説明

超伝導フィルタ装置及び通信用モジュール

【課題】中心周波数と帯域幅を独立して制御可能な超伝導フィルタ装置を提供する。
【解決手段】高周波電気信号に対するフィルタ特性を有する超伝導フィルタ装置(10)は、第1の主面と第2の主面を有する誘電体基板(11)と、前記誘電体基板の前記第1の主面に形成され、超伝導体材料を含む共振器パターン(12)と、前記誘電体基板の前記第2の主面に形成され、開口(14a)を有するグランド層(14)と、前記第1の主面側で、前記共振器パターンから離間して配置され、前記フィルタ特性を調整する第1の調整部材(20,23)と、前記第2の主面側で、前記グランド層の開口位置に設けられ、前記フィルタ特性を調整する第2の調整部材(25,26)と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超伝導フィルタ装置に関し、特に、中心周波数と帯域幅をそれぞれ独立して制御可能な超伝導チューナブルフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、次世代移動通信システムや広帯域無線アクセスなど高速・大容量のデータ通信へ移行するにともない、周波数の有効利用が必要不可欠となっている。また、最適な通信アクセスを得るために、複数のシステム、すなわち複数の周波数帯に対応する通信機器が望まれるような状況となっている。したがって、低損失で高周波数遮断特性が得られる高Q超伝導フィルタにチューナブル機能が付加されれば、周波数干渉を解決する技術として最大の候補となる。
【0003】
図1(a)および図1(b)は、従来の超伝導チューナブルフィルタの構成例を示す。図1(a)に示すように、マイクロストリップ構成の超伝導共振器フィルタパターン112は、たとえばヘアピン形状のマイクロストリップ線路を超伝導体で構成し、複数の共振器112a〜112c間、および共振器112とフィーダ113間を電磁界カップリングさせて、超伝導バンドパスフィルタを形成している。
【0004】
中心周波数や帯域幅、遮断特性、帯域外抑圧特性などのフィルタ特性は、各共振器12a〜12cの共振周波数fo、共振器間結合係数k、外部Q値によって決まってくる。したがって、foとkを何らかの手段によって可変にできれば、そのフィルタはチューナブル機能を持つ。材料物性の視点に立てば実効比誘電率εeffと実効比透磁率μeffの少なくとも一方を変化させ、また、回路の視点に立てばキャパシタンスCとインダクタンスLの少なくとも一方を変化させることができればよい。
【0005】
しかし、高Qフィルタを維持するためには、チューナブル手段による損失増大を避ける必要がある。現状では、電界制御、磁界制御、機械的(メカニカル)制御で同調制御する3種類の手段が考えられる。この中で、メカニカルに変える方法が最も大きなチューナビリティが得られ、低損失で維持できる手段として有望視されている。
【0006】
この場合、たとえば図1(b)に示すように、裏面にグランド層124を設けた誘電体基板111の上面に、共振器フィルタパターン112を形成し、その上方に、低損失の誘電体又は磁性体のプレート120を配置する。圧電素子などのアクチュエータ121を用いて、共振器フィルタパターン112と誘電体(磁性体)プレート120の間の距離dを変えることで、εeffもしくはμeffを変化させチューナブル可能にする(たとえば、特許文献1参照)。
【0007】
しかし、従来の技術では、共振器フィルタパターン112の上方全体をプレート120で覆うため、中心周波数の可変量の増大に伴って帯域幅も変わってしまい、任意にチューニングできないという問題があった。一方、誘電体ロッドや磁性体ロッドを上方から挿入することで、フィルタ帯域内の特性(帯域幅など)を調整することは可能であったが(たとえば、特許文献2参照)、この場合は、中心周波数の可変は困難であった。

【特許文献1】特許第3535469号公報
【特許文献2】特開2002−57506号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように、従来の方法では、中心周波数か帯域幅のいずれかをチューナブルにすることはできるが、双方を個別に変化させることは困難であった。
【0009】
そこで本発明は、中心周波数と帯域幅の双方を独立して制御可能な超伝導チューナブルフィルタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、それぞれ個別に制御可能な第1および第2の調整手段を用いて、中心周波数と帯域幅の双方を独立して調整する。
【0011】
具体的には、本発明の第1の側面では、高周波電気信号に対するフィルタ特性を有する超伝導フィルタ装置を提供する。この超伝導フィルタ装置は、
第1の主面と第2の主面を有する誘電体基板と、
前記誘電体基板の前記第1の主面に形成され、超伝導体材料を含む共振器パターンと、
