説明

距離測定装置

【課題】無線信号の送受信によって対象物までの距離を求める距離測定装置において、距離測定精度を向上させることを目的とする。
【解決手段】距離測定装置10は、距離測定対象の無線タグとの間の予備的な無線信号送受信により、その無線タグから送信される直接波信号およびマルチパス信号の各到来方向を推定する。そして、直接波信号の到来方向にアレイアンテナの指向性最大方向が向けられ、マルチパス信号の到来方向にアレイアンテナの指向性ヌル方向が向けられるようアレイアンテナの指向特性を制御する。距離測定装置10は、指向特性制御されたアレイアンテナを介して無線信号の送受信を行い、無線タグまでの距離を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線信号の送受信によって対象物までの距離を求める距離測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
量産工場等では、生産工程または品種ごとに保管位置が定められ製品管理を行うことが多い。このような製品管理を行うため、無線タグ距離測定システムが用いられる。無線タグ距離測定システムでは、管理対象製品に取り付けられた無線タグと距離測定装置との間の無線送受信によって、距離測定装置が無線タグまでの距離を測定する。
【0003】
無線タグまでの距離を測定する際には、距離測定装置はパルス信号を送信する。パルス信号には、距離測定対象の無線タグの固有割り当て符号を含ませる。無線タグは、自らに固有に割り当てられている符号が受信パルス信号に含まれている場合には応答パルス信号を送信する。応答パルス信号を受信した距離測定装置は、パルス信号を送信してから応答パルス信号が受信されるまでの時間に基づいて、無線タグまでの距離を測定する。
【0004】
このような処理によれば、複数の無線タグのうち特定の無線タグまでの距離を測定することができ、距離測定装置から特定の無線タグが付された製品までの距離を測定することができる。
【0005】
無線タグ距離測定システムは、工場における製品管理の他、日用品、小物等の販売を行う小売店、イベント参加者の居場所を管理する必要があるイベント会場等に用いることができる。
【0006】
【特許文献1】特表2006−505018号公報
【特許文献2】特表2005−513629号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図2に示すように、距離測定装置40から送信され、無線タグ42で受信されるパルス信号には、距離測定装置40から送信され障害物で反射した後無線タグ42に到達するマルチパス信号46−1と、距離測定装置40から送信され障害物で反射することなく直接無線タグ42に到達する直接波信号48−1とがある。マルチパス信号46−1および直接波信号48−1は、無線タグ42において重なって受信される
【0008】
同様に、無線タグ42から送信され、距離測定装置40で受信される応答パルス信号には、無線タグ42から送信され障害物で反射した後距離測定装置40に到達するマルチパス信号46−2と、無線タグ42から送信され障害物で反射することなく直接距離測定装置40に到達する直接波信号48−2とがある。マルチパス信号46−2および直接波信号48−2は、距離測定装置40において重なって受信される
【0009】
マルチパス信号46−1および46−2は、距離測定装置40と無線タグ42との間を直線で結ぶ伝搬路を伝搬しない。そのため、距離測定装置40および無線タグ42のそれぞれにおいて受信される信号にマルチパス信号が含まれている場合には、距離測定装置40が無線タグ42までの距離を正確に測定することが困難となる。
【0010】
本発明はこのような課題に対してなされたものである。すなわち、無線信号の送受信によって対象物までの距離を求める距離測定装置において、距離測定精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、距離測定信号を送信する送信手段と、距離測定信号を送信した後に到来する測定応答信号を受信する受信手段と、距離測定信号の送信タイミングと測定応答信号の受信タイミングとに基づいて、対象物までの距離を求める距離測定手段と、を備える距離測定装置において、指向特性を制御可能としたアレイアンテナと、前記アレイアンテナの指向特性を制御する指向性制御手段と、前記測定応答信号の到来方向を推定する到来方向推定手段と、を備え、前記指向性制御手段は、前記到来方向推定手段によって推定された到来方向に基づいて、前記アレイアンテナの指向特性を制御し、前記送信手段は、指向特性が制御された前