説明

警告システム、車載装置、送信装置及び警告方法

【課題】合流地点で他の車両の接近を警告する警告システム、車載装置、送信装置及び警告方法を提供する。
【解決手段】車載装置20は、交差点AB間の距離L1、他の車両40の所定の加速度α、速度V1に基づいて、交差点Aの優先道路R1に対応する信号機30の灯色が青色になった時点で交差点Aを発進した他の車両40、…の先頭車両が交差点Bに到達するまでの時間T1を算出する。車載装置20は、自車位置及び交差点Bの位置情報に基づいて、自車位置から交差点Bまでの距離L2を求め、自車速度V2に基づいて、自車が交差点Bに到達するまでの到達時間T2を算出する。車載装置20は、時間差(T1−T2)が所定の閾値より小さい場合、警告を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路を走行する車両に対して警告する警告システム、該警告システムを構成する車載装置及び送信装置並びに警告方法に関する。
【背景技術】
【0002】
交通事故抑止又は円滑な交通のために、道路上を走行する車両に対して交通情報を提供するシステムが求められており、特に車両同士の衝突事故の防止、交差点の通過時又は道路への合流時における車両の事故を防止するシステムが提案されている。
【0003】
例えば、車両(移動体)同士の通信により他の車両から情報信号を受信し、自車とほぼ同時刻に前方の交差点に到達するか否かを判定して、未然に衝突を防止する移動体通信装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、優先道路と非優先道路とが交差する交差点の優先道路側に感知器を設置し、感知器で感知した車両の情報を、非優先道路を走行する車両に送信して、交差点における車両同士の出合い頭の衝突を防止する出合い頭衝突防止システムが提案されている(特許文献2参照)。
【0005】
また、路側機器のデータを無線で車載機へ送信し、車載機側で受信したデータを視覚化することで無線式道路標識、無線式信号機、無線式警告・広告板等が表示する内容と同一の内容を運転者に告知する交通データ表示・処理システムが提案されている(特許文献3参照)。
【0006】
さらに、信号機の情報を車載機で受信し、信号機の点灯状態及び変化タイミングを表示させる車両走行支援装置が提案されている(特許文献4参照)。
【特許文献1】特開2000−348299号公報
【特許文献2】特開2001−126198号公報
【特許文献3】特開2001−167384号公報
【特許文献4】特開2004−171459号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の装置にあっては、車車間通信を前提としているため、車両同士が通信できる通信機能を備える必要があり、一方の車両が通信機能を備えていても他方の車両に通信機能がない場合には所期の効果を期待することができず、実現のためには通信機能の装着率が十分高い必要があり、時間を要する。また、特許文献2のシステムにあっては、交差点毎に感知器を設置する必要があり、システムを構築するためには多大なコストが必要であるという問題があった。また、特許文献3のシステム及び特許文献4の装置にあっては、自車が走行している道路に対応する信号機等の情報を表示するのみであって、他の車両に関する情報は提供されず、他の車両との事故防止には不十分な面があった。
【0008】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、合流地点で他の車両の接近を警告する警告システム、該警告システムを構成する車載装置及び送信装置並びに警告方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明に係る警告システムは、信号機の信号情報を送信する送信装置と、該送信装置が送信した信号情報を受信する車載装置とを備え、該車載装置で受信した信号情報に基づいて警告する警告システムにおいて、前記車載装置は、前記信号情報に基づいて、前記信号機が設置された交差点を通過した他車が道路上の所定の地点に到達する第1時点を算出する第1算出手段と、前記地点に合流する道路を走行する自車が該地点に到達する第2時点を算出する第2算出手段と、算出した第1時点及び第2時点に基づいて、警告の要否を判定する判定手段と、該判定手段の判定結果に基づいて、所定の出力をする出力手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
