説明

貫通孔を有する金属製基板を用いたマイクロスフィアの製造方法

【課題】
本発明は、食品工業、医薬或いは化粧品製造等に利用されるエマルション、DDS(ドラッグデリバリーシステム)用のエマルションなどとして用いられる固体微粒子や液体微粒子であるマイクロスフィアの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
上記の課題は、貫通孔7を形成した基板1を介して分散相と連続相を分離し、分散相を貫通孔7より連続相中にマイクロスフィアとして押出すことによるマイクロスフィア製造方法において、貫通孔7の幅が0.5〜500μm、貫通孔7の深さが10μm〜6000μm、貫通孔7の幅と深さの比が1〜1/30の範囲を満たし、貫通孔7を形成した基板が金属製基板であることを特徴とするマイクロスフィアの製造方法によって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品工業、医薬あるいは化粧品製造等に利用されるエマルション、DDS(ドラッグデリバリーシステム)用のエマルション、マイクロカプセル、イオン交換樹脂、クロマトグラフィー担体などとして用いられる固体微粒子や液体微粒子であるマイクロスフィア(微粒子)の製造方法に関する。
特に、本発明の貫通孔を有する金属製基板の製造方法は、微細加工精度、製造コスト、耐久性を満足させる観点から工業化(量産化)が可能なマイクロスフィアの製造方法として有用である。
【背景技術】
【0002】
水相と有機相のように熱力学的には分離している状態が安定状態である二相系を乳化によって準安定な状態であるエマルションとする技術が従来から知られている。
【0003】
一般的な乳化方法としては、エマルションの化学(朝倉書店:1971)に記載されるように、ミキサー、コロイドミル、ホモジナイザー等を用いる方法や超音波等で分散させる方法が知られている。
【0004】
前述の一般的なエマルションの製造方法にあっては、連続相中の分散相粒子(マイクロスフィア)の粒径分布の幅が大きいという欠点がある。そこで、ポリカーボネイトからなる膜を用いて濾過を行う方法、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)膜を用いて繰り返し濾過を行う方法、均一な細孔を持つ多孔質ガラス膜を通して連続相に送り込み均質なエマルションを製造する方法も提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
ポリカーボネイト膜やPTFE膜を用いて濾過を行う方法にあっては、原理的に膜の細孔より大きいものは製造できず、膜の細孔よりも小さいものは分別できないという問題点がある。従って、特に大きいサイズのエマルションを製造する場合には適さない。
【0006】
また、均一の細孔を持つ多孔質ガラス膜を用いる方法にあっては、膜の平均細孔径が小さい場合には粒径分布が広がらず、均質なエマルションを得ることができるが、膜の平均細孔径を大きくすると粒径分布が広がり、均質なエマルションを得ることができない。
【0007】
上記各種問題を解決するため、貫通孔を形成した隔壁を介して分散相と連続相を分離し、分散相に対して連続相にかかる圧力よりも大きな圧力をかけることで分散相を連続相中にマイクロスフィアとして押し出すようにしたマイクロスフィアの製造方法において、前記貫通孔から連続相中に押し出される分散相の界面に不均一な剪断力を作用せしめてマイクロスフィアを形成する方法が提案されている(特許文献2参照)。
【0008】
しかしながら、上記文献本文中、および実施例で示されている半導体微細加工技術を応用したシリコン基板へのウェットエッチング加工、またはドライエッチング加工により得られた基板は、1)使用時、または洗浄時に基板が破損しやすい、2)シリコン基板の材料コストが高価である、3)貫通孔の幅精度が得られない等の実用面での問題を有している。
【0009】
シリコン基板に貫通孔を形成する場合、一般に使用される基板の厚みは0.1mmから0.3mmである。貫通孔数(貫通孔面積)が増加するにつれ、機械強度が極端に低下し、マイクロスフィア形成の際に破損することが懸念されるため、実用化に適する加工法とはいえない。
また、繰り返し使用に際し、例えば超音波洗浄を行う場合も破損の可能性が増大する。
【0010】
ウェットエッチングでは、マスキング材料下部のアンダーエッチングの進行により、貫通孔の幅精度が得られないため、精密な加工法とはいえない。
【0011】
ウェットエッチングに対して、ドライエッチングはシリコン半導体のパターン形成プロセスから発展した技術であり、各種プラズマ源種による各種電子部品、化合物半導体への応用が研究されている。しかしながら、この方法は、優れた微細加工性を有する反面、エッチング速度が500〜2,000nm/分と遅いため、例えば造形深さが0.1mmの加工を行う場合、50分以上の加工時間が必要となり、生産性に優れた安価な加工法とはいえない。
エッチング速度が遅いため、貫通孔を形成するための基板厚さを薄くしようとすると、取り扱い時、または洗浄時の破損の可能性が更に増大する。
【0012】
係る問題を解決する他の製造方法として、レーザー加工法が挙げられる。しかしながら、金属、樹脂の切削、貫通孔作製等、一般に広く使用されている炭酸ガスレーザーは、レーザースポット径が直径500μmと大きく、微細な貫通孔を作製するのに適していないのが現状である。また、集光レンズを用い、更にスポット径を小さくしようとすると、加工深さが浅くなるという問題がある。
レーザースポット径が、最小のもので30〜50μmと小さい、YAGレーザー等を選択することによって、作製可能な最小貫通孔径は50〜100μmと改善されるが、レーザーの強度、指向性が低いため、10〜50μm深さの加工が限界であり、プリント配線板を形成する用途等に使用されているのが実状である(特許文献3参照)。
レーザースポット径が小さく、かつ加工深さを得る方法として、レーザーをパルス照射する方法が知られている。なかでも、フェムト秒レーザーは10〜50μmの最小貫通孔径にて、50μm以上の深さの加工が可能である。しかしながら、フェムト秒レーザーを用いる方法はフェムト秒発振装置が工業的に普及しておらず、かつ約1億円/台と高額なために、貫通孔を有する金属製基板の製造コスト高めることになる。また、貫通孔を有する金属製基板の孔数を高めようとすると、加工に要する時間が長くなり、大面積描画のための装置価格も高くなるため、実用面でも効率低下が予測される。
【0013】
係る問題を解決する他の製造方法として、精密バイトを使用した精密機械切削が挙げられる。しかしながら、精密バイトの最小バイト径はΦ100μmが限界であるため、それより小さな貫通孔の加工は不可能である。そして、1個単位で加工を行うため、数万個、数10万個の貫通孔を形成するのに数時間を要し、高コストとなる。また、Φ4インチ(直径100mm)以上の大面積加工を行おうとすると、精密バイトの磨耗が生じるため、高コストとなる。
【特許文献1】特開平2−95433号公報
【特許文献2】特許3511238号公報
【特許文献3】特許第2773710号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
半導体微細加工技術を応用したシリコン基板へのウェットエッチング加工、ドライエッチング加工、または従来の貫通孔を有する金属製基板の製造方法では、設計通りの貫通孔幅、深さが得られない、使用時または洗浄時に破損しやすい、シリコン基板の材料コストが高価である、所望の貫通孔幅、深さを有する金属製基板を生産性良く製造することができないという問題点があった。
【0015】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、所望の貫通孔幅、深さを有する金属製基板を用いたマイクロスフィアの製造方法を提供することを目的とする。
