説明

車両のカウル構造

【課題】物が上から当たったときの衝撃の緩和が良好で、降雪時のワイパ作動時においてもワイパの支持剛性を高くすることができる車両のカウル構造を提供する。
【解決手段】カウル11は、車幅方向に延びる状態で立設されたカウルインナ14及と、カウルインナ14の上縁で支持されるとともにフロントガラス17の前縁を支持するカウルアウタ15とを備えたフロントガラス支持部16を備えている。フロントガラス支持部16はカウルアウタ15に上方から荷重が作用したときに上側が変形し易く形成されている。一端がフロントガラス支持部16の変形し難い部分に、他端がカウルフロント19に間接的に固定されたブラケット22上にワイパ支持部26が支持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のカウル構造に係り、詳しくは物が上から当たったときの衝撃の緩和が良好な車両のカウル構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のフロントウインドウを払拭するワイパ装置は車両のカウル部分にピボット軸が支持されている。従来、前記ピボット軸の支持構造として、フロントウインドウ下縁部に沿って延びるボックス部を設け、該ボックス部の前側縦壁部にブラケットを取り付け、そのブラケットにピボット軸を支持するものがあった。しかし、この支持構造では、比較的強い剛性を有するボックス部の前側縦壁部のみに、前記ブラケットが取付フランジ部を介して取り付けられていて、ブラケットからの荷重が全てこの前側縦壁部によって負担されている。このため、車両上方からピボット軸付近に大きな荷重が入力される場合には、この前側縦壁部が突っ張り、ブラケットのわずかな変形で荷重を受けることになり、例えば、荷重の原因が衝突物であった場合、衝突物に強い衝撃を与える虞があった、
この問題を解消するため、ピボット軸付近に大きな荷重が入力された場合にも荷重に対するエネルギー吸収効率を良好にする車両のカウル構造が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1の車両のカウル構造では、図8に示すように、フロントウインドウ51の下縁部に沿って延びるボックス部52が設けられるとともに、ボックス部52の底面部52aから車両前方に向けて略水平に延設されるエクステンションカウルトップ部材53が設けられている。そして、ボックス部52の前側縦壁部52bと、エクステンションカウルトップ部材53とに跨ってワイパ取付用ブラケット54が固定されている。エクステンションカウルトップ部材53の後縁部53aに剛性変化部としてクランク部55が形成されている。
【0003】
この構成では、ワイパ取付用ブラケット54に車両上方向から荷重F1が入力されると、エクステンションカウルトップ部材53に形成されたクランク部(剛性変化部)55に応力が集中して、変形が発生することにより衝撃が緩和される。
【特許文献1】特開平2003−276641号公報(明細書の段落[0027],[0028],[0033]〜[0035]、図1,図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1の構成では、フロントウインドウ51の下縁部に荷重F2が入力された際、カウル(ボックス部52)が変形し難いため、エネルギーが吸収され難く衝撃緩和が困難である。また、降雪時におけるワイパ作動時等のようにワイパアームからワイパ取付用ブラケット54に大きな荷重F3が入力される場合、図9に鎖線で示すように、エクステンションカウルトップ部材53がクランク部(剛性変化部)55で上下に変形するため、作動耐久強度を確保することが困難になるという問題がある。
【0005】
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、物が上から当たったときの衝撃の緩和が良好で、降雪時のワイパ作動時においてもワイパの支持剛性を高くすることができる車両のカウル構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、車幅方向に延びる状態で立設された縦壁部及び縦壁部の上縁より延設されるとともにフロントガラスの前縁を支持する上壁部を備えたフロントガラス支持部と、前記フロントガラス支持部の下端と対応する位置から車両前側に棚状に張り出したカウルフロント部材とを備えた車両のカウル構造である。そして、前記フロントガラス支持部は、前記上壁部に荷重が上方から作用したときに上側が変形し易く形成されており、一端が前記フロントガラス支持部の変形し難い部分に、他端が前記カウルフロント部材に、それぞれ直接又は間接的に固定されたブラケットが設けられ、前記ブラケット上にワイパ支持部が支持されている。ここで「間接的に固定された」とは、ブラケットの端部と固定箇所との間に別の支持部材が存在する場合を意味する。
【0007】
