説明

車両のルーフ支持構造

【課題】格納状態のルーフを支持する支持手段にかかる荷重を車体各部に伝達し分散させることができる車両のルーフ支持構造を提供する。
【解決手段】格納可能なルーフ2と、略車幅方向に延び左右の車体側壁部14を連結するクロスバー部材21と、クロスバー部材21に略逆U字状に突設されるロールバー部材31と、クロスバー部材21に固定され、格納状態にあるルーフ2を支持する支持手段60とを有する車両のルーフ支持構造は、ロールバー部材21の車幅方向外方部32が、クロスバー部材21の下方へ延び車体フロア部13に固定される延設部33を備え、延設部33には、車体側壁部14と連結される固定ブラケット40が固定され、クロスバー部材21には、ロールバー部材31の車幅方向内方部37が固定される内側固定部38a、39a近傍において、延設部33と連結される取付ブラケット70、80が固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉式のルーフを有する車両において、格納状態にあるルーフを車体に対して支持する支持手段を備えてなる車両のルーフ支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車室の屋根部(ルーフ)を開閉式とした車両において、ルーフを、例えば布製など伸縮自在な素材からなる幌式のソフトトップで構成し、少なくとも2つの形態、すなわち、ルーフが車室の天井部を覆っている展開状態と、ルーフが車体後部に格納された格納状態とをとり得るようにした構成は、一般に良く知られている。
【0003】
このように開閉可能式のルーフを備えた車両では、ルーフを格納状態において車体側に保持するロック装置などを設ける必要がある(例えば特許文献1参照)。また、上記車両においては、車体の剛性を確保するためのクロスバーや乗員の頭部の保護性能の向上を図るロールバー等の車体構成部材が車室後方に設けられている(例えば特許文献2参照)。
【特許文献1】実開平5−32057号公報
【特許文献2】特開2000−255356号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、開閉式のルーフを有する車両においては、耐候性及び遮音性等を向上させるために、例えば金属製などハードな素材のルーフを用いた開閉式ハードトップが知られている。このハードトップのルーフの場合には、ソフトトップの場合に比して、ルーフの重量が非常に大きくなり、ルーフを格納する際、あるいは、ルーフの格納状態において走行風や路面状態による入力振動などに応じてルーフが振動する際に、例えばロック装置など、格納状態のルーフを支持する支持手段に入力される荷重が増大することとなる。
【0005】
上記支持手段を、例えばクロスバーなどの車体構成部材に固定させる場合には、この車体構成部材のサイズを大きくすることで支持手段に入力される荷重を受け止めることが可能であるが、例えばルーフを格納する格納スペースを確保する場合など、上記車体構成部材を過大なものとすることが困難な場合がある。
【0006】
かかる場合に、上記車体構成部材のサイズが過大なものとなることを回避し、この入力荷重に対する負荷能力を高めるためには、入力荷重を車体の各部に分散させることが非常に有効である。従って、ルーフを支持する支持手段にかかる荷重を如何に車体各部に分散させるかが重要となる。
【0007】
この発明は、上記技術的課題に鑑みてなされたものであり、格納状態のルーフを支持する支持手段を有する車両において、上記支持手段にかかる荷重を車体各部に伝達し分散させることができる車両のルーフ支持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このため、本願の請求項1に係る発明は、車室の屋根部を構成する格納可能なルーフと、車体フロア部より上方において略車幅方向に延び左右の車体側壁部を連結する第1の連結部材と、前記第1の連結部材に上方に向かって略逆U字状に突設されるロールバー部材と、前記第1の連結部材に固定され、格納状態にある前記ルーフの少なくとも一部を支持する支持手段とを有する車両のルーフ支持構造であって、
前記ロールバー部材の車幅方向外方部は、前記第1の連結部材の下方へ延び前記車体フロア部に固定される延設部を備え、前記支持手段は、前記ロールバー部材近傍において前記第1の連結部材に固定されていることを特徴としたものである。
