説明

調節物質

本発明は、式Iの化合物、又は薬学的に許容されるその塩に関し、式中、ZはOR又はNRであり、R及びRはそれぞれは独立に、H又はヒドロカルビル基であり;Xは、アルキレン基、アルケニレン基、又はアルキニレン基であり、これらはそれぞれ任意に、アルキル、COOH、CO−アルキル、アルケニル、CN、NH、ヒドロキシ、ハロ、アルコキシ、CF、及びニトロから選択される1つ又は複数の置換基によって置換されてもよく;Yは、OH、NO、CN、COR、COOR、NR、CONR、SOH、SO−R、SONR、及びCFから選択される極性官能基であり、R及びRはそれぞれ独立に、H又はヒドロカルビル基であり;Aは、アリール基又はヘテロアリール基であり、これらはそれぞれ任意に置換されてもよく;且つBは(CHであり、nは0、1、2、3、4、又は5である;但し、
(i)Aがフェニルであり、nが0であり、且つZがOHである場合、X−Yは、meta−C≡C−(CHCOH、meta−C≡C−(CHOH、meta−C≡C−(CHCOMe、meta−(CHCOH、ortho−CHCOH、ortho−(CHCOH、及びortho−(CHCOH以外のものであること;及び(ii)Aがフェニルであり、nは0であり、且つZがOMeである場合、X−Yは、meta−C≡C−(CHOH以外のものであることを条件とする。本発明の別の態様は、筋疾患、胃腸障害の治療のための、或いは痙攣又は振戦の抑制のための医薬品の製造のための、そのような化合物の使用に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カンナビノイド受容体を調節することが可能な化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療用大麻、及び大麻の活性成分であるΔ−テトラヒドロカンナビノール(THC)[1]などの合成カンナビノイドの治療上の使用について、新たな関心が持たれている。
【0003】
【化1】

【0004】
THCは、急性、特に慢性/神経障害性の疼痛、吐き気、摂食障害、AIDS、緑内障、喘息、及び多発性硬化症の抑制も含めた医療のいくつかの主な領域で、治療上有益と考えられる[Baker,D. et al, Nature 2000, 404, 84-87; Baker,D. et al, FASEB J. 2001, 15, 300-302; Schnelle,M. et al, Forsch. Komplementarmed. 1999, 6 suppl 3, 28-36]。
【0005】
いくつかのカンナビノイドリガンドが、文献で報告されている。概してカンナビノイドリガンドは、(i)(−)−Δ−テトラヒドロカンナビノールやΔ−THC[1]、CP55,940[9]などの古典的カンナビノイドと;(ii)アナンダミド[2]や2−アラキドニルグリセロール[3]などのエンドカンナビノイドと;(iii)WIN55,212[7]や選択的CB1アンタゴニストSR141716A[8]などの複素環に代表される非古典的複素環類似体とからなる、3つの主なグループに分けることができる[Pertwee,R.G., Pharmacology & Therapeutics 1997, 74, 129-180]。立体配置的に制約を受けるアナンダミド類似体についても、報告されている[Berglund,B.A. et al, Drug Design and Discovery 2000, 16, 281-294]。しかし今日まで、カンナビノイド薬の治療上の有用性は、その望ましくない精神活性により、限定されている。
【0006】
【化2】

【0007】
カンナビノイドは、急性、炎症性、及び神経障害性の疼痛モデルで、侵害受容処理を調節することが知られている[Pertwee,R.G., Prog. Neurobiol. 2001, 63, 569-611]。より具体的には、研究は、神経障害性痛覚過敏[Herzberg,U. et al, Neurosci. Lett. 1997, 221, 157-160]及び炎症性痛覚過敏[Richardson,J.D., Pain 1998, 75, 111-119; Jaggar,S.I. et al, Pain 1998, 76, 189-199; Calignano,A. et al, Nature 1998, 394, 277-281; Hanus, L. et al, Proc.Natl.Acad.Sci. U.S.I 1999, 96, 14228-14233]のモデルにおけるカンナビノイドの役割に、重点が置かれてきた。また、カンナビノイド受容体の発現と、内因性カンナビノイドのレベルとは、炎症及び痛覚過敏の間に変化する可能性があることも提示されてきた[Pertwee,R.G., Prog. Neurobiol. 2001, 63, 569-611]。
【0008】
カンナビノイドの信号伝達系は、2つのクローン化カンナビノイド受容体(CB及びCB)と、アナンダミド[2]や2−アラキドノイルグリセロール[3]などのエンドカンナビノイドリガンドと、エンドカンナビノイド分解系とを含むと考えられる[Howlett,A.C. et al, International Union of Pharmacology XXVII, Pharmacol. Rev. 2002, 54, 161-202; Pertwee,R.G., Pharmacology of cannabinoid receptor ligands. Curr. Med. Chem. 1999, 6, 635-664]。
【0009】
カンナビノイド系の、1つの重要な機能は、シナプス神経伝達物質放出のレギュレーターとして働くことである[Kreitzer,A.C. et al, Neuron 2001, 29, 717-727: Wilson,R.I. et al, Neuron 2001, 31, 453-462]。CBは、CNS中、とりわけ淡蒼球、黒質、小脳、及び海馬中に、高レベルで発現する[Howlett,A.C., Neurobiol. Dis. 1998, 5, 405-416]。これは、大麻が平静及び短期記憶処理に及ぼす既知の副作用と一致している[Howlett,A.C. et al, International Union of Pharmacology XXVII, Pharmacol. Rev. 2002, 54, 161-202]。CBは白血球によって発現し、その調節は精神活性作用を誘発せず、さらにこれは、大部分の作用がCBによって媒介される症状管理の大きな目標ではない。
【0010】
多くのカンナビノイド作用は、CNS中の受容体によって主に媒介されるが[Howlett,A.C. et al, International Union of Pharmacology XXVII, Pharmacol. Rev. 2002, 54, 161-202]、末梢CB受容体も、特に疼痛及び胃腸管において重要な役割を演ずると理解される。例えばCBは、後根神経節や末梢神経、神経筋終末などの末梢組織でも発現し、それによって、CNSの外側で神経伝達を調節することが可能になる[Pertwee,R.G., Life Sci. 1999, 65, 597-605]。したがって、疼痛[Fox,A. et al, Pain 2001, 92, 91-100]、又は腸運動過剰を含むような状態での治療活性を、非CNS部位に位置付けることができる。しかし今日まで、末梢カンナビノイド系に関する研究は、CNS上の末梢受容体を選択的に標的とする薬物の不足により、妨げられてきた。
【0011】
有害な精神活性作用を無くすため、CNSからカンナビノイドアゴニストを除外することが望ましい。小分子物質のCNS除外のための、2つの確立された方法がある。まず、1つの方法では、物質が血液脳関門(BBB)を通過しないように、その物理化学的性質を慎重に制御することによって、CNSから物質を除外する。BBBは、緊密な細胞間結合及びごく僅かな開窓を有する、脳内皮細胞によって形成される[Tamai,I. et al, J.Pharm.Sci. 2000, 89, 1371-1388]。その結果、物質は、原形質膜を横断する受動拡散によって、又は能動輸送メカニズムによって、脳に進入しなければならない。したがってBBBは、多くの末梢循環物質に対して効果的な障壁を形成する。
【0012】
脳から化合物を除外する代替方法は、BBBを通過するように化合物を能動的に送出させる、構造的特徴を組み込むことである。そのような1つの例は、オピオイドアゴニストロペラミドであるが、親油性のロペラミドは、血液脳関門を通過するよう能動的に送出することが可能な、p−糖タンパク質輸送体(MDR1)によって認識される、構造的特徴を含む[Wandel,C. et al, Anesthesiology 2002, 96, 913-920; Seeling,A. et al, Eur.J.Pharm.Sci. 2000, 12, 31-40]。
【非特許文献1】Baker,D. et al, Nature 2000, 404, 84-87
【非特許文献2】Baker,D. et al, FASEB J. 2001, 15, 300-302
【非特許文献3】Schnelle,M. et al, Forsch. Komplementarmed. 1999, 6 suppl 3, 28-36
【非特許文献4】Pertwee,R.G., Pharmacology & Therapeutics 1997, 74, 129-180
【非特許文献5】Berglund,B.A. et al, Drug Design and Discovery 2000, 16, 281-294
【非特許文献6】Pertwee,R.G., Prog. Neurobiol. 2001, 63, 569-611
【非特許文献7】Herzberg,U. et al, Neurosci. Lett. 1997, 221, 157-160
【非特許文献8】Richardson,J.D., Pain 1998, 75, 111-119
【非特許文献9】Jaggar,S.I. et al, Pain 1998, 76, 189-199
【非特許文献10】Calignano,A. et al, Nature 1998, 394, 277-281
【非特許文献11】Hanus,L. et al, Proc.Natl.Acad.Sci. U.S.A 1999, 96, 14228-14233
【非特許文献12】Howlett,A.C. et al, International Union of Pharmacology XXVII, Pharmacol. Rev. 2002, 54, 161-202
【非特許文献13】Pertwee,R.G., Pharmacology of cannabinoid receptor ligands. Curr. Med. Chem. 1999, 6, 635-664
【非特許文献14】Kreitzer,A.C. et al, Neuron 2001, 29, 717-727
【非特許文献15】Wilson,R.I. et al, Neuron 2001, 31, 453-462
【非特許文献16】Howlett,A.C., Neurobiol. Dis. 1998, 5, 405-416
【非特許文献17】Pertwee,R.G., Life Sci. 1999, 65, 597-605
【非特許文献18】Fox,A. et al, Pain 2001, 92, 91-100
【非特許文献19】Tamai,I. et al, J.Pharm.Sci. 2000, 89, 1371-1388
【非特許文献20】Wandel,C. et al, Anesthesiology 2002, 96, 913-920
【非特許文献21】Seeling,A. et al, Eur.J.Pharm.Sci. 2000, 12, 31-40
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、新しいカンナビノイド受容体調節物質を提供しようとするものである。より詳細には、本発明は、一般に従来技術の調節物質に関連する欠点のいくつか、例えば望ましくない精神活性作用を緩和し且つ/又は無くす、カンナビノイド受容体調節物質を提供しようとするものである。より具体的には、本発明は、末梢カンナビノイド受容体を選択的に標的とする調節物質を提供しようとするものであるが、これに限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の態様は、式Iの化合物、又は薬学的に許容されるその塩に関する。
【0015】
【化3】

【0016】
(式中、
ZはOR又はNRであり、R及びRはそれぞれ独立に、H又はヒドロカルビル基であり;
Xは、アルキレン基、アルケニレン基、又はアルキニレン基であり、これらはそれぞれ任意に、アルキル、COOH、CO−アルキル、アルケニル、CN、NH、ヒドロキシ、ハロ、アルコキシ、CF、及びニトロから選択される1つ又は複数の置換基によって置換されていてもよく;
Yは、OH、NO、CN、COR、COOR、NR、CONR、SOH、SO−R、SONR、及びCFから選択される極性官能基であり、R及びRはそれぞれ独立に、H又はヒドロカルビル基であり;
Aは、アリール基又はヘテロアリール基であり、これらはそれぞれ任意に置換されていてもよく;且つ
Bは(CHであり、nは0、1、2、3、4、又は5である;
但し、
(i)Aがフェニルであり、nが0であり、且つZがOHである場合、X−Yは、metaC≡C−(CHCOH、metaC≡C−(CHOH、metaC≡C−(CHCOMe、meta(CHCOH、ortho−CHCOH、ortho−(CHCOH、及びortho−(CHCOH以外のものであること;及び
(ii)Aがフェニルであり、nが0であり、且つZはOMeである場合、X−Yは、metaC≡C−(CHOH以外のものであることを条件とする。)
【0017】
本発明の化合物は、好ましくは、従来技術のカンナビノイド受容体調節物質に比べて改善された水溶性及び/又は低下した親油性を示すことが有利である。
【0018】
本発明の第2の態様は、筋疾患を治療するための医薬品の製造のための、式Iaの化合物、又は薬学的に許容されるその塩の使用に関する。
【0019】
【化4】

