説明

警備装置

【課題】 監視対象に配置されたセンサの中に検知中のセンサが存在しても、セキュリティ性を低下させることなく、警備モードに設定することができる警備装置を提供すること。
【解決手段】 警備モードの設定操作が行われ(B1)、警備設定信号が入力されると(B2)、センサの検知状態が確認される(B3)。検知状態のセンサが存在する場合には(B4;No)、未検知センサの監視フラグのみをONにして警備モードに移行し(B7)、センサ情報を監視センタに送信する(B8)。監視センタはセンサ情報を受信して検知中のセンサの情報を表示する(B12,B13)。監視センタではセンサ情報に基づき検知中のセンサをチェックし、必要に応じて警備モードの再設定の遠隔操作(B14)、及び対処指示等を行う(B15)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のセンサにより監視対象の異常を検知する警備装置に関するものであり、特に、監視を開始できるセンサのみを監視して、監視を開始できないセンサの情報を監視センタに送信する警備装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅などで発生した異常を遠隔の監視センタにて監視する警備システムが普及している。このような警備システムとしては、住宅など監視対象に配置された防犯センサと接続される警備装置と、この警備装置と通信網を介して接続される監視センタとを備えており、警備装置が警備モードにあるときに防犯センサが検知信号を出力すると警備装置から警報出力し、または遠隔の監視センタに通報したりするものが知られている。
【0003】
ここで、警備装置の警備状態は、利用者が警備装置に対してIDカードなどにより操作を行うことで、監視対象を警備する警備モードまたは監視対象の警備を解除する警備解除モードに切り替えられる。
【0004】
このような警備システムにおいて、警備解除モードから警備モードを設定する際に、いずれかの防犯センサが検知信号を出力していると、警備モードに設定された瞬間に警報が発令されることになる。そのため、特許文献1には、防犯センサが検知状態のときに警備モードを設定しても、警備の開始操作を無効として、利用者に検知箇所の点検を促す技術が開示されている。
【特許文献1】特開平10−320659
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1の警備システムでは、すべての防犯センサが未検知の状態であるときにしか警備を開始することができず、警備を開始しようとしたときに、検知状態の防犯センサがある場合、利用者自らが当該検知箇所を点検し、検知理由を取り除かなければ警備モードに設定することができない。従って、点検のために外出が遅れる等、利用者に多大な負担をかけていた。また、防犯センサが故障して検知状態になっているときには修理または交換するまで警備を開始できないという問題があり、セキュリティ性が低下するおそれがある。
【0006】
さらに、防犯センサには屋外に設置されるものもある。このような屋外設置のセンサでは宅内からの点検が困難で、検知箇所の点検に時間がかかり、住宅の警備を開始して外出しようとしている利用者にとっては大きな負担となる。特に、屋外に設置されたセンサや、普段利用しない納屋などの検知箇所を利用者が不用意に点検すると、賊が潜んでいる場合もあり、利用者に危害が及ぶ危険も大きい。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑みなされたもので、警備の開始操作時に検知中のセンサがあっても、利用者の手を煩わせることなく警備を開始できる警備装置及び警備システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、警備設定信号を受信したときに検知中のセンサがあっても、未検知のセンサのみで警備を開始し、検知中のセンサ情報を監視センタに送信し、監視センタから検知中のセンサに対する対処を行うように構成することにより、上記課題を解決する。
【0009】