【0009】
また、本願の請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記支持手段は、前記第1の連結部材上において前記ロールバー部材の車幅方向内方部と前記ロールバー部材の車幅方向外方部との間に配設されていることを特徴としたものである。
【0010】
更に、本願の請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明において、前記支持手段は、前記第1の連結部材に取り付けられ格納状態の前記ルーフに向かって延びる支持手段取付ブラケットを介して、前記第1の連結部材に固定されていることを特徴としたものである。
【0011】
また更に、本願の請求項4に係る発明は、請求項1〜3の何れか一に係る発明において、前記延設部には、前記車体側壁部と連結される第2の連結部材が固定されていることを特徴としたものである。
【0012】
また更に、本願の請求項5に係る発明は、請求項1〜4の何れか一に係る発明において、前記第1の連結部材には、前記ロールバー部材の車幅方向内方部が固定される内側固定部近傍において、前記延設部と連結される第3の連結部材が固定されていることを特徴としたものである。
【0013】
また更に、本願の請求項6に係る発明は、請求項5に係る発明において、前記延設部には、前記車体側壁部と連結される第2の連結部材が固定されるとともに、前記第3の連結部材が、前記第2の連結部材に連結されていることを特徴としたものである。
【0014】
また更に、本願の請求項7に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記ロールバー部材は、前記第1の連結部材の車幅方向両端部にそれぞれ設けられ、前記支持手段は、前記第1の連結部材上において、該第1の連結部材の車幅方向両端部にそれぞれ設けられる前記ロールバー部材の車幅方向内方部の間に配設されていることを特徴としたものである。
【0015】
また更に、本願の請求項8に係る発明は、請求項1〜7の何れか一に係る発明において、前記ルーフは、ハードルーフで構成され、格納状態にある前記ルーフの少なくとも一部が前記第1の連結部材の下方に位置するように配設されていることを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0016】
本願の請求項1の発明に係る車両のルーフ支持構造によれば、ルーフを格納する際に、あるいはルーフの格納状態において、ルーフを支持する支持手段にかかる荷重をロールバー部材の延設部を通じて車体フロア部に確実に伝達し分散させることができる。
例えば、ルーフがハードルーフで構成され、ルーフを格納する格納スペースが、車体フロア部より上方において左右の車体側壁部を連結する第1の連結部材より下方に設けられる場合など、第1の連結部材の車幅方向中央側において第1の連結部材と車体フロア部とを連結できない場合においても、支持手段にかかる荷重を車体フロア部に確実に伝達し分散させることができる。
【0017】
また、本願の請求項2の発明によれば、支持手段にかかる荷重を、ロールバー部材の車幅方向外方部を通じて車体フロア部に伝達するとともに、上記荷重をロールバー部材の車幅方向内方部からロールバー部材の車幅方向外方部を通じて車体フロア部に伝達することができる。
【0018】
更に、本願の請求項3の発明によれば、支持手段が、ルーフとロールバー部材との干渉を回避するように支持手段取付ブラケットを介して第1の連結部材に固定される場合においても、支持手段にかかる荷重を車体フロア部に確実に伝達し分散させることが可能である。
【0019】
また更に、本願の請求項4の発明によれば、支持手段にかかる荷重を、ロールバー部材の延設部を通じて車体フロア部に伝達するとともに、第2の連結部材を通じて車体側壁部に伝達することができ、上記荷重を車体フロア部及び車体側壁部の車体各部に分散させることができる。
【0020】
また更に、本願の請求項5の発明によれば、支持手段にかかる荷重を、第3の連結部材からロールバー部材の延設部を通じて車体フロア部に伝達し分散させることができ、上記効果をより有効に奏することができる。
【0021】
