説明

資材保管システムおよび資材移動方法

【課題】木製に比して耐久性の高い緩衝材を使用するとともに、作業員の負担を軽減することを目的とする。
【解決手段】天井クレーンが磁力を用いて、柱状部材群11,12,13の位置において、資材30及び緩衝材40を移動させるため、作業員が自ら緩衝材40を資材30の上に重ねるという作業が不要となり、作業員の負担を軽減することができる。また、柱状部材群11,12,13の各柱状部材の凹型の嵌込部によって、緩衝材40の位置が安定的に維持されるから、この安定性を確保するための緩衝材40の位置の調整等の煩雑な作業を作業員自身が行わなくて済む。また、各柱状部材の構造は簡素であるし、その設置も容易に行うことができるので設置コストを抑制することができる。また、金属性の緩衝材40を用いるため、これを再利用することができ、従来のような木製のりん木を用いる場合と比べて、その消費量は大幅に低減される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、資材保管システムおよび資材移動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製鉄所や電気炉メーカ、問屋等においては、鉄筋棒や平鋼(FB)、型鋼等を複数束ねた資材を、倉庫等の保管場所に保管する。資材を積み重ねて保管する際には、その資材と、りん木と呼ばれる緩衝材とを交互にして積み重ねることが行われている。ところが、このりん木は木製であるため、何回か使用するうちに資材の重みで破損してしまうことから、頻繁に交換しなければならない。また、資材の上に、都度、りん木を置いていく作業は、作業員にとっては相当の重労働であるとともに危険を伴うため、その改善が望まれている。なお、資材を保管するときの安定性を高めるための技術としては、例えば特許文献1,2に開示されたものがある。
【特許文献1】特開2002−234604号公報
【特許文献2】特開平10−236619号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した課題を解決するため、本発明は、木製に比して耐久性の高い緩衝材を使用するとともに、作業員の負担を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するため、本発明は、磁性を有する金属からなる、所定の長さの複数の緩衝材と、前記緩衝材の長さに対応した距離を隔てて互いに対向する位置に立てられた2列の複数の柱状部材からなる一組の柱状部材群を複数有し、前記柱状部材が前記緩衝材の填め込まれる嵌込部を有している複数組の柱状部材群と、磁性を有する資材又は前記緩衝材を磁力によって保持し、移動させる移動手段とを備え、前記資材を1の組の前記柱状部材の列の間に積み重ねる場合には、前記移動手段が、前記資材を移動させて前記1の組の前記柱状部材の列の間に置いた後に、他の組の前記柱状部材の列の間にて対向する2本の前記柱状部材の嵌込部に填め込まれた状態で置かれている前記緩衝材を磁力で保持したまま、前記1の組の柱状部材の列の間に置かれた前記資材の上方まで移動させてから、当該列の間にて対向する2本の前記柱状部材の嵌込部に各緩衝材が填め込まれるようにして、該緩衝材を前記資材の上に重ねて置くことを繰り返し、前記1の組の前記柱状部材の列の間に積み重ねられた前記資材を移動させる場合には、前記移動手段が、当該1の組の柱状部材の列の間にて前記資材の上に重ねて置かれている前記緩衝材を磁力で保持したまま、他の組の前記柱状部材の列の間に移動させ、当該列の間にて対向する2本の前記柱状部材の嵌込部に各緩衝材が填め込まれるようにして置いた後、前記1の組の柱状部材の列の間に置かれている前記資材を移動させることを繰り返す資材保管システムを提供する。
