説明

車両の補機制御装置

【課題】車両が将来走行する環境に関する走行環境情報に基づいて、補機の内燃機関に対する負荷を低減することにより、燃費の向上が図れる車両の補機制御装置を提供すること。
【解決手段】車両1が将来走行する環境に関する走行環境情報を取得するナビゲーションシステム5と、車両1のアイドル状態を判断するエンジンECU4と、車両1のエンジン2に連結されるコンプレッサ10のエンジン2に対する負荷である補機負荷を制御するエアコンECU6とを備える車両1の補機制御装置において、走行環境情報に基づいて将来の車両1のアイドルオン状態が予測されるとともに、エンジンECU4によりアイドルオフ状態と判断された場合、エアコンECU6は、補機負荷を低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の内燃機関に連結される補機の駆動負荷を制御する車両の補機制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両には、エアコンディショナに用いられる冷媒を圧縮するコンプレッサや、内燃機関などの冷却を行う冷却システムのウォータポンプ、バッテリを充電する電力を発生するオルタネータ等のいわゆる補機が設けられている。これらの補機は、ベルトやプーリを介して内燃機関のクランクシャフトに連結されており、内燃機関から出力される動力によって回転し、駆動される。従って、補機は、車両の走行要求に応じて内燃機関が出力する動力によって駆動するため、内燃機関が使用する燃料の一部を使用して駆動されることとなる。そこで、車両の運転状態に応じて、補機を駆動制御、すなわち補機の駆動による内燃機関に対する負荷である駆動負荷を制御する補機駆動制御装置が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
特許文献1では、カーナビゲーション等による走行環境情報および自車情報に基づいて、将来の内燃機関の最大出力および、走行負荷を予測し、内燃機関から出力される動力で補機を駆動するか、バッテリの出力で補機を駆動するかを切り替えて、駆動負荷を制御する補機駆動制御装置が開示されている。
【0004】
さらに、特許文献1では、最大出力が走行負荷より大きい場合は、内燃機関で直接補機を駆動し、余剰エネルギをバッテリに蓄積することで、燃費を改善する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−324665号公報
【特許文献2】特開平9−021457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述のように、走行環境情報および自車情報に基づいて、将来の内燃機関の最大出力および走行負荷を予測し、内燃機関の最大出力が走行負荷より大きい場合、内燃機関で直接補機を駆動し、余剰エネルギをバッテリに蓄積するが、内燃機関の最大出力と走行負荷といった制約があり、主に車両の加速走行時における補機駆動制御であった。上述のように、内燃機関が使用する燃料のうち一部を使用して補機が駆動されることから、補機の駆動制御と燃費とには関係性があるので、補機の駆動制御によるさらなる燃費の向上が望まれていた。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、燃費の向上を図ることができる車両の補機制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、車両が将来走行する環境に関する走行環境情報を取得する走行環境情報取得手段と、車両のアイドル状態を判断する判断手段と、車両の内燃機関に連結される補機の駆動による内燃機関に対する負荷である駆動負荷を制御する補機負荷制御手段と、を備える車両の補機制御装置において、補機負荷制御手段は、走行環境情報に基づいて将来の車両のアイドルオン状態が予測されるとともに、判断手段によりアイドルオフ状態と判断された場合に、補機負荷を低減することを特徴とする。
【0009】
上記の車両の補機制御装置において、補機負荷制御手段は、補機負荷を低減した後、判断手段により車両がアイドルオン状態と判断された場合に、補機負荷の低減を終了することが好ましい。
【0010】
上記の車両の補機制御装置において、補機負荷制御手段は、補機負荷を低減した後、判断手段により車両がアイドルオン状態と判断された場合に、補機負荷を低減前より上げることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、走行環境情報に基づいた補機の駆動制御により補機負荷を低減することにより、内燃機関が使用する燃料のうち、補機に用いられる燃料を低減することができ、燃費の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、実施形態に係る車両の概略構成を示す模式図である。
