説明

車両のエアバッグ装置

【課題】ステアリングエアバッグを備えたものにおいて、ステアリングホイールが車幅方向に変位、または角度変化するような衝突が発生したとしても、運転者を確実に緩衝拘束することができる車両のエアバッグ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】車室3の前部に車体剛性部材が車幅方向に延設され、該車体剛性部材にステアリングホイール9が支持されており、衝突センサ30〜33等の前突検知に基づいてステアリングホイール9から展開するステアリングエアバッグ19を備えた車両において、ステアリングホイール9の車幅方向の変位、または角度変化の大きさの少なくとも一方が所定値以上となる衝突が車体前部の一部で発生した時に、運転者Dの車両前方スペースに展開される補助エアバッグ57を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ステアリングホイールから展開するステアリングエアバッグを備えた車両のエアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両前突時にエアバッグを展開させることにより、車体と乗員との間にエアバッグを介在させて乗員を緩衝拘束するエアバッグ装置が知られている(下記特許文献1、2参照)。
【0003】
下記特許文献1では、ステアリングホイールから展開するステアリングエアバッグを備えている。そして、車両がオフセット衝突した時には、ステアリングコラムが車体前部の車幅方向外側に向かって変位するように構成されている。これにより、車両がオフセット衝突した時、乗員が車両前方に向かって斜め(ここでは、車両前方かつ車幅方向外側)に慣性移動することが、ステアリングエアバッグによって抑制されるようになっている。
【0004】
また、下記特許文献2では、車両がオフセット衝突した時に乗員の左右両下肢部を緩衝拘束するニーエアバッグを備えると共に、車両がオフセット衝突した時、左右一対のニーエアバッグのうちいずれか一方が先に下肢部を拘束するようにニーエアバッグの展開を制御する制御手段を備えている。これにより、車両がオフセット衝突した時には、乗員が車両前方に向かって斜めに慣性移動することが、ニーエアバッグによって抑制されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−6807号公報
【特許文献2】特開2008−184149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来、ステアリングエアバッグを備えたものにおいて、ステアリングホイールを支持する車体剛性部材の変形を伴うような衝突が発生した時、ステアリングホイールの車幅方向の変位、または角度変化により、展開したステアリングエアバッグが運転者(乗員)の車両前方スペースからずれてしまうという問題があった。
【0007】
上述したように、車両の衝突によってステアリングホイールが車幅方向に変位、または角度変化する場合としては、例えば、障害物の高剛性部位と、この障害物に近い側のフロントサイドフレームとがフルラップ衝突しないような小幅なラップ量で車両前部がオフセット衝突した場合(本明細書では、これを小オーバーラップ衝突(small overlap crash)という)や、車両前部側面が斜め前方から接近する障害物に衝突(斜突)した場合、または、車両前部中央が、ポールのように車幅方向に広がりを備えていない障害物と衝突した場合等が挙げられる。
【0008】
前記特許文献1、2では、上述したように、車両がオフセット衝突した時、乗員が車両前方に向かって斜めに慣性移動することをエアバッグによって抑制できるようにしているが、ステアリングエアバッグを備えたものにおいて、車両の衝突によりステアリングホイールが車幅方向に変位、または角度変化した場合の対策については何ら開示も示唆もない。
【0009】
この発明は、ステアリングエアバッグを備えたものにおいて、ステアリングホイールが車幅方向に変位、または角度変化するような衝突が発生したとしても、運転者を確実に緩衝拘束することができる車両のエアバッグ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の車両のエアバッグ装置は、車室前部に車体剛性部材が車幅方向に延設され、該車体剛性部材にステアリングホイールが支持されており、前突検知手段と、該前突検知手段の前突検知に基づいて前記ステアリングホイールから展開するステアリングエアバッグとを備えた車両において、前記ステアリングホイールの車幅方向の変位、または角度変化の大きさの少なくとも一方が所定値以上となる衝突が車体前部の一部で発生した時に、運転者の車両前方スペースに展開される緩衝部材を備えたものである。
【0011】
この構成によれば、ステアリングホイールが運転者の車両前方からずれてしまったとしても、緩衝部材によって運転者を確実に緩衝拘束することができる。
【0012】
この発明の一実施態様においては、前記ステアリングホイールの車幅方向の変位、または角度変化の少なくとも一方を検知または予測するステアリングホイール変位判定手段と、該ステアリングホイール変位判定手段の判定に基づいて前記スペースに前記緩衝部材を展開させる展開手段とを備えたものである。
【0013】
