説明

走行監視システム、走行情報処理装置及び走行監視方法

【課題】電離層の影響や衛星電波不良または移動体の姿勢変化による計測誤差を受けずに高精度な走行情報を得ることを可能とする。
【解決手段】走行情報処理装置10のGPSエンジンは、移動体40の速度を示す移動体速度情報及び当該移動体が位置する高さを示す移動体高さ情報を取得する。走行情報処理装置10のセンサは、移動体40の姿勢を示す姿勢情報を検知する。走行情報処理装置10の走行情報格納部には、GPSエンジンによって取得された移動体速度情報及び移動体高さ情報とセンサによって検知された姿勢情報とが格納される。補正処理サーバ30の補正処理部は、走行情報格納部に格納された姿勢情報に基づいて、当該走行情報格納部に格納された移動体速度情報及び移動体高さ情報を補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の走行を監視する走行監視システム、走行情報処理装置及び走行監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば車、オートバイ、列車または人間等の移動体(移動物体)の走行(動作)を監視する走行監視システムが開発されている。この走行監視システムを構築する上では、例えば移動体の位置、速度または高さを示す情報を含む移動体の走行情報を正確に計測することが重要である。
【0003】
このような走行情報の計測方法としては、GPS(Global Positioning System)計測が一般的である。しかしながら、GPSからの情報のみで計測を行う場合には、例えば電離層の影響や衛星の老朽化に伴う電波不良または移動体の姿勢変化による計測誤差が生じてしまう。これにより、移動体の走行情報の精度が著しく低下するおそれがある。したがって、精度の高い走行情報を安定して計測できる手段が望まれる。
【0004】
これに対して、例えば車両用ナビゲーションシステムとして高い位置精度を得ることができる車両位置算出装置が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。この車両位置算出装置によれば、車両の位置を検出する加速度センサと車両の方位を検出する角速度センサを用いて車両の推定位置を算出し、GPSから得た位置情報と当該算出された推定位置をと比較して、予め定めた値以上の差が発生した場合には算出された位置情報を車両の位置として採用する。
【特許文献1】特開平4−366713号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した車両位置算出装置では、例えば車両の位置の修正しか行っていいない。また、例えば車両が走行する際の情報として重要である速度または高さ等のデータの修正については考慮されていない。また、修正された情報を外部に出力する手段を有していないため、例えば移動体の走行を監視するシステムへ利用することができない。
【0006】
本発明の目的は、電離層の影響や衛星電波不良または移動体の姿勢変化による計測誤差を受けずに高精度な走行情報を得ることができる走行監視システム、走行情報処理装置及び走行監視方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの態様によれば、移動体の速度を示す移動体速度情報及び当該移動体が位置する高さを示す移動体高さ情報を取得する移動体情報取得手段と、前記移動体の姿勢を示す姿勢情報を検知する姿勢情報検知手段と、前記取得手段によって取得された移動体速度情報及び移動体高さ情報と前記姿勢情報検知手段によって検知された姿勢情報とを格納する格納手段と、前記格納手段に格納されている姿勢情報に基づいて、前記格納手段に格納された移動体速度情報及び移動体高さ情報を補正する補正手段とを具備する走行監視システムが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電離層の影響や衛星電波不良または移動体の姿勢変化による計測誤差を受けずに高精度な走行情報を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る走行監視システムの概略を示す図である。この走行監視システムは、走行情報処理装置10、GPS基準局20及び補正処理サーバ30を含む。図1に示すように、例えば所定の走行区間内を走行する複数の移動体(移動物体)40には、走行情報処理装置10がそれぞれ備えられている。移動体40は、例えば車、オートバイ、列車または人間等を含む。この走行情報処理装置10は、GPS(Global Positioning System)衛星50からのGPS電波を受信可能である。GPS電波には、例えば走行情報処理装置10が備えられた移動体40の速度を示す移動体速度データ(移動体速度情報)、当該移動体40が位置する高さ(例えば平均海面からの高さ)を示す移動体高さデータ(移動体高さ情報)及び当該移動体40の位置を示す移動体位置データ(移動体位置情報)が含まれる。また、GPS電波には、上記した移動体40の速度、高さ及び位置を計測した時間を示す移動体時間データも含まれる。
【0011】
走行情報処理装置10は、例えば移動体40が走行する走行区間内に設けられた複数の無線基地局60の各々と無線通信が可能である。この無線基地局60は、例えばハブ70を介して補正処理サーバ30と通信可能である。
【0012】
GPS基準局20は、移動体40が走行する走行区間内の所定の位置に設けられている。GPS基準局20は、上記した走行情報処理装置10と同様に、GPS衛星50からのGPS電波を受信可能である。また、GPS基準局20は、例えばハブ70を介して補正処理サーバ30と通信可能である。なお、GPS基準局20は、図1に示すように複数設置することが可能であり、例えば衛星測位環境が異なる場所毎に設置してもよい。
【0013】
