説明

車両のフレーム構造

【課題】フットレストでより大きな力が支えられる車両のフレーム構造を提供する。
【解決手段】足操作領域123及び運転者用フットレスト124を、左右一対のロアメインフレームのそれぞれの前端に左右に延びるように設けられたロアクロスメンバ51と、このロアクロスメンバ51の上方に且つロアクロスメンバ51に平行に設けられたアッパクロスメンバ56との間に設け、足操作領域123と運転者用フットレスト124との間に、ロアクロスメンバ51とアッパクロスメンバ56とを連結する連結フレーム57,57を配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のフレーム構造の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の車両として、運転者が足を載せる床部を設けたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2006−103370公報
【0003】
特許文献1の図1を以下に説明する。
車両10のキャビンの下部には床部32が設けられ、運転者は車両10へ乗降するときやシート25に座って運転するときに床部32に足を載せる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
運転者が右足でアクセルペダルやブレーキペダルを操作する場合は、左足は床部32に載せておくことになるが、例えば、車両が悪路や傾斜地を走行するときなどは体の姿勢を保つために左足を踏ん張って体を支えることがあり、平坦な床部32よりは左足が前に踏み出す方向にフットレストが有った方が踏ん張りやすい。フットレストは、より大きな踏み出す力が支えられるように剛性が高い方が望ましい。
本発明の目的は、より大きな踏み出す力を支えられるフットレストを支持する車両のフレーム構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、車両前後方向に延びる左右一対のロアメインフレームと、このロアメインフレームの前部を含むととともに前輪を支持するフロントフレームと、ロアメインフレームの中間部にシートを支持するために設けられたシート支持フレームと、ロアメインフレームの後部に後輪を支持するために設けられたリヤフレームと、シートに着座した乗員の足を載せるフロアを支持するフロアサブフレームと、フロアよりも一段低いステップを支持するステップサブフレームとを備え、フロアの近傍にキャビン側と前輪側とを区画するダッシュパネルが設けられ、このダッシュパネルに、乗員のうちの運転者が一方の足でアクセルペダル、ブレーキペダル等の足操作部材を操作する足操作空間に面した足操作領域と、運転者が他方の足を載せるフットレストとが設けられた車両において、足操作部及びフットレストを、左右一対のロアメインフレームのそれぞれの前端に左右に延びるように設けられたロアクロスメンバと、このロアクロスメンバの上方に且つロアクロスメンバに平行に設けられたアッパクロスメンバとの間に設け、足操作領域とフットレストとの間に、ロアクロスメンバとアッパクロスメンバとを連結する連結フレームを配置したことを特徴とする。
作用として、連結フレームで足操作領域及びフットレストが設けられたダッシュパネルを支持することが可能になり、フットレストに大きな踏み出す力が加わっても撓みにくくなる。
【0006】
請求項2に係る発明は、足操作領域とフットレストとの間にダッシュパネルの一部を湾曲させて隔壁を形成し、この隔壁の内側に連結フレームを配置したことを特徴とする。
作用として、ダッシュパネルの一部を湾曲させると、ダッシュパネル自体の剛性が高くなる。
【0007】
請求項3に係る発明は、ロアクロスメンバとアッパクロスメンバの端部間をダッシュパネルで覆ったことを特徴とする。
作用として、ロアクロスメンバとアッパクロスメンバとを連結する連結フレームは、ロアクロスメンバ及びアッパクロスメンバのそれぞれの端部側には無いため、ロアクロスメンバとアッパクロスメンバの端部間を覆っているダッシュパネルの形状は連結フレームに制約を受けない。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明では、足操作領域及びフットレストを、左右一対のロアメインフレームのそれぞれの前端に左右に延びるように設けられたロアクロスメンバと、このロアクロスメンバの上方に且つロアクロスメンバに平行に設けられたアッパクロスメンバとの間に設け、足操作領域とフットレストとの間に、ロアクロスメンバとアッパクロスメンバとを連結する連結フレームを配置したので、フットレストに作用する踏み出す力を連結フレームで受けることができ、車両走行中に、運転者がフットレストに足を載せて体を支えたときに、フットレストに作用する大きな荷重を受けることができる。
