説明

超純水製造装置

【課題】電力コストが安価で、光源の交換が半永久的に不要なため維持管理負担が小さく、小型化された構造に形成可能で、有機物の分解効率の高い超純水製造装置を提供する。
【解決手段】被処理水の流路に沿って順に配置された有機質分解手段とイオン吸着手段からなる有機質除去装置を備えた超純水製造装置において、有機質分解手段は、光透過性を有する絶縁性材料により形成された管体と、管体の内周側又は外周側に積層され、かつ光透過性を有する導電層と、導電層上に積層され、かつ被処理水と接触する光触媒層と、この光触媒層を励起させる励起光を、管体の管壁部及び導電層を透過させつつ光触媒層に照射する発光ダイオードとを具備することを特徴とする超純水製造装置を使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定波長の励起光を発生する発光ダイオードから光触媒に励起光を照射し、光触媒反応を利用して水中に存在する有機物を分解、イオン化することにより除去する超純水製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体素子(LSI)の集積度の向上にともない、シリコン基板等の基板表面上への超純水中の極微量物質による汚染の影響が問題となっており、イオン状物質、微粒子、有機物(例えば、アルコールや尿素等の有機化合物)、金属、溶存ガス等の不純物質の極めて少ない超純水が要求されている。特に、半導体製造工程において、洗浄水中の有機化合物は、熱処理工程で炭化して線間短絡や絶縁不良を起こす原因となるため、全有機性炭素(TOC)濃度の特に低い超純水が求められている。
【0003】
一般に、超純水製造装置は、前処理システムと、一次純水システムと、二次純水システムとから構成されている。前処理システムは、凝集槽や二層濾過器等により原水中の濁質やコロイド物質を凝集・沈澱・瀘過するものである。一次純水システムは、例えば、逆浸透装置(RO)や2床3塔型イオン交換装置等により、大部分のイオンなどの溶解性物質や微粒子を除去するものである。二次純水システムは、一次純水システムより得られた一次純水の精密仕上げを目的としたものである。有機化合物を有機質分解手段により二酸化炭素や有機酸等に酸化分解する工程を経てイオン吸着手段によって除去し、微粒子や無機イオン類を、逆浸透装置、限外濾過装置、イオン吸着手段等を通過する過程で除去する。
【0004】
この有機質分解手段としては、180〜190nm(主ピークが185nm)の波長を有する紫外線を発生する低圧水銀ランプ(例えば、特許文献1)や、紫外線の照射を受けて活性化する光触媒の存在下において、185nmと254nm等の波長を有する紫外線を照射する低圧水銀ランプが知られている(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】特開平1−164488号公報
【特許文献2】特開平10−151450号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、いずれの有機質分解手段も、低圧水銀ランプを用いているため、ほぼ年一度の交換が必要であり、また、設置するために比較的広い空間を要してしまう。また、消費電力を減少することによる電力コストの低減が望まれる。さらに、二次純水システム等における有機物の分解効率のさらなる向上が望まれている。
【0006】
そこで、本発明は、電力コストが安価で、光源の交換が半永久的に不要なため維持管理負担が小さく、小型化された構造に形成可能で、有機物の分解効率の高い超純水製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る超純水製造装置は、被処理水の流路に沿って順に配置された有機質分解手段とイオン吸着手段からなる有機質除去装置を備えた超純水製造装置において、有機質分解手段は、光透過性を有する絶縁性材料により形成された管体と、管体の内周側又は外周側に積層され、かつ光透過性を有する導電層と、導電層上に積層され、かつ被処理水と接触する光触媒層と、この光触媒層を励起させる励起光を、管体の管壁部及び前記導電層を透過させつつ光触媒層に照射する発光ダイオードとを具備することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電力コストが安価で、光源の交換が半永久的に不要なため維持管理負担が小さく、小型化された構造に形成可能で、有機物の分解効率の高い超純水製造装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を具体的に説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る超純水製造装置の構成の一例を示す図である。図1では、超純水製造装置1は、前処理装置2、2床3塔型イオン交換装置3、逆浸透装置4、脱気装置5、有機質分解手段6、イオン吸着手段7及び限外濾過膜装置8から構成される。超純水製造装置1は、必要に応じて酸化剤添加手段(図示せず)及び酸化剤除去手段(図示せず)を備えることもできる。
原水は、前処理装置2に導入され、原水中の懸濁物質等が分離、除去される。次いで、前処理装置2で処理された被処理水は、カチオン交換樹脂塔、脱炭酸塔およびアニオン交換樹脂塔からなる2床3塔型イオン交換装置3によりイオン成分が除去された後、逆浸透装置4に導入されて微粒子およびコロイド状物質等の除去が行われる。次に、被処理水は、窒素ガス添加方式の真空脱気装置等の脱気装置5に導入されて溶存酸素等の溶存気体が除去される。
【0011】
続いて、有機質分解手段6に導入されて溶存有機化合物が分解され、混床式イオン交換装置等のイオン吸着手段7により被処理水中のイオン成分が除去される。最後に、被処理水は限外濾過膜装置8に導入され、極微量の微粒子等が除去される。
【0012】
なお、ここでは前処理装置2が前処理システム、2床3塔型イオン交換装置3から脱気装置5までが一次純水システム、有機質分解手段6から限外濾過膜装置8までが二次純水システムと区分される。
【0013】
この実施形態に係る超純水製造装置は有機質除去装置を備え、この有機質除去装置は、有機質分解手段6とイオン吸着手段7と必要に応じて後述する酸化剤添加手段(図示せず)と酸化剤除去手段(図示せず)とから構成されている。有機質分解手段6は、管体又は板体と、管体又は板体上に順に積層された導電層及び光触媒層と、発光ダイオードとを備えていることを特徴とする。以下に、この実施形態に係る超純水製造装置について、有機質除去装置のうち、特に有機質分解手段6について詳細に説明する。
【0014】
図2は、本発明の第一の実施形態における有機質分解手段を流路に沿って切断した断面図である。有機質分解手段10は、管体ユニット11(管体12、導電層13、光触媒(層)14及び発光ダイオード15)と、被処理水入口16と、被処理水出口17と、仕切り板18と、ジャケット19と、電源装置(図示せず)とを備える。
【0015】
管体ユニット11は、管体12、導電層13、光触媒14及び発光ダイオード15から構成され、光触媒反応によって被処理水中の有機化合物を分解するものである。本実施の形態では、管体ユニット11の形状は管状であり、例えば3cm〜4cm間隔で複数本をジャケット19内の被処理水の流路に沿って平行に配置されている。なお、管体ユニット11は、任意の本数で配置することができる。