【0020】
(式中、
ZはOR又はNRであり、R及びRはそれぞれ独立に、H又はヒドロカルビル基であり;
Xは、アルキレン基、アルケニレン基、又はアルキニレン基であり、これらはそれぞれ任意に置換されていてもよく;
Yは、極性官能基であり;
Aは、アリール基又はヘテロアリール基であり、これらはそれぞれ任意に置換されていてもよく;且つ
Bは(CHであり、nは0、1、2、3、4、又は5であるものである。)
【0021】
本発明の第3の態様は、痙攣及び振戦を抑制するための医薬品の製造のための、上記定義した式Iaの化合物、又は薬学的に許容されるその塩の使用に関する。
【0022】
本発明の第4の態様は、胃腸障害を治療するための医薬品の製造のための、上記定義した式Iaの化合物、又は薬学的に許容されるその塩の使用に関する。
【0023】
本発明の第5の態様は、薬学的に許容される希釈剤、賦形剤、又は担体と混合させた、上記定義した式Iaの化合物を含む、医薬品組成物に関する。
【0024】
本発明の第6の態様は、カンナビノイド受容体活性を調節することが可能なその他の化合物を同定するためのアッセイにおける、式Iaの化合物、又は薬学的に許容されるその塩の使用に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
カンナビノイド
カンナビノイドは、カンナビノイド受容体、特にCB1及び/又はCB2に結合することが可能な物体である。典型的なカンナビノイドは、インド大麻、アサに見られる、2−(2−イソプロピル−5−メチルフェニル)−5−ペンチルレゾルシノールの30程度の誘導体を含み、その中には、植物及びその抽出物の麻薬作用を誘発させるものがある。カンナビノイドの例は、カンナビジオール、カンナビノール、トランス−Δ−テトラヒドロカンナビノール、トランス−Δ−テトラヒドロカンナビノール、及びΔ−テトラヒドロ−カンナビノール酸である。カンナビノイドのその他の例には、アナンダミド、メタナンダミド、及びR(+)WIN55,212が含まれる。
【0026】
エンドカンナビノイド
この用語は、外部から供給されたカンナビノイドとは対照的に、体内に天然に存在するカンナビノイドを意味する。エンドカンナビノイドは、Di Marzo (1998) Biochimica et Biophysica Acta vol 1392 pages 153-175に論じられている(その内容を、参照により本明細書に組み込む)。エンドカンナビノイドの例は、アナンダミドである。この物質及びアナンダミドアミダーゼに関する教示を、US−A−5874459に見出すことができる。この文献は、アナンダミドアミダーゼ阻害剤の、鎮痛薬としての使用について教示している。
【0027】
カンナビノイド受容体
カンナビノイド受容体は、カンナビノール及び構造的に類似している化合物を結合し、且つそれらの細胞内作用を媒介する、いくつかの膜タンパク質のいずれか1つ又は複数である。
【0028】
マリファナの精神活性成分Δ−テトラヒドロカンナビノール(THC)に対する2つの受容体、CB1及びCB2カンナビノイド受容体が、わかっている(Pertwee 1997 Pharmacol Ther vol 74 129-180)。これら受容体のどちらも、7回膜貫通ドメインGタンパク質結合型受容体である。CB受容体は、脳及び精巣に見られる。CB受容体は脾臓に見られ、脳には見られない。
【0029】
どちらのタイプの受容体も、アラキドノイルエタノールアミド(アナンダミド)が推定上の内在リガンドであり、どちらのタイプもアデニレートシクラーゼにネガティブに結合し、細胞内環状AMPレベルが低下する。そのような受容体の配列の例は、Mus musculusから得られ、CB1、データベースコードCB1R_MOUSE、473アミノ酸(52.94kDA)と、CB2、データベースコードCB2R_MOUSE、347アミノ酸(38.21kDa)が含まれる。CB1及びCB2に関するさらなる詳細について、以下に述べる。
【0030】
カンナビノイド受容体1(CB又はCNR1)
CBに関する背景の教示は、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/Omim上に、Victor A. McKusick他によって示されている。CBに関する以下の情報は、このソースから抽出した。
【0031】
カンナビノイドはマリファナの精神活性成分であり、主としてΔ−9−テトラヒドロカンナビノール、並びに合成類似体であって、Matsuda他[Nature 346: 561-564, 1990]がラットの脳からカンナビノイド受容体をクローニングした。ヒト遺伝子の全コード配列のコスミドクローンを使用して、Modi及びBonner[Abstract, Cytogenet. Cell Genet. 58: 1915 only, 1991]は、in situハイブリダイゼーションにより6q14-q15にヒトCNR座をマップした。Gerard他[Biochem. J. 279: 129-134, 1991]は、ヒト脳幹cDNAライブラリーから、カンナビノイド受容体をコード化するcDNAを単離した。推論されるアミノ酸配列は、Matsuda他[同書、1990]によってクローン化されたカンナビノイド受容体に対して97.3%の同一部分を共有する、472残基のタンパク質をコード化した。これらは、ヒト精巣中に発現した同一カンナビノイド受容体が存在することの証拠を提供した。Hoehe他[New Biologist 3: 880-885, 1991]は、遺伝的連関マッピングと染色体in situハイブリダイゼーションとを組み合わせることによって、CNR遺伝子のゲノム局在化を決定した。密接な連関は、6q21.1-q23に位置付けられたCGA、θ=0.0での最大ロッド=2.71により示した。さらにCNRは、座D6Z1、全ての染色体のセントロメアだけに局在化し且つ染色体6上で豊富にされた配列を定めるマーカーに結合した。Ledent他[Science 283: 401-404, 1991]は、マウスの遺伝子を分裂させることによって、中枢カンナビノール受容体(CB1)の機能について調査した。突然変異マウスは、カンナビノイド薬物に応答せず、鎮痛、強化、低体温、低運動移動、及び低血圧を媒介する際の、CB1の唯一の役割が実証された。
【0032】
カンナビノイド受容体2(CB2又はCNR2)
CB2に関する背景の教示は、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/Omim上に、Victor A. McKusick他によって示されている。CB2に関する以下の情報は、このソースから抽出した。
【0033】
そのよく知られた精神活性の他に、マリファナ、又はその主な活性カンナビノイド成分、Δ−9−テトラヒドロカンナビノールは、鎮痛性、抗炎症性、免疫抑制性、抗痙攣性、及び制吐作用を発揮し、同様に緑内障の眼内圧も軽減させる。精巣内で低レベルであることは別にして、脳内で発現するがその末梢では発現しない、Gタンパク質結合型カンナビノイド受容体−1(CNR1; 114610)は、カンナビノイドの非精神活性作用を容易に説明するものではない。
【0034】
前骨髄球性白血病細胞cDNAライブラリーをスクリーニングするために、縮退プライマーを用いたPCRを使用することにより[Munro, Nature 365: 61-65, 1993]、cDNAコード化CNR2が得られ、これを筆者は、CX5と呼んだ。配列分析では、推定される360アミノ酸7回膜貫通タンパク質が、CNR1全体に対して44%のアミノ酸同一部分を有し、且つリガンド特異性をもたらすよう提示された膜貫通残基に対して68%の同一部分を有することが予測された。結合分析では、CNR2が、カンナビノールのCNR1よりも高い親和性で、カンナビノイドの高親和性受容体をコードすると判定された。ノーザンブロット分析では、HL60骨髄細胞系中の2.5−及び5.0−kbの転写物の発現が、骨髄又は顆粒球分化で増加することが、明らかにされた。ラットCX5同族体を使用することにより、Munro[1993,同書]は、2.5−kb転写物が脾臓で発現するが、脳、腎臓、肺、胸腺、肝臓、又は鼻上皮では発現しないことを見出した。in situハイブリダイゼーション分析では、脾臓周辺帯での発現が実証された。PCR分析では、精製された脾臓マクロファージでのCNR2発現が検出されたが、CD5+t細胞では検出されなかった。Munro[1993,同書]は、CNR2の位置が、その内在リガンドが免疫調節の役割をすべきであることを示唆すると推測した。国際放射線ハイブリッドマッピング協会(International Radiation Hybrid Mapping Consortium)は、CNR2遺伝子を染色体(stSG90)にマップした。
【0035】
化合物
上述のように、本発明の化合物は、従来技術のカンナビノイド調節物質に比べ、改善された水溶性及び/又は低下した親油性を示すことが好ましい。本発明の化合物は、いかなる有意な程度にも、血液脳関門を通過しないことが好ましい。
【0036】
本発明は、本明細書で定義された式I、Ia、Ib、及びIcの化合物に関する。
【0037】
本明細書で使用する「ヒドロカルビル」という用語は、1つ又は複数のその他の適切な置換基を任意に含むことができる、少なくともC及びHを含む基を指す。そのような置換基の例には、ヒドロキシ、ハロ−、アルコキシ−、ニトロ−、アルキル基、又は環式基を含めることができる。環式基である置換基が可能である他に、置換基の組合せで環式基を形成することができる。ヒドロカルビル基が複数のCを含む場合、それらの炭素は、必ずしも互いに結合している必要はない。例えば、炭素の少なくとも2個が、適切な元素又は基を介して結合することができる。したがってヒドロカルビル基は、ヘテロ原子を含有することができる。適切なヘテロ原子は、当業者に明らかにされ、例えば、硫黄、窒素、酸素、リン、及びケイ素が含まれる。好ましくは、ヒドロカルビル基はアルキル基、アルケニル基、アリール基、又はシクロアルキル基であり、これらはそれぞれ任意に置換されていてもよい。ヒドロカルビル基は、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、又はフェニルであることが、より好ましい。
【0038】
本明細書で使用する「アルキル」という用語は、置換(モノ−又はポリ−)又は非置換でよい、飽和直鎖及び分枝状アルキル基の両方を含む。好ましくは、アルキル基はC1−20アルキル基であり、より好ましくはC1−15であり、さらにより好ましくはC1−10アルキル基であり、さらにより好ましくはC1−6アルキル基である。特に好ましいアルキル基には、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、及びヘキシルが含まれる。適切な置換基には、例えば、アルキル、ヒドロキシ、ハロ−、アルコキシ−、ニトロ−、COOH、CO−アルキル、アルケニル、CN、NH、CF、又は環式基が含まれる。当業者なら、「アルキレン」という用語が相応に、即ち本発明の文脈において解釈されることが理解され、この「アルキレン」という用語は、末端Y基を有する、直鎖又は分枝状の置換(モノ−又はポリ−)又は非置換の飽和炭素鎖を包含する。
【0039】
本明細書で使用する「シクロアルキル」という用語は、置換(モノ−又はポリ−)又は非置換のものでよい環状アルキル基を指す。適切な置換基には、例えば、アルキル、ヒドロキシ、ハロ−、アルコキシ−、ニトロ−、COOH、CO−アルキル、アルケニル、CN、NH、CF、又は環式基が含まれる。
【0040】
本明細書で使用する「アルケニル」という用語は、1つ又は複数の二重結合を含有する基であって、分枝状又は非分枝状、及び置換(モノ−又はポリ−)又は非置換のものでよい基を指す。好ましくは、アルケニル基はC2−20アルケニル基であり、より好ましくはC2−15アルケニル基であり、さらにより好ましくはC2−10アルケニル基であり、又は好ましくはC2−6アルケニル基である。適切な置換基には、例えば、アルキル、ヒドロキシ、ハロ−、アルコキシ−、ニトロ−、COOH、CO−アルキル、アルケニル、CN、NH、CF、又は環式基が含まれる。当業者なら、「アルケニレン」という用語が相応に、即ち本発明の文脈において解釈されることが理解され、この「アルケニレン」という用語は、1つ又は複数二重結合を含有し且つ末端Y基を有する、直鎖又は分枝状の置換(モノ−又はポリ−)又は非置換の不飽和炭素鎖を包含する。
【0041】
本明細書で使用する「アルキニル」という用語は、分枝状又は非分枝状の置換(モノ−又はポリ−)又は非置換でよい、1つ又は複数の三重結合を含有する基を指す。好ましくは、アルキニル基はC2−20アルキニル基であり、より好ましくはC2−15アルキニル基であり、さらにより好ましくはC2−10アルキニル基であり、又は好ましくはC2−6アルキニル基である。適切な置換基には、例えば、アルキル、ヒドロキシ、ハロ−、アルコキシ−、ニトロ−、COOH、CO−アルキル、アルケニル、CN、NH、CF、又は環式基が含まれる。当業者なら、「アルキニレン」という用語が相応に、即ち本発明の文脈において解釈されることが理解され、この「アルキニレン」という用語は、1つ又は複数の三重結合を含有し且つ末端Y基を有する、直鎖又は分枝状の置換(モノ−又はポリ−)非置換不飽和炭素鎖を包含する。
【0042】
本明細書で使用する「アリール」という用語は、置換(モノ−又はポリ−)又は非置換のものでよいC6−10芳香基を指す。典型的な例には、フェニル及びナフチルなどが含まれる。適切な置換基には、例えば、アルキル、ヒドロキシ、ハロ−、アルコキシ−、ニトロ−、COOH、CO−アルキル、アルケニル、CN、NH、CF、又は環式基が含まれる。
【0043】
「ヘテロアリール」という用語は、1個又は複数のヘテロ原子を含有する上記定義したアリール基を指す。適切なヘテロ原子は当業者に明らかにされ、例えば、硫黄、窒素、酸素、リン、及びケイ素が含まれる。適切な置換基には、例えば、アルキル、ヒドロキシ、ハロ−、アルコキシ−、ニトロ−、COOH、CO−アルキル、アルケニル、CN、NH、CF、又は環式基が含まれる。
【0044】
式Iaの化合物(本発明で使用される)は、飽和又は不飽和ヒドロカルビルリンカー基Xによってアリール基Aに結合した極性官能基Yを含有する。適切な極性官能基は、当業者に馴染みのあるものになり、例えばFやO、N、Cl、又はBrなど、1個又は複数の電気陰性原子を含んだ任意の官能基が含まれる。好ましい極性官能基には、ヒドロキシ、アルコキシ、アミン、イミン、ニトロ、シアノ、カルボニル含有基、及びスルホキシ含有基が含まれる。
【0045】
式Iaの化合物の場合、特に好ましい極性基には、NO、CN、OR、COR、COOR、NR、CONR、SOH、SO、SONR、及びCFが含まれ、R及びRはそれぞれ独立に、H又はヒドロカルビル基である。
【0046】
式Iaの化合物の場合、1つの特に好ましい実施形態では、Yが、OR、CN、COOR、SONR、CONRから選択され、R及びRはそれぞれ独立に、H又はヒドロカルビル基である。
【0047】
式Iaの化合物の場合、本発明のさらに好ましい実施形態では、Yが、OR、CN、COOR、CONRから選択され、R及びRはそれぞれ独立に、H、又はヒドロキシ、ハロ−、アルコキシ−、ニトロ−、及び環式基から選択された1個又は複数の置換基により任意に置換されたアルキル基である。
【0048】
式Iaの化合物の場合、さらにより好ましくは、Yが、OH、CN、COOMe、COOH、CONH、CONHMe、及びCONMeから選択される。
【0049】
式Iの化合物の場合、極性基Yは、NO、OH、CN、COR、COOR、NR、CONR、SOH、SO−R、SONR、及びCFから選択され、R及びRはそれぞれ独立に、H又はヒドロカルビル基である。
【0050】
式Iの化合物の場合、好ましい極性基Yは、OH、CN、COOR、SONR、CONRから選択され、R及びRはそれぞれ独立に、H又はヒドロカルビル基である。
【0051】
式Iの化合物の場合、本発明のさらにより好ましい実施形態で、Yは、OH、CN、COOR、CONRから選択され、R及びRはそれぞれ独立に、H、又はヒドロキシ、ハロ−、アルコキシ−、ニトロ−、及び環式基から選択された1個又は複数の置換基により任意に置換されたアルキル基である。
【0052】
式Iの化合物の場合、さらにより好ましくは、Yが、OH、CN、COOMe、COOH、CONH、CONHMe、及びCONMeから選択される。
【0053】
上記実施形態の全てにおいて、好ましくは、R、R、R、及びRのそれぞれが独立に、H、アルキル基、アリール基、又はシクロアルキル基であり、このそれぞれは、ヒドロキシ、ハロ−、アルコキシ−、ニトロ−、及び環式基から選択された1個又は複数の置換基により任意に置換されていてもよい。
【0054】
本発明の、1つの特に好ましい実施形態では、nが0であり、即ちBが存在せず、−C(=O)Z部分がアリール基Aに直接結合している。
【0055】
式I及びIaの化合物の場合、好ましくはX−Yが、
−C≡C−(CH−Y;
−C(R)=C(R)−(CH−Y;及び
−C(R)(R)C(R)(R)−(CH−Y
から選択され、R、R、R、及びRのそれぞれが独立に、H又はアルキルであり、p、q、及びrのそれぞれが独立に、1から6であり、より好ましくは2、3、又は4である。
【0056】
式I及びIaの化合物の場合、さらにより好ましくはX−Yが、
−C≡C−(CH−Y;及び
−CH=CH−(CH−Y
から選択され、p及びqのそれぞれが独立に、1から6であり、より好ましくは2、3、又は4である。
【0057】
1つの好ましい実施形態では、R及びRが共にHである。
【0058】
式I及びIaの化合物の場合、1つの特に好ましい実施形態では、X−Yがcis−C(R)=C(R)−(CH−Yである。
【0059】
式I及びIaの化合物の場合、別の好ましい実施形態では、X−Yが−C(Me)−CH−(CH−Yであり、rが1から6であり、より好ましくは2、3、又は4である。
【0060】
別の好ましい実施形態では、X−Yが(CH−Yであり、sは1から6であり、より好ましくは2、3、4、又は5である。
【0061】
好ましくは、式I及びIaの化合物の場合、Aが、任意に置換されたフェニル又はピリジル基であり、より好ましくはフェニル基である。
【0062】
別の好ましい実施形態では、Aが、非置換のフェニル又はピリジル基であり、より好ましくは非置換のフェニル基である。
【0063】
1つの特に好ましい実施形態では、前記化合物が、式Ibのものである。
【0064】
【化5】

【0065】
(式中、A、B、X、Y、及びZは、上記にて定義した通りである。)
【0066】
別の特に好ましい実施形態では、前記化合物は式Icのものである。
【0067】
【化6】

【0068】
(式中、A、B、X、Y、及びZは、上記にて定義した通りである。)
【0069】
好ましくは、ZはOR又はNRであり、R及びRはそれぞれ独立に、H、アルキル基、又はシクロアルキル基であり、このそれぞれは、1つ又は複数のOH又はハロゲン基により任意に置換されていてもよい。
【0070】
1つの好ましい実施形態では、ZがNRであり、R及びRはそれぞれ独立に、H、又はアルキル、又はシクロアルキル基であり、このそれぞれは、1つ又は複数のOH又はハロゲン基により任意に置換されていてもよい。
【0071】
1つの好ましい実施形態では、ZがORであり、Rは、アルキル又はシクロアルキル基であり、このそれぞれは、1つ又は複数のOH又はハロゲン基により任意に置換されていてもよい。
【0072】
1つの好ましい実施形態では、Zは、OH、OEt、NHCHCHF、NH−シクロプロピル、NHCH(Me)CHOH、及びNHCHCHOHから選択される。
【0073】
より好ましい実施形態では、Zは、OEt、NHCHCHF、NH−シクロプロピル、NHCH(Me)CHOH、及びNHCHCHOHから選択される。
【0074】
本発明の化合物を、マウスを使用して、生体外でのカンナビノイド受容体結合及び活性化に関して、且つ生体内での精神活性能力に関して調査した。化合物の脳内レベルの直接測定を使用して、CNSレベルを定量した(CNS作用が不足している化合物に関して)。末梢カンナビノイド活性化を、腸運動アッセイを使用して評価した。結合研究のさらなる詳細は、添付の実施例のセクションに見ることができる。
【0075】
本発明の特に好ましい化合物は、下記のものから選択する。
【0076】
【化7】

【0077】
さらにより好ましくは、式Iの化合物は下記の通りである。
【0078】
【化8】

【0079】
化合物(16)が、相当なCNS作用をもたらすこと無く末梢カンナビノイド受容体を調節することを示したことは、有利である。さらに、CREAEマウスで実施した実験は、化合物(16)が、CNS作用をもたらすこと無く痙攣の選択的阻害を実現できることを、示唆している。
【0080】
さらにより好ましい実施形態では、化合物(16)は、ラセミ混合物である。
【0081】
合成
式I及びIaの化合物は、以下のスキームに従って合成する。
【0082】
【化9】