【0009】
請求項2に係る発明では、足操作領域とフットレストとの間にダッシュパネルの一部を湾曲させて隔壁を形成し、この隔壁の内側に連結フレームを配置したので、ダッシュパネルの一部を湾曲させることで、ダッシュパネルの剛性を高めることができ、これによっても、フットレストで大きな荷重を受けることができる。また、足操作領域とフットレストとの境界を明確に分けることができ、足を配置しやすくすることができる。
【0010】
請求項3に係る発明では、ロアクロスメンバとアッパクロスメンバの端部間はダッシュパネルで覆われているが、ロアクロスメンバとアッパクロスメンバの端部間を繋ぐフレームが無いため、ダッシュパネルの設計自由度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係るフレーム構造を採用した車両の側面図であり、車両10は、車体フレーム11がフロントフレーム12、センタフレーム13及びリヤフレーム14から構成され、フロントフレーム12に左右の前輪16,16を懸架する前輪用サスペンション(不図示)が取付けられるとともに前輪16を操舵する操舵部材(ステアリングシャフト17、このステアリングシャフト17の上端に取付けたハンドル18等)を備え、センタフレーム13にパワーユニット21(エンジン22及びこのエンジン22に一体的に取付けた変速機23からなる。)、燃料タンク24、左右のシート25,26(手前側の符号25のみ示す。)が取付けられ、リヤフレーム14に左右の後輪27,27を懸架する後輪用サスペンション(不図示)が取付けられるとともに傾斜可能とした荷台28が取付けられた不整地走行車両である。
【0012】
センタフレーム13は、乗員が乗降する際に足を掛ける左右一対のステップ31,31(手前側の符号31のみ示す。)と、このステップ31よりも一段高くした床部32とを備え、この床部32に、シート25,26に着座した乗員が足を載せる。なお、34はフロントカバー、36はフロントカバー34とセンタフレーム13とに取付けられたロールケージ、37はセンタフレーム13の上方でロールケージに囲まれたキャビンである。
【0013】
荷台28は、操作レバー38を操作することで荷台固定用ロックを解除し、リヤフレーム14の後部上部に設けられた支点を中心にして前部が上方に揺動可能とされたものである。
【0014】
図2は本発明に係る車両の平面図であり、車体フレーム11のセンタフレーム13にシート25,26を支持するシート支持フレーム41を備え、シート25,26の下方であって車両前後方向に延びる左右一対のロアメインフレーム42,42の間にパワーユニット21が配置され、このパワーユニット21の右側方で且つ右側のシート26の下方に燃料タンク24が配置されている。
【0015】
図3は本発明に係る車体フレーム及びロールケージを示す斜視図である。
車体フレーム11のフロントフレーム12は、ロアメインフレーム42,42の前端に取付けられたロアクロスメンバ51と、このロアクロスメンバ51から前方に延ばされた左右一対のフロントロアサイドフレーム52,52と、これらのフロントロアサイドフレーム52,52のそれぞれの前端部から立ち上げられた左右一対のフロント第1サブフレーム53,53と、同じくフロントロアサイドフレーム52,52のそれぞれから立ち上げられて先端がフロント第1サブフレーム53,53に取付けられた左右一対のフロント第2サブフレーム54,54と、フロント第1サブフレーム53,53のそれぞれの先端に取付けられたアッパクロスメンバ56と、これらのロアクロスメンバ51及びアッパクロスメンバ56のそれぞれを連結する左右一対の連結フレーム57,57と、フロント第1サブフレーム53及びフロント第2サブフレーム54のそれぞれに渡したフロント中間フレーム58,58と、これらのフロント中間フレーム58,58間に渡されたクロスメンバ61,62と、左右のフロント第2サブフレーム54,54間に渡されたクロスメンバ63と、ロアクロスメンバ51及びフロントロアサイドフレーム52のそれぞれに渡された補強フレーム64,64と、左右のフロントロアサイドフレーム52,52間に渡されたクロスメンバ66とからなる。
【0016】
フロントロアサイドフレーム52,52及びフロント中間フレーム58,58は、それぞれ前輪用サスペンションアームを上下揺動自在に支持するブラケット(不図示)が取付けられる部材である。
【0017】
