説明

超吸収性表面処理カルボキシアルキル化多糖類及びその製造方法

本願には、少なくとも82%のバイオベース含量を有する表面処理カルボキシアルキル化多糖類が記載される。表面処理カルボキシアルキル化多糖類は、少なくとも18g/gのCRC、少なくとも26g/gのFSC、及び0.7psiにて少なくとも14g/gのAULを含む。表面処理カルボキシアルキル化多糖類の製造方法もまた、本願に記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、参照のためにここにその全体を取り込むこととする、2006年9月25日に出願された、米国特許仮出願第60/826,845号及び2007年4月18日に出願された、米国特許仮出願第60/912,471号、第60/912,611号、及び第60/912,623号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、超吸収性表面処理カルボキシアルキル多糖類に関する。より詳しくは、以下に限定されるものではないが、本発明はさらに、吸収特性を有する表面処理カルボキシアルキル多糖類の製造方法に関する。本発明はまた、表面処理カルボキシアルキル多糖類を含む製剤及び衛生物品に関する。
【0003】
水吸収性材料、例えば超吸収性ポリマーは、様々な応用に、例えば、使い捨て衛生物品(例えば、オムツ、失禁用品、女性用衛生製品、及び吸収包帯)に、家庭用物品、シーリング材に、石油掘削流体(例えば逸泥防止剤、破砕流体)に、曇り防止コーディングに、土壌中に水分を維持するため及び植物及び樹木の根に水を放出するための、農業用、園芸用、森林用の応用に、繊維工業に、印刷応用に、吸収紙製品に、包帯及び手術用パッド(例えば創傷用包帯)に、鉱石処理に、コンクリート製品に、ペットのごみに、水処理に、食品パッド(例えば生鮮食品の輸送及び食品包装に関する応用)に、洗剤に、消火ゲルに、クラウドコントロールに、水溶性化学流出を含む酸性及び/または塩基性の流出の清浄化のための化学吸収性剤として、化粧品及び製薬品の徐放性の制御された放出のためのポリマーゲルとして(ドラッグデリバリーシステムとしても既知)、並びに人工雪の製造において、使用することができる。しかしながら、「SAP」類とも呼称される超吸収ポリマーの主な用途は、使い捨てのパーソナル衛生物品にある。こうした製品には、使用される超吸収性材料の体積が減少する順に、オムツ、トレーニングパンツ、成人用失禁製品、及び女性用衛生製品が含まれる。
【0004】
カルボキシアルキル多糖類は、Ningらによる米国特許第5,247,072号、Qinらによる米国特許第5,470,964号、米国特許第5,498,705号、米国特許第5,550,189号、国際特許出願公報第01/87365号、及びWallajapetらによる米国特許出願公報第2006/0147689号に、超吸収性材料として開示されている。しかしながら、高価であることに加えて、こうした材料の吸収特性は、衛生分野で有用であるためにはしばしば不十分であった。結果として、超吸収性合成材料、例えばポリアクリレートが、急速に発展してきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許仮出願第60/826,845号
【特許文献2】米国特許仮出願第60/912,471号
【特許文献3】米国特許仮出願第60/912,611号
【特許文献4】米国特許仮出願第60/912,623号
【特許文献5】米国特許第5,247,072号
【特許文献6】米国特許第5,470,964号
【特許文献7】米国特許第5,498,705号
【特許文献8】米国特許第5,550,189号
【特許文献9】国際特許出願公報第01/87365号
【特許文献10】米国特許出願公報第2006/0147689号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Buchholz, F. L. and Graham, A. T. Eds., Wiley-VCH, N.Y., 1998, section 4.6.1. Swelling Capacity: Theory and Practice, p. 147
【非特許文献2】Radiocarbon, v.19, p.355, 1977
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
0.7psiで測定される「負荷下吸収性」(AUL)は、超吸収性材料の吸収効率を特徴付ける、広く認識された指標である。高いAUL値を示すカルボキシアルキル多糖類が、既にMertensらによって開示されている(米国特許出願公報第2004/0157734号)。しかしながら、Mertensは、開示された多糖類のバイオベース含量及びカルボキシアルキル化パターンに関しては何ら言及していない。さらにまた、Mertensは、開示された材料を製造するために使用されるカルボキシアルキル化処理については何ら言及していない。
【0008】
水性方法によって製造されるカルボキシアルキル化澱粉は、Grossらによる米国特許第 5,079,354号、Coutureらによるカナダ国特許出願公報第2,362,006号、及びTheodorusらによるニュージランド特許第9100249号に、既に開示されている。しかしながら、カルボキシアルキル化澱粉が高いAUL値を有することは開示されていない。
【0009】
本発明は、多数の文献を参照し、その開示の全体を参照のためにここに取り込むこととする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、概して超吸収特性を示す表面処理カルボキシアルキル多糖類粒子に関する。
【0011】
一実施態様では、本発明は、少なくとも82%のバイオベース含量を有し、且つ少なくとも14g/gのAUL(0.7psiにて測定)を有する、超吸収性表面処理カルボキシアルキル多糖類に関する。本発明では、表面処理カルボキシアルキル化多糖類は、農業由来の天然ポリマー骨格を含む。
【0012】
本発明の一実施態様では、表面処理カルボキシアルキル化多糖類は、150μm乃至850μmの範囲のサイズの粒子を含む。
【0013】
一実施態様では、本発明は超吸収性の内部架橋したカルボキシアルキル多糖類粒子に関する。本発明の一実施態様では、内部架橋したカルボキシアルキル多糖類粒子は、表面処理されている。
【0014】
本発明の一実施態様では、カルボキシアルキル化多糖類は、カルボキシアルキル化澱粉、カルボキシアルキル化セルロース、及びカルボキシアルキル化ガラクトマンナンからなる群より選択される。澱粉の非限定的な例には、ジャガイモ、トウモロコシ、小麦、モチトウモロコシタピオカ、及びこれらの混合物が含まれる。
【0015】
更に別の実施態様では、本発明は、表面処理カルボキシメチル澱粉に関する。本発明の一実施態様では、カルボキシメチル澱粉は、均一なカルボキシメチル置換パターンを含み、表面処理の後には(0.7psiで測定して)少なくとも14g/gのAULを示す。
【0016】
更に別の実施態様では、本発明は、水性アルカリ媒質中でのカルボキシアルキル化によって得られるカルボキシアルキル化澱粉に関する。一実施態様では、カルボキシアルキル化澱粉は、表面処理されている。
【0017】
更にまた、一実施態様では、本発明は、カルボキシアルキル化多糖類を準備する工程、非架橋酸を使用して前記カルボキシアルキル化多糖類を表面処理する工程、及び表面処理された前記カルボキシアルキル化多糖類を加熱する工程を含む、表面処理されたカルボキシアルキル化多糖類の製造方法に関する。
【0018】
本発明の一実施態様では、熱源は、赤外線源及び高温気体源からなる群より選択される。
【0019】
本発明の一実施態様では、前記方法は、任意に内部架橋工程、粒径低減工程、及び/または篩工程を含んで良い。
【0020】
更にまた、本発明は、一実施態様では、アルカリ媒質中に澱粉を分散させる工程、澱粉とカルボキシアルキル化試薬とを反応させる工程、非架橋酸を使用してカルボキシアルキル化澱粉を表面処理する工程、及び表面処理されたカルボキシアルキル化多糖類を加熱する工程を含む、表面処理されたカルボキシアルキル化澱粉の製造方法に関する。
【0021】
本発明の一実施態様では、熱源は、赤外線源及び高温気体源からなる群より選択される。
【0022】
本発明の一実施態様では、カルボキシアルキル化工程は、不特定の順序で、i)カルボキシアルキル化澱粉のpHを調整すること、ii)カルボキシアルキル化澱粉を精製すること、及びiii)カルボキシアルキル化澱粉の水分含量を調節することを更に含む。更にまた、本発明の一実施態様では、前記方法は、任意にアルカリ予備スラリー化工程、内部架橋工程、粒径低減工程及び/または篩工程を含んで良い。本発明の一実施態様では、カルボキシアルキル化澱粉のpHは、6.0乃至10.0の範囲である。
【0023】
更にまた、一実施態様では、本発明は、酸性化表面を含むカルボキシアルキル化多糖類粒子に関する。本発明の別の実施態様では、これらの粒子は、ATR-IRスペクトルによって示される通り、エステルバンドもエステルショルダーもないことによって特徴付けられる。
【0024】
更にまた、一実施態様では、本発明は、酸性表面と、イオン結合及びエーテル結合からなる群より選択される内部架橋結合とを含むカルボキシアルキル化多糖類に関し、前記カルボキシアルキル化多糖類は、ATR-IRスペクトルによって示される通り、エステルバンドの存在によって特徴付けられる。
【0025】
更に別の実施態様では、本発明は衛生物品及び/または表面処理カルボキシアルキル化多糖類粒子を含む吸収性部材に関する。
【0026】
更に別の実施態様では、本発明は、約15乃至約80(w/w)%の表面処理カルボキシアルキル多糖類粒子を含む吸収性部材に関する。本発明の別の実施態様では、表面処理カルボキシアルキル多糖類粒子は、ASTM法D6866-06Aによって測定される、少なくとも82(W/W)%のバイオベース含量を有する。更に別の実施態様では、本発明は、上述の吸収性剤を含む衛生物品に関する。本発明の一実施態様では、前記衛生物品は、少なくとも0.22ml/秒の第三捕捉速度、及び/または少なくとも0.12ml/秒の平均捕捉速度を有する。本発明の一実施態様では、前記衛生物品は、最大で4.0グラムの第三再湿潤及び/または最大で6.0グラムの総再湿潤を有する。
【0027】
更に別の実施態様では、本発明は、表面処理カルボキシアルキル化多糖類粒子の、吸収材としての、使い捨て衛生用品(例えば、オムツ、失禁用品、女性用衛生製品、エアレイド、及び吸収包帯)、家庭用物品、シーリング材における、石油掘削流体(例えば逸泥防止剤、破砕流体)、曇り防止コーティングにおける、土壌中に水分を維持するため及び植物及び樹木の根に水を放出するための、農業用、園芸用、森林用の応用における、繊維工業における、印刷応用における、吸収紙製品における、包帯及び手術用パッド(例えば創傷用包帯)における、鉱石処理における、コンクリート製品における、ペットのごみにおける、水処理における、食品パッド(例えば生鮮食品の輸送及び食品包装に関する応用)における、洗剤における、消火ゲルにおける、クラウドコントロールにおける、水溶性化学流出を含む酸性及びまたは塩基性の流出の清浄化のための化学吸収性剤としての、化粧品及び製薬品の徐放性の制御された放出のためのポリマーゲルと(ドラッグデリバリーシステムとしても既知)しての、エアレイドとしての、並びに人工雪の製造における使用に関する。
【0028】
更に別の実施態様では、本発明は、液体のための吸収性剤としての表面処理カルボキシアルキル多糖類粒子の使用に関する。本発明の一実施態様では、液体は、水、水性溶液、生理液、及び食塩水からなる群より選択される。
【0029】
最後に、本発明は、表面処理カルボキシアルキル多糖類粒子及び共吸収性材料を含む組成物に関する。
【0030】
本発明の前述の目的及び別の目的、利点、並びに特徴は、添付の図面にのみ準拠して例示のために与えられる、その例示的実施態様についての以下の非限定的記載を読むことでより明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、本発明の実施態様に従う衛生物品の、部分的に断面を図示する概略側面図である。
【図2a】図2aは、本発明の一実施態様に従う吸収性部材を製造するための装置の側面図である。
【図2b】図2bは、図2aの線2b−2bでの断面図である。
【図3】図3は、図2aの装置のセルを形成する吸収性部材の拡大概略側断面図である。
【図4】図4は、本発明の吸収性部材または衛生物品を試験するための再湿潤シリンダーの概略斜視図である。
