説明

資料提示システム

【課題】機密情報の漏洩を防止することができる資料提示システムを提供する。
【解決手段】複数ページからなる電子ファイルである資料の提示先であって前記資料のページ毎の表示が可能な複数の携帯端末3と、サーバ2とを備える資料提示システム。サーバ2は、複数の携帯端末3それぞれに対して、ホスト権限またはゲスト権限のいずれかを付与する権限付与手段と、ホスト権限が付与された携帯端末によって選択された資料を、複数の携帯端末3全てにダウンロードさせるダウンロード手段と、前記ホスト権限が付与された携帯端末から送信される表示ページに関する更新情報を受信する受信手段と、複数の携帯端末3のうち前記表示ページに関する更新情報を送信した携帯端末以外の携帯端末の全部または一部に前記表示ページに関する更新情報を送信する送信手段と、資料の提示終了時に、複数の携帯端末3全てに資料を破棄させる強制破棄手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、会議、セミナー、講義、営業活動等で用いられる資料を複数の携帯端末に提示する資料提示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境への負荷低減や資料にかかるコスト(紙代、印刷費用、準備のための人件費・維持費など)の低減を図るため、会議、セミナー、講義、営業活動等で用いられる資料のペーパレス化が推進されている。例えば、会議で用いられる資料のペーパレス化が可能な電子会議システムが特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−33229号公報(段落0011、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1で開示されている電子会議システムでは、発表者権限を持つ会議端末装置が資料をネットワーク経由で他の会議端末装置に送信した後は、各会議端末装置が資料を保存することになる。このため、各会議端末装置が保存している資料に機密情報が含まれている場合、機密情報が漏洩するおそれがある。特に、会議端末装置が携帯端末である場合、会議端末装置が据置型装置である場合に比べて会議端末装置の盗難や紛失の可能性が高くなるため、機密情報が漏洩する可能性が高くなる。
【0005】
本発明は、上記の状況に鑑み、機密情報の漏洩を防止することができる資料提示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明に係るサーバは、複数ページからなる電子ファイルである資料の提示先であって前記資料のページ毎の表示が可能な複数の携帯端末と通信可能なサーバであって、前記複数の携帯端末それぞれに対して、ホスト権限またはゲスト権限のいずれかを付与する権限付与手段と、ホスト権限が付与された携帯端末によって選択された資料を、前記複数の携帯端末全てにダウンロードさせるダウンロード手段と、前記ホスト権限が付与された携帯端末から送信される表示ページに関する更新情報を受信する受信手段と、前記複数の携帯端末のうち前記表示ページに関する更新情報を送信した携帯端末以外の携帯端末の全部または一部に前記表示ページに関する更新情報を送信する送信手段と、資料の提示終了時に、前記複数の携帯端末全てに資料を破棄させる強制破棄手段とを備える構成である。
【0007】
このような構成によると、資料の提示終了時に、前記複数の携帯端末全てに資料を破棄させる強制破棄手段を備えているので、複数ページからなる電子ファイルである資料の提示先であって前記資料のページ毎の表示が可能な複数の携帯端末とともに資料提示システムを構築することで、機密情報の漏洩を防止することができる資料提示システムを実現することができる。
【0008】
また、上記構成のサーバにおいて、前記権限付与手段が、ホスト権限が付与された携帯端末の一つにのみマスタ権限(例えば、議長権限)を付与し、前記ダウンロード手段が、マスタ権限が付与された携帯端末によって選択された資料を、前記複数の携帯端末全てにダウンロードさせ、前記受信手段が、前記マスタ権限が付与された携帯端末から送信される表示ページに関する更新情報を受信することが望ましい。これにより、ホスト権限が付与された携帯端末が複数ある場合でも、表示ページの変更に混乱が生じるおそれがなくなる。
【0009】
上記目的を達成するために本発明に係る資料提示システムは、複数ページからなる電子ファイルである資料の提示先であって前記資料のページ毎の表示が可能な複数の携帯端末と、前記複数の携帯端末と通信可能な上記いずれかの構成のサーバとを備える構成である。
