説明

警告装置、警告装置の制御方法およびプログラム

【課題】店員の不正行為を効果的に防止可能な警告装置、警告装置の制御方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】POS端末1による会計処理の開始を検出する処理開始検出部22と、POS端末1が設置されたレジカウンター周りにおける人物の有無を検出する人物検出部23と、処理開始検出部22による会計処理の開始検出時に、POS端末1を操作しているオペレーター以外の人物を、人物検出部23により検出できなかった場合、警告を行うオペレーター警告部25および管理者警告部82と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スーパーマーケット等の小売店やファミリーレストラン等の飲食店内において、店員による不正行為を検出するための警告装置、警告装置の制御方法およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、小売店や飲食店内において、店員による会計処理時の不正行為を検出するためのシステムとして、特許文献1が提案されている。当該特許文献1に記載のシステムは、POS(Point Of Sales)端末(POSターミナル)と、POS端末周辺を撮像するカメラと、フォトジャーナルレコーダーと、検索端末と、により構成されている。フォトジャーナルレコーダーとは、ジャーナルデーター(取引履歴データー)と、カメラにより撮像されたPOS端末周辺の画像データーと、店員によるPOS端末の操作履歴(操作履歴データー)と、を関連付けて記録するものである。そして、管理者が検索端末を用いて、時間やPOS端末の操作情報等の所定の検索条件を指定することにより、検索条件に一致するジャーナルデーターや画像データーをディスプレイに表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−115504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載のシステムでは、管理者が指定した検索条件に一致する記録データー(会計処理の内容およびその時の撮像画像)を一覧表示するのみであり、会計処理において不正行為が行われたか否かを検出するためには、逐一、管理者が記録データーを確認しなければならない。また、膨大な記録データーを確認する必要があるため、不正行為の検出漏れが発生するといった問題もある。このように、従来提案されているシステムでは、確実に不正行為を検出することができず、不正行為の防止策としての効果が低かった。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑み、店員の不正行為を効果的に防止可能な警告装置、警告装置の制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の警告装置は、会計処理部による会計処理の開始を検出する処理開始検出部と、会計処理部が設置されたレジカウンター周りにおける人物の有無を検出する人物検出部と、処理開始検出部による会計処理の開始検出時に、会計処理部を操作しているオペレーター以外の人物を、人物検出部により検出できなかった場合、警告を行う警告部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明の警告装置の制御方法は、会計処理部を内部または外部に備えた警告装置の制御方法であって、警告装置が、会計処理部による会計処理の開始を検出する処理開始検出ステップと、会計処理部が設置されたレジカウンター周りにおける人物の有無を検出する人物検出ステップと、会計処理の開始検出時に、会計処理部を操作しているオペレーター以外の人物を検出できなかった場合、警告を行う警告ステップと、を実行することを特徴とする。
【0008】
これらの構成によれば、会計処理の開始検出時において、レジカウンター周りにオペレーター以外の人物を検出できなかった場合、不正行為が行われる危険性があるものとして警告を行うため、店内に居る店員や管理者が、それを認識することができる。一般的に、オペレーターの不正行為は、レジカウンター周りに顧客やオペレーター以外の店員など、オペレーター以外の人物が居ないときに行われるため、そのような状況を検知して警告を行うことで、不正行為を効果的に防止することができる。
【0009】
上記に記載の警告装置において、人物検出部は、会計処理の対象となる対象顧客が、レジカウンター前に存在するか否かを検出し、警告部は、対象顧客の存在が検出できなかった場合、警告を行うことが好ましい。
【0010】