【0016】
また、本発明は、所望の貫通孔幅、深さを有する金属製基板を用いて製造したマイクロスフィアを提供することを目的とする。
【0017】
そして、本発明は、所望の貫通孔幅、深さを有するマイクロスフィア製造用金属製基板の製造方法、及びそれにより得られたマイクロスフィア製造用金属製基板を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、貫通孔を形成した基板として上記マイクロスフィア製造用金属製基板を用いるマイクロスフィアの製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、貫通孔を形成した基板を介して分散相と連続相を分離し、貫通孔より分散相を連続相中に押出しマイクロスフィアを製造する方法において、基板として特定の幅、深さを有する金属製の基板を用いることにより、前記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、貫通孔を形成した基板を介して分散相と連続相を分離し、貫通孔から分散相を連続相中に押出すことによりマイクロスフィアを製造する方法において、貫通孔の幅が0.5〜500μm、貫通孔の深さが10μm〜6000μm、貫通孔の幅と深さの比(幅/深さ)が1〜1/30(1/1〜1/30)である金属製の基板を少なくとも1枚用いるマイクロスフィアの製造方法である。
【0019】
また、本発明は、上記方法において、金属製の基板が化学的表面処理及び/又は物理的表面処理されていること、金属製の基板に形成された貫通孔の形状が多段構造であること、金属製の基板に形成された貫通孔の形状が、貫通孔のマイクロスフィア形成側開口周囲に凹造形を有すること、貫通孔を形成した金属製基板を複数枚備えたこと、金属製の基板が、二種以上の形状の貫通孔を有すること、および金属製の基板が、少なくとも一面に基板を支持する支持プレートを備えていることを好ましい態様としてそれぞれ包含する。
そして、本発明は、上記のいずれかの製造方法により得られるマイクロスフィアである。
【0020】
さらに、本発明は、レジスト形成基板上にレジスト層を形成し、マスクを用いて露光及び現像、または露光、熱処理及び現像を行い、貫通孔の形状を有するレジストパターンを形成するレジストパターン形成ステップと、前記レジストパターンにしたがってメッキにより金属を堆積させた後、レジスト形成基板を剥離し、次いでレジストパターンを現像液により剥離して貫通孔を有する金属製の基板を形成する金属製基板形成ステップとを含む工程により得られる上記製法に用いられる金属製基板の製造方法である。
【0021】
さらにまた、本発明は、上記金属製基板の製造方法におけるレジストパターン形成ステップにおいて、導電性を有するレジスト形成基板を用いてレジスト層を形成し、マスクを用いて露光及び現像、または露光、熱処理及び現像を行うこと、前記レジストパターン形成ステップにおいて、レジストパターンが貫通孔の高さに形成されるまで、複数回のレジスト層の形成と、少なくとも1回以上の露光及び現像、または露光、熱処理及び現像により貫通孔の形状を有するレジストパターンを形成すること、レジストパターン形成ステップにおいて、複数回のレジスト層の形成と、少なくとも1回以上の露光及び現像、または露光、熱処理及び現像する際に、露光における各層のマスクパターンの位置が同じ位置になるように、マスクパターンの位置を合わせるマスク位置合わせステップを備えること、前記レジストパターン形成ステップにおいて、複数回のレジスト層を形成する際に、各レジスト層に露光感度の異なるレジストを用いること、およびレジストパターン形成ステップにおいて、露光に用いられる光源が紫外線またはレーザー光であることを好ましい態様として包含する。
さらに、本発明は、上記製造方法により得られる貫通孔を形成した金属製基板である。

【0022】
そして、さらに本発明は、ケースに第1プレート、貫通孔を形成した基板及び第2プレートが間隔をあけて取り付けられ、前記第1プレートと貫通孔を形成した基板との間に分散相が流れる第1の流路が形成され、前記貫通孔を形成した基板及び第2プレートとの間に連続相とマイクロスフィアを含む層が流れる第2の流路が形成され、該基板が貫通孔の幅が0.5〜500μm、貫通孔の深さが10μm〜6000μm、貫通孔の幅と深さの比(幅/深さ)が1〜1/30である金属製基板であるマイクロスフィアの製造装置である。
そして、さたにまた、本発明は、第1プレートおよび/または第2プレートの少なくとも一部が透明性を有する部材で形成されている上記製造装置である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、所望の貫通孔幅、深さを有する金属製基板を用いたマイクロスフィアの製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、所望の貫通孔幅、深さを有する金属製基板を用いて製造したマイクロスフィアを提供することもできる。さらに、本発明は、所望の貫通孔幅、深さを有するマイクロスフィア製造用金属製基板の製造方法、及びそれにより得られたマイクロスフィア製造用金属製基板を提供することができる。さらに、また、本発明によれば、貫通孔を形成した基板として上記マイクロスフィア製造用金属製基板を用いるマイクロスフィアの製造装置を提供することができる。
【0024】
例えば、本発明によれば、食品工業、医薬或いは化粧品製造等に利用されるエマルション、DDS(ドラッグデリバリーシステム)用のエマルション、マイクロカプセル、イオン交換樹脂、クロマトグラフィー担体などとして用いられる固体微粒子や液体微粒子であるマイクロスフィア(微粒子)の製造において、微細加工精度、製造コスト、耐久性について市場の要求を十分満足し、工業化(量産化)が可能となる。
特に、本発明をマヨネーズ、チョコレート、マーガリン、ファットスプレッドなどの製造に応用した場合、分散相粒子を微細且つ均一にすることができ、長期保存しても分離しにくく、且つ食感も向上するマイクロスフィアの工業化(量産化)が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を詳細に説明する。
本形態の貫通孔を有する金属製基板の貫通孔の寸法は、食品工業、医薬あるいは化粧品製造等に利用されるエマルション、DDS(ドラッグデリバリーシステム)用のエマルション、マイクロカプセル、イオン交換樹脂、クロマトグラフィー担体等の用途に応じて選択することが好ましい。
貫通孔から連続相中に押し出される分散相の界面に不均一な剪断力が作用すると、分散相が分離してマイクロスフィアになるきっかけが容易に得られ、均一な粒径のマイクロスフィアを製造することができる。これは、貫通孔の開口形状をスロット状等の歪みをもった形状とすることで達成できる。即ち、分散相が貫通孔から押し出される際に、その歪みに起因して界面に対して垂直で外側から内側の方向の力の大きさに分布が生じることにより、分散相と連続相の界面の状態が不安定になり、界面の剪断が促進され、細かく均質なマイクロスフィアが生成される。
したがって、分散相を連続相に押し出す開口形状は、円形または円形に近い形状、正方形または正方形に近い形状よりも、楕円形または長方形の形状を有するほうが開口部から分散相が分離するきっかけが得られる点で好ましい。長方形(楕円形)の短辺(短直径)と長辺(長直径)の比は、1:1〜1:20の範囲であることが好ましく、1:2〜1:10の範囲から選択することがより好ましい。
マイクロスフィアとしてエマルションなどを目的とする場合には、例えば、分散相および連続相とも液体とし、また噴霧乾燥などを目的とする場合には、分散相は液体で連続相は気体とする。
