説明

負圧式倍力装置

【課題】運転者が良好なビルドアップ感を得ることが可能な負圧式倍力装置を提供する。
【解決手段】大気と連通する変圧室22と定圧室20に内部を画成された倍力装置本体2と、定圧室20と負圧源37とを連通させる連通管4と、連通管4へ配設される第一逆止弁6及び第二逆止弁8と、第二逆止弁8の入口54側と出口56側を常時連通させる絞り通路を備えた負圧式倍力装置において、第一逆止弁6及び第二逆止弁8を、それぞれ、所定の開弁圧力が設定されるとともに、定圧室20側から負圧源37側への気体の移動のみを許容する構成とし、第二逆止弁8を、第一逆止弁6よりも定圧室20側に配設し、第二逆止弁8の入口54側の圧力と出口56側の圧力との圧力差に応じて、絞り通路の長さ方向へ移動して絞り通路の流路面積を変化させることにより、絞り通路の流路抵抗を変化させる流路面積変化バルブ10を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等のブレーキ系統に用いられる負圧式倍力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ホイールシリンダに油液を供給してブレーキを作動させるためのマスタシリンダと運転者が操作するブレーキペダルとの間に配置され、ブレーキペダルの踏力を倍力させてマスタシリンダを作動させる負圧式倍力装置として、例えば、特許文献1に記載されているような負圧式倍力装置が用いられている。
この負圧式倍力装置は、密閉された倍力装置本体内を、出力軸を取付けたパワーピストンユニットにより定圧室と変圧室とに画成しており、定圧室に逆止弁を介してエンジンのインテークマニホールドなどの負圧源が接続され、変圧室に大気が導入可能な構造となっている。
【0003】
定圧室と負圧源とを連通させる連通管には、第一逆止弁及び第二逆止弁が直列に配設されている。第一逆止弁及び第二逆止弁は、それぞれ、所定の開弁圧力が設定されており、定圧室側から負圧源側への気体の流動のみを許容している。第二逆止弁は、第一逆止弁よりも定圧室側に配置されており、第二逆止弁の入口側と出口側とを常時連通させる絞り通路が設けられている。
【0004】
そして、車両の制動時に、定圧室内を負圧にするとともに、変圧室内に大気を導入することにより、定圧室と変圧室に差圧を生じさせ、パワーピストンユニットを移動させて、出力軸から倍力した力を出力させる構成となっている。
このような構成を備えた負圧式倍力装置であれば、ブレーキペダルの踏み込み操作を途中で停止したときでも、第二逆止弁の開弁圧力によって生じる入口側と出口側との差圧により、絞り通路を介してなだらかな勾配を描くように定圧室の圧力が低下するため、制動圧が、なだらかな勾配を描くように上昇することとなる。
【0005】
そのため、ブレーキペダルの踏み込み操作を途中で停止しても、制動圧を、なだらかな勾配を描くように上昇させることが可能となるため、運転者が、安定感のある、すなわち、運転者の意識よりもより良く制動するように感じるブレーキフィーリングを得ることが可能となる。なお、以下の説明では、運転者が得る安定感のあるブレーキフィーリングを、「ビルドアップ感」と記載して説明する。
【特許文献1】特許第2662675号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の負圧式倍力装置では、第二逆止弁に絞り通路を設けることにより、制動圧を、なだらかな勾配を描くように上昇させる効果を期待している。
しかしながら、実際の使用時においては、以下に示すような問題が発生するおそれがある。
絞り通路を通過する気体の流量は、絞り通路を通過する気体の流速により異なっている。具体的には、絞り通路を通過する気体の流量は、絞り通路を通過する気体の流速が速いほど増加し、絞り通路を通過する気体の流速が遅いほど減少する。このため、定圧室と変圧室との差圧が高く、絞り通路を通過する気体の流速が速いときは、制動圧の上昇率が高くなり、定圧室と変圧室との差圧が低下するにつれて、絞り通路を通過する気体の流量が減少し、制動圧の上昇率が低くなる。
【0007】
このため、運転者がブレーキペダルの踏み込み操作を途中で停止した直後は、定圧室と変圧室との差圧が高く、絞り通路を通過する気体の流速が速いため、絞り通路を通過する気体の流量が増加する。その結果、制動圧の上昇率が高くなり、制動圧は、急勾配を描くように上昇する。
そして、運転者がブレーキペダルの踏み込み操作を途中で停止してから、ある程度の時間が経過した後は、定圧室と変圧室との差圧が低下し、絞り通路を通過する気体の流速が遅くなるため、絞り通路を通過する気体の流量が減少する。その結果、制動圧の上昇率が低くなり、制動圧は、なだらかな勾配を描くように上昇する。
【0008】
したがって、運転者がブレーキペダルの踏み込み操作を途中で停止した後の制動圧は、放物線を描くように上昇することとなり、運転者がビルドアップ感を得ることが困難となるため、安定感のあるブレーキフィーリングを得ることが困難となるおそれがある。
本発明は、上記のような課題に着目してなされたもので、絞り通路を通過する気体の流速に応じて、絞り通路を通過する気体の流量を変化させることにより、運転者が良好なビルドアップ感を得ることが可能な負圧式倍力装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、パワーピストンユニットにより大気に連通される変圧室と定圧室とに内部を画成された倍力装置本体と、前記定圧室を負圧源に連通させる連通管と、当該連通管へ直列に配設される第一逆止弁及び第二逆止弁と、前記第二逆止弁の入口側と出口側とを常時連通させる絞り通路と、を備え、
前記第一逆止弁及び前記第二逆止弁は、それぞれ、所定の開弁圧力が設定されるとともに前記定圧室側から前記負圧源側への気体の移動のみを許容し、
前記第二逆止弁は、前記第一逆止弁よりも前記定圧室側に配設される負圧式倍力装置であって、
前記第二逆止弁の入口側と出口側との圧力差に応じて前記絞り通路の流路抵抗を変化させることを特徴とする負圧式倍力装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第二逆止弁の入口側と出口側との圧力差に応じて、絞り通路の流路抵抗を変化させることが可能となるため、運転者が良好なビルドアップ感を得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
(第一実施形態)
(構成)
図1は、本実施形態に係る負圧式倍力装置1の構成を示す図である。
図1中に示すように、本実施形態の負圧式倍力装置1は、倍力装置本体2と、連通管4と、第一逆止弁6と、第二逆止弁8と、流路面積変化バルブ10とを備えている。
倍力装置本体2は、フロントシェル12とリアシェル14とから形成されており、その内部は密閉されている。倍力装置本体2の内部は、出力軸16を取付けたパワーピストンユニット18によって、前側(エンジン側、図1中における左側)の定圧室20と、後側(ブレーキペダル側、図1中における右側)の変圧室22とに画成されている。
【0012】
パワーピストンユニット18は、ダイヤフラム24と、パワーピストン26と、バルブボディ28とを備えており、運転者がブレーキペダル(図示せず)を踏み込んでいない非作動状態のときは、内蔵されたリターンスプリング30によって、後方へ付勢された状態となっている。
ダイヤフラム24は、フロントシェル12及びリアシェル14によって外周端が気密に挟持されている。パワーピストン26は、倍力装置本体2の内部において、定圧室20側に位置しており、ダイヤフラム24の表面に接する薄板状に形成されている。
【0013】
バルブボディ28は、ダイヤフラム24およびパワーピストン26の内周が気密に固着され、倍力装置本体2の軸方向に変位可能に設けられており、出力軸16の基端部と入力軸32の先端部が連結されている。バルブボディ28の内部は、後端部に設けられているフィルタ34を介して大気と連通している。
連通管4は、一方の端部が、フロントシェル12に設けられている負圧導入管36に連結されており、他方の端部が、負圧源37に連結されている。なお、本実施形態では、負圧源37を、エンジン(図示せず)のインテークマニホールドとした場合を例にあげて説明する。すなわち、連通管4は、定圧室20と負圧源37とを連通させている。
【0014】
第一逆止弁6及び第二逆止弁8は、共に連通管4へ直列に配設されており、定圧室20側から負圧源37側への気体の移動のみを許容する構成となっている。第二逆止弁8は、第一逆止弁6よりも定圧室20側に配設されている。
第一逆止弁6は、設定荷重F1の第一ばね38によって、第一弁体40を流路内に形成された第一弁座42に付勢している。第一ばね38の設定荷重F1は、第一逆止弁6の入口44側の圧力と出口46側の圧力との圧力差が、所定の圧力差(開弁圧力)P1を超えたときに、第一弁体40が第一弁座42から離間する値に設定されている。
【0015】
第二逆止弁8は、第一逆止弁6と同様、設定荷重F2の第二ばね48によって、第二弁体50を流路に形成された第二弁座52に付勢している。第二ばね48の設定荷重F2は、第二逆止弁8の入口54側の圧力と出口56側の圧力との圧力差が、所定の圧力差(開弁圧力)P2を超えたときに、第二弁体50が第二弁座52から離間する値に設定されている。
また、第二ばね48の設定荷重F2は、第一ばね38の設定荷重F1より大きな値に設定されている。このため、第二逆止弁8は、第一逆止弁6の圧力差P1より大きな開弁圧力P2で開弁するようになっている。
【0016】
図2は、図1中に記載した円II内及びその周辺の拡大図であり、図3は、図2を、図2中に記載した矢印Aの方向から見た図である。なお、図3中では、説明のために、第二弁体50の図示を省略している。
図2及び図3中に示すように、第二逆止弁8の第二弁体50には、第二逆止弁8の入口54側と出口56側とを連通する連通路58が形成されており、この連通路58内には、流路面積変化バルブ10が配置されている。また、第二弁体50のうち、第二逆止弁8の入口54側の面には、ストッパ用凹部60が設けられており、このストッパ用凹部60内には、流路面積変化バルブ10が連通路58内から逸脱することを防止するストッパ62が固定されている。
【0017】
ストッパ62は、円板状に形成されており、二箇所の開口部64を有している。
連通路58は、連通路側大径路66と、連通路側小径路68と、連通路側縮径路70とを備えている。
連通路側大径路66は、その内径が、連通路側小径路68及び連通路側縮径路70よりも大径に形成されており、連通路58の、第二逆止弁8の入口54側の部分を構成している。
連通路側小径路68は、その内径が、連通路側大径路66よりも小径に形成されており、連通路58の、第二逆止弁8の出口56側の部分を構成している。
【0018】
連通路側縮径路70は、その内径が、第二逆止弁8の入口54側から出口56側へ向かうにつれて縮小するように形成されており、連通路58の、連通路側大径路66と連通路側小径路68との間の部分を構成して、連通路側大径路66と連通路側小径路68とを連通させている。連通路側縮径路70の第二逆止弁8の入口54側の部分、すなわち、連通路側縮径路70の最大内径の部分は、連通路側大径路66の内径よりも小径に形成されており、連通路側縮径路70の第二逆止弁8の出口56側の部分、すなわち、連通路側縮径路70の最小内径の部分は、連通路側小径路68の内径と同一径に形成されている。連通路側大径路66と連通路側縮径路70との間には、段差が形成されている。
【0019】
流路面積変化バルブ10は、大径部72と、小径部74と、縮径部76と、切り欠き78とを備えている。
大径部72は、その外径が、連通路側大径路66の内径よりも小径に形成されているとともに、連通路側縮径路70の最大内径の部分よりも大径に形成されている。また、大径部72は、連通路58内において、第二逆止弁8の入口54側に配置されている。大径部72と連通路側大径路66との間に形成される隙間は、絞り通路の長さ方向から見て、ストッパ62が有する開口部64よりも狭くなっている。
【0020】
小径部74は、その外径が、連通路側縮径路70の最大内径の部分よりも小径に形成されているとともに、連通路側縮径路70の最小内径の部分よりも大径に形成されている。大径部72と小径部74との間には、段差が形成されている。また、小径部74は、連通路58内において、大径部72よりも第二逆止弁8の出口56側に配置されている。
【0021】
