説明

走行計画生成装置

【課題】ハイブリット車両において、エネルギー利用効率の良い走行計画を生成することができる走行計画生成装置を提供する。
【解決手段】ハイブリット車両1の走行計画を生成する走行計画生成装置20であって、走行経路内を、低速走行区間L1,L3とそれ以外の区間である高速走行可能区間L2とに区別する区間識別部21と、低速走行区間L1,L3のエネルギー収支を推定するエネルギー推定部23と、エネルギー収支に基づいて低速走行区間L1,L3の前の高速走行可能区間L2における走行計画を生成する特定外区間走行計画部24とを備えることにより、各区間のエネルギー収支の釣り合いを考慮して高速走行可能区間L2の走行計画を生成することができるので、エネルギー利用効率の良い走行計画を生成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行計画生成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の走行計画を生成する装置として、所定の座標における目標速度を示す速度パターンを用いて走行計画を生成する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この装置は、初期座標、目標座標、初期座標での車速、及び目標座標での目標速度を設定し、速度パターンを生成する装置である。
【特許文献1】特開2001−255937号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の走行計画生成装置にあっては、効率的にエネルギーを利用して走行する走行計画を生成することが困難な場合がある。例えば、ハイブリット車両の場合、走行中にバッテリーを用いてエネルギーを回収し、回収したエネルギーを再利用して走行するが、バッテリーが満充電状態となると、それ以上エネルギーを回収できず、エネルギーの有効利用が図れないため、効率的にエネルギーを利用した走行計画を生成できないこととなる。
【0004】
そこで本発明は、このような技術課題を解決するためになされたものであって、ハイブリット車両において、エネルギー利用効率の良い走行計画を生成することができる走行計画生成装置を提供することを目的とする。
【0005】
すなわち、本発明に係る走行計画生成装置は、ハイブリット車両の走行経路における走行計画を生成する走行計画生成装置であって、前記走行経路内を、所定の条件を満たす特定区間と前記特定区間以外の区間である特定外区間とに区別する区間区別手段と、前記特定区間を所定の走行計画で走行する際のエネルギー収支を推定するエネルギー収支推定手段と、前記エネルギー収支に基づいて前記特定区間の前の前記特定外区間における走行計画を生成する走行計画生成手段とを備えて構成される。
【0006】
この発明によれば、ハイブリット車両において、走行経路を特定の条件を満たす特定区間と特定の条件を満たさない特定外区間とに区別し、特定区間を走行する走行計画からその特定区間を走行する場合のエネルギー収支を推定し、推定したエネルギー収支を用いて特定区間の前の特定外区間における走行計画を生成することができる。これにより、車両が特定区間及び特定外区間を連続走行する場合において、各区間のエネルギー収支の釣り合いを考慮して特定外区間の走行計画を生成することができるので、エネルギー利用効率の良い走行計画を生成することができる。
【0007】
ここで、走行計画生成装置において、前記走行計画生成手段は、前記エネルギー収支と、所定の駆動手段で駆動を行った際の目標速度に応じたエネルギー収支との比較に基づいて前記特定外区間における速度パターンを生成することが好適である。
【0008】
このように構成することで、車両が特定区間及び特定外区間を連続走行する場合において、特定外区間の直後に走行予定である特定区間の推定エネルギー収支と、特定外区間において所定の駆動手段で駆動を行った際の目標速度に応じたエネルギー収支とを比較して、両者が釣り合うように、特定外区間における速度パターンを設定することができる。
【0009】
また、走行計画生成装置において、前記走行計画生成手段は、前記エネルギー推定手段によってエネルギー収入が推定される場合には、推定されたエネルギー収入量に応じたエネルギーを放出する走行計画を生成することが好適である。
【0010】
このように構成することで、車両が特定区間及び特定外区間を連続走行する場合において、特定外区間の直後に走行予定である特定区間において得られる推定エネルギー収入量に基づいて特定外区間において放出するエネルギー量を決定し、放出するエネルギー量に基づいて走行計画を生成することができる。これにより、エネルギー利用効率の良い走行計画を生成することができる。
【0011】
また、走行計画生成装置において、前記走行計画生成手段は、前記エネルギー推定手段によりエネルギー支出が推定される場合には、推定されたエネルギー支出量に応じたエネルギーを回収する走行計画を生成することが好適である。
【0012】
このように構成することで、車両が特定区間及び特定外区間を連続走行する場合において、特定外区間において放出予定のエネルギー量に基づいて、特定外区間の直後に走行予定である特定区間において回収するエネルギー収入量を決定し、回収するエネルギー収入量に基づいて走行計画を生成することができる。これにより、エネルギー利用効率の良い走行計画を生成することができる。
【0013】
さらに、走行計画生成装置は、前記特定外区間においてエンジンを駆動させる優先度を取得する優先度取得手段と、前記走行経路の全区間におけるエネルギー収支を推定するエネルギー収支推定手段と、を備え、前記走行計画生成手段は、前記全区間においてエネルギー収入がエネルギー支出を上回るように、前記優先度に応じて前記特定外区間の走行計画を生成することが好適である。
