説明

起立座位補助装置

【課題】
浴室、寝具、椅子やトイレなど起立・座位の必要な場所で、介護者の簡単な操作または利用者自らの操作で、単独では安定して立ったり座ったりできない人を容易に立位・座位させることを可能とし、利用者の足腰のリハビリも兼ねながら安全な起立・座位を可能とする。
【解決手段】
浴室、寝具、椅子やトイレなど起立・座位の必要な場所に設置する接合部と駆動部・支持体・把持部材などから構成され、前記駆動部を稼動するハンドル部または駆動エンジンを有し、前記ハンドル部の適宜操作や駆動エンジンの稼動により利用者が掴む把持部材を動かし、利用者の体重など把持部材にかかる負荷では動作せず、利用者を安定して立位および座位に移動させる起立座位補助装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自立困難な人の起立・座位動作に対して、アシストする起立座位補助装置である。
【背景技術】
【0002】
本発明が想定する自立困難な人とは、身体の筋肉が弱った高齢者や、身体不自由になった人などを想定しており、これらの人々の起立・座位を介助する装置には次のような先願がある。
例えば特開2001−276164号は、浴槽の端に昇降可能な座部を浴槽上端部位に設け、利用者を該座部に座らせて、浴槽内で円弧状に座部を昇降させる構造によって入浴を補助する装置である。(特許文献1参照)
特開平10−192359号は座部を浴槽の側面に垂直に設けた支柱に沿って昇降させるものである。(特許文献2参照)
これらは共に利用者を入浴させる補助動作を装置にて行なうものであり、利用者は装置の座部に座りさえすれば、入浴動作に何ら力を用いることなく入浴が可能になるものである。
また、特開2002−153390号は浴槽の手摺りを2本の平行なグリップで構成することにより、両手でグリップを掴んで入浴できるようにすることで、身体を低くして安全な入浴ができるようにするものである。(特許文献3参照)
特開2002−65766号は、ガススプリングを使用したスタンドアップリフトで、介護者の手動操作により利用者の立位座位を容易にし利用者を搬送するものである。(特許文献4参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−276164号公報(第3頁、第1図、第3図)
【特許文献2】特開平10−192359号公報(第2頁−第4頁、第1図)
【特許文献3】特開2002−153390の号公報(第3頁、第1図)
【特許文献4】特開2002−65766号の公報(第5頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1(特開2001−276164号公報)や特許文献2(特開平10−192359号公報)は、利用者が座部に座りさえすれば、何ら利用者の力を必要とすることなく入浴を可能にするものであり、利用者の補助はできても利用者は何ら力を使わないのでリハビリ効果はなく、手や足腰の筋力を使うことがない。これら座部に腰掛けるだけの入浴は楽ではあるが、それらの装置は大掛かりであり健常者である家族の入浴時には邪魔になるうえに、利用者の手や足腰の筋肉を使わないため筋力は衰えざるを得ない。
特許文献3(特開2002−153390号公報)は、利用者自らの力で浴槽の手摺を掴み足で移動して入浴するのでリハビリ効果があり、利用者のためにも好ましい浴槽用手摺りである。しかしながら、特許文献3(特開2002−153390号公報)の浴槽要手摺りは、利用者の握力と足腰の踏ん張り力などがあり、尚且つ手摺りだけで起立および座位に移行するには自分の腰を上げ下げする腹筋や腿・臀部などに筋力が必要で、それらが弱い人には不十分なものである。
特許文献4(特開2002−65766号)の手動式スタンドアップリフトは、利用者の握力や足腰の踏ん張り力も適度に使いリハビリ効果があり得るが、介護者による操作に限定されるため自ら操作・稼動することがなく自立支援効果や生活向上につながらない。
手や足腰の力が衰えた高齢者や病人に於いても、僅かでも自分の力がある限りは、過去健康であったときと同様に自力で立って座る入浴などの起立座位動作を行ないたいという期待を持っており、尚且つ健常な家族に負い目を感じたくはないので、可能な限り現在でき得る利用者の能力での自立支援装置が常に望まれている。それは入浴に限らずあらゆる生活シーンの中において使える装置が理想的であり、尚且つリハビリ効果によって自立能力が向上する起立座位補助装置が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、入浴時においては利用者自らのリハビリも兼ねながら、足腰の踏ん張り力の弱い人にも利用出来る起立座位補助装置を提供する事にある。また、寝具からの寝起きやトイレ使用前後においても起立・座位などをアシストし安全且つ自分の足で自立する装置を提供する事にある。
一般に高齢者になれば、握力の衰えよりも足腰が先に弱まることが多く、浴室での転倒や立ち座りが困難などの不具合が増す。かといって人任せで生活することには抵抗感や羞恥心があり、また、できるなら独りで自分の足で立ち健康な時と同様に自力で入浴や排泄など行なえる自立生活を望む気持ちを、これら高齢者などを含む自立困難な人は持っている。
本発明は、このような人々のために、自分の体重を少しでも支える足の力があれば、利用者の手前にある把持部材を掴む事によって自らの足腰の弱さを補いながら、把持部材が手前に下がるのに合わせて起立状態から座位に移行を可能とし、起立する場合には、同じく手前にある把持部材を掴み、把持部材が前方上方に上がるのに合わせて座位状態から立位に移行する動きを、自らの足腰の弱さを補いながら行なう事ができる起立座位補助装置である。握力および足腰に支障のない人は把持部材を手摺りとして利用し、把持部材を両手で掴むのが精一杯の人は介護者にハンドル部の操作を依頼したり自分で駆動部のスイッチ操作を行ない、把持部材の移動に伴って、自らの力で足腰を踏ん張りながら起立や座位を安全且つ容易に行なう事が出来るので、自らの足で立ち座りしているという満足感を得られると同時に手や足腰のリハビリも兼ねる事が可能となる。また、握力に不安がある人は、把持部材に身体の一部を利用者保持用具で保持するなどの工夫を加える事で筋力不足を補い、同じく自らの力で足腰を踏ん張りながら起立・座位を行なう事が出来るので、自立時に手や足腰の筋肉を使うと同時にリハビリも兼ねる事が可能となる。本発明の駆動部の構造は利用者の負荷による誤動作が生じない構造(セルフロック機構)で構成されているため、利用者の重みによる逆回転などのトラブルがないので安心して使用でき、尚且つ任意の場所に把持部材を停止させる事が可能である。
本発明は、このような起立・座位をアシストするために以下に示す手段を持つ。
【0006】
本発明の起立座位補助装置は、利用者が把持する部材と、該部材を直線または弧状などの動きで上下させる支持体と、該支持体の駆動部を有し、該駆動部は利用者の体重など把持部材にかかる負荷では動かない構造で構成され、利用者が座位状態から起立する時に、利用者より前方上部へ該部材を移動させる事で立位移動を補助する。
【0007】
また利用者が座位する場合には、利用者が把持する部材と、該部材を直線または弧状などの動きで上下させる支持体と、該支持体の駆動部を持ち、該駆動部は利用者の体重など把持部材にかかる負荷では動かない構造で構成され、利用者が起立状態からが座位する時に、利用者より手前下部へ該部材を移動させる事で座位移動を補助する。
【0008】
前記駆動部の駆動部カバーには、浴槽の側壁または浴室・トイレなど利用者の起立・座位動作場所の壁面および寝具周辺やベッド柵など利用者の起立・座位動作場所の設備に装着する接合部を設けて必要箇所に固定し、前記利用者が把持する部材を直線または弧状など予め設定された動きで上下させて起立・座位を補助する。
【0009】
