警報器
【課題】警報停止操作を行っても連動元を容易に確認できるようにする。
【解決手段】他の住宅用警報器と連動する住宅用警報器において、連動元警報停止処理部66は、連動元警報音の出力中に、警報停止スイッチ20の操作を検出した場合には、報知部36に、連動元警報音の出力を停止させると共に、警報停止のイベント信号を他の警報器に送信させ、一方、連動元警報音の出力中に、他の警報器から警報停止のイベント信号を受信した場合には、報知部36に、連動元警報音の出力を停止させずに継続させる。これにより、警報動作を停止しても警報元の識別が容易になる。
【解決手段】他の住宅用警報器と連動する住宅用警報器において、連動元警報停止処理部66は、連動元警報音の出力中に、警報停止スイッチ20の操作を検出した場合には、報知部36に、連動元警報音の出力を停止させると共に、警報停止のイベント信号を他の警報器に送信させ、一方、連動元警報音の出力中に、他の警報器から警報停止のイベント信号を受信した場合には、報知部36に、連動元警報音の出力を停止させずに継続させる。これにより、警報動作を停止しても警報元の識別が容易になる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災などの異常を検出して警報すると共に他の警報器に信号を送信して警報を連動出力させる警報器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅における火災やガス漏れなどの異常を検出して警報する住宅用警報器(以下「住警器」という)が普及しており、近年にあっては、1つの住戸に複数の住警器を設置して部屋毎に火災などの異常を監視する傾向も増加している。
【0003】
このように住戸内に複数の住警器を設置した場合、異常が発生した部屋とは別の部屋に人がいた場合、警報音が聞こえず火災などの災害が広がる恐れがある。このため、住警器同士を有線接続し、ある住警器で火災を検出して警報した場合、他の住警器に信号を送って同時に警報させる連動警報ができるようにしている。
【0004】
しかしながら、住警器同士を有線接続することは、有線工事が必要なためにコストが高くなる問題がある。この問題は無線式の住警器とすることで解消可能である。しかも、最近における無線回路用ICの低消費電力化に伴い、他の住警器からの信号を受信可能とするために常時受信可能な動作状態としても、たとえば5年を超えるような、実用に耐える電池寿命が保証され、無線式住警器を実用化する環境が整いつつある。
【0005】
ところで、従来の有線式の住警器にあっては、複数の住警器を有線接続した場合、ある住警器で火災を検出した場合には、火災を検出した連動元の住警器と連動先の住警器とでは異なる警報音を出力している。例えば火災を検出した連動元の住警器は、「ウーウー火災警報器が作動しました 確認してください」との音声メッセージが連続して流れ、一方、連動先の住警器では「ウーウー別の火災警報器が作動しました 確認してください」という音声メッセージを連続して流すようにしている。
【0006】
一方、住警器には点検スイッチを兼ねた警報停止スイッチが設けられており、警報出力中に引き紐などによりスイッチを操作すると警報を停止するようにしている。有線接続により連動警報とした住警器の場合、火災を検出した連動元の住警器の警報停止スイッチを操作すると、全ての住警器の警報音が停止し、また連動先の住警器の警報停止スイッチを操作すると、その住警器の警報音のみが停止するようにしている。
【0007】
更に、連動元の住警器で警報停止した場合、例えば火災検出の対象となった煙が残っていると、所定時間後に再び全ての住警器で警報する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−094719号公報
【特許文献2】特開2006−351048号公報
【特許文献3】特開2009−157952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、このような従来の住警器による連動警報の停止にあっては、火災が発生した連動元の住警器の場所を警報音から確認する場合、連動元の住警器が分かるまで、部屋を回りながら警報音を出している住警器の警報音を停止させる操作が必要であり、連動元の住警器を特定するまでに手間と時間がかかる恐れがある。
【0010】
また連動警報が出た場合の対応として、とりあえず警報音は停止し、警報音に煩わされることなく火災発生場所を確認したい場合もあるが、その場合にも、警報停止に手間と時間がかかり、連動警報による大きな警報音の中で火災発生場所を確認せざるを得ないという問題もある。
【0011】
更に、従来は連動先の警報器で警報停止操作を行うと、先導元の警報器と連動元の警報器の警報音を停止しているが、警報音を停止した場合には連動元がわかりづらいという問題もある。
【0012】
本発明は、警報停止操作を行っても連動元を容易に確認できる無線式の住警器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、異常を検出した場合に、自身が連動元であることを示す連動元警報音の出力を行わせる共に、異常を示すイベント信号を他の警報器に送信させ、他の警報器から異常を示すイベント信号を受信した場合に、自身が連動先であることを示す連動先警報音の出力を行わせる警報器に於いて、
警報停止手段の操作を検出した場合に、連動元警報音と連動先警報音との停止形態を異ならせたことを特徴とする。
【0014】
また本発明は、異常を検出した場合に、自身が連動元であることを示す連動元警報音の出力を行わせる共に、異常を示すイベント信号を他の警報器に送信させ、他の警報器から異常を示すイベント信号を受信した場合に、自身が連動先であることを示す連動先警報音の出力を行わせる警報器に於いて、
連動元警報音の出力中に、他の警報器から警報停止のイベント信号を受信した場合には、連動元警報音の出力を停止せずに維持し、連動先警報音の出力中に、他の警報器から警報停止のイベント信号を受信した場合には連動先警報音の出力を停止させる手段を設けたことを特徴とする。
【0015】
さらに本発明は、
センサ部が異常を検出した場合に、報知部に、自身が連動元であることを示す連動元警報音の出力を行わせる共に、送受信回路部に、異常を示すイベント信号を他の警報器に送信させる連動元警報出力処理部と、
送受信回路部が他の警報器から異常を示すイベント信号を受信した場合に、報知部に、自身が連動先であることを示す連動先警報音の出力を行わせる連動先警報出力処理部と、
を備えた警報器に於いて、
警報停止手段を備えた操作部と、
連動元警報音の出力中に、警報停止手段の操作を検出した場合には、報知部に、連動元警報音の出力を停止させると共に、送受信回路部に、警報停止のイベント信号を他の警報器に送信させ、一方、連動元警報音の出力中に、送受信回路部が他の警報器から警報停止のイベント信号を受信した場合には、報知部に、連動元警報音の出力を停止させずに継続させる連動元警報停止処理部と、
連動先警報音の出力中に、警報停止手段の操作を検出した場合には、報知部に、連動先警報音の出力を停止させると共に、送受信回路部に、警報停止のイベント信号を他の警報器に送信させ、一方、連動先警報音の出力中に、送受信回路部が他の警報器から警報停止のイベント信号を受信した場合には、報知部に、連動先警報音の出力を停止させる連動先警報停止処理部と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、連動元警報音の出力中に、送受信回路部が他の警報器から警報停止のイベント信号を受信した場合には、報知部に、連動元警報音の出力を停止させずに継続させるようにしたため、これによって、別の部屋にいても連動元の警報音から火災発生場所を容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明による住警器の外観を示した説明図
【図2】住宅に対する住警器の設置状態を示した説明図
【図3】本発明による住警器の第1実施形態を示したブロック図
【図4】本実施形態で使用するイベント信号のフォーマットを示した説明図
【図5】第1実施形態による連動警報と警報停止を示したタイムチャート
【図6】第1実施形態による火災監視処理を示したフローチャート
【図7】本発明による住警器の第2実施形態を示したブロック図
【図8】第2実施形態による連動警報と警報停止を示したタイムチャート
【図9】第2実施形態による火災監視処理を示したフローチャート
【図10】本発明による住警器の第3実施形態を示したブロック図
【図11】第3実施形態による火災監視処理を示したフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は本発明による無線式の住警器の外観を示した説明図であり、図1(A)に正面図を、図1(B)に側面図を示している。
【0019】
図1において、本実施形態の住警器10はカバー12と本体14で構成されている。カバー12の中央には、周囲に煙流入口を開口した検煙部16が配置され、火災による煙が所定濃度に達したときに火災を検出するようにしている。
【0020】
カバー12に設けた検煙部16の左下側には音響穴18が設けられ、この背後にスピーカを内蔵し、警報音や音声メッセージを出力できるようにしている。検煙部16の下側には警報停止スイッチ20が設けられている。警報停止スイッチ20は点検スイッチとしての機能を兼ねている。
【0021】
警報停止スイッチ20の内部には、点線で示すようにLED22が配置されており、LED22が点灯すると、警報停止スイッチ20のスイッチカバーの部分を透過してLED22の点灯状態が外部から分かるようにしている。
【0022】
また本体14の裏側上部には取付フック15が設けられており、設置する部屋の壁にビスなどをねじ込み、このビスに取付フック15で取り付けることで、壁面に住警器10を設置することができる。
【0023】
なお図1の住警器10にあっては、検煙部16を備えた火災による煙を検出する住警器を例に取っているが、これ以外に火災による熱を検出するサーミスタを備えた住警器や、火災以外にガス漏れを検出する住警器についても、本発明の対象に含まれる。