補正処理サーバ30は、上記した走行情報処理装置10及びGPS基準局20とは別に設けられている。補正処理サーバ30は、例えば無線基地局60(走行情報処理装置10)によって送信された各種データを補正する処理を実行する。また、補正処理サーバ30によって補正された各種データは、例えば補正処理サーバ30の外部に設けられた表示装置80に表示される。例えば走行監視システムの管理者(ユーザ)は、この表示装置80に表示された各種データを確認することにより、移動体40を監視する。
【0014】
図2は、図1に示す走行情報処理装置10の構成を示すブロック図である。走行情報処理装置10は、GPS電波受信アンテナ11、GPSエンジン12、センサ13、データ処理部14、走行情報格納部15及び送信部16を含む。
【0015】
GPS電波受信アンテナ11は、GPS衛星50からのGPS電波を受信する。このGPS電波には、上記したように走行情報処理装置10が備えられた移動体40(以下、単に移動体40と表記)の移動体速度データ、移動体高さデータ、移動体位置データ及び移動体時間データが含まれる。
【0016】
GPSエンジン12は、GPS電波受信アンテナ11によって受信されたGPS電波を解析することにより、当該GPS電波に含まれる移動体速度データ、移動体高さデータ、移動体位置データ及び移動体時間データを取得する。ここで、移動体速度データ、移動体高さデータ、移動体位置データ及び移動体時間データをまとめて移動体GPSデータ(移動体GPS情報)と称する。
【0017】
なお、移動体GPSデータは、通常、上記したGPS電波受信アンテナ11の移動に応じて、当該GPS電波受信アンテナ11の速度、高さ及び位置を示すが、便宜的に当該GPS電波受信アンテナ11が備えられている移動体40の速度、高さ及び位置を示すものとする。
【0018】
センサ13(検知手段)は、例えばGPS電波受信アンテナ11がGPS電波を受信する際に、移動体40の姿勢を示す姿勢情報を検知する。センサ13は、GPS電波受信アンテナ11に近接されて設置されている。センサ13は、加速度センサ131及び傾斜センサ132を含む。加速度センサ131は、移動体40の加速度を検知する。傾斜センサ132は、移動体の傾き及び当該傾きの方向を検知する。
【0019】
センサ13によって検知される姿勢情報には、加速度センサ131によって検知された移動体40の加速度を示す加速度データ(加速度情報)が含まれる。また、この姿勢情報には、傾斜センサ132によって検知された移動体40の傾き及び当該傾きの方向を示す傾きデータ(傾き情報)が含まれる。なお、センサ13(加速度センサ131及び傾斜センサ132)は、常に移動体40のデータ計測を行い、移動体40の姿勢を監視する。
【0020】
データ処理部14は、センサ13によって検知された姿勢情報に基づいて、移動体40の姿勢の変化を検知する。具体的には、データ処理部14は、例えば姿勢情報に含まれる加速度データ及び傾きデータの両方に変化が発生した場合に移動体40の姿勢の変化を検知する。一方、例えば加速度データに変化が生じている場合であっても、傾きデータが一定の値を示している場合には、移動体40は一定の傾き(角度)を保って移動していることを示す。このとき、加速度センサ131は遠心力を検知しているので、データ処理部14は、移動体40の姿勢の変化を検知しない。
【0021】
また、データ処理部14は、GPSエンジン12によって取得された移動体GPSデータ及びセンサ13によって検知された姿勢情報を含む走行情報を走行情報格納部15に格納する処理を実行する。このとき、データ処理部14は、移動体40の姿勢の変化が検知されたか否かを示す情報(以下、姿勢変化検知情報と表記)を走行情報に対応付けて走行情報格納部15に格納する。
【0022】
送信部16は、走行情報格納部15に格納されている走行情報及び姿勢変化検知情報を無線通信により送信する。送信部16は、走行情報及び姿勢変化検知情報を送信するために用いられる例えば無線通信発信機を含む。この走行情報及び姿勢変化検知情報は、例えば走行区間内に設けられている無線基地局60のうち、走行情報処理装置10の近隣の無線基地局60を介して補正処理サーバ30に送信される。
【0023】
ここで、無線基地局60は、走行情報処理装置10の送信部16から無線通信により送信された走行情報及び姿勢変化検知情報を受信するために用いられる例えば無線通信受信機を有する。また、無線基地局60は、無線通信受信機を用いて受信された走行情報及び姿勢変化検知情報を補正処理サーバ30に対して送信する。
【0024】
図3は、図1に示すGPS基準局20の構成を示すブロック図である。GPS基準局20は、GPS電波受信アンテナ21、GPSエンジン、設置位置格納部23、位置補正情報作成部24及び送信部25を含む。
【0025】
GPS電波受信アンテナ21は、GPS衛星50からのGPS電波を受信する。このGPS電波には、GPS基準局20の位置を示す基準局位置データ(基準局位置情報)及び当該位置が計測された時間を示す基準局時間データが含まれる。
【0026】
GPSエンジン22は、GPS電波受信アンテナ21によって受信されたGPS電波を解析することにより、当該GPS電波に含まれる基準局位置データ及び基準局時間データを取得する。
【0027】
設置位置格納部23には、GPS基準局20(GPS電波受信アンテナ21)が設置されている位置を示す設置位置データが格納されている。GPS基準局20は、例えば測量等を行うことにより正確な位置が既知である場所に設置されている。つまり、設置位置格納部23に格納されている設置位置データは、例えば測量等を行うことにより得られたGPS基準局20の正確な位置を示す。
【0028】
位置補正情報作成部24は、GPSエンジン22によって取得された基準局位置データ及び設置位置格納部23に格納されている設置位置データに基づいて、位置補正データ(位置補正情報)を作成する。この位置補正データは、例えば走行情報処理装置10の送信部16によって送信された走行情報に含まれる位置データを補正するために用いられる。位置補正情報作成部24は、位置補正データの作成を逐次行う。
【0029】
送信部25は、位置補正情報作成部24によって作成された位置補正データ及び当該位置補正データが作成される際に用いられた基準局位置データと共に取得された基準局時間データを補正処理サーバ30に送信する。