また、前記駆動部には交合するギアの回転軸と、前記回転軸を回転させるハンドル部を有し、前記ハンドル部の適宜操作により回転軸先端の利用者が把持する部材を直線または弧状などの予め設定された動きで上下移動する事で、利用者を立位および座位に移行する。
【0010】
また、前記駆動部とハンドル部と連結する回転軸の交合部には、10対1以上の比率で駆動力を変換するウォームギアなどで構成する事により、ハンドル部の小さな操作力で利用者の体重を支え利用者を立位および座位に移行する。
【0011】
そして、利用者の自己操作で使用する場合には、前記駆動部に電動または油圧など外部より入力される各種エネルギーにて動作する駆動エンジンを内蔵し、その駆動エンジンの駆動エンジン操作部を利用者が掴む把持部材に設けるまたはリモコン操作および音声指示など、利用者自らの操作にて、駆動エンジンを動作させ支持体を動かし、把持部材を任意の位置に移行可能とすることで利用者を立位および座位に移行する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の起立座位補助装置は、利用者自らのリハビリも兼ねながら、足腰の踏ん張り力が弱い人にも自らの足で立位・座位の動作を可能とする補助装置である。本装置は、入浴時、寝具からの寝起き、車椅子やポータブルトイレの起立・座位やベッドからの移乗またはトイレなど、一般的な生活動作に関連するあらゆる場所で利用でき、高齢者や身体不自由な人の起立・座位動作をアシストすることができる。
例えば入浴時に本装置を利用する場合、一般家庭の浴槽にも容易に着脱可能で形状が小型で場所をとらない。浴室の大掛かりな改造などが不要で容易に設置でき、コンパクトであるため風呂の清掃に影響も少なく健常者である家族の入浴にも邪魔になりにくい。本装置の把持部材は入浴する人の前面に位置しコンパクトに水面上の中空に把持部材があるため、把持部材を利用者の便利な高さで水面上の中空に固定しておけば、浴槽への出入りを行なう際に、浴槽の中空に存在する位置調整可能な使い勝手の良い手摺りとして利用者の出入りを容易にすることができる。
特許文献1(特開2001−276164号公報)や特許文献2(特開平10−192359号公報)の座部を持つ入浴補助装置など利用者の身体を昇降させる装置は、介護を受ける立場の人にとって入浴におけるすべてを他人や機械に任せることに対し自負心を与えると共に、自力では何もできないといった観念で生活全般において体力・気力の衰退を感じざるを得ない面が多々あるが、本装置は、足腰の踏ん張り力の弱い人でも、自分の足で立ち自分で浴槽に座るという行為が可能となることで、心休まるはずの入浴時間に他人任せであるという負い目を感じることを減少しリラックスして入浴を楽しむことができる。
本装置の動きは、利用者が立位に移行する場合、利用者を前方上方へ引き上げる動きをし、それはあたかも介護者が利用者の正面に立ち身体を抱え上げる動作に近い動きをする。また逆に、利用者が座位に移行する場合、把持部材は利用者の身体の重心に近い臀部から降ろして行くという自然な動作に近い動きで利用者を手前下部にアシストするので、立位・座位共に利用者の身体に無理な負担がかからない。また、筋肉が柔軟になる入浴時に本装置によって自立することで手足のリハビリを兼ねることとなり、手や足腰の筋力増強・バランスの向上・生活全般に活気と自信を与える結果を生じうる。
本装置を介護者が操作する手動式で利用者の起立・座位をアシストする場合で言えば、本装置はギアの構造により利用者の体重の例えば1/10以下の力で立位・座位を補助できるので、介護者の負担が少なく、介護者の操作でハンドル部を回すに伴って利用者が掴む把持部材が徐々に移動し、移動途中のどこで操作を停止しても、ギアのセルフロック機構が働き、利用者の体重など把持部材にかかる負荷で勝手に把持部材が上下したり逆回転することがない。
このため、利用者自らの体重で把持部材が動くことによる不安感がなく、介護者においてもハンドルの操作途中で手を放さざるを得ない急を要する事態に陥っても、把持部材が勝手に動くことによる事故につながらない点で安心である。それにより、利用者の様子を見ながら介護者が片手でハンドル部を操作し、移動の途中に介護者の空いたもう一方の手で浴槽からの出入りに利用するための補助座板などを浴槽上淵部にセットし利用者を腰掛けさせる準備をすることもでき、介護者が独りであっても入浴介助が容易である。
電動などの場合には介護者も不要となり、利用者自らの操作で入浴可能となる。
このように、駆動操作が容易で介護資格の有無・経験度の優劣などに関わらず誰にでも簡単に扱うことができるため、家庭内介護において最も負担が多いとされる入浴介助が楽になることで、家族が入浴を手助けする可能性が増すことは、家庭内の利用者・介護者共に信頼感・親密度が増す。
家庭内であっても入浴介助に訪れるヘルパーさんなど介護者が、利用者の正面から利用者の身体を抱き起こすには大変な労力が必要であると共に、少なくとも片足を湯船の中に入れなくては利用者の正面に立って抱き起こすことができない。したがって多くの場合、介護者は浴槽の外から自分の体を斜めに折り曲げるような困難な姿勢で、濡れて滑り易くなった利用者の身体を抱え上げることで腰痛などを生じ介護者を悩ませている。本発明はそれら入浴介助を楽にすることで介護者の苦痛を減らすと共に、利用者本人に自らの足で立ち座るという健常時同様の入浴を可能にし、身体が不自由になった人や筋力が弱った高齢者などに快適な入浴時間と自信や活力を与えるものである。
次に寝具からの寝起きのシーンでは、仰向けの状態から上半身を起こす動作に苦労する人や、ゆっくり安定して上半身を寝かすことができず傾いたりぐらついてベッド柵で頭を打つなどの危険を防止するためにも、利用者が本装置の把持部材を掴むだけで真っ直ぐな姿勢で安定して上半身の寝起きをアシストすることができる。また、ベッドに寝起きする人はベッド柵を掴むなど寝起きのときに身体を支えるものがあるとしても、和布団に寝起きする人はそれらの支えとなるものがほとんどの場合存在しない。本装置は、和布団に寝起きする人が上半身を起こしたり起立・座位するアシストを行なうこともできる。
一般的に寝たきりに近くなった高齢者の生活は、ベッドまたは布団などの就寝具とポータブルトイレおよび車椅子を主体にした行動範囲になることがあるが、いざトイレや車椅子とベッドの移乗を必要とするたびに介護者を呼ばないと単独では起立・座位ができない人も多い。それら足腰の弱くなった高齢者や身体の不自由な人がベッドの端や椅子・車椅子などから立ち上がるとき、踏ん張り力が足りず腰が持ち上がらないため起立できないことがあるが、それらの人はわずかに外的要因などで身体を引き上げられるとスムースに立ち上がることができる場合がよくある。本装置はこういった生活行動シーンにおいて必要な場所に装置を移動するまたは必要な場所に固定設置するなどして、単独でも起立・座位を可能とすることができる。介護者にとっては、高齢者が起立して装置に掴まり立ちしている間におむつ交換やズボンの履き替えなどがし易く、起立座位を自力で行なえる高齢者が増えると介護者の見守りや労力が軽減される。省スペースでの行動範囲においては、本装置の稼働する把持部材を手摺りとして掴まり移動することで介護者を呼ぶ必要がなくなることは利用者には負い目を軽減することができるし、自力で装置を電動駆動するまたは介護者が操作してこれら行動範囲の寝起きおよび起立座位を補助することで、高齢者の寝たきりを防ぎ日常生活の向上に役立つため、高齢者や身体が不自由な人の行動を活性化することにもつながる。
本装置はトイレに装置を設置またはキャスター移動しても利用できるが、浴室やトイレなど他の健常に生活できる人と共同で利用するスペースなどにおいては、把持部材を端の邪魔にならないところに固定するまたは支持体を折り曲げて壁際で手摺りのように固定しておき、アシストが必要な人のみ把持部材を引き出して装置を利用するという使い分けをすることで、家族や他の人との共有スペースで邪魔になることを防ぎ利用者の遠慮や負い目などの心理的負担を少なくできる。
