説明

走査ビームヘッドアップ表示装置および関連システム、および方法

スキャナ(46)および投影アセンブリ(54)を含むヘッドアップ表示装置。スキャナは、電磁エネルギーのビームを掃引することによって像を生成し、投影アセンブリは、強度プロファイルが実質的に均一な領域を有する所定の視空間に像を向ける。装置はさらに射出瞳拡大器(52)を含む。そのようなヘッドアップ表示装置は、従来のヘッドアップ表示装置よりも小さくすることができる場合が多く、また、従来の表示装置によって生成される像よりも高品質の像を生成できる場合が多い。さらに、そのような表示装置は、表示装置または表示装置を組み込む車両の構成要素を物理的に修正または交換することなく、校正および再校正できる場合が多い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権主張)
本願は、2004年2月4日出願の米国仮出願60/541,619、および2004年4月23日出願の米国仮出願60/565,059に対する優先権を主張し、それらの両方を参照として組み込んでいる。
【背景技術】
【0002】
図1を参照して、ヘッドアップ表示装置10は、典型的には、1以上の計器、例えば自動車14などの車両の操作者12が見るための速度計および走行記録計(図示なし)の虚像を生成する。用語「ヘッドアップ」は、計器を見るために操作者12がダッシュボード16に視線を下げる必要がないことを示す。すなわち、操作者12は、計器を見る間、頭を上げて「路上に目をやった」状態を保持できる。したがって、表示装置10は、操作者12が車両14を操作することができる安全性のレベルを、さらに向上させる追加設備である。
【0003】
動作において、ヘッドアップ表示装置10は、1以上の計器(図示なし)の虚像を生成して、風よけ、すなわち風防18の上にそれを投影し、風防は、その像が操作者の視野(FOV)内に現れるように、場合によっては見かけ上風防の向こうに少し離れて現れるように、像を操作者12の目20の中に反射させる。例えば、表示装置10は、像を生成するための発光ダイオード(LED)、液晶(LCD)、真空蛍光灯、または他の表示技術(図示なし)、および風防18上に像を投影するための光学縦列(図1には図示なし)を含んでもよい。
【0004】
典型的には、操作者12は、自身の目20が、アイボックス(eye box)と呼ばれることもある三次元の視空間22内にある間、虚像を最も良好に見ることができる。しかしながら、視空間22の寸法(例えば、高さ、幅、および/または奥行き)は典型的には固定されており、それらは典型的には、操作者が自動車14を操作している間、操作者の頭20の上下、横、および前後の動きの予測される範囲に十分に適合する。さらに、操作者の身長の範囲は比較的大きいので(例えば、5フィート〜7フィート)、表示装置10は、視空間が操作者の目20と一列に並ぶように、視空間22の垂直位置を操作者12が調節できるようにしてもよい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
残念なことに、典型的なヘッドアップ表示装置10はいくつかの欠点を有することがある。例えば、表示装置10は比較的かさばる場合があり、また比較的大量の電力を消費する場合がある。さらに、視空間22内の虚像は質が悪い場合がある。また、同じモデルの車であっても、それぞれの風防18が他の風防とわずかに異なる場合があるため、新しい車両それぞれの表示装置10を校正する手順は、比較的複雑なことがあり、また、表示装置の1以上の部分を物理的に修正または交換する、あるいは場合によってはヘッドアップ表示装置または風防全体を交換することを含む場合がある。さらに、風防を修理するか交換する必要がある場合、表示装置の一部分またはすべてを修正または交換することによって、表示装置10を再校正する必要があり、このことは、別の方法では通常の修理に必要な時間および費用を著しく増加させる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の1つの態様は、スキャナアセンブリおよび投影アセンブリを含むヘッドアップ表示装置である。スキャナアセンブリは、電磁エネルギーのビームを掃引することによって像を生成し、投影アセンブリは、強度プロファイルが実質的に均一な領域を有する所定の視空間に像を向ける。
【0007】
そのようなヘッドアップ表示装置は、従来のヘッドアップ表示装置よりも小さくできる場合が多く、また、従来の表示装置によって生成される像よりも高品質の像を生成できる場合が多い。さらに、そのような表示装置は、表示装置または表示装置を組み込む車両の構成要素を物理的に修正または交換することなく、校正および再校正できる場合が多い。
【0008】
上述の態様、および本発明に付随する利点の多くは、以下の非限定的な詳細な説明を添付の図面と共に参照することでより一層理解されれば、より容易に認識されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下の説明は、当業者が発明を行いまた使用することを可能にするために示される。本明細書に記載される全体的な原理は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、以下に詳述されるもの以外の実施形態および応用例に適用されてもよい。したがって、本発明は、示される実施形態に限定することを意図しないが、本明細書に開示または示唆される原理および特徴と一致する最も広い範囲が許容されるべきである。
【0010】
<視空間>
図2は、本発明の一実施形態による視空間30の等角図である。一般に、図3〜22と関連して以下に説明される操作ビームヘッドアップ表示装置などのヘッドアップ表示装置は、視空間内における操作者の目の位置に関わらず、視空間のパラメータが、虚像が許容可能かつ実質的に均一な質を有することができるようにする各所定範囲内にあるように、視空間30を生成することが望ましい。したがって、それらパラメータの所望の値だけでなく、これらの視空間パラメータのいくつかを、図2と関連して以下に説明する。視空間パラメータの説明に続いて、所望のパラメータ値を達成することができるヘッドアップ表示装置を、図3〜22に関連して説明する。
【0011】
やはり図2を参照して、視空間30は、高さh(y方向)、幅w(x方向)、および奥行きd(z方向)を有し、目が視空間30内にあるときに知覚される虚像は、任意の時点でそれぞれが虚像の同じピクセルを持つ回折次数、すなわちビームレット32で形成され、明瞭にするため4つのビームレット32a〜32dのみを示す。したがって、操作者の目(図2には図示なし)が、ビームレット32の少なくとも1つの光エネルギーを捕捉している限り、操作者は像のピクセルを知覚することになる。像の中心ピクセルを生成している間、ビームレット32は、図2に示すようにz軸にほぼ平行に位置する。他のピクセルを生成している間、ビームレット32は、z軸に対してわずかな角度で傾けられる(傾きは図2には図示なし)。すなわち、ヘッドアップ表示装置(図2には図示なし)がピクセルごとおよびラインごとに像を走査するにしたがって、ビームレット32は、FOV内で、中心ピクセル位置の名目上のビームレット角度から上下および左右に有効に「枢動」する。この「枢動」によって、ビームレット32の1以上が操作者の目の網膜(図示なし)上に走査される。ビームレット32が「枢動」する位置は、x−y平面と共面の断面34であり、これは、視空間30のz方向における中間(d/2)に位置する。したがって、この「枢動」の結果、視空間30の高さhおよび幅w(それらはFOV内のすべてのピクセルからのビームレットを含む)は、断面34からz方向のどちらかの方向に外れると、実際にはわずかに変化する。しかし、この展開はわずかなので、視空間30は、奥行きd全体に沿ってhおよびwの一定の値を有するものとして、十分近似的に説明される。
【0012】
虚像の質および均一性に影響する視空間30のパラメータは、開口、拡張ビーム強度プロファイル、およびフィルファクタなどである。視空間30の開口は断面34と同じ形状である。図3および7〜12と関連して後述する拡張ビーム強度プロファイルは、視空間内の各位置での相対的な拡張ビーム強度のプロットであり、フィルファクタは、隣接したビームレット32間の間隔Sの寸法である。理想的には、視空間30の開口は、操作者がその中で頭を移動させる傾向があるx−y面積と一致するべきであり、拡張ビーム強度プロファイルは、視空間全体にわたって均一であるべきであり、また、フィルファクタは、隣接したビームレット32間に目に見える間隙がないようなものであるべきである。
【0013】
視空間30の開口は、操作者が車両を操作しながらその中で目を動かす典型的なx−y面積に非常に近似することが分かっている、細長い六角形を有する(操作者、目、および車両のいずれも図2に図示なし)。図7〜8と関連してさらに後述するビームレット32のパターンは、視空間30の開口を定義する。この例において、ビームレット32は、対称な六角形と比較して、圧縮した高さhおよび細長い幅wを有する六角形パターンを有し、hは、wよりも小さく、すなわちwに比べて圧縮されており、これは、代表的な応用例では、操作者が車両を操作しながらその中で目を動かすかも知れない水平方向の範囲が、操作者が典型的にその中で目を動かす垂直方向の範囲よりも大きいためである。したがって、視空間30の開口は、比較的大きな水平移動および比較的少ない垂直移動に適合する形状を有する。一実施例では、視空間30は、約150ミリメートルの高さh、約200ミリメートルの幅w、および約400ミリメートルの奥行きdを有する。他の応用例は、異なる形状を有する操作者の視点の範囲によって特徴付けられてもよい。視空間30の開口は、そのような異なる形状に適合するために同様に修正されてもよい。
【0014】
やはり図2を参照して、視空間30内の拡張ビーム強度(すなわち輝度)プロファイルは、実質的に均一である。すなわち、像の輝度は、視空間30内での操作者の目(図2には図示なし)の位置に関わらず、実質的に同じである。比較的均一な拡張ビーム強度プロファイルにより、像の強度の顕著な変化を知覚することなく、したがってそれに気をとられることなく、操作者が視空間30内で目を動かすことができる。視空間30内の拡張ビーム強度のプロファイルを決定する、ビームエンベロープ(図2には図示なし)の強度プロファイルおよびビームレット32の強度プロファイルという2つの主な要因がある。多くの実施形態では、ビームレットはそれぞれ実質的に同じ強度プロファイルを有する。図9A〜12と関連してさらに後述するように、ビームエンベロープの強度プロファイルおよびビームレット32の強度プロファイルが両方とも実質的に均一である限り、視空間30内の拡張ビーム強度プロファイルも実質的に均一である。一実施例では、視空間30内の拡張ビーム強度プロファイルの最も明るい領域は、視空間内のビーム強度プロファイルの最も暗い領域よりも約11%明るい。すなわち、(Ibrightest−Idimmest)/(Ibrightest+Idimmest)≦〜11%である。
【0015】
視空間30のフィルファクタは、操作者の目(図2に図示なし)が、視空間内にあると同時に少なくとも1つのビームレット32を確実に捕捉し、したがって視空間内の目の位置に関わらず虚像を知覚するように、十分高い。すなわち、視空間30には操作者が像を「失い」得る「穴」がない。フィルファクタは、ビームレット32が存在しない場合、すなわちゼロ直径の開口を有する0%から、ビームレット間に「空の」空間がないようにビームレット32がそれぞれの周囲のすべての点で接触する100%まで、またビームレット32が重なり合う100%超過までの範囲であることができる。ビームレットは重なり合うことができるが、本記載の目的のため、そのような重なり合いは生じないものとする。ビームレット32の開口は、視空間30の最大フィルファクタを制御する。例えば、ビームレットが円形の開口を有する場合、ビームレットの直径が互いに接して密集している際の最大フィルファクタは、その円の間の隙間があるため100%未満である。ビームレット32が六角形の形状を有していれば、ビームレットは視空間30内で緊密に密集し、重なり合うことなく100%のフィルファクタを有することができる。同様に、扁平な六角形、正方形、長方形、平行四辺形などのビームレットの形状は、重なり合うことなく緊密に密集することができる。操作者の目が少なくとも1つのビームレット32を確実に受け取るように、隣接したビームレットの側面間の間隔Sは、目の瞳孔(図2に図示なし)の最も小さな直径よりも小さい。明るい周囲条件では、瞳孔の直径は約2ミリメートル(mm)しかない。したがって、間隔Sが2mm未満の場合、フィルファクタは、視空間30内に確実に「穴」がなくなるように十分高い。
