説明

起動タイミング決定システム及び起動タイミング決定方法

【課題】
車載装置の起動タイミングを適切に決定する。
【解決手段】
取得手段711が、車両CRの停止位置、及び、利用者URの現在位置を取得する。また、直行方向認識手段712が、利用者URの現在位置から車両CRの停止位置への最短経路方向を直行方向と認識し、進行方向認識手段713が、利用者URの現在位置の変化方向を進行方向と認識する。そして、車両CRの停止位置、利用者URの現在位置、直行方向、進行方向に基づいて、推定手段714が、利用者URの移動経路に関する行動パターンを推定する。また、利用者URが車両CRから離れる度に、決定手段715が、車両CRの停止位置、利用者URの現在位置、直行方向、進行方向、及び、行動パターンに基づいて、車載装置720の起動タイミングを決定する。そして、起動指令手段716が、起動タイミングとなると、起動指令を車載装置720へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、起動タイミング決定システム、起動タイミング決定方法及び起動タイミング決定プログラム、並びに、当該起動タイミング決定プログラムが記録された記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車等の車両の多くには、ナビゲーション装置をはじめとして、様々な車載装置が搭載されている。こうした車載装置は、情報処理技術の進展に伴い、高機能化が進んでいる。このため、車載装置の初期起動のための時間は、長くなる傾向にある。
【0003】
このため、利用者が、車載装置の初期起動を待つ時間を短くするための技術が提案されている。こうした提案技術の一例として、エンジンキーのオン操作を待つことなく、当該操作に先立つドアロック解除等を検出して、車載装置の初期起動を開始する技術がある(特許文献1,2参照:以下、「従来例1,2」と呼ぶ)。
【0004】
また、車両の駐車時間を予測して、車載装置の起動間隔の管理を行う技術がある(特許文献3参照:以下、「従来例3」と呼ぶ)。この従来例3の技術では、車両を駐車する際に、車載装置を間欠待機状態とし、過去の駐車履歴や駐車スケジュールに基づいて駐車時間を予測し、予測された駐車時間で最も起動間隔が短くなるように、間欠待機状態にある車載装置の起動間隔を管理するようにしている。なお、従来例3の技術では、駐車した時間と駐車先のジャンルとを関連付けて記録をしておき、当該記録結果に基づいて得られる一種の学習結果に基づく管理を行うことにより、起動間隔の管理の精度向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−38032号公報
【特許文献2】特開2005−189060号公報
【特許文献3】特開2007−269109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の従来例1,2の技術では、車載装置の初期起動の開始に際して、ドアロック解除等という、利用者が車両に接触する操作、又は、利用者が車両の近傍にまで近付いて行う操作を必須としている。この結果、車載装置の初期起動が開始されてから、当該車載装置の利用開始を希望するまでの時間が短い。このため、車載装置の初期起動のための長時間化の傾向に、十分には対応できない。
【0007】
また、上述した従来例3の技術では、駐車先のジャンルに応じた予測を行っている。この結果、駐車先のジャンルが同一であっても、その日の目的によって駐車時間が異なるという通常に発生する事態に対して、精度良く対応することができない。
【0008】
このため、利用者による利用開始の時点までに初期起動のための時間の確保を図りつつ、適切な時点で車載装置の初期起動を開始することができる技術が望まれている。かかる要請に応えることが、本発明が解決すべき課題の一つとして挙げられる。
【0009】
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであり、車載装置の起動タイミングを適切に決定することができる新たな起動タイミング決定システム及び新たな起動タイミング決定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、車両に搭載された車載装置の起動タイミングを決定する起動タイミング決定システムであって、前記車両の停止位置、及び、前記車両の利用者の現在位置を取得する取得手段と;前記取得された利用者の現在位置の履歴に基づいて、前記車両から離れてから前記車両に戻るまでの前記利用者の移動経路に関する行動パターンを推定する推定手段と;前記推定された行動パターン、前記車両の停止位置、及び、前記取得された利用者の現在位置に基づいて、前記車載装置の起動タイミングを決定する決定手段と;前記決定された起動タイミングとなった時点で、前記車載装置の起動指令を行う起動指令手段と;を備えることを特徴とする起動タイミング決定システムである。
【0011】
請求項6に記載の発明は、車両に搭載された車載装置の起動タイミングを決定する起動タイミング決定システムにおいて使用される起動タイミング決定方法であって、前記車両の停止位置、及び、前記車両の利用者の現在位置を取得する取得工程と;前記取得された利用者の現在位置の履歴に基づいて、前記車両から離れてから前記車両に戻るまでの前記利用者の移動経路に関する行動パターンを推定する推定工程と;前記推定された行動パターン、前記車両の停止位置、及び、前記取得された利用者の現在位置に基づいて、前記車載装置の起動タイミングを決定する決定工程と;前記決定された起動タイミングとなった時点で、前記車載装置の起動指令を行う起動指令工程と;を備えることを特徴とする起動タイミング決定方法である。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の起動タイミング決定方法を演算手段により実行させる、ことを特徴とする起動タイミング決定プログラムである。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の起動タイミング決定プログラムが、演算手段により読取可能に記録されている、ことを特徴とする記録媒体である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る起動タイミング決定システムの構成を説明するためのブロック図である。
【図2】本発明の一実施例に係る起動タイミング決定システムの構成を概略的に説明するためのブロック図である。