この構成によれば、車両が正突した場合や、大きなラップ量でオフセット衝突した場合等、ステアリングホイールの車幅方向の変位、または角度変化の大きさが所定値未満の時には、補助エアバッグは展開されることがない。これにより、車両が正突した場合や、大きなラップ量でオフセット衝突した場合等において、緩衝部材がステアリングエアバッグと干渉することを防止でき、その結果、緩衝部材がステアリングエアバッグの展開を阻害することを防止できる。
【0014】
この発明の一実施態様においては、前記緩衝部材が、少なくとも一部が車両正突時の前記ステアリングエアバッグの展開領域と重なるよう前記スペースに展開されるものである。
【0015】
この構成によれば、緩衝部材によって運転者をより確実に緩衝拘束することができる。
【0016】
この発明の一実施態様においては、前記緩衝部材を、前記ステアリングエアバッグとによって車両前後方向に荷重を伝達する位置関係となるよう、一方が他方に当接して、車両前後方向に支持されるエアバッグとしたものである。
【0017】
この構成によれば、一方が他方によって車両前後方向に支持されることで、運転者をより確実に拘束することができる。
【0018】
この発明の一実施態様においては、前記緩衝部材が、前記車室前部のインストルメントパネルの下部に配設されたニーエアバッグ取付け部またはその近傍に設けられ、前記インストルメントパネルの上部後方に展開されるものである。
【0019】
インストルメントパネルの下部は、他の部位に比べて緩衝部材の配置スペースを大きく確保できるという利点がある。この構成によれば、ニーエアバッグ取付け部またはその近傍に緩衝部材を設けることで、レイアウト性を向上させることができる。
【0020】
この発明の一実施態様においては、前記緩衝部材を、車両正突時に展開される前記ステアリングエアバッグまたは別のエアバッグに連結、支持された補助エアバッグ部としたものである。
【0021】
この構成によれば、エアバッグ取付け部を共用でき、エアバッグ装置のコンパクト化を図ることができる。
【0022】
この発明の一実施態様においては、前記緩衝部材を、前記運転者が着座する運転席側のサイドドアにおいて、前記運転者よりも車両前方の部位に配設されるドアエアバッグとしたものである。
【0023】
この構成によれば、サイドドアにおいて、運転者と対応する位置に配設される部材とラップしないようにドアエアバッグをレイアウトすることができる。このため、サイドドアにおけるレイアウト性を向上させることができる。また、運転席にシート内蔵エアバッグを配設している場合には、ドアエアバッグが前記シート内蔵エアバッグと干渉することを防止できる。
【発明の効果】
【0024】
この発明によれば、ステアリングホイールが運転者の車両前方からずれてしまったとしても、緩衝部材によって運転者を確実に緩衝拘束することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係る車両のエアバッグ装置を備えた車両の前部を示す平面図。
【図2】車室前部を車両後方から見た図。
【図3】車両のエアバッグ装置の制御システムを示すブロック図。
【図4】ニーエアバッグユニットの配設構造を示す側断面図。
【図5】ステアリングホイールの右側変位量が所定値未満であった時のエアバッグの状態を示す側断面図。
【図6】ステアリングホイールの右側変位量が所定値以上であった時のエアバッグの状態を車両後方から見た図。
【図7】ステアリングホイールの右側変位量が所定値以上であった時のエアバッグの状態を示す側断面図。
【図8】衝突センサを用いた各種エアバッグユニット(インフレータ)の制御を示すフローチャート。
【図9】車室前部中央衝突センサ及びヨーレートセンサを用いた各種エアバッグユニット(インフレータ)の制御を示すフローチャート。
【図10】衝突センサ及びステアリング変位センサを用いた各種エアバッグユニット(インフレータ)の制御を示すフローチャート。
【図11】衝突センサ、及びカメラ、ミリ波レーダを用いた各種エアバッグユニット(インフレータ)の制御を示すフローチャート。
【図12】本発明の他の実施形態に係るエアバッグ装置を備えた車両のサイドドアを示す側面図。
【図13】図12のX−X線矢視断面図。
【図14】ステアリングホイールの右側変位量が所定値以上であった時のエアバッグの状態を車両後方から見た図。
【図15】ステアリングホイールの右側変位量が所定値以上であった時のエアバッグの状態を示す平面図。
【図16】本発明のさらに他の実施形態に係るエアバッグ装置を示す図であって、ステアリングホイールの右側変位量が所定値未満であった時のエアバッグの状態を示す平面図。
【図17】ステアリングホイールの右側変位量が所定値以上であった時のエアバッグの状態を車両後方から見た図。
【図18】ステアリングホイールの右側変位量が所定値以上であった時のエアバッグの状態を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
図1は、本発明の実施形態に係る車両のエアバッグ装置を備えた車両の前部を示す平面図であり、図2は、車室前部を車両後方から見た図である。なお、図中において矢印(F)は車体前方、矢印(R)は車体後方を示す。図1、図2に示すように、車両1には、エンジンEが搭載されたエンジンルーム2と、乗員が乗り込む車室3とが設けられ、エンジンルーム2と車室3とが車幅方向に延設された車体剛性部材の1つであるダッシュパネル(図示せず)を隔てて区画されている。
【0027】
上述のダッシュパネルの上部には車幅方向に延設された閉断面構造のカウル部4(車体剛性部材)が設けられており、カウル部4の上部にはフロントウインドシールド5を取付けている。