記アレイアンテナから距離測定信号を送信し、前記受信手段は、指向特性制御された前記アレイアンテナから測定応答信号を受信することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る距離測定装置においては、前記アレイアンテナは複数の単位アンテナを備え、前記送信手段は、前記複数の単位アンテナのいずれかから、距離測定信号とは別に方向推定信号を送信し、前記受信手段は、方向推定信号を送信した後に到来する推定応答信号を、前記アレイアンテナから受信し、前記到来方向推定手段は、前記受信手段で受信された推定応答信号に基づいて、到来方向推定を行うことが好適である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、無線信号の送受信によって対象物までの距離を求める距離測定装置において、距離測定精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(1)距離測定装置の構成
図1に本発明の実施形態に係る距離測定装置10の構成を示す。距離測定装置10は、距離測定対象の無線タグとの間の予備的な無線信号送受信により、その無線タグから送信される直接波信号およびマルチパス信号の各到来方向を推定する。そして、直接波信号の到来方向にアレイアンテナの指向性最大方向が向けられ、マルチパス信号の到来方向にアレイアンテナの指向性ヌル方向が向けられるようアレイアンテナの指向特性を制御する。距離測定装置10は、指向特性制御されたアレイアンテナを介して無線信号の送受信を行い、無線タグまでの距離を測定する。
【0015】
距離測定装置10は、アレイアンテナを構成する複数の単位アンテナ12を備える。各単位アンテナ12には無線送受信部14が接続される。各単位アンテナ12には無指向性アンテナを用いることが好ましい。図1では、4つの単位アンテナ12を用いる構成を示しているが、単位アンテナ12の数は2以上の任意の数とすることができる。
【0016】
無線送受信部14は、無線受信部18、無線送信部20、および送受切り換えスイッチ16を備える。送受切り換えスイッチ16は、切り換え状態に応じて、単位アンテナ12を無線受信部18または無線送信部20のいずれかに接続する。
【0017】
単位アンテナ12が無線受信部18に接続されているときは、無線受信部18は、単位アンテナ12で受信された信号を増幅する。そして、増幅した信号に対して直交検波を施し、同相成分信号Iを実数部とし直交成分信号Qを虚数部とした複素I/Q信号を信号処理部22に出力する。
【0018】
単位アンテナ12が無線送信部20に接続されているときは、無線送信部20は、信号処理部22から出力された複素I/Q信号を無線信号に変換して増幅し、単位アンテナ12に出力する。単位アンテナ12は、無線送信部20から出力された信号を無線送信する。
【0019】
信号処理部22は、無線タグまでの距離を測定するための距離測定パルス信号を各無線送信部20に出力し、距離測定装置10から距離測定パルス信号を送信する。距離測定パルス信号を受信した距離測定対象の無線タグからは、測定応答パルス信号が送信される。信号処理部22は、測定応答パルス信号の受信に応じて各無線受信部18から出力される複素I/Q信号に基づいて、無線タグまでの距離を測定する。
【0020】
距離測定に際して信号処理部22は、距離測定対象の無線タグから送信される直接波信号の到来方向にアレイアンテナの指向性最大方向が向けられ、マルチパス信号の到来方向にアレイアンテナの指向性ヌル方向が向けられるよう、各無線受信部18から出力された複素I/Q信号の大きさおよび複素角の少なくともいずれかを調整して加算合計し、これによって得られた合成信号を距離測定に用いる。また、信号処理部22は、距離測定対象の無線タグから送信される直接波信号の到来方向にアレイアンテナの指向性最大方向が向けられ、マルチパス信号の到来方向にアレイアンテナの指向性ヌル方向が向けられるよう、各無線送信部20に出力する複素I/Q信号の大きさおよび複素角の少なくともいずれかを調整する。
【0021】
なお、信号処理部22では、複素I/Q信号の大きさおよび複素角の少なくともいずれかを調整する処理は、複素I/Q信号に重み付け係数を乗じることで行う。重み付け係数は複素数であり、その大きさは処理対象の複素I/Q信号の大きさを変化させる比率を示し、その複素角は処理対象の複素I/Q信号の複素角への加算値を示す。複素I/Q信号の大きさおよび複素角を変化させることは、直交検波前の元の信号の大きさおよび位相角を変化させること、または、複素I/Q信号を直交変調した信号の大きさおよび位相角を変化させることに相当する。