【0016】
やはり図2を参照して、視空間30の代替の実施形態が考慮される。例えば、視空間30およびビームレット32は六角形以外の開口を有してもよい。さらに、ビームレット32の開口は、視空間30の開口を縮小したものでなくてもよい。例えば、視空間30は細長い六角形の開口を有していてもよく、ビームレット32は図2に示されるような対称的な六角形の開口を有していてもよい。さらに、視空間30内の拡張ビーム強度プロファイルは実質的に均一でなくてもよく、それでもなお視空間内の少なくともいくつかの位置で許容可能な質の像をもたらしてもよい。さらに、断面34は平面ではなく湾曲していてもよい。例えば、断面34は、xおよびy方向の1つまたは両方に操作者の目によって掃引された円弧に対応する曲率を有してもよい。さらに、図2には1つの断面34のみが示されるが、視空間30は、断面34と平行な無数の断面を含むことが理解される。また、ビームレット32が「枢動」する断面は、視空間30の中間(d/2)以外に位置してもよい。さらに、可視光線を含むと記載したが、ビームレット32は可視スペクトル外の電磁エネルギーを含んでいてもよい。例えば、操作者(図2には図示なし)が、視空間30内の虚像を見るために赤外線ゴーグル(図示なし)を着用するように、ビームレット32は赤外線エネルギーを含んでいてもよい。
【0017】
<図2の視空間を生成するためのヘッドアップ表示装置>
図3は、走査ビームヘッドアップ表示装置40の図であり、これは、本発明の一実施形態にしたがって図2の視空間30を生成するために動作可能である。さらに、虚像を視空間30に向けるために、表示装置がリフレクタとして使用する風防42が示される。虚像を生成するために走査ビームを使用することによって、表示装置40は、従来のヘッドアップ表示装置よりも、より小さく、より高い性能(例えば、優れたコントラスト、鮮鋭度および輝度)を有し、よりエネルギー効率がよく、および/または校正がより容易であってもよい。さらに、表示装置40が分散表面を実質的に含んでおらず、走査ビームがレーザー光線などの干渉性の電磁エネルギーを含む場合、虚像中の可視の斑点は低減または除去され得る。また、表示装置40を使用して車両情報の虚像を生成することにより、車両内の物理的な車両情報表示装置を単純化することが可能になり得る。例えば、表示装置40が燃料計の虚像を生成する場合、車両のダッシュボードから物理的な燃料計を省略することができる。
【0018】
やはり図3を参照して、ヘッドアップ表示装置40は、ビーム発生器44、スキャナ46、レンズ50を含む走査ビーム調整アセンブリ48、射出瞳拡大器52、および、レンズ56およびリフレクタ58またはレンズとリフレクタの組合せを含むビーム投影アセンブリ54を含む。ビーム調整アセンブリ48およびビーム投影アセンブリ54の両方は、それぞれ光学縦列であってもよいし光学縦列を含んでいてもよい。
【0019】
ビーム発生器44は、カラー出力ビーム60を生成し、像エレクトロニクス62、R、G、およびBのビーム70、72、および74をそれぞれ生成するための赤(R)、緑(G)、および青(B)ビーム源64、66、および68、および、ビームコンバイナおよびコンディショナアセンブリ76を含む。ヘッドアップ表示装置によっては、あるいは単一色またはR、GおよびBのサブセットを使用してもよい。ビーム発生器はまた、例えば色域、輝度などを改善するために、光の他の波長を含んでいてもよい。
【0020】
エレクトロニクス62は、エレクトロニクスが現在生成している像のピクセル用の所望の強度および色量を出力ビーム60が有するように、R、G、およびBビーム源64、66、および68を、したがってビーム70、72、および74を変調する。エレクトロニクス62は、ビームがピクセル生成時間の所定の部分において完全に「オン」でありピクセル生成時間の別の部分において完全に「オフ」である場合には時変調を使用して、または、ピクセル生成時間全体においてビームの強度が所定レベルに変調される場合には強度変調を使用して、ビーム源を変調してもよい。
【0021】
ビーム源64、66、および68は、従来のR、G、およびBレーザーまたは発光ダイオード(LED)であってもよく、ビーム70、72、および74は、空気(または他の媒体)を通して、あるいは光ファイバー(または他の光学通路)を介してビームコンバイナおよびコンディショナアセンブリ76まで伝搬してもよい。例えば、レーザービームを、ビーム源64、66、または68の1つから単一モード型光ファイバーを介してアセンブリ76に結合することで、空気などの媒体を通してアセンブリに伝搬するビームと比較して、アセンブリにおけるビームの質を改善することができる。さらに、レーザービームを、光ファイバーを介してアセンブリ76に結合することで、自動車(図3には図示なし)のトランクの中など、表示装置40の残りから離れて対応するビーム源を位置させることができる。ビーム源64、66、または68を離れて位置させることは、ビーム源がガスレーザーであるか、そうでなければ比較的大きい場合、あるいは比較的大きな熱量を放散する場合に有利であり得る。あるいは、ビーム源64、66、または68が半導体レーザーまたはLEDの場合、アセンブリ76の近くにあってもよい。さらに、ビーム源64、66、および68のいくつかは、アセンブリ76から離れた位置に配置されてもよく、ビーム源の他のものはアセンブリに近い位置に配置されてもよい。
【0022】
図4〜6と関連してさらに後述するビームコンバイナおよびコンディショナアセンブリ76は、R、G、およびBビーム70、72、および74を組み合わせて出力ビーム60とし、出力ビームにトップハット強度プロファイルおよび図2のビームレット32と同じ六角形の形状(またはそれを拡大縮小したもの)を付与する。
【0023】
スキャナ46は、出力ビーム60を二次元(例えば、垂直および水平)で掃引して、視空間30で操作者(図3には図示なし)が見る虚像を生成する。掃引された出力ビームの2つの位置が、スキャナから出る点線で示される。スキャナ46は、従来の微小電子機械システム(MEMS)スキャナまたは他のタイプのスキャナであってもよい。MEMSスキャナは、典型的には出力ビーム60を水平次元で正弦的に、すなわち共振的に、また垂直次元で直線的に掃引するが、MEMSスキャナはビームを垂直方向にも共振的に掃引してもよい。共振動作により、MEMSスキャナが電力をほとんど消費しないことが可能になり、比較的小さなサイズのMEMSスキャナは、ヘッドアップ表示装置40を、従来のヘッドアップ表示装置よりもコンパクトかつ軽量にすることができる。スキャナ46として使用するのに好適なMEMSスキャナの例は、2004年11月9日にスプレーグ(Randall B.Sprague)らによって出願された、簡便な駆動装置を有するMEMS装置(MEMS DEVICE HAVING SIMPLIFIED DRIVE)という名称の米国特許出願10/984,327にさらに記載されており、これを参照として本明細書に組み込んでいる。
【0024】
走査ビーム調整アセンブリ48は、射出瞳拡大器52に入力するために、掃引された出力ビーム60を調整する。例えば、レンズ50は、ビームの角度位置に関わらず、掃引された出力ビーム60を拡大器の焦点面(図示なし)に垂直に射出瞳拡大器52に入力させる、従来のテレセントリックレンズである。さらに、下記により詳細に記載するように、拡大器52の入力面におけるビーム60の強度プロファイルが、位相および振幅の両方でビーム発生器44の出力側におけるビームの強度プロファイルの空間フーリエ変換となるように、アセンブリ48は他の従来の構成要素を含んでいてもよい。
【0025】
図7〜18と関連してさらに後述するように、射出瞳拡大器52は、拡大器の入力面で掃引されたビーム60を拡張ビーム78に変換し、これは、ビームエンベロープ79内のビームレット32(図2)を含む。ビームエンベロープの2つの位置が点線で示される。拡張ビーム78は、ビーム60を大きくした、すなわち拡張したものであり、最終的に視空間30を形成する。すなわち、拡張ビーム78は有効に視空間30を「一掃する」。より具体的には、スキャナ46がビーム60を掃引すると、ビームエンベロープ79内のビームレット32は、操作者の目(図3には図示なし)の網膜全体にわたって掃引することにより、視空間30の像を生成する。さらに後述するように、拡大器52は、回折型、屈折型、反射型、または組合せの光学素子であってもよい。
【0026】
ビーム投影アセンブリ54は、風防42によって視空間30の中に向けるために、射出瞳拡大器52からの拡張ビーム78を調整する。例えば、レンズ56は従来の集束レンズであり、図20と関連してさらに後述するリフレクタ58は、風防42の曲率と光学的に「一致する」ように設計された曲率を有する非球面のミラーである。アセンブリ54はさらに、レンズ56に伝搬する前にビーム78をさらに拡張するために、射出瞳拡大器52の出力側に負パワーレンズ(図3には図示なし)を含んでいてもよい。さらに、より詳細に後述するように、視空間30の断面34(図2)におけるビームエンベロープ79の強度プロファイルが、位相および振幅の両方で射出瞳拡大器52の出力面(図3には図示なし)におけるビームエンベロープの強度プロファイルの空間フーリエ変換となり、またビームレット32の強度プロファイルが位相および振幅の両方で射出瞳拡大器の入力面(図3には図示せず)の走査出力ビーム60の空間フーリエ変換となるように、アセンブリ54は他の従来の構成要素を含んでいてもよい。
【0027】
風防42は、ヘッドアップ表示装置40の一部でなくてもよいが、典型的には、拡張ビーム78をリフレクタ58から視空間30に向ける最終的な光学部品である。例えば、拡張ビーム78を方向付ける風防42の領域80は、通常は、風防の下3分の1に位置するが、風防の他の部分が使用されてもよい。この領域は、風防が拡張ビームをより良好に反射するように、1以上の光学コーティングで任意に処理されてもよい。例えば、領域80は、拡張ビーム78を構成するR、G、およびB波長を反射するが他の波長を通過させる、狭帯域光学コーティングで処理されてもよい。そのようなコーティングは、風防の透明度のレベルに対して無視できる影響しか有さず、したがって、風防42の領域80を通して見る操作者の能力に対してほとんど悪影響を有さないことが分かっている。
【0028】
やはり図3を参照して、本発明の一実施形態によるヘッドアップ表示装置40の動作が説明される。
【0029】
像エレクトロニクス62は、走査される像のピクセルを生成するために、ビーム70、72、および74を変調する。ある範囲の像のアスペクト比が使用されてもよい。いくつかの実施例において、像は、約2:1〜3:1のアスペクト比、例えば幅600ピクセル(水平(x)方向)×高さ200ピクセル(垂直(y)方向)を有する。車両のヘッドアップ表示装置の画角が6×2度である典型的な自動車の応用例の場合、これは、視空間30において1度当たり約100ピクセルの分解能となり、これは、1度当たり約60ピクセルの人間の目の分解能よりも大きい。そのような高い1度当たりのピクセル数は、解像度の低い表示装置と比較して、文字および画像が操作者に対して高い鮮明度および鮮鋭度を有して見えるようにするために使用されてもよい。いくつかの応用例では、比較的高い名目上の1度当たりのピクセル数は、目に見える有効な分解能を実質的に損失させることなく、像の形状を調節または補償する(例えば、風防の曲率許容差を補償する)ために使用することができる。