【図3】図2のサーバ装置の構成を説明するためのブロック図である。
【図4】図2の車載装置の構成を説明するためのブロック図である。
【図5】行動パターンの例を説明するための図(その1)である。
【図6】行動パターンの例を説明するための図(その2)である。
【図7】行動パターンの例を説明するための図(その3)である。
【図8】図2の起動決定タイミング決定システムによる起動タイミングの決定処理を説明するためのフローチャートである。
【図9】図8の行動パターンに対応した起動タイミングの決定処理を説明するためのフローチャートである。
【図10】図9の第1タイミング決定処理を説明するためのフローチャートである。
【図11】図9の第2タイミング決定処理を説明するためのフローチャートである。
【図12】図9の第3タイミング決定処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を、図1を参照して説明する。なお、以下の説明においては、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
[構成]
図1には、一実施形態に係る起動タイミング決定システム700の概略的な構成が示されている。
【0017】
この図1に示されるように、起動タイミング決定システム700は、サーバ装置710と、車両CRに搭載された車載装置720と、利用者URが携帯する位置送信装置730とを備えている。ここで、サーバ装置710は、所定の建屋内等の固定的な位置に配置されている。また、車載装置720は、車両CRとともに移動する。また、位置送信装置730は、利用者URとともに移動する。
【0018】
サーバ装置710は、車載装置720及び位置送信装置730との間で、ネットワークシステムNWSを介して、データ通信を行うことができるようになっている。なお、サーバ装置710と、車載装置720及び位置送信装置730との間の詳細な情報のやり取りについては後述する。
【0019】
<サーバ装置710>
上記のサーバ装置710は、取得手段711と、直行方向認識手段712と、進行方向認識手段713とを備えている。また、サーバ装置710は、推定手段714と、決定手段715と、起動指令手段716とを備えている。
【0020】
上記の取得手段711は、車載装置720から送られた車両CRの現在位置情報、及び、位置送信装置730から送られた利用者URの現在位置情報を受信する。取得手段711は、車載装置720からの定期的な車両CRの現在位置情報の報告が途絶えた場合に、最後に車載装置720から送られた車両CRの現在位置情報から把握される車両CRの位置を、車両CRの停止位置として特定する。そして、取得手段711は、車両CRの停止位置、及び、利用者URの現在位置を、直行方向認識手段712、進行方向認識手段713、推定手段714及び決定手段715へ送る。
【0021】
上記の直行方向認識手段712は、取得手段711から送られた車両CRの停止位置及び利用者URの現在位置を受ける。そして、直行方向認識手段712は、利用者URの現在位置から車両CRの停止位置への最短経路の方向を直行方向と認識する。直行方向認識手段712により認識された直行方向(以下、単に、「直行方向」ともいう)は、推定手段714及び決定手段715へ送られる。
【0022】
上記の進行方向認識手段713は、取得手段711から送られた車両CRの停止位置及び利用者URの現在位置を受ける。そして、進行方向認識手段713は、利用者URの現在位置の変化方向を利用者URの進行方向と認識する。進行方向認識手段713により認識された進行方向(以下、単に、「進行方向」ともいう)は、推定手段714及び決定手段715へ送られる。
【0023】
上記の推定手段714は、取得手段711から送られた車両CRの停止位置及び利用者URの現在位置、並びに、直行方向認識手段712から送られた直行方向、及び、進行方向認識手段713から送られた進行方向を受ける。そして、推定手段714は、車両CRから離れてから車両CRに戻るまでの利用者URの移動経路に関する行動パターンを推定する。こうして推定された利用者URの行動パターンは、決定手段715へ送られる。なお、推定手段714による行動パターンの推定処理については、後述する。
【0024】
上記の決定手段715は、取得手段711から送られた車両CRの停止位置及び利用者URの現在位置、並びに、直行方向認識手段712から送られた直行方向、進行方向認識手段713から送られた進行方向、及び、推定手段714から送られた行動パターンの情報を受ける。そして、決定手段715は、利用者URの行動パターンを参照して、車載装置720の起動を開始すべきタイミングを決定する。こうして決定された起動タイミングは、起動指令手段716へ送られる。なお、決定手段715による起動タイミングの決定処理については、後述する。
【0025】
上記の起動指令手段716は、決定手段715から送られた起動タイミングを受ける。そして、起動指令手段716は、起動タイミングとなると、起動指令を、ネットワークシステムNWSを介して、車載装置720へ送信する。
【0026】
<車載装置720>
上記の車載装置720は、車両CRとともに移動し、いずれも不図示の車両位置検出部と、車両位置送信部と、起動処理部とを備えている。
【0027】
上記の車両位置検出部は、車両CRの現在位置を検出する。車両位置検出部による検出結果は、車両位置送信部へ送られる。
【0028】
上記の車両位置送信部は、車両位置検出部から送られた車両CRの現在位置情報を受ける。そして、車両位置送信部は、車両CRの現在位置情報を、ネットワークシステムNWSを介して、サーバ装置710へ送信する。
【0029】
なお、本実施形態では、車両位置検出部及び車両位置送信部は、車両CRのエンジンキーのOFF操作が行われると、動作を中断するようになっている。
【0030】
上記の起動処理部は、サーバ装置710から送られた起動指令を受ける。そして、起動指令を受けた起動処理部は、車載装置720の起動を開始する。なお、起動処理部は、車両CRのエンジンキーのOFF操作が行われても、動作を継続するようになっている。
【0031】
<位置送信装置730>
上記の位置送信装置730は、利用者URとともに移動し、いずれも不図示の利用者位置検出部と、利用者位置送信部とを備えている。
【0032】
上記の利用者位置検出部は、利用者URの現在位置を検出する。利用者位置検出部による検出結果は、利用者位置送信部へ送られる。
【0033】
上記の利用者位置送信部は、利用者位置検出部から送られた利用者URの現在位置情報を受ける。そして、利用者位置送信部は、利用者URの現在位置情報を、ネットワークシステムNWSを介して、サーバ装置710へ送信する。
