説明

警備システム

【課題】広範な領域を高いセキュリティー性をもって警備することができる警備システムを提供する。
【解決手段】警備システム1は、警備対象が配置されて侵入者Pから防護すべき防護区域A1の警備を行うものであり、防護区域A1の周囲に設定された半径数百メートル程度の監視区域A2の外縁に沿って所定の間隔をもって配置され、監視区域A2に侵入する侵入者Pを検出する赤外線センサと侵入者の接近を検出する近接センサとを有する複数の外周監視装置11を備える。外周監視装置11の間隔は、隣接する外周監視装置11の各々設けられた赤外線センサの検出エリアの少なくとも一部が重複する間隔である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、進入禁止区域又は防護区域を警備する警備システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、警備システムは、進入禁止区域又は防護区域等の予め規定された区域を警備するために用いられるシステムを言うが、現在は主として建物を警備するために用いられている。建物を警備する警備システムは、警備すべき建物の周囲に設置される外周センサ、侵入者を撮影する監視カメラ、及び及び警備センターに通報を行う通報装置を備えるものが多い。外周センサは例えば警備すべき建物の周囲に設置された外周フェンス(例えば、塀)に取り付けられ、監視カメラは例えば外周フェンスと警備すべき建物との間に設置される。
【0003】
以上の構成の警備システムは、外周センサによって外周フェンス内への侵入が検出された場合に、その旨を通報装置によって警備センターに通報するとともに、外周フェンス内に侵入した侵入者を監視カメラによって撮影する。ここで、侵入者が建物内に侵入するのに極力時間がかかるように外周フェンス及び建物の外壁は堅牢にされており、また外周フェンス内に侵入した侵入者の撮影を容易にするため、外周フェンスは警備すべき建物に対してある程度の距離をもって設置される。
【0004】
警備すべき建物に侵入者が侵入した場合に、その旨が警備システムによって警備センターに通報されることにより、迅速に適切な警備行動をとることができる。また、監視カメラで侵入者を撮影することによって侵入者を容易に特定することができるとともに、予防効果を高めることもできる。尚、建物を警備する従来の警備システムの詳細については、例えば以下の特許文献1〜3を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−015966号公報
【特許文献2】特開2006−092111号公報
【特許文献3】特開平10−003583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した建物を警備する従来の警備システムは、基本的には一度設置されると設置されたままになり、移設されることは殆ど無い。従って、警備システムをなす外周センサや監視カメラ等の各種機材は、侵入者の侵入を効果的に予防することができ、仮に侵入があったとしても侵入者を容易に特定することができるよう、時間をかけて設置位置が検討されるとともに時間をかけて慎重に設置作業が行われる。
【0007】
しかしながら、警備システムによって警備される警備対象は、建物のように必ずしも固定されている訳ではない。例えば、自衛隊等の組織が展開先にて設営した機動部隊やその装備が警備対象である場合には、警備対象自体が移動することになる。このような警備対象は緊急の展開が必要であり、しかも厳重な警備が必要になる性質であることから、その警備対象を警備する警備システムには、容易に運搬できること、短時間で容易に設置できることに加えて、高いセキュリティー性が求められる。
【0008】
上述した通り、現在多く用いられている警備システムは、移設されることを前提としていないため、運搬が容易であり、短時間で設置を行うことが求められる用途に用いることは困難である。また、機動部隊やその装備が警備対象である場合には、半径が数百メートル程度の広範な領域の警備が必要になることもあり、このような広範な領域を従来の警備システムを転用して警備することは困難であり、またセキュリティー性の面から問題がある。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、広範な領域を高いセキュリティー性をもって警備することができる警備システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の警備システムは、警備対象が配置されて侵入者(P)から防護すべき防護区域(A1)の警備を行う警備システム(1)において、前記防護区域の周囲に設定された監視区域(A2)の外縁に沿って所定の間隔をもって配置され、当該監視区域に侵入する侵入者を検出する赤外線センサ(22a、22b)と侵入者の接近を検出する近接センサ(23)とを有する複数の外周監視装置(11)を備えることを特徴としている。