第2発明に係る警告システムは、第1発明において、前記車載装置は、前記交差点及び地点に関する位置情報を記憶する記憶手段を備え、前記第1算出手段は、前記位置情報並びに所定の加速度及び速度の少なくとも1つに基づいて、第1時点を算出するように構成してあることを特徴とする。
【0011】
第3発明に係る警告システムは、第2発明において、前記信号情報は、前記他車が走行する道路に対する信号灯色が青色になるまでの時間に関する時間情報を含み、前記第1算出手段は、前記時間に基づいて第1時点を算出するように構成してあることを特徴とする。
【0012】
第4発明に係る警告システムは、第2発明において、前記車載装置は、前記信号情報に基づいて、前記他車が走行する道路に対する信号灯色が青色になるまでの時間を算出する時間算出手段を備え、前記第1算出手段は、前記時間算出手段が算出した時間に基づいて第1時点を算出するように構成してあることを特徴とする。
【0013】
第5発明に係る警告システムは、第1発明において、前記車載装置は、前記地点に関する位置情報を記憶する記憶手段と、自車位置を取得する取得手段と、自車の速度を検知する手段とを備え、前記第2算出手段は、前記位置情報、自車位置及び自車の速度に基づいて、第2時点を算出するように構成してあることを特徴とする。
【0014】
第6発明に係る警告システムは、第1発明乃至第5発明のいずれかにおいて、前記判定手段は、算出した第1時点と第2時点との時間差の絶対値が所定の閾値より小さいときに、警告を要すると判定するように構成してあることを特徴とする。
【0015】
第7発明に係る警告システムは、第1発明乃至第6発明のいずれかにおいて、前記送信装置は、前記交差点及び地点に関する位置情報を車載装置へ送信する送信手段を備えることを特徴とする。
【0016】
第8発明に係る警告システムは、第1発明乃至第7発明のいずれかにおいて、前記送信装置は、前記他車が走行する道路に対する信号灯色が赤色である場合に、前記信号情報を送信するように構成してあることを特徴とする。
【0017】
第9発明に係る車載装置は、信号機の信号情報を受信する車載装置において、前記信号情報に基づいて、所定の交差点を通過した他車が道路上の所定の地点に到達する第1時点を算出する第1算出手段と、前記地点に合流する道路を走行する自車が該地点に到達する第2時点を算出する第2算出手段と、算出した第1時点及び第2時点に基づいて、警告の要否を判定する判定手段と、該判定手段の判定結果に基づいて、所定の出力をする出力手段とを備えることを特徴とする。
【0018】
第10発明に係る送信装置は、信号機の信号情報を送信する送信装置において、所定の交差点に関する位置情報、及び該交差点を通過する車両が到達する道路上の所定の地点に関する位置情報を車載装置へ送信する送信手段を備えることを特徴とする。
【0019】
第11発明に係る警告方法は、信号機の信号情報を送信する送信装置が送信した信号情報を車載装置で受信し、受信した信号情報に基づいて警告する警告方法において、前記信号情報に基づいて、前記信号機が設置された交差点を通過した他車が道路上の所定の地点に到達する第1時点を算出し、前記地点に合流する道路を走行する自車が該地点に到達する第2時点を算出し、算出した第1時点及び第2時点に基づいて、警告の要否を判定し、判定結果に基づいて、所定の出力をすることを特徴とする。
【0020】