センタフレーム13は、左右一対のロアメインフレーム42,42と、これらのロアメインフレーム42,42からそれぞれ立ち上げられて後方に延ばされた左右一対のインナシート支持フレーム71,71と、ロアメインフレーム42,42及びインナシート支持フレーム71,71の水平部のそれぞれに渡されたセンタ起立フレーム72,72と、ロアクロスメンバ51の両端からそれぞれ後方に延ばされた左右一対のステップアウタフレーム73,73と、これらのステップアウタフレーム73,73の後端部から後方斜め上方に延ばされた左右一対の傾斜フレーム74,74と、ロアメインフレーム42,42及びステップアウタフレーム73,73のそれぞれに渡された左右一対のステップクロスメンバ76,76(一方の符号76のみ示す。)と、左側の傾斜フレーム74の中間部から車体内方に延ばされて下方に屈曲され且つ先端が左側のロアメインフレーム42に取付けられた左リヤクロスメンバ77と、右側のステップアウタフレーム73及び右側のロアメインフレーム42のそれぞれに渡された右リヤクロスメンバ78と、傾斜フレーム74,74の後端部及びインナシート支持フレーム71,71のそれぞれに取付けられた左右一対のリヤアッパクロスメンバ81,81と、ロアクロスメンバ51及びステップフロントクロスメンバ76,76のそれぞれに渡されたステップサブフレーム82,82と、ステップフロントクロスメンバ76,76のそれぞれの中間部から立ち上げられて後方に延ばされ且つ先端がリヤアッパクロスメンバ81,81に取付けられたアウタシート支持フレーム83,83と、インナシート支持フレーム71,71及びフロント第2サブフレーム54,54の間に渡された左右一対のフロアサブフレーム84,84とからなる。
【0018】
ロアクロスメンバ51、ステップアウタフレーム73,73、ステップクロスメンバ76,76及びステップサブフレーム82,82は、ステップ31(図1参照)を支持するステップ支持フレーム86を構成する部材である。
【0019】
左右のフロアサブフレーム84,84は、床部32(図1参照)を支持する床部支持フレーム88を構成する部材である。
インナシート支持フレーム71,71及びアウタシート支持フレーム83,83は、シート支持フレーム41を構成する部材である。
【0020】
リヤフレーム14は、左右のロアメインフレーム42,42と、左右のインナシート支持フレーム71,71と、ロアメインフレーム42,42間に渡されたクロスメンバ91〜93と、インナシート支持フレーム71,71間に渡されたクロスメンバ94と、ロアメインフレーム42,42及びインナシート支持フレーム71,71のそれぞれに渡された左右一対のリヤ第1起立フレーム96,96(図1参照。一方の符号96のみ示す。))及び左右一対のリヤ第2起立フレーム97,97(図1参照。一方の符号97のみ示す。)とからなる。
【0021】
リヤ第1起立フレーム96,96及びリヤ第2起立フレーム97,97は、それぞれ後輪用サスペンションアームを上下揺動自在に支持するブラケット(不図示)が取付けられる部材である。
【0022】
ロールケージ36は、左右のインナシート支持フレーム71,71にブラケット101,101を介して取付けられた左右に延びるクロス部材102と、このクロス部材102にジョイント103,103を介して連結された左右一対のリヤポスト104,104と、これらのリヤポスト104,104の上端にジョイント103,103を介して連結されたアッパ枠部材106と、このアッパ枠部材106の前部左右にジョイント103,103を介して連結されるとともに下端がフロントカバー34(図1参照)に取付けられた左右一対のフロントポスト107,107とからなる。
【0023】
リヤポスト104は、クロス部材102との連結部から車体外側方に水平に延びて更にほぼ鉛直に延びる鉛直部111,111と、これらの鉛直部111,111から車体内方に延びる横U字形状の内方延出部112,112と、これらの内方突出部112,112同士を連結する連結部113と、鉛直部111,111の水平部及び内方延出部112,112のそれぞれに連結された肘掛け部114,114とからなる。
【0024】
図4は本発明に係る車体フレーム及びダッシュパネルを示す斜視図であり、床部32の前方に、前輪側とキャビンとを区画する樹脂製のダッシュパネル121が配置されている。
【0025】
ダッシュパネル121は、左側のシート25(図2参照)に座った運転者が右足でアクセルペダル、ブレーキペダルを操作する足操作空間122に面した足操作領域123と、運転者が左足を載せる運転者用フットレスト124と、右側のシート26(図2参照)に座った同乗者が足を載せる同乗者用フットレスト126,127とを備える。ここでは、運転者用フットレスト124、同乗者用フットレスト126,127の位置を理解しやすいようにクロスハッチングを施した(以下同じ。)。