【0083】
簡単に言えば、パラジウムで触媒されたSongashiraカップリング反応を使用して、様々なアルキル側鎖を3−ヨード安息香酸メチルに挿入した。標的化合物(S5)及び関連する類似体は、簡単な4段階経路によって合成した。まず、酸(S1)を、ジイミド(EDCI)の存在下でDLアラニノールと反応させることにより、アミド(S2)を良好な収率で得た。CuI及びピロリジンの存在下での、アミドとアルキン酸とのパラジウム触媒カップリング[Hoye,R.C. et al, J.Org.Chem. 1999, 64, 2450-2453; Hopper,A.T. et al, J.Med.Chem. 1998, 41, 420-427]は、円滑に進行し、その結果、アルキンが得られた(S3)。酸(S3)を、エチルクロロホルメート及びジメチルアミンHClを使用して、(S4)に定量的に変換した。Lindlar触媒反応により、目標のアルケンが得られた(S5)。この方法の柔軟性により、Sonogashiraカップリング用の一連のアルキンを使用して、又は第1段階でのアミド形成用の別のアミンから開始することによって、多数の異なる化合物の合成が可能である。
【0084】
療法に関する適用例
別の態様は、筋疾患を治療するための医薬品の製造のための、本発明による式Iaの化合物の使用に関する。好ましい実施形態は、一般式Iの化合物に関して既に述べたものと同一である。
【0085】
筋疾患は、神経筋疾患であることが好ましい。
【0086】
本明細書で使用する「薬物の調製」という文言は、薬物としての直接的な式Iの化合物の使用の他に、別の薬剤に関するスクリーニングプログラムでの使用、又はそのような薬物の製造の任意の段階での使用を含む。
【0087】
「筋疾患」という用語は、あらゆる筋肉の障害又は疾患を網羅する広い意味で使用され、特に、神経障害又は疾患、より詳細には神経変性疾患、又は神経筋制御を伴う悪条件として使用される。したがって、この用語には、例えばCREAE、MS、痙攣、パーキンソン病、ハンチントン病、脊髄損傷、癲癇、トゥーレット症候群、及び膀胱痙攣が含まれる。多発性硬化症及びEAEで痙攣を抑制する際、末梢カンナビノイド受容体の明瞭な役割は無いが、血液:CNS障壁が病変領域で損なわれ、治療薬を選択的に到達させることができる[Butter,C. et al, J.Neurol. Sci. 1991, 104, 9-12; Daniel,P.M. et al, J.Neurol. Sci. 1983, 60, 367-376; Juhler, M. et al, Brain Res. 1984, 302, 347-355]。
【0088】
前述の障害の他、本発明には、失禁や喘息、気管支痙攣、しゃっくりなど、振戦又は筋痙攣が生じ又は顕著である別の分野での用途もある。
【0089】
別の態様は、痙攣及び振戦を抑制するための医薬品の製造のための、本発明による式Iaの化合物の使用に関する。
【0090】
また本発明の化合物には、様々な胃腸障害の治療での、療法としての用途もある。
【0091】
末梢CB受容体は、胃腸運動、腸分泌、及び胃保護を調節することが知られている。消化管は、内在カンナビノイド(アナンダミド及び2−アラキドノイルグリセロール)を含有し、カンナビノイドCB受容体は、腸管筋及び粘膜下神経上に見出すことができる。接合部前/シナプス前に位置付けられた腸内(腸管)CB受容体の活性化は、ヒト回腸及び結腸を含めた様々な分離した腸管組織での、電気的に誘発された収縮(腸神経からのアセチルコリン放出の阻害に伴う作用)の阻害をもたらす。カンナビノイドアゴニストは、げっ歯類の生体内で腸運動を阻害し、この作用は、少なくとも部分的に、上部胃腸通過[Izzo,A.A. et al, Br.J.Pharmacol. 2000, 129, 1627-1632; Landi,M. et al, Eur.J.Pharmacol. 2002, 450, 77-83]と結腸[Pinto,L. et al, Gastroenterology 2002, 123, 227-234]の両方において、末梢(即ち腸管)CB受容体の活性化によって媒介される。したがって、生体内での腸運動の測定は、末梢作用カンナビノイド薬物の活性を評価するための、有用なモデルである。
【0092】
別の態様は、胃腸障害を治療するための医薬品の製造のための、本発明による式Iaの化合物の使用に関する。
【0093】
好ましくは、胃腸障害は、下記のもの、即ち胃潰瘍、クローン病、分泌性下痢、及び麻痺性イレウスの、1つ又は複数から選択される。
【0094】
本明細書で使用する「麻痺性イレウス」という用語は、腸内での物質の通過を妨げる、腸の麻痺又は不活性を指す。典型的な場合、これは、抗コリン作動薬、損傷、又は病気の結果と考えられる。麻痺性イレウスは、術後に一般的に生ずるものである。
【0095】
好ましくは、上記療法上の適用例の全ての場合、調節物質は、末梢カンナビノイド受容体を選択的に調節する。
【0096】
さらにより好ましくは、調節物質は、中枢カンナビノイド受容体よりも、末梢カンナビノイド受容体を選択的に調節する。
【0097】
本明細書で使用する「選択的に」という用語は、末梢カンナビノイド受容体に選択的な調節物質を指す。これらは、中枢カンナビノイド受容体よりも選択的であることが好ましい。好ましくは、本発明の調節物質は、末梢カンナビノイド受容体に対する選択比が、中枢カンナビノイド受容体に対して10:1よりも大きく、より好ましくは100:1よりも大きく、より好ましくは300:1よりも大きい。選択比は、当業者によって容易に決定することができる。
【0098】
いくつかの適用例では、本発明の調節物質は、約1000nM未満のEC50値を有することが好ましく、好ましくは100nM未満、より好ましくは約75nM未満、さらにより好ましくは約50nM未満、好ましくは約25nM未満、好ましくは約20nM未満、好ましくは約15nM未満、好ましくは約10nM未満、好ましくは約5nM未満である。
【0099】
より好ましくは、調節物質は、実質的に末梢カンナビノイド受容体のみに結合する。
【0100】
ある特定の好ましい実施形態では、調節物質は、カンナビノイド受容体アゴニストである。本明細書で使用する「アゴニスト」という用語は、当技術分野でのその通常の意味で使用し、即ちこれが結合する受容体を機能的に活性化する化合物を意味する。
【0101】
ある特定の好ましい実施形態では、調節物質は、中枢カンナビノイド受容体に実質的にアゴニストとして作用しない。
【0102】
調節物質は、CNSから実質的に除外されることが、さらにより好ましい。したがって調節物質は、望ましくない精神活性作用などのCNS作用をもたらすこと無く、末梢カンナビノイド受容体を調節することが可能である。
【0103】
本発明の別の態様は、末梢カンナビノイド受容体の調節に関連した、障害を治療する方法に関し、前記方法は、投与を必要とする被験者に、上記定義した式Iの化合物を治療上有効な量投与することを含む。
【0104】
好ましくは、前記障害は、末梢カンナビノイド受容体の不活性化に関連する。
【0105】
医薬品組成物
本発明の他の態様は、上記定義された本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩を、薬学的に許容される希釈剤、賦形剤、又は担体と混合させた状態で含む、医薬品組成物に関する。
【0106】
本発明の化合物(薬学的に許容されるその塩、エステル、及び薬学的に許容される溶媒を含む)は、単独で投与することができるが、これらは一般に、特にヒトの治療のために、医薬品担体、賦形剤、又は希釈剤との混合物として投与される。医薬品組成物は、ヒト及び獣医学において、ヒト又は動物に使用することができる。
【0107】
本明細書に記述される、様々な種々の形の医薬品組成物のための、そのような適切な賦形剤の例は、"Handbook of Pharmaceutical Excipients, 2nd Edition, (1994), Edited by A Wade and PJ Weller"に見出すことができる。
【0108】
治療の用途に許容される担体又は希釈剤は、医薬品の技術分野で周知であり、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co. (A.R.Gennaro edit. 1985)に記載されている。
【0109】
適切な担体の例には、ラクトース、デンプン、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、マンニトール、ソルビトールなどが含まれる。適切な希釈剤の例には、エタノール、グリセロール、及び水が含まれる。
【0110】
医薬品担体、賦形剤、又は希釈剤の選択は、意図される投与経路及び標準的な薬務に関して選択することができる。医薬品組成物は、担体、賦形剤、又は希釈剤として、或いはこれらに加えて、任意の適切な結合剤、潤滑剤、懸濁化剤、コーティング剤、可溶化剤を含むことができる。
【0111】
適切な結合剤の例には、デンプン、ゼラチン、天然糖、例えばグルコース、無水ラクトース、易流動性ラクトース、β−ラクトース、コーン甘味料、天然及び合成ガム、例えばアカシア、トラガカント、又はアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、及びポリエチレングリコールが含まれる。
【0112】
適切な潤滑剤の例には、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが含まれる。
【0113】
防腐剤、安定剤、染料、及び着香料も、医薬品組成物中に提供することができる。防腐剤に例には、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、及びp−ヒドロキシ安息香酸のエステルが含まれる。酸化防止剤、及び懸濁化剤を使用してもよい。
【0114】
塩/エステル
本発明の化合物は、塩又はエステルとして、特に薬学的に許容される塩又はエステルとして存在することができる。
【0115】
本発明の化合物の、薬学的に許容される塩には、適切な酸付加塩又はその塩基性塩が含まれる。適切な医薬品としての塩の概説は、Berge et al, J Pharm Sci, 66, 1-19 (1977)に見出すことができる。塩は、例えば、硫酸やリン酸、ハロゲン化水素酸などの鉱酸のような強無機酸と;酢酸など、非置換又は置換(例えばハロゲンによって)の1から4個の炭素原子を有するアルカンカルボン酸などの強有機カルボン酸と;シュウ酸やマロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、テトラフタル酸などの飽和又は不飽和ジカルボン酸と;アスコルビン酸やグリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸などのヒドロキシカルボン酸と;アスパラギン酸やグルタミン酸などのアミノ酸と;安息香酸と;或いは、メタン−又はp−トルエンスルホン酸など、非置換又は置換(例えばハロゲンによる)の(C−C)−アルキル−又はアリールスルホン酸などの有機スルホン酸と形成する。
【0116】
エステルは、エステル化される官能基に応じて、有機酸又はアルコール/水酸化物を使用して形成する。有機酸には、酢酸などの、非置換又は置換(例えばハロゲンによる)の1から12個の炭素原子を有するアルカンカルボン酸などのカルボン酸;シュウ酸やマロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、テトラフタル酸などの飽和又は不飽和ジカルボン酸と;アスコルビン酸やグリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸などのヒドロキシカルボン酸と;アスパラギン酸やグルタミン酸などのアミノ酸と;安息香酸と;或いは、メタン−又はp−トルエンスルホン酸などの、非置換又は置換(例えばハロゲンによる)の(C−C)−アルキル−又はアリール−スルホン酸などの有機スルホン酸が、含まれる。適切な水酸化物には、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウムなどの無機水酸化物が含まれる。アルコールには、非置換又は置換(例えばハロゲンによる)のものでよい、1〜12個の炭素原子を有するアルカンアルコールが含まれる。
【0117】
鏡像異性体/互変異性体
既に論じた本発明の全ての態様では、本発明は、適切な場合、式I及びIaの化合物の全ての鏡像異性体及び互変異性体を含む。当業者なら、光学的性質(1個又は複数の不斉炭素原子)又は互変異性の特性を有する化合物が、理解されよう。対応する鏡像異性体及び/又は互変異性体は、当技術分野で知られている方法によって、分離/調製することができる。したがって本発明は、鏡像異性体及び/又は互変異性体を、その分離された形のもの、又はこれらの混合物、例えば鏡像体のラセミ混合物などの形のものを包含する。
【0118】
立体及び幾何異性体
本発明の特定の薬剤のいくつかは、立体異性体及び/又は幾何異性体として存在することができ、例えばこれらは、1つ又は複数の不斉及び/又は幾何中心を有することができ、したがって2つ以上の立体異性及び/又は幾何形態で存在することができる。本発明は、これら阻害剤の、個々の立体異性体及び幾何異性体と、これらの混合物の全ての使用を企図するものである。特許請求の範囲で使用する用語は、前記形が適切な機能活性を維持するならば(必ずしも同じ程度とは限らないが)、それらの形を包含する。
【0119】
また本発明は、薬剤又は薬学的に許容されるその塩の、全ての適切な同位体の種類も含む。本発明の薬剤又は薬学的に許容されるその塩の、同位体の種類は、少なくとも1個の原子を、これと同じ原子番号を有するが自然な状態で通常見られる原子質量とは異なる原子質量を有する原子に置き換えたものと定義される。薬剤及び薬学的に許容されるその塩に組み込むことができる同位体の例には、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、及び塩素の同位体、例えばそれぞれH、H、13C、14C、15N、17O、18O、31P、32P、35S、18F、及び36Clなどが含まれる。薬剤及び薬学的に許容されるその塩の、ある同位体の種類、例えばHや14Cなどの放射性同位元素を組み込んだものが、薬物及び/又は基質組織分布の研究では有用である。トリチウム化した、即ちHと、炭素−14、即ち14Cの同位体は、その調製及び検出が容易であるので特に好ましい。さらに重水素、即ちHなどの同位体による置換によって、より高い代謝安定性から得られるある治療上の利点がもたらされ、例えば、生体内半減期が長くなり、又は投薬要件が減少し、したがって、一部の環境では好ましいと考えられる。本発明の薬剤及び本発明の薬学的に許容されるその塩の、同位体の種類は、一般に、適切な試薬の適切な同位体の種類を使用して、従来の手順によって調製することができる。
【0120】
溶媒和化合物
本発明は、本発明の化合物の溶媒和形態も含む。特許請求の範囲で使用されるこの用語は、これらの形態を包含する。
【0121】
多形
本発明はさらに、本発明の化合物がその様々な結晶の形、多形、及び(無)水和の形にあるものに関する。化合物は、そのような化合物の合成方法で使用される溶媒からの精製及び/又は単離方法を僅かに変えることによって、そのような形のいずれかで単離できることは、製薬産業において十分確立されている。
【0122】
プロドラッグ
本発明はさらに、プロドラッグの形にある本発明の化合物を含む。そのようなプロドラッグは、一般に式I及びIaの化合物であって、1つ又は複数の適切な基が、ヒト又は哺乳類の被験体に投与したときに変性を逆にすることができるように変性しているものである。そのような復帰変異は、通常、そのような被験体内で天然に存在する酵素によって行われるが、生体内での復帰変異を行うために、そのようなプロドラッグと共に第2の薬剤を投与することが可能である。そのような変性の例には、エステルが含まれ(例えば、上記にて記載したもののいずれか)、復帰変異をエステラーゼなどで実施することができる。その他のそのような系は、当業者に周知である。
【0123】
投与
本発明の医薬品組成物は、経口、直腸、膣、非経口、筋肉内、腹腔内、動脈内、クモ膜下内、気管支内、皮下、皮内、静脈内、鼻、頬、又は舌下からの投与経路に適応させることができる。
【0124】
経口投与の場合、圧縮錠、丸薬、錠剤、ゲル、ドロップ、及びカプセルが特に使用される。好ましくはこれらの組成物は、用量当たりの活性成分を1から250mg含有し、より好ましくは10〜100mg含有する。
【0125】
その他の投与形態には、静脈内、動脈内、クモ膜下、皮下、皮内、腹腔内、又は筋肉内から注入することができ、且つ滅菌又は滅菌可能な溶液から調製される、溶液又はエマルジョンが含まれる。本発明の医薬品組成物は、坐薬、ペッサリー、懸濁剤、エマルジョン、ローション、軟膏、クリーム、ゲル、スプレー、溶液、又は粉剤の形でもよい。
【0126】
経皮投与の代替の手段は、皮膚用パッチ剤の使用によるものである。例えば活性成分は、ポリエチレングリコール又は流動パラフィンの水性エマルジョンからなるクリームに組み入れることができる。活性成分は、必要と考えられる安定化剤及び防腐剤と一緒に、白蝋又は白色軟質パラフィンベースからなる軟膏に1から10重量%の間の濃度で組み入れることもできる。
【0127】
注入可能な形では、用量当たりの活性成分が10〜1000mgの間で含有され、好ましくは10〜250mgの間である。
【0128】
組成物は、単位剤形に配合することができ、即ち、1回分の用量を含有するよう個別に分けられた形、或いは、単位用量を複数回分又はサブユニット分含有する形に配合することができる。
【0129】
投薬量
当業者なら、必要以上の実験をすること無く、被験体に投与される即時組成物の1つの適切な用量を、容易に決定することができる。典型的な場合、医師は、個々の患者に最も適したものになる実際の用量を決定することになり、これは、用いられる特定の化合物の活性、その化合物の代謝安定性及び作用時間、年齢、体重、全身の健康、性別、食生活、投与形態及び時間、排泄速度、複合薬、特定の状態の重症度、個々が受けている療法を含めた様々な要因に応じて変わることになる。本明細書に開示される投薬量は、平均的なケースの例示である。当然ながら、より高く又はより低い投薬量範囲に値し且つそのような範囲が本発明の範囲内にある、個々の場合が存在する可能性がある。
【0130】
必要性に応じて、薬剤は、0.01から30mg/kg体重、例えば0.1から10mg/kg、より好ましくは0.1から1mg/kg体重の用量で、投与することができる。
【0131】
例示的な実施形態では、10から150mg/日が、1回又は複数回に分けた用量で患者に投与される。
【0132】
組合せ
特に好ましい実施形態では、本発明の1種又は複数の化合物を、1種又は複数のその他の薬学的に活性な薬剤と組み合わせて投与する。そのような場合、本発明の化合物は、1種又は複数のその他の薬学的に活性な薬剤と共に、連続的に、同時に、又は順次投与することができる。
【0133】
アッセイ
本発明は、アッセイ、即ちカンナビノイド受容体、より好ましくは末梢カンナビノイド受容体を調節することができる薬剤の、スクリーニングに使用されるアッセイを使用し、且つ包含する。そのようなアッセイの詳細については、後で示す。
【0134】
したがって、本発明の別の態様は、カンナビノイド受容体の活性を調節することが可能な別の化合物を同定するためのアッセイにおける、式Iaの化合物又は薬学的に許容されるその塩の使用に関する。アッセイは、競合結合アッセイであることが好ましい。
【0135】
そのようなアッセイでは、アミノ酸配列及び/又はヌクレオチド配列などの適切な標的の1つ又は複数を使用して、末梢カンナビノイド受容体を調節することが可能な薬剤の同定を行う。そのような試験で用いられる標的は、溶液中で自由になり、固体支持体に固着され、細胞表面に担持され、又は細胞内に位置付けられる。標的活性の消滅、又は標的と試験される薬剤との間の結合複合体の形成を、測定することができる。
【0136】
本発明のアッセイはスクリーニングでよく、それによって、いくつかの薬剤が試験される。1つの態様では、本発明のアッセイ方法は、高速大量処理スクリーンである。
【0137】
薬物スクリーニングのための技法は、1984年9月13日に公開されたGeysenの欧州特許出願第84/03564号に記載されている。要約すれば、多数の異なる小ペプチド試験化合物を、プラスチックピンや何らかのその他の表面などの、固体基板上で合成する。ペプチド試験化合物を、適切な標的又はその断片と反応させ、洗浄する。次いで、当技術分野で周知の方法を適切に適合させることなどによって、結合部分を検出する。精製した標的は、薬物スクリーニング技法で使用するために、プレート上に直接被覆することもできる。或いは、非中和抗体を使用して、ペプチドを捕獲し、それを固体支持体上に固定化することができる。
【0138】
また本発明は、競合薬物スクリーニングアッセイの使用も企図するものであり、この場合、標的に結合することが可能な中和抗体が、標的に結合させるための試験化合物と特異的に競合する。
【0139】
スクリーニングのための別の技法は、物質に対して適切な結合親和性を有する薬剤の、高速大量処理スクリーニング(HTS)を行い、これはWO−A−84/03564に詳細に記載されている方法に基づくものである。
【0140】
本発明のアッセイ方法は、定量アッセイと同様に、試験化合物の小規模及び大規模スクリーニングの両方に適したものになることが予測される。
【0141】
好ましい態様では、本発明のアッセイは、表面にCB1受容体を呈示する細胞を利用する。これらの細胞は、そのような細胞を有する被験体から分離することができる。しかし細胞は、トランスフェクションによってこれらの細胞がその表面にCB1受容体を呈示するように、細胞をトランスフェクトすることによって調製することが好ましい。
【0142】
本発明の1つの態様は、
(a)上述のアッセイ方法を実施するステップと、
(b)1種又は複数のカンナビノイド受容体を調節することが可能な、1種又は複数の候補化合物を同定するステップと、
(c)ある量の前記1種又は複数の候補化合物を調製するステップと
を含むプロセスに関する。
【0143】
本発明の別の態様は、
(a)上述のアッセイ方法を実施するステップと、
(b)1種又は複数のカンナビノイド受容体を調節することが可能な、1種又は複数の候補化合物を同定するステップと、
(c)前記1種又は複数の候補化合物を含む医薬品組成物を調製するステップと
を含むプロセスを提供する。
【0144】
本発明の別の態様は、
(a)上述のアッセイ方法を実施するステップと、
(b)1種又は複数のカンナビノイド受容体を調節することが可能な、1種又は複数の候補化合物を同定するステップと、
(c)1種又は複数のカンナビノイド受容体を調節することが可能な、1種又は複数の候補化合物を変性させるステップと、
(d)上述のアッセイ方法を実施するステップと、
(e)任意に、前記1種又は複数の候補化合物を含む医薬品組成物を調製するステップと
を含むプロセスを提供する。
【0145】
また本発明は、上述の方法によって同定された候補化合物にも関する。
【0146】
本発明のさらに別の態様は、上述の方法によって同定された候補化合物を含む医薬品組成物に関する。
【0147】
本発明の別の態様は、筋疾患及び/又は胃腸障害の治療で使用される医薬品組成物の調製における、上述の方法によって同定された候補化合物の使用に関する。
【0148】
上記方法は、1種又は複数のカンナビノイド受容体、より好ましくは末梢カンナビノイド受容体の、調節物質として有用な候補化合物のスクリーニングに使用することができる。
【0149】
レポーター
広く様々なレポーターを、本発明のアッセイ方法(並びにスクリーニング)で使用することができ、好ましいレポーターは、都合良く検出可能なシグナルを供給するものである(例えば分光法によって)。例として、レポーター遺伝子は、光吸収特性を変化させる反応を触媒する酵素を、コード化することができる。
【0150】
その他のプロトコルは、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、及び蛍光発色セルソーター(FACS)を含む。2つの不干渉エピトープに対して反応性のあるモノクローナル抗体を利用する、2部位モノクローナルベースイムノアッセイも、使用することができる。これら及びその他のアッセイは、他の場所にも記載されているが、とりわけHampton R et al[1990, Serological Methods, A Laboratory Manual, APS Press, St Paul MN]及びMaddox DE et al[1983, J Exp Med 15 8: 121 l]に記載されている。
【0151】
レポーター分子の例には、(ガラクトシダーゼ、インベルターゼ、緑色蛍光タンパク質、ルシフェラーゼ、クロラムフェニコール、アセチルトランスフェラーゼ、(グルクロニダーゼ、エクソ−グルカナーゼ、及びグルコアミラーゼが含まれるが、これらに限定されない。或いは、放射標識し又は蛍光タグ標識したヌクレオチドを新生転写物に組み込むことができ、次いで、これがオリゴヌクレオチドプローブに結合したときに同定する。
【0152】
他の例として、Pharmacia Biotech(Piscataway, NJ)やPromega(Madison, WI)、US Biochemical Corp(Cleveland, OH)などのいくつかの会社は、商用キット及びアッセイ手順に関するプロトコルを供給している。適切なレポーター分子又は標識には、これらの放射性核種、酵素、蛍光、化学発光、又は色素生産性の薬剤、並びに基質、補助因子、阻害剤、磁性粒子などが含まれる。そのような標識の使用を教示する特許には、US−A−3817837;US−A−3850752;US−A−3939350;US−A−3996345;US−A−4277437;US−A−4275149、及びUS−A−4366241が含まれる。
【0153】
CB1受容体及びCB2受容体結合アッセイ
CB1受容体結合アッセイとCB2受容体結合アッセイの詳細は、Petrocellis et al [2000 FEBS Letter 483 52-56]に見ることができる。この参考文献からのアッセイについて、関係ある情報を以下に述べる。他のアッセイを使用することができる。
【0154】
CB受容体に関する置換アッセイを、高親和性リガンドとしての[H]SR141716A(0.4nM、55Ci/mmol、Amerscham社製)及び前述の濾過技法[12〜14]を使用して、凍結したオスCDラット脳(Charles River社製、イタリア)からの膜製剤(0.4mg/チューブ)上で、且つ100μM PMSFの存在下で実施した。特異的結合を、1μM SR 14176A(Sanofi Recherch、フランスから寄贈)を用いて計算したが、これは84.0%であった。CDラットからの脾臓を使用して、膜(0.4mg/チューブ)を調製し、前述のように[14]、[H]WIN55,212-2(0.8nM、50.8CI/mmol、NEN-Dupont社製)を使用して、且つやはり100μM PMSFの存在下で、CB結合アッセイを実施した。特異的結合を、1μM HU-348(Prof.R.Mechoulam及びPharmosから寄贈)を用いて計算したが、これは75.0%であった。全ての場合において、Cheng-prusoff式をIC50値(GraphPadによって得られた)に当てはめることによりK値を計算したが、これは、試験化合物の濃度を増大させることによって、結合した放射性リガンドの置換を行うためのものである[特定の参考文献に関する詳細は、その文書自体の中に見ることができる]。
【0155】
宿主細胞
本発明で使用されるポリヌクレオチド、例えば調節物質として使用され、又は調節物質を発現させるものとして使用されるようなものを、宿主細胞に導入することができる。
【0156】
「宿主細胞」という用語は、本発明に関し、本発明の調節物質を含むことができる任意の細胞を含む。
【0157】
この場合、ポリヌクレオチドは、原核細胞又は真核細胞に、例えば酵母、昆虫、又は哺乳類の細胞に導入することができる。
【0158】
本発明のポリヌクレオチドは、トランスフェクションや形質転換、電気穿孔法などの、当技術分野で知られている様々な技法を使用して、適切な宿主細胞に導入することができる。例えば、レトロウイルスや単純ヘルペスウイルス、アデノウイルスなどの組換えウイルスベクターによる形質転換、核酸の直接注入、及び微粒子銃による形質転換を引き起こすことが可能である。
【0159】
したがって、本発明の他の実施形態は、本発明の標的であり又はその標的を発現するポリヌクレオチドを用いて形質転換され又はトランスフェクトされた、宿主細胞を提供する。前記ポリヌクレオチドは、標的になり又は標的を発現することになるポリヌクレオチドの複製及び発現用の、ベクターを有することが好ましい。細胞は、前記ベクターに適合するよう選択され、例えば、原核(例えば細菌)、真菌、酵母、又は植物細胞でよい。
【0160】
グラム陰性菌である大腸菌(E.coli)は、異種遺伝子発現用の宿主として広く使用される。しかし、大量の異種タンパク質は、細胞内に蓄積される傾向がある。その後に行われる、大腸菌細胞内タンパク質の大部分からの所望のタンパク質の精製は、時々難しくなる可能性がある。
【0161】
大腸菌とは対照的に、バチルス(Bacillus)属からの細菌は、培地にタンパク質を分泌することができるので、異種宿主として非常に適切である。宿主として適切なその他の細菌は、ストレプトマイセス(Streptomyces)属及びシュードモナス(Pseudomonas)属からのものである。
【0162】
本発明のポリペプチドをコード化するポリヌクレオチドの性質、及び/又は発現したタンパク質のさらなる処理に対する望ましさに応じて、酵母やその他の真菌などの真核宿主が好ましいと考えられる。一般に、酵母菌は、真菌細胞よりも取扱いが容易であるので好ましい。しかし、一部のタンパク質は、酵母菌からの分泌が不十分であり、又は場合によっては適正に処理されない(例えば、酵母中の過剰なグリコシル化)。このような場合、異なる真菌宿主生物を選択すべきである。
【0163】
本発明の範囲内で適切な発現宿主の例は、アスペルギルス(Aspergillus)種(EP−A−0184438及びEP−A−0284603に記載されているものなど)やトリコデルマ(Trichoderma)種などの真菌;バチルス種(EP−A−0134048及びEP−A−0253455に記載されているものなど)やストレプトマイセス種、シュードモナス種などの細菌;及びクルイベロマイセス(Kluyveromyces)種(EP−A−0096430及びEP−A−0301670に記載されているものなど)やサッカロマイセス(Saccharomyces)種などの酵母である。例として、典型的な発現宿主は、Aspergillus niger、Aspergillus niger var.tubigenis、Aspergillus niger var.awamori、Aspergillus aculeatis、Aspergillus nidulants、Aspergillus orvzae、Trichoderma reesei、Bacillus subtilis、Bacillus licheniformis、Bacillus amyloliquefaciens、Kluyveromyces lactis、及びSaccharomyces cerevisiaeから選択することができる。
【0164】
大規模に変性されたポリペプチドは、その機能を完全にするために、正しい処理を必要とする可能性がある。そのような場合、哺乳動物細胞発現系(HEK−293やCHO、HeLAなど)が必要とされ、ポリペプチドは細胞内で、又は細胞膜上で発現し、或いは適切なリーダー配列に先行される場合には、培地内に分泌される。
【0165】
適切な宿主細胞、例えば酵母や真菌、植物、哺乳類などの宿主細胞の使用は、本発明の組換え発現産物に最適な生物活性を与えることが必要と考えられるので、翻訳後修飾(例えば、ミリストイル化、グリコシル化、切断、脂質化、及びチロシン、セリン、又はトレオニンのリン酸化)をもたらす可能性がある。
【0166】
生物
本発明に関し、「生物」という用語は、本発明による標的及び/又はそこから得られる産物を含むことができる、任意の生物を含む。生物の例には、真菌、酵母、又は植物を含めることができる。
【0167】
本発明に関し、「トランスジェニック生物」という用語は、本発明による標的及び/又は得られた産物を含む任意の生物を含む。
【0168】
宿主細胞/宿主生物の形質転換
先に述べたように、宿主生物は、原核又は真核生物にすることができる。適切な原核宿主の例には、大腸菌及び枯草菌(Bacillus subtilis)が含まれる。原核宿主の形質転換に関する教示は、当技術分野で十分実証されており、例えば、Sambrook et al [Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd edition, 1989, Cold Spring Harbor Laboratory Press]、及びAusubel et al, [Current Protocols in Molecular Biology (1995), John Wiley & Sons, Inc.]を参照されたい。
【0169】
原核宿主を使用する場合、ヌクレオチド配列は、イントロンの除去などによって、形質転換前に適切に修飾する必要がある。
【0170】
別の実施形態では、トランスジェニック生物が酵母でよい。この点に関し、酵母は、異種遺伝子発現用のビヒクルとしても、広く使用されている。サッカロミセスセレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)には、異種遺伝子発現のための使用も含め、工業的な用途としての長い歴史がある。サッカロミセスセレビジエでの異種遺伝子の発現は、Goodey et al [1987, Yeast Biotechnology, D R Berry et al, eds, pp 401-429, Allen and Unwin, London]及びKing et al [1989, Molecular and Cell Biology of Yeasts, E F Walton and G T Yarronton, eds, pp 107-133, Blackie, Glasgow]に概説されている。
【0171】
いくつかの理由で、サッカロミセスセレビジエは、異種遺伝子発現に十分適している。第1に、ヒトに対して病原性が無く、ある内毒素を産生することができない。第2に、様々な目的の何世紀にもわたる商業的開発の後の、安全な使用という長い歴史がある。この結果、広く公に受け入れられるようになった。第3に、大規模な商業的利用及び生物に傾注された研究の結果、サッカロミセスセレビジエの遺伝子及び生理学、並びに大規模な発酵特性に関する豊富な知識が得られた。
【0172】
サッカロミセスセレビジエでの異種遺伝子発現、及び遺伝子産物の分泌の原理の概説は、E Hinchcliffe E Kenny [1993, "Yeast as a vehicle for the expression of heterologous genes", Yeasts, Vol 5, Anthony H Rose and J Stuart Harrison, eds, 2nd edition, Academic Press Ltd.]に示されている。その維持のために宿主ゲノムとの組換えを必要とする組込みベクター、及び自己複製プラスミドベクターを含めた、いくつかのタイプの酵母ベクターが利用可能である。
【0173】
トランスジェニックサッカロマイセスを調製するために、酵母での発現を目的として設計された構成体に本発明のヌクレオチド配列を挿入することにより、発現構成体を調製する。異種発現に使用されるいくつかのタイプの構成体が、開発されている。この構成体は、本発明のヌクレオチド配列に融合した酵母中で活性なプロモーターを含有し、通常は、GAL1プロモーターなどの酵母由来のプロモーターが使用される。通常、SUC2シグナルペプチドをコード化する配列など、酵母由来のシグナル配列を使用する。酵母中で活性なターミネーターは、発現系を終了させる。
【0174】
酵母の形質転換では、いくつかの形質転換プロトコルが開発されている。例えば、本発明によるトランスジェニックサッカロマイセスは、Hinnen et al [1978, Proceedings of the National Academy of Sciences of the USA 75, 1929]; Beggs,J D [1978, Nature, London, 275, 104];及びIto,H et al [1983, J Bacteriology 153, 163-168]の教示に従って調製することができる。
【0175】
形質転換した酵母細胞は、様々な選択的マーカーを使用して選択する。形質転換で使用されるマーカーには、LEU2やHIS4、TRP1などのいくつかの栄養要求性マーカーと、アミノグリコシド抗生物質マーカー、例えばG418などの、主流を占める抗生物質抵抗性マーカーとがある。
【0176】
別の宿主生物は、植物である。遺伝子操作された植物の構成の基本原理は、遺伝情報を植物ゲノムに挿入して、この挿入された遺伝物質の安定な維持が行われるようにすることである。遺伝情報を挿入するためのいくつかの技法が存在し、2つの主な原理は、遺伝情報の直接的な導入と、ベクター系を用いた遺伝情報の導入である。一般的技法の概説は、Potrykus [Annu Rev Plant Physiol Plant Mol Biol [1991]42:205-225]、及びChristou [Agro-Food-Industry Hi-Tech March/April 1994 17-27]の論文に見ることができる。植物の形質転換に関する他の教示は、EP−A−0449375に見ることができる。
【0177】
本発明のヌクレオチド配列に適したその他の宿主には、高等真核細胞、例えば昆虫細胞や脊椎動物細胞などであって、特に、ヒト細胞も含めた哺乳類細胞、又はその他の多細胞生物からの有核細胞が含まれる。近年、培養(組織培養)における脊椎動物細胞の増殖が、日常的な手順になっている。有用な哺乳類宿主細胞系の例は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞やNIH 3T3細胞、HeLa細胞、293T細胞などの、上皮又は線維芽細胞系である。
【0178】
本発明のヌクレオチド配列は、宿主細胞に安定に組み込むことができ、又は当技術分野で知られている方法を使用して、一時的に発現させることができる。例として、安定にトランスフェクトされた哺乳類細胞は、選択可能なマーカー遺伝子を有する発現ベクターを細胞にトランスフェクトし、トランスフェクトされた細胞を、マーカー遺伝子を発現させる細胞に選択的な条件下で成長させることによって、調製することができる。一時的なトランスフェクタントを調製するには、哺乳類細胞に、レポーター遺伝子をトランスフェクトして、トランスフェクション効率をモニタする。
【0179】
そのように安定な又は一時的にトランスフェクトされた細胞を生成するには、細胞に、十分な量の本発明のヌクレオチド配列をトランスフェクトすべきである。本発明のヌクレオチド配列の正確な量は、経験的に決定することができ、特定の細胞及びアッセイに合わせて最適化することができる。
【0180】
したがって本発明は、標的になり又は標的を発現することになるヌクレオチド配列で宿主細胞を形質転換する方法も提供する。ヌクレオチド配列で形質転換された宿主細胞は、コード化タンパク質の発現に適した条件下で培養することができる。組換え細胞によって生成されたタンパク質は、細胞の表面に呈示される。望みに応じて、且つ当業者に理解されるように、コード配列を含有する発現ベクターは、コード配列の分泌を特定の原核又は真核細胞膜内に向けるシグナル配列を用いて、設計することができる。その他の組換え構成体は、コード配列と、ポリペプチドドメインをコードするヌクレオチド配列とを接合することができ、それによって、可溶性タンパク質の精製が促進される[Kroll DJ et al (1993) DNA Cell Biol 12:441-53]。
【0181】
本発明を、一例として且つ下記の図を参照しながら、さらに記述する。
【実施例】
【0182】
化合物を、分取C−18カラム(Hypersil PEP 100×21mm内径、5μm粒径、及び100Å孔径)及び20分にわたる定組成勾配を使用する逆相HPLC(Gilson)によって精製した。
【0183】
N−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−3−ヨードベンズアミド(1)
【0184】
【化10】