また、本装置は小型で構造が簡単なため安価に製作できる装置になるため、生活向上や自立を望む人に手軽に手に入れることができるリハビリ機能を持つ自立支援の介護用品となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の起立座位補助装置図における浴室仕様の外観図
【図2】本発明の起立座位補助装置における浴室仕様の利用図
【図3】本発明の起立座位補助装置を用いた浴室仕様の利用図
【図4】本発明の起立座位補助装置の補助ベルトを用いた利用図
【図5】本発明の起立座位補助装置の補助シートを用いた利用図
【図6】本発明の起立座位補助装置の把持部材および利用者保持用具の説明図
【図7】本発明の起立座位補助装置の把持部材および利用者保持用具の説明図
【図8】本発明の起立座位補助装置における駆動部構造説明図
【図9】本発明の起立座位補助装置の駆動力説明図
【図10】本発明の起立座位補助装置の支持体伸縮機構説明図
【図11】本発明の起立座位補助装置における浴室仕様の設置高さ調整説明図
【図12】本発明の起立座位補助装置の起立補助作用説明図
【図13】本発明の起立座位補助装置の支持体動作説明図
【図14】本発明の起立座位補助装置の浴槽側壁への他の設置方法説明図
【図15】本発明の起立座位補助装置の浴室壁面への他の設置方法説明図
【図16】本発明の起立座位補助装置を浴槽に組み込んだ例を示した図
【図17】本発明の起立座位補助装置を移動可能な構造で用いた説明図
【図18】本発明の起立座位補助装置をベッド柵に設けた説明図
【図19】本発明の起立座位補助装置を和布団に用いた説明図
【図20】本発明の起立座位補助装置をトイレに設けた説明図
【図21】本発明の起立座位補助装置の利用者が自己操作の説明図
【図22】本発明の起立座位補助装置の駆動エンジンを用いた説明図
【図23】本発明の駆動エンジン動作説明の回路ブロック図
【図24】本装置の動作を説明するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は自立が困難な人の起立・座位をアシストするうえで、入浴時、寝具からの寝起き、車椅子やポータブルトイレの起立・座位やベッドからの移乗またはトイレなど、一般的な生活動作に関連するあらゆる場所で利用でき、高齢者や身体不自由な人の起立・座位動作を補助する。しかも、その利用により介護者の負担を軽減すると共に、装置の利用者と生活スペースを共用する家族や他人に邪魔になりにくいコンパクトで至便性を備えることで、利用者の心理負担や負い目を減らし、尚且つ自立困難な人のリハビリ効果と生活向上を図ることを意図した装置である。
【実施例1】
【0015】
本発明を入浴シーンに用いるための実施例として、図1から図16までは、主に本発明を入浴時の起立・座位補助に利用した実施例を示す。図1は本発明の起立座位補助装置における浴室仕様の一例を外観で示した図である。
本発明を浴室で使用する場合図1に示す構成を有し、浴槽(10)の側壁に駆動部(23)を接合部(31)によって固定させ、該駆動部(23)に設けてあるハンドル部(2)を操作することにより、駆動部(23)からL形状に引き出されている支持体(6)を後に記するように回転させ、支持体(6)の駆動部とは逆の端に設けてある把持部材(3)を弧状に移行させる起立座位補助装置である。把持部材(3)の両端には利用者が両手で掴むグリップ(4)を配し、また把持部材(3)の両端またはグリップ(4)近辺に、利用者の身体を保持する図4に示す補助ベルト(12)などを固定するための補助ベルトリング(5)を設けてある。そして、ストッパープレート(7)は駆動部カバー(1)と浴槽(10)の上淵部との間に設け、起立座位補助装置で利用者の身体を支える時の荷重や揺動に対する安定を図るものである。前記接合部(31)とは、図1で示すように駆動部カバー(1)下部の二股形状で浴槽側壁を挟み込み、浴槽(10)の内側または外側に、固定パッド(9)を浴槽側壁に圧着するように締付ネジ(8)で固定する。前記二股形状については、図1に手前側は示しているが浴槽外側は省略し後に図8で示す。また、不図示ではあるが2面または3面の浴槽側壁で受ける接合部、および浴室側壁に設置するための接合部など、図13に示す取付アタッチメントA(29)などを使用して固定することも可能である。
【実施例2】
【0016】
図2は本発明の起立座位補助装置における浴室仕様の利用状況を示した図である。
この図の利用者(11)は浴槽(10)内に座位しており、把持部材(3)の両端に位置するグリップ(4)を両手で握っている。ストッパープレート(7)は駆動部カバー(1)と浴槽上端部との接地面で駆動部カバー(1)側に固定され、駆動部カバー(1)よりも突出する形で、荷重がかかる利用者(11)側に長く反対側に短く設ける。家庭内の浴室の構造は多種多様にあり、浴槽と浴室壁面の向きおよび給水機器の配置などによって、起立座位補助装置は利用者の左側に位置する場合や右側に位置するなど、各々の使用状況によって起立座位補助装置の設置方向が変わるので、支持体(6)はハンドル部(2)の操作にて360度左右どちらにも回転可能であり、ストッパープレート(7)の取り付け向きを後に図8で示すように変更することで、ストッパープレート(7)は利用者(11)側に長く反対側に短く設けることができ、本装置は浴槽(10)の側壁に、利用者(11)の右側でも左側でも利用し易い方向に設置することができる。
【実施例3】
【0017】
図3は本発明の起立座位補助装置を用いた浴室仕様の利用図であり、利用者(11A)が立位状態、利用者(11B)が座位状態を示している。
図3に示すように、浴槽(10)の中で立位状態の利用者(11A)は把持部材(3A)を手で掴んで自分の体を支え、図示していない介護者がハンドル部を操作することで、支持体(6)が回転するに伴って把持部材(3A)を弧状に利用者(11A)側に手前下方向に移行させる事が可能となり、利用者(11A)は体重の一部を把持部材(3A)に支えられながら浴槽(10)内で立位状態から座位に移行する事が出来る。これによって利用者(11A)は把持部材(3A)に体重の一部を支えられ、介護者は片手でハンドル部を操作するだけで、双方共に足腰の少ない負担で利用者(11B)の形に座位を可能にする。また逆に、浴槽(10)の中で座位状態の利用者(11B)は把持部材(3B)を手で掴み、介護者がハンドル部を操作することで、支持体(6)が回転するに伴って把持部材(3B)を弧状に利用者(11B)から前方上方に移行させる事が可能となり、利用者(11B)は体重の一部を把持部材(3B)に支えられながら浴槽(10)内で座位状態から立位に移行する事が出来る。これによって利用者(11B)および介護者共に足腰の少ない負担で利用者(11A)の形に立位を可能にする。
【実施例4】
【0018】
図4は本発明の起立座位補助装置を補助ベルト(12)を使用して用いた利用図であり、利用者(11A)が立位状態、利用者(11B)が座位状態を示している。
補助ベルトは(12)、利用者の握力に不安がある場合など、把持部材(3A)や(3B)への移行時に手が滑る・握り締める力が続かない・足がふらつく恐れがあるなど、不安要素のある利用者に使用することで利用者の転倒など危険を回避する利用者保持用具である。図4に示すように、浴槽(10)の中で立位状態の利用者(11A)は把持部材(3A)を手で掴んで自分の体を支えると同時に、腋下から背中を回した補助ベルト(12)を補助ベルトリング(5)に固定することでも身体を支え、介護者がハンドル部を操作することで、支持体(6)が回転するに伴って把持部材(3A)を弧状に利用者(11A)側に手前下方向に移行させることが可能となり、利用者(11A)は体重の一部を把持部材(3A)に支えられながら浴槽(10)内で立位状態から座位に移行する事が出来る。これによって利用者(11A)は把持部材(3A)に体重の一部を支えられ、介護者は片手でハンドル部を操作するだけで、双方共に足腰の少ない負担で利用者(11B)の形に座位を可能にする。また逆に、浴槽(10)の中で座位状態の利用者(11B)は把持部材(3B)を手で掴むと同時に、腋下から背中を回した補助ベルト(12)を補助ベルトリング(5)に固定することでも身体を支え、介護者がハンドル部を操作することで、支持体(6)が回転するに伴って把持部材(3B)を弧状に利用者(11B)から前方上方に移行させる事が可能となり、利用者(11B)は体重の一部を把持部材(3B)に支えられながら浴槽(10)内で座位状態から立位に移行する事が出来る。これによって利用者(11B)および介護者共に足腰の少ない負担で利用者(11A)の形に立位を可能にする。
