説明

走査イオン注入装置の用量均一性を判断する方法

走査イオン注入装置の用量均一性が判断される。ベースビーム電流が基板面積全体にわたる完全走査の開始時および/または終了時に測定される。このベースビーム電流は、測定が注入される基板からの脱ガス化による影響を受けないときに測定され、ベース用量分布マップが次いで、当該走査に対して算出される。該走査自体の間に、ビーム不安定性イベントが検出され、該検出済み不安定性イベントの走査における大きさおよび位置が測定される。該算出済みベース用量マップの対応する偏差が判断され、該事前算出済みベース用量分布マップから減算されて、補正済み分布マップを提供する。このように全用量均一性を減算的に(substractively)判断することによって、良好な全体の正確性が取得可能であり、該ビーム不安定性イベントの測定においてはそれ程正確ではない。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、イオン注入装置に、とりわけこのような注入装置によって注入される基板上のイオン用量均一性を判断するための方法に関する。
【発明の背景】
【0002】
イオン注入装置は、所望の種のイオンを基板に注入することによって半導体基板材料を修正して、この基板の特性を変更するために使用される。
【0003】
イオン注入は真空チャンバで生じ、ここでは、イオンが注入される基板やウェーハがホルダーに搭載されている。イオンは通常、ビームの形態でイオンソースから基板に向けられており、ビームの断面積は通常、注入されるウェーハよりも小さい。基板ウェーハの表面全体に等しく注入するために、基板とビーム間の相対的走査が提供される。
【0004】
ホルダーに静止して保持されている基板ウェーハによる2次元ビーム走査と、ビームが第1の方向に走査されるのに対してウェーハは第2の方向に機械的に走査ビームを通過させられるハイブリッド走査と、ビームが実質的に定常に維持され、且つ基板が2次元に機械的に走査される機械的走査とを含む種々の走査配列が従来技術において提案され、且つ使用されてきた。機械式およびハイブリッド式走査配列の例は、米国特許第5,641,969号と、米国特許第5,898,179号と、米国特許第6,555,825号と、国際公開公報第03/088303号と国際公開公報第2004/001789号とを含んでいる。
【0005】
所望の種の所望の用量が、注入される基板ウェーハの表面全体に均一に送出されることを保証することがイオン注入における通常の目的である。基板に送出される単位面積あたりの総用量(total dose)はまた、通常は注意深くコントローラされなければならない。このために、イオンビームにおけるイオン電流が測定されて、走査配列は、ウェーハの各部分が所望の総用量を受け取るために適切な期間ビームに暴露されることを保証するように調整される。
【0006】
ビーム電流は通常、ファラデーコレクターによって測定される。このデバイスは、イオンビームが収集表面に衝突する場合に発生されることがある二次電子が、測定デバイスから逃げられないことを保証し、ファラデーコレクターによって収集された電荷は、収集されたイオンの総数の正確な測定である。
【0007】
残念ながら、一般的な注入装置のビームでウェーハに送出された所望のイオンの電流は完全に一定ではない。ビーム電流は相対的に低速ドリフトを経験することがあり、また付加的に、突然且つ短期間の変化を経験することがある。一般的にグリッチ(glitches)と称されるこれらの短期間の変化は、例えば、ビームラインに沿った場所でのアーキングイベントの結果であってもよい。イオンビーム電流の低速ドリフトは数分にわたる少数のパーセンテージポイントの電流の変化をもたらすことがあるのに対して、グリッチは一般的に、高速開始と、最高数百ミリ秒の期間と、高速回復とを有する。理想的には、注入プロセスにわたるビームのイオン電流を正確に監視することが望ましい。しかしながら、注入プロセス中に基板に衝突するビームイオンの連続的且つ確実な電流読み取りをすることは実際的ではないと証明されており、そのため実際は、走査手順時に基板をバイパスするイオンのみが、基板ホルダーの背後に配置されたファラデーコレクターによって効果的に監視可能である。
【0008】
しかしながら、種々の技術が、注入プロセス中に間隔をおいてイオンビーム電流読み取りを取得するために提案されている。例えば、米国特許第4,234,797号は、ホイールの周縁に搭載された多数の基板を有する走査ホイールを使用するバッチ注入装置を開示している。基板はホイールの回転によってビームを介して機械的に走査され、且つホイール軸を同時に変換している。スロットが1対の隣接する基板サポート間のホイールに提供されており、スロットがホイールの回転時にビームを通過するとビームイオンがホイールを通過することができる。このように、ビーム電流の測定は、各ホイール回転につき1回取得可能である。米国特許第6,646,276号は、スポーク上に担持されている複数の基板サポートから形成された走査ホイールを開示しており、各隣接する対のサポート間に空間がある。本特許はまた、ホイールがビームを介して走査されると注入プロセス全体のイオンビーム測定をすることを開示している。ビーム電流はかなりの高速レートでサンプリングされて、隣接するウェーハサポートと走査ホイールのスポークとの間を通過するビームイオンの電流値を取得する。
【0009】
イオン注入プロセス時のビーム電流の正確な測定を取得することに伴う更なる問題は、ビーム電流を監視するために使用されるファラデーコレクターがビームの帯電粒子を検出し、これに応答する恐れがある点である。ビームイオンは、注入される基板に衝突する前にビームが通過する領域における残渣ガス原子による帯電交換イベントによって一次的に中和される傾向がある。注入される基板に対して最終的な所望のエネルギーおよびビーム方向を達成した後にのみビームイオンが中和されるのならば、基板に衝突するビームにおける所望の種の中和された原子や分子の有無は問題ではない。しかしながら、イオンビームにおける中和された粒子の有無は、中和粒子は測定されないため、ビーム電流の正確な測定を取得することに対して問題を提示する。
【0010】
長年、イオンビームにおける中和粒子の比率が、基板に衝突する前にイオンビームが通過する残渣ガスの圧力に関連していると理解されてきた。イオンビームにおける中和粒子の結果として得られる比率が実質的に一定のままであり、且つ例えばスカラー乗算器によって実験的に補正可能であるため、イオン注入が行われる真空チャンバにおける定常状態の背景残渣ガス圧力は容認可能である。しかしながら、基板ウェーハ上の注入プロセスは、材料、一般的にウェーハを作るために使用されるフォトレジストをウェーハ表面から脱ガスさせる。これは、プロセスチャンバにおける残渣ガス圧力の予測不可能な増加をもたらし、イオンビームにおける中和粒子の比率の増加をもたらす。結果として、基板がイオンビームに対して走査されている時になされる、ファラデーによって受け取られたイオン電流の通常の測定は、予測不可能な量のビーム電流を測定する傾向がある。結果として、プロセスによって基板に注入された所望の種の総用量は予測不可能になる。
【0011】
注入時の脱ガスによって生じた残渣ガス圧力の変化のビーム電流測定に対する効果を無効にするために種々の提案がなされてきた。例えば、米国特許第6,297,510号は、計算済み補正を測定済みビーム電流に適用するために、プロセス走査間の複数のビーム電流測定をする間にイオン注入装置のプロセスチャンバにおける残渣ガス圧力を監視することを開示している。残渣ガス圧力測定の取得を伴う、走査時に測定済みビーム電流を補正するための配列もまた米国特許第4,539,217号、米国特許第4,587,433号および米国特許第5,760,409号に開示されている。
【0012】