【0014】
このように構成することで、経路全体においてエネルギー収入がエネルギー支出を上回るように、優先度に応じて特定外区間の走行計画を生成することができる。複数ある特定外区間の中で、一気にエンジン駆動することができる区間を、優先度を用いて決定することにより、低燃費かつエンジン駆動による走行時間の短縮を両立することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ハイブリット車両において、エネルギー利用効率の良い走行計画を生成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る走行計画生成装置は、エネルギー利用効率の良い走行計画を生成する装置であって、例えば、作動原理が異なる二つ以上の動力源をもち、状況に応じて単独・複数と動力源を切替えて走行するハイブリット車両に好適に採用されるものである。
【0018】
最初に、本実施形態に係る走行計画生成装置の構成を説明する。図1は本発明の実施形態に係る走行計画生成装置が備わる車両の構成図である。
【0019】
車両1は、通信等により情報を入力しあるいはセンサ等によって情報を取得し、走行計画に沿って自動運転する機能を有するハイブリット車両である。ハイブリット車両1は、例えばエンジン及び電気モータを駆動源とし、車両1の減速時に運動エネルギーを電気エネルギーとして回収する回生ブレーキを有している。この回生ブレーキによって回収された電気エネルギーは、車両1に搭載されたバッテリーに充電され、電気モータの駆動に使用される。
【0020】
また、車両1は、アンテナ31、通信部32、センサ33、GPS受信機34及びECU2を備えている。ここで、ECU(Electronic Control Unit)とは、電子制御する自動車デバイスのコンピュータであり、CPU(CentralProcessing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、および入出力インターフェイスなどを備えて構成されている。
【0021】
通信部32は、他車両や、路側に配置された通信装置と通信する機能を有している。通信部32は、ECU2から送信データを入力しアンテナ31を介して他車両や通信装置に送信する機能と、他車両や通信装置からアンテナ31を介してデータを受信し受信データをECU2へ出力する機能とを有している。
【0022】
センサ33は、車両の周辺情報を取得する機能を有しており、例えば、カメラ等の画像センサや、ミリ波レーダ、超音波センサ等が用いられる。センサ33は、車両の周辺情報を取得し、取得した情報をECU2へ出力する機能を有している。
【0023】
GPS受信機34は、GPSを用いて車両の位置や走行環境に関する情報を取得する機能を有する装置である。ここで、GPS(Global Positioning System)とは、衛星を用いた計測システムのことであり、自車両の現在位置の把握に好適に用いられるものである。走行環境に関する情報には、例えば地形情報が含まれており、この地形情報には、道路形状に加えて道路勾配に関する情報が含まれている。
【0024】
ECU2は、区間識別部(区間区別手段)21、特定区間走行計画部22、エネルギー推定部(エネルギー推定手段)23及び特定外区間走行計画部(走行計画生成手段)24を備えて構成される。
【0025】
区間識別部21は、走行予定の経路において、所定の条件を満たす特定区間と所定の条件を満たさない特定外区間とを識別する機能を有している。所定の条件を満たす特定区間とは、例えば、ブレーキを踏み続けないと法定速度を満たすことができないような区間であり、具体的には、道路形状がカーブであって、なおかつ下り坂の場合等が挙げられる。他方、特定外区間とは、特定区間以外の区間のことである。区間識別部21は、GPS受信機34から例えば道路形状及び道路勾配に関する情報を入力し、区間の識別を行う機能を有している。また、区間識別部21は、走行予定の経路において、識別した特定区間及び特定外区間に関する情報を特定区間走行計画部22へ出力する機能を有している。以下では、特定区間を低速走行区間(速度極小区間)、特定外区間を高速走行可能区間として説明する。
【0026】
特定区間走行計画部22は、低速走行区間の走行計画を生成する機能を有している。特定区間走行計画部22は、区間識別部21から入力した低速走行区間に関する情報に基づいて、走行計画を生成する。ここで、走行計画とは、所定の時間内又は所定の地点までの走行をどのような制御で行うか予め決定したものであり、例えば、走行軌跡及び速度パターンを含んでいる。
【0027】
エネルギー推定部23は、低速走行区間を走行する際のエネルギー収支を推定する機能を有している。エネルギー収支において、エネルギー支出は駆動(エンジンやモータ)に使用したエネルギーであり、エネルギー収入は回生によって回収したエネルギーである。例えば、エネルギー推定部23は、低速走行区間の終了地点における目標充電量、低速走行区間の開始地点の位置エネルギーと終了地点の位置エネルギーの差分、及び回生率等に基づいて、低速走行区間の開始地点の充電量を推定する機能を有している。さらに、エネルギー推定部23は、推定した充電量を特定外区間走行計画部24へ出力する機能を有している。
【0028】
特定外区間走行計画部24は、高速走行可能区間の走行計画を生成する機能を有している。特定外区間走行計画部24は、区間識別部21から入力した高速走行可能区間に関する情報や、エネルギー推定部23から入力されたエネルギー収支を考慮して、走行計画を生成する機能を有している。
【0029】
また、ECU2は、高速走行可能区間の走行計画に沿って走行する際の消費エネルギーをシミュレーションによって算出する機能を有している。
