説明

超音波センサ

【課題】 断線の発生箇所の特定が容易な超音波センサを提供する。
【解決手段】 圧電素子11と、圧電素子11に並列に接続された共振回路122とを備える。圧電素子11は、制御部24に制御された送信部21から共振回路122を介して入力される駆動信号により駆動される。まず、駆動信号の周波数を所定の第1駆動周波数とするとともに共振回路122側からの入力に基いて断線の有無を判定する第1判定動作が行われる。この第1判定動作において断線があると判定された場合には、駆動信号の周波数を第1駆動周波数よりも共振回路122単体の共振周波数に近い第2駆動周波数とするとともに、共振回路122側からの入力に基いて、断線が共振回路122の前段側と後段側とのいずれにあるかを判定する第2判定動作が行われる。第2判定動作により、断線の発生箇所の特定が容易となるから、修理が比較的に容易となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、圧電素子により超音波を送受信する超音波センサが、例えば車両に搭載されて車両前方の障害物の検出に用いられている。
【0003】
この種の超音波センサにおいて、圧電素子の異常を検出する機能を有するものが提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−248050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来は、圧電素子の駆動が停止された後の出力に発生する残響の有無に基いて、断線の有無が判定されていた。
【0006】
しかしながら、上記の従来構成では、断線の有無の判定は可能であるものの、断線の発生箇所を特定することはできなかった。このため、修理時には、断線の有無を点検すべき範囲が比較的に広くなっていた。
【0007】
本発明は、上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、断線の発生箇所の特定が容易な超音波センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、圧電素子と、前記圧電素子に並列に接続された共振回路と、交流の電気信号である駆動信号により前記圧電素子を駆動する駆動回路と、前記駆動回路を制御する制御回路とを備え、前記共振回路において前記圧電素子が接続されていない状態での共振周波数である無負荷共振周波数は、前記圧電素子の共振周波数とは異なるものであって、前記制御回路は、前記駆動信号の周波数を所定の第1駆動周波数とするとともに前記共振回路側からの入力に基いて断線の有無を判定する第1判定動作を行い、前記第1判定動作において断線があると判定された場合には、前記駆動信号の周波数を前記第1駆動周波数よりも前記無負荷共振周波数に近い第2駆動周波数とするとともに、前記共振回路側からの入力に基いて、前記断線が前記共振回路の前段側と後段側とのいずれにあるかを判定する第2判定動作を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第2判定動作により、断線の発生箇所の特定が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態を示すブロック図である。
【図2】共振回路の周波数特性を示す説明図である。
【図3】駆動信号と受信信号との波形の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
本実施形態は、図1に示すように、圧電素子11による超音波の送受信を行うセンサブロック1と、センサブロック1を制御する制御ブロック2とを備える。制御ブロック2はセンサブロック1の出力に基いて各種の判定を行い、判定結果を外部装置3に出力する。外部装置3は、例えば液晶パネルや発光ダイオードを用いて上記の判定結果を表示する表示装置を含む。また、本実施形態が車両に搭載される場合、外部装置3としては、後述する障害物検出動作において障害物が検出されたときに自動的に車両を減速させる自動ブレーキが含まれていてもよい。
【0013】
制御ブロック2は、圧電素子11を駆動する交流信号である駆動信号をセンサブロック1に対して出力する送信部21と、センサブロック1からの入力を受信する受信部22と、外部装置3との間で電気信号を送受信する通信部23と、送信部21と通信部23とをそれぞれ制御する制御部24とを備える。
【0014】
送信部21は、制御部24の制御に応じた周波数(以下、「駆動周波数」と呼ぶ。)の駆動信号を出力する。このような送信部21は例えば電圧制御発振器を用いて周知技術で実現することができる。また、受信部22は、センサブロック1からの入力に対してノイズの除去やA/D変換等の適宜の変換を施して制御部24に入力する。このような受信部22は周知の電子回路で実現することができる。さらに、制御部24は例えばマイコンを用いて周知技術により実現することができる。
【0015】
センサブロック1は、圧電素子11と、送信部21から入力された駆動信号を増幅して圧電素子11に入力する駆動部12と、圧電素子11の出力に対し増幅等の適宜の信号処理を施して制御ブロック2に出力する信号処理部13とを備える。圧電素子11は共振周波数程度の周波数の入力に対して図1に示すような回路と等価となることが知られている。
【0016】
駆動部12は、制御ブロック2から入力された駆動信号を増幅する増幅回路121と、増幅回路121に増幅された駆動信号を昇圧するオートトランスATとを備える。また、オートトランスATは、コンデンサC1と抵抗R1とが並列に接続されて共振回路122を構成している。共振回路122の周波数特性は、圧電素子11が接続されていない状態では、図2に曲線Aで示すようなものとなる。圧電素子11が接続されていない状態での共振回路122の共振周波数(以下、「無負荷時共振周波数」と呼ぶ。)F2は、圧電素子11の共振周波数F1よりも低くなる。上記のような共振回路122は、残響を吸収する効果を有する。