【0034】
[動作]
上記のように構成された起動タイミング決定システム700において実行される起動タイミング決定方法について、説明する。
【0035】
<行動パターン推定処理>
まず、推定手段714によって実行される行動パターン推定処理について説明する。かかる行動パターン推定処理は、一種の学習処理であり、利用者URが車両CRから離れてから、車両CRに戻るまでの利用者URの現在位置の履歴の累積結果に基づいて実行される。
【0036】
推定手段714は、上述したように、取得手段711から送られた車両CRの停止位置及び利用者URの現在位置、並びに、直行方向認識手段712から送られた直行方向、及び、進行方向認識手段713から送られた進行方向に基づいて、車両CRから離れてから車両CRに戻るまでの利用者URの移動経路に関する行動パターンを推定する。例えば、直行方向と進行方向とが所定誤差範囲で一致(以下、単に「一致」ともいう)した後に、かかる一致が維持されたまま利用者URが車両CRの停止位置に到達する傾向がある場合には、推定手段714は、車両CRの停止位置への直行を開始した後には直行状態を継続する行動パターン(以下、「第1行動パターン」という)を、利用者URの行動パターンとして推定する。
【0037】
また、例えば、利用者URの現在位置の履歴に基づいて、車両CRの停止位置に到達するまでにUターンを繰り返す傾向がある場合には、推定手段714は、車両CRの停止位置に到達するまでにUターンを繰り返す行動パターン(以下、「第2行動パターン」という)を、利用者URの行動パターンとして推定するとともに、平均Uターン回数を算出する。さらに、例えば、利用者URの現在位置の履歴に基づいて、利用者URが車両CRの停止位置に一度到達した後に、再度車両CRから離れる確率が所定確率値以上である場合には、推定手段714は、利用者URが再度車両CRから離れる行動パターン(以下、「第3行動パターン」という)を、利用者URの行動パターンとして推定する。
【0038】
推定手段714は、推定された利用者URの行動パターンを決定手段715へ送る。
【0039】
<起動タイミング決定処理>
次に、決定手段715によって実行される起動タイミング決定処理について説明する。かかる起動タイミング決定処理は、利用者URが車両CRから離れる度に、利用者URの現在位置の変化に基づいて実行される。
【0040】
決定手段715は、上述したように、取得手段711から送られた車両CRの停止位置及び利用者URの現在位置、並びに、直行方向認識手段712から送られた直行方向、進行方向認識手段713から送られた進行方向、及び、推定手段714から送られた行動パターンの情報を受ける。そして、決定手段715は、利用者URの行動パターンを参照して、車載装置720の起動を開始すべきタイミングを決定する。
【0041】
利用者URの行動パターンとして第1行動パターンが推定されている場合には、決定手段715は、直行方向と進行方向とが所定誤差範囲で一致する時間が所定時間以上となったか否かを判定することにより、車両CRの停止位置への直行している直行状態となったか否かを判定する。そして、決定手段715は、直行状態となったと判定されると、利用者URの現在位置の変化速度と、利用者URの現在位置から車両CRの停止位置までの距離と、車載装置720の所要起動時間とに基づいて、起動タイミングを決定する。
【0042】
また、利用者URの行動パターンとして第2行動パターンが推定されている場合には、決定手段715は、利用者URの現在位置の時間変化に基づいて、利用者URが平均Uターン回数のUターンを行ったか否かを判定する。そして、平均Uターン回数のUターンを行ったと判定されると、決定手段715が、上述した第1行動パターンが推定されている場合と同様の処理を行って、起動タイミングを決定する。
【0043】
また、利用者URの行動パターンとして第3行動パターンが推定されている場合には、決定手段715は、利用者URの現在位置の時間変化に基づいて、再度、車両CRの停止位置へ向かう移動を利用者が開始したか否かを判定する。そして、再度、車両CRの停止位置へ向かう移動を利用者が開始したと判定されると、決定手段715が、上述した第1行動パターンが推定されている場合と同様の処理を行って、起動タイミングを決定する。
【0044】
決定手段715は、決定された起動タイミングを起動指令手段716へ送る。起動タイミングを受けた起動指令手段716は、起動タイミングとなると、起動指令を、ネットワークシステムNWSを介して、車載装置720へ送信する。そして、起動指令を受けた車載装置720において、起動動作が開始される。
【0045】
以上説明したように、本実施形態では、取得手段711が、車両CRの停止位置、及び、車両CRの利用者URの現在位置を取得する。車両CRの停止位置及び利用者URの現在位置に基づいて、直行方向認識手段712が、利用者URの現在位置から車両CRの停止位置への最短経路の方向を直行方向と認識するとともに、進行方向認識手段713が、利用者URの現在位置の変化方向を利用者URの進行方向と認識する。そして、車両CRの停止位置、利用者URの現在位置、及び、認識された直行方向と認識された進行方向との関係の履歴に基づいて、推定手段714が、車両CRから離れてから車両CRに戻るまでの利用者URの移動経路に関する行動パターンを推定する。
【0046】
また、利用者URが、停止した車両CRから離れる度に、決定手段715が、車両CRの停止位置、利用者URの現在位置、認識された直行方向と進行方向との関係、及び、推定された行動パターンに基づいて、車載装置720の起動を開始すべきタイミングを決定する。そして、起動指令手段716が、起動タイミングとなると、起動指令を車載装置720へ送信する。
【0047】
したがって、本実施形態によれば、停止中の車両CRに搭載された車載装置720の起動タイミングを適切に決定することができ、決定された起動タイミングで車載装置720の起動を開始させることができる。
【0048】
なお、上記の実施形態において、推定手段が、車両CRが停止した位置周辺の施設ごとに、利用者URの行動パターンを推定するようにしてもよい。
【0049】
また、上記の実施形態におけるサーバ装置を、演算手段としてのコンピュータを備えて構成し、上述したサーバ装置の機能を、プログラムを実行することにより実現するようにすることができる。これらのプログラムは、CD−ROM,DVD等の可搬型記録媒体に記録された形態で取得されるようにしてもよいし、インターネットなどのネットワークを介した配信の形態で取得されるようにすることができる。