【0016】
管体12は、導電層13及び光触媒(層)14がそれぞれ順に積層(担持)されるものである。管体12は、この実施の形態では管状である。管体12は、光透過性を有する絶縁性材料により形成される。ここで、光透過性とは、少なくとも光触媒を励起する励起光を透過させる性質をいう。
【0017】
管体12は、光透過性を有し、かつ絶縁性の材料であれば、特に限定されず使用することができる。例えば石英ガラス、耐熱ガラス(例えば、ホウ珪酸ガラス)、シリカゲル、アルミナセラミックスなどの無機系の材料が好ましい。これらの無機系の材料のうち耐熱ガラス(例えば、ホウ珪酸ガラス)が好ましい。また、管体12は担持面積を大きく確保する観点からは、多孔質形状又は多孔質材料であることが好ましい。そして、光による減衰を起こし難く、耐磨耗性を有する材料が好ましい。管体12は、内部に発光ダイオード15を配置する場合には、内部に空間があればよく、例えば図2に示すように管体12の両端部を残してジャケット19により水密的に覆われた構造とすることができる。
管体12の厚さは、励起光を透過でき、導電層13及び光触媒(層)14を担持できる程度の厚さであればよく、通常1〜5mm程度である。
【0018】
導電層13は、管体12の内周面又は外周面に積層され、光透過性を有するものであり、導電性の材料から形成される。この実施の形態では、導電層13は、管体12の外周面に積層されている。また、導電層13は、管体12と光触媒層14との間に形成される。導電層13を構成する導電性の材料としては、例えば、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、スズドープ酸化インジウム(ITO)、酸化スズ(TO)などが挙げられる。これらのうち、フッ素ドープ酸化スズが光触媒薄膜焼成の際の抵抗値増加が小さいため好ましい。また、後述するように、より多くの(励起)電子を取り込み及び/又は電子を光触媒(層)14中の導電層13との界面に引きつけるためには、導電層13を構成する導電性の材料の伝導帯の下端の電位(V)は、光触媒14を構成する材料の伝導帯の下端の電位(V)よりも高くなければならない。
導電層13の厚さは、励起光を透過でき、また、後述するように光触媒14の励起により生ずる(励起)電子を取り込むか、または引きつけることができる厚さであればよく、例えば、0.01〜1μm程度である。
【0019】
導電層13の薄膜は、既に知られた種々の方法によって、管体12の表面に形成することができる。このような、導電層13を形成する導電膜は、化学気相成長(CVD)法、ゾル−ゲル法、分子線エピタキシー法などを用いて製造することができる。また、管体12にスズを含有する原料溶液を噴霧して、熱分解により薄膜を形成するスプレー熱分解法(SPD)法を用いて製造することができる。なお、導電膜がすでに形成された、市販の導電性(耐熱)ガラスなどを使用することもできる。
【0020】
導電層13は、光触媒14の励起により生じた正孔及び(励起)電子のうち、電子を取り込み及び/又は電子を光触媒(層)14中の導電層13との界面に引きつけると考えられる。そのため、正孔と(励起)電子との再結合を抑制する(すなわち、電荷分離の状態を維持する)ことができる。また、正孔が、光触媒14の被処理水と接する側の表面に、より多く移動する。その結果、光触媒14の被処理水と接する側の表面での正孔による有機化合物の直接的な酸化分解及び/又は水(光触媒表面への吸着水)の正孔による酸化によって生ずるヒドロキシラジカル(・OH)による有機化合物の酸化分解を促進することができる。
導電層13により取り込まれた電子及び/又は光触媒(層)14中の導電層13との界面に引きつけられた電子は、導電層13を移動し、導電層13の両端部から被処理水中に放出されると想定される。
【0021】
光触媒14は、管体12上に形成された導電層13上に積層された薄膜(光触媒層)で、発光ダイオード15が放射する励起光(例えば、紫外線や可視光)によって活性化され、光触媒反応により被処理水中の有機化合物を酸化分解するものである。本実施の形態では、光触媒14は、管体12の外表面上に形成された導電層13の上に形成(積層)されている。
【0022】
この実施形態に用いられる光触媒(層)14は、励起光、例えば紫外線や可視光による照射により励起されるものであればいずれのものも使用できる。
この実施形態に用いられる光触媒14としては、種々のものを挙げることができ、例えば、紫外線で励起される光触媒としては、二酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化スズ(SnO)、酸化ジルコニウム(ZnO)、酸化ニオブ(Nb)などが挙げられる。また、可視光で励起される光触媒としては、可視光の波長に応じて、酸化タングステン(WO)、硫化カドミウム(CdS)、セレン化カドミウム(CdSe)、酸化鉄(Fe)、ガリウムリン(GaP)などが挙げられる。波長が400〜500nmの可視光で励起される光触媒としては、酸化タングステン(WO)、酸化鉄(Fe)などが挙げられる。波長が500〜600nmの可視光で励起される光触媒としては、セレン化カドミウム(CdSe)などが挙げられる。また、これらのうち、紫外線で励起される光触媒としては、二酸化チタン(TiO)が光触媒反応性が高く、化学的に安定であって反応持続性があり、人体に無害である点からアナターゼ型又はルチル型を含むアナターゼ型の二酸化チタンが好ましい。また、可視光で励起される光触媒としては、酸化タングステン(WO)及び酸化鉄(Fe)がエネルギーバンドの伝導帯の下端の電位(V)が高いため、強力な酸化力を得ることができるので好ましい。また、光触媒14は、光触媒作用を有する複数の組成の材料を混合等することにより得られた複合材料から形成されてもよい。
【0023】
本実施の形態では、半導体であるアナターゼ型又はルチル型を含むアナターゼ型の二酸化チタン(TiO)の薄膜、具体的には、その微粒子のコーティングからなっている。光触媒14を形成する二酸化チタンの微粒子は、光触媒反応を生じるためには、「量子サイズ効果」等により十分に小さい必要があることが既に知られている。そのため、この二酸化チタンは、一般に50nm以下、好ましくは20nm以下の微粒子が用いられる。また励起光の有効利用のため、二酸化チタンの薄膜は励起光をある程度透過させつつ、光子を捕捉しなければならない。そのため、薄膜は、一般に0.5〜5.0μm、好ましくは1.0〜3.0μmの膜厚で形成される。
【0024】
二酸化チタンの薄膜は、既に知られた種々の方法によって、管体の導電層が形成された表面上に形成することができる。最も一般的な方法は、微細な二酸化チタン粒子を含む二酸化チタンのコロイド(ゾル)を管体12上の導電層13の表面上に薄く塗布し、或いは電気泳動法によって沈着させ、次いで焼成する方法である。この方法によれば、十分に小さな二酸化チタン微粒子の薄膜を得ることができ、しかも、ガラス等の管体12上の導電層13の表面上に、強固に被着された薄膜を形成することができる。二酸化チタンのコロイド(ゾル)の代わりに、二酸化チタンの前駆体であるチタンのアルコキシドを溶媒に溶解して塗布し、焼成することもできる。また、気相反応成長法(CVD法)によっても、薄膜を形成することができる。