【図5】図5は、本発明の一実施態様に従う、クエン酸表面処理カルボキシメチル澱粉の減衰全反射赤外スペクトル(ATR-IR)を示す。
【図6】図6は、本発明の一実施態様に従う、塩化水素酸表面処理カルボキシアルキル化澱粉の減衰全反射赤外スペクトル(ATR-IR)を示す。
【図7】図7は、本発明の一実施態様に従う、ステアリン酸表面処理カルボキシアルキル化澱粉の減衰全反射赤外スペクトル(ATR-IR)を示す。
【図8】図8は、本発明の一実施態様に従う、動的表面処理「ガラス様」カルボキシメチル澱粉粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)顕微鏡写真を示す。
【図9】図9は、本発明の一実施態様に従う、静的表面処理「ガラス様」カルボキシメチル澱粉粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)顕微鏡写真を示す。
【図10】図10は、本発明の一実施態様に従う、非表面処理多孔質カルボキシアルキル化多糖類粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)顕微鏡写真を示す。
【図11】図11は、本発明の一実施態様に従う、表面処理多孔質カルボキシアルキル化多糖類粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)顕微鏡写真を示す。
【図12】図12は、本発明の一実施態様に従う、静的環境下(140℃に設定した対流式オーブン)で5時間に亘って加熱された表面処理カルボキシメチル澱粉のFSC、CRC、及びAUL容量を示すグラフである。
【図13】図13は、本発明の一実施態様に従う、静的環境下(140℃に設定した対流式オーブン)で2時間に亘って加熱された表面処理カルボキシメチルセルロースのFSC、CRC、及びAUL容量を示すグラフである。
【図14】図14は、本発明の一実施態様に従う、静的環境下(140℃に設定したIRオーブン)で20分間に亘って加熱された表面処理カルボキシメチル澱粉のFSC、CRC、及びAUL容量を示すグラフである。
【図15】図15は、本発明の一実施態様に従う、静的環境下(160℃に設定したIRオーブン)で20分間に亘って加熱された表面処理カルボキシメチル澱粉のFSC、CRC、及びAUL容量を示すグラフである。
【図16】図16は、本発明の一実施態様に従う、押出スクリューの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本明細書中で使用される用語の明確且つ一貫した理解をもたらすために、以下に多数の定義を挙げる。更にまた、特記のない限りは、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明に関する分野の当業者によって通常理解されるものと同一の意味を有する。
【0033】
特許請求の範囲及び/または明細書において、「含む」なる語と共に使用される場合には、「一」もしくは「一つの」なる語の使用は、「一つ」を意味してよいが、「一つまたは複数」、「少なくとも一つ」、及び「一つまたは一つ以上」の意味とも矛盾のないものである。
【0034】
本明細書及び特許請求の範囲において使用される通り、「含む」(及び「含む」のあらゆる形態、例えば「含んでいる」)、「有する」(及び「有する」のあらゆる形態、例えば「有している」)、「包含する」(及び「包含する」のあらゆる形態、例えば「包含している」)、または「含有する」(及び「含有する」のあらゆる形態、例えば「含有している」)との語は、包括的もしくは制限のないものであり、記載のない付加的な要素または処理工程を排除するものではない。
【0035】
本明細書及び特許請求の範囲において使用されるとおり、「約」なる語は、当業者に理解される通りであり、非限定的一実施態様では、この語は10%以内、好ましくは5%以内、更に好ましくは1%以内、最も好ましくは0.5%以内であると定義される。
【0036】
「パーセント」もしくは「%」なる語は、特記のない限り、重量%(すなわちw/w%)を意味する。
【0037】
本明細書中で使用される通り、「食塩水」なる語は、脱塩水中0.9w/w%の塩化ナトリウム溶液を意味する。
【0038】
本明細書中で使用される通り、「分離した粒子」とは、個別の粒子を意味する。
【0039】
本明細書中で使用される通り、「均一の置換」なる語は、カルボキシアルキル化多糖類が、カルボキシアルキル化後の無水グルコース単位のほとんどに亘って、カルボキシアルキル基の実質的に均一な分布を含むことを意味する。典型的には、均一に置換されたカルボキシアルキル化多糖類は、置換度が最大で0.3の標準偏差によって特徴付けられる。
【0040】
本明細書中で使用される通り、「多糖類」なる語は、単糖類反復単位を含む骨格を有するポリマーを意味する。非限定的な例には、澱粉、変性澱粉、アミロペクチン、変性アミロペクチン、アミロース、変性アミロース、セルロース、変性セルロース、ガラクトマンナン、及び変性ガラクトマンナンが含まれる。
【0041】
本明細書中で使用される通り、「単糖類」なる語は、環状C5-C6アルドース類またはケトース類を意味する。C5-C6アルドース類の非限定的な例には、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、リボース、アラビノース、キシロース、及びリキソースが含まれる。C5-C6ケトース類の非限定的な例には、リブロース、キシルロース、フルクトース、ソルボース、及びタガトースが含まれる。
【0042】
本明細書中で使用される通り、「全吸収」とも呼称される「自由膨潤容量」(FSC)なる語は、その組成物1グラムに吸収される流体の量(g)を意味する。典型的な流体は、食塩水(0.9w/w%のNaCl溶液、以降は0.9%NaCl溶液または食塩水と呼称)である。
【0043】
本明細書中で使用される通り、「保持」とも呼称される「遠心分離機保持容量」(CRC)は、その組成物1グラムに保持される流体の量(g)を意味する。典型的な流体は、食塩水(0.9w/w%のNaCl溶液、以降は0.9%NaCl溶液または食塩水と呼称)である。
【0044】
本明細書中で使用される通り、「加圧下吸収」(AUP)とも呼称される0.71psiでの「負荷下吸収」(AAP)は、所与の圧力下でのその組成物1グラムに吸収される流体の量(g)を意味する。典型的な流体は、食塩水(0.9w/w%のNaCl溶液、以降は0.9%NaCl溶液または食塩水と呼称)である。
【0045】
本明細書中で使用される通り、「衛生物品」なる語は、流体、とりわけ生理液を吸収するように設計された製品を意味する。衛生物品の非限定的な例には、オムツ、失禁用品、及び生理用ナプキンが含まれる。
【0046】
本明細書中で使用される通り、「吸収性コア」なる語は、体液の確保、輸送、分配、及び貯蔵を含むその物品の液体取扱特性に主に関与する、衛生物品の成分を意味する。
【0047】
本明細書中で使用される通り、「吸収性部材」なる語は、例えば液体確保、液体分配、液体油相、液体貯蔵等の一つまたは複数の液体取扱特性を典型的に提供する、吸収性コアの構成材を意味する。
【0048】
「糊化」なる語は、当業者にはよく知られ、一般的に澱粉の膨潤及び水和を説明するために使用される。
【0049】
本明細書中で使用される通り、「再湿潤」または「ウェットバック」なる語は、吸収性物品の負荷下での流体保持容量の尺度である。
【0050】
本明細書中で使用される通り、「吸収性材料」または「吸収性ポリマー」なる語は、乾燥した、固体状態で、優れた流体膨潤特性を有し、流体との接触に際してゲルを形成しうる材料を意味する。こうした流体の非限定的な例には、水、水性溶液、食塩水、または生理液が含まれる。
【0051】
本明細書中で使用される通り、「超吸収性」、「超吸収性ポリマー」、または「SAP」なる語は、液体、例えば水、水性溶液、食塩水、または生理液との接触に際してゲルを形成しうる吸収性材料を意味する。こうした材料は、少なくとも15g/gの遠心分離機保持容量(CRC)によって特徴付けられる。
【0052】
本明細書中で使用される通り、「水分含量」なる語は、物質中に含まれる水の量(w/w%)を意味する。
【0053】
本明細書中で使用される通り、「水性」なる語は、少なくとも15重量(w/w)%の水を含むあらゆるタイプの反応媒質を含むことを意味する。これには、以下に限定されるものではないが、水及び任意に一つまたは複数の共溶媒を含む系が含まれる。
【0054】
本明細書中で使用される通り、「顆粒状材料」、「顆粒」、「粒子」、「粉末」、「グレイン」、または「粉塵」は、微細に分離した状態の粒子状物質を意味する。
【0055】
本明細書中で使用される通り、「粒径」なる語は、粒子の最大寸法を意味する。粒径は、篩法、光学もしくは走査電子顕微鏡、並びに別の周知の方法を使用して直接測定することができる。粒径はしばしば、粒子の直径とみなされる。
【0056】
本明細書中で使用される通り、「分離したゲル粒子」なる語は、食塩水中で十分に膨潤したならば分離したヒドロゲル粒子の外観を有する、超吸収性粒子を意味する。
【0057】
本明細書中で使用される通り、「表面処理」なる語は、化学的または物理的に変性された表面を意味する。
【0058】
本明細書中で使用される通り、「架橋結合剤」、「架橋剤」、または「外部架橋結合剤」なる語は、架橋可能な多糖類と共に、多糖類と反応して架橋多糖類を産生する作用剤を意味する。架橋結合反応の非限定的な例には、架橋剤と少なくとも二つの多糖類ヒドロキシル基との反応、架橋剤と少なくとも二つの多糖類カルボキシル基との反応、並びに架橋剤と多糖類ヒドロキシル基及び多糖類カルボキシル基との反応が含まれる。
【0059】
本明細書中で使用される通り、反応効率(R.E.)なる語は、一般的に、使用した試薬の最初の量に基づく理論量に対する、得られた生成物の量(%)を意味する。
【0060】
天然に存在する生体高分子で、ゲル形成特性を有する物は非常に僅かである。生体高分子は、典型的には、湿潤時には流体の流れを遮断する不浸透性相を形成する、ゲルを産生する。更にまた、その構造的強度が低く、このため高いAUL特性を要する応用のためには有効でない。生体高分子構造の変更は、しばしば、バイオベース含量の望ましからぬ低減をもたらす。多糖類は、吸収性剤の分野で既に使用されている一群の生体高分子を含む。多糖類の非限定的な例には、ガラクトマンナン、澱粉、及びセルロースが含まれる。
【0061】
澱粉については、その温水中でのゲル形成特性が広く知られている。澱粉ベースの吸収性剤は、Huppeらによるカナダ国特許公報第2,308,537号及びThibodeauらによるカナダ国特許公報第2,462,053号に既に開示されている。しかしながら、これらの材料が適当なAUL特性を有することは開示されていなかった。表面処理カルボキシアルキル化澱粉が優れたAUL特性を有し、このためパーソナル衛生の分野で超吸収性材料として好適である。
【0062】
澱粉は、以下に限定されるものではないが、トウモロコシ、小麦、ジャガイモ、ヤム、キャッサバ、米、粟、ソルガム、大麦、オート麦、豆、空豆、エンドウ豆、レンズ豆、ソバ、バナナ、アラカチャ、アンデスカタバミ、サゴ、タロ、タピオカ、サツマイモ、及びこれらの混合物を含む、様々な源から得られる。本発明の一実施態様では、澱粉は、以下に限定されるものではないが、トウモロコシ、小麦、ジャガイモ、ヤム、キャッサバ、米、粟、ソルガム、大麦、オート麦、豆、空豆、エンドウ豆、レンズ豆、ソバ、バナナ、アラカチャ、アンデスカタバミ、サゴ、タロ、タピオカ、サツマイモ、及びこれらの混合物のモチ種から得られる。本発明の一実施態様では、澱粉は、トウモロコシ、モチトウモロコシ、ジャガイモ、タピオカ、及び小麦からなる群より選択される源から得られる。
【0063】
AUL特性を改善するために、多糖類を、カルボキシアルキル化剤との反応により化学的に変性させる。本発明の一実施態様では、カルボキシアルキル化剤は、カルボキシメチル化剤を含む。カルボキシアルキル基は、その中性カルボキシル形態であっても、またはカルボン酸塩形態であってもよい。その強いイオン性の特性のために、カルボキシアルキル化多糖類は強い浸透力を示す。浸透推進力は、高い吸収性能を得るために有用である。
【0064】
一実施態様では、本発明のカルボキシアルキル化多糖類は、4.5乃至10.0の範囲のpHを有する。別の実施態様では、本発明のカルボキシアルキル化多糖類は、5.0乃至8.0の範囲のpHを有する。カルボキシアルキル化多糖類のpHは、その後のあらゆる表面処理反応にも影響する。
【0065】
