説明

超伝導システム

【課題】この発明は,超伝導体を磁化するための方法と装置に関する,特にフラックス・ポンプと新しい型の磁化された超伝導体に関する。
【解決手段】
超伝導体の磁化を変化させる方法であり,その方法は,前記超伝導体の表面の上を移動する変動磁束の波を発生させるための磁界を自動制御することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,主として超伝導体を磁化するための方法および装置に関するものであり,特に,フラックス・ポンプと新型の磁化された超伝導体に関するものである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0002】
超伝導フラックス・ポンプの概念は比較的簡単である。繰り返し加えられた小さい磁界が,超伝導体内に非常に大きい捕捉磁界をもたらす。この磁界は超伝導体の体積とその臨界電流特性によって制限されるが,励磁に使う磁界の大きさには制限されない。超伝導体が冷却された状態にある限り,その大きな磁界は,永久的であり,外部から電流を流す必要はない。
【0003】
ここに,例えば1Teslaとそれ以上の範囲の高い磁界を容易に発生させる新しい技術を実施態様として記述する。なお,その実施態様では,磁化は本質的に平面磁石に大体垂直となる。さらに他の実施態様としては,例えば,一様磁界とか,移動している波動磁界を作り出すために,時間と空間の両方で任意に変化する,そんな要求される磁界パターンの分布になるよう磁石は磁化される。
【0004】
記述するこの技術の実施態様を大まかに見ると,磁界を貯えるための媒体を用いる。それは通常超伝導体である。媒体が磁性を帯びるようにするための作動は,実施態様においては,例えば常磁性から強磁性か反磁性かのどちらかに進むよう磁気状態を変化させることのできる材料によってできる。それらが磁気状態を変化させるとき,磁界の変化が超伝導体内に電流と,超伝導体の磁化(あるいは減磁)を誘起する。ここで記述する技術の実施態様,例えば,幾何形状や方法について述べる実施態様は,非常に幅広い潜在的な適用範囲を有する。
【0005】
この発明の第一の態様によると,超伝導体の磁化を変える方法が提供されるが,その方法は,前記の超伝導体の表面の上を移動する磁束変化の波を発生させるために磁界を自動的に制御することを含む。
【0006】
この方法では,磁束の移動波を超伝導体に繰り返し加えることが望ましく、移動波の各パスは,永久電流の発生によって超伝導体内の磁束を漸増して貯えることができる。実施態様では,磁束の波は超伝導体の臨界磁界より大きな磁界を適用する。この臨界磁界に関しては,例えば,第一種超伝導体では第一臨界磁界のみである。第一種超伝導体が用いられるとするならば,移動磁界は超伝導体を貫く磁束線を動かすのに充分でなければならない。それで,その磁束線は超伝導体内のある領域まで,例えば超伝導体の真ん中まで,掃引される。
【0007】
その方法のより望ましい実施態様としては,超伝導体として第二種超伝導体を使い,そして磁界は超伝導体の下部臨界磁界(Hc1)よりも大きいほうが良い。通常Hc1は,例えば20mT(ミリテスラ)前後といった具合に小さい,しかしながらこの技術の実施態様では,少なくとも原理的には,1,5,または10 Tesla(テスラ)よりは大きいであろう上部臨界磁界(Hc2)まで,例えば40または50 Teslaまで,超伝導体を磁化することを許容する。実際には,そのような大きな磁界によって発生する反発力(2つの平行電流から生じている)は大きな応力を引き起こし,また特に高温超伝導材料では機械的固定用のある種の形をしたものが領域の上限のところで必要になる。
【0008】
この発明は,超伝導体を磁化する,または減磁する目的で用いる。あるいは,超伝導体の磁化を動的に変化させる目的で用いられる。それらは,磁束の移動波(すなわち,磁界の移動波)が超伝導体の磁化を増大させるかまたは減らすように印加するかどうかに依存している。超伝導体を磁化する際に,磁界は次のようになるよう制御される。すなわち,超伝導体の表面の上に磁束を掃引した後,磁束は超伝導体内に捕捉される。そしてこのようにして,小さな磁界の複数回の掃印を使って非常に大きな磁界を超伝導体内に作ることができる。
【0009】
原理的には,移動波は一組のコイルによって発生させる。なるべくなら,固体状態のアプローチを用いるのが望ましい。従って,より望ましい実施態様としては,磁界の自動制御は超伝導体表面の上にある磁性材料の層内に磁気秩序(オーダリング)の波を制御することを含む。当業者は,磁性材料がその表面と接触している必要はないし,後で記述されるように,そこに超伝導体の表面から磁性材料を離す利点があることを,認める。ただし,磁性材料は,効率が高められるように2つの間の重要な磁束の鎖交が存在するよう超伝導体の表面に充分に近くするのが望ましい。従って,磁性材料の層は超伝導体と同じような大きさを持つのが望ましく,そしてそれゆえ,マイクロメートルからミリメートルまたはそれ以上にまで及ぶ厚みを持つことができる。いくつかの望ましい実施態様においては,厚膜または薄膜の技術が使われる。
【0010】
磁気秩序は,磁気秩序の良く知られた型の広い領域のどれも含む。それは,次のようなものを含むが,しかしそれらに限定されるわけではない。強磁性,フェリ磁性,反磁性,そしてそれらの変形したもの,例えば,傾斜した,螺旋形の,減らされた次元数,そして磁気秩序の他の型,といったものである。しかしながら,広く言えば,磁気秩序の波は,何らかの型の磁気配列の波から成っている。例えば,移動波は,磁気秩序の移動パルス,または秩序を持った材料内にそれとは逆の秩序の無いパルス(それが必要とされる磁束の変化なので)を含む。
【0011】
磁性材料はそれ自身大きな磁界を発生させる必要はない。この技術の代わりの実施態様は,磁性材料内の減らされた(または等価的に増加された)磁気抵抗の領域を作り出すことによって,外部からまたは分離して超伝導体に局所的に印加された磁界の集中に頼る。それゆえ,磁性秩序は,外部印加磁界を局所的に増加させるために,低い磁気抵抗パスを供給する秩序から成る。
【0012】
いくつかの特に望ましい実施態様では,電気的導体の加熱(あるいは冷却)が導体に電流パルスを印加することによって熱的な移動波を発生させるために使われる。導体の特性(抵抗率,寸法)及びまたは印加される電流の大きさは,使われる特別な形状に応じて熱的な波が磁気的な秩序を制御することができるように,選ばれる。従って,例えば,電流のパルスは,導体に沿って流れる熱パルスを発生させる。それは,材料のキュリーポイントを越すまで局所的に熱することにより,磁気的な無秩序のパルスを,それとは逆になっている秩序ある材料内に次々に発生させる。当業者は,他に多くのものがあることを認めるであろうが,プルシアンブルー(及びその類似物)は適合する磁気材料の一例である。その材料の選択は,例えば,熱的な波の大きさ,及びまたは超伝導体が超伝導状態になる臨界温度に依存してなされる。しかしながら,実施態様では,その秩序は秩序温度のときに起こり,そして熱的な波は,この秩序温度の1つのサイドから他方のサイドへ転移する材料内の温度変化を生じさせる。
【0013】
関連した態様のひとつでは,この発明は超伝導体を磁化する方法を提供するが,その方法は,前記の超伝導体の臨界磁界より大きな磁界を前記の超伝導体に繰り返し印加する方法を含む。
【0014】
この方法のいくつかの望ましい実施態様においては,超伝導体は,印加磁界より少なくとも50%大きい磁気モーメントをもつように,磁化される。しかしながら,繰り返し印加することによって,超伝導体の磁気モーメントが繰り返し印加される磁界の2,5,10,または100倍,またはそれ以上まで上昇するということを認識させられる。
【0015】
補足の態様では,この発明は超伝導体を磁化するためのシステムを提供するが,そのシステムは,前記の超伝導体の表面の上を移動する変動磁界の波を発生させる装置を含む。
【0016】
従って,その装置は,移動波を発生させるために材料内の磁気秩序を制御するための制御システムを内蔵するのが望ましい。特に,その制御システムは,材料内の磁気秩序の移動波を発生させるための熱的な移動波を発生できるよう形成される。従って,その制御システムは,例えば,電流駆動パルスのような電流駆動波形を出力できるように形成される電流源によって駆動される電気的な導体を含む。
