説明

車両のカウル部構造

【課題】ハーネスのワイパーユニットとの干渉を回避した状態でハーネスの配索経路の自由度を向上させることができる車両のカウル部構造を提供する。
【解決手段】本発明は、エンジンルーム2と車室4との間にカウル部のダッシュアッパパネル6が設けられ、このダッシュアッパパネルを貫通してエンジンルーム内から車室内に案内されるハーネス10が設けられた車両のカウル部構造1であって、ダッシュアッパパネルに取り付けられたワイパーユニット14とハーネスとの間にハーネスがワイパーユニットに干渉することを規制する干渉規制部材16を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のカウル部構造に係り、特に、ダッシュアッパパネルを貫通してエンジンルーム内から車室内に案内されるハーネスが設けられた車両のカウル部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、エンジンルーム内にあるバッテリやヒューズボックス等の電装品にハーネスが接続され、このハーネスが、エンジンルーム内から車室内に案内されるように配索されている。この場合、例えば、ハーネスは、エンジンルーム内から車室内にダッシュロウアパネルを貫通して設けられていた。
また、エンジンルーム内には、例えば、特許文献1に示されているように、エンジンルーム内にワイパーユニットが設けられている。
【0003】
【特許文献1】特開2006−315511号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エンジンルーム内から車室内に案内されるようにハーネスを配索する場合、ハーネスと可動部材を備えたワイパーユニットとの干渉を防止する必要があり、また、電装品に接続されるハーネスの配索距離を出来るだけ短くしたい等の要請があり、車両のカウル部構造の更なる改良が要望されていた。
【0005】
そこで、本発明は、これらの要請を満たすためになされたものであり、ハーネスのワイパーユニットとの干渉を回避した状態でハーネスの配索経路の自由度を向上させることができる車両のカウル部構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するために、本発明は、エンジンルームと車室との間にカウル部のダッシュアッパパネルが設けられ、このダッシュアッパパネルを貫通してエンジンルーム内から車室内に案内されるハーネスが設けられた車両のカウル部構造であって、ダッシュアッパパネルに取り付けられたワイパーユニットとハーネスとの間にハーネスがワイパーユニットに干渉することを規制する干渉規制部材を設けたことを特徴としている。
このように構成された本発明においては、ワイパーユニットとハーネスとの間にハーネスがワイパーユニットに干渉することを規制する干渉規制部材を設けたので、ワイパーユニットとの干渉を回避した状態でエンジンルーム内から車室内に案内されるハーネスの配索自由度が向上する。また、ワイパーユニット回りのデッドスペースを有効に利用してハーネスを配索することができる。
【0007】
本発明において、好ましくは、ハーネスに接続される電装品がエンジンルーム内の車幅方向側部に設けられ、ハーネスがダッシュアッパパネルの車幅方向側部を貫通して車室内に案内される。
このように構成された本発明においては、エンジンルーム内の車幅方向側部に設けられた電装品に接続されるハーネスを車幅方向側部に沿って最短経路で車室内に配索することができる。
【0008】
本発明において、好ましくは、干渉規制部材がワイパーユニットに固定される固定部を備えている。
このように構成された本発明においては、干渉規制部材をワイパーユニットと別々にダッシュアッパパネルに取り付ける作業を不要にできる。
【0009】
本発明において、好ましくは、干渉規制部材の固定部が複数設けられ、少なくとも1つの固定部がワイパーユニットのダッシュアッパパネルへの取付部に共締めされるように構成されている。
このように構成された本発明においては、共締めによる干渉規制部材とワイパーユニットのダッシュアッパパネルへの取付作業性の向上を図るとともに、干渉規制部材の支持剛性を確保することができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、干渉規制部材がワイパーユニットのワイパーモータに接続されるワイパーモータ用ハーネスを支持する支持部を備えている。
このように構成された本発明においては、干渉規制部材により、ワイパーモータに接続されるワイパーモータ用ハーネスの支持が可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の車両のカウル部構造によれば、ハーネスのワイパーユニットとの干渉を回避した状態でハーネスの配索経路の自由度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態による車両のカウル部構造を説明する。実施形態の説明において、車両の右側及び左側と言う場合、運転席から見た車両の右側及び左側を意味する。
【0013】
先ず、図1乃至図4に示すように、本発明の実施形態による車両のカウル部構造1は、エンジンルーム2と車室4との間に設けれたカウル部のダッシュアッパパネル6を備え、このダッシュアッパパネル6の上部の車幅方向左側側部には、貫通孔8が形成され、この貫通孔8には、エンジンルーム2内から車室4内に案内される電装品用ハーネス10が貫通して配索されている。
【0014】
また、エンジンルーム2内の前方の車幅方向左側側部には、バッテリやヒューズボックス等の電装品12が取り付けられており、この電装品12に、電装品用ハーネス10が接続されている。
【0015】
次に、ダッシュアッパパネル6の貫通孔8の右側近傍には、ワイパーユニット14が取り付けられている。このワイパーユニット14は、ダッシュアッパパネル6に取り付けられた支持ベース部材14aと、この支持ベース部材14aに取り付けられた駆動用モータ14bと、この駆動用モータ14bの出力軸14cに回転フランジ14dを介して接続されその一端(左側端)が円形の軌跡上を移動するように駆動されるコネクティングロッド14eと、このコネクティングロッド14eの他端(右側端)に連結された平行四辺形リンク14fと、この平行四辺形リンク14f上の2つの軸14g,14hに固定されて揺動運動するワイパーブレード14i,14j(図3参照)を備えている。また、駆動用モータ14bには、モータ用ハーネス18(図6参照)が接続されている。