本発明の第1の実施態様に係る警備装置は、監視対象に設置されている複数のセンサからの検知信号に基づいて異常の有無を監視し、異常発生時には、ネットワークを介して遠隔のセンタ装置に異常情報を送信する警備装置であって、センタ装置とデータ通信を行う通信部と、所定の操作により警備設定信号、または警備解除信号を出力する操作部と、センサ毎に監視フラグのONまたはOFF及び検知の状態または未検知の状態とを記憶している記憶部と、警備設定信号を受信したときに、未検知の状態にあるセンサに対応する監視フラグのみをONにして警備モードに設定し、警備解除信号を受信したときにON状態の監視フラグをすべてOFFにして警備解除モードに設定するモード設定部と、監視モードが設定されているときに、監視フラグがONとなっているセンサからの検知信号を受信すると異常発生と判定し、通信部を介して異常情報をセンタ装置に送信する判定部と、を備え、モード設定部は、警備モードが設定されたときに、監視フラグがONに設定されなかったセンサの情報を、通信部を介してセンタ装置に送信することを特徴とする。
【0010】
この態様においては、警備モードの設定のときに検知中のセンサが存在したとしても、未検知状態のセンサによる警備を開始し、検知中のセンサの情報をセンタ装置に送信する。これにより、監視できる場所のみの監視を開始して、監視ができない場所については監視センタに点検を依頼することが可能となり、利用者自身が点検する負担及び危険を軽減することができる。監視センタでは、受信したセンサ情報に基づいて、所定の対応処理を行うことが可能である。
【0011】
本発明の他の態様に係る警備装置は、さらに、センサの検知領域を撮像するカメラを備え、モード設定部は、警備モードが設定されたときに、監視フラグがONに設定されなかったセンサの検知領域の撮像画像をセンタ装置に送信することを特徴とする。この態様では、検知中のセンサの検知領域の撮像情報を、センタ装置に送信する。従って、監視センタでは、検知原因を撮像画像により確認し、小動物等による明らかな誤報要因の場合には、遠隔から警備を開始させることが可能となる。
【0012】
本発明の他の態様に係る警備装置は、記憶部は、予め特定したセンサを記憶しており、モード設定部は、警備設定信号を受信したときに、検知の状態にあるセンサが予め指定された特定センサである場合にのみ警備モードの設定を行い、特定センサ以外のセンサが検知した状態にある場合には、警備モードの設定を行わないことを特徴とする。この態様では、屋外、納屋等の危険な場所等に配置されたセンサを、特定センサとして予め指定しておき、モード設定のときに検知状態にあるセンサが、これらの特定のセンサである場合のみ、検知中のセンサを無視して警備モードに設定する。特定センサ以外のセンサが検知中の場合には、警備モードの設定が行われない。これにより、セキュリティ性を一定の水準に維持しながら、利用者の負担及び危険を軽減することが可能となる。
【0013】
本発明の他の態様に係る警備装置は、さらに、警備設定信号を受信したときに、検知した状態にあるセンサの設置場所を表示する表示部と、所定時間を計時する計時部を備え、操作部は、取消操作により取消信号を出力し、モード設定部は、表示部が検知した状態にあるセンサの設置場所を表示してから所定時間経過した後に警備モードに設定し、所定時間が経過するまでの間に操作部から取消信号を受信したときには警備モードに設定しないことを特徴とする。この態様は、表示部に検知中のセンサの位置を表示して、利用者にセンサ位置を確認させ、利用者が自ら確認する場合には所定の入力を行うことにより、警備モードの設定を中止し、所定時間放置したときには、警備モードに設定するものである。これにより、検知中のセンサを利用者が点検するか、監視センタに点検を依頼するかの選択が可能となる。また、所定の入力がない場合には、自動的に警備モードの設定を行うので、操作ミス等により警備モードの設定がされない状態で監視対象が無人状態となることを防止可能である。
【0014】
本発明の他の態様に係る警備装置は、さらに、警備設定信号を受信したときに、検知状態のセンサの設置場所を表示する表示部を備え、操作部は、確認操作により確認信号、取消操作により取消信号を出力し、モード設定部は、表示部が検知状態のセンサの設置場所を表示した後に、操作部から確認信号を受信したときに警備状態を警備モードに設定し、操作部から取消信号を受信したときには警備モードの設定を行わないことを特徴とする。この態様は、検知中のセンサの位置を表示部に表示して利用者に検知中のセンサを知らせる。利用者は、警備モードの設定を行う確認操作と、警備モードの設定を中止する取消操作を選択することができる。