【0024】
図2は住宅に対する本実施形態の住警器の設置状態を示した説明図である。図2の例にあっては、住宅24に設けられている台所、居間、主寝室、子供部屋のそれぞれに本実施形態の住警器10−1〜10−4が設置され、更に屋外に建てられたガレージ26にも住警器10−5を設置している。
【0025】
住警器10−1〜10−5のそれぞれは、イベント信号を相互に無線により送受信する機能を備えており、5台の住警器10−1〜10−5で1つのグループを構成して、この住宅全体の火災監視を行っている。
【0026】
いま住宅24の子供部屋で万一、火災が発生したとすると、住警器10−4が火災を検出して警報を開始する。この火災を検出して警報を開始することを、住警器における「発報」という。住警器10−4が発報すると、住警器10−4は連動元として機能し、連動先となる他の住警器10−1〜10−3,10−5に対し、火災発報を示すイベント信号を無線により送信する。他の住警器10−1〜10−3,10−5にあっては、連動元の住警器10−4からの火災発報を示すイベント信号を受信すると、連動先としての警報動作を行う。
【0027】
ここで連動元となった住警器10−4の警報音としては、例えば音声メッセージにより「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」を連続して出力する。一方、連動先の住警器10−1〜10−3,10−5にあっては、「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」といった音声メッセージを連続して出力する。
【0028】
住警器10−1〜10−5が警報音を出している状態で、図1に示した住警器に設けている警報停止スイッチ20を操作すると、警報音の停止処理が行われる。
【0029】
本実施形態にあっては、警報音の停止処理として次のいずれかの停止処理を行う。
【0030】
(1)住警器10−1〜10−5の内の任意の住警器の警報停止スイッチを押すと、連動元の住警器10−4のみが警報音を流し、連動先の住警器10−1〜10−3,10−5は警報音を停止する(第1実施形態)。
【0031】
(2)警報中の住警器10−1〜10−5の内の任意の住警器の警報停止スイッチを操作すると、連動先、連動元に関わらず、全ての住警器の警報音を停止する(第2実施形態)。
【0032】
(3)前記(1)の停止処理を第1モード、前記(2)の停止処理を第2モードとし、いずれか一方のモードを選択して停止処理を行う(第3実施形態)。
【0033】
図3は本発明による住警器の第1実施形態を示したブロック図である。図3は図2に示した5台の住警器10−1〜10−5につき、その内の住警器10−1について回路構成を詳細に示している。
【0034】
住警器10−1はCPU28を備え、CPU28に対してはアンテナ31を備えた無線回路部30、記録回路部32、センサ部34、報知部36、操作部38及び電池電源40を設けている。
【0035】
無線回路部30には送信回路42と受信回路44が設けられ、他の住警器10−2〜10−5との間でイベント信号を無線により送受信できるようにしている。無線回路部30としては、日本国内の場合には、例えば400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格として知られたSTD−30(小電力セキュリティシステムの無線局の無線設備の標準規格)またはSTD−T67(特定小電力無線局テレメータ用、テレコントロール用及びデータ伝送用無線設備の標準規格)に準拠した構成を備える。
【0036】
もちろん無線回路部30としては、日本国内以外の場所については、その地域の割当無線局の標準規格に準拠した内容を持つことになる。
【0037】
記録回路部32にはメモリ46が設けられている。メモリ46には住警器を特定するID(識別子)となる送信元符号50と、図2のように複数の住警器で連動警報を行うグループを構成するためのグループ符号52が格納されている。送信元符号50としては、国内に提供される住警器の数を予測し、例えば同一符号として重複しないように26ビットの符号コードが使用される。
【0038】
グループ符号52はグループを構成する複数の住警器に共通に設定される符号であり、無線回路部30で受信した他の住警器からのイベント信号に含まれるグループ符号がメモリ46に登録しているグループ符号52に一致したときに、このイベント信号を有効な信号として受信して処理することになる。
【0039】
なお本実施形態にあっては、記録回路部32にメモリ46を使用しているが、メモリ46の代わりにディップスイッチを設け、ディップスイッチにより送信元符号50やグループ符号52を設定するようにしてもよい。送信元符号50やグループ符号52の符号長(ビット数)が少ない場合には、ディップスイッチを用いた記録回路部32が望ましい。
【0040】
センサ部34には、本実施形態にあっては検煙部16が設けられている。センサ部34には検煙部16以外に、火災による温度を検出するサーミスタを設けてもよい。またガス漏れ監視用の住警器の場合には、センサ部34にガス漏れセンサが設けられることになる。
【0041】
報知部36にはスピーカ58とLED22が設けられている。スピーカ58は、図示しない音声合成回路部からの音声メッセージや警報音を出力する。LED22は点滅や明滅、点灯などにより、火災などの異常を表示する。
【0042】
操作部38には警報停止スイッチ20が設けられている。警報停止スイッチ20を操作すると、住警器10−1から流している警報音を停止することができる。警報停止スイッチ20は、本実施形態にあっては点検スイッチと兼用している。警報停止スイッチ20は、報知部36からスピーカ58により警報音を出力しているときに有効となる。一方、警報音を出力していない通常監視状態で警報停止スイッチ20は点検スイッチとして機能し、点検スイッチを押すと、報知部36から点検用の音声メッセージなどが出力される。
【0043】
電池電源40は、例えば所定セル数のアルカリ乾電池を使用しており、電池容量としては住警器10−1における無線回路部30を含む回路部全体の低消費電力化により、約10年の電池寿命を保証している。
【0044】
CPU28にはプログラムの実行により実現される機能として、連動元警報出力処理部60、連動先警報出力処理部62、連動元警報停止処理部64及び連動先警報停止処理部66が設けられている。
【0045】
連動元警報出力処理部60は、センサ部34に設けた検煙部16で火災を検出したときに、報知部36のスピーカ58から連動元を示す警報音例えば「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」を繰り返し出力させると共に、火災発報を示すイベント信号を無線回路部30の送信回路42によりアンテナ31から他の住警器10−2〜10−5に向けて送信させる。
【0046】
連動先警報出力処理部62は、他の住警器10−2〜10−5のいずれかから火災発報を示すイベント信号を無線回路部30の受信回路44により受信したときに、報知部36のスピーカ58から連動先を示す警報音例えば「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」となる音声メッセージを連続的に出力させる。
【0047】
ここで、連動元警報出力処理部60で火災発報を検出して連動元警報音を出すときには、報知部36のLED22を例えば明滅させる。一方、連動先警報出力処理部62で連動先警報音を出す場合には、報知部36のLED22を点滅させる。これによって、連動元警報と連動先警報におけるLED22の表示を区別できるようにしている。
【0048】
連動元警報停止処理部64は、連動元を示す警報音の出力中に操作部38に設けている警報停止スイッチ20の操作を検出したとき、スピーカ58から出力している連動元を示す警報音を停止させると共に、警報停止のイベント信号を無線回路部30の送信回路42から他の住警器10−2〜10−5に送信し、他の住警器10−2〜10−5における連動先の警報音を停止させる。
【0049】
連動先警報停止処理部66は、連動先を示す警報音の出力中に操作部38の警報停止スイッチ20の操作を検出したとき、スピーカ58から出力している連動先を示す警報音を停止させると共に、警報停止のイベント信号を無線回路部30の送信回路42から他の住警器10−2〜10−5に送信する。
【0050】
また連動先警報停止処理部66は、連動先を示す警報音の出力中に他の住警器10−2〜10−5から警報停止のイベント信号を無線回路部30の受信回路44により受信したときは、連動先を示す警報音を停止させる。このような住警器10−1に設けた回路部は他の住警器10−2〜10−5についても同様であり、メモリ46に格納している送信元符号50が各住警器固有の符号となっている。
【0051】
図4は本実施形態で使用するイベント信号のフォーマットを示した説明図である。図4において、イベント信号48は送信元符号50、グループ符号52及びイベント符号54で構成されている。送信元符号50は例えば26ビットの符号である。またグループ符号52は例えば8ビットの符号であり、同一グループを構成する例えば図3の5台の住警器10−1〜10−5につき同じグループ符号が設定されている。
【0052】
なおグループ符号52としては、同一グループの住警器に同一のグループ符号を設定する以外に、予め定めたグループを構成する住警器に共通な基準符号と、各住警器に固有な送信元符号との演算から求めた住警器ごとに異なるグループ符号であってもよい。
【0053】
イベント符号54は、火災、ガス漏れなどのイベント内容を表す符号であり、本実施形態にあっては2ビット符号を使用しており、例えば「01」で火災、「10」でガス漏れ、更に「11」で警報停止を示している。なおイベント符号54のビット数は、イベントの種類が増加したときには更に3ビット、4ビットと増加させることで、複数種類のイベント内容を表すことができる。
【0054】