上記の足操作領域123及び運転者用フットレスト124は、足操作部128を構成する部分である。
【0026】
運転者用フットレスト124及び同乗者用フットレスト126,127は、それぞれ運転者及び同乗者が足を置きやすいように後下がりに傾斜している。なお、121aはダッシュパネル121をアッパクロスメンバ56及び床部32に取付けるためにダッシュパネル121の上縁部及び下縁部に設けられたビス挿通穴である。
【0027】
車体フレーム11の左側に設けられた左リヤクロスメンバ77は、例えば、ロアクロスメンバ51よりも高い位置に配置されるため、凹凸の大きな路面を走行する場合でも左クロスメンバ77が地面に接触しにくくすることができ、悪路走破性を向上させることができる。
【0028】
図5は本発明に係るフロントフレーム及びダッシュパネルの正面図であり、フロントフレーム12のアッパクロスメンバ56と、左右の連結フレーム57,57の上部とのそれぞれの後方を覆うようにダッシュパネル121が配置されている。
【0029】
連結フレーム57,57は、ロアクロスメンバ51及びアッパクロスメンバ56のそれぞれの両端部から内側に寄った位置に鉛直に延びてロアクロスメンバ51とアッパクロスメンバ56とを連結している。なお、123aは足操作領域123の裏面、124aは運転者用フットレスト124の裏面、126a,127aは同乗者用フットレスト126,127のそれぞれの裏面である。
【0030】
図6は本発明に係るダッシュパネルの背面図であり、ダッシュパネル121は、足操作領域123と運転者用フットレスト124との間に設けられた隔壁131、足操作領域123と同乗者用フットレスト126との間に設けられた隔壁132、同乗者用フットレスト126,127間に設けられた隔壁133を備える。なお、135はアクセルペダル、136はブレーキペダルであり、それぞれ運転者の右足で操作される。
【0031】
隔壁131〜133は、それぞれ車体後方(手前側)に湾曲して突出するように設けられ、隔壁131,133の車体前方(奥側)にそれぞれ連結フレーム57が配置されている。
【0032】
このように、足操作領域123と運転者用フットレスト124との間に隔壁131を設け、同乗者用フットレスト126,127間に隔壁133を設けることで、車体後方に突出する隔壁131,133が運転者及び同乗者のそれぞれの両足間に配置されて、隔壁131,133が邪魔になることがなく、また、隔壁131〜133が補強用リブの役目をしてダッシュパネル121の剛性を高めることができる。
【0033】
運転者用フットレスト124及び同乗者用フットレスト127はダッシュパネル121の高い位置に配置されている。これによって、例えば、車両が不整地等の凹凸が大きな地面を走行する際、車両が大きく揺れたときでも、運転者及び同乗者が運転者用フットレスト124及び同乗者用フットレスト127に前に踏み出すように置いた足を踏ん張り、体を支えやすくすることができる。
【0034】
以上の図1、図3、図4及び図6に示したように、本発明は、車両前後方向に延びる左右一対のロアメインフレーム42,42と、これらのロアメインフレーム42,42の前部を含むととともに前輪16,16を支持するフロントフレーム12と、ロアメインフレーム42,42の中間部にシート25,26(図2参照)を支持するために設けられたシート支持フレーム41と、ロアメインフレーム42,42の後部に後輪27,27を支持するために設けられたリヤフレーム14と、シート25,26に着座した乗員の足を載せるフロアとしての床部32を支持するフロアサブフレーム84,84と、床部32よりも一段低いステップ31を支持するステップサブフレーム82,82とを備え、床部32の近傍にキャビン37側と前輪16側とを区画するダッシュパネル121が設けられ、このダッシュパネル121に、乗員のうちの運転者が一方の足でアクセルペダル、ブレーキペダル等の足操作部材を操作する足操作空間122に面した足操作領域123と、運転者が他方の足を載せる運転者用フットレスト124とからなる足操作部128が設けられた車両10において、足操作部128を、左右一対のロアメインフレーム42,42のそれぞれの前端に左右に延びるように設けられたロアクロスメンバ51と、このロアクロスメンバ51の上方に且つロアクロスメンバ51に平行に設けられたアッパクロスメンバ56との間に設け、足操作領域123と運転者用フットレスト124との間に、ロアクロスメンバ51とアッパクロスメンバ56とを連結する連結フレーム57,57を配置したので、運転者用フットレスト124に作用する力を連結フレーム57,57で受けることができ、車両走行中に、運転者が運転者用フットレスト124に足を載せて体を支えたときに、運転者用フットレスト124に作用する大きな荷重を受けることができる。