【0016】
さらに、本実施形態では、ワイパーユニット14と電装品用ハーネス10との間には、ワイパーユニット14の可動部材と電装品用ハーネス10との干渉を防止するための干渉規制部材であるプロテクタ部材16が設けられている。
【0017】
次に、図1及び図5乃至図7により、電装用ハーネス10とワイパーユニット14の車体側への取付け構造を説明する。
プロテクタ部材16は、車体の一部であるダッシュアッパパネル6に近い側から順に、第1固定部16a、第2固定部16b及び第3固定部16cを備えている。
先ず、図5等に示されているように、プロテクタ部材16は、第1固定部16a及び第2固定部16bの2箇所により、ワイパーユニット14の支持ベース部材14aに固定されている。ここで、図1に示されているように、プロテクタ部材16の第1固定部16aは、ワイパーユニット14の支持ベース部材14aがダッシュアッパパネル6に取り付けられるとき、共締めされ、プロテクタ部材16も、支持ベース部材14aを介してダッシュアッパパネル6に取り付けられるようになっている。
【0018】
さらに、図6乃至図8に示すように、上述したプロテクタ部材16の第3固定部16cの下面にはハーネス取付用ブラケット20が固定され、このハーネス取付用ブラケット20が、モータ用ハーネス18を支持するようになっている。
【0019】
次に、上述した本実施形態による車両のカウル部構造による作用を説明する。先ず、本実施形態による車両のカウル部構造においては、ワイパーユニット14と電装品用ハーネス10との間に電装品用ハーネス10がワイパーユニット14に干渉することを防止するプロテクタ部材16を設けたので、ワイパーユニット14との干渉を回避した状態でエンジンルーム2内から車室4内に案内される電装品用ハーネス10の配索自由度が向上する。また、ワイパーユニット14回りのデッドスペースを有効に利用して電装品用ハーネス10を配索することができる。
【0020】
また、本実施形態においては、エンジンルーム2内の車幅方向側部に設けられた電装品12に接続される電装品用ハーネス10を車幅方向側部に沿って最短経路で車室4内に配索することができる。
【0021】
また、本実施形態においては、プロテクタ部材16がワイパーユニット14に固定される第1固定部16a及び第2固定部16bを備えているので、プロテクタ部材16をワイパーユニット14と別々にダッシュアッパパネル6に取り付ける作業を不要にできる。
【0022】
また、本実施形態においては、プロテクタ部材16の第3固定部16cがワイパーユニット14のダッシュアッパパネル6への取付部に共締めされるようになっているので、共締めによるプロテクタ部材16とワイパーユニット14のダッシュアッパパネル6への取付作業性の向上を図るとともに、プロテクタ部材16の支持剛性を確保することができる。
【0023】
さらに、本実施形態において、プロテクタ部材16がワイパーユニット14の駆動用モータ14bに接続されるモータ用ハーネス18を支持するハーネス取付用ブラケット20を備えているので、このハーネス取付用ブラケット20により、駆動モータ14bに接続されるモータ用ハーネス18の支持が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態による車両のカウル部構造を車体の上方から見た平面図である。
【図2】本発明の実施形態による車両のカウル部構造を車体の左斜め上方から見た斜視図である。
【図3】本発明の実施形態による車両のカウル部構造を車体の前方上方から見た斜視図である。
【図4】本発明の実施形態による車両のカウル部構造を車体の左側側方から見た側面である。
【図5】本発明の実施形態による車両のカウル部構造を車体の下方から見た斜視図である。
【図6】本発明の実施形態による車両のカウル部構造を車体の斜め下方から見た斜視図である。
【図7】本発明の実施形態による車両のカウル部構造を車体の下方から見た斜視図である。
【図8】本発明の実施形態による車両のカウル部構造を車体の左斜め下方の左側側方から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0025】
1 車両のカウル部構造
2 エンジンルーム
4 車室
6 カウル部のダッシュアッパパネル
8 貫通孔
10 電装品用ハーネス
12 電装品
14 ワイパーユニット
16 プロテクタ部材
18 モータ用ハーネス
20 ハーネス取付用ブラケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンルームと車室との間にカウル部のダッシュアッパパネルが設けられ、このダッシュアッパパネルを貫通してエンジンルーム内から車室内に案内されるハーネスが設けられた車両のカウル部構造であって、
上記ダッシュアッパパネルに取り付けられたワイパーユニットと上記ハーネスとの間に上記ハーネスが上記ワイパーユニットに干渉することを規制する干渉規制部材を設けたことを特徴とする車両のカウル部構造。
【請求項2】
上記ハーネスに接続される電装品がエンジンルーム内の車幅方向側部に設けられ、上記ハーネスが上記ダッシュアッパパネルの車幅方向側部を貫通して車室内に案内される請求項1記載の車両のカウル部構造。
【請求項3】
上記干渉規制部材が上記ワイパーユニットに固定される固定部を備えている請求項1又は2記載の車両のカウル部構造。
【請求項4】
上記干渉規制部材の固定部が複数設けられ、少なくとも1つの固定部が上記ワイパーユニットの上記ダッシュアッパパネルへの取付部に共締めされるように構成されている請求項3記載の車両のカウル部構造。
【請求項5】
上記干渉規制部材が上記ワイパーユニットのワイパーモータに接続されるワイパーモータ用ハーネスを支持する支持部を備えている請求項1乃至4の何れか1項に記載の車両のカウル部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−234460(P2009−234460A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−84312(P2008−84312)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000144027)株式会社ミツバ (2,083)
【Fターム(参考)】