超音波センサ
【課題】 車両の意匠を損なうことなく、誤検知の少ない検知エリアを設定することができる超音波センサを提供する。
【解決手段】 車両3のバンパー31に設けられ、超音波を送受波することで検知エリア内の障害物の存在を検知する車両用障害物検知器1に用いられ、圧電基板が振動することにより超音波を送受波する圧電素子21と、圧電素子21が一面22aに接合される板状の音響整合層22と、音響整合層22を一面22aから支持し、内部に充填材26を注入して圧電素子21を封止して収納する振動ケース23とを備え、バンパー31に穿孔された取付孔31aに挿設され、音響整合層22の他面22bは、圧電素子21と接合している一面22aに対して傾斜した傾斜面で構成され、バンパー31の外面と平行に形成する。
【解決手段】 車両3のバンパー31に設けられ、超音波を送受波することで検知エリア内の障害物の存在を検知する車両用障害物検知器1に用いられ、圧電基板が振動することにより超音波を送受波する圧電素子21と、圧電素子21が一面22aに接合される板状の音響整合層22と、音響整合層22を一面22aから支持し、内部に充填材26を注入して圧電素子21を封止して収納する振動ケース23とを備え、バンパー31に穿孔された取付孔31aに挿設され、音響整合層22の他面22bは、圧電素子21と接合している一面22aに対して傾斜した傾斜面で構成され、バンパー31の外面と平行に形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を利用して物体を検知する車両用障害物検知器に使用する超音波センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
超音波センサは、車両のバンパー等に搭載され、超音波マイクから超音波を間欠的に送波し、検知エリア内に存在する障害物からの反射波を受波することで障害物を検知する車両用障害物検知器等に用いられている。また、超音波センサは、検知エリアが限定できることや距離が測定できるという特徴をもっている。しかし、超音波は広い指向性を有するため、最大でも2m程度の距離までの検知エリアで使用するシステムが一般的である。しかし、車両用障害物検知器としては、さらに長距離までの検知エリアを有する超音波センサが望まれていた。
【0003】
図8(a)(b)に、超音波センサ11´を備えた車両用障害物検知器1の概略構成と検知エリアを示す。図8(a)は、車両3の上面図であり、車両用障害物検知器1のブロック構成図と、車両3の水平方向の検知エリアAhを示している。図8(b)は、車両3の側面図であり、車両3の上下方向の検知エリアAvを示している。
【0004】
車両用障害物検知器1は、超音波センサ11´と、コントローラ部12と、表示部13とで構成されている。超音波センサ11´は、超音波マイク2´を備えており、車両3後方のバンパー31の両側方部に設けられている。表示部13は、ブザーやLED等で使用者に検知エリア内の障害物の存在を報知する。コントローラ部12は、超音波センサ11´が送受波する超音波を監視制御すると共に、表示部13に検知結果を出力する。
【0005】
車両用障害物検知器1の動作を説明する。まず、コントローラ部12が間欠的に超音波パルス信号を生成して超音波センサ11´に出力する。超音波センサ11´は超音波パルス信号を増幅し、超音波マイク2´が超音波を送波する。そして、検知エリア内に障害物が存在した場合、超音波マイク2´が障害物からの反射波を受波し、超音波センサ11´が受波した超音波パルス信号を増幅して、コントローラ部12に出力する。そして、コントローラ部12は、超音波を送波してから受波するまでの時間差に基づいて、障害物までの距離を算出する。障害物が所定の範囲内に存在すれば、コントローラ部12は表示部13に検知信号を出力し、表示部13が使用者に障害物の存在を報知するものである。
【0006】
超音波を用いる原理上、検知対象となる障害物によって、検知エリアは異なり、図8(a)(b)に示した検知エリアは、Φ60のプラスチック円柱(図示なし)を検知対象とした場合の検知エリアである。
【0007】
次に、超音波を送受波する超音波マイク2´について説明する。従来、広がり振動モードを利用した圧電素子21を用いた超音波マイク2´が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0008】
図9(a)〜(c)に超音波マイク2´の概略構成図を示す。図9(a)は超音波マイク2´の上面図、(b)は超音波マイク2´のA−A´断面図、(c)は超音波マイク2´のB−B´断面図である。
【0009】
超音波マイク2´は、圧電素子21と、音響整合層22と、振動ケース23と、コネクタ25と、充填材26とで構成されている。圧電素子21は、圧電基板(図示なし)が広がり振動を行う円筒形状で形成されている。音響整合層22は、円筒形状で一面22aと他面22bは平行に形成されており、一面22aに圧電素子21が接合されている。音響整合層22は、圧電素子21の音響インピーダンスと、空気の音響インピーダンスの差によって、境界面に生じる反射を抑制し、超音波の送受信効率を高めている。また、音響整合層22の一面22aの周縁に、圧電素子21を取り囲むように、リング状の振動ケース23が接合され、音響整合層22を支持している。また、圧電素子21の一面21aおよび他面21bからリード線24a、24bが引き出され、コネクタ25に接続されている。そして、振動ケース23の内側に充填材26が充填され、圧電素子21が封止されている。
【0010】
上記の構成で、コネクタ25から超音波パルス信号が入力されると、圧電素子21が振動し、音響整合層22を介して、音響整合層22の他面22bから超音波が出力される。また、音響整合層22と接合している圧電素子21の一面21aの法線方向が送波方向として超音波が送波される。なお、圧電素子21は、厚み振動モードを利用するものでもよい。
【0011】
図10(a)〜(c)に、上記の超音波マイク2´を用いて構成される超音波センサ11´の概略構成図を示す。図10(a)は超音波センサ11´の上面図、(b)は超音波センサ11´のA−A´断面図、(c)は超音波センサ11´のB−B´断面図である。超音波センサ11´は、上記の超音波マイク2´を固定する保持ゴム111と、コントローラ部12および超音波マイク2´から出力される超音波パルス信号を増幅する電子回路部112と、超音波マイク2´と保持ゴム111と電子回路部112とを収納し、車両3のバンパー31の取付孔31aに係止するハウジング113と、電子回路部112とコントローラ部12とを接続する信号線114およびコネクタ115とで構成されている。
【0012】
保持ゴム111は、有底円筒状に形成されており、超音波マイク2´が嵌め込まれ、超音波マイク2´の外面と保持ゴム111の内面とが当接することによって、超音波マイク2´を保持している。
【0013】
電子回路部112は、信号線114およびコネクタ115を介して、コントローラ部12から出力される超音波パルス信号を増幅する。そして、コネクタ25およびリード線24a、24bを介して、増幅した超音波パルス信号を圧電素子21に出力することで、圧電素子21から超音波が送波される。また、検知エリア内に障害物が存在した場合、障害物によって反射した超音波を圧電素子21が受波し、受波した超音波パルス信号を電子回路部112が増幅して、コントローラ部12へ出力している。そして、コントローラ部12が超音波を送波してから受波するまでの時間差に基づいて、障害物までの距離を算出している。
【0014】
ハウジング113は、直方体形状のハウジング後部113aと、ハウジング後部113aの一面から一体に延設された略筒状のハウジング前部113bと、ハウジング前部113bの開口部周縁に突設された鍔部113cとからなる。ハウジング後部113aは、直方体形状の内部に電子回路部112を収納している。ハウジング前部113bは、超音波マイク2´を保持した保持ゴム111が嵌め込まれており、保持ゴム111の外面とハウジング前部113bの内面とが当接することで、保持ゴム111を収納している。鍔部113cは、ハウジング前部113bの開口部周縁から外側へ向かって突設されている。また、ハウジング113の鍔部113cと、保持ゴム111の開口部周縁と、超音波マイク2´の音響整合層22の他面22bとで構成される超音波センサ前面11aは、互いに面一に形成されている。
【0015】