第1発明、第9発明及び第11発明にあっては、信号機が設置された交差点に交差する道路(例えば、優先道路)の所定の地点(例えば、交差点から離れた地点)で他の道路(例えば、非優先道路)と合流(合流には、文字通り、非優先道路が優先道路に合流する場合のみならず、非優先道路と優先道路とが交差する場合、非優先道路又は店舗若しくは駐車場からの進入道路が優先道路に進入するような場合も含まれる。)する場合において、車載装置を搭載した自車が、非優先道路を所定の地点に向かって走行するときに、車載装置は、送信装置が送信した信号機の信号情報(例えば、信号機の識別子、現在表示中の灯色、該灯色の表示残り時間、各灯色の表示時間など)を受信し、受信した信号情報に基づいて、信号機が設置された交差点を発進した他車が道路上の所定の地点に到達する第1時点を算出する。第1時点は、交差点及び所定の地点の位置情報(例えば、交差点及び所定の地点の絶対位置、あるいは距離など)、他車の所定の速度等を予め車載装置へ送信又は記憶させておくことにより算出することができる。車載装置は、自車が所定の地点に到達する第2時点を算出する。この場合、車載装置は、自車の位置情報、速度情報等を取得することにより第2時点を算出することができる。車載装置は、算出した第1時点及び第2時点に基づいて、警告の要否を判定し、判定結果に基づいて所定の出力をする。
【0021】
例えば、自車が優先道路と合流する所定の地点に向かって非優先道路を走行する場合、優先道路側の他の交差点に設置した信号機が赤色で停止していた他車が、信号機の灯色が青になって発進し、自車が所定の地点に到達後比較的短い時間経過時点に、他車が優先道路を走行して所定の地点に到達するときには、発進車群の前方には車両がないため、自車の運転者は、信号機が設置された交差点側から接近する車両がないと判断してしまい、優先道路を反対方向から接近する車両に気を取られて交差点側から接近する車両の確認を怠り、車両同士の衝突を起こす可能性が高かった。このような場合に、信号機が設置された交差点から接近する他車の接近を警告することができ、車両事故を未然に防止することができる。また、優先道路を走行する他車が自車よりも早い時点に所定の地点に到達する場合であっても、到達時点の時間差が小さいときには、算出する時点の誤差などを考慮して警告することが望ましい。これにより、合流地点での車両事故を未然に防止することができる。
【0022】
第2発明にあっては、車載装置は、交差点及び所定の地点に関する位置情報(例えば、交差点及び所定の地点の絶対位置、あるいは距離など)を記憶する。この場合、車載装置は、外部の装置から位置情報を受信して記憶することもでき、あるいは地図データベースなどに記憶された位置情報であってもよい。車載装置は、位置情報並びに所定の加速度及び速度の少なくとも1つに基づいて、第1時点を算出する。例えば、交差点と所定の地点との距離が比較的短い場合には、交差点を青信号で発進した他車が加速している間に所定の地点に到達する可能性があるため、このような場合には、所定の加速度に基づいて第1時点を算出する。また、交差点と所定の地点との距離が比較的長い場合には、交差点を青信号で発進した他車が所定の速度で走行する距離が長いと考えられるため、このような場合には、所定の速度に基づいて第1時点を算出する。また、交差点と所定の地点との距離が中程度である場合には、交差点を青信号で発進した他車が所定の加速度で加速し、所定の速度に達した後一定速度で走行して所定の地点に到達すると考えられるため、このような場合には、所定の速度及び加速度に基づいて第1時点を算出することができる。これにより、他車の所定の地点への到達時点を精度良く算出することができる。
【0023】
第3発明にあっては、信号情報は、他車が走行する道路に対する信号灯色が青色になるまでの時間に関する時間情報を含み、車載装置は、時間情報に基づいて第1時点を算出する。例えば、信号灯色が青色になるまでの時間をT0とした場合、車載装置は、他車が交差点を発進して所定の地点に到達する時間にT0を加算した時間を第1時点として算出する。これにより、他車の所定の地点への到達時点を精度良く算出することができる。
【0024】
第4発明にあっては、車載装置は、信号情報に基づいて、他車が走行する道路に対する信号灯色が青色になるまでの時間を算出する。例えば、現時点の信号機の灯色が赤色である場合、赤色の表示残り時間を青色になるまでの時間T0として算出する。車載装置は、他車が交差点を発進して所定の地点に到達する時間にT0を加算した時間を第1時点として算出する。これにより、他車の所定の地点への到達時点を精度良く算出することができる。
【0025】
第5発明にあっては、車載装置は、所定の地点に関する位置情報を記憶する。この場合、車載装置は、外部の装置から位置情報を受信して記憶することもでき、あるいは地図データベースなどに記憶された位置情報を使用してもよい。車載装置は、自車位置を取得し、自車の速度を検知し、位置情報、自車位置及び自車の速度に基づいて、第2時点を算出する。これにより、自車の所定の地点への到達時点を精度良く算出することができる。