貫通孔を有する金属製基板の貫通孔は、レーザーディスク、ミニディスク等の記録メディア、導光体等の光学商品の製造において、凹凸パターンを有するスタンパー(原盤)を製造する技術によって作製され、極めて微細、かつ高精度な寸法を実現することが可能である。貫通孔の幅は、使用する用途によって、0.5〜500μmの範囲から選択することが好ましく、1〜250μmの範囲から選択することがより好ましい。貫通孔の幅とは、例えば、貫通孔が円形の場合は直径であり、楕円形の場合は短径であり、また長方形の場合は短辺として設定する。
貫通孔の深さは、10μm〜6000μmの範囲のなかから選択することが好ましく、30μm〜3000μmの範囲から選択することがより好ましい。
貫通孔の幅と深さの比(幅/深さ)は、1〜1/30の範囲から選択することが好ましく、1〜1/20の範囲から選択することがより好ましい。
【0026】
貫通孔を有する金属製基板の親水、疎水性に応じて製造するマイクロスフィアのタイプを変えることが可能である。即ち、親水性のプレートを用いた場合にはO/W型(水中油型)のマイクロスフィア、疎水性のプレートを用いた場合にはW/O型(油中水型)のマイクロスフィアを製造することができる。貫通孔を有する金属製基板の親水化、疎水化処理は、金属製基板の表面に、有機、又はメッキ等による無機材料の堆積によって可能となる。
一般に、材料表面のぬれ性を改質する技術は、化学的処理技術、物理的処理技術に大別される。化学的処理技術としては、薬品処理、溶剤処理、カップリング剤処理、モノマーコーティング、ポリマーコーティング、無機材料コーティング、蒸気処理、表面グラフト化、電気化学的処理、陽極酸化等が挙げられる。一方、物理的処理技術としては、紫外線照射処理、プラズマ接触処理、プラズマジェット処理、プラズマ重合処理、蒸着重合処理、熱酸化処理、イオンビーム処理、機械的処理等が挙げられる。
【0027】
貫通孔を有する金属製基板を用いたマイクロスフィアの製造方法において、貫通孔の形状が多段構造を有することによって、マイクロスフィアの製造効率を更に高めることが可能となる。
マイクロスフィアを安定的に生成するには分散相界面が剪断される時に、界面の周囲に存在する連続相が界面に向けて移動・供給されることが必要となるために、ある程度の割合で連続相が界面の周囲に存在することが必要となる。また、生成したマイクロスフィアを回収するためにも連続相の供給が必要であるとともに、連続相の流速を変化させることによりエマルション中の分散相の割合を任意に設定することができる。
【0028】
マイクロスフィアの製造効率を高めるためには、分散相界面が剪断される時に、界面の周囲に存在する連続相が、開口部の界面に向けて積極的に供給される形状を有することが必要となる。開口部の界面に向けて積極的に連続相を供給する方法として、貫通孔の開口側孔寸法を、その手前側の孔寸法よりも大きくすることにより、積極的に連続相を導入することが可能となり、マイクロスフィアの製造効率を高めることが可能となる。
また、貫通孔の開口側孔寸法を、その手前側の孔寸法よりも大きくすることにより、開口部の界面の内部に連続相を導入することができ、分散相界面の剪断を積極的に行うことができ、更にマイクロスフィアの製造効率を高めることが可能となる。
【0029】
貫通孔の開口側孔寸法を、その手前側の孔寸法よりも大きくした場合、分散相界面の剪断を積極的に行う効果により、分散相を連続相に押し出す。開口側の手前側の開口形状は、円形または円形に近い形状、正方形または正方形に近い形状であってもよい。
【0030】
貫通孔を有する金属製基板を用いたマイクロスフィアの製造方法において、マイクロスフィア形成側周囲に凹造形を有することで、マイクロスフィアの製造効率を更に高めることが可能となる。マイクロスフィアが形成される貫通孔の開口側周囲に凹造形を施すことにより、積極的に連続相を導入することが可能となり、マイクロスフィアの製造効率を高めることが可能となる。
【0031】
貫通孔全体の深さが、例えば50μmと浅い場合、開口側孔寸法をその手前側の孔寸法よりも大きくすると、マイクロスフィア形成のための分散相供給圧力範囲が狭くなり、マイクロスフィアを安定して製造することが容易でない場合があるため、貫通孔の開口側周囲に凹造形を施すことを選択することが望ましい。
【0032】
図3(a)〜(e)に、マイクロスフィアの製造効率を高めるための、貫通孔の形状が多段構造、またはマイクロスフィア形成側周囲に凹造形を施した場合の構造例を示す。図3(a)に示す貫通孔7の断面形状は四角形、図3(b)及び(c)に示す貫通孔7の断面形状は円形である。
図3(a)〜(c)に多段構造の例を示しているが、貫通孔7の形状は特に制限なく、例えば、四角形、円形、楕円形などであってもよく、これらを組み合わせでもよい。そして、貫通孔7の連続相側(分散相出口)8の形状についても特に制限されないが、粒子の単離効率をさらに高める観点から、その手前(内側)の貫通孔7の大きさよりも大きいことが重要となる。例えば、貫通孔7の連続相側(分散相出口)8の大きさは、その手前(内側)の貫通孔の大きさよりわずかに大きくすることにより製造効率を向上することができる。また連続相側(分散相出口)8の貫通孔の形状としては、図3(c)のように隣接する貫通孔と連結されていてもよい。これらの場合には、連続相を貫通孔側に供給することがより容易となり、マイクロスフィアの製造効率を飛躍的に高めることが可能となる。さらに、貫通孔7の多段構造としては、金属製基板の製造上特に制約がない限り限定されないが、上記の図のように2段構造でもよいし、3段以上のものであってもよい。
また、本発明においては、図3(d)および(e)に示すようにマイクロスフィア形成側である連続相側(分散相出口)8の周囲に、凹造形を施すことでも、マイクロスフィアの製造効率をより高めることが期待できる。例えば、図3(d)では複数の長方形貫通孔の両サイドに長方形形状の窪み(すなわち凹造形)9を形成し、また、図3(e)では複数の長楕円形貫通孔7の両サイドに長方形形状の窪み(すなわち凹造形)9を形成しているが、この凹造形の窪み9の形状および大きさは特に限定されず、貫通孔7の配置により適宜調整して設けることができる。凹造形の配置としては、貫通孔7の形状に影響を与えない範囲で貫通孔7の近傍に設けることができ、例えば貫通孔7の両サイドに設けた凹造形を一部分で連結していてもよい。
【0033】
貫通孔を有する金属製基板を用いたマイクロスフィアの製造方法において、貫通孔を形成した金属製基板を複数枚備えることにより、マイクロスフィアの生産性を高めることが可能となる。
特に、工業的なスケールとして、1〜100トン/年の生産量が要求される場合、貫通孔を有する金属製基板の大面積化、かつ複数枚備えることにより達成することができる。
【0034】
金属製の基板が、二種以上の形状の貫通孔を有することで、マイクロスフィアの製造効率を高めることが可能となる。1枚の貫通孔を有する金属製基板に、一種のみの孔形状を有している場合、一種類の粒子径を有するマイクロスフィアしか製造することができない。工業用途等の実使用において、複数種の粒子径を有するマイクロスフィアが必要な場合、二種以上の形状の貫通孔を有する金属製基板を使用することにより、マイクロスフィアの製造効率を高めることが可能となる。
【0035】
貫通孔を有する金属製基板を用いたマイクロスフィアの製造装置において、貫通孔を形成した金属製基板の少なくとも一面に、金属製基板を支持する支持プレートを備えることにより、マイクロスフィアの生産性を高めることが可能となる。
貫通孔を形成した金属製基板の深さ(金属製基板の厚さ)が、例えば40μm〜80μmと浅い場合、マイクロスフィアの形成可能な圧力範囲は狭くなり、分散相の送液圧力が上限を超えると、分散相界面で剪断されるよりも早く、分散相が供給されるため、連続相に分散相が噴出する結果となる。マイクロスフィアの形成圧力範囲は、製造した金属製基板に、同様な貫通孔を有する支持プレートを1枚、または複数枚重ね合わせるか、接合することにより広くすることが可能となる。マイクロスフィアの形成は、分散相界面で剪断される開口部の形状、寸法に左右されるため、支持プレート側の貫通孔の寸法は、金属製基板と同寸法か、または大きくても小さくてもよい。