【0030】
ビーム発生器44は、変調されたビーム70、72、および74から、実質的なトップハット(すなわち実質的に均一な)強度プロファイルと、ビームレット32(図2)の六角形の開口と実質的に形状が同じ六角形の開口とを有する出力ビーム60を生成する。
【0031】
スキャナ46は、垂直および水平にビーム60を掃引し、それは走査ビーム調整アセンブリ48を介して射出瞳拡大器52に伝搬する。
【0032】
ビーム組合せおよび調整アセンブリ76および走査ビーム調整アセンブリ48の光学部品は、共に射出瞳拡大器52の入力面におけるビーム60のトップハット強度プロファイルおよび六角形の開口を、位相および振幅の両方で、射出瞳拡大器52の入力側におけるトップハットプロファイルおよび六角形の開口の空間フーリエ変換に転換する。トップハットプロファイルの空間フーリエ変換は、空間sinc(sin(x)/x)関数なので、ビーム60は、射出瞳拡大器52の入力面で二次元のsinc状の強度プロファイルを有する。
【0033】
射出瞳拡大器52は、ビーム60のsinc状の強度プロファイルをその入力面で、やはり拡大器の出力面でsinc状の強度プロファイルを有するビームエンベロープ79に有効に変換する。さらに、図7と関連して後述するように、拡大器52の近距離場における隣接するsinc状の出力の重なりは、拡大器の実質的に均一な遠距離場におけるビームレット32を形成し、これもそれぞれ、開口外のプロファイルに類似した強度プロファイルを有する。拡張ビームのプロファイルは回折の結果なので、ビームエンベロープ79は回折エンベロープと呼ばれることがある。ビームレット32は、近隣のピクセルからの回折エンベロープの干渉からこの回折エンベロープ内に導入される。
【0034】
拡張ビーム投影アセンブリ54は、拡張ビーム78を風防42上に投影し、これは拡張ビームを視空間30に向ける。
【0035】
風防42とビーム投影アセンブリ54の光学部品とは、共にビーム60およびビームエンベロープ78のsinc状の強度プロファイルを、位相および振幅の両方で視空間30のこれらのsinc状の強度プロファイルの空間フーリエ変換に転換する。sinc関数の空間フーリエ変換はトップハットプロファイルなので、ビームエンベロープ79は、視空間30内で、実質的に均一な強度プロファイルおよび図2に示される六角形の開口を有する。図2と関連して上述したように、ビームエンベロープ79は、視空間30のx−yの範囲を画定し、したがって視空間の断面34と同じ開口を有する。さらに、図8と関連してさらに後述するように、ビームエンベロープ79の六角形の開口は射出瞳拡大器52の構造のみによって決まり、したがってビーム60の開口とは無関係である。さらに、ビームレットのsinc関数の空間フーリエ変換が六角形の開口を備えたトップハットプロファイルなので、ビームレット32(図2)はそれぞれ、実質的に均一な強度プロファイル、およびビーム60の開口と実質的に同じ六角形の形状を有する開口を有する。
【0036】
さらに、操作者(図3には図示なし)は、図3のページに垂直な軸82の周りでリフレクタ58を回転させて、視空間30の垂直(y)方向の位置を調節してもよい。
【0037】
やはり図3を参照して、ヘッドアップ表示装置40の代替の実施形態が考慮される。例えば、表示装置40は、カラー画像の代わりにモノクロ画像を生成してもよく、したがって、3つのビーム源64、66、および68の2つはビーム発生器44から省略されてもよく、またビーム組合せ機能はアセンブリ76から省略されてもよい。さらに、テレセントリックレンズ50は、図13および17と関連してさらに後述するような走査ビーム調整アセンブリ48から省略されてもよい。また、車両の操作者が見るための虚像を生成するものとして記載したが、表示装置40は、車両の別の乗員が見るための像を生成するように構築され配置されてもよい。例えば、表示装置40は、1以上の乗客のための映画を再生してもよい。表示装置40は、操作者から、または風防以外の車両内の表面から離れた風防42の一部分に映画を反射させてもよく、この表面は、透明、不透明、または部分的に透明であってもよい。そのような映画は連続する虚像を含むので、映画を見る乗客は、従来の映画プレーヤーで映画を見ていた場合よりも乗り物酔いを経験しにくい。さらに、表示装置40は、車両以外のシステムで使用されてもよい。さらに、テレセントリックレンズ50、射出瞳拡大器52、およびビーム78をさらに拡張するための拡大器の出力側の負パワーレンズ(図示なし)は、単一のユニットに一体化されてもよい。さらに、テレセントリックレンズ50を、射出瞳拡大器52と共に単一のユニットに一体化することができる屈折率分布型(GRIN)レンズと置き換えてもよい。さらに、ビームエンベロープ79の開口は、ビームエンベロープがその中に「穴」を有するように、環状であってもよい。さらに、表示装置40は、地図または電話帳などの他のタイプの像を生成してもよい。
【0038】
図4は、本発明の一実施形態による図3のビーム組合せおよび調整アセンブリ76の図である。
【0039】
アセンブリ76は、Rビーム70、Gビーム72、およびBビーム74のそれぞれ1つを調整するための、3つの光学縦列90、92、および94を含み、また、3つの光学縦列からの調整したビームを組み合わせて出力ビーム60にする、従来のビーム組合せXキューブ96も含む。
【0040】
光学縦列90は、コリメータレンズ98、トップハットコンバータ100、六角形のクリッピング開口102、および任意の集束レンズ104を含み、これらはすべてRビーム70の波長用に設計されている。一実施例では、Rビーム70の波長は635〜660ナノメートル(nm)である。
【0041】
同様に、光学縦列92は、コリメータレンズ106、トップハットコンバータ108、六角形のクリッピング開口110、および任意の集束レンズ112を含み、これらはすべてGビーム72の波長用に設計されており、光学縦列94は、コリメータレンズ114、トップハットコンバータ116、六角形のクリッピング開口118、および任意の集束レンズ120を含み、これらはすべてBビーム74の波長用に設計されている。一実施例では、Gビーム72およびBビーム74の波長は、それぞれ440〜490nmおよび500〜550nmである。
【0042】
Xキューブ96は、調整されたGおよびBビームは通すが調整されたRビームは反射する光学コーティングで処理された第1の内側表面122を含み、また、調整されたRおよびGビームは通すが調整されたBビームは反射する光学コーティングで処理された第2の内側表面124を含む。
【0043】
本発明の一実施形態によるビーム組合せおよび調整アセンブリ76の動作は、図4および5と関連して後述される。しかし、最初に図5を説明する。
【0044】
図5は、本発明の一実施形態にしたがって、図4のビーム70、72、および74の1つなどの入力ビームのガウス強度プロファイル126のプロットを、図4のコンバータ100、108、および116の1つなどのトップハットコンバータに入力ビームを通すことによって生成された、出力ビームのトップハット強度プロファイル128のプロットに重ねたものである。このプロットは二次元であるが、入出力ビームが対称なので、プロットは、ビームの中心軸130と共面であるこれらのビームの任意の「薄片」を表す。すなわち、ビームの中心軸130の周りでこの二次元のプロットを回転させることにより、入出力ビームの強度プロファイルの三次元のプロットを形成することができる。
【0045】
入力ビーム(強度プロファイル126を有するビーム)は、その中心軸130において約1の最大相対強度を有し、中心軸から離れるにしたがって、強度は、ガウス関数によって対称的に徐々に下がる。理論上、ガウス関数は0に近づくが決して0にはならないので、入力ビームは理論上無限の開口を有する。したがって、説明を助けるため、ビームがその最大強度の1/2を有する点におけるビーム幅として、ビームの半値全幅(FWHM)を定義する。この実施例では、入力ビームが強度=1/2×1=50%を有する点では、相対幅1を有するので、入力ビームは相対FWHM1を有する。
【0046】
対照的に、出力ビーム(強度プロファイル128を有するビーム)は、入力ガウスのFWHM幅の約2倍であるその全幅ほぼ全体にわたって、約35%の均一な(平坦な)強度を有する。したがって、ガウス強度プロファイル126を有する入力ビームがそこを通って伝搬するトップハットコンバータは、トップハット強度プロファイル128を有する出力ビームを形成するために入力ビームの強度を再分布させる。当然ながら、トップハットコンバータの寸法および他の特性を調節して、出力ビームの幅および強度を変えることができる。したがって、一般に、ガウス強度プロファイルを有する入力ビームにおいて、トップハット出力ビームの幅が小さくなれば出力ビームの強度が高くなり、またその逆である。
【0047】
図4を再び参照して、ビーム70、72、および74それぞれが図5のガウス強度プロファイル126などのガウス強度プロファイルを有する場合の、ビーム組合せおよび調整アセンブリ76の動作が説明される。さらに、明瞭にするため、光学縦列90の動作のみが詳細に説明され、光学縦列92および94は同様のやり方で動作するものと理解される。
【0048】
最初に、コリメータレンズ98は、Rビーム70の開口を平行にする。
【0049】
次に、トップハットコンバータ100は、ガウス強度プロファイル(図5)を有する平行Rビーム70を、従来のやり方でトップハット強度プロファイル(図5)を有するRビームに変換する。
【0050】
その後、開口102は、トップハットコンバータ100からのビーム出力を切り取って、図2のビームレット32の開口とほぼ同じ形状である六角形の開口をビームに付与する。
【0051】
次に、集束レンズ104は、Rビーム70を開口102からXキューブ表面122に通過させ、これがビームを反射して出力ビーム60のR成分を形成する。集束レンズ104の1つの機能は、出力ビーム60のR成分を調整して、射出瞳拡大器52(図3)の入力面(図4には図示なし)における出力ビームの強度プロファイルが、位相および振幅の両方でXキューブ96を出るときの出力ビームの強度プロファイルの空間フーリエ変換となるようにすることである。したがって、このフーリエ変換関係を得るために他の技術が使用される場合、集束レンズ104(および集束レンズ112および120)は省略されてもよい。例えば、テレセントリックレンズ50が走査ビーム調整アセンブリ48(図3)から省略される場合、集束レンズ104(および集束レンズ112および120)は省略されてもよい。
【0052】
光学縦列92および94はそれぞれ、GおよびBビームに対して同様のやり方で動作し、また、Xキューブ96はGビームを通し、表面124はBビームを反射して、反射したRおよびBビームおよび通過したGビームを「重ね合わせる」ことによってカラー出力ビーム60を形成する。出力ビーム60は、R、G、およびBビームの強度の和と実質的に等しい強度レベルを備えたトップハット強度プロファイルを有し、またR、G、およびBビームそれぞれと実質的に同じ六角形の開口を有する。
【0053】
図6は、本発明の別の実施形態によるビーム組合せおよび調整アセンブリ76の図である。図4および6のアセンブリ76間の1つの違いは、図6のアセンブリが低減された数の構成要素を含み、したがって、図4のアセンブリよりも小さく、製造がより容易で、またより安価であってもよい点である。
【0054】
アセンブリ76は、Rビーム70、Gビーム72およびBビーム74のそれぞれ1つを平行にするコリメータレンズ140、142、および144、3つの光学縦列からの平行ビームを組み合わせて中間ビーム146とするビーム組合せXキューブ96、および中間ビームを出力ビーム60に変換する光学縦列148を含む。
【0055】
光学縦列148は無彩(すなわち多波長の)トップハットコンバータ150、無彩の六角形開口152、および任意の無彩の集束レンズ154を含み、これらは、従来のやり方でR、G、およびBビーム70、72、および74の波長用に設計されている。一実施例では、R、G、およびBビームは、図4と関連して上述されたのと同じ波長をそれぞれ有する。