この発明によると、監視区域の外縁に沿って配置された外周監視装置の間から監視区域に侵入する侵入者は外周監視装置が備える赤外線センサによって検出され、赤外線センサの死角である外周監視装置の上方又は足下から侵入する侵入者は外周監視装置が備える近接センサによって検出される。
また、本発明の警備システムは、前記所定の間隔が、隣接する外周監視装置の各々設けられた赤外線センサの検出エリアの少なくとも一部が重複する間隔であることを特徴としている。
また、本発明の警備システムは、前記防護区域に配置された前記警備対象を撮影可能な位置に設置され、前記外周監視装置で前記侵入者が検出された場合に前記侵入者の撮影を行うカメラ監視装置(12)を備えることを特徴としている。
また、本発明の警備システムは、前記外周監視装置が、前記カメラ監視装置と有線又は無線による通信が可能であり、有線又は無線による通信によって検出結果を前記カメラ監視装置に送信することを特徴としている。
また、本発明の監視システムは、前記外周監視装置が、前記有線による通信が不可能である場合には前記無線による通信を行い、前記有線による通信が可能になった場合に前記有線による通信を行うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、監視区域の外縁に沿って配置された外周監視装置の間から監視区域に侵入する侵入者を外周監視装置が備える赤外線センサで検出し、赤外線センサの死角である外周監視装置の上方又は足下から侵入する侵入者を外周監視装置が備える近接センサで検出しているため、広範な領域を高いセキュリティー性をもって警備することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態による警備システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態による警備システムの設置例を示す斜視図である。
【図3】外周監視装置11の外観構成を示す正面図である。
【図4】周監視装置11の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】カメラ監視装置12の外観構成を示す正面図である。
【図6】カメラ監視装置12の電気的構成を示すブロック図である。
【図7】監視制御装置13の外観構成を示す正面図である。
【図8】監視制御装置13の電気的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態による警備システムについて詳細に説明する。
【0014】
〔全体構成〕
図1は本発明の一実施形態による警備システムの全体構成を示すブロック図であり、図2は同システムの設置例を示す斜視図である。これら図1,図2に示す通り、本実施形態の警備システム1は、外周監視装置11、カメラ監視装置12、及び監視制御装置13を備えており、警備対象が配置されて侵入者Pから防護すべき防護区域A1の監視を行う。尚、警備システム1によって警備される警備対象は、例えば自衛隊等の組織が展開先にて設営した機動部隊やその装備等の移動可能なものであるとする。
【0015】
外周監視装置11は、防護区域A1を取り囲むように防護区域A1の周囲に設定された監視区域A2の外縁(外周)に沿って所定の間隔をもって配置され、監視区域A2内に侵入する侵入者Pを検出する。詳細は後述するが、外周監視装置11が配置される間隔は、隣接する外周監視装置11の各々に設けられた赤外線センサの検出エリアの少なくとも一部が重複する間隔である。ここで、監視区域A2の大きさは、防護区域A1内に配置された警備対象の警備レベルや規模に応じて設定され、例えば防護区域A1を中心とした半径300メートル程度の大きさに設定される。
【0016】