図5は図3の第1実施形態による連動警報と警報停止を示したタイムチャートであり、図2に示したグループを構成する3台の住警器10−1〜10−3を例に取って処理を示している。
【0055】
図5において、いま、住警器10−1において火災が検出され、ステップS1で火災発報になったとすると、ステップS2で火災発報を示すイベント信号を通信可能エリアに設置している住警器10−2,10−3に対し無線送信する。
【0056】
住警器10−2,10−3にあっては、住警器10−1からのイベント信号を受信し、このイベント信号には図4に示したようにグループ符号52が含まれており、住警器10−2,10−3のメモリに指定しているグループ符号と例えば同じであることから、グループ符号の一致によりイベント信号を有効な信号として受信し、そのイベント符号54からステップS3,S4のそれぞれで火災発報を受信する。
【0057】
火災を検出してイベント信号を送信した住警器10−1は、ステップS5で連動元を示す警報音例えば「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」の音声メッセージを連続して出力する。一方、住警器10−2,10−3にあっては、ステップS6,S7のそれぞれで連動先を示す警報音例えば「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」となる音声メッセージを繰り返し出力する。
【0058】
このような住警器10−1〜10−3における連動元警報または連動先警報の出力中に、例えば連動先となる住警器10−2において警報停止スイッチ20の操作がステップS8で検出されたとすると、ステップS10で警報停止を示すイベント信号が他の住警器10−1,10−3に対し送信される。
【0059】
住警器10−3にあっては、イベント信号のグループ符号から有効信号であることを判別し、イベント内容から警報停止であることを認識し、ステップS11で警報停止を受信する。このため、住警器10−3にあっては、ステップS13で連動先を示す警報を停止する。
【0060】
一方、連動元の住警器10−1にあっては、イベント信号のグループ符号から有効信号であることを判別し、イベント内容から警報停止であることを認識し、ステップS9警報停止を受信する。しかしながら、ステップS9で警報停止を認識しても、ステップS5で行った連動元を示す警報は停止されず、継続的に連動元を示す警報音が出力されており、これによって住警器10−1〜10−3の内の連動元の住警器10−1の警報音のみが出力されており、火災発生場所が連動元を示す警報音から容易に判断できる。
【0061】
ここで、図5にあっては、警報停止操作を連動先の住警器10−2で行っているが、連動先の住警器10−3で行ったとしても、同様に連動元の住警器10−1のみの警報音の出力となる。
【0062】
このため、連動警報が出された住警器10−2,10−3の設置場所に人がいた場合、その場所に設置している住警器の警報停止スイッチを操作するだけで、連動先を示す警報であれば警報停止となり、別の部屋の住警器10−1による連動元を示す警報音のみが出力された状態となり、これによって、別の部屋にいても連動元の警報音から火災発生場所を容易に確認することができる。
【0063】
なお、連動元の住警器10−1の警報音を停止したい場合には、現場確認により火災でないことが分かった場合には、検煙部16の煙流入口から息を吹き込んで中に入っている煙を出せば、自動的に連動元の警報音は停止して監視状態に戻る。
【0064】
更に、ステップS8の警報停止操作により連動先の住警器10−3において警報音が停止したとしても、連動元の住警器10−1に煙が残って火災検出状態が続いている場合には、警報停止のイベント信号の送信から規格上定めた15分を超えない時間例えば14分を経過した時点で火災発報のイベント信号を送信することで、連動先の住警器10−2,10−3の連動先を示す警報を再度、出力させることになる。
【0065】
図6は図3の第1実施形態による火災監視処理を示したフローチャートであり、図3のCPU28のプログラムの実行による処理となる。
【0066】
図6において、火災監視処理は、ステップS14で初期化処理を行う。この初期化処理には、同じ住戸に設置されている例えば5台の住警器10−1〜10−5でグループを形成するためのグループ符号の設定などが含まれる。
【0067】
続いてステップS15で火災発報を監視しており、火災発報を判別すると、ステップS16に進み、火災発報を示すイベント信号を他の住警器に無線により送信する。続いてステップS17で連動元を示す警報を出力する。続いてステップS18で警報停止スイッチによる警報停止操作の有無を判別しており、警報停止操作を判別すると、ステップS19で警報停止を示すイベント信号を他の住警器に送信した後、ステップS20で連動元を示す警報を停止する。なお、ステップS18の判別中に他の住警器から警報停止のイベント信号を受信した場合は無視する。
【0068】
一方、ステップS15で火災発報でなかった場合には、ステップS21で火災発報を示すイベント信号の他の住警器からの受信の有無を判別している。他の住警器から火災発報を示すイベント信号の受信を判別すると、ステップS22に進み、連動先を示す警報を出力する。続いてステップS23で警報停止スイッチによる警報停止操作を判別すると、ステップS25で警報停止のイベント信号を他の住警器に送信した後、ステップS25で連動先を示す警報を停止する。
【0069】
一方、ステップS23で警報停止操作を判別しない場合には、ステップS26で他の住警器からの警報停止を示すイベント信号の受信の有無をチェックしており、警報停止を示すイベント信号の受信を判別すると、ステップS25で連動先を示す警報の停止を行うことになる。
【0070】
図7は本発明による住警器の第2実施形態を示したブロック図であり、この第2実施形態にあっては、連動警報の出力中に任意の住警器で警報停止操作が行われると、全ての警報出力を一斉に停止するようにしたことを特徴とする。
【0071】
図7において、回路構成を詳細に示した住警器10−1は基本的には図3の第1実施形態と同じであり、CPU28、無線回路部30、記録回路部32、センサ部40、報知部36、操作部38及び電池電源40を備えている。
【0072】
CPU28には、図3の第1実施形態と同じ機能として、連動元警報出力処理部60、連動先警報出力処理部62及び連動先警報停止処理部66が設けられ、更に第2実施形態に固有な機能として連動元警報停止処理部164が設けられている。
【0073】
第2実施形態に固有な連動元警報停止処理部164は、報知部36のスピーカ58から連動元を示す警報音の出力中に操作部38の警報停止スイッチ20の操作を検出したとき、連動元を示す警報音を停止させると共に、警報停止を示すイベント信号を他の住警器に送信する。また連動元警報停止処理部164は、連動元を示す警報音の出力中に他の住警器10−2〜10−5から警報停止を示すイベント信号を受信したときに、連動元を示す警報音を停止させる。
【0074】
これによって、複数の住警器10−1〜10−5で連動警報が行われたとき、住警器10−1〜10−5のいずれかにおいて警報停止スイッチ20による警報停止操作が行われると、連動元及び連動先のすべての警報出力を停止させることができる。
【0075】
更に連動元警報停止処理部164にあっては、火災検出に伴う連動元警報出力処理部60により報知部36のスピーカ58から連動元を示す警報音を出力させると同時に、LED22を明滅または点滅して連動元警報の警報表示を行っているが、警報停止スイッチ20の停止操作または他の住警器からの警報停止のイベント信号の受信でスピーカ58からの連動元を示す警報音を停止させた場合、LED22による連動元の警報表示については、警報表示を停止せずに残すようにし、これによって連動元を示す警報音が停止しても、LED22の表示から連動元であることが分かるようにしている。
【0076】
一方、連動先警報出力処理部60により、他の住警器からの火災発報を示すイベント信号の受信でスピーカ58から連動先を示す警報音を出力し、同時にLED22で連動先を示す警報表示を行った場合、連動先警報停止処理部66による停止処理については、スピーカ58からの警報音及びLED22の警報表示の両方も停止させている。
【0077】
したがって、警報停止操作ですべての住警器の警報音が停止しても、連動元の住警器におけるLED22の表示が残っているため、警報音を停止して、警報音に煩わされない状態で火災発生場所を確認し、そのときの住警器のLED22の表示から、連動元として動作したことを容易に確認できる。
【0078】
図8は図7の第2実施形態による連動警報と警報停止を示したタイムチャートであり、3台の住警器10−1〜10−3を例に取っている。
【0079】
図8において、いま、住警器10−1で火災検出が行われると、ステップS27で火災発報となり、ステップS288で火災発報を示すイベント信号を送信し、他の住警器10−2,10−3のステップS29,S30で火災発報の受信となる。
【0080】
このため連動元の住警器10−1は、ステップS31で連動元を示す警報音を出力し、連動先の住警器10−2,10−3にあっては、ステップS32,S33で連動先を示す警報音を出力することになる。
【0081】
続いて連動元の住警器10−1において、ステップS34で警報停止操作が行われると、ステップS35で警報停止を示すイベント信号を送信し、他の住警器10−2,10−3のステップS36,S37で警報停止の受信となる。
【0082】
このため連動元の住警器10−1は、ステップS38で連動元の警報音を停止し、また連動先の住警器10−2,10−3にあっては、ステップS39,S40で連動先の警報音を停止し、これによって、全ての住警器10−2,10−3で一斉に警報音が停止される。
【0083】
なお、ステップS38で警報音を停止した連動元の住警器10−1にあっては、前述したように、LED22による警報表示は残っているため、警報が停止した状態で火災発生場所を確認し、住警器10−1のLED表示を見ることで、連動元の火災感知器であることが容易に確認できる。
【0084】