【実施例5】
【0019】
図5は本発明の起立座位補助装置を補助シート(13)を使用して用いた利用図であり、利用者(11A)が立位状態、利用者(11B)が座位状態を示している。
補助シートは(13)、利用者の握力や足腰の踏ん張り力に不安がある場合など、把持部材(3A)や(3B)への移行時に手が滑る・握り締める力が続かない・足腰の力不足で体重を支えられないなど、不安要素のある利用者に使用することで身体を支えられ利用者の転倒など危険を回避する利用者保持用具である。図5に示すように、浴槽(10)の中で立位状態の利用者(11A)は把持部材(3A)を手で掴んで自分の体を支えると同時に、腋下から背中および臀部までをすっぽりと覆った補助シート(13)を補助ベルトリング(5)に固定することでも身体を支え、介護者がハンドル部を操作することで、支持体(6)が回転するに伴って把持部材(3A)を弧状に利用者(11A)側に手前下方向に移行させる事が可能となり、利用者は体重の一部を把持部材(3A)に支えられながら浴槽(10)内で立位状態から座位に移行する事が出来る。これによって、利用者(11A)は把持部材(3A)に体重の一部を支えられ、介護者は片手でハンドル部を操作するだけで、双方共に足腰の少ない負担で利用者(11B)の形に座位を可能にする。また逆に、浴槽(10)の中で座位状態の利用者(11B)は把持部材(3B)を手で掴むと同時に、腋下から背中および臀部までをすっぽりと覆った補助シート(13)を補助ベルトリング(5)に固定することでも身体を支え、介護者がハンドル部を操作することで、支持体(6)が回転するに伴って把持部材(3B)を弧状に利用者(11B)から前方上方に移行させる事が可能となり、利用者(11B)は体重の一部を把持部材(3B)に預けながら浴槽(10)内で座位状態から立位に移行する事が出来る。これによって利用者(11B)および介護者共に足腰の少ない負担で利用者(11A)の形に立位を可能にする。
【実施例6】
【0020】
図6は本発明の起立座位補助装置の把持部材および必要に応じて用いる利用者保持用具の説明図である。
本発明が利用者として想定する身体の筋肉が弱った高齢者や身体不自由になった人などには、握力に不安のある人、自立時の足腰の筋力に不安のある人など諸々の違いが想定される。そのため、立位および座位移動時に握力の不安定な人が利用するときには、図6で示す補助ベルト(12)を使用することで、利用者の恐怖心・不安感を取り除き安全な使用が可能となる。具体的には、図6で示す補助ベルト(12)を利用者の背中を回し、両側の腋下から補助ベルト(12)の両端に配した補助ベルトフック(22)を把持部材(3)に設けた補助ベルトリング(5)に取り付けることで、利用者の身体を保持し利用者の転倒など危険を回避する。この補助ベルト(12)は利用者の背中と両腋を支えるだけなので、握力に自信は無くとも把持部材(3)両端のグリップ(4)を掴んで補助ベルト(12)がすり抜けることがないよう腋の下をしっかり固定できる人に使用する。
【実施例7】
【0021】
図7は本発明の起立座位補助装置の把持部材および必要に応じて用いる利用者保持用具の説明図である。
本発明が利用者として想定する身体の筋肉が弱った高齢者や身体不自由になった人などには、握力に不安のある人、自立時の足腰の筋力に不安のある人など諸々の違いが想定される。そのため、立位および座位移動時に握力および足腰の筋力に不安のある人が利用するときには、図7で示す補助シート(13)を使用することで、利用者の恐怖心・不安感を取り除き安全な使用が可能となる。具体的には、図7で示す補助シート(13)を利用者の背中と臀部を包むように回し、両側の腋下から補助シート(13)の両端に配した補助ベルトフック(22)を把持部材(3)に設けた補助ベルトリング(5)に取り付けることで利用者の身体を保持し利用者の転倒など危険を回避する。この補助シート(13)は利用者の背中から臀部までを支えることができるので、握力および足腰の筋力が弱く立位および座位移行時に不安定要素が多い人に使用する。
【実施例8】
【0022】
図8は本発明の起立座位補助装置の駆動部構造をより詳しく説明した図である。
起立座位補助装置の動作の概要は、図1および図2にて説明をした動きをするものであり、図8はこの動きを実現するための起立座位補助装置内部の構造を示し、駆動部を構成するウォームギアの動きを説明する図である。ここでいうウォームギアとは、ウォームとウォームホイールの噛み合わさった一対のギアをいう。駆動部(23)は駆動部カバー(1)の内部に位置し、この駆動部(23)とは、ハンドル部(2)と不図示ではあるがハンドル部(2)に連結したウォーム軸と該ウォーム軸にホローセットで固定されたウォーム(16)、そのウォーム(16)と90度で噛み合わされたウォームホイール(15)と固定用ホローセット(19)や駆動部カバー(1)内でウォームギアを安定駆動させるためのスペーサA(17)、スペーサB(18)などをいう。ウォームギアはハンドル部(2)により回転するウォーム軸に固定されているウォーム(16)と、支持体(6)に固定されているウォームホイール(15)が90度で噛み合わされ、駆動部(23)内部に組み入れられている構造を示している。ハンドル部(2)を介護者が右または左回りに回転させると、ウォーム軸およびそれに固定されたウォーム(16)も回転し、それによってウォーム(16)に交合するウォームホイール(15)が回転すると同時に、ウォームホイール(15)にホローセット(19)で固定された支持体(6)も回転し、その先端の把持部材(3)が弧状に上下移動する。ストッパープレート(7)は、駆動部カバー(1)の駆動部(23)下部にネジ穴を設け、下側からストッパー固定ネジ(14)にて固定する。ストッパープレート(7)のキリ穴位置は、長手方向で中央よりも片側に寄せる事で、ストッパープレート(7)の突出長さが駆動部カバー(1)の左右どちら側にでも、片側が長く反対側が短く突出させるように設置する事が可能となる。このストッパープレートは、起立座位補助装置を使用するとき利用者側に荷重がかかるので長く突出させると共に、揺動に対する安定を図るため荷重の少ない反対側にも短く突出させる。接合部(31)が浴槽側壁に対し垂直の揺動を防ぐことに対し、ストッパープレートは浴槽側壁の上淵部に沿わせることで水平の揺動を防ぐものである。
【実施例9】
【0023】
図9は本発明の起立座位補助装置の駆動力をより詳しく説明した図である。
例えばこのハンドル部の長さが150mmであり、回転する支持体の把持部材までの長さが300mmの場合において、利用者の体重が把持部材に50kg加わったときに、ハンドル部を回転させる駆動力を算出するための説明図である。この場合、ハンドル部(2)に連結するウォーム(16)と、支持体に連結するウォームホイール(15)との回転の比率は20対1になっており、ハンドル部(2)を20回転するとウォームホイール(15)は1回転する構成で、利用者が起立または座位移動のため支持体(6)を90度回転させるには、ハンドル部を5回転させる状況を示している。この状況で、支持体(6)に加わる利用者の荷重50kgは、条数(歯数)1の場合ウォームホイール(15)におけるトルクTが、
T = 50Kg×0.3m = 15kg・m となり
ハンドル部(2)側のウォーム(16)のトルクT1はギアの比率により