この外周監視装置11は、複数台(5〜10台程度)を単位としてカメラ監視装置12に接続され、接続されたカメラ監視装置12と有線による通信(有線通信)又は無線による通信(無線通信)が可能である。例えば、外周監視装置11の設置時において有線ケーブルによる接続が行われていないために有線による通信が不可能である場合には無線通信を行い、有線通信が可能になった場合に有線通信を行う。これにより、有線ケーブルを敷設する前にも通信が可能であるため、外周監視装置11の設置を短時間で行うことが可能になる。尚、外周監視装置11の詳細については後述する。
【0017】
カメラ監視装置12は、防護区域A1に配置された警備対象を撮影可能な位置(例えば、防護区域A1内)に設置され、外周監視装置11で侵入者Pが検出された場合に侵入者Pの撮影を行う。このカメラ監視装置12は、撮影した画像に対する画像処理を行って撮影された侵入者Pの特徴を求め、その特徴に基づいた侵入者Pの追跡撮影が可能である。カメラ監視装置12の台数は、防護区域A1内に配置された警備対象の警備レベルや規模に応じて設定され、例えば図1,図2に示す通り、数台程度の台数に設定される。尚、カメラ監視装置12の詳細については後述する。
【0018】
監視制御装置13は、光ケーブルを介してカメラ監視装置12の各々と接続され、警備システム1の全体的な動作を制御する。また、外周監視装置11の検出結果に基づいて侵入者Pの侵入位置を特定して、その侵入位置を表示するとともに、カメラ監視装置12の各々で撮影される画像の表示及び記録を行う。この監視制御装置13は、例えば防護区域A1内に配置されるトラックTR(図2参照)内に設置される。尚、監視制御装置13の詳細についても後述する。
【0019】
〔外周監視装置〕
図3は外周監視装置11の外観構成を示す正面図であり、図4は外周監視装置11の電気的構成を示すブロック図である。図3に示す通り、外周監視装置11は、三脚21、赤外線センサ22a,22b、近接センサ23、通報装置24、コントロールボックス25、及びソーラーパネル26を備える。この外周監視装置11は、運搬を容易にするために組み立て式であり、監視区域A2の外縁において組み立てられて設置される。組み立てられた外周監視装置11は、上記の赤外線センサ22a,22b、近接センサ23、及び通報装置24が三脚21上に設置され、コントロールボックス25及びソーラーパネル26が三脚21の足下又はその近傍に設置される。
【0020】
赤外線センサ22a,22bは、赤外光を送信するとともに、赤外光が侵入者Pに照射されて得られる反射光を受光することによって侵入者Pを検出する。これら赤外線センサ22a,22bは、互いに逆方向に赤外線を送信する。具体的には、赤外線センサ22aは紙面右方向(図中符号D1を付した方向)に赤外光を送信し、赤外線センサ22bは紙面左方向(図中符号D2を付した方向)に赤外光を送信する。つまり、赤外線センサ22aは外周監視装置11の右側を通って監視区域A2に侵入する侵入者Pを検出し、赤外線センサ22bは外周監視装置11の左側を通って監視区域A2に侵入する侵入者Pを検出する。
【0021】
ここで、外周監視装置11は、監視区域A2の外縁において、赤外センサ22a,22bから赤外光が送信される方向(方向D1,D2)が監視区域A2の外縁に沿う方向(監視区域A2の平面形状が円形形状であると仮定した場合の接線方向)になるように配置される。また、外周監視装置11は、前述した通り、隣接する外周監視装置11の各々に設けられた赤外線センサの検出エリアの少なくとも一部が重複する間隔をもって監視区域A2の外縁に沿って配置される。
【0022】
かかる配置にするのは、隣接する外周監視装置11の間の全てを赤外線センサの検出域に設定し、外周監視装置11の間から侵入する侵入者Pを検出するためである。例えば、外周監視装置11が備える赤外線センサ22a,22bの検出エリアが150メートル程度である場合には、外周監視装置11は300メートル程度の間隔をもって配置される。尚、設置間隔を余り狭くしすぎると設置すべき外周監視装置11の数が増加する。このため、外周監視装置11の設置間隔は、上述した赤外線センサの検出エリアの関係と設置数とを考慮して決定される。
【0023】
近接センサ23は、監視区域A2の外縁に沿って配置される外周監視装置11に接近する侵入者Pを検出する。上記の赤外線センサ22a,22bに加えて近接センサ23を備えるのは、赤外線センサ22a,22bの死角を無くしてセキュリティー性を高めるためである。つまり、赤外線センサ22a,22bは、監視区域A2の外縁に沿って配置された外周監視装置11の間から侵入する侵入者Pを検出することはできるものの、外周監視装置11の上方や三脚21の足下は死角になる。このため、赤外線センサ22a,22bのみでは、例えば外周監視装置11を乗り越えて(飛び越して)監視区域A2に侵入する侵入者Pを検出することはできない。このような、侵入者Pを検出可能としてセキュリティー性を向上させるために近接センサ23が設けられる。