また更に、本願の請求項6の発明によれば、第3の連結部材に入力される荷重を、ロールバー部材の延設部を通じて車体フロア部に伝達するとともに、第2の連結部材を通じて車体側壁部に伝達することができ、上記荷重を車体フロア部及び車体側壁部の車体各部に分散させることが可能である。
【0022】
また更に、本願の請求項7の発明によれば、支持手段が第1の連結部材の車幅方向中央側に設けられる場合においても、支持手段に入力荷重が作用する際に、ロールバー部材は、その車幅方向外方部が第1の連結部材に固定される外側固定部を基点として、その車幅方向内方部が第1の連結部材に固定される内側固定部を吊り上げるように作用し、左右のロールバー部材によって第1の連結部材の車幅方向中央側を吊り上げるように作用するので、支持手段の支持剛性を向上させることができる。
【0023】
また更に、本願の請求項8の発明によれば、ルーフの重量が大きく、支持手段にかかる荷重も大きくなるハードルーフで構成される場合において、上記効果をより有効に奏することができる。ルーフがハードルーフで構成される場合には、ルーフの格納スペースも大きくなるが、かかる場合においても、格納スペースの一部を第1の連結部材の下方に配置することができ、第1の連結部材の下方のスペースを有効に利用し車両のレイアウト性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る車両の車体後部を模式的に示す側面説明図であり、図2は、上記車両の車体後部を概略的に示す斜視図である。上記車両1では、車室の天井部を構成するルーフ2が分割タイプとされ、前側ルーフ部3と後側ルーフ部4とで構成されている。
【0025】
上記ルーフ2は、リンク部材6、7を含むリンク機構によって、車室の天井部を覆っている展開状態(図1の二点鎖線参照)と、車体後部に格納された格納状態(図1の実線参照)との少なくとも2つの状態をとることができる。この格納可能なルーフ2は、後側ルーフ部4の上方に前側ルーフ部3が位置付けられるようにして格納されている。
【0026】
また、上記車両1は、図2に示すように、フロントフロア部10と、該フロントフロア部10から車体後方に向かうにつれて上方へ傾斜して延びるキックアップ部11と、その後方のリアフロア部12とを有する車体フロア部13を備え、車体フロア部13の左右両側に車体側壁部14を備えている。車体側壁部14には、車体フロア部13より上方において左右の車体側壁部14を連結するロールバー構造20が設けられている。
【0027】
図3は、上記車両の車体後部の要部を示す斜視図であり、図4は、上記車両の車体後部の要部を示す正面説明図である。なお、図3及び図4では、リンク部材6、7は省略する。上記ロールバー構造20は、左右の車体側壁部14を連結するクロスバー部材(第1の連結部材)21と、クロスバー部材21から上方に向かって略逆U字状に突設されるロールバー部材31とを備えている。このロールバー部材31は、クロスバー部材21の車幅方向の両端部にそれぞれ設けられている。
【0028】
上記クロスバー部材21は、分割タイプのもので、後述する図6及び図8に示すように、クロスバー部材21の上面、下面及び前面を構成する、後方に開口した略断面コ字状のフレーム部材22と、該フレーム部材22の後側開口を閉じるプレート部材23とにより閉断面状に構成されている。フレーム部材22とプレート部材23とは、車体後方側の上端部及び下端部においてフランジ結合により接合されている。なお、クロスバー部材21は、フレーム部材22とプレート部材23とにより閉断面状に構成されているが、クロスバー部材21を単一部材で構成するようにしてもよい。
【0029】
このクロスバー部材21は、車体フロア部13の上方において車幅方向に延び、平面視で略L字状に形成されたリンクブラケット25を介して左右の車体側壁部14を連結している。リンクブラケット25には、後側ルーフ4を回動自在に支持するリンク部材6が取り付けられる。
【0030】
一方、ロールバー部材31は、金属製の管状部材を略逆U字状に折り曲げて成形したものであり、その車幅方向外方部32は、クロスバー部材21から下方に延びる延設部33を備えている。延設部33は、クロスバー部材21に対して車体前方側に折り曲げられるとともに車幅方向外方側に折り曲げられ、その下端側には略三角形状の取付プレート34が溶着されている。取付プレート34は、図3に示すように、3本の締結ボルト35によって車体フロア部13に締結固定されている。