【0028】
さらに、車室3の前部には、車幅方向に延びるインストルメントパネル6を配設すると共に、該インストルメントパネル6を支持するインパネメンバ7を設けている。インパネメンバ7は、車幅方向に延設された車体剛性部材の1つであり、その一部では、ステアリングシャフト8が支持され、該ステアリングシャフト8の上端にはステアリングホイール9が取付けられている。
【0029】
また、車両前部には、車両1の前後方向に延びる左右一対のフロントサイドフレーム10、10を設け、これらフロントサイドフレーム10、10の前端部相互間には車幅方向に延びるバンパレインフォースメント11を取付けている。
【0030】
また、バンパレインフォースメント11の後方位置において左右のフロントサイドフレーム10、10間には車幅方向に延びるフロントクロスメンバ12(いわゆるNo.1.5クロスメンバ)を横架している。
【0031】
さらに、カウル部4の左右両端部から車両の前方に向けて斜め方向に延びるエプロンレインフォースメント13、13を設け、これら左右の各エプロンレインフォースメント13、13の前端部相互間には車幅方向に延びるシュラウドメンバ14を取付けている。
【0032】
また、車室3には、図2に示すように、運転席15と、助手席16とを設け、運転席15に対応して、その車両前方には、上述したステアリングホイール9を配設している。そして、運転席15側にはステアリングホイール9の中央部分にステアリングエアバッグユニット17が内蔵されている。
【0033】
図3は、車両のエアバッグ装置の制御システムを示すブロック図である。ステアリングエアバッグユニット17は、展開手段としての第1インフレータ18(図3参照)と、ステアリングエアバッグ19(図1、図2参照)とを有している。ステアリングエアバッグ19は、第1インフレータ18の制御により、図1、図2にて二点鎖線で示すようにステアリングホイール9の中央部分から運転席15に向かって展開できるようになっている。
【0034】
また、車両1には、図2に示すように、運転席15、助手席16に対応してサイドドア20が設けられており、その車室3側のドアトリム21には、アームレスト22と、車室3内においてサイドドア20のドアロックを解除するためのインナハンドル23とが設けられている。
【0035】
また、車両1には、図1、図3に示すように、バンパレインフォースメント11の車幅方向中央部、カウル部4の車幅方向左右両端部、及び車室3の前部フロアに、それぞれ加速度センサからなる前部中央衝突センサ30、左衝突センサ31、右衝突センサ32、車室前部中央衝突センサ33が設けられている。
【0036】
また、車両1には、車体のヨーレートを検知するヨーレートセンサ34と、ステアリングホイール9の車幅方向の変位または、その角度変化を検知するステアリング変位センサ35とが設けられている。
【0037】
さらに、車両1には、前方の走行環境(具体的には、障害物)を認識するための(ステレオ)カメラ36や、ミリ波レーダ37が設けられている。カメラ36は、フロントウインドシールド5に設けられ、車両前方を撮影することによって、障害物を認識することが可能になっている。一方、ミリ波レーダ37は、バンパレインフォースメント11の近傍に設けられており、車両前方にミリ波を送信するようになっている。そして、車両1の前方の障害物から反射される反射波の検知によって、障害物を認識することが可能になっている。
【0038】
これら各種センサ30〜35、及びカメラ36、ミリ波レーダ37は、車両1を制御する制御装置としてのECU40に接続され、各種データがECU40に出力されるようになっている。また、ECU40は、上述した第1インフレータ18の他、後述する第2〜第4インフレータ51〜53に接続され、これらを前記各種データに基づいて制御するように構成されている。
【0039】
さらに、ECU40には、エンジンEの制御や、後述するエアバッグユニット17、50(インフレータ18、51〜53)の制御を実行するための各種制御プログラムや、ECU40に出力された各種データ、及び後述する加速度の閾値等を記憶する記憶装置41が接続されている。
【0040】
図4は、ニーエアバッグユニットの配設構造を示す側断面図である。車両1では、インストルメントパネル6の下部において、運転席15と対応する位置にニーエアバッグユニット50が設けられている。
【0041】
ニーエアバッグユニット50は展開手段としての第2〜第4インフレータ51〜53(図3、図4参照)と、インパネメンバ7にブラケット42を介して固着されたニーエアバッグ取付け部としてのケーシング54(図4参照)と、第2インフレータ51の制御により展開する左ニーエアバッグ55(図2、図4参照)と、第3インフレータ52の制御により展開する右ニーエアバッグ56(図2参照)と、左ニーエアバッグ55に取付けられ、第4インフレータ53の制御により展開する補助エアバッグ57(図4参照)とを有している。
【0042】
一方、インストルメントパネル6では、図4に示すように、ニーエアバッグユニット50に対応して、エアバッグリッド6aが設けられ、その縁部には、他よりも薄肉な脆弱部6bが形成されている。これにより、第2〜第4インフレータ51〜53が制御されると、膨張するエアバッグ55〜57の押圧力によって脆弱部6bが破断するようになっており、この破断によってエアバッグリッド6aが開放され、エアバッグ55〜57が展開するようになっている。
【0043】