【0022】
(2)到来方向推定処理
本実施形態に係る距離測定装置10では、距離測定対象の無線タグまでの距離を測定する前に、無線タグから送信される直接波信号の到来方向を推定する処理を実行する。ここでは、このような到来方向推定処理について、距離測定装置10の構成と共に説明する。
【0023】
距離測定部24は、距離測定対象の無線タグの固有割り当て符号を含ませた方向推定パルス信号を生成し送信処理部26に出力する。送信処理部26は、方向推定パルス信号を複素I/Q信号に変換し、複数の送信乗算器30のうちいずれか1つに出力する。送信重み制御部28は、所定の重み付け係数初期値をその送信乗算器30に出力する。方向推定パルス信号および重み付け係数初期値が入力された送信乗算器30は、方向推定パルス信号に重み付け初期値を乗じて無線送信部20に出力する。その無線送信部20が接続された送受切り換えスイッチ16は、その無線送信部20に単位アンテナ12が接続されるよう設定される。無線送信部20は、送信乗算器30から出力された方向推定パルス信号を無線信号に変換して増幅し、単位アンテナ12を介して送信する。
【0024】
この送信処理には、複数の単位アンテナ12のうちの1つが用いられる。単位アンテナ12に無指向性アンテナを用いた場合、1つの単位アンテナ12は指向性最大方向を示さない。これによって、距離測定装置10を基準にあらゆる方向に存在する無線タグに対し、方向推定パルス信号を送信することができる。
【0025】
距離測定装置10から送信された方向推定パルス信号は、距離測定装置10から離れて配置された複数の無線タグで受信される。複数の無線タグのうち、受信した方向推定パルス信号に含まれる固有割り当て符号と、自らの固有割り当て符号とが一致する無線タグは、その方向推定パルス信号に対する推定応答パルス信号を送信する。
【0026】
各送受切り換えスイッチ16は、方向推定パルス信号が送信された後、単位アンテナ12が無線受信部18に接続されるよう設定される。各無線受信部18は、単位アンテナ12を介して推定応答パルス信号を受信する。各無線受信部18は、推定応答パルス信号を増幅し、複素I/Q信号に変換して受信乗算器32に出力する。受信重み制御部34は、重み付け係数を各受信乗算器32に出力する。
【0027】
各受信乗算器32は、無線受信部18から出力された推定応答パルス信号に重み付け係数を乗じて受信処理部36に出力する。受信処理部36は、各受信乗算器32から出力された信号を加算合計し、これによって得られた合成信号を到来方向推定部38に出力する。
【0028】
到来方向推定部38は、各受信乗算器32に出力される重み付け係数が変化するよう受信重み制御部34を制御しつつ合成信号の信号レベルを測定し、推定応答パルス信号の直接波信号およびマルチパス信号の各到来方向を求める。到来方向は、例えば、単位アンテナ12を直線上に配列しリニアアレイアンテナを構成した場合には、単位アンテナ12の配列方向を基準とした方位角によって求めることができる。到来方向推定部38は、直接波信号およびマルチパス信号の各到来方向の方位角を、受信重み制御部34および送信重み制御部28に出力する。
【0029】
信号の到来方向を求める到来方向推定部38の処理には、例えば、MMSE(Minimum Mean Square Error)、MUSIC(MUltiple SIgnal Classification)等の適応化アルゴリズムを用いることができる。
【0030】
受信重み制御部34および送信重み制御部28は、推定応答パルス信号の直接波信号の到来方向に指向性最大方向が向けられ、推定応答パルス信号のマルチパス信号の到来方向に指向性ヌル方向が向けられるよう、各単位アンテナ12に対応する重み付け係数を求める。
【0031】
(3)距離測定処理
次に、距離測定対象の無線タグまでの距離を測定する距離測定処理について説明する。距離測定装置10は、到来方向推定処理によって求めた重み付け係数に基づいてアレイアンテナの指向特性を制御しつつ、無線タグまでの距離を測定する。
【0032】
距離測定部24は、距離測定対象の無線タグの固有割り当て符号を含ませた距離測定パルス信号を生成し送信処理部26に出力する。距離測定パルス信号は、例えば、無線タグの固有割り当て符号「10011・・・」に対し、「1」を信号値1に対応付け「0」を信号値−1に対応付けることにより、時間と共に値が「1、−1、−1、1、1、・・・」のように変化する信号と、正弦波信号とを乗じた信号として生成することができる。後述のように、距離測定部24は、この正弦波信号の位相と、無線タグから送信され受信された信号の位相との関係を距離測定に用いてもよい。送信処理部26は、距離測定パルス信号を複素I/Q信号に変換し、各送信乗算器30に出力する。
