説明

車両におけるフード装置

【課題】フードが下方回動して車体開口を閉じる際、フードの所定以上の下方回動を阻止し、かつ、下方回動するフードから車体開口の開口縁部に与えられる衝撃力を緩和する場合に、これが簡単な構成で達成されるようにする。
【解決手段】フード16の一端部17と開口縁部11との間をシールするシール体24が、フード16の一端部17もしくは開口縁部11に取り付けられるシール基体25と、シール基体25からの突出端部27がわがシール基体25に対向するシールリップ28とを有する。シール基体25とシールリップ28の突出端部27がわとの互いの対向面25a,28aのうち、いずれか一方の対向面25aに弾性ブロック30を一体的に突設する。フード16が下方回動Bして車体開口6を閉じたとき、下方回動Bするフード16がわに生じた慣性力Fにより、他方の対向面28aと弾性ブロック30とが互いに弾性的に圧接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体開口の開口縁部とフードの面方向での一端部との間をシールするシール体の利用により、上記フードが車体開口を閉じる際の衝撃力を緩和できるようにした車両におけるフード装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記車両におけるフード装置には、従来、下記特許文献1,2に示されるものがある。
【0003】
上記特許文献1の公報のものによれば、上記車両におけるフード装置は、車体前部に形成されるエンジンルームと、車体に形成され、上記エンジンルームを上方に向かって開口させる車体開口と、この車体開口をその上方から開閉可能に閉じるフードと、このフードの前端部がわが上、下方回動可能となるよう後端部を車体に枢支させる枢支具と、上記車体開口の前部開口縁部に取り付けられて、この前部開口縁部とフードの前端部との間に介設され、これら前端部と前部開口縁部とを所定間隔に保持する弾性のストッパとを備えている。
【0004】
そして、上記ストッパによれば、上記前部開口縁部に対する上記フードの前端部を上下方向で精度よく位置決めできる。このため、このフードの建付精度が向上する。また、上記フードが、その自重などにより勢いよく下方回動して上記車体開口を閉じたとき、上記フードの前端部がわが上記ストッパに衝突して、このストッパを弾性変形させる。これにより、上記フードの下方回動時の慣性力によって上記前部開口縁部に与えられようとする衝撃力が緩和される。
【0005】
一方、上記特許文献2の公報のものによれば、車両におけるフード装置は、上記特許文献1の構成において、上記フードの前端部とこの前端部に対向する上記車体開口の前部開口縁部との間をシールする弾性のシール体を備えている。このシール体は、上記フードの前端部に取り付けられるシール基体と、このシール基体から一体的に突出し、その突出端部がわが上下方向で上記シール基体に対向すると共に上記前部開口縁部に圧接するシールリップとを有している。
【0006】
そして、車両走行時、上記フードの前端部と車体開口の前部開口縁部との間を通し、雨水や雪が上記エンジンルームに流入しようとすることは上記シール体によって防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−1154号公報
【特許文献2】特開平7−205842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、車両においては、上記従来の技術で示したストッパとシール体とは共に車体に対し設けることが好ましい。しかし、これらストッパとシール体とをそれぞれ単に設けると、第1に、車両の部品点数が増加して、車両の構成が複雑になり、また、車体に対する上記部品の組付作業が煩雑になるおそれがある。
【0009】
また、第2に、一般に、上記車体開口の前部開口縁部と上記フードの前端部との間の空間は、車体の平面視で、限りある狭いものである。このため、この狭い空間に上記ストッパとシール体とを個々に設置しようとすると、そのレイアウトがし難くなるという問題点もある。
【0010】
更に、第3に、上記特許文献1の従来の技術では、上記ストッパの取付孔を上記前部開口縁部に形成しているが、このように取付孔を形成すると、その分、上記前部開口縁部の強度や剛性が低下しがちとなって好ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の主目的は、フードが下方回動して車体開口を閉じる際、上記フードの所定以上の下方回動を阻止し、かつ、下方回動するフードから上記車体開口の開口縁部に与えられる衝撃力を緩和する場合に、これが簡単な構成で達成され、かつ、これに関連する各部品の組付作業が容易にできるようにすることである。