【図2】図2は、エアコンECUが実行する補機制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態(以下、「実施形態」と記す)によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0014】
図1は、実施形態にかかる車両の概略構成を示す模式図である。図1に示すように、車両1は、内燃機関(以下、「エンジン」と記す)2と、エアコンディショナ3と、エンジンECU4と、ナビゲーションシステム5と、エアコンECU6とが搭載されている。なお、変速機7は、エンジン2が発生するエンジントルクを変速比に基づいて変換するものである。また、差動装置8は、変速機7により変換されたエンジン2が発生するエンジントルクを駆動輪9に伝達するものである。また、駆動輪9は、エンジン2から出力される動力を路面に伝達するものである。
【0015】
エンジン2は、車両1に搭載され、エンジントルクを発生するものであり、エンジンECU4により運転が制御されるものである。エンジン2は、クランクシャフト(図示せず)を介して変速機7と連結されており、発生したエンジントルクが変速機7、差動装置8を介して駆動輪9に伝達される。つまり、エンジン2から出力される動力は駆動輪9に伝達される。
【0016】
エアコンディショナ3は、コンプレッサ10と、凝縮器11と、蒸発器12等を含んで構成されている。エアコンディショナ3は、コンプレッサ10、凝縮器11、蒸発器12によって、冷媒が循環する冷媒サイクルが形成されている。
【0017】
コンプレッサ10は、エンジン2の近傍に設けられており、車両1のエンジン2に連結される補機である。ここで、エンジン2のクランクシャフトに設けられたクランクシャフトプーリ21とコンプレッサ10の回転軸に設けられた補機プーリ22との間に、無端のベルト23が巻き掛けられている。これにより、コンプレッサ10は、エンジン2から出力される動力がベルト23を介して伝達され、エンジン2から出力される動力により回転する。コンプレッサ10は、回転することで駆動し、蒸発器12からの冷媒を圧縮し、圧縮されて高温高圧の過熱蒸気となった冷媒が凝縮器11に送り込まれる。従って、コンプレッサ10は、駆動することでエンジン2の負荷となる。ここで、コンプレッサ10は、本実施形態では、可変容量型コンプレッサであり、冷媒の吐出容量を変更することができる。つまり、エアコンECU6は、コンプレッサ10により冷媒の循環量を制御することができ、コンプレッサ10はエンジン2に対する負荷を変更できる。また、コンプレッサ10は、エアコンECU6と接続されており、エアコンECU6により駆動制御される。
【0018】
凝縮器11は、コンプレッサ10が圧縮し、吐出した冷媒を冷却して高圧液体として蒸発器12へ供給する。蒸発器12では、圧縮されて液化している冷媒が気化することにより、この蒸発器12を通過する空気、すなわち車両1の室内に供給される空気を冷却する。また、エアコンディショナ3は、エキスパンションバルブ(図示しない)が設けられており、液化された冷媒を急激に減圧することにより霧状にして蒸発器12へ供給するようにしており、これにより、蒸発器12を通過する空気の冷却効率の向上を図っている。なお、蒸発器12によって気化された冷媒は、コンプレッサ10へ戻されて、再度、圧縮される。このような冷媒サイクルは、公知の構成を適用することができる。ここで、補機状態監視器13は、エアコンディショナ3の状態を検出するものである。補機状態監視器13は、本実施形態では、蒸発器12を通過する空気の流れにおいて蒸発器12よりも下流側における空気の温度、すなわち蒸発器12により冷却された空気の温度である蒸発器後温度を検出する温度センサであり、エアコンECU6に接続され、温度センサからの蒸発器後温度に基づく信号がエアコンECU6に出力され、エアコンECU6により蒸発器後温度が取得される。
【0019】
エンジンECU4は、エンジン2を運転制御するものである。エンジンECU4は、アクセルペダルを踏み込むことによる運転者の意志に基づいて設定、あるいは車両1の自動走行制御において算出される車両1に要求される要求エンジントルクに基づいて、噴射信号、点火信号、バルブ開度信号などをエンジン2に出力し、これらの出力信号により、図示しない燃料噴射弁によりエンジン2に供給される燃料の燃料供給量や噴射タイミングなどの燃料噴射制御、図示しない点火プラグの点火制御、エンジン2の図示しない吸気経路に設けられた図示しないスロットルバルブのバルブ開度制御などが行われる。