【0185】
窒素雰囲気中、室温で、3−ヨード安息香酸(10.02g、40.30mmol)を乾燥ジクロロメタンに溶かした溶液に(180mL)、EDCI(7.72g、40.30mmol)を添加し、その後トリエチルアミン(8.0mL、60.45mmol)を添加し、この混合物を、さらに5分間室温で撹拌した。次いでDL Alaninol(3.02g、40.3mmol)を添加し、混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物を、飽和塩水及び飽和重炭酸ナトリウムの混合物で洗浄し(1:1;2×150mL)、その後、飽和塩水溶液(100mL)で洗浄した。有機物を分離し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、溶媒を真空蒸発させた。残留物を、シリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィにより精製した結果(DCM:MeOH、1%から8% メタノール勾配)、化合物1が、白色固体として得られた(4.14g、13.6mmol、収率34%)。
δ(H)(CDCl);1.41(3H,d,J 6.8Hz)、3.70(1H,dd,J 5.5,J 10.9Hz)、3.80(1H,dd,J 2.9,J 10.9Hz)、4.38(1H,m)、6.46(1H,m)、7.27(2H,t,J 7.8Hz)、7.93(1H,d,J 7.88Hz)、8.21(1H,s)。
δ(13C)(CDCl);17.49(CH)、48.53(CH)、67.19(CH)、94.59(C)、126.79(CH)、129.58(CH)、130.62(CH)、136,37(CH)、136.83(C)、166.71(C)。
1011NOI・1/2O 計算値:C 38.23%、H 3.85%、N 4.46%;実測値:C 38.95%、H 3.80%、N 4.08%[Drug Design and Discovery 2000, 281-294]
【0186】
薗頭(Sonogashira)カップリング反応の一般的手順
方法A
[Tetrahedron 2000, 56, 4777-4792] 塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(3.5モル%)、ヨウ化銅(I)(8モル%)、及びトリエチルアミン(4mmol)を、N−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−3−ヨードベンズアミド(1)(1mmol)をDMF(5mL)に溶かした溶液に添加した。混合物を、窒素雰囲気中で1時間、室温で撹拌した。アルキン(1mmol)を添加し、反応混合物を、60℃で2時間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮し、残留物を、シリカゲル上でのショートフラッシュカラムクロマトグラフィによって精製した結果(DCM:MeOH、1%から4% メタノール勾配)、所望の化合物が得られた。
【0187】
N−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−3−(5−ヒドロキシ−ペント−1−イニル)−ベンズアミド(2)
【0188】
【化11】