また、本発明は、磁性を有する金属からなる複数の緩衝材の長さに対応した距離を隔てて、互いに対向する位置に、前記緩衝材の填め込まれる嵌込部を有する複数の柱状部材を立てて、該複数の柱状部材からなる柱状部材群を複数設置する過程と、磁性を有する資材又は前記緩衝材を磁力によって保持し移動させる移動手段を用いて、1の組の前記柱状部材の列の間にて、対向する2本の前記柱状部材の嵌込部に各緩衝材が填め込まれるようにして、当該緩衝材を積み重ねる過程と、前記移動手段を用いて、他の組の前記柱状部材の列の間に前記資材を移動させて置いた後に、前記1の組の柱状部材の列の間に置かれている前記緩衝材を磁力で保持したまま、前記他の組の柱状部材の列の間に置かれた前記資材の上方まで移動させてから、当該列の間にて対向する2本の前記柱状部材の嵌込部に各緩衝材が填め込まれるようにして、該緩衝材を前記資材の上に重ねて置く過程と、前記移動手段を用いて、前記他の組の柱状部材の列の間にて前記資材の上に重ねて置かれている前記緩衝材を磁力で保持したまま、前記1の組の前記柱状部材の列の間に移動させ、当該列の間にて対向する2本の前記柱状部材の嵌込部に各緩衝材が填め込まれるようにして置いた後、前記他の組の柱状部材の列の間に置かれている前記資材を移動させる過程とを有することを特徴とする資材移動方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
(A)構成
図1は、本実施形態に係る資材保管システムの構造を模式的に表した斜視図である。この資材保管システムは、例えば、倉庫や工場の屋内に設けられる。同図に示すように、柱状部材群11,12,13を含む複数列の柱状部材群が床面又は地面に立てられている。柱状部材群11は、列方向(図中y方向)に所定間隔を空けて立てられた、4つの柱状部材11−1,11−2,11−3,11−4からなる。同様に、柱状部材群12は、列方向に所定間隔を空けて立てられた、4つの柱状部材12−1,12−2,12−3,12−4からなり、柱状部材群13は、列方向に所定間隔を空けて立てられた、4つの柱状部材13−1,13−2,13−3,13−4からなる。柱状部材群11,12,13を構成する各柱状部材は、同一形状且つ同一寸法で、上方から見たときの断面が「H」型(又は「I」型)の、例えばH型鋼(I型鋼)が用いられる。例えば柱状部材群11と柱状部材群12との間には、長手方向がその列方向に沿うように、複数の資材30が置かれている。資材30は、磁性を有する鋼材等のワイヤが複数束ねられてなり、その断面は略円状である。資材30の長手方向の長さは、例えば6メートル〜12メートルであり、一束当たりの重量はおよそ2トンから2.5トンである。図1においては、資材30が6束ずつ、2段に積み重ねられている。一方、柱状部材群12と柱状部材群13との間には、所定の長さの緩衝材40が複数段に積み重ねて置かれている。緩衝材40は、金属等の磁性を有する材質からなる直方体状の部材であり、りん木(枕木、端太角等)と同様の用途で用いられる。なお、図1に示すように、各柱状部材の高さ方向に相当し、x方向及びy方向に直交する方向を「z方向」とする。
【0006】
図2は、図1に示した各構成の配置を上方から見た様子を模式的に表した図である。同図に示すように、柱状部材群11,12,13において、各柱状部材間のy方向の距離はLで一定であり、柱状部材群11,12間のx方向の距離、及び柱状部材群12,13の間のx方向の距離は、共にDで一致している。距離Dは、緩衝材40の長さに応じた距離である。このように、柱状部材群11,12を構成する各柱状部材はそれぞれ、緩衝材40の長さに対応した距離を隔てて互いに対向する位置に設けられており、同様に、柱状部材群12,13を構成する各柱状部材もそれぞれ、緩衝材40の長さに対応した距離を隔てて互いに対向する位置に設けられている。また、前述したように、柱状部材群11,12,13の各々の柱状部材は、断面が「H」型(又は「I」型)であるから、その断面を見ると2つの凹部が形成されていることになる。各々の柱状部材は、この凹部が互いに向かい合うような向きで設置されている。この凹部は、緩衝材40の端部が填め込まれるための嵌込部pとして用いられる。図2および図4においては、柱状部材11−4,12−4,13−4の嵌込部のみに符号「p」を付している。緩衝材40は、柱状部材群12,13間において、それぞれ対向する2本の柱状部材の嵌込部pに填めこまれた状態で置かれる。これにより、緩衝材40の位置は安定的に維持される。
なお、資材保管システムにおいては、柱状部材群11,12と、柱状部材群12,13という2組のほかに、これと同様の構成の1又は複数組の柱状部材群が設置されている。