T1= 15kg・m×1/20 = 0.75kg・m となる
これにより、ハンドル部(2)にかかるトルクW1は、
W1 = 0.75kg・m/0.15m = 5kg となる
つまり、50kgの荷重が支持体(6)の先端にかかった場合、300mm先のウォーム(16)に15kgのトルクがかかる。1/20の減速比であれば、ウォームホイール(15)を360度回転させるにはウォーム(16)を20回転させる必要があるが、この減速比によりウォームホイール(15)にかかるトルクは0.75Kgになり、150mm先のハンドル部にかかるトルクは5kgになる。これと同じ状況であっても、例えばウォームギアの減速比を1/40にする、または条数のギアを使用する事でハンドル部にかかるトルクを前記の半分である2.5kgに減少することも可能となる。幾つか例を述べれば、利用者が起立または座位移動のため支持体(6)を90度回転させる必要があり、すなわちウォームホイール(15)を1/4回転させることなので、トルクとハンドル操作は
1/10の減速比の条数1ギアであれば、トルクは10kgで1/4×1(条数)の2.5回転
1/20の減速比の条数2ギアであれば、トルクは2.5kgで1/4×2(条数)で10回転
1/40の減速比の条数2ギアであれば、トルクは1.25kgで1/4×2(条数)で10回転
このようにギアの減速比および条数などの組み合わせによって、本発明では利用者が例え100kgの体重の人であっても、その体重の1/10から1/20などの力でハンドル部を操作すれば良く、現実には、利用者は足の裏・膝・腰などで体重の一部を支えているため、支持体(6)にかかる荷重は体重の一部であり、ギアの減速比1/50などを使用すればハンドル部を回す回数は増すものの操作力は更に低減できる。このことから、ギア部に於ける回転の比率は10対1以上あれば、本発明を実現するうえで差し障りないものとなる。また、ウォームギアにはセルフロッキングが作用し、ウォームホイールからウォームを回転させることができないので、ハンドル部を操作しない限り利用者の荷重で勝手に支持体が逆回転することは無いし、完全な逆転防止が必要な場合は、図示していないが機械的なロック機構を取り入れることで安全を図ることも可能である。
【実施例10】
【0024】
図10は本発明の起立座位補助装置の支持体伸縮機構の説明図である。
浴槽に固定している起立座位補助装置の把持部材の移行位置は、浴槽のサイズ、深さ、利用者の体型、その身長など諸々の寸法により、把持部材の至便位置は異なるため、利用者によって調整が必要となる。
そのため、支持体(6)と把持部材(3)との間の長さを調整可能に構成させることにより、個々の設置場所で個々の利用者にとって扱いやすい状況を提供する。具体的には、図10に示すように支持体(6)と把持部材(3)との間をネジ部(20)で接合し締め付けナット(21)で固定する、または図示していないがバネの力でボールが突出する通称ボールプランジャーと呼ばれるものが溝に合致するノッチ式や、太いパイプにそれより細いパイプが挿入され太いパイプの径を閉めることにより2本のパイプを固定する締付式など、長さ調整方式で固定する。後に図11で示すように支持体(6)の設置位置を調整することで利用者ごとに使いやすく自由に合わせることも可能であるが、ここに述べる把持部材(3)と支持体(6)間の長さ調整は、後に述べる図13Bの弧状の半径を大きくまたは小さくして利用者の至便性を図るものである。
【実施例11】
【0025】
図11は本発明の起立座位補助装置における浴室仕様の設置高さ調整の説明図である。
浴槽側壁を接合部(31)の二股で挟み込み、浴槽側壁の上淵部にストッパープレート(7)を接する形で駆動部カバー(1)を設置する際、駆動部調整板(32)を駆動部カバー(1)に高さ固定ネジ(33)で固定する位置を高めまたは低めなど設置位置を調整可能とすることで、駆動部(23)の位置が高めまたは低めに調整されると同時に支持体(6)の付け根である弧状の回転中心位置の高さ調整を可能としたものである。これによって利用者の前面すなわち水平方向の0度から垂直方向90度を座位・立位に使用するよりも、水平方向マイナス10度から垂直方向80度くらいのほうが把持部材(3)が握り易い人や、図4で示した補助ベルト(12)または図5で示した補助シート(13)などを利用した場合、利用者よりも高い位置で把持部材(3)が弧状に移行したほうが使い易いなど、前記支持体伸縮機構と併用することで把持部材(3)の移行可能範囲が広がり、浴槽のサイズ、深さ、利用者の体型、その身長など諸々の寸法により利用者の至便性を図るものである。
【実施例12】
【0026】
図12は本発明の起立座位補助装置の起立補助作用について説明した図である。
一般に、足腰の弱くなった高齢者の場合、手や腕の力で浴槽の淵を押す事や浴室内の手摺りを握って引っぱるなどの行為で自分の身体を持ち上げ座位状態から起立動作を行なうが、図12の(a)に示す利用者(11A)のような状態からそれ以上には臀部が上がらない状況が多々ある。これは、手や腕の筋力が不足して身体を持ち上げられない事もあるが、足の筋力の低下・膝関節の痛み・腰の痛み・筋肉の伸縮力・バランスの低下など様々な要因で起立状態に移行できない場合がある。
しかし、利用者(11A)の臀部が、矢印(71)のように今少し引き上げられて利用者(11B)の臀部の高さにもちあがれば、足の裏・足首・ふくらはぎ・太もも・腰などの筋力が有効に使えバランスが取れてその後の動作が可能となり起立状態に移行し易くなる。利用者(11A)の状態から身体が持ち上がらない状況になった高齢者に気力だけはある場合、何が何でも自力で立とうと努力を続ける余りに、血圧が上がったり、のぼせて湯あたりしたり、助けも呼べず脳卒中・心筋梗塞などの大病や不慮の事故につながる事もある。起立するために、自力で同じ行為をどれほど繰り返しても一定以上には臀部が上がらない、または足が伸ばせないなど自己の制限を越えられず起立状態に移行できない人であっても、前に向かって引き上げられるなど少しの外的要因が加われば起立状態に移行することが可能となり、自力のみでは使わない身体の筋肉を使うことで筋力が増す場合や、入浴で筋肉を暖め柔軟な状況でこれらの動きを行なう事で、日ごろの生活では動かし難くなった筋肉を動かせたり、関節が痛み無く曲げられたり、日常では立てない人が入浴時には浮力も手伝って立位できるなど、いろいろなリハビリ効果も期待できる。これらは、高齢者だけに当てはまる事では無く、若年層でも病気や怪我などで長期入院を余儀なくされ足腰の筋力が落ちた人にも当てはまる。
また、図12の(b)に示す補助座板(24)は、浴槽(10)内に利用者(11C)が座位する前および起立後など、浴槽(10)の上淵部にセットすることで、足腰の弱い利用者(11C)が補助座板(24)に臀部を乗せることで入浴作業を楽にすることができる。補助座板(24)は利用者(11C)が浴槽(10)の上淵を跨いで浴槽(10)から出入りをする時にも、足だけではなく臀部が着座している事で足の持ち上げが安定して楽に行なえ、浴槽(10)の上淵より足先を上げて乗り越える事ができる。
本発明の起立座位補助装置を使用する場合、介護者は片手でハンドル部を操作し利用者(11C)を起立および座位に移行できるので、一方の空いた片手で利用者(11C)の背中を支えたり身体を拭いたり、利用者(11C)が起立している間に補助座板(24)を浴槽(10)の上淵部にセットするなどの作業が可能になる。また、ギアのセルフロック機構が働き利用者の体重など把持部材にかかる負荷で勝手に把持部材が上下したり逆回転することがないため、利用者が立位または座位に移行する途中であっても、利用者が安定する姿勢になったと確認できれば介護者はハンドルから手を放し介護に両手を当てる事もできるため、入浴介助が独りでも可能となる。
【実施例13】
【0027】
図13は本発明の起立座位補助装置における支持体の動きの説明図である。