縮径部76は、その外径が、第二逆止弁8の入口54側から出口56側へ向かうにつれて縮小するように形成されており、連通路58内において、小径部74よりも第二逆止弁8の出口56側に配置されている。縮径部76の第二逆止弁8の入口54側の部分、すなわち、縮径部76の最大外径の部分は、連通路側小径路68の内径よりも大径に形成されており、縮径部76の第二逆止弁8の出口56側の部分、すなわち、縮径部76の最小外径の部分は、連通路側小径路68の内径よりも小径に形成されている。
切り欠き78は、小径部74の一部及び縮径部76の一部を切削加工等により切除して形成されており、小径部74の一部と縮径部76の一部とを連続するように形成されている。
【0022】
図4は、連通路58と流路面積変化バルブ10が接触した状態を示す図である。
図4中に示すように、連通路58と流路面積変化バルブ10が接触した状態では、切り欠き78によって、連通路58と流路面積変化バルブ10との間に隙間が形成されており、この隙間は、第二逆止弁8の入口54側から出口56側への気体の移動流路を形成している。
【0023】
図5は、図4のV−V線断面図である。
図5中に示すように、切り欠き78は、流路面積変化バルブ10に四箇所形成されており、これらの切り欠き78は、それぞれ、第二弁体40の移動方向から見て、等間隔に配置されている。
したがって、連通路58と流路面積変化バルブ10との間には、隙間が常時形成されることとなり、この隙間とストッパ62が有する開口部64とによって、連通路58よりも流路面積の小さいオリフィス80が形成される。このオリフィス80は、第二逆止弁8の入口54側と出口56側を常時連通する絞り通路を構成している。
【0024】
連通路58と流路面積変化バルブ10との間のうち、連通路側大径路66と連通路側縮径路70との間に形成された段差と大径部72と小径部74との間に形成された段差との間には、弾性体82が介装されている。
弾性体82は、例えば、コイルスプリングによって形成されており、第二逆止弁8の入口54側の圧力と出口56側の圧力との圧力差に応じて、絞り通路の長さ方向へ伸縮する。具体的には、弾性体82の設定荷重は、第二逆止弁8の入口54側の圧力と出口56側の圧力との圧力差が、開弁圧力P2を超え、第二逆止弁8の入口54側から出口56側へ移動する気体の流速が、開弁圧力P2に応じた速度を超えているときは、弾性体82が、絞り通路の長さ方向へ収縮する値に設定されている。弾性体82が絞り通路の長さ方向へ収縮すると、連通路58と流路面積変化バルブ10との間に形成される隙間の断面積、すなわち、絞り通路の流路面積が減少して、絞り通路の流路抵抗が増加する。
【0025】
また、弾性体82の設定荷重は、第二逆止弁8の入口54側の圧力と出口56側の圧力との圧力差が、開弁圧力P2以下であり、第二逆止弁8の入口54側から出口56側へ移動する気体の流速が、開弁圧力P2に応じた速度以下であるときは、弾性体82が、絞り通路の長さ方向へ伸長する値に設定されている。弾性体82が絞り通路の長さ方向へ伸長すると、連通路58と流路面積変化バルブ10との間に形成される隙間の断面積、すなわち、絞り通路の流路面積が増加して、絞り通路の流路抵抗が減少する。
したがって、流路面積変化バルブ10は、第二逆止弁8の入口54側の圧力と出口56側の圧力との圧力差に応じて、絞り通路の長さ方向、すなわち、絞り通路の長さ方向へ移動することにより、絞り通路の流路面積を変化させて、絞り通路の流路抵抗を変化させる構成となっている。
【0026】
(動作)
次に、負圧式倍力装置1の動作について、図1から図5を参照しつつ、図6を用いて説明する。
図6は、負圧式倍力装置1の作動時における、ブレーキペダルの踏み込み量、制動圧、定圧室内の負圧の、それぞれの時間的変化を示す図である。なお、図中に示す線Aはブレーキペダルの踏み込み量の時間的変化、線Bは制動圧の時間的変化、線Cは定圧室内の負圧の時間的変化を示しており、図の横軸は経過時間を示し、図の縦軸は力及び負圧の大きさを示している。また、図中の実線は本実施形態の負圧式倍力装置1の作動時における時間的変化を示し、図中の破線は従来の負圧式倍力装置の作動時における時間的変化を示している。
【0027】
運転者がブレーキペダルを踏み込んでいない非作動状態から、運転者がブレーキペダルを踏み込んで入力軸32を前進させると、変圧室22へ大気が導入される。このとき、定圧室20は負圧状態となっているため、定圧室20と変圧室22に圧力差が生じて、パワーピストンユニット18がリターンスプリング30の弾性力に抗して前進し、出力軸16から倍力した力が出力される(図1参照)。
【0028】
パワーピストンユニット18が前進すると、この前進に伴って定圧室20の容積が減少するため、定圧室20内の圧力が高くなり、負圧源37側の圧力と定圧室20の圧力との圧力差が増加する。
そして、負圧源37側の圧力と定圧室20の圧力との圧力差のうち、第一逆止弁6の入口44側の圧力と出口46側の圧力との圧力差が、開弁圧力P1を超えると、第一弁体40が第一弁座42から離間して、第一逆止弁6が開弁する。第一逆止弁6が開弁すると、第一逆止弁6の入口44側から出口46側への気体の移動経路が形成される。
【0029】
さらに、負圧源37側の圧力と定圧室20の圧力との圧力差のうち、第二逆止弁8の入口54側の圧力と出口56側の圧力との圧力差が、開弁圧力P2を超えると、第二弁体50が第二弁座52から離間して、第二逆止弁8が開弁する。第二逆止弁8が開弁すると、第二逆止弁8の入口54側から出口56側への気体の移動経路が形成される。
したがって、第一逆止弁6及び第二逆止弁8が開弁すると、連通管4の内部に、定圧室20側から負圧源37側への気体の移動経路が形成されることとなり、定圧室20側から負圧源37側へ気体が移動する(図1参照)。
このとき、ブレーキペダルを踏み込んだ後に、ブレーキ力を一定に保つためにブレーキペダルの踏み込みを途中で停止させると、入力軸32が停止した状態で、負圧源37側の圧力と定圧室20の圧力との圧力差が減少していく(図1参照)。
【0030】
負圧源37側の圧力と定圧室20の圧力との圧力差が減少していく過程において、第二逆止弁8の入口54側の圧力と出口56側の圧力との圧力差が、開弁圧力P2を超えている状態では、第二逆止弁8の入口54側から出口56側へ移動する気体の流速が、開弁圧力P2に応じた速度を超えている。このため、弾性体82が、絞り通路の長さ方向へ次第に収縮し、最終的には、連通路58と流路面積変化バルブ10が接触する。このとき、流路面積変化バルブ10に形成されている切り欠き78は、小径部74の一部と縮径部76の一部とを連続するように形成されているため、連通路58と流路面積変化バルブ10が接触した状態では、切り欠き78のみによって、連通路58と流路面積変化バルブ10との間に気体の移動流路が形成されている。したがって、第二逆止弁8の入口54側の圧力と出口56側の圧力との圧力差が、開弁圧力P2を超えている状態では、絞り通路の流路面積が最小となり、絞り通路の流路抵抗が最大となる(図4及び図5参照)。
【0031】
そして、負圧源37側の圧力と定圧室20の圧力との圧力差が減少していく過程において、第二逆止弁8の入口54側の圧力と出口56側の圧力との圧力差が、開弁圧力P2となった状態で、第二逆止弁8が閉弁する。
第二逆止弁8が閉弁すると、絞り通路のみによって、第二逆止弁8の入口54側と出口56側とが連通されることとなる。また、連通路58と流路面積変化バルブ10が接触しているため、絞り通路の流路面積が最小となり、絞り通路の流路抵抗が最大となる。絞り通路の流路抵抗が最大となると、第二逆止弁8の入口54側から出口56側へ移動する気体の流量が最小となるため、定圧室20側から負圧源37側へ移動する気体の流量が最小となる。
【0032】
このため、定圧室20の圧力は、なだらかな勾配を描くように低下し、パワーピストンユニット18はゆっくりと移動することとなり、制動圧は、なだらかな勾配を描くように上昇する。すなわち、図6中に示すように、ブレーキペダルの踏み込み操作を時刻tで停止させた時点(図中に示すAt点)では、定圧室20の圧力は、なだらかな勾配を描くように低下するため、定圧室20内の負圧は、図中に示すCt点から、なだらかな勾配を描くように上昇する。ここで、パワーピストンユニット18は、なだらかな勾配を描くように上昇する定圧室20内の負圧に応じて移動するため、制動圧も、図中に示すBt点からなだらかな勾配を描くように上昇していく。なお、この状態では、第一逆止弁6の入口44側の圧力は殆ど上昇しないため、第一逆止弁6の入口44側の圧力と出口46側の圧力との圧力差は、開弁圧力P1を越えた状態を保持しており、第一逆止弁6は開弁した状態を保持している。
【0033】
定圧室20の圧力が、なだらかな勾配を描くように低下していくと、第二逆止弁8の入口54側の圧力と出口56側の圧力とが所定の圧力差が、開弁圧力P2以下となり、第二逆止弁8の入口54側から出口56側へ移動する気体の流速が、開弁圧力P2に応じた速度以下となる。そして、弾性体82が、絞り通路の長さ方向へ伸長して、絞り通路の流路面積が増加し、絞り通路の流路抵抗が減少していく(図2参照)。
【0034】
絞り通路の流路面積が増加していくと、この流路面積の増加に伴って、第二逆止弁8の入口54側から出口56側へ移動する気体の流量が、急勾配を描くように増加していくため、定圧室20側から負圧源37側へ移動する気体の流量が、急勾配を描くように増加していく。このため、定圧室20の圧力は急勾配を描くように低下し、パワーピストンユニット18は急激に移動することとなり、制動圧は急勾配を描くように上昇する。すなわち、図6中に示すように、定圧室20内の負圧は、図中に示すCt点からなだらかな勾配を描くように上昇した後は、急勾配を描くように上昇する。ここで、パワーピストンユニット18は、急勾配を描くように上昇する定圧室20内の負圧に応じて移動するため、制動圧も、図中に示すBt点からなだらかな勾配を描くように上昇した後は、急勾配を描くように上昇していく。なお、この状態では、第一逆止弁6の入口44側の圧力は次第に上昇するので、第一逆止弁6の入口44側の圧力と出口46側の圧力との圧力差は、開弁圧力P1を越えた状態を保持しており、第一逆止弁6は開弁した状態を保持している。
【0035】
したがって、図6中に実線で示すように、本実施形態の負圧式倍力装置1の作動時においては、ブレーキペダルの踏み込み操作を停止させた後の制動圧は、なだらかな勾配を描くように上昇した後、急勾配を描くように上昇する。
これに対し、図6中に破線で示すように、従来の負圧式倍力装置の作動時においては、ブレーキペダルの踏み込み操作を停止させた後の制動圧は、急勾配を描くように上昇した後、なだらかな勾配を描くように上昇する。すなわち、従来の負圧式倍力装置の作動時においては、ブレーキペダルの踏み込み操作を停止させた後の制動圧は、放物線を描くように上昇する。なお、従来の負圧式倍力装置は、図7に示すように、第二逆止弁8の第二弁体50に、第二逆止弁8の入口54側と出口56側とを連通するオリフィス80を形成し、このオリフィス80が、第二逆止弁8の入口54側と出口56側とを常時連通する絞り通路を構成しているものである。
【0036】
そして、第一逆止弁6の入口44側の圧力と出口46側の圧力との圧力差が、開弁圧力P1よりも小さくなると、第一逆止弁6が閉弁して、負圧源37と定圧室20の連通が遮断される。このため、定圧室20側から負圧源37側への気体の移動経路が遮断され、定圧室20側から負圧源37側への気体の移動が停止するため、図6中に示すように、定圧室20内の負圧が一定に保持されるとともに、制動圧が一定に保持される。
【0037】
(応用例)
なお、本実施形態の負圧式倍力装置1では、切り欠き78を、流路面積変化バルブ10に等間隔を空けて四箇所形成し、それぞれの切り欠き78を、小径部74の一部及び縮径部76の一部を切除して形成したが、切り欠き78の構成は、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、図8に示すように、切り欠き78を、小径部74の一部及び縮径部76の一部を流路面積変化バルブ10の周方向に連続して切除することにより、形成してもよい。
【0038】
また、本実施形態の負圧式倍力装置1では、切り欠き78によって、連通路58と流路面積変化バルブ10が接触した状態における、第二逆止弁8の入口54側から出口56側への気体の移動流路を形成したが、これに限定されるものではない。すなわち、弾性体82の設定荷重を、第二逆止弁8の入口54側から出口56側へ移動する気体の流速が、開弁圧力P2に応じた速度を超えている状態において、連通路58と流路面積変化バルブ10が接触しない長さまで収縮する値に設定してもよい。
【0039】