【0020】
また、エンジンECU4は、車両1のアイドル状態を判断する判断手段としても機能する。エンジンECU4は、運転者が操作する図示しないアクセルペダルの操作量であるアクセル操作量を検出するアクセルペダルセンサ14と接続されている。アクセルペダルセンサ14からのアクセル操作量に基づく信号は、エンジンECU4に出力され、エンジンECU4によりアクセル操作量が取得される。エンジンECU4は、本実施形態では、アクセル操作量に基づいて車両1がアイドルオン状態であるかアイドルオフ状態であるかを判断する。例えば、エンジンECU4は、アクセル操作量が0の場合にアイドルオン状態と判断し、アクセル操作量が0を超える場合にアイドルオフ状態と判断する。さらに、エンジンECU4は、車両1のフューエルカット状態を判断する判断手段としても機能し、アイドル状態のとき、車両1がフューエルカットで走行しているか否かを判断することができる。なお、エンジンECU4は、ナビゲーションシステム5及びエアコンECU6と接続されており、エンジンECU4に入力されたエンジン2の運転状態に基づく情報、例えば上述する車両1のアイドル状態及びフューエルカット状態に基づく信号を適宜エアコンECU6に出力、エアコンECU6により車両1のアイドル状態及びフューエルカット状態が取得される。また、エンジンECU4は、車両1のアイドル状態を判断する際に、アクセル操作量のみならず、アクセル開度、エンジン回転数、変速段、車速等のパラメータを加味して判断しても良い。
【0021】
ナビゲーションシステム5は、車両1が将来走行する環境に関する走行環境情報を取得する走行環境情報取得手段として機能する。ナビゲーションシステム5は、車両1を所定の目的地に誘導することを基本的な機能としており、演算処理装置と、車両1が将来走行する環境に関する走行環境情報(地図、直線路、カーブ、登降坂、高速道路など)が記憶された情報記憶媒体と、自立航法により車両1の現在位置や道路状況を検出するためのもので、地磁気センサやジャイロコンパス、ステアリングセンサを含む第1情報検出装置と、電波航法により車両1の現在位置、道路状況などを検出するためのもので、GPSアンテナ24やGPS受信機(図示せず)などを含む第2情報検出装置等を備えている。ナビゲーションシステム5は、エアコンECU6と接続されており、車両1の現在位置、走行環境情報に関するデータに基づく信号をエアコンECU6に出力し、エアコンECU6は車両1の現在位置、走行環境情報を取得する。
【0022】
エアコンディショナ制御装置(以下、「エアコンECU」と記す)6は、車両1の補機制御装置であり、エアコンディショナ3の運転状態を制御するものであり、補機であるコンプレッサ10を駆動制御、すなわち車両1のエンジン2に連結されるコンプレッサ10の駆動による駆動負荷を制御する補機負荷制御手段として機能する。エアコンECU6は、例えば、車両1の室内気温を検出する内気温温度センサ(図示せず)からの室内温度に基づく信号、車両1の室外気温を検出する外気温センサ(図示しない)からの室外温度に基づく信号などが入力されており、室内温度、室外温度を取得する。エアコンECU6は、取得された室内温度および外気温度、運転者により設定された設定温度を入力値として、室内温度が設定温度となるように、コンプレッサ10、車両1の室内に供給される空気を加熱する図示しないヒータコア、蒸発器12により冷却された空気のうちヒータコアにより加熱される量を調整するエアミックスダンパーを制御する。エアコンECU6は、エンジンECU4と通信しており、エンジンECU4からの制御信号によってエアコンディショナ3を制御すると共に、必要に応じて補機状態監視器13から出力されたエアコンディショナ3の運転状態に関するデータをエンジンECU4に送信する。なお、エンジンECU4及びエアコンECU6には、各種制御装置に入力信号や、出力信号の入出力を行う入出力ポート(I/O)(図示せず)や、各種マップなどが記憶されているROM(図示せず)が設けられている。
【0023】
また、エアコンECU6は、取得された蒸発器後温度が基準温度となるようにコンプレッサ10を駆動制御する。つまり、エアコンECU6は、基準温度によりコンプレッサ10の吐出容量を可変に制御でき、補機負荷を制御することができる。従って、エアコンECU6は、補機負荷を低減する際に基準温度を高くする。基準温度を高くすると、車両1の室内に供給される空気に対するエアコンディショナ3の冷房能力を低下、すなわち冷媒の循環量を低減することができるので、コンプレッサ10の吐出容量を低減でき、補機負荷を低減することができるためである。なお、エアコンECU6は、補機負荷を可変、すなわち低減するか否かを判断するフラグ(以下、「補機負荷可変許可フラグ」と記す)Fに応じて基準温度を変更する。