【0025】
光触媒14は、発光ダイオード15が放射する励起光(例えば、紫外線)により活性化され、正孔及び(励起)電子を発生する。このようにして発生した正孔が光触媒(層)14の被処理水と接触する表面に移動して、強い酸化力をもつ光触媒活性表面を形成する。そのため、この光触媒活性表面に接触する有機化合物を直接酸化分解するか、また、水と反応して、正孔による酸化により・OH(ヒドロキシラジカル)を生成し、この・OH(ヒドロキシラジカル)が被処理水中の有機化合物を酸化分解する。これにより被処理水中の有機化合物はカルボン酸等の有機酸の段階まで酸化分解され、さらに一部は二酸化炭素にまで分解される。
なお、分解された被処理水中の有機酸、微量の二酸化炭素は、混床式イオン交換装置等のイオン吸着手段7によって除去され、全有機性炭素(TOC)濃度の少ない超純水(2次純水)を得ることができる。
【0026】
発光ダイオード15は、電源装置によって電力が供給されて励起光(例えば、紫外線や可視光)を照射するもので、光触媒の種類に応じて、光触媒反応を生じさせる波長を含む励起光を照射できるものであればよい。紫外線を照射する発光ダイオードとしては、例えば波長360〜400nmの波長(主波長:365nm)を含む紫外線を放射する紫外線発光ダイオード(UV−LED)が挙げられる。また、可視光、例えば青色光(波長400〜500nm(主波長:460nm))を照射する発光ダイオードとしては、青色発光ダイオードが挙げられ、緑色光(波長500〜600nm(主波長:510nm))を照射する発光ダイオードとしては、緑色発光ダイオードが挙げられる。
可視光を照射する発光ダイオードのうち、400〜600nmの波長を有する可視光を照射する発光ダイオードが好ましい。
なお、発光ダイオードは、フィルター等を用いて、照射する励起光の波長を調整することができる。
【0027】
また、光触媒14を励起するために必要なエネルギーであるいわゆるバンドギャップエネルギー(Eg)は、波長と相関があり、その関係は、下記の式
波長(nm)= 1240 ÷ Eg(eV) (1)
で示される。
発光ダイオードが照射する範囲の波長を、その範囲の波長を吸収する光触媒の種類と対応させることにより、光触媒の励起をより効率よく行なうことができるため好ましい。例えば、紫外線発光ダイオード(UV−LED)に対応する光触媒としては、二酸化チタンなどが、青色発光ダイオードに対応する光触媒としては、酸化タングステン(WO)、酸化鉄(Fe)などが、緑色発光ダイオードに対応する光触媒としては、セレン化カドミウム(CdSe)などが挙げられる。
【0028】
発光ダイオード15は、管体12上の導電層13上に担持された光触媒14を照射可能な位置に配置される。本実施の形態では、図2に示すように、管体12の管内に複数の発光ダイオード15が円筒状に配置された照明によって、管体12の管の内側から管の外側に向かって励起光(例えば、紫外線)を照射している。
【0029】
光源に発光ダイオード15を用いることによって、消費電力が小さいため電力コストが安価で、光源の交換が半永久的に不要で維持管理負担が小さく、有機質分解手段10を小型化された構造に形成可能である。
また、光透過性を有する管体12及び導電層13を介して、発光ダイオード15から光触媒14に励起光が直接照射され、発光ダイオード15と光触媒14との間に被処理水等が介在しない。そのため、被処理水等の励起光の透過度に影響されることなく被処理水中の有機化合物の分解処理が可能であり、有機化合物の分解効率の高い超純水製造装置用の有機質分解手段10を得ることができる。
【0030】
仕切り板18は、水の流路に所定の間隔で管体ユニット11の長手方向に直交するように複数設けられ、管体ユニット11の近傍のみに被処理水の流れる間隙が設けられていることから、流入した被処理水が混合流となるため均等に光触媒14に接触し、被処理水中の有機化合物を均等に分解できるようにするものである。
【0031】
ジャケット19は、被処理水が被処理水入口16から給水され被処理水出口17から排水されるまでの間、管体ユニット11によって有機化合物を分解させるための被処理水の流路となるものであり、形状は例えば円筒状である。
【0032】
有機質分解手段10の前段に酸化剤添加手段(図示せず)をさらに有することが好ましい。酸化剤添加手段は、必要に応じて、有機質分解手段10によって励起光(例えば、紫外線)を照射する前に、被処理水の流路にオゾン(オゾン水であってもよい)及び/又は過酸化水素(過酸化水素水であってもよい)を添加するものである。オゾンを添加する酸化剤添加手段としては、例えば、無声放電式のオゾン発生器が挙げられる。添加されたオゾンは光励起された光触媒に接触することにより酸化力の強いラジカルになる、あるいはオゾン分子が直接有機物を酸化分解するため、効率的に有機酸への酸化分解が行われる。このため、オゾンを添加しない場合と比較して、有機化合物の分解効率が高まり、より短時間で、有機化合物を分解除去できる。
オゾンの添加量は特に制限されないが、被処理水中のオゾン濃度を0.1〜0.5(mg/L)とすれば十分である。
【0033】
過酸化水素を添加する酸化剤添加手段としては、例えば、過酸化水素水貯留タンクからのポンプ供給によるもの、あるいは、電解式過酸化水素生成供給によるものなどが挙げられる。被処理水に供給された過酸化水素は、励起光(紫外線)により、また光励起された光触媒に接触して・OH(ヒドロキシラジカル)を発生させため、水中での・OH(ヒドロキシラジカル)生成が加速化される。このため、過酸化水素水を添加しない場合と比較して、有機化合物の分解効率が高まり、より短時間で、有機化合物を分解除去できる。
過酸化水素の添加量は特に制限されないが、被処理水中の過酸化水素濃度を50〜200(μg/L)とすれば十分である。
【0034】
なお、オゾンと過酸化水素がともに添加された場合には、下記の式
+ O → ・OH + HO + O (2)
HO + O → ・OH + O + O (3)
により、相互に反応することによっても・OH(ヒドロキシラジカル)を発生する。
【0035】
酸化剤添加手段により被処理水中にオゾン及び/又は過酸化水素が添加された場合には、有機質分解手段10の後段に酸化剤除去手段(図示せず)を設け、分解された有機酸等がイオン吸着手段7によって除去される前に、酸化剤除去手段により、被処理水中に溶存するオゾン及び/又は過酸化水素を除去することが好ましい。
【0036】
オゾンを除去する酸化剤除去手段は、被処理水中に残留したオゾンを分解するもので、例えば、オゾンを含有する被処理水に260nm以下の波長をもつ紫外線を照射させる装置が挙げられる。この処理によってオゾンの分解生成物は、最終的にほとんどが酸素(O)となる。
このように被処理水中のオゾンを除去することによって、分解された有機酸等の除去に用いられるイオン吸着手段7のイオン交換樹脂の酸化劣化等を防止することができる。
【0037】
過酸化水素を除去する酸化剤除去手段は、有機質分解手段10で完全に分解されなかった被処理水中の過酸化水素を分解するもので、例えば、過酸化水素を含有する被処理水を合成有機重合体の熱分解物と接触させる装置が挙げられる。合成有機重合体の熱分解物は、過酸化水素を吸着するもので、具体的には、ロームアンドハース社製のアンバーソーブ572及び/又は575(商品名)を好適に使用することができる。アンバーソーブは、巨大網目構造を有するスチレン−ジビニルベンゼンタイプのスルホン酸型イオン交換樹脂の熱分解物である。