【0017】
さらにまた関連の態様では,この発明は超伝導体を磁化するためのシステムを提供するが,そのシステムは,前記の超伝導体の臨界磁界より大きな磁界を前記の超伝導体に繰り返し印加するための手段を有する。
【0018】
上記のように,磁界は,プルシアンブルーまたはその類似物の一つのような磁性材料の層内の磁気秩序を制御することによって,繰り返し印加される。望ましい実施態様においては,熱的な波が磁化を制御するのに使われるが,後にリストされるプルシアンブルーの類似物を含むいくつかの磁性材料では,例えばレーザのような光を使って切り替えをすることができる。従って,上記の方法やシステムとは別の実施態様では,磁性材料に光の変化するパターンを印加することによって,例えば材料を横切るようにレーザを掃引させることによって,変動磁界が超伝導体に印加される。
【0019】
別の態様では,この発明は超伝導フラックス・ポンプを提供するが,そのフラックス・ポンプは以下のものを備えている。すなわち,超伝導材料の層;二つの磁気的な状態の間を熱的に切り替え可能であり,前記二つの状態の少なくとも一つになっている前記超伝導材料の層と磁気的に結合している,前記超伝導材料の層の上にある磁性材料の層;それに,前記磁性材料の層と熱的に接触している電気的な導体,そこでは前記導体は,前記導体を通る電流の制御が前述の磁気的層の前記熱的切り替えを制御できるように形成される。
【0020】
スペーサ材料の層が磁性材料と超伝導材料の間に供給されるのが望ましいが,それは,熱絶縁(例えば,実施態様において,そこで移動する温度パルスが磁気の移動波を発生するために使われる)及びまたは,電気絶縁(そこでは電気的導体が温度の移動変化を発生するために用いられるが,それは磁性材料の導電率や導体の配置に依存している)を供給するためである。追加的にまたは代わりに,磁性材料と超伝導材料は,例えば,超伝導フラックス・ポンプの装置の異なるパーツに,物理的に分離されるかまたは分離可能である。そして分離して封じ込められる。例えば,フラックス・ポンプの実施態様においては,フラックス・ポンプの運転のために超伝導体と磁性材料の二つが充分近くなるように,磁性材料に対して超伝導体を合わせることによって,フラックス・ポンプが励磁及びまたは減磁ができるように,超伝導体は「細い棒」のようなホルダーの上に設置される。従って,実施態様において,プルシアンブルーの類似物のような磁性材料,望ましくは関連する電子回路,そして磁界を供給するためのマグネットまたはコイルから成る磁気的な充填と排出の両方又は片方のユニット内に,そのホルダーは差し込まれる。
【0021】
従って,更なる態様では,その発明は2つのパーツの超伝導フラックス・ポンプ装置をが,その装置は,超伝導体を含む第一のパーツと,超伝導体の磁化を変化させるための励磁ユニット及びまたは減磁ユニットから成る第二のパーツで構成されている。後者は,少なくとも切り替え可能な磁性材料と,磁性材料を切り替えるためのシステムを有する。それによって,超伝導体は,超伝導体の磁化が磁性材料の切り替えをする制御装置によって変化させられることができるように切り替え可能な磁性材料に隣接して持ってこられるか位置取りされる。磁性材料を切り替えるシステムは磁性材料を熱的に切り替えるためのシステムを有するのが望ましい。マグネットかコイルもまた磁界を発生するために含まれる。
【0022】
超伝導体は, YBCO(イットリウム・バリウム・銅酸化物)のような,いわゆる銅酸化物超伝導体のような高温超伝導体から成るのが望ましい。
【0023】
この発明はまた,それぞれが上述したようなフラックス・ポンプを有する多数のピクセルを持った超伝導デバイスを提供する。(当業者は,超伝導デバイスやフラックス・ポンプについての関連は,そのデバイスやフラックス・ポンプが超伝導状態にあるとき制限されないことを理解する。)
【0024】
実施態様においては,ひとたび一つのピクセルが磁化されると,隣接するピクセルにかかる周囲磁界が増加するので,従ってプルシアンブルーにかかる周囲磁界はより大きくなり,そしてそれゆえ第二のピクセル上の一つのポンプは第一のピクセル上のポンプより大きな磁化を作り出す。従って,第一の磁化された超伝導体は第二の超伝導体を磁化する際にアシストするように,また第二が第三に対して,といった具合に次々と使われることがある。
【0025】
従って,この発明はまた,物理的に隣接する超伝導体列の超伝導体を磁化する方法を提供するが,その方法は,第一の超伝導体の磁束が前記列の第二の超伝導体と鎖交するように前記列の前記第一の超伝導体を磁化すること,及び,前記第二の超伝導体を磁化するために前記の鎖交磁束を利用すること,を含む。
【0026】
同様に,この発明は,物理的に隣接する超伝導体列の超伝導体を磁化するためのシステムを提供するが,そのシステムは,第一の超伝導体の磁束が前記列の第二の超伝導体と鎖交するように前記列の前記第一の超伝導体を磁化するための方法,及び,前記第二の超伝導体を磁化するために前記鎖交磁束を利用するための方法とを含んでいる。
【0027】
そのようなデバイスが,ピクセル化された磁界を発生させるために使われる。その磁界は,特に,それぞれのピクセルの磁化を定めることによって定義可能な装置の平面に垂直な形をもっている。このことは,その平面の領域に亘り実質上フラットである磁界のように,通常ない形の磁界の発生を可能にする。
【0028】
従って,更に関連した態様においては,この発明はある領域に亘る磁界を定める方法を提供するが,その方法は,超伝導の磁性要素の大多数を供給すること,及び,前記領域に亘り前記磁界を定めるための前記超伝導磁性要素の磁化を制御することを含む。
【0029】
当業者は,超伝導磁性要素はすべて同じ超伝導体の一部であることを理解する。すなわち,磁化可能な層及びまたは超伝導体は,例えば(これは後述する図1bと1c中に描かれているが)ピクセルになるよう模様をつけた一つの連続する層である。更に望ましい実施態様の中には,磁化可能な(切り替え可能な磁気的)層は,(例えば,後述する図1bで示されるような)連続した層から成るであろう。望ましい実施態様では,空間または熱的に絶縁された層が,磁化可能であるかまたは切り替え可能である磁気層と,超伝導体または超伝導層との間に供給される。しかしながら,実施態様では,例えば,もし切り替え可能な磁気層が,超伝導体の臨界温度以下で(例えば,プルシアンブルーまたはその類似物それとYBCOの場合には)望ましくはこの温度より充分下で運転されると,その絶縁層は省略される。
【0030】
さらに関連した態様では,この発明は超伝導磁気デバイスを提供するが,そのデバイスは,超伝導体の領域から成る超伝導磁性要素と,磁気的な移動波を超伝導体の前記領域に印加するためのシステムで構成される。
【0031】
そのデバイスは,アドレス指定された要素を磁化する(または減磁する)ために磁気的な移動波を印加するようシステムを駆動するために,選択された超伝導磁性要素にアドレス指定するための多くの電極を含むことが望ましい。上述のように,そのデバイスは多くの磁気的なピクセルを含むのが望ましい。これらのピクセルのそれぞれは,超伝導フラックス・ポンプを形成する。特に,ピクセルにパターン化された磁化可能な層と,適度に多数の超伝導磁性要素によってである。実施態様では,磁化可能または切り替え可能な層,及びまたは超伝導体は,連続する層である。それは任意であるが,しかし,本質的でなく,絶縁材料の層によって超伝導体から分離されている。磁気的な波を印加するシステムは,超伝導体を磁化する(または減磁する)ための磁化可能な材料の領域を含むのが望ましい。そのシステムはさらに, 磁性材料の磁気秩序を変化させることによって,磁気的な移動波(変動磁界)を発生させるために,磁性材料に熱的な移動波を印加するための少なくとも一つの電気的な導体を有していることが望ましい。
【0032】
さらにこの発明は,表面をもつ超伝導体,前記表面を覆う磁化可能な材料の層,それに,前記超伝導体表面と前記磁化可能な材料の間の熱的な絶縁層から成る磁化可能な超伝導体を提供する。
【0033】
その熱的に絶縁された領域は,実施態様では,磁化可能な材料や磁化または減磁された超伝導体が,お互いから分離されることを可能にするために,例えば,空気ギャップから成る。超伝導体の表面は平面である必要はない。
【0034】