【実施例】
【0050】
以下、本発明の起動タイミング決定システムの一実施例を、図2〜図12を参照して説明する。なお、以下の説明及び図面においては、同一又は同等の要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0051】
[構成]
図2には、一実施例に係る起動タイミング決定システム100の概略的な構成が示されている。なお、起動タイミング決定システム100は、上述した一実施形態の起動タイミング決定システム700(図1)の一態様となっている。
【0052】
図2に示されるように、起動タイミング決定システム100は、サーバ装置710としてのサーバ装置200と、車載装置720としての車載装置300と、位置送信装置730としての携帯電話装置400とを備えている。ここで、サーバ装置200は、例えば、所定の建物内の固定的な位置に配置されている。また、車載装置300は、車両CRに搭載されており、車両CRとともに移動するようになっている。また、携帯電話装置400は、車両CRの利用者URが携帯しており、利用者URとともに移動するようになっている。
【0053】
上記のサーバ装置200は、ネットワークシステム500を介して、車載装置300、及び、携帯電話装置400と通信可能となっている。サーバ装置200が、車載装置300、及び、携帯電話装置400との間で授受するデータの内容については、後述する。
【0054】
上記の車載装置300及び携帯電話装置400は、ネットワークシステム500を介して、サーバ装置200とデータ通信を行うようになっている。車載装置300及び携帯電話装置400が、サーバ装置200との間で授受するデータの内容については、後述する。
【0055】
<サーバ装置200の構成>
上記のサーバ装置200は、車両CRの停止位置及び利用者URの現在位置の取得機能、直行方向及び進行方向の認識機能、利用者URの移動経路に関する行動パターンの推定機能、車載装置300の起動タイミングの決定機能、車載装置300への起動指令機能を有している。これらの機能を有するサーバ装置200は、図3に示されるように、記憶装置210と、送受信部220と、取得手段711、直行方向認識手段712、進行方向認識手段713、推定手段714、決定手段715及び起動指令手段716としての処理制御部230とを備えている。
【0056】
上記の記憶装置210は、不揮発性の記憶装置であるハードディスク装置等から構成される。記憶装置210は、行動パターン情報(PTA)、不図示の地図情報等の様々なデータを記憶する。この記憶装置210には、処理制御部230がアクセスできるようになっている。
【0057】
上記の行動パターン情報(PTA)には、車両CRが停止した位置周辺の施設ごとの利用者URの「行動パターン」が記憶されている。この行動パターン情報(PTA)の具体例については、後述する。
【0058】
上記の送受信部220は、ネットワークシステム500との通信制御を行う。この送受信部220は、ネットワークシステム500から受信したデータを処理制御部230へ送る。また、送受信部220は、処理制御部230から受信したデータをネットワークシステム500へ送る。
【0059】
この送受信部220を利用することにより、サーバ装置200(より詳しくは、処理制御部230)は、車載装置300及び携帯電話装置400との間で通信を行うことができるようになっている。
【0060】
上記の処理制御部230は、サーバ装置200の全体を統括制御する。この処理制御部230は、中央処理装置(CPU)及びその周辺回路を備えて構成されている。処理制御部230が様々なプログラムを実行することにより、上記の機能が実現されるようになっている。
【0061】
この処理制御部230は、送受信部220を介して、定期的に車載装置300から送られた車両位置データCPSを受信し、車両CRの現在位置を取得する。また、処理制御部230は、送受信部220を介して、定期的に携帯電話装置400から送られた利用者位置データUPSを受信し、利用者URの現在位置を取得する。そして、処理制御部230は、車載装置300からの定期的な車両位置データCPSの送信が途絶えた場合に、最後に車載装置300から送られた車両位置データCPSから把握される車両CRの位置を、車両CRの停止位置として特定する。
【0062】
また、処理制御部230は、利用者URの現在位置から車両CRの停止位置への最短経路の方向を「直行方向」と認識する。また、処理制御部230は、利用者URの現在位置の変化方向を利用者URの「進行方向」と認識する。
【0063】
そして、処理制御部230は、車両CRの停止位置、利用者URの現在位置、直行方向、及び、進行方向の履歴に基づいて、車両CRから離れてから車両CRに戻るまでの利用者URの移動経路に関する行動パターンを推定する。こうして推定された行動パターンは、車両CRが停止した位置周辺の施設情報を付加して、行動パターン情報(PTA)として記憶装置210中に記憶される。当該行動パターンの推定に関する処理については、後述する。
【0064】
また、処理制御部230は、車両CRの停止している位置周辺の施設と行動パターン情報(PTA)に含まれる施設情報とが一致する場合に、利用者URの行動パターンを参照して、今回の車両CRの停止位置、並びに、利用者URの現在位置、直行方向、及び、進行方向の変化に基づいて、車載装置300の起動を開始すべきタイミングを決定する。そして、処理制御部230は、起動タイミングとなると、起動指令STDを、送受信部220を介して、車載装置300へ送信する。なお、処理制御部230は、車載装置300からの後述する予測起動要求SRQを受信したときに、この起動タイミングの決定処理を行うようになっている。当該起動タイミングの決定に関する処理については、後述する。
【0065】
<車載装置300の構成>
上記の車載装置300は、図4に示されるように、GPS(Global Positioning System)受信部310と、無線通信部320と、処理部330とを備えている。また、車載装置300は、スピーカ340と、表示器350と、操作入力部360とを備えている。
【0066】
上記のGPS受信部310は、複数のGPS衛星からの電波の受信結果に基づいて、車両CRの現在位置を算出する。この現在位置に関する情報は、位置データGPSとして処理部330へ送られる。
【0067】