注入プロセス時の脱ガスに起因する残渣ガス圧力の増加は、脱ガス化が生じると、例えば基板がもはやイオンビームによって走査されていないと、真空ポンピングシステムによってかなり迅速に、再度低下される。したがって、残渣ガス圧力が名目値までポンプダウンされるのに十分な時間がある限り、走査プロセスの前後になされるイオン電流測定は確実に正確である。したがって、基板ホルダーとこの上の基板とが完全にイオンビームなしでスピンしている往復運動の一方の端(extreme)に走査ホイール軸があるたびに、注入プロセス時に正確なビーム電流測定をなすことは、走査ホイールを使用するバッチ注入装置によって実際的であると確立されている。走査が真空システムに対してかなりの時間この位置で一時停止されて、残渣ガス圧力を名目値まで低下させる限り、正確なビーム電流読み取りがなされることが可能である。この手順によって、新たな且つ正確なビーム電流測定が、注入プロセスによって数秒の間隔でなされることが可能になる。注入プロセスは、ホイール周辺に搭載された基板をイオンビームを介して反復的に通過するホイール軸の複数の往復運動を備えてもよいのに対して、走査ホイールは高速レートで、一般的に200〜1250rpmで回転される。したがって、走査ホイールの回転によってビームは、高速レート(およそ約50ミリ秒ごと)で各基板上で反復的に掃引されるのに対して、基板上のこれらの高速掃引は基板上を半径方向に通過して、ホイール軸の往復運動はより低速な反復レート(一般的には数秒)である。注入プロセス時の、これらの反復ビーム電流測定は、例えばイオンソースパラメータのドリフトに起因するビーム電流のゆっくりとした変化を補償するようにプロセスのコントロールを可能にするのに十分である可能性がある。しかしながら、各低速走査の終了時になされるこれらの正確なビーム電流読み取りはビームの短期間グリッチを本来なら検出しない。
【0013】
米国特許第6,646,276号は、隣接する対の基板ホルダーの間の走査ホイールの基板ホルダーを通過するビームイオンの複数の電流サンプルを達成するために、スポークホイールタイプのバッチ注入装置の基板ホルダーをかなりの高速サンプルレート(1kHz以上)で通過するビーム電流のサンプルを取得することを提案している。本特許は、ビームグリッチを示すことがありうるビーム電流の突然の低下を判断するために、各対の基板ホルダー間で取得されたビーム電流値を先行の電流値と比較することを提案している。その後、注入されているバッチの各基板に影響するビームグリッチ数に関する記録は、不具合があるか、不適切に注入されることがあるバッチの基板ウェーハを示すために、維持される。しかしながら、本特許に開示されている手順は、各基板を通るビームの不具合のある高速掃引数を示すことだけで、不具合があるか、不適切に注入された基板の可能性の大まか且つ即時の指示を提供することができる。
【発明の概要】
【0014】
本発明の実施形態の目的は、注入された基板が正確な用量および用量均一性を達成したというより正確な指示を提供するために、イオン注入時にイオンビーム電流の改善された監視を可能にすることである。
【0015】
したがって、本発明は、イオンビームと注入される基板との間の少なくとも1回の相対的走査を実行する走査イオン注入装置の用量均一性を判断するための方法を提供しており、該方法は、注入される基板からの脱ガス化に影響されないように該走査の前後の少なくとも一方でベースビーム電流を測定するステップと、走査する該基板のベース用量分布マップを該測定済みベースビーム電流から算出するステップと、ビーム不安定性イベントを検出し、且つ該検出済みビーム不安定性イベントの、該基板上での該走査における大きさおよび位置を測定するステップと、該算出済みベース用量マップにおける対応する偏差を該測定済みの大きさおよび走査位置から判断するステップと、該偏差を該ベース用量分布マップから減算して補正済み用量分布マップを提供するステップとを備えている。
【0016】
本発明は、イオンビームと基板との間の相対的走査があるため、ベースビーム電流が、少なくとも注入をなす各走査の前または後に脱ガス化による残渣ガス圧力の増加によって実質的に影響されることなく正確に測定可能である任意の走査イオン注入装置に適用可能である。このことは、走査プロセスは相対的に低速の反復レートを有しているため、該残渣ガス圧力が名目値にまでポンプダウンされ、且つ正確なビーム電流測定がなされるようにするために各走査の前および/または後に十分な時間が可能であることを示唆している。ごく普通であるが、したがって、各該走査は、該ビームを介する該基板ホルダーの機械的往復運動を備えることになる。走査ホイールを具備するバッチタイプの注入装置の場合は、各走査は、ビームがホイールの外縁でスピンする該基板の外側にある場合に、位置間の該走査ホイール軸の完全な往復運動を備えている。しかしながら、本発明はまた、ウェーハサポートが走査済みビームの平面を介して往復されるハイブリッド走査システムと、該ウェーハサポートがリボン状断面を有するビームの平面を介して往復されるリボンビームシステムとを含む他のタイプの注入装置にも適用可能である。本発明は、単一のウェーハサポートが固定イオンビームを介してラスター状の機械的走査を実行する2次元機械的走査注入装置にも有用である。
【0017】
上記開示されている本発明の該方法では、正確なベースビーム電流測定が少なくとも該注入プロセスの各走査間でなされる。これらの正確なビーム電流測定から、例えば該ビーム電流が該走査の前後になされる該正確な測定の平均で該走査に対して一定であると想定することによって、あるいは該ビーム電流は測定の前後で一定のレートで該走査に対して変化すると想定することによって、該ベース用量の基板に対する分布のマップが算出可能である。
【0018】
一配列において、該ビーム不安定性イベントが検出されて、この該大きさおよび位置は、該走査時に、該基板を通過するビームイオンの複数の測定をすることによって測定されてもよい。例えば、ビームがバッチ注入装置におけるスポークタイプの走査ホイールの隣接する基板サポート間を通過すると、これらの測定がなされてもよい。あるいはまた、これらの測定は、単一の基板のラスター走査を提供する配列において各高速ライン掃引の終了時になされてもよい。
【0019】
該複数の測定は、該走査時に生じるグリッチなどのビーム不安定性イベントの、該基板に対する該走査におけるサイズおよび位置を判断するために使用される。実際、該反復測定によって、ビームグリッチが生じる、基板に対する高速ビーム掃引の基板上の位置の測定だけでなく、該グリッチ時に送出されたビーム電流の低下の測定をも提供することが可能になる。これらにより、該事前算出されたベース用量マップにおいて該グリッチによる予想偏差が判断されるため、該判断済み偏差は該ベース用量マップから減算されて、補正済み用量分布マップを提供することができる。
【0020】
別の配列において、該注入装置は、ソース電位におけるイオンソースと、ベース電位における質量選択器構造と、ターゲット電位における基板ホルダーを含有するプロセスチャンバとを有しており、ビーム不安定性イベントが検出され、この該大きさおよび位置が、該ターゲット電位に該基板ホルダーを維持するために必要な該質量選択器構造に戻る総電流を監視することによって測定される。
【0021】
(フライトチューブと称されることもある)該質量選択器構造への総リターン電流の測定は米国特許第6,608,316号に詳細に論じられており、この開示は参照して本明細書に組み込まれている。ビーム電流不安定性およびグリッチを検出および測定するための他の方法および配列が使用されてもよく、実施例がここに後述される。
【0022】
一実施形態では、各走査全体で検出された全グリッチの位置およびサイズは該ベース用量マップから減算されて、各走査の終了時に補正済み用量分布マップを生成することが可能である。該注入プロセスが複数の走査を備えている場合、該手順は、該注入の終了時まで補正済み用量分布マップを連続的に生成し続ける。結果として得られる補正済み用量分布マップは次いで、該基板の該用量均一性が必要仕様を満たしているか否かを判断するために使用可能である。
【0023】
重要なことは、該用量マップから減算された各測定済み偏差量が、総用量のうちのごく一部を表している。走査ホイールタイプのバッチ注入装置によって実行される一般的なプロセスでは、各基板は完全注入時に(各々が該走査ホイールの単一回転に対応している)数百回の高速掃引を受け取ることがある。各単一の高速掃引は該用量のうちのごく一部を該基板の任意の特定のエリアに送出する。結果として、ビーム不安定性イベントのサイズの測定におけるエラーは、結果として得られる補正済み全用量分布マップのエラーに対して、相応的にわずかに寄与する。重要なことは、走査時にビーム不安定性イベントを測定するために使用される該複数の測定は、脱ガス化材料による該残渣ガス圧力の増加に起因するビーム中和の変化を考慮せずに実行可能であると考えられている。
【0024】
上記実施形態では、該走査時のビームイオンの電流は、好ましくは1kHz以上の選択周波数で該電流をサンプリングすることによって測定される。該注入装置が複数の該走査を実行して注入を完了させる場合、該ベースビーム電流は走査ごとに測定されて、該複数の測定は各該走査時にもなされる。その後、完全注入に対する完全補正済み用量分布マップは、該注入の終了時に、該ベースビーム電流測定と、該複数の該走査に対する該複数の測定とから導出される。
【0025】