【0030】
次に、本実施形態に係る走行計画生成装置の動作について説明する。図2及び図3は、本実施形態に係る走行計画生成装置の動作を示すフローチャートである。図4は、本実施形態に係る走行計画生成装置が備わる車両の経路を示す概要図である。
【0031】
図2及び図3に示す制御処理は、ECU2で実行され、例えばイグニッションオンされてから所定のタイミングで繰り返し実行される。なお、説明理解の容易性を考慮して、図4に示すように、車両1が山頂の地点X1から山麓の地点X6へ下る経路を走行する場合について説明する。車両1が走行する区間においては、カーブ区間の法定速度が30km/hの低速走行区間、直線区間の法定速度が60km/hの高速走行可能区間となっている。また、車両1では、下り坂の低速走行区間では駆動力を与えなくても法定速度を超える走行が可能であるとする。
【0032】
図2に示すように、走行計画生成装置20は、車両情報設定処理から開始する(S10)。S10の処理は、ECU2で実行され、走行中の走行路において許容できる最大の横加速度等を設定する処理である。この許容最大加速度は、例えば、運転者によって事前に設定されてもよいし、手動走行時にECU2の学習によって自動設定されても良い。同様に、希望限界速度、希望限界加速度、及び希望限界減速度を設定する。S10の処理が終了すると、道路勾配確認処理へ移行する(S12)。
【0033】
S12の処理は、区間識別部21で実行され、現在地点X1から規定距離を対象として、下り坂が多いか否かを判定する処理である。規定距離は、例えば数キロ程度として設定される(図4の地点X1〜地点X4)。区間識別部21は、現在地点から規定距離で定めた対象区間の勾配情報をGPS受信機34から入力し、所定の勾配を有する下り坂が、対象区間全体に対して規定の割合以上存在するか否かを判定する。規定の割合として、例えば90%が設定される。S12の処理において、対象区間の規定割合以上が下り坂でないと判定した場合には、対象区間内に下り坂が少ないと判定し、前半確認処理へ移行する(S14)。
【0034】
S14の処理は、区間識別部21で実行され、対象区間の前半部分において、下り坂が多いか否かを判定する処理である。下り坂が多いか否かの判定は、例えば下り坂が規定の割合以上存在するか否かを判定することによって行う。ここでは、規定の割合として、例えば90%が設定される。S14の処理において、対象区間の前半部分の規定割合以上が下り坂でないと判定した場合には、対象区間内に下り坂が少ないと判定し、通常の走行計画生成処理へ移行する(S16)。
【0035】
S16の処理は、ECU2で実行され、走行する区間には回生する箇所が少ないため、回収するエネルギーを考慮せずに走行計画を生成する処理である。例えば、ECU2は、GPS受信機34等から入力した走行環境条件等を考慮して、S12の処理で規定した距離の走行計画を生成する。S16の処理が終了すると、図2及び図3に示す制御処理を終了する。
【0036】
一方、S12の処理において、対象区間の規定割合以上が下り坂であると判定した場合には、対象区間内に下り坂が多いと判定し、許容最大速度の算出処理へ移行する(S18)。また、S14の処理において、対象区間の前半部分の規定割合以上が下り坂であると判定した場合には、対象区間内に下り坂が多いと判定し、許容最大速度の算出処理へ移行する(S18)。S18の処理は、ECU2で実行され、走行中の走行路において各地点での許容できる最大の速度を算出する処理である。許容最大速度は、S10の処理で入力した許容最大横加速度及び希望限界速度に基づいて算出される。S18の処理が終了すると、後続車両確認処理へ移行する(S20)。
【0037】
S20の処理は、ECU2で実行され、後続車両が存在し追従しているか否か判定する処理である。例えば、通信部32、センサ33及びGPS受信機34から得られた情報に基づいて後続車両が存在し追従しているか否かを判定する。S20の処理において、後続車両が追従していると判定した場合には、走行計画生成処理へ移行する(S22)。
【0038】
S22の処理は、ECU2で実行され、後続車両との車間距離を維持するように許容最大速度で走行するための走行計画を生成する処理である。例えば、ECU2は、S18の処理で算出した各地点での許容最大速度、GPS受信機34等から入力した走行環境条件等を考慮して、対象区間の走行計画を生成する。このように、後続車が存在する場合には、対象となる全区間において、自車両の燃費よりも交通流や安全性を優先した走行計画を生成する。なお、走行計画に含まれる速度パターンは、S10の処理で入力した希望限界加速度及び希望限界減速度を超えない範囲で、各区間の速度パターンの連続性を維持して生成される。S22の処理が終了すると、図2及び図3に示す制御処理を終了する。
【0039】
一方、S20の処理において、後続車両が追従していないと判定した場合には、目標充電量の設定処理へ移行する(S24)。S24の処理は、区間識別部21及びエネルギー推定部23で実行され、低速走行区間の識別と、識別した低速走行区間の終了地点における目標充電量を予め設定する処理である。S24の処理について、図5を用いて説明する。図5のaは、距離に依存した充電量を示すグラフである。区間識別部21は、最初に道路情報等に基づいて低速走行区間L1及びL3と、高速走行可能区間L2とを識別する。次に、S12の処理で設定した低速走行区間L1及びL3の終了地点X2、X4における目標充電量B1、B2を設定する。目標充電量B1、B2は、満充電状態となる値が好適である。S24の処理が終了すると、低速走行区間の速度パターン生成処理へ移行する(S26)。
【0040】