上記の無線通信部320は、不図示のアンテナ等を備えて構成されている。この無線通信部320は、当該アンテナで受信した受信信号を処理して、処理部330で処理可能なデジタルデータ信号に変換する。また、無線通信部320は、処理部330からの送信信号を処理して、無線信号に対応する信号に変換し、アンテナから送出する。
【0068】
この無線通信部320を利用することにより、車載装置300(より詳しくは、処理御330)が、サーバ装置200との間で通信を行うことができるようになっている。
【0069】
上記の処理部330は、車載装置300の全体を統括制御する。この処理部330は、位置送信部331と、起動指令部332と、機能実行部333とを備えている。ここで、位置送信部331及び機能実行部333は、車両CRのエンジンキーのOFF操作が行われると、動作を中断するようになっている。一方、起動指令部332は、車両CRのエンジンキーのOFF操作が行われても、動作を継続するようになっている。
【0070】
上記の位置送信部331は、GPS受信部310が計測した位置データGPSを受ける。そして、位置送信部331は、当該位置データGPSを、定期的に車両位置データCPSとして、無線通信部320を介して、サーバ装置200へ送信する。
【0071】
上記の起動指令部332は、車両CRのエンジンキーのOFF操作が行われている期間に、無線通信部320を介して、サーバ装置200から送られた起動指令STDを受信する。そして、起動指令部332は、起動指令STDを受信すると、機能実行指令STCを生成して機能実行部333へ送る。
【0072】
上記の機能実行部333は、車両CRのエンジンキーのOFF操作が行われている期間に、起動指令部332から送られた機能実行指令STCを受けると、車載装置300の起動を開始する。そして、機能実行部333は、エンジンキーのOFF操作が行われるまで、車載装置300の機能実行処理を実行する。
【0073】
ここで、車載装置300が、ナビゲーション装置である場合には、機能実行部333は、スピーカ340からの案内音声出力及び表示器350による地図表示等を利用した走行ルートの案内誘導等を行う。また、車載装置300が、音響装置である場合には、機能実行部333は、スピーカ340から楽曲音声を出力するとともに、表示器350を利用した操作情報等の表示を行う。
【0074】
また、機能実行部333は、操作入力部360から送られた指令の内容が車載装置300の予測起動を行うモード設定であるときには、予測起動要求SRQを生成し、無線通信部320を介して、サーバ装置200へ送信する。
【0075】
上記のスピーカ340は、処理部330から送られた出力音声信号AOSを受ける。そして、スピーカ340は、出力音声信号AOSに従って、音声を出力する。
【0076】
上記の表示器350は、液晶パネル等の表示デバイスを備えて構成され、処理部330から送られた出力表示信号IMDを受ける。そして、表示器350は、出力表示信号IMDに従って、画像を表示する。
【0077】
上記の操作入力部360は、車載装置300の本体部に設けられたキー部、及び/又はキー部を備えるリモート入力装置等により構成される。この操作入力部360を利用者URが操作することにより、車載装置300の動作内容の設定や動作指令が行われる。例えば、ナビゲーション処理や音響信号処理の設定指令、車載装置300の予測起動を行うモード設定を、利用者URが操作入力部360を利用して行う。こうした入力内容は、操作入力データIPDとして、処理部330へ向けて送られる。
【0078】
<携帯電話装置400の構成>
上記の携帯電話装置400(図2参照)は、不図示の位置検出部、位置送信部を備えて構成される。
【0079】
上記の位置検出部は、複数のGPS衛星からの電波の受信結果に基づいて、携帯電話装置400の現在位置、すなわち、携帯電話装置400を携帯して移動する利用者URの現在位置を算出する。上記の位置送信部は、位置検出部による検出結果を、定期的に利用者位置データUPSとして、サーバ装置200へ送信する。
【0080】
[動作]
以上のようにして構成された起動タイミング決定システム100の動作について、サーバ装置200による車載装置300の起動タイミング決定処理に主に着目して説明する。
【0081】
<行動パターンの推定処理>
まず、車両CRから離れてから車両CRに戻るまでの利用者URの移動経路に関する行動パターンの推定処理について説明する。
【0082】
当初においては、車両CRのエンジンキーはON状態であり、車載装置300は、ナビゲーション処理や音響信号処理等の機能実行処理を行っているものとする。そして、車載装置300は、車両CRの現在位置を計測し、定期的に車両位置データCPSを、サーバ装置200へ送信しているものとする。また、携帯電話装置400は、当該装置の現在位置を計測し、定期的に利用者位置データUPSを、サーバ装置200へ送信しているものとする。
【0083】
このような状況下で、車両CRのエンジンキーのOFF操作が行われ、車載装置300からの定期的な車両位置データCPSの送信が途絶えると、サーバ装置200の処理制御部230は、最後に車載装置300から送られた車両位置データCPSから把握される車両CRの位置を、車両CRの停止位置として特定する。
【0084】
こうして車両CRの停止位置が特定されると、処理制御部230は、直行方向及び進行方向を認識する。そして、処理制御部230は、車両CRの停止位置、利用者URの現在位置、直行方向、及び、進行方向に基づいて、利用者URの移動経路に関する行動パターンを推定する。引き続き、処理制御部230は、推定された行動パターンに車両CRの停止位置周辺の施設情報を付加して、行動パターン情報(PTA)として記憶装置210中に記憶させる。
【0085】
例えば、図5に示されるように、利用者URが車両CRから離れてABC販売店に入り、しばらくした後に、利用者URがABC販売店から出て駐車場に進入する。そして、直行方向と進行方向とが所定誤差範囲で一致した後に、かかる一致が維持されたまま利用者URが車両CRの停止位置に到達したとする。ここで、利用者URが車両CRから離れてABC販売店に入る移動経路を点線で示し、利用者URがABC販売店から出てから車両CRに戻るまでの移動経路を太い実線で示している(後述する図6、図7についても同様)。
【0086】
こうした傾向がある場合には、処理制御部230は、車両CRの停止位置への直行を開始した後には直行状態を継続する行動パターン(第1行動パターン)を、利用者URの行動パターンとして推定する。なお、本実施例では、利用者URの歩行速度は一定とする。
【0087】
