説明

超音波センサ

【課題】 高い音圧の超音波を発振するとともに、振動ノイズを低くすることができる超音波センサを実現することを目的とする。
【解決手段】 超音波センサ10において、送信素子11に、圧電素子が複数層に積層形成され、超音波を発振する積層圧電素子16を用いているため、高い音圧の超音波を発振することができる。また、送信素子11と隣接する受信素子12p、12rとの間に設けられ、筺体31の底面31aから立設されており、一端が振動減衰部材18により固定されて、筐体31の内部を送信素子11を囲んで区画している振動分離部材90を備えているため、送信素子11から各受信素子12p〜12rに超音波が伝達して発生する振動ノイズを低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、音響整合部材と圧電素子とを備えた送信素子及び受信素子がアレイ状に配置された超音波センサに関する。
【背景技術】
【0002】
受信素子と送信素子とがアレイ状に配置された超音波センサとして、超音波センサ前方の障害物の位置測定や形状の検出などを行う超音波センサや医療分野で用いられる超音波画像を得るための超音波トランスジューサなどが知られている。
例えば、特許文献1には、硬質樹脂などの固定材により振動素子が接続されたアレイ型超音波トランスジューサが開示されている。なお、音響整合層を用いた超音波センサは一般に良く知られた構造であり、特に車載用では減衰率の大きな空気中での検知が必要となる。
【特許文献1】特開2000−253496号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような超音波センサでは、超音波の検出感度を向上させるために、送信する超音波の音圧を高くすることが必要となるが、送信素子の振幅を大きくすることが必要となるため隣接する振動素子に振動が伝達し、振動ノイズが生じるという問題があった。
【0004】
そこで、この発明では、高い音圧の超音波を発振するとともに、振動ノイズを低くすることができる超音波センサを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、超音波センサにおいて、圧電素子が複数層に積層形成され、超音波を発振する積層圧電素子と、前記積層圧電素子により発振された超音波を伝達する第1の音響整合部材とを備え、被検出体に対して超音波の送信を行う送信素子と、前記被検出体にて反射された超音波を検出する圧電素子と、前記圧電素子に前記被検出体にて反射された超音波を伝達する第2の音響整合部材とを備え、前記被検出体にて反射された超音波の受信を行う受信素子と、をそれぞれ少なくとも1個備え、前記送信素子と前記受信素子とがアレイ状に配置されており、前記送信素子と前記受信素子とを収容し、所定の物体に配置するための一端が開口した箱状に形成された筐体と、前記各音響整合部材と前記筐体の開口部との間に介在して設けられ、前記音響整合部材を前記筐体に固定するとともに、前記各音響整合部材の間で伝達する振動を減衰させる振動減衰部材と、前記送信素子と隣接する受信素子との間に設けられ、前記筐体の内部を前記送信素子を囲んで区画し、前記送信素子から前記受信素子への超音波振動の伝達を低減する振動分離部材と、を備えた、という技術的手段を用いる。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、送信素子に、圧電素子が複数層に積層形成され、超音波を発振する積層圧電素子を用いているため、高い音圧の超音波を発振することができる。また、送信素子と隣接する受信素子との間に設けられ、筐体の内部を送信素子を囲んで区画し、送信素子から受信素子への超音波振動の伝達を低減する振動分離部材を備えているため、送信素子から受信素子に超音波が伝達して発生する振動ノイズを低減することができる。つまり、高い音圧の超音波を発振するとともに、振動ノイズを低くすることができる超音波センサを実現することができる。
【0007】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の超音波センサにおいて、前記圧電素子及び前記積層圧電素子と前記筐体の底面及び内側面との間に介在して設けられ、前記送信素子及び前記受信素子を外力の負荷から保護する第1の緩衝材を備え、前記振動分離部材は、前記第1の緩衝材よりも音響インピーダンスが高い材料により形成されている、という技術的手段を用いる。
【0008】
請求項2に記載の発明によれば、第1の緩衝材により外力の負荷から送信素子及び受信素子を保護することができる。また、振動分離部材は、第1の緩衝材よりも音響インピーダンスが高い材料により形成されているため、積層圧電素子から第1の緩衝材を介して伝達される超音波を、振動分離部材と第1の緩衝材との界面において反射することができる。これにより、送信素子から高い音圧の超音波を発振しても、送信素子から受信素子に超音波が伝達して発生する振動ノイズを低減することができる。
【0009】
請求項3に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載の超音波センサにおいて、前記振動分離部材は、前記筐体と少なくとも一部が一体的に形成される、という技術的手段を用いる。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、振動分離部材は、少なくとも一部を筐体と一体的に形成することもできる。これによれば、部品点数を低減することができるとともに、振動分離部材の位置精度を向上させることができる。
【0011】
請求項4に記載の発明では、請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の超音波センサにおいて、前記振動分離部材は、前記音響整合部材側が前記圧電素子側よりも薄くなるように形成されている、という技術的手段を用いる。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、振動分離部材を音響整合部材側が圧電素子側よりも薄くなるように形成することができる。これによれば、音響整合部材の振動を阻害しないようにすることができるとともに、振動分離部材の強度を高めることができる。
【0013】
請求項5に記載の発明では、請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の超音波センサにおいて、前記振動分離部材は、芯材をこの芯材よりも弾性率の高い材料で挟んで形成された積層構造を有する、という技術的手段を用いる。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、振動分離部材は、芯材をこの芯材よりも弾性率の高い材料で挟んで形成された積層構造を有するように形成することができる。これによれば、振動分離部材により反射されずに伝達された超音波振動を芯材により減衰させることができるので、振動ノイズを低減することができる。
【0015】
請求項6に記載の発明では、請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の超音波センサにおいて、前記振動分離部材は、芯材をこの芯材よりも音響インピーダンスが高い一側部材および他側部材で挟んで形成された積層構造を有する、という技術的手段を用いる。
【0016】
請求項6に記載の発明によれば、振動分離部材は、芯材をこの芯材よりも音響インピーダンスが高い一側部材および他側部材で挟んで形成された積層構造を有するように形成することができる。これによれば、一側部材および芯材間と芯材および他側部材間とにおける音響インピーダンスの差がそれぞれ大きくなるので、各界面において送信素子からの超音波を反射しやすくなり、振動ノイズを低減することができる。
【0017】
請求項7に記載の発明では、請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の超音波センサにおいて、前記振動分離部材は、一側部材と他側部材とを貼り合わせて構成される封止空間に当該一側部材および他側部材よりも音響インピーダンスが低い被封止部材を封止して形成される、という技術的手段を用いる。
【0018】
請求項7に記載の発明によれば、振動分離部材は、一側部材と他側部材とを貼り合わせて構成される封止空間に当該一側部材および他側部材よりも音響インピーダンスが低い被封止部材を封止して形成することができる。これによれば、一側部材および被封止部材間と被封止部材および他側部材間とにおける音響インピーダンスの差がそれぞれ大きくなるので、各界面において送信素子からの超音波を反射しやすくなり、振動ノイズを低減することができる。特に、封止構造であるため、音響インピーダンスが低い空気等の気体やゲル状の物質でも被封止部材として採用することができ、気体は圧縮率が高く、ゲル状物質は減衰定数が大きいことから、伝達される振動を吸収することができる。