【0017】
以下、本実施形態の動作を説明する。
【0018】
通常は、制御部24は、駆動周波数を所定の第1駆動周波数とした駆動信号を間欠的に送信するように送信部21を制御するとともに、受信部22からの入力に基いて、圧電素子11の超音波を反射した障害物の有無や、該障害物までの距離を判定し、判定結果を外部装置3に出力するように通信部23を制御するという障害物検出動作を行う。上記の第1駆動周波数は、例えば圧電素子11の共振周波数F1とされる。
【0019】
そして、制御部24は、上記の障害物検出動作中に、図3に示すような波形の電圧信号である駆動信号の送信一回に対して受信部22への入力(以下、「受信信号」と呼ぶ。)が継続される時間(以下、「残響時間」と呼ぶ。)TLを計時するとともに、計時された残響時間TLを所定の第1判定閾値と比較することで断線の有無を判定するという第1判定動作を行う。なお、図3において、横軸は時間を示し、縦軸は電圧値を示す。
【0020】
すなわち、圧電素子11との接続部に断線が発生した場合でも、回路の時定数により、受信信号にはある程度の残響が発生するが、その場合の残響時間TLは断線がない場合に比べて明らかに短くなることから、残響時間TLを断線の有無の判定に用いることができる。
【0021】
第1判定動作において残響時間TLが第1判定閾値以上であった場合、断線は発生していないと判定され、障害物検出動作及び第1判定動作が継続される。一方、第1判定動作において残響時間TLが第1判定閾値未満であった場合、断線が発生していると判定され、第2判定動作が行われる。第2判定動作では、制御部24は、駆動周波数を所定の第2駆動周波数とした駆動信号を送信するように送信部21を制御し、残響時間TLを所定の第2判定閾値と比較することで断線が共振回路122の前段側と後段側とのいずれで発生しているのかを判定する。第2駆動周波数は無負荷共振周波数F2とされることが望ましいが、第2駆動周波数が第1駆動周波数よりも無負荷共振周波数F2に近い周波数であれば、駆動周波数を第1駆動周波数のままとする場合に比べて第2判定動作の精度が向上するという効果はある。第2判定動作において、残響時間TLが第2判定閾値以上であった場合、制御ブロック2から共振回路122までの間に断線はなく、つまり断線は共振回路122の後段側(すなわち圧電素子11と共振回路122との間)で発生していると判定される。一方、第2判定動作において、残響時間TLが第2判定閾値未満であった場合、断線は共振回路122の前段側で発生していると判定される。特に、センサブロック1と制御ブロック2との間の配線が、センサブロック1内での配線や制御ブロック2内での配線と比較して長い場合、共振回路122の前段側で発生した断線はセンサブロック1と制御ブロック2との間で発生していると推定することができる。
【0022】
つまり、断線が共振回路122の後段側で発生している場合には共振回路122の作用により残響時間TLが長くなるのに対し、断線が共振回路122の前段側で発生している場合には共振回路122が残響に寄与しないことで残響時間TLが短くなることから、断線の発生箇所を特定することができるのである。例えば、センサブロック1と制御ブロック2との間で断線が発生した場合、制御ブロック2から見てセンサブロック1側のインピーダンスは無限大になるから、制御ブロック2と共振回路122との間に断線がない場合に比べて残響時間TLが明らかに短くなる。
【0023】
制御部24は、第2判定動作での判定結果が得られると、該判定結果を外部装置3に送信するように通信部23を制御し、動作を停止する。
【0024】
上記構成によれば、第2判定動作により断線の発生箇所の特定が容易となるから、修理が比較的に容易となる。
【0025】
なお、第1判定動作や第2判定動作としては、残響時間TLに代えて受信信号の振幅を閾値と比較するような動作も考えられる。
【符号の説明】
【0026】
11 圧電素子
21 送信部(駆動回路)
24 制御部(制御回路)
122 共振回路
F1 (圧電素子の)共振周波数
F2 無負荷共振周波数

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電素子と、
前記圧電素子に並列に接続された共振回路と、
交流の電気信号である駆動信号により前記圧電素子を駆動する駆動回路と、
前記駆動回路を制御する制御回路とを備え、
前記共振回路において前記圧電素子が接続されていない状態での共振周波数である無負荷共振周波数は、前記圧電素子の共振周波数とは異なるものであって、
前記制御回路は、前記駆動信号の周波数を所定の第1駆動周波数とするとともに前記共振回路側からの入力に基いて断線の有無を判定する第1判定動作を行い、前記第1判定動作において断線があると判定された場合には、前記駆動信号の周波数を前記第1駆動周波数よりも前記無負荷共振周波数に近い第2駆動周波数とするとともに、前記共振回路側からの入力に基いて、前記断線が前記共振回路の前段側と後段側とのいずれにあるかを判定する第2判定動作を行うことを特徴とする超音波センサ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−108827(P2013−108827A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253567(P2011−253567)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】