【0189】
指定された化合物(2)が合成されるよう、方法Aを使用し、(1)(0.50g、1.64mmol)を4−ペンチル−1−オールに結合させた結果、N−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−3−(5−ヒドロキシ−ペント−1−イニル)−ベンズアミド(2)(0.314g、1.20mmol;73%)が得られた。
δ(H)(CDCl);1.19(3H,d,J 6.8Hz)、1.68〜1.81(3H,m)、2.45(2H,t,J 6.9Hz)、3.04〜3.17(1H,m)、3.39〜3.74(5H,m)、4.12〜4.23(1H,m)、6.52(1H,d,J 7.2Hz)、7.22(1H,dd,J 6.3,J 11.67Hz)、7.39(1H,d,J 7.7Hz)、7.60(1H,d,J 7.8Hz)、7.68(1H,s)。
δ(13C)(CDCl);16.30(CH)、17.440(CH)、31.66(CH)、48.49(CH)、61.92(CH)、67.00(CH)、80.64(C)、91.03(C)、124.66(C)、126.79(CH)、128.93(CH)、130.32(CH)、134.74(CH)、134.90(C)、167.79(C)。
MS(ES)m/z 262(M+H)。
【0190】
3−Hept−1−イニル−N−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−ベンズアミド(3)
【0191】
【化12】

【0192】
指定された化合物(3)が合成されるよう、方法Aを使用し、(1)(0.25g、0.84mmol)を1−ヘプチンに結合させた結果、3(0.236g、0.80mmol;95%)が無色の油として得られた。
δ(H)(CDCl);0.89(3H,t,J 6.8Hz)、1.22(3H,d,J 6.8Hz)、1.29〜1.41(4H,m)、1.53〜1.60(2H,m)、2.36(2H,t,J 7.1Hz)、2.81(2H,m)、2.89(1H,m)、4.15〜4.19(1H,m)、6.67(1H,d,J 7.3Hz)、7.24(1H,t,J 7.7Hz)、7.44(1H,d,J 7.7Hz)、7.63(1H,d,J 7.8Hz)、7.73(1H,s)。
δ(13C)(CDCl);14.31(CH)、17.40(CH)、19.71(CH)、22.57(CH)、28.73(CH)、31.49(CH)、48.44(CH)、66.79(CH)、67.00(CH)、80.13(C)、92.04(C)、124.97(C)、126.53(CH)、128.90(CH)、130.33(CH)、132.45(CH)、134.95(C)、167,80(C)。
MS(ES)m/z 274(M+H)。
【0193】
3−(5−シアノ−ペンチル−1−イニル)−N−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)ベンズアミド(7)
【0194】
【化13】

【0195】
指定された化合物(7)が合成されるよう、方法Aを使用し、(1)(0.300g、0.983mmol)をヘキス−5−インニトリル(119mg、1.28mmol)に結合させた結果、3−(5−シアノ−ペンチル−1−イニル)−N−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)ベンズアミド(7)が0.124g得られ、精製後の収率は46.6%であった。
δ(H)(CDCl);1.29(3H,d,J 6.8Hz)、1.97(2H,m)、2.55〜2.64(4H,m)、3.67(1H,m)、3.78(1H,m)、4.28(1H,m)、6.41(1H,m)、7.36(1H,t,J 7.8Hz)、7.51(1H,d,J 7.8Hz)、7.72(1H,d,J 7.8Hz)、7.80(1H,s)。
δ(13C)(CDCl);16.68(CH)、17.50(CH)、18.94(CH)、24.87(CH)、48.52(CH)、67.22(CH)、81.95(C)、88.5(C)、119.55(C)、124.13(C)、127.07(CH)、129.06(CH)、130.45(CH)、134.80(CH)、135.00(C)、167.61(C)。
MS(ES)m/z 271(M+H)。
【0196】
方法B
[J.Org.Chem. 1999, 64, 4777-4792; J.Med.Chem. 1998, 41, 420-427] テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(2モル%)及びヨウ化銅(I)(7モル%)を、丸底フラスコに入れたピロリジン(15mL)に添加し、窒素雰囲気中で5分間、室温で撹拌した。この溶液に、N−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−3−ヨードベンズアミド(mmol)を添加し、さらに15分間室温で撹拌した。アルキン(1mmol)を添加し、反応混合物を60℃で3時間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮し、残留物を、DOWEX50 WX80(出発材料の10×重量)で処理し、DOWEX50 WX80をアセトニトリルで洗浄し(3×20mL)、次いでアセトニトリル/水(3/1)の混合物中に懸濁させた。上記残留物をアセトニトリル/水(1:1、20mL)中に溶解し、樹脂懸濁液に添加し、20分間振盪させた。樹脂を濾別し、アセトニトリル/水(3/1)で洗浄し、溶媒を、真空中で濾液から除去した。残留物を、シリカゲル上でのショートフラッシュカラムクロマトグラフィによって精製した結果(DCM:MeOH:AcOH、1%から8% メタノール勾配、1% AcOH)、所望の化合物が得られた。
【0197】
方法B:DOWEX50 WX80による組成材料の処理を、アセトニトリル/水(3/1)の代わりにメタノールの存在下で行った。
【0198】
6−[3−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチルカルバモイル)フェニル]−ヘキス−5−イン酸(4)
【0199】
【化14】

【0200】
ヨードベンズアミド(1)(2.00g、6.5mmol)を、方法Bを使用して5−ヘキシン酸と結合し、生成物(4)(1.87g、6.42mmol;収率99%)を得た。
δ(H)(CDCl);1.49(3H,d,J 6.8Hz)、2.14(2H,t,J 7.2Hz)、2.67〜2.76(4H,m)、3.83〜3.90(2H,m)4.39〜4.45(1H,m)7.64(1H,t,J 7.7Hz)、7.76(1H,d,J 7.7Hz)、7.99(1H,d,J 7.8Hz)、8.10(1H,s)。
δ(13C)(CDOD);17.47(CH)、19.99(CH)、36.25(CH)、66.54(CH)、81.82(C)、91.53(C)、126.03(C)、128.05(CH)、129.99(CH)、131.75(CH)、135.69(CH)、136.58(C)、168.538(C)。
MS(CI)m/z 290(M+H)。
【0201】
6−[3−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチルカルバモイル)−フェニル]−ヘキス−5−イン酸メチルエステル(20)
【0202】
【化15】

【0203】
方法Bを後処理で使用した場合、6−[3−9(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチルカルバモイル)−フェニル]−ヘキス−5−イン酸メチルエステル(20)は、酸4の代わりに得られた。1(0.100g、0.32mmol)を5−ヘキシン酸(0.091g、0.276mmol)と結合した結果、20が得られた(0.091g、0.27mmol、収率85%)。
δ(H)(CDCl);1.31(3H,d,J 6.8Hz)、1.96(2H,t,J 7.2Hz)、2.03(3H,s)、2.39〜2.59(4H,m)、3.61〜3.72(2H,m)、4.19〜4.27(1H,m)、7.46(1H,t,J 7.7Hz)、7.48(1H,d,J 7.6Hz)、7.94(1H,d,J 7.8Hz)、8.05(1H,s)。
【0204】
5−[3−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチルカルバモイル)フェニル]−ヘキス−4−イン酸(5)
【0205】
【化16】

【0206】
ヨードベンズアミド(1)(2.00g、6.5mmol)を、方法Bを使用して5−ヘキシン酸と結合させ、(4)を得た(1.87g、6.42mmol;収率99%)。
δ(H)(CDOD);1.40(3H,d,J 6.8Hz)、2.70〜2.824(2H,m)、2.87〜2.89(2H,m)、3.74〜3.77(2H,m)、4.30〜4.36(1H,m)、7.54(1H,t,J 7.7Hz)、7.6(1H,d,J 7.6Hz)、7.91(1H,d,J 7.8Hz)、7.99(1H,s)。
δ(13C)(CDOD);16.21(CH)、17.03(CH)、34.94(CH)、66.08(CH)、81.05(C)、90.53(C)、125.46(C)、127.70(CH)、129.56(CH)、131.39(CH)、135.27(CH)、136.19(C)、169.28(C)、175.80(C)。
【0207】
7−[3−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチルカルバモイル)フェニル]−ヘキス−6−イン酸(6)
【0208】
【化17】

【0209】
ヨードベンズアミド(1)(0.50g、1.64mmol)を、方法Bを使用して6−ヘプチン酸(0.212g、1.64mmol)と結合させた結果、7−[3−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチルカルバモイル)フェニル]−ヘキス−6−イン酸(6)が得られた(0.487g、1.60mmol;収率98%)。
δ(H)(CDOD);1.22(3H,d,J 6.8Hz)、1.44〜1.68(2H,m)、1.73〜1.80(2H,m)、2.30〜2.46(2H,m)、3.54〜3.63(2H,m)、4.12〜4.39(1H,m)7.36(1H,t,J 7.7Hz)、7.49(1H,d,J 7.7Hz)、7.72(1H,d,J 7.8Hz)、7.82(1H,s)。
δ(13C)(CDOD);17.06(CH)、19.70(CH)、25.39(CH)、29.23(CH)、49.16(CH)、66.14(CH)、81.16(C)、91.55(C)、125.75(C)、127.53(CH)、129.54(CH)、131.32(CH)、135.24(CH)、136.20(C)、169.34(C)。
【0210】
3−(5−カルボキシ−ペント−1−イニル)−安息香酸エチルエステル(14)
【0211】
【化18】