【0019】
請求項8に記載の発明では、請求項7に記載の超音波センサにおいて、前記封止空間内には、当該封止空間内を複数の区画に区分けするハニカム状の区画部材が設けられる、という技術的手段を用いる。
【0020】
請求項8に記載の発明によれば、封止空間内には、当該封止空間内を複数の区画に区分けするハニカム状の区画部材を設けることができる。これによれば、振動ノイズを低減するとともに、振動分離部材の強度をも高めることができる。
【0021】
請求項9に記載の発明では、請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の超音波センサにおいて、前記振動分離部材は、その内部に気泡を封止して形成される、という技術的手段を用いる。
【0022】
請求項9に記載の発明によれば、振動分離部材は、その内部に気泡を封止して形成することができる。これによれば、気泡とそれ以外の部分とで音響インピーダンスの差を大きくすることができるので、送信素子からの超音波を反射しやすくなり、振動ノイズを低減することができる。特に、振動分離部材の製造過程においてその内部に気泡を含むように形成することにより、大きな音響インピーダンスの差を有する振動分離部材の製造コストを低減することができる。
【0023】
請求項10に記載の発明では、請求項1ないし請求項9のいずれか1つに記載の超音波センサにおいて、前記第1の緩衝材よりも弾性率が低い材料により、前記第1の緩衝材に重ねて設けられ、前記圧電素子及び前記積層圧電素子とを覆うように形成された第2の緩衝材を備えた、という技術的手段を用いる。
【0024】
請求項10に記載の発明によれば、各音響整合部材に印加された衝撃は弾性率の高い第1の緩衝材により吸収することができる。また、超音波の振動が大きい各音響整合部材側には弾性率が低い第2緩衝材を配置することにより、振動減衰を小さくするとともに、圧電素子及び積層圧電素子を水分などの環境因子から保護することができる。
【0025】
請求項11に記載の発明では、請求項10に記載の超音波センサにおいて、前記積層圧電素子側に設けられている前記第1の緩衝材に代えて、前記第1緩衝材よりも弾性率が高い材料により形成された第3の緩衝材を用いる、という技術的手段を用いる。
【0026】
請求項11に記載の発明によれば、積層圧電素子側に設けられている第1緩衝材に代えて、第1緩衝材よりも弾性率が高い材料により形成された第3の緩衝材を用いることができる。積層形成された積層圧電素子は駆動力が大きいため、緩衝材による振動減衰の影響を受けにくい。このため、受信素子に用いられる第1の緩衝材よりも弾性率の高い第3の緩衝材を用いることで、積層圧電素子から発振した超音波を外部に有効に伝えることができる。
【0027】
請求項12に記載の発明では、請求項11に記載の超音波センサにおいて、前記第3の緩衝材は、前記第1の緩衝材よりも高く形成されており、前記第1の緩衝材が前記圧電素子を覆う高さより、前記第3の緩衝材が前記積層圧電素子を覆う高さの方が大きくなるように形成されている、という技術的手段を用いる。
【0028】
請求項12に記載の発明によれば、第3の緩衝材の高さが高く形成されているため、積層圧電素子の横方向への揺れを拘束して防ぐことができる。
【0029】
請求項13に記載の発明では、請求項1ないし請求項12のいずれか1つに記載の超音波センサにおいて、前記振動減衰部材は、前記第1の音響整合部材の超音波を送信する送信面と、前記第2の音響整合部材の超音波を受信する受信面とを覆って形成されている、という技術的手段を用いる。
【0030】
請求項13に記載の発明によれば、振動減衰部材は、第1の音響整合部材の超音波を送信する送信面と、第2の音響整合部材の超音波を受信する受信面とを覆って形成されているため、送信素子及び受信素子を劣化させる水分など環境因子を遮断することができるので、超音波センサの信頼性を向上させることができる。
【0031】
請求項14に記載の発明では、請求項1ないし請求項13のいずれか1つに記載の超音波センサにおいて、異なる指向性を有する送信素子の組、または、受信素子の組を備えた、という技術的手段を用いる。
【0032】
請求項14に記載の発明によれば、異なる指向性を有する送信素子の組、または、受信素子の組を備えているため、周囲の状況などに応じて指向性を使い分けることにより、広い検出エリアで障害物を感度よく検出することができる。
【0033】
請求項15に記載の発明では、請求項1ないし請求項14のいずれか1つに記載の超音波センサにおいて、前記振動分離部材は、その一部が前記筐体の他端から外方に突出するように形成される、という技術的手段を用いる。
【0034】
請求項15に記載の発明によれば、振動分離部材は、その一部が前記筐体の他端から外方に突出するように形成することができる。これによれば、振動分離部材の共振周波数を低下させるとともに、このように突出する一部により振動を外部に引き出して減衰させることができるので、振動ノイズを低減することができる。
【0035】
請求項16に記載の発明では、請求項15に記載の超音波センサにおいて、筐体の他端から外方に突出する前記振動分離部材の一部には、この部位の振動を減衰して抑制するための振動抑制部材が設けられる、という技術的手段を用いる。
【0036】
請求項16に記載の発明によれば、筐体の他端から外方に突出する前記振動分離部材の一部には、この部位の振動を減衰して抑制するための振動抑制部材を設けることができる。これによれば、振動抑制部材により、上述のように突出する一部に伝達される振動を効果的に減衰することができるので、振動ノイズをより低減することができる。
【0037】
請求項17に記載の発明では、請求項1ないし請求項16のいずれか1つに記載の超音波センサにおいて、前記振動分離部材の振動に対する逆位相の振動をこの振動分離部材に与えることにより当該振動分離部材の振動を減衰させる振動減衰手段を備える、という技術的手段を用いる。
【0038】
請求項17に記載の発明によれば、振動分離部材の振動に対する逆位相の振動をこの振動分離部材に与えることにより当該振動分離部材の振動を減衰させる振動減衰手段が設けられる。これによれば、振動減衰手段によって逆位相の振動を与えることにより振動分離部材の振動を減衰させることができるので、振動ノイズを低減することができる。
【0039】
請求項18に記載の発明では、請求項1ないし請求項17のいずれか1つに記載の超音波センサにおいて、前記振動分離部材は、その側面が凹凸状に形成される、という技術的手段を用いる。
【0040】
請求項18に記載の発明によれば、振動分離部材は、その側面が凹凸状に形成されている。これによれば、その凹凸形状に応じて振動分離部材の共振周波数を変更することができるので、振動分離部材の共振を抑制することができる。
【0041】
請求項19に記載の発明では、請求項1ないし請求項17のいずれか1つに記載の超音波センサにおいて、前記振動分離部材は、その周縁部にて前記筐体に支持されており、この周縁部の厚さが中央部の厚さに対して薄くなるように形成される、という技術的手段を用いる。
【0042】
請求項19に記載の発明によれば、振動分離部材は、その周縁部にて前記筐体に支持されており、この周縁部の厚さが中央部の厚さに対して薄くなるように形成することができる。これによれば、送信素子からの振動が振動分離部材に伝達されるとき、比較的厚さの薄い周縁部のみが振動し、この周縁部を除く中央部は送信素子および受信素子の側面に対して平面として平行に往復動するだけなので、受信素子への振動による影響を抑制することができる。
【0043】
請求項20に記載の発明では、請求項1ないし請求項17のいずれか1つに記載の超音波センサにおいて、前記振動分離部材には、その側面に補強部材が設けられる、という技術的手段を用いる。
【0044】
請求項20に記載の発明によれば、振動分離部材には、その側面に補強部材が設けられている。これによれば、振動ノイズを低減するとともに、振動分離部材の強度をも高めることができる。
【0045】
請求項21に記載の発明では、請求項20に記載の超音波センサにおいて、前記補強部材は、前記振動分離部材の側面に対してハニカム状に形成される、という技術的手段を用いる。
【0046】
請求項21に記載の発明によれば、補強部材は、振動分離部材の側面に対してハニカム状に形成されている。これによれば、補強部材による振動分離部材の強度をさらに高めることができる。
【0047】
請求項22に記載の発明では、請求項1ないし請求項21のいずれか1つに記載の超音波センサにおいて、前記振動減衰部材には、前記第1の音響整合部材と前記第2の音響整合部材との間に1または複数の切欠部が形成される、という技術的手段を用いる。
【0048】
請求項22に記載の発明によれば、振動減衰部材には、第1の音響整合部材と第2の音響整合部材との間に1または複数の切欠部を形成することができる。これによれば、第1の音響整合部材からの振動が振動減衰部材を介して第2の音響整合部材に伝達されるまでに切欠部にて分散されるので、振動ノイズを低減することができる。