【0024】
尚、外周監視装置11は、図4に示す通り、上記の赤外線センサ22a,22b及び近接センサ23以外にもタンパセンサ27a及び傾斜センサ27bを備える。これらタンパセンサ27a及び傾斜センサ27bは、外周監視装置11の盗難を検出するために設けられるセンサであり、赤外線センサ22a,22bの各々に付随してそれぞれ設けられる。尚、タンパセンサ27aはセンサ筐体のカバーが開いたことを検出するセンサであり、傾斜センサ27bは外周監視装置11の姿勢の傾斜を検出するセンサである。以下、赤外線センサ22a,22b、近接センサ23、タンパセンサ27a、及び傾斜センサ27bを総称する場合にはセンサ部SPという。
【0025】
通報装置24は、カメラ監視装置12との間で無線通信を行い、センサ部SPでの検出結果をカメラ監視装置12に通報する。コントロールボックス25は、図4に示す電源部28及び制御部29をその内部に備えており、電源制御、通信制御等の制御を行う。このコントロールボックス25には、センサ部SP、通報装置24、ソーラーパネル26、及び有線ケーブルC1(カメラ監視装置12に接続される通信ケーブル)が接続される。尚、有線ケーブルC1は、その取り扱いを容易にするために、ドラムD1からの引き出し、及びドラムD1への収容(巻き取り)が自在なものが用いられる。
【0026】
コントロールボックス25に設けられる電源部28は、充電制御装置28a、バッテリ28b、電圧センサ28c、及び充電コネクタ28dを備える。充電制御装置28aは、ソーラーパネル26又は充電コネクタ28dから供給される電力を用いてバッテリ28bの充電制御を行う。バッテリ28bは、ソーラーパネル26で得られる電力を蓄電するものであり、太陽光が得られない夜間等においても外周監視装置11の動作を可能にすべく設けられる。
【0027】
電圧センサ28cは、バッテリ28bの出力電圧を検出する。この電圧センサ28cの検出結果は、バッテリ28bの異常を監視制御装置13に通報するとともに、センサ部SPに供給する電源を制御するために用いられる。充電コネクタ28dは、外部電源を用いてバッテリ28bを充電する際に外部電源が接続されるコネクタである。外周監視装置11は、ソーラーパネル26を備えるため基本的には外部電源無しに動作が可能である。しかしながら、日照不足等で必要な電力が得られない場合も考えられることから外部電源を接続する充電コネクタ28dが設けられる。
【0028】
コントロールボックス25に設けられる制御部29は、A/D変換装置29a、LAN変換装置29b、選択スイッチ29c、LAN送受信装置29d、LANコネクタ29d、及びセンサ電源制御装置29fを備える。A/D変換装置19aは、センサ部SPの検出信号、及び電圧センサ28cの検出信号をディジタル信号に変換する。LAN変換装置29bは、A/D変換装置29aで変換されたディジタル信号をカメラ監視装置12に送信するために適した形式のデータに変換する。
【0029】
選択スイッチ29cは、カメラ監視装置12との間で無線通信を行うのか、有線通信を行うのかを選択するスイッチである。この選択スイッチ29cは、例えば外周監視装置11を配置する作業者によって手動選択されるスイッチであるが、有線通信と無線通信との何れが可能であるかを自動判別し、可能な通信方式を自動で選択するスイッチであっても良い。つまり、有線通信が不可能である場合には自動的に無線通信を選択し、有線通信が可能である場合には有線通信を自動的に選択するスイッチであっても良い。
【0030】
LAN送受信装置29dは、通報装置24に接続されており、通報装置24によってカメラ監視装置12との間で授受されるデータの送受信制御を行う。LANコネクタ29eは、有線ケーブルC1が接続されるコネクタである。センサ電源制御装置29fは、電圧センサ28cの検出結果に基づいて、センサ部SPに供給する電源を制御する。具体的には、電圧センサ28cの検出結果で示される電圧値が予め設定された閾値以下の場合には、バッテリ28bの異常を示す信号を監視制御装置13に送信するとともに、センサ部SPに対する電源の供給を停止する制御を行う。
【0031】
〔カメラ監視装置〕