本実施形態では、車両1の前突時、ステアリングホイール9の車幅方向右側への変位または角度変化の大きさ(以下、これらをまとめて右側変位量という。)が所定値未満であった時には、第1〜第3インフレータ18、51、52が制御されることによって、ステアリングエアバッグ19、及び左右のニーエアバッグ55、56が、図1、図2、図5に示すように展開される一方、補助エアバッグ57は展開されないようになっている。なお、図5は、ステアリングホイールの右側変位量が所定値未満であった時のエアバッグの状態を示す側断面図である。
【0044】
ここで、ステアリングホイール9の右側変位量が所定値未満となる場合としては、例えば、車両1が車幅方向に広がりを備えた障害物と正突した場合や、障害物の高剛性部位と、この障害物に近い側のフロントサイドフレーム10とがフルラップ衝突する程度の大きなラップ量でオフセット衝突した場合等が挙げられる。
【0045】
一方、車両1の前突時、ステアリングホイール9の右側変位量が所定値以上であった時には、第2〜第4インフレータ51〜53が制御されることによって、左右のニーエアバッグ55、56、及び補助エアバッグ57が、図6、図7に示すように展開される一方、ステアリングエアバッグ19は展開されないようになっている。なお、図6は、ステアリングホイールの右側変位量が所定値以上であった時のエアバッグの状態を車両後方から見た図であり、図7は、同状態を示す側断面図である。
【0046】
ここで、ステアリングホイール9の右側変位量が所定値以上となる場合としては、例えば、障害物の高剛性部位と左側のフロントサイドフレーム10とがフルラップ衝突しないような小幅なラップ量で車両前部左側が小オーバーラップ衝突した場合や、車両前部左側面が障害物に斜突した場合等が挙げられる。
【0047】
図1では、車両前部左側がポールPと小オーバーラップ衝突した場合を示している。この場合、ポールPが図1中二点鎖線で示すように車室3の前部まで侵入すると、カウル部4やインパネメンバ7といった車体剛性部材の左側に衝突荷重が入力され、車体剛性部材が変形する。この時、車体剛性部材の左側端部が車両後方かつ車室3側(右側)に変位することから、インパネメンバ7に支持されたステアリングホイール9が、車幅方向右側へ変位、または角度変化する。
【0048】
本実施形態では、車両前部左側の小オーバーラップ衝突や斜突等によりステアリングホイール9の右側変位量が所定値以上になった時、補助エアバッグ57が、インストルメントパネル6の上部後方に展開されることにより、運転席15に着座した運転者D(図4、図5、図7参照)の車両前方スペースに展開されるようになっている。この時、補助エアバッグ57は、図7に示すように、少なくともその展開領域の一部が、正突時のステアリングエアバッグ19の展開領域(図中太い二点鎖線で示す)と重なる(図中の領域A1参照)ように展開される。
【0049】
次に、図8に示すフローチャートとともに、衝突センサ30〜32を用いた各種エアバッグユニット17、50(インフレータ18、51〜53)の制御について説明する。
先ず、ステップS1において、ECU40は、衝突センサ30〜32から加速度に関連するデータを読み込む。そして、ECU40は、前記データに基づいて衝突態様(正突、小オーバーラップ衝突を除くオフセット衝突、小オーバーラップ衝突、斜突等)判定処理を実行する(ステップS2)。
【0050】
ここで、前部中央衝突センサ30により検知された加速度が、記憶装置41に記憶した閾値(以下、所定値という。)未満であり、かつ左衝突センサ31の加速度が所定値以上であった時、車両前部左側に偏って荷重が入力されていると推測されることから、ECU40は、車両前部左側で小オーバーラップ衝突、または斜突が発生したと判定する。本実施形態では、この衝突態様判定に基づいて、ステアリングホイール9の右側変位量が所定値以上であることを間接的に判定できるようになっている。
【0051】
ステップS2において、車両前部左側で小オーバーラップ衝突、または斜突が発生したと判定された時には(ステップS3:YES)、ステップS4に移行する。ステップS4では、ECU40が、第2〜第4インフレータ51〜53を制御し、左右のニーエアバッグ55、56、及び補助エアバッグ57を展開する。
【0052】
一方、前部中央衝突センサ30により検知された加速度が所定値以上、または左衝突センサ31の加速度が所定値未満であった時、ECU40は、車両前部左側において小オーバーラップ衝突、または斜突は発生してないと判定し(ステップS3:NO)、ステップS5に移行する。ステップS5では、ECU40が、第1〜第3インフレータ18、51、52を制御し、ステアリングエアバッグ19、及び左右のニーエアバッグ55、56を展開する。
【0053】
このように、本実施形態では、ステアリングホイール9の右側変位量が所定値以上となる衝突が車体前部の一部(ここでは、車両前部左側)で発生した時、補助エアバッグ57が運転者Dの車両前方スペースに展開されるように構成したことで、ステアリングホイール9が運転者Dの車両前方からずれてしまったとしても、補助エアバッグ57によって運転者Dを確実に緩衝拘束することができる。
【0054】
また、小オーバーラップ衝突、または斜突の判定、つまりは、ステアリングホイール9の右側変位量が所定値以上になったとの判定に基づいて、補助エアバッグ57を展開させるようにすることで、車両1が正突した場合や、大きなラップ量でオフセット衝突した場合等、ステアリングホイール9の右側変位量が所定値未満の時には、補助エアバッグ57が展開されないようになっている。これにより、車両1が正突した場合や、大きなラップ量でオフセット衝突した場合等において、補助エアバッグ57がステアリングエアバッグ19と干渉することを防止でき、その結果、補助エアバッグ57がステアリングエアバッグ19の展開を阻害することを防止できる。