【0056】
やはり図6を参照して、本発明の一実施形態によるビーム組合せおよび調整アセンブリ76の動作が説明され、入力R、G、およびBビーム70、72、および74のそれぞれは、図5のプロファイル126などの、実質的に同じガウス強度プロファイルを有する。
【0057】
最初に、コリメータレンズ140、142、および144はそれぞれ、R、G、およびBビーム70、72、および74を平行にする。
【0058】
次に、Xキューブ96はGビームを通過させ、表面122および124はそれぞれRとBを反射して、反射したRおよびBビームがGビームと「重なり合って」、入力R、G、およびBビーム70、72、および74と実質的に同じガウス強度プロファイルを有するカラーの中間ビーム146を形成するようにする。
【0059】
その後、トップハットコンバータ150は、従来のように、中間ビーム146を図5のプロファイル128などのトップハット強度プロファイルを有するビームに変換する。
【0060】
次に、開口152は、トップハットコンバータ150からのビームを切り取って、ビームレット32(図2)の開口とほぼ同じ形状である六角形の開口をビームに付与する。
【0061】
その後、集束レンズ154は開口152からビームを受取り、トップハット強度プロファイルおよび六角形の開口を有する出力ビーム60を生成する。図4および5と関連して上述したのと同様の理由で、集束レンズ154は省略されてもよい。
【0062】
図4〜6を再び参照して、ビーム組合せおよび調整アセンブリ76の代替の実施形態が考慮される。例えば、それぞれ単一の光学部品として示されているが、トップハットコンバータ100、108、116、および150の1以上は、多数の光学部品を含んでいてもよい。さらに、Xキューブ96を、参考として組み込まれる2004年4月23日出願の米国特許出願10/828,876に開示されているようなスラブビームコンバイナと置き換えることができる。さらに、トップハットコンバータの1以上を省略し、対応するR、G、またはBビームおよび中間ビーム146のFWHMと等しいかほぼ等しいクリッピング幅を有する、対応するクリッピング開口102、110、118、および152の1以上を設計することができる。例えば、ビームがガウス強度プロファイル126(図5)を有する場合、このクリッピング技術がビーム60に、プロファイル126の頂部部分、すなわち、中心軸130からの相対幅±0.5を越えるビームのすべての部分が遮断されたプロファイル126を付与する。これからガウスプロファイル126の部分までは、トップハットプロファイルにほぼ近似する。しかし、そのような実施形態はアセンブリ76における光学部品の数を低減するが、図4および6の実施形態などのトップハットコンバータを使用する実施形態よりも多くのビームエネルギーを廃棄するので、効率がより低い。さらに、この実施形態は、出力ビーム60に真のトップハット強度プロファイルを付与しないので、ビームレット32(図2)、および、したがって拡張ビーム78は、視空間30内で均一ではない強度プロファイルを有する場合がある。
【0063】
図7は、本発明の一実施形態による図3の射出瞳拡大器52の側面図である。この実施形態では、拡大器52は、二重マイクロレンズアレイ(DMLA)であり、その構造および動作は、パウエル(Karlton Powell)らの「着用可能な表示装置における射出瞳拡大のための新規な方策(A Novel Approach for Exit Pupil Expansion in Wearable Displays)」、2004年2月4日にパウエル(Karlton Powell)らによって出願された、射出瞳拡大器:画質性能強化および環境試験結果(Exit Pupil Expander:Image Quality Performance Enhancements and Environmental Testing Results)」という名称の米国仮出願60/541,619に十分に説明されており、これらを参照として組み込んでいる。したがって、簡潔にするため、DMLAの概観のみを以下に示す。
【0064】
DMLA射出瞳拡大器52は、第1および第2のマイクロレンズアレイ(MLA)160および162を含み、これらは、プラスチックまたはガラスなどの透明な光学材料から作られ、多数の小型レンズ164および166をそれぞれ含む。MLA160は、焦点面168および焦点面からの焦点距離fを有し、同様に、MLA162は、焦点面170および焦点面170からの同じ焦点距離fを有する。MLA160および162は、それらの焦点面168および170が焦点距離fによって分離されるように位置付けられ、MLAの間の間隙は空気で満たされる。小型レンズ164および166はそれぞれ、MLA160および162のピッチである幅Dを有し、また、小型レンズ164はそれぞれ対応する小型レンズ166と一列に並ぶ。
【0065】
図8は、本発明の一実施形態による図7のMLA160の平面図であり、MLA162は類似しているものと理解される。小型レンズ164は六角形のフットプリントを有し、「ハニカム」パターンで配列され、小型レンズがMLA160の背面に接合する場合、隣接した小型レンズの間の空隙がないように連続する。
【0066】
走査ビーム60がビーム発生器44(図3)を出るときにその幅がほぼDであり、小型レンズ164および166それぞれのフットプリントが出力ビームの開口と同じ六角形の形状を有し、出力ビームの開口が小型レンズのフットプリントと同じ配向を有する場合の、本発明の一実施形態によるDMLA射出瞳拡大器52の動作が、図7〜8と関連して説明される。
【0067】
図3と関連して上述したように、走査ビーム調整アセンブリ48は、DMLA射出瞳拡大器52の入力側で走査ビーム60の強度プロファイルをsinc状にさせる。
【0068】
ビーム60が小型レンズ164aに集中すると、対応する小型レンズ166aは、やはりsinc状の強度プロファイルを有する拡張中心ビーム172を出力する。
【0069】
図3と関連して上述したように、拡張ビーム投影アセンブリ54は、視空間30内の拡張中心ビーム172に対して、位相および振幅の空間フーリエ変換を行う。
【0070】
したがって、視空間30内のサイドビーム(後述)を差しあたって無視して、中心ビーム172は、六角形のビームエンベロープ79によって制限され、均一な強度プロファイルを有し、またビームレット32は有さない。すなわち、エンベロープ79は、視空間30(図2)内のトップハット強度プロファイルを有する単一のビームレット、つまり中心ビーム172を有効に制限する。さらに、ビームエンベロープ79および中心ビーム172の六角形の開口は、MLA160(図8)および162のハニカム配置、および、小型レンズ164および166の六角形の開口によるが、ビーム60の開口には依存しない。すなわち、ビーム60の開口が六角形以外のものでも、ビームエンベロープ79および中心ビーム172は依然として六角形の開口を有する。さらに、中心ビーム172は屈折によって生成されるので、ビームエンベロープ79は波長に依存しない。すなわち、ビームエンベロープ79は、走査ビーム60を構成する光の波長(単数または複数)に関わらず、同じ開口を有する。
【0071】
しかし、ビーム60の強度プロファイルがDMLA射出瞳拡大器52の入力側においてsinc状なので(さらにガウスビームあるいは切り詰められたガウスビームの場合も)、ビームエネルギーのいくらかは隣接する小型レンズ164bおよび164cに入射し、したがって対応する小型レンズ166bおよび166cがサイドビーム174および176を出力する。図7は二次元の側面図なので、図7の平面外に他のサイドビームが存在してもよい。さらに、ビーム60が小型レンズ164aに集中する場合にビームエネルギーが隣接した小型レンズ164bおよび164cに入射しなくても、スキャナ46(図3)が1つの小型レンズから別の小型レンズまでビームを掃引するので、ビーム60は依然として多数の小型レンズに重なり合い、またこの重なり合いがサイドビーム174および176の出力を生じさせる。
【0072】
やはり図7〜8を参照して、サイドビーム174および176は、遠距離場の拡張中心ビーム172と干渉し、この回折現象は、ビームレット32を有する拡張ビーム78を生じさせ、これは回折次数と呼ばれる場合がある。図3と関連して上述したように、視空間30内のビームレット32の六角形の開口およびトップハット強度プロファイルは、出力ビーム60がビーム発生器44を出るときの開口とおよび強度プロファイルと同じであるが、ビームレットの開口および強度プロファイルは、小型レンズ164および166の配置パターンおよび開口に依存しない。さらに、ビームレット32は重なり合う回折エンベロープの干渉によって生成されるので、ビームレットの開口のサイズは波長に依存する。したがって、走査ビーム60の中心波長、例えばG成分の波長用にDMLA射出瞳拡大器52を設計してもよい。
【0073】
要約すると、ビームエンベロープ79の強度プロファイルは、DMLA射出瞳拡大器52の光学的特性のみに依存し、ビームエンベロープ79の開口は、小型レンズ164および166の配置パターンおよび開口のみに依存し、ビームレット32の強度プロファイルは、走査ビーム60の強度プロファイルのみに依存し、また、ビームレットの開口は、走査ビームの開口のみに依存する。
【0074】
やはり図7および8を参照して、射出瞳拡大器52の代替の実施形態が考慮される。例えば、MLA160および162の間の間隙は空気以外の伝達媒体で満たされてもよい。例えば、充填媒体は、DMLA拡大器52の光学的特性を変える可能性がある間隙の圧縮または拡張に抵抗する固体であってもよく、また、充填媒体の異なる屈折率(空気の屈折率に対する)を補償する従来のやり方で、MLA160および162の特性(例えば、ピッチ、小型レンズの曲率、屈折率)を変えることができる。追加の実施形態は、図13〜18と関連して後述する。
【0075】
図9A〜11Bは、視空間30内の拡張ビーム78(図3および7)の強度プロファイルが、ビームエンベロープ79(図2および7)とビームレット32(図2)の強度プロファイル、および均一でない強度プロファイルを有する拡張ビームによるアーティファクトに依存することを示す。後述するように、「バンディング」などのアーティファクトは、操作者の目が視空間30の断面34外にある場合に、より深刻なことがある。
【0076】
図9Aは、均一(平坦)な強度プロファイルを有するビームエンベロープ79を示し、図9Bは、それぞれ均一でないガウス様の強度プロファイルを有するビームレット32が組み合わさって、ビームエンベロープ79内に均一でないビームレット強度プロファイルを生じることを示す。
【0077】
図9Cは、図9Aおよび9Bのビームエンベロープおよび組み合わされたビームレット強度プロファイルに起因する、視空間30内の拡張ビーム78の均一でない強度プロファイルを示す。sinc状のビーム出力172、174および176はそれぞれ、射出瞳拡大器52において、遠距離場のトップハット強度プロファイルに転換する。これらのビーム出力172、174、および176の重なり合いによる干渉が、小型レンズの配列ピッチおよび配置によって定義された間隔でビームレット32を形成する。入力ビーム60のエンベロープは位相および振幅が転換して、拡張ビーム78内の遠距離場における各ビームレット32の強度プロファイルを形成する。したがって、結果として得られる拡張ビーム78の強度プロファイルは、図9Aの拡張ビームエンベロープ、ビームレットエンベロープ、および図9Bのビームレット間隔および配置の位相および振幅におけるたたみこみと見なすことができる。したがって、ビームエンベロープ強度プロファイル(図9A)が均一でも、組み合わせたビームレット強度プロファイル(図9B)の非均一性により、拡張ビーム78の強度プロファイルが均一でなくなる。また、図示しないが、均一でないビームエンベロープ強度プロファイルと組み合わされた均一な組合せビームレット強度プロファイルもまた、結果として均一でない強度プロファイルを生じさせる。