【0030】
図4は、図1に示す補正処理サーバ30の構成を示すブロック図である。補正処理サーバ30は、受信部31、補正処理部32、データ格納部33及びデータ出力部34を含む。
【0031】
受信部31は、無線基地局60によって送信された走行情報及び姿勢変化検知情報を受信する。また、受信部31は、GPS基準局20の送信部25によって送信された位置補正データ及び基準局時間データを受信する。
【0032】
補正処理部32は、受信部31によって受信された姿勢変化検知情報が移動体40の姿勢の変化が検知されたことを示すか否かを判定する。補正処理部32は、姿勢変化検知情報が移動体40の姿勢の変化が検知されたことを示す場合、当該姿勢変化検知情報に対応する走行情報に含まれる移動体速度データ及び移動体高さデータを、当該走行情報に含まれる姿勢情報に基づいて補正する。補正処理部32は、受信部31によって受信された走行情報に含まれる姿勢情報によって示される移動体40の姿勢の例えば変化(量)に応じて補正処理を実行する。なお、姿勢変化検知情報が移動体40の姿勢の変化が検知されていないことを示す場合、移動体速度データ及び移動体高さデータの補正処理は実行されない。
【0033】
また、補正処理部32は、受信部31によって受信された位置補正データに基づいて、当該受信部31によって受信された走行情報に含まれる移動体位置データを補正する。補正処理部32は、受信部31によって受信された走行情報に含まれる移動体時間データをもとに、当該移動体時間データによって示される時間と同一の時間を示す基準局時間データに対応する位置補正データに基づいて補正処理を実行する。
【0034】
補正処理部32は、例えば補正されたまたは補正されていない移動体速度データ、移動体高さデータ及び補正された移動体位置データ(以下、これらをまとめて移動体表示データと表記)を、移動体時間データに対応付けてデータ格納部33に格納する。
【0035】
また、補正処理部32は、移動体表示データ及び移動体時間データをデータ出力部34に出力する。
【0036】
データ出力部34は、補正処理部32によって出力された移動体時間データ毎に、当該移動体時間データに対応する移動体表示データを例えば表示装置80に出力する。また、データ出力部34は、データ格納部33に格納されている移動体時間データ毎に、当該移動体時間データに対応付けられている移動体表示データを表示装置80に出力する。
【0037】
次に、図5のシーケンスチャートを参照して、走行監視システムにおける移動体GPSデータを補正する処理手順について説明する。
【0038】
まず、移動体40に備えられた走行情報処理装置10のGPS電波受信アンテナ11は、GPS衛星50からのGPS電波を受信する(ステップS1)。GPSエンジン12は、GPS電波受信アンテナ11によって受信されたGPS電波を解析することにより、当該GPS電波に含まれる移動体40の移動体GPSデータ(移動体速度データ、移動体高さデータ、移動体位置データ及び移動体時間データ)を取得する。
【0039】
GPS電波受信アンテナ11によってGPS電波が受信されると、センサ13に含まれる加速度センサ131は、移動体40の加速度を検知する(ステップS2)。
【0040】
同様に、GPS電波受信アンテナ11によってGPS電波が受信されると、センサ13に含まれる傾斜センサ132は、移動体40の傾き(当該傾きの方向を含む)を検知する(ステップS3)。
【0041】
このとき、データ処理部14は、加速度センサ131によって検知された移動体40の加速度を示す加速度データ及び傾斜センサ132によって検知された移動体40の傾きを示す傾きデータ(姿勢情報)に応じて、移動体40の姿勢の変化を検知する。
【0042】
データ処理部14は、GPSエンジン12によって取得された移動体GPSデータ及び姿勢情報を含む走行情報を走行情報格納部15に格納する(ステップS4)。このとき、データ処理部14は、走行情報に対応付けて、移動体40の姿勢の変化が検知されたか否かを示す姿勢変化検知情報を走行情報格納部15に格納する。
【0043】
送信部16は、走行情報格納部15に格納された走行情報及び姿勢変化検知情報を無線通信により送信する(ステップS5)。この走行情報及び姿勢変化検知情報は、走行情報処理装置10の近隣の無線基地局60を介して補正処理サーバ30に送信される。
【0044】
一方、GPS基準局20のGPS電波受信アンテナ21は、GPS衛星50からのGPS電波を受信する(ステップS6)。なお、GPS電波受信アンテナ21によって受信されたGPS電波に含まれる基準局時間データ及び上記したGPS電波受信アンテナ11によって受信された移動体GPSデータに含まれる移動体時間データによって示される時間は同一であるものとする。GPSエンジン22は、GPS電波受信アンテナ21によって受信されたGPS電波を解析することにより、当該GPS電波に含まれるGPS基準局20の位置を示す基準局位置データ及び当該位置が計測された時間を示す基準局時間データを取得する。
【0045】
位置補正情報作成部24は、GPSエンジン22によって取得された基準局位置データ及び設置位置格納部23に格納されている設置位置データに基づいて、位置補正データを作成する(ステップS7)。設置位置格納部23に格納されている設置位置データは、例えば測量等を行うことにより得られたGPS基準局20の正確な位置を示す。位置補正情報作成部24は、GPSエンジン22によって取得された基準局位置データによって示される位置及び設置位置格納部23に格納されている位置データによって示される位置の差を演算することによって位置補正データを作成する。つまり、位置補正データは、GPSエンジン22によって取得された基準局位置データによって示される位置及び設置位置格納部23に格納されている位置データによって示される位置の差を示す。
【0046】
送信部25は、位置補正情報作成部24によって作成された位置補正データ及びGPSエンジン22によって取得された基準局時間データを補正処理サーバ30に送信する(ステップS8)。