このように被処理水中の過酸化水素を除去することによって、分解された有機酸等の除去に用いられるイオン吸着手段7のイオン交換樹脂の酸化劣化等を防止することができる。
【0038】
有機化合物を含んだ被処理水(1次純水)に、必要に応じて、酸化剤添加手段(図示せず)によりオゾン及び/又は過酸化水素が添加された後、被処理水入口16からジャケット19に被処理水が給水される。発光ダイオード15から励起光(例えば、紫外線)が、管体12の管壁部及び導電層13を透過して光触媒14に照射されると、光触媒14が活性化される。この光触媒活性表面に接触する被処理水に含まれる有機化合物は直接酸化分解される。また、活性化された光触媒14は水と反応して・OH(ヒドロキシラジカル)を生成し、・OH(ヒドロキシラジカル)は被処理水中の有機化合物を酸化分解する。これにより被処理水中の有機化合物はカルボン酸等の有機酸の段階まで酸化分解され、さらに一部は二酸化炭素にまで分解される。有機化合物の分解された被処理水が被処理水出口17から排水される。前記した酸化剤添加手段によりオゾン及び/又は過酸化水素が添加された場合には、酸化剤除去手段(図示せず)によって、被処理水中に溶存するオゾン及び/又は過酸化水素が除去される。その後、分解生成物である被処理水中の有機酸、微量の二酸化炭素は、混床式イオン交換装置等のイオン吸着手段7によって除去され、全有機性炭素(TOC)濃度の少ない超純水(2次純水)を得ることができる。
【0039】
このように、この実施形態に係る有機質分解手段10を、二次純水システムで使用することにより、被処理水中の全有機性炭素(TOC)濃度を、原水(被処理水)中の0.5(mg/L)から1(μg/L)にまで低減することができる。
【0040】
以上のように、本実施の形態によれば、光源に発光ダイオードを用いることによって、消費電力が小さいため電力コストが安価で、光源の交換が半永久的に不要で維持管理負担が小さく、有機質分解手段を小型化された構造に形成可能である。
また、管体ユニットを略平行に複数本配置することにより、光触媒と被処理水の接触面積を大きく確保することができ、これにより、有機化合物の分解効率の高い超純水製造装置用の有機質分解手段を得ることができる。
さらに、管体と光触媒との間に導電層を配置(積層)させることにより、光触媒の被処理水と接触する表面上の正孔の数をより多くすることができるため、有機化合物の酸化分解をより効率よく行うことができる。
【0041】
(第二の実施形態)
この実施形態は、第一の実施形態における有機質分解手段を、他の有機質分解手段に変更したものである。以下に、この実施形態における有機質分解手段について説明する。
図3は、本発明の第二の実施形態における有機質分解手段を示す側面図である。図4は、図3のA−Aに沿って切断した状態を表す断面図である。図3及び図4に示すように、有機質分解手段20は、管体21と、導電層22と、光触媒23と、発光ダイオード24と、電源装置(図示せず)と、を備えている。なお、第一の実施形態と重複する説明を省略する。
【0042】
管体21は、管状であり、管の長手方向に対して垂直な断面形状は円形である。この断面形状は円形だけでなく、多角形でもよい。また、同心円や同心多角形の形状であってもよい。導電層22は、管体21の内周面に積層(形成)される。光触媒23は、導電層22の内周面に積層される。
【0043】
導電層22の、管体21の内周面への形成は、例えば、導電層が酸化スズの場合には、管体21の内周面に、微細な酸化スズ粒子を含む酸化スズのコロイド(ゾル)を、例えば回転させながら供給するなどによりに均一に塗布して、次いで焼成する方法などを用いて形成することができる。
また、光触媒(層)23の導電層22上への形成は、例えば、光触媒が二酸化チタンの場合には、微細な二酸化チタン粒子を含む二酸化チタンのコロイド(ゾル)を管体21の内周面上の導電層22の内周面(内壁面)に、例えば回転させながら供給することにより、薄く塗布し、次いで焼成させる方法などを用いて形成することができる。
【0044】
発光ダイオード24は、管体21の内壁面に積層された導電層22上に形成された光触媒23を照射可能な位置に配置される。本実施の形態では、図4に示すように、管体21を取り囲むように複数の発光ダイオード24が配置されたリング照明によって、管体21の管の外側から管の中心に向かって励起光を照射している。
【0045】
被処理水は、管体21の内周面上に導電層22を介して形成された光触媒層23と接触しつつ、その内周面に沿って管体内を流れている。この光触媒23が、発光ダイオード24から照射される励起光により活性化され、光触媒(層)23の被処理水と接触する内周面上において正孔による有機化合物の直接酸化分解、及び水の正孔による酸化により生じるヒドロキシラジカル(・OH)による有機化合物の酸化分解が行われ、全有機性炭素(TOC)濃度の少ない超純水(2次純水)を得ることができる。
【0046】
本実施の形態によれば、発光ダイオードが 管体21を取り囲むように配置されたリング照明であるので、より高い強度で励起光を照射でき、被処理水中の有機化合物の分解効率をさらに高めることができる。また、管体の内壁面に、導電層を介して光触媒を配置することから、配置された光触媒と被処理水の接触面積を大きなものとすることができるので、被処理水中の有機化合物の分解効率をさらに高めることができる。
さらに、管体を同心円状又は同心多角形状とする場合には、単位断面積あたりの光触媒と被処理水の接触面積をより大きなものとすることができ、被処理水中の有機化合物の分解効率をよりさらに高めることができる。
【0047】
(第三の実施形態)
この実施形態は、第一の実施形態における有機質分解手段を、他の有機質分解手段に変更したものである。以下に、この実施形態における有機質分解手段について説明する。
図5は、本発明の第三の実施形態における有機質分解手段を示す断面図である。また、図6は、図5のB−Bに沿って切断した状態を表す断面図である。 図5及び図6に示すように、有機質分解手段30は、管体31と、導電層32と、光触媒33と、発光ダイオード34と、電源装置(図示せず)と、を備えている。なお、第一及び第二の実施形態と重複する説明を省略する。
【0048】
この実施の形態では、管体31は、管状であり、管の長手方向に対して垂直な断面形状が同心多角形と、この同心多角形を支持する管の中心から放射状に延びる放射状の(各)線とから構成されている。言い換えれば、図6に示すように、管体31は、管の中心から放射状に配置される放射板31aと、隣り合う2つの放射板31aを結線する結板31bとに区分して考えることができる。被処理水は、この放射板31a及び結板31bにより形成される管内の空間35を流れており、図6では紙面と垂直な方向に流れている。
【0049】
管体21の断面形状は、図6に示す8角形の多角形に限定されず、6角形等の任意の多角形にすることができる。また、円形であってもよい。また、同心多重管の段数(結板31bの段数)も図6に示す6段に限定されず、任意の段数にすることができる。また、同心円又は同心多角形を支持できれば、放射板31aは一部省略可能である。