バンパー31には、表裏に貫通するように穿孔された取付孔31aが設けられている。取付孔31aの外径は、ハウジング後部113aおよびハウジング前部113bの外径と略同じ大きさである。そして、バンパー31の表面側から、取付孔31aに超音波センサ11´を挿入し、ハウジング113の鍔部113cによって、バンパー31に超音波センサ11´が係止される。したがって、バンパー31の外面から超音波センサ11´が鍔部113cの高さ分のみ、突出していることとなる。鍔部113cは薄く形成されており、超音波センサ前面11aとバンパー31の外面とが平行に形成されている。
【0016】
上記の構成で、コントローラ部12から電子回路部112へ間欠的に超音波パルス信号が出力されると、電子回路部112は超音波パルス信号を増幅して、超音波マイク2´へ出力する。そして、超音波マイク2´の圧電素子21が振動し、音響整合層22の他面22bから超音波が送波される。超音波の送波方向は、圧電素子21の一面21aの法線方向、つまり、バンパー31の外面に対して法線方向に超音波が送波される。そして、検知エリアに障害物が存在した場合、障害物の反射波を超音波マイク2´が受波し、電子回路部112が超音波パルス信号を増幅して、コントローラ部12に出力する。コントローラ部12は、超音波を送波してから受波するまでの時間差に基づいて、障害物までの距離を算出する。障害物が所定の距離内に存在する場合、コントローラ部12は、表示部13に検知信号を出力し、表示部13が使用者に障害物の存在を報知する。
【0017】
次に、超音波センサ11´が障害物の存在を検知することができる検知エリアについて説明する。検知エリアは、超音波の送波方向、指向角および検知距離によって、決定される。図8(a)において、車両3の水平方向の検知エリアAhが、車幅3aより外側の領域が含まれていると、衝突するおそれがない障害物を検知することとなり、使用者に不要な報知が行われる不具合が発生する。また、図8(b)において、車両3の上下方向の検知エリアAvに、路面が含まれていると、路面を障害物と検知してしまう不具合が発生する。
【0018】
そこで、3つの超音波センサ11´を略等間隔に設け、中央に設けた超音波センサ11´の検知距離を、両側部に設けた超音波センサ11´の検知距離より長くすることで、車幅3aの外側の領域を検地しない超音波センサ11´が提案されている(例えば、特許文献2)。超音波センサ11´の検知エリアは近距離で狭く、遠距離になるにつれて広くなる特性を考慮し、両側部に設けた検知距離の短い超音波センサ11´で近距離の領域のみ検知し、中央に設けた検知距離の長い超音波センサ11´で遠距離の領域を検知している。それによって、両側部に設けた超音波センサ11´で近距離の車幅3a内の領域のみ検知し、中央に設けた超音波センサ11´で遠距離の車幅3a内の領域を検知している。
【0019】
また、超音波マイク2´の音響整合層22の他面22bの周縁に面取りを施して傾斜面を形成することで、超音波の指向角を調整した超音波センサ11´が提案されている(例えば、特許文献3)。音響整合層22の他面22bの周縁に施した面取りの寸法を大きくなるにしたがって、超音波の指向角が増加し、面取りの寸法を小さくするにしたがって、超音波の指向角が低減する。このように、音響整合層22の他面22bの周縁に施した面取りの寸法を変化させることによって、超音波の指向角を調整することができる。したがって、車両3に超音波センサ11´を設置時に、超音波の指向角を調整して、車幅3aの外側の領域や路面を検知しないようにすることができる。
【0020】
また、超音波マイク2´の音響整合層22において、一方向の両端部の厚さが中央部の厚さよりも薄く、直交する他方向の厚さを均一に形成することで、超音波の水平方向と上下方向の指向角度を調整した超音波センサ11´が提案されている(例えば、特許文献4)。音響整合層22の厚みを上記のように形成することによって、一方向の超音波の指向角度を狭く、他方向の超音波の指向角度を広くすることができる。そして、一方向が車両3の上下方向に、他方向が車両3の水平方向となるように超音波マイク2´をバンパー31に設けることによって、指向角度が広い他方向側で、水平方向の車幅3a内の領域を検知する。また、指向角度が狭い一方向側で上下方向を検知するので、路面を検知しないようにすることができる。
【0021】
このように、特許文献2〜4の超音波センサは、超音波の検知距離または指向角を調整することで検知エリアを設定し、車幅3aの外の領域や路面を検知しないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特許第2651140号公報
【特許文献2】特公平3−42635号公報
【特許文献3】特開昭64−85000号公報
【特許文献4】特開2003−163995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
しかし、上記で説明した従来の超音波センサは、バンパー31の外面が湾曲や傾斜している場合、超音波の送波方向が車両3の前後方向3bからずれることとなる。
【0024】
図11(a)(b)に、バンパー31が車両3の水平方向に対して湾曲している場合の検知エリアを示す。図11(a)は水平方向の検知エリアAh、(b)は上下方向の検知エリアAvを示している。
【0025】
図11(a)に示すように、車両3の水平方向において、超音波センサ11´設置箇所のバンパー31の外面が、車両3の前後方向3bに直交する左右方向3cに対して、角度α傾いているとする。上記で説明したように、超音波センサ前面11aとバンパー31の外面とが平行となるように超音波センサ11´を設置した場合、水平方向における超音波の送波方向Hは、車両3の前後方向3bに対して側方側へ角度α傾くこととなる。それによって、水平方向の検知エリアAhに、車幅3aの外側の領域が含まれることになり、衝突するおそれがない障害物を検知して、使用者に不要な報知が行われる不具合が発生する。また、超音波の送波方向Hが、車両3の前後方向3bに対して側方側へ傾くことによって、車両3の後方において、2個の超音波マイク2´の水平方向の検知エリアAhの間に隙間が発生し、障害物を検知できない領域が存在することとなる。
【0026】
また、車両3の上下方向に対して傾斜や湾曲しているバンパー31に設置した場合、超音波の送波方向は、車両3の前後方向3bに対して下方側または上方側へ傾くこととなる。
【0027】
図12(a)(b)に、バンパー31が車両3の上下方向に湾曲している場合の検知エリアを示す。図12(a)は水平方向の検知エリアAh、(b)は上下方向の検知エリアAvを示している。
【0028】
図12(b)に示すように、車両3の上下方向において、超音波センサ11´設置箇所のバンパー31の外面が、車両3の上下方向に対して、角度β下方側へ傾いているとする。上記で説明したように、超音波センサ前面11aとバンパー31の外面とが平行となるように超音波センサ11´を設置した場合、上下方向における超音波の送波方向Vは、車両3の前後方向3bに対して下方側へ角度β傾くこととなる。それによって、上下方向の検知エリアAvに、路面が含まれることとなり、使用者に不要な報知が行われる不具合が発生する。
【0029】
そこで、傾斜角αで傾斜したバンパー31に、従来の超音波センサ11´を設置する場合、超音波センサ前面11aが前後方向3bに対向するように、超音波センサ11´の設置方向を調整して設置することで、上記の問題を解消することができる。図13(a)〜(c)に、従来の超音波センサ11´を傾斜したバンパー31に設置したときの概略構成図を示す。図13(a)は超音波センサ11´の上面図、(b)は超音波センサ11´のA−A´断面図、(c)は超音波センサ11´のB−B´断面図である。
【0030】
しかし、このように超音波センサ11´を設置した場合、図13(b)に示すように超音波センサ前面11aとバンパー31の外面とを平行に構成することができない。また、ハウジング113の鍔部113cの厚みがAからA´に向かうにつれて大きくなり、バンパー31に対する超音波センサ11´の突出量が増加することになる。したがって、超音波センサ11´がバンパー31に対して外観的に目立つことになり、バンパー31の意匠が損なわれる。
【0031】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両の意匠を損なうことなく、誤検知の少ない検知エリアを設定することができる超音波センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0032】