本発明の他の態様に係る警備装置は、モード設定部が、通信部を介してセンタ装置より警備設定信号を受信することを特徴とする。警備装置は、センタ装置からの警備設定信号に基づいて、警備モードの設定動作を行う。これにより、センタ装置から遠隔操作により、警備モードに設定することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、警備モードの設定操作をするときにセンサが検知中であっても、警備モードに設定し、検知中のセンサの情報を監視センタに送信する。これにより、利用者は検知中のセンサがあっても、検知箇所を点検することなく、警備モードに設定することができる。したがって、急ぎの場合でもそのまま外出することができ、また点検時の危険を回避することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の警備装置は、警備モードの設定操作を行ったときに、検知状態のセンサがあった場合であっても、未検知のセンサのみにより警備を開始する警備モードを設定し、検知中のセンサの存在を監視センタに通報して、点検その他の処理を依頼するものである。特に、検知中のセンサが、予め登録された特定の防犯センサである場合に限り、警備モードの設定を許容して、検知中の防犯センサの存在及び点検依頼を監視センタに通報するような構成が望ましい。
【0017】
以下、本発明の警備装置を用いた警備システムを、図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる警備システム1の概略構成図である。警備システム1は、監視対象に設けられた警備装置10と、監視対象から遠隔に配置された監視センタ30のセンタ装置31とが、公衆電話網やインターネット網などの通信網40に接続されている。警備装置10には、監視対象の屋内及び屋外に配置されて侵入者を検出する防犯センサS1〜S11と、当該防犯センサの一部または全部に対応する領域を撮影するカメラユニットC1〜C4とが接続されている。
【0018】
<センサ及びカメラユニットについて>
図2は監視対象領域における防犯センサS1〜S11及びカメラユニットC1〜C4の配置を示す監視対象の平面配置図である。監視対象領域は、建物70の内部(屋内)と、建物70の外である屋外(庭)に分かれている。防犯センサS1〜S11には、監視対象領域の建物内に設置される屋内設置のセンサS1〜S7と、庭などの監視対象領域の屋外に設置される屋外設置のセンサS8〜S11とがある。屋内設置のセンサS1〜S7としては、さらに、窓や扉が開いたことを検知するセンサS1〜S3や、室内の移動体を検知するセンサS4〜S7などがある。また、屋外設置のセンサS8〜S11としては、移動体を検知するセンサなどがある。防犯センサS1〜S11は、検知状態になると、警備装置20に検知信号を送信する。
【0019】
また、本実施形態では、屋外のセンサS8〜S11のそれぞれに対応して、カメラユニットC1〜C4が配置されている。従って、屋外センサS8〜S11が検知情況にあるときの映像を、カメラユニットC1〜C4からの画像データにより確認することができる。監視装置10には、その他、火災等の監視を行う防災センサも接続されることが多いが、本実施形態では本発明の説明を簡明にするために記載を省略している。また、本実施形態ではカメラユニットC1〜C4を屋外センサS8〜S11に対応させて配置しているが、カメラユニットの数及び配置は、自由に設定することができる。しかし、少なくとも後述する特定センサの検知領域を撮像することができるように配置することが望ましい。
【0020】
<監視センタについて>
監視センタ30は、警備会社が運営するセンタ装置31を備えた施設であり、管制員が監視対象を常時監視している。センタ装置31は、監視対象の情報すなわち、監視対象の名称、位置、警備装置の管理番号、利用者の氏名、住所、電話番号、過去の対処履歴などを記憶管理するデータベースを具備している。センタ装置31では、警備装置10から受信した信号に基づいて対処すべき監視対象の情報がディスプレイに表示され、利用者に対する確認処理や、監視対象への警備員の対象指示などの必要な措置をとる。また、センタ装置31から、警備装置10にモード設定信号を送信して警備装置10の警備状態を変更することも可能である。