【0055】
また、展開された補助エアバッグ57の展開領域の一部が、正突時のステアリングエアバッグ19の展開領域と重なるように展開されることで、補助エアバッグ57によって運転者Dをより確実に緩衝拘束することができる。
【0056】
また、補助エアバッグ57をインストルメントパネル6の下部に配設したケーシング54に設けているが、インストルメントパネル6の下部は、他の部位に比べてエアバッグの配置スペースを大きく確保できるという利点がある。従って、本実施形態のように、補助エアバッグ57をインストルメントパネル6の下部に設けることで、レイアウト性を向上させることができる。
【0057】
なお、上述した実施形態では、衝突センサ30〜32を用いて各種エアバッグユニット17、50を制御することとしたが、本発明は必ずしもこれに限定されない。
【0058】
ここで、図9に示すフローチャートとともに、車室前部中央衝突センサ33及びヨーレートセンサ34を用いた各種エアバッグユニット17、50の制御について説明する。
先ず、ステップS11において、ECU40は、車室前部中央衝突センサ33、及びヨーレートセンサ34から、それぞれ加速度、車両1のヨーレートに関連するデータを読み込む。そして、ECU40は、前記データに基づいて衝突態様判定処理を実行する(ステップS12)。
【0059】
ここで、前部中央衝突センサ33により検知された加速度が所定値以上であり、かつヨーレートセンサ34により検知された車両1の左旋回モーメントが所定値以上であった時、車両1が衝突によって左旋回していると推測されることから、ECU40は、車両前部左側で小オーバーラップ衝突、または斜突が発生したと判定する。図9に示すフローチャートでは、この判定に基づいて、ステアリングホイール9の右側変位量が所定値以上であることを間接的に判定できるようになっており、以降、ステップS3〜S5に対応するステップS13〜S15の処理を実行する。
【0060】
次に、図10に示すフローチャートとともに、衝突センサ30〜32及びステアリング変位センサ35を用いた各種エアバッグユニット17、50の制御について説明する。
先ず、ステップS21において、ECU40は、衝突センサ30〜32、及びステアリング変位センサ35から、それぞれ加速度、ステアリングホイール9の右側変位量に関連するデータを読み込む。そして、ECU40は、前記データに基づいて、図8に示すステップS2と同様の衝突態様判定処理を実行すると共に、ステアリングホイール9の右側変位量の判定処理を実行する(ステップS22)。
【0061】
ここで、ECU40は、車両前部左側で小オーバーラップ衝突、または斜突が発生したと判定すると、ステアリング変位センサ35により検知された右側変位量が所定値以上であるか否かを判定する。図10に示すフローチャートでは、ステアリング変位センサ35によってステアリングホイール9の右側変位量を直接的に検知することにより、該右側変位量が所定値以上であることを確実に判定できるようになっており、ステップS22において、ステアリングホイール9の右側変位量が所定値以上であると判定された時には(ステップS23:YES)、ステップS24に移行する。ステップS24では、ECU40が、第2〜第4インフレータ51〜53を制御し、左右のニーエアバッグ55、56、及び補助エアバッグ57を展開する。
【0062】
一方、ステアリングホイール9の右側変位量が所定値未満であると判定された時には、ステップS25に移行する。ステップS25では、ECU40が、第1〜第3インフレータ18、51、52を制御し、ステアリングエアバッグ19、及び左右のニーエアバッグ55、56を展開する。
【0063】
次に、図11に示すフローチャートとともに、衝突センサ30〜33及びカメラ36、ミリ波レーダ37を用いた各種エアバッグユニット17、50の制御について説明する。
先ず、ステップS31において、ECU40は、衝突センサ30〜33、及びカメラ36、ミリ波レーダ37から、それぞれ加速度に関連するデータ、撮像データ、ミリ波レーダ37から送信したミリ波に対する反射波データを読み込む。そして、ECU40は、少なくともカメラ36、ミリ波レーダ37のいずれか一方のデータに基づいて衝突態様の予測判定処理を実行する(ステップS32)。
【0064】
ここで、前記撮像データ、または前記反射波データの少なくとも一方に基づいて、車両前方の障害物が、例えば、左側のフロントサイドフレーム10とフルラップ衝突しないような小幅なラップ量で、車両前部左側とラップした位置にあるか、または、斜め前方から接近していると判定した場合、ECU40は、車両前部左側での小オーバーラップ衝突、または斜突を予測判定する。
【0065】
ステップS32において、車両前部左側での小オーバーラップ衝突、または斜突が予測判定された時には(ステップS33:YES)、ステップS34に移行し、ECU40は、衝突センサ30〜33により検知された加速度が所定値以上であるか否かを判定する。ここで、前記加速度が所定値以上である時には(ステップS34:YES)、ステップS35に移行する。ステップS35では、ECU40が、第2〜第4インフレータ51〜53を制御し、左右のニーエアバッグ55、56、及び補助エアバッグ57を展開する。