請求項1の発明は、車両側面の設置面に設けられ、超音波を送受波することで検知エリア内の障害物の存在を検知する車両用障害物検知器に用いられ、圧電基板が振動することにより超音波を送受波する圧電素子と、当該圧電素子が一面側に接合される板状の音響整合層と、音響整合層を一面側から支持し、内部に充填材を注入して圧電素子を封止して収納する振動ケースとを備え、設置面に穿孔された取付孔に挿設され、音響整合層の他面は、圧電素子と接合している一面側に対して傾斜した傾斜面で構成され、設置面と平行に形成されることを特徴とする。
【0033】
この発明によれば、車両の意匠を損なうことなく、誤検知の少ない検知エリアを設定することができる。
【0034】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記音響整合層の他面は、前記圧電素子と接合している一面側に対して、車両の水平方向に傾斜した傾斜面で構成されることを特徴とする。
【0035】
この発明によれば、超音波センサの設置面が、車両の水平方向に湾曲または傾斜している場合でも、車両の意匠を損なうことなく、誤検知の少ない検知エリアを設定することができる。
【0036】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記音響整合層の他面は、前記圧電素子と接合している一面側に対して、車両の上下方向に傾斜した傾斜面で構成されることを特徴とする。
【0037】
この発明によれば、超音波センサの設置面が、車両の上下方向に湾曲または傾斜している場合でも、車両の意匠を損なうことなく、誤検知の少ない検知エリアを設定することができる。
【0038】
請求項4の発明は、請求項1の発明において、前記音響整合層の他面は、前記圧電素子と接合している一面側に対して、車両の水平方向および上下方向に傾斜した傾斜面で構成されることを特徴とする。
【0039】
この発明によれば、超音波センサの設置面が、車両の水平方向および上下方向に湾曲または傾斜している場合でも、車両の意匠を損なうことなく、誤検知の少ない検知エリアを設定することができる。
【発明の効果】
【0040】
以上説明したように、本発明では、車両の意匠を損なうことなく、誤検知の少ない検知エリアを設定することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】(a)〜(c)本発明の第1の実施形態の超音波マイクの上面および断面を示す図である。
【図2】(a)〜(c)同上の超音波センサの上面および断面を示す図である。
【図3】(a)(b)車両用障害物検知器のブロック構成図と、本発明の超音波センサの検知エリアを示す図である。
【図4】(a)〜(c)同上の第2の実施形態の超音波マイクの上面および断面を示す図である。
【図5】(a)〜(c)同上の超音波センサの上面および断面を示す図である。
【図6】(a)〜(c)同上の第3の実施形態の超音波マイクの上面および断面を示す図である。
【図7】(a)〜(c)同上の超音波センサの上面および断面を示す図である。
【図8】(a)(b)車両用障害物検知器のブロック構成図と、従来の超音波センサの検知エリアを示す図である。
【図9】(a)〜(c)従来の超音波マイクの上面および断面を示す図である。
【図10】(a)〜(c)同上の超音波センサの上面および断面を示す図である。
【図11】(a)(b)車両用障害物検知器のブロック構成図と、従来の超音波センサの検知エリアを示す図である。
【図12】(a)(b)車両用障害物検知器のブロック構成図と、従来の超音波センサの検知エリアを示す図である。
【図13】(a)〜(c)従来の超音波センサの上面および断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0043】
(実施形態1)
本発明の第1の実施形態を図1(a)〜(c)、図2(a)〜(c)、図3(a)(b)を用いて説明する。図1(a)〜(c)は、本実施形態の超音波マイク2の概略構成図であり、(a)は超音波マイク2の上面図、(b)は超音波マイク2のA−A´断面図、(c)は超音波マイク2のB−B´断面図である。図2(a)〜(c)は、超音波マイク2を備えた超音波センサ11の概略構成図であり、(a)は超音波センサ11の上面図、(b)は超音波センサ11のA−A´断面図、(c)は超音波センサ11のB−B´断面図である。図3(a)(b)は、車両用障害物検知器1のブロック構成図と、超音波センサ11の検知エリアを示しており、(a)は車両3の上面図であり、車両用障害物検知器1のブロック構成図と水平方向の検知エリアAh、(b)は車両3の側面図であり、上下方向の検知エリアAvを示している。
【0044】
なお、本実施形態は、図3(a)に示すように、水平方向に湾曲しているバンパー31に、超音波センサ11を設置する場合として、以下に説明する。車両3の水平方向において、超音波センサ11設置箇所のバンパー31の外面は、車両3の左右方向3cに対して、角度α傾いている。また、超音波センサ11とコントローラ部12と表示部13とで構成された車両用障害物検知器1の基本構成は、従来の車両用障害物検知器1と同様であり、同様の構成には同一符号を付して説明は省略する。
【0045】
本実施形態の超音波マイク2は、図1(a)〜(c)に示すように、圧電素子21と、音響整合層22と、振動ケース23と、リード線24a、24bと、コネクタ25と、充填材26とで構成されている。従来の超音波マイク2´との違いは、音響整合層22の形状である。他の構成は従来の超音波マイク2´と同様であり、同一符号を付して説明は省略する。
【0046】
図1(b)に示したA−A´断面図において、圧電素子21と接合した音響整合層22の一面22aに対して、他面22bはAからA´に向かうにつれて、他面22bが一面22aに近付く傾斜角αの傾斜面で形成されている。この傾斜角αは、設置するバンパー31の傾斜角度と同じ角度となるように形成されている。
【0047】
上記の構成で、超音波マイク2は、コネクタ25から超音波パルス信号が入力されると、圧電素子21が振動し、音響整合層22を介して、音響整合層22の他面22bから超音波が出力される。また、音響整合層22と接合している圧電素子21の一面21aの法線方向を送波方向として超音波が出力される。したがって、音響整合層22の他面22bの法線方向は、超音波の送波方向から角度α傾いていることとなる。
【0048】
超音波センサ11は、図2(a)〜(c)に示すように、上記の超音波マイク2と、保持ゴム111と、電子回路部112と、ハウジング113と、信号線114と、コネクタ115で構成されている。従来の超音波センサ11´との違いは、超音波マイク2と保持ゴム111とハウジング113の形状である。他の構成は従来の超音波センサ11´と同様であり、同一符号を付して説明は省略する。
【0049】
超音波マイク2の音響整合層22の他面22bと、保持ゴム111の開口部周縁と、ハウジング113の鍔部113cとで構成される超音波センサ前面11aは、互いに面一に形成されるように、傾斜面で構成された音響整合層22の他面22bの傾斜角αに合わせて、保持ゴム111およびハウジング前部113bの開口部周縁が傾斜している。
【0050】
上記の超音波センサ11を、超音波マイク2のA−A´方向が車両3の左右方向3cとなるように、バンパー31の取付孔31aに挿入し、ハウジング113の鍔部113cによって、バンパー31に超音波センサ11が係止される。それによって、圧電素子21の一面21aの法線方向が、車両3の前後方向3bに対向するので、図3(a)に示すように超音波の送波方向は、車両3の前後方向となる。
【0051】
また、超音波センサ前面11aとバンパー31の外面とは共に左右方向に対して角度αで傾いているため、超音波センサ前面11aとバンパー31の外面とは平行に形成される。さらに、バンパー31の外面に対して、超音波センサ11は、鍔部113cの高さ分のみ突出しているが、鍔部113cの厚みは均一で薄く形成されている。そのため、超音波センサ11がバンパー31に対して外観的に目立つことなく、バンパー31の意匠を損なうことはない。
【0052】
上記の構成によって、バンパー31が左右方向3cに対して角度α傾いている場合でも、バンパー31の意匠を損なうことなく、超音波の送波方向を車両の前後方向3bとすることができる。そのため、水平方向の検知エリアAhに車幅3aの外側の領域が含まれず、衝突するおそれがない障害物を検知して、使用者に不要な報知が行われる不具合を抑制することができる。