図5はカメラ監視装置12の外観構成を示す正面図であり、図6はカメラ監視装置12の電気的構成を示すブロック図である。図5に示す通り、カメラ監視装置12は、三脚部31、伸縮式支柱32、カメラ本体33、通報受信装置34、及びコントロールボックス35を備えている。このカメラ監視装置12は、外周監視装置11と同様に、運搬を容易にするために組み立て式であり、例えば防護領域A1内において組み立てて設置される。
【0032】
組み立てられたカメラ監視装置12は、上記のカメラ本体33及び通報受信装置34が伸縮式支柱32の上端部に設置され、コントロールボックス35が伸縮式支柱32の下端部に設置される。尚、伸縮式支柱32の下端には三脚部31が取り付けられており、この三脚部31によって伸縮式支柱32は地面上に略鉛直に支持される。
【0033】
カメラ本体33は、斜め下方を撮影可能するように伸縮式支柱32の上端に取り付けられている。このカメラ本体33は、撮影した画像に対する画像処理を行って撮影された侵入者Pの特徴を求める。また、カメラ本体33は、俯角及び伸縮式支柱32の軸の周りの回転角が可変に構成されており、上下方向の撮影方向及び水平面内(伸縮式支柱32の軸に交差する面内)における撮影方向を変えることができる。これにより、撮影された画像から得られる侵入者Pの特徴に基づいた侵入者Pの追跡撮影が可能である。
【0034】
通報受信装置34は、外周監視装置11に設けられた通報装置24から送信されてくるセンサ部SPの検出結果、及びバッテリ28bの異常を示す信号を受信する。コントロールボックス35は、図6に示す制御部36及び電源制御装置37をその内部に備えており、外周監視装置11の検出結果及びカメラ本体33で撮影された画像の通信制御等を行う。このコントロールボックス35には、カメラ本体33及び通報受信装置34、並びに有線ケーブルC1、電源ケーブルC2、及び光ケーブルC3が接続される。
【0035】
上記の有線ケーブルC1は、外周監視装置11に接続される通信ケーブルであり、電源ケーブルC2はカメラ監視装置12に対して外部から電源を供給するケーブルである。また、上記の光ケーブルC3は監視制御装置13に接続されるケーブルである。これらのケーブルは、その取り扱いを容易にするために、ドラムD1,D2,D3からの引き出し、及びドラムD1,D2,D3への収容(巻き取り)が自在なものが用いられる。
【0036】
図6に示す通り、カメラ本体33は、画像を撮影するCCDカメラ33aと画像処理ユニット33bとを備える。画像処理ユニット33bは、CCDカメラ33aで撮影された画像に対する画像処理を行って撮影された侵入者Pの特徴を求め、その特徴を示す信号をコントローラ36aに出力する。この画像処理ユニット33bで得られる新種者Pの特徴を示す信号を用いて侵入者Pの追跡撮影が実現される。
【0037】
コントロールボックス35に設けられる制御部36は、コントローラ36a、選択スイッチ36b、LAN送受信装置36c、LANコネクタ36d、及びE/O送受信装置36eを備える。コントローラ36aは、有線ケーブルC1又は通報受信装置34を介した外周監視装置11との間の通信、光ケーブルC3を介した監視制御装置13との間の通信等の通信制御を行う。また、カメラ本体33に設けられた画像処理ユニット33bから出力される侵入者Pの特徴を示す信号に基づいてカメラ本体33の向き(撮影方向)を制御することにより、侵入者Pの追跡制御を行う。
【0038】
選択スイッチ36bは、外周監視装置11との間で無線通信を行うのか、有線通信を行うのかを選択するスイッチである。この選択スイッチ36bは、外周監視装置11の制御部29に設けられる選択スイッチ29cと同様に、例えばカメラ監視装置12を配置する作業者によって手動選択されるスイッチであるが、有線通信と無線通信との何れが可能であるかを自動判別し、可能な通信方式を自動で選択するスイッチであっても良い。
【0039】
LAN送受信装置36cは、通報受信装置34を介して外周監視装置11との間で授受されるデータの送受信制御を行う。LANコネクタ36dは、有線ケーブルC1が接続されるコネクタである。E/O送受信装置36eは、コントローラ36aから出力される電気信号を光信号に変換して光ケーブルC3に出力するとともに、光ケーブルC3を介して送信されてきた光信号を電気信号に変換してコントローラ36aに出力することにより、カメラ監視装置12と監視制御装置13との間の通信制御を行う。電源制御装置37は、電源ケーブルC2を介して外部から供給される電源から、カメラ監視装置12で必要となる電源(例えば、直流電源)を生成して制御部36やカメラ本体33に供給する。