【0021】
<警備装置について>
警備装置10は、監視対象内において監視対象を監視し、異常が発生したときに監視センタ30のセンタ装置31に通報する装置である。警備装置10は、制御部11と、これに接続される表示部12、操作部13、記憶部14、センサインタフェース(センサI/F)16、カメラインタフェース(カメラI/F)17、及び通信部18とを備えている。センサI/F16には防犯センサS1〜S11、防災センサ(図示せず)等が接続され、カメラI/F17にはカメラユニットC1〜C4が接続される。制御部11は、判定部21、モード設定部22、画像記憶制御部23、計時部24を備えている。これら制御部11に各部は、CPU、記憶部14等に記憶される制御プログラム、その他の論理回路により構成される。計時部は時計ユニット等を制御部11に接続するような構成にしてもよい。
【0022】
<センサI/F>
センサI/F16には、防犯センサ(以下、単に「センサ」と称する)S1〜11等が接続される。センサS1〜S11は、常時作動しており、移動体を検知した場合、窓又はドアが開いたことを検知した場合には検知信号を警備装置10に送信する。検知信号は、センサI/F16を介して、制御部11に入力されて、後述するような所定の処理が行われる。
【0023】
<カメラI/F>
カメラI/F17には、カメラユニットC1〜C4が接続される。カメラユニットも常時作動しており、撮像画像を警備装置10のカメラI/F17に常時送信している。カメラI/F17は、受信した撮像画像を制御部11に送信する。制御部11における撮像画像の処理については後述する。
【0024】
<表示部>
表示部12は、液晶ディスプレイ、表示灯、スピーカーなどを備えており、操作部の操作に必要な表示を行うとともに、異常検知の場合等に音声及び表示灯等により警報を発する。
【0025】
<操作部>
操作部13は、警備装置10の警備状態を設定するための操作パネル又はスイッチ等により構成される。所定キーまたは磁気カードを用いてこれらのモード設定操作を行うことができる。ICカード又はバイオメトリクス情報を読み取り照合することにより、権限者にのみ操作を許容するような構成とすることも可能である。表示部12の液晶モニタにタッチパネルを設けることにより、タッチパネルを操作部13とすることも可能である。操作部13から入力された設定情報は、モード設定信号として制御部11に出力される。
【0026】
モード設定信号には、警備装置10を警備モードに設定する警備設定信号と、警備解除モードに設定する警備解除信号とがある。警備モードは、防犯センサが異常を検知したときに警備装置10から監視センタ30に異常通報するモードであり、警備解除モードは、防犯センサが異常を検知しても監視センタ30に異常通報しない動作モードである。例えば、利用者が外出により監視対象が無人となる場合に、操作部13を操作して警備モードに設定し、帰宅したときに操作部13を操作して、警備解除モードに設定する。
【0027】
<制御部>
制御部11は、上述の通り、操作部13または監視センタ30からのモード設定信号に応じて、警備装置10の警備状態を警備モード、または警備解除モードに遷移させる他、警備装置10全体の動作を制御する。
【0028】
モード設定部22は、操作部13等から受信したモード設定信号に応じて警備状態を変更する。例えば、各センサに対応する監視フラグを設けて、モード設定信号に応じて、各監視フラグをONまたはOFFすることにより、警備モード又は警備解除モードに設定することができる。その際、監視フラグを、センサにS1〜S11毎に設定又は解除可能にすることにより、個々のセンサS1〜S11毎に警備モード又は警備解除モードを設定することができるようにすることも可能である。例えば、警備設定信号を受信すると、モード設定部22は、各センサS1〜S11に対応する各監視フラグをそれぞれONにする。その際、予め定められた設定条件に合致するセンサの監視フラグのみを「ON」に設定することも可能である。
【0029】