磁化可能な材料の層は,磁界がかからないときそれ以上の温度になると超伝導体が超伝導状態でなくなる温度よりは100 K(ケルビン,絶対温度)までは高くない温度の下方で,自発的に揃う材料を含むのが望ましい。例えば,強磁性かフェリ磁性の材料のキュリー温度は,超伝導体が超伝導になる温度,例えば,10K,50K,または100Kまでは大きくない温度に比較的近いのが望ましい。しかしながら,実施態様では,大きな温度差でも,例えば,熱絶縁の程度に依存するが500Kとか1000Kでさえも,まだ運転される。ある取り合わせでは,熱絶縁の領域は部分的な熱的分離の提供を必要とするだけか,または省かれることすらあることを理解される。
【0035】
別の態様では,この発明は,表面と,その表面に垂直な方向で定義された軸をもつ磁化された超伝導体を提供する。その磁化された超伝導体は,外部印加磁界がないとき,前記軸から離れる距離の増加に対して単調ではない変化をする磁界をもっている。
【0036】
ある望ましい実施態様では,超伝導体の表面はおおよそ平面である。その軸は,超伝導体の対称性を定めるであろう。ここに記述されている磁化の技術は,超伝導体が新しい方法で磁化されることを可能にする。
【0037】
従ってさらなる態様では,この発明は,表面と,その表面に垂直な方向によって定義された軸とをもつ磁化された超伝導体を提供する。その磁化された超伝導体は,外部印加磁界がないとき,前記軸から離れる距離の増加に対して磁界の強さがおおよそ一定である領域が少なくとも存在する磁界をもっている。
【0038】
従来の平らな磁石の形では,減磁は,マグネット表面でおおよそ一定の磁気モーメントをもつマグネットの製作を妨げる。従来はこの形のマグネットでは,磁気モーメントはマグネットの中心に向って下がっていた。対照的にこの技術の実施態様では,例えば超伝導のディスクの磁気モーメントは超伝導体(ディスク)の中心に向っておおよそ直線的に増加するように描く。円電流(円を描くように流れる)のセットアップは,概念的には一組の同心円状のパンケーキコイルのように見える。これらの事実上のコイルがおおよそ同じ電流を運ぶところでは,磁界は超伝導体の対称軸に向って増加する。電流が違っているというような上述の移動磁界が存在する場所では,対称軸に向って減少する磁界と,対称軸に向って増加する磁界との中間位置が得られる。特に,おおよそ平坦な磁界である(それは平坦な表面に垂直な磁気モーメントであり,少なくとも表面の中心部分を横切っておおよそ一定である)。異なる円電流をセットアップすることができる多くの方法がある。一つの方法は,超伝導体の対称軸に向って狭くなるよう先細になる導体を使うことである。他の方法は,平坦な表面の領域に亘っておおよそ一定である磁界を発生するために上述のようなピクセル化された磁化可能な超伝導体を使うことである。
【0039】
従って,更なる実施態様では,この発明は磁化された超伝導体を提供するが,それは,おおよそ同心円状の多数の円電流を持ち,その電流は同一方向に循環し異なる相対的振幅をもっている。
【0040】
磁化の技術の実施態様では,中心の円電流が同心状の多数の円電流に対して逆の向きに循環する。
【0041】
我々の述べる技術は,非常に強い磁界を発生することを可能にする。例えば,少なくとも1T,2.2T,2.3Tまたはそれ以上の最大磁気モーメントを持った磁界である(当業者は,超伝導体について磁気モーメントと磁化は同じことを表していると理解する)。これは,現状の材料を使って得られるよりも大きい。
【0042】
従って,この発明はさらに,おおよそ平面形状で,少なくとも1Tの磁気モーメントを持つ磁化された超伝導体を提供する。
【0043】
例えば,1010 A/m2の臨界電流(Jc)をもつ典型的な高温超伝導体を使用し,1.4Tの磁界を発生させるためには,厚みが90μmの超伝導体の1mm径のディスクが要求される。5mm径のディスクで同じ磁界の強さのためには,厚み約45μmで充分であると計算される。このタイプの超伝導体は,わずか20から30mTの範囲で繰り返し印加される励磁を使って,1.4Tまで磁化される。
【0044】
我々が使用している基本的な原理は熱を使用して変動磁界を引き起こすことである。これは,次々に電流をもたらす電界を作り出す。記述された実施態様では,我々は超伝導体内の電流を誘起しているが,その電流はその後持続し,そして永久磁界をもたらす。実際は,ここに記述されている技術はどんな電気的な導体(まさに超伝導体でない)を使用しても良い。この発明の実施態様では,デバイスの具体化が,例えば電力を作り出すための熱エンジンとして動作するように,超伝導体は従来の導体によって取替えられる。
【0045】
従って,この発明はまた,光または熱のエネルギーから電力を作る出すための熱または光のエンジンを提供するが,そのエンジンは,光や温度の変化を磁界の変化に転換するための方法,それに前記磁界の変化を電力に変換するための方法を含んでいる。
発明者は,同じような概念が高い効率の太陽電池の基礎として用いられることを確認している。
【0046】
従って,この発明の更なる一態様によれば,そこでは太陽電池が提供されるが,その太陽電池は次のものから構成されている。すなわち,磁気的に変更できる光伝送を持った窓口を供給するための材料の第一層;前記材料の第一層の下にある磁気的に切り替え可能な材料の第二層,前記の磁気的に切り替え可能な材料は光に敏感な磁化を持っている;そして,前記の磁気的に最適な材料の磁界中の導体;そしてそこでは動作中に,前記の磁気的に切り替え可能な材料への光の伝送は,前記導体内に電流を誘起するための前記磁化の変化を引き起こすように発振する。
【0047】
材料の第一層は液晶材料から成るのが望ましい。実施態様では,太陽電池は,切り替え可能な磁性材料に対して磁界を発生させるための永久磁石のような方法を有している。
発明のこれらの態様と他の態様は,添付の図面を参照し,例を通して次に更に記述される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
ある望ましい実施態様において,システムを作り上げる要素は次のようなものである。
1)超伝導層
2)絶縁層
3)切り替え可能な磁気層
4)熱源/伝導層
【0049】
幾何形状は,図1と2に図式的に示されている。図1は要素の一つの立面である。図2は,要素の一つのグループを上から示す。図1と2の両方とも,原理を模式的に示したものである。これらは最終的なデバイスの精密な表示を意図していない。
【0050】
急速な減磁の場合,超伝導体を常伝導状態になるよう駆動するために用いる熱源を供給するのに使われるいくつかの異なった変化がある。または,図1bに示すような連続的な超伝導層と,図1cに示すような連続的な絶縁層の両方または片方を持っている製造の容易さのために。
【0051】
図1をより詳細に参照すると,図1aから1cのすべてで超伝導層1は冷却層5に(直接に)熱接触している。熱的な絶縁層2は超伝導層1の上に置かれる。図1aでは,超伝導層を完全に覆うようにし,また冷却層に接触させている。図1bでは,超伝導層の表面の上を覆っている。そして,図1cでは,超伝導層の表面を部分的に覆っている。この3つの示された実施態様では,絶縁層2は切り替え可能な磁性層を下方の超伝導層からほとんどまたはすべて分離している(図1cでは,切り替え可能な磁性層3が,特に端部の方で超伝導層と部分的に接触している)。熱源と,電気的または熱的な導体,それらの両方または片方から成る第4層は,切り替え可能な磁性層3に直接接触していることが望ましく,またまた絶縁層2と直接接触するのも任意であり(図1c),そして冷却層5と接触してもよい(図1a)。図1aから1cに示される構造は領域を複製されるので,超伝導層と絶縁層と切り替え可能な磁性層のうち一つまたはそれ以上は連続層になって良い。描かれた例の変形として,層(線材)4は図1bに示されているように層の中に入れ込まれるよりもむしろ切り替え可能な磁気層の上部に置くとよい。更に一層の具体化では,例えばもし切り替え可能な磁性層(例えば,プルシアンブルーかそれらの類似物)が,例えばYBCOのような超伝導層の臨界温度より低い,できれば十分に低い,温度で動作させられるなら,絶縁層は省略される。
【0052】
図2では,導体/熱源の格子は一様になっていると示されている。実際は,そして特にもし固定された磁界パターンが要求されれば,そのときこれは事実ではない。例えば,異なる要素を異なる回数だけ切り替えるか,または要素を異なる形状にすることのいずれかによって,一様な磁界パターンは作ることができる。 図2は,ピクセル地図を示しているが,そこでは全てのピクセルがおおよそ同じサイズであるが,しかし当業者は一つのデバイスの中でピクセルは異なるサイズであると理解する。