前記誘電体基板の前記第2の主面に形成され、開口を有するグランド層と、
前記第1の主面側で、前記共振器パターンから離間して配置され、前記フィルタ特性を調整する第1の調整部材と、
前記第2の主面側で、前記グランド層の開口位置に設けられ、前記フィルタ特性を調整する第2の調整部材と、
を有する。
【0012】
上述の超伝導フィルタ装置は通信用モジュールに適用可能である。この場合、通信用モジュールは、超伝導フィルタ装置と、前記超伝導フィルタ装置を冷却する冷却部材とを有し、前記超伝導フィルタ装置は、
超伝導体材料で形成された共振器パターンと、
前記共振器パターンの周波数及び/又は帯域幅を調整する可動部材と、
を有し、
前記可動部材は、前記冷却部材の振動方向と直交する方向に移動可能である。
【発明の効果】
【0013】
共振器フィルタパターン全体に対する誘電率又は透磁率の影響と、各共振器間及び/又は共振器−フィーダ間の結合の度合いを、それぞれ個別に調整することによって、中心周波数だけでなく、帯域幅も任意にチューニングすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の良好な実施形態を説明する。図2に、本発明の一実施形態に係る超伝導フィルタ装置10の構成を示す。図2(a)は基本概念図、図2(b)は、概略断面図である。図2の例では、超伝導フィルタ装置10は、たとえばMgO単結晶で構成される誘電体基板11上に、超伝導材料で多段に配列されたディスク型の共振器12a〜12cを含む共振器パターン12と、共振器パターン12の近傍に延びる入出力フィーダ13が形成されている。超伝導材料として、たとえばYBCO(Y−Ba−Cu−O系)材料を用いる。入出力フィーダ13の一方(入力線)を伝達する高周波信号は、たとえば共振器12aと電磁的に結合して共振器12aを流れる。同様に、電磁的な結合により、共振器12b、12cを流れ、入出力フィーダ13の他方(出力線)に出力される。なお、図2(a)の例では、共振器12a〜12cは、ディスク形状をしているが、図1(a)のようにヘアピン形状の共振器であってもよい。また、楕円形、多角形などの任意のパッチ形状としてもよい。
【0015】
誘電体基板11の裏面にはグランド層14が形成され、誘電体基板11上の共振器パターン12とともに、マイクロストリップ線路を構成する。グランド層14は良導体であってもよいが、超伝導材料で形成されるのが望ましい。グランド層14には、帯域幅調整用の開口14aが設けられている。一方、誘電体基板11の共振器パターン12の上方には、中心周波数調整用の調整プレート20が配置される。調整プレート20は、たとえばサファイアなどの誘電体プレートである。
【0016】
図2(b)に示すように、共振器パターン12を有する誘電体基板11は、パッケージ30内に配置される。誘電体基板11上の入出力フィーダ13は、ワイヤボンディング18により、入出力コネクタ31を介して入出力コネクタ31の中心導体に接続される。
【0017】
パッケージ30の共振器パターン12に対向する面(図2(b)では上面)には、プレート調整トリマ23が設けられ、調整プレート20に接続される。プレート調整トリマ23により、矢印Aで示すように、共振器パターン12に対する調整プレート20の高さ位置を調整する。
【0018】
一方、パッケージ30のグランド層14側の面(図2(b)では底面)には、ロッド調整トリマ26が配置される。ロッド調整トリマ26の先端部には、サファイアなどの誘電体で構成されるチューニングロッド25が設けられる。チューニングロッド25は、パッケージ30の貫通穴30aに挿入され、グランド層14の開口14aを介して、誘電体基板11に対向する。矢印Bで示すように、対応するロッド調整トリマ26により、各チューニングロッド25の垂直位置は、個別に調整可能である。なお、パッケージ30の側面に内部観察用の窓を設けてもよい。
【0019】
図3は、共振器パターン12に対するグランド層14の開口14a及びチューニングロッド25の位置関係を示す図である。図3(a)及び図3(b)に示すように、チューニングロッド25の先端を誘電体基板11に対向させるための開口14aは、互いに隣接する共振器12a〜12cの各々の間、及び/又は共振器パターン12と入出力フィーダ13の間に対応する位置に設けられている。開口14aを介して誘電体基板11に対するチューニングロッド25の垂直位置を変化させることによって、共振器と共振器の間、及び/又は共振器パターン12と入出力フィーダ13の間に対応する部分の誘電体基板11の誘電率を変化させて、漏れ電磁界の結合を変化させる。
【0020】
図3(b)の例では、誘電体基板11の裏面に、ロッド挿入用のホール21が形成されている。ホール21は、レーザ加工、超音波加工などにより、誘電体基板11の所望の位置に形成することができ、この例においても、ホール21は共振器と共振器の間、及び/又は共振器パターン12と入出力フィーダ13の間に対応する位置に設けられる。この場合、チューニングロッド25は、グランド層14の開口14aから、それぞれ対応するホール21内に挿入され、帯域幅をより効果的にチューニングすることができる。