【0033】
送信重み制御部28は、到来方向推定処理によって求めた重み付け係数を各送信乗算器30に出力する。各送信乗算器30は、距離測定パルス信号に重み付け係数を乗じて、対応する無線送信部20に出力する。
【0034】
各送受切り換えスイッチ16は、単位アンテナ12が無線送信部20に接続されるよう設定される。各無線送信部20は、送信乗算器30から出力された距離測定パルス信号を複素I/Q信号から無線信号に変換して増幅し、単位アンテナ12を介して送信する。
【0035】
この送信処理には、複数の単位アンテナ12がアレイアンテナとして用いられる。送信重み制御部28が出力する重み付け係数によって、アレイアンテナの指向性最大方向は、距離測定対象の無線タグから送信される直接波信号の到来方向、すなわち、距離測定対象の無線タグが存在する方向に向けられる。
【0036】
距離測定装置10から送信された距離測定パルス信号は、距離測定装置10から離れて配置された複数の無線タグで受信される。複数の無線タグのうち、受信した距離測定パルス信号に含まれる固有割り当て符号と、自らの固有割り当て符号とが一致する無線タグは、その距離測定パルス信号に対する測定応答パルス信号を送信する。
【0037】
各送受切り換えスイッチ16は、距離測定パルス信号が送信された後、単位アンテナ12が無線受信部18に接続されるよう設定される。各無線受信部18は、単位アンテナ12を介して測定応答パルス信号を受信する。そして、測定応答パルス信号を増幅し、複素I/Q信号に変換して受信乗算器32に出力する。受信重み制御部34は、到来方向推定処理によって求めた重み付け係数を各受信乗算器32に出力する。
【0038】
各受信乗算器32は、無線受信部18から出力された測定応答パルス信号に重み付け係数を乗じて受信処理部36に出力する。受信処理部36は、各受信乗算器32から出力された信号を加算合計し、これによって得られた合成信号を距離測定部24に出力する。
【0039】
距離測定部24は、距離測定パルス信号を送信処理部26に出力した時刻と、受信処理部36から合成信号が出力された時刻との差T0を求める。そして、次に説明するように、求められた時刻差T0に基づいて無線タグまでの距離を求める。ここで、距離測定パルス信号が送信処理部26に出力された時刻は、距離測定パルス信号の包絡線の立ち上がり時刻に基づいて求めることができる。また、受信処理部36から合成信号が出力された時刻は、距離測定部24に入力される合成信号の包絡線の立ち上がり時刻に基づいて求めることができる。
【0040】
距離測定部24は、距離測定信号が距離測定部24から出力され、送信処理部26、送信乗算器30、無線送信部20、および送受切り換えスイッチ16を介して単位アンテナ12に至るまでの遅延時間T1、無線タグの応答時間T2、および測定応答パルス信号が単位アンテナ12で受信され、送受切り換えスイッチ16、無線受信部18、受信乗算器32、および受信処理部36を介して距離測定部24に至るまでの遅延時間T3を予め記憶している。距離測定部24は、時刻差T0から遅延時間T1、T3、および無線タグの応答時間T2を減算した時間と、無線信号の伝搬速度とに基づいて、アレイアンテナの位置を基準とした無線タグまでの距離を求める。距離測定部24は、求めた距離をディスプレイ等の表示装置に表示したり、メモリに記憶したりすることができる。
【0041】
距離測定パルス信号が、正弦波信号が乗ぜられている信号である場合には、距離測定部24は、次のようにして距離測定精度を高めることができる。すなわち、距離測定部24は、送信処理部26に出力する距離測定パルス信号に乗ぜられている正弦波信号の位相と、受信処理部36から出力された合成信号に乗ぜられている正弦波信号の位相との差PH0を求める。
【0042】
距離測定部24には、距離測定パルス信号が距離測定部24から出力され、送信処理部26、送信乗算器30、無線送信部20、および送受切り換えスイッチ16を介して単位アンテナ12に至るまでの正弦波信号に対する位相推移量PH1、無線タグにおける正弦波信号に対する位相推移量PH2、および測定応答パルス信号が単位アンテナ12で受信され、送受切り換えスイッチ16、無線受信部18、受信乗算器32、および受信処理部36を介して距離測定部24に至るまでの正弦波信号に対する位相推移量PH3を予め記憶されているものとする。距離測定部24は、位相差PH0から位相推移量PH1、PH2、およびPH3を減算した値を距離測定用位相差として求める。
【0043】