好ましくは、累積補正済み用量分布マップは、該走査の各1回の後に、該注入装置の該走査および任意の先行走査のうちの該1回に対するベースビーム電流測定および複数の測定から導出される。その後、該走査のうちの該1回の後の該累積補正済み用量分布マップが、該完全注入に対する所望の最終用量均一性が達成されないと予測すると、オペレータアラートが合図される。この予測は、該これまでの累積補正済み用量分布マップと、これまで該基板に送出された該相対的用量とに示されている該用量均一性エラーから該完全注入に対する該予測用量均一性を算出することによって取得されてもよい。
【0026】
好ましくは、該注入は、該後続の累積用量分布マップデータが該所望の最終用量均一性が達成されないと判断する走査の後に中止される。このように、補正アクションを適用して、該プロセスが継続される前に該注入を回復させることが可能である。例えば、該イオンソースおよびイオンビームは、グリッチ数を削減するために戻されてもよい。
【0027】
一実施形態では、該方法はイオン注入装置で実行され、これは、開口が隣接する該基板サポート間にあるそれぞれのスポーク上に複数の基板サポートを有するスポークホイールの形態の回転可能な基板ホルダーを備えており、該基板ホルダーは該ホイールの軸を中心に回転するように搭載され、該ビームイオンの電流は別個の時間間隔でサンプリングされる該基板サポート間を通過し、走査動作時には、ビームイオンが該ホルダー上の隣接する対の基板サポート間を通過すると複数のサンプルがとられる。
【0028】
用量均一性エラーを補償するために、該注入装置をコントロールして、該注入時の連続走査後に取得された該補正済み用量分布マップに応答することが望ましいことがある。例えば、一部の用途では、更なる高速掃引を該基板全体に適用して、該補正済み用量分布マップにしたがって過小投与されたと判断された選択エリアの用量を増加させることが可能である。
【0029】
本発明はまた、注入されるイオンのビームをビーム方向に発生させるためのイオンビームソースと、注入される基板をサポートするための基板ホルダーとを備えるイオン注入装置を提供しており、該注入装置は、該ビームと該基板ホルダー上の基板との間の少なくとも1回の相対的走査を実行するように動作し、ここでは該走査は、該基板全体を均一にカバーするための該基板を通る少なくとも1回のパスであって、該ビーム全体が該走査の開始時および終了時の少なくとも一方で該基板ホルダー上の基板を通らないパスと、該基板ホルダーを通らないビームイオンを受け取るように配置されているファラデーコレクターと、該ファラデーコレクターによって受け取られたビームイオンの電流を表す信号を提供するために該ファラデーに接続されている検出器と、不安定性イベントを検出し、且つ該ビーム不安定性イベントの該基板に対する該走査の大きさおよび位置を測定するためのビーム不安定性モニターと、コントローラとを備えている。該コントローラは、該走査の開始時および終了時の少なくとも一方において該検出器からの信号に応答して、注入される基板からの脱ガス化に影響されないベースビーム電流値を測定するように配列されている。加えて、該コントローラは、該走査に対して該基板の該ベース用量分布マップを算出し、且つ該検出済みビーム不安定性イベントに対応する偏差を判断するように配列されている。最後に、該コントローラはこれらの偏差を該ベース用量分布マップから減算して、補正済み用量分布マップを定義するデータを提供する。
【0030】
好ましくは、該基板ホルダーは、該走査の開始時または終了時に該ビーム全体が基板がない状態の該基板ホルダーをバイパスするように配列されており、また該ファラデーコレクターは該基板ホルダーの下流に配置されて、該基板ホルダーをバイパスするビームイオンを受け取る。
【0031】
一実施形態では、該基板ホルダーは、該ビームイオンの少なくとも一部が、各該パス時に少なくとも定期的な間隔で該基板ホルダーおよびその上の任意の基板をバイパスするものであり、また該ビーム不安定性モニターは各該パス時に該検出器からの信号に応答して、ビーム不安定性イベントを検出し、且つこの大きさおよび位置を測定する。
【0032】
本発明の実施例は次に、添付の図面を参照して説明される。
【好ましい実施形態の詳細な説明】
【0033】
図1を参照すると、本発明は、複数の基板ウェーハ11が、スポークタイプ走査ホイール14の周縁の、概して12と示される真空チャンバに搭載されているタイプのバッチタイプイオン注入装置10として具現化されてもよい(図1には概略的に示されているにすぎないが、図2にはより詳細に示されている)。図2に見られるように、走査ホイール14は、ホイールの周縁に等しく間隔をあけられている基板ホルダー19をサポートする放射上に延びるスポーク18を有するハブ16を備えている。動作に際して、ホイール14は軸Aを中心に回転され、同時に軸Aは矢印Bに示されるように往復される。
【0034】
イオン注入装置10は更に真空チャンバ12内に、磁気分析装置24に向けられたイオンのビームを発生させるイオンソース20を備えている。分析装置24は一般的に、磁界を通過するイオンに、その質量/電荷比に応じた曲線を有する経路を採用させる磁気セクターを備えている。分析装置24を通過するイオンビームは、簡潔にするために、図1に直線で示されている。その後に帯電する所望の質量のイオンが、質量分解スリット26において分析装置から生じるものから選択され、注入するための所望の種のイオンの連続ビーム22を生成する。
【0035】
この一般的な種類のイオン注入装置は当分野で周知であり、更なる説明が必要とは思われない。質量分解スリット26から生じるビーム22は既知の種類の加速器/減速器28を通過して、注入するのに所望される質量分解ビームのエネルギーを調整してもよい。動作に際して、走査ホイール14は比較的速いレートで回転されるのに対して、同時にホイールの軸Aは矢印Bの方向に対して往復され、基板11の各々はビーム22を介して2次元に走査される。基板の走査は、走査ホイール14上の基板の各々がウェーハの全パーツに対して均一に必要用量を受け取ることを保証するようにコントロールされる。
【0036】
走査ホイール14の場所の後方に、(実際図1に図示されるように)ホイール14がビームが全くない基板11を保持している場合にイオンビームを受け取るために、イオンビーム22と整列されたファラデーコレクター30が搭載される。また、図2および図3から明らかになるように、ファラデー30は、走査動作時にそれぞれのホルダー19とスポーク18間で基板18をバイパスするビームイオンを受け取る。
【0037】
図1に図示されるように、イオン注入装置の種々の動作コンポーネントはコントロールバス34によってコントローラ32に接続される。ディジタルプロセッサ36を内蔵しているコントローラ32はメモリ38に接続される。イオンソース電力ユニット40は、コントローラ32の監督およびコントロール下で、種々の電源をイオンソース20に送出する。
【0038】
次に図2aおよび図2Bを参照すると、走査ホイール14はイオンビーム22のラインに沿って見られるように図示されているため、これはこれらの図面において、ファラデーコレクター30の開口に重畳されている理想化された円形断面形態で表されている。ファラデーコレクター30に入るビームイオンは、サンプラー/ディジタイザー44に供給されるライン42上に対応する電流を生成する。サンプラー/ディジタイザー44において、電流のサンプルが、比較的高いレート、一般的に約1kHz以上でとられて、コントロールバス34に沿ってコントローラ32に通信されることがあるディジタル信号に変換される。
【0039】
走査ホイール14は走査アーム46の一方の端で回転するために搭載される。走査アーム46の他方の端はこれ自体が、走査ドライブ機構50の矢印48の方向に対して回転するために搭載される。動作に際して、走査ホイール14は比較的高いレート、一般的に1250rpm(1秒あたりおよそ20回転)で回転される。簡潔にするために12のみが図2aおよび2Bには図示されているが、走査ホイール14は一般的に最大17個の基板サポート19を有している。しかしながら、より大きなウェーハサイズ(例えば、300mm)について、11個の基板サポート19のみが、走査ホイールの周縁に一様に分布されて提供されてもよい。
【0040】
注入時に、ホイールは回転され、同時に走査ドライバー50は図2aおよび図2Bに図示されている両極位置間でホイール軸を往復することによって、サポート19に搭載されている各ウェーハが、走査アーム46の往復走査に対応する各低速パスにおいて、ホイール14の回転に対応する複数の高速掃引を備えている2次元走査でビーム22を介して走査されることを保証することができる。
【0041】
図2aに図示されている位置から図2bに図示されている位置へ、そしてまた図2aの位置に戻るまでの走査アーム46の各完全往復は、ウェーハの全パーツが等しくイオンビーム電流に暴露されて、各基板の表面に一様に分布された必要な全用量の少なくとも一部を受け取る(低速走査と呼ばれることもある)1回の走査とみなされる。走査機構50の往復のレートは走査ホイール14の回転レートよりかなり低いため、1回の完全低速走査は2〜4秒かかることがある。