【0007】
(B)動作
図3は、柱状部材群11,12,13の間で資材30及び緩衝材40を移動させるときの様子を説明する図である。同図は、柱状部材群11,12,13付近、及び天井クレーン50を、y方向から見たときの様子を示している。資材30及び緩衝材40の移動には、倉庫や工場の天井付近に設けられた天井クレーン50が用いられる。天井クレーン50は、いわゆるマグネット式のクレーンであり、天井近傍に架設した走行レールに懸垂されている。天井クレーン50は、図示せぬウィンチによってワイヤを巻き上げ及び巻き下げすることにより昇降可能なリフティングマグネット51を備えている。リフティングマグネット51は板状をなしており、図2の二点鎖線で示すように、x方向の幅は柱状部材群12,13間の距離Dの半分程度の大きさで、一度に3束の資材30を保持し、移動させることができる。一方、リフティングマグネット51のy方向の幅は、柱状部材群12,13の列方向の長さにほぼ一致しており、柱状部材12−1,13−1間、12−2,13−2間、12−3,13−3間、12−4,13−4間にてそれぞれ積み重ねられている緩衝材40のうち、最も上に置かれている4本の緩衝材40を同時に保持し、移動させることができる。このように、天井クレーン50は、資材30又は緩衝材40を磁力によって保持し、移動させる移動手段として機能する。天井クレーン50の動作は、資材保管システムとは別の場所にいる作業員が、天井クレーン50の動作を制御するコントローラを操作することによって実現される。
【0008】
(B−1)資材30を資材保管システムに搬入するときの動作
資材30は、例えば図示せぬトラックの荷台に積まれた状態で、この資材保管システムへと運ばれてくる。以下では、まず、運ばれてきた資材30を資材保管システムに搬入するときの動作について説明する。
図3(a)に示すように、この動作を開始する前においては、柱状部材群11,12の列の間には資材30は置かれておらず、柱状部材群12,13の列の間には、予め緩衝材40が複数段に亘って積み重ねて置かれている。この柱状部材群12,13間に置かれた緩衝材40は、資材保管システムの周辺に置かれた緩衝材40を、天井クレーン50により、柱状部材群12,13の列の間にて対向する2本の柱状部材の嵌込部pに各緩衝材40が填め込まれるようにして、積み重ねられたものである。この動作は、以下に述べる動作に先立って行われる。
【0009】
作業員によるコントローラの操作に従って、天井クレーン50は、まずトラックの荷台の上方の位置まで移動する。そして、天井クレーン50は、リフティングマグネット51を降下させると、そのリフティングマグネット51を励磁して磁力を発生させる。そして、天井クレーン50は、リフティングマグネット51により、磁力によってトラックに積まれた資材30を例えば3束だけ保持したまま、これを上昇させる。次いで、天井クレーン50は、資材30を保持したまま天井の走行レールに沿って走行し、柱状部材群11,12間の上方まで資材30を移動させる。そして、天井クレーン50は、リフティングマグネット51を降下させると、リフティングマグネット51の励磁を停止することにより、図3(b)に示すように、保持していた3束の資材30を柱状部材群11,12間に置く。この後も、作業員は、再び天井クレーン50をトラックの位置まで移動させるようコントローラを操作して、トラックに積まれている資材30を柱状部材群11,12間に移動させるという動作を繰り返す。そして、4回に亘って上記の天井クレーン50の動作が繰り返されると、図3(c)に示すように、柱状部材群11,12間には、資材30が6束ずつ2段に積み重ねられた状態となる。
【0010】