【0047】
次に、補正処理サーバ30の受信部31は、走行情報処理装置10の送信部16によって送信された走行情報及び姿勢変化検知情報を受信する。また、受信部31は、GPS基準局20の送信部25によって送信された位置補正データ及び基準局時間データを受信する。
【0048】
補正処理部32は、受信部31によって受信された走行情報に含まれる姿勢情報に基づいて、当該走行情報に含まれる移動体速度データ及び移動体高さデータに対して補正処理を実行する(ステップS9)。このとき、補正処理部32は、受信部31によって受信された姿勢変化検知情報に応じて、移動体速度データ及び移動体高さデータの補正処理を実行するか否かを判定する。また、補正処理部32は、受信部31によって受信された位置補正データに基づいて、当該受信部31によって受信された走行情報に含まれる移動体位置データに対して補正処理を実行する。
【0049】
なお、上記したように受信部31によって受信された走行情報に含まれる移動体時間データ及び基準局時間データによって示される時間は同一である。つまり、補正処理部32は、受信部31によって受信された移動体時間データ及び基準局時間データが同一である場合に、該当する位置補正データに応じて移動体位置データを補正する。
【0050】
補正処理部32は、移動体表示データ(補正処理されたまたは補正処理されていない移動体速度データ、移動体高さデータ及び補正処理された移動体位置データ)を移動体時間データに対応付けてデータ格納部33に格納する(ステップS10)。また、補正処理部32は、移動体表示データ及び移動体時間データをデータ出力部34に出力する。
【0051】
データ出力部34は、例えば補正処理部32によって出力された移動体表示データを、移動体時間データ毎に補正処理サーバ30の外部に設けられた表示装置80に出力する(ステップS11)。なお、補正処理サーバ30が表示装置80を設ける構成であっても構わない。
【0052】
また、データ出力部14は、データ格納部33に格納されている移動体表示データを、移動体時間データ毎に例えば表示装置80に出力する。
【0053】
次に、図6のフローチャートを参照して、走行監視システムにおける移動体速度データを補正する処理手順について説明する。ここでは、便宜的に移動体速度データに対する補正処理についてのみ説明し、他の補正処理についての説明は省略する。
【0054】
まず、走行情報処理装置10のGPS電波受信アンテナ11は、GPS衛星50からのGPS電波を受信する。このGPS電波には、移動体40の移動体GPSデータ(移動体速度データ、移動体高さデータ、移動体位置データ及び移動体時間データ)が含まれる。GPSエンジン12は、GPS電波受信アンテナ11によって受信されたGPS電波を解析することにより、当該GPS電波に含まれる移動体速度データを取得する(ステップS21)。なお、GPSエンジン12は、移動体速度データ以外に、移動体高さデータ、移動体位置データ及び移動体時間データを取得する。
【0055】
GPSエンジン12によって移動体速度データが取得されると、センサ13は、移動体40の姿勢を示す姿勢情報を検知する。センサ13は、加速度センサ131及び傾斜センサ132を含む。加速度センサ131は、移動体40の加速度を検知する(ステップS22)。また、傾斜センサ132は、移動体の傾き及び当該傾きの方向を検知する(ステップS23)。つまり、姿勢情報には、加速度センサ131によって検知された加速度を示す加速度データ及び傾斜センサ132によって検知された傾き及び当該傾きの方向を示す傾きデータが含まれる。
【0056】
データ処理部14は、センサ13によって検知された姿勢情報に応じて、移動体40の姿勢の変化を検知する。
【0057】
走行情報格納部15には、移動体40の走行情報(移動体GPSデータ及び姿勢情報)及び移動体40の姿勢の変化が検知されたか否かを示す姿勢変化検知情報が格納される。
【0058】
送信部16は、走行情報格納部15に格納された走行情報及び姿勢変化検知情報を無線通信により送信する。この走行情報及び姿勢変化検知情報は、例えば走行情報処理装置10(が設けられている移動体40)の近隣の無線基地局60を介して補正処理サーバ30に送信される。
【0059】
補正処理サーバ30の受信部31は、送信部16によって送信された走行情報及び姿勢変化検知情報を受信する。
【0060】
次に、補正処理部32は、受信部31によって受信された姿勢変化検知情報が移動体40の姿勢の変化が検知されたことを示すか否かを判定する。つまり、補正処理部32は、受信部31によって受信された姿勢変化検知情報に基づいて、移動体40の姿勢が変化したか否かを判定する(ステップS24)。
【0061】
移動体40の姿勢が変化したと判定された場合(ステップS24のYES)、補正処理部32は、受信部31によって受信された走行情報に含まれる姿勢情報に応じて、当該移動体40の姿勢の変化の方向を判定する。この方向には、例えばGPS衛星50から遠ざかる方向及び当該GPS衛星50に近づく方向が含まれる。
【0062】
例えば移動体40がオートバイである場合を想定する。オートバイは、カーブを曲がる際に車体をロール方向(例えば進行方向に対して左右方向)に大きく傾けて曲がる特徴がある。この場合、カーブを曲がる際に車体が地面に対して垂直な状態から地面側に傾けられる方向をGPS衛星50から遠ざかる方向とする。また、逆に、カーブを曲がり終える際に車体が例えば地面側に傾いた状態から地面に対して垂直な状態へ戻される方向をGPS衛星50に近づく方向とする。
【0063】
次に、補正処理部32は、受信部31によって受信された走行情報に含まれる姿勢情報に基づいて、姿勢変化速度を算出する(ステップS25)。この姿勢変化速度は、移動体40のロール方向への速度である。補正処理部32は、姿勢情報(に含まれる加速度情報及び傾き情報)を使用し、移動体40のロール方向の加速度データから姿勢変化速度を算出する。
【0064】