本発明のカルボキシアルキル化多糖類と会合するカチオンの非限定的な例には、一価のカチオン、例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン、及び有機アンモニウムイオンが含まれる。本発明の一実施態様では、前記カチオンは銀を含む。銀は、抗菌特性を有する旨が、既に開示されている(Cullenらによる米国特許出願公報第2006/0149182号)。銀カルボキシメチル澱粉を含む超吸収性剤は、臭気抑制剤として、並びに細菌成長を制御するために、有用である。更にまた、銀カルボキシメチル澱粉は、創傷包帯及び外科用ドレープにおける使用に好適である。
【0066】
本発明の一実施態様では、カルボキシアルキル化多糖類は、ウィリアムソンのエーテル合成法によって調製される。本発明の一実施態様では、カルボキシアルキル化剤は、ハロ酸及び/またはその塩を含む。塩の非限定的な例には、アルカリ金属塩が含まれる。本発明の別の実施態様では、ハロ酸はC2-C5ハロ酸を含む。本発明の別の実施態様では、C2-C5ハロ酸はモノクロロ酢酸、モノクロロ酢酸ナトリウム、モノクロロ酢酸カリウム、モノクロロ酢酸リチウム、及びこれらの混合物を含む。
【0067】
典型的なカルボキシアルキル化反応は、下記の通りである。
澱粉-(OH)3 + mX-(CH2)y-CO2Z + WHO → 澱粉-[(O-(CH2)y-CO2Z)m][OH]3-m + mWX
式中、
Yは1乃至4の範囲の整数であり、XはCl、Br、及びIからなる群より選択され、Wはアルキル金属であり、mは0.3乃至1.5の範囲の数値であり、更にZはH、アルカリ金属、アンモニウム、及び有機アンモニウムからなる群より選択される。
【0068】
本発明の一実施態様では、カルボキシアルキル化多糖類は、バイオベースの誘導カルボキシアルキル置換基を含む。本発明の一実施態様では、置換基は、バイオベースのハロ酸及び/またはその塩から誘導される。本発明の更に別の実施態様では、バイオベースのハロ酸は、モノクロロ酢酸を含む。酢酸及びグリコール酸中間体は、発酵または酸化によってバイオベースの基質から得られる(米国特許第4,463,019号、米国特許第4,456,622号、米国特許第4,569,845号、米国特許第3,445,245号、米国特許第4,076,844号、米国特許第 4,282,257号、米国特許第6,753,170号、国際特許出願公報第98/00558号、米国特許第4,935,360号、米国特許第4,656,140号、及び米国特許第4,503,078号)。中間体は、米国特許第4,281,184号、米国特許第4,383,121号、米国特許第No. 7,135,597に記載のようにハロゲン化させることができる。
【0069】
本発明の一実施態様では、カルボキシアルキル化剤は、非バイオベースのハロ酸またはこれらの混合物を、バイオベースのハロ酸及び/またはこれらの塩と共に含む。
【0070】
一実施態様では、本発明は、少なくとも0.01のバイオベース置換度を有するカルボキシアルキル化多糖類に関する。一実施態様では、本発明は、0.2乃至1.0の範囲の総置換度をを有するカルボキシアルキル化多糖類に関する。別の実施態様では、本発明は、0.4乃至0.7の範囲の総置換度を有するカルボキシアルキル化多糖類に関する。
【0071】
(アルカリ媒質及びカルボキシアルキル化)
澱粉のカルボキシアルキル化は、まずアルカリ媒質中に澱粉を分散させることにより行われた。本発明の一実施態様では、澱粉は無水アルカリ中に直接分散させられる。或いはまた、澱粉は、水性アルカリ有機親水性溶媒中に分散させてもよい。本発明の一実施態様では、有機親水性溶媒はC1-C5アルコールを含む。無水アルカリの非限定的な例には、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及びこれらの混合物が含まれる。本発明の一実施態様では、無水アルカリは粉末形態である。本発明の一実施態様では、C1-C5アルコールはイソプロパノールである。
【0072】
驚くべきことに、カルボキシアルキル化処理がアルカリ水性媒質中で行われた場合に、カルボキシアルキル化生成物に超吸収特性が得られた。如何なる理論にも束縛されず、澱粉鎖及びカルボキシアルキル化剤が、水性環境中ではより不安定であると考えられる。この可動性の増大が、いっそう均一なカルボキシアルキル化置換パターンを提供する。本発明の一実施態様では、水性アルカリ媒質は、少なくとも11.0のpHを有する。典型的な澱粉水分含量は15乃至99%の範囲である。ヒドロキシル基とカルボキシアルキル化剤との間の副反応の傾向は、水分含量の増大と共に増大する。
【0073】
驚くべきことに、カルボキシアルキル化処理が反応押出を用いて行われる場合に、超吸収特性(0.7psiにて少なくとも14g/gのAUL)を示す製品が得られた。更にまた、反応押出によれば、少なくとも60%の反応効率を達成しうる。本発明の一実施態様では、カルボキシアルキル化押出処理における水分含量は、15乃至30%の範囲である。
【0074】
ツインスクリュー押出機が、カルボキシアルキル化処理を行うために典型的に使用される。ツインスクリュー押出機は、カルボキシアルキル化反応を行うために要求される更なる可撓性及び剪断を提供する。本発明の一実施態様では、無水成分、例えば澱粉及びカルボキシアルキル化剤が押出機に供給された。前記成分を、典型的には混練部材の上流に位置する、アルカリ(例えば水酸化アルカリ)注入点に運搬した。アルカリは溶液の形態で注入してよい。15乃至30%の水分含量を確実にするために、任意に水を注入してよい。押出機中での試薬の劣化を制限するために、温度は140℃以下に維持される。生成するアルカリペーストは、反応効率を向上させるためにポンプ輸送及び混練される。ツインスクリュー押出機には、任意に水分の排出を提供するための弁が設けられていてよい。水分排出の増大が望まれるならば、前記弁を真空下で設置してよい。押出ストランドを製造するために、カルボキシアルキル化澱粉を任意にダイ中にポンプ輸送してよい。
【0075】
本発明の一実施態様では、カルボキシアルキル化多糖類は架橋している。架橋は、カルボキシアルキル化処理の前、途中、または後に行われてよい。本発明の一実施態様では、架橋はカルボキシアルキル化工程の前に行われる。スラリーは、典型的には澱粉が水と混合された場合に得られる。スラリー様状態は、少量のアルカリ(pH≦10)の添加で維持される。アルカリスラリーは、澱粉と共有結合架橋剤との反応にとっての適当な反応媒質を提供する。本発明の一実施態様では、架橋剤はエピクロロヒドリンを含む。糊化工程の前に架橋を行うことにより、架橋反応効率の増大がもたらされる。一実施態様では、本発明は、(カルボキシアルキル化多糖類に基づいて)最大で10%の架橋剤含量を有する架橋カルボキシアルキル化多糖類に関する。別の実施態様では、本発明は、(カルボキシアルキル化澱粉に基づいて)最大で10%の架橋剤含量を有する架橋カルボキシアルキル化澱粉に関する。
【0076】
架橋により、増大した分子量、増大したゲル強度、及び加圧下での変形に対する増大した耐性を有する澱粉生成物が得られる。ゲル強度の増大は、CRC及びAULにおける増大をもたらす。本発明の一実施態様では、少なくとも500,000Daの分子量を有する架橋多糖類が使用された。
【0077】
一つの実施態様では、本発明は、少なくとも25g/gのFSC、少なくとも18g/gのCRC、及び0.7Psiにて少なくとも14g/gのAULによって特徴付けられる。
【0078】
(精製)
カルボキシアルキル化生成物の純度は重要である。重要な量の塩がカルボキシアルキル化工程の間に製造されることから、あらゆる残留不純物が、カルボキシアルキル化生成物の吸収性能を低減させる効果を有する「食塩中毒」をもたらしうる。カルボキシアルキル化生成物は、水混和性の有機溶媒及び/または水混和性有機溶媒/水の混合物での洗浄により精製可能である。水混和性有機溶媒の非限定的な例には、C1-C4アルコールが含まれる。洗浄されたカルボキシアルキル化生成物を、その後濾過し、乾燥させる。精製処理は、AgNO3と混合した際に洗浄物からさらなる塩の沈殿が観察されなくなるまで継続される。洗浄物の伝導度は、カルボキシアルキル化生成物の純度を更に示す。伝導度は最大で1,500μS/cmとなるべきである。
【0079】
本発明の一実施態様では、カルボキシアルキル化生成物は酸性条件下で精製された。第1工程は、典型的には酸性化処理を含む。カルボン酸塩基はカルボン酸基に変換された。酸性化されたカルボキシアルキル化多糖類は、典型的には4.5乃至6.5の範囲のpHを示す。加熱された生成物は実質的に水に不溶であるため、酸性化されたカルボキシアルキル化生成物はその後加熱された。そうしなければ、生成物は膨潤し、ヒドロゲルまたはヒドロゲル粒子を形成する。その後、ゲル粒子は水または酸性溶液で洗浄され、あらゆる残留塩を除去される。精製処理は、AgNO3と混合した際に洗浄物からさらに塩の沈殿が観察されなくなるまで継続された。洗浄物の伝導度は、カルボキシアルキル化生成物の純度の更なる表示を表す。伝導度は最大で1,500μS/cmとなるべきである。
【0080】
(pH及び水分の調節)
適当なカルボン酸塩含量を得るために、精製されたカルボキシアルキル化多糖類のpHを、6.0乃至10.0の範囲内に調節してよい。本発明の一実施態様では、pHは水混和性の有機溶媒中で調製してよい。
【0081】
反応押出を、カルボキシアルキル化多糖類のpHを調節するために使用してよい。本発明の一実施態様では、pHは、カルボキシアルキル化反応の後及び押出排出の前に調節される。pHは、酸性溶液をカルボキシアルキル化多糖類ペーストに注入することによって調調節することができる。本発明の一実施態様では、ペーストはカルボキシアルキル化澱粉を含む。酸性化ペースト混合物は、その後、運搬され、ポンプ輸送され、更に押出機から排出された。ツインスクリュー押出機には、任意に水分の排出を提供するための弁が設けられていてよい。水分排出の増大が望まれるならば、前記弁を真空下で設置してよい。押出ストランドを製造するために、カルボキシアルキル化澱粉を任意にダイ中にポンプ輸送してよい。
【0082】
カルボキシアルキル化生成物の水分含量を、更に調節してよい。本発明の一実施態様では、カルボキシアルキル化生成物の水分含量は、最大で7%である。水分低減技術の非限定的な例には、伝導加熱、真空蒸発、対流加熱、及び赤外線加熱が含まれる。別の適当な水分低減技術を選択することは、当業者の能力の範囲内であると考えられる。
【0083】
(粒子形成)
本明細書の一実施態様では、カルボキシアルキル化多糖類は粒状物質を含む。本発明の別の実施態様では、カルボキシアルキル化澱粉は、粒状物質を含む。本発明の更に別の実施態様では、カルボキシアルキル化澱粉は「ガラス様」である。本発明の更に別の実施態様では、カルボキシアルキル化澱粉は、「多孔質」構造を含む。カルボキシアルキル化生成物の粒状構造は、pH調節、精製処理、及び水分調節に影響される。カルボキシアルキル化生成物の粒状構造は、嵩密度、破砕性、及び摩損性にも影響する。一実施態様では、本発明のカルボキシアルキル化澱粉生成物は、0.5g/cm3乃至0.7g/cm3の範囲の嵩密度を有する。
【0084】
本発明の一実施態様では、カルボキシアルキル化多糖類粒子のサイズは、低減される。篩工程には、粒径の制御に便利な技術が含まれる。カルボキシアルキル化多糖類粒子の吸収性能は、その粒径に関連する。少なくとも約150μm(100メッシュ)のサイズを有する粒子は、ゲル遮断を制限する。最大で約850μm(20メッシュ)のサイズを有する粒子は、衛生製品におけるピンホール形成を制限し、より有効に膨潤する。
【0085】
(表面コーティング)
高圧、例えば0.7psiの下では、ゲル粒子は崩壊して「ディスク形の」ゲル粒子を形成しがちである。これらの「ディスク形の」粒子は、吸収処理を著しく妨げ、やがてはゲル遮断をもたらしうる。より硬いゲル粒子は、変形に対する耐性が高く、適切な膨潤速度を維持する。表面処理カルボキシアルキル化多糖類粒子は、加圧下での膨潤に対して十分な構造的硬直性を有する一方で、軽度に架橋したカルボキシアルキル化多糖類と同様の吸収特性(FSC、CRC)を示す。
【0086】
表面処理剤は、カルボキシアルキル化多糖類粒子の表面の水溶性を低減させる。更にまた、表面処理剤は、カルボキシアルキル化多糖類に、膨潤した時点で、分離したゲル粒子の外観をもたらす。表面処理はまた、0.7PsiでのAULを増大させる。表面処理は、典型的には加熱しつつ行われる。表面処理剤の非限定的な例には、架橋剤、非架橋酸、及びこれらの組み合わせが含まれる。非架橋酸の非限定的な例には、一価の酸が含まれる。これらの酸は、鉱物源、非バイオベース源、またはバイオベース源由来のものであってよい。本発明の一実施態様では、非架橋酸は、塩化水素酸、酢酸、グリコール酸、及びステアリンさんからなる群より選択される。