次いで、天井クレーン50は、作業員によるコントローラの操作に従って、柱状部材群11,12間に積み重ねられた資材30の上に、緩衝材40を重ねるための動作を行う。まず、天井クレーン50は、図2の二点鎖線で示す位置であって、緩衝材40が置かれている柱状部材群12,13の上方まで移動する。そして、天井クレーン50は、リフティングマグネット51を降下させて、これを励磁する。そして、図3(d)に示すように、天井クレーン50は、リフティングマグネット51によって柱状部材12−1,13−1間、12−2,13−2間、12−3,13−3間、12−4,13−4間のそれぞれに置かれている4本の緩衝材40を保持し、これを上昇させる。続いて、天井クレーン50は、緩衝材40を磁力で保持したまま、柱状部材群11,12間に置かれた資材30の上方まで移動する。そして、天井クレーン50は、柱状部材群11,12間において対向する2本の柱状部材の嵌込部pに各緩衝材40が填め込まれるようにして、緩衝材40を資材30の上に重ねて置く。このとき、各緩衝材40が上昇させられたときの各緩衝材40間の距離はLであり、各緩衝材40が下降させられたときの各緩衝材40間の距離もLであるから、各緩衝材40の両端は、柱状部材群11,12間にて対向する2本の柱状部材の嵌込部pにちょうど収まることになる。これにより、図3(e)に示すように、柱状部材群11,12間においては、2段に積み重ねられた資材30の上に、緩衝材40が重ねられて置かれた状態となる。
【0011】
図4は、図3(e)に示す状態のときの、柱状部材群11,12間の様子を上方から見た様子を模式的に表した図である。同図に示すように、柱状部材11−1,12−1間、柱状部材11−2,12−2間、柱状部材11−3,12−3間、柱状部材11−4,12−4間のそれぞれの位置に、緩衝材40が1つずつ資材30の上に重ねられている。このとき、柱状部材群11,12間に移動させられた各緩衝材40は、各柱状部材の嵌込部pに填め込まれた状態となっている。これにより、緩衝材40が資材30の上に重ねられても、その位置が安定的に維持される。
【0012】
以降においても、図3に示した手順と同様にして、天井クレーン50は、作業員によるコントローラの操作に従って、資材30及び緩衝材40を柱状部材群11,12間に積み重ねる動作を繰り返す。この動作の繰り返しにより、図5に示すように、柱状部材群11,12間には、資材30と緩衝材40とが交互に積み重ねられることになる。そして、図5に示すような状態になったとき、柱状部材群11,12の各柱状部材の上端に近い高さまで資材30及び緩衝材40が積み重ねられたことになるので、柱状部材群11,12間に対する資材30の保管動作はここで終了となる。ただし、柱状部材群11,12以外の他の組の柱状部材群の間が空いているときには、上記と同じ動作で、そこに資材30を積み重ねることができる。
【0013】
(B−2)資材30を資材保管システムから搬出するときの動作
次に、資材保管システムに保管されている資材30を、出荷等のために搬出するときの動作について説明する。資材保管システムから資材30を搬出するときは、前述した資材30の保管動作と逆の手順を行えばよい。まず、作業員はコントローラを操作し、天井クレーン50を、柱状部材群11,12間の上方まで移動させる。次に、天井クレーン50は、リフティングマグネット51を降下させてこれを励磁し、磁力によって資材30を3束だけ保持して上昇させる。次いで、天井クレーン50は資材30を保持したまま、図示せぬトラックの上方まで移動し、リフティングマグネット51を降下させてトラックの荷台に資材30を置く。この動作を繰り返すと、やがて、柱状部材群11,12間において、緩衝材40が最も上に位置することとなる。
【0014】
続いて、作業員によるコントローラの操作に従って、天井クレーン50は、リフティングマグネット51によって柱状部材群11,12間にある緩衝材40を保持すると、柱状部材群12,13間の上方に移動する。このとき、リフティングマグネット51は、図2の二点鎖線の位置となる。そして、天井クレーン50は、リフティングマグネット51を降下させ、柱状部材群12,13のそれぞれ対向する2本の柱状部材の嵌込部pに各緩衝材40を填め込んだ状態で、これを置く。つまり、柱状部材12−1,13−1間、柱状部材12−2,12−2間、柱状部材13−3,13−3間、柱状部材12−4,13−4間のそれぞれに、天井クレーン50によって移動させられた緩衝材40が1つずつ置かれることになる。柱状部材群12,13に置かれた緩衝材40は、嵌込部pによりその位置は安定的に維持される。
以上の動作を繰り返して、天井クレーン50は資材30をトラックに積みつつ、緩衝材40を柱状部材群12,13間に置いていくことになる。柱状部材群12,13間に戻された緩衝材40は、資材30が資材保管システムに搬入される別の機会に用いられる。