この構成によれば、通常、会計処理の対象となる対象顧客がレジカウンター前に存在しない状況は考えられないため、そのような状況を検知して警告を行うことができる。
なお、会計処理の種別によっては、対象顧客が存在しない状況も考えられるため、警告部は、会計処理の種別に応じて、対象顧客の有無に基づく警告を行うか否かを決定しても良い。
【0011】
上記に記載の警告装置において、人物検出部は、オペレーター以外の店員が、レジカウンター周りに存在するか否かを検出し、警告部は、オペレーター以外の店員が検出できなかった場合、警告を行うことが好ましい。
【0012】
この構成によれば、複数人体制でレジ処理を行う店舗などにおいて、オペレーター以外の店員がレジカウンター周りに存在しないことを条件として警告を行うことができる。また、例外処理時に、所定の権限を有する店員の取引許可を必要とする店舗などでは、例外処理時に限って、オペレーター以外の店員の有無に基づく警告を行っても良い。
【0013】
上記に記載の警告装置において、人物検出部は、店員が所持する無線通信媒体から、その識別番号を受信し、当該識別番号に基づいて、オペレーターであるか、オペレーター以外の店員であるかを判別することが好ましい。
【0014】
この構成によれば、店員が所持する無線通信媒体(無線ICが組み込まれた店員カードなど)と無線通信を行うことにより、無線通信媒体の識別番号を受信できるため、オペレーターに特別な行動(店員カードをカードリーダーに翳すなど)を強いることなく、オペレーター以外の店員がレジカウンター周りに存在するか否かを容易に検出することができる。
【0015】
上記に記載の警告装置において、処理開始検出部は、開始された会計処理の種別を判別し、警告部は、処理開始検出部により、開始された会計処理の種別が例外処理を示す所定の種別であると判別された場合のみ、警告を行うことが好ましい。
【0016】
この構成によれば、例外処理は、不正行為の手口として悪用されることが多いため、例外処理時に限って警告を行うことで、効率的にオペレーターの不正行為を検出することができる。
【0017】
上記に記載の警告装置において、警告部は、会計処理部を操作しているオペレーター以外の人物を、人物検出部により検出できなかった場合でも、例外処理が所定の条件を満たす場合は、警告を行わないことが好ましい。
【0018】
この構成によれば、レジカウンター周りにオペレーター以外の人物が存在しない場合でも、正常な例外処理が実行されることがあるため、正常な例外処理であると判定し得る条件を満たす場合、警告を行わないようにすることで、不要な警告を防止することができる。
【0019】
上記に記載の警告装置において、処理開始検出部は、開始された会計処理の取引金額を判別し、警告部は、処理開始検出部により、開始された会計処理の取引金額が所定額を超えると判別された場合のみ、警告を行うことが好ましい。
【0020】
この構成によれば、会計処理の取引金額が所定額を超える場合のみ警告を行うことで、店舗の甚大な被害を防止することができ、且つ効率的にオペレーターの不正行為を防止することができる。
【0021】
上記に記載の警告装置において、会計処理ごとに、そのトランザクションデーターと、人物検出部の検出結果と、オペレーターを特定する情報と、を関連付けた履歴データーを、データーベースに記録する履歴データー記録部をさらに備えたことが好ましい。
【0022】
この構成によれば、履歴データーを、不正行為の証拠データーとして用いることができる。また、不正行為が立証できなかった場合も、店員のオペレーション教育や顧客の行動分析などに利用することができる。
なお、オペレーターを特定する情報とは、会計処理部に登録されたオペレーターIDなどが考えられる。
【0023】
上記に記載の警告装置において、レジカウンター周りを撮像する撮像部をさらに備え、履歴データー記録部は、履歴データーの一部として、会計処理ごとに、処理開始検出部による検出時を基準とした前後所定時間分の撮像部の撮像結果を記録することが好ましい。
【0024】
この構成によれば、記録された撮像結果から、会計処理時におけるレジカウンター周りの状況を確認することができるため、不正行為が行われた場合の有用な証拠データーとすることができる。
【0025】
上記に記載の警告装置において、履歴データー記録部は、警告部により警告を行った会計処理についてのみ、履歴データーを記録することが好ましい。
【0026】
この構成によれば、不正行為の可能性がある会計処理についてのみ履歴データーを記録することで、データー量が無駄に増大することを防止でき、証拠データーの検索も容易となる。
【0027】