この発明では、フロントガラス(フロントウインドウ)を介してフロントガラス支持部に荷重が上方から作用すると、衝撃の作用点付近のフロントガラス支持部の上側が変形してエネルギーが吸収される。また、ワイパ支持部はフロントガラス支持部の変形し難い部分と、カウルフロント部材との間に固定されたブラケット上に支持されているため、降雪時におけるワイパ作動時等のようにワイパアームからワイパ支持部に大きな荷重が入力される場合において、前記ブラケットがカウルフロント部材の上下方向の変形を抑制するように作用する。従って、物が上から当たったときの衝撃の緩和が良好で、降雪時のワイパ作動時においてもワイパの支持剛性を高くすることができる車両のカウル構造を提供することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、車幅方向に延びる状態で立設された縦壁部及び縦壁部の上縁より延設されるとともにフロントガラスの前縁を支持する上壁部を備えたフロントガラス支持部と、前記フロントガラス支持部の下端と対応する位置から車両前側に棚状に張り出したカウルフロント部材とを備えた車両のカウル構造であって、前記フロントガラス支持部は、前記上壁部に荷重が上方から作用したときに上側が変形し易く形成されており、車両後側の端部が前記フロントガラス支持部の変形し易い部分及び前記フロントガラス支持部の変形し難い部分にそれぞれ直接又は間接的に固定され、車両前側の端部が前記カウルフロント部材に直接又は間接的に固定されたブラケットが設けられ、前記ブラケット上にワイパ支持部が支持されている。
【0009】
この発明では、上記請求項1に係る発明と同様の作用が得られる。フロントガラス支持部の上方から荷重が作用する際に、ブラケットは、フロントガラス支持部の変形し易い部分に固定される側の部位が変形することで衝撃を吸収する。したがって、ブラケットによっても衝撃を吸収することになるため、フロントガラス支持部の上端から下端までの間隔が狭く、上壁部に上方から荷重が作用したときに変形し易く形成される部分が十分に確保できない場合においては、とくに有益である。また、ワイパアームからワイパ支持部に荷重が入力される場合には、フロントガラス支持部の変形し易い部分、すなわち、フロントガラスにより近い位置にブラケットが延設され、当該延設部位においてもその荷重を好適に受け止めることから、より好適にカウルフロント部材の上下方向の変形を抑制するように作用する。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記ブラケットは、前記フロントガラス支持部の変形し難い部分と、前記カウルフロント部材との間に架け渡された補強パネル上に他端が固定されている。この発明では、ブラケットの他端は補強パネルを介して間接的にカウルフロント部材に固定されている。従って、降雪時等のようにワイパ作動時にワイパアームからワイパ支持部に大きな荷重が入力される場合において、カウルフロント部材の上下方向の変形を抑制するための設計の自由度が、前記ブラケットの他端が直接カウルフロント部材に固定される場合に比較して大きくなる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記ワイパ支持部は複数箇所に設けられ、少なくとも一つのワイパ支持部は前記ブラケット上に設けられている。一般に、車両においてはワイパアームが2本設けられているが、配設位置の関係でカウルの車幅方向端部に設けられたワイパ支持部の場合、その支持ブラケットはフロントガラス支持部の変形し難い部分と、カウルフロント部材との間に固定されていなくても、ワイパ作動時における前記不具合が生じ難い。従って、ワイパ支持部が複数箇所に設けられる場合、前記不具合が生じやすい箇所に設けられるワイパ支持部を支持するブラケットを請求項1又は請求項2に記載の構成とすることにより、物が上から当たったときの衝撃の緩和が良好で、降雪時のワイパ作動時においてもワイパの支持剛性を高くすることができる。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発明において、前記フロントガラス支持部は、前記縦壁部を一つ有し、前記上壁部は前記縦壁部の上縁から車両前側に棚状に張り出してフロントガラスの前縁を片持ち状態で支持する。
【0013】
この場合、例えば、縦壁部の途中に屈曲部を設けることで、屈曲部より上側が変形し易くなる。一方、フロントガラス支持部がボックス状の場合、上方からの衝撃に対し、高い剛性と強度を有する。そして、フロントガラス支持部は、車幅方向に延びているため、荷重が加わると、ボックス部の剛性により、衝撃はフロントガラス支持部の車幅方向に広く作用し、荷重の作用点付近の上下方向の変形量が小さくなる。従って、必要なエネルギー吸収を確保するための構成がその分、複雑になる。即ち、フロントガラス支持部をこの発明の構成とすることにより、フロントガラス支持部を閉断面部となるボックス状とする場合に比較して構成が簡単になる。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記ブラケットは、前記ワイパ支持部を支持する部位と前記フロントガラス支持部の変形し易い部分に直接又は間接的に固定される前記車両後側の端部とを結ぶ仮想平面の傾斜状態が前記フロントガラスの前縁から後縁へと向かう傾斜状態と同じ傾斜状態となるように延設された。
【0015】
この発明では、前記ワイパ支持部を支持する部位とフロントガラス支持部の変形し易い部分に直接又は間接的に固定される車両後側の端部とを結ぶ仮想平面の方向がワイパアームからワイパ支持部に入力される荷重の方向と同じ方向となる。したがって、ワイパアームからワイパ支持部に大きな荷重が入力される場合、ブラケットは、荷重の入力方向と同様の方向において好適に突っ張ることになるため、カウルフロント部材の上下方向の変形を好適に抑制することができる。なお、この構成でいう「同じ傾斜状態」とは、フロントガラスの傾斜状態とほぼ同様な傾斜状態も含まれるものとする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、物が上から当たったときの衝撃の緩和が良好で、降雪時のワイパ作動時においてもワイパの支持剛性を高くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図1及び図2にしたがって説明する。図1は車両のカウル構造を示し、図2のA−A線に対応する断面図であり、図2はカウルの概略斜視図である。