図9は図7の第2実施形態による火災監視処理を示したフローチャートであり、CPU28の処理動作となる。
【0085】
図9において、ステップS41でグループ設定を含む初期化処理を行い、ステップS42で火災発報の有無を監視している。ステップS42で火災発報を判別すると、ステップS43で火災発報を示すイベント信号を送信する。続いてステップS44で連動元を示す警報音を出力する。次にステップS45で警報停止操作の有無を判別しており、警報停止操作があると、ステップS46に進み、警報停止を示すイベント信号を送信し、ステップS47で連動元の警報音を停止する。
【0086】
一方、ステップS45で警報停止操作の判別がない場合には、ステップS48で他の住警器からの警報停止のイベント信号の受信の有無を判別しており、イベント信号の受信を判別すると、ステップS47で同じく連動元の警報音を停止する。
【0087】
また、ステップS42で火災発報でない場合には、ステップS49で火災発報のイベント信号の受信の有無を判別しており、これを判別すると、ステップS50で連動先の警報音を出力する。
【0088】
続いてステップS51で警報停止操作を判別すると、ステップS52で警報停止のイベント信号を他の住警器に送信した後、ステップS53で連動先の警報音を停止する。ステップS51で警報停止操作がない場合には、ステップS54で他の住警器からの警報停止のイベント信号の受信の有無をチェックしており、これを受信すると、ステップS53で連動先の警報音を停止するようになる。
【0089】
図10は本発明による住警器の第3実施形態を示したブロック図であり、第3実施形態にあっては、図3の第1実施形態による警報停止と、図7の第2実施形態による警報停止を、モード切替えにより選択できるようにしたことを特徴とする。
【0090】
図10において、回路構成を詳細に示した住警器10−1に示すように、図3の第1実施形態と同様、住警器10−1にはCPU28、無線回路部30、記録回路部32、センサ部34、報知部36、操作部38及び電池電源40が設けられている。
【0091】
CPU28には図3の第1実施形態と同じ連動元警報出力処理部60及び連動先警報出力処理部62が設けられ、これに加えて第3実施形態固有な機能として、モード切替部70、連動元警報停止処理部264及び連動先警報停止処理部266が設けられている。
【0092】
モード切替部70は、警報停止モードを第1モードと第2モードのいずれか一方に切り替える。
【0093】
連動元警報停止処理部264は、第1モードの切替状態で連動元を示す警報音の出力中に警報停止スイッチ20の操作を検出したときは、警報停止を示すイベント信号を他の住警器10−2〜10−5に送信して警報音を停止させる。また連動元警報停止処理部264は、第2モードの切替状態で連動元を示す警報音の出力中に警報停止スイッチ20の操作を検出したときは、連動元を示す警報音を停止させると共に、警報停止を示すイベント信号を作成して、連動先の住警器10−2〜10−5に送信して警報音を停止させる。
【0094】
連動先警報停止処理部266は、第1モードまたは第2モードの切替状態のいずれについても同じ動作となる。即ち、第1モードまたは第2モードの切替状態で連動先を示す警報音の出力中に警報停止スイッチ20の操作を検出したときは、連動先を示す警報音を停止させると共に、警報停止を示すイベント信号を他の住警器10−2〜10−5に送信して警報音を停止させる。
【0095】
また連動先警報停止処理部266は、第1モードまたは第2モードの切替状態で連動先を示す警報音の出力中に他の住警器10−2〜10−5のいずれかから警報停止を示すイベント信号を受信したとき、連動先を示す警報音を停止させることになる。
【0096】
このような構成により、図10の第3実施形態にあっては、モード切替部70により第1モードを設定していると、図3に示した第1実施形態と同じ警報停止処理、即ち警報停止操作に対して連動元の住警器の警報音のみが出力される状態となる。一方、第2モードを選択した場合には、図7の第2実施形態の警報処理と同じ全ての住警器の警報音が一斉に停止し、連動元の住警器においてLEDの表示が残る処理となる。
【0097】
図11は図10の第3実施形態における火災監視処理を示したフローチャートである。図11において、ステップS55の初期化処理にあっては、図10のモード切替部70により警報処理のためのモードとして第1モードまたは第2モードのいずれかを選択する。
【0098】
続いてステップS56で監視中に火災発報を判別すると、ステップS57で火災発報を示すイベント信号を他の住警器に送信した後、ステップS58で連動元の警報音を出力する。続いてステップS59で警報停止操作を判別すると、ステップS60で警報停止を示すイベント信号を他の住警器に送信して警報音を停止させ、連動元の警報音を停止する。
【0099】
またステップS59で警報停止操作がない場合には、ステップS63で他の住警器からの警報停止を示すイベント信号の受信の有無を判別しており、このイベント信号を受信すると、ステップS61で警報停止が第1モードか第2モードかを判別し、第1モードであればステップS62の連動元の警報音の停止はスキップし、第2モードであった場合にはステップS62で連動元の警報音を停止することになる。
【0100】
一方、ステップS56で火災発報がない場合には、ステップS64に進み、他の住警器から火災発報のイベント信号を受信したか否か判別している。火災発報のイベント信号を受信すると、ステップS65に進み、連動先の警報音を出力する。続いてステップS66で警報停止操作を判別すると、ステップS67で警報停止のイベント信号を他の住警器に送信した後、ステップS68で連動先の警報音を停止する。
【0101】
一方、ステップS66で警報停止操作がない場合には、ステップS69で他の住警器からの警報停止のイベント信号の受信の有無をチェックしており、このイベント信号の受信を判別すると、ステップS68で連動先の警報音を停止することになる。連動元を示す警報音と連動先を示す警報音は、同一のものであっても良い。また警報は音によるものに限らず、光や各種の報知方法が適用できる。
【0102】
なお上記の実施形態は火災検出を対象とした住警器を例に取るものであったが、これ以外にガス漏れ警報器や、防犯用警報器など、それ以外の適宜の異常を検出する住警器につき、本実施形態の警報停止処理をそのまま適用することができる。また住宅用に限らずビルやオフィス用など各種用途の警報器にも適用できる。
【0103】
また、上記の実施形態は警報器にセンサ部と警報出力処理部を一体に設けた場合を例にとるが、他の実施形態として、センサ部と警報出力処理部を別体とした警報器であっても良い。
【0104】
また上記の実施形態は無線式の住警器を例に取るものであったが、警報停止処理については有線式の住警器であっても、そのまま適用することが可能である。
また本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0105】
10,10−1〜10−5:住警器
12:カバー
14:本体
15:取付フック
16:検煙部
18:音響孔
20:警報停止スイッチ
22:LED
24:住宅
26:ガレージ
28:CPU
31:アンテナ
30:無線回路部
32:記録回路部
34:センサ部
36:報知部
38:操作部
40:電池電源
42:送信回路
44:受信回路
46:メモリ
48:イベント信号
50:送信元符号
52:グループ符号
54:イベント符号
58:スピーカ
60:連動元警報出力処理部
62:連動先警報出力処理部
64,164,264:連動元警報停止処理部
66,266:連動先警報停止処理部
70:モード切替部
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災などの異常を検出して警報すると共に他の警報器に信号を送信して警報を連動出力させる警報器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅における火災やガス漏れなどの異常を検出して警報する住宅用警報器(以下「住警器」という)が普及しており、近年にあっては、1つの住戸に複数の住警器を設置して部屋毎に火災などの異常を監視する傾向も増加している。
【0003】
このように住戸内に複数の住警器を設置した場合、異常が発生した部屋とは別の部屋に人がいた場合、警報音が聞こえず火災などの災害が広がる恐れがある。このため、住警器同士を有線接続し、ある住警器で火災を検出して警報した場合、他の住警器に信号を送って同時に警報させる連動警報ができるようにしている。
【0004】
しかしながら、住警器同士を有線接続することは、有線工事が必要なためにコストが高くなる問題がある。この問題は無線式の住警器とすることで解消可能である。しかも、最近における無線回路用ICの低消費電力化に伴い、他の住警器からの信号を受信可能とするために常時受信可能な動作状態としても、たとえば5年を超えるような、実用に耐える電池寿命が保証され、無線式住警器を実用化する環境が整いつつある。
【0005】
ところで、従来の有線式の住警器にあっては、複数の住警器を有線接続した場合、ある住警器で火災を検出した場合には、火災を検出した連動元の住警器と連動先の住警器とでは異なる警報音を出力している。例えば火災を検出した連動元の住警器は、「ウーウー火災警報器が作動しました 確認してください」との音声メッセージが連続して流れ、一方、連動先の住警器では「ウーウー別の火災警報器が作動しました 確認してください」という音声メッセージを連続して流すようにしている。
【0006】
一方、住警器には点検スイッチを兼ねた警報停止スイッチが設けられており、警報出力中に引き紐などによりスイッチを操作すると警報を停止するようにしている。有線接続により連動警報とした住警器の場合、火災を検出した連動元の住警器の警報停止スイッチを操作すると、全ての住警器の警報音が停止し、また連動先の住警器の警報停止スイッチを操作すると、その住警器の警報音のみが停止するようにしている。
【0007】