【0049】
請求項23に記載の発明では、請求項1ないし請求項22のいずれか1つに記載の超音波センサにおいて、前記送信素子を1つと前記受信素子を複数備え、前記各受信素子は、前記送信素子および前記振動分離部材に対する離間距離が互いに等しくなるように配置される、という技術的手段を用いる。
【0050】
請求項23に記載の発明によれば、送信素子を1つと受信素子を複数備え、各受信素子は、送信素子および振動分離部材に対する離間距離が互いに等しくなるように配置されている。これによれば、各受信素子には同一のタイミングで送信素子による振動の影響がでることとなるので、信号処理をすることで容易に振動ノイズを低減することができる。
【0051】
請求項24に記載の発明では、請求項1ないし請求項22のいずれか1つに記載の超音波センサにおいて、前記送信素子を1つと前記受信素子を複数備え、前記振動分離部材は、ハニカム状に形成されて前記筐体内を複数の区画に区分けし、前記送信素子は中央の区画内に配置されるとともに、前記各受信素子は、前記中央の区画に隣接する他の区画内にて前記送信素子に対する離間距離が互いに等しくなるようにそれぞれ個別に配置される、という技術的手段を用いる。
【0052】
請求項24に記載の発明によれば、送信素子を1つと受信素子を複数備え、振動分離部材は、ハニカム状に形成されて筐体内を複数の区画に区分けし、送信素子は中央の区画内に配置されるとともに、各受信素子は、中央の区画に隣接する他の区画内にて送信素子に対する離間距離が互いに等しくなるようにそれぞれ個別に配置されている。これによれば、各受信素子には同一のタイミングで送信素子による振動の影響がでることとなるので、信号処理をすることで容易に振動ノイズを低減することができる。さらに、振動分離部材がハニカム状に形成されているので、振動分離部材の強度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
[第1実施形態]
この発明に係る超音波センサの第1実施形態について、図を参照して説明する。ここでは、車両に搭載して障害物センサとして使用する超音波センサを例に説明する。
図1は、第1実施形態の超音波センサの説明図である。図1(A)は、超音波センサを音響整合部材側から見た平面説明図であり、図1(B)は、図1(A)のA−A矢視断面図である。図2は、振動分離部材が筐体と一体的に形成された構成を示す縦断面説明図である。図3及び図4は、振動分離部材の変更例を示す縦断面説明図である。
ここで、図1において、図1(A)の手前方向及び、図1(B)の上方向が車両の外部を示す。また、図1(A)の下方向に地面が存在する。
なお、各図では、説明のために一部を拡大し、一部を省略して示している。
【0054】
図1(A)及び(B)に示すように、超音波センサ10は、超音波を送信する送信素子11と、送信素子11から車両前方に送信され、車両前方に存在する被検出体(障害物)で反射された超音波を検出する受信素子12p、12q、12rと、素子間における超音波の伝達を防止する振動減衰部材18と、送信素子11及び受信素子12p、12q、12rを外力の負荷や衝撃から保護する第1緩衝材19と、送信素子11を受信素子12p〜12rから区画し、超音波の伝達を遮蔽する振動分離部材90と、受信素子12p、12q、12r、送信素子11、第1緩衝材19及び振動分離部材90を収容する一端が開口した箱状の筐体31と、を備えている。
【0055】
各受信素子12p〜12rの構造は同じであるので、ここでは、受信素子12pについて説明する。
受信素子12pは、送信素子11から発振され、障害物で反射された超音波を受信し、圧電素子14pに振動を伝達する音響整合部材13pと、超音波を検出する圧電素子14pと、とが接合されて形成されている。
【0056】
圧電素子14pは、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)からなり、横断面の外形が音響整合部材13pの横断面の外形と等しい四角柱状に形成された圧電体を、対向する面において、PtやCuやAgのスパッタ、めっき、導電ペーストの焼き付けなどにより形成された1組の電極15pにより挟んで形成されている。なお、圧電素子14pは、後述する積層圧電素子16と同様に、積層形成されて構成されてもよい。
【0057】
音響整合部材13pは、空気より音響インピーダンスが大きく、圧電素子14pより音響インピーダンスが小さいポリカーボネート系樹脂などの耐久性に優れた樹脂材料を用いて形成されている。
【0058】
音響整合部材13pは、厚さが超音波の音響整合部材13p中における波長の約1/4となるように形成されている。音響整合部材13pの厚さを超音波の波長の約1/4となるように形成することにより、音響整合部材13p内で定在波を発生させることができる。これにより、音響整合部材13p内に入射した超音波と、音響整合部材13pと圧電素子14pとの界面において反射された超音波とが干渉して互いに打ち消し合うことを低減することができるので、圧電素子14pに効率よく超音波を伝達することができる。また、幅Wが超音波の空気中における波長の半分以下とすることが望ましい。
【0059】
送信素子11は、受信素子12pと同様の構成の音響整合部材13と、超音波を発振する積層圧電素子16、とが接合されて形成されている。
【0060】
積層圧電素子16は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)からなり、横断面の外形が音響整合部材13pの横断面の外形と等しい四角柱状に形成された圧電体に、1組の電極17が互い違いに櫛歯状に積層形成されて構成されている。これにより、積層圧電素子16は、複数層の圧電素子が積層形成された形状と等価となり、本実施形態では、5層の圧電素子が積層形成された形状となっている。ここで、圧電素子の積層数は、要求する音圧に合わせて可変である。
【0061】
圧電素子14pの電極14及び積層圧電素子16の電極17は、ワイヤ14a、17aを介して、それぞれ回路素子(図示せず)に電気的に接続されている。回路素子は、車両に設けられたECU(Electronic Control Unit:図示せず)に電気的に接続されている。
【0062】
各音響整合部材13、13p〜13rは、超音波の伝達を防止する振動減衰部材18を介在して、互いに隣り合った各音響整合部材の中心部の間隔dが、超音波の半波長にほぼ等しくなるようにアレイ状に配置されている。
ただし、中心部の間隔は検知エリアの角度に依存するのものであり、間隔dが半波長より大きい場合でも、角度を検知することはできる。
【0063】
振動減衰部材18は、各音響整合部材13p〜13rの受信面13jと、音響整合部材13の送信面13sとを覆って、筐体31の開口部に固定されている。この構成を用いると、各音響整合部材13、13p〜13rと振動減衰部材18との界面が外部に露出しないため、接合面を介して水などが侵入することを防止することができるので、超音波センサの信頼性を向上させることができる。筐体31は、車両の所定の位置、例えば、バンパ100に各音響整合部材13、13p〜13rが外方に面するように取り付けられている。
【0064】
振動減衰部材18は、各音響整合部材13、13p〜13rより音響インピーダンスが小さく、減衰定数が高い材料、例えば、シリコンゴムにより形成されている。更に、振動減衰部材18には、弾性率が低い材料及び密度が小さい材料が好適に用いられる。例えば、ゴム系材料、発泡樹脂などの気孔を含む樹脂、スポンジなどを用いることができる。このような材料により形成された振動減衰部材18が、各音響整合部材13、13p〜13rの間に介在することにより、超音波が各音響整合部材13、13p〜13rの間で伝達されてノイズの原因となることを防止することができる。
ここで、振動減衰部材18のうち受信面13j及び送信面13sを覆う部分は、超音波の伝達を大きく阻害しないように、例えば、厚さ1mm以下の厚さに形成されている。
【0065】
第1緩衝材19は、圧電素子14p及び積層圧電素子16より弾性率の低い材料、例えば、ウレタンなどの軟質樹脂、ゴム、シリコーンなどのポッティング材、などの高分子材料により、送信素子11の積層圧電素子16、受信素子12pの圧電素子14p及び受信素子12q、12rの圧電素子(図示せず)を囲んで、筐体31との間に介在して設けられている。
【0066】
このような第1緩衝材19を設けることにより、各音響整合部材13、13p〜13rに小石などの飛来物の衝突などにより衝撃が加えられたような場合でも、第1緩衝材19が送信素子11及び受信素子12p〜12rに伝達された衝撃を吸収するとともに、送信素子11及び受信素子12p〜12rが筐体31の底面31a側に向かって変位するのを拘束するため、送信素子11及び受信素子12p〜12rを保護し、破壊を防ぐことができる。
