説明

距離測定装置

【課題】相対距離を高精度で測定するための距離測定装置を安価に実現する。
【解決手段】質問器101から第1の距離測定信号を含む無線信号を発信し、トランスポンダ102の第1のアンテナ25aによって前記無線信号を受信して第1の距離測定信号を再生し、周波数を分周して第2の測定信号を生成し、前記無線信号を前記第2のアンテナ25bによって反射させあるいは吸収させてASK変調した無線信号を再発信し、前記質問器101によって受信して前記第2の測定信号を再生し、前記第1の測定信号を基準として再生した第2の測定信号の位相を測定することによって、質問器101とトランスポンダ102との間の距離を高精度で測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無線信号を用いて質問器とトランスポンダとの間で双方向通信を行うことによって、距離を高精度で測定するための距離測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、質問器から発信される無線信号を、トランスポンダを用いて中継し、質問器で受信することによって、質問器とトランスポンダとの間の距離を測定する装置が提案されている。(例えば、特許文献1〜6参照)
【特許文献1】特表2004−507714号公報
【特許文献2】WO2006/095463号公報
【特許文献3】特開H06−003428号公報
【0003】
図9は、特許文献1に記載されている従来の「RF位相デルタの判定による距離測定」である。図9において、第1のトランスポンダから第2のトランスポンダへ、第1と第2の周波数の第1と第2の信号を送信する。前記第2信号は、前記第1信号と比較し、そして前記第1と第2のトランスポンダ間の距離は、前記第1および第2の信号間の位相差に基づき判定するとされている。
しかしながら、前記第1と第2の周波数の第1と第2の信号は、伝搬時間が同じであるために、位相差が生じず、距離が測定できない問題点がある。
【0004】
また、特許文献2では、送信制御部7Bは、タグ応答信号の送信を要求するR/W要求信号をRFIDタグ1に対して2回送信するように制御する。この際に、周波数制御部7Aは、各R/W要求信号を互いに異なる搬送周波数で送信するようにPLL部5Aを制御する。位相情報取得部8Aは、互いに異なる搬送周波数で送信されたタグ応答信号の位相の変化量をそれぞれ検出し、この位相の変化量に基づいて距離算出部8Bが、リーダライタ2とRFIDタグ1との距離を算出するとされている。
しかしながら、前記第1と第2の周波数の第1と第2の信号は、伝搬時間が同じであるために、位相差が生じず、距離が測定できない問題点がある。
【0005】
また、特許文献3では、一つの移動局からの第1の測定用信号を親局と複数の中継局で受信すると共に各中継局は重複しない固有の遅延時間後に第2の測定用信号を同一周波数で送信し、親局が移動局からの第1の測定信号と中継局からの第2の測定用信号とを受信してその到達時間差または位相差を測定することにより第1の測定用信号を親局が受信した時刻と各中継局が受信した時刻との相対時間差を算出して双曲線航法により移動局の位置を算出するように構成するとされている。
しかしながら、各中継局において、重複しない固有の遅延時間後に第2の測定用信号を同一周波数で送信すると記述されているが、具体的な構成および方法が記述されておらず、実現性の点で問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、無線信号を用いて質問器とトランスポンダとの間で双方向通信を行うことによって、質問器とトランスポンダとの間の相対距離を高精度で測定するための距離測定装置を安価に実現するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係わる距離測定装置では、質問器から距離測定要求信号を含む無線信号をバースト信号として発信し、トランスポンダが相互間の結合が小さい第1のアンテナと第2のアンテナとを有し、前記質問器から発信される無線信号を第1のアンテナを介して受信し、受信した無線信号から前記第1の測定信号を再生し、少なくとも、前記第1の測定信号と同期しあるいは直交する第2の測定信号を生成し、前記第2の測定信号に対応して第2のアンテナを短絡し、あるいは整合するインピーダンスで終端し、
【0008】
前記質問器から受信した無線信号を反射させあるいは吸収させて、前記第2の測定信号を含む無線信号を再発信し、前記質問器が、前記トランスポンダから再発信された、前記第2の測定測定信号を含む無線信号を受信し、受信した無線信号から前記第2の測定信号を再生して前記第1の測定信号から分離し、前記質問器の制御手段が、前記自局で生成した第1の測定信号を基準として、前記再生された第2の測定信号の位相を、高精度でかつリアルタイムで測定し、前記位相の測定結果から、前記質問器とトランスポンダとの間の距離を算出することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の距離測定装置では、無線信号を用いて質問器とトランスポンダとの間で双方向通信を行うことによって、質問器とトランスポンダとの間の相対距離を高精度で測定するための距離測定装置を安価に実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
この発明に係わる距離測定装置は、図1、図6および請求項1に本発明の第1の実施の形態を示すように、無線信号を用いた距離測定装置において、無線信号18を発信し、かつ無線信号19を受信するための質問器101と、前記質問器101から発信される無線信号18を受信し、かつ無線信号19を再発信するためのトランスポンダ102とから構成され、
【0011】
前記トランスポンダ102が、少なくとも、受信手段21と、発信手段22と、制御手段24と、相互間の結合が小さい第1のアンテナ25aと第2のアンテナ25bとを有し、前記受信手段21が、前記質問器101から発信される無線信号18を第1のアンテナ25aを介して受信し、受信した無線信号18から第1の測定信号を再生し、前記制御手段24が、少なくとも、前記再生した第1の測定信号と同期しあるいは直交する第2の測定信号を生成し、前記発信手段22が、前記生成した第2の測定信号を含む無線信号19を再発信し、