また、例えば、図6に示されるように、利用者URの現在位置の履歴に基づいて、利用者URがABC販売店から出て駐車場に進入した後に、車両CRの停止位置に到達するまでにUターンを繰り返す傾向がある場合には、処理制御部230は、車両CRの停止位置に到達するまでにUターンを繰り返す行動パターン(第2行動パターン)を、利用者URの行動パターンとして推定するとともに、平均Uターン回数を算出する。
【0088】
また、例えば、図7に示されるように、利用者URの現在位置の履歴に基づいて、利用者URがABC販売店から出て駐車場に進入した後に、利用者URが車両CRの停止位置に一度到達した後に、再度車両CRから離れる確率が所定確率値以上である場合には、処理制御部230は、利用者URが再度車両CRから離れる行動パターン(第3行動パターン)を、利用者URの行動パターンとして推定する。こうした第3行動パターンを行う利用者URとしては、例えば、駐車場入口からショッピングカートを使用して買物を車両CRに積んだ後、ショッピングカートを駐車場入口に戻す行動等が挙げられる。
【0089】
こうして推定された利用者URの移動経路に関する行動パターンは、車載装置300の起動タイミングの決定処理の際に利用される。
【0090】
<起動タイミングの決定処理>
次に、車載装置300の起動タイミングの決定処理について説明する。
【0091】
なお、車両CRの利用者URは、車載装置300の予測起動を行うモードに設定しているものとする。また、携帯電話装置400は、当該装置の現在位置を計測し、定期的に利用者位置データUPSを、サーバ装置200へ送信しているものとする。また、本実施例では、上述した第1〜第3行動パターンのいずれかが、利用者URの行動パターンとして推定された場合には、車両CRが停止した位置周辺の施設情報と関連付けて、推定された行動パターンが、行動パターン情報(PTA)として記憶されているものとする。
【0092】
この起動タイミングの決定処理は、サーバ装置200の処理制御部230が、車両CRの停止位置を特定し、利用者URが車両CRから離れる度に、開始される。こうして起動タイミングの決定処理が開始されると、図8に示されるように、ステップS11において、処理制御部230が、記憶装置210にアクセスし、車両CRの停止位置周辺の施設の行動パターンが登録されているか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS11:N)には、起動タイミングの決定処理が終了する。
【0093】
一方、ステップS11における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS11:Y)には、処理はステップS12へ進む。ステップS12では、処理制御部230が、車両CRの停止位置周辺の施設における行動パターンを読み取る。この後、処理はステップS13へ進む。
【0094】
ステップS13では、車両CRの停止位置、利用者URの現在位置、直行方向、及び、進行方向に基づいて、利用者URの行動パターンに対応した車載装置300の起動タイミングの決定処理が行われる。この起動タイミングの決定処理の内容については、後述する。
【0095】
引き続き、ステップS14において、処理制御部230が、決定された起動タイミングとなったか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS14:N)には、ステップS14の処理が繰り返される。一方、ステップS14における判定の結果が肯定的になると(ステップS14:Y)、処理はステップS15へ進む。なお、最適な起動タイミングが既に過ぎている場合には、処理制御部230は、ステップS14における判定の結果を肯定的であるとみなすようになっている。ステップS15では、処理制御部230が、起動指令STDを、送受信部220を介して、車載装置300へ送信する。この後、起動タイミングの決定処理が終了する。この結果、起動指令STDを受信した車載装置300では、起動動作が開始される。
【0096】
なお、起動タイミングの決定処理と並行して、上述した行動パターンの推定処理が実行される。
【0097】
≪行動パターンに対応した起動タイミングの決定処理≫
上記のステップS13における「起動タイミングの決定処理」について説明する。
【0098】
起動タイミングの決定処理に際しては、図9に示されるように、ステップS21において、処理制御部230が、第1行動パターンが利用者URの行動パターンとして推定されたか否かを判定する。この判定の結果が肯定的であった場合(ステップS21:Y)には、処理はステップS22へ進む。このステップS22では、第1行動パターンに対応した「第1タイミング決定処理」が行われる。
【0099】
一方、ステップS21における判定の結果が否定的であった場合(ステップS21:N)には、処理はステップS23へ進む。そして、ステップS23では、処理制御部230が、第2行動パターンが利用者URの行動パターンとして推定されたか否かを判定する。この判定の結果が肯定的であった場合(ステップS23:Y)には、処理はステップS24へ進む。このステップS24では、第2行動パターンに対応した「第2タイミング決定処理」が行われる。一方、ステップS23における判定の結果が否定的であった場合(ステップS23:N)には、処理はステップS25へ進む。このステップS25では、第3行動パターンに対応した「第3タイミング決定処理」が行われる。
【0100】
上記のステップS22における第1行動パターン(図5参照)に対応した「第1タイミング決定処理」について説明する。この決定処理に際しては、図10に示されるように、まず、ステップS31において、処理制御部230が、利用者URが駐車場に近づいたか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS31:N)には、ステップS31の処理が繰り返される。
【0101】
一方、ステップS31における判定の結果が肯定的になると(ステップS31:Y)、処理はステップS32へ進む。ステップS32では、処理制御部230が、直行方向及び進行方向を識別する。引き続き、ステップS33において、処理制御部230が、直行状態となったか否か、すなわち、直行方向と進行方向とが所定誤差範囲内で一致し、当該一致する時間が所定時間以上となったか否かを判定する。ここで、所定時間は、実験、シミュレーション等に基づいて、予め定められる。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS33:N)には、処理はステップS32へ戻る。