ここでは、姿勢情報に含まれる傾き情報及び加速度情報に基づいて姿勢変化速度が算出される。しかしながら、センサ13に含まれる加速度センサ131が、例えばx軸、y軸、z軸の加速度を検知可能である場合には、当該加速度センサ131によって検知される加速度を示す加速度情報のみから姿勢変化速度が算出される構成であってもよい。
【0065】
また、加速度情報を用いることなく、例えばロール方向の傾き角度、傾き角度の計測周期及びセンサの設置場所の高さを示す情報等から姿勢変化速度が算出される構成であっても構わない。
【0066】
補正処理部32は、受信部に31よって受信された走行情報に含まれる移動体速度データを、算出された姿勢変化速度に基づいて補正する(ステップS26)。移動体40の姿勢の変化の方向が例えばGPS衛星50から遠ざかる方向であると判定された場合、補正処理部32は、算出された姿勢変化速度分を移動体速度データに対して加算することにより補正処理を実行する。また、移動体40の姿勢の変化の方向が例えばGPS衛星50に近づく方向であると判定された場合、補正処理部32は、算出された姿勢変化速度分を移動体速度データに対して減算することにより補正処理を実行する。
【0067】
補正処理部32によって補正処理された移動体速度データは、例えば移動体時間データに対応付けてデータ格納部33に格納される。また、補正処理部32によって補正処理された移動体速度データは、例えば管理者に対して表示するためにデータ出力部34によって表示装置80に出力される。
【0068】
一方、ステップS24において、移動体40の姿勢が変化していないと判定された場合、移動体速度データに対する補正処理は実行されない。なお、この場合、補正処理が実行されていない移動体速度データは、例えば移動体時間データに対応付けてそのまま(補正処理されないまま)データ格納部33に格納される。また、補正処理が実行されていない移動体速度データは、補正処理された移動体速度データと同様に、データ出力部34によって表示装置80に出力される。
【0069】
なお、上記した移動体速度データは、移動体表示データとしてデータ格納部33に格納またはデータ出力部34によって出力される。
【0070】
次に、図7のフローチャートを参照して、走行監視システムにおける移動体高さデータを補正する処理手順について説明する。ここでは、便宜的に移動体高さデータに対する補正処理についてのみ説明し、他の補正処理についての説明は省略する。
【0071】
まず、走行情報処理装置10のGPS電波受信アンテナ11は、GPS衛星50からのGPS電波を受信する。このGPS電波には、移動体40の移動体GPSデータが含まれる。GPSエンジン12は、GPS電波受信アンテナ11によって受信されたGPS電波を解析することにより、当該GPS電波に含まれる移動体高さデータを取得する(ステップS31)。なお、GPSエンジン12は、移動体高さデータ以外に、移動体速度データ、移動体位置データ及び移動体時間データを取得する。
【0072】
GPSエンジン12によって移動体速度データが取得されると、センサ13は、移動体40の姿勢を示す姿勢情報を検知する。センサ13に含まれる加速度センサ131は、移動体40の加速度を検知する(ステップS32)。また、センサ13に含まれる傾斜センサ132は、移動体の傾き及び当該傾きの方向を検知する(ステップS33)。つまり、姿勢情報には、加速度センサ131によって検知された加速度を示す加速度データ及び傾斜センサ132によって検知された傾き及び当該傾きの方向を示す傾きデータが含まれる。
【0073】
データ処理部14は、センサ13によって検知された姿勢情報に応じて、移動体40の姿勢の変化を検知する。
【0074】
走行情報格納部15には、移動体40の走行情報(移動体GPSデータ及び姿勢情報)及び移動体40の姿勢の変化が検知されたか否かを示す姿勢変化検知情報が格納される。
【0075】
送信部16は、走行情報格納部15に格納された走行情報及び姿勢変化検知情報を無線通信により送信する。この走行情報及び姿勢変化検知情報は、例えば走行情報処理装置10の近隣の無線基地局60を介して補正処理サーバ30に送信される。
【0076】
補正処理サーバ30の受信部31は、送信部16によって送信された走行情報及び姿勢変化検知情報を受信する。
【0077】
次に、補正処理部32は、受信部31によって受信された姿勢変化検知情報が移動体40の姿勢の変化が検知されたことを示すか否かを判定する。つまり、補正処理部32は、受信部31によって受信された姿勢変化検知情報に基づいて、移動体40の姿勢が変化したか否かを判定する(ステップS34)。
【0078】
移動体40の姿勢が変化したと判定された場合(ステップS34のYES)、補正処理部32は、受信部31によって受信された走行情報に含まれる姿勢情報(傾き情報)に応じて、当該移動体40の姿勢の変化の方向を判定する。この方向には、上記したように例えばGPS衛星50から遠ざかる方向及び当該GPS衛星50に近づく方向が含まれる。
【0079】
次に、補正処理部32は、姿勢情報に含まれる傾き情報を使用し、移動体40の姿勢変化による当該移動体40の高さの変化量(高さ変化量)を算出する(ステップS35)。高さ変化量は、受信部31によって受信された走行情報の姿勢情報に含まれる傾きデータ及び予め定められている走行情報処理装置10のGPS電波受信アンテナ11が取り付けられている高さに応じて算出される。
【0080】
補正処理部32は、受信部31によって受信された走行情報に含まれる移動体高さデータを、算出された高さ変化量に基づいて補正する(ステップS36)。移動体40の姿勢の変化の方向が例えばGPS衛星50から遠ざかる方向であると判定された場合、補正処理部32は、算出された高さ変化量を移動体高さデータに対して加算することにより補正処理を実行する。また、移動体40の姿勢の変化の方向が例えばGPS衛星50に近づく方向であると判定された場合、補正処理部32は、算出された高さ変化量を移動体高さデータに対して減算することにより補正処理を実行する。
【0081】