上記に記載の警告装置において、警告部は、予め定められた管理者に対し、電子メール、Webアプリケーションおよび電話のいずれか1以上の手段を用いて通知を行う管理者警告部を含むことが好ましい。
【0028】
この構成によれば、管理者の居場所に関わらず、不正行為が行われる危険性があることを確実に伝えることができる。
【0029】
本発明のプログラムは、コンピューターに、上記に記載の警告装置の制御方法における各ステップを実行させることを特徴とする。
【0030】
このプログラムを用いることにより、店員の不正行為を効果的に防止可能な警告装置の制御方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態に係る店舗監視システムのシステム構成図である。
【図2】店舗監視システムの機能ブロック図である。
【図3】記録用データーベースの記録内容を示す図である。
【図4】履歴データーの表示例を示す図である。
【図5】店舗監視システムの警告処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付の図面を参照し、本発明の警告装置、警告装置の制御方法およびプログラムについて説明する。なお、以下に示す各実施形態では、本発明の警告装置を、店舗監視システムに適用した場合について例示する。当該店舗監視システムは、スーパーマーケット等の小売店内において、店員(オペレーター)による不正行為を検出するべく構築されたものである。
【0033】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る店舗監視システムSYのシステム構成図である。同図に示すように、店舗監視システムSYは、会計処理を行うPOS端末1と、レシート(図示省略)を発行するレシートプリンター2と、商品に貼付または印刷されたバーコードを読み取るハンディスキャナー3と、店員カードC(無線通信媒体)を読み取るRFID(Radio Frequency Identification)読取装置4と、顧客の有無を検出する人感センサー5と、レジカウンター10周りを監視するレジ監視カメラ6と、店舗監視システムSYを統括する店舗管理サーバー8と、から成る。POS端末1とレシートプリンター2およびハンディスキャナー3、レシートプリンター2とRFID読取装置4および人感センサー5は、それぞれシリアルインターフェース(例えば、USB(Universal Serial Bus)インターフェース)により接続されている。また、POS端末1、レシートプリンター2、レジ監視カメラ6および店舗管理サーバー8は、店舗内LAN9(有線LANまたは無線LAN)により接続されている。
【0034】
一方、店舗管理サーバー8は、インターネット等のネットワークNTを介して携帯電話会社31と接続されている。また、図示の管理者用携帯電話32は、店舗において所定の権限を有する管理者(マネージャーや店長など)によって所持され、店舗管理サーバー8からの電子メールや電話を受けられるようになっている。
【0035】
なお、図1では、POS端末1が1台の場合を示しているが、店舗内に複数のレジカウンター10が設置されている場合、レジカウンター10ごとに、POS端末1等が設けられる。また、請求項における「警告装置」は、上記の構成要素のうち、レシートプリンター2、RFID読取装置4、人感センサー5、レジ監視カメラ6および店舗管理サーバー8から成る。
【0036】
POS端末1は、POSアプリケーション71を有し、オペレーターにより入力された商品情報に基づいて会計処理を行う。そして、会計処理の処理結果である会計情報(トランザクションデーター)や、種々の操作結果を、レシートプリンター2に出力する。また、ハンディスキャナー3は、商品コードなどが記録された商品バーコードを読み取り、その読取結果をPOS端末1に出力する。
【0037】
RFID読取装置4は、RFIDが組み込まれた店員カードCから店員ID(識別番号)を読み取る。なお、店舗内の店員は、当該店員カードCの所持が義務付けられている。また、人感センサー5は、赤外線を利用したセンサーであり、レジカウンター10前における顧客の有無を検出する。なお、赤外線に代えて、超音波や可視光を利用した人感センサーを用いても良い。
【0038】