【0050】
管体31は、例えば、表面に導電層32及び光触媒(層)33を順に積層させた(設けた)ガラス板である放射板31a及び結板31bを用意し、結板31bの端部を放射板31aの表面に熱により融着して作成することができる。
【0051】
このように、管体31を管状とし、管の長手方向に対して垂直な断面形状を、同心円又は同心多角形と、この同心円又は同心多角形を支持する管の中心から放射状に延びる放射状の(各)線とから形成することにより管体31の内壁面の表面積を大きなものとすることが可能となる。この管体31の内壁面に導電層32を積層させ、さらに光触媒33を配置することから、配置された光触媒32と被処理水の接触面積を大きなものとすることができる。これにより、被処理水中の有機化合物の分解効率をよりさらに高めることができる。
【0052】
発光ダイオード34は、管体31の内壁面に導電層32上に積層(担持)された光触媒33を照射可能な位置に配置される。本実施の形態では、図6に示すように、管体31を取り囲むように複数の発光ダイオード34が配置されたリング照明によって、管体31の管の外側から管の中心に向かって励起光(例えば、紫外線)を照射している。なお、同心多重管からなる管体31の中心の水密とされた管内に、複数の発光ダイオード34が円筒状に配置された照明によって、管体31の管の中心から管の外側に向かって励起光(例えば、紫外線)を照射してもよい。発光ダイオード34を管体31の管の外側と管の中心の両方に配置してもよい。
【0053】
このように発光ダイオード34を管体31の外側に配置し、管体31の管の外側から管の中心に向かって励起光を照射することにより、一つの発光ダイオード34から照射される励起光は照射距離の遠いチューブの中心付近では減衰する。しかし、その一方でチューブの中心付近では複数の発光ダイオード34から照射された励起光が集まることから十分な照度を確保することができ、光触媒反応が可能である。このように発光ダイオード34を配置することにより、有機化合物の分解効率をよりさらに高めることができる。
【0054】
本実施の形態によれば、管体の断面形状が同心円又は同心多角形であるので管体の内壁面の表面積を大きくすることができ、光触媒と被処理水の接触面積を大きくすることができるので、被処理水中の有機化合物の分解効率をよりさらに高めることができる。
また、発光ダイオードを管体の外側にリング状に配置する他に、さらに管体の中心の水密とされた管内に円筒状に配置する場合には、励起光の照度が低い中心付近でも光触媒反応が可能となり、有機化合物の分解効率をよりさらに高めることができる。
【0055】
(第四の実施形態)
この実施形態は、第一の実施形態における有機質分解手段を、他の有機質分解手段に変更したものである。以下に、この実施形態における有機質分解手段について説明する。
図7は、本発明の第四の実施形態における有機質分解手段を示す側面図である。図8及び図9は、それぞれ図7のC−C及びD−Dに沿って切断した状態を表す断面図である。図8及び図9に示すように、有機質分解手段40は、管体41と、導電層42と、光触媒43と、発光ダイオード44と、ガイドレール45と、仕切り板46と、電源装置(図示せず)と、を備えている。なお、第一の実施形態乃至第三の実施形態と重複する説明を省略する。
【0056】
図9では、管体41は、管状であり、管の長手方向に対して垂直な断面形状が、同心多角形と、この同心多角形を支持する管の中心から放射状に延びる放射状の(各)線とから形成されている。言い換えれば、図9に示すように、管体41は、管の中心から放射状に配置される放射板41aと、隣り合う2つの放射板41aを結線する結板41bとから構成されている。被処理水は、放射板41a及び結板41bにより形成される管内の空間47を流れており、図9では紙面と垂直な方向に流れている。
【0057】
管体41の断面形状は、図9に示す8角形の多角形に限定されず、6角形等の任意の多角形にすることができる。また、円形(同心円)であってもよい。また、同心多重管の段数(結板41bの段数)も図9に示す2段に限定されず、任意の段数にすることができる。また、同心円又は同心多角形を支持できれば、放射板41aは一部省略可能である。
【0058】
管体41を、管状とし、管の長手方向に対して垂直な断面形状が、同心円又は同心多角形と、この同心円又は同心多角形を支持する管の中心から放射状に延びる放射線とから形成することにより管体41の内壁面の表面積を大きなものとすることが可能となる。この管体41の内壁面に導電層42を介して光触媒(層)43を配置することから、配置された光触媒43と被処理水の接触面積を大きなものとすることができる。これにより、被処理水中の有機化合物の分解効率をさらに高めることができる。
【0059】
図7〜図9では、管体41を取り囲むように複数の発光ダイオード44が配置されたリング照明によって、管体41の管の外側から管の中心に向かって励起光(例えば、紫外線)を照射している。なお、同心多重管からなる管体41の中心の水密とされた管内に、複数の発光ダイオード44が円筒状に配置された照明によって、管体41の管の中心から管の外側に向かって紫外線を照射してもよい。また、発光ダイオード44を管体41の管の外側と管の中心の両方に配置してもよい。
また、発光ダイオードを管体の外側にリング状に配置する他に、管体の中心の水密とされた管内に円筒状に配置することにより、励起光(例えば、紫外線)の照度が低い中心付近でも光触媒反応が可能となり、有機化合物の分解効率をさらに高めることができる。
【0060】
図10は、図9の楕円の点線で囲まれた領域の拡大図であって、ガイドレール45によって管体41を固定した状態を表す図である。ガイドレール45は、管体41を固定するものである。ガイドレール45の構成材料には、例えばステンレス鋼を用いることができる。ガイドレール45の凹部に管体41の板の端部を差し込み、固定することができる。ガイドレール45を用いることで、管体41を同心円又は同心多角形状に形成することが容易となる。同心多角形状の方が製造が容易なため好ましい。
【0061】
図11は、図7のE−Eに沿って切断した状態を表す断面図である。仕切り板46は、ガイドレール45を固定する板であり、仕切り板46には通水孔48が設けられているため、被処理水は仕切り板46を通り抜けることができる。
【0062】
なお、図7、図8に示す有機質分解手段40を単位ユニットとして、この単位ユニットの複数個を直列に連結して使用してもよく、これにより、さらに有機化合物の分解効率を高め、全有機性炭素(TOC)濃度の少ない超純水を得ることができる。また、この単位ユニットの複数個を並列に接続して使用してもよく、これにより被処理水の処理量を増加させることができる。
【0063】
本実施の形態によれば、ガイドレールを用いて管体の板を固定できるので、管体を容易に製造できる。また、有機質分解手段の複数個を直列及び/又は並列に連結することにより、有機化合物の分解効率及び/又は被処理水の処理量を増加させることができる。
【0064】
(第五の実施形態)
この実施形態は、第一の実施形態における有機質分解手段を、他の有機質分解手段に変更したものである。以下に、この実施形態における有機質分解手段について説明する。