S26の処理は、特定区間走行計画部22で実行され、低速走行区間の速度パターンを生成する処理である。低速走行区間においては、その区間で回生により回収できるエネルギー量が、その区間を走行するために消費できる最大の運動エネルギー量を超える区間であるので、低速走行区間の速度パターンとして、低速走行区間の許容最大速度(ここでは30km/h)を維持した速度パターンを生成する。図5のbは、距離に依存した速度を示す速度パターンであり、S26の処理では、低速走行区間L1及びL3に対応する速度パターンを生成する。S26の処理が終了すると、エネルギー推定処理へ移行する(S28)。
【0041】
S28の処理は、エネルギー推定部23で実行され、低速走行区間の開始地点における目標充電量を算出する処理である。エネルギー推定部23は、例えば、低速走行区間開始地点X3の目標充電量A2を、低速走行区間終了地点X4の目標充電量B2から逆算して算出する。低速走行区間の開始地点X3と終了地点X4との位置エネルギー差をU1とし、回生率をαとすると、目標充電量A2は、以下の式1で表すことができる。
【0042】
A2=B2−α・U1 …(1)
【0043】
位置エネルギー差U1は、GPS受信機34から入力した道路勾配情報に基づいて算出することができる。式1を用いることで、低速走行区間の開始地点X3における目標充電量A2を設定することができる。S28の処理が終了すると、高速走行可能区間の消費可能エネルギー量の算出処理へ移行する(S30)。
【0044】
S30の処理は、エネルギー推定部23で実行され、高速走行可能区間の消費可能エネルギー量の算出する処理である。高速走行可能区間L2の開始地点は、低速走行区間L1の終了地点X2であり、終了地点X2の目標充電量はB1となる。他方、高速走行可能区間L2の終了地点は、低速走行区間L3の開始地点X3であり、開始地点X3の目標充電量はA2となる。高速走行可能区間の開始地点X2と終了地点X3との位置エネルギー差をU2とし、回生率をαとすると、高速走行可能区間で消費できる消費可能エネルギーD2は、以下の式1で表すことができる。
【0045】
D2=A2−B1+α・U2 …(2)
【0046】
位置エネルギー差U2は、GPS受信機34から入力した道路勾配情報に基づいて算出することができる。式2を用いることで、高速走行可能区間において消費可能なエネルギーを算出することができる。S30の処理が終了すると、高速走行可能区間における速度パターンの生成処理へ移行する(S32)。
【0047】
S32の処理は、特定外区間走行計画部24で実行され、高速走行可能区間の速度パターンを生成する処理である。特定外区間走行計画部24は、最初に目標最低速度を設定し、目標最低速度に沿った走行計画を生成する。S32の処理が終了すると、消費エネルギー算出処理へ移行する(S34)。
【0048】
S34の処理は、ECU2で実行され、高速走行可能区間の消費エネルギーを予測する処理である。例えば、高速走行におけるエンジン駆動や回生処理で損失するエネルギー(転がり抵抗や空気抵抗等)を考慮して消費エネルギーを推定する。この推定は、例えばハイブリット車両モデルを用いたシミュレーション手法等で行えばよい。S34の処理が終了すると、判定処理へ移行する(S36)。
【0049】
S36の処理は、ECU2で実行され、S34の処理で生成した予測消費エネルギーが、S30の処理で生成した消費可能エネルギーD2と等しいか否かを判定する処理である。S36の処理において、高速走行可能区間で消費予定の消費エネルギーと消費可能エネルギーD2とが等しいと判定した場合には、速度パターン採用処理へ移行する(S38)。
【0050】
S38の処理は、特定外区間走行計画部24で実行され、高速走行可能区間の速度パターンとしてS32の処理で生成した速度パターンを採用する処理である。S38の処理によって、図5に示す低速走行区間L3で充電しきれないエネルギー分だけ低速走行区間L3の直前の高速走行可能区間L2において速度を速めて消費することができる。S38の処理が終了すると、図2及び3に示す制御処理を終了する。
【0051】
一方、S36の処理において、高速走行可能区間で消費予定の消費エネルギーと消費可能エネルギーD2とが等しくないと判定した場合には、速度判定処理へ移行する(S40)。S40の処理は、ECU2で実行され、高速走行可能区間において、S32の処理で生成した速度パターンがS18で生成した許容最大速度を超えたか否かを判定する処理である。S40の処理において、許容最大速度を超えていないと判定した場合には、目標最低速度の増加処理へ移行する(S42)。
【0052】
S42の処理は、特定外区間走行計画部24で実行され、高速走行可能区間の速度パターン生成に使用される目標最低速度を増加させる処理である。例えば、目標最低速度を加速及び減速(最大回生減速)の際において1km/h増加させる。S42の処理が終了すると、高速走行可能区間の速度パターン生成処理に移行し(S32)、新たに生成された高速走行可能区間の速度パターンを用いて、消費エネルギーの予測(S34)、及び消費可能エネルギーとの比較を行うことができる(S36)。この処理によって、高速走行可能区間の消費エネルギーを消費可能エネルギーD2に近づけることが可能となる。
【0053】
一方、S40の処理において、許容最大速度を超えていると判定した場合には、速度パターンの採用処理へ移行する(S44)。S44の処理は、特定外区間走行計画部24で実行され、S32の処理で生成した速度パターンのうち、許容最大速度を超えたと判定された速度パターンの直前に生成された速度パターンを採用する処理である。S44の処理によって、高速走行可能区間で最大のエネルギー消費を期待できる速度パターンを採用することができる。S44の処理が終了すると、速度上昇の余地判定処理へ移行する(S46)。
【0054】