【0053】
フラックス・ポンプの望ましい実施態様について言及し続けることにすると,超伝導層は下の方から冷たく保ち,そして絶縁層によって最上層から熱的に分離される。コールドヘッド(冷却棒の先端)と切り替え可能な磁性層は熱的に結合している。典型的には,層4は一本の線材(または複数の線材)であろう,そこには最上部の(磁性)層の温度を調整するために電流が流れていく。このアレンジを使うと,熱的なパルスを切り替え可能な磁性層に沿って送り出すことができる。その磁性層を磁性から非磁性へ,あるいはその逆向きと切り替え,そして従って超伝導体を横切って通過する磁気的な波を作り出す。熱的なパルスが超伝導体を横切って通ると,磁束は超伝導体内に捕捉され,そして捕捉された全磁束は送り出されたパルスの回数に依存する。セルの数はいくらでも(応用に依るが)使われ,そして異なるセルが異なる回数だけポンプされるように,デバイスは配線される。従って,発生させるべき磁界の正しいパターンを可能にする。磁束はより大きな振幅までポンプアップされるか,またはポンプダウンされるかのいずれかになる。ひとたび磁界パターンが出来上がると,超伝導体の温度が保持される限りそれは安定している。
【0054】
図3は図1に示されるようなデバイスを上方から見た眺めであるが,図2のデバイスのフラックス・ポンプセルに割り付けをした例であり,そこには3つのユニットセルが描かれている。その図解には,磁性層の端部に沿って熱せられた領域を作り出すために中央のセルに転ずるように電流が示されている。普通トランジスタになっているスイッチは,電流が供給用のレールから導体へまたは導体から転ずることを可能とする。導体は,図解中でハッチングしてあり,また磁性層に隣接して設置してある。
【0055】
磁性材料
現在,切り替え可能な磁性層として試した材料はプルシアンブルーの類似物である。 一般にこれらは,YBCOの臨界温度と同じような温度で強磁性とフェリ磁性の秩序を経験する。これらの材料の範囲は次の表に示されている(分子集合体からの装置への分子磁性より,エウジェニオ・コロナドほか編集)。今までに使用された材料の例は次の
【化1】


【化2】

である。実験内容のより詳細なことは後に示す。しかしながら,当業者は,原理的にほとんどどの磁性材料も切り替え可能な磁性材料として使えることを認める。その技術はまた,反磁性になる材料で適用される。要求のすべては,変動磁界が超伝導体に隣接して誘起されることである。
化合物CsNiII [CrIII (CN) 6]・2H2Oは,YBCOのTcが93Kなので有用である。化合物CuII3 [CrIII (CN) 6] 2・15H2Oは,そのTc (66K)が窒素の凍結温度(64K)の近くにあるので有用である。
【0056】
プルシアンブルーの類似物;FとF1は,それぞれ強磁性とフェリ磁性の秩序を表象する。
【表1】

【0057】
超伝導体
望ましい超伝導体は,例えばYBCOのような銅酸化物であるが,これは薄いフィルム,厚いフィルム,そしてバルク材料の形に作られ,また適度に高いTc(臨界温度)をもち,高磁界を捕捉できる。しかしながら,原理的にはどんな第II種超伝導体も用いられるであろう。加えて,イットリウムがガドリニウムやルビジウムといった他の希土類に置き換わったYBCOの変種もある(これらは,一般にReBCOと呼ばれる)。他の候補者として,2212か2223のいずれかの形態をもつBSCCOと,非常に安いという長所があるがTcが低い(30K台の中央)マグネシウムのボロン化合物(MgB2)がある。例えば,ランタニドまたは水銀やタリウムの化合物のように,他にも使えるであろう多くのものがある。
【0058】
また有機超伝導体として記述することができる多数の材料がある。これらは,二つとも擬一次元のベクガード塩とファブレ塩,それとKappaBEDT TTF2X,lambdaBETS2X,およびグラファイトを間に入れた化合物のような擬二次元の材料,それとアルカリ添加されたフッ素のような三次元材料を含んでいる。
【0059】
銅酸化物の候補のリストは,「超伝導材料−話題の概観」ホット ロランド,クライナー ラインホールド,ウルフ トーマスほか(2004-08-10) oai:arXiv.org:cond-mat/0408212 の中に見つけることができる。それらは,高温超伝導体の仲間を含んでいる。すなわち,BiHTS (Bi-m2 (n-1) n,BSCCO); T1-HTS (T1-m2 (n-1) n,TBCCO); Hg-HTS (Hg-m2 (n-1) n,HBCCO); Au-HTS (Au-m2 (n-1) n); 123-HTS (RE-123,RBCO); Cu-HTS (Cu-m2 (n-1) n); Ru-HTS (Ru-1212); B-HTS (B-m2 (n-1) n); 214-HTS (LSCO“0202”); (電子添加されたHTS PCCO NCCO); (“02 (n-1) n”); 無限層HTS (電子添加されたI.L.)である。
【0060】
原理の証明として,我々は,上述のメカニズムによって超伝導体のリングの外側から超伝導体の内側へ磁界が掃引されているモデルを作った。モデルで使う幾何形状は計算の容易さのためである。デバイスは,上述の四角の形状と(またはどんな他の幾何形状でも)丁度同じように動作する。モデルで使用されるパラメータは,1×1010 A/m2のJcをもち厚さ3.5mmの超伝導体である。磁石の厚さは2 mmで超伝導体の表面に垂直に20-30mTが供給されている。
【0061】
図4はモデル幾何形状の例を示す。図5は,磁界が超伝導体の中央に掃引されたとき起こることを一連のステップで示している。(左右両側で対称であるため超伝導体の右半分のみが示されている)。この例では,磁界は右から左へ移動していく小さな磁石によって発生されると仮定している。それぞれのステップにおいて磁石の位置はマーカー500のすぐ下にある。(ステップ2の位置502のところで,ステップ1からの磁界と新しい磁石の位置からの磁界とはキャンセルしない。というのは,ステップ1で誘起されたすべての磁束が超伝導体に捕捉されるわけではないからである)。二つのポンプが例解するために順番に示しており(図6),またそれから10,50,150,250,それに300ポンプの後の状態も示している(図7)。
【0062】
それぞれの図式の中で,青色領域(B)はそのページ内へ動いて入ってくる電流であり,赤色領域(R)はページから外へ動いて出る電流である。サイクルの数が増えるにつれ,青色領域はどんどん大きくなり,そして,超伝導体が電流で全部満たされたとき捕捉される磁束が物理的な限界に達する。このことは,Jc(臨界電流密度)と超伝導体の体積に依存している。
【0063】
図8のグラフは,磁界がポンプの回数とともにどのように大きくなっていくかを示している。従って,図8はSCリングの中心の捕捉磁束密度(ポンプの回数に対する平均のB)を示す。
【0064】
システムはスイッチオフの磁石と丁度同じように動作する。スイッチオンも同様である。それは単に逆の効果を持つ。このことは,図9に描かれているが,そこでは図7のそれと似ているが,補足的である減磁のプロセスを示している。図10は,減磁プロセスに対するSCリングの中心の捕捉磁束密度(ポンプの回数に対する平均のB)を示している。
【0065】
図11は,超伝導体の円柱状の断片の磁束の図式的な表示である。磁束線の間隔は局所的な磁束密度を表している。等間隔の磁束線は一定の磁束密度と等価である。
【0066】
図12を参照すると,これは磁束の複合効果を図解している。図12aでは,ピクセル1を磁化するために弱い周囲印加磁界が使われた(矢印は磁界の向きを表している。矢印の間隔は磁束密度を表している)。図12bでは,近接するピクセルが今,包囲印加磁界にプラスしてピクセル1からのそれをもつ。従って,ピクセル2へのポンピングは今ピクセル1への最初のポンプより結果的に大きな磁界を作り出す。
【0067】