【0087】
典型的には、表面処理を増大させると、(0.7Psiでの)より高いAUL値が得られる。しかしながら、別の重要なSAP特性、例えばFSC及びCRCに不利な影響が及ばないように注意すべきである。本発明の一実施態様では、非架橋酸試薬の量は、カルボキシアルキル化多糖類1グラムに対して、約0.01ミリ等量乃至約20.0ミリ等量の範囲である(meq/g)。本発明の別の実施態様では、表面処理カルボキシアルキル化多糖類のpHは、約4.5乃至6.5の範囲である。
【0088】
本発明の一実施態様では、カルボキシアルキル化多糖類の表面は、架橋剤で処理される。架橋剤の非限定的な例には、クエン酸、アルミニウムイオン(Al3+)及びエピクロロヒドリンが含まれる。クエン酸を用いる処理は、エステル結合の形成をもたらし、エピクロロヒドリンを用いる反応はエーテル結合の形成をもたらし、更にアルミニウムイオンを用いる処理である。本発明の別の実施態様では、クエン酸表面処理カルボキシアルキル化多糖類のpHは、約4.5乃至6.5の範囲である。
【0089】
本発明の一実施態様では、表面処理は、カルボキシアルキル化多糖類の表面を、表面処理剤を含む溶液で処理することによって行われる。適当な粒子表面処理を達成するためには、表面処理剤の浸透深さが注意深く制御されるべきである。こうした制御は、適当な溶媒系の注意深い選択によって達成することができる。こうした溶媒系の非制限的な例には、親水性有機溶媒及び親水性有機溶媒/水の混合物が含まれる。有機親水性溶媒の使用は、表面処理剤拡散及びカルボキシアルキル多糖類粒子の表面膨潤を制限する。典型的な親水性有機溶媒には、C1-C5アルコールが含まれる。本発明の一実施態様では、親水性有機溶媒はイソプロパノールを含む。本発明の一実施態様では、親水性有機溶媒/水の混合物が使用される。本発明の別の実施態様では、この混合物は、50/50乃至95/5の範囲の溶媒/水比を有する。これら混合物中の水は、表面浸透の増大をもたらす。
【0090】
本発明の一実施態様では、カルボキシアルキル化多糖類粒子を、表面処理剤を溶解させた溶媒と混合する。湿潤粉末またはペーストが、典型的に得られる。ペーストまたは湿潤粉末を、加熱前に任意に粉砕してもよい。熱処理の前に、溶媒を任意に蒸発させてもよい。溶媒蒸発工程は、典型的には100℃以下の温度で行われる。
【0091】
本発明の一実施態様では、表面処理を、表面処理剤を含む溶液の液滴をカルボキシアルキル化多糖類粒子の表面に適用することにより行った。溶媒系の非限定的な例には、親水性有機溶媒及び親水性有機溶媒/水の混合物が含まれる。水性溶液がこうした条件下で適当であることは、驚くべき発見であった。粒子膨潤を回避するためには、水性溶液は液滴適用の後で迅速に蒸発させるべきである。本発明の一実施態様では、蒸発は、粒子周囲の気体循環によって達成された。本発明の別の実施態様では、この気体は少なくとも40℃の温度を有する。粒子膨潤は、液滴適用の流れが少なくとも溶媒蒸発速度と同等である場合は実質的に回避される。こうした環境は、造粒機中またはスプレーノズルを取り付けた流動床乾燥機上で達成することができる。
【0092】
(熱処理)
ほとんどの表面処理剤は、加熱工程を要する。表面処理は、(0.7psiにて)優れたAUL値を示す生成物をもたらす。
【0093】
熱処理は、電磁放射線源、高温気体、または加熱された表面を使用して達成してよい。本発明の一実施態様では、対流(高温気体)または赤外線(電磁放射線)加熱が使用される。典型的には、中赤外線または炭素赤外線として特徴付けされるIR光源が好適である。本発明の一実施態様では、表面処理カルボキシアルキル化多糖類は、少なくとも140℃の温度に加熱される。本発明の別の実施態様では、表面処理カルボキシアルキル化多糖類は、少なくとも160℃の温度に加熱される。本発明の更に別の実施態様では、熱処理後の表面処理カルボキシアルキル化多糖類粒子の水分含量は、5%未満である。この粒子を過度に加熱しないように注意すべきである。過度の加熱は、典型的には、粒子の褐色化によって特徴付けられる。
【0094】
本発明の一実施態様では、熱処理は静的環境中で達成された。静的環境の非限定的な例には、固定環境、ベルト輸送環境、滑動環境、あるいは粒子同士のまたは粒子と別の物体との適切でない相互作用(すなわち剪断)の誘発を実質的に回避するあらゆる環境が含まれる。本発明の一実施態様では、静的環境には、その上に粒子が均一に拡散した表面が含まれる。こうした表面は、典型的には、IR透過表面、例えばガラスまたはパイレックス(登録商標)である。
【0095】
本発明のカルボキシアルキル化多糖類は、多種の酸によって表面処理してよい。非架橋酸が使用される場合には、エステル結合は典型的にはATR-IRスペクトルでは観察されない。エステルバンド(1750cm-1乃至1715cm-1)のないことが、塩酸表面処理されたカルボキシアルキル化澱粉の場合に注目された(図6)。ショルダーの存在が、ステアリン酸表面処理されたカルボキシアルキル化澱粉の場合に観察された(図7)。
【0096】
本発明の一実施態様は、内部架橋したカルボキシアルキル化多糖類に関する。これら多糖類は、表面処理剤への暴露によって表面処理されてもよい。
【0097】
本発明の一実施態様では、表面処理カルボキシアルキル化澱粉は、0.7psiにて少なくとも14g/gのAULを有する。本発明の一実施態様では、表面処理カルボキシアルキル化澱粉は、0.7psiにて少なくとも14g/gのAUL及び少なくとも18g/gのCRCを有する。本発明の一実施態様では、表面処理カルボキシアルキル化澱粉は、0.7psiにて少なくとも14g/gのAUL、少なくとも18g/gのCRC、及び少なくとも25g/gのFSCを有する。本発明の別の実施態様では、表面処理カルボキシアルキル化澱粉は、0.5g/cm3乃至0.7g/cm3の範囲の嵩密度によって特徴付けられる。
【0098】
表面処理カルボキシアルキル化多糖類は、膨潤すると分離したゲル粒子を形成する。分離したゲル粒子が形成される傾向のため、これらの材料は衛生物品における使用に特に適当である。実際に、吸収性部材中に導入されると、その最高限度にまで膨潤した分離したゲル粒子は、水流を促進する。この特性は、吸収性物品の湿潤多孔性を著しく増大させ、よって液体吸収及び拡散を向上させる。
【0099】
本発明の一実施態様によれば、表面処理されたカルボキシアルキル化澱粉は、0.7psiにて少なくとも14g/gのAUL、及びASTM法D6866-06Aによって測定される、少なくとも82%のバイオベース含量を有する。本発明の一実施態様によれば、表面処理されたカルボキシアルキル化澱粉は、0.7psiにて少なくとも14g/gのAUL、及びASTM法D6866-06Aによって測定される、少なくとも87%のバイオベース含量を有する。本発明の一実施態様によれば、表面処理されたカルボキシアルキル化澱粉は、0.7psiにて少なくとも14g/gのAUL、及びASTM法D6866-06Aによって測定される、少なくとも95%のバイオベース含量を有する。これらの表面処理カルボキシアルキル化澱粉は、衛生物品及び吸収性部材中における使用に適当である。
【0100】
本発明の表面処理カルボキシアルキル化多糖類を別の共吸収性材料と混合して、吸収性組成物を提供してよい。一実施態様では、吸収性組成物は、約1乃至99(w/w)%の表面処理カルボキシアルキル化多糖類及び約99乃至約1(w/w)%の共吸収性材料を含む。共吸収性材料の非限定的な例には、合成吸収性ポリマー、澱粉ベースの吸収性剤、マンノース含有多糖類、繊維、及びこれらの混合物が含まれる。
【0101】
本発明の表面処理カルボキシアルキル化澱粉を別の共吸収性材料と混合して、吸収性組成物を提供してよい。一実施態様では、吸収性組成物は、約1乃至99(w/w)%の表面処理カルボキシアルキル化澱粉及び約99乃至約1(w/w)%の共吸収性材料を含む。共吸収性材料の非限定的な例には、合成吸収性ポリマー、澱粉ベースの吸収性剤、マンノース含有多糖類、繊維、及びこれらの混合物が含まれる。
【0102】
澱粉ベースの吸収性剤の非限定的な例には、ガラス様澱粉、例えばHuppeらにより開示されているもの(CA 2,308,537)、アミロペクチンネットワーク、例えばThibodeauらにより開示されているもの(CA 2,462,053)、多糖類凝集物、例えばChevignyらにより開示されているもの(CA 2,534,026)、ヒドロキシエチル澱粉、ヒドロキシプロピル澱粉、澱粉ナノ複合物、例えばBerradaらによって開示されているもの(CA 2,483,049)、並びにこれらの混合物が含まれる。
【0103】
マンノース含有多糖類の非限定的な例には、グアーガム、タラガム、ローカストビーンガム、コンニャク、メスキートガム、サイリウム抽出物、フェネグリーク抽出物、及びこれらの混合物が含まれる。マンノース含有多糖類は、化学的または酵素的に変性されていて(すなわちマンノース誘導体であって)よく、架橋していてよく、あるいはナノ複合材料の形態であってよい。
【0104】
繊維の非限定的な例には、セルロース、ビスコース、レーヨン、セルロースアセテート、ポリアミド(すなわちナイロン(登録商標))、ポリアルキレン類、ポリエチレン、ポリプロピレン、二成分繊維、ポリエステル類、ポリラクチド類、ポリプロパンジオール類、ポリヒドロキシアルカノエート類、リヨセル(登録商標)、水苔、及びこれらの混合物が含まれる。
【0105】
本発明の吸収性組成物中において共吸収性材料として使用される、合成吸収性ポリマーは、一般的に重合によって、典型的には、その非限定的な例にアクリル酸、アクリル酸塩、アクリル酸エステル、無水アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸塩、メタクリル酸エステル、無水メタクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸塩、マレイン酸エステル、アクリルアミド、アクリロニトリル、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、酢酸ビニル、ビニルグアニジン、アスパラギン酸、アスパラギン酸塩、及びこれらの混合物が含まれるモノマーの、ラジカルもしくはラジカルグラフト重合によって得られる。
【0106】
本発明の表面処理カルボキシアルキル化多糖類粒子、またはこうした粒子を含む組成物は、液体の吸収方法における使用に適当である。本発明の一実施態様では、一つまたは複数の表面処理されたカルボキシアルキル化多糖類を、吸収させようとする液体と接触させる。液体の非限定的な例には、水、水性溶液、生理液、及び食塩水が含まれる。本発明の表面処理されたカルボキシアルキル化多糖類は、吸収させようとする液体と接触すると、内部にその液体を捕捉したゲルを形成する。
【0107】
本発明の表面処理カルボキシアルキル化澱粉粒子またはこうした粒子を含む吸収性組成物は、液体の吸収方法における使用のために適当である。本発明の一実施態様では、1つ以上の表面処理カルボキシアルキル化澱粉を、吸収させようとする液体と接触させる。液体の非限定的な例には、水、水性溶液、生理液、及び食塩水が含まれる。本発明の表面処理されたカルボキシアルキル化澱粉は、吸収させようとする液体と接触すると、内部にその液体を捕捉したゲルを形成する。
【0108】
本発明のこれら表面処理カルボキシアルキル化多糖類は、オムツ、失禁用品、及び生理用ナプキンを含む衛生物品における使用に適当である。本発明の一実施態様では、表面処理カルボキシアルキル化多糖類は、表面処理カルボキシアルキル化澱粉である。典型的な衛生物品は図1に示される。この物品は裏打ちシートA、上部シートB、及び吸収性コアCを含む。吸収性コアは、典型的には上部シートと下部シートとの間に配置される。上部シートと下部シートとは、吸収性コアにとっての封入エンベロープを提供する。裏打ちシートは、典型的にはプラスチック材料からなる不透過性フィルムである。表面層は、典型的には多孔性、水透過性、水不溶性の、フィルムまたは不織材料である。任意に捕捉分配層(非表示)を、上部シートと吸収性コアとの間に配置してもよい。捕捉-分配層は、吸収性コア中への液体の拡散を提供し、ステイン領域と吸収速度との両方を増大させる。
【0109】
吸収性部材は、衛生物品の使用状況では、尿及び生理液の吸収に関与する吸収性コアの構成材を成す。本発明の一実施態様では、吸収性部材はセルロース毛羽パルプ繊維及び表面処理カルボキシアルキル化多糖類を含む。構成材は、大気拡散で均一に混合させることができる。吸収性部材は、任意に芳香剤、臭気制御材、バインダー、熱可塑性繊維、架橋剤、及びフィラーなどの添加剤を更に含んで良い。本発明の一実施態様では、吸収性部材はその嵩を低減するために圧縮される。本発明の別の実施態様では、吸収性部材は、少なくとも0.10g/cm3の密度を有する。一実施態様では、本発明の吸収性部材は、15乃至80%の範囲の表面処理カルボキシアルキル化多糖類含量を有する。別の実施態様では、本発明の吸収性剤は、30乃至60%の表面処理カルボキシアルキル化多糖類含量を有する。