【0035】
また本発明は、足操作領域123と運転者用フットレスト124との間にダッシュパネル121の一部を湾曲させて隔壁131を形成し、この隔壁131の内側に連結フレーム57を配置したので、ダッシュパネル121の一部を湾曲させることで、ダッシュパネル121の剛性を高めることができ、これによっても、運転者用フットレスト124で大きな荷重を受けることができる。また、足操作領域123と運転者用フットレスト124との境界を明確に分けることができ、足を配置しやすくすることができる。
【0036】
更に本発明は、ロアクロスメンバ51とアッパクロスメンバ56の端部間はダッシュパネル121で覆われているので、ロアクロスメンバ51とアッパクロスメンバ56の端部間、即ち、端部51aと端部56aとの間、端部51bと端部56bとの間を繋ぐフレームが無いため、ダッシュパネル121の設計自由度を向上させることができる。
【0037】
図7は本発明に係る車両の燃料タンクの配置を示す側面図であり、センタフレーム13の下部にベース部材141が取付けられ、このベース部材141に燃料タンク24が載せられるとともに、ベース部材141に両端が取付けられた一対のバンド部材142,142でベース部材141に燃料タンク24が固定されている。
【0038】
燃料タンク24は、ロアメインフレーム42よりも上方且つ手前側で、アウタシート支持フレーム83の鉛直部83aよりも後方且つアウタシート支持フレーム83の水平部83bよりも下方に、更に、ステップアウタフレーム73及び傾斜フレーム74より奥側のスペースに配置されている。
燃料タンク24の奥側には、燃料タンク24をパワーユニット21(図2参照)と隔てるための遮熱カバー144が配置されている。
【0039】
ここで、146は燃料タンク24の給油口を塞ぐキャップ、147は燃料タンク24を側方から保護するためにステップアウタフレーム73及び傾斜フレーム74に取付けられたガード部材、148は燃料タンク24を後方から保護するために傾斜フレーム74の後方に設けられたリヤカバー、149はシート25,26(図2参照)の下方を覆うシート下カバーである。
【0040】
図8は本発明に係る車両の燃料タンク配置スペース及び遮熱カバーを説明する斜視図であり、燃料タンク24(図7参照)は説明の都合上記載していない。
遮熱カバー144は、平面視L字形状のプレートであり、奥側がロアメインフレーム42及びインナシート支持フレーム71(図3参照)の水平部71b(図3参照)に沿って配置されるとともに、前側がインナシート支持フレーム71の鉛直部71a(図3参照)とアウタシート支持フレーム83の鉛直部83aとの間を塞ぐように配置されている。
【0041】
燃料タンク24を配置するスペースの上部には、エアクリーナ(不図示)に空気を取り込む吸気管152の前部が配置されている。
吸気管152は、吸気管本体152aと、この吸気管本体152aに一体に設けられたレゾネータ152bとを備え、吸気管本体152aの先端に空気の吸い込み口となる別体の吸気ダクト153が取付けられている。
【0042】
図9は本発明に係る車両の要部平面図であり、パワーユニット21と燃料タンク24との間に平面視L字形状の遮熱カバー144(ここでは、遮熱カバー144を形状が理解しやすいように黒く塗りつぶした。)を配置し、遮熱カバー144から燃料タンク24側のスペースに、空気の吸い込み口153aを備える吸気ダクト153を配置したことを示している。なお、144aは遮熱カバー144をアウタシート支持フレーム83の鉛直部83aに取付けるために遮熱カバー144に一体に設けられた取付片、154,154は遮熱カバー144をベース部材141に取付けるためのビス、156は遮熱カバー144をセンタ起立フレーム72に取付けるためのビスである。
【0043】
このように、吸気ダクト153を燃料タンク24を配置するスペースに配置することで、パワーユニット21のエンジン22によって暖められていない空気を吸気管152内に吸入することができ、その空気を吸気管152からエアクリーナ155を介してエンジン22に供給することができるため、エンジン22の吸気の充填効率を高めることができる。
【0044】
図10は本発明に係る車両の荷台周囲を示す斜視図であり、車体の側方を覆うサイドカバー161の後部上部に車体内方に延びるカバー延出部161aが設けられ、このカバー延出部161aの後方に、荷台28を構成する前後に延びる左右一対の荷台アウタフレーム163,163(一方の符号163のみ示す。)に取付けられた左右一対の泥除け164,164(一方の符号164のみ示す。)が配置されている。
【0045】