【0010】
また、上記構成の資料提示システムにおいて、前記複数の携帯端末それぞれが、同期モードと非同期モードの切替機能を有し、非同期モードである携帯端末と前記サーバとの間で前記表示ページに関する更新情報の送受信を行わない、または、前記サーバが非同期モードである携帯端末から送信されてくる前記表示ページに関する更新情報を無視し、非同期モードである携帯端末が前記サーバから送信されてくる前記表示ページに関する更新情報を無視するようにすることが望ましい。これにより、前記複数の携帯端末それぞれにおいて資料閲覧の自由度を高くすることができる。例えば、ゲスト権限が付与された携帯端末を非同期モードにすることで、ゲスト権限が付与された携帯端末は、ホスト権限が付与された携帯端末とは無関係に任意のページを自由に表示することができ、ゲスト権限が付与された携帯端末の利用者は、資料を基にした思考や想像を高めることができる。その一方で、ゲスト権限が付与された携帯端末を非同期モードから同期モードに戻すことで、ホスト権限が付与された携帯端末と同一のページを表示することができ、ゲスト権限が付与された携帯端末の利用者は、ホスト権限が付与された携帯端末の利用者との間での資料に関する情報交換や意見交換をスムーズに行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、機密情報の漏洩を防止することができる資料提示システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る会議用資料提示システムの構成を示す図である。
【図2】サーバの構成例を示す図である。
【図3】携帯端末の構成例を示す図である。
【図4】ログイン画面の例を示す図である。
【図5】仮想会議室選択画面の例を示す図である。
【図6】ファイル選択画面の例を示す図である。
【図7】ファイル表示画面の例を示す図である。
【図8】ファイル表示画面の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。ここでは、本発明の一実施形態として、会議用資料を複数の携帯端末に提示する会議用資料提示システムについて説明する。
【0014】
<システムの構成>
まず、システムの構成について説明する。本発明の一実施形態に係る会議用資料提示システムの構成を図1に示す。本発明の一実施形態に係る会議用資料提示システムは、登録装置1と、サーバ2と、複数の携帯端末3とによって構成される。
【0015】
登録装置1は、サーバ2に対して各種管理情報や会議用資料の登録、変更、削除などを行う。
【0016】
登録装置1としては、例えばパーソナルコンピュータを用いることができる。図1では、登録装置1が1台しか図示されていないが、登録装置1は複数あっても構わない。また、サーバ2が例えばノート型パーソナルコンピュータである場合などでは、サーバ2が登録装置1を兼ねるようにすることも可能である。
【0017】
サーバ2は、例えば図2に示すように、サーバ全体の制御を司る制御部21と、登録装置1や各携帯端末3との通信を行う通信部22と、データベース23とを備える。
【0018】
携帯端末3は、例えば図3に示すように、携帯端末全体の制御を司る制御部31と、携帯端末のオペレーティングシステム(OS)、各種のアプリケーションソフトウェア、各種のデータ等を記憶する記憶部32と、サーバ2との通信を行う通信部33と、表示部34と、操作部35とを備える。操作部35としては、例えば、表示部34の表示画面上に設けられるタッチパネルが挙げられるが、入力キーなどであってもよい。携帯端末3は、会議用資料提示システム用アプリケーションソフトウェアをインストールしており、会議用資料提示システム用アプリケーションソフトウェアを立ち上げることで、サーバ2との通信によって表示部35の表示画面に会議用資料を表示することが可能になる。
【0019】
携帯端末3は、無線LANアクセスポイントを介したインターネット経由や携帯電話ネットワーク経由でサーバ2との通信を行う。複数の携帯端末3は、同一ベンダーの携帯端末のみであっても、異なるベンダーの携帯端末が混在していてもよい。
【0020】
携帯端末3としては、例えばiPad(Apple社の商標)などのタブレット型コンピュータやiPhone(Apple社の商標)などのスマートフォンを用いることができる。
【0021】
<システム管理者によるアカウントの管理>