【0012】
前記質問器101が、少なくとも、発信手段11と、受信手段12と、局発信号発振器13と、制御手段14と、前記制御手段14に含まれる距離算出手段93と位相測定手段94と、相互間の結合が小さい第1のアンテナ15aと第2のアンテナアンテナ15bとを有し、前記制御手段14が、少なくとも前記第1の測定信号を含む距離測定要求信号を生成し、前記発信手段11が、前記制御手段14が生成した距離測定要求信号によって、前記局発信号発振器13から供給される局発信号を変調し、前記変調された無線信号18を前記第1のアンテナ15aを介して空間に向けて発信し、
【0013】
前記受信手段12が、前記トランスポンダ102から再発信される前記第2の測定信号を含む無線信号19を、前記第2のアンテナ15bを介して受信し、前記受信した無線信号19から前記第2の測定信号を選択して再生し、前記制御手段14に含まれる位相測定手段94が、前記自局で生成した第1の測定信号を基準として、前記分離しかつ再生された第2の測定信号の位相を、高精度でかつリアルタイムで測定し、前記位相の測定結果から、前記制御手段14に含まれる距離算出手段93が前記トランスポンダ102までの距離を高精度で算出する。
【0014】
また、図1、図7および請求項2に本発明の第2の実施の形態を示すように、前記トランスポンダ102が、少なくとも、受信手段21と、発信手段22と、制御手段24と、相互間の結合が小さい第1のアンテナ25aと第2のアンテナ25bとを有し、前記受信手段21が、前記質問器101から発信される無線信号18を第1のアンテナを介して受信し、受信した無線信号18から第1の測定信号を再生し、前記制御手段24が、少なくとも、前記再生した第1の測定信号と同期しあるいは直交する第2の測定信号を生成し、前記発信手段22が、前記生成された第2の測定信号を含む無線信号19を再発信し、
【0015】
前記受信手段21が、前記質問器101から発信される無線信号18を第1のアンテナを介して受信し、受信した無線信号18から第3の測定信号を再生し、前記制御手段24が、少なくとも、前記再生した第3の測定信号と同期しあるいは直交する第4の測定信号を生成し、前記発信手段22が、前記生成された第4の測定信号を含む無線信号19を再発信し、
【0016】
前記質問器101が、少なくとも、発信手段11と、受信手段12と、局発信号発振器13と、制御手段14と、前記制御手段14に含まれる位相測定手段94と同期発振器95と、相互間の結合が小さい第1のアンテナ15aと第2のアンテナアンテナ15bとを有し、前記制御手段14が、少なくとも前記第1の測定信号を含む距離測定要求信号を生成し、前記発信手段11が、前記制御手段14が生成した距離測定要求信号によって、前記局発信号発振器から供給される局発信号を変調し、前記変調した無線信号18を前記第1のアンテナ15aを介して空間に向けて発信し、
【0017】
前記受信手段12が、前記トランスポンダ102から再発信される前記第2の測定信号を含む無線信号19を、前記第2のアンテナ15bを介して受信し、前記受信した無線信号19から前記第2の測定信号を選択して再生し、前記制御手段14に含まれる同期発振器95が、前記再生した第2の測定信号と同期しあるいは直交する第3の測定信号を生成し、前記発信手段11が、前記生成した第3の測定信号によって、前記局発信号発振器から供給される局発信号を変調し、前記変調した無線信号18を前記第1のアンテナ15aを介して空間に向けて再発信し、
【0018】
前記受信手段12が、前記トランスポンダ102から再発信される前記第4の測定信号を含む無線信号19を、前記第2のアンテナ15bを介して受信し、前記受信した無線信号から前記第4の測定信号を選択して再生し、前記質問器101とトランスポンダ102との間で、上記のシーケンスを複数回繰返えし、前記質問器101の制御手段14に含まれる位相測定手段94が、自局において最初に生成した第1の測定信号を基準として、前記分離しかつ再生された第2nの測定信号の位相を、高精度でかつリアルタイムで測定し、前記位相の測定結果から、前記制御手段14に含まれる距離算出手段93が前記トランスポンダ102までの距離を高精度で算出する。
【0019】
また、図2および請求項3に示すように、前記トランスポンダ102の制御手段24が、前記受信手段21によって再生した第(2n−1)の測定信号をゼロ交差検出器73を用いてデジタル信号に変換し、前記変換したデジタル信号を分周器もしくはカウンタ74を用いて整数分の1に分周し、前記第(2n−1)の測定信号と同期しあるいは直交する第2の測定信号を生成し、前記トランスポンダ102の発信手段22が、前記生成した第2nの測定信号に対応して、前記第2のアンテナ25bを短絡し、あるいは整合するインピーダンスで終端し、前記質問器101から受信する無線信号18を反射させあるいは吸収させて、前記第2nの測定信号を含む無線信号19を再発信する。
【0020】
また、図3および請求項4に示すように、前記トランスポンダ102の発信手段22が、前記第1のアンテナ25aで受信した無線信号18を増幅し、前記増幅した無線信号を前記制御手段24が生成した第2nの測定信号によって変調し、前記変調した無線信号19を第2のアンテナ25bを介して再発信する。
【0021】
また、図6、図7、および請求項5に示すように、前記質問器101の発信手段11が、前記局発信号発振器13から供給される局発信号を、前記距離測定要求信号によって、振幅変調、周波数変調、位相変調、もしくはこれらの組み合わせを行なう。
また、請求項6に示すように、前記第(2n−1)の測定信号、第2nの測定信号、もしくはこれらの両方が、搬送波信号、副搬送波信号、変調信号、スペクトル拡散符号、ベースバンド信号、もしくはこれらの組合せである。
【0022】
また、請求項7に示すように、前記第(2n−1)の測定信号、第2nの測定信号、もしくはこれらの両方が、単一周波数のアナログ信号、あるいは単一チップレートのデジタル信号である。