レシートプリンター2は、POS端末1から出力された会計情報に基づいてレシートを発行すると共に、POS端末1で実行された会計処理の種別や取引金額を判別する。また、レシートプリンター2は、RFID読取装置4および人感センサー5の検出結果を取得し、レジカウンター10周りにオペレーター以外の人物が存在しないと判定した場合、警告を行う。これは、一般的にオペレーターの不正行為が、オペレーター以外の店員(以下、「他店員」と称する)や顧客が居ないときに行われるため、そのような状況を検知して警告を行うことで、不正行為を未然に防ぐためである。さらに、レシートプリンター2は、履歴データー保存のため、トランザクションデーターや、RFID読取装置4および人感センサー5の検出結果を、店舗管理サーバー8へ出力する。このように、レシートプリンター2を主幹として各種情報の入出力を行うことで(レシートプリンター2が、取得した各種情報をフィルタリングして必要な情報を出力することで)、POS基幹ネットワーク(POS端末1を主幹としたネットワーク)のトラフィックに影響を与えることがない。また、既存のPOSシステムに本発明を適用する際、POS基幹ネットワーク自体の変更が不要となる。
【0039】
レジ監視カメラ6は、レジカウンター10の天井などに設けられ、レジカウンター10内部(店員やPOS端末1の周囲など)、レジカウンター10上(会計処理の対象となる商品、現金のやり取りなど)、レジカウンター10前(顧客など)を撮像する。また、その撮像結果を、店舗管理サーバー8に出力する。
【0040】
店舗管理サーバー8は、レシートプリンター2において、警告の必要ありと判定された場合、管理者に対し、電子メールまたは電話を用いて通知を行う。また、店舗管理サーバー8は、レシートプリンター2から取得したトランザクションデーター等の情報と、レジ監視カメラ6から取得した撮像結果と、を履歴データーとして記録用データーベース83(データーベース)に記録する。当該履歴データーは、店舗管理サーバー8に備えられたディスプレイ84に表示したり(図4参照)、不図示の閲覧用PCからインタラクティブに確認したり、不正レポートとして印刷したりすることができる。なお、履歴データーは、日付、POS端末1、オペレーターおよび会計処理の種別ごとに分類して表示させることができ、店舗内における不正行為の証拠として用いられる。
【0041】
次に、図2を参照し、店舗監視システムSYの機能構成について説明する。POS端末1は、主な機能構成として、会計処理部11を有している。会計処理部11は、POSアプリケーション71を主要部とするものであり、精算処理や例外処理を含む会計処理を実行する。また、それらの処理結果を、会計情報としてレシートプリンター2に出力する。
【0042】
なお、本実施形態において、例外処理とは、不正行為に関連する可能性の高い所定の処理を指す。具体的には、商品の返品を行うための「返品処理」、会計処理後に当該会計処理の取り消し行うための「取消処理(ミスレジ処理)」、商品の値引きを行うための「値引処理」、商品の割引きを行うための「割引処理」、会計処理中において入力データーをキャンセルするための「中止処理」、および金銭の両替を行うための「両替処理」、POS端末1のキャッシュドロア内の金銭と売上を照合するための「点検処理」、出金または返金を行うための「出金/返金処理」、およびレシートを再発行するための「再発行処理」などを指す。これらの各処理は、会計処理の種別として区別される。
【0043】
RFID読取装置4は、主な機能構成として、店員検出部41を有している。店員検出部41は、店員カードCと近距離無線通信を行い、レジカウンター10周りに存在する店員カードCから、店員IDを受信する。人感センサー5は、主な機能構成として、顧客検出部51を有している。顧客検出部51は、レジカウンター10前における人物の有無を検出する。
【0044】
レジ監視カメラ6は、主な機能構成として、撮像部61を有している。撮像部61は、レジカウンター10周りの映像を常時撮像する。なお、その撮像結果は、店舗管理サーバー8内の不図示の映像メモリーに格納され、日付や時間を検索キーとして読み出し可能となっている。店舗管理サーバー8は、履歴データーを記録する際、当該映像メモリーに格納された映像データーの中から、必要な映像データーを抽出して、記録用データーベース83に記録する。
【0045】
レシートプリンター2は、主な機能構成として、会計情報取得部21、処理開始検出部22、人物検出部23、カード読取部24、オペレーター警告部25および印刷部26を有している。会計情報取得部21は、POS端末1(会計処理部11)から出力された会計情報を取得する。
【0046】
処理開始検出部22は、会計情報取得部21による会計情報の取得により、会計処理部11による会計処理の開始を検出する。また、処理開始検出部22は、会計情報に基づいて、開始された会計処理の種別と、その取引金額と、を判別する。なお、取引金額とは、返品処理時の返品金額、取消処理時の取消金額、値引処理時や割引処理時の値引・割引前金額または値引・割引後金額などを指す。
【0047】