【0102】
一方、ステップS33における判定の結果が肯定的になると(ステップS33:Y)、処理はステップS34へ進む。ステップS34では、処理制御部230が、利用者URの現在位置の変化速度、利用者URの現在位置から車両CRの停止位置までの距離、及び、車載装置300の所要起動時間に基づいて、起動タイミングを決定する。例えば、利用者URの変化速度をVU、利用者URの現在位置から停止位置までの距離をL、車載装置300の所要起動時間をTSとした場合に、(L/VU≦TS)の関係を満たしたときを起動タイミングと決定する。こうして起動タイミングが決定されると、ステップS22の処理が終了する。そして、処理は、上述した図8におけるステップS14へ進む。
【0103】
次に、上記のステップS24における第2行動パターン(図6参照)に対応した「第2タイミング決定処理」について説明する。この決定処理に際しては、図11に示されるように、まず、ステップS41において、上述したステップS31と同様に、処理制御部230が、利用者URが駐車場に近づいたか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS41:N)には、ステップS41の処理が繰り返される。
【0104】
一方、ステップS41における判定の結果が肯定的になると(ステップS41:Y)、処理はステップS42へ進む。ステップS42では、処理制御部230が、利用者URのUターン回数をカウントし、利用者URが平均Uターン回数のUターンを行ったか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS42:N)には、ステップS42の処理が繰り返される。
【0105】
一方、ステップS42における判定の結果が肯定的になると(ステップS42:Y)、処理はステップS43へ進む。ステップS43では、上述したステップS32と同様に、処理制御部230が、直行方向及び進行方向を識別する。引き続き、ステップS44において、処理制御部230が、直行状態となったか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS44:N)には、処理はステップS43へ戻る。
【0106】
一方、ステップS44における判定の結果が肯定的になると(ステップS44:Y)、処理はステップS45へ進む。ステップS45では、上述したステップS34と同様に、処理制御部230が、起動タイミングを決定する。こうして起動タイミングが決定されると、ステップS24の処理が終了する。そして、処理は、上述した図8におけるステップS14へ進む。
【0107】
次いで、上記のステップS25における第3行動パターン(図7参照)に対応した「第3タイミング決定処理」について説明する。この決定処理に際しては、図12に示されるように、ステップS51において、上述したステップS31,S41と同様に、処理制御部230が、利用者URが駐車場に近づいたか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS51:N)には、ステップS51の処理が繰り返される。
【0108】
一方、ステップS51における判定の結果が肯定的になると(ステップS51:Y)、処理はステップS52へ進む。ステップS52では、処理制御部230が、利用者URが再度車両CRの停止位置へ向かう移動を開始したか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS52:N)には、ステップS52の処理が繰り返される。
【0109】
一方、ステップS52における判定の結果が肯定的になると(ステップS52:Y)、処理はステップS53へ進む。ステップS53では、上述したステップS32,S43と同様に、処理制御部230が、直行方向及び進行方向を識別する。引き続き、ステップS54において、処理制御部230が、直行状態となったか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS54:N)には、処理はステップS53へ戻る。
【0110】
一方、ステップS54における判定の結果が肯定的になると(ステップS54:Y)、処理はステップS55へ進む。ステップS55では、上述したステップS34,S45と同様に、処理制御部230が、起動タイミングを決定する。こうして起動タイミングが決定されると、ステップS25の処理が終了する。そして、処理は、上述した図8におけるステップS14へ進む。
【0111】
以上説明したように、本実施例では、サーバ装置200の処理制御部230が、車載装置300から送られる車両CRの停止位置、及び、携帯電話装置400から送られる車両CRの利用者URの現在位置を取得する。処理制御部230は、利用者URの現在位置から車両CRの停止位置への最短経路の方向を「直行方向」と認識するとともに、利用者URの現在位置の変化方向を利用者URの「進行方向」と認識する。そして、処理制御部230は、車両CRの停止位置、利用者URの現在位置、直行方向、及び、進行方向に基づいて、車両CRから離れてから車両CRに戻るまでの利用者URの移動経路に関する行動パターンを推定する。
【0112】
また、処理制御部230は、車両CRの停止位置を特定し、利用者URが車両CRから離れる度に、車両CRの停止位置、利用者URの現在位置、直行方向、進行方向、及び、推定された行動パターンに基づいて、車載装置300の起動タイミングを決定する。そして、処理制御部230は、起動タイミングとなると、起動指令を車載装置300へ送信する。
【0113】
したがって、本実施例によれば、停止中の車両CRに搭載された車載装置300の起動タイミングを適切に決定することができ、決定された起動タイミングで車載装置300の起動を開始させることができる。
【0114】
[実施例の変形]
本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0115】
例えば、上記の実施例では、利用者が携帯する位置送信装置を携帯電話装置としたが、位置検出機能及び位置送信機能を有する装置であれば、携帯電話装置に限られない。
【0116】
また、上記の実施例では、直行状態となった利用者の歩行速度が一定であると想定した。これに対して、利用者の現在位置の変化情報から、例えば、車両を見つけた後には、歩行速度を上げる等と推定した場合には、この推定結果を含めた行動パターンを記憶する。そして、車載装置の起動タイミングを決定する際に、利用者URの歩行速度の変化を更に考慮して、起動タイミングを決定するようにすればよい。