また、本実施形態の負圧式倍力装置1では、第二逆止弁8の第二弁体50に、第二逆止弁8の入口54側と出口56側とを連通する連通路58を形成し、この連通路58内に、流路面積変化バルブ10を配置したが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、第二逆止弁8の第二弁体50に、第二逆止弁8の入口54側と出口56側とを連通する連通路58を形成せず、第二逆止弁8と並列に配置された追加管を備え、この追加管の内部に第二逆止弁8の入口54側と出口56側とを連通する連通路を形成し、この連通路内に、流路面積変化バルブ10を配置した構成としてもよい。
【0040】
(第一実施形態の効果)
(1)本実施形態の負圧式倍力装置では、第二逆止弁の入口側と出口側との圧力差に応じて、流路面積変化バルブが絞り通路の長さ方向へ移動することにより、絞り通路の流路面積が変化して、絞り通路の流路抵抗が変化する。
このため、ブレーキペダルの踏み込み操作を停止させた後の制動圧は、第二逆止弁の入口側から出口側へ移動する気体の流速が速い状態では、絞り通路の流路面積が小さくなり、絞り通路の流路抵抗が増加するため、なだらかな勾配を描くように上昇する。そして、第二逆止弁の入口側から出口側へ移動する気体の流速が低下するにつれて、絞り通路の流路面積が大きくなり、絞り通路の流路抵抗が減少するため、制動圧が、急勾配を描くように上昇する。
その結果、ブレーキペダルの踏み込み操作を停止させた後の制動圧は、なだらかな勾配を描くように上昇した後に、急勾配を描くように上昇するため、ブレーキペダルの踏み込み操作を途中で停止した際に、運転者が、良好なビルドアップ感を得ることが可能となる。
【0041】
(第二実施形態)
(構成)
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
図9は、本実施形態の負圧式倍力装置1の構成を示す図である。
図9中に示すように、本実施形態の負圧式倍力装置1の構成は、連通路58及び流路面積変化バルブ10の構成を除き、上述した第一実施形態と同様の構成となっている。なお、図9は、本実施形態の負圧式倍力装置1の一部を示す図である。
連通路58は、連通路側大径路66と、連通路側小径路68と、連通径路84とを備えている。
【0042】
連通路側大径路66は、その内径が、連通路側小径路68よりも大径に形成されており、連通路58の、第二逆止弁8の入口54側の部分を構成している。
連通路側小径路68は、その内径が、連通路側大径路66よりも小径に形成されており、連通路58の、第二逆止弁8の出口56側の部分を構成している。
連通径路84は、その内径が、連通路側大径路66よりも小径かつ連通路側小径路68よりも大径に形成されており、連通路58の、連通路側大径路66と連通路側小径路68との間の部分を構成して、連通路側大径路66と連通路側小径路68とを連通させている。連通径路84の第二逆止弁8の入口54側の部分には、全周に亘って、連通径路側凹部86が設けられている。連通路側大径路66と連通径路84との間、及び連通路側小径路68と連通径路84との間には、それぞれ、段差が形成されている。
【0043】
流路面積変化バルブ10は、大径部72と、小径部74とを備えている。
大径部72は、その外径が、連通路側大径路66の内径よりも小径に形成されているとともに、連通径路84の内径よりも大径に形成されている。また、大径部72は、連通路58内において、第二逆止弁8の入口54側に配置されている。大径部72と連通路側大径路66との間に形成される隙間は、絞り通路の長さ方向から見て、ストッパ62が有する開口部64よりも狭くなっている。
【0044】
小径部74は、その外径が、連通径路84よりも小径かつ連通路側小径路68よりも大径に形成されている。大径部72と小径部74との間には、段差が形成されている。また、小径部74は、連通路58内において、大径部72よりも第二逆止弁8の出口56側に配置されている。小径部74の第二逆止弁8の出口56側の面には、連通径路側凹部86と対向する小径部側凹部88が設けられている。
連通径路側凹部86と小径部側凹部88との間には、透過部材90と、透過部材側弾性体92が配置されている。すなわち、透過部材90及び透過部材側弾性体92は、連通路58内において、流路面積変化バルブ10よりも第二逆止弁8の出口56側に配置されている。
【0045】
透過部材90は、例えば、スポンジ等の気体が通過可能な弾性材料によって形成されており、絞り通路の長さ方向への弾性率は、第二逆止弁8の入口54側の圧力と出口56側の圧力との圧力差に応じて、絞り通路の長さ方向へ伸縮する値に設定されている。具体的には、透過部材90の絞り通路の長さ方向への弾性率は、第二逆止弁8の入口54側の圧力と出口56側の圧力との圧力差が、開弁圧力P2を超え、第二逆止弁8の入口54側から出口56側へ移動する気体の流速が、開弁圧力P2に応じた速度を超えているときは、透過部材90が、絞り通路の長さ方向へ収縮する値に設定されている。透過部材90が絞り通路の長さ方向へ収縮すると、絞り通路の流路面積が減少して、絞り通路の流路抵抗が増加する。
【0046】
また、透過部材90の絞り通路の長さ方向への弾性率は、第二逆止弁8の入口54側の圧力と出口56側の圧力との圧力差が、開弁圧力P2以下であり、第二逆止弁8の入口54側から出口56側へ移動する気体の流速が、開弁圧力P2に応じた速度以下であるときは、透過部材90が、絞り通路の長さ方向へ伸長する値に設定されている。透過部材90が絞り通路の長さ方向へ伸長すると、絞り通路の流路面積が増加して、絞り通路の流路抵抗が減少する。
透過部材側弾性体92は、例えば、コイルスプリングによって形成されており、透過部材90の絞り通路の長さ方向へ伸縮に伴って、絞り通路の長さ方向へ伸縮する。また、透過部材側弾性体92は、絞り通路の長さ方向から見て、内部に透過部材90を保持している。
【0047】
したがって、本実施形態の負圧式倍力装置1においては、連通路58と流路面積変化バルブ10との間に形成される隙間と、ストッパ62が有する開口部64と、気体が通過可能な弾性材料によって形成された透過部材90とによって、連通路58よりも流路面積の小さいオリフィス80が形成される。このオリフィス80は、第二逆止弁8の入口54側と出口56側を常時連通する絞り通路を構成している。
その他の構成は、上述した第一実施形態と同様である。
【0048】
(動作)
次に、本実施形態の負圧式倍力装置1の動作について説明する。なお、以下の説明では、連通路58及び流路面積変化バルブ10以外の構成については、上述した第一実施形態と同様であるため、異なる部分の動作を中心に説明する。
運転者がブレーキペダルを踏み込んでいない非作動状態から、運転者がブレーキペダルを踏み込んで入力軸32を前進させると、パワーピストンユニット18がリターンスプリング30の弾性力に抗して前進し、出力軸16から倍力した力が出力される(図1参照)。
【0049】
パワーピストンユニット18が前進すると、この前進に伴って定圧室20の容積が減少するため、定圧室20内の圧力が高くなり、負圧源37側の圧力と定圧室20の圧力との圧力差が増加して、第一逆止弁6及び第二逆止弁8が開弁する。第一逆止弁6及び第二逆止弁8が開弁すると、連通管4の内部に、定圧室20側から負圧源37側への気体の移動経路が形成されることとなり、定圧室20側から負圧源37側へ気体が移動する(図1参照)。
【0050】
このとき、ブレーキペダルを踏み込んだ後に、ブレーキ力を一定に保つためにブレーキペダルの踏み込みを途中で停止させると、入力軸32が停止した状態で、負圧源37側の圧力と定圧室20の圧力との圧力差が減少していく(図1参照)。
負圧源37側の圧力と定圧室20の圧力との圧力差が減少していく過程において、第二逆止弁8の入口54側の圧力と出口56側の圧力との圧力差が、開弁圧力P2を超えている状態では、第二逆止弁8の入口54側から出口56側へ移動する気体の流速が、開弁圧力P2に応じた速度を超えている。このため、透過部材90が、絞り通路の長さ方向へ収縮して、絞り通路の流路面積が減少して、絞り通路の流路抵抗が増加する。
【0051】
そして、負圧源37側の圧力と定圧室20の圧力との圧力差が減少していく過程において、第二逆止弁8の入口54側の圧力と出口56側の圧力との圧力差が、開弁圧力P2となった状態で、第二逆止弁8が閉弁する。
第二逆止弁8が閉弁すると、絞り通路のみによって、第二逆止弁8の入口54側の圧力と出口56側とが連通されることとなるため、定圧室20の圧力は、なだらかな勾配を描くように低下し、パワーピストンユニット18はゆっくりと移動することとなり、制動圧は、なだらかな勾配を描くように上昇する。
【0052】
定圧室20の圧力が、なだらかな勾配を描くように低下していくと、第二逆止弁8の入口54側の圧力と出口56側の圧力とが所定の圧力差が、開弁圧力P2以下となり、第二逆止弁8の入口54側から出口56側へ移動する気体の流速が、開弁圧力P2に応じた速度以下となる。そして、透過部材90が、絞り通路の長さ方向へ伸長して、絞り通路の流路面積が増加していくため、絞り通路の流路抵抗が減少していく。
【0053】
絞り通路の流路抵抗が減少していくと、この流路抵抗の減少に伴って、第二逆止弁8の入口54側から出口56側へ移動する気体の流量が、急勾配を描くように増加していくため、定圧室20側から負圧源37側へ移動する気体の流量が、急勾配を描くように増加していく。このため、定圧室20の圧力は急勾配を描くように低下し、パワーピストンユニット18は急激に移動することとなり、制動圧は急勾配を描くように上昇する。
【0054】
したがって、ブレーキペダルの踏み込み操作を停止させた後の制動圧は、なだらかな勾配を描くように上昇した後、急勾配を描くように上昇する。
そして、第一逆止弁6の入口44側の圧力と出口46側の圧力との圧力差が、開弁圧力P1よりも小さくなると、第一逆止弁6が閉弁して、負圧源37と定圧室20の連通が遮断され、定圧室20内の負圧が一定に保持されるとともに、制動圧が一定に保持される。
【0055】
(応用例)
なお、本実施形態の負圧式倍力装置1では、連通径路側凹部86と小径部側凹部88との間に、透過部材90と、透過部材側弾性体92を配置したが、これに限定されるものではなく、連通径路側凹部86と小径部側凹部88との間に、透過部材90のみを配置してもよい。
また、本実施形態の負圧式倍力装置1では、連通路側大径路66と連通径路84との間に形成されている段差と大径部72と小径部74との間に形成されている段差との間には、何も配置していないが、これに限定されるものではなく、連通路側大径路66と連通径路84との間に形成されている段差と大径部72と小径部74との間に形成されている段差との間に、例えば、絞り通路の長さ方向へ伸縮可能な弾性体を介装してもよい。
【0056】
(第二実施形態の効果)
(1)本実施形態の負圧式倍力装置では、第二逆止弁の入口側と出口側との圧力差に応じて、流路面積変化バルブが絞り通路の長さ方向へ移動することにより、絞り通路の流路面積が変化して、絞り通路の流路抵抗が変化する。
その結果、上述した第一実施形態と同様に、ブレーキペダルの踏み込み操作を停止させた後の制動圧は、なだらかな勾配を描くように上昇した後に、急勾配を描くように上昇するため、ブレーキペダルの踏み込み操作を途中で停止した際に、運転者が、良好なビルドアップ感を得ることが可能となる。
【0057】
(2)また、本実施形態の負圧式倍力装置では、連通径路側凹部と小径部側凹部との間に、透過部材と、透過部材側弾性体が配置されており、透過部材側弾性体は、透過部材の連通路の長さ方向へ伸縮に伴って、連通路の長さ方向へ伸縮するとともに、連通路の長さ方向から見て、内部に透過部材を保持している。
その結果、透過部材が連通径路側凹部と小径部側凹部との間から逸脱することが防止されるとともに、透過部材の連通路の長さ方向への伸縮が補助されるため、負圧式倍力装置の安定した作動性を得ることが可能となる。
【0058】
(第三実施形態)
(構成)
次に、本発明の第三実施形態について説明する。
図10は、本実施形態の負圧式倍力装置1の構成を示す図である。
図10中に示すように、本実施形態の負圧式倍力装置1の構成は、第二逆止弁8の構成を除き、上述した第一実施形態と同様の構成となっている。なお、図10は、本実施形態の負圧式倍力装置1の一部を示す図である。
第二逆止弁8は、第二弁体50と、絞り通路変化バルブ94と、絞り通路変化弾性体82とを備えている。
【0059】
第二弁体50は、第一貫通路96と、第二弁体側凹部98とを有している。
第一貫通路96は、第二弁体50を第二逆止弁8の移動方向に貫通しており、第一貫通路側大径路100と、第一貫通路側小径路102と、第一貫通路側縮径路104とを備えている。