【0042】
図3a〜図3eは、走査アーム46の低速走査における異なる位置でのイオンビーム22に対する基板ウェーハおよび基板サポート19の位置を図示している。図3aは、イオンビーム22がない、ホイール14と共にスピンするウェーハサポート19による走査の開始位置を示しており、全イオンビーム22は(図3には示されていない)ファラデーコレクター30に達する。図3bは、ウェーハサポート19がまずイオンビーム22のクリップを開始する場合の走査の開始付近の位置を図示している。図3cは、イオンビーム22がまず基板サポート19によって完全にふさがれる場合の低速走査に対する位置を図示している。しかしながら、完全イオンビームは依然として、点線で52と示されたビーム断面によって図示されるように、近接する対の基板19間を通過可能である。図3dは、点線で54と示されたビーム断面によって図示されるように、イオンビームが各基板19の中心を通過し、且つ隣接する対の基板サポート19間のギャップを横断する場合の走査の第1のパスの中間位置を図示している。しかしながら、図3dでわかるように、ビームが隣接する基板サポート間を通過する場合でも、ビームの一部はふさがれ、且つファラデーコレクターに達しない。図3eは、ビームが基板サポート19の内縁が全くないが、スポークアーム56によって少なくとも部分的にふさがれているリターンパス前の走査の全範囲を図示している。しかしながら、ビームが、点線で58と示されるビーム断面によって図示されるようにスポーク間にある場合、全ビーム電流はファラデーコレクターに達する。
【0043】
図4および図5は、注入手順時に走査ホイール14の走査位置の範囲にわたってファラデーコレクター30によって受け取られるビームイオンの電流を図示している。まず図5を参照すると、ファラデー30によって検出された測定済みイオン電流のばらつきが、それぞれ図3b、図3c、図3dおよび図3eに図示されている位置に対応する3つの異なる走査位置に図示されている。図5の(3bとマークされた)左手セクションは、走査ホイールの基板ホルダー19の各々が走査の第1の段階においてイオンビームをクリップするともたらされる小さく、且つ徐々に増加するディップを具備する完全測定済みビーム電流を示している。3cとマークされた図5の部分において、ファラデーに達する測定済みイオン電流は、走査ホイールの基板ホルダー19が図3cに図示されるようにビーム22を完全にふさぐたびにゼロに達するものとして示されている。図5において、測定済みイオン電流は、各基板ホルダー19がビームを通過すると延長期間の間ゼロであり、基板ホルダー19をバイパスする検出済みイオン電流は、全ビーム電流未満の下限レベルに上昇する。走査のこの部分の間に受け取られる最大レベルは、図3dに図示されるように、隣接する対の基板ホルダー19間の間隔に関連するビーム54の断面の高さに左右される。図5において3eとマークされた走査の期間中に、測定済みイオン電流は最大レベルであり、ビーム断面の高さが、図3eに図示されるように、走査ホイール14のスポーク56の幅より大きい場合にゼロより大きな最小レベルに低下する、延長期間の全イオンビーム電流を表している。
【0044】
図5に図示された検出済みイオン電流のパルスの反復レートは、1250rpm(11個のウェーハサポートを具備する300mmのウェーハの走査ホイールについて230Hz)で回転する17個のウェーハサポート19を具備する走査ホイールについて約350Hzであることが認識される。したがって、1〜2秒かかる図3aの位置から図3eの位置までの走査ホイールの単一パスは、350〜700個の電流パルス(300mmの注入装置に対して230〜460)を含有している。
【0045】
図4は、走査ホイール14の2つの全走査にわたる、図5のイオン電流パルスのエンベロープを図示している。電流パルスは上部点線60と下部点線62間に形成される。図4において、真のイオンビーム電流IBeamは実線で示されている。理想的に、この実際のビーム電流は注入にわたって全体的に一定である。しかしながら、実際ビーム電流IBeamは、一般的にイオンソースの腐食などの漸進的変化によってもたらされる、値の低速ドリフトを経験する可能性がある。真のビーム電流のこの低速変化は、かなり強調して図4に示されている。
【0046】
図4はまた、注入される基板ウェーハからの脱ガスによってもたらされる現象を図示しており、これはビームイオンの中和増加をもたらすことによって、ファラデーコレクターによって受け取られたイオンの電流が実際ビームにおける所望の粒子種の真の流束を記録する。当業者によって理解されるように、注入される基板に達する粒子のビームは常に、中和されている粒子を含んでおり、また(基板がビームから引き離される場合は)ファラデーコレクターによって測定不可能である。しかしながら、注入装置のプロセスチャンバにおける残渣ガス圧力が必要な名目圧力のままである場合、簡単に実験的に判断されたスカラー補正が、ファラデーコレクターにおける測定済みイオン電流に適用可能であり、ビームにおける所望の注入種の真の流束の値を取得する。注入装置の動作において、コントローラ32は、注入される種に応じてこのスカラー補正を適用するようにプログラミングされる。しかしながら、すでに説明されたように、注入時に、脱ガス化は残渣ガス圧力を増加させるため、中和されるビームにおけるイオン数もまた増加する。結果として、ファラデーコレクターによって測定された電流は、スカラー補正係数によって補正されたとしても、所望の注入種の真の流束の測定を開始する。注入時に基板ウェーハからの脱ガス化によってもたらされた注入種のこの測定は図4に破線64で表されている。ビーム電流の測定量は、走査が進行し、且つイオンビームが、注入される基板ウェーハ上にかなりの時間を費やすと、増加する。これは、脱ガス化の増加によってもたらされる残渣ガス圧力の増加によるものである。走査が(図3eに図示されるように)最も離れた端(extreme)に達すると、残渣ガス圧力はシステムの真空ポンピングを継続しつつ再度低下する傾向があるため、走査がウェーハを介して戻ると、ビーム電流の測定は再度増加する前に下落する可能性がある。走査の終了時には十分な時間が提供され、名目値にまでポンプバックされる残渣ガス圧力に対して、ビームは走査ホイール上の基板ウェーハが全くないため、次の操作の開始までに、測定済みビーム電流は(コントローラ32におけるスカラー補正後に)真のビーム電流を再度表すはずである。
【0047】
脱ガス化によってもたらされる測定量は概して図4に強調されている。にもかかわらず、注入時の変化しつつある脱ガス化による測定ビーム電流の現象は、補正されなければ、ビーム電流測定のエラーを、ひいては、注入される基板に送出される全用量の監視におけるエラーをもたらす恐れがある。
【0048】
図4は更に、ビーム電流におけるグリッチつまり不安定性を66で図示している。このようなグリッチつまり不安定性は一般的に、ビームラインのイオンソースや抽出および加速/減速電極と関連したアーキングイベントによってもたらされる。したがって、これらの不安定性は極めて迅速な開始を有しており、一般的に1ミリ秒以下であり、また比較的短期間、50〜500ミリ秒であり、また素早い回復、一般的に1ミリ秒である。図4に図示されているグリッチ66の例は、およそ100ミリ秒の期間を有しており、またこの前の値の約50%までの、ビーム電流IBeamの一時的な低下をもたらす。
【0049】
本発明の実施例に従った上記イオン注入装置の動作が次に更に説明される。注入プロセス時に、ファラデーコレクター30によって受け取られたイオン電流は、1kHzを超えるレートで、一般的に5kHzでディジタイザー44によってサンプリング且つディジタル化される。11個のウェーハサポートを有する300mmのウェーハの走査ホイールの場合、走査ホイールが1250rpmで回転する場合に、連続するウェーハサポートがイオンビームを通過するレートは約230Hzである。ファラデーコレクター30によって受け取られるイオン電流をサンプリングするレートはこれよりも実質的に高くなければならず、適切なサンプルが各隣接するウェーハサポート間でとられることを保証する。
【0050】
従来、実際のサンプリングレートはホイール回転に同期されることがあり、サンプルは、イオンビームに対する各基板ホルダーの予測可能な位置でとられる。
【0051】
ディジタル化されたイオン電流読み取りはコントローラ32に供給され、ここではディジタルプロセッサ36は、受け取られたサンプル値をメモリ38に記憶するように配列されている。同時にディジタルプロセッサは、イオンビームが隣接する対のウェーハの中間にある場合にサンプルが受け取られてこの時点のイオン電流の値を識別すると、サンプルを分析する。