次に、図1に示す本発明の一実施形態に係る会議用資料提示システムにおけるシステム管理者によるアカウントの管理について説明する。
【0022】
図1に示す本発明の一実施形態に係る会議用資料提示システムは、初期設定状態において、システムの運営に必要な各種管理情報がサーバ2のデータベース23に登録されていないため、登録作業が必要である。
【0023】
まず、システム管理者になるべき者が、登録装置1を用いて、システム管理者アカウントをサーバ2のデータベース23に登録する。なお、このシステム管理者アカウント登録では、システム管理者アカウントIDに加え、システム管理者アカウントIDに関連付けられる初期パスワードもサーバ2のデータベース23に記憶される。
【0024】
上記システム管理者アカウント登録後、システム管理者は、システム管理者アカウントIDと、システム管理者アカウントIDに関連付けられる初期パスワードとを登録装置1に入力することで、システム管理者としてサーバ2にアクセスすることができる。そして、システム管理者のみが、システム管理者としてサーバ2にアクセスしている状態で、登録装置1を用いて、他のシステム管理者アカウントをサーバ2のデータベース23に登録することができる。したがって、システム管理者は単数の場合も複数の場合もあり得る。
【0025】
また、システム管理者は、システム管理者としてサーバ2にアクセスしている状態で、登録装置1を用いて、事務局員アカウントをサーバ2のデータベース23に登録することができる。なお、この事務局員アカウント登録では、事務局員アカウントIDに加え、事務局員アカウントIDに関連付けられる初期パスワードもサーバ2のデータベース23に記憶される。システム管理者と同様、事務局員も単数、複数のいずれであってもよい。
【0026】
また、システム管理者は、システム管理者としてサーバ2にアクセスしている状態で、登録装置1を用いて、会議参加者アカウントをサーバ2のデータベース23に登録することができる。なお、この会議参加者アカウント登録では、会議参加者アカウントIDに加え、会議参加者アカウントIDに関連付けられる初期パスワードもサーバ2のデータベース23に記憶される。会議は複数人の参加で開催されるため、会議参加者は複数登録される。
【0027】
さらに、システム管理者は、システム管理者としてサーバ2にアクセスしている状態で、登録装置1を用いて、全アカウントのパスワードを変更することもできる。
【0028】
なお、図1に示す本発明の一実施形態に係る会議用資料提示システムは、上記アカウント登録の内容を登録対象者に通知する手段を備えていないが、当該手段を備えるようにしてもよい。上記アカウント登録の内容を登録対象者に通知する手段としては、例えば登録対象者に電子メールで上記アカウント登録の内容を通知する手段が挙げられる。
【0029】
<事務局員によるアカウントの管理>
次に、図1に示す本発明の一実施形態に係る会議用資料提示システムにおける事務局員によるアカウントの管理について説明する。
【0030】
事務局員は、事務局員としてサーバ2にアクセスしている状態で、登録装置1を用いて、会議参加者アカウントをサーバ2のデータベース23に登録することができる。すなわち、システム管理者以外に事務局員も会議参加者アカウントの登録を行うことができる。なお、この会議参加者アカウント登録では、会議参加者アカウントIDに加え、会議参加者アカウントIDに関連付けられる初期パスワードもサーバ2のデータベース23に記憶される。
【0031】
また、事務局員は、事務局員としてサーバ2にアクセスしている状態で、登録装置1を用いて、自アカウント及び会議参加者アカウントのみパスワードを変更することができる。
【0032】
<システム管理者による仮想会議室の管理>
次に、図1に示す本発明の一実施形態に係る会議用資料提示システムにおけるシステム管理者による仮想会議室の管理について説明する。
【0033】
システム管理者は、システム管理者としてサーバ2にアクセスしている状態で、登録装置1を用いて、仮想会議室をサーバ2のデータベース23に登録することができ、また、登録した仮想会議室の属性変更や登録した仮想会議室の削除も行うことができる。このような仮想会議室自体の管理はシステム管理者しか行えないようにしている。なお、仮想会議室の属性としては、例えば、経営会議、本部長会議、営業企画会議などの会議の種類が挙げられる。
【0034】