また、圧電素子14p及び積層圧電素子16を劣化させる水分など環境因子を遮断することができるので、信頼性を向上させることができる。
【0067】
振動分離部材90は、第1緩衝材19より弾性率及び音響インピーダンスが高い材料により板状に形成されている。
振動分離部材90は、送信素子11と隣接する受信素子12p、12rとの間に設けられ、筺体31の底面31aから立設されており、一端が振動減衰部材18により固定されて、筐体31の内部を送信素子11を囲んで区画している。ここで、振動分離部材90の厚さは、積層圧電素子16から各音響整合部材13p〜13rへの超音波の振動の伝達を低減するとともに、振動減衰部材18において、各音響整合部材13p〜13rの振動の阻害を小さくできる厚さに設定されている。
【0068】
次に、超音波センサ10による障害物の検出について説明する。
まず、ECUから出力された超音波の音圧、位相を制御する制御信号に基づいて、回路素子が積層圧電素子16に対して電圧信号を出力する。この電圧信号に基づいて積層圧電素子16が振動し、所定の音圧、位相の超音波を発振する。
【0069】
ここで、送信素子11の積層圧電素子16は5層に積層形成されているので、例えば、1層だけの圧電素子に比べて、同じ電圧を印加した場合に、5倍の変位、即ち5倍の音圧を得ることができる。つまり、積層圧電素子16は、高い音圧の超音波を発振することができる。
【0070】
また、送信素子11を区画する振動分離部材90は第1緩衝材19より弾性率及び音響インピーダンスが高い材料により形成されているので、積層圧電素子16から第1緩衝材19を介して伝達される超音波を、振動分離部材90と第1緩衝材19との界面において反射することができる。これにより、送信素子11から高い音圧の超音波を発振しても、送信素子11から受信素子12p〜12rに超音波が伝達して発生する振動ノイズを低減することができる。
【0071】
積層圧電素子16により発振された超音波は、音響整合部材13に伝達され、送信面13sから車両外部へ送信される。送信面13sから送信された超音波は、障害物により反射され、反射された超音波は、受信素子12p〜12rの音響整合部材の受信面13jにおいて受信される。例えば、受信素子12pの音響整合部材13pの受信面13jにおいて受信された超音波は、音響整合部材13pを介して、圧電素子14pに伝達される。圧電素子14pに伝達された超音波は、圧電素子14pにより検出され、電圧信号に変換される。圧電素子14pから出力された電圧信号は、回路素子を経て、ECUに伝達される。回路素子は、圧電素子14pから出力される電圧信号に基づいて演算処理を行う。
【0072】
各受信素子12p〜12rはアレイ状に配置されているため、送受信間の時間差および受信した超音波の各受信素子12p〜12r間での時間差、または位相差を求めることによって、その各差に基づいて、障害物の位置などの測定を行うことができる。
ここで、各受信素子12p〜12r間には、振動減衰部材18が介在しているため、受信素子13p〜13sごとに超音波を分離して伝達し、検出することができるので、良好なクロストーク特性を得ることができ、超音波の検出精度を向上させることができる。
【0073】
(変更例)
本実施形態では、振動減衰部材18により受信面13j及び送信面13sが覆われているが、これに限定されるものではない。
例えば、振動減衰部材18は、受信面13j及び送信面13s近傍の側面において、各音響整合部材13、13p〜13rを固定し、受信面13j及び送信面13sを外部に露出させる構成を採用することもできる。また、この構成において露出した受信面13j及び送信面13sを塗料などの別部材により被覆してもよい。
【0074】
振動分離部材90は、筐体31と一体的に形成することもできる。これによれば、部品点数を低減することができるとともに、振動分離部材90の位置精度を向上させることができる。
更に、図2に示すように、接合層18aを介して、振動減衰部材18と、筐体31及び振動分離部材90とを接合することもできる。これにより、送信素子11及び各受信素子12p〜12rと、筐体31及び振動分離部材90との位置決め精度を確保することができる。接合層18aは、2色成形、熱圧着、レーザ溶着、加硫接着、接着剤などにより形成することができる。
【0075】
振動分離部材90は、音響整合部材側が圧電素子側よりも薄くなるように形成することができる。例えば、図3に示すように、縦断面が台形形状となるように形成することができる。これにより、音響整合部材の振動を阻害しないようにすることができるとともに、振動分離部材90の強度を高めることができる。この構成では、音響整合部材側が圧電素子側よりも薄くなるように形成することができれば、縦断面が台形形状に限定されるものではなく、例えば、厚さが異なる板を組み合わせた段差形状とすることもできる。
【0076】
振動分離部材90は、硬質材料で軟質材料を挟んだ積層構造とすることもできる。例えば、図4に示すように、樹脂材料で形成された芯材90aを金属材料で形成された板材90bで挟み込んだ構成を用いることができる。これにより、板材90bで反射されずに伝達された超音波振動を芯材90aにより減衰させることができるので、振動ノイズを低減することができる。
【0077】
第1緩衝材19の形状は、衝撃の緩衝効果を保持していれば任意である。例えば、圧電素子14p及び積層圧電素子16と筐体31の底面31aとの間にのみ形成することもできるし、筐体31内部の空間をすべて充填することもできる。
【0078】
各音響整合部材13、13p〜13rの形状は、横断面が略正方形の四角柱状に限らず、例えば、円柱でもよい。これによれば、各音響整合部材13、13p〜13rの不要振動を抑制することができる。
【0079】
送信素子及び受信素子の数及び配置は、用途に応じて任意である。例えば、距離検知を行うなら、送信素子と受信素子を1個ずつ配置すればよい。また、角度検知を行うなら、送信素子1個と受信素子2個を配置すればよい。これにより、受信素子を配置した方向の角度検知を行うことができる。
【0080】
[第1実施形態の効果]
(1)第1実施形態の超音波センサ10は、送信素子11に、圧電素子が複数層に積層形成され、超音波を発振する積層圧電素子16を用いているため、高い音圧の超音波を発振することができる。また、振動分離部材90を備えているため、送信素子11から各受信素子12p〜12rに超音波が伝達して発生する振動ノイズを低減することができる。つまり、高い音圧と低い振動ノイズを両立することができる超音波センサ10を実現することができる。
【0081】
(2)第1緩衝材19により外力の負荷から送信素子11及び受信素子12p〜12rを保護することができる。また、振動分離部材90は、第1緩衝材19よりも音響インピーダンスが高い材料により形成されているため、積層圧電素子16から第1緩衝材19を介して伝達される超音波を、振動分離部材90と第1緩衝材19との界面において反射することができる。これにより、送信素子11から高い音圧の超音波を発振しても、送信素子11から受信素子12p〜12rに超音波が伝達して発生する振動ノイズを低減することができる。
【0082】
(3)振動分離部材90を筐体31と一体的に形成する構成では、部品点数を低減することができるとともに、振動分離部材90の位置精度を向上させることができる。また、少なくとも一部が一体で形成させている構成では、位置精度を向上させることができる。
【0083】
(4)振動分離部材90は、音響整合部材側が圧電素子側よりも薄くなるように形成する構成では、音響整合部材の振動を阻害しないようにすることができるとともに、振動分離部材90の強度を高めることができる。
【0084】
(5)振動分離部材90を硬質材料で軟質材料を挟んだ積層構造とする構成では、伝達された超音波振動を芯材90aにより減衰させることができるので、振動ノイズを低減することができる。
【0085】
(6)振動減衰部材18は、送信面13sと受信面13jとを覆って形成されているため、送信素子11及び各受信素子12p〜12rを劣化させる水分など環境因子を遮断することができるので、超音波センサ10の信頼性を向上させることができる。
【0086】
[第2実施形態]
第2実施形態の超音波センサについて、図を参照して説明する。図5は、第2実施形態の超音波センサの縦断面説明図である。図6及び図7は、第2実施形態の超音波センサの変更例の縦断面説明図である。なお、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を使用するとともに説明を省略する。
【0087】
図5に示すように、第2実施形態の超音波センサ20では、第1緩衝材19に重ねて第1緩衝材19よりも低弾性率で音響インピーダンスが小さい材料、例えば、ゲルにより形成された第2緩衝材21が設けられている。第1緩衝材19は、圧電素子14p及び積層圧電素子16と筐体31の底面31aとの間を充填して設けられており、第2緩衝材21は、第1緩衝材19に重ねて圧電素子14p及び積層圧電素子16を覆うように設けられている。