【0026】
第6発明にあっては、車載装置は、算出した第1時点と第2時点との時間差の絶対値が所定の閾値より小さいときに、警告を要すると判定する。なお、所定の閾値は、例えば、他の車両の速度又は加速度等のばらつきを考慮して設定することができ、又は青信号で発進する際の運転者の動作反応遅れを考慮して設定することもできる。また、優先道路を走行する他車のギャップ時間(例えば、ある地点を一の他車が通過した後次の他車が到達するまでの時間)に基づいて設定することもできる。また、道路の状況に応じて適宜決定することができる。例えば、所定の地点で優先道路と非優先道路とが交差する場合、優先道路の道路幅に応じて設定することで、自車が余裕をもって優先道路を通過することができるかを判定することができる。これにより、衝突可能性の有無を精度良く判定することができる。
【0027】
第7発明及び第10発明にあっては、送信装置は、所定の交差点及び該交差点を通過する車両が到達する道路上の所定の地点に関する位置情報を車載装置へ送信する。これにより、車載装置で予め位置情報を記憶しておく必要がない。
【0028】
第8発明にあっては、送信装置は、他車が走行する道路に対する信号灯色が赤色である場合に、信号情報を送信する。これにより、送信装置の送信頻度を少なくすることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明にあっては、合流地点での車両事故を未然に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明を実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る警告システムの概要を示す模式図である。図1に示すように、交差点Aには信号機30、…が設置され、信号機30、…には信号制御機50が接続されている。交差点Aに交差する道路R1の交差点Aから離れた交差点B(所定の地点)で道路R1を優先道路として非優先道路R2が交差している。なお、非優先道路R2は、優先道路R1に交差する形態に限定されるものではなく、優先道路R1に合流する形態であってもよい。また、非優先道路R2に代えて、駐車場、店舗などから優先道路R1に進入する進入道路のような形態であってもよい。本実施の形態においては、合流とは、文字通り、非優先道路が優先道路に合流する場合のみならず、非優先道路と優先道路とが交差する場合、非優先道路又は店舗若しくは駐車場からの進入道路が優先道路に進入するような場合も含まれる。
【0031】
本発明に係る警告システムは、非優先道路R2を交差点Bに向かって走行する自車に搭載された車載装置20、各信号機30の信号情報を車載装置20へ送信する送信装置10などを備えている。本発明に係る警告システムは、交差点Aにおいて、信号待ちをしている他車40、40が、信号機30が青信号になって優先道路R1を交差点Bに向かって走行する場合に、非優先道路R2を交差点Bに向かって走行する自車と他車40とが衝突事故を起こさないように他車40の接近を警告するシステムである。これにより、車両事故を未然に防止するものである。
【0032】
図2は本発明に係る警告システムの構成を示すブロック図である。送信装置10は、車載装置20との通信機能を有する通信部11、送信装置10の動作を制御する制御部12、信号制御機50とのインタフェース機能を備えるインタフェース部13、信号情報を記憶する記憶部14などを備えている。記憶部14に記憶する信号情報は、インタフェース部13を通じて、信号制御機50から取得することができる。
【0033】
通信部11は、例えば、無線LANによる通信機能を備え、2.4GHz帯又は5GHz帯の周波数帯域を用いて車載装置20との間で双方向に通信することができる。なお、車載装置20との間の通信は、無線LANに限定されるものではなく、他の通信機能を用いるものでもよい。例えば、携帯電話、PHS、FM多重放送などを用いることもできる。
【0034】