更に、連動元の住警器で警報停止した場合、例えば火災検出の対象となった煙が残っていると、所定時間後に再び全ての住警器で警報する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−094719号公報
【特許文献2】特開2006−351048号公報
【特許文献3】特開2009−157952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、このような従来の住警器による連動警報の停止にあっては、火災が発生した連動元の住警器の場所を警報音から確認する場合、連動元の住警器が分かるまで、部屋を回りながら警報音を出している住警器の警報音を停止させる操作が必要であり、連動元の住警器を特定するまでに手間と時間がかかる恐れがある。
【0010】
また連動警報が出た場合の対応として、とりあえず警報音は停止し、警報音に煩わされることなく火災発生場所を確認したい場合もあるが、その場合にも、警報停止に手間と時間がかかり、連動警報による大きな警報音の中で火災発生場所を確認せざるを得ないという問題もある。
【0011】
更に、従来は連動先の警報器で警報停止操作を行うと、先導元の警報器と連動元の警報器の警報音を停止しているが、警報音を停止した場合には連動元がわかりづらいという問題もある。
【0012】
本発明は、警報停止操作を行っても連動元を容易に確認できる無線式の住警器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、異常を検出した場合に、自身が連動元であることを示す連動元警報音の出力を行わせる共に、異常を示すイベント信号を他の警報器に送信させ、他の警報器から異常を示すイベント信号を受信した場合に、自身が連動先であることを示す連動先警報音の出力を行わせる警報器に於いて、
警報停止手段の操作を検出した場合に、連動元警報音と連動先警報音との停止形態を異ならせたことを特徴とする。
【0014】
また本発明は、異常を検出した場合に、自身が連動元であることを示す連動元警報音の出力を行わせる共に、異常を示すイベント信号を他の警報器に送信させ、他の警報器から異常を示すイベント信号を受信した場合に、自身が連動先であることを示す連動先警報音の出力を行わせる警報器に於いて、
連動元警報音の出力中に、他の警報器から警報停止のイベント信号を受信した場合には、連動元警報音の出力を停止せずに維持し、連動先警報音の出力中に、他の警報器から警報停止のイベント信号を受信した場合には連動先警報音の出力を停止させる手段を設けたことを特徴とする。
【0015】
さらに本発明は、
センサ部が異常を検出した場合に、報知部に、自身が連動元であることを示す連動元警報音の出力を行わせる共に、送受信回路部に、異常を示すイベント信号を他の警報器に送信させる連動元警報出力処理部と、
送受信回路部が他の警報器から異常を示すイベント信号を受信した場合に、報知部に、自身が連動先であることを示す連動先警報音の出力を行わせる連動先警報出力処理部と、
を備えた警報器に於いて、
警報停止手段を備えた操作部と、
連動元警報音の出力中に、警報停止手段の操作を検出した場合には、報知部に、連動元警報音の出力を停止させると共に、送受信回路部に、警報停止のイベント信号を他の警報器に送信させ、一方、連動元警報音の出力中に、送受信回路部が他の警報器から警報停止のイベント信号を受信した場合には、報知部に、連動元警報音の出力を停止させずに継続させる連動元警報停止処理部と、
連動先警報音の出力中に、警報停止手段の操作を検出した場合には、報知部に、連動先警報音の出力を停止させると共に、送受信回路部に、警報停止のイベント信号を他の警報器に送信させ、一方、連動先警報音の出力中に、送受信回路部が他の警報器から警報停止のイベント信号を受信した場合には、報知部に、連動先警報音の出力を停止させる連動先警報停止処理部と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、連動元警報音の出力中に、送受信回路部が他の警報器から警報停止のイベント信号を受信した場合には、報知部に、連動元警報音の出力を停止させずに継続させるようにしたため、これによって、別の部屋にいても連動元の警報音から火災発生場所を容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明による住警器の外観を示した説明図
【図2】住宅に対する住警器の設置状態を示した説明図
【図3】本発明による住警器の第1実施形態を示したブロック図
【図4】本実施形態で使用するイベント信号のフォーマットを示した説明図
【図5】第1実施形態による連動警報と警報停止を示したタイムチャート
【図6】第1実施形態による火災監視処理を示したフローチャート
【図7】本発明による住警器の第2実施形態を示したブロック図
【図8】第2実施形態による連動警報と警報停止を示したタイムチャート
【図9】第2実施形態による火災監視処理を示したフローチャート
【図10】本発明による住警器の第3実施形態を示したブロック図
【図11】第3実施形態による火災監視処理を示したフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は本発明による無線式の住警器の外観を示した説明図であり、図1(A)に正面図を、図1(B)に側面図を示している。
【0019】
図1において、本実施形態の住警器10はカバー12と本体14で構成されている。カバー12の中央には、周囲に煙流入口を開口した検煙部16が配置され、火災による煙が所定濃度に達したときに火災を検出するようにしている。
【0020】
カバー12に設けた検煙部16の左下側には音響穴18が設けられ、この背後にスピーカを内蔵し、警報音や音声メッセージを出力できるようにしている。検煙部16の下側には警報停止スイッチ20が設けられている。警報停止スイッチ20は点検スイッチとしての機能を兼ねている。
【0021】
警報停止スイッチ20の内部には、点線で示すようにLED22が配置されており、LED22が点灯すると、警報停止スイッチ20のスイッチカバーの部分を透過してLED22の点灯状態が外部から分かるようにしている。
【0022】
また本体14の裏側上部には取付フック15が設けられており、設置する部屋の壁にビスなどをねじ込み、このビスに取付フック15で取り付けることで、壁面に住警器10を設置することができる。
【0023】
なお図1の住警器10にあっては、検煙部16を備えた火災による煙を検出する住警器を例に取っているが、これ以外に火災による熱を検出するサーミスタを備えた住警器や、火災以外にガス漏れを検出する住警器についても、本発明の対象に含まれる。
【0024】
図2は住宅に対する本実施形態の住警器の設置状態を示した説明図である。図2の例にあっては、住宅24に設けられている台所、居間、主寝室、子供部屋のそれぞれに本実施形態の住警器10−1〜10−4が設置され、更に屋外に建てられたガレージ26にも住警器10−5を設置している。
【0025】
住警器10−1〜10−5のそれぞれは、イベント信号を相互に無線により送受信する機能を備えており、5台の住警器10−1〜10−5で1つのグループを構成して、この住宅全体の火災監視を行っている。
【0026】
いま住宅24の子供部屋で万一、火災が発生したとすると、住警器10−4が火災を検出して警報を開始する。この火災を検出して警報を開始することを、住警器における「発報」という。住警器10−4が発報すると、住警器10−4は連動元として機能し、連動先となる他の住警器10−1〜10−3,10−5に対し、火災発報を示すイベント信号を無線により送信する。他の住警器10−1〜10−3,10−5にあっては、連動元の住警器10−4からの火災発報を示すイベント信号を受信すると、連動先としての警報動作を行う。
【0027】
ここで連動元となった住警器10−4の警報音としては、例えば音声メッセージにより「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」を連続して出力する。一方、連動先の住警器10−1〜10−3,10−5にあっては、「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」といった音声メッセージを連続して出力する。
【0028】
住警器10−1〜10−5が警報音を出している状態で、図1に示した住警器に設けている警報停止スイッチ20を操作すると、警報音の停止処理が行われる。
【0029】
本実施形態にあっては、警報音の停止処理として次のいずれかの停止処理を行う。
【0030】
(1)住警器10−1〜10−5の内の任意の住警器の警報停止スイッチを押すと、連動元の住警器10−4のみが警報音を流し、連動先の住警器10−1〜10−3,10−5は警報音を停止する(第1実施形態)。
【0031】
(2)警報中の住警器10−1〜10−5の内の任意の住警器の警報停止スイッチを操作すると、連動先、連動元に関わらず、全ての住警器の警報音を停止する(第2実施形態)。
【0032】
(3)前記(1)の停止処理を第1モード、前記(2)の停止処理を第2モードとし、いずれか一方のモードを選択して停止処理を行う(第3実施形態)。
【0033】
図3は本発明による住警器の第1実施形態を示したブロック図である。図3は図2に示した5台の住警器10−1〜10−5につき、その内の住警器10−1について回路構成を詳細に示している。
【0034】
住警器10−1はCPU28を備え、CPU28に対してはアンテナ31を備えた無線回路部30、記録回路部32、センサ部34、報知部36、操作部38及び電池電源40を設けている。
【0035】
無線回路部30には送信回路42と受信回路44が設けられ、他の住警器10−2〜10−5との間でイベント信号を無線により送受信できるようにしている。無線回路部30としては、日本国内の場合には、例えば400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格として知られたSTD−30(小電力セキュリティシステムの無線局の無線設備の標準規格)またはSTD−T67(特定小電力無線局テレメータ用、テレコントロール用及びデータ伝送用無線設備の標準規格)に準拠した構成を備える。