S46の処理は、特定外区間走行計画部24で実行され、前回以前に図2及び3の処理を実行し生成した前の高速走行可能区間での速度パターンを参照し、速度を上げる余地が存在するか否かを判定する処理である。例えば、図5に示す経路において、実線で示す区間L1〜L3までの速度パターンを生成した後、点線で示す区間L4における速度パターンを生成する際に、区間L4では区間L4の許容最大速度を超えないと区間L5から算出した消費可能エネルギーを消費できない場合には、前回以前の処理で生成した高速走行可能区間L2の速度パターンを参照し、速度を上げる余地があるか否かを確認する。具体的には、高速走行可能区間L2の速度パターンの最大速度と許容最大速度との差が1km/h以上であるか否かによって、速度を上げる余地があるか否かを判定する。S46の処理において、速度を上げる余地が無いと判定した場合には、余剰エネルギー判定処理へ移行する(S50)。
【0055】
S50の処理は、ECU2で実行され、余剰エネルギーが存在するか否かを判定する処理である。余剰エネルギーが存在する場合として、例えば、低速走行区間L3の区間が長距離であって、高速走行可能区間L2で消費することができない場合が挙げられる。余剰エネルギーが存在するか否かの判定は、例えば、消費可能エネルギーを低速走行区間の開始地点前に消費できるか否かを判定することで行われる。S50の処理において、余剰エネルギーが発生すると判定した場合には、熱廃棄計画生成処理へ移行する(S52)。
【0056】
S52の処理は、ECU2で実行され、S52の処理で判定した余剰エネルギーを熱として廃棄する計画を生成する処理である。例えば、エンジンブレーキによってエネルギー消費を行うことによって廃棄する。S52の処理が終了すると、図2及び3に示す制御処理を終了する。
【0057】
一方、S46の処理において、前回以前に図2及び3の処理を実行し生成した高速走行可能区間での速度パターンを参照し、速度を上げる余地があると判定した場合には、速度パターン修正処理へ移行する(S48)。S48の処理は、特定外区間走行計画部24で実行され、前回以前の速度パターンを修正する処理である。例えば、今回の処理対象の高速走行可能区間の消費可能エネルギーから、今回の処理対象の高速走行可能区間で消費するエネルギーを除いた残りのエネルギーを消費できるように、前回以前の速度パターンを修正する。具体的には、図5の高速走行可能区間L4が今回の処理対象とした場合には、高速走行可能区間L4の消費可能エネルギーから高速走行可能区間L4で消費するエネルギーを除いた残りのエネルギーを、高速走行可能区間L2で消費できるように、高速走行可能区間L2の速度パターンを修正する。速度パターンの修正方法は、S32〜S42の処理と同様の処理で行う。
【0058】
以上、第1実施形態における走行計画生成装置20によれば、走行経路を特定の条件を満たす低速走行区間L1,L3と特定の条件を満たさない高速走行可能区間L2とに区別し、低速走行区間L3を走行する走行計画からその低速走行区間L3を走行する場合のエネルギー収支を推定し、推定したエネルギー収支を用いて低速走行区間L3の前の高速走行可能区間L2における走行計画を生成することができる。これにより、車両が低速走行区間L1,L3及び高速走行可能区間L2を連続走行する場合において、各区間のエネルギー収支の釣り合いを考慮して高速走行可能区間L2の走行計画を生成することができるので、エネルギー利用効率の良い走行計画を生成することができる。
【0059】
また、第1実施形態における走行計画生成装置20によれば、車両1が低速走行区間L1,L3及び高速走行可能区間L2を連続走行する場合において、高速走行可能区間L2の直後に走行予定である低速走行区間L3の推定エネルギー収支と、高速走行可能区間L2において所定の駆動手段で駆動を行った際の目標速度に応じたエネルギー収支とを比較して、両者が釣り合うように、高速走行可能区間L2における速度パターンを設定することができる。
【0060】
また、第1実施形態における走行計画生成装置20によれば、車両1が低速走行区間L1,L3及び高速走行可能区間L2を連続走行する場合において、高速走行可能区間L2の直後に走行予定である低速走行区間L3において得られる推定エネルギー収入量に基づいて高速走行可能区間L2において放出するエネルギー量を決定し、放出するエネルギー量に基づいて走行計画を生成することができる。これにより、エネルギー利用効率の良い走行計画を生成することができる。
【0061】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る走行計画生成装置40は、第1実施形態に係る走行計画生成装置20とほぼ同様に構成されるものであって、走行計画生成装置20と比べ、走行予定の複数の区間の総エネルギーを考慮して、平地においてエネルギー利用効率の良い走行計画を生成する点が相違する。第2実施形態においては、第1実施形態と重複する部分は説明を省略し、相違点を中心に説明する。
【0062】
まず、本実施形態に係る走行計画生成装置40の構成から説明する。図6は第2実施形態に係る走行計画生成装置40が備わる車両1の概要図である。本実施形態に係る走行計画生成装置40は、総エネルギー推定部(全エネルギー収支推定手段)41及びエンジン駆動優先度取得部(優先度取得手段)42を備えている。
【0063】
総エネルギー推定部41は、走行計画を生成する対象の区間全ての総エネルギー収支を推定する機能を有している。総エネルギー推定部41は、低速走行区間及び高速走行可能区間において、エネルギー支出として駆動(エンジンやモータ)に使用したエネルギーを算出し、エネルギー収入として回生によって回収したエネルギーを算出する機能を有している。また、算出した低速走行区間及び高速走行可能区間のエネルギーを合算する機能を有している。
