説明

超音波センサ

【課題】一部の部品の交換のみで、マイクロフォン突出長さを変更可能にする。
【解決手段】マイクロフォン1とケース3とを連結する連結部材5は、マイクロフォン1を保持する保持筒部51と、ケース3と嵌合される嵌合筒部52と、保持筒部51と嵌合筒部52との間に形成された中間筒部53とを備える。これによると、連結部材5における中間筒部53の長さL1を変えるのみで、すなわち、連結部材5の交換のみで、マイクロフォン突出長さL2を変更することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電素子を有して構成されるマイクロフォンが備えられた超音波センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の超音波センサは、例えば車両のバンパに取り付けられ、超音波を送信するとともに、障害物から反射されてきた反射波を受信することにより、バンパの近傍に存在する障害物の検出を行う。
【0003】
このような超音波センサとして、例えば、特許文献1に開示されたものがある。この特許文献1に開示された超音波センサは、ハウジング内に圧電素子が収容されたマイクロフォンと、回路基板が収容されたケースとを備えている。マイクロフォンは、ハウジングから引き出された接続ピンにて回路基板に電気的に接続されている。
【0004】
そして、ケースは、回路基板が収容されるケース本体部からケース筒部が突出し、このケース筒部にマイクロフォンが挿入されている。また、マイクロフォンからケースへの振動の伝達を抑制するために、ケース筒部とマイクロフォンとの間にクッションが介在されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−251534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、超音波センサが装着される車種毎にバンパの形状や大きさ等が異なるため、例えば、バンパにおけるセンサ取り付け部が鉛直方向に対して傾斜している場合は、ケース本体部がバンパと干渉しないように、マイクロフォンの先端面からケース本体部までの長さ(以下、マイクロフォン突出長さという)を長くする必要がある。
【0007】
そして、従来の超音波センサは、マイクロフォン突出長さを変更する場合、接続ピン、ケース筒部、およびクッションの長さを変更しなければならず、したがって、マイクロフォン、ケース、およびクッションを、再設計しなければならないという問題があった。
【0008】
本発明は上記点に鑑みて、一部の部品の交換のみで、マイクロフォン突出長さを変更可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、ハウジング(11)内に圧電素子(12)が収容されたマイクロフォン(1)と、圧電素子(12)と電気的に接続される回路基板(31)が収容されたケース(3)と、マイクロフォン(1)とケース(3)とを連結する筒状の連結部材(5)とを備え、連結部材(5)は、マイクロフォン(1)を保持する保持筒部(51)と、ケース(3)と嵌合される嵌合筒部(52)と、保持筒部(51)と嵌合筒部(52)との間に形成された中間筒部(53)とを備えることを特徴とする。
【0010】
これによると、連結部材(5)における中間筒部(53)の長さを変えるのみで、すなわち、連結部材(5)の交換のみで、マイクロフォン突出長さを変更することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の超音波センサにおいて、マイクロフォン(1)は、ハウジング(11)から引き出されて回路基板(31)に電気的に接続される配線部材(13、14)を備え、配線部材は、ハウジング(11)から引き出されたリード線(13)と、リード線(13)と回路基板(31)とを電気的に接続する接続ピン(14)とを備えることを特徴とする。
【0012】
これによると、マイクロフォン突出長さに応じてリード線(13)が撓むため、マイクロフォン突出長さにかかわらずマイクロフォン(1)を共通化することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の超音波センサにおいて、マイクロフォン(1)が保持筒部(51)に挿入され、マイクロフォン(1)の外周に形成された溝(114)と保持筒部(51)の内周に形成された鍔(511)が嵌合されていることを特徴とする。
【0014】
これによると、マイクロフォン(1)と連結部材(5)の抜け防止および位置決めを行うことができる。
【0015】
請求項4に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の超音波センサにおいて、嵌合筒部(52)がケース(3)に挿入され、嵌合筒部(52)の外周に形成された溝(521)とケース(3)の内周に形成された鍔(321)が嵌合されていることを特徴とする。
【0016】
これによると、ケース(3)と連結部材(5)の抜け防止および位置決めを行うことができる。
【0017】
請求項5に記載の発明では、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の超音波センサにおいて、連結部材(5)は、弾性体にて形成されていることを特徴とする。
【0018】
これによると、連結部材(5)により、マイクロフォン(1)からケース(3)への振動伝達を抑制することができる。
【0019】
請求項6に記載の発明では、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の超音波センサにおいて、中間筒部(53)内には、弾性体にて形成されてマイクロフォン(1)とケース(3)との間の振動伝達を抑制するダンパ(7)が配置されていることを特徴とする。
【0020】
これによると、ダンパ(7)により、マイクロフォン(1)からケース(3)への振動伝達を抑制することができる。