補正処理部32によって補正処理された移動体高さデータは、例えば移動体時間データに対応付けてデータ格納部33に格納される。また、補正処理部32によって補正処理された移動体高さデータは、例えば管理者に対して表示するためにデータ出力部34によって表示装置80に出力される。
【0082】
一方、ステップS34において、移動体40の姿勢が変化していないと判定された場合、上記した移動体速度データに対する補正処理の場合と同様に、移動体高さデータに対する補正処理は実行されない。なお、この場合、補正処理が実行されていない移動体高さデータは、例えば移動体時間データに対応付けてそのまま(補正処理されないまま)データ格納部33に格納される。また、補正処理が実行されていない移動体高さデータは、補正処理された移動体高さデータと同様に、データ出力部34表示装置80に出力される。
【0083】
なお、上記した移動体高さデータは、移動体表示データとしてデータ格納部33に格納またはデータ出力部34によって出力される。
【0084】
次に、図8のフローチャートを参照して、走行監視システムにおける移動体位置データを補正する処理手順について説明する。ここでは、便宜的に移動体速度データに対する補正処理についてのみ説明し、他の補正処理についての説明は省略する。
【0085】
まず、走行情報処理装置10のGPS電波受信アンテナ11は、GPS衛星50からのGPS電波を受信する。このGPS電波には、移動体40の移動体GPSデータが含まれる。GPSエンジン12は、GPS電波受信アンテナ11によって受信されたGPS電波を解析することにより、当該GPS電波に含まれる移動体位置データ及び移動体時間データを取得する(ステップS41)。なお、GPSエンジン12は、移動体位置データ及び移動体時間データ以外に、移動体速度データ及び移動体高さデータを取得する。
【0086】
走行情報格納部15には、上記したように移動体40の走行情報(移動体GPSデータ及び姿勢情報)及び移動体40の姿勢の変化が検知されたか否かを示す姿勢変化検知情報が格納される。
【0087】
送信部16は、走行情報格納部15に格納された走行情報及び姿勢変化検知情報を無線通信により送信する。この走行情報及び姿勢変化検知情報は、例えば走行情報処理装置10の近隣の無線基地局60を介して補正処理サーバ30に送信される。
【0088】
一方、GPS基準局20のGPS電波受信アンテナ21は、GPS衛星50からのGPS電波を受信する。このGPS電波には、GPS基準局20の位置を示す基準局位置データ及び当該位置が計測された時間を示す基準局時間データが含まれる。GPSエンジン22は、GPS電波受信アンテナ21によって受信されたGPS電波を解析することにより、当該GPS電波に含まれる基準局位置データ及び基準局時間データを取得する(ステップS43)。
【0089】
位置補正情報作成部24は、GPSエンジン22によって取得された基準局位置データ及び設置位置格納部23に格納されている設置位置データに応じて、移動体位置データを補正するための位置補正データを作成する(ステップS44)。位置補正データは、GPSエンジン22によって取得された基準局位置データによって示される位置及び設置位置格納部23に格納されている設置位置データによって示される位置の差を演算することにより作成される。また、位置補正データは、逐次作成される。
【0090】
送信部25は、位置補正情報作成部24によって作成された位置補正データ及びGPSエンジン22によって取得された基準局時間データを補正処理サーバ30に対して送信する(ステップS45)。
【0091】
補正処理サーバ30の受信部31は、送信部16によって送信された移動体位置データ及び移動体時間データを受信する。また、受信部31は、送信部25によって送信された位置補正データ及び基準局時間データを受信する。
【0092】
補正処理部32は、例えば受信部31によって受信された移動体時間データによって示される時間と同一の時間を示す基準局時間データと共に受信された位置補正データに基づいて、当該移動体時間データと共に受信された移動体位置データを補正する(ステップS46)。補正処理部32は、例えば移動体位置データに位置補正データを加算または減算することにより補正処理を実行する。
【0093】
補正処理部32によって補正処理された移動体位置データは、例えば移動体時間データに対応付けてデータ格納部33に格納される。また、補正処理部32によって補正処理された移動体位置データは、例えば管理者に対して表示するためにデータ出力部34によって表示装置80に出力される。
【0094】
なお、上記した移動体位置データは、移動体表示データとしてデータ格納部33に格納またはデータ出力部34によって出力される。
【0095】
上記したように本実施形態においては、移動体40の移動体速度データ、移動体高さデータ及び移動体位置データはGPSから取得される。一方、加速度センサ131及び傾斜センサ132は、常にデータ計測を行い、移動体40の姿勢を監視する。加速度センサ131及び傾斜センサ132によって検知された姿勢情報により移動体40に大きな姿勢変化が検知された場合には、当該姿勢情報に応じて移動体速度データ及び移動体高さデータの補正処理が実行される。また、GPS基準局20では、位置補正データが逐次作成される。このGPS基準局20で作成された位置補正データにより、移動体位置データの補正処理が実行される。
【0096】
これにより、例えば電離層の影響や衛星電波不良または移動体40の姿勢変化による計測誤差が発生した場合であっても、高精度な移動体40の速度、高さまたは位置データを得ることが可能となる。
【0097】
また、本実施形態においては、移動体40に設けられた走行情報処理装置10で計測された計測データ(走行情報)が無線通信を用いて送信される構成であるため、例えば補正処理サーバ30から遠隔地で走行している移動体40であっても当該移動体40の速度、高さおよび位置を示すデータ(走行情報)をリアルタイム管理者に対して表示することが可能である。これにより、管理者は、例えば補正処理サーバ30から遠隔地で走行している移動体40をリアルタイムで監視することが可能である。