判定部21は、監視フラグがONになっているセンサS1〜S11から検知信号を受信すると異常発生と判定し、通信部18を介して、監視センタ30のセンタ装置31に異常発生を通報する。同時に警備装置10から音声、光等により警報を発生してもよい。すなわち、監視フラグがONとなった防犯センサS1〜S11が、異常を検知したときには、警報が発令され、異常状態の発生に関する情報が通信部18を介して監視センタ30のセンタ装置31に送信される。通信部18は、遠隔のセンタ装置31との通信インタフェースであり、通信網40としての公衆回線網またはインターネット網を介して、センタ装置31に接続される。
【0030】
画像記憶制御部23は、カメラI/F17を介してカメラユニットC1〜C4の撮像画像を所定のフレーム数だけ記憶部14にバッファする。カメラユニットC1〜C4から送られてきた画像は、各カメラユニット毎に最も古い画像を新しく受信した画像で上書きして置き換えて記憶され、最新の画像が所定のフレーム数だけ確実に保持される。例えば、1秒間隔で画像を受信し、10フレームを保持する場合は、過去10秒間の撮像画像が保持されることになる。
【0031】
計時部24は、撮像画像の取得間隔、操作信号の受信待機時間の計測、その他の処理に必要な計時を行う。一般的には、制御部11内の発振器またはプログラム進行に要する時間を利用して計時を行うが、制御部11の外に計時装置を設けて(図示せず)、時間を測定するような構成とすることも可能である。
【0032】
<記憶部>
記憶部14は、RAM、ROM等の記憶装置により構成することが可能であり、上述のように撮像画像を記憶する他、制御部11の動作を制御する制御プログラム、センサテーブル、監視対象領域の図面情報、現在の警備状態等が記憶される。
【0033】
<センサテーブル>
記憶部14に記憶されるセンサテーブルについて、より詳しく説明する。図3にセンサテーブルの一例を示す。センサテーブルには、センサS1〜S11毎に、各センサを特定するセンサアドレス、設置場所、対応するカメラユニットC1〜C4の番号、監視フラグの状態、防犯センサの検知状態(検知/非検知)、特定フラグの状態等が記憶される。
【0034】
センサアドレスの欄には、識別コードが記載される。図3の例では、センサアドレスとして、識別コードS1〜S11を例示している。設置場所の欄には、センサが設置されている場所が記録される。識別コードと監視対象領域の配置図の情報とを関連付けておくことにより、各センサS1〜S11の位置を配置図と一緒に表示することが可能である。表示することが可能である。このように、配置図とセンサとを関連づけるための情報(リンク情報)を設置場所の欄に記憶しても良い。また、図3に示すように、設置場所を言語で記憶しておくことにより、言語情報により検知中のセンサの位置を表示部12に表示することができる。
【0035】
カメラユニットの欄には、センサに対応するカメラユニットの識別コードC1〜C4が記録される。これにより、検知中のセンサに対応するカメラユニットが特定され、センサの異常検知情報と対応する撮像画像情報とを自動的に関連づけて送信する等の処理が可能となり、監視センタ30等において、迅速、かつ正確な情報収集が可能となる。
【0036】
監視フラグの欄には、監視フラグの状態が記録される。原則として、警備モードに設定されると監視フラグが「ON」に設定され、警備解除モードでは監視フラグが「OFF」に設定される。後述するように、特別のセンサを指定する特定フラグの状態に応じて、例外的な設定を行うことも可能である。
【0037】
検知情況の欄には、センサの現在の検知状態を「検知」または「未検知」のいずれかで記録される。未検知とは、防犯センサが検知していない状態をいい、警備モードにおいては、原則として防犯センサは「未検知」の状態であり、検知状態になると判定部13が異常状態と判断する。警備解除モードでは、監視領域内において人が活動しているので、「検知」状態となることもあるが、警備装置10により「検知」状態は無視される。
【0038】