【0018】
図1に示すように、カウル11は、車体のエンジンルームと車室とを仕切る縦壁状のダッシュパネル12の上縁に沿って車幅方向(図1の紙面と垂直方向)に延設されている。なお、図1において、左側が車両の前側である。カウル11は、底壁部をなすカウルロア13と、カウルロア13の後縁から起立して上下方向に延びる状態で立設された縦壁部としてのカウルインナ14と、カウルインナ14の上縁で支持されるとともに前側に張り出す上壁部としてのカウルアウタ15とで構成されたフロントガラス支持部16を備えている。即ち、フロントガラス支持部16は、車幅方向に延びる状態で立設された縦壁部及び縦壁部の上縁より延設されるとともにフロントガラスの前縁を支持する上壁部を備えている。カウルロア13とカウルインナ14とは一つのパネル部材で形成されている。フロントガラス支持部16は、カウルロア13の前縁とカウルアウタ15の前縁との間が前方に向かって開放された開断面構造となっている。
【0019】
カウルロア13は、ダッシュパネル12の上縁フランジ12aと溶接されることによりダッシュパネル12に固定されている。カウルインナ14は、その上端に車両後方に向かって延びるように屈曲されたフランジ部14aを備え、カウルアウタ15は、フランジ部15a(後端部)がカウルインナ14のフランジ部14aと重合する状態に配置されるとともに、複数箇所においてスポット溶接でフランジ部14aに接合されている。カウルアウタ15は、フロントガラス17の前縁(下縁)を支持する。フロントガラス17は、カウルアウタ15の上面に前縁が接着された状態で支持されている。
【0020】
カウルインナ14には、フロントガラス支持部16に上方から荷重が作用したときに上下方向に屈曲変形容易な易屈曲部18が、上下方向の中間位置に車幅方向全幅にわたって形成されている。易屈曲部18は、カウルインナ14の板材が上端から前側(図1における左側)へ向かって斜め下方に延びた後、途中で傾斜方向が後方に向かうように屈曲した部分で構成されている。そして、フロントガラス支持部16は、カウルアウタ15に上方から荷重が作用したときに易屈曲部18より上側が変形し易く、易屈曲部18より下側が変形し難い部分に形成されている。
【0021】
フロントガラス17の上面から易屈曲部18までの距離Lは、フロントガラス17に荷重が作用した際、フロントガラス支持部16の変形し易い部分が変形することによりエネルギーを吸収して衝撃を弱めるのに可能な大きさに設定されている。前記距離Lの値は30mm以上が好ましい。即ち、フロントガラス17の上面からフロントガラス支持部16の変形し難い部分と変形し易い部分との境界までの距離Lは30mm以上が好ましい。
【0022】
カウルロア13には、カウルフロント部材としてのカウルフロント19が、その後縁とカウルロア13の上面との間にシール材20が介装された状態で固定されている。カウルフロント19にはその上側に補強パネル21が固定されている。図2に示すように、補強パネル21は、カウル11の車幅方向のほぼ中央部に配置され、後端においてカウルフロント19に溶接され、前端においてカウルフロント19の前端寄りに溶接されている。なお、カウルフロント19に対する溶接箇所は図1の切断面とずれた位置となっており、補強パネル21はカウルフロント19に形成された凸部19aに溶接されている。
【0023】
図1及び図2に示すように、フロントガラス支持部16の変形し易い部分より下側、即ち変形し難い部分と、カウルフロント19との間にブラケット22が設けられている。この実施形態ではブラケット22は、一端(後側)がフロントガラス支持部16の変形し難い部分に直接固定され、他端(前側)は直接カウルフロント19に固定されるのではなく、補強パネル21上に固定されている。詳述すると、ブラケット22は、フロントガラス支持部16の変形し難い部分に固定される第1部品22aと、補強パネル21に固定される第2部品22bとがボルト23及びウェルドナット24で固定された構成である。そして、第1部品22aの後側がカウルインナ14の易屈曲部18より下側に溶接で固定され、第2部品22bの前側が補強パネル21の中間部に設けられたウェルドナット21aに螺合するボルト25により固定されている。
【0024】
図1に示すように、ブラケット22にはワイパ支持部26が固定されている。カウルフロント19の前端にはカウルルーバ27がシール材(図示せず)を介して固定されている。カウルルーバ27はカウルフロント19に設けられた図示しない複数の係止爪によりカウルフロント19に固定されている。カウルルーバ27は、ワイパの駆動部を覆うとともに、ワイパアーム28の作動に支障のない間隔を有する状態でフロントガラス17の下縁に沿って車幅方向に延びるように形成されている。カウルルーバ27の前端には、車体に組み付けられた状態において、フード29とカウルルーバ27の上面との間のシールを確保するためのフードシール30が、カウルルーバ27の全長に亘って延びるように固定されている。カウルルーバ27の下面とワイパ支持部26の締付け位置との距離Sは、カウルルーバ27に上方から荷重F4が作用した際、カウルルーバ27がワイパ支持部26の締付け位置に接触するまで変形移動する間に衝突時のエネルギーを吸収して、カウルルーバ27がワイパ支持部26に接触する際の力を充分弱めることが可能な大きさに設定されている。
【0025】