人物検出部23は、店員検出部41および顧客検出部51の検出結果に基づいて、レジカウンター10周りにおけるオペレーター以外の人物の有無を検出する。また、カード読取部24は、店員カードCから店員IDを接触方式で読み取る。本実施形態では、各オペレーターが、レジ操作前に、自身の店員カードCを当該カード読取部24に読み取らせることを前提としている。これにより、人物検出部23は、店員検出部41が受信した店員IDが、オペレーターの店員IDであるか、他店員の店員IDであるかを判別することができ、ひいては他店員がレジカウンター10周りに存在するか否かを判別することができる。なお、POS端末1に、店員IDを登録できる構成の場合は、その店員IDと、店員検出部41が受信した店員IDとを照合しても良い。また、人物検出部23は、顧客検出部51により、人物「有」が検出された場合、レジカウンター10前に顧客が存在すると判定する。
【0048】
オペレーター警告部25は、人物検出部23により、レジカウンター10周りに、オペレーター以外の人物が存在しないと判定された場合(他店員および顧客が存在しないと判定された場合)、オペレーターおよび店舗内の他店員に対し、不正行為が行われる可能性があることを報知する。報知方法としては、オペレーターディスプレイ(図示省略)への表示、音声発生、LEDの点灯/点滅、バイブレーターによる振動などが考えられる。当該報知により、オペレーターの不正行為を未然に阻止することができる。また、不正行為ではなく、誤った操作により警告が行われた場合、オペレーターは、自分の操作に不備があることに気づくことができる。
【0049】
印刷部26は、会計情報取得部21が取得した会計情報をレシート用紙に印刷し、レシートを発行する。
【0050】
店舗管理サーバー8は、主な機能構成として、履歴データー記録部81および管理者警告部82を有している。履歴データー記録部81は、警告が行われた会計処理について、履歴データーを記録する。図3に示すように、履歴データーとしては、トランザクション番号、POS番号(POS端末1のID)、会計処理の種別、トランザクションデーター、オペレーターID(オペレーターを特定する情報)、人物検出部23の検出結果、撮像部61の撮像結果と、を記録する。会計処理の種別とは、処理開始検出部22により判別された種別である。また、オペレーターIDとは、カード読取部24により読み取った店員IDである。また、人物検出部23の検出結果とは、他店員と顧客の、それぞれの有無を示す情報である。また、撮像部61の撮像結果とは、処理開始検出部22による検出時を基準とした前後所定時間分の映像データーである。
【0051】
管理者警告部82は、人物検出部23により、レジカウンター10周りに、オペレーター以外の人物が存在しないと判定された場合、管理者に対して警告を行う。本実施形態では、管理者用携帯電話32に対して、電子メールを送信することにより、不正行為が行われた可能性がある旨を通知する。当該電子メールには、不正判定日時、トランザクション番号、POS番号、会計処理の種別、オペレーター名、などの情報が含まれる。
【0052】
なお、管理者に対する警告方法として、電子メールではなく、電話やWebアプリケーションを用いても良い。このように、電子メール、電話およびWebアプリケーションなどを用いることで、管理者の居場所に関わらず、不正行為が行われた可能性を確実に通知することができる。
【0053】
次に、図4を参照し、履歴データーの表示について説明する。同図は、日付ごとおよびPOS端末1ごとに分類された履歴データーが、店舗管理サーバー8のディスプレイ84上に表示された様子を示している。当該表示例では、検索キーとして指定された日付およびPOS番号に該当する履歴データーについて、会計処理ごとに、「会計処理日時」、「会計処理の種別」、「トランザクションデーター」、「オペレーター」、「店員検出」、「顧客検出」および「関連映像」が一覧表示される。「トランザクションデーター」欄において、プラスボタン91が選択されると、トランザクションデーターの中身を表示する。また、「オペレーター」欄には、オペレーターIDを表示し、「店員検出」欄および「顧客検出」欄には、それぞれ店員検出部41および顧客検出部51の検出結果を表示する。さらに、「関連映像」欄において、表示ボタン92が選択されると、映像画面(映像表示領域および再生操作領域を含む)を立ち上げ、当該映像画面にて、撮像部61の撮像結果を表示する。なお、検索キーの指定およびボタン91,92の選択などは、店舗管理サーバー8に備えられた不図示の操作部を用いて行われる。
【0054】