図12は、本発明の第五の実施形態における有機質分解手段を示す側面図である。図13は、有機質分解手段を示す上面図である。図14は、図13のF−Fに沿って切断した状態を表す断面図である。なお、図12では、後述するジャケット56の手前側の側面部を、図13では、後述する蓋59を、理解のしやすさのためにそれぞれ省略している。第一の実施形態乃至第四の実施形態と重複する説明を省略する。
【0065】
有機質分解手段50は、複数個の板体ユニット51(板体52と導電層53と光触媒54と発光ダイオード55)と、ジャケット56と、被処理水入口57と、被処理水出口58と、蓋59と、電源装置(図示せず)とを備えている。
【0066】
板体ユニット51は、板体52と導電層53と光触媒54と発光ダイオード55とから構成され、光触媒反応によって被処理水中の有機化合物を分解するものであり、ジャケット56内に配置される。板体ユニット51の形状は平板状であり、この平板の一方の端部が蓋59に固定され、他方の端部がジャケット56の底に接し、略平行に離間して複数個配置され、平板状の板体ユニット51間に被処理水を矢印の方向に通過させる通路を形成している。
【0067】
板体52は、内部に空間を有する板状体であり、この内部の空間に発光ダイオード55が配置され、この板体52の外表面であって発光ダイオード55が励起光(例えば、紫外線)を照射可能な位置に導電層53を介して光触媒54が積層(担持)されている。本実施の形態では、図12〜図14に示すように、光触媒54は、板体52の相対する一対の主面上に、導電層53を介して積層されている。発光ダイオード55は、複数の発光ダイオードが縦横平面状に配列された発光ダイオードアレイを背中合わせに2個配置したものであり、光触媒54に向かって励起光(例えば、紫外線)を照射する。
【0068】
ジャケット56は、被処理水が被処理水入口57から給水され被処理水出口58から排水されるまでの間、板体ユニット51によって有機化合物を分解させるための被処理水の流路となるものである。
蓋59は、ジャケット56の蓋であるとともに、複数の板体ユニット51を固定するものである。
【0069】
有機化合物を含んだ被処理水(一次純水)に、必要に応じて、酸化剤添加手段(図示せず)によりオゾン及び/又は過酸化水素が添加された後、この被処理水が被処理水入口56からジャケット56に給水される。発光ダイオード55から、励起光(例えば、紫外線)が、板体52に導電層53を介して積層された光触媒54に照射されると、光触媒54が活性化される。この光触媒活性表面に接触する被処理水に含まれる有機化合物は直接酸化分解される。また、活性化された光触媒54は水と反応して・OH(ヒドロキシラジカル)を生成し、・OH(ヒドロキシラジカル)は被処理水中の有機化合物を酸化分解する。これにより被処理水中の有機化合物はカルボン酸等の有機酸の段階まで酸化分解され、さらに一部は二酸化炭素にまで分解される。有機化合物の分解された被処理水がジャケット56(被処理水出口58)から排水される。前述した酸化剤添加手段によりオゾン及び/又は過酸化水素が添加された場合には、酸化剤除去手段(図示せず)によって、被処理水中に溶存するオゾン及び/又は過酸化水素が除去される。その後、被処理水中の有機酸、微量の二酸化炭素は、混床式イオン交換装置等のイオン吸着手段7によって除去され、全有機性炭素(TOC)濃度の少ない超純水(2次純水)を得ることができる。
【0070】
以上のように、本実施の形態によれば、光源に発光ダイオードを用いることによって、消費電力が小さいため電力コストが安価で、光源の交換が半永久的に不要で維持管理負担が小さく、有機質分解手段を小型化された構造に形成可能である。
また、板体を、薄い板状体とし、板体の相対する一対の主面上の外表面に導電層を介して光触媒が積層されているため、ジャケットに収納できる範囲でこの板体の主面の面積を大きなものとすることができ、配置された光触媒と被処理水の接触面積も大きなものとすることができる。また、この薄い板状体の板体を、略平行に離間して複数個(N個)配置することにより、光触媒と被処理水の接触面積をさらにN倍大きく確保することができる。これにより、有機化合物の分解効率の高い超純水製造装置用の有機質分解手段を得ることができる。
さらに、発光ダイオードが、内部に空間を有する板状体である板体の内部の空間に配置されているので、発光ダイオードから、板体及び導電層を介して光触媒に励起光(例えば、紫外線)が直接照射され、発光ダイオードと光触媒との間に被処理水等が介在しない。そのため、被処理水等の励起光(例えば、紫外線)の透過度に影響されることなく被処理水中の有機化合物の分解処理が可能であり、有機化合物の分解効率の高い超純水製造装置用の有機質分解手段を得ることができる。
【0071】
(第六の実施形態)
この実施形態は、第一の実施形態における有機質分解手段を、他の有機質分解手段に変更したものである。以下に、この実施形態における有機質分解手段について説明する。
図15は、本発明の第六の実施形態における有機質分解手段の側面の断面状態を表す断面側面図である。図16は、有機質分解手段60を示す上面図である。図17は、有機質分解手段60を示す正面図である。図15〜図17では、被処理水の流れる方向(矢印の方向)をX方向とし、X方向と垂直な方向であって後述するジャケット66における水平方向をY方向とし、ジャケット66の高さ方向をZ方向としている。なお、図16では、見やすさのために、後述する被処理水入口67を省略している。第一の実施形態乃至第五の実施形態と重複する説明を省略する。
【0072】
有機質分解手段60は、複数個の管体ユニット61(管体62と導電層63と光触媒64と発光ダイオード65)と、ジャケット66と、被処理水入口67と、被処理水出口68と、電源装置(図示せず)とを備えている。
【0073】
図18は、管体ユニット61の断面を拡大した状態を表す拡大断面図である。管体ユニット61は、管体62と導電層63と光触媒64と発光ダイオード65とから構成され、光触媒反応によって被処理水中の有機化合物を分解するものである。
【0074】
管体62の形状は管状であり、この管体62の内部に複数の発光ダイオード65が配置され、この管体62の外表面であって発光ダイオード65が励起光(例えば、紫外線)を照射可能な位置に光触媒64が導電層63を介して担持されている。本実施の形態では、光触媒64は、管体62の外表面上の導電層63が形成された表面上の全面に積層されている。発光ダイオード65は、複数の発光ダイオードが縦横平面状に配列された発光ダイオードアレイを、互いに直交する四方向に紫外線を照射できるように4個配置したものであり、光触媒64に向かって励起光を照射する。
【0075】
光透過性を有する管体62及び導電層63を透過して、発光ダイオード65から光触媒64に励起光が直接照射されており、発光ダイオード65と光触媒64との間に被処理水が介在しない。そのため、被処理水等の励起光(例えば、紫外線)の透過度などに影響されることなく被処理水中の有機化合物を分解処理でき、有機化合物の分解効率の高い超純水製造装置用の有機質分解手段60を得ることができる。
【0076】