【0078】
図10Aおよび10Bは、図9Cのものに類似した均一でない拡張ビーム強度プロファイルに対して、視空間30内の異なる視点において操作者(図10Aおよび10Bには図示なし)が知覚した強度パターンを示す。また、拡張ビーム強度プロファイルが視空間全体にわたって均一でない場合に生じ得るアーティファクトについて後述する。
【0079】
図10Aは、虚像の頂部で第1のピクセルを生成する第1の拡張ビーム78a、および像の底部で第2のピクセルを生成する第2の拡張ビーム78bを示し、各拡張ビームは同じ均一でない強度プロファイルを有する。第1および第2のピクセル、および、したがって第1および第2の拡張ビーム78aおよび78bは、異なるときに生成され、それら両方を説明目的のため図10Aに示す。さらに、他の拡張ビームが拡張ビーム78aおよび78bの間で生成されて、第1および第2のピクセル間で対応するピクセルを生成するが、これら他の拡張ビームは明瞭にするため省略される。
【0080】
単一の拡張ビーム78については、視空間30内のどの断面も拡張ビームの強度プロファイルを有する。例えば、断面180および182では、同じ均一でない強度プロファイルは各拡張ビーム78aおよび78b内に存在する。
【0081】
視空間30の断面34では、拡張ビーム78aおよび78bは、すべての点で重なり合うので、断面34に沿った各点において、拡張ビーム強度プロファイルは各ピクセルに対して同じレベルを有する。例えば、位置184または186では、強度プロファイルレベルは各拡張ビーム78に対してそれぞれ同じであり、したがって像の各ピクセルに対して同じである。
【0082】
しかし、断面34外の位置では、拡張ビーム78aおよび78bはすべての点では重なり合わず、したがって強度プロファイルレベルはピクセルごとに変わってもよい。例えば、位置188(図10B)では、さらに後述するように強度プロファイルレベルはピクセルごとに変わる。
【0083】
したがって、操作者の瞳孔(図10Aおよび10Bには図示なし)が断面34と一列に並ぶと、操作者が目を移動させなければ、典型的には均一な像強度を知覚するが、断面34のある位置から断面34の別の位置に目を移動させた場合、およびその間、均一でない強度を知覚することがある。例えば、瞳孔が位置184にあると仮定する。位置184では、拡張ビーム強度プロファイルのレベルが各ピクセルに対して同じであるので、位置184から目を移動させない限り、操作者は像に対して均一な強度プロファイルを知覚する。すなわち、像の異なる位置での絶対強度は像のコンテンツと共に変化することがあるが、操作者は、像の1つの領域が別の領域よりも高い平均輝度を有する「バンディング」を知覚しない。しかし、操作者が位置184から位置186に目を移動させると、目が位置184と186の間の均一でない拡張ビーム強度プロファイルの部分を有効に横断している間に、像輝度が変わることに気づくことがある。
【0084】
しかし、操作者の目(図10Aおよび10Bには図示なし)が、断面34外にある場合、目を移動させなくても、像が均一でない強度プロファイルを有することを知覚することがある。例えば、瞳孔が位置188にあると仮定する。位置188では、拡張ビーム78aおよび78bがすべての点では重なり合わないので、拡張ビーム強度プロファイルのレベルは各ピクセルに対して異なる。拡張ビーム78aによって運ばれたピクセルについては、操作者は、拡張ビーム強度プロファイル上の点190で強度プロファイルの端部を知覚し、また、ビーム78bによって運ばれたピクセルについては、操作者は拡張ビーム強度プロファイル上の点192で強度プロファイルのレベルを知覚する。すなわち、スキャナ46(図3)がビーム60(図3)を掃引すると、拡張ビーム78は、ビーム78aの位置からビーム78bの位置へ有効に「枢動」する。この「枢動」の間、点190および192の間の拡張ビーム強度プロファイルの部分は、位置188を越えて、および、したがって操作者の目を越えて有効に移動する。したがって、目を移動させることさえなく、操作者は、点190および192の間の拡張ビーム強度プロファイルの部分と等しい強度プロファイルを有するものとして像を知覚する。拡張ビーム強度プロファイルのこの部分は均一ではないので、操作者は、目を移動させなくても、非均一性の大きさによって強度の「バンディング」を知覚することがあり、また、任意の方向に目を移動させると、「バンディング」パターンがずれることを知覚することがある。当然ながら、操作者が、視空間30の断面34の位置と一列に並ぶように目を移動させれば、この「バンディング」パターンは消滅することがある。
【0085】
図11A〜12Bは、ヘッドアップ表示装置40がどのようにして、本発明の一実施形態にしたがって、図10Aおよび10Bと関連して上述したアーティファクトの重大性を低減させるか、またはすべて除去するかを示す。具体的には、表示装置40は、図4〜8と関連して上述したような均一な強度プロファイルを有する拡張ビーム78を生成する。
【0086】
図9Aは、上述したような均一な強度プロファイルを有する拡張ビームエンベロープ78を示し、図11Aは、ビームレット32もそれぞれ均一な強度プロファイルを有することを示す。
【0087】
図11Bは、図9Aおよび11Bのビームエンベロープおよび組み合わされたビームレットの均一な強度に起因する、拡張ビーム78の均一な強度プロファイルを示す。具体的には、拡張ビーム強度プロファイルは、図9Aのビームエンベロープの強度プロファイルを図11Bの組み合わされたビームレットの強度プロファイルと組み合わせたものである。すなわち、均一なビームエンベロープおよび組み合わされたビームレットの強度プロファイルのたたみこみは、均一な拡張ビーム強度プロファイルを生じさせる。
【0088】
図12は、視空間30内の異なる視点について、本発明の一実施形態による図11Bの均一な拡張ビーム強度プロファイルに対して操作者(ここでは図12に示される)が知覚した強度パターンを示す。
【0089】
より具体的には、図12は、虚像の頂部で第1のピクセルを生成する第1の拡張ビーム78cを示し、また、像の底部で第2のピクセルを生成する第2の拡張ビーム78dを示す。
【0090】
単一の拡張ビーム78に対して、視空間30内の任意の断面は、図11Bの拡張ビーム強度プロファイルを有する。例えば、断面200および202では、同じ均一な拡張ビーム強度プロファイルが各拡張ビーム78cおよび78d内に存在する。
【0091】
視空間30の断面34では、拡張ビーム78cおよび78dは、すべての点で重なり合うので、断面34に沿ったどの点でも拡張ビーム強度プロファイルは各ピクセルに対して同じである。したがって、断面34のある位置から断面34の別の位置に目を移動させても、操作者(図12には図示なし)は、像輝度の変化をほとんどまたはまったく感知しない。
【0092】
さらに、断面34外の位置では、拡張ビーム78cおよび78dがすべての点では重なり合わなくても、拡張ビーム強度プロファイルのレベルは、操作者が知覚した像内の各ピクセルに対して同じである。例えば、位置204では、点206および208(図12の同じ点)の間の強度プロファイルの部分が平坦なので、強度プロファイルレベルはピクセルごとに変わらない。すなわち、拡張ビーム78がビーム78cの位置からビーム78dの位置へ枢動しても、拡張ビーム強度プロファイルのレベルは点204では変わらない。したがって、目が断面34外にある場合、操作者は像中の「バンディング」を知覚しない。
【0093】
したがって、操作者は、視空間30内における瞳孔の位置に関わらず、また目を移動させているか否かに関わらず、実質的に均一な像強度を知覚する。すなわち、拡張ビーム強度プロファイル(図11B)は実質的に平坦なので、操作者は、像が視空間30内のどの位置でも実質的に同じ均一な強度プロファイルを有することを知覚する。
【0094】
図11A〜12を参照して、本発明の代替の実施形態が考慮される。例えば、ビームエンベロープ79およびビームレット32に対して均一な強度プロファイルを生成することによって、均一な拡張ビーム強度プロファイル(図11B)を生成する代わりに、ヘッドアップ表示装置40(図3)は、均一でない強度プロファイルを有するビームエンベロープ79およびビームレット32を生成してもよいので、これらの均一でないの強度プロファイルのたたみこみは、図11Bに示されるような均一な拡張ビーム強度プロファイルを生じさせる。
【0095】
図13は、本発明の別の実施形態によるDMLA射出瞳拡大器52(図3)に属するMLA210の平面図であり、代替DMLAは、MLA210に類似しているが明瞭さのため図13から省略される、第2のMLAを含むものと理解される。MLA210は、MLAの背面で小型レンズ212が互いに完全に隣接しておらず、したがってMLA210が隣接する小型レンズ212との間に空間214を有する点で、図8のMLA160と異なる。空間214は、多くの場合、完全に接触する小型レンズ212を形成しない、または形成することができない、従来の製造工程によるものである。しかし、不透明なコーティングで空間214を処理することによって、空間は、代替DMLAの動作にほとんど、またはまったく悪影響を有さない。したがって、MLA210および同様の第2のMLAを有するDMLAを含む場合、ヘッドアップ表示装置40(図3)は、図3〜12と関連して上述したように、実質的に同じ特性(例えば、均一な拡張ビーム強度プロファイル、六角形の開口)を有する視空間30(図2)を生成することができる、関連する実施形態では、MLAおよびDMLA拡大器52の入力側などのMLAのうち1つのみの上の空間214は、不透明なコーティングで処理される。
【0096】
図14は、本発明の別の実施形態によるDMLA射出瞳拡大器52の側面図である。図14のDMLAは、小型レンズ224および226をそれぞれ含む湾曲したMLA220および222を含むという点で、図7〜8のDMLAと異なる。小型レンズ224および226の対応する対は、走査ビーム60(図3)が、これらの小型レンズの対それぞれの両方の中心軸と同時に一致する、半径方向経路228に追随するように、一列に並ぶ。したがって、湾曲したDMLAにより、走査ビーム調整アセンブリ48(図3)からテレセントリックレンズ50を省略できるようになる。MLA220および222は、それぞれ半径方向寸法に同じ焦点距離fを有しており、fによって半径方向に離間したそれぞれの焦点のカーブ230および232を有する。さらに、小型レンズ224および226は、図8および13のハニカムパターンに配置され、MLA220および222は、図13と関連して上述したような小型レンズの間に、不透明にコーティングした空間を含んでいてもよい。したがって、図14のDMLAを含んでいる場合、ヘッドアップ表示装置40(図3)は、図3〜12に関連して上述したように、実質的に同じ特性(例えば、均一な拡張ビーム強度プロファイル、六角形の開口)を有する視空間30(図2)を生成することができる。
【0097】
図15は、本発明の別の実施形態によるスラブDMLA射出瞳拡大器52の等角図である。このDMLAは、それぞれ同じピッチを有する半円筒状レンズのスラブの対244と246、および248と250からそれぞれ形成された、2つのMLA240および242を含む。スラブ244はスラブ246に直角であり、スラブ248はスラブ250に直角である。MLA240および242は、それぞれ同じ焦点距離fを有し、fによって離間した焦点面252および254をそれぞれ有する。MLA240および242それぞれから結果として得られる小型レンズは、六角形パターンではなく正方形パターンで有効に配置されるので、結果として得られる小型レンズがビームエンベロープ79(図3)に四角形状を有するようにさせる。したがって、フィルファクタを改善するために、ビーム発生器44(図3)を修正して、出力ビーム60、および、したがってビームレット32(図2)に正方形開口を付与することができる。
【0098】