【0053】
(実施形態2)
本発明の第2の実施形態を図4(a)〜(c)、図5(a)〜(c)を用いて説明する。図4(a)〜(c)は、本実施形態の超音波マイク2の概略構成図であり、(a)は超音波マイク2の上面図、(b)は超音波マイク2のA−A´断面図、(c)は超音波マイク2のB−B´断面図である。図5(a)〜(c)は、超音波マイク2を備えた超音波センサ11の概略構成図であり、(a)は超音波センサ11の上面図、(b)は超音波センサ11のA−A´断面図、(c)は超音波センサ11のB−B´断面図である。
【0054】
本実施形態の超音波センサ11は、上下方向に湾曲しているバンパー31に設置する場合として、以下に説明する。車両3の上下方向において、超音波センサ11設置箇所のバンパー31の外面は、車両3の上下方向に対して、角度β傾いている。
【0055】
図4(a)〜(c)、図5(a)〜(c)に示すように、本実施形態の超音波マイク2および超音波センサ11の基本構成は、実施形態1と同様であり、同様の構成には同一符号を付して説明は省略する。
【0056】
実施形態1との差異は、上下方向に対して傾斜角βで傾斜したバンパー31に設置するため、本実施形態の超音波マイク2は、音響整合層22の他面22bがB−B´方向に傾斜している点である。実施形態1と同様に、図4(c)に示したB−B´断面図において、圧電素子21と接合した音響整合層22の一面22aに対して、他面22bはB´からBに向かうにつれて、他面22bが一面22aに近付く傾斜角βの傾斜面で形成されている。音響整合層22と接合している圧電素子21の一面21aの法線方向を送波方向として超音波が出力されるので、音響整合層22の他面22bの法線方向は、超音波の送波方向から角度β傾いていることとなる。
【0057】
また、上記の超音波マイク2を備えた超音波センサ11において、音響整合層22の他面22bと、保持ゴム111の開口部周縁と、ハウジング113の鍔部113cとで構成される超音波センサ前面11aは、互いに面一に形成されるように、音響整合層22の他面22bの傾斜角βに合わせて、保持ゴム111およびハウジング前部113bの開口部周縁が傾斜している。
【0058】
上記の超音波センサ11を、超音波マイク2のB−B´方向が車両3の上下方向となるように、バンパー31の取付孔31aに挿入し、ハウジング113の鍔部113cによって、バンパー31に超音波センサ11が係止される。それによって、圧電素子21の一面21aの法線方向が、車両3の前後方向3bに対向するので、超音波の送波方向は、車両3の前後方向3bとなる。
【0059】
また、超音波センサ前面11aとバンパー31の外面とは、共に上下方向に対して角度βで傾いているため、超音波センサ前面11aとバンパー31の外面とは平行に形成される。さらに、バンパー31の外面に対して、超音波センサ11は、鍔部113cの高さ分のみ突出しているが、鍔部113cの厚みは均一で薄く形成されている。そのため、超音波センサ11がバンパー31に対して外観的に目立つことなく、バンパー31の意匠を損なうことはない。
【0060】
上記の構成によって、バンパー31が上下方向3cに対して角度β傾いている場合でも、バンパー31の意匠を損なうことなく、超音波の送波方向を車両の前後方向3bとすることができる。そのため、上下方向の検知エリアAvに路面が含まれず、使用者に不要な報知が行われる不具合を抑制することができる。
【0061】
(実施形態3)
本発明の第3の実施形態を図6(a)〜(c)、図7(a)〜(c)を用いて説明する。図6(a)〜(c)は、本実施形態の超音波マイク2の概略構成図であり、(a)は超音波マイク2の上面図、(b)は超音波マイク2のA−A´断面図、(c)は超音波マイク2のB−B´断面図である。図7(a)〜(c)は、超音波マイク2を備えた超音波センサ11の概略構成図であり、(a)は超音波センサ11の上面図、(b)は超音波センサ11のA−A´断面図、(c)は超音波センサ11のB−B´断面図である。
【0062】
本実施形態の超音波センサ11は、水平方向および上下方向に湾曲しているバンパー31に設置する場合として、以下に説明する。超音波センサ11設置箇所のバンパー31の外面は、車両3の左右方向3cに対して角度α、上下方向に対して角度β傾いている。
【0063】
図6(a)〜(c)、図7(a)〜(c)に示すように、本実施形態の超音波マイク2および超音波センサ11の基本構成は、実施形態1、2と同様であり、同様の構成には同一符号を付して説明は省略する。
【0064】
実施形態1、2との差異は、左右方向に対して傾斜角α、上下方向に対して傾斜角βで傾斜したバンパー31に設置するため、本実施形態の超音波マイク2は、音響整合層22の他面22bがA−A´方向およびB−B´方向に傾斜している点である。実施形態1、2と同様に、図6(b)に示したA−A´断面図において、圧電素子21と接合した音響整合層22の一面22aに対して、他面22bはAからA´に向かうにつれて、他面22bが一面22aに近付く傾斜角αの傾斜面で形成されている。さらに、図6(c)に示したB−B´断面図において、音響整合層22の他面22bはB´からBに向かうにつれて、他面22bが一面22aに近付く傾斜角βの傾斜面で形成されている。音響整合層22と接合している圧電素子21の一面21aの法線方向を送波方向として超音波が出力されるので、音響整合層22の他面22bの法線方向は、超音波の送波方向から水平方向に角度α、上下方向に角度β傾いていることとなる。
【0065】
また、上記の超音波マイク2を備えた超音波センサ11において、音響整合層22の他面22bと、保持ゴム111の開口部周縁と、ハウジング113の鍔部113cとで構成される超音波センサ前面11aは、互いに面一に形成されるように、音響整合層22の他面22bの傾斜角α、βに合わせて、保持ゴム111およびハウジング前部113bの開口部周縁が傾斜している。
【0066】
上記の超音波センサ11を、超音波マイク2のA−A´方向が車両3の水平方向、B−B´方向が車両3の上下方向となるように、バンパー31の取付孔31aに挿入し、ハウジング113の鍔部113cによって、バンパー31に超音波センサ11が係止される。それによって、圧電素子21の一面21aの法線方向が、車両3の前後方向3bに対向するので、超音波の送波方向は、車両3の前後方向3bとなる。
【0067】
また、超音波センサ前面11aとバンパー31の外面とは、共に左右方向3cに対して角度α、上下方向に対して角度β傾いているため、超音波センサ前面11aとバンパー31の外面とは平行に形成される。さらに、バンパー31の外面に対して、超音波センサ11は、鍔部113cの高さ分のみ突出しているが、鍔部113cの厚みは均一で薄く形成されている。そのため、超音波センサ11がバンパー31に対して外観的に目立つことなく、バンパー31の意匠を損なうことはない。
【0068】
上記の構成によって、バンパー31が左右方向3cに対して角度α、上下方向に対して角度β傾いている場合でも、バンパー31の意匠を損なうことなく、超音波の送波方向を車両3の前後方向3bとすることができる。そのため、水平方向の検知エリアAhに車幅3aの外側の領域、および上下方向の検知エリアAvに路面が含まれず、衝突するおそれがない障害物を検知して、使用者に不要な報知が行われる不具合を抑制することができる。
【符号の説明】
【0069】
2 超音波マイク
21 圧電素子
22 音響整合層
23 振動ケース
24a、24b リード線
25 コネクタ
26 充填材
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を利用して物体を検知する車両用障害物検知器に使用する超音波センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
超音波センサは、車両のバンパー等に搭載され、超音波マイクから超音波を間欠的に送波し、検知エリア内に存在する障害物からの反射波を受波することで障害物を検知する車両用障害物検知器等に用いられている。また、超音波センサは、検知エリアが限定できることや距離が測定できるという特徴をもっている。しかし、超音波は広い指向性を有するため、最大でも2m程度の距離までの検知エリアで使用するシステムが一般的である。しかし、車両用障害物検知器としては、さらに長距離までの検知エリアを有する超音波センサが望まれていた。
【0003】