【0066】
一方、車両前部左側において小オーバーラップ衝突、または斜突は発生していないと予測判定された時(ステップS33:NO)、ステップS36に移行し、ECU40は、衝突センサ30〜33により検知された加速度が所定値以上であるか否かを判定する。ここで、前記加速度が所定値以上である時には(ステップS36:YES)、ステップS37に移行する。ステップS37では、ECU40が、第1〜第3インフレータ18、51、52を制御し、ステアリングエアバッグ19、及び左右のニーエアバッグ55、56を展開する。
【0067】
また、前記加速度が所定値未満である時には(ステップS34、S36:NO)、いずれも、草木、藪等との軽衝突であると推測されることから、ECU40は、エアバッグ18、55〜57を展開させることなく、ステップS31にリターンする。
【0068】
なお、図11では、衝突センサ30〜33、及びカメラ36、ミリ波レーダ37を併用することとしたが、カメラ36やミリ波レーダ37によって障害物の種別を判別することが可能であれば、カメラ36、ミリ波レーダ37のみを用いてエアバッグユニット17、50を制御してもよい。
【0069】
また、上述した実施形態では、車両前部左側での小オーバーラップ衝突、または斜突により、テアリングホイール9の右側変位量が所定値以上であった時、左ニーエアバッグ55に取付けた補助エアバッグ57を展開させるようにしたが、本発明は必ずしもこれに限定されない。例えば、車両前部右側で小オーバーラップ衝突、斜突した場合や、車両前部中央が、ポールPのように車幅方向に広がりを備えていない障害物と衝突した場合、カウル部4やインパネメンバ7といった車体剛性部材が変形すると、インパネメンバ7に支持されたステアリングホイール9が、車幅方向左側へ変位または角度変化することになる。従って、このような場合を考慮して、補助エアバッグを右ニーエアバッグに取付け、ステアリングホイール9の左側変位量が所定値以上であった時、前記補助エアバッグを展開させるように構成にしてもよい。
【0070】
図12〜図15は、本発明に係る車両のエアバッグ装置の他の実施形態を示す。図12は、本発明の他の実施形態に係るエアバッグ装置を備えた車両のサイドドアを示す側面図であり、図13は、図12のX−X線矢視断面図、図14は、ステアリングホイールの右側変位量が所定値以上であった時のエアバッグの状態を車両後方から見た図であり、図15は、同状態を示す平面図である。なお、図12〜図15において、図1〜図11に示す先の実施形態と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0071】
図12〜図15に示す本実施形態では、運転席15側のサイドドア20のドア本体24内部にドアエアバッグユニット60が内蔵されている。
【0072】
サイドドア20は、車室3側のインナパネル24a、車外側のアウタパネル24bと、車両前後方向に亘って延設されたインパクトバー等の補強部材とにより構成されたドア本体24を有している。そして、ドア本体24の内部には、ウインドシールド25の収納スペースが形成されている。
【0073】
また、ドア本体24の車室3側には、ドアトリム21が装着され、ドアトリム21の車両後部の上下方向中段部には、アームレスト22が設けられると共に、車両前部の上部には、インナハンドル23が設けられている。
【0074】
そして、インナパネル24aとドアトリム21との間のスペースには、ドアエアバッグユニット60が配設されている。ドアエアバッグユニット60は、サイドドア20において、アームレスト22とインナハンドル23との間に位置しており、運転席15に着座した運転者Dよりも車両前方の部位に配設されている。
【0075】
さらに、サイドドア20において、ドアトリム21には、ドアエアバッグユニット60と対応する位置に、エアバッグリッド21aが設けられ、その縁部には、他よりも薄肉な脆弱部21bが形成されている。
【0076】
ドアエアバッグユニット60は、図12〜図15に示すように、ドア本体24のインナパネル24aに固着されたケーシング61と、ECU40(図3、図15参照)により制御される展開手段としての第2インフレータ62と、該第2インフレータ62の制御により展開するドアエアバッグ63とを有している。サイドドア20では、第2インフレータ62が制御されると、膨張するドアエアバッグ63の押圧力によって脆弱部21bが破断するようになっており、この破断によってエアバッグリッド21aが開放され、ドアエアバッグ63が展開するようになっている。
【0077】
本実施形態では、先の実施形態と同様、各種センサ30〜35、及びカメラ36、ミリ波レーダ37の各種データに基づいて、ECU40によりステアリングホイール9の右側変位量が所定値以上であるか否かが判定される。そして、右側変位量が所定値未満であると判定された時には、第1インフレータ18が制御されることによって、ステアリングエアバッグ19のみが展開される一方、ドアエアバッグ63は展開されないようになっている。
【0078】
一方、ステアリングホイール9の右側変位量が所定値以上であると判定された時には、第1、第2インフレータ18、62が制御されることによって、ステアリングエアバッグ19、及びドアエアバッグ63が、図14、図15に示すように展開されるようになっている。この時、ドアエアバッグ63は、運転者Dの車両前方スペースに展開される。
【0079】