【0012】
請求項1の発明は、車体2に形成され上方に向かって開口する車体開口6と、この車体開口6をその上方から開閉可能に閉じるフード16と、このフード16の面方向の一端部17がわが上、下方回動A,B可能となるよう他端部18を車体2に枢支させる枢支具19と、上記フード16の一端部17とこの一端部17に対向する上記車体開口6の開口縁部11との間をシールする弾性のシール体24とを備え、このシール体24が、上記フード16の一端部17と上記開口縁部11とのうち、いずれか一方の部材に取り付けられるシール基体25と、このシール基体25から一体的に突出し、その突出端部27がわが上下方向で上記シール基体25に対向すると共に他方の部材に圧接するシールリップ28とを有した車両におけるフード装置において、
上記シール基体25とシールリップ28の突出端部27がわとの互いの対向面25a,28aのうち、いずれか一方の対向面25aに弾性ブロック30を一体的に突設し、上記フード16が下方回動Bして上記車体開口6を閉じたとき、下方回動Bする上記フード16がわに生じた慣性力Fにより、他方の対向面28aと弾性ブロック30とが互いに弾性的に圧接するようにしたことを特徴とする車両におけるフード装置である。
【0013】
なお、この項において、上記各用語に付記した符号や図面番号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
【発明の効果】
【0014】
本発明による効果は、次の如くである。
【0015】
請求項1の発明は、車体に形成され上方に向かって開口する車体開口と、この車体開口をその上方から開閉可能に閉じるフードと、このフードの面方向の一端部がわが上、下方回動可能となるよう他端部を車体に枢支させる枢支具と、上記フードの一端部とこの一端部に対向する上記車体開口の開口縁部との間をシールする弾性のシール体とを備え、このシール体が、上記フードの一端部と上記開口縁部とのうち、いずれか一方の部材に取り付けられるシール基体と、このシール基体から一体的に突出し、その突出端部がわが上下方向で上記シール基体に対向すると共に他方の部材に圧接するシールリップとを有した車両におけるフード装置において、
上記シール基体とシールリップの突出端部がわとの互いの対向面のうち、いずれか一方の対向面に弾性ブロックを一体的に突設し、上記フードが下方回動して上記車体開口を閉じたとき、下方回動する上記フードがわに生じた慣性力により、他方の対向面と弾性ブロックとが互いに弾性的に圧接するようにしている。
【0016】
このため、上記フードが下方回動して上記車体開口を閉じたとき、上記下方回動する上記フードがわの慣性力により、上記シール体のシール基体、シールリップの突出端部がわ、および弾性ブロックが上下方向で一体的に弾性的に収縮する。そして、この際、上記シール体と弾性ブロックとに生じる弾発力により、上記車体開口の開口縁部に対するフードの所定以上の下方回動が阻止される。また、この際、上記フードがわの慣性力により、このフードがわから上記開口縁部に与えられようとする衝撃力は、上記したシール体と弾性ブロックとの弾性的な収縮により吸収されて緩和される。
【0017】
そして、上記したように、フードの下方回動により車体開口を閉じる際、上記フードの所定以上の下方回動を阻止し、かつ、下方回動するフードから上記開口縁部に与えられる衝撃力を緩和する、という作用効果は、前記したとおり、シール体における上記両対向面のうち、いずれか一方の対向面に弾性ブロックを突設したことにより達成される。
【0018】
このため、第1に、上記弾性ブロックは、前記従来の技術にいうストッパのようにシール体と別体に設けたものではないことから、車両の部品点数の増加が防止され、よって、上記作用効果は簡単な構成、かつ、低コストで達成される。また、上記したように弾性ブロックはシール体に突設されていることから、上記開口縁部もしくはフードへの上記シール体と弾性ブロックとの組付作業は、これらシール体と弾性ブロックとにつき個別にしないでよく、シール体の組み付けのみで足りる。よって、これらの組付作業は容易にできる。
【0019】
また、第2に、上記したように弾性ブロックはシール体に突設されていることから、これらの組み合せ体は、これらが個別に設けられることに比べてコンパクトになる。よって、上記開口縁部と上記フードの一端部との間の空間は車体の平面視で、限りある狭いものであるが、この狭い空間に対する上記組み合せ体のレイアウトは容易にできる。
【0020】