【0040】
〔監視制御装置〕
図7は監視制御装置13の外観構成を示す正面図であり、図8は監視制御装置13の電気的構成を示すブロック図である。図7に示す通り、監視制御装置13は、制御部41、コンピュータ42、操作機材43、モニタ44a,44b、及び記録装置45を備えており、例えば警備を担当する担当者によって操作される。
【0041】
制御部41は、図8に示す通り、コントローラ41a及びE/O送受信装置41bを備えており、カメラ監視装置12との間で行われる通信を制御する。また、記録装置45に対してカメラ監視装置12から送信されてくる画像の記録制御を行う。更に、警報機材46(図8参照)に警報を発生させる制御を行う。この制御部41には、コンピュータ42及び記録装置45、警報機材46、並びに光ケーブルC3及び電源ケーブルC4が接続される。
【0042】
上記の光ケーブルC3はカメラ監視装置12に接続されるケーブルであり、電源ケーブルC4は監視制御装置13に対して外部から電源を供給するケーブルである。これらのケーブルは、その取り扱いを容易にするために、ドラムD3,D4からの引き出し、及びドラムD3,D4への収容(巻き取り)が自在なものが用いられる。
【0043】
上記の警報機材46は、侵入者Pの侵入が検出された場合に、コントローラ41aの制御の下で警報を発することによって、防護区域A1の周囲にいる人に侵入者Pの存在を報知する機材である。この警報機材46は、例えばスピーカや回転燈を備えており、制御部41のコントローラ41aによってその動作が制御されて、聴覚又は視覚によって侵入者Pの存在を周囲に報知する。
【0044】
コンピュータ42は、制御部41で受信された画像データ又は記録装置45に記録された画像データに対し、操作機材43からの指示に応じた処理を施し、その結果をモニタ44a,44bに表示させる。また、操作機材43からカメラ監視装置12の遠隔操作の指示がなされた場合には、その指示に応じてカメラ監視装置12を遠隔で制御する。尚、このコンピュータ42としては、例えば一般的に用いられているパーソナルコンピュータを用いることができる。
【0045】
操作機材43は、キーボードやマウス等の入力装置であり、例えば上記の警備を担当する担当者の操作に操作される。モニタ44a,44bは、例えば液晶表示装置や有機EL装置等の表示装置であり、コンピュータ42から出力される画像信号に応じた画像を表示する。例えば、モニタ44aには現在の警備状況を示す情報が表示され、モニタ44bにはカメラ監視装置12で撮影された画像(生の撮影画像)が表示される。モニタ44aに表示される現在の警部状況を示す情報とは、例えば外周監視装置11及びカメラ監視装置12が配置されている位置を示す情報、侵入者Pの有無を示す情報、侵入者Pが侵入した位置を示す情報等である。尚、モニタ44a,44bは、運搬が容易にできるよう小型軽量のものであって、十分な表示画素を有するものが望ましい。
【0046】
記録装置45は、例えば大容量のハードディスク等を備えており、制御部41の制御の下で、カメラ監視装置12で撮影された画像の記録、及び記録したデータの読み出しを行う。尚、記録装置45には、カメラ監視装置12で撮影された画像以外にも、侵入者Pの特徴を示す情報、侵入者Pが侵入した日時を示す情報、侵入者Pの侵入位置を示す情報等の警備に関連する様々な情報を記録しても良い。
【0047】
電源制御装置47は、カメラ監視装置12に設けられる電源制御装置37と同様のものであり、電源ケーブルC4を介して外部から供給される電源から、監視制御装置13で必要となる電源(例えば、直流電源)を生成して制御部41〜警報機材46に供給する。尚、防護区域A1には、監視制御装置13以外に無停電原装置等の発電装置も設置され、この発電装置で発電された電力が電源ケーブルC2,C3を介してカメラ監視装置12及び監視制御装置13にそれぞれ供給される。
【0048】
尚、以上説明した外周監視装置11、カメラ監視装置12、及び監視制御装置13は何れも、分解されて可搬用収納ケースに収容された状態で搬送される。このとき、個々の分割単位当たりの重量は、人力での搬送を容易にするために、可搬用収納ケースの重量を含めて25キログラム以下とされる。尚、外周監視装置11、カメラ監視装置12、及び監視制御装置13の各々の分割の仕方は、分割単位の総重量や大きさを考慮してそれぞれ適切に決められる。
【0049】
〔警備システムの動作〕