【0088】
この構成によれば、各音響整合部材13、13p〜13rに印加された衝撃は弾性率の高い第1緩衝材19により吸収することができる。また、超音波の振動が大きい各音響整合部材13、13p〜13r側には低弾性率の第2緩衝材21を配置することにより、振動減衰を小さくするとともに、圧電素子14p及び積層圧電素子16を水分などの環境因子から保護することができる。
【0089】
また、送信素子11と受信素子12p〜12rとで、圧電素子側で異なる材質の緩衝材を用いることもできる。図6に示すように、積層圧電素子16側に配置される緩衝材として、第1緩衝材19に代えて、第1緩衝材19よりも弾性率が高い材料により形成された第3緩衝材22を用いることができる。積層形成された積層圧電素子16は駆動力が大きいため、緩衝材による振動減衰の影響を受けにくい。このため、各受信素子12p〜12rに用いられる第1緩衝材19よりも弾性率の高い第3緩衝材22を用いることで、積層圧電素子16から発振した超音波を外部に有効に伝えることができる。
【0090】
更に、図7に示すように、第3緩衝材22の高さを第1緩衝材19に比べて高く形成することもできる。これにより、積層圧電素子16の横方向への揺れを拘束して防ぐことができる。
【0091】
[第2実施形態の効果]
(1)第2実施形態の超音波センサ20では、第1緩衝材19に重ねて第1緩衝材19よりも低弾性率で音響インピーダンスが小さい材料により形成された第2緩衝材21が設けられているため、各音響整合部材13、13p〜13rに印加された衝撃は弾性率の高い第1緩衝材19により吸収することができる。また、超音波の振動が大きい各音響整合部材13、13p〜13r側には低弾性率の第2緩衝材21を配置することにより、振動減衰を小さくするとともに、圧電素子14p及び積層圧電素子16を水分などの環境因子から保護することができる。
【0092】
(2)第1緩衝材19に代えて、第1緩衝材19よりも弾性率が高い材料により形成された第3緩衝材22を用いる構成では、積層圧電素子16から発振した超音波を外部に有効に伝えることができる。
【0093】
(3)第3緩衝材22の高さを第1緩衝材19に比べて高く形成する構成では、積層圧電素子16の横方向への揺れを拘束して防ぐことができる。
【0094】
[第3実施形態]
第3実施形態の超音波センサについて、図を参照して説明する。図8は、第3実施形態の超音波センサの平面説明図である。図8において、図中の下方向に地面が存在する。なお、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を使用するとともに説明を省略する。
【0095】
第3実施形態の超音波センサ30では、送信素子と受信素子とを水平方向にそれぞれ2個ずつ並んで備えており、送信素子または受信素子のいずれかが異なる指向性を有した構成である。図8(A)に示すように、地面に対して水平方向に受信素子12q、12rが並んで配置され、その下方に振動分離部材90により区画されて送信素子11a、11bが水平方向に並んで配置されている。これにより、送信素子11a、11bによる振動ノイズを低減することができる。
【0096】
送信素子11aの音響整合部材13aは、横断面が水平方向に長い長方形となるように形成されている。送信素子の指向性は、送信面の辺の長さが短くなるほど広くなるため、送信素子11aは上下方向に広い指向性を有する。
【0097】
送信素子11aの音響整合部材13aは、横断面が水平方向に長い長方形となるように形成されている。送信素子の指向性は、送信面の辺の長さが短くなるほど広くなるため、送信素子11aは上下方向に広い指向性を有する。
【0098】
送信素子11bの音響整合部材13bは、横断面が上下方向に長い長方形となるように形成されている。このため、送信素子11bは水平方向に広い指向性を有する。
【0099】
このように、送信素子11aと送信素子11bとは異なる指向性を有するため、道路の状況などに応じて使い分けることができる。通常は、送信素子11aと送信素子11bとにより、交互に超音波を送信する。送信素子11aにより超音波を送信した場合には、地表近くの障害物まで検知することができる。送信素子11bにより超音波を送信した場合には、水平方向に広い範囲で障害物を検知することができる。
【0100】
悪路などで地面から大きな反射波があり、送信素子11aにより超音波を送信した場合に障害物の検出が不可能な場合でも、送信素子11bにより超音波を送信することにより障害物を検知することができる。また、水平方向でも同様に、横方向から大きな反射波があり、送信素子11bにより超音波を送信した場合に障害物の検出が不可能な場合でも、送信素子11aにより超音波を送信することにより障害物を検知することができる。このように、送信素子11aと送信素子11bとが補完しあって、広い検出エリアで障害物を感度よく検出することができる。
【0101】
また、図8(B)に示すように、受信素子の指向性を変えることもできる。受信素子12qの音響整合部材13qは、横断面が水平方向に長い長方形となるように形成されているため、受信素子12qは上下方向に広い指向性を有する。受信素子12rの音響整合部材13rは、横断面が上下方向に長い長方形となるように形成されているため、受信素子12qは水平方向に広い指向性を有する。このように、受信素子11aと送信素子11bとは異なる指向性を有するため、図8(A)に示した構成と同様に、道路の状況などに応じて使い分けることができる。
【0102】
本実施形態では、送信素子と受信素子とを水平方向にそれぞれ2個ずつ並んで設けられた場合について例示したが、送信素子または受信素子を複数個備えていれば、異なる指向性を有するように構成することができる。
【0103】
[第3実施形態の効果]
第3実施形態の超音波センサ30は、異なる指向性を有する送信素子の組、または、受信素子の組を備えているため、道路の状況などに応じて指向性を使い分けることにより、広い検出エリアで障害物を感度よく検出することができる。
【0104】
[第4実施形態]
第4実施形態の超音波センサについて、図を参照して説明する。図9は、第4実施形態の超音波センサの縦断面説明図である。図10及び図11は、第4実施形態の超音波センサの変更例の縦断面説明図である。なお、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を使用するとともに説明を省略する。
【0105】
図9に示すように、第4実施形態の超音波センサ40では、振動分離部材90に代えて振動分離部材91が設けられている。この振動分離部材91は、芯材91cをこの芯材91cよりも音響インピーダンスが高い一側部材91aおよび他側部材91bで挟むように積層されて形成されている。
【0106】
この構成によれば、一側部材91aおよび芯材91c間と芯材91cおよび他側部材91b間とにおける音響インピーダンスの差がそれぞれ大きくなるので、各界面において送信素子11からの超音波を反射しやすくなり、振動ノイズを低減することができる。
【0107】
また、振動分離部材91に代えて、図10に示す振動分離部材92を採用してもよい。この振動分離部材92は、一側部材92aと他側部材92bとを貼り合わせて構成される封止空間92cに当該一側部材92aおよび他側部材92bよりも音響インピーダンスが低い被封止部材92dを封止して形成される。なお、封止空間92cは、例えば、一側部材92aの側面に形成された格子状のリブを平板状の他側部材92bの側面に組み合わせることにより形成される。
【0108】
このようにしても、一側部材92aおよび被封止部材92d間と被封止部材92dおよび他側部材間92bとにおける音響インピーダンスの差がそれぞれ大きくなるので、各界面において送信素子11からの超音波を反射しやすくなり、振動ノイズを低減することができる。特に、封止構造であるため、音響インピーダンスが低い空気等の気体やゲル状の物質でも被封止部材92dとして採用することができ、気体は圧縮率が高く、ゲル状物質は減衰定数が大きいことから、伝達される振動を吸収することができる。
【0109】
更に、封止空間92c内に、当該封止空間92c内を複数の区画に区分けするハニカム状の区画部材を設けてもよい。これによれば、振動ノイズを低減するとともに、振動分離部材92の強度をも高めることができる。
【0110】
また、振動分離部材91に代えて、図11に示す振動分離部材93を採用してもよい。この振動分離部材93は、その内部に気泡93aを封止して形成される。これによれば、気泡93aとそれ以外の部分とで音響インピーダンスの差を大きくすることができるので、送信素子11からの超音波を反射しやすくなり、振動ノイズを低減することができる。特に、振動分離部材93の製造過程においてその内部に気泡93aを含むように形成することにより、大きな音響インピーダンスの差を有する振動分離部材93の製造コストを低減することができる。