システム管理者は、システム管理者としてサーバ2にアクセスしている状態で、登録装置1を用いて、仮想会議室毎に、管理権限を持つ事務局員アカウントを割り当て、その割り当て結果をサーバ2のデータベース23に登録することができる。なお、システム管理者が仮想会議室に割り当てることができるアカウントは、事務局員アカウントのみにしている。
【0035】
<事務局員による会議用資料の管理>
次に、図1に示す本発明の一実施形態に係る会議用資料提示システムにおける事務局員による会議用資料の管理について説明する。
【0036】
事務局員は、事務局員としてサーバ2にアクセスしている状態で、登録装置1を用いて、自アカウントが管理権限を持つ仮想会議室の中から所望の仮想会議室を指定し、その指定した仮想会議室と関連付けて、会議用資料(例えば、PDF形式のファイルなど)をデータベース23に登録することができ、また、登録した会議用資料の削除も行うことができる。
【0037】
<事務局員による会議参加者の管理>
次に、図1に示す本発明の一実施形態に係る会議用資料提示システムにおける事務局員による会議参加者の管理について説明する。
【0038】
事務局員は、事務局員としてサーバ2にアクセスしている状態で、登録装置1を用いて、自アカウントが管理権限を持つ仮想会議室の中から所望の仮想会議室を指定し、その指定した仮想会議室に入室可能な会議参加者の会議参加者アカウントをデータベース23に登録することができ、また、登録した入室可能な会議参加者の会議参加者アカウントの入室権限属性(ホスト権限またはゲスト権限)を仮想会議室毎に会議参加者単位で変更することができ、さらに、登録した入室可能な会議参加者の会議参加者アカウントの削除も行うことができる。
【0039】
<会議の進行>
上述した各登録が完了すると、図1に示す本発明の一実施形態に係る会議用資料提示システムを利用した会議の進行が可能となる。以下、図1に示す本発明の一実施形態に係る会議用資料提示システムを利用した会議の進行について説明する。説明を簡単にするために、会議参加者A、会議参加者B、会議参加者Cの三名が参加する会議の進行について説明する。
【0040】
会議参加者A、会議参加者B、会議参加者Cそれぞれが各自の携帯端末3の操作部35を操作して、会議用資料提示システム用アプリケーションソフトウェアを立ち上げると、表示部34にログイン画面が表示される。ログイン画面の一例としては、図4に示すような会議参加者アカウントID及びパスワードの入力欄とソフトキーとが表示されているログイン画面が挙げられる。会議参加者アカウントID及びパスワードの入力が完了すると、携帯端末3は会議参加者アカウントID及びパスワードをサーバ2に送信し、サーバ2が認証を行い、ログインに成功した場合は、携帯端末3から送信されてきた会議参加者アカウントIDで入室可能な仮想会議室の一覧情報が携帯端末3に返送され、ログインに失敗した場合は、ログインに失敗した旨の通知が携帯端末3に返送される。
【0041】
会議参加者A、会議参加者B、会議参加者Cそれぞれがログインに成功した場合、各自の携帯端末3の表示画面が、ログイン画面から、図5に示すような仮想会議室選択画面に切り替わる。会議参加者A、会議参加者B、会議参加者Cの各携帯端末3の各仮想会議室選択画面は、事務局員による会議参加者の管理の内容を反映したものになっている。仮想会議室選択画面において或る仮想会議室が選択されると、携帯端末3はその選択に関する情報をサーバ2に送信する。
【0042】
ここでは、会議参加者A、会議参加者B、会議参加者Cそれぞれが、操作部35の操作により、図5に示す仮想会議室選択画面において「営業企画会議1」を選択するものとし、さらに、会議参加者C、会議参加者A、会議参加者Bの順番で「営業企画会議1」の選択が実行されたものとする。この場合、会議参加者Cの携帯端末3が「ゲスト権限」で「営業企画会議1」に入室し、その後、会議参加者Aの携帯端末3が「ホスト権限」で「営業企画会議1」に入室し、最後に、会議参加者Bの携帯端末3は「ホスト権限」で「営業企画会議1」に入室することになる。
【0043】