【0064】
エンジン駆動優先度取得部42は、各高速走行可能区間のそれぞれにおいて、エンジンを優先的に駆動させる順番を示すエンジン駆動優先度を算出する機能を有している。また、エンジン駆動優先度取得部42は、算出した優先度を特定外区間走行計画部24へ出力する機能を有している。
【0065】
次に、本実施形態に係る走行計画生成装置40の動作について説明する。図7及び図8は、本実施形態に係る走行計画生成装置40の動作を示すフローチャートである。図9は、本実施形態に係る走行計画生成装置が備わる車両の経路を示す概要図である。
【0066】
図7及び図8に示す制御処理は、ECU2で実行され、例えばイグニッションオンされてから所定のタイミングで繰り返し実行される。なお、説明理解の容易性を考慮して、図9に示すように、平野において車両1が出発地X1から目的地X4までの経路を走行する場合について説明する。車両1が走行する区間においては、カーブ区間の法定速度が30km/hの低速走行区間、直線区間の法定速度が60km/hの高速走行可能区間となっている。
【0067】
図7に示すように、走行計画生成装置20は、車両情報設定処理から開始する(S60)。S60の処理は、ECU2で実行され、走行中の走行路において許容できる最大の横加速度等を設定する処理である。この許容最大加速度は、例えば、運転者によって事前に設定されてもよいし、手動走行時にECU2の学習によって自動設定されても良い。同様に、希望限界速度、希望限界加速度、及び希望限界減速度を設定する。S60の処理が終了すると、許容最大速度の算出処理へ移行する(S62)。
【0068】
S62の処理は、ECU2で実行され、走行中の走行路において各地点での許容できる最大の速度を算出する処理である。許容最大速度は、S60の処理で入力した許容最大横加速度及び希望限界速度に基づいて算出される。S62の処理が終了すると、後続車両確認処理へ移行する(S64)。
【0069】
S64の処理は、ECU2で実行され、後続車両が存在し追従しているか否か判定する処理である。例えば、通信部32、センサ33及びGPS受信機34から得られた情報に基づいて後続車両が存在し追従しているか否かを判定する。S64の処理において、後続車両が追従していると判定した場合には、走行計画生成処理へ移行する(S66)。
【0070】
S66の処理は、ECU2で実行され、後続車両との車間距離を維持するように許容最大速度で走行するための走行計画を生成する処理である。例えば、ECU2は、S18の処理で算出した各地点での許容最大速度、GPS受信機34等から入力した走行環境条件等を考慮して、対象区間の走行計画を生成する。このように、後続車が存在する場合には、対象となる全区間において、自車両の燃費よりも交通流や安全性を優先した走行計画を生成する。なお、走行計画に含まれる速度パターンは、S60の処理で入力した希望限界加速度及び希望限界減速度を超えない範囲で、各区間の速度パターンの連続性を維持して生成される。S66の処理が終了すると、図7及び図8に示す制御処理を終了する。
【0071】
一方、S66の処理において、後続車両が追従していないと判定した場合には、低速走行区間の速度パターン生成処理へ移行する(S68)。S68の処理は、区間識別部21及び特定区間走行計画部22で実行され、低速走行区間の識別と、低速走行区間の速度パターンを生成する処理である。低速走行区間の速度パターンは低速走行区間の許容最大速度(ここでは30km/h)を維持した速度パターンを生成する。図10のbは、距離に依存した速度を示す速度パターンであり、S68の処理では、低速走行区間L1及びL3に対応する速度パターンを生成する。なお、低速走行区間においては低い速度を保つことが要求されるためエンジンよりも低出力のモータを駆動させ、他方、高速走行可能区間では高出力が要求されるためエンジンを駆動させる。このように、モータとエンジンとを選択的に駆動させる際には、めりはりをつけて使用することにより効率的なエネルギー利用が期待できる。このため、低速走行においては、バッテリーを使用したモータのみを用いて速度を維持する。S68の処理が終了すると、消費量算出処理へ移行する(S70)。
【0072】
S70の処理は、エネルギー推定部23で実行され、低速走行区間におけるバッテリーの消費量を算出する処理である。S70の処理では、バッテリー走行による消費量C2を、ハイブリット車両モデルを用いた一般的なシミュレーション手法等によって導出する。S70の処理が終了すると、目標充電量の設定処理へ移行する(S72)。
【0073】
S72の処理は、エネルギー推定部23で実行され、低速走行区間の開始地点における目標充電量を予め設定する処理である。S72の処理について、図10を用いて説明する。図10のaは、距離に依存した充電量を示すグラフである。エネルギー推定部23は、S68の処理で設定した低速走行区間L3の開始地点X3における目標充電量A2を設定する。目標充電量A2は、バッテリーの中間充電量をKとすると、S70の処理で算出した消費量C2を用いて以下の式3で表すことができる。
【0074】
A2=K+C2/2 …(3)
【0075】
このように目標充電量A2を設定することで、バッテリーの中間充電量を中心として、目標充電量A2の変化を制御することができる。S72の処理が終了すると、目標充電量の設定処理へ移行する(S74)。
【0076】
S74の処理は、エネルギー推定部23で実行され、低速走行区間の終了地点における目標充電量を予め設定する処理である。目標充電量B2は、バッテリーの中間充電量をKとすると、S70の処理で算出した消費量C2を用いて以下の式4で表すことができる。
【0077】
B2=K−C2/2 …(4)
【0078】