より詳細には,例えば,前述の30mTの磁界を繰り返し印加することによって,ピクセル1が300mTまで磁化されると仮定する。ピクセル2と3はそれぞれ150mTを分ける,従って,これらのピクセルにかかる有効な磁界は180mT(150mT+30mT)であり,このようにして,一連のピクセルまたは超伝導体の連続的なピクセルを磁化する磁界は,(次の段階で1800mTまで得る例では,そして次に18Tというふうに)磁化する磁界を非常に高めるために増加する。ある時点で磁化可能な材料(プルシアンブルー)は飽和するであろう,しかしながら非常に高い磁界はこの種の技術を使って急ぎ得られるであろうことを認めることになる。
【0068】
上の記述は,フラックス・ポンプの基本動作を示し,そして原理を示すモデルを表している。その実施は,デバイスの最も単純なレベルでの例証目的のために示されており,また原理的にはもっと磁性層があるということが注意されるべきである。その磁性層では,ポンピングのスピードを改善するために磁石はどちらか一方順次スイッチオンされるか,またはその事ならやはり,他が減らす間に一つの層が超伝導体内の捕捉磁界を増加させるように異なる層は異なる臨界温度をもっている。
【0069】
実際はここに組み込まれる2つのアイデアがある。その第一は,磁界の入れ物(代表的には超伝導体であろう)を横切って磁界を掃引するために,非磁性と磁性(強磁性,フェリ磁性,または反磁性)の状態間の転移を経験する材料を使う。このプロセスは,何回でも(一回も含む)行うことができ,また結果として生じる磁界を上げるか下げるかどちらか一方のために使われる。
【0070】
第二のアイデアは,作り上げたい磁界のパターンを可能にするための磁界を「ピクセレーティング」する原理である。ここで磁界を「ピクセレーティング」する目的は,局所的に変化させる磁界の密度と強さを可能にするためである。このことは多くの理由で重要であるが,しかしながら,例えば,もし一様磁界分布が要求されれば,等しく磁化されるか平面に亘り等しく分布するすべてのピクセルを持つことによってこれは作り出されないであろう,ということがひとたび認識されれば理解される。
【0071】
これは,アイデアがさまざまな理由で重要であるが,下記のものを含んでいる。
1)幾何形状は特徴的である(短軸に平行,すなわち平面に垂直な高い磁界を生じさせるのは一般に可能ではない)
2)現在,少なくとも同程度の高い磁界を印加することなしに,超伝導体の断片に高磁界を捕捉する実際的な方法はない。この方法は,多数回印加される低い磁束密度の磁界を使う。
3)磁界をスペースと大きさで量子化することは,多くの磁界パターンが静的と動的の二通りで作り出すことができることを意味している。そして,実施態様では,コイルの無いことは,インダクタンスにより負わされた限界が適用される必要が無いことを意味している。
【0072】
上述した概念はまた,前述したように,熱エンジンを構成するのに取り入れることができる。また効率の良い太陽電池の場合でもそうである。そのようなデバイスの一つの例が図13に示してある。それは3層から成り,第一層は,磁界が無いときに,望ましくは十分に透明な最初の状態と,望ましくは十分に不透明な二番目の状態の間を切り替える液晶材料で構成される。適した液晶材料の例は,4-n-pentyl-4’-cyanobiphenylで,5CBとも呼ばれるものである。デバイスの第二層は,第一層の下方にあり(光が太陽電池に突き当たる方向に),例えば,1,3,5-trithia-2,4,6-triazapentalenyl (TTTA) または光誘起磁化効果またはLIESSTを示す他の化合物のように,光によって切り替えられる磁性材料の層から成る。デバイスはまた電気的な導体から成る第三層を含んでいる。動作時には,光が透明状態にある液晶を通して差し込み,磁界の変化を引き起こす磁性層(プルシアンブルー)の磁気状態を切り替える。これは導体内に電界,結果として電流を誘起する。磁界もまた液晶層が不透明になることを引き起こす。切り替え可能な磁性層は今や暗闇にあるので,再び状態を切り替えると,それが磁界の他の変化と他の電流の原因となる。その液晶は再び澄んだ状態になり,そしてサイクルは再始動する。
【0073】
図13をより詳細に参照すると,これは,太陽電池の例を示している。そこでは,外部印加磁界が永久磁石によって供給されており,また,切り換え用の磁性材料が非常に低い温度で動作するような場合において(多くがそうであるように),切り替え用の磁性材料の下にある一つまたはそれ以上のコイル/導体を含んでいる。
【0074】
上述したように,液晶材料の多くの候補が存在する。一つの例としては,転移がおよそ400 gauss(ガウス)または0.04T(テスラ)のところで起こる4-n-pentyl-4’-cyanobiphenyl(5CB)である。この転移は,偏光の中で,不透明から澄んだ状態へ,または,まったくの黒からまったくの透明へなることである(参照;「自由表面をもつネマティック液晶膜の磁界誘起のフリーダリックス転移と動的応答」, Shyu-Mou Chen and Ting-Chiang Hsieh, Phys. Rev. A43, 2848-2857 (1991), [Issue 6-15 March 1991])。
【0075】
室温でまたはその近辺で,光によりシフトする磁性材料が存在する。296KのTcをもち,また反磁性と常磁性の間を切り替わる一つの例が,1,3,5-trithia-2,4,6-triazapentalenyl (TTTA) (H. Matsuzaki,W. Fujita,K. Awaga and H. Okamoto,「室温の光学的かつ磁気的に二安定性をもつ有機基の結晶における光励起相転移」,PHYSICAL REVIEW LETTERS 91 (1): Art. No. 017403 JUL 4 2003)である。
【0076】
低温で光に反応する多くのプルシアンブルーの類似物があるが,それらは発明によりフラックス・ポンプの実施態様で使われる。これらの第一号は橋本のグループにより発見され,コバルト鉄に基づいていた。例えば,K0.2Co1.4 [Fe (CN) (6)].6.9H (2) O,それにK0.4Co1.3 [Fe (CN) (6)].5H (2) O (Sato O,Iyoda T. Fujishima A, et al.「コバルト鉄のシアン化物の光誘起磁化」SCIENCE 272 (5262): 704-705 MAY 3 1996,それにSato O, Einaga Y, Iyoda T. et al. 「リバーシブルな光誘起磁化」JOURNAL OF THE ELECTROCHEMICAL SOCIETY 144 (1): L11-L13 JAN 1997)。モリブデンに基づくもう一つの例は,CuII2[MoIV(CN8] ・ 8H20 (S. Ohkoshi et al., Chem Lett., 4, 312 (2001); J. Am. Chem. Soc., 128, 270 (2006); T. Hozumi et al., J. Am. Chem. Soc., 127, 3684 (2005) があるが,ある応用ではこの化合物は十分な磁界を提供しないかも知れない。もう一つの例は,Rb0.91Mn1.05[Fe(CN)6]・0.6H2O (「ルビジウム マンガン ヘキサシアノフェライトの温度と光で誘起される相転移」, Shin-ichi Ohkoshi, Hiroko Tokoro and Kazuhito Hashimoto JOURNAL OF MATERIALS CHEMISTRY 15 (32): 3291-3295 2005)。更なる例は,Epsteinによって, 「フレキシブルで,軽量で,安いコストで,拡張可能なエレクトロニクスの新しい基礎:有機基磁性とField Effect デバイスのためのドープされた導電性ポリマー」 Arthur J. Epsteinで報告されたようなマンガン化合物Mn[tetracyanoethanide]2である。
【0077】