記憶部14に記憶した信号情報には、例えば、交差点Aのいずれの信号機30に関する信号情報であるかを示す信号機識別ID、信号機識別ID毎に信号灯色の各表示時間(現示時間)、信号機30の1サイクル時間、任意の時刻を基準として何秒後に何色の信号灯色に切り替わるかを示す切替時間などの情報が含まれている。また、信号情報は、信号制御機50に記憶した各信号機30の表示計画に基づいて適宜更新される。
【0035】
制御部12は、通信部11を通じて、記憶部14に記憶した信号情報を、例えば、0.1秒、0.5秒経過の都度、送信する。なお、信号情報の送信頻度は、一例であって、限定されるものではなく、他の方法としては、信号機識別IDで識別される信号機30の灯色が赤色になった時点で、送信するようにして送信頻度を少なくすることもできる。
【0036】
車載装置20は、送信装置10との通信機能を有する通信部21、車載装置20の動作を制御する制御部22、GPS(Global Positioning System)機能を備える測位部23、地図データベース24、記憶部25、表示部26、操作部27、車両制御部とのインタフェース機能を備えるインタフェース部28などを備えている。
【0037】
通信部21は、送信装置10との間の通信機能を備え、送信装置10が送信した信号情報を受信し、受信した信号情報を制御部22へ出力する。制御部22は、取得した信号情報を一旦記憶部25に記憶する。
【0038】
測位部23は、GPS受信機、ジャイロセンサ等を備え、自車が非優先道路R2を走行する際に、自車位置を取得し、取得した自車位置を制御部22へ出力する。
【0039】
インタフェース部28は、車両制御部で検知した自車の速度を取得し、取得した自車の速度を制御部22へ出力する。
【0040】
制御部22は、測位部23から取得した自車位置及び地図データベース24の地図データなどに基づいて、自車が非優先道路R2を走行するとともに、前方に非優先道路R2に交差又は合流する優先道路(図1では、優先道路R1)があるか否かを判定し、前方に優先道路があると判定した場合、車両事故を防止するために、所定の警告処理を開始する。制御部22は、所定の警告処理に基づいて警告の要否を判定し、判定結果に基づいて、表示部26を通じて所定の出力をする。なお、警告処理の詳細は後述する。
【0041】
表示部26は、ヘッドアップディスプレイ又はカーナビゲーションシステム若しくは監視モニタなどの液晶表示パネル、スピーカ等を備え、運転者に対して、各種交通情報を表示するとともに、所定の出力をすることができる。例えば、自車が優先道路に進入又は合流する際に、優先道路を走行する他車が接近する場合、表示部26は、「他の車両が左方向から接近しています。」、「一旦停止してください。xx秒後に他の車両が通過します。」等の音声により警告、文字表示による警告、あるいは警告音による警告などを出力する。また、制御部22で自車が優先道路に安全に合流することができると判定した場合、「安全に合流することができます。」のように警告が必要でない旨を出力することもできる。
【0042】
操作部27は、各種操作パネルを備え、運転者と車載装置20とのユーザインタフェースとして機能する。例えば、操作部27は、運転者の操作により車載装置20の動作の開始又は停止の操作を受け付ける。
【0043】
次に本発明に係る警告システムの動作について説明する。図3は車載装置20の警告処理の手順を示すフローチャートである。制御部22は、測位部23から取得した自車位置及び地図データベース24の地図データに基づいて、自車が走行する道路(例えば、非優先道路)の進行方向前方に、合流する優先道路があるか否かを判定し(S11)、前方に優先道路がない場合(S11でNO)、ステップS11の処理を続け、進行方向前方に優先道路が現われるまで待機する。
【0044】
制御部22は、進行方向前方に優先道路がある場合(S11でYES)、送信装置10が送信した信号情報を受信したか否かを判定し(S12)、信号情報を受信していない場合(S12でNO)、ステップS12の処理を続け、信号情報を受信するまで待機する。なお、この場合、送信装置10は、例えば、0.1秒、0.5秒経過の都度、信号情報を送信することもでき、あるいは、所定の灯色(例えば、赤色)になった時点で送信することもできる。なお、自車が優先道路との合流点に到達しても信号情報を受信できない場合は、ステップS11の処理に戻るようにすることもできる。以下では、自車が優先道路との合流点に到達する前に信号情報を受信することができるものとして説明する。