このように目標充電量B2を設定することで、バッテリーの中間充電量を中心に目標充電量A2の変化を制御することができる。S74の処理が終了すると、直前の低速走行区間における目標充電量の設定処理へ移行する(S76)。
【0079】
S76の処理は、エネルギー推定部23で実行され、S72及びS74の処理の処理対象である低速走行区間の直前の低速走行区間における目標充電量を設定する処理である。例えば、低速走行区間L3が処理対象であるとすると、その直前の低速走行区間L1において、開始地点での目標充電量A1、及び終了地点での目標充電量B1を算出する。算出方法は、S68〜S74の処理と同様である。S76の処理が終了すると、高速走行可能区間の必要エネルギーの算出処理へ移行する(S78)。
【0080】
S78の処理は、エネルギー推定部23で実行され、高速走行可能区間の必要エネルギーの算出する処理である。高速走行可能区間L2の開始地点は、低速走行区間L1の終了地点X2であり、終了地点X2の目標充電量はB1となる。他方、高速走行可能区間L2の終了地点は、低速走行区間L3の開始地点X3であり、開始地点X3の目標充電量はA2となる。開始地点X2と終了地点X3との間における走行エネルギーをP1とすると、高速走行可能区間で消費できる消費可能エネルギーD2は、以下の式1で表すことができる。
【0081】
D2=A2−B1+P1 …(5)
【0082】
走行エネルギーP1は、ハイブリット車両モデルを用いた一般的なシミュレーション手法等で算出することができ、開始地点X2と終了地点X3との速度差は、回生及び駆動する際の加減速を用いた速度パターンを生成して求めることができる。式5を用いることで、高速走行可能区間において消費可能なエネルギーを算出することができる。S78の処理が終了すると、エンジン駆動優先度の算出処理へ移行する(S80)。
【0083】
S80の処理は、エンジン駆動優先度取得部42で実行され、各高速走行可能区間に関してエンジン駆動優先度を算出する処理である。エンジン駆動優先度Qは、区間走行時間をT、高速走行可能区間の速度をV、低速走行区間の速度をVとすると、以下の式6を用いて表すことができる。
【0084】
Q=T・(V−V) …(6)
【0085】
エンジン駆動優先度取得部42は、式6を用いてエンジン駆動優先度Qを算出する。S80の処理が終了すると、高速走行可能区間の速度パターン生成処理へ移行する(S82)。
【0086】
S82の処理は、特定外区間走行計画部24で実行され、S80の処理で算出したエンジン駆動優先度Qの高い高速走行可能区間から順に速度パターンを生成する処理である。特定外区間走行計画部24は、最初にエンジン駆動優先度Qの最も高い高速走行可能区間について、速度パターンを生成する。特定外区間走行計画部24は、高速走行可能区間の上限の速度(法定速度)までエンジン熱効率最大域における加速をし、最大回生減速度による減速をした速度パターンを生成する。このように、エンジンを駆動させる場合には、エネルギーをより回収できるような速度パターンとする。また、エンジン駆動優先度Qの低い高速走行可能区間はモータを用いて走行する。S82の処理が終了すると、エネルギー収支の判定処理へ移行する(S84)。
【0087】
S84の処理は、総エネルギー推定部41で実行され、処理対象の全区間の総エネルギー収支がプラスとなっているか否かを判定する処理である。S84の処理において、全区間の総エネルギー収支がプラスになっていないと判定した場合には、エンジン駆動の優先度Qに応じてエンジンを駆動させる高速走行可能区間を増やし(S82)、全区間の総エネルギー収支がプラスになるまで繰りかえす。S84の処理において、全区間の総エネルギー収支がプラスとなった場合には、充電量確認処理へ移行する(S86)。
【0088】
S86の処理は、ECU2で実行され、バッテリーの充電量が不足している区間が存在するか否かを確認する処理である。バッテリー充電量が不足する区間が存在する場合には、エンジン駆動設定処理へ移行する(S88)。
【0089】
S88の処理は、特定外区間走行計画部24で実行され、バッテリー充電量の不足が発生する区間の直前の高速走行可能区間において、エンジン駆動をするように設定する処理である。速度パターンの生成方法は、S82の処理と同様である。S88の処理が終了すると、余剰エネルギー判定処理へ移行する(S90)。
【0090】
S90の処理は、ECU2で実行され、余剰エネルギーが存在するか否かを判定する処理である。余剰エネルギーが存在する場合として、例えば、S88の処理でエンジン駆動する高速走行可能区間が増えることによってエネルギー収入が増加し、他の区間においてエネルギーを消費することができない場合が挙げられる。S90の処理において、余剰エネルギーが発生すると判定した場合には、エンジン停止処理へ移行する(S92)。
【0091】
S92の処理は、ECU2で実行され、S90の処理で判定した余剰エネルギーを最小にするようにエンジンを停止する計画を生成する処理である。例えば、余剰エネルギーが発生する区間の直前のエンジン駆動する高速走行可能区間において、エンジンを停止する計画を生成する。これにより、余剰エネルギーを最小に抑えることができる。S92の処理が終了すると、図7及び図8の制御処理を終了する。
【0092】
以上、第2実施形態における走行計画生成装置40によれば、走行経路を特定の条件を満たす低速走行区間L1,L3と特定の条件を満たさない高速走行可能区間L2とに区別し、低速走行区間L3を走行する走行計画からその低速走行区間L3を走行する場合のエネルギー収支を推定し、推定したエネルギー収支を用いて低速走行区間L3の前の高速走行可能区間L2における走行計画を生成することができる。これにより、車両が低速走行区間L1,L3及び高速走行可能区間L2を連続走行する場合において、各区間のエネルギー収支の釣り合いを考慮して高速走行可能区間の走行計画を生成することができるので、エネルギー利用効率の良い走行計画を生成することができる。