【0212】
ヨードベンズアミド(1)(1.50g、5.4mmol)を、方法Bを使用して5−ヘキシン酸と結合させた結果、3−(5−カルボキシ−ペント−1−イニル)−安息香酸エチルエステル(14)が得られた(0.903g、3.4mmol;収率64%)。
δ(H)(CDCl);1.39(3H,d,J 7.1Hz)、1.83〜1.99(2H,m)、2.44〜2.59(4H,m)、4.37(2H,q,J 7.1Hz)、7.35(1H,t,J 7.8Hz)、7.58(1H,d,J 7.6Hz)、7.82(1H,d,J 7.8Hz)、7.92(1H,s)。
δ(13C)(CDCl);14.28(CH)、18.79(CH)、23.59(CH)、61.13(CH)、80.72(C)、89.67(C)、124.07(C)、128.28(CH)、128.72(CH)、130.69(C)、132.22(CH)、135.65(CH)、166.03(C)。
【0213】
アミドの合成
方法C:
窒素雰囲気中で、アルキン酸(1mmol)を乾燥THF(6mL)に溶かした溶液に、トリエチルアミン(2mmol)を添加し、次いで−10℃に冷却した。反応混合物に、クロロ蟻酸エチロール(1mmol)を添加し、次いで−10℃でさらに15分間冷却した。その間に、塩酸アミン(3mmol)、水(0.88mL)、トリエチルアミン(0.63mL、6mmol)、及びTHF(1.76mL)の溶液を調製し、反応混合物に1滴ずつ添加した。反応をそのままにして、1.5時間で5℃まで温め、次いで室温でさらに30分撹拌した。混合物を、飽和塩水と飽和重炭酸ナトリウムの1:1混合物(50mL)に注ぎ、次いでDCMで抽出した(5×50mL)。有機相を真空蒸発させ、残留物を、シリカゲル上でのショートカラムクロマトグラフィにより精製した結果(DCM:MeOH、1%から10% メタノール勾配)、所望の化合物が得られた。
【0214】
3−(5−ジメチルカルバモイル−ペント−1−イニル)−N−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)ベンズアミド(8)
【0215】
【化19】

【0216】
6−[3−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチルカルバモイル)ペンチル]−ヘキス−5−イン酸(4)(0.109g、0.377mmol)を、方法Cを使用して塩酸ジメチルアミンと反応させた結果、8(0.115g、0.363mmol;収率96%)が得られた。
δ(H)(CDCl);1.29(3H,d,J 6.8Hz)、1.81〜1.94(2H,m)、2.37〜2.47(4H,m)、2.91(3H,s)、3.00(3H,s)、3.38〜3.64(2H,m)4.19〜4.43(1H,m)6.78(1H,d,J 7.2Hz)、7.29(1H,t,J 7.7Hz)、7.42(1H,d,J 7.7Hz)、7.68(1H,d,J 7.8Hz)、7.75(1H,s)。
δ(13C)(CDCl);17.42(CH)、19.36(CH)、24.45(CH)、32.30(CH)、35.83(CH)、37.67(CH)、48.51(CH)、66.90(CH)、80.91(C)、90.92(C)、124.60(C)、126.85(CH)、128.85(CH)、130.39(CH)、134.58(CH)、135.13(C)、167.63(C)、172.87(C)。
MS(ES)m/z 317(M+H)。
【0217】
3−(4−ジメチルカルバモイル−ペント−1−イニル)−N−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)ベンズアミド(9)
【0218】
【化20】

【0219】
5−[3−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチルカルバモイル)ペンチル]−ヘキス−4−イン酸(5)(0.100g、0.36mmol)を、方法Cを使用して塩酸ジメチルアミンと反応させた結果、9(0.084g、0.28mmol;収率77%)が得られた。
δ(H)(CDCl);1.26(3H,d,J 6.8Hz)、2.58〜2.75(4H,m)、2.91(3H,s)、3.01(3H,s)、3.40〜3.77(2H,m)、4.19〜4.43(1H,m)、6.72(1H,d,J 7.1Hz)、7.29(1H,t,J 7.8Hz)、7.44(1H,d,J 7.7Hz)、7.67(1H,d,J 7.8Hz)、7.96(1H,s)。
δ(13C)(CDCl);15.39(CH)、16.98(CH)、32.43(CH)、35.49(CH)、37.15(CH)、48.13(CH)、66.64(CH)、80.14(C)、90.19(C)、123.99(C)、126.60(CH)、128.43(CH)、129.95(CH)、134.19(CH)、134.75(C)、167.26(C)、171.14(C)。
【0220】
3−(6−ジメチルカルバモイル−ペント−1−イニル)−N−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)ベンズアミド(10)
【0221】
【化21】

【0222】
7−[3−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチルカルバモイル)フェニル]−ヘキス−6−イン酸(6)(0.100g、0.32mmol)を、方法Cを使用して塩酸ジメチルアミンと反応させた結果、10(0.091g、0.276mmol;収率85%)が得られた。
δ(H)(CDCl);1.26(3H,d,J 6.8Hz)、1.59〜1.80(4H,m)、2.31〜2.43(4H,m)、2.91(3H,s)、2.98(3H,s)、3.60(1H,dd,J 11.1Hz,J2 5.3Hz)、3.74(1H,dd,J 11.1Hz,J2 3.5Hz)、6.85(1H,d,J 7.2Hz)、.7.27(1H,t,J 7.7Hz)、7.43(1H,d,J 7.7Hz)、7.69(1H,d,J 7.8Hz)、7.76(1H,s)。
δ(13C)(CDCl);16.99(CH)、19.15(CH)、24.30(CH)、28.19(CH)、32.45(CH)、35.46(CH)、37.33(CH)、48.12(CH)、66.50(CH)、80.37(C)、90.85(C)、124.26(C)、126.55(CH)、128.44(CH)、129.98(CH)、134.06(CH)、134.74(C)、167.24(C)、172.98(C)。
【0223】
3−(5−メチルカルバモイル−ペント−1−イニル)−N−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)ベンズアミド(22)
【0224】
【化22】

【0225】
6−[3−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチルカルバモイル)フェニル]−ヘキス−5−イン酸(4)(0.400g、1.37mmol)を、方法Cを使用して塩酸メチルアミン(0.609g)と反応させた結果、3−(5−メチルカルバモイル−ペント−1−イニル)−N−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)ベンズアミド(22)が得られた(0.221g、0.724mmol;収率53%)。
δ(H)(CDCl);1.29(3H,d,J 6.8Hz)、1.88〜1.97(2H,m)、2.33〜2.44(4H,m)、2.79(3H,s)、2.81(3H,s)、3.65(2H,dd,J 5.6,J 11.1Hz)、3.79(2H,dd,J 3.6,J 11.1Hz)、4.23〜4.31(1H,m)、5.93(1H,bs)、6.55(1H,d,J 7.3Hz)、7.33(1H,t,J 7.7Hz)、7.7(1H,d,J 7.7Hz)、7.69(1H,d,J 7.7Hz)、7.77(1H,s)。
δ(13C)(CDCl);17.44(CH)、19.29(CH)、26.70(CH)、35.58(CH)、48.57(CH)、67.20(CH)、80.91(C)、90.69(C)、124.60(C)、126.81(CH)、128.95(CH)、130.41(CH)、134.68(CH)、134.98(C)、167.63(C)、173.47(C)。
【0226】
3−(5−ジメチルカルバモイル−ペント−イニル)安息香酸エチルエステル(23)
【0227】
【化23】

【0228】
3−(5−カルボキシ−ペント−1−イニル)−安息香酸エチルエステル(4)(0.900g、3.4mmol)を、方法Cを使用して塩酸ジメチルアミンと反応させた結果、3−(5−ジメチルカルバモイル−ペント−イニル)安息香酸エチルエステル(23)が得られた(0.873g、3.04mmol;収率89%)。
δ(H)(CDCl);1.39(3H,d,J 7.1Hz)、1.87〜2.00(2H,m)、2.43〜2.54(4H,m)、2.95(3H,s)、3.03(3H,s)、4.37(2H,q,J 7.1Hz)、7.32(1H,t,J 7.8Hz)、7.55(1H,d,J 7.6Hz)、7.92(1H,d,J 7.8Hz)、8.04(1H,s)。
δ(13C)(CDCl);14.28(CH)、18.97(CH)、24.01(CH)、31.87(CH)、35.39(CH)、37.20(CH)、61.10(CH)、80.39(C)、90.60(C)、124.26(C)、128.27(CH)、128.60(CH)、130.69(C)、132.62(CH)、135.58(CH)、166.0(C)、172.26(C)。
【0229】
3−(5−ジメチルカルバモイル−ペント−1−イニル)−安息香酸(24)
【0230】
【化24】

【0231】
3−(5−ジメチルカルバモイル−ペント−イニル)安息香酸エチルエステル(0.800g、2.78mmol)を、水酸化ナトリウム1M溶液(6mL)で一晩処理した。反応混合物に、HCl 1M溶液7mLを添加し、溶媒を真空中で除去した。残留物を、酢酸エチルで粉砕した結果、3−(5−ジメチルカルバモイル−ペント−1−イニル)−安息香酸(24)(0.590g、2.05mmol;収率74%)がオフホワイトの粉末として得られた。
δ(H)(CDCl);1.85〜2.00(2H,m)、2.48〜2.58(4H,m)、2.93(3H,s)、3.08(3H,s)、7.40(1H,t,J 7.8Hz)、7.58(1H,d,J 7.6Hz)、7.91(1H,d,J 7.8Hz)、7.97(1H,s)。
【0232】
N−シクロプロピル−3−(5−ジメチルカルバモイル−ペント−1−イニル)ベンズアミド(25)
【0233】
【化25】

【0234】
窒素雰囲気中、室温で、3−(5−ジメチルカルバモイル−ペント−1−イニル)−安息香酸(0.100g、0.38mmol)を乾燥ジクロロメタン(1.5mL)に溶かした溶液に、EDCI(0.0728g、0.38mmol)を添加し、その後トリエチルアミン(0.162mL、1.14mmol)を添加し、得られた混合物を室温でさらに5分間撹拌した。次いでシクロプロピルアミン(0.027g、0.38mmol)を添加し、混合物を、室温で16時間撹拌した。反応混合物を、飽和塩水及び飽和重炭酸ナトリウムの混合物で洗浄し(1:1;2×150ml)、その後、飽和塩水溶液(100mL)で洗浄した。有機相を分離し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、溶媒を真空蒸発させた。残留物を、シリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィにより精製した結果(DCM:MeOH、95%から5% メタノール勾配)、N−シクロプロピル−3−(5−ジメチルカルバモイル−ペント−1−イニル)ベンズアミド(25)が得られた(0.10g、0.34mmol、収率91%)。
δ(H)(CDCl);0.59〜0.64(2H,m)、0.83〜0.90(2H,m)、1.90〜2.00(2H,m)、2.49〜2.53(4H,m)、2.87〜2.93(1H,m)、2.95(3H,s)、3.03(3H,s)、6.25(1H,bs)、7.33(1H,t,J 7.8Hz)、7.44〜7.49(1H,m)、7.63〜7.72(1H,m)、7.84(1H,s)。
δ(13C)(CDCl);6.76(CH)、18.98(CH)、23.16(CH)、24.02(CH)、31.87(CH)、35.39(CH)、37.22(CH)、80.39(C)、90.75(C)、124.38(C)、126.13(CH)、128.40(CH)、128.53(C)、129.84(CH)、134.25(CH)。
【0235】
3−(5−ジメチルカルバモイル−ペント−1−イニル)−N−(2−フルオロ−エチル)ベンズアミド(26)
【0236】
【化26】

【0237】
窒素雰囲気中、室温で、3−(5−ジメチルカルバモイル−ペント−1−イニル)−安息香酸(0.100g、0.38mmol)を乾燥ジクロロメタン(1.5mL)に溶かした溶液に、EDCI(0.0728g、0.38mmol)を添加し、その後トリエチルアミン(0.162mL、1.14mmol)を添加し、得られた混合物を室温でさらに5分間撹拌した。次いで2−フルオロエチルアミン(0.189g、1.9mmol)を添加し、混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物を、飽和塩水及び飽和重炭酸ナトリウムの混合物で洗浄し(1:1;2×150mL)、その後、飽和塩水溶液(100mL)で洗浄した。有機相を分離し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、溶媒を真空蒸発させた。残留物を、シリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィにより精製した結果(DCM:MeOH、95%から5% メタノール勾配)、3−(5−ジメチルカルバモイル−ペント−1−イニル)−N−(2−フルオロ−エチル)ベンズアミド(26)が得られた(0.103g、0.34mmol、収率91%)。
δ(H)(CDCl);1.83〜2.00(2H,m)、2.48〜2.52(4H,m)、2.94(3H,s)、3.02(3H,s)、3.68〜3.72(1H,m)、3.73〜3.82(1H,m)、4.50(3H,t,J 4.8Hz)、4.66(3H,t,J 4.8Hz)、6.69(1H,bs)、7.34(1H,t,J 7.7Hz)、7.44〜7.46(1H,m)、7.62〜7.68(1H,m)、7.93(1H,s)。
δ(13C)(CDCl);18.97(CH)、24.01(CH)、31.87(CH)、35.40(CH)、37.23(CH)、40.35(CH)、40.62(CH)、80.37(C)、81.57(CH)、81.57(CH)、90.75(C)、124.48(C)、126.24(CH)、128.40(CH)、130.05(CH)、131.94(CH)、134.45(C)、167.04(C)、172.30(C)。
【0238】
Lindlar水素化の一般的方法
方法D:
キノリン(143μL、1.3mmol)、還元されたパラジウム担持硫酸バリウム(5%)(143mg)、及びアルキン(1mmol)を、メタノール(14mL)中で合わせ、粗製原料のHNMRにより還元の終了が示されるまで、大気圧の水素中で撹拌した。触媒は、セライトのパッドを通した濾過によって除去し、これをメタノールで数回洗浄した。濾液を真空蒸発させ、生成物を、分取HPLCによって精製した。
【0239】
方法E:
キノリン(25μL、0.21mmol)、還元されたパラジウム担持硫酸バリウム(5%)(360mg)、及びアルキン(1mmol)を、メタノール(15mL)中で合わせ、粗製原料のHNMRにより還元の終了が示されるまで、大気圧の水素中で撹拌した。触媒は、セライトのパッドを通した濾過によって除去し、これをメタノールで数回洗浄した。濾液を真空蒸発させ、生成物を、分取HPLCによって精製した。
【0240】
3−ヘプト−1−エニル−N−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−ベンズアミド(11)
【0241】
【化27】

【0242】
方法Dを使用したアルキン3(0.050g、0.18mmol)の水素化によって、分取逆相HPLCクロマトグラフィ(55%アセトニトリル/45%水 20分 定組成プログラム)で分離される2種の生成物、即ち化合物11(12mg)及び完全に還元された3−ヘプチル−N−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル−1)−ベンズアミド(12)(7mg)が得られた。
δ(H)(CDCl);0.88(3H,t,J 7.0Hz)、1.30(3H,d,J 6.8Hz)、1.33〜1.52(4H,m)、2.26〜2.34(2H,m)、3.66〜3.81(2H,m)、4.25〜4.35(1H,m)、5.69〜5.78(1H,m)、6.22(1H,bs)、6.43(1H,d,J 11.7Hz)、7.26(1H,s)、7.36(1H,d,J 7.5Hz)、7.55〜7.65(1H,m)、7.71(1H,s)。
【0243】
3−ヘプチル−N−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル−1)−ベンズアミド(12)
【0244】
【化28】

δ(H)(CDCl);0.808(3H,t,J 6.6Hz)、1.21(3H,d,J 6.8Hz)、1.24(4H,m)、1.52〜1.57(2H,m)、2.53〜2.58(2H,m)、3.56(1H,dd,J 5.7,J 10.9Hz)、3.69(1H,dd,J 3.6,J 10.9Hz)、4.15〜4.23(1H,m)、6.22(1H,bd,J 5.6Hz)、7.25(2H,d,J 7.7Hz)、.7.50(1H,m)、7.70(1H,s)。
δ(13C)(CDCl);14.24(CH)、17.52(CH)、23.01(CH)、29.50(CH)、29.63(CH)、31.77(CH)、32.15(CH)、36.23(CH)、48.57(CH)、67.49(CH)、124.47(CH)、127.52(CH)、128.79(CH)、132.09(CH)、134.72(C)、134.72(C)、143.97(C)、168.78(C)。
MS(ES)m/z 277(M+H)。
【0245】
3−(5−シアノ−ペント−1−エニル)−N−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−ベンズアミド(15)
【0246】
【化29】