図8(a)(b)に、超音波センサ11´を備えた車両用障害物検知器1の概略構成と検知エリアを示す。図8(a)は、車両3の上面図であり、車両用障害物検知器1のブロック構成図と、車両3の水平方向の検知エリアAhを示している。図8(b)は、車両3の側面図であり、車両3の上下方向の検知エリアAvを示している。
【0004】
車両用障害物検知器1は、超音波センサ11´と、コントローラ部12と、表示部13とで構成されている。超音波センサ11´は、超音波マイク2´を備えており、車両3後方のバンパー31の両側方部に設けられている。表示部13は、ブザーやLED等で使用者に検知エリア内の障害物の存在を報知する。コントローラ部12は、超音波センサ11´が送受波する超音波を監視制御すると共に、表示部13に検知結果を出力する。
【0005】
車両用障害物検知器1の動作を説明する。まず、コントローラ部12が間欠的に超音波パルス信号を生成して超音波センサ11´に出力する。超音波センサ11´は超音波パルス信号を増幅し、超音波マイク2´が超音波を送波する。そして、検知エリア内に障害物が存在した場合、超音波マイク2´が障害物からの反射波を受波し、超音波センサ11´が受波した超音波パルス信号を増幅して、コントローラ部12に出力する。そして、コントローラ部12は、超音波を送波してから受波するまでの時間差に基づいて、障害物までの距離を算出する。障害物が所定の範囲内に存在すれば、コントローラ部12は表示部13に検知信号を出力し、表示部13が使用者に障害物の存在を報知するものである。
【0006】
超音波を用いる原理上、検知対象となる障害物によって、検知エリアは異なり、図8(a)(b)に示した検知エリアは、Φ60のプラスチック円柱(図示なし)を検知対象とした場合の検知エリアである。
【0007】
次に、超音波を送受波する超音波マイク2´について説明する。従来、広がり振動モードを利用した圧電素子21を用いた超音波マイク2´が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0008】
図9(a)〜(c)に超音波マイク2´の概略構成図を示す。図9(a)は超音波マイク2´の上面図、(b)は超音波マイク2´のA−A´断面図、(c)は超音波マイク2´のB−B´断面図である。
【0009】
超音波マイク2´は、圧電素子21と、音響整合層22と、振動ケース23と、コネクタ25と、充填材26とで構成されている。圧電素子21は、圧電基板(図示なし)が広がり振動を行う円筒形状で形成されている。音響整合層22は、円筒形状で一面22aと他面22bは平行に形成されており、一面22aに圧電素子21が接合されている。音響整合層22は、圧電素子21の音響インピーダンスと、空気の音響インピーダンスの差によって、境界面に生じる反射を抑制し、超音波の送受信効率を高めている。また、音響整合層22の一面22aの周縁に、圧電素子21を取り囲むように、リング状の振動ケース23が接合され、音響整合層22を支持している。また、圧電素子21の一面21aおよび他面21bからリード線24a、24bが引き出され、コネクタ25に接続されている。そして、振動ケース23の内側に充填材26が充填され、圧電素子21が封止されている。
【0010】
上記の構成で、コネクタ25から超音波パルス信号が入力されると、圧電素子21が振動し、音響整合層22を介して、音響整合層22の他面22bから超音波が出力される。また、音響整合層22と接合している圧電素子21の一面21aの法線方向が送波方向として超音波が送波される。なお、圧電素子21は、厚み振動モードを利用するものでもよい。
【0011】
図10(a)〜(c)に、上記の超音波マイク2´を用いて構成される超音波センサ11´の概略構成図を示す。図10(a)は超音波センサ11´の上面図、(b)は超音波センサ11´のA−A´断面図、(c)は超音波センサ11´のB−B´断面図である。超音波センサ11´は、上記の超音波マイク2´を固定する保持ゴム111と、コントローラ部12および超音波マイク2´から出力される超音波パルス信号を増幅する電子回路部112と、超音波マイク2´と保持ゴム111と電子回路部112とを収納し、車両3のバンパー31の取付孔31aに係止するハウジング113と、電子回路部112とコントローラ部12とを接続する信号線114およびコネクタ115とで構成されている。
【0012】
保持ゴム111は、有底円筒状に形成されており、超音波マイク2´が嵌め込まれ、超音波マイク2´の外面と保持ゴム111の内面とが当接することによって、超音波マイク2´を保持している。
【0013】
電子回路部112は、信号線114およびコネクタ115を介して、コントローラ部12から出力される超音波パルス信号を増幅する。そして、コネクタ25およびリード線24a、24bを介して、増幅した超音波パルス信号を圧電素子21に出力することで、圧電素子21から超音波が送波される。また、検知エリア内に障害物が存在した場合、障害物によって反射した超音波を圧電素子21が受波し、受波した超音波パルス信号を電子回路部112が増幅して、コントローラ部12へ出力している。そして、コントローラ部12が超音波を送波してから受波するまでの時間差に基づいて、障害物までの距離を算出している。
【0014】
ハウジング113は、直方体形状のハウジング後部113aと、ハウジング後部113aの一面から一体に延設された略筒状のハウジング前部113bと、ハウジング前部113bの開口部周縁に突設された鍔部113cとからなる。ハウジング後部113aは、直方体形状の内部に電子回路部112を収納している。ハウジング前部113bは、超音波マイク2´を保持した保持ゴム111が嵌め込まれており、保持ゴム111の外面とハウジング前部113bの内面とが当接することで、保持ゴム111を収納している。鍔部113cは、ハウジング前部113bの開口部周縁から外側へ向かって突設されている。また、ハウジング113の鍔部113cと、保持ゴム111の開口部周縁と、超音波マイク2´の音響整合層22の他面22bとで構成される超音波センサ前面11aは、互いに面一に形成されている。
【0015】
バンパー31には、表裏に貫通するように穿孔された取付孔31aが設けられている。取付孔31aの外径は、ハウジング後部113aおよびハウジング前部113bの外径と略同じ大きさである。そして、バンパー31の表面側から、取付孔31aに超音波センサ11´を挿入し、ハウジング113の鍔部113cによって、バンパー31に超音波センサ11´が係止される。したがって、バンパー31の外面から超音波センサ11´が鍔部113cの高さ分のみ、突出していることとなる。鍔部113cは薄く形成されており、超音波センサ前面11aとバンパー31の外面とが平行に形成されている。
【0016】
上記の構成で、コントローラ部12から電子回路部112へ間欠的に超音波パルス信号が出力されると、電子回路部112は超音波パルス信号を増幅して、超音波マイク2´へ出力する。そして、超音波マイク2´の圧電素子21が振動し、音響整合層22の他面22bから超音波が送波される。超音波の送波方向は、圧電素子21の一面21aの法線方向、つまり、バンパー31の外面に対して法線方向に超音波が送波される。そして、検知エリアに障害物が存在した場合、障害物の反射波を超音波マイク2´が受波し、電子回路部112が超音波パルス信号を増幅して、コントローラ部12に出力する。コントローラ部12は、超音波を送波してから受波するまでの時間差に基づいて、障害物までの距離を算出する。障害物が所定の距離内に存在する場合、コントローラ部12は、表示部13に検知信号を出力し、表示部13が使用者に障害物の存在を報知する。
【0017】
次に、超音波センサ11´が障害物の存在を検知することができる検知エリアについて説明する。検知エリアは、超音波の送波方向、指向角および検知距離によって、決定される。図8(a)において、車両3の水平方向の検知エリアAhが、車幅3aより外側の領域が含まれていると、衝突するおそれがない障害物を検知することとなり、使用者に不要な報知が行われる不具合が発生する。また、図8(b)において、車両3の上下方向の検知エリアAvに、路面が含まれていると、路面を障害物と検知してしまう不具合が発生する。
【0018】