更に、第3に、上記したように弾性ブロックはシール体に突設されていることから、これらの組み合せ体の上記開口縁部やフードの一端部への取り付けは、上記組み合せ体のうち、シール体についてのみ行なえばよい。よって、上記弾性ブロックのための取付孔を上記開口縁部やフードの一端部に形成しないで済むことから、その分、上記開口縁部やフードの一端部の強度や剛性の低下が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図4に相当する図で作用説明図である。
【図2】車体前部の平面図である。
【図3】フードを上方回動させて車体開口を開いた場合の車体前部の斜視図である。
【図4】図2のIV−IV線矢視断面図である。
【図5】図2のV−V線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の車両におけるフード装置に関し、フードが下方回動して車体開口を閉じる際、上記フードの所定以上の下方回動を阻止し、かつ、下方回動するフードから上記車体開口の開口縁部に与えられる衝撃力を緩和する場合に、これが簡単な構成で達成され、かつ、これに関連する各部品の組付作業が容易にできるようにする、という目的を実現するため、本発明を実施するための形態は、次の如くである。
【0023】
即ち、車両におけるフード装置は、車体に形成され上方に向かって開口する車体開口と、この車体開口をその上方から開閉可能に閉じるフードと、このフードの面方向の一端部がわが上、下方回動可能となるよう他端部を車体に枢支させる枢支具と、上記フードの一端部とこの一端部に対向する上記車体開口の開口縁部との間をシールする弾性のシール体とを備える。このシール体は、上記フードの一端部と上記開口縁部とのうち、いずれか一方の部材に取り付けられるシール基体と、このシール基体から一体的に突出し、その突出端部がわが上下方向で上記シール基体に対向すると共に他方の部材に圧接するシールリップとを有している。
【0024】
上記シール基体とシールリップの突出端部がわとの互いの対向面のうち、いずれか一方の対向面に弾性ブロックが一体的に突設される。上記フードが下方回動して上記車体開口を閉じたとき、下方回動する上記フードがわに生じた慣性力により、他方の対向面と弾性ブロックとが互いに弾性的に圧接する。
【実施例】
【0025】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例を添付の図に従って説明する。
【0026】
図2〜4において、符号1は、自動車で例示される車両である。また、矢印Frは、この車両1の進行方向の前方を示している。
【0027】
車両1の車体2前部にはエンジン4を収容するエンジンルーム5が形成され、車体2前部の上面には、上記エンジンルーム5を車体2の上方に向かって開口させる車体開口6が形成されている。
【0028】
上記車体2前部における上記車体開口6の後部開口縁部7は、車体2幅方向に延びるフロントカウル8で構成される。また、上記車体開口6の側部開口縁部9は、上記フロントカウル8の車体2幅方向の端部がわから前方に突出する不図示のエプロンメンバと、このエプロンメンバを車体2の外側方から覆って上記エプロンメンバに支持されるフロントフェンダ10とで構成される。また、上記車体開口6の前部開口縁部11は、車体2の骨格部材であるラジエータサポート12の上面と、このラジエータサポート12のをその前方から覆って上記ラジエータサポート12側に支持されるバンパ13の上端縁部とで構成されている。
【0029】
上記車体開口6をその上方から覆う板金製のフード16が設けられる。また、このフード16の面方向の一端部17である前端部がわが上、下方回動A,B可能となるよう他端部18である後端部を上記側部開口縁部9がわに枢支させる左右一対の枢支具19,19が設けられる。図2中、符号20は、上記枢支具19,19において、上記フード16を上、下方回動A,Bさせるときの回動中心である。
【0030】
上記フード16が下方回動Bして上記車体開口6を閉じたとき、上記フード16の一端部17を上記ラジエータサポート12の上部に係脱可能に係止して上記フード16をラジエータサポート12にロックするロック機構21が設けられている。
【0031】
上記フード16の一端部17と、この一端部17に上下方向で対向する上記前部開口縁部11を構成する上記ラジエータサポート12の上面との間の隙間23をシールする弾性のシール体24が設けられている。上記隙間23とシール体24とは、それぞれ車体2幅方向に直線状に延びている。
【0032】