特定フラグの欄には、特定フラグの状態が記録される。特定フラグは、監視モード設定の際に、特別の取り扱いをするためのフラグである。すなわち、監視モード設定の際に、対応するセンサが検知中であっても特定フラグが「ON」であれば、監視フラグをONに設定しない。これにより、特定フラグが「ON」となっているセンサについては、警備装置10が警備モードに設定の際に検知中であっても、他のセンサの監視フラグをONに設定して、警備装置10が警備モードに設定される。例えば、屋外の移動体を検知するためのセンサ、ペット等の誤報の原因となるものが存在する部屋の移動体を検知するセンサ、普段立ち入ることが少ない納屋や倉庫の中に設置されたセンサなどの特定フラグを「ON」に設定しておくことが、望ましい。
【0039】
図3のセンサテーブルでは、図1及び図2の本実施形態に対応させて、屋外に設置されるセンサS8〜S11の特定フラグのみを「ON」に設定している。今、警備装置10は警備モードに設定されている。センサS10は検知状態であるが、特定フラグが「ON」となっているため、監視フラグが設定されておらず、検知状態であっても異常とはみなされない。
【0040】
<システム動作説明>
図4は、警備モードに設定する際の警備装置10およびセンタ装置31の動作を示す動作説明図である。操作部13の操作により警備モードの設定が行われると(B1)、警備モード設定信号がモード設定部22に入力されるB2)。モード設定部22は、センサの状態を確認し(B3)、検知中のセンサがなければ(B4;No)、全センサの監視フラグをONにして警備モードの設定を行い(B5)、警備モードの設定に伴う設定情報を監視センタ30のセンタ装置31に送信する(B6)。監視センタ30では、設定情報を受信することにより(B11)、センタ装置31や管制員が監視対象の監視を開始する。
【0041】
特定フラグがONのセンサが検知中の場合には(B4;Yes)、未検知のセンサの監視フラグのみをONにして(B7)、警備モードの設定情報と、検知中のセンサの情報を送信する(B8)。センタ装置31において、設定情報及び検知中のセンサの情報を受信すると(B12)、センタ装置31の表示部に検知中のセンサ情報が表示される(B13)。ここで、管制員が警備装置10から受信したカメラユニットによる撮像画像で検知中のセンサの状況に異常がないか確認し、センサの検知原因が例えば小動物等によるもので異常とは認められず、既に取り除かれていると判断したら、警備モードに設定するための警備設定信号を監視センタ30から送信し、警備モードの設定を試みる(B14)。撮像画像からセンサ検知原因が異常であると認められる場合、及び異常が認められないが監視センタから警備モードの設定ができない場合、または異常が発生している可能性があると判断された場合には、現場の警備員に対処指示を発令し(B15)、当該センサを含む監視対象領域の確認作業を行う。
【0042】
<警備モード/警備解除モード設定処理手順>
図5に、警備装置の警備モード又は警備解除モードの設定処理手順の一例を示すフローチャートを示す。以下、このフローチャートに沿って、警備モード及び警備解除モードの設定処理手順の一例を説明するにあたり、検知中のセンサが存在するかどうか、特定フラグが設定されているかどうかは、センサテーブルにより確認するものとし、監視フラグの「ON」又は「OFF」の設定はセンサテーブル上に記録されるものとする。
【0043】
利用者が外出するとき又は帰宅したとき等に、操作部13を操作することにより、操作部13からモード設定信号が入力される。入力されたモード設定信号が警備設定信号の場合(S101;Yes)、検知状態のセンサが存在するかどうかが確認される(S102)。検知中のセンサがなければ(S102;No)、すべてのセンサの監視フラグが「ON」にされて、警備モードが設定される(S103)。同時に監視センタ30のセンタ装置31に対して、警備モードに設定した旨の情報を送信する(S104)。警備装置10は、警備モードに設定されると、センサが侵入者等を検知したときに異常発生と判定して監視センタ30に異常信号を送信する。尚、警備モードが設定されたときに、利用者の外出経路に該当する場所のセンサについては、所定の遅延時間の後に監視を開始することで外出する利用者を異常として検出しないようにすることが好ましい。
【0044】
検知中のセンサが存在している場合には(S102;Yes)、そのセンサの特定フラグが「ON」であるかどうかを確認する(S105)。特定フラグが「ON」でなければ(S105;No)、警備モードに設定することなく、設定処理を終了する。尚、設定処理を終了する際に、検知中のセンサの位置等を表示して、利用者に点検を促すような構成とすることも可能である。