また、金属製基板を支持する支持プレートを有することにより、金属製基板のハンドリング性、耐久性を高めることも可能となる。
【0036】
レジストパターン形成ステップで形成される微細凸パターンの幅、形状、高さが、貫通孔を有する金属性基板における貫通孔の幅、形状、深さとなる。
微細凸レジストパターン形成方法は、レーザーディスク、ミニディスク等の記録メディア、導光体等の光学商品の製造において、極めて微細、かつ高精度な凹凸パターンを有するスタンパー(原盤)を製造する技術を更に高度に高めたものである。
微細凸レジストパターンから、メッキにより貫通型金属構造体を得る工程では、メッキによる金属構造体の堆積時間を制御することによって、所望の厚さを有する貫通型金属構造体を得ることができ、実際使用、及び繰り返し洗浄において、極めて機械強度、耐久性に優れた貫通孔を有する金属製基板を得ることが可能となる。
そして、金属製基板に設ける貫通孔の数は、強度上支障がなければ特に限定されないが、1cm当たり通常1〜1,000,000個、好ましくは1〜500,000個である。例えば、外形寸法が縦4cm×横4cmの貫通孔エリアにおいて、一度に10万個以上の貫通孔得ることができる。目的用途によって、レジストパターン形成ステップで形成される微細凸パターンを高密度に配置し、20万個以上を形成する場合においても、実際使用、及び繰り返し洗浄における耐久性に問題のない実用性に優れた金属製基板を得ることができる。
また、Φ5インチ(直径125mm)以上の、大面積レジストパターン形成、及びメッキによる金属構造体の堆積を行うことにより、複数個の貫通型金属構造体を作製することができ、大幅な製造コストを低減することも可能である。
【0037】
所望の貫通孔深さを有する金属性基板を作製するには、レーザーディスク、ミニディスク等の記録メディア製造における微細凸レジストパターン形成方法を更に高めることが必要となる。記録メディア等の製造では、微細凸レジストパターンの高さは、1〜3μmと低いため、特別な問題は生じない。
しかしながら、例えば、微細凸レジストパターンの幅を3μmとし、10μm以上の高さを有する微細レジストパターンを形成しようとすると、現像工程において、上層から、下層に現像が進行した段階で上層の微細凸レジストパターンが変形、更には崩壊する問題が生じる場合がある。また、現像工程においてアスペクト(高さ/幅の比)が高くなるために、微細凸レジストパターンが倒壊する問題も発生する場合がある。
【0038】
現像工程において、上層から、下層に現像が進行した段階で上層の微細凸レジストパターンが変形、更には崩壊する問題を解決するには、微細凸レジストパターン形成ステップにおいて、レジスト層が所望の高さを有する構造体に形成されるまで、複数回に亘ってレジスト層の形成、露光を繰り返す際、上層における現像液の溶解性を、下層よりも小さくすることよって可能となる。
上層のレジスト層のベークに要する熱量(温度、時間)を下層よりも大きくすることにより、上層の溶解性を下層よりも小さくすることができる。例えば、下層はホットプレートを用いてベークした後、上層は、上層側の選択的なベークが可能なクリーンオーブン(熱風乾燥機)を用いることで可能となる。
使用するレジスト材料が光硬化性レジスト(ネガレジスト)の場合、上層の露光量を下層よりも大きくすることにより上層の溶解性を下層よりも小さくすることができる。化学増幅型ネガレジストを使用する場合は、上層の露光量を下層よりも高めることに加え、上層の露光後の熱処理量(温度、時間)を下層よりも大きくすることで可能となる。
現像工程においてアスペクト(高さ/幅の比)が高くなるために、微細凸レジストパターンが倒壊する問題を解決するには、上述した方法を選択するとともに、複数回に亘ってレジスト層の形成、露光を繰り返す際、下層のパターン形状(幅)を上層よりも若干大きくすることで微細凸レジストパターンの倒壊を防止することが可能となる。
下層のパターン形状(幅)を上層よりも若干大きくするには、例えば、UV平行光露光において、下層上面とマスクとの隙間を1〜50μmとしたプロキシミティー露光とすることで、光の散乱を利用し、実際のマスクパターンよりも下層のパターン形状(幅)を大きくする方法、または下層の露光に使用するマスク寸法を、上層に使用するマスクより大きくすることで可能となる。
【0039】
本形態の貫通孔を有する金属性基板は、
(a)基板上へのレジスト層の形成
(b)マスクを用いたレジスト層の露光
(c)レジスト層の熱処理
(d)現像
を行う微細凸レジストパターン形成ステップと、前記基板上に形成された前記微細凸レジストパターンにしたがって、
(e)メッキによる金属構造体の堆積
(f)レジストの除去
によって、貫通孔を有する金属製基板が製造される。
【0040】
(a)基板上へのレジスト層の形成について説明する。
基板上にレジスト層を形成する方法は何ら限定されないが、一般的にスピンコート方式、ディッピング方式、ロール方式、ドライフィルムレジストの貼り合わせ等を挙げることができる。なかでも、スピンコート方式は、回転しているガラス基板上にレジストを塗布する方法で、直径300mmを超えるガラス基板にレジストを高い平面度で塗布できるという利点がある。従って、高い平面度を実現できる観点から、スピンコート方式が好ましく用いられる。
【0041】
用いられるレジストにはポジ型レジスト、ネガ型レジストの2種類がある。いずれも、レジストの感度、露光条件により、レジストの露光可能な深度が変わるため、例えばUV露光装置を使用した場合、露光時間、UV出力値をレジスト厚さ、感度に応じて種類を選択するのが望ましい。
【0042】
用いるレジストがウェットレジストの場合、例えばスピンコート方式で所定のレジスト厚さを得るには、スピンコート回転数を変更する方法と、粘度調整する方法がある。
【0043】
スピンコート回転数を変更する方法は、スピンコーターの回転数を設定することによって所望のレジスト厚さを得るものである。粘度調整する方法は、レジスト厚さが厚い場合、又は塗布面積が大きくなると平面度が低下することが懸念されるため、実際使用上で要求される平面度に応じて粘度を調整するものである。
【0044】
例えばスピンコート方式の場合、1回で塗布するレジスト層の厚さは、高い平面度を保持することを考慮し、好ましくは10〜50μm、さらに好ましくは、20〜50μmの範囲内であることが望ましい。高い平面度を保持したうえで、所望のレジスト層の厚さを得るためには、複数のレジスト層を形成することで可能となる。
【0045】
(b)マスクを用いたレジスト層の露光について説明する。
マスクの仕様は何ら限定されないが、エマルジョンマスク、クロムマスク等を挙げることができる。レジストパターン形成ステップでは、使用するマスクによって寸法、および精度が左右され、その寸法、および精度は、貫通孔を有する金属性基板にも反映される。したがって、貫通孔を有する金属性基板の寸法、および精度を所定のものとするためには、マスクの寸法、および精度を規定する必要がある。マスクの精度を高める方法は何ら限定しないが、例えば、マスクのパターン形成に使用するレーザー光源をより波長の短いものに変える方法を挙げることができるが、設備費用が高額であり、マスク製作費が高額となるため、貫通型金属構造体が実用的に要求される精度に応じて適宜規定するのが望ましい。
マスクの材質は温度膨張係数、UV透過吸収性能の面から石英ガラスが好ましいが比較的高価であるため、貫通型金属構造体が実用的に要求される精度に応じて適宜規定するのが望ましい。
【0046】