【0045】
信号情報を受信した場合(S12でYES)、制御部22は、信号情報に含まれる信号機識別ID及び地図データベース24に基づいて、交差点A、Bの位置情報(例えば、緯度及び経度、所定の基準地点からの相対位置、あるいは、交差点AB間の距離L1など)を取得し(S13)、測位部23から自車位置を取得し、インタフェース部28を通じて自車速度V2を取得する(S14)。
【0046】
制御部22は、受信した信号情報に基づいて、交差点Aの優先道路R1に対応する信号機30が次に青色になるまでの時間T0を算出する(S15)。なお、予め信号情報に信号灯色が次に青色になるまでの時間T0を含めておくこともできる。
【0047】
制御部22は、交差点Aの優先道路R1に対応する信号機30の灯色が青色になった時点で交差点Aを発進した他の車両40、…の先頭車両が交差点Bに到達するまでの時間T1を算出する(S16)。
【0048】
この場合、制御部22は、取得した位置情報により求められる交差点AB間の距離L1、他の車両40、…の所定の加速度α、所定の速度V1に基づいて、他の車両40の到達時間T1を算出することができる。例えば、距離L1が比較的短い場合(例えば、L1が50m以内)、到達時間T1は、T1=T0+(T11)の2分の1乗−a、ここで、T11は、T11=2×L1/αで求めることができる。なお、aは他の車両の速度、加速度のばらつきを考慮した安全時間を示す定数であり、適宜設定可能である。交差点AB間の距離が比較的短い場合、他の車両40が加速中に交差点Bに到達してしまう可能性が高いため、上述の式で到達時間T1を算出することができる。
【0049】
また、距離L1が比較的長い場合(例えば、L1が500m以上)、到達時間T1は、T1=T0+L1/V1−aで求めることができる。交差点AB間の距離が比較的長い場合、他の車両40が交差点Bに到達するまでの間は所定の速度で走行するものとして簡略化して到達時間T1を算出することができる。
【0050】
また、距離L1が中程度である場合(例えば、L1が50m以上500m以内)、到達時間T1は、T1=T0+L1/V1+V1/(2×α)−aで求めることができる。この場合には、他の車両の速度、加速度を考慮して精度良く到達時間T1を算出することができる。なお、定数aに、他の車両40の運転者が、信号灯色が赤色から青色に変わって車両を発進させるまでの反応時間の遅れを加味することにより、後述する警告の要否の判定精度をさらに向上させることができる。
【0051】
制御部22は、取得した自車位置及び交差点Bの位置情報に基づいて、自車位置から交差点B(より具体的には、停止線位置)までの距離L2を求め、取得した自車速度V2に基づいて、自車が交差点Bに到達するまでの到達時間T2を算出する(S17)。自車の到達時間T2は、T2=L2/V2で算出することができる。
【0052】
制御部22は、到達時間差(T1−T2)の絶対値が所定の閾値より小さいか否かを判定する(S18)。到達時間差(T1−T2)の絶対値が所定の閾値より小さい場合(S18でYES)、制御部22は、警告を出力する(S19)。この場合、到達時間T1、T2に差があるため、交差点Bに到達して一旦停止した自車の運転者は、交差点Aで発進した車群の前方には他の車両がないため、交差点A側から接近する車両がないと判断するとともに、反対方向から接近する車両に気を取られてしまい、交差点A側から接近する他の車両に対する注意が疎かになり、車両同士の衝突を起こす可能性が高いため、警告を出力することにより、車両事故を防止することができる。
【0053】
制御部22は、処理終了の指示の有無を判定し(S20)、処理終了の指示がない場合(S20でNO)、ステップS11以降の処理を続ける。また、到達時間差(T1−T2)の絶対値が所定の閾値より小さくない場合(S18でNO)、制御部22は、ステップS20の処理を行う。
【0054】