【0247】
アルキン7(0.030g、0.1mmol)を、方法Eで述べたように水素化した結果、3−(5−シアノ−ペンチル)−N−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−ベンズアミド(15mg)が得られ、これを逆相HPLCクロマトグラフィ(20%アセトニトリル/80%水 20分 定組成プログラム)により精製した。
δ(H)(CDCl);1.29(d,J=6.9Hz,3H)、1.82(m,2H)、2.38(t,J=7.0Hz,2H)、2.48(m,2H)、2.78(m,1H)、3.65(m,1H)、3.79(m,1H)、4.29(m,1H)、5.65(m,1H)、6.38(m,1H)、6.56(d,J=11.5Hz,1H)、7.34〜7.44(m,2H)、7.64〜7.68(m,2H)。
δ(13C)(CDCl);17.00(CH)、17.45(CH)、25.67(CH)、27.50(CH)、48.60(CH)、67.20(CH)、120.00(C)、125.90(CH)、127.50(CH)、129.00(CH)、130.77(CH)、131.10(CH)、132.22(CH)、135.04(CH)、137.83(C)、168.4(C)。
MS(ES)m/z 273(M+H)。
【0248】
3−(5−ジメチルカルバモイル−ペント−1−エニル)−N−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)ベンズアミド(16)
【0249】
【化30】

【0250】
アルキン8(0.100g、0.3mmol)を、方法Eを使用して、Lindlar触媒還元により合成した結果、16と3−(5−ジメチルカルバモイル−ペンチル)−N−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−ベンズアミド(13)との混合物が得られ、これを、逆相HPLCクロマトグラフィ(20%アセトニトリル/80%水 20分 定組成プログラム)によって分離した(16、34mg)。
δ(H)(CDCl);1.31(3H,t,J 6.8Hz)、1.81〜1.91(2H,m)、2.26〜2.39(4H,m)、2.90(3H,s);(3H,s);3.65(2H,dd,J 5.5,J 11.2Hz)、3.83(2H,dd,J 3.2,J 11.2Hz)、4.27〜4.30(1H,m)、5.68〜5.77(1H,m)、6.46(1H,d,J 11.6Hz)、7.24〜7.33(1H,m)、7.38(1H,d,J 7.6Hz)、7.74〜7.79(2H,m)。
δ(13C)(CDCl);16.93(CH)、24.80(CH)、28.22(CH)、32.51(CH)、35.73(CH)、37.45(CH)、48.32(CH)、66.73(CH)、126.20(CH)、126.35(CH)、128.58(CH)、129.12(CH)、131.88(CH)、132.63(CH)、134.70(C)、137.5(C)、168.00(C)、173.11(C)。
MS(ES)m/z 319(M+H)。
【0251】
3−(5−ジメチルカルバモイル−ペントチル)−N−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−ベンズアミド(13)
【0252】
【化31】

δ(H)(CDCl);1.28〜1.36(5H,m)、1.64(2H,m)、2.29(2H,t,J 7.3Hz)、2.63(2H,t,J 7.4Hz)、2.91(3H,s)、2.98(3H,,)、3.63(1H,m)、3.78(2H,m)、4.19〜4.30(2H,m)、6.94(1H,m)、7.26〜7.32(2H,m)、7.45〜7.67(3H,m)。
δ(13C)(CDCl);17.43(CH)、25.09(CH)、28.81(CH)、31.14(CH)、33.52(CH)、35.54(CH)、35.89(CH)、37.80(CH)、48.55(CH)、67.08(CH)、125.05(CH)、127.50(CH)、128.81(CH)、132.00(CH)、134.93(C)、143.13(C)、168.70(C)、173.73(C)。
MS(ES)m/z 321(M+H)。
【0253】
3−(6−ジメチルカルバモイル−ヘキス−1−エニル)−N−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−ベンズアミド(17)
【0254】
【化32】

【0255】
3−(6−ジメチルカルバモイル−ヘキス−1−エニル)−N−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−ベンズアミド(0.037g、0.11mg)17を、方法Dを使用して、Lindlar触媒還元により合成した結果、17と飽和化合物及び20%のトランス異性体との混合物が得られ、これを分取HPLCにより分離したが、残念ながら、シス異性体とトランス異性体との分離はそれほど首尾良く行われず、化合物17は、いくらかのトランス異性体(10%トランス)で汚染されていた。
【0256】
6−[3−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチルカルバモイル)−フェニル]−ヘキス−5−エン酸メチルエステル(21)
【0257】
【化33】

【0258】
6−[3−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチルカルバモイル)−フェニル]−ヘキス−5−エン酸メチルエステル(21)(0.100g、1.7mmol)を、方法Dを使用して、アルキン20からLindlar触媒還元により合成した結果、21と、分離されなかった5%のトランス異性体との混合物が得られた。この混合物を、粗製原料として使用した。
δ(H)(CDOD);1.15(3H,t,J 6.7Hz)、1.52〜1.71(2H,m)、2.19〜2.29(4H,m)、3.47〜3.56(2H,mz)、4.06〜4.12(2H,m)、5.59〜5.67(1H,m)、5.46(2H,bs)、5.62〜5.68(1H,m)、6.39(1H,d,J 11.6Hz)、7.25〜7.33(1H,m)、7.41(1H,d,J 8.0Hz)、7.52〜7.61(2H,m)。
【0259】
3−(5−カルバモイル−ペント−1−エニル)−N−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−ベンズアミド(19)
【0260】
【化34】

【0261】
21(0.030g、0.10mmol)を、アンモニアの33%水溶液2mL中に溶解し、室温で8時間撹拌した。溶媒を除去し、生成物を、逆相HPLCクロマトグラフィ(18%アセトニトリル/82%水 20分 定組成プログラム)によって精製した結果、19(7mg)が得られた。
δ(H)(CDCl);1.22(3H,t,J 6.8.0Hz)、1.75〜1.79(2H,m)、2.20〜2.32(4H,m)、3.65(2H,dd,J 5.8,J 11.2Hz)、3.83(2H,dd,J 2.9,J 11.2Hz)、4.24〜4.32(1H,m)、5.46(2H,bs)、5.62〜5.68(1H,m)、6.39(1H,d,J 11.6Hz)、7.20〜7.22(1H,m)、7.32(1H,d,J 7.6Hz)、7.68(1H,s)、7.74(1H,d,J 7.7Hz)。
MS(CI)m/z 291(M+H)。
【0262】
BER/Ni水素化の一般的方法
ポリマーで支持されたホウ化水素(ホウ化水素担持アンバーライトIRA-400、2.5mmol BH/1g樹脂)、及び酢酸ニッケル四水和物(0.046g、1.9mmol)を、メタノール7mL中に懸濁し、ニッケルの黒色被膜が樹脂表面に現れるまで、この懸濁液中に水素をバブリングし、次いでこの混合物に、水素中でアルキン(1mmol)を添加し、メタノール7mLに溶解した。混合物を9時間振盪させ、次いで濾過した。樹脂を、メタノールで数回洗浄し、次いで合わせた濾液を真空蒸発させた。樹脂を、適切な溶媒中に溶解し、セライトに通して濾過することにより、ニッケルを除去した。生成物を、分取逆相HPLCクロマトグラフィにより精製した。
【0263】
3−(4−ジメチルカルバモイル−ブト−1−エニル)−N−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−ベンズアミド(27)
【0264】
【化35】

【0265】
BER/Ni触媒を使用したアルキン9(0.55g、0.18mmol)の水素化により、27が40%、飽和化合物が5%、及び出発材料が55%得られた。混合物を、逆相HPLCクロマトグラフィ(20%アセトニトリル/80%水 20分 定組成プログラム)により分離した結果、27(15mg)が得られた。
δ(H)(CDCl);1.30(3H,d,J 6.8Hz)、2.53〜2.70(4H,m)、2.99(3H,s)、3.07(3H,s)、3.65〜3.69(1H,m)3.81〜3.95(1H,m)、3.98〜3.40(1H,m)、4.30〜4.31(1H,m)、5.68〜5.77(1H,m)、6.47(1H,d,J 11.6Hz)、7.29(1H,m)、7.37〜7.46(1H,m)、7.85〜7.95(1H,m)、8.22(1H,s)。
δ(13C)(CDCl);16.84(CH)、24.68(CH)、32.59(CH)、35.89(CH)、37.96(CH)、48.33(CH)、66.76(CH)、125.67(CH)、126.90(CH)、128.71(CH)、130.03(CH)、131.15(CH)、131.88(CH)、134.46(C)、136.70(C)、167.23(C)、173.30(C)。
【0266】
N−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−3−(5−メチルカルバモイル−ペント−1−エニル)−ベンズアミド(18)
【0267】
【化36】

【0268】
アルキン22(0.055g、0.16mmol)を、BER/Ni触媒を使用して水素化した結果、18が45%、及び出発材料が55%の混合物が得られた。混合物を、逆相HPLCクロマトグラフィ(18%アセトニトリル/82%水 20分 定組成プログラム)により分離した結果、18(19mg)が得られた。
δ(H)(CDCl);1.29(3H,t,J 6.8.0Hz)、1.88〜1.97(2H,m)、2.35(2H,d,J 7.4Hz)、2.47(1H,d,J 6.8Hz)、2.80(3H,d,J 4.8Hz);3.65(2H,dd,J 5.5,J 11.0Hz)、3.79(2H,dd,J 3.5,J 11.2Hz)、4.23〜4.31(1H,m)、5.73(1H,bs)、6.53(1H,bd,J 6.2Hz)、7.33(1H,t,J 7.7Hz)、7.45(1H,d,J 7.7Hz)、7.69(1H,d,J 7.8Hz)、7.76(1H,s)。
δ(13C)(CDCl3);17.07(CH)、18.91(CH)、24.44(CH)、26.32(CH)、35.19(CH)、48.19(CH)、66.87(CH)、1224.23(C)、126.41(CH)、128.57(CH)、129.99(CH)、134.31(CH)、134.59(C)、167.00(C)、178.00(C)。
【0269】
3−(5−ジメチルカルバモイル−ペント−1−エニル)−N−(2−フルオロ−エチル)−ベンズアミド(28)
【0270】
【化37】

【0271】
BER/Ni触媒を使用した、3−(5−ジメチルカルバモイル−ペント−1−イニル)−N−(2−フルオロ−エチル)ベンズアミド(26)(0.040g、0.13mmol)の水素化によって、28が40%、及び出発材料が55%得られた。混合物を、逆相HPLCクロマトグラフィ(30%アセトニトリル/70%水 20分 定組成プログラム)により分離した結果、3−(5−ジメチルカルバモイル−ペント−1−エニル)−N−(2−フルオロ−エチル)−ベンズアミド28(5mg)が得られた。
δ(H)(CDCl);1.80〜1.89(2H,m)、2.31〜2.41(4H,m)、2.88(3H,s)、2.97(3H,s)、3.68〜3.72(1H,m)、3.74(1H,dd,J5.4,J10.7Hz)、3.82(1H,dd,J5.4,J10.7Hz)、5.72〜5.78(1H,m)、6.43(1H,d,J 11.7Hz)、7.31(1H,d,J 7.7Hz)、7.40(1H,t,J 7.7Hz)、7.81(1H,d,J 7.9Hz)、8.02(1H,s)。
【0272】
N−シクロプロピル−3−(5−ジメチルカルバモイル−ペント−1−エニル)ベンズアミド(29)
【0273】
【化38】