磁気的な秩序または無秩序を経る発明の実施態様で使われ,プルシアンブルーの類似物ではない更なる化合物(光でシフトしない)は,次のとおりである: まず「シュウ酸塩」が挙げられる。これは,例えば,A+ = PPh4+,N (n-CnH2n+1)4+, n = 3-5,またMIIはMn,Fe,CoおよびNiとして,A [MIICr (C2S2O2) 3]と書けるtris-dithiooxalatoの塩(Inorg. Chem., 42 (4), 986 -996, 2003.10.1021/ic020302x S0020-1669 (02) 00302-6)や,(R4N)[MnIICrIII(C2O4)3]のような金属シュウ酸塩の磁石である。それに,「2価のシアン化合物」が挙げられる。これは,MII[N(CN)2]2やMII[N(CN)2]2Lx (L = pyridine, pyrazine, 2,2'-bipyridine, 4,4'-bipyridine)のようなもの (Manson, J. L.; Incarvito, C. D.; Rheingold, A. L.; Miller, J. S. J. Chem. Soc., Dalton Trans. 1998, 3705)や,trithiatriazapentalenyl 基,すなわちC2S3N3 (McManus GD, Rawson JM, Feeder N, et al. “Synthesis, crystal structures, electronic structure and magnetic behaviour of the trithiatriazapentalenyl radical”, C2S3N3 JOURNAL OF MATERIALS CHEMISTRY 11 (8): 1992-2003 2001) や,それに,V(TCNE)2・0.5CH2Cl2 (MANRIQUEZ JM, YEE GT, MCLEAN RS, et al. A ROOM-TEMPERATURE MOLECULAR ORGANIC BASED MAGNET SCIENCE 252 (5011): 1415-1417 JUN 7 1991) などである。
【0078】
更に一層すべての磁性材料にキュリーポイントがあり,可能性としてこれは適切な温度まで添加によって減らすことができる。
【0079】
実験結果
図14を参照すると,これは実験テスト装備の垂直断面の半分を示している(もう片方の半分もこれと同じである)。これは,それぞれの品目の振舞いが,分離された状態と組み合わされた状態の両方ともテストできるように設計されている。その組み立てはユニットになっており,プルシアンブルーや超伝導体の有無にかかわらず測定でき,またホール素子が超伝導体に隣接するか磁石に隣接するかのいずれかで測定できる。図14の取り合わせは,一定の比率に縮小されていないことに注意すべきである。
【0080】
この図で,AおよびBと表示された矢印は磁石やプルシアンブルーのための熱の通り道を指し示している。ファイバーワッシャーによって提供される超伝導体とプルシアンブルーの間の付加的な熱の通り道がある。装備は真空槽内に入っており,またプルシアンブルーと磁石の上下にギャップがある。装置は二つのバージョンが製作された。一つは,良い熱伝導性を提供するために黄銅に入れ,もう一方は磁気的な通り道を提供するために鉄に入れた。図14は鉄のバージョンである。後の図18と19に示されている結果は,装備が鉄のバージョンを使って得られたものである。それで実験仕事の大部分が行われたプルシアンブルーの類似物は,
【化3】

であった。これは,非常に低い比透磁率(およそ3)をもち,またこの材料を用いると,例証された実験結果を生み出すため装置の鉄バージョンを使う必要性がわかる。測定は二番目のプルシアンブルーの類似物である
【化4】

について行われた。また,この材料についてなされたSQUID測定が,例示システムでの実際的な運転を実際にやってみせる後述の測定を支持した。
【0081】
前にも述べたように,磁化可能な材料(この場合プルシアンブルー)は,それ自身が大きな磁界を発生させる必要はなく,分散して印加された磁界を単に集中させているにすぎない。従って,例えば図1の実施態様では,磁石または更なる磁気層は,切り替え可能な磁気層3の上方に提供される。図14の装置は,そこで磁界がNdFeBの磁石によって供給されるような配置になっている。またその磁界はプルシアンブルーの類似物によって高められる。
【0082】
図15を参照すると,これは異なる等級のNdFeBの磁化曲線(B-H曲線)の例である。これらの曲線から,磁界の変化は完全にリバーシブルであることが見てとれる。温度に対する磁化の変化は図14の装具を用いて測定されており,また磁石が室温に戻ったとき磁化の実質的な減少はなかったことが分かった。
従って,NdFeBの熱サイクルは,超伝導体を磁化する磁界の望ましい変化を達成できる。図15を参照すると,NdFeB自体がYBCOにとっておおよそ正しい温度での磁気転移を経験し,それゆえそれ自体が「切り替え」磁性材料の候補であるということがわかる。
【0083】
プルシアンブルーの類似物は,溶解物から粉の形態で沈殿し,悪い熱伝導性を持つ傾向にある。バルク構造を形作る1つの実用的な方法は,熱的および電気的な伝導率を増大するが,同時にパッキングファクターや磁気モーメント総量には逆に影響しない,銀のDagTMのような金属接合剤を使用することである。図16はこのように形作られたプルシアンブルーのパックの例を示す。
【0084】
図17は,プルシアンブルーの類似物
【化5】

の異なる温度でのM-Hループを示している。印加磁界(X軸)が一定であるとき,温度の減少は全磁界を増加させる効果をもつ。その類似物は,わずか3という等価的な比透磁率をもっており,40Kにおいて飽和磁化はおよそ60mTである。印加磁界が2.5×105 Amps/m (0.3T)のところで,45Kと70Kの間の温度変化はおよそ3×104 Amps/m (38mT)の磁化の変化を生じさせる。モデルは,これが我々のテスト装具に20-30 mTの桁の振幅をもつ移動する磁気的な波を作り出すのに十分であったこと,それでこれが使われたことを示している。しかしながら,当業者は,もっと良い構成が型にはまった実験によって見極められることを認識できる。図18aと18bは,熱サイクルによる磁界の変化を示すループである。二つのホール素子が使われたが,一つは装具(図18a)の中心線の近くに,もう一つは中心線からはみ出している。二つの場合とも,上方のカーブは冷却時であり,下方は加熱時である。
【0085】
図18および19は,単一のポンプを示す。図20は二重ポンプを示す。そして,図21は,一つの図上に図18と19のデータを示す。
【0086】
装具が温められているとき磁束密度は減少するということを図18から分かるが,これは超伝導体が磁化されていることを示している。このプロットでは,熱の通り道は図14に示されたファイバーのワッシャーを通ることになることが確かなように,加熱はコールドヘッドに供給している圧縮機のスイッチを切ることによってなされたことに気づくべきである。
【0087】
図18を理解する際に注意が必要である。温度はシステムの一点で測定されているに過ぎず,またその点は故意に超伝導体と熱的に弱結合をしているので,測定値と超伝導体には温度差があるだろう。超伝導体が臨界温度に達したときに起こるマイスナー転移で明白である。冷却時,測定温度(本体の温度)がおよそ122Kになっていると記録されているときこのことが起きている。加熱の軌跡では,転移はおよそ98Kで起きている。
【0088】
上述にもかかわらず,システムの動作について堅実な実験的証拠が提供される二つの特色がある。
【0089】
第一は,加熱時の軌跡で,温度が上昇するにつれ全磁界は減少していること(超伝導体は励磁と逆向きに磁化され,それゆえ全磁界は減る)。
【0090】
第二は,加熱時の中心の温度素子の軌跡に大きな不連続があること。これは,超伝導体が常伝導状態になり(すなわち超伝導性を失い),それゆえ磁化を失うときに起きる。このジャンプのいくつかはマイスナー磁束排除によるものであろうが,しかし図19(下方)では全く示されていない。
【0091】
図19は,冷却と加熱の両セクションに対する超伝導転移の接近を示している。注意すべき重要なことは,超伝導体がその臨界温度を通過して冷却され,またマイスナー磁束排除が起こるときの磁束密度の変化は,再び加熱されるときより,中心と中心から外れた両方のプローブでより小さい。このことは,超伝導体がマイスナー効果単独で説明できるよりも大きな正味の磁化を持っていることを意味している。
【0092】