距離測定部24は、時刻差T0に基づいて求められた上述の距離と、距離測定用位相差とに基づいて、無線タグまでの距離を波長換算値で求める。ここで波長換算値は、距離を正弦波信号の波長で除した値である。無線タグまでの距離を波長換算値に基づいて求めることにより、時刻差T0に基づくものよりも高い精度で距離を求めることができる。
【0044】
さらに、距離測定部24は、このようにして求められた距離を用い、無線送信部20から送信される距離測定パルス信号の無線搬送波と、無線受信部18で受信された測定応答パルス信号の無線搬送波との位相差に基づいて、無線搬送波の波長による波長換算値によって無線タグまでの距離を求めてもよい。無線搬送波の波長は、距離測定パルス信号に乗じる正弦波信号の波長よりも短く設計することが通常である。そのため、無線搬送波の波長による波長換算値を用いることにより、距離測定精度をさらに向上させることができる。
【0045】
このような処理によれば、距離測定対象の無線タグから送信される直接波信号の到来方向にアレイアンテナの指向性最大方向を向け、距離測定対象の無線タグから送信されるマルチパス信号の到来方向にアレイアンテナの指向性ヌル方向を向けることができる。これによって、測定応答パルス信号の直接波信号を距離測定用の信号として抽出することができる。
【0046】
さらに、本実施形態に係る距離測定処理では、距離測定パルス信号を送信する際においても、測定応答パルス信号を受信する場合と同一の指向特性が得られるよう、アレイアンテナを制御する。これによって、距離測定装置10と無線タグ42との間を直線で結ぶ伝搬路以外の経路を含む信号経路へ送出される無線信号を低減し、測定誤差を低減することができる。また、本実施形態に係る距離測定装置10によれば、直接波信号に基づく距離測定を行うことができ、距離測定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】実施形態に係る距離測定装置の構成を示す図である。
【図2】直接波信号およびマルチパス信号について説明する図である。
【符号の説明】
【0048】
10,40 距離測定装置、12 単位アンテナ、14 無線送受信部、16 送受切り換えスイッチ、18 無線受信部、20 無線送信部、22 信号処理部、24 距離測定部、26 送信処理部、28 送信重み制御部、30 送信乗算器、32 受信乗算器、34 受信重み制御部、36 受信処理部、38 到来方向推定部、42 無線タグ、44 障害物、46−1,46−2 マルチパス信号、48−1,48−2 直接波信号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
距離測定信号を送信する送信手段と、
距離測定信号を送信した後に到来する測定応答信号を受信する受信手段と、
距離測定信号の送信タイミングと測定応答信号の受信タイミングとに基づいて、対象物までの距離を求める距離測定手段と、
を備える距離測定装置において、
指向特性を制御可能としたアレイアンテナと、
前記アレイアンテナの指向特性を制御する指向性制御手段と、
前記測定応答信号の到来方向を推定する到来方向推定手段と、
を備え、
前記指向性制御手段は、
前記到来方向推定手段によって推定された到来方向に基づいて、前記アレイアンテナの指向特性を制御し、
前記送信手段は、
指向特性が制御された前記アレイアンテナから距離測定信号を送信し、
前記受信手段は、
指向特性が制御された前記アレイアンテナから測定応答信号を受信することを特徴とする距離測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の距離測定装置において、
前記アレイアンテナは複数の単位アンテナを備え、
前記送信手段は、
前記複数の単位アンテナのいずれかから、距離測定信号とは別に方向推定信号を送信し、
前記受信手段は、
方向推定信号を送信した後に到来する推定応答信号を、前記アレイアンテナから受信し、
前記到来方向推定手段は、
前記受信手段で受信された推定応答信号に基づいて、到来方向推定を行うことを特徴とする距離測定装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−122024(P2010−122024A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−295024(P2008−295024)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(000004330)日本無線株式会社 (1,186)
【Fターム(参考)】