【0031】
また、ロールバー部材31と車体側壁部14との間には、車体側壁部14から車幅方向に延びる固定ブラケット(第2の連結部材)40が設けられ、この固定ブラケット40によって車体側壁部14とロールバー部材31の延設部33とが連結されている。固定ブラケット40は、一本のパイプからなり、車幅方向内方に延びる一端側でプレスされて平坦な形状をもつ平坦部41を備え、車幅方向外方に延びる他端側で固定ブラケット40の軸方向に対して垂直なフランジ42に接合されている。
【0032】
固定ブラケット40の平坦部41は、延設部33の車体後方側に設けられる挟持部材(不図示)に対して、締結ボルト43によって締結されており、固定ブラケット40と上記挟持部材とによって延設部33が挟持されている。他方、固定ブラケット40のフランジ42は、車体側壁部14に沿って車体前方側へ広がり、略車幅方向に延びる締結ボルト44によって車体側壁部14に締結されている。
【0033】
ロールバー部材31の車幅方向外方部32は、クロスバー部材21の車幅方向外方側において、その上面及び下面にそれぞれ形成された貫通孔(不図示)に挿通され、締結ボルト36によって締結されるとともに、上記貫通孔の周縁部においてクロスバー部材21に接合されている。
【0034】
一方、ロールバー部材31の車幅方向内方部37は、クロスバー部材21の車幅方向内方側において、その上面及び下面にそれぞれ形成された貫通孔(不図示)に挿通されるとともに、該貫通孔の周縁部において、クロスバー部材21に接合されている。なお、ロールバー部材31の車幅方向内方部37は、その下端側がクロスバー部材21の下面と略同程度の高さになるように形成されている。
【0035】
本実施形態では、上述したように、車体後部にルーフ2が格納されており、該ルーフ2を保持するロック装置50が、クロスバー部材21に取り付けられている。図5は、ルーフを保持するロック装置を示す斜視図であり、図6は、図4におけるY6−Y6線に沿った断面説明図である。なお、図6に示すように、格納状態にあるルーフ2の後側ルーフ4の先端側は、クロスバー部材21の下方に位置付けられている。
【0036】
ロック装置50は、図4に示すように、クロスバー部材21上において、クロスバー部材21の車幅方向両端部にそれぞれ設けられたロールバー部材31の車幅方向内方部37の間に、すなわち、ロールバー部材31近傍においてクロスバー部材21の車幅方向中央側に配設されている。このロック装置50は、上側把持部51と下側把持部52とを備えており、ルーフ2の格納状態では、ルーフ2の前側ルーフ3に設けられた係留部8の先端側が、ロック装置50の上側把持部51と下側把持部52とで把持された状態で保持される。
【0037】
図5に示すように、ロック装置50は、該ロック装置50の下部を覆うハウジング53を備え、該ハウジング53内に配設されている。ハウジング53のフランジ部54は、クロスバー部材21の上面及び後面に沿って略直角状に形成されるロック装置取付部材55に取り付けられている。このロック装置取付部材55が、締結ボルト56によってクロスバー部材21の上面に締結固定され、ロック装置50は、ロック装置取付部材55を介してクロスバー部材21に固定されている。
【0038】
なお、ロック装置50は、ルーフを格納する際にルーフを下方へ引き込み、ルーフを展開する際にルーフを上方へ押し上げるためのワイヤ57を備えており、該ワイヤ57は、ロック装置50から下方に延びている。ロック装置50は、ワイヤ57などの付勢手段を備え、ルーフの重量が大きいハードルーフで構成されている場合でも、ルーフの展開及び格納を確実に行うことができる。
【0039】
また、本実施形態では、ルーフ2がハードルーフで構成され、クロスバー部材21には、ロック装置50が固定されるとともに、ルーフ2を支持する支持手段である支持部材60が固定されている。図7は、ルーフを支持する支持手段を示す斜視図であり、図8は、図4におけるY8−Y8線に沿った断面説明図である。
【0040】
ルーフ2を支持する支持部材60は、図4に示すように、クロスバー部材21上においてロールバー部材31の車幅方向内方部37とロールバー部材31の車幅方向外方部32との間にそれぞれ配設され、車幅方向両端部に設けられたロールバー部材31近傍に配設されている。