また、図2、図3、図6、図7、および請求項8に示すように、前記第(2n−1)の測定信号、第2nの測定信号、もしくはこれらの両方が、無線信号の搬送波信号あるいは副搬送波信号である場合には、直接、群遅延歪みの少ない帯域通過フイルタを通し、あるいは無線信号の搬送波信号あるいは副搬送波信号を変調した変調信号もしくは拡散符号である場合には、遅延誤差の少ないアナログ復調器もしくは高い周波数のクロック信号を用いた遅延誤差の少ないデジタル復調器によって復調した後に、前記帯域通過フイルタを通して再生する。
【0023】
また、請求項9に示すように、前記質問器101の受信手段12が、前記トランスポンダ102から再発信された無線信号19を受信して、周波数変換処理を行うための周波数変換処理手段を備え、前記無線信号19をI信号とQ信号とに変換する。
また、図7および請求項10に示すように、前記質問器101の制御手段14に含まれる同期発振器が、セットもしくはリセット付きのカウンタによって構成され、前記受信手段が再生した第2nの測定信号の立上り点、立下り点、もしくはゼロ交差点のタイミングでセットされあるいはリセットされ、前記受信手段12が再生した第2nの測定信号を逓倍し、かつ前記第2nの測定信号と同期しあるいは直交する第(2n−1)の測定信号を生成する。
【0024】
また、図6、図7、および請求項11に示すように、前記質問器101の位相測定手段94が、前記第2の測定信号を4の整数倍の周波数でサンプリングし、かつ4ビット以上のアナログデジタル変換器を用いてデジタル信号に変換し、Sinのルックアップテーブルとして0、1、0、−1、もしくは1、1、−1、−1、を用い、Cosのルックアップテーブルとして1、0、−1、0もしくは1、−1、−1、1、を用い、前記変換したデジタル信号とルックアップテーブルとの積和演算を行い、リアルタイムで位相を測定する。
【0025】
また、図4および請求項12に示すように、前記トランスポンダ102の第1のアンテナ25aと第2のアンテナ25bとが、ダイポールアンテナもしくはループアンテナであり、お互いに直交させてプリント基板103の表面に構成され、あるいはお互いに垂直方向に間隔を置いてプリント基板103の表面に構成される。
また、図5および請求項13に示すように、前記プリント基板103の少なくとも裏面の一部もしくは全部に、プリントパターンを残し、メタライズし、あるいは金属板104を設けて地板とする。
【0026】
また、図2、図3、および請求項14に示すように、前記トランスポンダのDC電源を取得するために、前記トランスポンダの第1のアンテナ、第2のアンテナ、もしくはこれらの両方に整流手段を設け、あるいは内部電源もしくは外部電源を設ける。
また、請求項15に示すように、前記質問器101の第1のアンテナ15aと、第2のアンテナ15bとが高誘電率円偏波指向性セラミックアンテナである。
【0027】
また、請求項16に示すように、前記質問器101がアンテナ共用器を有し、単一のアンテナを共用する。
また、請求項17に示すように、前記質問器101、トランスポンダ102、もしくはこれらの両方の受信手段12、21が、無線信号18、19の伝搬経路の品質を検知する品質検知手段(記載せず)を有し、前記品質検知手段が、前記受信手段12、21において受信した無線信号18、19の電力あるいは信号対雑音比を測定した結果から回線品質を分析し、前記距離測定の結果をフイルタリングし、補正し、あるいは補完する。
【0028】
また、請求項18に示すように、前記質問器101において、前記第2nの測定信号を自局で生成して無線信号を発信手段11によって変調し、前記変調した無線信号を受信手段12によって直接受信し、あるいは前記第1のアンテナ15aと第2のアンテナ15bとを介して発信しかつ受信して距離を測定し、前記距離の測定結果から、前記質問器101によって生じる距離の測定誤差の補正値を求める。
また、請求項19に示すように、前記トランスポンダ102において、少なくとも自局における遅延誤差もしくは距離の測定誤差に関する個別情報をメモリに記憶しており、前記質問器からの質問に応答し、前記個別情報を回答する。
【0029】
(実施の形態1)
図1および図6は本発明の第1の実施の形態による距離測定装置の構成図である。図1および図6において、101は質問器、102はトランスポンダ、11は発信手段、12は受信手段、13は局発信号発振器、14は制御手段、15a、15bはアンテナ、21は受信手段、22は発信手段、24は制御手段、25a、25bはアンテナ、18は下り方向の無線信号、19は上り方向の無線信号、94は前記制御手段14に含まれる位相測定手段、95は前記制御手段14に含まれる距離算出手段である。
【0030】
無線信号を用いた距離測定装置において、無線信号18を発信し、かつ無線信号19を受信するための質問器101と、前記質問器101から発信される無線信号18を受信し、かつ無線信号19を再発信するためのトランスポンダ102とから構成され、
【0031】
前記トランスポンダ102が、少なくとも、受信手段21と、発信手段22と、制御手段24と、相互間の結合が小さい第1のアンテナ25aと第2のアンテナ25bとを有し、前記受信手段21が、前記質問器101から発信される無線信号18を第1のアンテナ25aを介して受信し、受信した無線信号18から第1の測定信号を再生し、前記制御手段24が、少なくとも、前記再生した第1の測定信号と同期しあるいは直交する第2の測定信号を生成し、前記発信手段22が、前記生成された第2の測定信号を含む無線信号19を再発信し、
【0032】
前記質問器101が、少なくとも、発信手段11と、受信手段12と、局発信号発振器13と、制御手段14と、前記制御手段14に含まれる位相測定手段94と距離算出手段95と、相互間の結合が小さい第1のアンテナ15aと第2のアンテナアンテナ15bとを有し、前記制御手段14が、少なくとも前記第1の測定信号を含む距離測定要求信号を生成し、前記発信手段11が、前記制御手段14が生成した距離測定要求信号によって、前記局発信号発振器13から供給される局発信号を変調し、前記変調された無線信号18を前記第1のアンテナ15aを介して空間に向けて発信し、
【0033】
前記受信手段12が、前記トランスポンダ102から再発信される前記第2の測定信号を含む無線信号19を、前記第2のアンテナ15bを介して受信し、前記受信した無線信号19から前記第2の測定信号を選択して再生し、前記制御手段14に含まれる位相測定手段94が、前記自局で生成した第1の測定信号を基準として、前記分離しかつ再生された第2の測定信号の位相を、高精度でかつリアルタイムで測定し、前記位相の測定結果から、前記制御手段14に含まれる距離算出手段95が前記トランスポンダ102までの距離を高精度で算出することができる。