なお、ワイパアームは2本設けられ、ワイパ支持部の支持箇所はカウル11の車幅方向中央の他に、車幅方向の一端部の合計2箇所に設けられている。そして、一端部に設けられるワイパ支持部(図示せず)は補強パネル21及びブラケット22を介さずにカウル11に支持されている。また、この実施形態においては、カウル11を構成する各部材はシール材20を除いて金属製であり、カウルルーバ27は樹脂製である。
【0026】
次に前記のように構成されたカウル構造の作用を説明する。
衝突事故により衝突物が上方からフロントガラス17の下部に当たると、フロントガラス支持部16にはフロントガラス17の下端部を介して荷重F1が作用する。フロントガラス支持部16に荷重F1が上方から作用すると、衝撃の作用点付近のカウルアウタ15が変形して衝突時のエネルギーが吸収される。また、カウルインナ14が易屈曲部18より上側において下方に押しつぶされるように変形して衝突時のエネルギーが吸収される。
【0027】
衝突物がワイパ支持部26と対応する部分のカウルルーバ27に上方から当たると、カウルルーバ27はその荷重によりワイパ支持部26に近づくように変形する。この際、カウルルーバ27の下面とワイパ支持部26との距離Sが充分確保されているため、カウルルーバ27がワイパ支持部26と接触するまで変形する間に衝突時のエネルギーが吸収される。従って、カウルルーバ27がワイパ支持部26に強く当たるのが防止される。
【0028】
また、降雪時におけるワイパ作動時等のようにワイパアーム28からワイパ支持部26に大きな荷重が入力される場合においては、後側がフロントガラス支持部16の変形し難い部分に固定された補強パネル21及びブラケット22が突っ張ることにより、カウルフロント19の上下方向の変形を抑制するように作用する。また、ブラケット22及び補強パネル21は、カウルインナ14の易屈曲部18より下側の変形し難い部分、即ちフロントガラス支持部16の変形し易い部分より下側の部分の強化材として機能する。
【0029】
この実施形態では以下の効果を有する。
(1)フロントガラス支持部16はカウルアウタ15に上方から荷重が作用したときに上側が変形し易く形成されており、一端がフロントガラス支持部16の変形し難い部分に、他端がカウルフロント19に直接又は間接的に固定されたブラケット22上にワイパ支持部26が支持されている。従って、フロントガラス下端に衝突物が上から当たったときに、衝突物に作用する衝撃を小さくできる。また、降雪時のワイパ作動時においてもワイパの支持剛性を高くすることができ、降雪時のワイパの作動に対する耐久性が向上する。
【0030】
(2)ブラケット22は、フロントガラス支持部16の変形し難い部分と、カウルフロント19との間に架け渡された補強パネル21上に他端が固定されている。従って、降雪時等のようにワイパ作動時にワイパアーム28からワイパ支持部26に大きな荷重が入力される場合において、カウルフロント19の上下方向の変形を抑制するための設計の自由度が、ブラケット22の他端が直接カウルフロント19に固定される場合に比較して大きくなる。
【0031】
(3)ワイパアームは2本設けられ、カウル11の中央部に設けられる一つのワイパ支持部26がブラケット22上に設けられている。カウル11の車幅方向端部に設けられたワイパ支持部の場合、その支持ブラケットはフロントガラス支持部16の変形し難い部分と、カウルフロント19との間に固定されていなくても、ワイパ作動時における前記不具合が生じ難い。従って、ワイパアームが2本設けられる場合、前記不具合が生じ易いカウル11の中央部に設けられる一方のワイパ支持部26を支持するブラケット22の支持構造を前記構成とすることにより、物が上から当たったときの衝撃の緩和が良好で、降雪時のワイパ作動時においてもワイパの支持剛性を高くすることができる。
【0032】
(4)フロントガラス支持部16は、カウルインナ14(縦壁部)を一つ有し、カウルアウタ15(上壁部)はカウルインナ14の上縁から車両前側に棚状に張り出してフロントガラス17の前縁を片持ち状態で支持する構成、即ち前側が開放された開断面形状に形成されている。従って、フロントガラス支持部16の上側が変形し易く、下側が変形し難い構成を設ける場合、フロントガラス支持部16をボックス状とする場合に比較して、構成が簡単になる。
【0033】
(5)フロントガラス支持部16は、前側が開放された開断面形状に形成されるとともに、カウルインナ14の途中に易屈曲部18を設けることで、易屈曲部18より上側が変形し易く、易屈曲部18より下側が変形し難く形成されている。従って、フロントガラス支持部16の上側を変形し易くする構成が簡単になる。また、カウルインナ14の易屈曲部18より下側にブラケット22の後端を固定しているため、ブラケット22がカウルインナ14の変形し易い部分より下側の部分の強化材として機能する。
【0034】
(6)ブラケット22は第1部品22a及び第2部品22bをボルト23及びウェルドナット24で締結する構成のため、一つの部品で構成する場合に比較して製造・組み付けが容易になる。
【0035】
(7)カウルルーバ27はワイパ支持部26との距離Sが、カウルルーバ27が荷重F4によってワイパ支持部26と接触するまで変形する間に衝突時のエネルギーを充分吸収可能な値に設定されている。従って、衝突物がワイパ支持部26と対応する部分のカウルルーバ27に上方から当たったとき、カウルルーバ27がワイパ支持部26に強く当たるのが防止される。
【0036】
(8)ワイパ支持部26を支持するブラケット22がフロントガラス支持部16の易屈曲部18より下側と、カウルフロント19又は補強パネル21との間に設けられているため、ワイパ支持部26の締付け位置をフロントガラス17の上面とフード29の上面とを結ぶ線から離れた位置に配置するのが容易になる。