【0111】
[第4実施形態の効果]
(1)第4実施形態の超音波センサ40では、振動分離部材90に代えて振動分離部材91が設けられおり、この振動分離部材91には、芯材91cをこの芯材91cよりも音響インピーダンスが高い一側部材91aおよび他側部材91bで挟むように積層されて形成されているため、一側部材91aおよび芯材91c間と芯材91cおよび他側部材91b間とにおける音響インピーダンスの差がそれぞれ大きくなるので、各界面において送信素子11からの超音波を反射しやすくなり、振動ノイズを低減することができる。
【0112】
(2)振動分離部材91に代えて、一側部材92aと他側部材92bとを貼り合わせて構成される封止空間92cに当該一側部材92aおよび他側部材92bよりも音響インピーダンスが低い被封止部材92dを封止して形成される振動分離部材92を用いる構成では、一側部材92aおよび被封止部材92d間と被封止部材92dおよび他側部材間92bとにおける音響インピーダンスの差がそれぞれ大きくなるので、各界面において送信素子11からの超音波を反射しやすくなり、振動ノイズを低減することができる。特に、封止構造であるため、音響インピーダンスが低い空気等の気体やゲル状の物質でも被封止部材92dとして採用することができ、気体は圧縮率が高く、ゲル状物質は減衰定数が大きいことから、伝達される振動を吸収することができる。
【0113】
(3)更に、封止空間92c内に、当該封止空間92c内を複数の区画に区分けするハニカム状の区画部材を設けることにより、振動ノイズを低減するとともに、振動分離部材92の強度をも高めることができる。
【0114】
(4)振動分離部材91に代えて、その内部に気泡93aを封止して形成される振動分離部材93を用いる構成では、気泡93aとそれ以外の部分とで音響インピーダンスの差を大きくすることができるので、送信素子11からの超音波を反射しやすくなり、振動ノイズを低減することができる。特に、振動分離部材93の製造過程においてその内部に気泡93aを含むように形成することにより、大きな音響インピーダンスの差を有する振動分離部材93の製造コストを低減することができる。
【0115】
[第5実施形態]
第5実施形態の超音波センサについて、図を参照して説明する。図12は、第5実施形態の超音波センサの縦断面説明図である。なお、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を使用するとともに説明を省略する。
【0116】
図12に示すように、第5実施形態の超音波センサ50では、筐体31および振動分離部材90に代えて筐体31bおよび振動分離部材94が設けられている。筐体31bの底面には振動分離部材94の一部が挿通可能なスリット31cが形成されており、振動分離部材94は、その一部(以下、突出部94aともいう)が筐体31bのスリット31cを挿通して外方に突出するように形成されている。この突出部94aには、当該突出部94aの振動を減衰して抑制するための振動抑制部材として機能するゴム状の弾性部材51が取り付けられている。なお、ゴム状の弾性部材51に代えて、例えば、ゲル状の部材を突出部94aに取り付けてもよい。
【0117】
この構成によれば、振動分離部材94の共振周波数を低下させるとともに、このように突出する突出部94aにより振動を外部に引き出して減衰させることができるので、振動ノイズを低減することができる。また、弾性部材51により、突出部94aに伝達される振動を効果的に減衰することができるので、振動ノイズをより低減することができる。
【0118】
[第5実施形態の効果]
(1)第5実施形態の超音波センサ50では、筐体31および振動分離部材90に代えて筐体31bおよび振動分離部材94が設けられており、振動分離部材94は、その突出部94aが筐体31bのスリット31cを挿通して外方に突出するように形成されているため、振動分離部材94の共振周波数を低下させるとともに、このように突出する突出部94aにより振動を外部に引き出して減衰させることができるので、振動ノイズを低減することができる。
【0119】
(2)更に、突出部94aには、当該突出部94aの振動を減衰して抑制するための弾性部材51が取り付けられているため、弾性部材51により、突出部94aに伝達される振動を効果的に減衰することができるので、振動ノイズをより低減することができる。
【0120】
[第6実施形態]
第6実施形態の超音波センサについて、図を参照して説明する。図13は、第6実施形態の超音波センサの縦断面説明図である。なお、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を使用するとともに説明を省略する。
【0121】
図13に示すように、第6実施形態の超音波センサ60では、振動分離部材90の振動を減衰させる振動減衰手段として機能するノイズキャンセル用アクチュエータ61が振動分離部材90と筐体31の底面31aとの間に配置されている。このアクチュエータ61は、ワイヤ61aを介して対応する回路素子(図示せず)に電気的に接続されており、検出される振動分離部材90の振動に対する逆位相の振動を振動分離部材90に与えることにより当該振動分離部材90の振動を減衰させる。
【0122】
この構成によれば、アクチュエータ61によって逆位相の振動を与えることにより振動分離部材90の振動を減衰させることができるので、振動ノイズを低減することができる。また、このような振動減衰手段を各受信素子12p、12q、12rの裏面に配置してその振動に対する逆位相の振動を当該各受信素子12p、12q、12rに与えることにより、当該各受信素子12p、12q、12rの振動を減衰させることもできる。また、アクチュエータ61は、送信素子11が送信する超音波に応じて振動分離部材90に与える振動を調整してもよい。
【0123】
[第6実施形態の効果]
第6実施形態の超音波センサ60では、振動分離部材90の振動に対する逆位相の振動をこの振動分離部材90に与えることにより当該振動分離部材90の振動を減衰させるアクチュエータ61を設けているため、アクチュエータ61によって逆位相の振動を与えることにより振動分離部材90の振動を減衰させることができるので、振動ノイズを低減することができる。
【0124】
[第7実施形態]
第7実施形態の超音波センサについて、図を参照して説明する。図14は、第7実施形態の超音波センサの説明図である。図14(A)は、超音波センサを音響整合部材側から見た平面説明図であり、図14(B)は、図14(A)のA−A矢視断面図である。なお、第1実施形態に対して、受信素子12pを1つ採用する構成について示しているが、第1実施形態と同様に3つの受信素子12p、12q、12rを採用する構成に適用することもできる。また、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を使用するとともに説明を省略する。
【0125】
図14(A),(B)に示すように、第7実施形態の超音波センサ70では、振動分離部材90に代えて振動分離部材95が設けられている。この振動分離部材95は、その側面が凹凸状に形成されている。
【0126】
この構成によれば、その凹凸形状に応じて振動分離部材95の共振周波数を変更することができるので、振動分離部材95の共振を抑制することができる。
【0127】
[第7実施形態の効果]
第7実施形態の超音波センサ70では、振動分離部材95の側面が凹凸状に形成されているため、その凹凸形状に応じて振動分離部材95の共振周波数を変更することができるので、振動分離部材95の共振を抑制することができる。
【0128】
[第8実施形態]
第8実施形態の超音波センサについて、図を参照して説明する。図15は、第8実施形態の超音波センサの説明図である。図15(A)は、超音波センサを音響整合部材側から見た平面説明図であり、図15(B)は、図15(A)のA−A矢視断面図である。なお、第1実施形態に対して、受信素子12pを1つ採用する構成について示しているが、第1実施形態と同様に3つの受信素子12p、12q、12rを採用する構成に適用することもできる。また、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を使用するとともに説明を省略する。
【0129】
図15(A),(B)に示すように、第8実施形態の超音波センサ80では、振動分離部材90に代えて振動分離部材96が設けられている。この振動分離部材96は、その周縁部96aにて筐体31に支持されており、この周縁部96aの厚さが中央部96bの厚さに対して薄くなるように形成されている。
【0130】