【0098】
なお、本実施形態においては、移動体速度データ及び移動体高さデータは補正処理サーバ30で補正処理されるものとして説明したが、当該移動体速度データ及び移動体高さデータは、走行情報処理装置10の例えばデータ処理部14によって補正処理される構成であってもよい。この場合、補正処理された移動体速度データ及び移動体高さデータが補正処理サーバ30に送信される。
【0099】
また、本実施形態においては、走行情報処理装置10の走行情報格納部15に格納された走行情報(及び姿勢変化検知情報)が無線通信により送信されるものとして説明したが、当該走行情報が例えば持ち運び可能な記憶媒体に格納され、例えば管理者等が手動で補正処理サーバ30に移動する構成でも構わない。
【0100】
また、補正処理サーバ30のデータ格納部33には、移動体表示データが移動体時間データに対応付けて格納されているため、これらのデータを例えば表示装置80に表示することにより、過去の移動体40の走行を監視することが可能である。
【0101】
また、本実施形態においては、センサ13によって検知された姿勢情報に基づいて、移動体速度データを補正するものとして説明したが、例えば上記したように移動体位置データを補正し、当該補正された移動体位置データから演算した移動距離及びGPSの計測周期を用いて移動体40の速度を算出する構成であってもよい。この場合、補正された移動体位置データは、例えばさまざまな誤差要因を解消したものであるため、位置検知精度が高い。このため、移動体の姿勢変化に影響を受けることなく移動体40の速度データを得ることが可能である。
【0102】
また、本願発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の実施形態に係る走行監視システムの概略を示す図。
【図2】図1に示す走行情報処理装置10の構成を示すブロック図。
【図3】図1に示すGPS基準局20の構成を示すブロック図。
【図4】図1に示す補正処理サーバ30の構成を示すブロック図。
【図5】走行監視システムにおける移動体GPSデータを補正する処理手順を示すシーケンスチャート。
【図6】走行監視システムにおける移動体速度データを補正する処理手順を示すフローチャート。
【図7】走行監視システムにおける移動体高さデータを補正する処理手順を示すフローチャート。
【図8】走行監視システムにおける移動体位置データを補正する処理手順を示すシーケンスチャート。
【符号の説明】
【0104】
10…走行情報処理装置、11…GPS電波受信アンテナ、12…GPSエンジン、13…センサ(検知手段)、14…データ処理部、15…走行情報格納部、16…送信部(第1の送信手段)、20…GPS基準局、21…GPS電波受信アンテナ、22…GPSエンジン、23…設置位置格納部、24…位置補正情報作成部、25…送信部(第2の送信手段)、30…補正処理サーバ、31…受信部、32…補正処理部、33…データ格納部、34…データ出力部、40…移動体、50…GPS衛星、60…無線基地局、70…ハブ、80…表示装置、131…加速度センサ、132…傾斜センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行区間内を走行する移動体の速度を示す移動体速度情報及び当該移動体が位置する高さを示す移動体高さ情報を取得する移動体情報取得手段と、
前記移動体の姿勢を示す姿勢情報を検知する姿勢情報検知手段と、
前記移動体情報取得手段によって取得された移動体速度情報及び移動体高さ情報と前記姿勢情報検知手段によって検知された姿勢情報とを格納する格納手段と、
前記格納手段に格納されている姿勢情報に基づいて、前記格納手段に格納された移動体速度情報及び移動体高さ情報を補正する補正手段と
を具備することを特徴とする走行監視システム。
【請求項2】
前記格納手段に格納された姿勢情報に基づいて、前記移動体の姿勢の変化を検知する姿勢変化検知手段と、
前記補正手段は、前記姿勢変化検知手段によって前記移動体の姿勢の変化が検知された場合に、前記格納手段に格納された移動体速度情報及び移動体高さ情報を、当該移動体の姿勢の変化に応じて補正することを特徴とする請求項1に記載の走行監視システム。
【請求項3】
前記移動体速度情報及び前記移動体高さ情報を含む電波を外部から受信する移動体情報受信手段を更に具備し、
前記移動体情報取得手段は、前記移動体情報受信手段によって受信された電波に基づいて、前記移動体速度情報及び前記移動体高さ情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の走行監視システム。
【請求項4】
前記姿勢情報検知手段は、
前記移動体の加速度を検知する加速度センサと、前記移動体の傾き及び当該傾きの方向を検知する傾斜センサとを含み、
前記加速度センサによって検知された前記移動体の加速度を示す加速度情報と、前記傾斜センサによって検知された前記移動体の傾き及び当該傾きの方向を示す傾き情報とを前記姿勢情報として検知する
ことを特徴とする請求項1に記載の走行監視システム。
【請求項5】
前記補正手段は、
前記格納手段に格納された姿勢情報に含まれる加速度情報及び傾き情報を使用し、前記移動体が傾いた方向への加速度から、当該移動体の傾いた方向への速度を演算する速度演算手段と、
前記演算手段によって演算された速度に基づいて、前記格納手段に格納された移動体速度情報を補正する速度情報補正手段と
を含むことを特徴とする請求項4に記載の走行監視システム。
【請求項6】
前記補正手段は、
前記格納手段に格納された姿勢情報に含まれる傾き情報を使用し、前記移動体の傾きに応じた当該移動体の高さの変化を演算する高さ演算手段と、
前記高さ演算手段によって演算された高さの変化に基づいて、前記格納手段に格納された移動体高さ情報を補正する高さ情報補正手段と
を含むことを特徴とする請求項4に記載の走行監視システム。
【請求項7】
前記移動体情報取得手段、前記姿勢情報検知手段及び前記格納手段は、前記移動体に備えられた走行情報処理装置に設けられており、