【0110】
本発明の吸収性部材を含む衛生物品は、驚くほど良好な吸収特性を示す。吸収性部材に含まれる表面処理カルボキシアルキル化多糖類は、ASTM法D6866-06Aによって測定される、少なくとも82%のバイオベース含量を有する。平均及び第三の捕捉速度は、衛生物品の吸収特性を評価する際の、広く受け容れられた指標である。本発明の一実施態様では、衛生物品は少なくとも0.22ml/秒の第三捕捉速度及び少なくとも0.12ml/秒の平均捕捉速度を有する。第三再湿潤及び総湿潤は、衛生物品の品質を評価するための指標を含む。本発明の一実施態様では、衛生物品は、最大で4.0gの第三再湿潤値を有する。本発明の別の実施態様では、衛生物品は最大で1.5gの第三再湿潤値を有する。本発明の一実施態様では、衛生物品は最大で6.0gの総再湿潤値を有する。本発明の別の実施態様では、衛生物品は最大で2.5gの総再湿潤値を有する。
【0111】
本発明の表面処理カルボキシアルキル化多糖類は、別の応用、例えば食品パッド、土壌中に水分を維持するため及び植物及び樹木の根に水を放出するための農業用、園芸用、森林用の応用、繊維工業、印刷応用、吸収紙製品、鉱石処理、コンクリート添加剤、ペットのごみ、水処理、クラウドコントロール、石油掘削流体(例えば逸泥防止剤、破砕流体)、食品パッド(例えば生鮮食品の輸送及び食品包装に関する応用)、洗剤、曇り防止コーディング、消火ゲル、シーリング材、包帯及び手術用パッド(例えば創傷用包帯)において、水溶性化学流出を含む酸性及び/または塩基性の流出の清浄化のための化学吸収性剤として、化粧品及び製薬品の徐放性の制御された放出のためのポリマーゲルとして(ドラッグデリバリーシステムとしても既知)、並びに人工雪の製造において使用してもよい。
【0112】
<実験>
(材料)
ジャガイモ澱粉を、Penford Food Ingredients社(Centennial, Colo.)から入手した。A等級の小麦澱粉(Whetstar(登録商標)4)を、Archer Daniels Midland社(Decatur, Ill.)から入手した。エピクロロヒドリン、モノクロロ酢酸ナトリウム、クエン酸一水和物、ステアリン酸、酢酸、実験等級のイソプロパノール、及び水酸化ナトリウムを、Sigma-Aldrich (St-Louis, Mo.)より入手した。塩酸及びメタノールを、Labmat社(Quebec City, Canada)より入手した。
【0113】
(赤外線温度計)
TES 1326S赤外線温度計を使用した。
(対流式オーブン)
National Drying Machinery Company(Philadelphia, USA)のLab tray drier TY 2を使用した。
(赤外線オーブン)
Panasonic NB-G100P赤外線オーブンを使用した。
(グラインダー)
試料を粉砕するためにBraun(登録商標)model KSMグラインダーを使用した。
【0114】
(押出機(CMC))
Baker-Perkins MPF-50D (50mm)ツインスクリュー押出機を使用して、CMCヒドロゲルを製造した。この押出機には、ME-II Accurate Power Feederを取り付けた。注入ノズルは、押出機の381mm下流に配置した。ダイは用いなかった。この押出機は、下記のスクリュー構造を有するものであった。
【0115】
【表1】

【0116】
(押出機(CMS))
本発明の一実施態様では、Leistritz ZSE 40 HP (40mm)ツインスクリュー押出機を使用して、カルボキシアルキル化多糖類を製造した。押出機のL/Dは40にセットした。多糖類(例えば澱粉)を、Acrison重量測定撹拌供給機(405-170-OE)を使用してTSE中に供給した。モノクロロ酢酸ナトリウムを、Acrison重量測定撹拌供給機(405-1015-C)を使用してTSE中に供給した。澱粉及びモノクロロ酢酸ナトリウムを、押出機の下流30mm乃至180mmに配置した位置でTSE中に供給した。Cole-Parmer蠕動ポンプを取り付けた水酸化ナトリウム注入ノズルを、押出機の下流560mmに配置した。密閉サイドラム押出機のバレル(closed side stuffer barrel)を押出機の下流640mm乃至800mmの位置に配置した。弁をバレルの下流1120mm乃至1280mmの位置に配置した。ダイは用いなかった。押出機は下記のスクリュー構造を有するものであった。
【0117】
【表2】

【0118】
全ての押出機部材は、二条ねじ(double flighted)のものであった。混練部材厚さは2mmであった。
【0119】
(造粒機)
フィルムコーターノズルを取り付けたNiro Pharma Systems製のSTREA-1モデル(流動床実験ユニット)を使用した。STREA-1モデルは、水平に位置する注入ノズルを伴って構成されており、このノズルは、上下逆を向いている。
【0120】
(吸収性部材を製造するために使用される装置)
図2aは、吸収性部材の製造のための装置を図示する。毛羽パルプ繊維及び表面処理カルボキシアルキル化多糖類を、装置内に輸送し、高速気流を用いて不織フィルターに付着させた。気流は、可撓性ホース(1)で前記装置に接続された圧縮機(790KPa)を使用してもたらされた。加圧空気レギュレータを圧縮機に接続した。毛羽パルプ繊維及び表面処理カルボキシアルキル化多糖類(例えば表面処理カルボキシアルキル化澱粉)を、漏斗(3)を使用して吸収性コア形成装置の第1混合チャンバ(2)に導入する。毛羽パルプ繊維及び表面処理カルボキシアルキル化多糖類(例えば表面処理カルボキシアルキル化澱粉)を、電動モーター(5)に接続された6翼プロペラを使用して、混合チャンバ内で十分に混合した。プロペラを、4-メッシュの篩(6)の上部に配置した。本発明の一実施態様では、プロペラを4-メッシュの篩(6)の上部59mmに配置した。ブラシ(10)は篩上部に位置しており、ブラシは篩にこすれている。篩を通過するほど十分に小さな粒子は、気流を使用して第2混合チャンバ(7)に輸送され、そこから吸収性部材形成セル(8)(図3により詳細に図示)中に輸送された。真空チャンバ(9)を吸収性部材形成セル(8)の下方に配置した。真空チャンバ(9)は、掃除機(図示なし)に接続されていた。吸収性部材形成処理は、可視化ウィンドウ(11)から観察することができる。
【0121】
図3は、吸収性部材形成セルの拡大図を示す。漏斗(36)を、内部で吸収性部材(40)が製造された成型セル(37)の上方に配置した。20-メッシュの篩(38)を、成型セル(37)の底部に配置した。Maquin S.A.社の20g/m2の不織フィルター(39)を、微細な毛羽及び微細な多糖類粒子を保持するために、成型セル(37)と篩(38)との間に配置した。成型セル(37)を通過する空気を、真空チャンバ(9)に輸送した。処理完了時には、成型セル(37)を、取っ手付きプレート(41)を用いて取り除いた。
【0122】
(再湿潤シリンダー)
図4は、本発明の吸収性部材または衛生物品の再湿潤特性を試験するための再湿潤シリンダー(50)を図示する。シリンダーの相対する端部(10cm直径)(51)は、プレキシグラス(登録商標)からなり、直径2.5cmの中央オリフィス(52)を含む。シリンダーの相対する端部は、78.5cm2の表面積を有する。内部同軸シリンダー(53)は再湿潤シリンダー(50)の内部に配置されて、これらの間に円筒形空間(54)を規定する。二つのスクリュー(56)によって支えられた重り(55)が、円筒形空間(54)内に配置された。本発明の一実施態様では、再湿潤シリンダー(50)は3.87kgの重量であった。実際には、内部シリンダー(53)には水を満たした。
【0123】
(試験方法)
Modern Superabsorbent Polymer Technology (Buchholz, F. L. and Graham, A. T. Eds., Wiley-VCH, N.Y., 1998, section 4.6.1. Swelling Capacity: Theory and Practice, p. 147)において議論されている通り、ポリマーの膨潤容量を特徴付けするためには、幾つかの測定方法が使用される。超吸収材の分野では、重量測定膨潤容量(自由膨潤容量(FSC)とも呼称)及び遠心分離容量(遠心保持容量(CRC)とも呼称)が推奨される方法である。FSC及びCRCを、本発明の吸収製品の膨潤容量を特徴付けするために使用した。
【0124】
(FSC及びCRC測定のためのティーバッグ)
ティーバッグ(10×10cm)を、等級07291のヒートシール可能なAhlstrom (Chirnside Duns, UK) 濾紙(16.5±0.5g/m2)から作製した。
【0125】
(FSC測定)
0.9%のNaCl溶液中における自由膨潤容量(FSC)を、Worldwide Strategic Partners (EDANA-INDA)に推奨される試験方法WSP240.2 (05) Aに従って測定した。
【0126】
(CRC測定)
0.9%のNaCl溶液中における遠心保持容量(CRC)を、Worldwide Strategic Partners (EDANA-INDA)に推奨される試験方法WSP241.2 (05) Aに従って測定した。
【0127】
(AUL測定)
0.7Psiでの、0.9%のNaCl溶液中における負荷下吸収(AUL)を、Worldwide Strategic Partners (EDANA-INDA)に推奨される試験方法WSP242.2 (05) Aに従って測定した。
【0128】
(バイオベース含量)
本発明の表面処理カルボキシアルキル化多糖類のバイオベース含量を、最新の放射性炭素含量の特性解析によって測定した。放射性炭素濃度は、Stuiver及びPolachの会議(Radiocarbon, v.19, p.355, 1977)に従う現代の標準d14Cの分画として提供される。全ての結果を、Stuiver及びPolachの会議(1977)に従う同位体分別の説明となるように修正したが、d13C値は、準備したグラファイト上でAMS分光計を使用して測定した。これらの値は、試料の黒鉛化またはAMS測定の間に破砕が起こった場合には、当初の材料について得られたd13C値とは相違しうる。バイオベース含量が「爆発前値(pre-bomb values)」として与えられることから、全ての割合をバイオベースの百分率に合わせて93倍した(100%×0.93)。
【0129】
正確な量(5乃至10mg)の表面処理カルボキシアルキル化多糖類を回収し、金属銀及び酸化銅を入れた石英管に移した。石英管を真空下に置き、密閉して850℃にて1時間に亘り燃焼させた。加熱炉を、試料が400℃になるまで冷却した(1℃/分)。
【0130】
その後、二酸化炭素生成物を精製した。本発明の一実施態様では、精製は、石英管を真空下の密閉された管破砕機(ASTM D 6866-06Aに図示の通り)中に置くことによって達成される。管破砕機を、液体窒素を入れた魔法瓶に浸けた。前記管を低温破砕させ、冷凍されていない気体を残らず脱出させた。その後、アルコール/ドライアイス混合物を管破砕機の周囲に配置し、二酸化炭素含有量を昇華させた。昇華した二酸化炭素を、栓を備えたステンレススチール管(体積未知)に移した。この栓を閉じ、別の気体を管破砕機から脱出させた。ステンレススチール管を、真空にしたパイレックス(登録商標)管に接続した。ステンレススチール管を室温にまで戻し、圧力を観察した。二酸化炭素がパイレックス(登録商標)管に入るようにした。パイレックス(登録商標)管の底部を、液体窒素に浸け、上部を密封した。管を14C比の測定のためにAMS設備に送付した。
【0131】
(走査電子顕微鏡写真)
走査電子顕微鏡写真を、Hitachi(登録商標)S 3000N 走査電子顕微鏡を使用して記録した。試料を、アルミニウムプレートに貼り付けた両面研磨紙上に置いた。貼り付けされていないあらゆる粒子を、エアジェットを用いて除去した。その後、薄い(約10nm)の金層を、貼り付けた試料の表面にスパッタコーターを使用して適用した。この表面を走査して記録した。
【0132】
(衛生物品プロトタイプ製造)