この構成によれば、送信素子11からの振動が振動分離部材96に伝達されるとき、比較的厚さの薄い周縁部96aのみが振動し、この周縁部96aを除く中央部96bは送信素子11および各受信素子12p,12q、12rの側面に対して平面として平行に往復動するだけなので、各受信素子12p,12q、12rへの振動による影響を抑制することができる。
【0131】
[第8実施形態の効果]
第8実施形態の超音波センサ80では、振動分離部材96は、筐体31に支持される周縁部96aの厚さが中央部96bの厚さに対して薄くなるように形成されているため、送信素子11からの振動が振動分離部材96に伝達されるとき、比較的厚さの薄い周縁部96aのみが振動し、この周縁部96aを除く中央部96bは送信素子11および各受信素子12p,12q、12rの側面に対して平面として平行に往復動するだけなので、各受信素子12p,12q、12rへの振動による影響を抑制することができる。
【0132】
[第9実施形態]
第9実施形態の超音波センサについて、図を参照して説明する。図16は、第9実施形態の超音波センサの説明図である。図16(A)は、超音波センサを音響整合部材側から見た平面説明図であり、図16(B)は、図16(A)のA−A矢視断面図である。なお、第1実施形態に対して、受信素子12pを1つ採用する構成について示しているが、第1実施形態と同様に3つの受信素子12p、12q、12rを採用する構成に適用することもできる。また、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を使用するとともに説明を省略する。
【0133】
図16(A),(B)に示すように、第9実施形態の超音波センサ80aでは、振動分離部材90の受信素子側の側面に複数の補強部材97が等間隔に設けられている。この構成によれば、各補強部材97により振動分離部材90が補強されて当該振動分離部材90の強度を高めることができる。なお、補強部材97は、例えば、振動分離部材90の送信素子側の側面に設けられてもよいし、他の部位に設けられてもよい。
【0134】
また、補強部材97は、振動分離部材90の側面に対してハニカム状に形成されてもよい。これによれば、補強部材97による振動分離部材90の強度をさらに高めることができる。
【0135】
[第9実施形態の効果]
(1)第9実施形態の超音波センサ80aでは、振動分離部材90の受信素子側の側面に複数の補強部材97が設けられているため、振動分離部材90による振動ノイズの低減とともに、当該振動分離部材90の強度をも高めることができる。
【0136】
(2)更に、補強部材97を振動分離部材90の側面に対してハニカム状に形成することにより、補強部材97による振動分離部材90の強度をさらに高めることができる。
【0137】
[第10実施形態]
第10実施形態の超音波センサについて、図を参照して説明する。図17は、第10実施形態の超音波センサの説明図である。図17(A)は、超音波センサを音響整合部材側から見た平面説明図であり、図17(B)は、図17(A)のA−A矢視断面図である。なお、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を使用するとともに説明を省略する。
【0138】
図17(A),(B)に示すように、第10実施形態の超音波センサ80bでは、振動減衰部材18には、送信素子11の音響整合部材13と各受信素子12p,12q,12rの音響整合部材13p,13q,13rとの間であって振動分離部材90の両側にて当該振動分離部材90に沿うように切欠部18bが形成されている。
【0139】
この構成によれば、音響整合部材13からの振動が振動減衰部材18を介して音響整合部材13p,13q,13rに伝達されるまでに切欠部18bにて分散されるので、振動ノイズを低減することができる。なお、切欠部18bは、振動分離部材90のどちらか一方の側のみに形成されてもよいし、複数形成されてもよい。また、切欠部18bは、振動分離部材90に沿うように形成されることに限らず、複数箇所断続的に形成されてもよい。
【0140】
[第10実施形態の効果]
第10実施形態の超音波センサ80bでは、振動減衰部材18には、音響整合部材13と音響整合部材13p,13q,13rとの間に切欠部18bが形成されているため、音響整合部材13からの振動が振動減衰部材18を介して音響整合部材13p,13q,13rに伝達されるまでに切欠部18bにて分散されるので、振動ノイズを低減することができる。
【0141】
[第11実施形態]
第11実施形態の超音波センサについて、図を参照して説明する。図18は、第11実施形態の超音波センサの平面説明図である。図19および図20は、第11実施形態の超音波センサの変更例の平面説明図である。図18〜図20において、図中の下方向に地面が存在する。なお、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を使用するとともに説明を省略する。
【0142】
図18に示すように、第11実施形態の超音波センサ80cでは、送信素子11を1つと受信素子12p,12qを2つ備え、各受信素子12p,12qは、送信素子11および振動分離部材90に対する離間距離が互いに等しくなるように配置されている。
【0143】
この構成によれば、各受信素子12p,12qには同一のタイミングで送信素子11による振動の影響がでることとなるので、信号処理をすることで容易に振動ノイズを低減することができる。また、図19に示すように、受信素子を複数(12p,12q、12r、12s)設け、各受信素子は、送信素子11および振動分離部材90に対する離間距離が互いに等しくなるように配置されてもよい。
【0144】
また、図20に示すように、送信素子11を1つと受信素子12を複数備え、振動分離部材90に代えてハニカム状に形成される振動分離部材98を採用し、この振動分離部材98により筐体31内を複数の区画に区分けし、送信素子11は中央の区画98a内に配置されるとともに、各受信素子12は、中央の区画98aに隣接する他の区画98b〜98g内にて送信素子11に対する離間距離が互いに等しくなるようにそれぞれ個別に配置されてもよい。これによれば、振動ノイズを低減することに加えて、振動分離部材98がハニカム状に形成されているので、振動分離部材98の強度を高めることができる。
【0145】
[第11実施形態の効果]
(1)第11実施形態の超音波センサ80cでは、送信素子11を1つと受信素子を複数備え、各受信素子は、送信素子11および振動分離部材90に対する離間距離が互いに等しくなるように配置されているため、各受信素子には同一のタイミングで送信素子11による振動の影響がでることとなるので、信号処理をすることで容易に振動ノイズを低減することができる。
【0146】
(2)更に、ハニカム状に形成される振動分離部材98により筐体31内を複数の区画に区分けし、送信素子11は中央の区画98a内に配置されるとともに、各受信素子は、中央の区画98aに隣接する他の区画98b〜98g内にて送信素子11に対する離間距離が互いに等しくなるようにそれぞれ個別に配置されるため、振動ノイズを低減することに加えて、振動分離部材98がハニカム状に形成されているので、振動分離部材98の強度を高めることができる。
【0147】
[その他の実施形態]
本発明の超音波センサは、自動車の障害物センサ以外にも、ロボットなどの衝撃が印加される可能性が高い部分に搭載し、周辺の障害物を検知する超音波センサとして用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0148】
【図1】第1実施形態の超音波センサの説明図である。図1(A)は、超音波センサを音響整合部材側から見た平面説明図であり、図1(B)は、図1(A)のA−A矢視断面図である。
【図2】振動分離部材が筐体と一体的に形成された構成を示す縦断面説明図である。
【図3】振動分離部材の変更例を示す縦断面説明図である。
【図4】振動分離部材の変更例を示す縦断面説明図である。
【図5】第2実施形態の超音波センサの縦断面説明図である。
【図6】第2実施形態の超音波センサの変更例の縦断面説明図である。
【図7】第2実施形態の超音波センサの変更例の縦断面説明図である。
【図8】第3実施形態の超音波センサの平面説明図である。
【図9】第4実施形態の超音波センサの縦断面説明図である。
【図10】第4実施形態の超音波センサの変更例の縦断面説明図である。
【図11】第4実施形態の超音波センサの変更例の縦断面説明図である。
【図12】第5実施形態の超音波センサの縦断面説明図である。
【図13】第6実施形態の超音波センサの縦断面説明図である。
【図14】第7実施形態の超音波センサの説明図である。図14(A)は、超音波センサを音響整合部材側から見た平面説明図であり、図14(B)は、図14(A)のA−A矢視断面図である。
【図15】第8実施形態の超音波センサの説明図である。図15(A)は、超音波センサを音響整合部材側から見た平面説明図であり、図15(B)は、図15(A)のA−A矢視断面図である。