第一貫通路側大径路100は、その内径が、第一貫通路側小径路102よりも大径に形成されており、第一貫通路96の、第二逆止弁8の出口56側の部分を構成している。
第一貫通路側小径路102は、その内径が、第一貫通路側大径路100よりも小径に形成されており、第一貫通路96の、第二逆止弁8の入口54側の部分を構成している。
【0060】
第一貫通路側縮径路104は、その内径が、第二逆止弁8の出口56側から入口54側へ向かうにつれて縮小するように形成されており、第一貫通路96の、第一貫通路側大径路100と第一貫通路側小径路102との間の部分を構成して、第一貫通路側大径路100と第一貫通路側小径路102とを連通させている。第一貫通路側縮径路104の第二逆止弁8の出口56側の部分、すなわち、第一貫通路側縮径路104の最大内径の部分は、第一貫通路側大径路100の内径よりも小径に形成されており、第一貫通路側縮径路104の第二逆止弁8の入口54側の部分、すなわち、第一貫通路側縮径路104の最小内径の部分は、第一貫通路側小径路102の内径と同一径に形成されている。
【0061】
第二弁体側凹部98は、第二弁体50の外周面に、全周に亘って形成されている。
絞り通路変化バルブ94は、第二弁体50よりも第二逆止弁8の入口54側に配置されており、第二貫通路106と、絞り通路変化バルブ側凹部108とを有している。
第二貫通路106は、全体として同一内径に形成されており、絞り通路変化バルブ94を第二逆止弁8の移動方向に貫通している。また、第二貫通路106は、第一貫通路96と第二逆止弁8の移動方向に沿って連続する位置に形成されており、第一貫通路96及び第二貫通路106によって、第二逆止弁8の入口54側と出口56側を常時連通する絞り通路が形成されている。
【0062】
絞り通路変化バルブ側凹部108は、絞り通路変化バルブ94の外周面に、全周に亘って形成されている。
また、絞り通路変化バルブ94の外周面には、第二逆止弁8の入口54側と絞り通路変化バルブ94との間に形成される隙間とを連通する外周側流路110が形成されている。
絞り通路変化弾性体82は、例えば、コイルスプリング等、軸方向の一部に空隙部を有する弾性部材によって形成されており、一方の端部が、第二弁体側凹部98内に着座し、他方の端部が、絞り通路変化バルブ側凹部108内に着座して、第二弁体50と絞り通路変化バルブ94を連結している。
したがって、本実施形態の負圧式倍力装置1では、第一貫通路96と、第二貫通路106とによって、オリフィス80が形成されており、このオリフィス80は、第二逆止弁8の入口54側と出口56側を常時連通する絞り通路を構成している。
【0063】
また、絞り通路変化弾性体82は、第二逆止弁8の入口54側の圧力と出口56側の圧力との圧力差に応じて、第二逆止弁8の移動方向へ伸縮する。具体的には、絞り通路変化弾性体82の設定荷重は、第二逆止弁8の入口54側の圧力と出口56側の圧力との圧力差が、開弁圧力P2を超え、第二逆止弁8の入口54側から出口56側へ移動する気体の流速が、開弁圧力P2に応じた速度を超えているときは、絞り通路変化弾性体82が、第二逆止弁8の移動方向へ収縮し、最終的には第二逆止弁8と絞り通路変化バルブ94が接触する値に設定されている。絞り通路変化弾性体82が第二逆止弁8の移動方向へ収縮すると、第二逆止弁8と絞り通路変化バルブ94との間に形成される隙間の断面積、すなわち、絞り通路の流路面積が減少する。また、絞り通路変化弾性体82が第二逆止弁8の移動方向へ収縮すると、第一貫通路96と第二貫通路106との合計長さ、すなわち、絞り通路の長さが減少する。絞り通路の流路面積及び長さが減少すると、絞り通路の流路抵抗が増加する。
【0064】
また、絞り通路変化弾性体82の設定荷重は、第二逆止弁8の入口54側の圧力と出口56側の圧力との圧力差が、開弁圧力P2以下であり、第二逆止弁8の入口54側から出口56側へ移動する気体の流速が、開弁圧力P2に応じた速度以下であるときは、絞り通路変化弾性体82が、第二逆止弁8の移動方向へ伸長する値に設定されている。絞り通路変化弾性体82が第二逆止弁8の移動方向へ伸長すると、第二逆止弁8と絞り通路変化バルブ94との間に形成される隙間の断面積、すなわち、絞り通路の流路面積が増加する。また、絞り通路変化弾性体82が第二逆止弁8の移動方向へ伸長すると、第一貫通路96と第二貫通路106との合計長さ、すなわち、絞り通路の長さが増加する。絞り通路の流路面積及び長さが増加すると、絞り通路の流路抵抗が減少する。
【0065】
したがって、絞り通路変化バルブ94は、第二逆止弁8の入口54側の圧力と出口56側の圧力との圧力差に応じて、第二逆止弁8の移動方向、すなわち、絞り通路の長さ方向へ移動することにより、絞り通路の流路面積及び長さを変化させて、絞り通路の流路抵抗を変化させる構成となっている。
その他の構成は、上述した第一実施形態と同様である。
【0066】
(動作)
次に、本実施形態の負圧式倍力装置1の動作について説明する。なお、以下の説明では、第二逆止弁8以外の構成については、上述した第一実施形態と同様であるため、異なる部分の動作を中心に説明する。
運転者がブレーキペダルを踏み込んでいない非作動状態から、運転者がブレーキペダルを踏み込んで入力軸32を前進させると、パワーピストンユニット18がリターンスプリング30の弾性力に抗して前進し、出力軸16から倍力した力が出力される(図1参照)。
【0067】
パワーピストンユニット18が前進すると、この前進に伴って定圧室20の容積が減少するため、定圧室20内の圧力が高くなり、負圧源37側の圧力と定圧室20の圧力との圧力差が増加して、第一逆止弁6及び第二逆止弁8が開弁する。第一逆止弁6及び第二逆止弁8が開弁すると、連通管4の内部に、定圧室20側から負圧源37側への気体の移動経路が形成されることとなり、定圧室20側から負圧源37側へ気体が移動する(図1参照)。
このとき、ブレーキペダルを踏み込んだ後に、ブレーキ力を一定に保つためにブレーキペダルの踏み込みを途中で停止させると、入力軸32が停止した状態で、負圧源37側の圧力と定圧室20の圧力との圧力差が減少していく(図1参照)。
【0068】
負圧源37側の圧力と定圧室20の圧力との圧力差が減少していく過程において、第二逆止弁8の入口54側の圧力と出口56側の圧力との圧力差が、開弁圧力P2を超えている状態では、第二逆止弁8の入口54側から出口56側へ移動する気体の流速が、開弁圧力P2に応じた速度を超えている。このため、絞り通路変化弾性体82が、第二逆止弁8の移動方向へ収縮して、絞り通路の流路面積が減少するとともに、絞り通路の長さが減少し、最終的には、絞り通路変化バルブ94が、第二逆止弁8と接触して、第一貫通路96と第二貫通路106によって絞り通路が構成される。この状態では、絞り通路の流路面積及び長さが最小の状態となり、絞り通路の流路抵抗が最大となる。
【0069】
そして、負圧源37側の圧力と定圧室20の圧力との圧力差が減少していく過程において、第二逆止弁8の入口54側の圧力と出口56側の圧力との圧力差が、開弁圧力P2となった状態で、第二逆止弁8が閉弁する。
第二逆止弁8が閉弁すると、絞り通路のみによって、第二逆止弁8の入口54側と出口56側とが連通されることとなるため、定圧室20の圧力は、なだらかな勾配を描くように低下し、パワーピストンユニット18はゆっくりと移動することとなり、制動圧は、なだらかな勾配を描くように上昇する。
【0070】
定圧室20の圧力が、なだらかな勾配を描くように低下していくと、第二逆止弁8の入口54側の圧力と出口56側の圧力とが所定の圧力差が、開弁圧力P2以下となり、第二逆止弁8の入口54側から出口56側へ移動する気体の流速が、開弁圧力P2に応じた速度以下となる。そして、絞り通路変化弾性体82が、第二逆止弁8の移動方向へ伸長して、絞り通路の流路面積が増加していくとともに、絞り通路の長さが増加していくため、絞り通路の流路抵抗が減少していく。
【0071】
絞り通路の流路抵抗が減少していくと、この流路抵抗の減少に伴って、第二逆止弁8の入口54側から出口56側へ移動する気体の流量が、急勾配を描くように増加していくため、定圧室20側から負圧源37側へ移動する気体の流量が、急勾配を描くように増加していく。このため、定圧室20の圧力は急勾配を描くように低下し、パワーピストンユニット18は急激に移動することとなり、制動圧は急勾配を描くように上昇する。
【0072】
したがって、ブレーキペダルの踏み込み操作を停止させた後の制動圧は、なだらかな勾配を描くように上昇した後、急勾配を描くように上昇する。
そして、第一逆止弁6の入口44側の圧力と出口46側の圧力との圧力差が、開弁圧力P1よりも小さくなると、第一逆止弁6が閉弁して、負圧源37と定圧室20の連通が遮断され、定圧室20内の負圧が一定に保持されるとともに、制動圧が一定に保持される。
【0073】
(応用例)
なお、本実施形態の負圧式倍力装置1では、絞り通路変化弾性体82の設定荷重を、第二逆止弁8の入口54側から出口56側へ移動する気体の流速が、開弁圧力P2に応じた速度を超えているときは、第二逆止弁8の移動方向へ収縮して、最終的には第二逆止弁8と絞り通路変化バルブ94が接触する値に設定したが、これに限定されるものではない。すなわち、絞り通路変化弾性体82の設定荷重を、第二逆止弁8の入口54側から出口56側へ移動する気体の流速が、開弁圧力P2に応じた速度を超えている状態において、第二逆止弁8と絞り通路変化バルブ94が接触しない長さまで収縮する値に設定してもよい。
【0074】
また、本実施形態の負圧式倍力装置1では、絞り通路変化バルブ94の外周面に、外周側流路110を形成したが、これに限定されるものではない。すなわち、絞り通路変化バルブ94の外周面に、外周側流路110を形成しない構成してもよい。この場合、絞り通路変化バルブ94は、第二逆止弁8の入口54側の圧力と出口56側の圧力との圧力差に応じて、絞り通路の長さ方向へ移動して、絞り通路の長さを変化させることにより、絞り通路の流路抵抗を変化させる長さ変化バルブを構成する。
また、本実施形態の負圧式倍力装置1では、第一貫通路96を、それぞれ、内径の異なる第一貫通路側大径路100と、第一貫通路側小径路102と、第一貫通路側縮径路104とを備えた構成としたが、これに限定されるものではなく、第一貫通路96を、例えば、第二貫通路106と同様に、全体として同一内径に形成してもよい。
【0075】
(第三実施形態の効果)
(1)本実施形態の負圧式倍力装置では、第二逆止弁の入口側の圧力と出口側の圧力との圧力差に応じて、絞り通路変化バルブが絞り通路の長さ方向へ移動することにより、絞り通路の流路面積及び長さが変化して、絞り通路の流路抵抗が変化する。
その結果、上述した第一実施形態と同様に、ブレーキペダルの踏み込み操作を停止させた後の制動圧は、なだらかな勾配を描くように上昇した後に、急勾配を描くように上昇するため、ブレーキペダルの踏み込み操作を途中で停止した際に、運転者が、良好なビルドアップ感を得ることが可能となる。
【0076】
(第四実施形態)
(構成)
次に、本発明の第四実施形態について説明する。
図11は、本実施形態の負圧式倍力装置1の構成を示す図である。
図11中に示すように、本実施形態の負圧式倍力装置1の構成は、第二貫通路106の構成を除き、上述した第三実施形態と同様の構成となっている。なお、図11は、本実施形態の負圧式倍力装置1の一部を示す図である。
第二貫通路106は、絞り通路変化バルブ94を第二逆止弁8の移動方向に貫通しており、第二貫通路側第一大径路112aと、第二貫通路側第二大径路112bと、第二貫通路側小径路114と、第二貫通路側第一縮径路116aと、第二貫通路側第二縮径路116bとを備えている。
【0077】
第二貫通路側第一大径路112aは、その内径が、第一貫通路側小径路102と同一の径に形成されており、第二貫通路106の、第二逆止弁8の出口56側の部分を構成している。
第二貫通路側第二大径路112bは、その内径が、第二貫通路側第一大径路112aと同様に、第一貫通路側小径路102と同一の径に形成されており、第二貫通路106の、第二逆止弁8の入口54側の部分を構成している。
第二貫通路側小径路114は、その内径が、第二貫通路側第一大径路112a及び第二貫通路側第二大径路112bよりも小径に形成されており、第二貫通路側第一大径路112aと第二貫通路側第二大径路112bとの間に配置されている。
【0078】