【0015】
以上説明した実施形態によれば、天井クレーン50が磁力を用いて資材30及び緩衝材40を移動させるため、作業員が自ら緩衝材40を資材30の上に重ねるという作業が不要となる。よって、作業員の負担を軽減することができるとともに、安全性を高めることができる。また、資材保管システムにおいては、作業員が通る通路等を設ける必要がないので、同じ量の資材30を保管するためのスペースを、従来よりもおよそ1/3に縮小することができる。また、各柱状部材の嵌込部pによって緩衝材40の位置が安定的に維持されるから、この安定性を確保するための緩衝材40の位置の調整等の煩雑な作業を作業員自身が行わなくて済む。また、各柱状部材の構造は簡素であるし、その設置も容易に行うことができるので設置コストを抑制することができる。さらには、金属性の緩衝材40を用いるため、これを再利用することができ、従来のような木製のりん木を用いる場合と比べて、その消費量は大幅に低減される。
【0016】
(C)変形例
上記実施形態を次のように変形してもよい。これらの変形は、各々を適宜に組み合わせることも可能である。
上述した実施形態では、作業員がコントローラを操作して天井クレーン50の動作を制御していたが、コントローラが自律的に天井クレーン50の動作を自動制御してもよい。特に、天井クレーン50が、緩衝材40を柱状部材群11,12間と、柱状部材群12,13間との間で移動させるときにおいては、天井クレーン50は、柱状部材群11,12間と、柱状部材群12,13間との間で決まった経路で同じ距離だけ移動することになる。したがって、この動作を実現するための制御プログラムを予めコントローラに組み込んでおけば、コントローラは、緩衝材40を移動させるための天井クレーン50の制御を比較的容易に実現することができる。
【0017】
緩衝材40の形状や、柱状部材の嵌込部の形状は、実施形態に述べたものに限定されない。要するに、緩衝材40が柱状部材群間に置かれたときにその位置が安定的に維持されるように、各柱状部材の嵌込部の形状が決められていればよい。また、全ての柱状部材に嵌込部を備える必要はなく、一部の柱状部材にのみ嵌込部があってもよい。
【0018】
上述した実施形態では、資材30が置かれる柱状部材群11,12間と、緩衝材40が置かれる柱状部材群12,13間とは隣り合っていたが、この位置関係はこれに限らない。両者が離れた位置にあっても、作業員によるコントローラの操作によって実施形態と同様の動作を実現することができるし、コントローラが自動で天井クレーン50の動作を制御する場合であっても、移動経路や移動距離を定義する制御プログラムを適切に設定すればよいだけである。
また、上述した実施形態では、柱状部材群11,12間に資材30が置かれ、柱状部材群12,13間に緩衝材40が置かれ、複数組設けられた柱状部材群は、複数の組で共通して用いられる柱状部材群12を含んでいた。これに対し、資材30を置くためのスペースを形成する2列の柱状部材群と、緩衝材40を置くためのスペースを形成する2列の柱状部材群とをそれぞれ独立させてもよい。この場合、緩衝材40が置かれる方向のみに嵌込部があればよいから、各柱状部材の断面は、例えば緩衝材40が置かれる方向のみに開口した凹状(溝型鋼)としてもよい。
【0019】
上述した実施形態では、各柱状部材群は、4つの柱状部材を一列に並べて構成されていたが、その数は更に多くてもよいし、少なくても良い。また、各柱状部材において、各柱状部材間の距離はLで一定であったが、これらは一致していなくてもよい。ただし、各列の柱状部材群においては、緩衝材40の長さに対応した距離を隔てて互いに対向する位置に立てられている必要がある。また、各列の柱状部材群間の距離とか、資材30を何段重ねる毎に緩衝材40を重ねるかとか、1段当たりに置く資材30の本数とか、各柱状部材の高さ等は、資材保管システムに資材を保管するために必要な容量や、資材保管システムのスペース等によって適宜設定される事項である。また、天井クレーン50に代えて、別の形態のマグネット式のクレーンを用いてもよく、磁力で資材30や緩衝材40を保持して、これらを移動させる移動手段を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】資材を保管するための資材保管システムの構造を模式的に表した図である。