【0021】
図4は、誘電体基板11にヘアピン形状の共振器パターン12が形成されたときの、グランド層14の開口14aの位置(及び誘電体基板11のホール21の位置)を示す概略図である。この例でも、互いに隣接するヘアピン共振器12a〜12cの各々の間、及び/又は共振器パターン12と入出力フィーダ13の間に対応する位置に、開口14aが形成される。図4の例では、開口14aは四角形であるが、この例に限定されず、円形、楕円形など、チューニングロッド25の断面形状に合わせた形状でよい。
【0022】
図5は、図2(b)のパッケージ30内に収容した超伝導フィルタ装置10を、真空容器27内のコールドプレート42に搭載した通信用モジュール50の概略図である。通信モジュール50を搭載したコールドプレート42は、冷凍機(コンプレッサ)41に接続されて、パッケージ30および断熱性の真空容器47の内部全体を冷却する。パッケージ30内に収容される超伝導フィルタ装置10(図2参照)は、入出力コネクタ31を介して図示しない同軸ケーブルにより、真空容器47の外部のネットワークアナライザ(不図示)に接続される。このような通信用モジュール50は、たとえば無線通信基地局で用いられ、送信アンテナの近傍に設置される。
【0023】
図5において、冷凍機41からコールドプレート42を介してパッケージ30に伝わる微振動の方向は、矢印Cの方向である。
【0024】
この振動方向Cに対して、プレート/ロッド位置調整方向(チューニング方向)が直交するように、パッケージ30を配置する。図5の例では、調整部材として、プレート調整トリマ23とロッド調整トリマ26に代えて、真空容器47の外部に直線導入制御機構45、46を設け、それぞれ支持部材48、49を介して、パッケージ30内の調整プレート20とチューニングロッド25の位置を調整する。支持部材48の移動方向A、及び支持部材49の移動方向Bは、図2(b)の調整プレート20とチューニングロッド25の移動方向A、Bに一致する。
【0025】
調整部材の移動方向(チューニング方向)を、冷却部の機械的な振動に対して直交させることにより、振動の影響を最少にして、同調制御をより正確にすることができる。
【0026】
図6は、デュアルモードフィルタへの適用例を示す図である。デュアルモードでは、一つの共振器で2つの共振を発生させる。図6(a)の例では、誘電体基板11の裏面のグランド膜14に、開口24a、24bを形成する。開口24a、24bの配置位置は、誘電体基板11の表面に形成されたディスク型共振器12a、12bの各々の外周の一部とオーバラップする位置である。たとえば、ディスク型共振器12aを1段目の共振器とすると、グランド膜24の一部に開口24aを形成することにより、入力フィーダ13から電磁界的な結合によりディスク型共振器12aに伝搬する信号がディスクの中で縮退していたものが、開校24aの存在によって乱されて2つの共振モードを発生し、2つの共振が結合した状態で中継フィーダ19に電磁界的に伝搬する。
【0027】
開口24a、24bは、デュアルモード発生用の開口であると同時に、チューニングロッド25によるフィルタ特性調整用の開口としても機能する。ディスク共振器12a、12bの外周とオーバラップする位置で、グランド層14にデュアルモード発生用の開口25a、24を形成することによって、各共振器12a、12bにおいて、互いに直交する電磁界モードの縮退を解いて共振周波数を分離させ、デュアルモードフィルタとして機能させることができる。
【0028】
図6(b)の例では、ディスク共振器12a、12bの外周の一部に切り欠き(ノッチ)54a、54bを設ける。この場合も、切り欠き54a、54bの存在により、ディスク共振器12a、12b上で互いに直交する電磁界モードの縮退を解いて、共振周波数をデュアルモードに分離させることができる。
【0029】
好ましくは、デュアルモード発生パターン51a、51bと、切り欠き54a、54bは、ディスク共振器12a、12bの中心に対して、入出力フィーダ13及び中継フィーダ19と点対称の位置に配置される。
【0030】
図6(a)、図6(b)のいずれの例でも、グランド層14の入出力フィーダ13とディスク共振器12の間、及び/又はディスク共振器12と中継フィーダ19の間に対応する位置に、ロッド調整用の開口を設けてもよい。
【0031】