【0036】
もちろん無線回路部30としては、日本国内以外の場所については、その地域の割当無線局の標準規格に準拠した内容を持つことになる。
【0037】
記録回路部32にはメモリ46が設けられている。メモリ46には住警器を特定するID(識別子)となる送信元符号50と、図2のように複数の住警器で連動警報を行うグループを構成するためのグループ符号52が格納されている。送信元符号50としては、国内に提供される住警器の数を予測し、例えば同一符号として重複しないように26ビットの符号コードが使用される。
【0038】
グループ符号52はグループを構成する複数の住警器に共通に設定される符号であり、無線回路部30で受信した他の住警器からのイベント信号に含まれるグループ符号がメモリ46に登録しているグループ符号52に一致したときに、このイベント信号を有効な信号として受信して処理することになる。
【0039】
なお本実施形態にあっては、記録回路部32にメモリ46を使用しているが、メモリ46の代わりにディップスイッチを設け、ディップスイッチにより送信元符号50やグループ符号52を設定するようにしてもよい。送信元符号50やグループ符号52の符号長(ビット数)が少ない場合には、ディップスイッチを用いた記録回路部32が望ましい。
【0040】
センサ部34には、本実施形態にあっては検煙部16が設けられている。センサ部34には検煙部16以外に、火災による温度を検出するサーミスタを設けてもよい。またガス漏れ監視用の住警器の場合には、センサ部34にガス漏れセンサが設けられることになる。
【0041】
報知部36にはスピーカ58とLED22が設けられている。スピーカ58は、図示しない音声合成回路部からの音声メッセージや警報音を出力する。LED22は点滅や明滅、点灯などにより、火災などの異常を表示する。
【0042】
操作部38には警報停止スイッチ20が設けられている。警報停止スイッチ20を操作すると、住警器10−1から流している警報音を停止することができる。警報停止スイッチ20は、本実施形態にあっては点検スイッチと兼用している。警報停止スイッチ20は、報知部36からスピーカ58により警報音を出力しているときに有効となる。一方、警報音を出力していない通常監視状態で警報停止スイッチ20は点検スイッチとして機能し、点検スイッチを押すと、報知部36から点検用の音声メッセージなどが出力される。
【0043】
電池電源40は、例えば所定セル数のアルカリ乾電池を使用しており、電池容量としては住警器10−1における無線回路部30を含む回路部全体の低消費電力化により、約10年の電池寿命を保証している。
【0044】
CPU28にはプログラムの実行により実現される機能として、連動元警報出力処理部60、連動先警報出力処理部62、連動元警報停止処理部64及び連動先警報停止処理部66が設けられている。
【0045】
連動元警報出力処理部60は、センサ部34に設けた検煙部16で火災を検出したときに、報知部36のスピーカ58から連動元を示す警報音例えば「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」を繰り返し出力させると共に、火災発報を示すイベント信号を無線回路部30の送信回路42によりアンテナ31から他の住警器10−2〜10−5に向けて送信させる。
【0046】
連動先警報出力処理部62は、他の住警器10−2〜10−5のいずれかから火災発報を示すイベント信号を無線回路部30の受信回路44により受信したときに、報知部36のスピーカ58から連動先を示す警報音例えば「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」となる音声メッセージを連続的に出力させる。
【0047】
ここで、連動元警報出力処理部60で火災発報を検出して連動元警報音を出すときには、報知部36のLED22を例えば明滅させる。一方、連動先警報出力処理部62で連動先警報音を出す場合には、報知部36のLED22を点滅させる。これによって、連動元警報と連動先警報におけるLED22の表示を区別できるようにしている。
【0048】
連動元警報停止処理部64は、連動元を示す警報音の出力中に操作部38に設けている警報停止スイッチ20の操作を検出したとき、スピーカ58から出力している連動元を示す警報音を停止させると共に、警報停止のイベント信号を無線回路部30の送信回路42から他の住警器10−2〜10−5に送信し、他の住警器10−2〜10−5における連動先の警報音を停止させる。
【0049】
連動先警報停止処理部66は、連動先を示す警報音の出力中に操作部38の警報停止スイッチ20の操作を検出したとき、スピーカ58から出力している連動先を示す警報音を停止させると共に、警報停止のイベント信号を無線回路部30の送信回路42から他の住警器10−2〜10−5に送信する。
【0050】
また連動先警報停止処理部66は、連動先を示す警報音の出力中に他の住警器10−2〜10−5から警報停止のイベント信号を無線回路部30の受信回路44により受信したときは、連動先を示す警報音を停止させる。このような住警器10−1に設けた回路部は他の住警器10−2〜10−5についても同様であり、メモリ46に格納している送信元符号50が各住警器固有の符号となっている。
【0051】
図4は本実施形態で使用するイベント信号のフォーマットを示した説明図である。図4において、イベント信号48は送信元符号50、グループ符号52及びイベント符号54で構成されている。送信元符号50は例えば26ビットの符号である。またグループ符号52は例えば8ビットの符号であり、同一グループを構成する例えば図3の5台の住警器10−1〜10−5につき同じグループ符号が設定されている。
【0052】
なおグループ符号52としては、同一グループの住警器に同一のグループ符号を設定する以外に、予め定めたグループを構成する住警器に共通な基準符号と、各住警器に固有な送信元符号との演算から求めた住警器ごとに異なるグループ符号であってもよい。
【0053】
イベント符号54は、火災、ガス漏れなどのイベント内容を表す符号であり、本実施形態にあっては2ビット符号を使用しており、例えば「01」で火災、「10」でガス漏れ、更に「11」で警報停止を示している。なおイベント符号54のビット数は、イベントの種類が増加したときには更に3ビット、4ビットと増加させることで、複数種類のイベント内容を表すことができる。
【0054】
図5は図3の第1実施形態による連動警報と警報停止を示したタイムチャートであり、図2に示したグループを構成する3台の住警器10−1〜10−3を例に取って処理を示している。
【0055】
図5において、いま、住警器10−1において火災が検出され、ステップS1で火災発報になったとすると、ステップS2で火災発報を示すイベント信号を通信可能エリアに設置している住警器10−2,10−3に対し無線送信する。
【0056】
住警器10−2,10−3にあっては、住警器10−1からのイベント信号を受信し、このイベント信号には図4に示したようにグループ符号52が含まれており、住警器10−2,10−3のメモリに指定しているグループ符号と例えば同じであることから、グループ符号の一致によりイベント信号を有効な信号として受信し、そのイベント符号54からステップS3,S4のそれぞれで火災発報を受信する。
【0057】
火災を検出してイベント信号を送信した住警器10−1は、ステップS5で連動元を示す警報音例えば「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」の音声メッセージを連続して出力する。一方、住警器10−2,10−3にあっては、ステップS6,S7のそれぞれで連動先を示す警報音例えば「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」となる音声メッセージを繰り返し出力する。
【0058】
このような住警器10−1〜10−3における連動元警報または連動先警報の出力中に、例えば連動先となる住警器10−2において警報停止スイッチ20の操作がステップS8で検出されたとすると、ステップS10で警報停止を示すイベント信号が他の住警器10−1,10−3に対し送信される。
【0059】
住警器10−3にあっては、イベント信号のグループ符号から有効信号であることを判別し、イベント内容から警報停止であることを認識し、ステップS11で警報停止を受信する。このため、住警器10−3にあっては、ステップS13で連動先を示す警報を停止する。
【0060】
一方、連動元の住警器10−1にあっては、イベント信号のグループ符号から有効信号であることを判別し、イベント内容から警報停止であることを認識し、ステップS9警報停止を受信する。しかしながら、ステップS9で警報停止を認識しても、ステップS5で行った連動元を示す警報は停止されず、継続的に連動元を示す警報音が出力されており、これによって住警器10−1〜10−3の内の連動元の住警器10−1の警報音のみが出力されており、火災発生場所が連動元を示す警報音から容易に判断できる。
【0061】
ここで、図5にあっては、警報停止操作を連動先の住警器10−2で行っているが、連動先の住警器10−3で行ったとしても、同様に連動元の住警器10−1のみの警報音の出力となる。
【0062】
このため、連動警報が出された住警器10−2,10−3の設置場所に人がいた場合、その場所に設置している住警器の警報停止スイッチを操作するだけで、連動先を示す警報であれば警報停止となり、別の部屋の住警器10−1による連動元を示す警報音のみが出力された状態となり、これによって、別の部屋にいても連動元の警報音から火災発生場所を容易に確認することができる。
【0063】
なお、連動元の住警器10−1の警報音を停止したい場合には、現場確認により火災でないことが分かった場合には、検煙部16の煙流入口から息を吹き込んで中に入っている煙を出せば、自動的に連動元の警報音は停止して監視状態に戻る。
【0064】