やはり図15を参照して、スラブDMLA射出瞳拡大器52の他の実施形態が考慮される。例えば、結果として得られる小型レンズが矩形形状を持つように、MLA240および242それぞれの1つのスラブは他のスラブとは異なるピッチを有することができる。そのような実施形態のためのフィルファクタを改善するために、ビーム発生器44(図3)を修正して、出力ビーム60、および、したがってビームレット32(図2)に長方形開口を付与することができる。さらに、互いに面する水平に並んだスラブ246および248を備えて示されるが、2つの垂直に並んだスラブ244および250、または水平に並んだスラブと向かい合う1つの垂直に並んだスラブを備えたスラブDMLA拡大器52を収縮することができる。さらに、スラブの背面においてレンズ間に空間がある場合、図13と関連して上述したような不透明なコーティングでそれらを処理することができる。
【0099】
図16は、本発明の別の実施形態によるDMLA射出瞳拡大器52の等角図である。このDMLA拡大器52は、2つの小型レンズ配列256および258を含む。配列256は、同じピッチを有し、ガラスまたはプラスチックなどの光学材料の2つのスラブ262および264の間に取り付けられた円筒形レンズ260を含む。例えば、円筒形レンズ260は光ファイバーであってもよい。配列258は配列256と類似しており、同じピッチを有し、レンズ265がレンズ260に直交するように、ガラスまたはプラスチックなどの光学材料の2つのスラブ266および267の間に取り付けられた円筒形レンズ265を含む。結果として得られる小型レンズは、正方形パターンで配列され、拡張ビームエンベロープ79(図3)に四角形状を持たせる。したがって、ビーム発生器44(図3)を修正して、出力ビーム60、および、したがってビームレット32(図2)に正方形開口を付与することができる。さらに、レンズ260および265の間の空間を覆うために、図13と関連して上述したような不透明なコーティングで、スラブ262、264、266、および267の対応する領域を処理することができる。
【0100】
図17は、本発明の別の実施形態による反射DMLA射出瞳拡大器52の側面図である。図7〜8のDMLA拡大器52のように、反射DMLA拡大器はMLA160を含む。しかし、反射DMLA拡大器52は、MLA162の代わりにリフレクタ270を含む点で、図7〜8のDMLA拡大器と異なる。リフレクタ270は、MLA160の焦点面168からf/2に位置する平面の反射表面272を含む。したがって、拡張ビーム78は、MLA160の前面274(すなわち、走査ビーム60が伝搬するのと同じ側)から、視空間30(図2)に伝搬する。したがって、図17の反射DMLA拡大器52を組み込む場合、ヘッドアップ表示装置40(図3)は、図3〜12と関連して上述したのと実質的に同じ特性(例えば、均一な拡張ビーム強度プロファイル、六角形の開口)を有する視空間30(図2)を生成することができる。さらに、反射DMLA拡大器52は、2つのMLAを一列に並べる必要がないので、図7〜8のDMLA拡大器52よりも製造が容易な場合がある。
【0101】
図18は、本発明の別の実施形態による多重ピッチDMLA射出瞳拡大器52の側面図である。図7〜8のDMLA拡大器52と同様、多重ピッチDMLA拡大器は、小型レンズのピッチDを有するMLA160を含む。しかし、多重ピッチDMLA拡大器52は、異なる小型レンズのピッチD’>Dを有する第2のMLA280を含む点で、図7〜8のDMLA拡大器と異なり、これにより、走査ビーム調整アセンブリ48(図3)からテレセントリックレンズ50を省略することが可能になる。MLA280は、焦点距離f、MLA160の焦点面168から距離fのところに配置される焦点面282、および図8に示されるようなMLA160のパターンに類似したハニカムパターンで配列された小型レンズ284を有する。したがって、多重ピッチDMLA拡大器52を組み込む場合、ヘッドアップ表示装置40(図3)は、図3〜12と関連して上述したのと実質的に同じ特性(例えば、均一な拡張ビーム強度プロファイル、六角形の開口)を有するし空間30(図2)を生成することができる。多重ピッチDMLA拡大器52の代替の実施形態では、D’はD未満である。
【0102】
図19は、本発明の別の実施形態による単一マイクロレンズアレイ(SMLA)射出瞳拡大器52の等角図である。その名前が意味するように、SMLA拡大器52は単一のMLA290を含む。MLA160(図7および8)の小型レンズ164と同様、MLA290の小型レンズ292は、図8についてハニカムパターンで配列される。しかし、図7〜8のMLA160と異なり、MLA290は、異なる特性、例えば高さ、曲率半径、ピッチ、および屈折率を有する小型レンズ292を含む。さらに、異なる小型レンズ290の配置は、一群の小型レンズが同じ特性を共有してもよいように、偽似ランダムであるか、または規則正しいものであってよい。SMLA拡大器52は、図7〜8のDMLA拡大器52よりも製造するのが容易かつ安価であってもよいが、図7〜8のDMLA拡大器52がパラメータを生成できるので、SMLAは、視空間30のこれらのパラメータ(例えば、拡張ビーム強度プロファイル)を所望のレベルに近づけて生成することができなくてもよい。
【0103】
図7〜8および13〜19を再び参照して、射出瞳拡大器52(図3)の追加の実施形態が考慮される。例えば、図7〜8および13〜19のいずれかに示される選択された特徴を組み合わせることによって、射出瞳拡大器52を設計してもよい。1つのそのような実施例では、図17に示されるのと類似したやり方で、湾曲したMLA222を湾曲したリフレクタと交換することによって、図14の湾曲したDMLA拡大器52を修正することができる。さらに、回折格子などの、規則正しいまたは不規則に配列されたディフューザを、射出瞳拡大器52に使用することができる。適切な回折格子の一例は、2002年7月26日出願の米国特許出願10/205,858、2004年7月12日出願の米国特許出願10/889,963、2004年7月12日出願の米国特許出願10/890,501、および2004年7月27日発行の米国特許第6,768,588号において説明されており、これらを参照として組み込んでいる。
【0104】
図20は、本発明の一実施形態による拡張ビームの投影アセンブリ54(図3)の部分およびダッシュボードシールド300の等角図である。非球面のミラー58に加えて、アセンブリ54は、ミラー302、ミラー304および円筒形のミラー306を含む。
【0105】
拡張ビーム投影アセンブリ54の図示された部分の動作は、本発明の一実施形態にしたがって説明される。ミラー302は、拡張ビーム78(ビームエンベロープ79(図3)内のビームレット32(図2)を含む)を、ミラー302上に向け、これが拡張ビーム78をミラー306上に向ける。ミラー58と離れるように湾曲したミラー306は、さらに拡張ビーム78を拡張し、拡張ビームを非球面のミラー58上に向け、これが拡張ビームを、シールド300を通して風防42(図3)上に向ける。
【0106】
図3と関連して上述したように、操作者(図20には図示なし)は、ミラー58またはヘッドアップ表示装置アセンブリ全体を軸308の周りで回転して、視空間30を垂直(y)方向に動かすことによって、自身の特定の高さに対して視空間30(図2)の位置を調節してもよい。あるいは、自動システム(図20には図示なし)が、ミラー58またはヘッドアップ表示装置アセンブリ全体をそのように回転することによって、視空間30の垂直位置を調節することができる。さらに、図3と関連して上述したように、ミラー58の曲率は、操作者が視空間内で目を動かしたときに拡張ビーム78および表示された像が著しく伸長、歪曲、または位置を変更しないように、風防42の曲率を光学的に補償するように設計される。
【0107】
やはり図20を参照して、グレアを低減するために任意に形成されてもよいシールド300は、車両のダッシュボード(図20には図示なし)内またはヘッドアップ表示装置パッケージの頂部に形成された開口内に取り付けられて、ミラー58およびヘッドアップ表示装置40(図3)の他の構成要素を保護し、さらに拡張ビーム78(図3)がミラー58から風防42(図3)まで伝搬することを可能にする。シールドはまた、ヘッドアップ表示装置から離れて操作者の目に反射するかも知れない、太陽または他の照明源からのグレアを最小限に抑えるのに使用されてもよい。シールド300の露出した(頂部)および露出しない(底部)表面310および312は、反射防止膜で処理され、露光面はテフロン(登録商標)などの指紋防止膜でも処理される。さらに、シールド300は、ガラスまたはプラスチックなどの任意の透明材料から作られてもよい。
【0108】
拡張ビーム投影アセンブリ54の代替の実施形態が考慮される。例えば、アセンブリ54は、図20に示されたのよりも多いまたは少ないミラーを含んでもよく、また、レンズ56(図3)に加えてまたはその代わりに、屈折型、反射屈折型、および/または回折型の光学エレメントを含んでもよい。
【0109】
図21および22は、本発明の一実施形態にしたがって、風防42または他の要因によって引き起こされた像の歪曲を補償するために、ヘッドアップ表示装置40(図3)をどのように電子的に校正することができるかを示す。校正は電子的に行われるので、非球面のミラー58(図3および20)などのヘッドアップ表示装置40の構成要素の修正または交換を必要とする校正技術よりも、複雑ではなく安価な場合が多い。
【0110】
図21は、本発明の一実施形態による、射出瞳拡大器52(図3)の利用可能な走査エリア320の重なり合い、ビーム60(図3)がエリア320上で走査する像322、および視空間30(図2)内に目がある操作者(図20には図示なし)が知覚するような歪曲された像324であり、エリア320、および、像322および324は、縮尺どおりに描画されていない場合がある。像322は長方形で、幅pを有し、射出瞳拡大器52の走査エリア320内で中央に置かれる。
【0111】
歪曲がなければ、知覚された像324は、典型的には走査された像322と同じ形状、配向、および相対位置を有する。拡張ビーム78およびビームレット32(図2)の開口は、走査された像322の形状に影響しないことに留意されたい。したがって、ヘッドアップ表示装置40は、六角形の開口を有する拡張ビームおよびビームレット、および、矩形形状を有する像322を同時に生成することができる。しかし、知覚された像324の形状は、後述するように、拡張ビーム78およびビームレット32の開口に対する歪曲に影響される。
【0112】
しかしながら、この実施例では、歪曲は、形状(幅pの先細りβによって生じる、台形対長方形)、配向(走査された像に対してα=45°反時計方向に回転)、および相対位置(知覚された像の中心が、走査された像の中心からの相対距離qだけ左にずれる)において、知覚された像324を走査された像322とは異ならせる。より具体的には、この歪曲は、望ましくない先細りβを拡張ビーム78の開口にもたらし(歪曲のこの成分は「台形像効果」と呼ばれることが多い)、拡張ビームの開口をその所望の配向から45°反統計方向に回転し、拡張ビームの開口を相対距離qだけ所望の位置から左にずらす。このような歪曲は、風防42(図3)と非球面のミラー58(図3および20)との間の光学的な不適合によって引き起こされることが多いが、この歪曲は他の原因を有することがある。典型的には、風防42(図3)を組み込む車両(図21には図示なし)が最初に組み立てられるとき、または風防が交換されるときに、そのような歪曲が存在する場合がある。
【0113】
やはり図21を参照して、知覚された像324中の歪曲が、風防42(図3)と非球面のミラー58(図3および20)との光学的な不適合によって引き起こされる場合、従来の解決策は、風防または非球面のミラーのいずれかを交換するか、あるいはミラーの曲率を修正して風防とのより良好な光学的な適合を得ることである。しかし、この解決策は、構成要素を交換または修正し、また風防42およびミラー58の少なくとも1つの曲率を計算することを必要とするので、比較的時間がかかり、かつ高価な場合が多い。
【0114】