露光に用いられる光源は設備費用が安価である紫外線またはレーザー光であることが好ましい。シンクロトロン放射光は露光深度が深いものの、かかる設備費用が高額であり、実質的に貫通型金属構造体の価格が高額となり、工業的に実用的でないが、これによっても実現可能である。
【0047】
露光時間や露光強度等の露光条件はレジスト層の材質、厚み等により変化するため、得られるパターンに応じて適宜調節することが好ましい。特に貫通孔の幅、形状の寸法、及び精度に影響を与えるため、露光条件の調節は重要である。また、レジストの種類により露光可能な深度が変わるため、例えばUV露光装置を使用した場合、露光時間、UV出力値をレジストの厚さ、感度に応じて選択するのが望ましい。
【0048】
(c)レジスト層の熱処理について説明する。
露光後の熱処理は、レジストパターンの形状を補正するためにアニールといわれる熱処理が知られている。
ここでは、化学架橋を目的とし、化学増幅系ネガレジストを使用した場合のみに行う。化学増幅系ネガレジストとは、主に、2成分系、または3成分系からなり、露光時の光によって、例えば、化学構造の末端のエポキシ基が開環、熱処理によって架橋反応させるものである。熱処理時間は、例えば膜厚100μmの場合、設定温度100℃の条件下においては数分で架橋反応は進行する。
【0049】
(d)現像について説明する。
現像は用いたレジストに対応する所定の現像液を用いることが好ましい。現像時間、現像温度、現像液濃度等の現像条件はレジスト厚みやパターン形状に応じて適宜調節することが好ましい。例えば、現像時間を長くしすぎると、所定の微細凸レジストパターン寸法よりも小さくなってしまうため、適宜条件を設定することが好ましい。
【0050】
(e)メッキによる金属構造体の堆積について説明する。
金属構造体の堆積とは、微細凸レジストパターン形成ステップで得られたレジストパターンに沿って金属を堆積させ、金属構造体の凹面を微細凸レジストパターンに沿って形成することにより、金属構造体を得る工程である。
この工程では、予め微細凸レジストパターンに沿って導電性膜を形成する。該導電性膜の形成方法は特に限定されないが、好ましくは蒸着、スパッタリング等を用いることができる。導電性膜に用いられる導電性材料としては金、銀、白金、銅、ニッケル、アルミニウム等を挙げることができる。
導電性膜を形成した後、微細凸パターンに沿って金属をメッキにより堆積して金属構造体を形成する。金属を堆積させるメッキ方法は特に限定されないが、例えば電解メッキ、無電解メッキ等を挙げることができる。無電解メッキでは、導電性膜の形成は不要である。用いられる金属は特に限定されないが、ニッケル、ニッケル-コバルト合金、銅、金を挙げることができ、経済性・耐久性の観点からニッケルが好ましく用いられる。
メッキによる金属構造体の堆積厚さは、微細凸レジストパターンの高さと同程度にすることで、後の貫通構造を得るための溶解、又は研磨における作業時間を短くすることができる。
金属構造体はその表面状態に応じて研磨しても構わない。ただし、汚れが造形物に付着することが懸念されるため、研磨後、超音波洗浄を実施することが好ましい。メッキにより堆積した金属構造体は微細凸レジストパターンから分離される。
【0051】
(f)レジストの除去について説明する。
レジストの除去は、金属構造体に付着した微細凸レジストパターンを除去するために行う。レジストの除去は用いたレジストに対応する所定の溶解液を用いることが好ましい。光架橋型のネガ型レジストを用いた場合は、溶解が難しい場合が予測されるため、溶解液の温度を高める、攪拌翼で溶解液を攪拌する、又は使用するレジストに対する溶解性の高い有機溶剤を用いた超音波洗浄等が挙げられる。
【0052】
得られた金属構造体のメッキ側は、閉塞されているため、酸性水溶液による溶解、又は研磨によって、貫通孔を有する金属製基板を得ることができる。
【0053】
貫通孔を有する金属性基板を製造するためのレジストパターン形成ステップにおいて、微細凹パターンを形成することで、微細凸パターンを有する金属性基板を作製し、更にもう一度メッキを行うことで貫通孔を有する金属製基板を得ることも可能である。この場合、微細凸パターンを有する金属構造体を型として繰り返し使用することができ、貫通孔を有する金属性基板の製造コストを下げることが可能となる。
【0054】
同様に、作製した微細凸パターンを有する金属構造体に、例えば、キャスト成形を行うことによって、樹脂製の貫通基板を得ることも可能となる。樹脂材料としては特に限定されないが、例えば、アクリル系樹脂、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、スチレン系樹脂、アクリル・スチレン系共重合樹脂(MS樹脂)、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン・ビニルアルコール系共重合樹脂、スチレン系エラストマーなどの熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系樹脂、ポリジメチルシロキサンなどのシリコーン樹脂、酢酸ビニル系樹脂(例えば、商品名:エクセバール)、ポリビニルブチラール系樹脂等を挙げることができる。
【0055】
微細凸レジストパターン形成ステップにおいて、あらかじめ基板上に導電膜を堆積する、または導電性基板を用いることによって、金属構造体に付着した微細凸レジストパターンを除去後、酸性水溶液による溶解、又は研磨を行わなくても、貫通型金属構造体を得ることができ、貫通型金属構造体の製造コストを下げることが可能となる。
導電膜を堆積した基板、または導電性基板を使用して、微細凸レジストパターンを形成した場合、微細凸パターンの周囲は、導電膜が露出する結果となり、そのままメッキを行えば、導電膜が露出した部分だけに金属を堆積することとなり、貫通型金属構造体を製造することができる。基板上の導電膜とメッキ面との密着性は、微細凸レジストパターンの形成によって導電膜面の電気抵抗が若干高くなっているため低く、容易に基板から貫通型金属構造体を剥離することができる。
基板上に導電膜を堆積する方法は、特に限定されないが、好ましくは蒸着、スパッタリング等を用いることができる。導電性膜に用いられる導電性材料としては金、銀、白金、銅、ニッケル、アルミニウム等を挙げることができる。導電性基板は、特に限定されないがステンレス、アルミニウム、銅等を挙げることができる。基板の表面荒さは、貫通型金属構造体の表面荒さに反映するため、目的、用途に応じて鏡面研磨したものを用いることが好ましい。
【0056】
貫通孔の深さを所望の深さとするには、微細凸レジストパターンの高さが所望の高さを有することが必要となる。複数回に亘ってレジスト層の形成、露光を繰り返した後、現像を行うことによって、所望の高さの微細凸レジストパターンを得ることができる。
微細凸レジストパターンの高さが高くなると、現像後に微細レジストパターンが倒壊する可能性がある。これを避けるためには、例えば、2回に亘ってレジスト層の形成、露光を行う場合、2枚のマスクを用いて、下層の微細凸レジストパターンの寸法を、上層の微細凸レジストパターンよりも大きくすることで微細レジストパターンの倒壊を防止することができる。
また、貫通孔の形状を多段構造とする場合、例えば、2回に亘ってレジスト層の形成、露光を行う場合、2種類のマスクを用いて、下層、上層それぞれ形状の異なる微細凸レジストパターンを形成することが可能となる。
【0057】
下層の微細凸レジストパターンと、上層の微細凸レジストパターンにおける位置関係を所望の設計通りにするためには、マスクを用いた露光時に、正確な位置合わせを行うことが必要となる。
位置合わせには、基板とマスクの同位置に切削加工を施しピン固定する方法、レーザー干渉計を用い位置出しする方法、基板とマスクの同位置に位置マークを作製、光学顕微鏡で位置合わせをする方法等が挙げられる。