より詳細には,超伝導体がその臨界温度を通過するとき,磁束は排除されが,このことはマイスナー効果として知られている。これは,デバイスが冷却されるとき図19の磁束密度の低下に見ることができる。もし,磁化がなければ,臨界温度を通過する加熱は同様の測定磁束密度の上昇を生じさせるであろう。図19では,その上昇は超伝導体が加熱されるときにより大きくなるが,それは超伝導体を磁化することがうまくいったことを意味している。このことは,非常に重要な結果である。可動部分もなくコイルに通じる電流も使わないで何かを磁化することができるそんなシステムを実際に見せるときに,これは非常重要な結果である。
【0093】
従って図20を参照すると,これは二つのサイクルを示しているが,それは単一ポンプよりももっと実証することになる。図21は,単一サイクルと覆われた二重サイクルを示している。図22aとbは,ポンピングの証拠が無いということを証明する超伝導体が無くても動く装具からの結果を示す。そして,その装具が前と同じ方法で加熱されるとき,磁束密度はヒステリシスがほとんど無いかまたは無い(図22bは,温度が周期を成していることを実証するために分離してプロットされた温度と磁束密度の進展を示している)。
【0094】
この特別な実証における制限は,プルシアンブルーそれ自体にある。そこでは,もっとポンプが動くとき,プルシアンブルーによって見られる全磁界は減少する。それゆえ,我々は図17の左側(y軸に向って)へ動き,そして温度に対する磁界の変化は減少する。言い換えると,磁気的な移動波の振幅は減少し,そしてそれを用いるとポンプの有効性も減少する。
【0095】
しかしながら,ひとたび一つの要素が磁化されると隣接する要素にかかる磁界が強化されるので,多数の要素があるときは問題とならない。加えて,このシステムでは,停止したとき,冷却の段階にある間に熱的な波が動き始めようとして発現する。もし代わりに,加熱の段階にある間にこれが起こるようにシステムが構成されるとすると,超伝導体は反対方向に磁化され,そして磁界は増加し,またそれゆえにy軸から動き離れる。(波は単一の障害または階段状の変化から成るが,しかしながら,もし周期的な波を使ったと仮定すると,何がしかの周期的なものとなる。また,(もし一つなら)痕跡の端は,先導の端の後ろにミリ秒か,秒,または時間のオーダーすら続く。
【0096】
上で記述した実施態様のいくつかは,特に超伝導のリングに言及する。しかしながら,しばしば円形または擬円形の幾何形状がたぶん最も良い配置であると信じられるけれども,システムの配置はこの幾何形状に制限されないし,また環状の波(すなわち大よそ直線に移動する波)よりも平面波(すなわち周囲へ広がるか狭まる波)で機能を果たすことができる。
【0097】
数ある中で,パーツを動かさないで,またコイルに電流を流さないで,目的物を磁化できる方法やシステムについて記載してきた。もっととりわけ我々が記述する技術は,高い磁界の発生を容易にする。 我々が記述してきた技術について可能性のある高いレベルの先端応用が数多く存在する。例えば,NMRのような応用で要求される非常に一様で高安定な領域で,またモーター,発電機のような応用と光学用の磁気切り替え液晶で要求される移動波や単に変化する磁界である。この技術はまた,磁気揮発性メモリや磁気CMOSに基づくコンピュータのためすら使用できる。
【0098】
確かに多くの他の有効な代案が当業者に浮かぶであろう。この発明は記述した実施態様に限らないし,またここに添えられた請求項の及ぶ精神と範囲内にある当業者に明白である修正を包含することが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】超伝導フラックス・ポンプの立面を示す。
【図2】例えば図1に示すようなタイプのフラックス・ポンプの多数の各セルを上から見たフラックス・ポンプを示す。
【図3】図2のデバイス用にフラックス・ポンプのセルをアドレス指定する例とともに,図1に示すようなデバイスの上方からの眺めを示す。
【図4】例としてのモデル幾何形状を示す。
【図5】磁界が超伝導体の中心に印加されたときに起きていることを一連のステップで示す(左右両側で対称であるため超伝導体の右半分のみが示されている)。
【図6】磁界が超伝導体の中心に印加されたときに起きていることを一連のステップで示す(左右両側で対称であるため超伝導体の右半分のみが示されている)。
【図7】磁界が超伝導体の中心に印加されたときに起きていることを一連のステップで示す(左右両側で対称であるため超伝導体の右半分のみが示されている)。
【図8】超伝導リング(SCリング)の中央における捕捉された磁束密度を示す(ポンプの番号に対する平均の磁束密度)。
【図9】図7と類似しているが補足的な減磁プロセスを示している。
【図10】減磁プロセスのための超伝導リング中央における捕捉された磁束密度を示す(ポンプの番号に対する平均の磁束密度)。
【図11】磁化された超伝導体の例を示す。
【図12】磁束の複合効果を描いている。
【図13】太陽電池の例を示す。
【図14】この発明の態様を実施化する技術のための実験装置を示す。
【図15】NdFeBのB-H曲線の例を示す。
【図16】半分に切ったプルシアンブルーのパックの例の天井からの眺めと断面の眺めを示す。
【図17】異なる温度におけるプルシアンブルーの類似物のM-Hループを示す。
【図18】図14の装置の中央と中央から外れたプローブの温度に対するそれぞれの磁束密度(mT)のグラフを示す。冷却時と加熱時を描いている。
【図19】冷却時(左のスケール)と加熱時(右のスケール),または中央と中央から外れたプローブの場合についての臨界温度におけるマイスナー転移を示している。
【図20】中央と中央から外れたプローブの場合について,多数ポンプ周期を示す温度(K)に対する磁束密度(mT)のグラフを示す。
【図21】単一と多数両方のポンプ周期について,温度(K)に対する磁束密度(mT)のグラフを示す。単一中央プローブの場合,超伝導体が常伝導状態になるときにそのトレースに不連続性が描かれる。
【図22】超伝導体無しの制御トレースを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超伝導体の磁化を変化させる方法であり,その方法は,前記超伝導体の表面を移動する変動磁束の波を発生させるために磁界を自動制御することを含んでいる。
【請求項2】
請求項1で請求したような方法であり,そこでは前記変化が前記超伝導体を磁化することを含んでいる。その方法は前記超伝導体に前記磁束の移動波を繰り返し印加することを含んでいる。
【請求項3】
請求項1または2で請求したような方法であり,そこでは前記磁束の波が前記超伝導体の臨界磁界より大きな磁界を超伝導体に印加する。
【請求項4】
請求項1,2,または3で請求したような方法であり,そこでは前記自動制御が,前記超伝導体表面の上方の磁化可能な材料の層内に磁気的秩序の波を制御することを含む。
【請求項5】
請求項4で請求したような方法であり,そこでは前記材料が強磁性またはフェリ磁性の材料を含む。
【請求項6】
請求項4または5で請求したような方法であり,そこでは前記制御が,前記秩序を制御するための導体内に熱的な移動する波を発生させるための前記材料の層と熱的に接触している前記導体内の電流を制御することを含む。
【請求項7】
請求項6で請求したような方法であり,そこでは前記秩序が秩序温度で起きており,またそこでは前記熱的な波が,前記秩序温度の一方の側からもう一方の側へ転移する前記材料中に,温度変化を生じさせる。
【請求項8】
超伝導体を磁化する方法であり,その方法は,前記超伝導体に前記超伝導体の臨界磁界より大きな磁界を繰り返し印加することを含む。
【請求項9】
請求項8で請求したような方法であり,そこでは前記超伝導体が,前記印加磁界より少なくとも50%大きな磁気モーメントをもつように,磁化される。
【請求項10】
超伝導体を磁化するシステムであり,そのシステムは,前記超伝導体の表面上を移動する変動磁束の波を発生するための装置を含む。
【請求項11】
請求項10で請求したようなシステムであり,そこでは前記装置が磁化可能な材料,および前記磁束の移動波を発生させるための前記材料内の磁気秩序を制御するための制御システムを含む。
【請求項12】
請求項11で請求したようなシステムであり,そこでは前記磁性材料が秩序温度をもっており,またそこでは前記制御システムが前記材料内の磁気秩序の移動波を発生させるため移動する熱的な波を発生させるために形成される。
【請求項13】
超伝導体を磁化するためのシステムであり,そのシステムは,前記超伝導体の臨界磁界より大きな磁界を前記超伝導体に繰り返し印加するための方法を含む。