【0034】
図7に例示するごとく、前記質問器101から発信される第1の測定信号を含む無線信号18aは周期的なデジタル信号で変調されたASK信号であり、前記デジタル信号を復調しフイルタを通すと第1の測定信号18bが正弦波信号として出力される。一方、前記トランスポンダ102から発信される第2の測定信号を含む無線信号19aは周期的なデジタル信号で変調されたASK信号であり、前記デジタル信号を復調しフイルタを通すと第2の測定信号19bが正弦波信号として出力される。ここで、前記第2の測定信号の周波数を前記第1の測定信号の2分の1の周波数とすると、両者の位相差20はπ/4となる。
【0035】
前記第1の測定信号を、Asin(2πf1t)とし、前記質問器101とトランスポンダ102との間の距離をD(m)とすると、前記トランスポンダ102で受信する前記第1の測定信号は、Bsin{2πf1t−2πD(f1/C)}となる。ここで、Cは光の速度とする。
前記トランスポンダ102において、カウンタもしくは分周期74を用いて、受信した前記第1の測定信号の周波数を2分の1にカウントダウンして第2の測定信号を生成すると、前記第2の測定信号は、Bsin{2π(f1/2)t−(2πDf1/2C)−(π/4)}となり、これを再発信して前記質問器101で受信すると、Csin{2π(f1/2)t−2πD(f1/2C)−2πD(f1/2C)−(π/4)}=Csin{2π(f1/2)t−2πD(f1/C)−(π/4)}となる。
前記質問器101で生成した前記第1の測定信号を基準として、前記質問器101で受信した前記第2の測定信号との位相差ΔΦを測定すると、ΔΦ=2πD(f1/C)−(π/4)から、距離D(m)は、D=(C/3){(ΔΦ−(π/4))/2πf1)}となる。
【0036】
なお、前記質問器101の受信手段12では、前記第1の測定信号と前記第2の測定信号とが同時に再生されるので、周波数選択手段を用いて、周波数が2分の1である前記第2の測定信号のみを選択して位相を測定する必要がある。ここで、第2の測定信号の周波数を低く設定したのは、高調波による誤動作を防ぐためである。
また、前記質問器101の受信手段12が、前記トランスポンダ102から再発信された無線信号19を受信して、周波数変換処理を行うための周波数変換処理手段を備え、前記無線信号19をI信号とQ信号とに変換する。
【0037】
また、前記質問器101、トランスポンダ102、もしくはこれらの両方の受信手段12、21が、無線信号18、19の伝搬経路の品質を検知する品質検知手段(記載せず)を有し、前記品質検知手段が、前記受信手段12、21において受信した無線信号18、19の電力あるいは信号対雑音比を測定した結果から回線品質を分析し、前記距離測定の結果をフイルタリングし、補正し、あるいは補完する。
【0038】
また、前記質問器101において、前記第2nの測定信号を自局で生成して無線信号を発信手段11によって変調し、前記変調した無線信号を受信手段12によって直接受信し、あるいは前記第1のアンテナ15aと第2のアンテナ15bとを介して発信しかつ受信して距離を測定し、前記距離の測定結果から、前記質問器101によって生じる距離の測定誤差の補正値を求める。
また、前記トランスポンダ102において、少なくとも自局における遅延誤差もしくは距離の測定誤差に関する個別情報をメモリに記憶しており、前記質問器からの質問に応答し、前記個別情報を回答する。
【0039】
(実施の形態2)
図1および図7は本発明の第2の実施の形態による距離測定装置の構成図であり、前記トランスポンダ102が、少なくとも、受信手段21と、発信手段22と、制御手段24と、相互間の結合が小さい第1のアンテナ25aと第2のアンテナ25bとを有し、前記受信手段21が、前記質問器101から発信される無線信号18を第1のアンテナを介して受信し、受信した無線信号18から第1の測定信号を再生し、前記制御手段24が、少なくとも、前記再生した第1の測定信号と同期しあるいは直交する第2の測定信号を生成し、前記発信手段22が、前記生成された第2の測定信号を含む無線信号19を再発信し、
【0040】
前記受信手段21が、前記質問器101から発信される無線信号18を第1のアンテナを介して受信し、受信した無線信号18から第3の測定信号を再生し、前記制御手段24が、少なくとも、前記再生した第3の測定信号と同期しあるいは直交する第4の測定信号を生成し、前記発信手段22が、前記生成された第4の測定信号を含む無線信号19を再発信し、
【0041】
前記質問器101が、少なくとも、発信手段11と、受信手段12と、局発信号発振器13と、制御手段14と、前記制御手段14に含まれる位相測定手段94と同期発振器95と、相互間の結合が小さい第1のアンテナ15aと第2のアンテナアンテナ15bとを有し、前記制御手段14が、少なくとも前記第1の測定信号を含む距離測定要求信号を生成し、前記発信手段11が、前記制御手段14が生成した距離測定要求信号によって、前記局発信号発振器13から供給される局発信号を変調し、前記変調した無線信号18を前記第1のアンテナ15aを介して空間に向けて発信し、
【0042】
前記受信手段12が、前記トランスポンダ102から再発信される前記第2の測定信号を含む無線信号19を、前記第2のアンテナ15bを介して受信し、前記受信した無線信号19から前記第2の測定信号を選択して再生し、前記制御手段14に含まれる同期発振器95が、前記再生した第2の測定信号と同期しあるいは直交する第3の測定信号を生成し、前記発信手段11が、前記生成した第3の測定信号によって、前記局発信号発振器13から供給される局発信号を変調し、前記変調した無線信号18を前記第1のアンテナ15aを介して空間に向けて再発信し、
【0043】