次に、図5のフローチャートを参照し、店舗監視システムSYの警告処理の流れについて説明する。店舗監視システムSYは、POS端末1において会計処理が開始されたことを検出すると(S11)、その会計処理の種別が例外処理を示すものであるか否かを判別する(S12)。会計処理の種別が例外処理を示すものである場合は(S12:Yes)、例外処理の取引金額が所定額を超えるか否かを判別する(S13)。例外処理の取引金額が所定額を超える場合は(S13:Yes)、会計処理の種別を判別する(S14)。なお、S11ないしS14は、処理開始検出部22により実行される工程である。
【0055】
続いて、店舗監視システムSYは、店員検出部41の検出結果に基づいて、レジカウンター10周りに他店員が存在するか否かを判別する(S15)。ここで、他店員が存在しない場合は(S15:No)、さらに顧客検出部51の検出結果に基づいて、レジカウンター10前に顧客が存在するか否かを判別する(S16)。なお、S15およびS16は、人物検出部23により実行される工程である。そして、顧客が存在しない場合は(S16:No)、オペレーター警告部25および管理者警告部82により警告を行い(S17)、履歴データー記録部81により、記録用データーベース83に履歴データーを記録する(S18)。また、S12:No、S13:No、S15:Yes、S16:Yesの場合は、警告を行うことなく、処理を終了する。
【0056】
以上説明したとおり、本実施形態に係る店舗監視システムSYによれば、会計処理の開始検出時において、レジカウンター10周りにオペレーター以外の人物を検出できなかった場合に警告を行うため、店内に居る店員や管理者が、不正行為が行われる危険性があることを認識することができる。これにより、不正行為を未然に防止することができる。また、レジカウンター10周りの人物の有無について、他店員と顧客の両方を検知するため、オペレーターが一人の状況を確実に検出することができる。
【0057】
また、本実施形態の店員検出部41は、オペレーターが所持する店員カードCと近距離無線通信を行うことにより店員IDを受信するため、オペレーターに特別な行動(店員カードCをカードリーダーに翳すなど)を強いることなく他店員がレジカウンター10周りに存在するか否かを容易に検出することができる。また、本実施形態の顧客検出部51は、人感センサー5を用いるため、低コスト且つ容易に、顧客の有無を検出することができる。
【0058】
また、本実施形態では、不正行為の手口として悪用されることが多い例外処理時に限って警告を行うため、信頼性の高い警告を行うことができる。また、取引金額が所定額を超える場合のみ警告を行うため、店舗の甚大な被害を効率的に防止することができる。
【0059】
また、本実施形態では、履歴データーを記録するため、これを不正行為の証拠データーとして用いることができる。また、不正行為が立証できなかった場合も、店員のオペレーション教育や顧客の行動分析などに利用することができる。また、履歴データーは、警告を行った会計処理(不正行為の可能性がある会計処理)のみを対象として記録するため、データー量が無駄に増大することを防止でき、証拠データーの検索も容易となる。
【0060】
なお、上記の実施形態において、人物検出部23は、カード読取部24が読み取った店員IDと、店員検出部41が受信した店員IDと、を照合することにより、他店員がレジカウンター10周りに存在するか否かを判別したが、店員検出部41が複数の店員IDを検出した場合、他店員がレジカウンター10周りに存在すると判定しても良い。また、指向性が異なる複数のRFID読取装置4を用いて、読み取った店員IDが、オペレーターのものであるか、他店員のものであるかを判定しても良い。
【0061】
また、上記の実施形態では、他店員と顧客の両方について、それぞれが存在するか否かを検出したが、いずれか一方のみ検出しても良い。また、検出対象を、例外処理の種別に応じて決定しても良い。例えば、返品処理および取消処理の場合は、他店員と顧客の両方を検出し、いずれか一方でも検出できない場合は警告を行う。また、値引処理や割引処理については、顧客のみを検出し、顧客が検出できない場合に警告を行う、などが考えられる。また、例外処理の種別と検出対象(他店員のみ、顧客のみ、他店員および顧客、のいずれか)との組み合わせを、レシートプリンター2や店舗管理サーバー8に備えられた操作部(図示省略)を用いて、ユーザーが設定可能としても良い。
【0062】
また、上記の実施形態では、例外処理であること、取引金額が所定額を超えること、他店員および顧客の両方が存在しないこと、を条件として警告を行ったが、いずれかの条件を省略しても良い。また、警告の対象となる条件または省略する条件を、ユーザーが設定可能としても良い。