しかし、後述するように、本発明の一実施形態にしたがって、ヘッドアップ表示装置40(図3)を電子的に校正または再校正して、そのような歪曲を補償することができる。したがって、構成要素を交換または修正せず、そうでなければ表示装置40の物理構造を変更せずに、歪曲を低減または除去することができる。
【0115】
図22は、本発明の一実施形態による、射出瞳拡大器52(図3)の利用可能な走査エリア320の重なり合い、ビーム60(図3)がエリア320上に走査し、かつ歪曲を打ち消すように動作可能な像330、および、視空間30(図2)内に目がある操作者(図22には示されていない)が、実質的に歪曲がないものとして知覚する、歪曲を補償した像332であり、エリア320、および、像330および332は、縮尺どおりに描画されていない場合がある。さらに後述するように、歪曲を打ち消す像330の形状、配向、および先細りは、図21の歪曲された像324の形状、配向、および先細りそれぞれの反対である。
【0116】
図21および22を参照して、本発明の一実施形態によって、射出瞳拡大器52(図3)上に歪曲を打ち消す像330を走査するように表示装置をプログラムすることにより、ヘッドアップ表示装置40(図3)を校正して歪曲された像324を修正することができる。より具体的には、表示装置40のビーム発生器44(図3)をプログラムして、元の像を距離qだけ右に(すなわち距離−qだけ左に)ずらし、ずらした元の像を角度−αだけ回転し、ずらして回転した元の画像の側部を角度−βだけ先細りにして、元の走査された像322から歪曲を打ち消す像332を有効に生成する。プログラムされた像エレクトロニクス62(図3)は、適切なやり方でビーム源64、66、および68(図3)を変調することによって、このシフティング、回転、および先細りを行う。このシフティング、回転移動、および先細りを可能にするために、射出瞳拡大器52のエリア320は、元の像322の面積よりも、例えば15%大きい。
【0117】
したがって、元の走査された像322を歪曲された像324に転換したのと同じ歪曲が、今度は歪曲を打ち消す像330を、歪曲していないと操作者が知覚する、すなわち元の走査された像322と同じ相対位置、配向、および形状を有するものと操作者が知覚する、歪曲が補正された像332に転換する。
【0118】
物理的な修正の代わりにプログラムすることによってヘッドアップ表示装置40を校正することができるので、従来の校正を行うことができるのよりも、迅速かつ安価にそのような校正を行うことができる。さらに、試験校正機(図21および22には図示なし)をプログラムして、歪曲した像324を捕捉し、捕捉した像から歪曲を打ち消す像330のパラメータ(例えば、形状、配向、相対位置)を計算し、また、スキャナ44が歪曲を打ち消す像を射出瞳拡大器52の利用可能なエリア320上に走査するように、出力ビーム60を修正するためにビーム発生器44をプログラムすることにより、校正を自動化することができる(ビーム発生器、出力ビーム、および射出瞳拡大器は図3に示される)。
【0119】
やはり図21および22を参照して、上述の歪曲校正技術の他の実施形態が考慮される。例えば、ビーム発生器44(図3)をプログラムして、シフト、回転、および先細り歪曲以外の歪曲を修正することができる。例えば、先細りしていない歪曲を修正して像の形状にするように、発生器44をプログラムすることができる。さらに、出力ビーム60の強度を修正して拡張ビーム78の強度プロファイルにおける歪曲を修正するように、ビーム発生器44をプログラムすることができる。
【0120】
上述のことから、本発明の特定の実施形態を説明目的のために本明細書に記載してきたが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく様々な変更がなされてもよいことが理解されるだろう。例えば、図3、21、および22を参照して、ヘッドアップ表示装置40は、タイリング技術を使用して射出瞳拡大器52上に像を走査してもよい。すなわち、表示装置40は、スキャナ46が多数のビームを掃引するように、多数のビーム60を生成することができ、各ビームは射出瞳拡大器57上の像の異なる部分を走査する。タイリングは、2001年5月15日出願の米国特許出願09/858,287,2001年5月15日出願の米国特許出願09/858,688、2004年6月29日発行の米国特許第6,755,536号、および2003年10月28日発行の米国特許第6,639,719号に説明されており、これらを参照として組み込んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】従来のヘッドアップ表示装置を含む車両内の操作者の一部を切断した側面図である。
【図2】本発明の一実施形態によるヘッドアップ表示装置の視空間(アイボックス)の等角図である。
【図3】本発明の一実施形態による図2の視空間に像を投影することができるヘッドアップ表示装置システムの図である。
【図4】本発明の一実施形態による図3の三色のビーム発生器の図である。
【図5】本発明の一実施形態による図4のビーム発生器によって生成された走査ビームのトップハット(均一な)強度プロファイルのプロットに重ねられた図4のビーム発生器内のビームのガウス強度プロファイルのプロットである。
【図6】本発明の別の実施形態による図3の三色のビーム発生器の図である。
【図7】本発明の一実施形態による図3の射出瞳拡大器の側面図である。
【図8】本発明の一実施形態による図7の六角形に配置されたマイクロレンズアレイの平面図である。
【図9A】本発明の一実施形態による図7の射出瞳拡大器によって生成されたビームエンベロープ強度プロファイルの二次元のプロットである。
【図9B】本発明の一実施形態によるガウス強度プロファイルを有する走査ビームのための、図3のヘッドアップ表示装置40によって生成されたビームレット強度プロファイルの二次元のプロットである。
【図9C】本発明の一実施形態による図9Aのビームエンベロープ強度プロファイルおよび図9Bのビームレットt強度プロファイルの組合せから得られるビーム強度プロファイルの二次元のプロットである。
【図10A】本発明の一実施形態による、図9Cの結果として得られるビーム強度プロファイルによって生じる図2の視空間内における強度の非均一性を示す。
【図10B】本発明の一実施形態による、図9Cの結果として得られるビーム強度プロファイルによって生じる図2の視空間内における強度の非均一性を示す。
【図11A】本発明の一実施形態によるトップハット強度プロファイルを有する走査ビームのための、図3のヘッドアップ表示装置40によって生成されたビームレット強度プロファイルの二次元のプロットである。
【図11B】本発明の一実施形態による図9Aのビームエンベロープ強度エンベロープおよび図11Bのビームレット強度プロファイルの組合せから得られる均一なビーム強度プロファイルの二次元のプロットである。
【図12】本発明の一実施形態による図11Bの均一なビーム強度プロファイルによって引き起こされる図2の視空間内の単純化されたまたは理想的な強度の均一性を示す。
【図13】本発明の別の実施形態による図7のマイクロレンズアレイの1つの平面図である。
【図14】本発明の別の実施形態による図3の射出瞳拡大器の側面図である。
【図15】本発明の別の実施形態による図3の射出瞳拡大器の等角図である。
【図16】本発明の別の実施形態による図3の射出瞳拡大器の等角図である。
【図17】本発明の別の実施形態による図3の射出瞳拡大器の側面図である。
【図18】本発明の別の実施形態による図3の射出瞳拡大器の側面図である。
【図19】本発明の別の実施形態による図3の射出瞳拡大器の表面トポグラフィの等角図である。
【図20】本発明の実施形態による図3の投影アセンブリの一部分の等角図である。
【図21】表示装置が風防に対して校正されていないときの図3のヘッドアップ表示装置によって生成された歪曲された虚像の図である。
【図22】本発明の一実施形態による、表示装置が風防に対して校正された後の図3のヘッドアップ表示装置によって生成された歪曲していない虚像の図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一次元で電磁エネルギーのビームを掃引することによって像を生成するように動作可能なスキャナアセンブリと、
視野次元に対して実質的に垂直な領域を有する断面において実質的に均一な強度プロファイルを有する所定の視空間に前記像を向けるように動作可能な投影アセンブリと、
を有するヘッドアップ表示装置。
【請求項2】
約8ミリメートル以下の第1の測定開口を横切る前記断面におけるプロファイルの最も明るい領域が、約8ミリメートル以下の第2の測定開口を横切る断面におけるプロファイルの最も暗い領域と、約±11%以下だけ異なる、請求項1記載のヘッドアップ表示装置。
【請求項3】
前記第1および第2の測定開口がそれぞれ約1ミリメートル以下である、請求項2記載のヘッドアップ表示装置。
【請求項4】
前記投影アセンブリが射出瞳拡大器を有し、
前記スキャナが前記射出瞳拡大器上に二次元で前記ビームを掃引することによって前記像を生成するように動作可能である、
請求項1のヘッドアップ表示装置。
【請求項5】
前記視空間の前記断面の平坦な突出部が六角形の形状を有する、請求項1記載のヘッドアップ表示装置。
【請求項6】
前記視空間の前記断面の平坦な突出部が細長い六角形の形状を有する、請求項1記載のヘッドアップ表示装置。
【請求項7】
前記視空間の前記断面が平坦な断面である、請求項1記載のヘッドアップ表示装置。
【請求項8】
前記視空間の前記断面の平坦な突出部が少なくとも100ミリメートルの一次元を有する、請求項1記載のヘッドアップ表示装置。
【請求項9】
前記投影アセンブリが前記視空間内のビームレットを生成するようにさらに動作可能であり、
前記視空間の少なくとも一部分の測定開口上の強度プロファイルにおける差が約±2%以下であり、前記測定開口は約8ミリメートル以下である、
請求項1記載のヘッドアップ表示装置。
【請求項10】
前記測定開口が約1ミリメートル以下である、請求項9記載のヘッドアップ表示装置。
【請求項11】
少なくとも一次元で光線を掃引して像を生成すること、
視野次元に実質的に垂直な領域を有する断面において実質的に均一な強度エンベロープを有する所定の視空間に前記像を向けること、
を有する方法。
【請求項12】
前記像を向けることが前記視空間内に複数のビームレットを生成することを有する、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記断面の平坦な突出部が所定の形状を有し、
前記像を向けることが、前記視空間内に実質的に所定の形状の平坦な断面をそれぞれ有する複数のビームレットを生成することを有する、
請求項11記載の方法。
【請求項14】
出力ビームが伝搬する方向に垂直な平坦な断面において実質的に均一強度プロファイルを有する電磁エネルギーの出力ビームを生成するように動作可能なビーム発生器と、
少なくとも一次元で前記出力ビームを掃引することによって像を生成するように動作可能なビームスキャナと、
を有する走査ビーム表示装置。
【請求項15】
前記ビーム発生器が、
入力ビームが伝搬する方向に垂直な平坦な断面において均一でない強度プロファイルを有する入力ビームを生成するように動作可能なビーム源と、
前記入力ビームを出力ビームに変換するように動作可能なビームコンディショナとを有する、
請求項14記載の走査ビーム表示装置。
【請求項16】
前記ビーム発生器が、
入力ビームが伝搬する方向に垂直な平坦な断面において均一でない強度プロファイルを有する入力ビームを生成するように動作可能なビーム源と、
前記入力ビームを出力ビームに変換するように動作可能なトップハットコンバータとを有する、
請求項14記載の走査ビーム表示装置。
【請求項17】
前記ビーム発生器が、
入力ビームが伝搬する方向に垂直な平坦な断面において均一でない強度プロファイルを有する入力ビームを生成するように動作可能なビーム源と、
前記入力ビームの外側部分を遮断し、かつ前記入力ビームの通過した内側部分から出力ビームを生成するように動作可能なクリッピング開口とを有する、