【0024】
また、エアコンECU6は、走行環境情報に基づいて将来の車両1のアイドルオン状態かつフューエルカット走行を予測するものでもある。エアコンECU6は、本実施形態では、ナビゲーションシステム5から取得された車両1の現在位置および走行環境情報に基づいて車両1が将来走行する道路が下り坂であると判断された場合に、走行環境情報に基づいて将来の車両1のアイドルオン状態かつフューエルカット走行を予測する。これは、車両1が将来走行する道路が下り坂である場合は、運転者が車両1を減速させるためにアクセルペダルから足を離し、アクセル操作量が0となると予測され、エンジンECU4がアイドルオン状態かつフューエルカット走行と判断すると予測されるからである。
【0025】
次に、本実施形態における車両の補機制御装置(エアコンECU6)が実行する制御について、図1、図2を用いて説明する。図2は、エアコンECUが実行する補機制御のフローチャートである。なお、以下の制御ルーチンは、制御周期ごとに繰り返され、アクセル操作量、室外気温t1、車両1の現在位置、走行環境情報、蒸発器後温度t2は、制御ルーチンごとに更新される。
【0026】
まず、図2に示すように、エアコンECU6は、車両1の室外気温t1を取得する(ステップS10)。
【0027】
次に、エアコンECU6は、車両1の基準外気温tを決定する(ステップS11)。ここで、基準外気温tは、例えば室内気温t3に基づいて設定されるものであり、コンプレッサ10の駆動制御により補機負荷を低減することでエアコンディショナ3の冷房能力が低下しても、室内温度t3の温度上昇が運転者などの搭乗者に不快感を与えるなどの室内環境に影響を与えない値である。なお、基準外気温tは、一定値であっても良い。
【0028】
次に、エアコンECU6は、取得した室外気温t1が基準外気温t未満であるか否かを判断する(ステップS12)。ここでは、エアコンECU6は、エアコンディショナ3の冷房能力が低下しても、室内温度t3の温度上昇が室内環境に影響を与えないか否かを判断する。基準外気温tが室内気温t3に基づいて設定される場合は、室内気温t3と室外気温t1との温度差に応じて補機負荷の低減を行うか否かの判断を行うこととなる。従って、補機負荷の低減による室内温度t3の温度上昇が室内環境に影響を与える場合は、エアコンディショナ3の冷房能力を優先して補機負荷の低減を行わないため、室内温度t3の温度上昇を抑制できるため、搭乗者を優先したコンプレッサ10の駆動制御を行うことができる。また、補機負荷の低減による室内温度t3の温度上昇が室内環境に影響を与えない場合は、補機負荷の低減をすることで室内温度t3の温度上昇が起こっても、その温度上昇を小さくすることができるため、搭乗者に不快感を与えることを抑制することができる。
【0029】
次に、エアコンECU6は、取得した室外気温t1が基準外気温t未満であると判断(ステップS12肯定)すると、走行環境情報を取得する(ステップS13)。ここでは、エアコンECU6は、車両1の現在位置および走行環境情報をナビゲーションシステム5から取得する。なお、取得した室外気温t1が基準外気温t以上であると判断(ステップS12否定)すると、補機負荷を低減しても、室内温度t3の温度上昇が車内環境に影響を与えるため、補機負荷の低減を行わず、現在の制御ルーチンを終了し、次の制御ルーチンに移行する。
【0030】
次に、エンジンECU4は、現在の運転状況を取得する(ステップS14)。ここでは、エンジンECU4は、実施形態では、アクセル操作量、アクセル開度、エンジン回転数、変速段、車速などを取得する。
【0031】
次に、エアコンECU6は、アイドルオフ状態であるか否かを判断する(ステップS15)。
【0032】
次に、エアコンECU6は、エンジンECU4によりアイドルオフ状態であると判断(ステップS15肯定)されると、現在の運転状況が継続可能か否かを判断する(ステップS16)。ここでは、エアコンECU6は、本実施形態では、車両1の現在位置、走行環境情報、車速に基づいてアイドルオフ状態を継続か否かを判断する。エアコンECU6は、本実施形態では、車両1の現在位置および走行環境情報に基づいて車両1が現在走行する道路が平坦路である場合に、この平坦路に対する車両1の走行がT1継続可能か否かを判断する。ここで、T1は、制御変数として、エアコンECU6のROMに記憶されている。T1は、例えば実験または計算等により予め算出された一定値である。
【0033】