【0063】
また、警告の対象となる条件として、例外処理が所定の条件を満たさないこと、を追加しても良い。言い換えれば、例外処理が所定の条件を満たす場合には警告を行わないようにしても良い。例えば、例外引処理には、店員など特定の人物のみを対象とする特定割引処理が含まれるが、特定割引処理時の対象顧客が特定の人物である場合には、他の条件を満たしている場合でも警告を行わない、などの処理が考えられる。なお、対象顧客が特定の人物であるか否かは、レジ監視カメラ6によりレジカウンター10前を撮像した撮像データーから顔検出を行い、その顔画像から顔特徴量を抽出し、予め用意しておいた特定の人物の顔特徴量と照合することによって判別可能である。この構成によれば、レジカウンター10周りにオペレーター以外の人物が存在しない場合でも、正常な例外処理が実行される場合が考えられるため、正常な例外処理であると判定し得る条件を満たす場合に警告を行わないようにすることで、不要な警告を防止することができる。
【0064】
また、上記の実施形態では、RFID読取装置4および人感センサー5の検出結果を、レシートプリンター2に出力する構成としたが、店舗内LAN9を介して、店舗管理サーバー8に出力する構成としても良い。この場合、店舗管理サーバー8内に、人物検出部23を備える構成となる。また、逆に、店舗管理サーバー8内の、履歴データー記録部81、管理者警告部82および記録用データーベース83を、レシートプリンター2内に備える構成としても良い。さらに、POS端末1内に、レシートプリンター2の印刷部26以外の構成要素、および店舗管理サーバー8内の構成要素を備える構成としても良い。
【0065】
また、上記の実施形態では、RFID読取装置4の検出結果に基づいて、他店員の有無を判別したが、レジ監視カメラ6の撮像結果から判別しても良い。同様に、顧客の有無についても、レジ監視カメラ6の撮像結果から判別しても良い。この場合、レジカウンター10内またはレジカウンター10前に向けられたレジ監視カメラ6撮像データーから、それぞれ人物の顔検出ができた場合、そこに人物が存在すると判別する。なお、オペレーターの顔特徴量を予め用意しておけば、レジカウンター10内に向けられたレジ監視カメラ6撮像データーから検出された人物が、オペレーターであるのか他店員であるのかを容易に判別することができる。
【0066】
また、上記の実施形態では、履歴データーにオペレーターIDを記録したが、その他、オペレーターを特定する情報として、トランザクションデーターに含まれるオペレーター情報、レジカウンター10内に向けられたレジ監視カメラ6の撮像結果から得られるオペレーターの顔特徴量、レジカウンター10内の音声取得結果から得られるオペレーターの声紋などを用いても良い。なお、オペレーターを特定する情報として声紋を用いる場合は、音声取得部(マイク)および音声認識部が必要となる。
【0067】
また、上記の実施形態において、管理者警告部82は、電子メール、電話およびWebアプリケーション等を用いて、警告を行うとしたが、オペレーター警告部25と同様に、ディスプレイ84への表示、音声発生、LEDの点灯/点滅、バイブレーターによる振動などを用いて警告を行っても良い。
【0068】
また、上記の実施形態に示したフローチャート(店舗監視システムSYの警告処理,図5参照)の各ステップをプログラムとして提供することが可能である。また、そのプログラムを各種記録媒体(CD−ROM、フラッシュメモリー等)に格納して提供することも可能である。すなわち、コンピューターを、店舗監視システムSYの各構成要素として機能させるためのプログラム、およびそれを記録した記録媒体も、本発明の権利範囲に含まれるものである。
【0069】
また、上記の各実施形態では、本発明の警告装置を、店舗内における不正防止のために用いたが、他の用途(店員の育成、管理)を目的としても良い。また、店舗管理サーバー8の各部を、POSシステムやWWWサーバーで実現しても良い。その他、上述した実施例によらず、店舗監視システムSYのシステム構成や処理工程等について、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0070】
1…POS端末 2…レシートプリンター 3…ハンディスキャナー 4…RFID読取装置 5…人感センサー 6…レジ監視カメラ 8…店舗管理サーバー 9…店舗内LAN 10…レジカウンター 22…処理開始検出部 23…人物検出部 24…カード読取部 25…オペレーター警告部 41…店員検出部 51…顧客検出部 61…撮像部 81…履歴データー記録部 82…管理者警告部 83…記録用データーベース C…店員カード NT…ネットワーク SY…店舗監視システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