【0037】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態を図3にしたがって説明する。この実施形態では補強パネル21を設けていない点が前記第1の実施形態と異なっている。その他の構成は前記第1の実施形態と同じであり、第1の実施形態と同様の構成部分は同一符号を付して説明を省略又は簡略する。
【0038】
ブラケット22は前端がカウルフロント19に直接固定されている。第2部品22bの裏面にウェルドナット31が設けられ、ワイパ支持部26はウェルドナット31に螺合するボルト25によりブラケット22に固定されている。この実施形態においては、降雪時におけるワイパ作動時等のようにワイパアーム28からワイパ支持部26に大きな荷重が入力される場合においては、ブラケット22が突っ張ることにより、カウルフロント19の上下方向の変形を抑制するように作用する。但し、補強パネル21が存在しない分、ブラケット22が担うべき荷重が大きくなるため、ブラケット22の強度を第1の実施形態に比較して高くする必要がある。
【0039】
従って、この実施形態においては、前記第1の実施形態の効果(1),(3)〜(8)と同様の効果を有する他に次の効果を有する。
(9)補強パネル21が存在しないため、部品点数が少なくなり、軽量化される。
【0040】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態を図4及び図5にしたがって説明する。この実施形態は、主にブラケット22の端部がフロントガラス支持部16の変形し易い部分に固定されている点及びカウルインナ14、補強パネル21の形状が前記第1の実施形態と異なっている点に特徴を有する。その他の基本的な構成は前記第1の実施形態と同様であり、第1の実施形態と同様の構成部分は同一符号を付して説明を省略又は簡略し、異なる部分についてのみ説明する。なお、図1と同様に図4の左側が車両の前側である。
【0041】
図4に示すとおり、カウルインナ14は、カウルロア13の後縁から起立しつつ後述する下膨出部33までは車両後側に向かって膨らむように延設され、下膨出部33から上膨出部34までは車両前側へ緩やかに膨らむように延設され、その後再び車両後側へ向かうように延設されている。図4に示すカウルインナ14の断面形状としては、略S字状をなすように形成されている。カウルインナ14の上端部にはフランジ部14aが形成されている。このフランジ部14aは、フロントガラス17の前縁から後縁に向かう傾斜状態(仮想平面K2)と同様の傾斜状態が確保されるように、その形状が規定されている。このように形成されたカウルインナ14において、荷重がフロントガラス17の上方から作用すると、フランジ部14aは、下膨出部33に接近するように変形し、それに伴い、上膨出部34は、車両前側に向けて曲折するように変形しつつ、下膨出部33よりも下側はそのままの形状を保持する。そのため、下膨出部33を境界として、それより上方は変形し易い部分に該当し、それより下方は変形し難い部分に該当することになる。なお、カウルアウタ15のフランジ部15aの傾斜状態であるが、カウルインナ14のフランジ部14aと同じである。
【0042】
カウルロア13には、カウルフロント部材としてのカウルフロント19が、その後縁とカウルロア13の上面との間にシール材20が介装された状態で固定されている。カウルフロント19は、車両の前後方向に延設されている前壁19b及び後壁19cと、それら前壁19b及び後壁19cの間であって車両の上下方向に延設されている中間壁19dによって、ほぼ棚状に車両前側に張り出すように形成されている。
【0043】
カウルフロント19にはその上側に補強パネル21が固定されている。補強パネル21は、中央で折れ曲がる形状をなし、車両前側の端部がカウルフロント19の前壁19bに溶接され、車両後側の端部がカウルフロント19の中間壁19dに溶接されている。なお、カウルフロント19に対する溶接箇所は図4の切断面とずれた位置となっており、図4では、補強パネル21はカウルフロント19に形成された凸部19aに溶接されているところが図示されている。
【0044】
図4に示すとおり、ブラケット22は、車両後側に位置してカウルインナ14及びカウルアウタ15に固定される第1部品22aと、車両前側に位置してワイパ支持部26を固定する第2部品22bとから構成されている。第1部品22aは、全体として断面略「く」の字状に屈曲形成されていて、その屈曲部44が車両前側に張り出している。第1部品22aの下端部40は、カウルインナ14の下膨出部33よりも下方に溶接されている。また、第1部品22aの上端部41(本実施形態の上端部41は、請求項2又は6でいうフロントガラス支持部の変形し易い部分に直接又は間接的に固定されたブラケットの車両後側の端部に相当する。)は、カウルインナ14のフランジ部14aとカウルアウタ15のフランジ部15aとの間に位置し固定されている。第1部品22aの上端部41とフランジ部14aとフランジ部15aとはいずれも同方向を向くように形成され、それらが重合された状態で固定されている。この第1部品22aは、屈曲部44からはフロントガラス17側へ急上昇するように延設された後、フロントガラス17の前縁から後縁への傾斜方向と同じ方向となるように緩やかに方向が転換されて、上端部41に到るように延設されている。
【0045】