光学顕微鏡で位置合わせをする方法は、例えば、フォトリソグラフ法にて基板に位置マークを作製し、マスクにはレーザー描画装置で位置マークを描画する。光学顕微鏡を用いた手動操作においても、5μm以内の精度が簡単に得られる点で有効である。
【0058】
微細凸レジストパターンの高さが高くなると、現像工程において、微細凸レジストパターンの上部の寸法が下部よりも小さくなるといった不具合が懸念される。レジスト層を複数層形成する場合、各レジスト層の形成において、感度の異なるレジストを段階に分けて形成することが好ましい場合がある。この場合には、例えば、上層のレジストの感度を底部に近い層よりも高くすることなどが挙げられる。
【0059】
露光に用いられる光源は設備費用が安価である紫外線またはレーザー光であることが好ましい。深い露光深度が得られるシンクロトロン放射光は、かかる設備費用が高額であり、実質的に貫通型金属構造体の価格が高額となり、工業的に実用的でない。
【0060】
貫通型金属構造体の貫通孔の幅に対する寸法精度は、工業的に再現し易い観点から±0.5〜10%の範囲内であることが好ましい。
【0061】
貫通孔を有する金属製基板を用いたマイクロスフィアの製造装置において、貫通孔の連続相側出口部の少なくとも一部において、生成するマイクロスフィアが観察可能となるように、少なくとも一部が透明性を有するプレートが連続相の流路を隔てて備えることにより、マイクロスフィアの製造速度を精密に制御することが可能となる。
特に、ガラス板或いはプラスチック板からなる透明プレートを備えた構成とすることで、外部からCCDカメラ等の光学的読取装置を介して、マイクロスフィアの形成圧力範囲内で正常に形成なされているか等を監視することができ、分散相送液圧力等の変動に伴うマイクロスフィアの製造速度を精密に制御することが可能である。
【実施例】
【0062】
本発明にしたがって、貫通孔を有する金属製基板を形成する方法について、図を参照しながら以下により具体的に説明する。実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0063】
本発明にしたがって、貫通孔を有する金属製基板を形成する方法について、図を参照しながら以下により具体的に説明する。
【0064】
〔第1の製造方法〕
図1(a)を参照して、まず基板1上に、有機材料(東京応化工業製「PMER N-CA3000PM」をベースとするレジスト塗布を行い、レジスト層2を形成した。
【0065】
図1(b)を参照して、UV露光装置(キャノン製「PLA−501F」)により、マスク3を用いてレジスト層2を露光(波長365nm、露光量300mJ/cm)した。
【0066】
図1(c)を参照して、ホットプレート(100℃×4分)を用いてレジスト層2の熱処理を行った。
【0067】
図1(d)に示すように、前記レジスト層2を有する基板1を現像し、基板1上にレジストパターン4を形成した(現像液:東京応化工業製「PMER現像液P-7G」)。
【0068】
図1(e)に示すように、前記レジストパターン4を有する基板1の表面に蒸着、またはスパッタリングを行い、レジストパターンの表面にニッケルからなる導電性膜5を堆積させた。この工程において、他に白金、銀、金、銅、アルミニウム等を堆積させることができる。
次に、前記レジストパターン4を有する基板1をメッキ液に浸け、電気メッキを行い、レジストパターンの谷間に金属構造体(以下、ニッケル構造体ということがある)6を得た。この工程において、他に銅、金等を堆積させることができる。
【0069】
図1(f)に示すように、基板1から剥離して得られたニッケル構造体6に付着したレジストを除去するため、溶解液に浸漬し、ニッケル構造体6を得た(溶解液:東京応化工業製「クリーンストリップMF」)。次に、ニッケル構造体6のメッキ側を研磨することによって、貫通孔7を有する金属製基板10を得た。
【0070】
〔第2の製造方法〕
図2(a)を参照して、まず基板1の表面に蒸着、またはスパッタリングを行い、ニッケルからなる導電性膜5を堆積させた。この工程において、他に白金、銀、金、銅、アルミニウム等を堆積させることができる。または、ステンレス、アルミニウム等の導電性を有する基板を使用することができる。次に、導電性膜5を有する基板1上に、有機材料(東京応化工業製「PMER N-CA3000PM」)をベースとするレジストの塗布を行い、第1レジスト層21を形成した。
【0071】
図2(b)を参照して、UV露光装置(キャノン製「PLA−501F」)により、マスク3を用いて第1レジスト層21を露光(波長365nm、露光量300mJ/cm)した。
露光の際、第1レジスト層21のレジストパターンと、後述する第2レジストパターンの位置関係を所定の位置とするため、本UV露光装置の機能である位置光学顕微鏡を使用した、基板とマスクの位置を調節するアライメント露光を実施した。
【0072】
図2(c)を参照して、ホットプレート(100℃×4分)を用いて第1レジスト層21の熱処理を行った。
【0073】
図2(d)を参照して、第1レジスト層21を有する基板1上に、有機材料(東京応化工業製「PMER N-CA3000PM」)をベースとするレジストの塗布を行い、第2レジスト層22を形成した。次に、UV露光装置(キャノン製「PLA−501F」)により、マスク3を用いて第2レジスト層22を露光(波長365nm、露光量300mJ/cm)した。
露光の際、第1レジスト層21のレジストパターンと、第2レジスト層22のレジストパターンの位置関係を所定の位置とするため、本UV露光装置の機能である光学顕微鏡を使用した、基板とマスクの位置を調節するアライメント露光を実施した。
【0074】
図2(e)を参照して、熱風乾燥機(100℃×4分)を用いて第2レジスト層22の熱処理を行った。
【0075】
図2(f)に示すように、第1レジスト層21及び第2レジスト層22からなるレジスト層を有する基板1を現像し、基板1上にレジストパターン23を形成した(現像液:東京応化工業製「PMER現像液P-7G」)。
【0076】
図2(g)に示すように、前記レジストパターン23を有する基板1をメッキ液に浸け、電気メッキを行い、レジストパターン23の谷間のみに、選択的に金属を堆積させることによって、金属構造体(以下、ニッケル構造体)6を得た。この工程において、他に銅、金等を堆積させることができる。
【0077】
図2(h)に示すように、基板から剥離して得られたニッケル構造体6に付着したレジストを除去するため、溶解液に浸漬し、貫通孔7を有する金属製基板10を得た。(溶解液:東京応化工業製「クリーンストリップMF」)。
【0078】
[貫通孔を有する金属製基板Aの作製]
図1に示す成形品を形成する方法に従って、レジスト塗布を1回繰り返してレジスト層を形成、露光、熱処理、現像を実施した後、図4に示すような縦40mm×横40mm、厚さ100μmの金属板に、縦10μm×横20μm、深さ100μmの貫通孔を60,000個有する貫通型金属製基板を製造した。図4(a)は貫通孔を有する金属製基板の上面図、同図(b)は側面図、同図(c)は貫通孔数を示す表である。
貫通型金属構造体の厚さが100μmと薄いにもかかわらず、微細貫通孔は変形することなく保持され、ハンドリング性にも支障のないものが得られた。かかる貫通型金属製構造体を用いることにより高圧力、高温下におけるマイクロスフィアの製造が可能である。
空気中にて、水に対する接触角を測定した。協和界面化学株式会社、型式CA−DT・A型を用いて測定したところ88°であった。
SEMによる貫通孔の微細構造図を図5、図6、図7に示す。これらの微細構造図は貫通孔を有する金属製構造体の上面から撮影したものであり、それぞれ倍率を変えて撮影している。微細構造図中、黒く見える部分が貫通孔である。
【0079】
[貫通孔を有する金属製基板Bの作製]