会計処理部による会計処理の開始を検出する処理開始検出部と、
前記会計処理部が設置されたレジカウンター周りにおける人物の有無を検出する人物検出部と、
前記処理開始検出部による会計処理の開始検出時に、前記会計処理部を操作しているオペレーター以外の人物を、前記人物検出部により検出できなかった場合、警告を行う警告部と、を備えたことを特徴とする警告装置。
【請求項2】
前記人物検出部は、前記会計処理の対象となる対象顧客が、前記レジカウンター前に存在するか否かを検出し、
前記警告部は、前記対象顧客の存在が検出できなかった場合、警告を行うことを特徴とする請求項1に記載の警告装置。
【請求項3】
前記人物検出部は、前記オペレーター以外の店員が、前記レジカウンター周りに存在するか否かを検出し、
前記警告部は、前記オペレーター以外の店員が検出できなかった場合、警告を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の警告装置。
【請求項4】
前記人物検出部は、店員が所持する無線通信媒体から、その識別番号を受信し、当該識別番号に基づいて、前記オペレーターであるか、前記オペレーター以外の店員であるかを判別することを特徴とする請求項3に記載の警告装置。
【請求項5】
前記処理開始検出部は、開始された前記会計処理の種別を判別し、
前記警告部は、前記処理開始検出部により、開始された前記会計処理の種別が例外処理を示す所定の種別であると判別された場合のみ、警告を行うことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の警告装置。
【請求項6】
前記警告部は、前記会計処理部を操作しているオペレーター以外の人物を、前記人物検出部により検出できなかった場合でも、前記例外処理が所定の条件を満たす場合は、警告を行わないことを特徴とする請求項5に記載の警告装置。
【請求項7】
前記処理開始検出部は、開始された前記会計処理の取引金額を判別し、
前記警告部は、前記処理開始検出部により、開始された前記会計処理の取引金額が所定額を超えると判別された場合のみ、警告を行うことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の警告装置。
【請求項8】
前記会計処理ごとに、そのトランザクションデーターと、前記人物検出部の検出結果と、前記オペレーターを特定する情報と、を関連付けた履歴データーを、データーベースに記録する履歴データー記録部をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の警告装置。
【請求項9】
前記レジカウンター周りを撮像する撮像部をさらに備え、
前記履歴データー記録部は、前記履歴データーの一部として、前記会計処理ごとに、前記処理開始検出部による検出時を基準とした前後所定時間分の前記撮像部の撮像結果を記録することを特徴とする請求項8に記載の警告装置。
【請求項10】
前記履歴データー記録部は、前記警告部により警告を行った会計処理についてのみ、前記履歴データーを記録することを特徴とする請求項8または9に記載の警告装置。
【請求項11】
前記警告部は、予め定められた管理者に対し、電子メール、Webアプリケーションおよび電話のいずれか1以上の手段を用いて通知を行う管理者警告部を含むことを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の警告装置。
【請求項12】
会計処理部を内部または外部に備えた警告装置の制御方法であって、
前記警告装置が、
前記会計処理部による会計処理の開始を検出する処理開始検出ステップと、
前記会計処理部が設置されたレジカウンター周りにおける人物の有無を検出する人物検出ステップと、
前記会計処理の開始検出時に、前記会計処理部を操作しているオペレーター以外の人物を検出できなかった場合、警告を行う警告ステップと、を実行することを特徴とする警告装置の制御方法。
【請求項13】
コンピューターに、請求項12に記載の警告装置の制御方法における各ステップを実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−123527(P2011−123527A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−278154(P2009−278154)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】