次に、上記構成における警備システム1の動作について説明する。警備システム1の動作は、警備システム1を設置する際の動作と設置後の動作とに大別される。以下、これらの動作を順に説明する。まず、設置時においては、作業者が、分割された外周監視装置11が収容された可搬用収納ケース、分割されたカメラ監視装置12が収容された可搬用収納ケース、及び分割された監視制御装置13が収容された可搬用収納ケースをそれぞれ設置すべき場所に搬送し、各々の設置場所で組み立てを行う。
【0050】
例えば、分割された監視制御装置13が収容された可搬用収納ケースは監視区域A2の外縁上の設置場所まで搬送され、作業者によって外周監視装置11の組み立てが行われる。外周監視装置11はバッテリ28bを備えているため、組み立てが完了すると動作可能な状態になる。しかしながら、組み立てが完了しても外周監視装置11は、カメラ監視装置12の組み立てが終了して有線ケーブルC1によって接続されるまでカメラ監視装置12との間で有線通信を行うことができず、これにより設置に時間を要する。
【0051】
本実施形態においては、組み立てが完了した外周監視装置11とカメラ監視装置12との間では無線通信に優先して無線通信が行われる。これにより、有線ケーブルC1が敷設される前に外周監視装置11とカメラ監視装置12との間の通信が実現できるため、設置に要する時間を短縮することができる。尚、有線ケーブルC1によって外周監視装置11とカメラ監視装置12とが接続されて有線通信が可能になった場合には、無線通信が有線通信に切り替えられる。尚、この切り替えは、外周監視装置11を設置する作業者が選択スイッチ29cを操作して手動で行っても良く、また選択スイッチ29cが有線通信が自動で行っても良い。
【0052】
警備システム1の設置が完了すると、図2に示す通り、複数の外周監視装置11が監視区域A2の外縁に沿って配置されるとともに、警備対象を撮影可能な位置にカメラ監視装置12が配置され、更に防護区域A1内に配置されたトラックTR内に監視制御装置13が配置される。そして、有線ケーブルC1を介して外周監視装置11とカメラ監視装置12との間で通信が行われるとともに、光ケーブルC3を介してカメラ監視装置12と監視制御装置13との間で通信が行われ、外周監視装置11の検出結果及びカメラ監視装置12で撮影された画像データ等が監視制御装置13に収集される。
【0053】
いま、図2に示す通り、監視区域A2の外縁に沿って配置された外周監視装置11の間から監視区域A2に侵入者Pが侵入したとすると、外周監視装置11が備える赤外線センサ22a,22bによって侵入者Pが検出される。尚、外周監視装置11は、赤外線センサ22a,22b以外に近接センサ23を備えているため、仮に侵入者Pが外周監視装置11の上方や三脚21の足下から侵入する場合であっても検出が可能である。この検出結果は、図4に示すA/D変換装置29aでディジタル信号に変換されて、LAN変換装置29bでデータ変換が行われた後に、LANコネクタ29e及び有線ケーブルC1を介してカメラ監視装置12に送信される。
【0054】
カメラ監視装置12に送信されてきたデータは、制御部36のコントローラ36aに入力される。すると、コントローラ36aは、カメラ本体33を制御して撮影を開始させる。このとき、コントローラ36aは、データの送信元である外周監視装置11(侵入者Pを検出した外周監視装置11)を特定して侵入者Pが侵入したおおよその位置を推定し、その位置が撮影されるようにカメラ本体33の向き(俯角及び伸縮式支柱32の軸の周りの回転角)を制御する。尚、ここでは、侵入者Pが検出されたときにカメラ本体33による撮影が開始される例について説明するが、カメラ本体33による撮影は侵入者Pの有無に拘わらず行っても良い。
【0055】
カメラ本体33のCCDカメラ33aで撮影された画像は、画像処理ユニット33bに出力されて画像処理が行われ、仮に侵入者Pが撮影されている場合にはその特徴が求められる。CCDカメラ33aで撮影された画像、及び画像処理ユニット33bの画像処理結果(侵入者Pの特徴を示す信号)はコントローラ36aに出力される。仮に、画像処理ユニット33bによる画像処理によって侵入者Pの特徴が求められている場合には、その特徴を示す信号に基づいて、侵入者Pを追跡撮影する制御がコントローラ36aにより行われる。
【0056】