図13の(a)に示すように、駆動部(23)に連動する支持体(6)の先端には可動支持体(28)が組み込まれ、連結するガイドポール(25)によって上下移動させることが可能となる。該ガイドポール(25)はレールボックス(27)に構成されたガイドレール(26)に沿って動き、駆動部(23)に連結する支持体(6)の回転を、ガイドポール(25)で制御される可動支持体(28)の動きを加えることで、把持部材(3)の動きをガイドレール(26)の軌跡に変換することが可能となる。よって、把持部材(3)の動きは弧状に留まらず、予め設定された直線または曲線に移動することも可能となる。
図13の(b)の矢印(53)で示すように、利用者から前方上方に弧状に上がって立位を可能とし、利用者の手前下方に弧状に下がって座位を可能にする動きができる。
図13の(c)の矢印(54)で示すように、利用者から前方上方に直線状に上がって立位を可能とし、利用者の手前下方に直線状に下がって座位を可能にする動きができる。
図13の(d)の矢印(55)で示すように、利用者から前方上方に曲線状に上がって立位を可能とし、利用者の手前下方に曲線状に下がって座位を可能にする動きができる。
また、図13の(a)に示すレールボックス(27)は、利用者の側面または図15で示すように前面など、浴室壁面(30)に取付アタッチメントA(29)を配して設置することで、起立座位補助装置は浴槽(10)の側壁に跨がらない形でも取り付け可能とし、レールボックス(27)は駆動部(23)が組み込まれた構造の場合は図1で述べた駆動部カバー(1)も兼ねるものである。取付アタッチメントA(29)は、薄型で先に浴室壁面に取り付け、レールボックス(27)を取付アタッチメントA(29)に図示していないが嵌め込み式とすることで容易に取り付け取り外しが可能となる。取り付け取り外しが可能な設置とは、利用者が健康になり入浴補助を必要とせず自力で入浴できるなどで、起立座位補助装置が不要になった場合に取り外しを可能とするものである。また、浴室壁面に装置を設置すると浴槽の中空で把持部材(3)が移行する起立座位補助装置となり、図1のように浴槽側壁を装置の設置場所に使用しないため、健常者の入浴の邪魔にならず利用者が浴槽の上淵を跨ぐ足の動作を妨げない。
【実施例14】
【0028】
図14は本発明の起立座位補助装置の浴槽側壁への他の設置方法の例を示した図である。
起立座位補助装置の動作の概要は、図1および図2にて説明をした動きをするものであり、この起立座位補助装置は基本的に取り付け取り外しが可能な設置を行なう。ハンドル部(2)にて操作される駆動部(23)の駆動により移動する、把持部材(3)と一体となったU字型の支持体(6)は、取付アタッチメントB(39)に接合された駆動部(23)および取付アタッチメントC(40)間に取り付けられ、取付アタッチメントB(39)は締付ネジ(8)で浴槽(10)の側壁に固定されている。それら取付アタッチメントは浴槽(10)の側面を2面から3面で受けるように設置し、図14で示すように支持体(6)および把持部材(3)は一体で、駆動部(23)および取付アタッチメントとの2箇所で受けて回転することも可能である。
【実施例15】
【0029】
図15は本発明の起立座位補助装置の浴室壁面への他の設置方法の例を示した図である。
前記図13(a)では利用者の側面に設置された駆動部を示したが、図15では利用者(11)の前面の浴室壁面(30)に取付アタッチメントD(41)を配して駆動部(23)を設置することで、起立座位補助装置は浴槽(10)の側壁に跨がらない形でも取り付け可能とする。取付アタッチメントD(41)は、薄型で先に浴室壁面に取り付け、駆動部カバー(1)を取付アタッチメントD(41)に図示していないが嵌め込み式とすることで容易に取り付け取り外しが可能となる。取り付け取り外しが可能な設置とは、図13で述べたように不要になった場合装置を用意に取り外す事が可能であると共に、例えば取付アタッチメントD(41)が各家の浴室壁面に取り付けてあり、入浴介助に通うヘルパーさんなど介護者が起立座位補助装置本体を持ち歩くことをすれば、複数人の入浴介助を1台の装置で楽に行う事も可能である。
これらのように浴室壁面(30)に装置を設置することは、健常者・利用者・および介護者にも邪魔になりにくく、また、基本的に支持体(6)および把持部材(3)などは簡素化された形状とし、利用者が起立座位補助装置を稼働させる必要が無い程度に足腰が丈夫な場合、利用者(11)にとって使い易い高さ位置に把持部材(3)を固定しておくことにより、入浴補助が不要な人にとっても、浴槽(10)の中空に存在する使い勝手の良い手摺りとして使用できる。通常入浴時に利用する浴槽に付随する手摺りや浴室壁面に固定された手摺りよりも、位置調整可能で任意の位置に手すりを存在させ得ることは非常に便利であり、尚且つ既存の手すりと併用することで利用者の両側面に手すりがある状況を作る事もできるので安全性も至便性も増す。健常者が同じ浴槽を使用して入浴する場合、浴室および浴槽内の広い範囲を起立座位補助装置に占領されること無く、把持部材(3)を邪魔にならない端位置に固定しておくことで、健常者にとっても負担にならず落ち着いた入浴を楽しんでもらえるうえ、形状が小型で浴槽内の場所をとらないため浴室および浴槽の掃除にも邪魔になり難いものである。
【実施例16】
【0030】
図16は本発明の起立座位補助装置を浴槽に組み込んだ例を示した図である。
前記図14までに示すように、本装置を既存の浴槽側壁または浴室壁面などに設置する方法以外に、図16では浴槽自体に装置を組み込み一体化させることにより、装置のコンパクト化・安定性の増大および至便性を図るものである。これにより、既存の浴槽または浴室の側壁などに本装置の取り付けが困難な状況においても装置の利用が可能となる。浴槽(10)と駆動部カバー(1)が一体化することで駆動部(23)は浴槽(10)のどの面からでも把持部材(6)を突出させることができるため、浴室の奥など壁面角部に接する側に駆動部(23)を設けることで本装置の利用者が浴槽(10)の上淵を跨ぐ妨げにならない。また、入浴者の状況や好みなどにより、特殊な形状の浴槽を必要とする場合など、装置と浴槽が一体化することで対応可能となる。
【実施例17】
【0031】
本発明をあらゆる生活シーンに用いるための実施例として、図17は本発明の起立座位補助装置を移動可能な構造で用いた説明図である。
例えば図17で示すフレーム(42)の下部にキャスター(43)を設け、ベッドやポータブルトイレおよび椅子などから立ち座りを行なう際に、必要な場所に装置を移動してストッパー(44)で固定し使用する(図17ではフレームを4本で図示しているが番号は代表の1本に示している)。フレーム(42)は図17のように数本の柱状パイプなどを組み合わせたものでも良いし、1本の柱下部を板材で受けてその下部にキャスター(43)およびストッパー(44)を取り付けても良い。フレーム(42)または駆動部カバー(1)に高さ調整機能を持たせることでベッドや椅子の高さに対応して利用者の使い勝手の良い高さで使用する。
【実施例18】
【0032】
本発明を就寝シーンに用いるための実施例として、図18は本発明の起立座位補助装置をベッド柵に設けた説明図である。
例えば図18で示すベッド柵(45)のように、ベッドからの出入りに便利な屈折型のベッド柵に駆動部カバー(1)を取り付けることで、ベッドでの寝起きや出入りを補助することも可能となる。
図18の(a)で示すように、ベッド柵(45)が水平で把持部材(3)がベッド(47)の中心方向にある場合、ベッドで寝ている人が上半身を起こす補助に利用できる。
図18の(b)で示すように、ベッド柵(45)が折れ曲がった状態で固定レバー(46)で固定すれば、ベッドからの起立座位を補助することができる。
図18の(c)で示すように、ベッド柵(45)を折り曲げて固定レバー(46)で固定すれば、椅子・車椅子・ポータブルトイレなどからの起立座位を補助し、ベッドとの移乗を安定した姿勢で楽に行なうことが可能となる。また、本装置はベッド柵に限ることなくベッドのフレームや足回りなどに固定する支柱を設けて装置を設置することで寝起きや起立座位および移乗を補助することも可能である。