図1に示す本発明の一実施形態に係る会議用資料提示システムでは、或る仮想会議室に対して「ホスト権限」が付与されている携帯端末3が或る仮想会議室に入室した時点で、その入室があった仮想会議室に関する会議進行データがサーバ2のデータベースに新規に作成される。したがって、会議参加者Cの携帯端末3が「ゲスト権限」で「営業企画会議1」に入室すると、「営業企画会議1」が始まっていない旨の通知がサーバ2から会議参加者Cの携帯端末3に返送され、会議参加者Aの携帯端末3が「ホスト権限」で「営業企画会議1」に入室する迄の期間は会議参加者Cの携帯端末3の表示部34に「営業企画会議1」が始まっていない旨のメッセージが表示され、会議参加者Aの携帯端末3が「ホスト権限」で「営業企画会議1」に入室した時点で、「営業企画会議1」に関する会議進行データがサーバ2のデータベースに新規に作成される。このため、会議参加者Cの携帯端末3では、一旦仮想会議室選択画面に戻り、会議参加者Aの携帯端末3が「ホスト権限」で「営業企画会議1」に入室した後に、「営業企画会議1」に再入室する操作が必要になる。なお、「営業企画会議1」に関する会議進行データは、入室する携帯端末の追加や、後述する「議長権限」の付与、議長端末(「議長権限」が付与された携帯端末3)による会議用資料の選択、議長端末が同期モードである場合に議長端末での会議用資料の表示ページの変更、議長端末が同期モードである場合に議長端末での表示対象である会議用資料の変更、議長端末の交代などがあったときに、更新される。
【0044】
また、図1に示す本発明の一実施形態に係る会議用資料提示システムでは、或る仮想会議室に「ホスト権限」で最先に入室した端末に「議長権限」を付与され、サーバ2が、「議長権限」が付与された携帯端末3のみに、入室した仮想会議室に関連付けられているファイルの一覧情報を送る。したがって、会議参加者Aの携帯端末3に「議長権限」が付与され、会議参加者Aの携帯端末3の表示画面のみが、仮想会議室選択画面から、図6に示すようなファイル選択画面に切り替わる。ファイル選択画面は、事務局員による会議用資料の管理の内容を反映したものになっている。ファイル選択画面において或るファイルが選択されると、携帯端末3はその選択に関する情報をサーバ2に送信する。
【0045】
ここでは、会議参加者Aが、操作部35の操作により、図6に示すファイル選択画面において「資料1.pdf」を選択するものとする。議長端末である会議参加者Aの携帯端末3が「資料1.pdf」を選択すると、サーバ2が、会議参加者A、会議参加者B、会議参加者Cの各携帯端末3に「資料1.pdf」をダウンロードさせる。ダウンロードが完了すると、会議参加者A、会議参加者B、会議参加者Cの各携帯端末3の各表示画面には、図7に示すように、「資料1.pdf」の1ページが表示される。
【0046】
その後、会議参加者Aが、操作部35の操作により、「資料1.pdf」の表示ページを変更すると、表示ページの変更情報がサーバ2に送られ、「営業企画会議1」に関する会議進行データが更新される。また、会議参加者Aが、操作部35の操作により、図6に示すようなファイル選択画面に戻り、表示対象である会議用資料を変更することもできる。なお、表示対象である会議用資料が変更された場合、変更前の表示対象である会議用資料は議長端末である会議参加者Aの携帯端末3の記憶部32から削除され、変更後の表示対象である会議用資料が新たに議長端末である会議参加者Aの携帯端末3にダウンロードされる。
【0047】
ただし、「同期/非同期切替」ソフトキー(図7参照)の操作によって議長端末である会議参加者Aの携帯端末3が非同期モードになっているときには、表示ページや表示対象である会議用資料を変更しても議長端末である会議参加者Aの携帯端末3が表示ページの変更情報や表示対象である会議用資料の変更情報をサーバ2に送らないようにするか、あるいは、議長端末である会議参加者Aの携帯端末3が非同期モードになった時点で議長端末である会議参加者Aの携帯端末3がその旨をサーバ2に通知し、サーバ2は、議長端末である会議参加者Aの携帯端末3が非同期モードである期間、議長端末である会議参加者Aの携帯端末3から表示ページの変更情報や表示対象である会議用資料の変更情報が送られてきても「営業企画会議1」に関する会議進行データを更新しないようにしている。
【0048】
一方、議長端末でない会議参加者Bの携帯端末3及び会議参加者Cの携帯端末3は、サーバ2に対して一定間隔(例えば2秒間隔)でポーリングを行っており、「営業企画会議1」に関する会議進行データに基づいて、議長端末である会議参加者Aの携帯端末3の表示ページや表示対象である会議用資料に変更があったと判断した場合に、自己の表示部34の表示画面に表示する会議用資料の表示ページを、議長端末である会議参加者Aの携帯端末3の表示画面に表示されている会議用資料の表示ページと一致(同期)させる。このため、議長端末である会議参加者Aの携帯端末3の表示ページや表示対象である会議用資料に変更があったと判断されるまでは、議長端末でない会議参加者Bの携帯端末3及び会議参加者Cの携帯端末3は、自己がダウンロードし記憶部32に保存している会議用資料の任意のページを表示することができる。なお、表示対象である会議用資料が変更された場合、変更前の表示対象である会議用資料は議長端末でない会議参加者Bの携帯端末3及び会議参加者Cの携帯端末3の記憶部32から削除され、変更後の表示対象である会議用資料が新たに議長端末でない会議参加者Bの携帯端末3及び会議参加者Cの携帯端末3にダウンロードされる。