泥除け164は、後輪27(図1参照)から飛散した泥が荷台28とサイドカバー161のカバー延出部161aとの隙間に入り込むのを防ぐ部品であり、左右の泥除け164,164が共通で使用できるような荷台アウタフレーム163への取付け部を備えている。
【0046】
操作レバー38は、手で操作される左右一対の操作部38a,38a(一方の符号38aのみ示す。)と、これらの操作部38a,38a間に一体に設けられたストレート部38bとからなる。
【0047】
図中の符号166はインナシート支持フレーム71(図3参照)に取付けられた係合金具、168はストレート部167に取付けられて通常はねじりコイルばね171の弾性力により係合金具166に係合しているフックであり、荷台28は、通常は係合金具166にフック168が係合することでロック状態となり、前部が上方に揺動しない。
【0048】
図11は本発明に係る車両の荷台下部を示す要部斜視図であり、図10に示したサイドカバー161を外した状態を示している。
泥除け164の前方には、操作レバー38のストレート部38bを回転自在に支持するために荷台アウタフレーム163に取付けられた支持部材173が配置されている。
【0049】
即ち、泥除け164は、泥が荷台28とサイドカバー161(図10参照)のカバー延出部161a(図10参照)との隙間を通って支持部材173がストレート部38bを支持する部分に入り込むのを防ぐためのものである。従って、支持部材173で操作レバー38の回動を常に良好に保つことができる。
【0050】
図12は本発明に係る車両のラジエータ周りを示す斜視図であり、フロントフレーム12(図1参照)の前部にラジエータ支持フレーム175が取付けられ、このラジエータ支持フレーム175でラジエータ176の上部及び下部が支持されるとともに、ラジエータ支持フレーム175にラジエータ176に導風する樹脂製の導風部材177が取付けられたことを示している。
【0051】
導風部材177は、前部と後部とが開放された箱形部材であり、上壁177a及び左右の側壁177b,177bがラジエータ支持フレーム175に取付けられ、上壁177aの前部及び下壁177cの後部にそれぞれ切欠き177d,177eが形成されている。
【0052】
導風部材177の前部には図示せぬフロントグリルが取付けられるため、フロントグリルとラジエータ176との間の導風部材177内に異物等が入り込んだ場合に、切欠き177d,177eを通して異物を取り除くことができる。
【0053】
図13は本発明に係る車両のラジエータ周りを示す平面図であり、導風部材177の上壁177aの前部に台形状の切欠き177dが形成されたことを示している。ラジエータ支持フレーム175の上部は、切欠き177dから導風部材177内に手を入れやすいように切欠き177dを避けるように切欠き177dより後方に配置されている。なお、181はラジエータ176の後方に配置された冷却ファン、182はラジエータ176内に出入りするクーラントを貯めるリザーブタンク、183,184はラジエータホースである。
【0054】
図14は本発明に係る車両のシートを示す側面図であり、シート25は、水平部191a及びこの水平部191aの後端から後方斜め上方に延びる傾斜部191bからなるシートフレーム191と、このシートフレーム191の水平部191aに取付けられたシートクッション192と、シートフレーム191の上端に取付けられたシートバック193とからなり、このシートバック193の前後方向及び上下方向の位置が調整可能となっている。
【0055】
図15(a),(b)は本発明に係る車両のシート構造の詳細を示す説明図である。
(a)において、シートフレーム191の傾斜部191bは、上端に車幅方向に延びるクロス部材195と、このクロス部材195から上方に延びる取付け片196とを備える。
【0056】
シートバック193は、クロス部材195に掛けるために背面に段違いに形成された左右一対の第1フック193a,193a(一方の符号193aのみ示す。)、左右一対の第2フック193b,193b(一方の符号193bのみ示す。)と、傾斜部191b側の取付け片196に取付けるためにナット197がそれぞれ埋め込まれて段違いに形成された第1突出部193c、第2突出部193dとを備える。なお、シート26(図2参照)は、上記したシート25と同様な構造である。
【0057】
図14では、シートバック193の第1フック193a,193aがクロス部材195に掛けられ、第1突出部193cが取付け片196に取付けられて、シートバック193がより後方に且つより上方に配置されている。
【0058】