【0045】
当該検知中のセンサの特定フラグが「ON」である場合(S105;Yes)、当該センサの情報を表示部12に表示する(S106)と同時に計時を開始する(S107)。次に、操作部13から所定の取消操作による取消信号の入力がなければ(S108;No)、所定時間経過したかどうかを確認する(S109)。所定時間経過するまで(S109;No)、取消信号の入力を確認する(S108、S109)。取消信号を受信すると(S108:Yes)、警備モードの設定操作を中止する。取消信号の入力が所定時間内になければ(S109;Yes)、特定フラグがONで検知状態のセンサの監視フラグを「OFF」に設定し、他の全センサの監視フラグを「ON」に設定して警備状態を警備モードに設定する(S110)。同時に監視センタ30のセンタ装置31に対して、警備モードに設定した旨の情報と、検知中のために監視フラグが「OFF」にされたセンサの情報を送信する(S111)。監視フラグが「OFF」にされたセンサの情報とは、センサの設置場所情報と当該センサに対応するカメラユニットの撮像画像情報などである。撮像画像には、センサが検知したときの撮像画像、及びその前後の所定のフレームの撮像画像を含むことが好ましい。以後、警備モードに設定された警備装置10は、監視フラグが「OFF」に設定されたセンサ以外のセンサが侵入者を検知すると、異常発生と判定して、監視センタ30に異常信号を送信する。尚、警備モードが設定されたとき、利用者の外出経路に該当する場所のセンサについては、所定の遅延時間の後に監視を開始することで外出する利用者を異常として検出しないようにすることが好ましい。
【0046】
監視センタ30では、監視フラグが「OFF」に設定されたセンサの情報を受信すると、受信した画像を参照して、監視フラグが「OFF」のセンサの状態を監視センタから確認するとともに、必要に応じて対処員に対して対処のための指示を行う。検知中のセンサの検知領域に検知原因がない場合など、検知原因がすでに取り除かれている場合であって、犯罪の可能性がないと判断した場合には、警備モードを設定する警備設定信号を警備装置10に送信して、再度警備モードの設定を行う。
【0047】
警備装置10においては、監視センタ30からの警備設定信号は通信部18を介して制御部11に入力され、警備モード設定処理を実行する。この際、検知中のセンサの検知原因が取り除かれており、すべてのセンサが未検知状態であれば、全監視フラグを「ON」にして警備モードの再設定を行う。
【0048】
入力された信号が警備設定信号でなかった場合(S101;No)、入力信号が警備解除信号かどうかを確認し、警備解除信号でない場合には(S112;No)、現在の警備モードのまま処理を終了する。入力信号が警備解除信号の場合には(S112;Yes)、全監視フラグを「OFF」にし(S113)、監視センタ30に警備解除モードの設定を通報する(S114)。
【0049】
尚、上述の動作説明では、ステップS106おいて、表示部12により検知状態のセンサの場所を表示した後に、所定時間以内に操作部13より取消操作による取消信号の入力がない場合には、警備モードに設定する例について説明した。しかし、これに限定されることなく、例えば、表示部12が検知状態にあるセンサの場所を表示した後に、操作部13から確認操作による確認信号の入力があると、警備状態を警備モードに設定し、操作部13から取消信号の入力があると警備モードに設定しないように構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施形態にかかる警備システム1の概略構成図である。
【図2】監視対象領域におけるセンサ及びカメラユニットの配置を示す監視対象の平面配置図である。
【図3】センサテーブルの一例を示す表である。
【図4】警備モードに設定する際の警備装置10およびセンタ装置31の動作を示す動作説明図である。
【図5】警備装置の警備モード又は警備解除モードの設定処理手順の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0051】
1 警備システム 10 警備装置
11 制御部 12 表示部
13 操作部 14 記憶部