【0041】
支持部材60は、クロスバー部材21の上面に取り付けられる支持ブラケット(支持手段取付ブラケット)65を介してクロスバー部材21に固定されている。支持ブラケット65は、図8に示すように、クロスバー部材21から車体後方側に延びるとともに上方に向かって、すなわち、ルーフ2の前側ルーフ3に向かって延びている。この支持ブラケット65は、ルーフ2を開閉する際に、ルーフ2と支持部材60との干渉を回避するように好適な形状で形成される。
【0042】
支持ブラケット65は、クロスバー部材21の上面に接合されるフランジ部66a、66bと、該フランジ部66a、66bから上方に延びる側面部67a、67bと、該側面部67a、67bの車体前方側をつなぐ側面部67cと、上面部67dとを備え、上面部67dには、略円形状の開口部68が設けられている。
【0043】
上記支持部材60は、例えばゴム等の弾性材料を用いて形成され、略四角状に形成される上面部61と下面部62とを備え略四角錐台状に形成されている。また、支持部材60は、下面部62から下方に突出して形成される突出部63を備えており、該突出部63が支持ブラケット65の開口部68に嵌め込まれることで、支持部材60が支持ブラケット65に取り付けられている。ルーフ2の格納状態では、クロスバー部材21に固定される支持部材60が、格納状態にあるルーフ2の前側ルーフ3の先端側を下方から支持し、格納状態のルーフ2の少なくとも一部を支持している。
【0044】
本実施形態では、ルーフ2を支持する支持手段が、クロスバー部材21に支持ブラケット65を介して固定される支持部材60によって構成されているが、ルーフを支持するその他の支持手段を用いることも可能である。また、本実施形態では、車幅方向の両端部にそれぞれ設けられるロールバー部材31の車幅方向内方部37の間にロック装置50が取り付けられているが、ルーフを支持する支持手段をこの位置に取り付けることも可能である。
【0045】
このように、本実施形態に係る車両のルーフ支持構造によれば、ルーフ2を格納する際に、あるいはルーフ2の格納状態において、ルーフ2を支持する支持手段にかかる荷重をロールバー部材31の延設部33を通じて車体フロア部13に確実に伝達し分散させることができる。
例えば、ルーフがハードルーフで構成され、ルーフを格納する格納スペースが、車体フロア部より上方において左右の車体側壁部を連結するクロスバー部材より下方に設けられる場合など、クロスバー部材の車幅方向中央側においてクロスバー部材と車体フロア部とを連結できない場合においても、支持手段にかかる荷重を車体フロア部に確実に伝達し分散させることができる。
【0046】
また、支持手段60は、クロスバー部材21上においてロールバー部材31の車幅方向内方部37と車幅方向外方部32との間に配設されるので、支持手段にかかる荷重を、ロールバー部材の車幅方向外方部を通じて車体フロア部に伝達するとともに、上記荷重をロールバー部材の車幅方向内方部からロールバー部材の車幅方向外方部を通じて車体フロア部に伝達することができる。
【0047】
更に、支持手段60は、クロスバー部材21に取り付けられ格納状態のルーフ2に向かって延びる支持ブラケット65を介して、クロスバー部材21に固定されるので、支持手段が、ルーフとロールバー部材との干渉を回避するようにブラケットを介してクロスバー部材に固定される場合においても、支持手段にかかる荷重を車体フロア部に確実に伝達し分散させることが可能である。
【0048】
また更に、延設部33には、車体側壁部14と連結される固定ブラケット40が固定されることにより、支持手段にかかる荷重を、ロールバー部材の延設部を通じて車体フロア部に伝達するとともに、固定ブラケットを通じて車体側壁部に伝達することができ、上記荷重を車体フロア部及び車体側壁部の車体各部に分散させることができる。
【0049】
また更に、ルーフ2の重量が大きく、支持手段60にかかる荷重も大きくなるハードルーフで構成される場合において、上記効果をより有効に奏することができる。ルーフ2がハードルーフで構成される場合には、ルーフ2の格納スペースも大きくなるが、かかる場合においても、格納スペースの一部をクロスバー部材の下方に配置することができ、クロスバー部材の下方のスペースを有効に利用し車両のレイアウト性を向上させることができる。
【0050】