管体ユニット61の形状は管状である。図15〜図17に示されるように、管体ユニット61は、管体ユニット61の長手方向がY方向であって、Z方向に並ぶように互いに略平行に配置された第一の管体ユニット61の群と、管体ユニット61の長手方向がZ方向であって、Y方向に並ぶように互いに略平行に配置された第二の管体ユニット61の群とが、X方向に向かって交互に多段に配置されている。なお、第一の管体ユニット61の群と第二の管体ユニット61の群とは、必ずしもX方向に向かって交互に配置されなくてもよい。
【0077】
本実施の形態によれば、ジャケットに収納できる範囲でこの管体ユニットの長手方向の長さを確保することができるので、これに伴い、管体の外表面に導電層を介して配置された光触媒と被処理水の接触面積も大きなものとすることができる。また、管体ユニット(N本とする)を、上記のように複数配置することにより、光触媒と被処理水の接触面積をさらにN倍大きく確保することができる。これにより、有機化合物の分解効率の高い超純水製造装置用の有機質分解手段を得ることができる。
【0078】
(その他の実施形態)
本発明の実施形態は上記の実施形態に限られず拡張、変更可能であり、拡張、変更した実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例】
【0079】
以下に、本発明に係る純水製造装置について、実施例および比較例を挙げてより具体的に説明する。
【0080】
(実施例1)
まず、導電層(膜)の形成及び二酸化チタンの薄膜の形成について説明する。
エタノール中にNHF0.1mol/L、塩化スズ0.005mol/Lを溶解し、導電膜形成用の溶液を調製した。次に、厚さ2mmの耐熱ガラス板(SCHOTT社製)を用意し、この耐熱ガラス板を400℃の温度に加熱した状態で、上記の溶液を噴霧して、ガラス板上に膜厚0.1μmのフッ素ドープ酸化スズ(FTO)薄膜を形成した。なお、所望の膜厚のフッ素ドープ酸化スズ薄膜が形成されるまで、噴霧を繰返し行なった。
【0081】
次に、一次粒径が20nmの二酸化チタン微粒子(日本エアロジル社製P25)35重量%、アセチルアセトン1重量%、ポリエチレングリコール(平均分子量3000)1.5重量%を、水及びイソプロピルアルコール中に分散させスラリーを調製した。上記のフッ素ドープ酸化スズ薄膜が形成されたガラス板に、このスラリーをスキージにより塗布した後、このガラス板を400〜500℃の温度で1時間加熱することにより、ガラス板の酸化スズ薄膜上に膜厚2.0μmの二酸化チタンの薄膜を形成した。
このようにして、一片が3cm四方の二酸化チタン被覆導電性ガラスを作製した。
【0082】
このようにして製造した二酸化チタン被覆導電性ガラスを、TOC(全有機性炭素)濃度が4(mg/L)である原液(溶液)50mlを入れたシャーレ100ml中に浸し、ガラス側から半導体光源としてUV−LED(日亜化学工業株式会社製。商品名:NCCU033)を用いて、350〜370nmの波長(主波長:365nm)の紫外線を、ガラス板から3cm離れた位置から、照射出力:0.52Wで24時間照射した。紫外線を照射した後の溶液中のTOC濃度を、TOC計(株式会社島津製作所製TOC−5000)を用いて測定した。
【0083】
(比較例1)
実施例1と同じガラス板に、フッ素ドープ酸化スズの導電層(膜)を形成させずに、二酸化チタンの被膜を実施例1と同様の方法で、ガラス板上に直接形成させた。この二酸化チタン被覆ガラスを、実施例1と同様にして紫外線を照射し、TOC濃度を測定した。実施例1及び比較例1のTOC濃度の測定結果を図19に示す。
【0084】
図19は、ガラス板と二酸化チタン被覆層の間に形成されたフッ素ドープ酸化スズの導電層が原液(被処理溶液)のTOC残存率に与える影響を示す図である。図19に示すように、比較例1の二酸化チタン被覆ガラスを用いた場合には、原液のTOC濃度は、約10%程度の減少であるのに対し、フッ素ドープ酸化スズ層がガラス板と二酸化チタン層の間に形成された、二酸化チタン被覆導電性ガラスを用いた場合には、原液のTOC濃度は、約95%減少したことが確認された。
したがって、二酸化チタン被覆導電性ガラスは超純水の製造において、TOC濃度を大幅に低減できることが確認された。
【0085】
(実施例2)
本実施例では、二酸化チタンの薄膜の代わりに、酸化タングステンの薄膜を形成させた。
タングステン酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社。特級)を用いた0.5(mol/L)のタングステン酸ナトリウム溶液をH型の陽イオン交換樹脂に通すことでタングステン酸溶液を精製し、この溶液に上記のフッ素ドープ酸化スズ薄膜が形成されたガラス板を浸漬してディップコートによりタングステン酸溶液を塗布した。このタングステン酸溶液が塗布された上記のフッ素ドープ酸化スズ薄膜が形成されたガラス板を大気中で500〜600℃で1時間加熱することにより、ガラス板のフッ素ドープ酸化スズ薄膜上に膜厚0.2μmの酸化タングステン薄膜を形成した。なお、所望の膜厚の酸化タングステン薄膜が形成されるまで、ディップコートの操作を繰り返した。このようにして、一片が3cm四方の酸化タングステン被覆導電性ガラスを作製した。
【0086】
このように作成した、酸化タングステン被覆導電性ガラスを、TOC(全有機性炭素)濃度が4(mg/L)である原液(溶液)50mlを入れたシャーレ100ml中に浸し、ガラス側から半導体光源として青色発光ダイオード(日亜化学工業株式会社製、商品名:NFSB036B)を用いて、450〜470nmの波長(主波長:460nm)の可視光を、ガラス板から3cm離れた位置から、照射出力:0.27Wで24時間照射した。上記の可視光を照射した後の溶液中のTOC濃度を、TOC計(株式会社島津製作所製TOC−5000)を用いて測定した。その結果、原液のTOC濃度が、大幅に低減することが確認された。
【0087】
(比較例2)
この比較例では、ガラス上にフッ素ドープ酸化スズの薄膜の導電層を形成させない以外は、実施例2と同様にして実験を行ない、溶液中のTOC濃度を測定した。その結果、原液のTOC濃度の低下の幅が小さいことが確認された。
【0088】
また、ガラス上に導電薄膜(層)が形成された上に、波長が500〜600nmの可視光(緑色)により励起される光触媒の薄膜(層)を形成させた光触媒被覆導電性ガラス及び半導体光源として、波長が500〜600nm(主波長:510nm)の可視光(緑色)を照射可能な緑色発光ダイオードを使用することにより、同様に原液のTOC濃度が、大幅に低減すると推測される。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る超純水製造装置の構成の一例を示す図である。
【図2】本発明の第一の実施形態における有機質分解手段を被処理水の流路に沿って切断した断面図である。
【図3】本発明の第二の実施形態における有機質分解手段を示す側面図である。
【図4】図3のA−Aに沿って切断した状態を表す断面図である。
【図5】本発明の第三の実施形態における有機質分解手段を示す側面図である。
【図6】図5のB−Bに沿って切断した状態を表す断面図である。
【図7】本発明の第四の実施形態における有機質分解手段を示す側面図である。
【図8】図7のC−Cに沿って切断した状態を表す断面図である。
【図9】図7のD−Dに沿って切断した状態を表す断面図である。