【0052】
各走査の開始時に、走査アーム46がウェーハサポート19を、これらがイオンビーム22の中断を開始する位置に持っていく前に、最近のイオン電流サンプルからビーム電流の値が判断される。このポイントにおいて、プロセスチャンバの真空システムが残渣ガス圧力を名目値に戻せる十分な時間が前の走査の終了時から経過していれば、イオン電流サンプルは脱ガス化の効果がないはずである。したがって、真のビーム電流の正確な値は、所定のスカラー係数を、各走査の開始前になされるイオン電流測定に適用することによって取得可能である。
【0053】
走査ホイールの後続の走査に対する各パスの途中で、電流サンプルはとられ続け、メモリ38にディジタルプロセッサ36によって記録され続ける。走査ホイールの走査時に記録された電流値はディジタルプロセッサ36によって分析されて、図4における66などのグリッチつまり不安定性を識別し、また識別されると、グリッチのサイズおよび走査位置を測定する。
【0054】
グリッチの有無は、走査時の連続する対のウェーハサポートの中間におけるイオン電流測定を比較することによって識別される。これらのイオン電流測定値は図5の曲線60に従う傾向があり、1%未満の連続する基板サポート間の変化によって円滑に変化している。他方、グリッチつまり不安定性の高速開始は、一般的に10%を超え、しばしば50%以上の、連続する対の基板ホルダーの中間でイオン電流値の変化を生成可能である。グリッチを示す変化のサイズは、具体的な実現に応じて大きく変化する可能性がある。
【0055】
ディジタルプロセッサ36は、基板ホルダー間の連続する中間点に対するイオン電流値を概観して、グリッチつまり不安定性の開始を示す値の突然の変化を識別するようにプログラミングされている。
【0056】
メモリ38を具備するディジタルプロセッサ36はまた、常時走査プロセスの正確な位置、つまり走査ホイール14の正確な回転位置と走査アーム46の正確な位置とを監視するように配列されている。この情報によって、ディジタルプロセッサ36は、検出済みグリッチつまり不安定性の開始の走査における正確な位置、つまりグリッチの開始ポイントにおいて基板ウェーハを通るイオンビームによってなされるストライプの半径方向位置と、(グリッチが最初に検出される場合にビームを通過したばかりのウェーハとされる)グリッチによってなされるバッチにおける最初のウェーハとを識別する。
【0057】
更に、グリッチの開始を検出する際に、グリッチの途中のイオン電流値が測定されて、メモリ38に記録される。
【0058】
グリッチつまり不安定性の回復はまた、連続する基板ホルダーの中間におけるイオン電流の値を再度監視することによって検出されて、グリッチが検出される直前の値に近い値にこのイオン電流がいつ戻るかを識別する。また、グリッチの回復位置は、記録済みグリッチによってなされる最後の走査ホイール回転および基板ホルダーに関してメモリ38に記録される。
【0059】
検出済みグリッチが、例えば図4において66で図示されるように、全ビーム流束が隣接する基板ホルダー間を通過してファラデーコレクターによって受け取られる場合に、走査の一部においてのみ生じると、ファラデーコレクターによって測定されたイオン電流値は脱ガス化によってもたらされるビーム中和によってのみもたらされる。走査時の脱ガス量は予測不可能に可変的であり、後に明らかになる理由によって、ビームグリッチ中のイオン電流の低下の測定に対する相応しい正確さが、測定済み値にスカラー係数を適用することによって取得可能である。このスカラー係数は、各走査の開始前になされる電流測定に適用される前述のスカラー係数とは異なってもよい。グリッチ測定に適用されるスカラー係数は、注入される種ごとに実験的に判断可能である。
【0060】
例えば図3dに図示されている走査の各パスの中間において、グリッチまたはイオン電流の低下の測定値はまた、ビーム断面の幾何、および隣接する対のウェーハサポート19間のギャップによってもたらされる。更なる幾何学的補正係数はしたがって、グリッチが走査のこれらの領域に延びる場合に、測定済みグリッチサイズ値に適用可能である。このような幾何学的補正はウェーハサポートの既知の幾何およびイオンビーム断面のプロファイルから判断可能であり、またこれは、注入の開始前に既知の技術によって測定されてもよい。あるいはまた、中間走査領域に延びるビームグリッチのサイズの補正は、グリッチの検出直前の測定済みイオン電流と、全ビーム電流が隣接するウェーハサポートの中間でファラデーコレクターによって受け取られる場合の、ある位置の走査の早期測定済みイオン電流とを比較することによって導出可能である。この比較は、補正済み値を導出するために測定済みグリッチサイズを乗算可能な補正係数を導出するために使用されてもよい。補正係数は、グリッチの直前の電流値に対する全ビーム電流の早期測定済み電流値の比であってもよい。
【0061】
ディジタルプロセッサはグリッチの監視を継続し、走査の内側および外側パスの完了まで走査におけるこれらのサイズおよび位置を記録する。走査の終了時に、残渣ガス圧力が名目値に低下するのに十分な時間が認められ、次の走査の開始前に、上記されたように実際のビーム電流IBeamの新たな測定がなされることが可能である。
【0062】
この時、ディジタルプロセッサは、注入の各連続走査間になされるIBeam読み取りと、全注入が完了するまでの検出済みグリッチの値および位置とを単に記録し続けてもよい。
【0063】
普通の手順にしたがって、特に走査アーム46の走査スピードは注入の連続走査に対して調整されてもよく、IBeamのゆっくりとしたばらつきを補償し、全注入が基板ホルダー上のウェーハに所望の用量を送出することを保証する。
【0064】
加えて、ディジタルプロセッサ36は注入の終了時に、注入の各走査の開始時に測定されたIBeam値をこのために使用して、走査ホイールに搭載されたウェーハに対してベース用量分布マップを定義するデータを発生させるように配列される。上述のように、これらのIBeam値は正確であり、且つ脱ガス化の効果に影響されないとみなされる。結果として得られるベース用量分布マップは、走査幾何およびビームプロファイルによって予測されるように、ウェーハの全パーツに均一な用量で送出された所望の用量を示しているはずである。しかしながら、この段階で、ベース用量マップは、注入時に生じていた可能性があるイオンビームにおける短期間の不安定性およびグリッチを考慮していない。
【0065】
ベース用量マップは次いで、これから、メモリ38に記録されているグリッチおよび不安定性を減算することによって補正される。これは、走査ホイール上の基板に対する補正済み用量均一性マップを生成する。例えば、単一のグリッチやビーム不安定性にさらされた走査ホイール上のウェーハの補正済み用量マップは、わずかに削減された用量のウェーハの用量マップにわたってストライプを示す。
【0066】
ウェーハの補正済み用量マップを算出するために、低速走査の方向、つまりウェーハ上のストライプ方向に対して横方向のイオンビーム断面のプロファイルについての推定がなされるべきである。上述のように、注入前にビーム断面やプロファイルを測定することは普通のことであり、この測定済みプロファイルは、注入時に検出済みグリッチによって生成されたウェーハにわたる少量の用量のストライプの正確なプロファイルを呈示するために使用されてもよい。しかしながら、簡略化されたビームプロファイルはまた、用量マップを補正するのに使用されてもよい。例えば、ビームプロファイルが、実際のビームプロファイルの半分の電流ポイントに対応する幅を有する四角形であるとすると、有用な結果が取得可能である。
【0067】
重要なことは、注入に対して結果として得られた補正済み用量マップは、ビームグリッチのサイズを判断するのに使用された測定が、脱ガス化によってもたらされたビーム中和の変化を説明するための単純なスカラー補正のみによってなされたとしても、かなりの程度正確さを有することができる。これは、補正済み用量均一性マップを算出するのに使用される減算プロセスのためである。すでに説明されているように、ベース用量均一性マップは脱ガス効果に実質的に左右されない。一般的な注入において、注入されるウェーハの各ポイントは、各々が走査を往復する、ウェーハを通るビームの20個の個々のストライプから、注入の最終用量への寄与を受け取ることがある。全注入について、ウェーハ上の各ポイントはビームを100回以上「見る」ことがある。ウェーハ上のポイントが注入時に単一のビームグリッチによってなされると、これはウェーハ上の単一のストライプの低下した値に対応しており、ストライプは場合によっては、そのポイントで送出された総用量の1%以下に寄与する。したがって、補正済み用量マップを算出するのに使用されるビームグリッチの測定の任意のエラーは総用量のわずか1%にこのようなエラーを与える。例えば、グリッチのサイズ測定における5%のエラーは、わずか0.05%の補正済み用量マップのエラーを生成する。