更に、ステップS8の警報停止操作により連動先の住警器10−3において警報音が停止したとしても、連動元の住警器10−1に煙が残って火災検出状態が続いている場合には、警報停止のイベント信号の送信から規格上定めた15分を超えない時間例えば14分を経過した時点で火災発報のイベント信号を送信することで、連動先の住警器10−2,10−3の連動先を示す警報を再度、出力させることになる。
【0065】
図6は図3の第1実施形態による火災監視処理を示したフローチャートであり、図3のCPU28のプログラムの実行による処理となる。
【0066】
図6において、火災監視処理は、ステップS14で初期化処理を行う。この初期化処理には、同じ住戸に設置されている例えば5台の住警器10−1〜10−5でグループを形成するためのグループ符号の設定などが含まれる。
【0067】
続いてステップS15で火災発報を監視しており、火災発報を判別すると、ステップS16に進み、火災発報を示すイベント信号を他の住警器に無線により送信する。続いてステップS17で連動元を示す警報を出力する。続いてステップS18で警報停止スイッチによる警報停止操作の有無を判別しており、警報停止操作を判別すると、ステップS19で警報停止を示すイベント信号を他の住警器に送信した後、ステップS20で連動元を示す警報を停止する。なお、ステップS18の判別中に他の住警器から警報停止のイベント信号を受信した場合は無視する。
【0068】
一方、ステップS15で火災発報でなかった場合には、ステップS21で火災発報を示すイベント信号の他の住警器からの受信の有無を判別している。他の住警器から火災発報を示すイベント信号の受信を判別すると、ステップS22に進み、連動先を示す警報を出力する。続いてステップS23で警報停止スイッチによる警報停止操作を判別すると、ステップS25で警報停止のイベント信号を他の住警器に送信した後、ステップS25で連動先を示す警報を停止する。
【0069】
一方、ステップS23で警報停止操作を判別しない場合には、ステップS26で他の住警器からの警報停止を示すイベント信号の受信の有無をチェックしており、警報停止を示すイベント信号の受信を判別すると、ステップS25で連動先を示す警報の停止を行うことになる。
【0070】
図7は本発明による住警器の第2実施形態を示したブロック図であり、この第2実施形態にあっては、連動警報の出力中に任意の住警器で警報停止操作が行われると、全ての警報出力を一斉に停止するようにしたことを特徴とする。
【0071】
図7において、回路構成を詳細に示した住警器10−1は基本的には図3の第1実施形態と同じであり、CPU28、無線回路部30、記録回路部32、センサ部40、報知部36、操作部38及び電池電源40を備えている。
【0072】
CPU28には、図3の第1実施形態と同じ機能として、連動元警報出力処理部60、連動先警報出力処理部62及び連動先警報停止処理部66が設けられ、更に第2実施形態に固有な機能として連動元警報停止処理部164が設けられている。
【0073】
第2実施形態に固有な連動元警報停止処理部164は、報知部36のスピーカ58から連動元を示す警報音の出力中に操作部38の警報停止スイッチ20の操作を検出したとき、連動元を示す警報音を停止させると共に、警報停止を示すイベント信号を他の住警器に送信する。また連動元警報停止処理部164は、連動元を示す警報音の出力中に他の住警器10−2〜10−5から警報停止を示すイベント信号を受信したときに、連動元を示す警報音を停止させる。
【0074】
これによって、複数の住警器10−1〜10−5で連動警報が行われたとき、住警器10−1〜10−5のいずれかにおいて警報停止スイッチ20による警報停止操作が行われると、連動元及び連動先のすべての警報出力を停止させることができる。
【0075】
更に連動元警報停止処理部164にあっては、火災検出に伴う連動元警報出力処理部60により報知部36のスピーカ58から連動元を示す警報音を出力させると同時に、LED22を明滅または点滅して連動元警報の警報表示を行っているが、警報停止スイッチ20の停止操作または他の住警器からの警報停止のイベント信号の受信でスピーカ58からの連動元を示す警報音を停止させた場合、LED22による連動元の警報表示については、警報表示を停止せずに残すようにし、これによって連動元を示す警報音が停止しても、LED22の表示から連動元であることが分かるようにしている。
【0076】
一方、連動先警報出力処理部60により、他の住警器からの火災発報を示すイベント信号の受信でスピーカ58から連動先を示す警報音を出力し、同時にLED22で連動先を示す警報表示を行った場合、連動先警報停止処理部66による停止処理については、スピーカ58からの警報音及びLED22の警報表示の両方も停止させている。
【0077】
したがって、警報停止操作ですべての住警器の警報音が停止しても、連動元の住警器におけるLED22の表示が残っているため、警報音を停止して、警報音に煩わされない状態で火災発生場所を確認し、そのときの住警器のLED22の表示から、連動元として動作したことを容易に確認できる。
【0078】
図8は図7の第2実施形態による連動警報と警報停止を示したタイムチャートであり、3台の住警器10−1〜10−3を例に取っている。
【0079】
図8において、いま、住警器10−1で火災検出が行われると、ステップS27で火災発報となり、ステップS288で火災発報を示すイベント信号を送信し、他の住警器10−2,10−3のステップS29,S30で火災発報の受信となる。
【0080】
このため連動元の住警器10−1は、ステップS31で連動元を示す警報音を出力し、連動先の住警器10−2,10−3にあっては、ステップS32,S33で連動先を示す警報音を出力することになる。
【0081】
続いて連動元の住警器10−1において、ステップS34で警報停止操作が行われると、ステップS35で警報停止を示すイベント信号を送信し、他の住警器10−2,10−3のステップS36,S37で警報停止の受信となる。
【0082】
このため連動元の住警器10−1は、ステップS38で連動元の警報音を停止し、また連動先の住警器10−2,10−3にあっては、ステップS39,S40で連動先の警報音を停止し、これによって、全ての住警器10−2,10−3で一斉に警報音が停止される。
【0083】
なお、ステップS38で警報音を停止した連動元の住警器10−1にあっては、前述したように、LED22による警報表示は残っているため、警報が停止した状態で火災発生場所を確認し、住警器10−1のLED表示を見ることで、連動元の火災感知器であることが容易に確認できる。
【0084】
図9は図7の第2実施形態による火災監視処理を示したフローチャートであり、CPU28の処理動作となる。
【0085】
図9において、ステップS41でグループ設定を含む初期化処理を行い、ステップS42で火災発報の有無を監視している。ステップS42で火災発報を判別すると、ステップS43で火災発報を示すイベント信号を送信する。続いてステップS44で連動元を示す警報音を出力する。次にステップS45で警報停止操作の有無を判別しており、警報停止操作があると、ステップS46に進み、警報停止を示すイベント信号を送信し、ステップS47で連動元の警報音を停止する。
【0086】
一方、ステップS45で警報停止操作の判別がない場合には、ステップS48で他の住警器からの警報停止のイベント信号の受信の有無を判別しており、イベント信号の受信を判別すると、ステップS47で同じく連動元の警報音を停止する。
【0087】
また、ステップS42で火災発報でない場合には、ステップS49で火災発報のイベント信号の受信の有無を判別しており、これを判別すると、ステップS50で連動先の警報音を出力する。
【0088】
続いてステップS51で警報停止操作を判別すると、ステップS52で警報停止のイベント信号を他の住警器に送信した後、ステップS53で連動先の警報音を停止する。ステップS51で警報停止操作がない場合には、ステップS54で他の住警器からの警報停止のイベント信号の受信の有無をチェックしており、これを受信すると、ステップS53で連動先の警報音を停止するようになる。
【0089】
図10は本発明による住警器の第3実施形態を示したブロック図であり、第3実施形態にあっては、図3の第1実施形態による警報停止と、図7の第2実施形態による警報停止を、モード切替えにより選択できるようにしたことを特徴とする。
【0090】
図10において、回路構成を詳細に示した住警器10−1に示すように、図3の第1実施形態と同様、住警器10−1にはCPU28、無線回路部30、記録回路部32、センサ部34、報知部36、操作部38及び電池電源40が設けられている。
【0091】
CPU28には図3の第1実施形態と同じ連動元警報出力処理部60及び連動先警報出力処理部62が設けられ、これに加えて第3実施形態固有な機能として、モード切替部70、連動元警報停止処理部264及び連動先警報停止処理部266が設けられている。
【0092】
モード切替部70は、警報停止モードを第1モードと第2モードのいずれか一方に切り替える。
【0093】
連動元警報停止処理部264は、第1モードの切替状態で連動元を示す警報音の出力中に警報停止スイッチ20の操作を検出したときは、警報停止を示すイベント信号を他の住警器10−2〜10−5に送信して警報音を停止させる。また連動元警報停止処理部264は、第2モードの切替状態で連動元を示す警報音の出力中に警報停止スイッチ20の操作を検出したときは、連動元を示す警報音を停止させると共に、警報停止を示すイベント信号を作成して、連動先の住警器10−2〜10−5に送信して警報音を停止させる。
【0094】
連動先警報停止処理部266は、第1モードまたは第2モードの切替状態のいずれについても同じ動作となる。即ち、第1モードまたは第2モードの切替状態で連動先を示す警報音の出力中に警報停止スイッチ20の操作を検出したときは、連動先を示す警報音を停止させると共に、警報停止を示すイベント信号を他の住警器10−2〜10−5に送信して警報音を停止させる。
【0095】
また連動先警報停止処理部266は、第1モードまたは第2モードの切替状態で連動先を示す警報音の出力中に他の住警器10−2〜10−5のいずれかから警報停止を示すイベント信号を受信したとき、連動先を示す警報音を停止させることになる。