前記受信手段12が、前記トランスポンダ102から再発信される前記第4の測定信号を含む無線信号19を、前記第2のアンテナ15bを介して受信し、前記受信した無線信号から前記第4の測定信号を選択して再生し、前記質問器101とトランスポンダ102との間で、上記のシーケンスを複数回繰返えし、前記質問器101の制御手段14に含まれる位相測定手段94が、自局において最初に生成した第1の測定信号を基準として、前記分離しかつ再生された第2nの測定信号の位相を、高精度でかつリアルタイムで測定し、前記位相の測定結果から、前記制御手段14に含まれる距離算出手段93が前記トランスポンダ102までの距離を高精度で算出する。
【0044】
また、前記質問器101の発信手段11が、前記局発信号発振器13から供給される局発信号を、前記距離測定要求信号によって、振幅変調、周波数変調、位相変調、もしくはこれらの組み合わせを行なう。
また、前記第(2n−1)の測定信号、第2nの測定信号、もしくはこれらの両方が、搬送波信号、副搬送波信号、変調信号、スペクトル拡散符号、ベースバンド信号、もしくはこれらの組合せである。
【0045】
また、前記第(2n−1)の測定信号、第2nの測定信号、もしくはこれらの両方が、単一周波数のアナログ信号、あるいは単一チップレートのデジタル信号である。
また、前記質問器101の制御手段14に含まれる同期発振器が、セットもしくはリセット付きのカウンタによって構成され、前記受信手段が再生した第2nの測定信号の立上り点、立下り点、もしくはゼロ交差点のタイミングでセットされあるいはリセットされ、前記受信手段12が再生した第2nの測定信号を逓倍し、かつ前記第2nの測定信号と同期しあるいは直交する第(2n−1)の測定信号を生成する。
【0046】
図2は本発明のトランスポンダの構成図であり、25aは第1のアンテナ、25bは第2のアンテナ、71は復調器、72はフイルタ、73はゼロ交差検出器、74は分周器、75はスイッチ、76は整流用ダイオード、77a、77bはDC電源、78a、78bはグランド、79a、79bは終端抵抗であり、前記以外に、マイコン、メモリ、およびその他の必要な回路を含むものとする。
【0047】
第1のアンテナ25aにより受信した無線信号18を、整流用ダイオード76によって整流して前記トランスポンダ102にDC電源を供給し、前記受信手段21の復調器71によって再生し、フイルタ72によって選択した第(2n−1)の測定信号を、ゼロ交差検出器73を用いてデジタル信号に変換し、前記変換したデジタル信号を分周器もしくはクンタ74を用いて整数分の1に分周し、前記第(2n−1)の測定信号と同期しあるいは直交する第2の測定信号を生成し、前記トランスポンダ102の発信手段22が、前記生成した第2nの測定信号に対応して、前記第2のアンテナ25bを短絡し、あるいは整合するインピーダンスで終端し、前記質問器101から受信する無線信号18を反射させあるいは吸収させて、前記第2nの測定信号を含む無線信号19を再発信する。
【0048】
ここで、復調器71は、ASK信号の復調器、あるいはその他のアナログ信号もしくはデジタル信号の復調器を含み、フイルタ72は帯域通過フイルタであり、かつアナログフイルタもしくはデジタルフイルタであり、ゼロ交差検出器75は、コンパレータもしくはアナログデジタル変換器であり、分周器74は、アナログ式の分周器もしくはデジタルカウンタである。
【0049】
また、整流用ダイオード76は、第2のアンテナ25bにも追加して設けることで、アンテナの指向性によってDC電源の供給が滞ることを防止することができる。他に、内部に設けた電源あるいは外部に設けた電源からも供給することも可能である。
また、スイッチ75は、上記の第2の測定信号の他に、システム同期信号、識別信号、応答信号、その他の必要なデジタル信号を含む無線信号を発信するものとする。
【0050】
図3は本発明のトランスポンダの他の構成図であり、25aは第1のアンテナ、25bは第2のアンテナ、71は復調器、72はフイルタ、73はゼロ交差検出器、74はカウンタ、76は整流用ダイオード、77a、77b、77cはDC電源、78a、78b、78cはグランド、79は内部電池、121は増幅器、122は変調器であり、前記以外に、マイコン、メモリ、およびその他の必要な回路を含むものとする。
【0051】
第1のアンテナ25aにより受信した無線信号18を、整流用ダイオード76によって整流して前記トランスポンダ102にDC電源を供給するとともに、内部電池もしくは外部電池79を充電し、復調器71によって復調して前記第1の測定信号を再生し、フイルタ72によって前記第(2n−1)の測定信号を選択して雑音成分を除去し、ゼロ交差検出器73によって前記選択した第(2n−1)の測定信号をデジタル信号に変換し、分周器もしくはカウンタ74によって整数分の1、例えば2分の1、の周波数に分周して第2nの測定信号を生成し、一方、前記第1のアンテナ25aにより受信した無線信号18を増幅器121によって増幅し、前記増幅した無線信号18を、前記第2の測定信号に対応して、変調器122を設けて変調し、第2のアンテナ25bを介して無線信号19を再発信する。
【0052】
また、前記第(2n−1)の測定信号、第2nの測定信号、もしくはこれらの両方が、無線信号の搬送波信号あるいは副搬送波信号である場合には、直接、群遅延歪みの少ない帯域通過フイルタを通し、あるいは無線信号の搬送波信号あるいは副搬送波信号を変調した変調信号もしくは拡散符号である場合には、遅延誤差の少ないアナログ復調器もしくは高い周波数のクロック信号を用いた遅延誤差の少ないデジタル復調器によって復調した後に、前記帯域通過フイルタを通して再生する。
【0053】
図4、図5は本発明のトランスポンダの断面図であり、102はICチップ、25aは第1のアンテナ、25bは第2のアンテナ、103はプリント基板もしくは高誘電率基板、104はメタライズもしくは金属板である。
図4では、トランスポンダ102を通常のプリント基板103上に組み込んだものであり、第1のアンテナ25aと第2のアンテナ25bとが、相互間の結合を最少とするために、お互いに偏波面を直交させてプリント基板の表面に構成され、あるいは図4とは別にお互いに垂直方向に間隔を置いてプリント基板の表面に構成され、ICチップ102が中央部に組み立てられている。
【0054】
前記アンテナ75a、75bはダイポールアンテナとして例示しているが、ループアンテナその他のアンテナを用いることも可能である。
また、プリント基板は、フレキシブルであり、多様な形状の物品に装着できる構造となっている。