【0068】
上記のように動作するシステムによって、補正済み用量マップは、注入の終了時に基板ごとにバッチで提供され、各基板の結果として得られる用量均一性(より厳密には、用量不均一性の値)が判断可能である。この情報は、バッチの個々の基板の各々について自動的に記録可能であり、また基板の更なる処理や分析について後に使用されることが可能である。
【0069】
上記のようなベース用量マップおよび補正済み用量マップを導出するために注入の終了時にメモリ38に記録されたイオン電流情報を処理する代わりに、注入時に処理が実行されて、その後注入の継続をコントロールするために使用されてもよい。
【0070】
例えば、部分的なベース用量マップは注入の各走査の終了時に生成されることが可能であり、またその走査時に検出されたグリッチの値および位置は次いで、部分的な補正済み用量マップを生み出すために、ベース用量マップから減算されることが可能である。
【0071】
その後、ディジタルプロセッサ36は、注入が進むべきか否かを判断するために部分的な補正済み用量マップの更なる分析を実行するのに使用されてもよい。用量不均一性値は走査の終了時に部分的な補正済み用量マップから取得され、且つ注入の終了時に最終的な用量不均一性を推定するために使用されることが可能である。この最終的な用量不均一性は、取得された用量不均一性と、これまでに実行された走査によって送出された用量とを比較することによって推定または予想されてもよく、注入の段階で基板に送出された部分的用量のパーセンテージとして不均一性の値を取得する。注入の段階での用量不均一性のパーセンテージが、完了した注入の所望の不均一性パーセンテージを超える場合、注入は中止され、オペレータアラートが合図される。この手順によってオペレータは、イオンビームにおけるグリッチおよび不安定性イベントの数およびサイズを削減するという見解によって補正アクションをなすことができるため、注入は次いで完了まで継続されることが可能であり、全用量不均一性パーセンテージは所望の限度内にある。
【0072】
ディジタルプロセッサ36は、全注入の走査後に取得された補正済み部分的用量マップに応答し、連続する注入を修正して、これまでの累積用量マップの用量エラーを補正するようにプログラミングされてもよいことが更に検討されている。例えば、イオンビームは、事前に検出された不安定性イベントに対応する位置において走査ホイール上の選択ウェーハに対して欠落ストライプを「再ペイント」するために、走査時に選択的にオンまたはオフされてもよい。
【0073】
部分的な補正済み用量マップを使用して、後続の注入をコントロールし、前のグリッチによってもたらされる用量偏差を「補正する」代わりに、補正注入が、オリジナル注入が完了した後に実行されてもよい。その後、注入の完了後の完全補正済み用量マップが、ディジタルプロセッサ36によって使用されて、イオンビームがオンおよびオフされる後続の補正注入をコントロールして、「タッチアップ」ストライプを示されているようなウェーハに適用することによって、全用量不均一性を低下させることができる。
【0074】
上記本発明の例は、個々のスポーク上にウェーハサポートの形態で走査ホイールを有するバッチ注入装置を使用して実行され、ビームイオンはウェーハサポートを通過して、隣接する対のサポート間のギャップを介してファラデーに達することができる。本発明の上記実施例の特徴は、注入が、イオンビームとウェーハサポート間の1つ以上の相対的走査を備えていることであり、ここで、ビーム電流読み取りは、正確なビーム電流値を判断するために、脱ガス化によって実質的に影響を受けない各走査の前および/または後になされてもよい。各走査時に、走査システムによって基板ホルダーをバイパスするビームイオンの電流は、かなり定期的な間隔で測定可能になり、ビームグリッチが検出可能になり、またグリッチの走査におけるサイズおよび位置が判断および記録可能になる。測定済みビームグリッチは、各走査の前および/または後に取得された正確なビーム電流読み取りから推論されるベース用量マップから減算される。
【0075】
本発明の原理はまた、他の種類の注入装置にも適用可能である。例えば、単一ウェーハ注入装置は、固定イオンビームによってラスタースタイルパターンの単一のウェーハを機械的に走査してもよい。この種類のイオン注入装置は国際公開公報第03/088303号に開示されている。正確なビーム電流測定は、各ラスター走査の開始時および/または終了時に判断可能であり、個々のラスターラインの一部または全部の終了時になされる更なる電流測定は十分な読み取りを提供し、ビームグリッチを識別する。補正済み用量マップは次いで、ラスター走査時になされる電流読み取りを脱ガス化の効果に対して補償する必要なく、より正確に取得可能である。これまで説明されている実施例の両方とも、固定イオンビームを介するウェーハの2次元機械的走査を検討しているが、本発明の実施例はまた、各走査が走査済みビームの平面を介するウェーハホルダーの1対の往復パスを備えているハイブリッド走査タイプ注入装置と併用されてもよい。その後、走査済みビームのないウェーハホルダーは、残渣ガス圧力が名目値にまでポンプバックされるほど長く、ビームを介する各パスの開始時および/または終了時に保持されるべきであるため、正確なイオンビーム電流が測定可能である。イオン電流の値は次いで、ビームが一瞬、少なくとも部分的に、ビームの各ライン走査の少なくとも一方の端で基板ホルダーをバイパスする際のイオン電流を監視することによって、走査済みビームを介する基板の各パス時に判断可能である。これらの測定は、上記のように、ベース用量均一性マップおよび補正済み用量均一性マップを生成するために使用可能である。
【0076】
走査済みビームを介して基板ホルダーを通過する代わりに、リボンビームを介してウェーハホルダーを機械的に通過する場合に同一の効果が取得可能である。リボンビームの場合、断面を有する固定ビームが、注入されるウェーハの全面に延びるのに十分な1次元で生成される。基板ホルダーがリボンビームの平面を介して機械的に通過される場合にビームの一部がウェーハをバイパスする限り、イオン電流読み取りは各走査時に取得可能である。リボンビームが、リボンビームの断面の長さに沿って均一な電流密度を有すると仮定すると、走査時にウェーハホルダーをバイパスするイオン電流の読み取りは、ビームグリッチのサイズをかなり正確に検出および測定して、上記のようにベース用量均一性マップを補正するのに使用されることが可能である。
【0077】
上記好ましい実施形態では、ビーム不安定性イベントつまりグリッチが検出され、またこの走査における大きさおよび位置が、走査時に基板ホルダーをバイパスするビームイオンを受け取るビームストップにおいて電流の定期的な周期的測定を監視することによって測定される。説明されているように、このような配列は、ホイールの周縁の隣接する基板ホルダー間に空間を提供するスポーク走査ホイールを具備するバッチ注入装置に対して独占的ではないが、とりわけ適用可能である。
【0078】
別の実施形態では、基板ホルダー自体と、この上の1つまたは複数の任意の基板はファラデーのコレクターを形成してもよいため、ビーム電流測定が走査時に連続してなされてもよい。そしてファラデーは、ビーム全体がホルダー上の基板を通らない場合に、各走査の開始時および/または終了時にベースビーム電流値をとるために使用されてもよい。各走査時のビーム電流は、グリッチの大きさを識別および測定して、ベース用量分布マップを修正する際に使用するために監視される。
【0079】
他の配列および方法もグリッチを検出および測定するために採用可能である。例えば、グリッチは、注入装置の質量選択構造に戻る総電流を監視することによって測定可能である。図1を参照すると、図示されている注入装置の質量選択構造は点線ボックス70によって概略的に示されている。注入装置のフライトチューブと称されることもあるこの質量選択構造70はベース電位、本来なら接地電位で普通保持されている。イオンソース20は、陽イオンについて、質量選択構造70のベース電位に対して陽電位であるソース電位に維持される。走査ホイールの基板ホルダー11上の基板はターゲット電位に維持され、これは、DC加速器または減速器が、例えば加速器/減速器28による質量選択の後にイオンビームに提供されれば、質量選択構造70のベース電位とは異なることがある。ほぼすべての重要なビーム不安定性およびグリッチがイオンソースにおけるイベントゆえに、あるいは質量選択構造70に入る前にイオンソースを去るビームを形成する電極構成において生じる。
