリテマトーデス、潰瘍性大腸炎、クローン病、自己免疫性炎症性腸疾患、I型糖尿病、胃炎、自己免疫性萎縮性胃炎、自己免疫性肝炎、橋本甲状腺炎、甲状腺炎、多発性硬化症、重症筋無力症、自己免疫性溶血性貧血、アジソン病、強皮症、グッドパスチャー症候群、ギラン・バレー症候群、グレーヴズ病、糸球体腎炎、乾癬、尋常性天疱瘡、類天疱瘡、尋常性白斑、特発性白血球減少症、シェーグレン症候群もしくはウェゲナー肉芽腫症;(iii)臓器移植による炎症性疾患;(iv)骨髄移植;または(v)外因的に投与された自己もしくは非自己組換えポリペプチドによる疾患の治療方法であって、このような治療を必要とする生き物に少なくとも1つのTreg細胞アクチベーターを含む適切な量の医薬組成物を投与することを含む前記方法。
【請求項66】
Treg細胞アクチベーターが、請求項54〜58のいずれか1つまたは請求項61〜63のいずれか1つ記載のTreg細胞アクチベーターである、請求項65記載の方法。
【請求項67】
外因的に投与された自己または非自己組換えポリペプチドによる好ましくない免疫反応を低下または予防するTregアクチベーターの使用。
【請求項68】
前記Treg細胞アクチベーターがHIV-1 gp120である、請求項67記載の使用。
【請求項69】
前記Treg細胞アクチベーターが、配列番号1に記載のペプチドに結合できる抗体または抗体フラグメントである、請求項67記載の使用。
【請求項70】
前記Treg細胞アクチベーターが、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9および配列番号10に記載のアミノ酸配列を含むペプチドからなる群から選択されるペプチドである、請求項67記載の使用。
【請求項71】
前記Treg細胞アクチベーターが、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9および配列番号10に記載のアミノ酸配列からなるペプチドからなる群から選択されるペプチドである、請求項67記載の使用。
【請求項72】
前記Treg細胞アクチベーターが、NSC13778、コンホメーションが柔軟な足場により結合する3つのHIV-1 gp120フラグメントを与えるpeptide2、モノクローナル抗体OKT4A、モノクローナル抗体OKT4D、モノクローナル抗体OKTcdr4a、モノクローナル抗体MAX.12H5およびモノクローナル抗体Leu3からなる群から選択される、請求項67記載の使用。
【請求項73】
好ましくない免疫反応を低下または予防する方法であって、
(a)非ヒト動物、好ましくは非ヒト霊長類に、十分な量の少なくとも1つのTreg細胞アクチベーターを投与すること
を含む前記方法。
【請求項74】
物質がTreg細胞アクチベーターかどうかを測定する試験系であって、少なくとも
(a)Treg細胞および
(b)配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むペプチド
を含む前記方法。
【請求項75】
ペプチドが、配列番号1に記載の31アミノ酸からなる、請求項74記載の試験系。
【請求項76】
ペプチドが、配列番号2のアミノ酸番号1〜433、アミノ酸配列番号2のアミノ酸番号1〜394、配列番号2のアミノ酸番号1〜182、配列番号2のアミノ酸番号1〜106および配列番号2のアミノ酸番号21〜64を含む単離されたペプチドからなる群から選択される、請求項74記載の試験系。
【請求項77】
ペプチドが、配列番号1のアミノ酸番号1〜31に加えて、さらなる上流のおよび/または下流のアミノ酸を有する単離されたペプチドであり、ここで配列番号1記載のアミノ酸ストレッチに対する物質の結合をさらなるアミノ酸が妨げないことを必要条件とする、請求項74記載の試験系。
【請求項78】
さらなる上流のアミノ酸またはアミノ酸ストレッチが、配列番号2の位置53、位置52〜53、位置51〜53、位置50〜53、位置49〜53、位置48〜53、位置47〜53、位置46〜53、位置45〜53、位置44〜53、位置43〜53、位置42〜53、位置41〜53、位置40〜53、位置39〜53、位置38〜53、位置37〜53、位置36〜53、位置35〜53、位置34〜53、位置33〜53、位置32〜53、位置31〜53、位置30〜53、位置29〜53、位置28〜53、位置27〜53、位置26〜53、位置25〜53、位置24〜53、位置23〜53、位置22〜53、位置21〜53、位置20〜53、位置19〜53、位置18〜53、位置17〜53、位置16〜53、位置15〜53、位置14〜53、位置13〜53、位置12〜53、位置11〜53、位置10〜53、位置9〜53、位置8〜53、位置7〜53、位置6〜53、位置5〜53、位置4〜53、位置3〜53、位置2〜53および位置1〜53に記載のアミノ酸またはアミノ酸ストレッチからなる群から選択される、請求項77記載の方法。
【請求項79】
さらなる下流のアミノ酸が配列番号2の位置85または位置85〜nで示され、ここでnが86〜458の整数である、請求項77または78記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−518810(P2010−518810A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547686(P2009−547686)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【国際出願番号】PCT/EP2008/051144
【国際公開番号】WO2008/092905
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】