また更に、支持手段60が、クロスバー部材21の車幅方向中央側に設けられる場合においても、支持手段に入力荷重が作用する際に、ロールバー部材は、その車幅方向外方部が第1の連結部材に固定される外側固定部を基点として、その車幅方向内方部が第1の連結部材に固定される内側固定部を吊り上げるように作用し、左右のロールバー部材によって第1の連結部材の車幅方向中央側を吊り上げるように作用するので、支持手段の支持剛性を向上させることができる。
【0051】
上記のように、ロールバー部材21の延設部33には、車体側壁部14と連結される固定ブラケット40が固定されている。本実施形態では、固定ブラケット40に、例えば、車載機器であるアンプや、ルーフの開閉を駆動制御する中央演算処理装置(CPU)ユニットなどを取り付ける取付ブラケットが連結される。
【0052】
図3に示すように、車体右側に配設されるロールバー部材31の延設部33より車体内方側において、略矩形状に形成される平板状のアンプ取付ブラケット70が、固定ブラケット40の平坦部41に締結ボルト71によって締結固定されている。アンプ取付ブラケット70の上端側は、ロールバー部材31の車幅方向内方部37がクロスバー部材21に固定される内側固定部38a近傍において、また、ロールバー部材31の車幅方向外方部32がクロスバー部材21に固定される外側固定部38b近傍においてそれぞれ締結ボルト72、73によって締結固定されている。このアンプ取付ブラケット70には、車載機器としてのアンプ74が取り付けられる。
【0053】
一方、車体左側に配設されるロールバー部材31の延設部33より車体内方側には、略矩形状に形成されるとともにその上端側が車体内方側に延びて形成される平板状のCPU取付ブラケット80が、固定ブラケット40の平坦部41に締結ボルト81によって締結固定されている。CPU取付ブラケット80の上端側は、ロールバー部材31の車幅方向内方部37がクロスバー部材21に固定される内側固定部39a近傍において、また、ロールバー部材31の車幅方向外方部32がクロスバー部材21に固定される外側固定部39b近傍においてそれぞれ締結ボルト82、83によって締結固定されている。このCPU取付ブラケット80には、開閉式ルーフ2を駆動制御させるCPUユニット84が取り付けられる。
【0054】
本実施形態では、ロールバー部材31の延設部33には、固定ブラケット40が固定されており、該固定ブラケット40に、取付ブラケット(第3の連結部材)70、80が連結されているが、延設部33と取付ブラケット70、80とを、別体の部材を用いて連結することも可能である。
【0055】
このように、クロスバー部材21には、ロールバー部材31の車幅方向内方部37が固定される内側固定部38a、39a近傍において、延設部33と連結される取付ブラケット70、80が固定されることにより、支持手段にかかる荷重を、取付ブラケットからロールバー部材の延設部を通じて車体フロア部に伝達し分散させることができる。
【0056】
また、延設部33には、車体側壁部14と連結される固定ブラケット40が固定されるとともに、取付ブラケット70、80が、固定ブラケット40に連結されるので、取付ブラケットに入力される荷重を、ロールバー部材の延設部を通じて車体フロア部に伝達するとともに、固定ブラケットを通じて車体側壁部に伝達することができ、上記荷重を車体フロア部及び車体側壁部の車体各部に分散させることができる。
【0057】
上記のように、ルーフを支持する支持手段が、クロスバー部材上において、ロールバー部材の車幅方向内方部とその車幅方向外方部との間に配設されるとともに、ロールバー部材の両端部にそれぞれ設けられるロールバー部材の車幅方向内方部の間に配設されてもよく、この場合においても、支持手段にかかる荷重を車体フロア部及び車体側壁部の車体各部に伝達し分散させることが可能である。なお、支持手段にかかる荷重は、クロスバー部材を通じて車体側壁部にも伝達される。
【0058】
本実施形態では、ルーフを支持する支持手段が、クロスバー部材上においてロールバー部材の車幅方向内方部とその車幅方向外方部との間に配設されているが、上記支持手段が、クロスバー部材上においてロールバー部材近傍のその他の位置に配設するようにしてもよい。
【0059】