吸収性部材形成装置(図2及び3)を使用する方法によって衛生物品を準備した。漂白した硫酸塩毛羽パルプ(8.5g、SoLoNo(登録商標)、Weyerhaeuser社(Fereral Way, WA)製) に、65%乃至80%の範囲の相対湿度を有する室内で加湿した。この毛羽パルプを四つの部分(1.425g、2.360g、2.360g、及び2.360g)に分けた。
【0133】
10×20cmの熱圧着ポリプロピレン不織布(17g/m2、Industrias Maquin S.A.社(Puebla, Mexico)製)フィルターを、成型セル(10×20cm)の底部に配置した。成型セルを、吸収性部材形成装置中に並べて配置した。真空チャンバ内を真空にした後、モーターのスイッチを入れた。圧搾空気レギュレータを作動させ、圧搾空気が装置内に入るようにした(60Psi、7/64ノズル)。毛羽の第1部分(1.425g)を漏斗を使用して加え、その20秒後に表面処理カルボキシアルキル化多糖類(1.860g)の添加を行った。10秒遅れて、毛羽の第2部分(2.360g)を加え、その20秒後に表面処理カルボキシアルキル化多糖類(1.860g)の添加を行った。さらに10秒遅れて、毛羽の第3部分(2.360g)を加え、その20秒後に更なる表面処理カルボキシアルキル化多糖類(1.860g)の添加を行った。最後に、10秒遅れて、毛羽の第4部分(2.360g)を加え、20秒後に装置を停止させた。
【0134】
成型セルを、ゆっくりと吸収性部材形成装置から取り除いた。不織布-毛羽-表面処理カルボキシアルキル化多糖類混合物を、成型セル内に維持しつつ、見合う(10×20cm)水圧プレスの下に配置した。この混合物を、1/2乃至1・1/2トン(4.9kN乃至14.7kN)の範囲の力を2分間に亘って用いて圧縮した。本発明の一実施態様では、圧縮の後に約6.71mm乃至約7.4mmの範囲の厚さを有する吸収性部材、約0.10g/cm3の密度、及び約39.7%の表面処理カルボキシアルキル化澱粉含量が得られた。衛生物品上面シートの模擬実験を行うために、更に10×20cmの熱圧着ポリプロピレン不織布(17g/m2、Industrias Maquin S.A.社(Puebla, Mexico)製)フィルターを吸収性部材の上に配置した。積層ポリエチレンフィルム(20g/m2、Bonlam S.A.社(San-Luis-Potosi, Mexico)製)を吸収性部材のもう一方の面に配して、吸収性裏打ちシートを模した。その後、吸収性部材を、4乃至6品の列に重ね、プレキシグラスプレート間に挟んで0.7psiの圧力を20分間に亘って適用した。
【0135】
(再湿潤試験及び捕捉速度試験)
衛生物品のプロトタイプのサイズは、市販の「4号」の赤ん坊用オムツ(使用者のサイズは7乃至18kg)に比べて小さい。試験に使用した液体の量は、プロトタイプ物品のより小さなサイズに適合させた(50ml/30ml/30ml)。より大きなスケール(4号)での試験のためには、より多量の液体が使用される(100ml/60ml/60ml)。
【0136】
プロトタイプ衛生物品を平坦な表面に置き、中心(長さの7/12)に油性マジックで印を付けた。丸形のプレキシグラス(登録商標)試験シリンダー(図4)を印の上に置き、食塩水を入れた(50ml)。溶液が衛生物品と接触するやいなやクロノメーターをスタートさせた。衛生物品の表面から全ての溶液がなくなるやいなやクロノメーターを止め、経過時間をT1と表示した。衛生物品を20分間に亘って平衡させた。続いてシリンダーを取り除き、湿った表面を、計量した濾紙(約15 g、VWR社(West-Chester, USA)製、28320-041番フィルター415等級)で覆った。その後、63.6cm2の表面積を有する円形ステンレススチールの重り(3.13Kg)を用いて、外部圧(0.7PSI)を適用した。あるいはまた、0.7PSIもしくは4.83KPaの圧力を与える如何なる重りを使用してもよい。圧力を、2分間に亘って維持した。濾紙の重量の増加は、衛生物品によって放出される流体の量に相当し、これを第1再湿潤と表示した。
【0137】
その後、シリンダーを、印の上を中心として置き直した。シリンダーには付加的な量(30ml)の食塩水を入れ、この溶液が衛生物品と接触するやいなやクロノメーターをスタートさせた。衛生物品の表面から全ての溶液がなくなるやいなやクロノメーターを止め、経過時間をT2と表示した。衛生物品を20分間に亘って平衡させた。続いてシリンダーを取り除き、湿った表面を、計量した濾紙(約15 g、VWR社(West-Chester, USA)製、28320-041番フィルター415等級)で覆った。その後、63.6cm2の表面積を有する円形ステンレススチールの重り(3.13Kg)を用いて、外部圧(0.7PSI)を適用した。圧力を、2分間に亘って維持した。濾紙の重量の増加は、衛生物品によって放出される流体の量に相当し、これを第2の再湿潤と表示した。
【0138】
その後、シリンダーを、印の上を中心として置き直した。シリンダーには付加的な量(30ml)の食塩水を入れ、この溶液が衛生物品と接触するやいなやクロノメーターをスタートさせた。衛生物品の表面から全ての溶液がなくなるやいなやクロノメーターを止め、経過時間をT3と表示した。衛生物品を20分間に亘って平衡させた。続いてシリンダーを取り除き、湿った表面を、計量した濾紙(約15 g、VWR社(West-Chester, USA)製、28320-041番フィルター415等級)で覆った。その後、63.6cm2の表面積を有する円形ステンレススチールの重り(3.13Kg)を用いて、外部圧(0.7PSI)を適用した。圧力を、2分間に亘って維持した。濾紙の重量の増加は、衛生物品によって放出される流体の量に相当し、これを第3の再湿潤と表示した。 総再湿潤は、個別の再湿潤測定値の合計に相当する。
【0139】
捕捉速度は、衛生物品によって吸収される食塩水のミリリットル数を、その体積の食塩水を吸収するためにかかった時間で割ったものに相当する。第三捕捉速度は、下記のように算出することができる。
30ml/T3 = A3 (ml/秒)
【0140】
平均捕捉速度は、衛生物品によって吸収された食塩水のミリリットル数を、その体積の食塩水を吸収するためにかかった合計時間で割ったものに相当する。平均捕捉速度は、下記のように算出することができる。
110ml/(T1+T2+T3) = AT (ml/秒)
【実施例】
【0141】
(クエン酸表面処理されたカルボキシメチルジャガイモ澱粉)
水(900ml)、ジャガイモ澱粉(297g、14%の水分含量)、及び水酸化ナトリウム(5.6g、50%溶液)を2リットルのビーカーに仕込んだ。この混合物を、40℃の温度にて35分間に亘って撹拌した。次いで、エピクロロヒドリン(1.197g)を加え、混合物を撹拌しつつ更に35分間に亘って反応させて架橋澱粉スラリーを生成させた。更に水酸化ナトリウム(192g、50%溶液)を添加し、このスラリーを5分間に亘って撹拌して糊化澱粉を生成させた。この糊化澱粉を60℃に加熱し、モノクロロ酢酸ナトリウム(252g、15分間に亘って滴下される)と混合した。このゲルを、1時間に亘って反応させ、メタノール(上限7.0リットル)の添加により沈降させ、濾過した。生成した沈殿物を、メタノール/水の溶液(2.0リットル、9:1V/V)中でスラリーとし、塩酸を用いてpHを8.5−9.0に調節し、加熱した。このスラリーを濾過し、残渣をメタノール/水の溶液(2.0リットル、9:1V/V)中で再度スラリーとし、濾過した。濾液のアリコート(1ml)を取り、数滴の硝酸銀と混合した。塩化銀沈殿物がないことは、生成物が純粋であることを示す。塩化銀沈殿物が観察された場合には、メタノール/水の溶液(2.0リットル、9:1V/V)を使用して生成物を再度スラリーとし、濾過した。この処理を、塩化銀沈殿物が全く観察されなくなるまで繰り返した。次に、残渣をメタノール(2リットル)で洗うことによって精製し、濾過し、65℃の対流式オーブンで乾燥させた。
【0142】
乾燥させた生成物(300g)を水(2.7リットル)中に分散させてヒドロゲルを生成させた。ヒドロゲルのpHを、8.5−9.0に調節した。その後、ヒドロゲルを65℃の対流式オーブンで乾燥させた。乾燥させた生成物を粉砕し、篩(20及び100メッシュ)にかけた。篩にかけた生成物(40g)を、クエン酸溶液(18.0ml、12mlの水及び105mlのイソプロパノール中に2.58gのクエン酸)と混合した。このケークを、約1mmの一様な深さを有するパイレックス(登録商標)のパイ皿(直径約23cm)の上に均一に広げた。次いでこのケークを、100℃の対流モードで19分間に亘って加熱した。更なる加熱は、IRオーブン中、140℃にて、15分間に亘る期間で達成された。次に、得られる生成物の吸収特性を測定し、下記の表3にまとめた。この生成物のATR-IRスペクトルは、図5に示される。
【0143】
【表3】

【0144】
生成物(クエン酸表面処理CMS)を含む衛生物品はを引き続き調製して試験した(表4)。
【0145】
【表4】

【0146】
(酸表面処理カルボキシメチルジャガイモ澱粉)
水(900ml)、ジャガイモ澱粉(297g、水分含量14%)、及び水酸化ナトリウム(5.6g、50%溶液)を2リットルのビーカーに仕込んだ。この混合物を、40℃の温度にて35分間に亘って撹拌した。次いで、エピクロロヒドリン(1.197g)を加え、混合物を撹拌しつつ更に35分間に亘って反応させて架橋澱粉スラリーを生成させた。更に水酸化ナトリウム(192g、50%溶液)を添加し、このスラリーを5分間に亘って撹拌して糊化澱粉を生成させた。この糊化澱粉を60℃に加熱し、モノクロロ酢酸ナトリウム(252g、15分間に亘って滴下される)と混合した。このゲルを、1時間に亘って反応させ、メタノール(上限7.0リットル)の添加により沈降させ、濾過した。生成した沈殿物を、メタノール/水の溶液(2.0リットル、9:1V/V)中でスラリーとし、塩酸を用いてpHを8.5−9.0に調節し、加熱した。このスラリーを濾過し、残渣をメタノール/水の溶液(2.0リットル、9:1V/V)中で再度スラリーとし、濾過した。濾液のアリコート(1ml)を取り、数滴の硝酸銀と混合した。塩化銀沈殿物がないことは、生成物が純粋であることを示す。塩化銀沈殿物が観察された場合には、メタノール/水の溶液(2.0リットル、9:1V/V)を使用して生成物を再度スラリーとし、濾過した。この処理を、塩化銀沈殿物が全く観察されなくなるまで繰り返した。次に、残渣をメタノール(2リットル)で洗うことによって精製し、濾過し、65℃の対流式オーブンで乾燥させた。
【0147】
乾燥させた生成物(300g)を水(2.7リットル)中に分散させてヒドロゲルを生成させた。ヒドロゲルのpHを、8.5−9.0に調節した。その後、ヒドロゲルを65℃の対流式オーブンで乾燥させた。乾燥させた生成物を粉砕し、篩(20及び100メッシュ)にかけた。篩にかけた生成物(15g)を、酸性溶液(18.0ml、12mlの水及び105mlのイソプロパノール中に2.58gのクエン酸)と混合した。塩酸溶液の調製のためには、塩酸(3.046ml、12N)とイソプロパノール(105ml)及び水(12ml)と混合した。ステアリン酸溶液の調製のためには、ステアリン酸(10.48g)をイソプロパノール(105ml)及び水(12ml)に溶解させた。酢酸溶液の調製のためには、氷酢酸(2.21g)をイソプロパノール(105ml)及び水(12ml)に溶解させた。このケークを、約1mmの一様な深さを有するペトリ皿(直径約9cm)の上に均一に広げた。次いでこのケークを、100℃の対流モードで15分間に亘って加熱した。更なる加熱は、IRオーブン中、140℃にて、12分間に亘る期間で達成された。次に、得られる生成物の吸収特性を測定し、下記の表5にまとめた。
【0148】
【表5】

【0149】
(動的熱処理環境と静的熱処理環境との比較)
水(900ml)、モチトウモロコシ澱粉(297g、水分含量14%)、及び水酸化ナトリウム(2.8g、50%溶液)を2リットルのビーカーに仕込んだ。この混合物を、40℃の温度にて35分間に亘って撹拌した。次いで、エピクロロヒドリン(1.197g)を加え、混合物を撹拌しつつ更に35分間に亘って反応させて架橋澱粉スラリーを生成させた。更に水酸化ナトリウム(192g、50%溶液)を添加し、このスラリーを5分間に亘って撹拌して糊化澱粉を生成させた。この糊化澱粉を60℃に加熱し、モノクロロ酢酸ナトリウム(252g、15分間に亘って滴下される)と混合した。このゲルを、1時間に亘って反応させ、メタノール(上限7.0リットル)の添加により沈降させ、濾過した。生成した沈殿物を、メタノール/水の溶液(2.0リットル、9:1V/V)中でスラリーとし、塩酸を用いてpHを8.5−9.0に調節し、加熱した。このスラリーを濾過し、残渣をメタノール/水の溶液(2.0リットル、9:1V/V)中で再度スラリーとし、濾過した。濾液のアリコート(1ml)を取り、数滴の硝酸銀と混合した。塩化銀沈殿物がないことは、生成物が純粋であることを示す。塩化銀沈殿物が観察された場合には、メタノール/水の溶液(2.0リットル、9:1V/V)を使用して生成物を再度スラリーとし、濾過した。この処理を、塩化銀沈殿物が全く観察されなくなるまで繰り返した。次に、残渣をメタノール(2リットル)で洗うことによって精製し、濾過し、65℃の対流式オーブンで乾燥させた。