【図16】第9実施形態の超音波センサの説明図である。図16(A)は、超音波センサを音響整合部材側から見た平面説明図であり、図16(B)は、図16(A)のA−A矢視断面図である。
【図17】第10実施形態の超音波センサの説明図である。図17(A)は、超音波センサを音響整合部材側から見た平面説明図であり、図17(B)は、図17(A)のA−A矢視断面図である。
【図18】第11実施形態の超音波センサの平面説明図である。
【図19】第11実施形態の超音波センサの変更例の平面説明図である。
【図20】第11実施形態の超音波センサの変更例の平面説明図である。
【符号の説明】
【0149】
10、20、30、40、50、60、70、80、80a〜80c 超音波センサ
11、11a、11b 積層圧電素子
12p、12q、12r 音響整合部材
13 音響整合部材(第1の音響整合部材)
13p 音響整合部材(第2の音響整合部材)
13j 受信面
13s 送信面
14p 圧電素子
16 積層圧電素子
18 振動減衰部材
18b 切欠部
19 第1緩衝材
21 第2緩衝材
22 第3緩衝材
31 筐体
31a 底面
90〜98 振動分離部材
90a 芯材
90b 板材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電素子が複数層に積層形成され、超音波を発振する積層圧電素子と、前記積層圧電素子により発振された超音波を伝達する第1の音響整合部材とを備え、被検出体に対して超音波の送信を行う送信素子と、
前記被検出体にて反射された超音波を検出する圧電素子と、前記圧電素子に前記被検出体にて反射された超音波を伝達する第2の音響整合部材とを備え、前記被検出体にて反射された超音波の受信を行う受信素子と、をそれぞれ少なくとも1個備え、前記送信素子と前記受信素子とがアレイ状に配置されており、
前記送信素子と前記受信素子とを収容し、少なくとも所定の物体に配置するための一端が開口した箱状に形成された筐体と、
前記各音響整合部材と前記筐体の開口部との間に介在して設けられ、前記音響整合部材を前記筐体に固定するとともに、前記各音響整合部材の間で伝達する振動を減衰させる振動減衰部材と、
前記送信素子と隣接する受信素子との間に設けられ、前記筐体の内部を前記送信素子を囲んで区画し、前記送信素子から前記受信素子への超音波振動の伝達を低減する振動分離部材と、
を備えたことを特徴とする超音波センサ。
【請求項2】
前記圧電素子及び前記積層圧電素子と前記筐体の底面及び内側面との間に介在して設けられ、前記送信素子及び前記受信素子を外力の負荷から保護する第1の緩衝材を備え、
前記振動分離部材は、前記第1の緩衝材よりも音響インピーダンスが高い材料により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の超音波センサ。
【請求項3】
前記振動分離部材は、前記筐体と少なくとも一部が一体的に形成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の超音波センサ。
【請求項4】
前記振動分離部材は、前記音響整合部材側が前記圧電素子側よりも薄くなるように形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の超音波センサ。
【請求項5】
前記振動分離部材は、芯材をこの芯材よりも弾性率の高い材料で挟んで形成された積層構造を有することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の超音波センサ。
【請求項6】
前記振動分離部材は、芯材をこの芯材よりも音響インピーダンスが高い一側部材および他側部材で挟んで形成された積層構造を有することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の超音波センサ。
【請求項7】
前記振動分離部材は、一側部材と他側部材とを貼り合わせて構成される封止空間に当該一側部材および他側部材よりも音響インピーダンスが低い被封止部材を封止して形成されることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の超音波センサ。
【請求項8】
前記封止空間内には、当該封止空間内を複数の区画に区分けするハニカム状の区画部材が設けられることを特徴とする請求項7に記載の超音波センサ。
【請求項9】
前記振動分離部材は、その内部に気泡を封止して形成されることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の超音波センサ。
【請求項10】
前記第1の緩衝材よりも弾性率が低い材料により、前記第1の緩衝材に重ねて設けられ、前記圧電素子及び前記積層圧電素子とを覆うように形成された第2の緩衝材を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1つに記載の超音波センサ。
【請求項11】
前記積層圧電素子側に設けられている前記第1緩衝材に代えて、前記第1緩衝材よりも弾性率が高い材料により形成された第3の緩衝材を用いることを特徴とする請求項10に記載の超音波センサ。
【請求項12】
前記第3の緩衝材は、前記第1の緩衝材よりも高く形成されており、前記第1の緩衝材が前記圧電素子を覆う高さより、前記第3の緩衝材が前記積層圧電素子を覆う高さの方が大きくなるように形成されていることを特徴とする請求項11に記載の超音波センサ。
【請求項13】
前記振動減衰部材は、前記第1の音響整合部材の超音波を送信する送信面と、前記第2の音響整合部材の超音波を受信する受信面とを覆って形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項12のいずれか1つに記載の超音波センサ。
【請求項14】
異なる指向性を有する送信素子の組、または、受信素子の組を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項13のいずれか1つに記載の超音波センサ。
【請求項15】
前記振動分離部材は、その一部が前記筐体の他端から外方に突出するように形成されることを特徴とする請求項1ないし請求項14のいずれか1つに記載の超音波センサ。
【請求項16】
前記筐体の他端から外方に突出する前記振動分離部材の一部には、この部位の振動を減衰して抑制するための振動抑制部材が設けられることを特徴とする請求項15に記載の超音波センサ。
【請求項17】
前記振動分離部材の振動に対する逆位相の振動をこの振動分離部材に与えることにより当該振動分離部材の振動を減衰させる振動減衰手段を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項16のいずれか1つに記載の超音波センサ。
【請求項18】
前記振動分離部材は、その側面が凹凸状に形成されることを特徴とする請求項1ないし請求項17のいずれか1つに記載の超音波センサ。
【請求項19】
前記振動分離部材は、その周縁部にて前記筐体に支持されており、この周縁部の厚さが中央部の厚さに対して薄くなるように形成されることを特徴とする請求項1ないし請求項17のいずれか1つに記載の超音波センサ。
【請求項20】
前記振動分離部材には、その側面に補強部材が設けられることを特徴とする請求項1ないし請求項17のいずれか1つに記載の超音波センサ。
【請求項21】
前記補強部材は、前記振動分離部材の側面に対してハニカム状に形成されることを特徴とする請求項20に記載の超音波センサ。
【請求項22】
前記振動減衰部材には、前記第1の音響整合部材と前記第2の音響整合部材との間に1または複数の切欠部が形成されることを特徴とする請求項1ないし請求項21のいずれか1つに記載の超音波センサ。
【請求項23】
前記送信素子を1つと前記受信素子を複数備え、
前記各受信素子は、前記送信素子および前記振動分離部材に対する離間距離が互いに等しくなるように配置されることを特徴とする請求項1ないし請求項22のいずれか1つに記載の超音波センサ。
【請求項24】
前記送信素子を1つと前記受信素子を複数備え、
前記振動分離部材は、ハニカム状に形成されて前記筐体内を複数の区画に区分けし、
前記送信素子は中央の区画内に配置されるとともに、前記各受信素子は、前記中央の区画に隣接する他の区画内にて前記送信素子に対する離間距離が互いに等しくなるようにそれぞれ個別に配置されることを特徴とする請求項1ないし請求項22のいずれか1つに記載の超音波センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2009−225419(P2009−225419A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−276998(P2008−276998)
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【Fターム(参考)】