【0274】
BER/Ni触媒を一晩使用した、3−(N−シクロプロピル−3−(5−ジメチルカルバモイル−ペント−1−イニル)ベンズアミド(25)(0.040g、0.13mmol)の水素化によって、28%が90%、及び出発材料が10%得られた。混合物を、逆相HPLCクロマトグラフィ(30%アセトニトリル/70%水 20分 定組成プログラム)によって分離した結果、N−シクロプロピル−3−(5−ジメチルカルバモイル−ペント−1−エニル)−ベンズアミド(10mg)が得られた。
δ(H)(CDCl);0.64〜0.69(2H,m)、0.78〜0.84(2H,m)、1.78〜1.83(2H,m)、2.28〜2.36(4H,m)、2.88(3H,s)、2.89〜2.93(1H,m)、2.97(3H,s)、5.65〜5.75(1H,m)、6.43(1H,d,J 11.7Hz)、7.33(1H,t,J 7.8Hz)、7.44〜7.49(1H,m)、7.63〜7.72(1H,m)、7.84(1H,s)。
【0275】
末梢作用を有するCB1アゴニストとしての検証
生体外放射リガンド結合の研究
放射リガンド結合アッセイ[Ross,R.A. et al, Br.J.Pharmacol. 1999, 128, 735-743]を、脳及び脾臓膜内のCB受容体アンタゴニスト[3H]SR141716A(0.5nM)又は[3H]CP55940(0.5nM)を用いて実施する。アッセイは、1mg/mL BSAを含有するアッセイ緩衝剤中で行い、このときの全アッセイ体積は500μLである。結合は、膜の添加(100μg)によって開始する。0.1% DMSOというビヒクル濃度を、全体を通して一定に保つ。アッセイは、37℃で60分間実施し、その後、氷冷洗浄緩衝液(50mM トリス緩衝液、1mg/mL BSA)を添加し、12ウェルサンプリングマニホールド(Brandel Cell Harvester)及び洗浄緩衝液中に4℃で24時間浸漬させたWhatman GF/Bガラスファイバーフィルタを使用して真空濾過することにより、終了する。各反応チューブを、4mLという一定分量の緩衝液で5回洗浄する。フィルタを、60分間オーブン乾燥し、次いで5mLのシンチレーション流体(Ultima Gold XR, Padkard)中に置き、液体シンチレーション分光分析によって放射能を定量する。特異的結合は、1μMの非標識リガンドが存在し、また存在しない状態で生じた結合の差として定義され、脳内及び脾臓内で結合された全放射リガンドは、それぞれ71%及び40%である。特異的結合部位からの放射リガンドの50%置換(IC50)をもたらす競合リガンド(試験化合物)の濃度は、GraphPad Prism(GraphPad Software社製、San Diego)を使用して計算する。阻害定数(Ki)値は、Cheng & Prusoffの方程式を使用して計算する[Cheng, Y.及びPrusoff,W.H., Biochem, Pharmacol. 1973, 22, 3099-3108]。
【0276】
生体外カンナビノイド受容体調節活性
化合物を、マウス輸精管製剤[Ward S, Mastriani D, Casiano F及びArnold R (1990) J Pharmacol Exp Ther 255:1230-1239]を使用して、カンナビノイド調節能力に関して評価し、それによって、アゴニストの可能性を常に反映するとは限らない簡単な受容体結合ではなくて、CBアゴニストの証拠が提供される。化合物(16)は、この系(図1)において、既知の完全アゴニストR(+) WIN55,212(IC50が約5nM)に比べ、IC50が約1nMという著しい効果を示した。これは、選択的CBアンタゴニストSR141716Aによって阻害され、即ち観察された収縮が、末梢CB受容体を介して媒介されることを示している。
【0277】
生体内末梢CB受容体活性化
上部胃腸通過
胃腸通過は、チャコール法を使用して測定する。マウスに、0.1mL(10g/マウス)の黒色マーカー(5%アラビアガムに懸濁させた、10%チャコール懸濁液)を経口的に与え、20分後に、COでマウスを窒息死させ、小腸を取り出す。マーカーが移動した距離を測定し、幽門から盲腸までの小腸の全長に対するパーセンテージとして表す[Izzo,A.A. et al, Br.J.Pharmacol. 2000, 129, 1627-1632]。カンナビノイドアゴニストは、チャコールを投与する30分前に与える。
【0278】
結腸推進試験
遠位結腸推進を、Pinto et al[Gastroenterology 2002, 123, 227-234]に従って測定する。カンナビノイド薬物を投与してから30分後、1個の3mmガラスビーズを、各マウスごとに、遠位結腸に2cm挿入する。ガラスビーズの排出に必要とされる時間を、各動物ごとに決定した。平均排出時間が長いほど、結腸推進をより強力に阻害することの指標になる。
【0279】
末梢活性カンナビノイドの向精神活性
多くのCBアゴニストは、CB受容体への中枢結合により、向精神性に関連した「4組効果」を誘発することが知られている[Howlett,A.C. et al, International Union of Pharmacology. XXVII, Pharmacol. Rev. 2002, 54, 161-202]。研究は、本発明の化合物も中枢CB受容体に結合するか否かを調査するために着手した。これは、化合物が、静脈内、腹腔内、及び経口投与された後、正常なマウスにおいて鎮静、下垂症、低運動性、カタレプシー、及び低体温症を誘発する能力を測定することにより、評価する[Brooks,J.W. et al, Eur. J. Pharmacol. 2002, 439, 83-02]。
【0280】
化合物の脳内レベルの決定
脳及び脊髄への浸透性の定量
化合物の脳/脊髄への浸透は、以下のように直接測定することができる。麻酔をかけたラットの脳及び脊髄への摂取は、Ohne et al[Ohno,K. et al, Am. J. Physiol 1978, 235, H299-H307]に記載されている標準的な方法を使用して測定する。手短に言えば、化合物を、1回の大量瞬時投与として、又は段階的な注入として、静脈内(大腿)注射する。いくつかの血漿サンプル(大腿動脈)を採取して、経時的な血漿濃度を計算する(積分、曲線下の面積)。末端の脳及び脊髄サンプルを採取して、脳への浸透性を測定する(生理食塩水での洗い出しにより、又は[14C]スクロースなどの不活性低浸透性マーカーの短い循環を使用して、含有される血液体積を測定することにより、残留血液中の化合物に合わせて補正する)。PS(cm.s−1)は、C脳/積分C血漿に等しく、PS=浸透性×表面積(cm)であり脳摂取に関する積であり、Cは濃度である。或いは、定常状態の組織/血漿の比を、より近似された指標として測定し、この場合も血液洗い出し又は補正を行う。比較は、同一条件下で実験をした、BBB全体を通して低浸透性を有することが知られている対照化合物、例えば放射標識されたスクロース又はインスリンに対して行う。
【0281】
CBアゴニズムの生物学の予備的特徴付け
末梢活性カンナビノイドの侵害受容活性
末梢では、CBで媒介された侵害受容の証拠がある[Fox,A. et al, Pain 2001, 92, 91-100]。したがって、部分坐骨神経結紮に関する研究を、ラット及びノックアウトマウスで着手した。
【0282】
痙攣の評価
さらなる研究は、CB、CB、VR−1、FAAH、及び条件的CBノックアウトマウスを含めたカンナビノイドノックアウトマウスを使用して着手した。痙攣は、ABH(3〜4回の疾患の発作の後、80日以内で、動物の50〜60%に著しい痙攣が生ずる)又はABH.CB1-/-(1〜2回の疾患の発作の後、30〜40日以内で、動物の80〜100%に著しい痙攣が生ずる)で誘発させることができる。化合物を、初めに静脈内(初回通過効果を制限するため)、腹腔内、又は経口的に注入する。痙攣は、歪みゲージを使用して、後肢屈曲に対する抵抗力により評価する(n=6〜7/グループ)[Baker,D. et al, Nature 2000, 404, 84-87]。動物を、それ自体の対照として役立て、2つ一組にして分析を行う。動物の数、労力、及び費用を減らすため、薬物を用いない期間の後(痙攣は24時間以内に戻る)、これらの動物に、異なる用量及び/又はビヒクルを与える。低用量のCBアゴニスト及びCNS活性CP55,940を、対照として、痙攣性ABHマウスに局所(皮下、筋肉内)投与し、対側肢における活性の欠如を分析する[Fox,A. et al, Pain 2001, 92, 91-100]。CB媒介型侵害受容に対する非CNS部位である、後根神経節も含めた末梢神経系におけるCBの発現は、ペリフェリン−Creトランスジェニックマウスを使用して除去することができる[Zhou,L. et al, FEBS Lett. 2002, 523, 68-72]。これらの条件的KOマウスは、C57BL/6バックグラウンド上で維持される。これらのマウスは、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質残基35〜55ペプチドの誘発後、EAEを発症する[Amor,S. et al, J. Immunol. 1994, 153, 4349-4356]。
【0283】
正常及びCREAEマウスでの生体内評価
CNSを除外した化合物は、カンナビノイド抗痙攣作用の成分が末梢CB受容体を介して媒介されるかどうか、試験をするためのツールを提供する。化合物(16)は、図2及び3に示すように、正常なマウスにおけるCNS作用に関して試験した。1mg/kgの用量では、低体温症も低運動性も観察されなかった。CREAEマウスでは、痙攣に対する際立った効果が認められ(図4)、CNS作用をもたらすことなく、痙攣の選択的阻害が実現可能であるという強力な証拠を示している。上述のように、痙攣の抑制において、末梢カンナビノイド受容体には確立された役割が無いが、痙攣は、少なくともEAEでは脊髄の神経損傷の現れである可能性があり[Baker,D. et al, FASEB J. 2001, 15, 300-302; Baker,D. et al, J.Neuroimmunol. 1990, 28, 261-270]、筋系への、及び筋系からの異常なシグナルは、少なくとも部分的に、痙縮で生ずる筋肉痙攣に寄与する可能性がある。
【0284】
記述された本発明の方法の、様々な変更例及び変形例は、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく当業者に明らかにされよう。本発明を、特定の好ましい実施形態に関して述べてきたが、化学又は関係する分野の当業者に明らかな、本発明を実施するために記述された形態の様々な変更例は、以下の特許請求の範囲内に含まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0285】
【図1】ラット輸精管の収縮阻害を示す図である。より詳細には、このアッセイでの化合物(16)のIC50は、約0.1nmである。同じアッセイで、R(+)WIN55,212は、CB1でのIC50が約5nmであり、その既知の結合親和性と一致していることが実証された。このアッセイは、アゴニストのポテンシャルを示しており、化合物(16)の作用は、CB1−アンタゴニストSR141716Aによって中和された。
【図2】野生型マウスの低運動性を示す図である。
【図3】野生型マウスの低体温を示す図である。ビヒクル(アルコール、Cremophor、PBS(1:1:18))、化合物(16)、又はCNS浸透剤CB1アゴニスト(R(+)Win 55,212)を、注入する前と注入した後(20分)に、活性チャンバ内における、温度と27cmの開放領域での5分間の運動性とについて評価した[Brooks et al 2002]。この後者の化合物は、典型的なカンナビン様作用を誘発するのに対し、化合物(16)は、1mg/kg(より多量)で不活性であり、20mg/kg i.v.でも不活性であった。
【図4】CREAEマウスの痙攣の評価を示す図である。痙攣は、第0日及び第7日目に、フロイント完全アジュバントに溶かしたマウス脊髄ホモジネートを注入することによって誘発された、慢性EAEの発症後に発生した。これは、野生型ABH.Cnrl+/+マウスの場合、導入後60〜80日で生じ、CB1受容体遺伝子(Cnrl)−欠損ABH.Cnrl−/−マウス)では、導入後30〜40日で生じた。痙攣は、腹腔内注射した完全CB/CBアゴニストCP55,940又は完全CB/CB/”CB”アゴニストで、或いはビヒクル(アルコール:Cremophor:PBS(1:1:18))に溶かして静脈内注射した化合物(16)で、治療する前及び治療した後に、歪みゲージに対する後肢の完全屈曲への抵抗力によって評価した[Baker et al 2000]。結果は、投与から10分後の、パーセンテージの変化±基準線からのSEM(グループ当たりn<10〜12)を示している。生データに関して統計分析を行ったが、これは、基準線レベルから2つ一組にして分析した(***P<0.001)。CNS浸透アゴニストの抗痙攣作用は、CB欠損マウスの場合に失われ、CB2/”CB3”が抗痙攣活性の標的ではないことを示していた。ビヒクル単独では、不活性であった[Baker et al 2000]。化合物(16)は、野生型マウスで著しい抗痙攣活性を示し、PBSだけに投与したときに活性になった(図示せず)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物、又は薬学的に許容されるその塩
【化1】


(式中、ZはOR又はNRであり、R及びRはそれぞれ独立に、H又はヒドロカルビル基であり;
Xは、アルキレン基、アルケニレン基、又はアルキニレン基であり、これらはそれぞれ任意に、アルキル、COOH、CO−アルキル、アルケニル、CN、NH、ヒドロキシ、ハロ、アルコキシ、CF、及びニトロから選択される1つ又は複数の置換基によって置換されてもよく;
Yは、OH、NO、CN、COR、COOR、NR、CONR、SOH、SO−R、SONR、及びCFから選択される極性官能基であり、R及びRはそれぞれ独立に、H又はヒドロカルビル基であり;
Aは、アリール基又はヘテロアリール基であり、これらはそれぞれ任意に置換されてもよく;且つ
Bは(CHであり、nは0、1、2、3、4、又は5である;
但し、
(i)Aがフェニルであり、nが0であり、且つZがOHである場合、X−Yは、meta−C≡C−(CHCOH、meta−C≡C−(CHOH、meta−C≡C−(CHCOMe、meta−(CHCOH、ortho−CHCOH、ortho−(CHCOH、及びortho−(CHCOH以外のものであること;及び
(ii)Aがフェニルであり、nが0であり、且つZがOMeである場合、X−Yは、meta−C≡C−(CHOH以外のものであることを条件とする)。
【請求項2】
Yが、CN、OH、COOR、SONR、CONRから選択され、R及びRがそれぞれ独立に、H又はヒドロカルビル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
、R、R、及びRがそれぞれ独立に、H、アルキル基、アリール基、又はシクロアルキル基であり、これらがそれぞれ任意に置換されてもよい、請求項1又は2のいずれかに記載の化合物。
【請求項4】
Yが、OH、CN、COOR、CONRから選択され、R及びRがそれぞれ独立に、H又は任意に置換されたアルキル基である、請求項1から3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
Yが、OH、CN、COOMe、COOH、CONH、CONHMe、及びCONMeから選択される、請求項1から4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
nが0である、請求項1から5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
X−Yが、
−C≡C−(CH−Y;
−C(R)=C(R)−(CH−Y;及び
−C(R)(R)C(R)(R)−(CH−Y
から選択され、R、R、R、及びRがそれぞれ独立に、H又はアルキルであり、p、q、及びrがそれぞれ独立に、2、3、又は4である、請求項1から6のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
X−Yが、
−C≡C−(CH−Y;及び
−CH=CH−(CH−Y
から選択され、p及びqがそれぞれ独立に、2、3、又は4である、請求項1から7のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
X−Yが、cis−C(R)=C(R)−(CH−Yであり、qが2、3、又は4である、請求項7に記載の化合物。
【請求項10】
X−Yが、−C(Me)−CH−(CH−Yであり、rが2、3、又は4である、請求項1から7又は9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
Aがフェニル又はピリジルである、請求項1から10のいずれかに記載の化合物。
【請求項12】
式Iaである、請求項1から11のいずれかに記載の化合物。
【化2】

【請求項13】
式Ibである、請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物。
【化3】

【請求項14】
Aがフェニルである、請求項12又は請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
ZがOR又はNRであり、R及びRがそれぞれ独立に、H、アルキル、又はシクロアルキル基であり、これらがそれぞれ、1つ又は複数のOH又はハロゲン基に任意に置換されてもよい、請求項1から14のいずれかに記載の化合物。
【請求項16】
Zが、OH、OEt、NHCHCHF、NH−シクロプロピル、NHCH(Me)CHOH、及びNHCHCHOHから選択される、請求項1から15のいずれかに記載の化合物。
【請求項17】
下記の式から選択される、請求項1から16のいずれかに記載の化合物。
【化4】

【請求項18】
下記の式である、請求項17に記載の化合物。
【化5】

【請求項19】
ラセミ混合物である、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
筋疾患を治療するための医薬品の製造のための、式Iaの化合物、又は薬学的に許容されるその塩の使用
【化6】

(式中、ZはOR又はNRであり、R及びRはそれぞれ独立に、H又はヒドロカルビル基であり;
Xは、アルキレン基、アルケニレン基、又はアルキニレン基であり、このそれぞれは、任意に置換されてもよく;
Yは、極性官能基であり;
Aは、アリール基又はヘテロアリール基であり、これらはそれぞれ、任意に置換されてもよく;且つ
Bは(CHであり、nは0、1、2、3、4、又は5である)。
【請求項21】
筋疾患が神経筋疾患である、請求項20に記載の使用。
【請求項22】
痙攣及び振戦を治療するための医薬品の製造のための、式Iaの化合物、又は薬学的に許容されるその塩の使用
【化7】

(式中、ZはOR又はNRであり、R及びRはそれぞれ独立に、H又はヒドロカルビル基であり;
Xは、アルキレン基、アルケニレン基、又はアルキニレン基であり、これらはそれぞれ、任意に置換されてもよく;
Yは、極性官能基であり;
Aは、アリール基又はヘテロアリール基であり、これらはそれぞれ、任意に置換されてもよく;且つ
Bは(CHであり、nは0、1、2、3、4、又は5である)。
【請求項23】
胃腸障害を治療するための医薬品の製造のための、式Iaの化合物、又は薬学的に許容されるその塩の使用
【化8】

(式中、ZはOR又はNRであり、R及びRはそれぞれ独立に、H又はヒドロカルビル基であり;
Xは、アルキレン基、アルケニレン基、又はアルキニレン基であり、これらはそれぞれ、任意に置換されてもよく;
Yは、極性官能基であり;
Aは、アリール基又はヘテロアリール基であり、これらはそれぞれ、任意に置換されてもよく;且つ
Bは(CHであり、nは0、1、2、3、4、又は5である)。
【請求項24】
胃腸障害が胃潰瘍である、請求項23に記載の使用。
【請求項25】
胃腸障害がクローン病である、請求項23に記載の使用。
【請求項26】
胃腸障害が分泌性下痢である、請求項23に記載の使用。
【請求項27】
胃腸障害が麻痺性イレウスである、請求項23に記載の使用。
【請求項28】
調節物質が末梢カンナビノイド受容体を選択的に調節する、請求項20から27のいずれか一項に記載の使用。
【請求項29】
化合物が、中枢カンナビノイド受容体よりも末梢カンナビノイド受容体を選択的に調節する、請求項20から28のいずれか一項に記載の使用。
【請求項30】
化合物が、実質的に末梢カンナビノイド受容体にのみ結合する、請求項20から29のいずれか一項に記載の使用。
【請求項31】
化合物がカンナビノイド受容体アゴニストである、請求項20から30のいずれか一項に記載の使用。
【請求項32】
化合物が、実質的に中枢カンナビノイド受容体のアゴニストとして作用しない、請求項20から31のいずれか一項に記載の使用。
【請求項33】
化合物が、CNSから実質的に排除される、請求項20から32のいずれか一項に記載の使用。
【請求項34】
Yが、NO、CN、OR、COR、COOR、NR、CONR、SOH、SO−R、SONR、及びCFから選択され、R及びRはそれぞれ独立に、H又はヒドロカルビル基である、請求項20から33のいずれか一項に記載の使用。
【請求項35】
Yが、CN、COOR、SONR、CONRから選択され、R及びRはそれぞれ独立に、H又はヒドロカルビル基である、請求項20から34のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項36】
化合物が、請求項1から19のいずれか一項で定義された通りである、請求項20から35のいずれか一項に記載の使用。
【請求項37】
治療を必要とする被験体に、請求項1から19のいずれか一項に記載の化合物を治療上有効な量投与することからなる、末梢カンナビノイド受容体の調節に関連した障害を治療する方法。
【請求項38】
障害が、末梢カンナビノイド受容体の不活性化に関連する、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
化合物が、実質的に中枢カンナビノイド受容体のアゴニストとして作用しない、請求項37又は請求項38に記載の方法。
【請求項40】
化合物が、実質的に末梢カンナビノイド受容体にのみ結合する、請求項37から39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
化合物が、CNSから実質的に排除される、請求項37から40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
薬学的に許容される希釈剤、賦形剤、又は担体と混合した、請求項1から19のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩を含む、医薬品組成物。
【請求項43】
カンナビノイド受容体活性を調節することが可能なその他の化合物を同定するためのアッセイにおける、請求項20で定義された式Iaの化合物又は薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項44】
アッセイが競合結合アッセイである、請求項43に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−523150(P2007−523150A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553673(P2006−553673)
【出願日】平成17年2月21日(2005.2.21)
【国際出願番号】PCT/GB2005/000605
【国際公開番号】WO2005/080316
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(505367464)ユーシーエル・バイオメディカ・ピーエルシー (20)
【氏名又は名称原語表記】UCL BIOMEDICA PLC
【Fターム(参考)】