そこで、3つの超音波センサ11´を略等間隔に設け、中央に設けた超音波センサ11´の検知距離を、両側部に設けた超音波センサ11´の検知距離より長くすることで、車幅3aの外側の領域を検地しない超音波センサ11´が提案されている(例えば、特許文献2)。超音波センサ11´の検知エリアは近距離で狭く、遠距離になるにつれて広くなる特性を考慮し、両側部に設けた検知距離の短い超音波センサ11´で近距離の領域のみ検知し、中央に設けた検知距離の長い超音波センサ11´で遠距離の領域を検知している。それによって、両側部に設けた超音波センサ11´で近距離の車幅3a内の領域のみ検知し、中央に設けた超音波センサ11´で遠距離の車幅3a内の領域を検知している。
【0019】
また、超音波マイク2´の音響整合層22の他面22bの周縁に面取りを施して傾斜面を形成することで、超音波の指向角を調整した超音波センサ11´が提案されている(例えば、特許文献3)。音響整合層22の他面22bの周縁に施した面取りの寸法を大きくなるにしたがって、超音波の指向角が増加し、面取りの寸法を小さくするにしたがって、超音波の指向角が低減する。このように、音響整合層22の他面22bの周縁に施した面取りの寸法を変化させることによって、超音波の指向角を調整することができる。したがって、車両3に超音波センサ11´を設置時に、超音波の指向角を調整して、車幅3aの外側の領域や路面を検知しないようにすることができる。
【0020】
また、超音波マイク2´の音響整合層22において、一方向の両端部の厚さが中央部の厚さよりも薄く、直交する他方向の厚さを均一に形成することで、超音波の水平方向と上下方向の指向角度を調整した超音波センサ11´が提案されている(例えば、特許文献4)。音響整合層22の厚みを上記のように形成することによって、一方向の超音波の指向角度を狭く、他方向の超音波の指向角度を広くすることができる。そして、一方向が車両3の上下方向に、他方向が車両3の水平方向となるように超音波マイク2´をバンパー31に設けることによって、指向角度が広い他方向側で、水平方向の車幅3a内の領域を検知する。また、指向角度が狭い一方向側で上下方向を検知するので、路面を検知しないようにすることができる。
【0021】
このように、特許文献2〜4の超音波センサは、超音波の検知距離または指向角を調整することで検知エリアを設定し、車幅3aの外の領域や路面を検知しないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特許第2651140号公報
【特許文献2】特公平3−42635号公報
【特許文献3】特開昭64−85000号公報
【特許文献4】特開2003−163995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
しかし、上記で説明した従来の超音波センサは、バンパー31の外面が湾曲や傾斜している場合、超音波の送波方向が車両3の前後方向3bからずれることとなる。
【0024】
図11(a)(b)に、バンパー31が車両3の水平方向に対して湾曲している場合の検知エリアを示す。図11(a)は水平方向の検知エリアAh、(b)は上下方向の検知エリアAvを示している。
【0025】
図11(a)に示すように、車両3の水平方向において、超音波センサ11´設置箇所のバンパー31の外面が、車両3の前後方向3bに直交する左右方向3cに対して、角度α傾いているとする。上記で説明したように、超音波センサ前面11aとバンパー31の外面とが平行となるように超音波センサ11´を設置した場合、水平方向における超音波の送波方向Hは、車両3の前後方向3bに対して側方側へ角度α傾くこととなる。それによって、水平方向の検知エリアAhに、車幅3aの外側の領域が含まれることになり、衝突するおそれがない障害物を検知して、使用者に不要な報知が行われる不具合が発生する。また、超音波の送波方向Hが、車両3の前後方向3bに対して側方側へ傾くことによって、車両3の後方において、2個の超音波マイク2´の水平方向の検知エリアAhの間に隙間が発生し、障害物を検知できない領域が存在することとなる。
【0026】
また、車両3の上下方向に対して傾斜や湾曲しているバンパー31に設置した場合、超音波の送波方向は、車両3の前後方向3bに対して下方側または上方側へ傾くこととなる。
【0027】
図12(a)(b)に、バンパー31が車両3の上下方向に湾曲している場合の検知エリアを示す。図12(a)は水平方向の検知エリアAh、(b)は上下方向の検知エリアAvを示している。
【0028】
図12(b)に示すように、車両3の上下方向において、超音波センサ11´設置箇所のバンパー31の外面が、車両3の上下方向に対して、角度β下方側へ傾いているとする。上記で説明したように、超音波センサ前面11aとバンパー31の外面とが平行となるように超音波センサ11´を設置した場合、上下方向における超音波の送波方向Vは、車両3の前後方向3bに対して下方側へ角度β傾くこととなる。それによって、上下方向の検知エリアAvに、路面が含まれることとなり、使用者に不要な報知が行われる不具合が発生する。
【0029】
そこで、傾斜角αで傾斜したバンパー31に、従来の超音波センサ11´を設置する場合、超音波センサ前面11aが前後方向3bに対向するように、超音波センサ11´の設置方向を調整して設置することで、上記の問題を解消することができる。図13(a)〜(c)に、従来の超音波センサ11´を傾斜したバンパー31に設置したときの概略構成図を示す。図13(a)は超音波センサ11´の上面図、(b)は超音波センサ11´のA−A´断面図、(c)は超音波センサ11´のB−B´断面図である。
【0030】
しかし、このように超音波センサ11´を設置した場合、図13(b)に示すように超音波センサ前面11aとバンパー31の外面とを平行に構成することができない。また、ハウジング113の鍔部113cの厚みがAからA´に向かうにつれて大きくなり、バンパー31に対する超音波センサ11´の突出量が増加することになる。したがって、超音波センサ11´がバンパー31に対して外観的に目立つことになり、バンパー31の意匠が損なわれる。
【0031】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両の意匠を損なうことなく、誤検知の少ない検知エリアを設定することができる超音波センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0032】
請求項1の発明は、車両側面の設置面に設けられ、超音波を送受波することで検知エリア内の障害物の存在を検知する車両用障害物検知器に用いられ、圧電基板が振動することにより超音波を送受波する圧電素子と、当該圧電素子が一面側に接合される板状の音響整合層と、音響整合層を一面側から支持し、内部に充填材を注入して圧電素子を封止して収納する振動ケースとを備え、設置面に穿孔された取付孔に挿設され、音響整合層の他面は、圧電素子と接合している一面側に対して傾斜した傾斜面で構成され、設置面と平行に形成されることを特徴とする。
【0033】
この発明によれば、車両の意匠を損なうことなく、誤検知の少ない検知エリアを設定することができる。
【0034】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記音響整合層の他面は、前記圧電素子と接合している一面側に対して、車両の水平方向に傾斜した傾斜面で構成されることを特徴とする。
【0035】
この発明によれば、超音波センサの設置面が、車両の水平方向に湾曲または傾斜している場合でも、車両の意匠を損なうことなく、誤検知の少ない検知エリアを設定することができる。
【0036】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記音響整合層の他面は、前記圧電素子と接合している一面側に対して、車両の上下方向に傾斜した傾斜面で構成されることを特徴とする。
【0037】
この発明によれば、超音波センサの設置面が、車両の上下方向に湾曲または傾斜している場合でも、車両の意匠を損なうことなく、誤検知の少ない検知エリアを設定することができる。
【0038】
請求項4の発明は、請求項1の発明において、前記音響整合層の他面は、前記圧電素子と接合している一面側に対して、車両の水平方向および上下方向に傾斜した傾斜面で構成されることを特徴とする。
【0039】
この発明によれば、超音波センサの設置面が、車両の水平方向および上下方向に湾曲または傾斜している場合でも、車両の意匠を損なうことなく、誤検知の少ない検知エリアを設定することができる。
【発明の効果】
【0040】