以上のように、本発明は、例示された実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、開閉式ルーフを有する車両において、格納状態にあるルーフを支持する支持手段が、例えばクロスバー部材などの車体構成部材に取り付けられる場合などに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本実施形態に係る車両の車体後部を模式的に示す側面説明図である。
【図2】上記車両の車体後部を概略的に示す斜視図である。
【図3】上記車両の車体後部の要部を示す斜視図である。
【図4】上記車両の車体後部の要部を示す正面説明図である。
【図5】ルーフを保持するロック装置を示す斜視図である。
【図6】図4におけるY6−Y6線に沿った断面説明図である。
【図7】ルーフを支持する支持手段を示す斜視図である。
【図8】図4におけるY8−Y8線に沿った断面説明図である。
【符号の説明】
【0062】
2 ルーフ
13 車体フロア部
14 車体側壁部
21 クロスバー部材
31 ロールバー部材
32 ロールバー部材の車幅方向外方部
33 延設部
37 ロールバー部材の車幅方向内方部
38a、39a 内側固定部
60 支持部材
65 支持ブラケット
70 アンプ取付ブラケット
80 CPU取付ブラケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室の屋根部を構成する格納可能なルーフと、車体フロア部より上方において略車幅方向に延び左右の車体側壁部を連結する第1の連結部材と、前記第1の連結部材に上方に向かって略逆U字状に突設されるロールバー部材と、前記第1の連結部材に固定され、格納状態にある前記ルーフの少なくとも一部を支持する支持手段とを有する車両のルーフ支持構造であって、
前記ロールバー部材の車幅方向外方部は、前記第1の連結部材の下方へ延び前記車体フロア部に固定される延設部を備え、前記支持手段は、前記ロールバー部材近傍において前記第1の連結部材に固定されていることを特徴とする車両のルーフ支持構造。
【請求項2】
前記支持手段は、前記第1の連結部材上において前記ロールバー部材の車幅方向内方部と前記ロールバー部材の車幅方向外方部との間に配設されていることを特徴とする請求項1記載の車両のルーフ支持構造。
【請求項3】
前記支持手段は、前記第1の連結部材に取り付けられ格納状態の前記ルーフに向かって延びる支持手段取付ブラケットを介して、前記第1の連結部材に固定されていることを特徴とする請求項1又は2記載の車両のルーフ支持構造。
【請求項4】
前記延設部には、前記車体側壁部と連結される第2の連結部材が固定されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一に記載の車両のルーフ支持構造。
【請求項5】
前記第1の連結部材には、前記ロールバー部材の車幅方向内方部が固定される内側固定部近傍において、前記延設部と連結される第3の連結部材が固定されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一に記載の車両のルーフ支持構造。
【請求項6】
前記延設部には、前記車体側壁部と連結される第2の連結部材が固定されるとともに、前記第3の連結部材が、前記第2の連結部材に連結されていることを特徴とする請求項5記載の車両のルーフ支持構造。
【請求項7】
前記ロールバー部材は、前記第1の連結部材の車幅方向両端部にそれぞれ設けられ、前記支持手段は、前記第1の連結部材上において、該第1の連結部材の車幅方向両端部にそれぞれ設けられる前記ロールバー部材の車幅方向内方部の間に配設されていることを特徴とする請求項1記載の車両のルーフ支持構造。
【請求項8】
前記ルーフは、ハードルーフで構成され、格納状態にある前記ルーフの少なくとも一部が前記第1の連結部材の下方に位置するように配設されていることを特徴とする請求項1〜7の何れか一に記載の車両のルーフ支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−176262(P2007−176262A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−375227(P2005−375227)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】