第二貫通路側第一縮径路116aは、その内径が、第二逆止弁8の出口56側から入口54側へ向かうにつれて縮小するように形成されており、第二貫通路106の、第二貫通路側第一大径路112aと第二貫通路側小径路114との間の部分を構成して、第二貫通路側第一大径路112aと第二貫通路側小径路114とを連通させている。第二貫通路側第一縮径路116aの第二逆止弁8の出口56側の部分、すなわち、第二貫通路側第一縮径路116aの最大内径の部分は、第二貫通路側第一大径路112aの内径よりも小径に形成されており、第二貫通路側第一縮径路116aの第二逆止弁8の入口54側の部分、すなわち、第二貫通路側第一縮径路116aの最小内径の部分は、第二貫通路側小径路114の内径と同一径に形成されている。
【0079】
第二貫通路側第二縮径路116bは、その内径が、第二逆止弁8の入口54側から出口56側へ向かうにつれて縮小するように形成されており、第二貫通路106の、第二貫通路側第二大径路112bと第二貫通路側小径路114との間の部分を構成して、第二貫通路側第二大径路112bと第二貫通路側小径路114とを連通させている。第二貫通路側第二縮径路116bの第二逆止弁8の入口54側の部分、すなわち、第二貫通路側第二縮径路116bの最大内径の部分は、第二貫通路側第二大径路112bの内径よりも小径に形成されており、第二貫通路側第二縮径路116bの第二逆止弁8の出口56側の部分、すなわち、第二貫通路側第二縮径路116bの最小内径の部分は、第二貫通路側小径路114の内径と同一径に形成されている。
【0080】
したがって、本実施形態の負圧式倍力装置1では、第一貫通路96と、第二貫通路106とによって、オリフィス80が形成されており、このオリフィス80は、第二逆止弁8の入口54側と出口56側を常時連通する絞り通路を構成している。また、オリフィス80は、第一貫通路96によって形成された第一オリフィス80aと、第二貫通路106によって形成された、第一オリフィス80aよりも流路面積の小さい第二オリフィス80bとを備えている。
その他の構成は、上述した第一実施形態と同様である。
【0081】
(動作)
次に、本実施形態の負圧式倍力装置1の動作について説明する。なお、以下の説明では、第二貫通路106以外の構成については、上述した第三実施形態と同様であるため、異なる部分の動作を中心に説明する。
運転者がブレーキペダルを踏み込んでいない非作動状態から、運転者がブレーキペダルを踏み込んで入力軸32を前進させると、パワーピストンユニット18がリターンスプリング30の弾性力に抗して前進し、出力軸16から倍力した力が出力される(図1参照)。
【0082】
パワーピストンユニット18が前進すると、この前進に伴って定圧室20の容積が減少するため、定圧室20内の圧力が高くなり、負圧源37側の圧力と定圧室20の圧力との圧力差が増加して、第一逆止弁6及び第二逆止弁8が開弁する。第一逆止弁6及び第二逆止弁8が開弁すると、連通管4の内部に、定圧室20側から負圧源37側への気体の移動経路が形成されることとなり、定圧室20側から負圧源37側へ気体が移動する(図1参照)。
このとき、ブレーキペダルを踏み込んだ後に、ブレーキ力を一定に保つためにブレーキペダルの踏み込みを途中で停止させると、入力軸32が停止した状態で、負圧源37側の圧力と定圧室20の圧力との圧力差が減少していく(図1参照)。
【0083】
負圧源37側の圧力と定圧室20の圧力との圧力差が減少していく過程において、第二逆止弁8の入口54側の圧力と出口56側の圧力との圧力差が、開弁圧力P2を超えている状態では、第二逆止弁8の入口54側から出口56側へ移動する気体の流速が、開弁圧力P2に応じた速度を超えている。このため、絞り通路変化弾性体82が、第二逆止弁8の移動方向へ収縮して、絞り通路の流路面積が減少するとともに、絞り通路の長さが減少し、最終的には、絞り通路変化弾性体82が、第二逆止弁8と接触して、第一貫通路96と第二貫通路106によって、絞り通路が構成される。この状態では、絞り通路の流路面積及び長さが、最小の状態となるため、絞り通路の流路抵抗が最大となる。
【0084】
そして、負圧源37側の圧力と定圧室20の圧力との圧力差が減少していく過程において、第二逆止弁8の入口54側の圧力と出口56側の圧力との圧力差が、開弁圧力P2となった状態で、第二逆止弁8が閉弁する。
第二逆止弁8が閉弁すると、絞り通路のみによって、第二逆止弁8の入口54側と出口56側とが連通されることとなる。
【0085】
このとき、絞り通路を構成するオリフィス80は、第一貫通路96によって形成された第一オリフィス80aと、第二貫通路106によって形成された、第一オリフィス80aよりも流路面積の小さい第二オリフィス80bとを備えている。第二オリフィス80bは、第一オリフィス80aよりも流路面積が小さいため、第一オリフィス80aよりも流路抵抗が大きくなっている。このため、定圧室20の圧力は、上述した第三実施形態の負圧式倍力装置1の動作と比較して、更になだらかな勾配を描くように低下し、パワーピストンユニット18は、上述した第三実施形態の負圧式倍力装置1の動作と比較して、更にゆっくりと移動することとなる。したがって、制動圧は、上述した第三実施形態の負圧式倍力装置1の動作と比較して、更になだらかな勾配を描くように上昇する。
【0086】
定圧室20の圧力が、なだらかな勾配を描くように低下していくと、第二逆止弁8の入口54側の圧力と出口56側の圧力とが所定の圧力差が、開弁圧力P2以下となり、第二逆止弁8の入口54側から出口56側へ移動する気体の流速が、開弁圧力P2に応じた速度以下となる。そして、絞り通路変化弾性体82が、第二逆止弁8の移動方向へ伸長して、絞り通路の流路面積が増加していくとともに、絞り通路の長さが増加していくため、絞り通路の流路抵抗が減少していく。
【0087】
絞り通路の流路抵抗が減少していくと、この流路抵抗の減少に伴って、第二逆止弁8の入口54側から出口56側へ移動する気体の流量が、急勾配を描くように増加していくため、定圧室20側から負圧源37側へ移動する気体の流量が、急勾配を描くように増加していく。このため、定圧室20の圧力は急勾配を描くように低下し、パワーピストンユニット18は急激に移動することとなり、制動圧は急勾配を描くように上昇する。
【0088】
したがって、ブレーキペダルの踏み込み操作を停止させた後の制動圧は、なだらかな勾配を描くように上昇した後、急勾配を描くように上昇する。
そして、第一逆止弁6の入口44側の圧力と出口46側の圧力との圧力差が、開弁圧力P1よりも小さくなると、第一逆止弁6が閉弁して、負圧源37と定圧室20の連通が遮断され、定圧室20内の負圧が一定に保持されるとともに、制動圧が一定に保持される。
【0089】
(応用例)
なお、本実施形態の負圧式倍力装置1では、第二貫通路側第一大径路112a及び第二貫通路側第二大径路112bを、その内径が、第一貫通路側小径路102と同一の径となるように形成したが、これに限定されるものではない。すなわち、第二貫通路側第一大径路112a及び第二貫通路側第二大径路112bを、その内径が、第一貫通路側小径路102よりもと小径となるように形成してもよい。要は、第二貫通路側第一大径路112a及び第二貫通路側第二大径路112bを、その内径が、第一貫通路側小径路102以下の径となるように形成すればよい。
【0090】
また、本実施形態の負圧式倍力装置1では、第二貫通路106を、第二貫通路側第一大径路112aと、第二貫通路側第二大径路112bと、第二貫通路側小径路114と、第二貫通路側第一縮径路116aと、第二貫通路側第二縮径路116bとを備えた構成としたが、これに限定されるものではない。すなわち、第二貫通路106を、第二貫通路側第一大径路112aと、第二貫通路側小径路114と、第二貫通路側第一縮径路116aとを備えた構成してもよい。また、第二貫通路106を、第二貫通路側第二大径路112bと、第二貫通路側小径路114と、第二貫通路側第二縮径路116bとを備えた構成してもよい。要は、第二貫通路106が、第一オリフィス80aよりも流路面積の小さい第二オリフィス80bを形成する構成であればよい。
【0091】
(第四実施形態の効果)
(1)本実施形態の負圧式倍力装置では、第二逆止弁の入口側の圧力と出口側の圧力との圧力差に応じて、絞り通路変化バルブが絞り通路の長さ方向へ移動することにより、絞り通路の流路面積及び長さが変化して、絞り通路の流路抵抗が変化する。
その結果、上述した第三実施形態と同様に、ブレーキペダルの踏み込み操作を停止させた後の制動圧は、なだらかな勾配を描くように上昇した後に、急勾配を描くように上昇するため、ブレーキペダルの踏み込み操作を途中で停止した際に、運転者が、良好なビルドアップ感を得ることが可能となる。
【0092】
(2)また、本実施形態の負圧式倍力装置では、絞り通路を構成するオリフィスが、第一貫通路によって形成された第一オリフィスと、第二貫通路によって形成された、第一オリフィスよりも流路面積の小さい第二オリフィスとを備えており、第二オリフィスは、第一オリフィスよりも流路面積が小さいため、第一オリフィスよりも流路抵抗が大きくなっている。
このため、第二逆止弁の入口側の圧力と出口側の圧力との圧力差が、開弁圧力P2となった状態では、定圧室の圧力は、上述した第三実施形態の負圧式倍力装置の動作と比較して、更になだらかな勾配を描くように低下する、
【0093】
したがって、パワーピストンユニットは、上述した第三実施形態の負圧式倍力装置の動作と比較して、更にゆっくりと移動することとなるため、制動圧は、上述した第三実施形態の負圧式倍力装置の動作と比較して、更になだらかな勾配を描くように上昇する。
その結果、第二オリフィスの形状を調整することにより、制動圧がなだらかな勾配を描くように上昇する際の勾配を、所望の勾配に調整することが可能となるため、運転者が得るビルドアップ感を調整することが可能となる。
【0094】
(第五実施形態)
(構成)
次に、本発明の第五実施形態について説明する。
図12は、本実施形態の負圧式倍力装置1の構成を示す図である。
図12中に示すように、本実施形態の負圧式倍力装置1の構成は、第二貫通路106の構成を除き、上述した第三実施形態と同様の構成となっている。なお、図12は、本実施形態の負圧式倍力装置1の一部を示す図である。
第二貫通路106は、入口側開口路118と、出口側開口路120と、入口側連絡路122と、出口側連絡路124と、中継路126とを備えている。これらの入口側開口路118、出口側開口路120、入口側連絡路122、出口側連絡路124、中継路126は、それぞれ、同一内径に形成されている。
【0095】
入口側開口路118は、絞り通路変化バルブ94の第二逆止弁8の入口54側の面に形成されており、一方の端部が、第二逆止弁8の入口54側の面に開口し、他方の端部が、第二逆止弁8の移動方向に沿って、絞り通路変化バルブ94を貫通しない位置まで穿設されている。したがって、第二貫通路106の、第二逆止弁8の入口54側の部分を構成している。
【0096】
出口側開口路120は、絞り通路変化バルブ94の第二逆止弁8の出口56側の面に形成されており、一方の端部が、第二逆止弁8の出口56側の面に開口し、他方の端部が、第二逆止弁8の移動方向に沿って、絞り通路変化バルブ94を貫通しない位置まで穿設されている。したがって、第二貫通路106の、第二逆止弁8の出口56側の部分を構成している。
【0097】
入口側連絡路122は、絞り通路変化バルブ94の外周面に形成されており、一方の端部が、第二逆止弁8の外周面に開口し、他方の端部が、絞り通路変化バルブ94の径方向に沿って、入口側開口路118と連通する位置まで穿設されている。入口側連絡路122の一方の端部、すなわち、第二逆止弁8の外周面に開口している端部は、閉塞部材128によって閉塞されている。
【0098】
出口側連絡路124は、入口側連絡路122と同様に、絞り通路変化バルブ94の外周面に形成されており、一方の端部が、第二逆止弁8の外周面に開口し、他方の端部が、絞り通路変化バルブ94の径方向に沿って、出口側開口路120と連通する位置まで穿設されている。出口側連絡路124の一方の端部、すなわち、第二逆止弁8の外周面に開口している端部は、入口側連絡路122の一方の端部と同様に、閉塞部材128によって閉塞されている。
【0099】
中継路126は、絞り通路変化バルブ94の第二逆止弁8の出口56側の面に形成されており、一方の端部が、第二逆止弁8の出口56側の面に開口し、他方の端部が、第二逆止弁8の移動方向に沿って、入口側連絡路122と連通する位置まで穿設されている。また、中継路126の両端部間は、出口側連絡路124と連通している。中継路126の一方の端部、すなわち、第二逆止弁8の出口56側の面に開口している端部は、入口側連絡路122及び出口側連絡路124の一方の端部と同様に、閉塞部材128によって閉塞されている。
【0100】