そして、ステアリングエアバッグ19、ドアエアバッグ63の展開時には、ドアエアバッグ63の右側端部がステアリングエアバッグ19に当接して、車両前後方向に支持されるようになっている。
【0080】
このように、本実施形態では、ドアエアバッグ63が、運転者Dの車両前方スペースに展開されることで、ステアリングホイール9が運転者Dの車両前方からずれてしまったとしても、ドアエアバッグ63によって運転者Dを確実に緩衝拘束することができる。
【0081】
また、サイドドア20は、インパクトバー等の補強部材が配設されることにより、小オーバーラップ衝突時や斜突時の荷重に対して比較的高い剛性を有している。従って、本実施形態のように、サイドドア20にドアエアバッグ63を配設した場合には、前記荷重によって展開方向が偏向することなく、運転者Dの車両前方スペースにドアエアバッグ63を確実に展開できるという利点がある。
【0082】
また、ドアエアバッグ63がステアリングエアバッグ19に当接して、車両前後方向に支持されることで、ステアリングエアバッグ19、ドアエアバッグ63は、車両前後方向に荷重を伝達する位置関係となる。このように、ドアエアバッグ63がステアリングエアバッグ19によって車両前後方向に支持されることで、運転者Dをより確実に拘束することができる。
【0083】
また、ドアエアバッグユニット60(ドアエアバッグ63)を、運転席15に着座した運転者Dよりも車両前方の部位に配設しているが、この場合、例えば、アームレスト22のように、運転者Dと対応する位置に配設される部材とラップしないようにレイアウトすることができる。このため、本実施形態のように、ドアエアバッグユニット60を前記部位に配設することで、サイドドア20におけるレイアウト性を向上させることができる。また、従来より、運転席15にシート内蔵エアバッグを配設したものが知られているが、この場合、前記部位にドアエアバッグ63を配設することで、ドアエアバッグ63がシート内蔵エアバッグと干渉することを防止できる。
【0084】
なお、その他の作用効果は、上述した先の実施形態と同様である。
【0085】
図16〜図18は、本発明に係る車両のエアバッグ装置のさらに他の実施形態を示す。図16は、ステアリングホイールの右側変位量が所定値未満であった時のエアバッグの状態を示す平面図である。また、図17、図18は、ステアリングホイールの右側変位量が所定値以上であった時のエアバッグの状態を車両後方から見た図であり、図18は、同状態を示す平面図である。なお、図16〜図18において、図1〜図11に示す先の実施形態と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0086】
図16〜図18に示す本実施形態では、ステアリングエアバッグユニット17が、ECU40(図3、図16、図18参照)により制御される展開手段としての第2インフレータ70を有すると共に、該第2インフレータ70の制御により展開する補助エアバッグ71を有している。
【0087】
補助エアバッグ71は、ステアリングエアバッグ19の左側に連結、支持されており、ステアリングエアバッグ19、補助エアバッグ71間でインフレータ18、70から供給されるガスの流通が可能となっている。さらに、ステアリングエアバッグ19には、補助エアバッグ71の折り畳み状態を保持するためのテザー等の保持部材(図示せず)が取付けられており、該保持部材は、第1インフレータ18のみが制御された時のガス圧では展開しない程度の保持力で補助エアバッグ71の折り畳み状態を保持している。
【0088】
本実施形態では、各種センサ30〜35、及びカメラ36、ミリ波レーダ37の各種データに基づいて、ECU40により、ステアリングホイール9の右側変位量が所定値以上であるか否かが判定される。そして、右側変位量が所定値未満であると判定された時には、第1インフレータ18のみが制御され、これにより、図16に示すように、ステアリングエアバッグ19が展開される一方、補助エアバッグ71は、前記保持部材の保持力によって展開されないようになっている。
【0089】
一方、ステアリングホイール9の右側変位量が所定値以上であると判定された時には、第1、第2インフレータ19、70が制御されることによって、ステアリングエアバッグ19が展開されると共に、補助エアバッグ71が、図17、図18に示すように、前記保持部材の保持力に抗して、運転者Dの車両前方スペースに展開されるようになっている。
【0090】
この時、補助エアバッグ71は、図18に示すように、少なくともその展開領域の一部が、正突時のステアリングエアバッグ19の展開領域(図中太い二点鎖線で示す)と重なる(図中の領域A2参照)ように展開される。
【0091】
このように、本実施形態では、ドアエアバッグ63が運転者Dの車両前方スペースに展開されることで、ステアリングホイール9が運転者Dの車両前方からずれてしまったとしても、ドアエアバッグ63によって運転者Dを確実に緩衝拘束することができる。
【0092】
また、展開された補助エアバッグ71の展開領域の一部が、正突時のステアリングエアバッグ19の展開領域と重なるように展開されることで、ドアエアバッグ63によって運転者Dをより確実に緩衝拘束することができる。
【0093】
また、補助エアバッグ71が、ステアリングエアバッグ19に連結、支持されていることにより、エアバッグ取付け部を共用でき、エアバッグユニットのコンパクト化を図ることができる。
【0094】
なお、この場合、図1〜図11に示す先の実施形態のように、補助エアバッグ71を専用のインフレータによって個別に展開させるようにしてもよい。