【実施例19】
【0033】
本発明を就寝シーンに用いるための実施例として、図19は本発明の起立座位補助装置を和布団に用いた説明図である。
例えば図19で示す支柱(50)とレールボックス(27)の下部に敷板(49)を設け、敷布団(51)をその上に敷くことで、和布団で寝起きする人の起立座位を補助することも可能となる。この場合、敷板(49)の上に敷布団および利用者の体重が加わるので、装置の動きを安定して機能させることができる。ガイドレール(26)に沿って移動する把持部材(3)の動き矢印(81)の動きの一部を利用して上半身の寝起きを補助することが可能であり、矢印(81)の動きの全体を利用して和布団からの起立座位を補助することも可能である。この図における装置の動きの詳細は図13で説明したものと同様である。
【実施例20】
【0034】
本発明を排泄シーンに用いるための実施例として、図20は、本発明の起立座位補助装置をトイレに設けた説明図である。
例えば図20で示すように、駆動部カバー(1)をトイレ側壁に設けることで、便座(48)からの起立座位を補助することが可能となる。図20(a)に示すように支持体(6)を折り曲げ可能とすれば、装置を使用しないときには折りたたむことで邪魔にならず、尚且つ垂直および水平方向などの手摺りとして利用する事も出来る。必要に応じて把持部材(3)および支持体(6)を矢印(82)のように利用者の前面に出し、把持部材(3)が矢印(83)の動きに伴って便座(48)から利用者が起立座位するのを補助することが可能となる。また図20(b)のように支持体(6)を把持部材(3)と一体化させることでコンパクト化を図り壁際に固定しておけば、健常な人にも違和感のない垂直および水平方向の手すりとして利用できる。
【実施例21】
【0035】
本発明を自己操作可能とするための実施例として、図21は本発明の起立座位補助装置を利用者本人が操作する場合の説明図で、図22は本発明の起立座位補助装置の駆動エンジンを用いた説明図である。
図21と図22は本発明の駆動部動作を介護者のハンドル操作ではなく、電動モータによる駆動エンジンを利用者自らが操作する場合の実施例である。図22において、支持体(6)の先端に設けられた把持部材(3)には、駆動エンジン操作部としての正回転スィッチ(36)および逆回転スイッチ(37)が設けられ、モータ制御部(34)でこれらはモータ(35)の回転を制御する事が可能となる。そして、このモータ(35)の回転力は減速ギア(38)を通して支持体(6)を弧状に動かす事が可能となる。把持部材周辺の正回転スイッチ(36)、逆回転スイッチ(37)の動きを図21にその一例を示す。図21にて利用者本人は起立座位補助装置を稼働するため、例として把持部材(3)の両端に位置するグリップ(4)のうち、右手側を自動二輪車のアクセルのように回転することで正回転スイッチが入るような構造でスイッチを設け、右手を少し指定方向に回すことで、モータ(35)が内蔵された駆動部(23)が稼働する。つまり、図示した矢印(76)のように、グリップ(4)を回転させることで支持体(6)が回転し把持部材(3)が移動を開始し、グリップ(4)を戻せば移動が停止するものである。また、逆回転スイッチ(37)は、図21に示す右手グリップ(4)を逆に回した時に働くようにしても良いし、左手グリップの動きで働くようにしてもよい。当然、右手左手各々に設けるモータ制御スイッチの仕様は、操作性を重視して考えればよく、不図示ではあるが、グリップ(4)近辺または把持部材(3)にボタンスイッチなどを設けることで、利用者本人が起立座位補助装置を稼働させることも可能とする。また、モータ制御部(34)やモータ(35)は駆動部(23)の中の構造物として配置されるのが自然であるが、製品設計上限定されるものでもない。そして、減速ギアは図1のようにハンドル部(2)を設ける場合にはウォームギアの構造が好ましいと説明をしているが、他のギア構造でも何ら問題は無く、例えばかさ歯車などを使って2軸を交差させて目的を果たすことも可能である。図22では電動モータで説明を行なったが、図には示していないが、他の駆動方法として油圧制御または水圧制御などの外部から入力可能な各種エネルギーなどの伝動機構で支持体を稼動させることも可能である。この場合の駆動部内部の動きはそれら制御方法特有の動きとなるが、正回転スイッチ(36)や逆回転スイッチ(37)などの駆動エンジン操作部の動きに伴う支持体(6)の動きは、他の実施例の動きと思想的には同じであって、図13で示すように弧状・直線または曲線などの動きであり、利用者が立位状態から座位する場合には支持体(3)が利用者の手前下方に移行し、利用者が座位状態から立位する場合には支持体(3)が利用者の前方上方へ移行するように動くことで実現可能である。ここにいう駆動エンジンを用いた駆動方法は、図13および図15のように、浴室壁面に装置を取り付けハンドルなどの手動操作を想定しない場合に用いることで、介護者を要さずコンパクトな使用状況が可能である。図22では、更にハンドル外操作部Bnを持つことが述べられている。これについては後述する図23にて詳細の説明を行なう。
【実施例22】
【0036】
図23は、本発明の駆動エンジンをより詳しく説明した動作説明のための回路ブロック図であり、支持体(6)に設けてある上へ方向スイッチSW1と下へ方向スイッチSW2および動作速度の速さ設定スイッチとして速くする設定スイッチSW3と遅くする設定スイッチSW4および支持体(6)の上方向限界位置の確認SW5と下方向限界スイッチSW6とによって、モータ制御部(34)を動作させモータ(35)を動作させるものである。ここに述べる上方向限界位置とは支持体(6)を最上位に上げたときの移動終端位置であり、下方向限界位置とは支持体(6)を最下位に下げたときの移動終端位置である。ここでSW1、SW2は図22の正回転スイッチ(36)、逆回転スイッチ(37)に相当する。これらSW1からSW4は支持体(6)の操作部からだけではなくリモコンからも操作可能とし、リモコン(52)の操作部(B1)に(支持体(6)に設けてあるSW1からSW4に対応付けた)SW1からSW4が設けられ、このSW1からSW4の操作はリモコン操作部(B2)より無線または有線にてリモコン受信部(B3)に送信され、リモコン中のSW1がONすればリモコン受信部でのL3とL5がONし、
リモコン中のSW2がONすればリモコン受信部でのL4とL5がON、
リモコン中のSW3がONすればリモコン受信部でのL1とL5がON、
リモコン中のSW4がONすればリモコン受信部でのL2とL5がONするので、支持体(6)のスイッチを操作したときと同じ操作がリモコンでも可能となり、リモコン操作部(B1)リモコン送信部(B2)リモコン受信部(B3)の構造は各種電気製品で用いられている公知技術なのでここでの説明は省略する。
また、本装置はマイク(B4)音声入力部(B5)音声認識部と音声コマンド制御部で構成される音声受信制御部(B6)において音声でモータ制御を可能とすることができる。
説明上、本装置では音声によるコマンドとして“ウエ”“シタ”“トマレ”“ハヤク”“オソク”の5つの音声コマンドを用いて説明している。
利用者は、マイク(B4)に対してこれら音声コマンドになる言葉を発声すれば、音声入力部(B5)にて音声をマイク(B4)を通して受け入れ、音声受信制御部((B6)を通して支持体(6)に設けてあるSW1からSW4の信号線L1からL5の各ラインをリモコン受信部の動作と同じように各SW1からSW4に対応してONさせる。ただし、音声コマンドの“ウエ”“シタ”については、音声コマンドの“ウエ”が入力されると“ウエ”以外のコマンド(一般には“トマレ”のコマンド)が入力されるまでの間SW1をONさせるためにL3とL5を音声受信制御部でONする。また、声コマンドの“シタ”が入力されると“シタ”以外のコマンド(一般には“トマレ”のコマンド)までの間SW2をONさせるためにL4とL5を音声受信制御部でONする。実際は後述するように“ウエ”マタハ“シタ”の方向に動き続けると困るので、他のコマンドなどに正しく反応し制御することになる。このように音声コマンドでも支持体(6)に設けてあるSW1からSW4を操作したと同様に支持体(6)を動かすことが可能となる。この音声コマンドの入力から認識方法についても既に公知技術であるのでここでは詳細説明を省略する。