【0080】
上記米国特許第6,608,316号に完全に説明されているように、質量選択構造70を出て、且つ基板ホルダー11上の基板、または注入装置のプロセスチャンバにおけるファラデービームストップ30に向けられているイオンのビームは、質量選択構造70からプロセスチャンバに流れる(陽イオンのビームに対する)正電荷の流れを表している。基板ホルダーのターゲット電位を質量選択構造70のベース電位に対して所望の値に維持するために、等化正電流は質量選択構造70に流れて戻らなければならない。プロセスチャンバ72が、例えば74と概略的に示されている絶縁性真空カップリングによって質量選択構造70に接続されている場合、質量選択構造70に戻る電流は単一の導体76に沿って流れるようにコントロール可能である。
【0081】
図1において、加速器/減速器ユニット28はプロセスチャンバ72の一部として示されている。実際、加速器/減速器ユニット28は代替的に、質量選択構造70の一部であるように接続されてもよい。いずれの場合も、加速器/減速器ユニット28に使用される電源は、プロセスチャンバ72ではなくむしろ質量選択構造70を参照される。
【0082】
導体76を流れて質量選択構造70に戻る総リターン電流は、質量選択構造70に対して所望のターゲット電位に基板サポート11を維持するために、適切な値を有していなければならない。この電流値は、質量選択構造を去るビーム電流に関連している。電流メーター78は、コントロールバス34に供給するためにライン80上に電流信号を提供する。本実施形態では、コントローラ32は、不安定性イベントおよびグリッチに対するビーム電流を監視するためにライン80に供給された電流読み取りを採用する。走査ホイール14の既知の走査位置に対する検出済みイベントのタイミングは、基板上の走査においてそれぞれのグリッチの位置の指示を提供する。
【0083】
この配列によって、隣接するウェーハホルダーとスポーク走査ホイール間のウェーハをバイパスするビームイオンの電流の測定を取得せずに不安定性イベントおよびグリッチを識別および測定することが可能である。加えて、不安定性イベントに対するイオンビームを監視するためのこの配列は、イオンビーム22がホイールによって中断される間の走査時に、実質的なビーム電流はファラデー30に達することができない固体タイプ走査ホイールと併用可能である。
【0084】
別の実施形態では、ビームは、ビーム電流を直接測定する誘導デバイスなどのビームラインビーム電流モニターを使用して不安定性イベントおよびグリッチを検出および測定するために監視されてもよい。このような誘導ビーム電流測定デバイスは、不安定性イベントがもたらされやすい場所の下流の、ビームラインに沿った任意の便宜的位置に配置されてもよい。
【0085】
ビーム不安定性イベントおよびグリッチはまた、イオンソース20のパラメータを監視することによって検出および測定されてもよい。イオン注入装置の分野では、ビーム不安定性およびグリッチは通常、イオンソースの欠陥イベントと関連しており、これは、ソースから、且つ質量選択構造70に送出されたイオンビームからイオンを抽出するために使用されるイオンソースや電極への電源のうちの1つの電圧や電流などのイオンソースパラメータの異常な偏位として検出されることがあることを理解されたい。とりわけ、イオンソースからイオンを抽出するために使用される一次加速電極のドレイン電流は、例えばアーキングや「ラッチアップ」イベントを示す例外的偏位を検出するために監視可能である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の実施例を修正してもよく、且つこれを実施するように操作されてもよいイオン注入装置の概略図である。
【図2a】走査アームが両極端の走査位置にある、図1に図示されたバッチタイプ注入装置のスポーク走査ホイールを概略的に図示している。
【図2b】走査アームが両極端の走査位置にある、図1に図示されたバッチタイプ注入装置のスポーク走査ホイールを概略的に図示している。
【図3a】走査アームが両極の走査位置間を移動する走査ホイールの通過についてより詳細に図示している。
【図3b】走査アームが両極の走査位置間を移動する走査ホイールの通過についてより詳細に図示している。
【図3c】走査アームが両極の走査位置間を移動する走査ホイールの通過についてより詳細に図示している。
【図3d】走査アームが両極の走査位置間を移動する走査ホイールの通過についてより詳細に図示している。
【図3e】走査アームが両極の走査位置間を移動する走査ホイールの通過についてより詳細に図示している。
【図4】実際のビーム電流(IBeam)と、図1〜3の注入装置の走査ホイールの位置範囲に対して収集ファラデーによって測定されたようなビームイオンの電流の変化のグラフ表示である。
【図5】時間軸で大きく拡張された図4の測定済み電流の一部を示すグラフ表示である。
【符号の説明】
【0087】
10…イオン注入装置、14…走査ホイール、16…ハブ、18…スポーク、19…基板ホルダー、20…イオンソース、22…ビーム、24…磁気分析装置、26…質量分解スリット、28…加速器/減速器、30…ファラデーコレクター、32…コントローラ、34…コントロールバス、36…ディジタルプロセッサ、38…メモリ、46…走査アーム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオンビームと注入される基板との間で少なくとも1回の相対的走査を実行する走査イオン注入装置の用量均一性を判断する方法であって、
注入される基板からの脱ガス化に影響されないように、前記走査の前および後の少なくとも一方でベースビーム電流を測定するステップと、
走査する前記基板のベース用量分布マップを前記測定済みベースビーム電流から算出するステップと、
ビーム不安定性イベントを検出し、前記検出済みビーム不安定性イベントの、前記基板の前記走査における大きさおよび位置を測定し、前記測定済み大きさおよび走査位置から、前記算出済みベース用量マップの対応する偏差を判断するステップと、
前記偏差を前記ベース用量分布マップから減算して、補正済み用量分布マップを提供するステップと、
を備える方法。
【請求項2】
ビーム不安定性イベントが検出され、この前記大きさおよび位置が、前記基板をバイパスするビームイオンの電流の前記走査時に複数の測定をなすことによって測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記走査時のビームイオンの前記電流が、選択周波数で前記電流をサンプリングすることによって測定される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記選択周波数が1kHz以上である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記注入装置が複数の前記走査を実行して注入を完了させ、前記ベースビーム電流が前記走査ごとに測定され、前記ビーム不安定性イベントが検出され、この前記大きさおよび位置が測定され、前記用量マップ偏差が各前記走査時に判断される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記全注入の完全補正済み用量分布マップが、前記注入の終了時に、前記ベースビーム電流測定と、前記複数の前記走査の前記用量マップ偏差とから導出される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
累積補正済み用量分布マップが、前記走査の各1回の後に、前記注入の前記走査およびすべての先行の前記走査のうちの前記1回の前記ベースビーム電流測定および前記用量マップ偏差から導出され、前記走査のうちの前記1回の後の前記累積補正済み用量分布マップが、前記完全注入の所望の最終用量均一性が達成されないと予測すると、オペレータアラートが合図される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記後続の累積用量分布マップデータが、前記所望の最終用量均一性が達成されないと予測する走査の後に、前記注入が中止される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記完全注入の予測用量均一性が、これまで前記基板に送出された前記用量に対する、前記走査の最後の回の後の前記累積補正済み用量分布マップに示された前記用量均一性エラーから算出される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