【0096】
このような構成により、図10の第3実施形態にあっては、モード切替部70により第1モードを設定していると、図3に示した第1実施形態と同じ警報停止処理、即ち警報停止操作に対して連動元の住警器の警報音のみが出力される状態となる。一方、第2モードを選択した場合には、図7の第2実施形態の警報処理と同じ全ての住警器の警報音が一斉に停止し、連動元の住警器においてLEDの表示が残る処理となる。
【0097】
図11は図10の第3実施形態における火災監視処理を示したフローチャートである。図11において、ステップS55の初期化処理にあっては、図10のモード切替部70により警報処理のためのモードとして第1モードまたは第2モードのいずれかを選択する。
【0098】
続いてステップS56で監視中に火災発報を判別すると、ステップS57で火災発報を示すイベント信号を他の住警器に送信した後、ステップS58で連動元の警報音を出力する。続いてステップS59で警報停止操作を判別すると、ステップS60で警報停止を示すイベント信号を他の住警器に送信して警報音を停止させ、連動元の警報音を停止する。
【0099】
またステップS59で警報停止操作がない場合には、ステップS63で他の住警器からの警報停止を示すイベント信号の受信の有無を判別しており、このイベント信号を受信すると、ステップS61で警報停止が第1モードか第2モードかを判別し、第1モードであればステップS62の連動元の警報音の停止はスキップし、第2モードであった場合にはステップS62で連動元の警報音を停止することになる。
【0100】
一方、ステップS56で火災発報がない場合には、ステップS64に進み、他の住警器から火災発報のイベント信号を受信したか否か判別している。火災発報のイベント信号を受信すると、ステップS65に進み、連動先の警報音を出力する。続いてステップS66で警報停止操作を判別すると、ステップS67で警報停止のイベント信号を他の住警器に送信した後、ステップS68で連動先の警報音を停止する。
【0101】
一方、ステップS66で警報停止操作がない場合には、ステップS69で他の住警器からの警報停止のイベント信号の受信の有無をチェックしており、このイベント信号の受信を判別すると、ステップS68で連動先の警報音を停止することになる。連動元を示す警報音と連動先を示す警報音は、同一のものであっても良い。また警報は音によるものに限らず、光や各種の報知方法が適用できる。
【0102】
なお上記の実施形態は火災検出を対象とした住警器を例に取るものであったが、これ以外にガス漏れ警報器や、防犯用警報器など、それ以外の適宜の異常を検出する住警器につき、本実施形態の警報停止処理をそのまま適用することができる。また住宅用に限らずビルやオフィス用など各種用途の警報器にも適用できる。
【0103】
また、上記の実施形態は警報器にセンサ部と警報出力処理部を一体に設けた場合を例にとるが、他の実施形態として、センサ部と警報出力処理部を別体とした警報器であっても良い。
【0104】
また上記の実施形態は無線式の住警器を例に取るものであったが、警報停止処理については有線式の住警器であっても、そのまま適用することが可能である。
また本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0105】
10,10−1〜10−5:住警器
12:カバー
14:本体
15:取付フック
16:検煙部
18:音響孔
20:警報停止スイッチ
22:LED
24:住宅
26:ガレージ
28:CPU
31:アンテナ
30:無線回路部
32:記録回路部
34:センサ部
36:報知部
38:操作部
40:電池電源
42:送信回路
44:受信回路
46:メモリ
48:イベント信号
50:送信元符号
52:グループ符号
54:イベント符号
58:スピーカ
60:連動元警報出力処理部
62:連動先警報出力処理部
64,164,264:連動元警報停止処理部
66,266:連動先警報停止処理部
70:モード切替部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異常を検出した場合に、自身が連動元であることを示す連動元警報音の出力を行わせる共に、異常を示すイベント信号を他の警報器に送信させ、他の警報器から異常を示すイベント信号を受信した場合に、自身が連動先であることを示す連動先警報音の出力を行わせる警報器に於いて、
警報停止手段の操作を検出した場合に、前記連動元警報音と前記連動先警報音との停止形態を異ならせたことを特徴とする警報器。
【請求項2】
異常を検出した場合に、自身が連動元であることを示す連動元警報音の出力を行わせる共に、異常を示すイベント信号を他の警報器に送信させ、他の警報器から異常を示すイベント信号を受信した場合に、自身が連動先であることを示す連動先警報音の出力を行わせる警報器に於いて、
前記連動元警報音の出力中に、他の警報器から警報停止のイベント信号を受信した場合には、前記連動元警報音の出力を停止せずに維持し、前記連動先警報音の出力中に、他の警報器から警報停止のイベント信号を受信した場合には前記連動先警報音の出力を停止させる手段を設けたことを特徴とする警報器。
【請求項3】
センサ部が異常を検出した場合に、前記報知部に、自身が連動元であることを示す連動元警報音の出力を行わせる共に、前記送受信回路部に、異常を示すイベント信号を他の警報器に送信させる連動元警報出力処理部と、
前記送受信回路部が他の警報器から異常を示すイベント信号を受信した場合に、前記報知部に、自身が連動先であることを示す連動先警報音の出力を行わせる連動先警報出力処理部と、
を備えた警報器に於いて、
警報停止手段を備えた操作部と、
前記連動元警報音の出力中に、前記警報停止手段の操作を検出した場合には、前記報知部に、前記連動元警報音の出力を停止させると共に、前記送受信回路部に、警報停止のイベント信号を他の警報器に送信させ、一方、前記連動元警報音の出力中に、前記送受信回路部が他の警報器から警報停止のイベント信号を受信した場合には、前記報知部に、前記連動元警報音の出力を停止させずに継続させる連動元警報停止処理部と、
前記連動先警報音の出力中に、前記警報停止手段の操作を検出した場合には、前記報知部に、前記連動先警報音の出力を停止させると共に、前記送受信回路部に、警報停止のイベント信号を他の警報器に送信させ、一方、前記連動先警報音の出力中に、前記送受信回路部が他の警報器から警報停止のイベント信号を受信した場合には、前記報知部に、前記連動先警報音の出力を停止させる連動先警報停止処理部と、
を備えたことを特徴とする警報器。
【請求項1】
異常を検出した場合に、自身が連動元であることを示す連動元警報音の出力を行わせる共に、異常を示すイベント信号を他の警報器に送信させ、他の警報器から異常を示すイベント信号を受信した場合に、自身が連動先であることを示す連動先警報音の出力を行わせる警報器に於いて、
警報停止手段の操作を検出した場合に、前記連動元警報音と前記連動先警報音との停止形態を異ならせたことを特徴とする警報器。
【請求項2】
異常を検出した場合に、自身が連動元であることを示す連動元警報音の出力を行わせる共に、異常を示すイベント信号を他の警報器に送信させ、他の警報器から異常を示すイベント信号を受信した場合に、自身が連動先であることを示す連動先警報音の出力を行わせる警報器に於いて、
前記連動元警報音の出力中に、他の警報器から警報停止のイベント信号を受信した場合には、前記連動元警報音の出力を停止せずに維持し、前記連動先警報音の出力中に、他の警報器から警報停止のイベント信号を受信した場合には前記連動先警報音の出力を停止させる手段を設けたことを特徴とする警報器。
【請求項3】
センサ部が異常を検出した場合に、前記報知部に、自身が連動元であることを示す連動元警報音の出力を行わせる共に、前記送受信回路部に、異常を示すイベント信号を他の警報器に送信させる連動元警報出力処理部と、
前記送受信回路部が他の警報器から異常を示すイベント信号を受信した場合に、前記報知部に、自身が連動先であることを示す連動先警報音の出力を行わせる連動先警報出力処理部と、
を備えた警報器に於いて、
警報停止手段を備えた操作部と、
前記連動元警報音の出力中に、前記警報停止手段の操作を検出した場合には、前記報知部に、前記連動元警報音の出力を停止させると共に、前記送受信回路部に、警報停止のイベント信号を他の警報器に送信させ、一方、前記連動元警報音の出力中に、前記送受信回路部が他の警報器から警報停止のイベント信号を受信した場合には、前記報知部に、前記連動元警報音の出力を停止させずに継続させる連動元警報停止処理部と、
前記連動先警報音の出力中に、前記警報停止手段の操作を検出した場合には、前記報知部に、前記連動先警報音の出力を停止させると共に、前記送受信回路部に、警報停止のイベント信号を他の警報器に送信させ、一方、前記連動先警報音の出力中に、前記送受信回路部が他の警報器から警報停止のイベント信号を受信した場合には、前記報知部に、前記連動先警報音の出力を停止させる連動先警報停止処理部と、
を備えたことを特徴とする警報器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−69135(P2012−69135A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235863(P2011−235863)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【分割の表示】特願2009−185565(P2009−185565)の分割
【原出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【分割の表示】特願2009−185565(P2009−185565)の分割
【原出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】
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