以上説明したように、本発明では、車両の意匠を損なうことなく、誤検知の少ない検知エリアを設定することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】(a)〜(c)本発明の第1の実施形態の超音波マイクの上面および断面を示す図である。
【図2】(a)〜(c)同上の超音波センサの上面および断面を示す図である。
【図3】(a)(b)車両用障害物検知器のブロック構成図と、本発明の超音波センサの検知エリアを示す図である。
【図4】(a)〜(c)同上の第2の実施形態の超音波マイクの上面および断面を示す図である。
【図5】(a)〜(c)同上の超音波センサの上面および断面を示す図である。
【図6】(a)〜(c)同上の第3の実施形態の超音波マイクの上面および断面を示す図である。
【図7】(a)〜(c)同上の超音波センサの上面および断面を示す図である。
【図8】(a)(b)車両用障害物検知器のブロック構成図と、従来の超音波センサの検知エリアを示す図である。
【図9】(a)〜(c)従来の超音波マイクの上面および断面を示す図である。
【図10】(a)〜(c)同上の超音波センサの上面および断面を示す図である。
【図11】(a)(b)車両用障害物検知器のブロック構成図と、従来の超音波センサの検知エリアを示す図である。
【図12】(a)(b)車両用障害物検知器のブロック構成図と、従来の超音波センサの検知エリアを示す図である。
【図13】(a)〜(c)従来の超音波センサの上面および断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0043】
(実施形態1)
本発明の第1の実施形態を図1(a)〜(c)、図2(a)〜(c)、図3(a)(b)を用いて説明する。図1(a)〜(c)は、本実施形態の超音波マイク2の概略構成図であり、(a)は超音波マイク2の上面図、(b)は超音波マイク2のA−A´断面図、(c)は超音波マイク2のB−B´断面図である。図2(a)〜(c)は、超音波マイク2を備えた超音波センサ11の概略構成図であり、(a)は超音波センサ11の上面図、(b)は超音波センサ11のA−A´断面図、(c)は超音波センサ11のB−B´断面図である。図3(a)(b)は、車両用障害物検知器1のブロック構成図と、超音波センサ11の検知エリアを示しており、(a)は車両3の上面図であり、車両用障害物検知器1のブロック構成図と水平方向の検知エリアAh、(b)は車両3の側面図であり、上下方向の検知エリアAvを示している。
【0044】
なお、本実施形態は、図3(a)に示すように、水平方向に湾曲しているバンパー31に、超音波センサ11を設置する場合として、以下に説明する。車両3の水平方向において、超音波センサ11設置箇所のバンパー31の外面は、車両3の左右方向3cに対して、角度α傾いている。また、超音波センサ11とコントローラ部12と表示部13とで構成された車両用障害物検知器1の基本構成は、従来の車両用障害物検知器1と同様であり、同様の構成には同一符号を付して説明は省略する。
【0045】
本実施形態の超音波マイク2は、図1(a)〜(c)に示すように、圧電素子21と、音響整合層22と、振動ケース23と、リード線24a、24bと、コネクタ25と、充填材26とで構成されている。従来の超音波マイク2´との違いは、音響整合層22の形状である。他の構成は従来の超音波マイク2´と同様であり、同一符号を付して説明は省略する。
【0046】
図1(b)に示したA−A´断面図において、圧電素子21と接合した音響整合層22の一面22aに対して、他面22bはAからA´に向かうにつれて、他面22bが一面22aに近付く傾斜角αの傾斜面で形成されている。この傾斜角αは、設置するバンパー31の傾斜角度と同じ角度となるように形成されている。
【0047】
上記の構成で、超音波マイク2は、コネクタ25から超音波パルス信号が入力されると、圧電素子21が振動し、音響整合層22を介して、音響整合層22の他面22bから超音波が出力される。また、音響整合層22と接合している圧電素子21の一面21aの法線方向を送波方向として超音波が出力される。したがって、音響整合層22の他面22bの法線方向は、超音波の送波方向から角度α傾いていることとなる。
【0048】
超音波センサ11は、図2(a)〜(c)に示すように、上記の超音波マイク2と、保持ゴム111と、電子回路部112と、ハウジング113と、信号線114と、コネクタ115で構成されている。従来の超音波センサ11´との違いは、超音波マイク2と保持ゴム111とハウジング113の形状である。他の構成は従来の超音波センサ11´と同様であり、同一符号を付して説明は省略する。
【0049】
超音波マイク2の音響整合層22の他面22bと、保持ゴム111の開口部周縁と、ハウジング113の鍔部113cとで構成される超音波センサ前面11aは、互いに面一に形成されるように、傾斜面で構成された音響整合層22の他面22bの傾斜角αに合わせて、保持ゴム111およびハウジング前部113bの開口部周縁が傾斜している。
【0050】
上記の超音波センサ11を、超音波マイク2のA−A´方向が車両3の左右方向3cとなるように、バンパー31の取付孔31aに挿入し、ハウジング113の鍔部113cによって、バンパー31に超音波センサ11が係止される。それによって、圧電素子21の一面21aの法線方向が、車両3の前後方向3bに対向するので、図3(a)に示すように超音波の送波方向は、車両3の前後方向となる。
【0051】
また、超音波センサ前面11aとバンパー31の外面とは共に左右方向に対して角度αで傾いているため、超音波センサ前面11aとバンパー31の外面とは平行に形成される。さらに、バンパー31の外面に対して、超音波センサ11は、鍔部113cの高さ分のみ突出しているが、鍔部113cの厚みは均一で薄く形成されている。そのため、超音波センサ11がバンパー31に対して外観的に目立つことなく、バンパー31の意匠を損なうことはない。
【0052】
上記の構成によって、バンパー31が左右方向3cに対して角度α傾いている場合でも、バンパー31の意匠を損なうことなく、超音波の送波方向を車両の前後方向3bとすることができる。そのため、水平方向の検知エリアAhに車幅3aの外側の領域が含まれず、衝突するおそれがない障害物を検知して、使用者に不要な報知が行われる不具合を抑制することができる。
【0053】
(実施形態2)
本発明の第2の実施形態を図4(a)〜(c)、図5(a)〜(c)を用いて説明する。図4(a)〜(c)は、本実施形態の超音波マイク2の概略構成図であり、(a)は超音波マイク2の上面図、(b)は超音波マイク2のA−A´断面図、(c)は超音波マイク2のB−B´断面図である。図5(a)〜(c)は、超音波マイク2を備えた超音波センサ11の概略構成図であり、(a)は超音波センサ11の上面図、(b)は超音波センサ11のA−A´断面図、(c)は超音波センサ11のB−B´断面図である。
【0054】
本実施形態の超音波センサ11は、上下方向に湾曲しているバンパー31に設置する場合として、以下に説明する。車両3の上下方向において、超音波センサ11設置箇所のバンパー31の外面は、車両3の上下方向に対して、角度β傾いている。
【0055】
図4(a)〜(c)、図5(a)〜(c)に示すように、本実施形態の超音波マイク2および超音波センサ11の基本構成は、実施形態1と同様であり、同様の構成には同一符号を付して説明は省略する。
【0056】
実施形態1との差異は、上下方向に対して傾斜角βで傾斜したバンパー31に設置するため、本実施形態の超音波マイク2は、音響整合層22の他面22bがB−B´方向に傾斜している点である。実施形態1と同様に、図4(c)に示したB−B´断面図において、圧電素子21と接合した音響整合層22の一面22aに対して、他面22bはB´からBに向かうにつれて、他面22bが一面22aに近付く傾斜角βの傾斜面で形成されている。音響整合層22と接合している圧電素子21の一面21aの法線方向を送波方向として超音波が出力されるので、音響整合層22の他面22bの法線方向は、超音波の送波方向から角度β傾いていることとなる。
【0057】
また、上記の超音波マイク2を備えた超音波センサ11において、音響整合層22の他面22bと、保持ゴム111の開口部周縁と、ハウジング113の鍔部113cとで構成される超音波センサ前面11aは、互いに面一に形成されるように、音響整合層22の他面22bの傾斜角βに合わせて、保持ゴム111およびハウジング前部113bの開口部周縁が傾斜している。
【0058】