【0093】
また、第2実施形態における走行計画生成装置40によれば、車両1が低速走行区間L1,L3及び高速走行可能区間L2を連続走行する場合において、高速走行可能区間L2において放出予定のエネルギー量に基づいて、高速走行可能区間L2の直後に走行予定である低速走行区間L1,L3において回収するエネルギー収入量を決定し、回収するエネルギー収入量に基づいて走行計画を生成することができる。これにより、エネルギー利用効率の良い走行計画を生成することができる。
【0094】
また、第2実施形態における走行計画生成装置40によれば、経路全体においてエネルギー収入がエネルギー支出を上回るように、エンジン駆動優先度Qに応じて高速走行可能区間L2の走行計画を生成することができる。複数ある高速走行可能区間L2の中で、一気にエンジン駆動することができる区間を、エンジン駆動優先度Qを用いて決定することにより、低燃費かつエンジン駆動による走行時間の短縮を両立することができる。
【0095】
なお、上述した各実施形態は本発明に係る走行計画生成装置の一例を示すものである。本発明に係る走行計画生成装置は、これらの各実施形態に係る走行計画生成装置に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で、各実施形態に係る走行計画生成装置を変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
【0096】
例えば、上記実施形態においては、処理対象となる区間を、2つの低速走行区間とその2つの低速走行区間に挟まれた高速走行可能区間の計3つの場合について説明しているが、低速走行区間と高速走行可能区間が連続していれば3つ以上の区間であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】第1実施形態に係る走行計画生成装置が備わる車両の構成図である。
【図2】第1実施形態に係る走行計画生成装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】第1実施形態に係る走行計画生成装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】図1の車両の経路を示す概要図である。
【図5】図1の車両において、距離に依存した充電量及び速度を示すグラフである。
【図6】第2実施形態に係る走行計画生成装置が備わる車両の構成図である。
【図7】第2実施形態に係る走行計画生成装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】第2実施形態に係る走行計画生成装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】図6の車両の経路を示す概要図である。
【図10】図6の車両において、距離に依存した充電量及び速度を示すグラフである。
【符号の説明】
【0098】
1…車両、20,40…走行計画生成装置、21…区間識別部(区間区別手段)、23…エネルギー推定部(エネルギー推定手段)、24…特定外区間走行計画部(走行計画生成手段)、41…総エネルギー推定部(全エネルギー収支推定手段)、42…エンジン駆動優先度取得部(優先度取得手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリット車両の走行経路における走行計画を生成する走行計画生成装置であって、
前記走行経路内を、所定の条件を満たす特定区間と前記特定区間以外の区間である特定外区間とに区別する区間区別手段と、
前記特定区間を所定の走行計画で走行する際のエネルギー収支を推定するエネルギー収支推定手段と、
前記エネルギー収支に基づいて前記特定区間の前の前記特定外区間における走行計画を生成する走行計画生成手段と、
を備えることを特徴とする走行計画生成装置。
【請求項2】
前記走行計画生成手段は、前記エネルギー収支と、所定の駆動手段で駆動を行った際の目標速度に応じたエネルギー収支との比較に基づいて前記特定外区間における速度パターンを生成することを特徴とする請求項1に記載の走行計画生成装置。
【請求項3】
前記走行計画生成手段は、前記エネルギー推定手段によってエネルギー収入が推定される場合には、推定されたエネルギー収入量に応じたエネルギーを放出する走行計画を生成することを特徴とする請求項1又は2に記載の走行計画生成装置。
【請求項4】
前記走行計画生成手段は、前記エネルギー推定手段によりエネルギー支出が推定される場合には、推定されたエネルギー支出量に応じたエネルギーを回収する走行計画を生成することを特徴とする請求項1又は2に記載の走行計画生成装置。
【請求項5】
前記特定外区間においてエンジンを駆動させる優先度を取得する優先度取得手段と、
前記走行経路の全区間におけるエネルギー収支を推定する全エネルギー収支推定手段と、
を備え、
前記走行計画生成手段は、経路全体においてエネルギー収入がエネルギー支出を上回るように、前記優先度に応じて前記特定外区間の走行計画を生成すること、
を特徴とする請求項4に記載の走行計画生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−56964(P2009−56964A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−226550(P2007−226550)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】