【0021】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は本発明の一実施形態に係る超音波センサを一部断面で示す正面図である。
【図2】図1のマイクロフォン1を示す図である。
【図3】図1の超音波センサの分解斜視図である。
【図4】図1の連結部材5を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の一実施形態について説明する。本実施形態の超音波センサは、車両のバンパに取り付けられ、バックソナー又はコーナーソナーとして用いられる。図1(a)は本発明の一実施形態に係るマイクロフォン突出長さが短い超音波センサを一部断面で示す正面図、図1(b)は本発明の一実施形態に係るマイクロフォン突出長さが長い超音波センサを一部断面で示す正面図である。
【0024】
図1に示すように、超音波センサは、ハウジング11内に後述する圧電素子12(図2参照)が収容されたマイクロフォン1、マイクロフォン1と電気的に接続される回路基板31が収容されたケース3、マイクロフォン1とケース3とを連結する筒状の連結部材5等を備えている。
【0025】
図2(a)は図1のマイクロフォン1を一部断面で示す正面図、図2(b)は図2(a)のマイクロフォン1の側面図、図2(c)は図2(a)のマイクロフォン1の平面図である。
【0026】
図1、図2に示すように、マイクロフォン1は、ハウジング11、圧電素子12、2本のリード線13、2本の接続ピン14、およびコネクタ15を有して構成されている。
【0027】
ハウジング11は、導電性材料(金属材料、または表面に導電膜を形成した絶縁材料)で構成され、有底円筒状とされることでハウジング11の内部に内部空間16が形成されている。ハウジング11の底部111の内面側には、圧電素子12が導電性接着剤にて貼着されており、この底部111の外側表面が振動面112となっている。ハウジング11の筒部113の外周面には、周方向に離れた位置の2箇所に溝114が形成されている。なお、本実施形態では、ハウジング11の導電性材料としてアルミニウムを用いている。
【0028】
圧電素子12は、圧電セラミックス(例えばチタン酸ジルコン酸鉛系)で構成され、その表裏両面に電極(図示せず)を備えている。圧電素子12の一方の電極は、一方のリード線13に電気的に接続されている。圧電素子12の他方の電極は、導電性のハウジング11を介して他方のリード線13に電気的に接続されている。
【0029】
リード線13は、導電性のワイヤを絶縁性の被覆材で被覆したものであり、可撓性に富むものである。接続ピン14は、例えば銅を主成分とする導電性材料からなる棒状のものである。リード線13と接続ピン14は、かしめ等にて接合された後、接続ピン14が樹脂製のコネクタ15に挿入される。なお、リード線13および接続ピン14は、本発明の配線部材を構成する。
【0030】
ハウジング11の内部空間16には、例えばシリコンゴム等の弾性体からなる封止部材17が充填されており、圧電素子12の全体およびリード線13の一部が封止部材17にて封止されている。また、リード線13の残部および接続ピン14は、封止部材17にて封止されておらず、ハウジング11から引き出されている。
【0031】
図3は図1の超音波センサの分解斜視図である。図1、図3に示すように、樹脂製のケース3は、連結部材5と結合される円筒状のケース筒部32、回路基板31が収容されたケース本体部33、回路基板31から外部に出力するための図示しない外部出力端子が収容されたコネクタ部34を備えている。また、ケース筒部32の端部の内周面に、鍔321が形成されている。
【0032】
図4(a)は図1の連結部材5を示す正面図、図4(b)は図4(a)の連結部材5の側面図、図4(c)は図4(a)の連結部材5の下面図、図4(d)は図4(c)のA−A線に沿う断面図である。
【0033】
図1、図4に示すように、シリコンゴム等の弾性体よりなる連結部材5は、マイクロフォン1を保持する円筒状の保持筒部51、ケース3と嵌合される円筒状の嵌合筒部52、保持筒部51と嵌合筒部52との間に形成された円筒状の中間筒部53とを備えている。
【0034】
保持筒部51の内周面には、周方向に離れた位置の2箇所に鍔511が形成されている。また、嵌合筒部52の外周面には、溝521が形成されている。
【0035】
図1に示すように、連結部材5の保持筒部51にマイクロフォン1のハウジング11が挿入され、ハウジング11の溝114と保持筒部51の鍔511とが嵌合されて、マイクロフォン1と連結部材5が結合されている。マイクロフォン1の振動面112は保持筒部51から露出しており、マイクロフォン1が発する超音波が外部に伝えられるような構成とされている。
【0036】
ケース3のケース筒部32に連結部材5の嵌合筒部52が挿入され、ケース筒部32の鍔321と嵌合筒部52の溝521とが嵌合されて、ケース3のケース筒部32に連結部材5が結合されている。
【0037】
連結部材5の中間筒部53内には、発泡シリコン等の弾性体よりなり、マイクロフォン1とケース3との間の振動伝達を抑制するダンパ7が配置されている。このダンパ7には、リード線13、接続ピン14、およびコネクタ15を通す図示しない貫通孔が形成されている。
【0038】
そして、その貫通孔を通過した接続ピン14の先端部が回路基板31に形成されたスルーホールに挿入され、接続ピン14の先端部およびスルーホール21の電気的な接続がはんだ付け等によって為されている。
【0039】
また、ケース3のケース本体部33には、例えばウレタン樹脂等の防湿性の弾性体からなる封止部材35が充填されており、回路基板31や接続ピン14等が封止部材35にて封止されている。
【0040】