次に、エアコンECU6は、現在の運転状況が継続可能と判断(ステップS16肯定)すると、現在の運転状態の継続後にアイドルオン状態かつ、フューエルカット走行となるか否かを判断する(ステップS17)。ここでは、エアコンECU6は、走行環境情報に基づいて将来の車両1のアイドルオン状態かつ、フューエルカット走行を予測する。エアコンEUC6は、本実施形態では、車両1の現在位置、走行環境情報、車速に基づいて、現在平坦路を走行する車両1がT2経過後に下り坂を走行するか否かを判断することで、将来の車両1のアイドルオン状態かつ、フューエルカット走行を予測する。ここで、T2は、例えば実験または計算等により予め算出された一定値であり、T1よりも大きい値である。
【0034】
次に、エアコンECU6は、現在の運転状態が継続後にアイドルオン状態かつ、フューエルカット走行になると判断(ステップS17肯定)すると、補機負荷可変許可フラグFを取得する(ステップS18)。
【0035】
次に、エアコンECU6は、取得した補機負荷可変許可フラグFが0であるか否かを判断する(ステップS19)。ここでは、エアコンECU6は、補機負荷を低減することができるか否かを判断する。
【0036】
次に、エアコンECU6は、取得した補機負荷可変許可フラグFが0であると判断(ステップS19肯定)すると、補機負荷可変許可フラグFを1とする(ステップST20)。ここでは、エアコンECU6は、走行環境情報に基づいて将来の車両1のアイドルオン状態かつ、フューエルカット走行が予測されるとともに、エンジンECU4によりアイドルオフ状態と判断された場合に、補機負荷可変許可フラグFを1とする。なお、エアコンECU6は、補機負荷可変許可フラグFが1であると判断(ステップS19否定)すると、ステップS21に移行する。
【0037】
次に、エアコンECU6は、補機負荷を低減する(ステップS21)。ここでは、エアコンECU6は、上述のように、現在の基準温度txにΔTを加算した値を基準温度txとする。つまり、エアコンECU6は、走行環境情報に基づいて将来の車両1のアイドルオン状態かつ、フューエルカット走行が予測されるとともに、エンジンECU4によりアイドルオフ状態と判断された場合に、基準温度txを高くし、補機負荷を低減する。従って、将来、車両1が燃料を使用しないフューエルカットで走行をすることが分かり、現時点において車両1がアイドルオフ状態で走行している場合、現時点から将来フューエルカットで走行する時点までの間で補機負荷を低減する。本実施形態では、現時点から将来フューエルカットで走行する時点までの間、補機負荷を低減し続ける。これにより、車両1がアイドルオフ状態で走行している場合、運転者の走行要求(加速要求)に応じて、エンジン2の出力、すなわち燃料の使用量は決まっているが、コンプレッサ10の駆動制御により補機負荷を低減することができるため、コンプレッサ10に用いられる燃料を低減することができる。従って、走行環境情報に基づいたコンプレッサ10の駆動制御により補機負荷を低減することで、エンジン2が使用する燃料のうち、コンプレッサ10に用いられる燃料を低減することができ、燃費の向上を図ることができる。
【0038】
また、エアコンECU6は、取得した現在の運転状況がアイドルオフ状態でないと判断(ステップS15否定)する、現在の運転状況が継続不可能と判断(ステップS16否定)する、あるいは現在の運転状態が継続後にアイドルオン状態かつ、フューエルカット走行にならないと判断(ステップS17否定)すると、補機負荷可変許可フラグFを取得する(ステップS22)。
【0039】
次に、エアコンECU6は、取得した補機負荷可変許可フラグFが1であるか否かを判断する(ステップS23)。ここでは、エアコンECU6は、補機負荷の低減を終了することができるか否かを判断する。
【0040】
次に、エアコンECU6は、取得した補機負荷可変許可フラグFが1であると判断(ステップS23肯定)すると、補機負荷可変許可フラグFを0とする(ステップST24)。ここでは、エアコンECU6は、コンプレッサ10の駆動制御により、補機負荷の低減が行われている場合に補機負荷可変許可フラグFを0とする。なお、エアコンECU6は、補機負荷可変許可フラグFが0であると判断(ステップS23否定)すると、走行環境情報に基づいて将来の車両1のアイドルオン状態かつ、フューエルカット走行が予測されるとともに、エンジンECU4によりアイドルオフ状態と判断された場合ではないので、補機負荷の低減を行わず、現在の制御ルーチンを終了し、次の制御ルーチンに移行する。
【0041】