【0117】
また、上記の実施例では、第1〜第3行動パターンを利用者の行動パターンとして挙げたが、これらの行動パターンは例示であって、利用者の他の行動パターンを推定するようにしてもよい。そして、利用者の他の行動パターンの推定した場合には、当該行動パターンの推定結果を参照して、車載装置の起動を開始すべきタイミングを決定すればよい。
【0118】
また、上記の実施例では、車載装置からの定期的な車両位置データの送信が途絶えた場合に、サーバ装置が、最後に車載装置から送られた車両位置データから把握される車両の位置を、車両の停止位置として特定するようにした。これに対して、車載装置においてOFF処理の際に車両位置データをサーバ装置へ送信するようにして、サーバ装置が当該車両位置データから把握される車両の位置を、車両の停止位置として特定するようにしてもよい。
【0119】
また、上記の実施例では、コンピュータによるプログラムの実行により、各手段の機能を実現するようにしたが、これらの各手段の全部又は一部を、専用のLSI(Large Scale Integrated circuit)等を用いたハードウェアにより構成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0120】
100 … 起動タイミング決定システム
200 … サーバ装置
230 … 処理制御部(取得手段、直行方向認識手段、進行方向認識手段、推定手段
、決定手段、起動指令手段)
300 … 車載装置
700 … 起動タイミング決定システム
710 … サーバ装置
711 … 取得手段
712 … 直行方向認識手段
713 … 進行方向認識手段
714 … 推定手段
715 … 決定手段
720 … 車載装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された車載装置の起動タイミングを決定する起動タイミング決定システムであって、
前記車両の停止位置、及び、前記車両の利用者の現在位置を取得する取得手段と;
前記取得された利用者の現在位置の履歴に基づいて、前記車両から離れてから前記車両に戻るまでの前記利用者の移動経路に関する行動パターンを推定する推定手段と;
前記推定された行動パターン、前記車両の停止位置、及び、前記取得された利用者の現在位置に基づいて、前記車載装置の起動タイミングを決定する決定手段と;
前記決定された起動タイミングとなった時点で、前記車載装置の起動指令を行う起動指令手段と;
を備えることを特徴とする起動タイミング決定システム。
【請求項2】
前記利用者の現在位置から前記車両の停止位置への最短経路の方向を直行方向と認識する直行方向認識手段と;
前記利用者の現在位置の変化方向を前記利用者の進行方向と認識する進行方向認識手段と;を更に備え、
前記認識された直行方向と前記認識された進行方向とに基づいて、前記車両の停止位置への直行を開始した後には直行状態を継続する行動パターンを、前記推定手段が推定した場合には、
前記決定手段は、
前記直行方向と前記進行方向とが所定誤差範囲で一致する時間が所定時間以上となったか否かを判定することにより、前記直行状態となったか否かを判定し、
前記直行状態となったと判定された場合に、前記取得された利用者の現在位置の変化速度と、前記取得された利用者の現在位置から前記車両の停止位置までの距離と、前記車載装置の所要起動時間とに基づいて、前記起動タイミングを決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の起動タイミング決定システム。
【請求項3】
前記利用者の現在位置の履歴に基づいて、前記車両の停止位置に到達するまでにUターンを行う行動パターンを、前記推定手段が推定するとともに、前記推定手段が平均Uターン回数を算出した場合には、
前記決定手段は、
前記取得された利用者の現在位置の時間変化に基づいて、前記利用者が前記平均Uターン回数のUターンを行ったか否かを判定し、
前記平均Uターン回数のUターンを行ったと判定された後に、前記直行状態となったか否かを判定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の起動タイミング決定システム。
【請求項4】
前記利用者が前記車両の停止位置に一度到達した後に、再度前記車両から離れる確率が所定確率値以上であることから、前記推定手段が、前記利用者が再度車両から離れる行動パターンを推定した場合には、
前記決定手段は、
前記取得された利用者の現在位置の時間変化に基づいて、再度、前記車両の停止位置へ向かう移動を利用者が開始した後に、前記直行状態となったか否かを判定する、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の起動タイミング決定システム。
【請求項5】
前記推定手段は、前記車両が停止した位置周辺の施設ごとに、前記利用者の行動パターンを推定する、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の起動タイミング決定システム。
【請求項6】
車両に搭載された車載装置の起動タイミングを決定する起動タイミング決定システムにおいて使用される起動タイミング決定方法であって、
前記車両の停止位置、及び、前記車両の利用者の現在位置を取得する取得工程と;
前記取得された利用者の現在位置の履歴に基づいて、前記車両から離れてから前記車両に戻るまでの前記利用者の移動経路に関する行動パターンを推定する推定工程と;
前記推定された行動パターン、前記車両の停止位置、及び、前記取得された利用者の現在位置に基づいて、前記車載装置の起動タイミングを決定する決定工程と;
前記決定された起動タイミングとなった時点で、前記車載装置の起動指令を行う起動指令工程と;
を備えることを特徴とする起動タイミング決定方法。
【請求項7】
請求項6に記載の起動タイミング決定方法を演算手段により実行させる、ことを特徴とする起動タイミング決定プログラム。
【請求項8】
請求項7に記載の起動タイミング決定プログラムが、演算手段により読取可能に記録されている、ことを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−201443(P2011−201443A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−71357(P2010−71357)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】