【図2】資材保管システムの様子を上方から見た様子を模式的に表した図である。
【図3】各柱状部材群の間で資材及び緩衝材を移動させるときの、資材保管システムの時系列的な変化の様子を説明する図である。
【図4】柱状部材群間の様子を上方から見た様子を模式的に表した図である。
【図5】資材及び緩衝材が置かれたときの柱状部材群付近の様子を模式的に表した図である。
【符号の説明】
【0021】
11,12,13…柱状部材群、30…資材、40…緩衝材、50…天井クレーン、51…リフティングマグネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性を有する金属からなる、所定の長さの複数の緩衝材と、
前記緩衝材の長さに対応した距離を隔てて互いに対向する位置に立てられた2列の複数の柱状部材からなる一組の柱状部材群を複数有し、前記柱状部材が前記緩衝材の填め込まれる嵌込部を有している複数組の柱状部材群と、
磁性を有する資材又は前記緩衝材を磁力によって保持し、移動させる移動手段と
を備え、
前記資材を1の組の前記柱状部材の列の間に積み重ねる場合には、
前記移動手段が、前記資材を移動させて前記1の組の前記柱状部材の列の間に置いた後に、他の組の前記柱状部材の列の間にて対向する2本の前記柱状部材の嵌込部に填め込まれた状態で置かれている前記緩衝材を磁力で保持したまま、前記1の組の柱状部材の列の間に置かれた前記資材の上方まで移動させてから、当該列の間にて対向する2本の前記柱状部材の嵌込部に各緩衝材が填め込まれるようにして、当該緩衝材を前記資材の上に重ねて置くことを繰り返し、
前記1の組の前記柱状部材の列の間に積み重ねられた前記資材を移動させる場合には、
前記移動手段が、当該1の組の柱状部材の列の間にて前記資材の上に重ねて置かれている前記緩衝材を磁力で保持したまま、他の組の前記柱状部材の列の間に移動させ、当該列の間にて対向する2本の前記柱状部材の嵌込部に各緩衝材が填め込まれるようにして置いた後、前記1の組の柱状部材の列の間に置かれている前記資材を移動させることを繰り返す
ことを特徴とする資材保管システム。
【請求項2】
磁性を有する金属からなる複数の緩衝材の長さに対応した距離を隔てて、互いに対向する位置に、前記緩衝材の填め込まれる嵌込部を有する複数の柱状部材を立てて、該複数の柱状部材からなる柱状部材群を複数設置する過程と、
磁性を有する資材又は前記緩衝材を磁力によって保持し移動させる移動手段を用いて、1の組の前記柱状部材の列の間にて、対向する2本の前記柱状部材の嵌込部に各緩衝材が填め込まれるようにして、当該緩衝材を積み重ねる過程と、
前記移動手段を用いて、他の組の前記柱状部材の列の間に前記資材を移動させて置いた後に、前記1の組の柱状部材の列の間に置かれている前記緩衝材を磁力で保持したまま、前記他の組の柱状部材の列の間に置かれた前記資材の上方まで移動させてから、当該列の間にて対向する2本の前記柱状部材の嵌込部に各緩衝材が填め込まれるようにして、該緩衝材を前記資材の上に重ねて置く過程と、
前記移動手段を用いて、前記他の組の柱状部材の列の間にて前記資材の上に重ねて置かれている前記緩衝材を磁力で保持したまま、前記1の組の前記柱状部材の列の間に移動させ、当該列の間にて対向する2本の前記柱状部材の嵌込部に各緩衝材が填め込まれるようにして置いた後、前記他の組の柱状部材の列の間に置かれている前記資材を移動させる過程と
を有することを特徴とする資材移動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−269743(P2009−269743A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−123411(P2008−123411)
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【出願人】(508139527)株式会社進和製作所 (1)
【Fターム(参考)】