図2に示す成形品を形成する方法に従って、レジスト塗布を1回繰り返して第1レジスト層を形成、各層に露光、熱処理を実施した後、更にレジスト塗布を1回繰り返して第2レジスト層を形成、露光、熱処理を実施した後、現像を実施し、図8に示すような縦40mm×横40mm、厚さ300μmの金属板に、上段:縦10μm×横40μm、深さ150μm(連続相側)、下段:縦30μm×横60μm、深さ150μm(分散相側)の貫通孔を60,000個有する貫通型金属製基板を製造した。図8(a)は貫通孔を有する金属製基板の上面図、同図(b)は側面図、同図(c)は貫通孔数を示す表である。
貫通孔を有する金属製基板における孔の深さが300μmと深いにもかかわらず、レジストパターンの倒壊を防止するための多段パターンニングを行うことによって、パターンの倒壊なく所望の孔寸法を有する金属製基板が得られた。
空気中にて、水に対する接触角を測定した。協和界面化学株式会社、型式CA−DT・A型を用いて測定したところ86°であった。
上記貫通孔を有する金属製基板Bは多段構造の例であり、貫通孔の大きさとしては10×40μmと30×60μmとが2段で設けられている。
【0080】
[貫通孔を有する金属製基板Cの作製]
図2に示す成形品を形成する方法に従って、レジスト塗布を1回繰り返して第1レジスト層を形成、各層に露光、熱処理を実施した後、更にレジスト塗布を1回繰り返して第2レジスト層を形成、露光、熱処理を実施した後、現像を実施し、図9に示すような縦40mm×横40mm、厚さ170μmの金属板に、上段:縦20μm×横60μm、深さ20μm(連続相側)、下段:縦20μm×横20μm、深さ150μm(分散相側)の貫通孔を60,000個有する貫通型金属製基板を製造した。図9(a)は貫通孔を有する金属製基板の上面図、同図(b)は側面図、同図(c)は貫通孔数を示す表である。
製造した貫通孔を有する金属製基板に蒸着処理による表面改質を行った。(株)アルバック、EB蒸着装置、型式:HP−1010Fを用い、SiO膜を200nm堆積させた。空気中にて、水に対する接触角を測定した。協和界面化学株式会社、型式CA−DT・A型を用いて測定したところ18°であった。
上記貫通孔を有する金属製基板Cは、マイクロスフィアの製造効率をより高めるため、貫通孔を多段構造とした例であり、前記図3(a)の構造に相当する。
【0081】
[貫通孔を有する金属製基板Dの作製]
図2に示す成形品を形成する方法に従って、レジスト塗布を1回繰り返して第1レジスト層を形成、各層に露光、熱処理を実施した後、更にレジスト塗布を1回繰り返して第2レジスト層を形成、露光、熱処理を実施した後、現像を実施し、図10に示すような縦40mm×横40mm、厚さ170μmの金属板に、上段:縦10μm、深さ10μm(連続相側、下段と連通)、下段:縦10μm×横15μm(楕円形)、深さ160μm(分散相側)の貫通孔を60,000個有する貫通型金属製基板を製造した。図10(a)は貫通孔を有する金属製基板の上面図、同図(b)は側面図、同図(c)は貫通孔数を示す表である。
製造した貫通孔を有する金属製基板に蒸着処理による表面改質を行った。(株)アルバック、EB蒸着装置、型式:HP−1010Fを用い、SiO膜を200nm堆積させた。空気中にて、水に対する接触角を測定した。協和界面化学株式会社、型式CA−DT・A型を用いて測定したところ21°であった。
上記貫通孔を有する金属製基板Cは、マイクロスフィアの製造効率をより高めるため、貫通孔を多段構造としたものであり、前記図3(c)の構造に相当する。
【0082】
〔貫通孔を有する金属製基板Aを用いた油中水単分散微粒子の作製〕
基板として金属製基板Aを後述する製造装置に組み込み、分散相(水)として純水、連続相(油)としてトリオレインを用いた油中水単分散微粒子の作製試験を行った。金属製基板の水に対する接触角が88°と高いため、流体流路の出口で、分散相(水)である純水が、基板とぬれることなく単離し、均一な純水粒子径を有するエマルションを得ることに成功した。大塚電子社製の粒径測定装置、型式:PAR−IIIを使用して粒子径を測定した結果、平均粒子径41.8ミクロン、変動率3.0%となり、極めて均一な粒子を有するエマルションを製造可能であることを確認した。
エマルションの製造において、金属製基板から粒子が単離する過程をCCDカメラに録画し、粒子作製効率を確認したところ、10個/秒であった。
【0083】
〔貫通孔を有する金属製基板Bを用いた油中水単分散微粒子の作製〕
基板として金属製基板Bを後述する製造装置に組み込み、分散相(水)として純水、連続相(油)としてトリオレインを用いた油中水単分散微粒子の作製試験を行った。金属製基板の水に対する接触角が86°と高いため、流体流路の出口で、分散相(水)である純水が、基板とぬれることなく単離し、均一な純水粒子径を有するエマルションを得ることに成功した。大塚電子社製の粒径測定装置、型式:PAR−IIIを使用して粒子径を測定した結果、平均粒子径34.1ミクロン、変動率2.5%となり、極めて均一な粒子を有するエマルションを製造可能であることを確認した。
エマルションの製造において、金属製基板から粒子が単離する過程をCCDカメラに録画し、粒子作製効率を確認したところ、15〜20個/秒であることが確認され、貫通孔の縦、横の比が大きいほうが、粒子を単離する能力に優れ、作製される粒子径が小さくなることが確認された。
【0084】
〔貫通孔を有する金属製基板Cを用いた水中油単分散微粒子の作製〕
基板として金属製基板Cを後述する製造装置に組み込み、分散相(油)として大豆油、連続相(水)として純水を用いた油中水単分散微粒子の作製試験を行った。金属製基板の水に対する接触角が18°と低いため、流体流路の出口で、分散相(油)である大豆油が、基板とぬれることなく単離し、均一な大豆油粒子径を有するエマルションを得ることに成功した。大塚電子社製の粒径測定装置、型式:PAR−IIIを使用して粒子径を測定した結果、平均粒子径30.7ミクロン、変動率2.0%となり、極めて均一な粒子を有するエマルションを製造可能であることを確認した。
エマルションの製造において、金属製基板から粒子が単離する過程をCCDカメラに録画し、粒子作製効率を確認したところ、80〜90個/秒であることが確認された。流体流路の出口側の孔寸法が基板を貫通する孔寸法よりも大きい方が、連続相を流体流路の出口側に導入しやすくなり、粒子を単離する能力に更に優れ、作製される粒子径が小さくなることが確認された。
【0085】
〔貫通孔を有する金属製基板Dを用いた水中油単分散微粒子の作製〕
基板として金属製基板Dを後述する製造装置に組み込み、分散相(油)として大豆油、連続相(水)として純水を用いた油中水単分散微粒子の作製試験を行った。金属製基板の水に対する接触角が21°と低いため、流体流路の出口で、分散相(油)である大豆油が、基板とぬれることなく単離し、均一な大豆油粒子径を有するエマルションを得ることに成功した。大塚電子社製の粒径測定装置、型式:PAR−IIIを使用して粒子径を測定した結果、平均粒子径28.6ミクロン、変動率1.5%となり、極めて均一な粒子を有するエマルションを製造可能であることを確認した。
エマルションの製造において、金属製基板から粒子が単離する過程をCCDカメラに録画し、粒子作製効率を確認したところ、90〜100個/秒であることが確認された。流体流路の出口側の孔寸法が基板を貫通する孔寸法よりも大きく、かつ隣接する貫通孔と連通する方が、連続相を流体流路の出口側に更に導入しやすくなり、粒子を単離する能力に優れ、作製される粒子径が小さくなることが確認された。
【0086】
〔マイクロスフィアの製造装置の構成例〕