【0150】
乾燥させた生成物(100g)を水(900ml)中に分散させてヒドロゲルを生成させた。ヒドロゲルのpHを、8.5−9.0に調節した。その後、ヒドロゲルを65℃の対流式オーブンで乾燥させた。乾燥させた生成物を粉砕し、篩(20及び100メッシュ)にかけた。
【0151】
(動的環境)
篩にかけた生成物(7.5g)をクエン酸溶液(18.0ml、12mlの水及び105mlのイソプロパノール中に2.58gのクエン酸)と混合した。生成するスラリーを、マグネチックスターラーを取り付けた丸底フラスコに仕込み、その後2時間に亘り90℃にて加熱した。次に、得られたスラリーを撹拌しつつ30分間に亘って140℃にて加熱した。最後に、生成物を冷却した。次いで、得られる生成物の吸収特性を測定し、下記の表6にまとめる。
【0152】
(静的環境)
篩にかけた生成物(5.0g)をクエン酸溶液(2.3ml、12mlの水及び105mlのイソプロパノール中に2.58gのクエン酸)と混合した。生成するスラリーを、時計皿の上に置き、対流式オーブンに移し、ここで100℃にて10分間に亘り加熱した。次に時計皿を、IR光源を取り付けた水分計に置き、140℃にて30分間に亘って加熱した。最後に、生成物を冷却した。次いで、得られる生成物の吸収特性を測定し、下記の表6にまとめた。
【0153】
【表6】

【0154】
(表面処理カルボキシメチル澱粉への加熱時間の影響)
前記実施例由来の篩にかけた生成物(5.0g)を、クエン酸溶液(2.3ml、12mlの水及び105mlのイソプロパノール中に2.58gのクエン酸)と混合した。生成するスラリーを、時計皿の上に置き、対流式オーブンに移し、ここで100℃にて10分間に亘り加熱した。次にこの生成物を140℃にて加熱した。得られる生成物の吸収特性(冷却期間の後)を、140℃での加熱期間の0.5、1、2、及び5時間後に測定した(図12)。
【0155】
(対流式オーブン内での、表面処理カルボキシメチルセルロースへの加熱時間の影響)
カルボキシメチルセルロース(Aqualon B315、水分含量8%)を、3.8kg/hrの速度で押出機に供給した。次にアルカリ溶液(pH8.8)を37.6kg/hrの速度で注入した。押出機は、下記のバレル温度プロフィールを有していた:Tb1=27℃、Tb2=27℃、Tb3=27℃、Tb4=25℃、Tb5=28℃、Tb6=27℃、Tb7=28℃、Tb8=30℃、及びTb9=24℃。ヒドロゲル生成物が、38kg/hrの速度で、91%の水分含量をもって製造された。次いで、ヒドロゲルを65℃の対流式オーブン内で乾燥させ、粉砕して篩にかけた。20乃至100メッシュ(850μm乃至150μm)のフラクションを保持した。
【0156】
篩にかけた生成物(5.0g)をクエン酸溶液(2.3ml、12mlの水及び105mlのイソプロパノール中に2.58gのクエン酸)と混合した。生成するスラリーを、時計皿の上に置き、対流式オーブンに移し、ここで100℃にて10分間に亘り加熱した。次に生成物を140℃に加熱した。得られる生成物の吸収特性(冷却期間の後)を、140℃での加熱期間の後10、30、及び120分間後に測定した(図13)。
【0157】
(CMSの赤外線熱処理)
水(870ml)、小麦澱粉(330g)、及び水酸化ナトリウム(5.5g、50%溶液)を2リットルのビーカーに仕込んだ。この混合物を、40℃の温度にて35分間に亘って撹拌した。次いで、エピクロロヒドリン(1.197g)を加え、混合物を撹拌しつつ更に35分間に亘って反応させて架橋澱粉スラリーを生成させた。更に水酸化ナトリウム(147g、50%溶液)を添加し、このスラリーを5分間に亘って撹拌して糊化澱粉を生成させた。この糊化澱粉を60℃に加熱し、モノクロロ酢酸ナトリウム(213g、15分間に亘って滴下される)と混合した。このゲルを、1時間に亘って反応させ、メタノール(上限7.0リットル)の添加により沈降させ、濾過した。生成した沈殿物を、メタノール/水の溶液(2.0リットル、9:1V/V)中でスラリーとし、塩酸を用いてpHを8.5−9.0に調節し、加熱した。このスラリーを濾過し、残渣をメタノール/水の溶液(2.0リットル、9:1V/V)中で再度スラリーとし、濾過した。濾液のアリコート(1ml)を取り、数滴の硝酸銀と混合した。塩化銀沈殿物がないことは、生成物が純粋であることを示す。塩化銀沈殿物が観察された場合には、メタノール/水の溶液(2.0リットル、9:1V/V)を使用して生成物を再度スラリーとし、濾過した。この処理を、塩化銀沈殿物が全く観察されなくなるまで繰り返した。次に、残渣をメタノール(2リットル)で洗うことによって精製し、濾過し、65℃の対流式オーブンで乾燥させた。
【0158】
乾燥させた生成物(100g)を水(900ml)中に分散させてヒドロゲルを生成させた。ヒドロゲルのpHを、8.5−9.0に調節した。その後、ヒドロゲルを65℃の対流式オーブンで乾燥させた。乾燥させた生成物を粉砕し、篩(20及び100メッシュ)にかけた。篩にかけた生成物(40g)を、クエン酸溶液(18.0ml、24mlの水及び210mlのイソプロパノール中に5.16gのクエン酸)と混合した。このスラリーを、パイレックス(登録商標)のパイ皿の上に均一に広げ、100℃の対流式オーブンで18分間に亘って加熱した。この処理を、乾燥させた生成物の別のバッチ(40g)を用いて繰り返した。次に、二つの試料をIRオーブン中に置き、それぞれ140℃及び160℃にて加熱した。しかしながら、IR温度計で測定される通り、試料温度は設定されたオーブン温度とは相違していた(表7)。試料の吸収特性(冷却期間の後)を、5、10、12、15、及び20分の加熱期間の後に測定した(図14及び15)。
【0159】
【表7】

【0160】
(造粒表面処理CMS)
水(900ml)、小麦澱粉(338g、14%の水分含量)、及び水酸化ナトリウム(5.5g、50%溶液)を2リットルのビーカーに仕込んだ。この混合物を、40℃の温度にて35分間に亘って撹拌した。次いで、エピクロロヒドリン(1.20g)を加え、混合物を撹拌しつつ更に35分間に亘って反応させて架橋澱粉スラリーを生成させた。更に水酸化ナトリウム(147g、50%溶液)を添加し、このスラリーを5分間に亘って撹拌して糊化澱粉を生成させた。この糊化澱粉を60℃に加熱し、モノクロロ酢酸ナトリウム(214g、15分間に亘って滴下される)と混合した。このゲルを、1時間に亘って反応させ、メタノール(上限7.0リットル)の添加により沈降させ、濾過した。生成した沈殿物を、メタノール/水の溶液(2.0リットル、9:1V/V)中でスラリーとし、塩酸を用いてpHを8.5−9.0に調節し、加熱した。このスラリーを濾過し、残渣をメタノール/水の溶液(2.0リットル、9:1V/V)中で再度スラリーとし、濾過した。濾液のアリコート(1ml)を取り、数滴の硝酸銀と混合した。塩化銀沈殿物がないことは、生成物が純粋であることを示す。塩化銀沈殿物が観察された場合には、メタノール/水の溶液(2.0リットル、9:1V/V)を使用して生成物を再度スラリーとし、濾過した。この処理を、塩化銀沈殿物が全く観察されなくなるまで繰り返した。次に、残渣をメタノール(2リットル)で洗うことによって精製し、濾過し、65℃の対流式オーブンで乾燥させた。
【0161】
乾燥させた生成物(300g)を水(2.7リットル)中に分散させてヒドロゲルを生成させた。ヒドロゲルのpHを、8.5−9.0に調節した。その後、ヒドロゲルを65℃の対流式オーブンで乾燥させた。乾燥させた生成物を粉砕し、篩(20及び100メッシュ)にかけた。
【0162】
造粒パラメータを、以下のように調節した。気流:20リットル/分、気流圧:15psig(103kPa)、及び気体温度:70℃。約50gの乾燥生成物を造隆機に仕込んだ。約5.0gのクエン酸溶液(100mlの水中、9.8gのクエン酸)を、ノズルを通して約2分間かけて注入した。10%の水分含量を有するCMS粒子が得られた。これら粒子をパイレックス(登録商標)のパイ皿に入れ、140℃の設定温度に加熱したIRオーブン内に12分間に亘って置いた(12分後に測定された温度は約160℃であった)。生成物を冷却し、吸収特性を測定した(表8)。
【0163】
【表8】

【0164】
(クエン酸表面処理カルボキシメチル小麦澱粉)
水(900ml)、小麦澱粉(337g、12%の水分含量)、及び水酸化ナトリウム(5.5g、50%溶液)を2リットルのビーカーに仕込んだ。この混合物を、40℃の温度にて35分間に亘って撹拌した。次いで、エピクロロヒドリン(1.204g)を加え、混合物を撹拌しつつ更に35分間に亘って反応させて架橋澱粉スラリーを生成させた。更に水酸化ナトリウム(192g、50%溶液)を添加し、このスラリーを5分間に亘って撹拌して糊化澱粉を生成させた。この糊化澱粉を60℃に加熱し、モノクロロ酢酸ナトリウム(213g、15分間に亘って滴下される)と混合した。このゲルを、1時間に亘って反応させ、メタノール(上限7.0リットル)の添加により沈降させ、濾過した。生成した沈殿物を、メタノール/水の溶液(2.0リットル、9:1V/V)中でスラリーとし、塩酸を用いてpHを8.5−9.0に調節し、加熱した。このスラリーを濾過し、残渣をメタノール/水の溶液(2.0リットル、9:1V/V)中で再度スラリーとし、濾過した。濾液のアリコート(1ml)を取り、数滴の硝酸銀と混合した。塩化銀沈殿物がないことは、生成物が純粋であることを示す。塩化銀沈殿物が観察された場合には、メタノール/水の溶液(2.0リットル、9:1V/V)を使用して生成物を再度スラリーとし、濾過した。この処理を、塩化銀沈殿物が全く観察されなくなるまで繰り返した。次に、残渣をメタノール(2リットル)で洗うことによって精製し、濾過し、65℃の対流式オーブンで乾燥させた。
【0165】
乾燥させた生成物(300g)を水(2.7リットル)中に分散させてヒドロゲルを生成させた。ヒドロゲルのpHを、8.5−9.0に調節した。その後、ヒドロゲルを65℃の対流式オーブンで乾燥させた。乾燥させた生成物を粉砕し、篩(20及び100メッシュ)にかけた。篩にかけた生成物(40g)を、クエン酸溶液(18.0ml、12mlの水及び105mlのイソプロパノール中に2.58gのクエン酸)と混合した。このスラリーを、約1mmの一様な深さを有するパイレックス(登録商標)のパイ皿(直径約23cm)の上に均一に広げた。次いで、このケークを100℃の対流式オーブンで19分間に亘って加熱した。さらなる加熱を、140℃のIRオーブンにて15分間かけて達成した。次いで、得られた生成物の吸収特性を測定し、下記の表9にまとめる。
【0166】
【表9】

【0167】
(反応押出によるカルボキシアルキル化澱粉の製造)
11%の水分含量を有する小麦澱粉を、重量測定撹拌供給機を使用し、9.25kg/hr(20.4 lbs/hr)のスループットにてTSE(ZSE 40 mm)中に供給した。同時にモノクロロ酢酸ナトリウムを、4.2kg/hr(9.3 lbs/hr)のスループットにて押出機(重量測定供給機)中に供給した。水酸化ナトリウム溶液(36%)を4.03 kg/hr(8.9 lbs/hr)のスループットにて注入した。小麦澱粉の水分含量は約20.6%に増大した。押出機は下記のバレル温度プロフィールを有していた:Tb2=29℃、Tb3=29℃、Tb4=32℃、Tb5=43℃、Tb6=65℃、Tb7=121℃、Tb8=101℃、Tb9=87℃、及びTb10=85℃。 スクリュー速度を200rpmに、且つスクリュー負荷を34%に設定した。TSEに10穴を有するダイ(直径3mm)を取り付けた。ダイの排出圧は144 kPa(21 Psig)であった。押出物は102℃の温度を有していた。次いで、押出物を6.7%の水分含量になるまでオーブン乾燥させ、粉砕し、篩にかけた(16及び50メッシュ、フラクションを保持)。DSを、ASTM D1439-83a法に従って特徴付けした。80%の反応効率が得られた。
【0168】