【0049】
ただし、「同期/非同期切替」ソフトキー(図7参照)の操作によって議長端末でない会議参加者Bの携帯端末3が非同期モードになっているときには、議長端末でない会議参加者Bの携帯端末3は、サーバ2に対してポーリングを行わないようにするか、あるいは、ポーリングは行うがたとえ「営業企画会議1」に関する会議進行データが更新されていてもその更新を無視するようにしている。同様に、「同期/非同期切替」ソフトキー(図7参照)の操作によって議長端末でない会議参加者Cの携帯端末3が非同期モードになっているときには、議長端末でない会議参加者Cの携帯端末3は、サーバ2に対してポーリングを行わないようにするか、あるいは、ポーリングは行うがたとえ「営業企画会議1」に関する会議進行データが更新されていてもその更新を無視するようにしている。
【0050】
上記の通り、同期モードでの議長端末と非議長端末との間における、表示対象である会議用資料及びその会議用資料の表示ページの同期は、会議用資料そのもののやり取りではなく、会議進行データのやり取りによって実現されているため、通信回線に対する負荷が小さいという利点がある。
【0051】
また、図7に示す状態において、議長端末ではないが「ホスト権限」は有している会議参加者Bの携帯端末3の「議長権獲得」ソフトキー(図7参照)が押されると、議長の変更情報が会議参加者Bの携帯端末3からサーバ2に送られ、「営業企画会議1」に関する会議進行データが更新され、図8に示す状態に遷移する。
【0052】
また、図7に示す状態や図8に示す状態において、議長端末の「会議終了」ソフトキーが押されると、会議終了の指示情報が議長端末からサーバ2に送られる。サーバ2は、会議終了の指示情報に対応して、「営業企画会議1」に入室している全ての携帯端末3に対して会議資料の破棄命令を送り、その後、「営業企画会議1」に関する会議進行データをデータベース23から削除する。「営業企画会議1」に入室している全ての携帯端末3は、会議資料の破棄命令に対応して、記憶部32に保存している会議用資料を削除する。
【0053】
また、図7に示す状態や図8に示す状態において、いずれかの携帯端末3の「ログアウト」ソフトキーが押されると、「ログアウト」ソフトキーが押される携帯端末3は、自己の記憶部32内に保存されている会議用資料を削除するとともに、サーバ2上の自ログイン情報も削除するようにサーバ2に対して自ログイン情報の削除依頼を送る。
【0054】
なお、正常な会議終了や正常なログアウトができなかった場合を考慮し、会議用資料提示システム用アプリケーションソフトウェアの起動時に、記憶部32に保存されているおそれのある会議用資料を削除する処理を実行するようにすることが望ましい。また、会議終了やログアウトを行わずに会議用資料提示システム用アプリケーションソフトウェアを終了させてしまう会議参加者がいても機密情報の漏洩問題が生じないように、会議用資料提示システム用アプリケーションソフトウェアの終了時にも記憶部32に保存されているおそれのある会議用資料を削除する処理を実行するようにすることが望ましい。
【0055】
上記の通り、会議終了後、ログアウト後、あるいは会議用資料提示システム用アプリケーションソフトウェア終了後に、携帯端末3側に会議用資料が残らないようにしているので、機密情報の漏洩を防止することができる。
【0056】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実行することができる。
【0057】
例えば、携帯端末3のOSがマルチタスクOSである場合、携帯端末3に音声通話が可能なアプリケーションソフトウェアをインストールし、会議用資料提示システム用アプリケーションソフトウェアと、音声通話が可能なアプリケーションソフトウェアとを実行させることで、電話会議システム等を別途設ける必要がなくなる。
【0058】