図7は、実施形態の超伝導フィルタ装置のチューニング特性を説明するグラフである。共振器パターン12として、図6(a)に示すディスク型共振器12aを一段で構成し、グランド層14に開口24aを形成し、チューニングロッド25の位置を固定として、共振器フィルタパターン12と調整プレート20の間の距離dを変えたときの共振周波数の変化を示す。シミュレーションサンプルにおいて、ディスク共振器12aの直径は11.1mm、グランド層14の開口24aの直径は2.5mm、開口24aの配置位置は、ディスク外周において、ディスクの中心に対して入出力フィーダ13と点対称の位置、調整プレート20は、誘電率εrが39、厚さが0.5mmの誘電体プレートである。グラフにおいて、細い実線のカーブは、距離dが10μmのときの透過特性(S21)、点線が反射特性(S11)である。太線の実線は距離dが10mmのときの透過特性(S21)、太い点線が反射特性(S11)である。
【0032】
チューニングロッド25を一定にして、調整プレート20を共振器パターン20に近づけると、中心周波数が低い方へシフトするが、帯域幅は変化していない。このことは、中心周波数と帯域幅をそれぞれ独立して制御可能であることを示している。そして、帯域幅については、誘電体基板11の裏面で、共振器に対するロッド25の垂直位置を調整して、共振器間の結合を変えることで、調整することができる。つまり、ロッド25の存在により、共振器12の実効比誘電率εeffが増大し、同時に共振器12と入出力フィーダとの間の結合係数kが増大して、外部Qが下がるため、帯域幅が増大する。また、ロッド25を近づけることにより、リップルを低減する方向に調整できる。共振器12を複数段に配置した場合も同様のことが当てはまる。
【0033】
このように、チューニングロッド25で帯域幅を微調整することにより、調整プレート20の制御とは独立して、共振器間結合係数kや外部Qを可変にし、特性を最適化することができる。
【0034】
本発明によれば、中心周波数だけでなく帯域幅も独立して任意にチューニングすることができるので、良好な超伝導チューナブルフィルタが実現される。この超伝導チューナブルフィルタを、移動通信基地局のRFフロントエンドに適用した場合、より一層の周波数有効利用を図ることができる。
【0035】
なお、特定の実施形態に基づいて本発明を説明してきたが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0036】
たとえば、実施形態では超伝導材料としてYBCO薄膜を用いたが、任意の酸化物超伝導材料を用いることができる。たとえば、RBCO(R−Ba−Cu−O)系薄膜、すなわち、R元素としてY(イットリウム)に代えて、Nd、Sm、Gd、Dy、Hoを用いた超伝導材料を用いてもよい。また、BSCCO(Bi−Sr−Ca−Cu−O)系、PBSCCO(Pb−Bi−Sr−Ca−Cu−O)系、CBCCO(Cu−Bap−Caq−Cur−Ox、1.5<p<2.5、2.5<q<3.5、3.5<r<4.5)を超伝導材料に用いてもよい。
【0037】
誘電体基板11は、MgO単結晶基板に限定されず、たとえば、LaAlO3基板、サファイア基板などを用いてもよい。
【0038】
調整プレート20やチューニングロッド25は、サファイアに限定されず、たとえば、MgO基板、LaAlO3基板、NdGaO3基板、LSAT基板、LaSrGaO4基板、LaGaO3基板、YSZ基板、TiO2基板などでもよいし、磁性体のプレートおよび/またはチューニングロッドとしてもよい。この場合、磁性体として、YIGなどを利用することができる。
【0039】
調整プレート20やチューニングロッド25の位置を変える機構として、トリマ23、26に限定されず、ピエゾアクチュエータやMEMS素子などを用いてもよい。その場合、調整プレート20を制御するためのピエゾアクチュエータ又はMEMS素子と、チューニングロッド25を制御するためのピエゾアクチュエータ又はMEMS素子を、それぞれ別個に設けて、独立して制御する。
【0040】
最後に以上の説明に対して、以下の付記を添付する。
(付記1)
高周波電気信号に対するフィルタ特性を有する超伝導フィルタ装置であって、
第1の主面と第2の主面を有する誘電体基板と、
前記誘電体基板の前記第1の主面に形成され、超伝導体材料を含む共振器パターンと、
前記誘電体基板の前記第2の主面に形成され、開口を有するグランド層と、
前記第1の主面側で、前記共振器パターンから離間して配置され、前記フィルタ特性を調整する第1の調整部材と、
前記第2の主面側で、前記グランド層の開口位置に設けられ、前記フィルタ特性を調整する第2の調整部材と、
を有することを特徴とする超伝導フィルタ装置。
(付記2)
前記誘電体基板は、前記第2の主面において、前記グランド層の開口に対応する位置にホールを有することを特徴とする付記1に記載の超伝導フィルタ装置。
(付記3)
前記共振器パターンは、複数の共振器の配列を含み、
前記グランド層の開口は、前記共振器と共振器の間に対応する位置に設けられていることを特徴とする付記1又は2に記載の超伝導フィルタ装置。
(付記4)
前記第1の調整部材は、前記共振器パターンに対して垂直方向に移動可能であることを特徴とする付記1乃至3のいずれかに記載の超伝導フィルタ装置。
(付記5)
前記第2の調整部材は、前記グランド層の開口に対して垂直方向に移動可能であることを特徴とする付記1乃至4のいずれかに記載の超伝導フィルタ装置。