図11はマイクロスフィアの製造装置の構成例を示す。貫通孔を有する金属製基板10は、MCモジュール100内に固定されている。MCモジュール100では、複数のスペーサ11やプレート12を組み付けて構成される。プレート12は例えばガラス板である。MCモジュール100において金属性基板10の下方には、上部に設けられたリザーバー200(タンク)内の分散相が流れる液密な第1流路101がプレート12を環状にすることにより形成されている。また、金属製基板10の上方には、上部に設けられたポンプ300から連続相とエマルションが流れる液密な第2流路102がプレート12を環状にすることにより形成されている。外部から対物レンズ402を介してCCDカメラ401等の光学的読取装置により第2流路102内でのマイクロスフィアの生成が正常になされているか等を監視することができ、駆動圧力の変動に伴うマイクロスフィアの製造速度を精密に制御することが可能である。CCDカメラ401により撮像された画像は、モニター403に表示される。以上の構成の装置を用いてマイクロスフィアを生成するには、リザーバ200内の分散相を第1流路101内に所定の圧力で供給し、これと同時にポンプ300により連続相を第2流路102内に所定の圧力で供給する。すると、第2流路102内の圧力より第1流路101内の圧力が通常高く設定(通常0.5〜2KPa程度)されているので、第1流路101内の分散相は、金属性基板10の貫通孔7を介して、マイクロスフィアとなって連続相中に分散し、エマルションが形成される。形成されたエマルションは、配管13を介してリザーバ等に回収される。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】この発明において、貫通孔を有する金属製基板を形成する工程を示す模式図である。
【図2】この発明において、貫通孔を有する金属製基板を形成する工程を示す模式図である。
【図3】この発明において、マイクロスフィアの製造効率を高めるための、貫通孔の形状が多段構造、またはマイクロスフィア形成側周囲に凹造形を施した際の模式図である。
【図4】図1に示す工程によって製造された貫通型金属構造体の外形図である。
【図5】SEMによる貫通型金属構造体の外観、および微細構造図である。
【図6】SEMによる貫通型金属構造体の外観、および微細構造図である。
【図7】SEMによる貫通型金属構造体の外観、および微細構造図である。
【図8】図2に示す工程によって製造された貫通型金属製基板の外形図である。
【図9】図2に示す工程によって製造された貫通型金属製基板の外形図である。
【図10】図2に示す工程によって製造された貫通型金属製基板の外形図である。
【図11】マイクロスフィア製造装置の模式図である。
【符号の説明】
【0088】
1 基板
2 レジスト層
3 マスク
4 レジストパターン
5 導電膜
6 金属構造体
7 貫通孔
10 貫通孔を有する金属製基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔を形成した基板を介して分散相と連続相を分離し、貫通孔より分散相を連続相中に押出しマイクロスフィアを製造する方法において、貫通孔の幅が0.5〜500μm、貫通孔の深さが10μm〜6000μm、貫通孔の幅と深さの比(幅/深さ)が1〜1/30である金属製の基板を少なくとも1枚用いることを特徴とするマイクロスフィアの製造方法。
【請求項2】
金属製の基板が、化学的表面処理及び/又は物理的表面処理されていることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
金属製の基板に形成された貫通孔の形状が、多段構造であることを特徴とする請求項1又は2記載の製造方法。
【請求項4】
金属製の基板に形成された貫通孔の形状が、貫通孔のマイクロスフィア形成側開口周囲に凹造形を有することを特徴とする請求項1又は2記載の製造方法。
【請求項5】
貫通孔を形成した金属製基板を複数枚用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のマイクロスフィアの製造方法。
【請求項6】
金属製の基板が、二種以上の形状の貫通孔を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
金属製の基板が、少なくとも一面に基板を支持する支持プレートを備えていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7記載のいずれかの製造方法により得られるマイクロスフィア。
【請求項9】
レジスト形成基板上にレジスト層を形成し、マスクを用いて露光及び現像、または露光、熱処理及び現像を行い、貫通孔の形状を有するレジストパターンを形成するレジストパターン形成ステップと、前記レジストパターンにしたがってメッキにより金属を堆積させた後、レジスト形成基板を剥離し、さらにレジストパターンを現像液により剥離して貫通孔を有する金属製の基板を形成する金属製基板形成ステップとを含む工程により得られることを特徴とする請求項1〜7記載の金属製基板の製造方法。
【請求項10】
前記レジストパターン形成ステップにおいて、導電性を有するレジスト形成基板を用いてレジスト層を形成し、マスクを用いて露光及び現像、または露光、熱処理及び現像を行うことを特徴とする請求項9記載の金属製基板の製造方法。
【請求項11】
前記レジストパターン形成ステップにおいて、レジストパターンが貫通孔の高さに形成されるまで、複数回のレジスト層の形成と、少なくとも1回以上の露光及び現像、または露光、熱処理及び現像により貫通孔の形状を有するレジストパターンを形成することを特徴とする請求項9又は10記載の金属製基板の製造方法。
【請求項12】
前記レジストパターン形成ステップにおいて、複数回のレジスト層の形成と、少なくとも1回以上の露光及び現像、または露光、熱処理及び現像する際に、露光における各層のマスクパターンの位置が同じ位置になるように、マスクパターンの位置を合わせるマスク位置合わせステップを備えることを特徴とする請求項11記載の金属製基板の製造方法。
【請求項13】
前記レジストパターン形成ステップにおいて、複数回のレジスト層を形成する際に、各レジスト層に露光感度の異なるレジストを用いることを特徴とする請求項11又は12記載の金属製基板の製造方法。
【請求項14】
前記レジストパターン形成ステップにおいて、露光に用いられる光源が紫外線またはレーザー光であることを特徴とする請求項9〜13のいずれか1項に記載の金属製基板の製造方法。
【請求項15】
請求項9〜14記載のいずれか1項の製造方法により得られる貫通孔を形成した金属製基板。
【請求項16】
ケースに第1プレート、貫通孔を形成した基板及び第2プレートが間隔をあけて取り付けられ、前記第1プレートと貫通孔を形成した基板との間に分散相が流れる第1の流路が形成され、前記貫通孔を形成した基板及び第2プレートとの間に連続相とマイクロスフィアを含む層が流れる第2の流路が形成され、該基板が貫通孔の幅が0.5〜500μm、貫通孔の深さが10μm〜6000μm、貫通孔の幅と深さの比(幅/深さ)が1〜1/30である金属製基板であることを特徴とするマイクロスフィアの製造装置。
【請求項17】
第1プレートおよび/または第2プレートの少なくとも一部が透明性を有する部材で形成されていることを特徴とする請求項16記載の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−132394(P2008−132394A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−302378(P2004−302378)
【出願日】平成16年10月18日(2004.10.18)
【特許番号】特許第3723201号(P3723201)
【特許公報発行日】平成17年12月7日(2005.12.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.レーザーディスク
【出願人】(501145295)独立行政法人食品総合研究所 (27)
【出願人】(000001085)株式会社クラレ (1,607)
【出願人】(500477687)
【Fターム(参考)】