第2部品22bは、前端部42が補強パネル21に対してボルト25及びウェルドナット31でワイパ支持部26とともに固定され、後端部43が第1部品22aの屈曲部44よりも上方に位置するようボルト23及びウェルドナット24で固定されている。そして、第2部品22bの前端部42及び第1部品22aの上端部41を結ぶ仮想平面K1は、フロントガラス17の前縁から後縁までの傾斜状態を示す仮想平面K2と略平行である。なお、本実施形態では第2部品22bの前端部42が請求項6でいうワイパ支持部を支持する部位に相当する。
【0046】
この実施形態においては、上方からフロントガラス17の下部に衝撃が加えられると、フロントガラス支持部16にはフロントガラス17の下端部を介して荷重F1が作用する。この荷重F1が作用すると、図5に示すように衝撃の作用点付近のカウルアウタ15が変形して衝撃エネルギーが吸収される。また、カウルアウタ15の変形に伴ってカウルインナ14も上膨出部34が車両前側へ向けてせり出すように変形しながら下方に押しつぶされるようにして衝撃のエネルギーを吸収する。さらに、ブラケット22の第1部品22aは、上端部41がカウルインナ14及びカウルアウタ15の変形し易い部分、すなわち、カウルインナ14のフランジ部14aとカウルアウタ15のフランジ部15aとの間に溶接されているから、カウルインナ14及びカウルアウタ15の変形に伴ってブラケット22も下方に押しつぶされるようにして衝撃のエネルギーを吸収する。このブラケット22の変形では、第1部品22aの上端部41が変形の起点となり、第1部品22aの屈曲部44が車両前側へせり出すようにして変形することで衝撃のエネルギーが吸収される。
【0047】
降雪時におけるワイパ作動時等のようにワイパアーム28からワイパ支持部26に大きな荷重F5が入力される場合においては、荷重F5がワイパ支持部26からブラケット22に伝達される。この荷重F5は、ワイパアーム28の延設方向に沿う方向に作用するから、フロントガラス17の傾斜状態による傾斜方向と同様の方向に作用することになるということができる。とくに、本実施形態では、第2部品22bの前端部42と第1部品22aの上端部41とを結ぶ仮想平面K1の傾斜状態がフロントガラス17の前端から後端へ向かう傾斜状態(仮想平面K2)とほぼ同様である。そのため、荷重F5がブラケット22に伝達されると、第2部品22bの前端部42から第2部品22bの後端部43、そして第1部品22aの上端部41にかけても荷重が伝達されてブラケット22が好適に突っ張る。したがって、カウルフロント19に伝達する荷重を低減する。
【0048】
また、荷重F5がブラケット22に伝達されると、ブラケット22の第1部品22aは、カウルインナ14の変形し難い部分にも下端部40が溶接されていることから、ブラケット22の突っ張り状態が安定化して、好適に荷重F5を受け止めることができる。ブラケット22の突っ張りは、ブラケット22に応力を発生せしめることから、カウルフロント19に作用する上下方向の荷重は低減される。したがって、ブラケット22は、カウルフロント19の上下方向の変形を抑制するように作用する。
【0049】
この実施形態においては、前記第1の実施形態の効果と同様の効果を有する他に次の効果を有する。
(10) 第1部品22aの下端部40は、カウルインナ14の下膨出部33よりも下方に溶接され、上端部41は、下膨出部33より上側にあるフロントガラス支持部16の変形し易い部分に溶接されている。また、第2部品22bは、前端部42が補強パネル21に固定され、後端部43が第1部品22aに固定されている。したがって、フロントガラス支持部16に荷重F1が作用する際に、フロントガラス支持部16のみならず、第1部品22a及び第2部品22bによっても衝撃を吸収することになるため、仮に、フロントガラス支持部16の上端から下端までの間隔が狭く、カウルインナ14に変形し易く形成される部分が十分に確保できない場合においても、荷重F1による衝撃を十分に吸収することができる。
【0050】
さらに、第1部品22aの上端部41がフロントガラス支持部16の変形し易い部分に固定されることで、ブラケット22はフロントガラス17により近い位置に向けてブラケット22が延設されることになるため、ブラケット22の、とくに第1部品22aと第2部品22bとの固定箇所から上端部41にかけての部位においても荷重を好適に受け止めることになる。したがって、その荷重に見合う応力がブラケット22に生じて、カウルフロント19に伝達する荷重を低減し、ブラケット22は、カウルフロント19の上下方向の変形を好適に抑制する。
【0051】
(11) ワイパ支持部26を支持する部位である第2部品22bの前端部42及び第1部品22aの上端部41を結ぶ仮想平面K1は、フロントガラス17の前縁から後縁までの傾斜状態を示す仮想平面K2と略平行である。すなわち、第2部品22bの前端部42及び第1部品22aの上端部41を結ぶ仮想平面K1は、ワイパ支持部26に入力される荷重F5の入力方向と同様の方向である。したがって、ワイパ支持部26に入力された荷重F5は、その荷重F5の入力方向と同方向に延設されたブラケット22に好適に伝達されることになる。そのため、荷重F5が入力されると、第2部品22bの前端部42から第1部品22aの上端部41にかけて好適に突っ張るようになることから、ブラケット22は、カウルフロント19の上下方向の変形を好適に抑制する。
【0052】
(12) カウルアウタ15のフランジ部15aとカウルインナ14のフランジ部14aとの間に第1部品22aの上端部41が重合され、この重合部位でそれらが互いに溶接して固定されている。したがって、フロントガラス支持部16の変形し易い部分と第1部品22aの上端部41との溶接工程を特別に設ける必要がなく、製造上、有利である。しかも、フロントガラス支持部16に対する溶接箇所が増加することを抑制することから、荷重F1が作用する場合では、衝撃エネルギーの吸収がそうした溶接箇所で変化することを回避して、一定のエネルギー吸収の進行を実現することができる。