到達時間差(T1−T2)の絶対値の大小を判定する閾値は、適宜決定することができる。例えば、他の車両の速度又は加速度等のばらつきを考慮して設定することができ、又は青信号で発進する際の運転者の動作反応遅れを考慮して設定することもできる。また、優先道路を走行する他車のギャップ時間(例えば、ある地点を一の他車が通過した後次の他車が到達するまでの時間)に基づいて設定することもできる。また、道路の状況に応じて適宜決定することができる。例えば、所定の地点で優先道路と非優先道路とが交差する場合、優先道路の道路幅に応じて設定することで、自車が余裕をもって優先道路を通過することができるかを判定することができる。これにより、衝突可能性の有無を精度良く判定することができる。
【0055】
上述の図1の例では、非優先道路が優先道路と交差点Bにて合流(交差)する形態を示したが、合流の形態は、これに限定されるものではない。図4は本発明に係る警告システムの概要の他の例を示す模式図である。図4に示すように、駐車場又は店舗から道路(優先道路も含む)R1に進入する場合についても、本発明を適用することができる。この場合、道路上の所定の地点(合流点)に合流する道路は、駐車場から道路R1へのゲート、あるいは、駐車場の各駐車スペースから道路R1に至る通路である。
【0056】
図4で示す例の場合、交差点Aにおいて、信号待ちをしている他車40、40が、信号機30が青信号になって道路R1を合流点に向かって走行する場合に、駐車場又は店舗などから道路Rに通じるゲート又は通路を合流点に向かって走行する自車と他車40とが衝突事故を起こさないよう他車40の接近を警告することになる。
【0057】
以上説明したように、本発明にあっては、非優先道路又は駐車場若しくは店舗などからの進入道路が合流する優先道路側に新たに感知器などの設備を設置することなく、非優先道路又は進入道路を走行する自車に優先道路を走行してくる車両群の先頭の到達を警告することができ、非優先道路又は進入道路を走行する自車が優先道路との合流点で出合い頭の衝突事故を防止することができるとともに、優先道路を走行する車群が出合い頭衝突事故を避けるために急停止して車群内で追突事故を誘発する可能性を低減して車両事故を防止することができる。特に、信号機が青色に変わって発進する発進車群の先頭は、その前方に走行車両がないため、優先道路との合流点に先に到達した自車の運転者は、一旦停止して優先道路の車両を確認した際には、交差点側から接近車両がないと判断し、反対方向からの接近車両に気を取られて確認を怠る可能性が高いため、交差点での信号機の切り替わりによる発進車群の接近を警告することの効果は大きい。
【0058】
上述の実施の形態では、車載装置20で位置情報を取得する構成であったが、これに限定されるものではなく、送信装置10から車載装置20へ交差点A、Bの位置情報(例えば、緯度及び経度、所定の基準地点からの相対位置、あるいは、交差点AB間の距離L1など)を送信する構成とすることもできる。
【0059】
上述の実施の形態では、車両同士の衝突事故を防止する場合について説明したが、車載装置20の機能を備えた通信端末装置(例えば、携帯電話機)を歩行者が携帯するようにすれば、本発明は歩行者が車両と接触する事故を防止することもできる。
【0060】
開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明に係る警告システムの概要を示す模式図である。
【図2】本発明に係る警告システムの構成を示すブロック図である。
【図3】車載装置の警告処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明に係る警告システムの概要の他の例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0062】
10 送信装置
11 通信部
12 制御部
13 インタフェース部
14 記憶部
20 車載装置
21 通信部
22 制御部
23 測位部
24 地図データベース
25 記憶部
26 表示部
27 操作部
28 インタフェース部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号機の信号情報を送信する送信装置と、該送信装置が送信した信号情報を受信する車載装置とを備え、該車載装置で受信した信号情報に基づいて警告する警告システムにおいて、
前記車載装置は、