請求項14記載の走査ビーム表示装置。
【請求項18】
前記ビーム発生器が、
入力ビームが伝搬する方向に垂直な平坦な断面において実質的にガウス形の強度プロファイルを有する入力ビームを生成するように動作可能なビーム源と、
前記実質的にガウス形の強度プロファイルを実質的に均一な強度プロファイルに変換することによって前記入力ビームを前記出力ビームに変換するように動作可能なビームコンディショナとを有する、
請求項14記載の走査ビーム表示装置。
【請求項19】
前記断面における前記出力ビームの最も明るい領域が、前記断面における前記出力ビームの最も暗い領域と±10%以下だけ異なる、請求項14記載の走査ビーム表示装置。
【請求項20】
前記出力ビームが可視光線を有する、請求項14記載の走査ビーム表示装置。
【請求項21】
出力ビームが伝搬する方向に垂直な平坦な断面において実質的に均一な強度プロファイルを有する電磁エネルギーの出力ビームを生成すること、
少なくとも一次元で前記出力ビームを掃引して像を生成すること、
を有する方法。
【請求項22】
前記出力ビームを生成することが、
入力ビームが伝搬する方向に垂直な平坦な断面において均一でない強度プロファイルを有する入力ビームを生成すること、
前記入力ビームをトップハットコンバータに通して前記出力ビームを生成することを有する、
請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記出力ビームを生成することが、
入力ビームが伝搬する方向に垂直な平坦な断面において実質的にガウス形の強度プロファイルを有する入力ビームを生成すること、
前記入力ビームの外側部分を切り取ること、
前記入力ビームの切り取られていない内側部分から前記出力ビームを生成することを有する、
請求項21記載の方法。
【請求項24】
電磁エネルギーのビームを生成するように動作可能なビーム発生器と、
少なくとも一次元で前記ビームを掃引することによって像を生成するように動作可能な微小電子機械スキャナと、
を有するヘッドアップ表示装置。
【請求項25】
前記スキャナが第1の次元で前記ビームを共振的に掃引することによって、および前記第1の次元に実質的に垂直な第2の次元で前記ビームを直線的に掃引することによって、像を生成するように動作可能な、請求項24記載のヘッドアップ表示装置。
【請求項26】
電磁エネルギーのビームを生成するように動作可能なビーム発生器と、
少なくとも一次元で前記ビームを共振的に掃引することによって像を生成するように動作可能なスキャナと、
を有するヘッドアップ表示装置。
【請求項27】
電磁エネルギーのビームを生成すること、
一次元で前記ビームを共振的に掃引して車両の風防から反射される虚像を生成すること、
を有する方法。
【請求項28】
共振的に前記ビームを掃引することが、次元の両方の方向に前記ビームを共振的に掃引しながら前記像を生成することを有する、請求項27記載の方法。
【請求項29】
少なくとも一次元で電磁エネルギーのビームを掃引することによって像を生成するのに動作可能なスキャナと、
所定の視空間内に前記像を向けるように動作可能な第1のマイクロレンズアレイを含む投影アセンブリと、
を有するヘッドアップ表示装置。
【請求項30】
前記第1のマイクロレンズアレイは、位相が変わるマイクロレンズアレイを有する、請求項29記載のヘッドアップ表示装置。
【請求項31】
前記第1のマイクロレンズアレイが小型レンズを有し、前記小型レンズの1つが小型レンズ特性に対する第1の値を有し、前記小型レンズの別のものが前記小型レンズ特性に対する第2の値を有する、請求項29記載のヘッドアップ表示装置。
【請求項32】
前記投影アセンブリが、前記第1のマイクロレンズアレイに隣接して配置された第2のマイクロレンズアレイを有し、前記第1および第2のマイクロレンズアレイが前記所定の視空間内に前記像を向けるように共に動作可能である、請求項29記載のヘッドアップ表示装置。
【請求項33】
前記第1のマイクロレンズアレイが焦点面および前記焦点面からの焦点距離を有し、
前記投影アセンブリが、焦点面および前記焦点面からの焦点距離を有する第2のマイクロレンズアレイをさらに含み、前記第2のマイクロレンズアレイの前記焦点面が、前記第1のマイクロレンズアレイの前記焦点面に実質的に平行かつそこから離れている、
請求項29記載のヘッドアップ表示装置。
【請求項34】
前記第1のマイクロレンズアレイが、パターンに配置された小型レンズを有し、前記視空間の前記断面の平坦な突出部に前記パターンを持たせるように動作可能な、請求項29記載のヘッドアップ表示装置。
【請求項35】
前記第1のマイクロレンズアレイが、細長い六角形のパターンに配置された小型レンズを有し、前記視空間の前記断面の平坦な突出部に前記細長い六角形のパターンを持たせるように動作可能な、請求項29記載のヘッドアップ表示装置。
【請求項36】
断面にプロファイルを有するビームを掃引すること、
前記ビームの前記プロファイルを実質的に空間sinc関数に変換すること、
像を生成する空間sinc関数上で空間フーリエ変換を行うこと、
車両の風防を備えた所定の視空間に前記像を向けること、
を有する方法。
【請求項37】
前記ビームの前記プロファイルを変換することが、二重マイクロレンズアレイを使用して前記ビームの前記プロファイルを実質的に空間sinc関数に変換することを有する、請求項36記載の方法。
【請求項38】
出力ビームが伝搬する方向に垂直な実質的に六角形の平坦な断面を有する電磁エネルギーの出力ビームを生成するように動作可能なビーム発生器と、
少なくとも一次元で前記出力ビームを掃引することによって像を生成するように動作可能なビームスキャナと、
を有する走査ビーム表示装置。
【請求項39】
前記ビーム発生器が、
入力ビームが伝搬する方向に垂直な非六角形の平坦な断面を有する入力ビームを生成するように動作可能なビーム源と、
前記入力ビームを前記出力ビームに変換するように動作可能なクリッピング開口とを有する、
請求項38記載の走査ビーム表示装置。
【請求項40】
前記ビーム発生器が、
入力ビームが伝搬する方向に垂直な実質的に円形の平坦な断面を有する入力ビームを生成するように動作可能なビーム源と、
前記実質的に円形の断面を前記実質的に六角形の断面に変換することによって前記入力ビームを前記出力ビームに変換するように動作可能なクリッピング開口とを有する、
請求項38記載の走査ビーム表示装置。
【請求項41】
前記出力ビームの前記断面が実質的に細長い六角形の形状を有する、請求項38記載の走査ビーム表示装置。
【請求項42】
出力ビームが伝搬する方向に垂直な実質的に六角形に成形された平坦な断面を有する電磁エネルギーの出力ビームを生成すること、
少なくとも一次元で前記出力ビームを掃引して像を生成すること、
を有する方法。
【請求項43】
ビームレットが伝搬する方向に垂直な実質的に六角形に成形された平坦な断面をそれぞれ有する、前記像のビームレットを形成すること、
前記ビームレットを所定の視空間に向けること、
をさらに有する請求項42記載の方法。
【請求項44】
少なくとも一次元で電磁エネルギーのビームを掃引することによって像を生成するように動作可能なスキャナと、
前記像を風防から離れてかつ断面を有する所定の視空間内に反射するように動作可能なミラーを有し、前記ミラーが、前記風防の所定の領域から前記像を離して反射するために、実質的に一定の寸法で前記断面の次元を維持するように動作可能な投影アセンブリと、
を有するヘッドアップ表示装置。
【請求項45】
前記ミラーが前記断面と実質的に平行な次元で前記視空間を移動させるように動作可能な、請求項44記載のヘッドアップ表示装置。
【請求項46】
前記ミラーが前記断面に実質的に垂直な次元で前記視空間を移動させるように動作可能な、請求項44記載のヘッドアップ表示装置。
【請求項47】
少なくとも一次元で電磁エネルギーのビームを掃引することによって像を生成するように動作可能なスキャナと、
前記像を風防から離れてかつ断面を有する所定の視空間内に反射するように動作可能なミラーを有し、前記ミラーが、前記断面に実質的に垂直な次元で前記視空間を移動させるように動作可能な投影アセンブリと、
を有するヘッドアップ表示装置。
【請求項48】
少なくとも一次元で電磁エネルギーのビームを掃引して像を生成すること、
前記像を風防から離れてかつ断面を有する所定の視空間内に反射して、前記風防の所定の領域から前記像を離して反射するために実質的に一定の寸法で前記断面の次元を維持すること、
を有する方法。
【請求項49】
少なくとも一次元で電磁エネルギーのビームを掃引することによって像を生成するように動作可能なスキャナと、
視野次元に実質的に垂直な領域を有する視空間の断面において前記像が実質的に均一な強度プロファイルを有するように、前記像を所定の前記視空間内に向けるように動作可能な投影アセンブリと、
を有するヘッドアップ表示装置。
【請求項50】
前記ビームが伝搬する方向に垂直な平坦な断面において実質的に均一な強度プロファイルを有する前記電磁エネルギーのビームを生成するように動作可能なビーム発生器をさらに有する、請求項49記載のヘッドアップ表示装置。
【請求項51】
前記ヘッドアップ表示装置は、前記ビームが伝搬する方向に垂直な平坦な断面において六角形の開口および実質的に均一な強度プロファイルを有する前記電磁エネルギーのビームを生成するように動作可能なビーム発生器をさらに有し、
前記視空間の前記断面が六角形の形状を有する、
請求項49記載のヘッドアップ表示装置。
【請求項52】
前記ヘッドアップ表示装置は、前記ビームが伝搬する方向に垂直な平坦な断面において六角形の開口および実質的に均一な強度プロファイルを有する前記電磁エネルギーのビームを生成するように動作可能なビーム発生器をさらに有し、
前記視空間の前記断面が六角形の形状を有し、
前記視空間が、前記視空間の前記平坦な断面と実質的に平行な平坦な断面において六角形の開口および実質的に均一な強度プロファイルをそれぞれ有するビームレットを有する、
請求項49記載のヘッドアップ表示装置。
【請求項53】
少なくとも一次元で電磁エネルギーのビームを掃引することによって像を生成すること、
視野次元に実質的に垂直な領域を有する視空間の断面において前記像が実質的に均一な強度プロファイルを有するように、前記像を所定の前記視空間内に向けること、
を有する方法。
【請求項54】
前記ビームが伝搬する方向に垂直な平坦な断面において実質的に均一な強度プロファイルを有する前記電磁エネルギーのビームを生成することをさらに有する、請求項53記載の方法。
【請求項55】
前記方法は、前記ビームが伝搬する方向に垂直な平坦な断面において六角形の開口および実質的に均一強度プロファイルを有する前記電磁エネルギーのビームの生成することをさらに有し、
前記視空間の前記断面が六角形の形状を有する、
請求項53記載の方法。
【請求項56】
前記方法は、ビームが伝搬する方向に垂直な平坦な断面において六角形の開口および実質的に均一な強度プロファイルを有する前記電磁エネルギーのビームを生成することをさらに有し、
前記視空間の前記断面が六角形の形状を有し、
前記視空間が、前記視空間の前記平坦な断面と実質的に平行な平坦な断面において六角形の開口および実質的に均一な強度プロファイルをそれぞれ有するビームレットを有する、
請求項53記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2007−523369(P2007−523369A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−552304(P2006−552304)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【国際出願番号】PCT/US2005/003730
【国際公開番号】WO2005/078511
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(505472816)マイクロビジョン,インク. (29)
【Fターム(参考)】