【請求項14】
超伝導フラックス・ポンプであり,そのフラックス・ポンプは次のもので構成される:超伝導材料の層;二つの磁気的な状態の間を熱的に切り替え可能であり,前記二つの状態の少なくとも一つになっている前記超伝導材料の層と磁気的に結合している,前記超伝導材料の層の上にある磁性材料の層;それに,前記磁性材料の層と熱的に接触している電気的な導体,そこでは前記導体は,前記導体を通る電流の制御が前述の磁気的層の前記熱的切り替えを制御できるように形成される。
【請求項15】
請求項14で請求したような超伝導フラックス・ポンプであり,それは更に前記磁性材料と超伝導材料との間のスペーサ材料を含む。
【請求項16】
請求項14または15で請求したような超伝導フラックス・ポンプであり,そこでは,前記超伝導体が高温超伝導体を含む。
【請求項17】
請求項14,15または16で請求したようなフラックス・ポンプを各々が内蔵している多数のピクセルをもつ超伝導デバイス。
【請求項18】
超伝導磁気デバイスであり,そのデバイスは次のもので構成される:超伝導体の領域を含む超伝導磁性要素と,前記超伝導領域に移動する磁気的な波を印加するためのシステム。
【請求項19】
請求項18で請求したようなデバイスであり,多数の前記超伝導磁性要素と,選択された前記超伝導磁気要素にアドレス指定するための多数の電極から構成されており,それらは前記アドレス指定された要素を磁化すために前記移動する磁気的な波を印加するための前記システムを駆動するためのものである。
【請求項20】
請求項18または19で請求されたデバイスであり,そこでは前記超伝導体の領域に磁気的な移動波を印加するための前記システムが,前記超伝導体を磁化するための磁化可能な材料の領域と,前記材料内に磁気的秩序の移動波を発生するための前記磁化可能な材料に熱的な移動波を印加するための少なくとも一つの電気的な導体とを含む。
【請求項21】
領域に磁界を定める方法であり,その方法は,多数の超伝導磁性要素を提供することと,前記領域に前記磁界を定めるための超伝導磁性要素の磁化を制御することとを含む。
【請求項22】
表面をもつ超伝導体と,前記表面の上にある磁化可能な材料の層と,それに前記超伝導体表面と前記磁化可能な材料の間にある熱的な絶縁層とを含む磁化可能な超伝導体。
【請求項23】
請求項22で請求された磁化可能な超伝導材料であり,そこでは,前記磁化可能な材料の層が,それ以上の温度になると磁界がないとき超伝導状態でなくなるという温度よりは100Kまでは高くない温度の下方で,自発的に並ぶ材料を含む。
【請求項24】
表面と,前記表面に垂直な方向で定義される軸とをもつ磁化された超伝導体。その磁化された超伝導体は,外部印加磁界がないとき,前記軸から離れる距離の増加に対して単調ではない変化をする磁界をもっている。
【請求項25】
表面と,その表面に垂直な方向で定義された軸とをもつ磁化された超伝導体。その磁化された超伝導体は,外部印加磁界がないとき,前記軸から離れる距離の増加に対して磁界の強さがおおよそ一定である領域が少なくとも存在する磁界をもっている。
【請求項26】
請求項25で請求されたような磁化された超伝導体であり,そこでは前記表面の部分はおおよそ平面であり,さらに前記領域は前記平面の表面部分を横切って十分に広がる。
【請求項27】
請求項24,25,または26で請求されたような磁化された超伝導体であり,そこでは前記磁界が少なくとも2.3Tの最大磁気モーメントをもつ。
【請求項28】
磁化された超伝導体であり,前記磁化された超伝導体はおおよそ同心円状の多数の円電流をもち,その電流は同一方向に循環し異なる相対振幅をもつ。
【請求項29】
請求項28で請求されたような磁化された超伝導体であり,さらに前記同心円状の多数の円電流とは逆の向きに循環する中心円電流を含む。
【請求項30】
おおよそ平面の形をもち,少なくとも1Tの磁気モーメントをもつ,磁化された超伝導体。
【請求項31】
請求項1から11までのいずれかにおいて請求したような方法であり,さらに前記磁化された超伝導体を,第二の超伝導体を磁化するために使うことを含む。
【請求項32】
請求項11から13までのいずれかにおいて請求したようなシステムであり,さらに前記磁化された超伝導体を,第二の超伝導体を磁化するために使えるように形成されている。
【請求項33】
物理的に隣接した超伝導体列の超伝導体を磁化する方法であり,その方法は,第一の超伝導体の磁束が前記の列の第二の超伝導体と鎖交するように前記の列の前記の第一の超伝導体を磁化すること,及び前記の第二の超伝導体を磁化するために前記の鎖交磁束を利用することを含んでいる。
【請求項34】
物理的に隣接した超伝導体列の超伝導体を磁化するシステムであり,そのシステムは,第一の超伝導体の磁束が前記の列の第二の超伝導体と鎖交するように前記の列の前記の第一の超伝導体を磁化するための方法と,及び前記の第二の超伝導体を磁化するために前記の鎖交磁束を利用するための方法とを含んでいる。
【請求項35】
光または熱のエネルギーから電力を作り出すためのエンジンであり,そのエンジンは,光レベルや温度の変化を磁界の変化に転換するための方法と,それに前記の磁界の変化を電力に変換するための方法を含んでいる。
【請求項36】
太陽電池であり,その太陽電池は次のものから構成されている:すなわち,磁気的に変更できる光伝送を持った窓口を供給するための材料の第一層;前記の材料の第一層の下にある磁気的に切り替え可能な材料の第二層,前記の磁気的に切り替え可能な材料は光に敏感な磁化を持っている;前記の磁気的に最適な材料の磁界中の導体;そしてそこでは動作中に,前記の磁気的に切り替え可能な材料への光の伝送は,前記の導体内に電流を誘導するための前述の磁化の変化を引き起こすように発振する。
【請求項37】
請求項36で請求したような太陽電池であり,そこでは前記材料の第一層が液晶材料の層から成る。
【請求項38】
請求項36または37で請求したような太陽電池であり,さらに前記切り替え可能な磁性材料に対して磁界を発生するための方法を含んでいる。

【図2】
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【図9b】
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【図11】
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【図16】
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【図17】
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【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図12a】
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【図12b】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図18a】
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【図18b】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22a】
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【図22b】
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【公表番号】特表2009−513010(P2009−513010A)
【公表日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−536135(P2008−536135)
【出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【国際出願番号】PCT/GB2006/050341
【国際公開番号】WO2007/045929
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(308029172)マグニファイ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】