【0055】
一方、図5では、トランスポンダ102を高誘電率の基板103の表面に第1のアンテナ25aと第2のアンテナ25bを、お互いに直交させて高誘電率のプリント基板の表面に構成し、あるいは図5とは別にお互いに垂直方向に間隔を置いて高誘電率のプリント基板の表面に構成し、かつ少なくとも裏面の一部もしくは全部に、プリントパターンを残し、メタライズし、あるいは金属板を貼り付ける構造となっており、金属性の物品に装着できる特徴を有する。
また、アンテナ24a、24bの形状を変形させ、全体として小型化を実現することも可能である。
【0056】
図6、図7は本発明の質問器の構成図であり、101は質問器、11は発信手段、12は受信手段、13は局発信号発振手段、14は制御手段、15aは第1のアンテナ、15bは第2のアンテナ、81a、81bは平衡変調器、82はπ/2移相器、83は加算器、84は電力増幅器、85はゼロ交差検出器、86はフイルタ、87は加算器、88a、88bは平衡変調器、89はπ/2移相器、90は低雑音増幅器、91は基準発振器、92は符号化器、93は距離算出器、94は位相測定器、95は同期発振器である。
【0057】
制御手段14において、基準発振器91から出力されるクロック信号によって、符号化器92が第(2n−1)の測定信号を生成し、発信手段11において、平衡変調器881a、81bによって、基準発振器91と局発信号発振手段13とπ/2移相器82で生成される局発信号を変調して加算器83で加算し(例示ではASK変調)、電力増幅器84によって必要な電力まで増幅し、第1のアンテナ15aから無線信号18として空間に放射される。
【0058】
一方、トランスポンダ102から再発信された無線信号19は、第2のアンテナ15bによって受信され、低雑音増幅器90で増幅され、平衡変調器88a、88bによって前記局発信号とミキシングされ、加算器87によって加算され、フイルタ86によって第2nの測定信号が選択され、ゼロ交差検出器85でデジタル信号に変換されて再生される。
【0059】
図6では、前記再生された第2の測定信号の位相が、前記第1の測定信号を基準として、前記位相測定器94によって測定され、前記測定された第2の測定信号の位相から前記距離算出手段93によって、トランスポンダ102までの距離を算出して2分の1することで、質問器101とトランスポンダ102との間の片道の距離が算出できる。
一方、図7では、前記再生された第2nの測定信号と同期発振器95との同期を確立し保持させた状態で、第(2n−1)の測定信号を生成し、前記発信手段11によって前記第(2n−1)の測定信号を含む無線信号18が発信され、前記トランスポンダ102によって第2nの測定信号に変換されて再発信され、受信手段12によって再生され、以下同様な手順で繰返すことができる。
【0060】
前記同期発振器95は、例えば、セットもしくはリセット付きカウンタであり、前記第2nの測定信号の立上り点、立下り点、もしくはゼロ交差点のタイミングで前記カウンタをセットしあるいはリセットすることにより数マイクロ秒以内の瞬時に同期を確立でき、前記第2nの測定信号が停止した場合でも長時間同期を保持できる。
前記シーケンスが複数回繰返されて、再生された第2nの測定信号の位相が、前記最初に生成された第1の測定信号を基準として、前記位相測定器94によって測定され、前記測定された第2nの測定信号の位相から前記距離算出手段93によって、トランスポンダ102までの2n倍の距離に拡大されて算出されるので、例えば、質問器101からトランスポンダ102までの距離が短いにも係わらず、あるいは測定信号の周波数が比較的に低い場合でも、高精度で距離を算出することができ、複数回の測定の平均を求めることで誤差を低減できるメリットが得られる。
【0061】
ここで、前記質問器101の第1のアンテナ15aと、第2のアンテナ15bとが高誘電率円偏波指向性セラミックアンテナとすることで、両者間のアイソレーションを大きくすることができ、又、前記トランスポンダ102において、アンテナの向きに関係無く、良好な受信ができるメリットが得られる。
【0062】
また、前記質問器101の位相測定手段94が、前記第2nの測定信号を4の整数倍の周波数でサンプリングし、かつ4ビット以上のアナログデジタル変換器を用いてデジタル信号に変換し、Sinのルックアップテーブルとして0、1、0、−1、もしくは1、1、−1、−1、を用い、Cosのルックアップテーブルとして1、0、−1、0もしくは1、−1、−1、1、を用い、前記変換したデジタル信号とルックアップテーブルとの積和演算を行い、リアルタイムで位相を測定することができる。
【0063】
また、ASK変調の他にも、PSK変調など他の変調方式を採用することも可能であり、第1のアンテナ15aと第2のアンテナ15bをサーキュレータなどのアンテナ共用器を用いることで、単一のアンテナを用いることも可能である。
また、ゼロ交差検出器90として、コンパレータもしくはアナログデジタル変換器を用いる。
【0064】
以上の説明では、単一の周波数の距離測定信号を発信する場合について説明したが、この場合、ΔΦの変化を0<ΔΦ<2πに制限する必要がある。そこで、前記第1の測定信号の周波数を複数の段階で変化させることで、任意の測定レンジが自動的に選択できるメリットが得られる。
また、超広帯域通信方式(ウルトラワイドバンド)を用いることで、第1の測定信号と第2の測定信号に高い周波数の変調信号あるいは高いチップレートの拡散符号を採用できるので、例えば、15MHzの変調信号を用いれば、測定レンジを片道で10m以下の短い距離に設定できることから、RFIDタグまでの詳細な距離を測定できるメリットが得られる。
【0065】
また、前記無線信号として、超音波信号、高周波信号、もしくは光信号を用いることができる。なお、超音波信号もしくは光信号の場合には、アンテナの代わりに、送受波器を用いる。
また、前記トランスポンダ102の第1のアンテナと第2のアンテナとの間のアイソレーションが大きいので、増幅器を設けて第1のアンテナで受信した無線信号を増幅し、変調器を設けて第2の測定信号で変調して第2のアンテナから再発信することで、遠距離での測定が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明によれば、上記のように構成されているため、近接した複数のコンベア上を移動する物品に添付されたRFIDタグを、どのコンベア上かを含めて識別できる。