次に、エアコンECU6は、補機負荷の低減を終了する(ステップS25)。ここでは、エアコンECU6は、現在の基準温度txからΔTを減算した値を基準温度txとする。つまり、エアコンECU6は、エンジンECU4によりアイドルオン状態かつ、フューエルカット走行と判断された場合、車両1が予測された下り坂を走行している場合、高くしていた基準温度txを元に戻し、補機負荷を低減前に戻す。従って、車両1が実際に燃料を使用しないフューエルカットで走行している場合、補機負荷の低減を終了する。本実施形態では、車両1が実際に燃料を使用しないフューエルカットで走行している場合、補機負荷を元に戻す。これにより、車両1がアイドルオン状態かつ、フューエルカット走行している場合、コンプレッサ10の駆動制御により補機負荷を低減することを終了するので、補機負荷を一定にせず、走行環境情報に応じて制御することができる。また、車両1がアイドルオン状態かつ、フューエルカット走行、すなわちコンプレッサ10に用いられる燃料を使用しなくても、コンプレッサ10を駆動できる場合は、低減していた補機負荷を増加するので、エアコンディショナ3の冷房能力の変化を抑制することができる。
【0042】
なお、上記実施形態では、エアコンECU6は、アイドルオン状態かつ、フューエルカット走行と判断された場合に、補機負荷を低減前に戻したが本発明はこれに限定されるものではない。エアコンECU6は、アイドルオン状態かつ、フューエルカット走行と判断された場合に、補機負荷を低減前よりも上げても良い。この場合、エアコンECU6は、現在の基準温度txからΔT+α(α>0)を減算した値を基準温度txとする。ここで、αは、補機負荷の低減による室内温度t3の温度上昇分を補償することができる値とすることが好ましい。従って、走行環境情報に基づいて将来の車両1のアイドルオン状態かつ、フューエルカット走行が予測されるとともに、エンジンECU4によりアイドルオフ状態と判断された場合に補機負荷が低減されても、その後アイドルオン状態かつ、フューエルカット走行と判断された場合に補機負荷が低減前よりも上がるので、補機負荷を低減した分を補償することができる。これにより、燃費を向上することができるとともに、エアコンディショナ3の冷房能力の変化を抑制することができる。なお、エアコンECU6は、低減前よりも上げた補機負荷を所定時間経過後に低減前に戻しても良い。
【0043】
また、本発明の実施形態は、補機をエアコンディショナ3のコンプレッサ10としたが、これに限定されるものではなく、オルタネータであっても良い。この場合は、走行環境情報に基づいて将来の車両1のアイドルオン状態かつ、フューエルカット走行が予測されるとともに、エンジンECU4によりアイドルオフ状態と判断された場合に、補機負荷である発電量を低減し、その後アイドルオン状態かつ、フューエルカット走行と判断された場合に発電量の低減を終了すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上のように、本発明は、車両の内燃機関に連結される補機の駆動負荷を制御する車両の補機制御装置に有効であり、燃費の向上を図るのに適している。
【符号の説明】
【0045】
1 車両
2 内燃機関
3 エアコンディショナ
4 エンジンECU
5 ナビゲーションシステム
6 エアコンECU
7 変速機
8 差動装置
9 駆動輪
10 コンプレッサ
11 凝縮器
12 蒸発器
13 補機状態監視器
14 アクセルペダルセンサ
21 クランクシャフトプーリ
22 補機プーリ
23 ベルト
24 GPSアンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が将来走行する環境に関する走行環境情報を取得する走行環境情報取得手段と、
前記車両のアイドル状態を判断する判断手段と、
前記車両の内燃機関に連結される補機の駆動による前記内燃機関に対する負荷である駆動負荷を制御する補機負荷制御手段と、
を備える車両の補機制御装置において、
前記補機負荷制御手段は、前記走行環境情報に基づいて将来の前記車両のアイドルオン状態が予測されるとともに、前記判断手段によりアイドルオフ状態と判断された場合に、前記駆動負荷を低減する
ことを特徴とする車両の補機制御装置。
【請求項2】
前記補機負荷制御手段は、前記駆動負荷を低減した後、前記判断手段により前記車両のアイドルオン状態と判断された場合に、前記駆動負荷の低減を終了する
ことを特徴とする請求項1に記載の車両の補機制御装置
【請求項3】
前記補機負荷制御手段は、前記駆動負荷を低減した後、前記判断手段により前記車両のアイドルオン状態と判断された場合に、前記駆動負荷を低減前より上げる
ことを特徴とする請求項2に記載の車両の補機制御装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−157016(P2011−157016A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−21623(P2010−21623)
【出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】