前記信号情報に基づいて、前記信号機が設置された交差点を通過した他車が道路上の所定の地点に到達する第1時点を算出する第1算出手段と、
前記地点に合流する道路を走行する自車が該地点に到達する第2時点を算出する第2算出手段と、
算出した第1時点及び第2時点に基づいて、警告の要否を判定する判定手段と、
該判定手段の判定結果に基づいて、所定の出力をする出力手段と
を備えることを特徴とする警告システム。
【請求項2】
前記車載装置は、
前記交差点及び地点に関する位置情報を記憶する記憶手段を備え、
前記第1算出手段は、
前記位置情報並びに所定の加速度及び速度の少なくとも1つに基づいて、第1時点を算出するように構成してあることを特徴とする請求項1に記載の警告システム。
【請求項3】
前記信号情報は、
前記他車が走行する道路に対する信号灯色が青色になるまでの時間に関する時間情報を含み、
前記第1算出手段は、
前記時間に基づいて第1時点を算出するように構成してあることを特徴とする請求項2に記載の警告システム。
【請求項4】
前記車載装置は、
前記信号情報に基づいて、前記他車が走行する道路に対する信号灯色が青色になるまでの時間を算出する時間算出手段を備え、
前記第1算出手段は、
前記時間算出手段が算出した時間に基づいて第1時点を算出するように構成してあることを特徴とする請求項2に記載の警告システム。
【請求項5】
前記車載装置は、
前記地点に関する位置情報を記憶する記憶手段と、
自車位置を取得する取得手段と、
自車の速度を検知する手段と
を備え、
前記第2算出手段は、
前記位置情報、自車位置及び自車の速度に基づいて、第2時点を算出するように構成してあることを特徴とする請求項1に記載の警告システム。
【請求項6】
前記判定手段は、
算出した第1時点と第2時点との時間差の絶対値が所定の閾値より小さいときに、警告を要すると判定するように構成してあることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の警告システム。
【請求項7】
前記送信装置は、
前記交差点及び地点に関する位置情報を車載装置へ送信する送信手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の警告システム。
【請求項8】
前記送信装置は、
前記他車が走行する道路に対する信号灯色が赤色である場合に、前記信号情報を送信するように構成してあることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の警告システム。
【請求項9】
信号機の信号情報を受信する車載装置において、
前記信号情報に基づいて、所定の交差点を通過した他車が道路上の所定の地点に到達する第1時点を算出する第1算出手段と、
前記地点に合流する道路を走行する自車が該地点に到達する第2時点を算出する第2算出手段と、
算出した第1時点及び第2時点に基づいて、警告の要否を判定する判定手段と、
該判定手段の判定結果に基づいて、所定の出力をする出力手段と
を備えることを特徴とする車載装置。
【請求項10】
信号機の信号情報を送信する送信装置において、
所定の交差点に関する位置情報、及び該交差点を通過する車両が到達する道路上の所定の地点に関する位置情報を車載装置へ送信する送信手段を備えることを特徴とする送信装置。
【請求項11】
信号機の信号情報を送信する送信装置が送信した信号情報を車載装置で受信し、受信した信号情報に基づいて警告する警告方法において、
前記信号情報に基づいて、前記信号機が設置された交差点を通過した他車が道路上の所定の地点に到達する第1時点を算出し、
前記地点に合流する道路を走行する自車が該地点に到達する第2時点を算出し、
算出した第1時点及び第2時点に基づいて、警告の要否を判定し、
判定結果に基づいて、所定の出力をすることを特徴とする警告方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−171201(P2008−171201A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−3770(P2007−3770)
【出願日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】