【0053】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 第1の実施形態において、フロントガラス支持部16は上壁部(カウルアウタ15)に上方から荷重が作用したときに上側が変形し易く形成されていればよく、フロントガラス支持部16は前方が開放された開断面形状に限らない。例えば、図6に示すように、フロントガラス支持部16を二つの縦壁部32a,32bを前後に有するボックス状としてもよい。そして、両縦壁部32a,32bの上下方向の中間部に易屈曲部18をそれぞれ形成する。そして、易屈曲部18より下側の位置にブラケット22の後端を固定する。
【0054】
○ 第1の実施形態において、カウルインナ14や縦壁部32a,32bは、カウル11に上方から荷重が作用したときに上側が変形容易であればよく、易屈曲部18の形状は前記実施形態の形状に限らない。
【0055】
○ 第1の実施形態において、フロントガラス支持部16の上側を変形し易く形成する構成として、カウルインナ14や縦壁部32a,32bに単に屈曲部を形成する構成に限らず、座屈し易い部分を設ければよい。例えば、カウルインナ14や縦壁部32a,32bの屈曲部付近にスリットを設けたり、屈曲部付近の肉厚を薄くしたり、屈曲部を設けずに部分的に肉厚を薄くしたりしてもよい。
【0056】
○ 第3の実施形態において、第1部品22aの上端部41の溶接位置を変更してもよい。たとえば、カウルインナ14のみに対して溶接して固定してもよいし、カウルアウタ15のみに対して溶接して固定してもよい。もちろん、これらの変更例では、フランジ部14aへの溶接又はフランジ部15aへの溶接であってもよいし、その他の部位に対する溶接であってもよい。
【0057】
○ 第3の実施形態において、図7に示すとおり、補強パネル21を省略して、第2部品22bの前端部42を直接カウルフロント19の前端部分に溶接して固定するようにしてもよい。
【0058】
○ 第3の実施形態において、第1部品22aの上端部41が直接フロントガラス支持部16の変形し易い部分に固定される構成でなくともよい。たとえば、カウルインナ14又はカウルアウタ15の変形し易い部分から延出された部位に第1部品22aの上端部41が固定されるような構成であってもよい。
【0059】
○ 第3の実施形態において、第1部品22aを省略してもよい。その場合、第2部品22bの後端部43をフロントガラス支持部16の変形し易い部分にまで延設して固定されるようにすればよい。
【0060】
○ 第3の実施形態において、第1部品22aの上端部41は、第2部品22bに固定して、第2部品22bの後端部43をフロントガラス支持部16の変形し易い部分に溶接するようにしてもよい。また、第2部品22bの後端部43をフロントガラス支持部16の変形し難い部分に溶接するようにし、第1部品22aの下端部40をその第2部品22bに固定するようにしてもよい。さらに、第1部品22aの上端部41及び第2部品22bの後端部43の両方をフロントガラス支持部16の変形し易い部分に溶接するようにしてもよい。
【0061】
○ 第3の実施形態において、第2部品22bの後端部43は、仮想平面K1上に位置するように形成されていたが、これを変更してもよい。たとえば、該後端部43の位置を仮想平面K1よりも下方に位置するようにして構成してもよい。
【0062】
○ 第3の実施形態において、補強パネル21の車両後側の端部がカウルフロント19の中間壁19dに溶接されているが、これを変更してもよい。たとえば、補強パネル21の車両後側の端部がカウルフロント19の後壁19cに溶接されるように変更してもよい。
【0063】
○ ブラケット22を第1部品22a及び第2部品22bが連結固定された構成ではなく、1枚の板材で形成されたものとしてもよい。この場合、部品点数が少なくなる。
○ カウルロア13及びカウルフロント19を1枚の板材で形成してもよい。その場合、カウルインナ14まで含めて1枚の板材で形成してもよい。あるいは、カウルロア13及びカウルフロント19を1枚の板材で形成し、カウルインナ14及びカウルアウタ15を別の1枚の板材で形成する構成としてもよい。
【0064】
○ フロントガラス支持部16の易屈曲部18(第3の実施形態では下膨出部33)より下側を変形し難くする構成として、カウルインナ14の易屈曲部18(第3の実施形態では下膨出部33)より下の位置と、カウルロア13との間に補強部材を連結してもよい。この場合、ブラケット22の後端を前記補強部材に固定してもよい。
【0065】
○ 補強パネル21あるいはブラケット22をカウルフロント19に溶接する際、凸部19aを設けずに溶接してもよい。
○ 補強パネル21及びブラケット22の両者を備える構成において、ブラケット22をフロントガラス支持部16の易屈曲部18(第3の実施形態では下膨出部33)より下側と、カウルフロント19との間に架け渡すように固定する。そして、補強パネル21の前端をブラケット22に固定し、補強パネル21の後端をカウルフロント19の後端に固定してもよい。この構成でも、補強パネル21を設けない構成に比較して、降雪時のワイパ作動時においてもワイパの支持剛性を高くすることが容易になる。
【0066】
○ 補強パネル21及びブラケット22を金属製ではなく繊維強化樹脂製、例えば炭素繊維強化樹脂製としてもよい。その場合、補強パネル21とカウルフロント19との結合やブラケット22とフロントガラス支持部16及びカウルフロント19との結合はボルトとナットによる締結あるいは接着剤による接着で行われる。また、カウル11の構成部材のカウルロア13、カウルインナ14、カウルアウタ15、カウルフロント19を繊維強化樹脂製としてもよい。これらの場合、金属製とした場合に比較して軽量化を図れる。