上記シール体24は、上記フード16の一端部17に沿って車体2幅方向に長く延びるシール基体25と、このシール基体25を上記フード16の一端部17下面に取り付ける複数個(6個)のクリップ26と、上記シール基体25の前端縁部から下方に向かって一体的に突出し、その突出端部27がわが上記シール基体25の後部に上下方向で対向すると共に上記前部開口縁部11であるラジエータサポート12の上面に弾性的に圧接するシールリップ28とを有している。上記各クリップ26は上記シール基体25の上面にそれぞれ一体的に形成されている。上記フード16を上方回動Aさせて上記車体開口6を開いたとき、上記シール体24は自由状態に戻る(図1,4中、一点鎖線)。
【0033】
上記シール基体25とシールリップ28の突出端部27がわとの互いの対向面25a,28aのうち、上記シール基体25の対向面25aに複数(左右一対)の弾性ブロック30,30が一体的に突設されている。上記フード16を緩やかに下方回動Bさせて上記車体開口6を閉じ、上記フード16がわの自重である静止荷重を上記シール体24に与えたとき、上記シールリップ28が弾性変形して、このシールリップ28の対向面28aと各弾性ブロック30の下面とが互いに圧接することとされている(図4)。
【0034】
上記の場合、フード16がわの静止荷重により、上記シール体24のシール基体25、シールリップ28の突出端部27がわ、および各弾性ブロック30が上下方向で一体的に弾性的に収縮し、この際に生じる弾発力と上記フード16がわの静止荷重とがバランスして、上記フード16の一端部17のそれ以上の下方回動Bが阻止される。この状態は、上記車体開口6を閉じたときの上記フード16の「自由状態」である(図4)。このフード16の「自由状態」は、前記ロック機構21が上記フード16の一端部17をラジエータサポート12の上部に係止させる直前の状態に相当する。
【0035】
そして、上記フード16の「自由状態」から、上記フード16の一端部17に対しその上方から外力を与えて、上記シール体24と弾性ブロック30とからの弾発力に対抗しつつ上記フード16の一端部17をわずかだけ下方回動Bさせると、この下方回動Bに連動して上記ロック機構21が自動的に係止動作する。すると、上記フード16の一端部17は、上記ロック機構21とシール体24および弾性ブロック30との各作用により、上記ラジエータサポート12の上部に対し弾性的にロックされる。この状態は、上記車体開口6を閉じたフード16の「ロック状態」である。
【0036】
図2,3,5において、上記シール体24の左右各外側方の近傍における上記前部開口縁部11であるラジエータサポート12の上面に、それぞれ上方に向かって弾性ストッパ32が突設されている。これら各弾性ストッパ32は、この弾性ストッパ32の下端に一体的に突設されたクリップ33により上記ラジエータサポート12の上面に取り付けられている。上記フード16の「自由状態」(図4)で、このフード16の一端部17下面と上記各弾性ストッパ32の上端面との間にはわずかの隙間34が設けられている。前記フード16の「ロック状態」でも、上記隙間34は残される。
【0037】
なお、上記フード16の「自由状態」(図4)で、上記フード16の一端部17下面と上記各弾性ストッパ32の上端面とが当接(圧接含む)するようにしてもよい。また、上記フード16を緩やかに下方回動Bさせて上記フード16を閉じたとき、上記フード16がわの静止荷重のほとんどを上記各弾性ストッパ32に弾性的に支持させ、上記シールリップ28の対向面28aと各弾性ブロック30の下面との間に隙間が生じるようにしてもよい。
【0038】
また、上記シール体24の取り付けについては、上記シール基体25を上記前部開口縁部11であるラジエータサポート12に取り付け、シールリップ28の突出端部27がわをフード16の一端部17下面に圧接させてもよい。また、上記シールリップ28の対向面28aに上記弾性ブロック30を一体的に突設してもよい。また、上記各弾性ストッパ32は、上記フード16の一端部17下面に取り付けてもよい。
【0039】
図1,5において、上記フード16が、その自重などにより勢いよく下方回動Bして上記車体開口6を閉じたとき、下方回動Bする上記フード16がわに生じた慣性力Fにより、このフード16は、上記「自由状態」(図4)よりも大きく下方回動Bして、上記シールリップ28の対向面28aと各弾性ブロック30の下面とが互いに弾性的に圧接することとされている(図1)。また、この際、上記フード16の一端部17下面と上記各弾性ストッパ32の上端部とも互いに弾性的に圧接することとされている(図5中、一点鎖線)。
【0040】
このため、上記フード16が下方回動Bして上記車体開口6を閉じたとき、上記下方回動Bする上記フード16がわの慣性力Fにより、上記シール体24のシール基体25、シールリップ28の突出端部27がわ、および各弾性ブロック30が上下方向で一体的に弾性的に収縮する。そして、この際、上記シール体24と各弾性ブロック30とに生じる弾発力により、上記車体開口6の前部開口縁部11に対するフード16の所定以上の下方回動Bが阻止される。また、この際、上記フード16がわの慣性力Fにより、このフード16がわから上記前部開口縁部11に与えられようとする衝撃力は、上記したシール体24と各弾性ブロック30との弾性的な収縮により吸収されて緩和される。