本実施形態の超音波センサは、図示しないベゼルおよびリテーナを用いて車両のバンパに取り付けられる。具体的には、ベゼルはバンパ外部からバンパの穴部内に挿入することでバンパに係合して固定されるものであり、リテーナは超音波センサおよびベゼルと嵌合して超音波センサとベゼルとを一体化するものである。そして、超音波センサ、ベゼルおよびリテーナを一体化した状態で、バンパの外部側から超音波センサを穴部内に挿入し、ベゼルをバンパに係合させて、超音波センサをバンパに固定する。
【0041】
ここで、図1(a)に示す超音波センサと図1(b)に示す超音波センサは、連結部材5における中間筒部53の軸方向長さL1が異なり、これにより、マイクロフォン1の先端面(振動面112)からケース本体部33までの長さL2(すなわち、マイクロフォン突出長さ)が異なっている。
【0042】
そして、バンパにおけるセンサ取り付け部が鉛直方向に対して傾斜している場合は、ケース本体部33がバンパと干渉しないように、図1(b)に示すようなマイクロフォン突出長さL2が長い超音波センサを採用する。
【0043】
一方、バンパにおけるセンサ取り付け部が略鉛直方向である場合は、ケース本体部33がバンパと干渉しにくいため、図1(a)に示すようなマイクロフォン突出長さL2が短い超音波センサを採用する。
【0044】
本実施形態では、連結部材5における中間筒部53の軸方向長さL1を変えるのみで、すなわち、連結部材5の交換のみで、マイクロフォン突出長さL2を変更することができる。
【0045】
また、マイクロフォン突出長さL2に応じてリード線13が撓むため、マイクロフォン突出長さL2にかかわらずマイクロフォン1を共通化することができる。
【0046】
さらに、ハウジング11の溝114と保持筒部51の鍔511との嵌合により、ハウジング11と連結部材5の抜け防止および位置決めを行うことができ、ケース筒部32の鍔321と嵌合筒部52の溝521との嵌合により、ケース3と連結部材5の抜け防止および位置決めを行うことができる。
【0047】
さらにまた、弾性体よりなる連結部材5によりマイクロフォン1からケース3への振動伝達を抑制することができ、弾性体よりなるダンパ7によりマイクロフォン1からケース3への振動伝達を抑制することができる。
【0048】
なお、上記実施形態においては、リード線13および接続ピン14にて配線部材を構成したが、接続ピン14のみで配線部材を構成してもよい。具体的には、圧電素子12の一方の電極をワイヤにより一方の接続ピン14に電気的に接続し、圧電素子12の他方の電極をハウジング11およびワイヤを介して他方の接続ピン14に電気的に接続する。この場合、接続ピン14をハウジング11から引き出しておき、接続ピン14と回路基板31を電気的に接続したのちに、接続ピン14の先端部の不要に長い部分を切り落とす。
【0049】
また、上記実施形態においては、ベゼルおよびリテーナを用いて超音波センサをバンパに取り付ける例を示したが、超音波センサと係合可能なアタッチメントを、バンパの内部側に穴部を囲むようにして接着等にて固定しておき、バンパの内部側から超音波センサをアタッチメントに係合させて、超音波センサをバンパに取り付けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 マイクロフォン
3 ケース
5 連結部材
11 ハウジング
12 圧電素子
31 回路基板
51 保持筒部
52 嵌合筒部
53 中間筒部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(11)内に圧電素子(12)が収容されたマイクロフォン(1)と、
前記圧電素子(12)と電気的に接続される回路基板(31)が収容されたケース(3)と、
前記マイクロフォン(1)と前記ケース(3)とを連結する筒状の連結部材(5)とを備え、
前記連結部材(5)は、前記マイクロフォン(1)を保持する保持筒部(51)と、前記ケース(3)と嵌合される嵌合筒部(52)と、前記保持筒部(51)と前記嵌合筒部(52)との間に形成された中間筒部(53)とを備えることを特徴とする超音波センサ。
【請求項2】
前記マイクロフォン(1)は、前記ハウジング(11)から引き出されて前記回路基板(31)に電気的に接続される配線部材(13、14)を備え、
前記配線部材は、前記ハウジング(11)から引き出されたリード線(13)と、前記リード線(13)と前記回路基板(31)とを電気的に接続する接続ピン(14)とを備えることを特徴とする請求項1に記載の超音波センサ。
【請求項3】
前記マイクロフォン(1)が前記保持筒部(51)に挿入され、前記マイクロフォン(1)の外周に形成された溝(114)と前記保持筒部(51)の内周に形成された鍔(511)が嵌合されていることを特徴とする請求項1または2に記載の超音波センサ。
【請求項4】
前記嵌合筒部(52)が前記ケース(3)に挿入され、前記嵌合筒部(52)の外周に形成された溝(521)と前記ケース(3)の内周に形成された鍔(321)が嵌合されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の超音波センサ。
【請求項5】
前記連結部材(5)は、弾性体にて形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の超音波センサ。
【請求項6】
前記中間筒部(53)内には、弾性体にて形成されて前記マイクロフォン(1)と前記ケース(3)との間の振動伝達を抑制するダンパ(7)が配置されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の超音波センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−24846(P2013−24846A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163291(P2011−163291)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】