開口が隣接する基板サポート間にあるそれぞれのスポーク上の複数の前記基板サポートを有するスポークホイールの形態の回転可能な基板ホルダーを備えるイオン注入装置で実施される場合、前記基板ホルダーが前記ホイールの軸を中心に回転するように搭載され、基板サポート間を通過するビームイオンの前記電流が別個の時間間隔でサンプリングされるため、走査動作時に、ビームイオンが前記ホルダー上の隣接する対の基板サポート間を通過すると複数のサンプルが取られる、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1回の相対的走査が2次元相対的走査である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記注入装置が、ソース電位におけるイオンのソースと、ベース電位における質量選択器構造と、ターゲット電位における基板ホルダーを含有するプロセスチャンバとを備えており、ビーム不安定性イベントが検出され、この前記大きさおよび位置が、前記ターゲット電位に前記基板ホルダーを維持するのに必要とされる前記質量選択器構造に戻る総電流を監視することによって測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
イオンビームと注入される基板との間で少なくとも1回の相対的走査を実行する走査イオン注入装置の真空チャンバにおいて前記基板にイオンを注入する方法であって、
注入される基板からの脱ガス化に影響されないように、前記走査の前および後の少なくとも一方でベースビーム電流を測定するステップと、
走査する前記基板のベース用量分布マップを前記測定済みベースビーム電流から算出するステップと、
ビーム不安定性イベントを検出し、前記検出済みビーム不安定性イベントの前記走査における大きさおよび位置を前記基板の走査時に測定するステップと、
前記測定済み大きさおよび走査位置から、前記算出済みベース用量マップにおける対応する偏差を判断するステップと、
前記偏差を前記ベース用量分布マップから減算して、補正済み電子記録済み用量分布マップを提供するステップと、
前記補正済みマップに応答して前記注入装置を後に操作して、用量均一性エラーを補償するステップと、
を備える方法。
【請求項14】
イオン注入装置であって、
注入されるイオンのビームをビーム方向に発生させるイオンビームソースと、
注入される基板をサポートする基板ホルダーであって、前記注入装置が前記ビームと前記基板ホルダー上の基板との間で少なくとも1回の相対的走査を実行するように動作し、前記走査が前記基板全体を均一にカバーするための前記基板を通る少なくとも1回のパスを備えており、前記ビーム全体が前記走査の開始時および終了時の少なくとも一方で前記基板ホルダー上の任意の基板を通らない基板ホルダーと、
前記基板ホルダーとその上の任意の基板を通らないビームイオンを受け取るように配置されたファラデーコレクターと、
前記ファラデーコレクターによって受け取られたビームイオンの電流を表す信号を提供するように、前記ファラデーに接続された検出器と、
ビーム不安定性イベントを検出し、前記ビーム不安定性イベントの、前記基板に対する前記走査における大きさおよび位置を測定するビーム不安定性モニターと、
コントローラであって、
a)前記走査の開始時および終了時の少なくとも一方で前記検出器からの信号に応答して、注入される基板からの脱ガス化に影響されないベースビーム電流値を測定し、
b)前記測定済みベースビーム電流値から、走査する前記基板のベース用量分布マップを定義するデータを算出するように配列され、
c)前記検出済みビーム不安定性イベントに対応する前記ベース用量分布マップにおける偏差を判断するように更に配列され、
d)前記偏差を前記ベース用量分布マップから減算して、補正済み用量分布マップを定義するデータを提供するように更に配列されているコントローラと、を備えているイオン注入装置。
【請求項15】
前記走査の開始時または終了時に前記ビーム全体が基板がない状態の前記基板ホルダーをバイパスするように前記基板ホルダーが配列されており、またファラデーコレクターが前記基板ホルダーの下流に配置され、前記基板ホルダーをバイパスするビームイオンを受け取る、請求項14に記載のイオン注入装置。
【請求項16】
前記基板ホルダーが、前記ビームイオンの少なくとも一部が前記基板ホルダーと、この上の任意の基板とを、前記パス時に少なくとも定期的な間隔でバイパスするものであり、前記ビーム不安定性モニターが前記パス時に前記検出器からの信号に応答して、ビーム不安定性イベントを検出し、且つこの前記大きさおよび位置を測定する、請求項15に記載のイオン注入装置。
【請求項17】
前記コントローラが、事前選択周波数で前記検出器からの前記信号をサンプリングするように配列されたディジタルプロセッサと、前記サンプリング済み信号を記憶するメモリと、を備えている、請求項16に記載のイオン注入装置。
【請求項18】
前記プロセッサが、前記サンプリング済み信号を処理して、前記補正済み用量分布マップを表す電子信号を生成し、且つ前記メモリに記憶するように配列されている、請求項17に記載のイオン注入装置。
【請求項19】
前記コントローラが、前記補正済み用量分布マップに応答して前記注入装置を操作して、用量均一性エラーを補償するためにイオンを前記基板に注入するように配列されている、請求項14に記載のイオン注入装置。
【請求項20】
前記相対的走査が2次元ラスター走査であり、前記パスが相対的に低速であり、また複数の相対的に高速の掃引を含有しているため、前記ビームイオンの少なくとも一部が各掃引の少なくとも一部の間に前記基板ホルダーとこの上の任意の基板をバイパスするように動作する、請求項16に記載のイオン注入装置。
【請求項21】
前記基板ホルダーが、回転軸と、前記ホイール周辺に放射状に間隔をあけられたスポーク上にサポートされた複数の放射状に間隔をあけられた基板と、を有する回転可能なホイールであり、前記ホイール軸が前記ビーム方向に対して横方向に往復運動するために搭載されて、前記ホイールの回転が前記相対的に高速な掃引を提供すると前記相対的に低速なパスを提供する、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記注入装置が複数の前記走査を実行して注入を完了させるように動作し、前記コントローラが前記検出器からの信号に応答して、前記走査ごとに前記ベースビーム電流を測定し、前記ビーム不安定性モニターが前記走査ごとにビーム不安定性イベントを検出および測定するように動作する、請求項14に記載のイオン注入装置。
【請求項23】
前記コントローラが、前記走査の各1回の後に累積用量分布マップを定義するデータを提供するように配列されており、また前記累積用量分布マップデータを各走査後に監視して、前記完全注入に対する所望の最終用量均一性値が達成されるか否かを予測するように更に配列されている、請求項22に記載のイオン注入装置。
【請求項24】
前記コントローラが、前記累積用量分布マップデータが、前記所望の最終用量均一性が達成されないと予測する場合にオペレータアラートを発生させるように更に配列されている、請求項23に記載のイオン注入装置。
【請求項25】
前記後続の累積用量分布マップデータが、前記所望の最終用量均一性が達成されないと予測する走査の後に、前記コントローラが前記注入を中止するように更に配列されている、請求項24に記載のイオン注入装置。
【請求項26】
ソース電位におけるイオンのソースと、ベース電位における質量選択器構造と、ターゲット電位における前記基板ホルダーを含有するプロセスチャンバと、を有しており、前記ビーム不安定性モニターが、前記ターゲット電位に前記基板ホルダーを維持するのに必要とされる前記質量選択器構造に戻る総電流に応答する、請求項14に記載のイオン注入装置。

【図1】
image rotate

【図2a】
image rotate

【図2b】
image rotate

【図3a】
image rotate

【図3b】
image rotate

【図3c】
image rotate

【図3d】
image rotate

【図3e】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2008−507812(P2008−507812A)
【公表日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−522031(P2007−522031)
【出願日】平成17年7月22日(2005.7.22)
【国際出願番号】PCT/GB2005/002886
【国際公開番号】WO2006/008543
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】