(付記6)
前記第1の調整部材は、前記共振器パターンに対して移動可能な誘電体又は磁性体のプレートを含むことを特徴とする付記1乃至5のいずれかに記載の超伝導フィルタ装置。
(付記7)
前記第2の調整部材は、前記グランド層の開口に対して移動可能なロッドを含むことを特徴とする付記1乃至6のいずれかに記載の超伝導フィルタ装置。
(付記8)
前記共振器パターンは、パッチ形状の共振器を含み、
前記グランド層は、前記パッチ型共振器の外周の一部とオーバラップする位置に前記開口を有することを特徴とする付記1に記載の超伝導フィルタ装置。
(付記9)
超伝導フィルタ装置と、
前記超伝導フィルタ装置を冷却する冷却部材と、
を有する通信用モジュールにおいて、
前記超伝導フィルタ装置は、超伝導体材料で形成された共振器パターンと、
前記共振器パターンの周波数及び/又は帯域幅を調整する可動部材と、
を有し、
前記可動部材は、前記冷却部材の振動方向と直交する方向に移動可能であることを特徴とする通信用モジュール。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】従来のマイクロストリップ型の超伝導フィルタ装置の構成例を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る超伝導フィルタ装置の構成例を示す図である。
【図3】実施形態のチューニング用の開口パターンの例を示す図である。
【図4】ヘアピン共振器の配列を用いたときの開口パターンの例を示す図である。
【図5】図2の超伝導フィルタ装置を適用した通信用モジュールの構成例を示す概略図である。
【図6】図2の超伝導フィルタ装置のデュアルモードフィルタへの適用例を示す図である。
【図7】図6(a)のディスク共振器を一段にして測定したフィルタ特性の電磁界シミュレーション結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0042】
10 超伝導フィルタ装置
11 誘電体基板
12 共振器パターン
12a、12b、12c 共振器
13 フィーダ(信号入出力線)
14 グランド層
14a、24a 開口
19 中継フィーダ
20 調整プレート
21 ホール
23 プレート調整トリマ
25 チューニングロッド
26 ロッド調整トリマ
30 パッケージ
41 冷凍機
42 コールドプレート
50 通信用モジュール
54a、54b 切り欠き(ノッチ)
A プレート調整方向
B ロッド調整方向
C 冷却部振動方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波電気信号に対するフィルタ特性を有する超伝導フィルタ装置であって、
第1の主面と第2の主面を有する誘電体基板と、
前記誘電体基板の前記第1の主面に形成され、超伝導体材料を含む共振器パターンと、
前記誘電体基板の前記第2の主面に形成され、開口を有するグランド層と、
前記第1の主面側で、前記共振器パターンから離間して配置され、前記フィルタ特性を調整する第1の調整部材と、
前記第2の主面側で、前記グランド層の開口位置に設けられ、前記フィルタ特性を調整する第2の調整部材と、
を有することを特徴とする超伝導フィルタ装置。
【請求項2】
前記誘電体基板は、前記第2の主面において、前記グランド層の開口に対応する位置にホールを有することを特徴とする請求項1に記載の超伝導フィルタ装置。
【請求項3】
前記共振器パターンは、複数の共振器の配列を含み、
前記グランド層の開口は、前記共振器と共振器の間に対応する位置に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の超伝導フィルタ装置。
【請求項4】
前記第1の調整部材は、前記共振器パターンに対して垂直方向に移動可能であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の超伝導フィルタ装置。
【請求項5】
前記第2の調整部材は、前記グランド層の開口に対して垂直方向に移動可能であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の超伝導フィルタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−231947(P2009−231947A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−71962(P2008−71962)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度、総務省、「超伝導フィルタ技術の研究開発」のうち、「チューナブル送信フィルタに関する研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】