【0041】
そして、上記したように、フード16の下方回動Bにより車体開口6を閉じる際、上記フード16の所定以上の下方回動Bを阻止し、かつ、下方回動Bするフード16から上記車体開口6の前部開口縁部11に与えられる衝撃力を緩和する、という作用効果は、前記したとおり、シール体24における上記両対向面25a,28aのうち、いずれか一方の対向面25a,28aに弾性ブロック30を突設したことにより達成される。
【0042】
このため、第1に、上記弾性ブロック30は、前記従来の技術にいうストッパのようにシール体と別体に設けたものではないことから、車両1の部品点数の増加が防止され、よって、上記作用効果は簡単な構成、かつ、低コストで達成される。また、上記したように弾性ブロック30はシール体24に突設されていることから、上記前部開口縁部11もしくはフード16への上記シール体24と弾性ブロック30との組付作業は、これらシール体24と弾性ブロック30とにつき個別にしないでよく、シール体24の組み付けのみで足りる。よって、これら24,30の組付作業は容易にできる。
【0043】
また、第2に、上記したように弾性ブロック30はシール体24に突設されていることから、これらの組み合せ体24,30は、これら24,30が個別に設けられることに比べてコンパクトになる。よって、上記車体開口6の前部開口縁部11と上記フード16の一端部17との間の空間は車体2の平面視(図2)で、限りある狭いものであるが、この狭い空間に対する上記組み合せ体24,30のレイアウトは容易にできる。
【0044】
更に、第3に、上記したように弾性ブロック30はシール体24に突設されていることから、これらの組み合せ体24,30の上記車体開口6の前部開口縁部11やフード16の一端部17への取り付けは、上記組み合せ体24,30のうち、シール体24についてのみ行なえばよい。よって、上記弾性ブロック30のための取付孔を上記前部開口縁部11やフード16の一端部17に形成しないで済むことから、その分、上記前部開口縁部11やフード16の一端部17の強度や剛性の低下が防止される。
【0045】
なお、図例では、上記フード16の一端、他端部17,18は、前、後端部としたが、これを前後逆にしてもよい。また、上記シール体24と弾性ブロック30のうち、一方を硬材質、他方を軟材質にするなどして、前記シール性能や衝撃力の吸収性能を高めるようにしてもよい。また、上記シール体24のシール基体25に上記弾性ストッパ32を一体的に形成してもよく、この弾性ストッパ32は設けなくてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 車両
2 車体
6 車体開口
11 開口縁部
12 ラジエータサポート
16 フード
17 一端部
18 他端部
19 枢支具
20 回動中心
21 ロック機構
23 隙間
24 シール体
25 シール基体
25a 対向面
27 突出端部
28 シールリップ
28a 対向面
30 弾性ブロック
32 弾性ストッパ
34 隙間
A 上方回動
B 下方回動
F 慣性力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に形成され上方に向かって開口する車体開口と、この車体開口をその上方から開閉可能に閉じるフードと、このフードの面方向の一端部がわが上、下方回動可能となるよう他端部を車体に枢支させる枢支具と、上記フードの一端部とこの一端部に対向する上記車体開口の開口縁部との間をシールする弾性のシール体とを備え、このシール体が、上記フードの一端部と上記開口縁部とのうち、いずれか一方の部材に取り付けられるシール基体と、このシール基体から一体的に突出し、その突出端部がわが上下方向で上記シール基体に対向すると共に他方の部材に圧接するシールリップとを有した車両におけるフード装置において、
上記シール基体とシールリップの突出端部がわとの互いの対向面のうち、いずれか一方の対向面に弾性ブロックを一体的に突設し、上記フードが下方回動して上記車体開口を閉じたとき、下方回動する上記フードがわに生じた慣性力により、他方の対向面と弾性ブロックとが互いに弾性的に圧接するようにしたことを特徴とする車両におけるフード装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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