また、金属製の物品にRFIDタグを添付した場合でも、タグの内容を読み出すとともに、タグまでの距離を測定することができる。
また、物流管理において、物品を収納した正確な位置を検知する場合にも応用できる。
なお、本発明の距離測定技術は基盤技術であり、上記以外に多分野での利用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の距離測定装置の構成図
【図2】本発明のトランスポンダの構成図
【図3】本発明のトランスポンダの他の構成図
【図4】本発明のトランスポンダの断面図
【図5】本発明のトランスポンダの他の断面図
【図6】本発明の第1の実施の形態による質問器の構成図
【図7】本発明の第2の実施の形態による質問器の構成図
【図8】本発明の測定信号の波形を示す図
【図9】従来の実施例を示す構成図
【符号の説明】
【0068】
101 質問器
102 トランスポンダ
11 発信手段
12 受信手段
13 局発信号発振器
14 制御手段
15a、15b アンテナ
18 第1の測定信号
19 第2の測定信号
21 発信手段
22 受信手段
24 制御手段
25a、25b アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線信号を用いた距離測定装置において、
前記無線信号を発信し、かつ受信するための質問器と、
前記質問器から発信される無線信号を受信し、かつ再発信するためのトランスポンダと
から構成され、
前記トランスポンダが、少なくとも、
受信手段と、発信手段と、制御手段と、相互間の結合が小さい第1のアンテナと第2のアンテナとを有し、
前記受信手段が、前記質問器から発信される無線信号を第1のアンテナを介して受信し、受信した無線信号から第1の測定信号を再生し、
前記制御手段が、少なくとも、前記再生した第1の測定信号と同期しあるいは直交する第2の測定信号を生成し、
前記発信手段が、前記生成された第2の測定信号を含む無線信号を再発信し、
前記質問器が、少なくとも、
発信手段と、受信手段と、局発信号発振器と、制御手段と、前記制御手段に含まれる距離算出手段と位相測定手段と、相互間の結合が小さい第1のアンテナと第2のアンテナアンテナとを有し、
前記制御手段が、少なくとも前記第1の測定信号を含む距離測定要求信号を生成し、
前記発信手段が、前記制御手段が生成した距離測定要求信号によって、前記局発信号発振器から供給される局発信号を変調し、前記変調した無線信号を前記第1のアンテナを介して空間に向けて発信し、
前記受信手段が、前記トランスポンダから再発信される前記第2の測定信号を含む無線信号を、前記第2のアンテナを介して受信し、前記受信した無線信号から前記第2の測定信号を選択して再生し、
前記制御手段に含まれる位相測定手段が、前記自局で生成した第1の測定信号を基準として、前記分離しかつ再生された第2の測定信号の位相を、高精度でかつリアルタイムで測定し、前記位相の測定結果から、前記制御手段に含まれる距離算出手段によって前記トランスポンダまでの距離を高精度で算出する
ことを特徴とする距離測定装置。
【請求項2】
前記トランスポンダが、少なくとも、
受信手段と、発信手段と、制御手段と、相互間の結合が小さい第1のアンテナと第2のアンテナとを有し、
前記受信手段が、前記質問器から発信される無線信号を第1のアンテナを介して受信し、受信した無線信号から第1の測定信号を再生し、
前記制御手段が、少なくとも、前記再生した第1の測定信号と同期しあるいは直交する第2の測定信号を生成し、
前記発信手段が、前記生成された第2の測定信号を含む無線信号を再発信し、
前記受信手段が、前記質問器から発信される無線信号を第1のアンテナを介して受信し、受信した無線信号から第3の測定信号を再生し、
前記制御手段が、少なくとも、前記再生した第3の測定信号と同期しあるいは直交する第4の測定信号を生成し、
前記発信手段が、前記生成された第4の測定信号を含む無線信号を再発信し、
前記質問器が、少なくとも、
発信手段と、受信手段と、局発信号発振器と、制御手段と、前記制御手段に含まれる距離算出手段と位相測定手段と同期発振器と、相互間の結合が小さい第1のアンテナと第2のアンテナアンテナとを有し、
前記制御手段が、少なくとも前記第1の測定信号を含む距離測定要求信号を生成し、
前記発信手段が、前記制御手段が生成した距離測定要求信号によって、前記局発信号発振器から供給される局発信号を変調し、前記変調した無線信号を前記第1のアンテナを介して空間に向けて発信し、
前記受信手段が、前記トランスポンダから再発信される前記第2の測定信号を含む無線信号を、前記第2のアンテナを介して受信し、前記受信した無線信号から前記第2の測定信号を選択して再生し、
前記制御手段に含まれる同期発振器が、前記再生した第2の測定信号と同期しあるいは直交する第3の測定信号を生成し、
前記発信手段が、前記生成した第3の測定信号によって、前記局発信号発振器から供給される局発信号を変調し、前記変調した無線信号を前記第1のアンテナを介して空間に向けて再発信し、
前記受信手段が、前記トランスポンダから再発信される前記第4の測定信号を含む無線信号を、前記第2のアンテナを介して受信し、前記受信した無線信号から前記第4の測定信号を選択して再生し、
前記質問器とトランスポンダとの間で、上記のシーケンスを複数回繰返えし、
前記質問器の制御手段に含まれる位相測定手段が、自局において最初に生成した第1の測定信号を基準として、前記分離しかつ再生された第2nの測定信号の位相を、高精度でかつリアルタイムで測定し、前記位相の測定結果から、前記制御手段に含まれる距離算出手段によって前記トランスポンダまでの距離を高精度で算出する
ことを特徴とする請求項第1項に記載の距離測定装置。
【請求項3】
前記トランスポンダの制御手段が、前記受信手段によって再生した第(2n−1)の測定信号をゼロ交差検出器を用いてデジタル信号に変換し、前記変換したデジタル信号を分周器もしくはカウンタを用いて整数分の1に分周し、前記第(2n−1)の測定信号と同期しあるいは直交する第2nの測定信号を生成し、前記トランスポンダの発信手段が、前記生成した第2nの測定信号に対応して、前記第2のアンテナを短絡し、あるいは整合するインピーダンスで終端し、前記質問器から受信する無線信号を反射させあるいは吸収させて、前記第2nの測定信号を含む無線信号を再発信することを特徴とする請求項第1項もしくは第2項に記載の距離測定装置。