したがって、本実施形態の負圧式倍力装置1では、第一貫通路96と、第二貫通路106とによって、オリフィス80が形成されており、このオリフィス80は、第二逆止弁8の入口54側と出口56側を常時連通する絞り通路を構成している。また、オリフィス80は、第一貫通路96によって形成された第一オリフィス80aと、第二貫通路106によって形成された、第一オリフィス80aよりも路長の長い第二オリフィス80bとを備えている。第二オリフィス80bは、第一オリフィス80aよりも路長が長いため、第一オリフィス80aよりも流路抵抗が大きくなっている。このため、本実施形態の負圧式倍力装置1が有するオリフィス80は、上述した第三実施形態の負圧式倍力装置1が有するオリフィス80よりも、流路抵抗が増加している。
その他の構成は、上述した第一実施形態と同様である。
【0101】
(動作)
次に、本実施形態の負圧式倍力装置1の動作について説明する。なお、以下の説明では、第二貫通路106以外の構成については、上述した第三実施形態と同様であるため、異なる部分の動作を中心に説明する。
運転者がブレーキペダルを踏み込んでいない非作動状態から、運転者がブレーキペダルを踏み込んで入力軸32を前進させると、パワーピストンユニット18がリターンスプリング30の弾性力に抗して前進し、出力軸16から倍力した力が出力される(図1参照)。
【0102】
パワーピストンユニット18が前進すると、この前進に伴って定圧室20の容積が減少するため、定圧室20内の圧力が高くなり、負圧源37側の圧力と定圧室20の圧力との圧力差が増加して、第一逆止弁6及び第二逆止弁8が開弁する。第一逆止弁6及び第二逆止弁8が開弁すると、連通管4の内部に、定圧室20側から負圧源37側への気体の移動経路が形成されることとなり、定圧室20側から負圧源37側へ気体が移動する(図1参照)。
このとき、ブレーキペダルを踏み込んだ後に、ブレーキ力を一定に保つためにブレーキペダルの踏み込みを途中で停止させると、入力軸32が停止した状態で、負圧源37側の圧力と定圧室20の圧力との圧力差が減少していく(図1参照)。
【0103】
負圧源37側の圧力と定圧室20の圧力との圧力差が減少していく過程において、第二逆止弁8の入口54側の圧力と出口56側の圧力との圧力差が、開弁圧力P2を超えている状態では、第二逆止弁8の入口54側から出口56側へ移動する気体の流速が、開弁圧力P2に応じた速度を超えている。このため、絞り通路変化弾性体82が、第二逆止弁8の移動方向へ収縮して、絞り通路の流路面積が減少するとともに、絞り通路の長さが減少し、最終的には、絞り通路変化弾性体82が、第二逆止弁8と接触して、第一貫通路96と第二貫通路106によって、絞り通路が構成される。この状態では、絞り通路の流路面積及び長さが、最小の状態となるため、絞り通路の流路抵抗が最大となる。
【0104】
そして、負圧源37側の圧力と定圧室20の圧力との圧力差が減少していく過程において、第二逆止弁8の入口54側の圧力と出口56側の圧力との圧力差が、開弁圧力P2となった状態で、第二逆止弁8が閉弁する。
第二逆止弁8が閉弁すると、絞り通路のみによって、第二逆止弁8の入口54側と出口56側とが連通されることとなる。
【0105】
このとき、絞り通路を構成するオリフィス80は、第一貫通路96によって形成された第一オリフィス80aと、第二貫通路106によって形成された、第一オリフィス80aよりも路長の長い第二オリフィス80bとを備えており、上述した第三実施形態の負圧式倍力装置が有するオリフィスと比較して、流路抵抗が増加している。このため、定圧室20の圧力は、上述した第三実施形態の負圧式倍力装置1の動作と比較して、更になだらかな勾配を描くように低下し、パワーピストンユニット18は、上述した第三実施形態の負圧式倍力装置1の動作と比較して、更にゆっくりと移動することとなる。したがって、制動圧は、上述した第三実施形態の負圧式倍力装置1の動作と比較して、更になだらかな勾配を描くように上昇する。
【0106】
定圧室20の圧力が、なだらかな勾配を描くように低下していくと、第二逆止弁8の入口54側の圧力と出口56側の圧力とが所定の圧力差が、開弁圧力P2以下となり、第二逆止弁8の入口54側から出口56側へ移動する気体の流速が、開弁圧力P2に応じた速度以下となる。そして、絞り通路変化弾性体82が、第二逆止弁8の移動方向へ伸長して、絞り通路の流路面積が増加していくとともに、絞り通路の長さが増加していくため、絞り通路の流路抵抗が減少していく。
【0107】
絞り通路の流路抵抗が減少していくと、この流路抵抗の減少に伴って、第二逆止弁8の入口54側から出口56側へ移動する気体の流量が、急勾配を描くように増加していくため、定圧室20側から負圧源37側へ移動する気体の流量が、急勾配を描くように増加していく。このため、定圧室20の圧力は急勾配を描くように低下し、パワーピストンユニット18は急激に移動することとなり、制動圧は急勾配を描くように上昇する。
【0108】
したがって、ブレーキペダルの踏み込み操作を停止させた後の制動圧は、なだらかな勾配を描くように上昇した後、急勾配を描くように上昇する。
そして、第一逆止弁6の入口44側の圧力と出口46側の圧力との圧力差が、開弁圧力P1よりも小さくなると、第一逆止弁6が閉弁して、負圧源37と定圧室20の連通が遮断され、定圧室20内の負圧が一定に保持されるとともに、制動圧が一定に保持される。
【0109】
(応用例)
なお、本実施形態の負圧式倍力装置1では、第二貫通路106を、入口側開口路118と、出口側開口路120と、入口側連絡路122と、出口側連絡路124と、中継路126とを備えた構成としたが、これに限定されるものではない。要は、第二貫通路106が、第一オリフィス80aよりも路長の長い第二オリフィス80bを形成する構成であればよく、第二貫通路106の形状は、例えば、少なくとも一部が湾曲していてもよく、全体として螺旋状に形成されていてもよい。
【0110】
(第五実施形態の効果)
(1)本実施形態の負圧式倍力装置では、第二逆止弁の入口側の圧力と出口側の圧力との圧力差に応じて、絞り通路変化バルブが絞り通路の長さ方向へ移動することにより、絞り通路の流路面積及び長さが変化して、絞り通路の流路抵抗が変化する。
その結果、上述した第三実施形態と同様に、ブレーキペダルの踏み込み操作を停止させた後の制動圧は、なだらかな勾配を描くように上昇した後に、急勾配を描くように上昇するため、ブレーキペダルの踏み込み操作を途中で停止した際に、運転者が、良好なビルドアップ感を得ることが可能となる。
【0111】
(2)また、本実施形態の負圧式倍力装置では、絞り通路を構成するオリフィスが、第一貫通路によって形成された第一オリフィスと、第二貫通路によって形成された、第一オリフィスよりも路長の長い第二オリフィスとを備えており、上述した第三実施形態の負圧式倍力装置が有するオリフィスよりも、流路抵抗が増加している。
このため、第二逆止弁の入口側の圧力と出口側の圧力との圧力差が、開弁圧力P2となった状態では、定圧室の圧力は、上述した第三実施形態の負圧式倍力装置の動作と比較して、更になだらかな勾配を描くように低下する、
【0112】
したがって、パワーピストンユニットは、上述した第三実施形態の負圧式倍力装置の動作と比較して、更にゆっくりと移動することとなるため、制動圧は、上述した第三実施形態の負圧式倍力装置の動作と比較して、更になだらかな勾配を描くように上昇する。
その結果、第二オリフィスの形状を調整することにより、制動圧がなだらかな勾配を描くように上昇する際の勾配を、所望の勾配に調整することが可能となるため、運転者が得るビルドアップ感を調整することが可能となる。
【0113】
(第六実施形態)
(構成)
次に、本発明の第六実施形態について説明する。
図13は、本実施形態の負圧式倍力装置1の構成を示す図である。
図13中に示すように、本実施形態の負圧式倍力装置1の構成は、第二逆止弁8の構成を除き、上述した第一実施形態と同様の構成となっている。なお、図13は、本実施形態の負圧式倍力装置1の一部を示す図である。
第二逆止弁8は、第二弁体50と、板ばね部材130とを備えている。
【0114】
第二弁体50は、第一貫通路96を有している。第一貫通路96の構成は、上述した第三実施形態の負圧式倍力装置1が有する第一貫通路96の構成と同様であるため、説明は省略する。
板ばね部材130は、取り付け部132と、平面部134と、湾曲部136とを有している。
取り付け部132は、板ばね部材130の一方の端部を形成しており、第二弁体50のうち、第二逆止弁8の入口54側の面に設けられた取り付け溝138に取り付けられて、板ばね部材130全体を第二弁体50へ取り付けている。
【0115】
平面部134は、第二弁体50よりも第二逆止弁8の入口54側に配置されており、板ばね側透過部140を有している。板ばね側透過部140は、図14中に示すように、第一貫通路96が備える小径部74よりも小径の孔であり、第二弁体50と平面部134が接触した状態で、第二逆止弁8の移動方向から見て、第一貫通路96と重なる位置に形成されている。なお、図14は、図13中に示した板ばね部材130を、図13中に記載した矢印Bの方向から見た図であり、図14中では、説明のために、第二弁体50の図示を省略している。
したがって、本実施形態の負圧式倍力装置1では、第一貫通路96と、板ばね側透過部140とによって、オリフィス80が形成されており、このオリフィス80は、第二逆止弁8の入口54側と出口56側を常時連通する絞り通路を構成している。
【0116】
湾曲部136は、平面部134が第二弁体50よりも第二逆止弁8の入口54側に配置されるように湾曲しており、取り付け部132と平面部134との間を構成している。また、湾曲部136は、第二逆止弁8の入口54側の圧力と出口56側の圧力との圧力差に応じて湾曲することにより、平面部134を第二逆止弁8の移動方向へ移動させる弾性率を有している。具体的には、湾曲部136の弾性率は、第二逆止弁8の入口54側の圧力と出口56側の圧力との圧力差が、開弁圧力P2を超え、第二逆止弁8の入口54側から出口56側へ移動する気体の流速が、開弁圧力P2に応じた速度を超えているときは、平面部134が、第二逆止弁8の出口56側へ移動し、最終的には第二逆止弁8と平面部134が接触する値に設定されている。平面部134が第二逆止弁8の出口56側へ移動すると、第一貫通路96と平面部134との間に形成される隙間の面積、すなわち、絞り通路の流路面積が減少して、絞り通路の流路抵抗が増加する。
【0117】
また、湾曲部136の弾性率は、第二逆止弁8の入口54側の圧力と出口56側の圧力との圧力差が、開弁圧力P2以下であり、第二逆止弁8の入口54側から出口56側へ移動する気体の流速が、開弁圧力P2に応じた速度以下であるときは、平面部134が、第二逆止弁8の入口54側へ移動する値に設定されている。平面部134が第二逆止弁8の入口54側へ移動すると、第一貫通路96と平面部134との間に形成される隙間の面積、すなわち、絞り通路の流路面積が増加して、絞り通路の流路抵抗が減少する。
【0118】
したがって、湾曲部136は、第二逆止弁8の入口54側の圧力と出口56側の圧力との圧力差に応じて、平面部134を第二逆止弁8の移動方向、すなわち、絞り通路の長さ方向へ移動させることにより、絞り通路の流路面積を変化させる構成となっている。
なお、本実施形態の負圧式倍力装置1では、板ばね部材130が、第二逆止弁8の入口54側の圧力と出口56側の圧力との圧力差に応じて、絞り通路の長さ方向へ移動して絞り通路の流路面積を変化させる流路面積変化バルブを構成している。
その他の構成は、上述した第一実施形態と同様である。
【0119】
(動作)
次に、本実施形態の負圧式倍力装置1の動作について説明する。なお、以下の説明では、第二逆止弁8以外の構成については、上述した第一実施形態と同様であるため、異なる部分の動作を中心に説明する。
運転者がブレーキペダルを踏み込んでいない非作動状態から、運転者がブレーキペダルを踏み込んで入力軸32を前進させると、パワーピストンユニット18がリターンスプリング30の弾性力に抗して前進し、出力軸16から倍力した力が出力される(図1参照)。
【0120】
パワーピストンユニット18が前進すると、この前進に伴って定圧室20の容積が減少するため、定圧室20内の圧力が高くなり、負圧源37側の圧力と定圧室20の圧力との圧力差が増加して、第一逆止弁6及び第二逆止弁8が開弁する。第一逆止弁6及び第二逆止弁8が開弁すると、連通管4の内部に、定圧室20側から負圧源37側への気体の移動経路が形成されることとなり、定圧室20側から負圧源37側へ気体が移動する(図1参照)。