【0067】
○ ブラケット22は、第1部品22a及び第2部品22bで構成されていたが、それらどちらかを省略して構成してもよいし、第3部品を付加するなどして、2部品以上の複数部品からなるように構成してもよい。
【0068】
以下の技術的思想(発明)は前記実施形態から把握できる。
(1)前記縦壁部は上下方向の中間部に易屈曲部が設けられ、前記易屈曲部より下側が前記変形し難い部分を構成する。
【0069】
(2)前記フロントガラスの上面から前記フロントガラス支持部の変形し難い部分と変形し易い部分との境界までの距離は30mm以上である。
(3)前記ブラケットは前記フロントガラス支持部の変形し易い部分より下側の部分の強化材として機能する。
【0070】
(4)前記ブラケットは前後2個の部品に分割されるとともに、両部品がボルト及びナットにより締結されている。
(5)前記縦壁部は、車両後側に膨出する下膨出部と該下膨出部の上方であって車両前側に膨出する上膨出部とを備え、前記下膨出部より上側が前記変形し易い部分を構成し、前記下膨出部より下側が前記変形し難い部分を構成する。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】第1の実施形態における車両のカウル構造の断面図。
【図2】カウルの概略斜視図。
【図3】第2の実施形態における車両のカウル構造の断面図。
【図4】第3の実施形態における車両のカウル構造の断面図。
【図5】荷重が上方から作用したときの車両のカウル構造の断面図。
【図6】別の実施形態における車両のカウル構造の断面図。
【図7】別の実施形態における車両のカウル構造の断面図。
【図8】従来技術における車両のカウル構造の断面図。
【図9】従来技術における車両のカウル構造の断面図。
【符号の説明】
【0072】
F1,F4,F5…荷重、K1,K2…仮想平面、14…縦壁部としてのカウルインナ、15…上壁部としてのカウルアウタ、16…フロントガラス支持部、17…フロントガラス、19…カウルフロント部材としてのカウルフロント、21…補強パネル、22…ブラケット、22a…第1部品、22b…第2部品、26…ワイパ支持部、32a,32b…縦壁部、40…第1部品の下端部、41…第1部品の上端部、42…第2部品の前端部、43…第2部品の後端部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車幅方向に延びる状態で立設された縦壁部及び縦壁部の上縁より延設されるとともにフロントガラスの前縁を支持する上壁部を備えたフロントガラス支持部と、前記フロントガラス支持部の下端と対応する位置から車両前側に棚状に張り出したカウルフロント部材とを備えた車両のカウル構造であって、
前記フロントガラス支持部は、前記上壁部に荷重が上方から作用したときに上側が変形し易く形成されており、一端が前記フロントガラス支持部の変形し難い部分に、他端が前記カウルフロント部材に、それぞれ直接又は間接的に固定されたブラケットが設けられ、前記ブラケット上にワイパ支持部が支持されている車両のカウル構造。
【請求項2】
車幅方向に延びる状態で立設された縦壁部及び縦壁部の上縁より延設されるとともにフロントガラスの前縁を支持する上壁部を備えたフロントガラス支持部と、前記フロントガラス支持部の下端と対応する位置から車両前側に棚状に張り出したカウルフロント部材とを備えた車両のカウル構造であって、
前記フロントガラス支持部は、前記上壁部に荷重が上方から作用したときに上側が変形し易く形成されており、車両後側の端部が前記フロントガラス支持部の変形し易い部分及び前記フロントガラス支持部の変形し難い部分にそれぞれ直接又は間接的に固定され、車両前側の端部が前記カウルフロント部材に直接又は間接的に固定されたブラケットが設けられ、前記ブラケット上にワイパ支持部が支持されている車両のカウル構造。
【請求項3】
前記ブラケットは、前記フロントガラス支持部の変形し難い部分と、前記カウルフロント部材との間に架け渡された補強パネル上に他端が固定されている請求項1又は2に記載の車両のカウル構造。
【請求項4】
ワイパ支持部は複数箇所に設けられ、少なくとも一つのワイパ支持部は前記ブラケット上に設けられている請求項1から3のいずれか一項に記載の車両のカウル構造。
【請求項5】
前記フロントガラス支持部は、前記縦壁部を一つ有し、前記上壁部は前記縦壁部の上縁から車両前側に棚状に張り出してフロントガラスの前縁を片持ち状態で支持する構成である請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の車両のカウル構造。
【請求項6】
前記ブラケットは、前記ワイパ支持部を支持する部位と前記フロントガラス支持部の変形し易い部分に直接又は間接的に固定された前記車両後側の端部とを結ぶ仮想平面の傾斜状態が前記フロントガラスの前縁から後縁へ向かう傾斜状態と同じ傾斜状態となるように延設された請求項2に記載の車両のカウル構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−219111(P2006−219111A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−228844(P2005−228844)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】