また、議長端末において、表示対象である会議用資料の表示ページ内の任意の位置がポインタ位置として指定されると、ポインタ位置情報が議長端末からサーバ2に送られ、サーバ2は、そのポインタ位置情報に応じて、議長端末が入室している仮想会議室の会議進行データを更新するようにしてもよい。このような構成によると、各携帯端末の表示画面において、ポインタ位置を例えばハイライト表示することができ、表示ページのどの部分に注目すべきかを議長が他の会議参加者に示唆することができる。
【0059】
また、上述した実施形態では「議長権限」を設けたが、「議長権限」を設けない構成にしてもよい。この場合、「ホスト権限」を有する携帯端末の表示画面に「ホスト/ゲスト切替」ソフトキーを設けることが考えられる。「ホスト/ゲスト切替」ソフトキーの利用により、ホスト端末が常に1台であれば、上述した実施形態とほぼ同じ結果が得られるが、ホスト端末が常に1台になるとは限らず、複数のホスト端末それぞれが表示ページの変更情報をサーバに送り、表示ページの変更に混乱が生じる場合もあり得る。このため、「議長権限」を設ける構成の方が望ましい。
【0060】
また、上述した実施形態では、議長端末でない携帯端末がサーバに対して一定間隔でポーリングを行う構成であったが、これに代えて、会議進行データが更新される毎にサーバが議長端末でない携帯端末に更新された会議進行データを送る構成にしてもよい。
【0061】
また、上述した実施形態では、会議終了後あるいはログアウト後に、携帯端末3側で会議用資料の種類にかかわらず会議用資料を削除したが、各会議用資料に削除の要否に関する属性を追加し、削除が不要である会議用資料については削除処理を行わないようにしてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 登録装置
2 サーバ
3 携帯端末
21 制御部
22 通信部
23 データベース
31 制御部
32 記憶部
33 通信部
34 表示部
35 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数ページからなる電子ファイルである資料の提示先であって前記資料のページ毎の表示が可能な複数の携帯端末と通信可能なサーバであって、
前記複数の携帯端末それぞれに対して、ホスト権限またはゲスト権限のいずれかを付与する権限付与手段と、
ホスト権限が付与された携帯端末によって選択された資料を、前記複数の携帯端末全てにダウンロードさせるダウンロード手段と、
前記ホスト権限が付与された携帯端末から送信される表示ページに関する更新情報を受信する受信手段と、
前記複数の携帯端末のうち前記表示ページに関する更新情報を送信した携帯端末以外の携帯端末の全部または一部に前記表示ページに関する更新情報を送信する送信手段と、
資料の提示終了時に、前記複数の携帯端末全てに資料を破棄させる強制破棄手段とを備えることを特徴とするサーバ。
【請求項2】
前記権限付与手段が、ホスト権限が付与された携帯端末の一つにのみマスタ権限を付与し、
前記ダウンロード手段が、マスタ権限が付与された携帯端末によって選択された資料を、前記複数の携帯端末全てにダウンロードさせ、
前記受信手段が、前記マスタ権限が付与された携帯端末から送信される表示ページに関する更新情報を受信することを特徴とする請求項1に記載のサーバ。
【請求項3】
複数ページからなる電子ファイルである資料の提示先であって前記資料のページ毎の表示が可能な複数の携帯端末と、
前記複数の携帯端末と通信可能な請求項1または請求項2に記載のサーバとを備えることを特徴とする資料提示システム。
【請求項4】
前記複数の携帯端末それぞれが、同期モードと非同期モードの切替機能を有し、
非同期モードである携帯端末と前記サーバとの間で前記表示ページに関する更新情報の送受信を行わない、または、前記サーバが非同期モードである携帯端末から送信されてくる前記表示ページに関する更新情報を無視し、非同期モードである携帯端末が前記サーバから送信されてくる前記表示ページに関する更新情報を無視することを特徴とする請求項3に記載の資料提示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−123736(P2012−123736A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275979(P2010−275979)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(504381571)NRIネットコム株式会社 (4)
【Fターム(参考)】