このとき、ブレーキペダルを踏み込んだ後に、ブレーキ力を一定に保つためにブレーキペダルの踏み込みを途中で停止させると、入力軸32が停止した状態で、負圧源37側の圧力と定圧室20の圧力との圧力差が減少していく(図1参照)。
【0121】
負圧源37側の圧力と定圧室20の圧力との圧力差が減少していく過程において、第二逆止弁8の入口54側の圧力と出口56側の圧力との圧力差が、開弁圧力P2を超えている状態では、第二逆止弁8の入口54側から出口56側へ移動する気体の流速が、開弁圧力P2に応じた速度を超えている。このため、平面部134が、第二逆止弁8の出口56側へ移動して、絞り通路の流路面積が減少し、最終的には、平面部134が、第二逆止弁8と接触して、第一貫通路96及び板ばね側透過部140によって、絞り通路が構成される。この状態では、絞り通路の流路面積が、最小の状態となるため、絞り通路の流路抵抗が最大となる。
【0122】
そして、負圧源37側の圧力と定圧室20の圧力との圧力差が減少していく過程において、第二逆止弁8の入口54側の圧力と出口56側の圧力との圧力差が、開弁圧力P2となった状態で、第二逆止弁8が閉弁する。
第二逆止弁8が閉弁すると、絞り通路のみによって、第二逆止弁8の入口54側の圧力と出口56側とが連通されることとなるため、定圧室20の圧力は、なだらかな勾配を描くように低下し、パワーピストンユニット18はゆっくりと移動することとなり、制動圧は、なだらかな勾配を描くように上昇する。
【0123】
定圧室20の圧力が、なだらかな勾配を描くように低下していくと、第二逆止弁8の入口54側の圧力と出口56側の圧力とが所定の圧力差が、開弁圧力P2以下となり、第二逆止弁8の入口54側から出口56側へ移動する気体の流速が、開弁圧力P2に応じた速度以下となる。そして、平面部134が、第二逆止弁8の入口54側へ移動して、絞り通路の流路面積が増加していくため、絞り通路の流路抵抗が減少していく。
【0124】
絞り通路の流路抵抗が減少していくと、この流路抵抗の減少に伴って、第二逆止弁8の入口54側から出口56側へ移動する気体の流量が、急勾配を描くように増加していくため、定圧室20側から負圧源37側へ移動する気体の流量が、急勾配を描くように増加していく。このため、定圧室20の圧力は急勾配を描くように低下し、パワーピストンユニット18は急激に移動することとなり、制動圧は急勾配を描くように上昇する。
【0125】
したがって、ブレーキペダルの踏み込み操作を停止させた後の制動圧は、なだらかな勾配を描くように上昇した後、急勾配を描くように上昇する。
そして、第一逆止弁6の入口44側の圧力と出口46側の圧力との圧力差が、開弁圧力P1よりも小さくなると、第一逆止弁6が閉弁して、負圧源37と定圧室20の連通が遮断され、定圧室20内の負圧が一定に保持されるとともに、制動圧が一定に保持される。
【0126】
(応用例)
なお、本実施形態の負圧式倍力装置1では、湾曲部136の弾性率を、第二逆止弁8の入口54側から出口56側へ移動する気体の流速が、開弁圧力P2に応じた速度を超えているときは、平面部134が第二逆止弁8の出口56側へ移動し、最終的には第二逆止弁8と平面部134が接触する値に設定したが、これに限定されるものではない。すなわち、湾曲部136の弾性率を、第二逆止弁8の入口54側から出口56側へ移動する気体の流速が、開弁圧力P2に応じた速度を超えている状態において、平面部134が、第二逆止弁8と平面部134が接触しない位置まで移動する値に設定してもよい。
【0127】
また、本実施形態の負圧式倍力装置1では、板ばね側透過部140を、第一貫通路96が備える小径部74よりも小径の孔によって形成したが、板ばね側透過部140の構成は、これに限定されるものではない。すなわち、板ばね側透過部140を、第一貫通路96が備える小径部74以上の径を有する孔によって形成してもよい。また、板ばね側透過部140を、例えば、図15に示すように、平面部134が有する孔の内部に、スポンジ等の気体が透過可能な透過部材90を配置した構成してもよい。また、板ばね側透過部140を、例えば、図16に示すように、スリットによって構成してもよい。
【0128】
また、本実施形態の負圧式倍力装置1では、平面部134が、板ばね側透過部140を有している構成としたが、これに限定されるものでなく、平面部134が、板ばね側透過部140を有していない構成してもよい。この場合、湾曲部136の弾性率を、定圧室20側から負圧源37側へ移動する気体の流速が、開弁圧力P2に応じた速度を超えている状態において、平面部134が、第二逆止弁8と平面部134が接触しない位置まで移動する値に設定する。
【0129】
(第六実施形態の効果)
(1)本実施形態の負圧式倍力装置では、第二逆止弁の入口側の圧力と出口側の圧力との圧力差に応じて、平面部が絞り通路の長さ方向へ移動することにより、絞り通路の流路面積が変化して、絞り通路の流路抵抗が変化する。
その結果、上述した第一実施形態と同様に、ブレーキペダルの踏み込み操作を停止させた後の制動圧は、なだらかな勾配を描くように上昇した後に、急勾配を描くように上昇するため、ブレーキペダルの踏み込み操作を途中で停止した際に、運転者が、良好なビルドアップ感を得ることが可能となる。
【0130】
(第七実施形態)
(構成)
次に、本発明の第七実施形態について説明する。
図17及び図18は、本実施形態の負圧式倍力装置1の構成を示す図である。
図17及び図18中に示すように、本実施形態の負圧式倍力装置1の構成は、第二逆止弁8の構成を除き、上述した第一実施形態と同様の構成となっている。なお、図17及び図18は、本実施形態の負圧式倍力装置1の一部を示す図である。
第二逆止弁8は、第二弁体50と、平板部142と、連結部材144とを備えている。
【0131】
第二弁体50は、第一貫通路96と、連通路内凹部146とを有している。
第一貫通路96は、第二弁体50を第二逆止弁8の移動方向に貫通しており、その内径は、全体に亘って同一となっている。
連通路内凹部146は、第一貫通路96の内周面に凹設されており、その深さ方向は、第一貫通路96の径方向と平行をなしている。また、連通路内凹部146は、平板部142及び連結部材144が連通路内凹部146の内部に移動可能な形状に形成されている。
【0132】
平板部142は、例えば、金属材料等の非弾性材料を用いて板状に形成されており、平板部142の平面の面積が、第一貫通路96の断面積よりも小さくなるように形成されている。また、平板部142は、第一貫通路96内において、第一貫通路96の径方向から見て連通路内凹部146と重なる位置に配置されている。平板部142の平面は、第一貫通路96の長さ方向から見て、第一貫通路96の一部を閉塞しており、第一貫通路96と平板部142との間には、隙間が常時形成されている。
【0133】
連結部材144は、例えば、ゴム等の弾性材料によって形成されており、第二弁体50と平板部142とを連結している。連結部材144の一方の端部(図示せず)は、第一貫通路96の内周面に連結されており、連結部材144の他方の端部は、平板部142に連結されている。また、連結部材144の有する弾性は、連結部材144全体が、第二逆止弁8の入口54側と出口56側との圧力差に応じて湾曲する弾性となっている。連結部材144の有する弾性の詳細については、後述する。
したがって、本実施形態の負圧式倍力装置1では、第一貫通路96と平板部142との間の隙間によって、オリフィス80が形成されており、このオリフィス80は、第二逆止弁8の入口54側と出口56側を常時連通する絞り通路を構成している。
【0134】
連結部材144は、第二逆止弁8の入口54側の圧力と出口56側の圧力との圧力差に応じて湾曲することにより、平板部142を絞り通路の径方向へ移動させる弾性率を有している。具体的には、連結部材144の弾性率は、第二逆止弁8の入口54側の圧力と出口56側の圧力との圧力差が、開弁圧力P2を超え、第二逆止弁8の入口54側から出口56側へ移動する気体の流速が、開弁圧力P2に応じた速度を超えているときは、連結部材144が湾曲して、連結部材144及び平板部142が絞り通路の径方向へ移動し、平板部142が第一貫通路96の内周面に接近する。平板部142が第一貫通路96の内周面に接近すると、第一貫通路96と平板部142との間に形成される隙間の面積、すなわち、絞り通路の流路面積が減少して、絞り通路の流路抵抗が増加する。
【0135】
また、連結部材144の弾性率は、第二逆止弁8の入口54側の圧力と出口56側の圧力との圧力差が、開弁圧力P2以下であり、第二逆止弁8の入口54側から出口56側へ移動する気体の流速が、開弁圧力P2に応じた速度以下であるときは、連結部材144が湾曲して、連結部材144及び平板部142が絞り通路の径方向へ移動し、連通路内凹部146の内部へ移動する値に設定されている。連結部材144及び平板部142が連通路内凹部146の内部へ移動すると、第一貫通路96と平板部142との間に形成される隙間の面積、すなわち、絞り通路の流路面積が増加して、絞り通路の流路抵抗が減少する。
【0136】
したがって、連結部材144は、第二逆止弁8の入口54側の圧力と出口56側の圧力との圧力差に応じて湾曲して、平板部142を絞り通路の径方向へ移動させることにより、絞り通路の流路面積を変化させる構成となっている。
なお、本実施形態の負圧式倍力装置1では、連結部材144が、第二逆止弁8の入口54側の圧力と出口56側の圧力との圧力差に応じて湾曲して、平板部142を絞り通路の径方向へ移動させて絞り通路の流路面積を変化させる流路面積変化バルブを構成している。
その他の構成は、上述した第一実施形態と同様である。
【0137】
(動作)
次に、本実施形態の負圧式倍力装置1の動作について説明する。なお、以下の説明では、第二逆止弁8以外の構成については、上述した第一実施形態と同様であるため、異なる部分の動作を中心に説明する。
運転者がブレーキペダルを踏み込んでいない非作動状態から、運転者がブレーキペダルを踏み込んで入力軸32を前進させると、パワーピストンユニット18がリターンスプリング30の弾性力に抗して前進し、出力軸16から倍力した力が出力される(図1参照)。
【0138】
パワーピストンユニット18が前進すると、この前進に伴って定圧室20の容積が減少するため、定圧室20内の圧力が高くなり、負圧源37側の圧力と定圧室20の圧力との圧力差が増加して、第一逆止弁6及び第二逆止弁8が開弁する。第一逆止弁6及び第二逆止弁8が開弁すると、連通管4の内部に、定圧室20側から負圧源37側への気体の移動経路が形成されることとなり、定圧室20側から負圧源37側へ気体が移動する(図1参照)。
このとき、ブレーキペダルを踏み込んだ後に、ブレーキ力を一定に保つためにブレーキペダルの踏み込みを途中で停止させると、入力軸32が停止した状態で、負圧源37側の圧力と定圧室20の圧力との圧力差が減少していく(図1参照)。
【0139】
負圧源37側の圧力と定圧室20の圧力との圧力差が減少していく過程において、第二逆止弁8の入口54側の圧力と出口56側の圧力との圧力差が、開弁圧力P2を超えている状態では、第二逆止弁8の入口54側から出口56側へ移動する気体の流速が、開弁圧力P2に応じた速度を超えている。このため、連結部材144が湾曲して、連結部材144及び平板部142が絞り通路の径方向へ移動し、平板部142が第一貫通路96の内周面に接近して、絞り通路の流路面積が減少し、第一貫通路96と平板部142との間の隙間によって、絞り通路が構成される。この状態では、絞り通路の流路面積が、最小の状態となるため、絞り通路の流路抵抗が最大となる(図17参照)。
【0140】
そして、負圧源37側の圧力と定圧室20の圧力との圧力差が減少していく過程において、第二逆止弁8の入口54側の圧力と出口56側の圧力との圧力差が、開弁圧力P2となった状態で、第二逆止弁8が閉弁する。
第二逆止弁8が閉弁すると、絞り通路のみによって、第二逆止弁8の入口54側の圧力と出口56側とが連通されることとなるため、定圧室20の圧力は、なだらかな勾配を描くように低下し、パワーピストンユニット18はゆっくりと移動することとなり、制動圧は、なだらかな勾配を描くように上昇する。
【0141】
定圧室20の圧力が、なだらかな勾配を描くように低下していくと、第二逆止弁8の入口54側の圧力と出口56側の圧力とが所定の圧力差が、開弁圧力P2以下となり、第二逆止弁8の入口54側から出口56側へ移動する気体の流速が、開弁圧力P2に応じた速度以下となる。そして、連結部材144が湾曲して、連結部材144及び平板部142が絞り通路の径方向へ移動し、連通路内凹部146の内部へ移動して、絞り通路の流路面積が増加していくため、絞り通路の流路抵抗が減少していく(図18参照)。