【0095】
ところで、上述した実施形態では、ステアリングホイール9の右側変位量が所定値以上であると判定された場合に、運転者Dの車両前方のスペースにエアバッグ57、63、71が展開されるようになっているが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、ステアリングホイール9の右側変位量が所定値以上になった時でも確実に運転者Dの車両前方のスペースに展開できる程度の大型のステアリングエアバッグを設けてもよい。
【0096】
また、また、上述した実施形態では、いずれもエアバッグを用いているが、例えば、弾性や衝撃吸収変形特性を有するパットと、これを運転者の車両前方スペースに展開させ支持する緩衝装置とを併用してもよいし、発泡により膨張展開する発泡緩衝部材を用いてもよい。
【0097】
また、上述した実施形態では、ステアリングホイール9及び運転席15を車室3の前部左側に配設した場合について説明したが、これらを車室3の前部右側に配設した車両に本発明を適用してもよい。
【0098】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の、車体剛性部材は、カウル部4、インパネメンバ7に対応し、
以下同様に、
前突検知手段は、衝突センサ30〜33、ヨーレートセンサ34、ステアリング変位センサ35、カメラ36、ミリ波レーダ37に対応し、
緩衝部材は、補助エアバッグ57、71、ドアエアバッグ63に対応し、
ステアリングホイール変位判定手段は、衝突センサ30〜33、ヨーレートセンサ34、ステアリング変位センサ35、カメラ36、ミリ波レーダ37、及び、ステップS2、S12、S22、S32を実行するECU40に対応し、
ニーエアバッグ取付け部は、ケーシング54に対応し、
展開手段は、第4インフレータ53、第2インフレータ62、70に対応し、
補助エアバッグ部は、補助エアバッグ71に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【符号の説明】
【0099】
4…カウル部
6…インストルメントパネル
7…インパネメンバ
9…ステアリングホイール
19…ステアリングエアバッグ
20…サイドドア
30…前部中央衝突センサ
31…左衝突センサ
32…右衝突センサ
33…車室前部中央衝突センサ
34…ヨーレートセンサ
35…ステアリング変位センサ
36…カメラ
37…ミリ波レーダ
40…ECU
53…第4インフレータ
54…ケーシング
57、71…補助エアバッグ
62、70…第2インフレータ
63…ドアエアバッグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室前部に車体剛性部材が車幅方向に延設され、
該車体剛性部材にステアリングホイールが支持されており、
前突検知手段と、
該前突検知手段の前突検知に基づいて前記ステアリングホイールから展開するステアリングエアバッグとを備えた車両において、
前記ステアリングホイールの車幅方向の変位、または角度変化の大きさの少なくとも一方が所定値以上となる衝突が車体前部の一部で発生した時に、運転者の車両前方スペースに展開される緩衝部材を備えた
車両のエアバッグ装置。
【請求項2】
前記ステアリングホイールの車幅方向の変位、または角度変化の少なくとも一方を検知または予測するステアリングホイール変位判定手段と、
該ステアリングホイール変位判定手段の判定に基づいて前記スペースに前記緩衝部材を展開させる展開手段とを備えた
請求項1記載の車両のエアバッグ装置。
【請求項3】
前記緩衝部材は、少なくとも一部が車両正突時の前記ステアリングエアバッグの展開領域と重なるよう前記スペースに展開される
請求項1または2記載の車両のエアバッグ装置。
【請求項4】
前記緩衝部材は、前記ステアリングエアバッグとによって車両前後方向に荷重を伝達する位置関係となるよう、一方が他方に当接して、車両前後方向に支持されるエアバッグである
請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両のエアバッグ装置。
【請求項5】
前記緩衝部材は、前記車室前部のインストルメントパネルの下部に配設されたニーエアバッグ取付け部またはその近傍に設けられ、
前記インストルメントパネルの上部後方に展開される
請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両のエアバッグ装置。
【請求項6】
前記緩衝部材は、車両正突時に展開される前記ステアリングエアバッグまたは別のエアバッグに連結、支持された補助エアバッグ部である
請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両のエアバッグ装置。
【請求項7】
前記緩衝部材は、前記運転者が着座する運転席側のサイドドアにおいて、前記運転者よりも車両前方の部位に配設されるドアエアバッグである
請求項2記載の車両のエアバッグ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−47026(P2013−47026A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185470(P2011−185470)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】