図24で本装置の動作をフローチャートで示し、前記図23の回路ブロック図における動作をより詳しく説明する。本装置ではSW3・SW4で示したように支持体(6)の移動速度をこれらスイッチにて変えることも可能にしている。図24の(b)に示すように本実施例では速度ランクとして1から5の5段階の設定を設けているのでSW3を操作にて1→5へ速度を早くしたりSW4にて5→1へ速度を遅くしたりすることが可能となる。図23の回路ブロック図動作を図24の(b)の5段階速度可変も含めて、図24の(a)にモータ制御部を説明してある。図24(a)のステップS1にてリモコンが有効であるか判断を行ない、リモコンが有効のときはステップS18にてリモコン入力を確認する。もし何らかのリモコン入力があればステップS3へ、リモコン入力がなければS1へ戻る。もしステップS1にてリモコンが有効ではないとするとステップS2にて音声入力の確認をし、音声入力があればステップ15にて音声コマンドがあるかを調べ、なければステップS1に戻り、あればステップS3へ行く。ステップS2にて音声入力がない場合もステップS3へ行く。リモコン入力の有無、音声入力の有無は、図23のL1からL4のいずれか一つがL5レベルになっている(スイッチがONになっている)ことをみることで判断できる。次に、ステップS3にて図22のSW3または、操作部(B1)のSWまたはリモコン受信部または音声受信制御部からL1とL5がONになっていれば“速く”の指示があるとしてステップS19に入り、(b)の速度ランクが現在5であるか判断を行ない、速度ランクが5であればS1へ戻り5以外であれば速度ランクをステップ20にて1upしてS1へ戻る。もしステップS3にて図23のL1とL5がOFFであれば、ステップS4に移る。そして、ステップS4にて図23のSW4または操作部(B1)のスイッチまたはリモコン受信部または音声受信制御部(B6)のいずれかから、L2とL5がONになっていれば“遅く”の指示があるとしてステップS16に入り(b)の速度ランクが現在1であるか判断を行ない、速度が1であればS1に戻り1以外であれば速度ランクをステップ17にて1DownしてS1に戻る。もしステップ4にて図23のL2とL5がOFFであればステップS5に移る。
ステップ5にて図23のSW1または操作部(B1)のスイッチまたはリモコン受信部または音声受信制御部(B6)のいずれかから、L3とL5がONになっていれば“上へ”の指示があるとしてS11に入り、OFFの場合にはステップS6に移る。
ステップS6にて図23のSW2または操作部(B1)のスイッチまたはリモコン受信部または音声受信制御部(B6)のいずれかから、L4とL5がONになっていれば“下へ”の指示があるとしてS7に入りOFFの場合にはステップS1に戻る。
ステップS11ではSW5にて支持体(6)が最上位の位置か否かの確認を行なう。SW5がONの場合は支持体(6)が最上位の位置に来ているとしてステップS14に移り上に向けてのモータ駆動はストップさせる。
ステップS11にてSW5がOFFの場合には、支持体(6)の位置はまだ最上位移動終端位置にはないとしてステップS12、S13、S11のループにて、SW5がONになるまで支持体(6)を上の方向へ移動させる。ただし、SW1の“上へ”の指示などがなくなるまたは音声コマンドの“トマレ”が認識されたりして、L3とL5がOFFになれば、ステップS13にて「上へ」の指示が消えたとしてステップS14に移り、上に向けてのモータ駆動はストップさせる。
ステップS7ではSW6にて支持体(6)が最下位の位置か否かの確認を行なう。SW6がONの場合は支持体(6)が最下位の位置に来ているとしてステップS10に移り下に向けてのモータ駆動はストップさせる。
ステップS7にてSW6がOFFの場合には、支持体(6)の位置はまだ最下位移動終端位置にないとしてステップS8、S9、S7のループにてSW6がONになるまで支持体(6)を下の方向へ移動させる。ただし、SW2の“下へ”の指示がなくなるまたは音声コマンドの“トマレ”が確認されたりして、L4とL5がOFFになれば、ステップS9にて「下へ」の指示が消えたとしてステップS10に移り下に向けてのモータ駆動はストップさせる。
このように、図23の起立座位補助装置の駆動エンジンは図24に示す動作をするので、手元スイッチやリモコン装置または音声コマンドを利用して操作可能となる。他の油圧などでの伝動機構の制御でも基本動作は同じである。
【符号の説明】
【0037】
1 駆動部カバー
2 ハンドル部
3 把持部材
4 グリップ
5 補助ベルトリング
6 支持体
7 ストッパープレート
8 締付ネジ
9 固定パッド
10 浴槽
11 利用者
12 補助ベルト
13 補助シート
14 ストッパー固定ネジ
15 ウォームホイール
16 ウォーム
17 スペーサA
18 スペーサB
19 ホローセット
20 把持部材締付ネジ部
21 把持部材締付ナット
22 補助ベルトフック
23 駆動部
24 補助座板
25 ガイドポール
26 ガイドレール
27 レールボックス
28 可動支持体
29 取付アタッチメントA
30 浴室壁面
31 接合部
32 駆動部調整板
33 高さ固定ネジ
34 モータ制御部
35 モータ
36 正回転スイッチ
37 逆回転スイッチ
38 減速ギア
39 取付アタッチメントB
40 取付アタッチメントC
41 取付アタッチメントD
42 フレーム
43 キャスター
44 ストッパー
45 ベッド柵
46 固定レバー
47 ベッド
48 便座
49 敷板
50 支柱
51 敷き布団
52 リモコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が把持する把持部材と、該把持部材の位置を移動させる駆動部と、該駆動部を制御する駆動制御部を持ち、該駆動制御部は利用者の操作で該把持部材の位置を移動する起立座位補助装置。
【請求項2】
利用者が把持する該把持部材のグリップまたはグリップ近辺の操作部の操作で状態が変わるスイッチを設け、該駆動制御部は、該スイッチの状態に基づいて該駆動部の制御を可能とした請求項1に記載の起立座位補助装置。
【請求項3】
該駆動制御部は、有線または無線で操作可能なリモコン操作部から該駆動部の制御を可能とした請求項1または2に記載の起立座位補助装置。
【請求項4】
人の音声を入力する音声入力部と、該入力された音声を認識する音声認識部を有し、該駆動制御部は、該音声認識部の認識状況に基づいて該駆動部の制御を可能とした請求項1に記載の起立座位補助装置。
【請求項5】
該駆動制御部の制御にて利用者は、座位から起立状態に移行、または立位から座位状態へ移行可能とする請求項1から4に記載の起立座位補助装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2009−172413(P2009−172413A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−114156(P2009−114156)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【分割の表示】特願2003−348997(P2003−348997)の分割
【原出願日】平成15年10月8日(2003.10.8)
【出願人】(302015742)
【Fターム(参考)】