【0142】
絞り通路の流路抵抗が減少していくと、この流路抵抗の減少に伴って、第二逆止弁8の入口54側から出口56側へ移動する気体の流量が、急勾配を描くように増加していくため、定圧室20側から負圧源37側へ移動する気体の流量が、急勾配を描くように増加していく。このため、定圧室20の圧力は急勾配を描くように低下し、パワーピストンユニット18は急激に移動することとなり、制動圧は急勾配を描くように上昇する。
【0143】
したがって、ブレーキペダルの踏み込み操作を停止させた後の制動圧は、なだらかな勾配を描くように上昇した後、急勾配を描くように上昇する。
そして、第一逆止弁6の入口44側の圧力と出口46側の圧力との圧力差が、開弁圧力P1よりも小さくなると、第一逆止弁6が閉弁して、負圧源37と定圧室20の連通が遮断され、定圧室20内の負圧が一定に保持されるとともに、制動圧が一定に保持される。
【0144】
(応用例)
なお、本実施形態の負圧式倍力装置1では、連結部材144の弾性率を、第二逆止弁8の入口54側から出口56側へ移動する気体の流速が、開弁圧力P2に応じた速度を超えているときは、連結部材144が湾曲して、連結部材144及び平板部142が絞り通路の径方向へ移動し、平板部142が第一貫通路96の内周面に接近する値に設定したが、これに限定されるものではない。すなわち、連結部材144の弾性率を、第二逆止弁8の入口54側から出口56側へ移動する気体の流速が、開弁圧力P2に応じた速度を超えている状態において、平板部142が第一貫通路96の内周面と接触する値に設定してもよい。この場合、例えば、平板部142に、第二逆止弁8の入口54側と出口56側とを連通する貫通孔を形成することが好適である。
【0145】
また、本実施形態の負圧式倍力装置1では、連結部材144全体が、第二逆止弁8の入口54側から出口56側へ移動する気体の流速に応じて湾曲する構成としたが、これに限定されるものでない。すなわち、例えば、連結部材144のうち、第一貫通路96の径方向から見て連通路内凹部146と重なる部分の一部(図17及び図18中において点Tと示す部分)のみを、弾性材料によって形成してもよい。
【0146】
また、本実施形態の負圧式倍力装置1では、連結部材144の一方の端部が、第一貫通路96の内周面に連結されており、連結部材144の他方の端部が、平板部142に連結されている構成としたが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、図19に示すように、連結部材144の一方の端部が、第二弁体50の第二逆止弁8の入口54側の面に連結されており、連結部材144の他方の端部が、平板部142に連結されている構成としてもよい。なお、図19は、本実施形態の負圧式倍力装置1の変形例を示す図である。
【0147】
(第七実施形態の効果)
(1)本実施形態の負圧式倍力装置では、第二逆止弁の入口側の圧力と出口側の圧力との圧力差に応じて連結部材が湾曲し、平板部が絞り通路の径方向へ移動することにより、絞り通路の流路面積が変化して、絞り通路の流路抵抗が変化する。
その結果、上述した第一実施形態と同様に、ブレーキペダルの踏み込み操作を停止させた後の制動圧は、なだらかな勾配を描くように上昇した後に、急勾配を描くように上昇するため、ブレーキペダルの踏み込み操作を途中で停止した際に、運転者が、良好なビルドアップ感を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0148】
【図1】本発明の第一実施形態に係る負圧式倍力装置1の構成を示す図である。
【図2】図1中に記載した円II内及びその周辺の拡大図である。
【図3】図2を、図2中に記載した矢印Aの方向から見た図である。
【図4】連通路58と流路面積変化バルブ10が接触した状態を示す図である。
【図5】図4のV−V線断面図である。
【図6】本発明の第一実施形態に係る負圧式倍力装置1の作動時における、ブレーキペダルの踏み込み量、制動圧、定圧室内の負圧の、それぞれの時間的変化を示す図である。
【図7】従来の負圧式倍力装置の構成を示す図である。
【図8】本発明の第一実施形態に係る負圧式倍力装置1の変形例を示す図である。
【図9】本発明の第二実施形態に係る負圧式倍力装置1の構成を示す図である。
【図10】本発明の第三実施形態に係る負圧式倍力装置1の構成を示す図である。
【図11】本発明の第四実施形態に係る負圧式倍力装置1の構成を示す図である。
【図12】本発明の第五実施形態に係る負圧式倍力装置1の構成を示す図である。
【図13】本発明の第六実施形態に係る負圧式倍力装置1の構成を示す図である。
【図14】板ばね部材130を、図13中に記載した矢印Bの方向から見た図である。
【図15】本発明の第六実施形態に係る負圧式倍力装置1の変形例を示す図である。
【図16】本発明の第六実施形態に係る負圧式倍力装置1の変形例を示す図である。
【図17】本発明の第七実施形態に係る負圧式倍力装置1の構成を示す図である。
【図18】本発明の第七実施形態に係る負圧式倍力装置1の構成を示す図である。
【図19】本発明の第七実施形態に係る負圧式倍力装置1の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0149】
1 負圧式倍力装置
2 倍力装置本体
4 連通管
6 第一逆止弁
8 第二逆止弁
10 流路面積変化バルブ
16 出力軸
18 パワーピストンユニット
20 定圧室
22 変圧室
30 リターンスプリング
32 入力軸
37 負圧源
38 第一ばね
40 第一弁体
42 第一弁座
44 第一逆止弁の入口
46 第一逆止弁の出口
48 第二ばね
50 第二弁体
52 第二弁座
54 第二逆止弁の入口
56 第二逆止弁の出口
58 連通路
64 開口部
66 連通路側大径路
68 連通路側小径路
70 連通路側縮径路
72 大径部
74 小径部
76 縮径部
78 切り欠き
80 オリフィス
82 弾性体
90 透過部材
92 透過部材側弾性体
94 絞り通路変化バルブ
96 第一貫通路
100 第一貫通路側大径路
102 第一貫通路側小径路
106 第二貫通路
110 外周側流路
112 第二貫通路側第一大径路
114 第二貫通路側小径路
116 第二貫通路側第二縮径路
130 板ばね部材
134 平面部
136 湾曲部
140 板ばね側透過部
142 平板部
144 連結部材
146 連通路内凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気と連通する変圧室と内燃機関と連通する定圧室とに内部を画成された倍力装置本体と、前記定圧室を負圧源に連通させる連通管と、当該連通管へ直列に配設される第一逆止弁及び第二逆止弁と、前記第二逆止弁の入口側と出口側とを常時連通させる絞り通路と、を備え、
前記第一逆止弁及び前記第二逆止弁は、それぞれ、所定の開弁圧力が設定されるとともに前記定圧室側から前記負圧源側への気体の移動のみを許容し、
前記第二逆止弁は、前記第一逆止弁よりも前記定圧室側に配設される負圧式倍力装置であって、
前記第二逆止弁の入口側と出口側との圧力差に応じて前記絞り通路の流路抵抗を変化させることを特徴とする負圧式倍力装置。
【請求項2】
前記第二逆止弁の入口側と出口側との圧力差に応じて前記絞り通路の長さ方向へ移動することにより、前記絞り通路の流路面積を変化させる流路面積変化バルブを備えたことを特徴とする請求項1に記載した負圧式倍力装置。
【請求項3】
前記第二逆止弁は、当該第二逆止弁の内部に配置されるとともに前記第二逆止弁の入口側と出口側とを連通する連通路が形成された第二弁体を備え、
前記流路面積変化バルブは、前記連通路内に配置され、
前記連通路内において前記流路面積変化バルブよりも前記第二逆止弁の出口側に配置されるとともに気体が通過可能な弾性材料によって形成された透過部材を備え、
前記透過部材は、前記第二逆止弁の入口側と出口側との圧力差に応じて前記絞り通路の長さ方向へ伸縮することにより、前記流路面積変化バルブを前記絞り通路の長さ方向へ移動させることを特徴とする請求項2に記載した負圧式倍力装置。
【請求項4】
前記第二逆止弁は、当該第二逆止弁の内部に配置されるとともに前記第二逆止弁の入口側と出口側とを連通する連通路が形成された第二弁体を備え、
前記第二弁体へ取り付けられる板ばね部材を備え、
前記板ばね部材は、前記連通路内において前記第二弁体よりも前記第二逆止弁の入口側に配置されるとともに前記第二逆止弁の入口側と出口側との圧力差に応じて前記絞り通路の長さ方向へ移動する平面部を有し、
前記平面部は、前記第二弁体と前記平面部が接触した状態で前記第二逆止弁の移動方向から見て前記連通路と重なる位置に形成されるとともに気体が通過可能な板ばね側透過部を有し、
前記板ばね部材は、前記第二逆止弁の入口側と出口側との圧力差に応じて前記平面部を前記絞り通路の長さ方向へ移動させることにより、前記絞り通路の流路面積を変化させる流路面積変化バルブを構成することを特徴とする請求項2に記載した負圧式倍力装置。
【請求項5】
前記第二逆止弁の入口側と出口側との圧力差に応じて前記絞り通路の長さ方向へ移動することにより、前記絞り通路の長さを変化させる長さ変化バルブを備えたことを特徴とする請求項1に記載した負圧式倍力装置。
【請求項6】
前記第二逆止弁の入口側と出口側との圧力差に応じて絞り通路の長さ方向へ移動することにより、前記絞り通路の流路面積及び長さを変化させる絞り通路変化バルブを備えたことを特徴とする請求項1に記載した負圧式倍力装置。
【請求項7】
前記第二逆止弁は、当該第二逆止弁の内部に配置される第二弁体を備え、
前記絞り通路変化バルブは、前記第二逆止弁内において前記第二弁体よりも前記第二逆止弁の入口側に配置され、
前記第二逆止弁内において前記第二弁体と前記絞り通路変化バルブとを連結するとともに弾性材料によって形成された絞り通路変化弾性体を備え、
前記絞り通路変化弾性体は、前記第二逆止弁の入口側と出口側との圧力差に応じて絞り通路の長さ方向へ伸縮することにより、前記絞り通路変化バルブを前記絞り通路の長さ方向へ移動させることを特徴とする請求項6に記載した負圧式倍力装置。
【請求項8】
前記第二弁体は、当該第二弁体を前記第二逆止弁の移動方向に貫通する第一貫通路を有し、
前記第一貫通路は、第一貫通路側大径路と、当該第一貫通路側大径路よりも小径に形成された第一貫通路側小径路と、を備え、
前記絞り通路変化バルブは、当該絞り通路変化バルブを前記第二逆止弁の移動方向に貫通する第二貫通路を有し、
前記第二貫通路は、前記第一貫通路側小径路以下の径に形成された第二貫通路側大径路と、当該第二貫通路側大径路よりも小径の第二貫通路側小径路と、を備えたことを特徴とする請求項7に記載した負圧式倍力装置。
【請求項9】
前記第二弁体は、当該第二弁体を前記第二逆止弁の移動方向に貫通する第一貫通路を有し、
前記絞り通路変化バルブは、当該絞り通路変化バルブを前記第二逆止弁の移動方向に貫通するとともに前記第一貫通路よりも路長の長い第二貫通路を有することを特徴とする請求項7に記載した負圧式倍力装置。
【請求項10】
前記第二逆止弁の入口側と出口側との圧力差に応じて前記絞り通路の径方向へ移動することにより、前記絞り通路の流路面積を変化させる流路面積変化バルブを備えたことを特徴とする請求項1に記載した負圧式倍力装置。
【請求項11】
前記第二逆止弁は、当該第二逆止弁の内部に配置されるとともに前記第二逆止弁の入口側と出口側とを連通する連通路が形成された第二弁体を備え、
前記第二弁体は、前記連通路の内周面に凹設された連通路内凹部を有し、
前記連通路内において前記絞り通路の径方向から見て前記連通路内凹部と重なる位置に配置される平板部と、前記第二逆止弁の入口側と出口側との圧力差に応じて湾曲する弾性材料によって形成されるとともに前記第二弁体と前記平板部とを連結する連結部材と、を備え、
前記連結部材は、前記第二逆止弁の入口側と出口側との圧力差に応じて湾曲して前記平面部を前記連通路内凹部へ移動させることにより、前記平面部を前記絞り通路の径方向へ移動させて絞り通路の流路面積を変化させる流路面積変化バルブを構成することを特徴とする請求項10に記載した負圧式倍力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−68741(P2008−68741A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−249297(P2006−249297)
【出願日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】