上記の超音波センサ11を、超音波マイク2のB−B´方向が車両3の上下方向となるように、バンパー31の取付孔31aに挿入し、ハウジング113の鍔部113cによって、バンパー31に超音波センサ11が係止される。それによって、圧電素子21の一面21aの法線方向が、車両3の前後方向3bに対向するので、超音波の送波方向は、車両3の前後方向3bとなる。
【0059】
また、超音波センサ前面11aとバンパー31の外面とは、共に上下方向に対して角度βで傾いているため、超音波センサ前面11aとバンパー31の外面とは平行に形成される。さらに、バンパー31の外面に対して、超音波センサ11は、鍔部113cの高さ分のみ突出しているが、鍔部113cの厚みは均一で薄く形成されている。そのため、超音波センサ11がバンパー31に対して外観的に目立つことなく、バンパー31の意匠を損なうことはない。
【0060】
上記の構成によって、バンパー31が上下方向3cに対して角度β傾いている場合でも、バンパー31の意匠を損なうことなく、超音波の送波方向を車両の前後方向3bとすることができる。そのため、上下方向の検知エリアAvに路面が含まれず、使用者に不要な報知が行われる不具合を抑制することができる。
【0061】
(実施形態3)
本発明の第3の実施形態を図6(a)〜(c)、図7(a)〜(c)を用いて説明する。図6(a)〜(c)は、本実施形態の超音波マイク2の概略構成図であり、(a)は超音波マイク2の上面図、(b)は超音波マイク2のA−A´断面図、(c)は超音波マイク2のB−B´断面図である。図7(a)〜(c)は、超音波マイク2を備えた超音波センサ11の概略構成図であり、(a)は超音波センサ11の上面図、(b)は超音波センサ11のA−A´断面図、(c)は超音波センサ11のB−B´断面図である。
【0062】
本実施形態の超音波センサ11は、水平方向および上下方向に湾曲しているバンパー31に設置する場合として、以下に説明する。超音波センサ11設置箇所のバンパー31の外面は、車両3の左右方向3cに対して角度α、上下方向に対して角度β傾いている。
【0063】
図6(a)〜(c)、図7(a)〜(c)に示すように、本実施形態の超音波マイク2および超音波センサ11の基本構成は、実施形態1、2と同様であり、同様の構成には同一符号を付して説明は省略する。
【0064】
実施形態1、2との差異は、左右方向に対して傾斜角α、上下方向に対して傾斜角βで傾斜したバンパー31に設置するため、本実施形態の超音波マイク2は、音響整合層22の他面22bがA−A´方向およびB−B´方向に傾斜している点である。実施形態1、2と同様に、図6(b)に示したA−A´断面図において、圧電素子21と接合した音響整合層22の一面22aに対して、他面22bはAからA´に向かうにつれて、他面22bが一面22aに近付く傾斜角αの傾斜面で形成されている。さらに、図6(c)に示したB−B´断面図において、音響整合層22の他面22bはB´からBに向かうにつれて、他面22bが一面22aに近付く傾斜角βの傾斜面で形成されている。音響整合層22と接合している圧電素子21の一面21aの法線方向を送波方向として超音波が出力されるので、音響整合層22の他面22bの法線方向は、超音波の送波方向から水平方向に角度α、上下方向に角度β傾いていることとなる。
【0065】
また、上記の超音波マイク2を備えた超音波センサ11において、音響整合層22の他面22bと、保持ゴム111の開口部周縁と、ハウジング113の鍔部113cとで構成される超音波センサ前面11aは、互いに面一に形成されるように、音響整合層22の他面22bの傾斜角α、βに合わせて、保持ゴム111およびハウジング前部113bの開口部周縁が傾斜している。
【0066】
上記の超音波センサ11を、超音波マイク2のA−A´方向が車両3の水平方向、B−B´方向が車両3の上下方向となるように、バンパー31の取付孔31aに挿入し、ハウジング113の鍔部113cによって、バンパー31に超音波センサ11が係止される。それによって、圧電素子21の一面21aの法線方向が、車両3の前後方向3bに対向するので、超音波の送波方向は、車両3の前後方向3bとなる。
【0067】
また、超音波センサ前面11aとバンパー31の外面とは、共に左右方向3cに対して角度α、上下方向に対して角度β傾いているため、超音波センサ前面11aとバンパー31の外面とは平行に形成される。さらに、バンパー31の外面に対して、超音波センサ11は、鍔部113cの高さ分のみ突出しているが、鍔部113cの厚みは均一で薄く形成されている。そのため、超音波センサ11がバンパー31に対して外観的に目立つことなく、バンパー31の意匠を損なうことはない。
【0068】
上記の構成によって、バンパー31が左右方向3cに対して角度α、上下方向に対して角度β傾いている場合でも、バンパー31の意匠を損なうことなく、超音波の送波方向を車両3の前後方向3bとすることができる。そのため、水平方向の検知エリアAhに車幅3aの外側の領域、および上下方向の検知エリアAvに路面が含まれず、衝突するおそれがない障害物を検知して、使用者に不要な報知が行われる不具合を抑制することができる。
【符号の説明】
【0069】
2 超音波マイク
21 圧電素子
22 音響整合層
23 振動ケース
24a、24b リード線
25 コネクタ
26 充填材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両側面の設置面に設けられ、超音波を送受波することで検知エリア内の障害物の存在を検知する車両用障害物検知器に用いられ、
圧電基板が振動することにより超音波を送受波する圧電素子と、当該圧電素子が一面側に接合される板状の音響整合層と、音響整合層を一面側から支持し、内部に充填材を注入して圧電素子を封止して収納する振動ケースとを備え、
設置面に穿孔された取付孔に挿設され、
音響整合層の他面は、圧電素子と接合している一面側に対して傾斜した傾斜面で構成され、設置面と平行に形成されることを特徴とする超音波センサ。
【請求項2】
前記音響整合層の他面は、前記圧電素子と接合している一面側に対して、車両の水平方向に傾斜した傾斜面で構成されることを特徴とする請求項1記載の超音波センサ。
【請求項3】
前記音響整合層の他面は、前記圧電素子と接合している一面側に対して、車両の上下方向に傾斜した傾斜面で構成されることを特徴とする請求項1記載の超音波センサ。
【請求項4】
前記音響整合層の他面は、前記圧電素子と接合している一面側に対して、車両の水平方向および上下方向に傾斜した傾斜面で構成されることを特徴とする請求項1記載の超音波センサ。
【請求項1】
車両側面の設置面に設けられ、超音波を送受波することで検知エリア内の障害物の存在を検知する車両用障害物検知器に用いられ、
圧電基板が振動することにより超音波を送受波する圧電素子と、当該圧電素子が一面側に接合される板状の音響整合層と、音響整合層を一面側から支持し、内部に充填材を注入して圧電素子を封止して収納する振動ケースとを備え、
設置面に穿孔された取付孔に挿設され、
音響整合層の他面は、圧電素子と接合している一面側に対して傾斜した傾斜面で構成され、設置面と平行に形成されることを特徴とする超音波センサ。
【請求項2】
前記音響整合層の他面は、前記圧電素子と接合している一面側に対して、車両の水平方向に傾斜した傾斜面で構成されることを特徴とする請求項1記載の超音波センサ。
【請求項3】
前記音響整合層の他面は、前記圧電素子と接合している一面側に対して、車両の上下方向に傾斜した傾斜面で構成されることを特徴とする請求項1記載の超音波センサ。
【請求項4】
前記音響整合層の他面は、前記圧電素子と接合している一面側に対して、車両の水平方向および上下方向に傾斜した傾斜面で構成されることを特徴とする請求項1記載の超音波センサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−39003(P2011−39003A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−189408(P2009−189408)
【出願日】平成21年8月18日(2009.8.18)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月18日(2009.8.18)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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