16 センサインタフェース 17 カメラインタフェース
18 通信部 21 判定部
22 モード設定部 23 画像記録制御部
24 計時部 30 監視センタ
31 センタ装置 40 ネットワーク通信網
70 監視対象建物
S1〜S11 センサ C1〜C4 カメラユニット


【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象に設置されている複数のセンサからの検知信号に基づいて異常の有無を監視し、異常発生時には、ネットワークを介して遠隔のセンタ装置に異常情報を送信する警備装置であって、
前記センタ装置とデータ通信を行う通信部と、
所定の操作により警備設定信号、または警備解除信号を出力する操作部と、
前記センサ毎に監視フラグのONまたはOFF及び検知の状態または未検知の状態を記憶している記憶部と、
前記警備設定信号を受信したときに、未検知の状態にある前記センサに対応する前記監視フラグのみをONにして警備モードに設定し、警備解除信号を受信したときにON状態の前記監視フラグをすべてOFFにして警備解除モードに設定するモード設定部と、
前記監視モードが設定されているときに、前記監視フラグがONとなっている前記センサからの検知信号を受信すると異常発生と判定し、前記通信部を介して前記異常情報を前記センタ装置に送信する判定部と、
を備え、
前記モード設定部は、前記警備モードが設定されたときに、前記監視フラグがONに設定されなかった前記センサの情報を、前記通信部を介して前記センタ装置に送信することを特徴とする警備装置。
【請求項2】
さらに、前記センサの検知領域を撮像するカメラを備え、
前記モード設定部は、前記警備モードが設定されたときに、前記監視フラグがONに設定されなかった前記センサの検知領域の撮像画像を前記センタ装置に送信することを特徴とする請求項1に記載の警備装置。
【請求項3】
前記記憶部は、予め指定した特定のセンサを記憶しており、
前記モード設定部は、前記警備設定信号を受信したときに、検知の状態にある前記センサが前記予め指定された特定センサである場合にのみ前記警備モードの設定を行い、前記特定センサ以外のセンサが検知した状態にある場合には、前記警備モードの設定を行わないことを特徴とする請求項1又は2に記載の警備装置。
【請求項4】
さらに、前記警備設定信号を受信したときに、検知した状態にある前記センサの設置場所を表示する表示部と、
所定時間を計時する計時部とを備え、
前記操作部は、取消操作により取消信号を出力し、 前記モード設定部は、前記表示部が検知した状態にある前記センサの設置場所を表示してから所定時間経過した後に前記警備モードに設定し、前記所定時間が経過するまでの間に前記操作部から取消信号を受信したときには前記警備モードに設定しないことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の警備装置。
【請求項5】
さらに、前記警備設定信号を受信したときに、検知状態の前記センサの設置場所を表示する表示部を備え、
前記操作部は、確認操作により確認信号、取消操作により取消信号を出力し、
前記モード設定部は、前記表示部が検知状態の前記センサの設置場所を表示した後に、前記操作部から前記確認信号を受信したときに警備状態を前記警備モードに設定し、前記操作部から前記取消信号を受信したときには前記警備モードの設定を行わないことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の警備装置。
【請求項6】
前記モード設定部は、前記通信部を介して前記センタ装置より前記警備設定信号を受信することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の警備装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−185241(P2006−185241A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−378829(P2004−378829)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000108085)セコム株式会社 (596)
【Fターム(参考)】