乾燥させた生成物(85g)を60℃にてメタノール/水の溶液(500ml;85:15 V/V)中に90分間に亘って分散させた。伝導性を測定したところ8300μS/cmであり、pHは8.5と記録された。生成物をろ過し、60℃にてメタノール/水の溶液(500 ml;85:15 V/V)中に90分間に亘って分散させた。伝導性を測定したところ3030μS/cmであり、pHは8.4と記録された。生成物をろ過し、60℃にてメタノール/水の溶液(500 ml;85:15 V/V)中に90分間に亘って分散させた。伝導性を測定したところ2250μS/cmであり、pHは8.5と記録された。生成物をろ過し、60℃にてメタノール/水の溶液(500 ml;85:15 V/V)中に90分間に亘って分散させた。伝導性を測定したところ900μS/cmであり、pHは8.3と記録された。生成物をろ過し、60℃にてメタノール/水の溶液(500 ml;85:15 V/V)中に90分間に亘って分散させた。伝導性を測定したところ670μS/cmであり、pHは8.5と記録された。生成物をろ過し、60℃にてメタノール/水の溶液(500 ml;85:15 V/V)中に90分間に亘って分散させた。伝導性を測定したところ450μS/cmであり、pHは8.5と記録された。生成物をろ過し、60℃にてメタノール/水の溶液(500 ml;85:15 V/V)中に90分間に亘って分散させた。伝導性を測定したところ485μS/cmであり、pHは8.5と記録された。生成物を、最後にろ過し、65℃の対流式オーブン中で乾燥させた。
【0169】
乾燥させた生成物(5.0g)を、クエン酸溶液(2.3ml、12mlの水及び105mlのイソプロパノール中に2.58gのクエン酸)と混合した。このスラリーを、時計皿の上に均一に広げ、対流モードで100℃にて10分間に亘って加熱した。さらなる加熱を、140℃のIRオーブンにて12分間かけて達成した。次いで、得られた生成物の吸収特性を測定し、下記の表10にまとめる。
【0170】
【表10】

【0171】
本発明の一実施態様では、澱粉を28.0 lbs/hrのスループットにて押出機に供給した。モノクロロ酢酸ナトリウムを、13.0 lbs/hrのスループットにて同時に押出機に供給した。水道水を、押出機の下流400mmに位置する第一ノズルから、4.8 lbs/hrの速度で注入した。水酸化ナトリウム溶液(50%)をノズルから9.0 lbs/hrのスループットにて注入した。その後の精製及び表面処理は、上述のプロトコルに従って実行した。その後、生成物をSEMにより分析した(図8及び9)。
【0172】
本開示が、本明細書中に記載される構成及び部分の詳細への応用において制限されないことは理解されるべきである。本開示には別の実施態様も可能であり、またこれを様々な方法で実施することもできる。本明細書中で使用される表現または用語が、説明を目的とし、制限を目的としないこともまた理解されるべきである。したがって、本発明は上述の通りその例示的実施態様によって説明されているが、これは添付の特許請求の範囲に規定されるようにその精神、範囲、及び性質から逸脱することなく変更することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非架橋酸処理された表面を含むカルボキシアルキル化多糖類。
【請求項2】
前記カルボキシアルキル化多糖類が、少なくとも18g/gのCRC、少なくとも26g/gのFSC、及び0.7psiにて少なくとも14g/gのAULからなる群より選択される特性によって特徴付けられる、請求項1のカルボキシアルキル化多糖類。
【請求項3】
前記カルボキシアルキル化多糖類が、少なくとも82%のバイオベース含量によって特徴付けられる、請求項1のカルボキシアルキル化多糖類。
【請求項4】
前記カルボキシアルキル化多糖類が、食塩水中でその最大体積にまで膨潤した場合の分離した粒子形態によって特徴付けられる、請求項1のカルボキシアルキル化多糖類。
【請求項5】
非架橋酸が、一価の有機酸及び一価の無機酸からなる群より選択される、請求項1のカルボキシアルキル化多糖類。
【請求項6】
ATR-IRスペクトルによって測定される、エステルショルダーによって特徴付けられるか、またはエステルバンドもエステルショルダーもないことによって特徴付けられる、請求項1のカルボキシアルキル化多糖類。
【請求項7】
前記カルボキシアルキル化多糖類が、0.2乃至1.0の範囲の置換度によって特徴付けられる、請求項1のカルボキシアルキル化多糖類。
【請求項8】
均一なカルボキシアルキル分布パターンと処理表面とを含むカルボキシアルキル化澱粉。
【請求項9】
前記カルボキシアルキル化澱粉が、少なくとも18g/gのCRC、少なくとも26g/gのFSC、及び0.7psiにて少なくとも14g/gのAULからなる群より選択される特性によって特徴付けられる、請求項8のカルボキシアルキル化澱粉。
【請求項10】
前記カルボキシアルキル化澱粉が、少なくとも82%のバイオベース含量によって特徴付けられる、請求項8のカルボキシアルキル化澱粉。
【請求項11】
表面が、非架橋酸と架橋剤とからなる群より選択される作用剤で処理されている、請求項8のカルボキシアルキル化澱粉。
【請求項12】
カルボキシアルキル化澱粉が、カルボキシメチル澱粉である、請求項8のカルボキシアルキル化澱粉。
【請求項13】
前記カルボキシアルキル化澱粉が、少なくとも82%のバイオベース含量によって特徴付けられる、請求項8のカルボキシアルキル化澱粉。
【請求項14】
バイオベースの誘導カルボキシアルキル基を含む、請求項8のカルボキシアルキル化澱粉。
【請求項15】
0.7psiにて少なくとも14g/gのAUL及び少なくとも82%のバイオベース含量によって特徴付けられる、超吸収性ポリマー。
【請求項16】
前記超吸収性ポリマーが、少なくとも18g/gのCRC及び少なくとも26g/gのFSCからなる群より選択される特性によって特徴付けられる、請求項15の超吸収性ポリマー。
【請求項17】
前記超吸収性ポリマーが、食塩水中でその最大体積にまで膨潤した場合の分離した粒子形態によって特徴付けられる、請求項15の超吸収性ポリマー。
【請求項18】
前記超吸収性ポリマーが、バイオベースの誘導カルボキシアルキル基を含む、請求項15の超吸収性ポリマー。
【請求項19】
処理表面を含む内部架橋したカルボキシアルキル化多糖類。
【請求項20】
前記内部架橋したカルボキシアルキル化多糖類が、イオン結合及びエーテル結合からなる群より選択される架橋結合を含む、請求項19の内部架橋したカルボキシアルキル化多糖類。
【請求項21】
ATR-IRスペクトルによって測定されるエステルショルダーまたはエステルバンドによって特徴付けられる、請求項20の内部架橋したカルボキシアルキル化多糖類。
【請求項22】
水、水性溶液、生理液、及び食塩水からなる群より選択される液体のための吸収性剤としての、請求項1のカルボキシアルキル化多糖類の使用。
【請求項23】
吸収性部材を含む衛生物品であって、前記吸収性部材が15%乃至80%の請求項1のカルボキシアルキル化多糖類を含み、前記衛生物品が、少なくとも0.22ml/秒の第三捕捉速度、最大で4.0グラムの第三再湿潤、少なくとも0.12ml/秒の平均捕捉速度、及び最大で6.0グラムの総再湿潤からなる群より選択される特性によって特徴付けられる、衛生物品。
【請求項24】
吸収性部材を含む衛生物品であって、前記吸収性部材が15%乃至80%の請求項8のカルボキシアルキル化澱粉を含み、前記衛生物品が、少なくとも0.22ml/秒の第三捕捉速度、最大で4.0グラムの第三再湿潤、少なくとも0.12ml/秒の平均捕捉速度、及び最大で6.0グラムの総再湿潤からなる群より選択される特性によって特徴付けられる、衛生物品。
【請求項25】
オムツ、失禁用品、女性用衛生製品、印刷製品、織物製品、吸収紙製品、エアレイド、吸収包帯、家庭用物品、シーリング材、保湿剤、曇り防止コーティング、土壌調整製品、ごみ製品、コンクリート製品、石油掘削流体、採掘流体、化学吸収材、制御放出ポリマー性ゲル、洗剤、消火ゲル、人工雪、及び食品パッドからなる群より選択される製品中での、請求項1のカルボキシアルキル化多糖類の使用。
【請求項26】
a)カルボキシアルキル化多糖類を準備する工程、
b)非架橋酸を使用して前記カルボキシアルキル化多糖類を表面処理する工程、
c)表面処理された前記カルボキシアルキル化多糖類を加熱する工程、
を含む表面処理されたカルボキシアルキル化多糖類の製造方法。
【請求項27】
前記カルボキシアルキル化多糖類が、150μm乃至180μmの範囲のサイズを有する粒子を含む、請求項26の方法。
【請求項28】
非架橋酸が、一価の有機酸及び一価の無機酸からなる群より選択される、請求項26の方法。
【請求項29】
非架橋酸が、親水性有機溶媒、水性溶液、及びこれらの混合物からなる群より選択される溶媒中に溶解される、請求項26の方法。
【請求項30】
溶解させた非架橋酸溶液の液滴をカルボキシアルキル化多糖類表面に適用する工程を更に含む、請求項29の方法。
【請求項31】
液滴適用の流量が、溶媒蒸発速度と少なくとも同等である、請求項30の方法。
【請求項32】
加熱が、静的環境で行われる、請求項26の方法。
【請求項33】
加熱が、少なくとも140℃の温度に達する、請求項26の方法。
【請求項34】
カルボキシアルキル化多糖類が、加熱後に最大で5%の水分含量を有する、請求項26の方法。
【請求項35】
a)アルカリ媒質中に澱粉を分散させて、澱粉分散物を生成させる工程、
b)澱粉分散物とカルボキシアルキル化剤とを反応させて、カルボキシアルキル化澱粉を生成させる工程、
c)カルボキシアルキル化澱粉を、表面処理剤で表面処理して、表面処理された澱粉を生成させる工程、及び
d)表面処理されたカルボキシアルキル化澱粉を加熱する工程、
を含む表面処理されたカルボキシアルキル化澱粉の製造方法。
【請求項36】
a)カルボキシアルキル化澱粉のpHを調節する工程、
b)カルボキシアルキル化澱粉を精製する工程、及び
c)カルボキシアルキル化澱粉の水分含量を調節する工程、
を不特定の順序でさらに含む、請求項35の方法。
【請求項37】
カルボキシアルキル化澱粉粒子を製造する工程を更に含む、請求項36の方法。
【請求項38】
前記アルカリ媒質が、無水アルカリ、水性アルカリ親水性有機溶媒、及び水性アルカリ溶液からなる群より選択される、請求項35の方法。
【請求項39】
前記水性アルカリ親水性有機溶媒または水性アルカリ溶液が、15%乃至30%の範囲の水分含量を有する、請求項38の方法。
【請求項40】
押出方法である、請求項35の方法。
【請求項41】
a)TSEにカルボキシアルキル化剤と澱粉とを供給して混合物を生成させる工程、
b)混合物をアルカリ水性注入ポートに運んで水性アルカリ澱粉分散物を生成させる工程、
c)分散物を混練エレメント中にポンプ輸送して、カルボキシアルキル化澱粉を生成させる工程、及び
d)カルボキシアルキル化澱粉を送出する工程、
を更に含む、請求項40の方法。
【請求項42】
カルボキシアルキル化の前に澱粉を内部架橋させる工程を含む、請求項35の方法。
【請求項43】
前記精製が、親水性有機溶媒及びこれらの水性混合物からなる群より選択される溶媒での洗浄を含む、請求項36の方法。
【請求項44】
前記表面処理剤が、非架橋酸及び架橋剤からなる群より選択される、請求項35の方法。
【請求項45】
表面処理剤が、親水性有機溶媒、水性溶液、及びこれらの混合物からなる群より選択される溶媒中に溶解されている、請求項44の方法。
【請求項46】
溶解された表面処理剤溶液の液滴を、カルボキシアルキル化澱粉表面に適用する工程を更に含む、請求項45の方法。
【請求項47】
液滴適用の流量が、溶媒蒸発速度と少なくとも同等である、請求項46の方法。
【請求項48】
加熱が、静的環境で行われる、請求項35の方法。
【請求項49】
加熱が、少なくとも140℃の温度に達する、請求項35の方法。
【請求項50】
カルボキシアルキル化澱粉が、加熱後に最大で5%の水分含量を有する、請求項35の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2010−504414(P2010−504414A)
【公表日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−529479(P2009−529479)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【国際出願番号】PCT/CA2007/001734
【国際公開番号】WO2008/037082
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(503298977)アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド カンパニー (9)
【Fターム(参考)】