また、コントローラ36aは、E/O送受信装置36eを制御して、CCDカメラ33aで撮影された画像、画像処理ユニット33bの画像処理結果、及び外周監視装置11の検出結果を、光ケーブルC3を介して監視制御装置13に送信する。光ケーブルC3を介して送信されてきた画像等は、監視制御装置13が備える制御部41のコントローラ41aに入力される。そして、コントローラ41aの制御によって、記録装置45に対する画像及び画像処理結果の記録が行われるともに、警報機材46から警報が発せられる。また、光ケーブルC3を介して送信されてきた画像及び画像処理結果は、コンピュータ42に出力されてモニタ44a,44bに表示される。この警報やモニタ44a,44bへの表示によって、防護区域A1の周囲にいる人、及び警備を担当する担当者が侵入者Pの存在を知ることができる。
【0057】
以上の通り、本実施形態では、警備対象が配置されて侵入者Pから防護すべき防護区域A1の周囲に監視区域A2を設定し、監視区域A2に侵入する侵入者Pを検出する赤外線センサ22a,22bと侵入者Pの接近を検出する近接センサ23とを有する複数の外周監視装置11を、監視区域A2の外縁に沿って所定の間隔をもって配置している。ここで、外周監視装置11の間隔は、隣接する外周監視装置11の各々設けられた赤外線センサ22a,22bの検出エリアの少なくとも一部が重複する間隔である。よって、監視区域A2の外縁全体を取り囲むように、いわば死角のないカーテン状の検出エリアを設定することができるため、広範な領域を高いセキュリティー性をもって警備することができる。
【0058】
以上、本発明の一実施形態による警備システムについて説明したが、本発明は上記実施形態に制限されず、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態では、自衛隊等の組織が展開先にて設営した機動部隊やその装備等の移動可能なものが警備対象である場合を例に挙げて説明した。しかしながら、警備対象の周囲に100メートル程度以上の見通しの良いエリアを確保できれば、車両等の移動可能なものであっても、建物等の固定のものでも警備対象とすることができる。
【0059】
尚、上記実施形態では、警備システム1の設置後に、外周監視装置11とカメラ監視装置12とが有線ケーブルC1を介して有線通信を行う例について説明した。無線通信と有線通信が可能な場合に、有線ケーブルC1を介した有線通信を行うのは妨害電波等の影響を排除するためである。妨害電波の影響が全く無ければ、警備システム1の設置後であっても無線による通信を行っても良い。
【符号の説明】
【0060】
1 警備システム
11 外周監視装置
12 カメラ監視装置
22a,22b 赤外線センサ
23 近接センサ
A1 防護区域
A2 監視区域
P 侵入者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
警備対象が配置されて侵入者から防護すべき防護区域の警備を行う警備システムにおいて、
前記防護区域の周囲に設定された監視区域の外縁に沿って所定の間隔をもって配置され、当該監視区域に侵入する侵入者を検出する赤外線センサと侵入者の接近を検出する近接センサとを有する複数の外周監視装置を備えることを特徴とする警備システム。
【請求項2】
前記所定の間隔は、隣接する外周監視装置の各々設けられた赤外線センサの検出エリアの少なくとも一部が重複する間隔であることを特徴とする請求項1記載の警備システム。
【請求項3】
前記防護区域に配置された前記警備対象を撮影可能な位置に設置され、前記外周監視装置で前記侵入者が検出された場合に前記侵入者の撮影を行うカメラ監視装置を備えることを特徴とする請求項2記載の警備システム。
【請求項4】
前記外周監視装置は、前記カメラ監視装置と有線又は無線による通信が可能であり、有線又は無線による通信によって検出結果を前記カメラ監視装置に送信することを特徴とする請求項3記載の警備システム。
【請求項5】
前記外周監視装置は、前記有線による通信が不可能である場合には前記無線による通信を行い、前記有線による通信が可能になった場合に前記有線による通信を行うことを特徴とする請求項4記載の警備システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−164768(P2011−164768A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−24432(P2010−24432)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(000232357)横河電子機器株式会社 (109)
【Fターム(参考)】