【請求項4】
前記トランスポンダの発信手段が、前記第1のアンテナで受信した無線信号を増幅し、前記増幅した無線信号を前記制御手段が生成した第2nの測定信号によって変調し、前記変調した無線信号を第2のアンテナを介して再発信することを特徴とする請求項第3項に記載の距離測定装置。
【請求項5】
前記質問器の発信手段が、前記局発信号発振器から供給される局発信号を、前記距離測定要求信号によって、振幅変調、周波数変調、位相変調、もしくはこれらの組み合わせを行なうことを特徴とする請求項第1項もしくは第2項に記載の距離測定装置。
【請求項6】
前記第(2n−1)の測定信号、第2nの測定信号、もしくはこれらの両方が、搬送波信号、副搬送波信号、変調信号、スペクトル拡散符号、ベースバンド信号、もしくはこれらの組合せであることを特徴とする請求項第1項もしくは第2項に記載の距離測定装置。
【請求項7】
前記第(2n−1)の測定信号、第2nの測定信号、もしくはこれらの両方が、単一周波数のアナログ信号、あるいは単一チップレートのデジタル信号であることを特徴とする請求項第1項もしくは第2項に記載の距離測定装置。
【請求項8】
前記第(2n−1)の測定信号、第2nの測定信号、もしくはこれらの両方が、無線信号の搬送波信号あるいは副搬送波信号である場合には、直接、群遅延歪みの少ない帯域通過フイルタを通し、あるいは無線信号の搬送波信号あるいは副搬送波信号を変調した変調信号もしくは拡散符号である場合には、遅延誤差の少ないアナログ復調器もしくは高い周波数のクロック信号を用いた遅延誤差の少ないデジタル復調器によって復調した後に、前記帯域通過フイルタを通して再生することを特徴とする請求項第1項もしくは第2項に記載の距離測定装置。
【請求項9】
前記質問器の受信手段が、前記トランスポンダから再発信された無線信号を受信して、周波数変換処理を行うための周波数変換処理手段を備え、前記無線信号をI信号とQ信号とに変換することを特徴とする請求項第1項もしくは第2項に記載の距離測定装置。
【請求項10】
前記質問器の制御手段に含まれる同期発振器が、セットもしくはリセット付きのカウンタによって構成され、前記受信手段が再生した第2nの測定信号の立上り点、立下り点、もしくはゼロ交差点のタイミングでセットされあるいはリセットされ、前記第2nの測定信号と同期しあるいは直交する第(2n−1)の測定信号を生成することを特徴とする請求項第1項もしくは第2項に記載の距離測定装置。
【請求項11】
前記質問器の制御手段の位相測定手段が、前記受信手段が再生した第2nの測定信号を4の整数倍の周波数でサンプリングし、かつ4ビット以上のアナログデジタル変換器を用いてデジタル信号に変換し、Sinのルックアップテーブルとして0、1、0、−1、もしくは1、1、−1、−1、を用い、Cosのルックアップテーブルとして1、0、−1、0もしくは1、−1、−1、1、を用い、前記変換したデジタル信号とルックアップテーブルとの積和演算を行い、リアルタイムで位相を測定することを特徴とする請求項第1項もしくは第2項に記載の距離測定装置。
【請求項12】
前記トランスポンダの第1のアンテナと第2のアンテナとが、ダイポールアンテナもしくはループアンテナであり、お互いに直交させてプリント基板の表面に構成され、あるいはお互いに垂直方向に間隔を置いてプリント基板の表面に構成されることを特徴とする請求項第1項もしくは第2項に記載の距離測定装置。
【請求項13】
前記プリント基板の少なくとも裏面の一部もしくは全部に、プリントパターンを残し、メタライズし、あるいは金属板を設けて地板とすることを特徴とする請求項第12項に記載の距離測定装置。
【請求項14】
前記トランスポンダのDC電源を取得するために、前記トランスポンダの第1のアンテナ、第2のアンテナ、もしくはこれらの両方に整流手段を設け、あるいは内部電源もしくは外部電源を設けることを特徴とする請求項第1項もしくは第2項に記載の距離測定装置。
【請求項15】
前記質問器の第1のアンテナと、第2のアンテナとが高誘電率円偏波指向性セラミックアンテナであることを特徴とする請求項第1項もしくは第2項に記載の距離測定装置。
【請求項16】
前記質問器がアンテナ共用器を有し、単一のアンテナを共用することを特徴とする請求項第1項もしくは第2項に記載の距離測定装置。
【請求項17】
前記質問器、トランスポンダ、もしくはこれらの両方の受信手段が、無線信号の伝搬経路の品質を検知する品質検知手段を有し、前記品質検知手段が、前記受信手段において受信した無線信号の電力あるいは信号対雑音比を測定した結果から回線品質を分析し、前記距離測定の結果をフイルタリングし、補正し、あるいは補完することを特徴とする請求項第1項もしくは第2項に記載の距離測定装置。
【請求項18】
前記質問器において、前記第2nの測定信号を自局で生成して発信手段によって無線信号を変調し、前記変調した無線信号を受信手段によって直接受信し、あるいは前記第1のアンテナと第2のアンテナとを介して発信しかつ受信して距離を測定し、前記距離の測定結果から、前記質問器によって生じる距離の測定誤差の補正値を求めることを特徴とする請求項第1項もしくは第2項に記載の距離測定装置。
【請求項19】
前記トランスポンダにおいて、少なくとも自局における遅延誤差もしくは距離の測定誤差に関する個別情報をメモリに記憶しており、前記質問器からの質問に応答し、前記個別情報を回答することを特徴とする請求項第1項もしくは第2項に記載の距離測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−145196(P2011−145196A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−6841(P2010−6841)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(395007299)有限会社アール・シー・エス (51)
【Fターム(参考)】