前記補正手段は、前記走行情報処理装置とは別に設けられた補正処理サーバに設けられており、
前記走行情報処理装置は、前記格納手段に格納された姿勢情報、移動体速度情報及び移動体高さ情報を無線通信により送信する移動体情報送信手段を有し、
前記補正処理サーバは、前記移動体情報送信手段によって送信された姿勢情報、移動体速度情報及び移動体高さ情報を受信する受信手段を有し、
前記補正手段は、前記受信手段によって受信された姿勢情報に基づいて、前記受信手段によって受信された移動体速度情報及び移動体高さ情報を補正する
ことを特徴とする請求項1に記載の走行監視システム。
【請求項8】
前記走行区間内の所定の位置に設けられた基準局を更に具備し、
前記基準局は、
前記基準局の位置を示す基準局位置情報を取得する基準局情報取得手段と、
前記基準局が設けられている前記走行区間内の所定の位置を示す設置位置情報を予め格納する設置位置格納手段と、
前記基準局情報取得手段によって取得された基準局位置情報によって示される位置及び前記設置位置格納手段に予め格納されている設置位置情報によって示される位置の差を演算することによって位置補正情報を作成する作成手段と、
前記作成手段によって作成された位置補正情報を送信する位置補正情報送信手段と
を有し、
前記移動体情報取得手段は、前記移動体の位置を示す移動体位置情報を取得し、
前記移動体情報送信手段は、前記移動体情報取得手段によって取得された移動体位置情報を無線通信により送信し、
前記受信手段は、前記位置補正情報送信手段によって送信された位置補正情報及び前記移動体情報送信手段によって送信された移動体位置情報を受信し、
前記補正手段は、前記受信手段によって受信された位置補正情報に基づいて、前記受信手段によって受信された移動体位置情報を補正する
ことを特徴とする請求項7に記載の走行監視システム。
【請求項9】
前記補正手段によって補正された移動体速度情報、移動体高さ情報及び移動体位置情報を表示する表示手段を更に具備することを特徴とする請求項8に記載の走行監視システム。
【請求項10】
走行区間内を走行する移動体の位置を示す移動体位置情報を取得する移動体情報取得手段と、
前記移動体情報取得手段によって取得された移動体位置情報を補正するための位置補正情報を作成する作成手段と、
前記補正手段によって作成された位置補正情報に基づいて、前記移動体情報取得手段によって取得された移動体位置情報を補正する補正手段と
を具備することを特徴とする走行監視システム。
【請求項11】
前記移動体位置情報を含む電波を外部から受信する移動体情報受信手段を更に具備し、
前記移動体情報取得手段は、前記移動体情報受信手段によって受信された電波を解析することにより、前記移動体位置情報を取得することを特徴とする請求項10に記載の走行監視システム。
【請求項12】
前記移動体情報取得手段は、前記移動体に備えられた走行情報処理装置に設けられており、
前記作成手段は、前記走行区間内の所定の位置に設けられた基準局に設けられており、
前記補正手段は、前記走行情報処理装置及び前記基準局とは別に設けられた補正処理サーバに設けられており、
前記走行情報処理装置は、前記移動体情報取得手段によって取得された移動体位置情報を無線通信により送信する第1の送信手段を有し、
前記基準局は、前記作成手段によって作成された位置補正情報を送信する第2の送信手段を有し、
前記補正処理サーバは、前記第1の送信手段によって送信された移動体位置情報及び前記第2の送信手段によって送信された位置補正情報を受信する位置情報受信手段を有し、
前記補正手段は、前記位置情報受信手段によって受信された位置補正情報に基づいて、当該位置情報受信手段によって受信された移動体位置情報を補正する
ことを特徴とする請求項10または11のいずれか1項に記載の走行監視システム。
【請求項13】
前記基準局は、
前記基準局の位置を示す基準局位置情報を取得する基準局情報取得手段と、
前記基準局が設けられている前記走行区間内の所定の位置を示す設置位置情報を予め格納する設置位置格納手段を更に有し、
前記作成手段は、前記基準局情報取得手段によって取得された基準局位置情報によって示される位置及び前記設置位置格納手段に予め格納されている設置位置情報によって示される位置の差を演算することによって前記位置補正情報を作成する
ことを特徴とする請求項12に記載の走行監視システム。
【請求項14】
前記補正手段によって補正された移動体位置情報に基づいて、前記移動体の速度を演算する速度演算手段を更に具備することを特徴とする請求項10に記載の走行監視システム。
【請求項15】
前記補正手段によって補正された移動体位置情報を表示する表示手段を更に具備することを特徴とする請求項10に記載の走行監視システム。
【請求項16】
移動体の速度を示す速度情報及び当該移動体が位置する高さを示す高さ情報を取得する取得手段と、
前記移動体の姿勢を示す姿勢情報を検知する検知手段と、
前記取得手段によって取得された姿勢情報に基づいて、前記取得手段に取得された速度情報及び高さ情報を補正する補正手段と
を具備することを特徴とする走行情報処理装置。
【請求項17】
移動体の速度を示す移動体速度情報及び当該移動体が位置する高さを示す移動体高さ情報を取得するステップと、
前記移動体の姿勢を示す姿勢情報を検知するステップと、
前記取得された移動体速度情報及び移動体高さ情報と前記検知された姿勢情報とを格納手段に格納するステップと、
前記格納手段に格納された姿勢情報に基づいて、前記格納手段に格納された移動体速度情報及び移動体高さ情報を補正するステップと
を具備することを特徴とする走行監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−224613(P2008−224613A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−67212(P2007−67212)
【出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)
【Fターム(参考)】