この状態に対して、図15(b)では、シートバック193の第2フック193b,193bがクロス部材195に掛けられ、第2突出部193dが取付け片196にナット197にボルト198をねじ込むことで取付けられて、シートバック193がより前方に且つより下方の位置に調整されたことを示している。図中のHはシートバック193の前後方向の調節量、Vはシートバック193の上下方向の調節量である。
このように、シート25のシートバック193を座る人の体格や好みに応じて位置を簡単な構造で且つ容易に調整することができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明のフレーム構造は、不整地走行車両に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明に係るフレーム構造を車両の側面図である。
【図2】本発明に係る車両の平面図である。
【図3】本発明に係る車体フレーム及びロールケージを示す斜視図である。
【図4】本発明に係る車体フレーム及びダッシュパネルを示す斜視図である。
【図5】本発明に係るフロントフレーム及びダッシュパネルの正面図である。
【図6】本発明に係るダッシュパネルの背面図である。
【図7】本発明に係る車両の燃料タンクの配置を示す側面図である。
【図8】本発明に係る車両の燃料タンク配置スペース及び遮熱カバーを説明する斜視図である。
【図9】本発明に係る車両の要部平面図である。
【図10】本発明に係る車両の荷台周囲を示す斜視図である。
【図11】本発明に係る車両の荷台下部を示す要部斜視図である。
【図12】本発明に係る車両のラジエータ周りを示す斜視図である。
【図13】本発明に係る車両のラジエータ周りを示す平面図である。
【図14】本発明に係る車両のシートを示す側面図である。
【図15】本発明に係る車両のシート構造の詳細を示す説明図である。
【符号の説明】
【0061】
10…車両、12…フロントフレーム、14…リヤフレーム、16…前輪、25,26…シート、31…ステップ、32…フロア(床部)、37…キャビン、42…ロアメインフレーム、51…ロアクロスメンバ、56…アッパクロスメンバ、57…連結フレーム、71…インナシート支持フレーム、82…ステップサブフレーム、83…アウタシート支持フレーム、84…フロアサブフレーム、121…ダッシュパネル、122…足操作空間、123…足操作領域、124…運転者用フットレスト、128…足操作部、131…隔壁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前後方向に延びる左右一対のロアメインフレームと、このロアメインフレームの前部を含むととともに前輪を支持するフロントフレームと、ロアメインフレームの中間部にシートを支持するために設けられたシート支持フレームと、ロアメインフレームの後部に後輪を支持するために設けられたリヤフレームと、前記シートに着座した乗員の足を載せるフロアを支持するフロアサブフレームと、前記フロアよりも一段低いステップを支持するステップサブフレームとを備え、前記フロアの近傍にキャビン側と前記前輪側とを区画するダッシュパネルが設けられ、このダッシュパネルに、乗員のうちの運転者が一方の足でアクセルペダル、ブレーキペダル等の足操作部材を操作する足操作空間に面した足操作領域と、運転者が他方の足を載せるフットレストとが設けられた車両において、
前記足操作領域及び前記フットレストは、前記左右一対のロアメインフレームのそれぞれの前端に左右に延びるように設けられたロアクロスメンバと、このロアクロスメンバの上方に且つロアクロスメンバに平行に設けられたアッパクロスメンバとの間に設けられ、
前記足操作領域と前記フットレストとの間に、前記ロアクロスメンバと前記アッパクロスメンバとを連結する連結フレームが配置されていることを特徴とする車両のフレーム構造。
【請求項2】
前記足操作領域と前記フットレストとの間に前記ダッシュパネルの一部を湾曲させて隔壁を形成し、この隔壁の内側に前記連結フレームを配置したことを特徴とする請求項1記載の車両のフレーム構造。
【請求項3】
前記ロアクロスメンバと前記アッパクロスメンバの端部間は前記ダッシュパネルで覆われていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両のフレーム構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−56967(P2009−56967A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−226634(P2007−226634)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】