【図10】図7の楕円の点線で囲まれた領域の拡大図であって、ガイドレールによって管体を固定した状態を表す図である。
【図11】図7のE−Eに沿って切断した状態を表す断面図である。
【図12】本発明の第五の実施形態における有機質分解手段を示す側面図である。
【図13】本発明の第五の実施形態における有機質分解手段を示す上面図である。
【図14】図13のF−Fに沿って切断した状態を表す断面図である。
【図15】本発明の第六の実施形態における有機質分解手段の側面の断面状態を表す断面側面図である。
【図16】本発明の第六の実施形態における有機質分解手段を示す上面図である。
【図17】本発明の第六の実施形態における有機質分解手段を示す正面図である。
【図18】本発明の第六の実施形態における管体ユニットの断面を拡大した状態を表す拡大断面図である。
【図19】導電層が原液のTOC残存率に与える影響を示す図である。
【符号の説明】
【0090】
1…超純水製造装置、2…前処理装置、3…2床3塔型イオン交換装置、4…逆浸透装置、5…脱気装置、6,10,20,30,40,50,60…有機質分解手段、7…イオン吸着手段、8…限外濾過膜装置、11,61…管体ユニット、12,21,31,41,51,62…管体、13,22,32,42,53,63…導電層、14,23,33,43,54,64…光触媒、15,24,34,44,55,65…発光ダイオード、16,57,67…被処理水入口、17,58,68…被処理水出口、18,46…仕切り板、19,46,56,66…ジャケット、31a,41a…放射板、31b,41b…結板、35,47…空間、45…ガイドレール、48…通水孔、51…板体ユニット、52…板体、59…蓋。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理水の流路に沿って順に配置された有機質分解手段とイオン吸着手段からなる有機質除去装置を備えた超純水製造装置において、
前記有機質分解手段は、光透過性を有する絶縁性材料により形成された管体と、前記管体の内周側又は外周側に積層され、かつ光透過性を有する導電層と、前記導電層上に積層され、かつ前記被処理水と接触する光触媒層と、この光触媒層を励起させる励起光を、前記管体の管壁部及び前記導電層を透過させつつ前記光触媒層に照射する発光ダイオードとを具備することを特徴とする超純水製造装置。
【請求項2】
前記導電層が、前記管体の内周側に積層され、
前記発光ダイオードが、前記管体の外周側から前記光触媒層に向けて、この光触媒層を励起させる励起光を、前記管体の管壁部及び前記導電層を透過させつつ照射する
ことを特徴とする請求項1記載の超純水製造装置。
【請求項3】
前記導電層が、前記管体の外周側に積層され、
前記発光ダイオードが前記管体の内周側から前記光触媒層に向けて、この光触媒層を励起させる励起光を、前記管体の管壁部及び前記導電層を透過させつつ照射する
ことを特徴とする請求項1記載の超純水製造装置。
【請求項4】
前記管体が、同心多重管からなり、前記発光ダイオードは、最外層の管外に配置された支持体上に長手方向に配設されていることを特徴とする請求項2記載の超純水製造装置。
【請求項5】
前記管体が、同心多重管からなり、発光ダイオードが、前記同心多重管の中心の水密とされた管内に配置された支持体上に長手方向にさらに配設されていることを特徴とする請求項4記載の超純水製造装置。
【請求項6】
前記同心多重管における各管は、断面多角形状をなしていることを特徴とする請求項4又は5記載の超純水製造装置。
【請求項7】
前記有機質分解手段は、前記管体を両端部を残して水密的に覆う被処理水入口及び被処理水出口を有するジャケットをさらに具備することを特徴とする請求項3記載の超純水製造装置。
【請求項8】
前記ジャケットの内部には、前記被処理水入口と前記被処理水出口との間に所定の間隔でそれぞれ配置され、かつ前記管体の外表面との間のみに被処理水の流れる間隙を設けた複数の仕切り板が前記管体の長手方向と直交させて設けられていることを特徴とする請求項7記載の超純水製造装置。
【請求項9】
被処理水の流路に沿って順に配置された有機質分解手段とイオン吸着手段からなる有機質除去装置を備えた超純水製造装置において、
前記有機質分解手段は、被処理水入口及び被処理水出口を有するジャケットと、
前記ジャケット内の流路に平行的に配置された、光透過性を有する絶縁性材料により形成され、内部に空間を有する板体と、前記板体の外周面に積層され、かつ光透過性を有する導電層と、前記導電層上に積層され、かつ前記被処理水と接触する光触媒層と、前記板体の内部の空間に配置され、前記光触媒層を励起させる励起光を、前記板体及び前記導電層を透過して照射する発光ダイオードとからなる板体ユニットの複数組と
を具備することを特徴とする超純水製造装置。
【請求項10】
被処理水の流路に沿って順に配置された有機質分解手段とイオン吸着手段からなる有機質除去装置を備えた超純水製造装置において、
前記有機質分解手段は、被処理水入口及び被処理水出口を有するジャケットと、
前記ジャケット内に配置された、光透過性を有する絶縁性材料により形成された管体と、前記管体の外周面に積層され、かつ光透過性を有する導電層と、前記導電層上に積層され、かつ前記被処理水と接触する光触媒層と、前記管体内に配置され、前記光触媒層を励起させる励起光を、前記管体の管壁部及び前記導電層を透過して照射する発光ダイオードとからなる管体ユニットの複数本と
を具備することを特徴とする超純水製造装置。
【請求項11】
前記光触媒層が、紫外線で励起される材質からなり、前記発光ダイオードが紫外線を前記光触媒層に照射することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項記載の超純水製造装置。
【請求項12】
前記光触媒層が、可視光で励起される材質からなり、前記発光ダイオードが可視光を前記光触媒層に照射することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項記載の超純水製造装置。
【請求項13】
前記有機質分解手段が、前処理システムと一次純水システムと該一次純水システムで処理された被処理水の純度をさらに高める二次純水システムとを有する超純水製造装置の前記二次純水システムに設置されていることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項記載の超純水製造装置。
【請求項14】
前記有機質除去装置が、前記有機質分解手段の前段に前記被処理水の流路にオゾン及び/又は過酸化水素を添加する酸化剤添加手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項記載の超純水製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−136914(P2008−136914A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−324744(P2006−324744)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(000245531)野村マイクロ・サイエンス株式会社 (116)
【Fターム(参考)】